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2016/01/25「TPPの活用:品目別関税率の調べ方
平成 28 年(2016 年)1 月 25 日 BTMU Global Business Insight 臨時増刊号 AREA Report 421 TPP の活用:品目別関税率の調べ方、繊維製品の原産地規則 TPPを活用し輸出入を検討しておられる方から、品目別関税率の調べ方などのご質問を数多 く頂戴しております。以下、品目別関税率の調べ方に加え、繊維製品に特有の原産地規則を ご紹介します。 1. 品目別関税率の調べ方 (1)日本に輸入する場合 日本の関税率は、以下から確認できる(経済産業省、工業品輸入) 。 http://www.meti.go.jp/press/2015/10/20151020002/20151020002-3.pdf (2)日本から輸出する場合 日本から輸出する際の関税率は、以下から確認できる(経済産業省、工業品輸出) 。 関税率は国別に異なるため、輸出先の国の関税率を確認する必要がある。 http://www.meti.go.jp/press/2015/10/20151020002/20151020002-2.pdf (3)日本以外の TPP 加盟国から、日本以外の TPP 加盟国に輸出する場合 輸入する側の TPP 加盟国側の関税率を調べる必要がある。 ニュージーランド政府の以下のサイトから、全 TPP 加盟国の関税率を参照できる。 https://www.mfat.govt.nz/en/about-us/who-we-are/treaty-making-process/trans-pacificpartnership-tpp/text-of-the-trans-pacific-partnership 同サイトに掲載されている TPP 加盟国の関税率の URL は以下の通り。 米国 https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-US-TariffElimination-Schedule.pdf カナダ https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-CanadaTariff-Elimination-Schedule.pdf 1 オーストラリア https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-AustraliaTariff-Elimination-Schedule.pdf メキシコ https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-MexicoTariff-Elimination-Schedule.pdf マレーシア https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-MalaysiaTariff-Elimination-Schedule.pdf シンガポール https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.Singapore-Tariff-Elimination-Schedule.pdf チリ https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-ChileTariff-Elimination-Schedule.pdf ペルー https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-PeruTariff-Elimination-Schedule.pdf ニュージーランド https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-NewZealand-Tariff-Elimination-Schedule.pdf ベトナム https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-VietNam-Tariff-Elimination-Schedule.pdf ブルネイ https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Annexes/2-D.-BruneiTariff-Elimination-Schedule.pdf 2. 繊維製品に特有の原産地規則について TPP における繊維及び繊維製品の貿易に関する原産地規則には、ヤーンフォワード・ルールが 採用されている。また、例外措置として、ショートサプライ・リストが設けられている。 (1)ヤーンフォワード・ルール 繊維製品の生産工程を、①紡ぐ、②織る、③縫製の 3 つの工程に分類し、3 つの工程の全て を TPP 協定域内において行わなければならないとするルール。このため、TPP を活用した低関 2 税率で繊維製品を輸出するには、TPP 協定の域内で糸の生産から完成品の生産までを行う必要 がある。 なお、同ルールは、その名称が協定文や付属文書に明示的に書かれているものではない。 