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2 月号 - 日本農業機械化協会

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2 月号 - 日本農業機械化協会
2008
2 月号
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フォーラム 2007 の講演(2)
「農機産業と社会との連携のあり方について」
筑波大学教授・農業機械学会会長 小池 正之氏
***************************************************************************************
「農機産業と社会との連携について」というこ
とで説明させていただきたいと思います。内容と
しては、1.研究開発の技術論、2.農機市場の
特色と対応策―とくにアジア市場の動きから、3.
ものづくり精神の継承、社会から寄せられている
期待という4つの構成で進めてみようと思います。
特に、2番目の問題については、平素耳にされる
チャンスがないのではないかと思いますので、若
干そういった話をさせていただいて、社会とのか
かわりという視点からの話をしてみたいと思いま
す。
市場メカニズムは社会的な要求、それに対応す
経済地理学的観点を入れた技術論で
私どもの扱う農業機械は技術ですが、この技術
の特色はどういうところにあるかということをし
っかり把握しておきたいものです。これまで、農
業機械技術を分析するのに、社会、経済、政治、
文化といった要素を入れ、その関連で分析研究を
するということは行われきました。それで十分か
ということになるのですが、私は、必ずしも十分
ではないと思っています。
若いときからその思いをもっていたわけですが、
99 年、富田先生という方が、経済地理学的観点と
いうふうなことで技術を捉えることも可能ではな
いかということを言い出されまして、我々の拠り
所とする技術の本質論についてもこういう視点を
取り入れながら考えてみてはどうかということで、
紹介させていただきます。
これは、ある技術が、固有の技術として体系付
けられるとした場合には、それは多分に市場メカ
ニズムと風土の環境が支配的な要因として考えら
れるという見方です。
-1-
る技術をうまく選択して、そして、技術の発展に
結びつけるというようなプロセスが考えられ、市
場構造、メカニズムを説明する素材としては、物
流、つまり交通手段が有効であろうし、風土環境
としては、素材、エネルギー、技術手段を限定し
て、人口、生活様式を規定する、こういうことに
よって、固有の技術体系の形成に結びつくのでは
ないかということを提唱されました。
新しい技術は、資源から廃棄物処理に至るまで、
既存の体系に依存し、そしてそれが不可能な場合、
導入しようとする技術の定着は難しい、というこ
とです。
こういった視点で、例えば犂を見た場合、これ
は古来大陸から日本に渡って来て、いろいろ改良
が加えられてきました。最初は鍬で農耕を行って
いたわけですが、それから犂になり、封建時代に
また鍬の時代に戻りました。そして再び明治以降、
犂の時代になったということは歴史的な事実です
が、これに対する技術論的な説明、これの精緻な
モデルが、この視点によって新たな展望が開ける
のではと思っています。
例えば和犂ですと、中国の華北の乾燥地帯の犂
が日本に入ってきて、それが明治に至るまで非常
に長く日本で使われてきたという経緯があります。
明治以降はその改良が急速になされたということ
ですが、なぜそうなのかということについてのモ
デルの構築、これは我々に課せられた課題であろ
うかと思います。こういった技術論的な認識を確
実なものにすることによって、これからの研究開
発に対する精神的な拠り所ができるということが
期待されます。
さらに、農業機械技術の特色は、ややもすると
場当たり的な対応ということもあったかと思いま
すが、体系づけることによってその応用がさらに
効率化するという利点も出てくるのではないかと
