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生命保険会社等の契約内容確認活動の現状と評価 [PDF 724KB]
生命保険会社等の契約内容確認活動の現状と評価 大沼 主任研究員 生命保険会社等が既契約者を全戸訪問し、 八重子 合( 「非常に良かった」 「まあ良かった」の合 支払該当の可否や契約内容を確認する契約内 計)を示したものである。 容確認活動(以下、 「確認活動」という。 )が まず、 『保険契約に関する活動』を受けた人 開始されて、今年度で9年目を迎える。テレ の割合をみると、「現在の保障内容に関する ビCMで活動を謳う生命保険会社等もあり、 説明」が84.1%と最も高く、契約内容に対す 確認活動は一般に周知がすすんでいるようで る理解を深めてもらうための活動が確認活動 ある。当研究所では、確認活動を受けた生命 の中心となっていることがわかる。次いで、 保険契約者を対象に平成26年11月にアンケー 「保険契約関係者の確認等」が46.2%、 「保険 ト調査 (注1) を実施した。その結果から現状等 金の請求に関する内容」「契約内容の変更に を一部紹介したい。 関する内容」 「契約の払戻金・解約返戻金、契 (注1)調査概要は次のとおり。 調査方法:インターネット調査 調査対象:生命保険会社等から平成19年以降、 「営業担当者と面談して確認活動を 受けた」とする生命保険契約者、全 国20~69歳男女 サンプル数:1,037名(男性617名、女性420名) 調査時期:平成26年11月 年代構成:20~30代14.6%、40代31.0%、50代 35.2%、60代19.3% なお、複数社から確認活動を受けた契約者に ついては、最も訪問回数の多い加入先に絞り回 答を得た。 約者貸付等に関する内容」がそれぞれ2割前 動と比べると、確認活動を受けた人の割合が 図表1 確認活動の内容とその評価(複数回答) (n=1,037) 保 現在の保障内容に関する説明 険 契 保険契約関係者の確認等 約 に 保険金の請求に関する内容 関 す る 契約内容の変更に関する内容 活 動 契約の払戻金・解約返戻金、 保険契約に関するもの 「確認活動を受けた生命保険会社等」をみ 「現在の保障内容に関する説明」を他の活 ると、延べ32社にのぼっている。トップは大 8社で90.9%を占めている。 次に、確認活動の内容とその活動を受けた 人による評価をみてみる。図表1は、確認活 動の内容を、 『保険契約に関する活動』5項目 と『新規拡大を企図する活動』2項目に分類 し、上段に各確認活動を受けた人の割合、下 段にその活動に肯定的な評価を与えた人の割 新規拡大を企 図するもの 大手生保等が続き、上位4社で68.6%、上位 契約者貸付等に関する内容 新規拡大を 企図 する活動 手生保で単独で32.5%を占める。以下、他の 新しい保険商品の案内 保障見直しの提案 0.0 (%) 1.確認活動の内容とその評価 後となっている。 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 64.9 46.2 22.6 84.1 76.7 76.9 20.7 70.7 17.2 73.1 43.7 48.3 35.3 51.7 上段:確認活動を受けた人の割合 下段:確認活動に対する肯定的評価(「非常によかった」+「まあよかった」合計) (注)確認活動の内容には、 「キャンペーン等の案内」「優待サービ スやポイントサービスに関する内容」 「年金・老後資金に関する 内容」 「公的介護保険・公的年金・健康保険に関する内容」 「健 康相談サービスに関する内容」「介護に関する内容」 「相続・確 定申告など税務に関する内容」が含まれていたが、サンプル数 が少ないことから省略した。 49 共済総研レポート 2015.4 一般社団法人 JA共済総合研究所 (http://www.jkri.or.jp/) 最も高い。一方で、肯定的な評価を 図表2 経験回数の違いによる評価の変化(複数回答) 与えた人の割合は64.9%と比較的低 (確認活動10回以上) (確認活動1回のみ) 0.0 100.0 0.0 (n=239) 100.0 (%) (%) (n=124) くなっている。 い保険商品の案内」 が43.7%、 「保障 見直しの提案」が35.3%となってお り、確認活動とあわせて、募集行為 領域の活動も展開されていることが する活動』に対する肯定的な評価は 5割前後に留まっており、『保険契 52.9 36.8 保険契約関係者の確認等 18.4 保険金の請求に関する内容 契約内容の変更に関する内容 新規拡大を 新規拡大 新規拡大 を企図 を企図 企図 する活動 する活動 する活動 うかがえる。 ただ、 『新規拡大を企図 保険契約に関するもの を受けた人の割合をみると、「新し 現在の保障内容に関する説明 保 険 契 約 に 関 す る 活 動 新規拡大を 企図するもの また、 『新規拡大を企図する活動』 契約の払戻金・解約返戻金、 契約者貸付等に関する内容 13.4 63.6 67.7 新しい保険商品の案内 33.5 35.0 保障見直しの提案 20.9 32.0 57.3 64.8 56.3 13.0 87.9 78.9 79.1 85.9 30.6 86.8 32.3 90.0 25.0 80.6 54.8 55.9 46.0 64.9 上段:確認活動を受けた人の割合 下段:確認活動に対する評価(「非常によかった」+「まあよかった」合計) 肯定的評価( 「非常によかった」+「まあよかった」合計) 約に関する活動』よりも、その評価 は低くなっている。 る評価が向上していることを示唆している。 2.経験回数の違いによる評価の変化 その要因としては、継続的な活動により、契約 確認活動に対する評価が、経験回数の違い 者自身の保障内容に対する理解が深まったこ により、どのように変化するのかをみたもの ともあるが、生命保険会社等に対する信頼度が が図表2である。 高まったこともあるのではないだろうか。 確認活動の経験回数が「1回」と「10回以 また、 「現在の保障内容に関する説明」と平 上」とで比較してみたが、各項目の肯定的評 仄をあわせるように、『新規拡大を企図する 価は、 「1回」に比べて「10回以上」が概ね20 活動』に対する肯定的評価の割合も上昇して ~30ポイント上回っている。特に、 『保険契約 いる。これは、契約者自身の保障内容に対す に関する活動』5項目に対する肯定的評価は、 る理解度が向上したことによって、保障見直 「10回以上」で8割前後から9割の水準にな しの必要性が契約者に受け入れられた結果と っており、 高い評価を得ていることがわかる。 見ることもできよう。 ここで興味深いのは、「現在の保障内容に おわりに 関する説明」の数値の変化である。前節で述 平成28年5月末に施行予定の改正保険業法 べたように、 「現在の保障内容に関する説明」 は、 “受けた人は多いが評価は低い”項目であ では、保険募集プロセスにおいて、意向把握 った。しかし、 「1回」と「10回以上」を比べ 義務や情報提供義務など保険募集人に対する ると、確認活動を受けた人の割合の差(87.9 説明義務が明文化されることが見込まれてい -79.1=8.8ポイント)よりも、肯定的評価を る。確認活動は改正保険業法のメインターゲ 与えた人の割合の差(78.9-52.9=26.0ポイ ットではないが、間接的な影響は及ぶものと ント)の方が大きくなっており、肯定的評価 考えられる。 確認活動の実態にどのような変化が生じる の伸長が著しい。このことは、契約者が説明 のか等、引き続き注視していきたい。 を繰り返し受けたことによって、活動に対す 50 共済総研レポート 2015.4 一般社団法人 JA共済総合研究所 (http://www.jkri.or.jp/)