61 類~63 類の繊維製品が原産品であるかどうかは、当該産品の関税分類を決定する構成部分 (表側の生地に占める面積が最も大きい部分)について、適用される規則に定める関税分類番 号の変更を満たす必要がある。 【ヤーンフォワード・ルールの考え方(3 工程の全てを TPP 協定域内で行う必要がある) 】 (出所)日本政府資料を基に三菱東京 UFJ 銀行国際業務部作成 例えば、TPP にベトナムが加盟することから、今後、ベトナムから米国や日本などの TPP 加 盟国への低関税率での繊維製品輸出が増えると考えられている。一方、低関税率のメリットを 享受するためには、このヤーンフォワード・ルールをクリアする必要がある。 現在、ベトナムでは糸の生産はあまり行われておらず、主に中国、インドネシア、タイなど から輸入されている。これらの糸生産諸国は TPP に加盟していないので、ベトナムから TPP 加盟国への繊維製品輸出にこれまでの輸入ルートの糸(=TPP 非加盟国の糸)を使用しては、 TPP の低関税率は適用されない。 このため、中国国内で糸を生産している中国のメーカーなどは、ベトナムの TPP 加盟による 国内産の糸需要の増加を見越して、ベトナム国内で糸の生産を行うための工場建設を進めてい る。TPP を活用しベトナムから繊維製品輸出を行う縫製メーカーは、ヤーンフォワード・ルー ルをクリアするために、これらのメーカーが生産する「ベトナム国内で生産された糸」を用い て織られた生地を使用する必要がある。 (2)ショートサプライ・リスト ヤーンフォワード・ルールの例外措置として、「供給不足の物品の一覧表(ショートサプラ イ・リスト、Short Supply List=SSL)」が設けられている。TPP 協定 Annex-4A の Appendix に記載されている同一覧表は、TPP 加盟国の域内における供給が十分でなく、域外から調達せ 3 ざるを得ない材料を選定したもの。当該一覧表に記載され、かつ、その最終用途の要件を満た す域外産の材料(糸、生地等)については、原材料と認められる。 61 類~63 類の繊維製品が原産品であるか否かは、当該産品の関税分類を決定する構成部分 (表側の生地に占める面積が最も大きい部分)について、適用される規則に定める関税分類番 号の変更を満たす必要がある。 (3)その他の要件 ①弾性生地ルール 61 類~62 類の繊維製品に弾性糸を使った生地(HS60.02、5806.20)を使用する場合、当 該生地は域内産の糸を使用する。また、関税分類を決定する構成部分に弾性糸が使用され る場合には、域内産の糸を使用する。 ②縫糸ルール 61 類~63 類の繊維製品に縫糸(HS52.04、54.01、55.08 の縫糸または HS54.02 の糸)を 使用する場合、当該縫糸は域内産の糸を使用する。 ③絹 100%の着物・帯に関するルール 着物または帯に使用する絹 100%の織物(※)は、域内で製織、裁断・縫製する必要があ る(着物・帯は 2 工程)。 ※絹織物は SSL で域外調達が認められているため、域内で裁断・縫製すれば、最終製品 は TPP 原産品となる(1 工程)。 <参考サイト> 内閣官房 TPP 政府対策本部 http://www.cas.go.jp/jp/tpp/tppinfo.html TPP を活用する(ジェトロ) https://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/tpp/ <関連レポート> Area Report 「TPP 活用による事業機会」2015 年 11 月 9 日 三菱東京 UFJ 銀行 国際業務部 http://www.bk.mufg.jp/report/insasean/AW201511091.pdf 本レポートの「2.繊維製品に特有の原産地規則について」の項目は、 「繊維製品の品目別規 則」 (財務省関税局・税関)等を参考に作成している。 4 レポート作成: ・ 国際業務部 情報室 北村 広明 [email protected] 本資料は情報提供を唯一の目的としたものであり、金融商品の売買や投資などの勧誘を目的としたものではありません。本資料 の中に銀行取引や同取引に関連する記載がある場合、弊行がそれらの取引を応諾したこと、またそれらの取引の実行を推奨する ことを意味するものではなく、それらの取引の妥当性や、適法性等について保証するものでもありません。 ・ 本資料の記述は弊行内で作成したものを含め弊行の統一された考えを表明したものではありません。 ・ 本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性、信頼性、完全性を保証するものではありませ ん。最終判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。本資料に基づく投資決定、経営上の判断、その他全ての行 為によって如何なる損害を受けた場合にも、弊行ならびに原資料提供者は一切の責任を負いません。実際の適用につきましては、 別途、公認会計士、税理士、弁護士にご確認いただきますようお願いいたします。 ・ 本資料の知的財産権は全て原資料提供者または株式会社三菱東京 UFJ 銀行に帰属します。本資料の本文の一部または全部につい て、第三者への開示および、複製、販売、その他如何なる方法においても、第三者への提供を禁じます。 ・ 本資料の内容は予告なく変更される場合があります。 5