思います。ここでは技術論的なアプローチの今後
の展開の必要性を一言述べさせていただきました。
変化する東アジアの状況
昨今農業機械市場を見てみますと、国内の内需
の明るい見通しが打ち出せない中で、輸出は底堅
い状況があるといわれています。なぜそうなのか、
将来はどうなるのか、ということですが、そこに
はマーケットの特質の見極めといった視点が必要
になってくると考えられます。
これから東アジアの状況を説明したいと思いま
す。東アジアは、狭い意味では、中国、韓国、台
湾が対象になるわけですが、ここでは広い意味で、
東南アジアも含めた東アジアということで、数年
前から東アジア共同体構想が動いていますが、そ
れがカバーする地域を意味することにします。
この東アジアの地域は農村から人がどんどん減
っていて、大変なことになっています。これらの
国の農村を訪問するとおそらくびっくりされるの
ではないでしょうか。イメージとしては子沢山で、
人があふれかえっていると思われるかもしれませ
んが、とんでもありません。閑散としています。
なぜなのかということですが、都市化現象です。
2000 年から 2030 年の予測をみると、2030 年には
平均して東アジア地域では 62%の人が都市部に
住むようになるとしています。中国ですと、現在
4.6 億人の人が都市部に住んでいますが、これが
8.8 億人ということで 13 億人のうちの 8.8 億人で
すから大変なパーセンテージです。インドネシア、
-2-
フィリピンそれぞれ高い数字が、2030 年に予想さ
れます。ベトナムとタイは低いパーセンテージで
すが、これは国策で、工場を地方に移して操業す
るという政策が打ち出されていて、人口が散らば
っているという状況がうかがえます。
この都市化が、農業分野に関係する者にとって
問題であり、対応を迫られることになると思われ
ます。インフォーマルセクターという、いわゆる
定職につかない方、そういう貧民が増えます。そ
れが都市に定住するということになると、都市の
間での格差が問題になります。それから都市と農
村との格差が広がっていきます。こういう問題の
解決には、職を用意しなければいけないので、経
済成長をひたすら維持しなければならないという
構図が透けて見えます。そのうちの1つの動きが
経済連携で、この動きが急です。特に国と国の間
でいろいろな貿易上の障壁を低くしていくという
試みがなされています。
それから都市中間層の拡大、これはいわゆるエ
リート層です。このエリート層が増えるというこ
とは、その人たちが働く行動様式は経済連携とい
うことで、あたかも地域全体が一つの国であると
いうふうな形での商行為が行われます。そうする
と、都市と都市、会社と会社、企業と企業、ある
いは大学と大学といったような形での、国の縛り
を越えた組織間の競争状況がここに新たに現れて
くるということが近い将来予想されます。
そういう形で中間層が大きな役割を果たすとい
われています。この経済連携の動きですが、これ
は我々の分野にとって非常に重要なことです。タ
イを真ん中において、経済連携という状況を模式
的に示すと、タイはアセアンという東南アジア諸
国連合のメンバーの1つの国ですが、この国はす
でに多くの国と経済連携協定を結んで貿易障壁等
を非常に低くしています。韓国、中国、インド、
オーストラリア、ニュージーランドとすでに協定
を結んでいます。
かたや日本はどうかというと、タイとは 11 月1
日にFTI、自由貿易協定が発効しました。あと、
シンガポールと行い、これまでアジアとは3カ国
と行っていますが、中国やインドなどとはまだこ
れからという状況です。
ということで、企業はタイに拠点を置いて商行
為を行うようになります。タイ製品という形で、
タイがすでに経済連携協定を結んでいる国々と有
利な商行為が行えるという状況になっています。
このため、我が国の企業でも工場をわざわざタイ
に移したところがあります。この関係を使って域
内での有利なビジネス展開を行おうという思惑か
と思います。
農業機械の分野においてもメーカーがここに拠
点を持つという形をとっているところもあります
し、これからというところもありますが、このよ
うな構図が、現在動いています。
機械化に力を入れる中国
中国については、私、9月 22、23 日に、中国農
業機械学会の招待で農業機械化の研究集会に出席
する機会がありました。驚いたことは、中国全体
で2つの大きな動きがあります。産、官、学の連
携の強化と国際化の強化、この2つが、私が今回
参加して印象に残ったことです。この会議は全国
の代表者が集まって 250 人規模の会議でしたが、
出席者の名簿を見てみると、ほぼ3分の1ずつ、
産、官、学の方が出席していました。中には日系
企業の農機メーカーの方も、中国人ですが、来ら
れていました。とにかく農業機械化を促進したい、
しかもスピードをつけてやりたいということです。
中国は国際化に非常に熱心です。将来展開とい
うことも含めて、技術力を蓄えた段階には積極的
に外に打って出るための布石かなと思います。
中国では「現代農業」を目指しており、農業の
水利化、機械化、情報化をツールとして生産方式
の転換とか、農産加工産業などの構築などに英知
を絞りましょうということが現在言われています。
中でも機械化、これは中国の農業政策において枢
要な柱の1つを構成しています。どの程度重視さ
れているかということをもう少し紹介します。
現在の機械化水準は、農作業別にみると、耕う
ん 48.9%、播種 28.8%、収穫 20.4%となってお
り、まだまだ機械化は推進しなければいけないと
いうことが、数字の上からうかがえます。それか
ら作物別には、冬小麦の、特に収穫で 77.0%にな
っています。これは旧ソ連の普通型コンバインが
たくさん入ってきており、それをモデルにした中
国製の普通型コンバインが動いているという状況
で、非常に高い機械化水準になっています。
-3-
水稲は非常に低位な状況です。これを今後早急
に機械化したいということが中国の切なる願いで
す。今回の研究集会も水稲の機械化収穫というこ
とがテーマでした。それからトウモロコシもこれ
からです。
中国はなぜ国際化に熱心かということですが、
これも歴史的な経緯があります。
アジア域内に、国連をベースにした農業機械化
のネットワークAPCAEMがあります。元は 77
年に発足したRNAM(アールナム)で、農業機
械域内ネットワークと訳していますが、技術協力
を通じた農業機械化の推進、適正技術の技術移転、
人づくりのためのサービス事業の展開などを業務
展開しようとしています。
中国は建国以来国連の本部を持たない形できて
いましたが、2002 年にこのAPCAEMの本部が
北京に設置されたということで、大変なニュース
でした。中国は指導的な役割を担って今後、国際
的な地域の中で、存在感のある活動をやろうとし
ています。
農家が減少し、少子化が進むタイ
次にタイについてですが、かつては農業国のイ
メージであったわけですが、現在は農村へ行って
みると非常に惨めな状況が現れてきています。伝
統的なお米の輸出国ですが、事実上は大変な状況
になっています。工場へ子弟を送り出したいとい
った場合、就職の条件として教育がありますので、
教育を受けさせたいということから教育費の関係
で、少子化が進んでいます。もう子沢山ではあり
ません。複合農業を政府が推進していましたが、
これも破綻し、農外収入に頼る構造があります。
機械を買う余裕は全くありません。
タイには何度も行って、特定の集落について、
時系列的な変化を見てきました。70 年代は米から
野菜に作るものが変わり、80 年代は出稼ぎが始ま
り、90 年代は農地を売る人がどんどん増えて、60
戸あった農家が現在は 10 戸に減ってしまうとい
うことが、バンコクから 90 ㎞西にいったところの
集落の状況です。
現地に必要な機械とは
こういったところでの農業機械技術はどういっ
た形で受け入れられるかということですが、少子
化の状況であれば機械が入るという余地は出てき
ます。従ってそこで必要とされる機械というもの
が当然あり、その理由として賃作業の質が良くな
いという事実があり、機械についての需要が存在
しています。
農業政策が、農業生産に重点を置いたものから
貧困策へと移行しつつあるということで、農業に
関したインフラへの投資はどの国でもどんどん減
少している傾向にあります。そこにあって必要と
する機械、集落の収入の水準に見合った形での機
械のニーズが出てきていますので、それに対応す
るものが必要になってきています。それから環境、
機械、機能性、スタイル、機械力、畜力との共存
システムも考えていく必要があります。
なものかということですが、社会における我々の
技術の位置づけ、どのような存在でありたいと考
えるか、社会貢献として、具体的な社会問題へ取
り組み、これを明らかな形で提示するということ、
それから異分野との連携、国際市場での商品に対
する戦略、さらに、農機の技術の体系化。これを
分野を超えて英知を出し合って取り組む必要があ
るのではなかろうかと思います。
これからの農業機械分野、厳しいといわれてい
ますが、私は英知を絞って取り組む余地は多分に
ある、明るい展望も開けるのではないかと思って
います。また皆様方とご一緒にいろいろ検討して
いきたいと考えています。
社会からの要請にどう応えるか
こういう市場を巡る動きに対して、ものづくり
の現場におられる方たちの姿勢、戦略はどのよう
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フォーラム 2007
我が社一押しの機械から
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本会は昨年 12 月 14 日、さいたま市北区の生研センターで、機械化現地フォーラム 2007「これからの農業を
支援する機械化の方向」を開催した。フォーラムでは講演に続き、生研センターのほか 12 社が、これからの
農業を支援する我が社の一押しの機械を実演した。以下にその概要をみた。
車速連動式散粒機と収量コンバイン
(生研センター)
車速連動式散粒機(写真手前)は、生研センタ
ーと井関農機、初田工業、東製作所が共同で開発
したもので、乗用管理機に搭載されている。資材
のかさ密度と施肥量を入力することにより、車速
に連動した高精度な施肥・施薬作業ができる。元々
は、GPSを搭載したコンピュータシステム(農
用車両用作業ナビゲータなど)で高精度に制御す
ることを目指していたが、この機械はそうしたG
PSなどがなくても、単独で高精度な資材の散布
ができる。
収量コンバイン(写真奥)は、自脱型コンバイ
ンに質量計と水分計を搭載し、収穫と同時に収量
と水分が計測できるコンバイン。生研センターと
ヤンマー農機、静岡製機とで共同開発した。操作
はハンドル中央のセンターメーターで行い、作業
終了後に、圃場1筆ごとの穀物収量、穀物の平均
水分、反収が表示され、印刷ボタンでその場で印
刷できる。得られたデータはコンバインのメモリ
ーに保存でき、通信ポートを通じてコンピュータ
へのデータ集積も可能となっている。
-4-
食味分析計(静岡製機)
いる。また、Zロータにより、旋回時の車両跡を
消す、枕地ならし作業を軽減することができる。
生産現場での品質管理に役立てることのできる
小型、低価格の食味分析計で、新開発の光学系に
より小型・高速・高精度に米の、水分、タンパク、
アミロース、脂肪酸度、食味値(スコア)を得る
ことができる。測定には、ハロゲンランプを用い、
試料セルに充填した試料を透過した光を、光ファ
イバーにより分光器へと導き、そこで 500∼
1010nm の波長に分解されてリニアセンサで検出
する。操作は、セルにサンプルを投入し、食味分
析計にセット、測定ボタンを押すだけと簡単。
同社の乗用田植機は、疎植 37 株植えができるよ
うに標準仕様となっている。疎植植え付けは横幅
30cm、縦 30cm の正方植えで標準の半分に近い 37
株を植え付けを行うもので、こうすることで、苗
の数を減らすことができ、農薬の使用も減らせ、
反当たり 3000∼4000 円の節約が可能となってい
る。
パワクロトラクタ(クボタ)
トラクターの後輪部分をクローラにしたパワク
ロは、
「土作りに適したトラクターとは?」という
テーマから生まれたもので、低踏圧、優れた牽引
力、高い安定性を活かして、土作りを行うことが
できる。
パワクロは高いグリップ力、パワクロサスペン
ション、低接地圧、ホイール並みの旋回性能が特
徴。土を踏み固めないことが評価され、水田のみ
ならず、畑作においても、根の張りがよいという
ことで関心が高まっている。轍もできにくく、約
1mクローラが接地しており、さらにパワクロサ
スペンションが効果を発揮し、凹凸に対しても追
従性がよく、精度の高い作業ができる。
さくらんぼハイブリッド選果機
(ヤンマー農機)
画像処理技術による「果径選別」に加え、光セ
ンサーによる「糖度選別」を同時に行える選果機。
さくらんぼの産地・山形からの要望で山本製作所
と共同で商品化した。選別は、さくらんぼを投入
するとコンベアに乗って移動し最初に果径を測定、
次いで糖度が測られ、4段階に仕分けされる。光
センサーにより一定の糖度以上を選り分けられ、
糖度の設定は7段階あり、OFF も可能。選別ラン
クは、M、Ls、Lm、2Lと、M、L、2L、
3Lを、スイッチ1つで切り替えられる。
乗用8条植え田植機(井関農機)
電動アシスト播種機「播王」
(アグリテクノ矢崎)
PZ80 は、大規模、中核農家向けに商品化した
もので、機能として、レバー1本で操作できるZ
シフト、旋回時にオペレーターがハンドルを切る
だけで植え付け部の上げ・下げ、植え付け部の切
り・入り、マーカーの上げ・下げを、すべて自動
で行うオートマチック旋回・Zターンを装備して
高精度播種で定評のあるロール式播種機に高出
力モーター内蔵の後輪ユニットを搭載した歩行型
の電動アシスト播種機。傾斜地、播種深さが深い
場合などでも軽い力で播種ができる。環境に配慮
したニッケル水素バッテリーを採用しており、1
-5-
回の充電で約4時間使える。
播種速度は5段階に、手元のスイッチで切り替
えることができ、自分に合った速度で作業できる。
電動アシストをオフにすると、通常の手押し播種
機と同じように使える。播種ホッパーはワンタッ
チで着脱が行える。
貢献する。肥料はロータリ上部にあるホッパーに
入れ、モーターで繰り出す。繰り出し量はモータ
ーの回転を変えることで調整できる。施肥パイプ
は茨城総合農業試験場と共同開発したもので、落
下口の形状を工夫し、詰まりにくい構造になって
おり、上下・左右に動き、畦の中の任意の位置に
施肥できる。
水田除草機(鋤柄農機)
不耕起V溝直播機(鋤柄農機)
緊プロで開発した高精度水田除草機の技術を利
用し、株間、条間を揺動するツースで除草する4
∼6条対応の除草機。条間は田車を配置し、除草
効果を高めている。歩行型でコンパクトな機体を
実現、狭い圃場でも使用でき、旋回時に圃場を荒
らすことが少ない。
雑草が伸びる前の田植え後、10 日頃に第1回目、
その1週間後に第2回目、さらに1週間後に3回
目の除草を行う。ツースは稲の上を通過するので、
稲を引き抜くことはない。
約 10 年前から市販を開始し、愛知県を中心に普
及している。19 年の普及面積は 1175ha に達して
いる。不耕起V溝栽培は、愛知県農業総合試験場
から手引きが発行されており、詳細を知ることが
できる。
冬季に耕起、代かき後、乾田化し直播を行う。
強制駆動のソロバン状の作溝輪によりV溝を作り、
種子と専用肥料をV溝に撒く。倒伏に強く、安定
した収量が確保できる。高能率な機械なので、大
面積の作業が可能。
畦内局所施肥成形機(鋤柄農機)
作物の定植畦を成形しながら、畦の中央に筋状
に施肥をしていくトラクター用作業機。作物に必
要な位置に肥料をまき、地表に肥料が露出するこ
とがないので環境に優しい農業、低コスト農業に
環境保全対応技術(三菱農機)
三菱農機として、今展開しているのは「環境に
優しくて安全・安心、美味い作物づくり」という
ことで、土作りではサブソイラ付きのロータリ「ド
-6-
乗用管理機(丸山製作所)
リームロータリ」、紙マルチ田植機、側条施肥田植
機、畑用・水田用機械式除草機などの商品を揃え
ている。今回は、減肥・局所施肥で作物の均一化
と地下水汚染防止に役立つ2機種、除草剤を使わ
ない稲作りということで、機械式除草機を紹介す
る。
乗用管理機BSA531 シリーズは、薬剤タンク
を本機の中央に配置し、農薬の散布開始から終了
まで理想的な前後輪の重量バランスを維持する。
また、上下2段配列水平5連ポンプを搭載し、大
水量化とコンパクトさを両立した。
ブームは、振れ防止機構の「ビタットアーム」
を採用している。これは、傾斜した際に重量によ
りブームが移動し、ハの字リンクの振り子作用に
よりブームの水平を保つもの。応答速度が速く、
急激な傾きや揺れ戻しに素早く対応する。
また、ノズルには、ドリフトを低減する「エコ
シャワー」を開発した。
灌注ペースト施肥機は、ペースト肥料の原液に
よる高濃度局所施肥ができる機械で、土壌への窒
素負荷を軽減する。根際近くに灌注するため、肥
料成分の吸収率が上昇し、揃いのよい作物作りに
貢献する。特にアスパラガス、トマト、キュウリ、
ナス等に有効で、増収につながっている。
乗用管理機(共立)
粒状局所施肥機は、群馬県農業技術センターと
共同開発したもので、慣行の全面施肥を局所条施
肥による全量基肥施肥とするもので、窒素施用量
の削減、追肥の省略、雑草の抑制などを可能とす
る。肥料は土中深さ約 10cm に局所施肥して覆土し
鎮圧する。30%程度の減肥が可能である。
畑作担い手農家のニーズに応えた 1000Lタン
ク搭載の大型高性能乗用管理機。1000Lタンクと
大型動噴により散布能率が向上、作業時間の大幅
な節減を可能にしている。3段階の可変トレッド
を採用して、多くの畝幅に対応できる。
また、オプションとして速度連動式自動制御農
薬散布装置・スーパーナビユニットを取り付ける
ことができる。これにより、あらかじめ設定して
いた 10a当たりの目標散布量を正確に散布でき
る。ノズルには、ドリフト低減ノズルのほか、ブ
ーム用静電散布装置を開発、今回参考出品(写真・
左のブーム)した。
機械式除草機は、乗用田植機の走行部に取り付
けて使用する。移植後 10 日おきに3回程度実施す
ると 80%程度の除草率で除草ができる。田車とレ
ーキで田面をひっかき回し、雑草を埋め込んだり
洗い浮かす。動力を利用しない牽引タイプで、シ
ンプルな構造となっている。
中型ベーララッパ(スター農機)
1台で牧草の梱包とラッピング作業を同時にで
きる複合作業機。ベールは直径 100cm、幅 100cm
で、硬くしまったロールベールに成形する。また、
-7-
ポジティブリスト制度対応型
露地野菜用散布装置(みのる産業)
カッティング機構を装備し、収穫物の切断面を増
加させて、より優れた乳酸発酵を促す。ラッピン
グはダブルストレッチ方式を採用し、ラッピング
後に後部ローラが下降して梱包を地面にソフトに
降ろす。
機体には昇降機溝を採用しており、圃場の出入
り・移動時には、機体を上昇させて、楽な移動が
行える。また、作業時は機体を低くし、フィルム
を傷めないようにベールを放出する。バックカメ
ラを装備しており、トラクターの座席でラッピン
グしている様子を確認できる。
ドリフマスターFW−10 は、ポジティブリスト
制度に対応して、ドリフト対策として噴口にフー
ドを付け飛散を防ぐ装置。従来噴口の霧状噴霧の
良さを生かし、吹き抜け方式のフードを取り付け
ている。散布幅は 4.5∼4.8mで、作物にできるだ
け近い高さで散布できるように高さ調節ができる。
フードが吹き抜けになっていることで、噴霧時に
上からの空気の流れで、より効果的な噴霧を実現
し、噴霧圧と気流によってフードが持ち上がり、
ホバークラフトのような効果で、軽く誰でも動か
すことができる。飛散を防ぎ、付着効果も高まる
ほか、作業者への被曝も少なくなる。
細断型コンビラップ(タカキタ)
スピードスプレーヤ(共立)
SSV1008Fは、果樹生産担い手農家のニーズ
に応えて、上位機種の送風性能と窓付固定翼(特
許)による低騒音を両立したスピードスプレーヤ。
さらに、業界初の新機構「センターデフ」により
車感覚のスムーズな旋回を実現。高性能、高品質、
低騒音、低振動を実現した求めやすい価格の 1000
Lスピードスプレーヤである。
緊プロの「細断型ロールベーラ」のシリーズ化
として開発したもので、コーンなどの粗飼料を1
cm 前後に微細断しロールベールに成形、それをラ
ッピングしていく定置式の作業機。高密度に成形
するので、腐敗サイレージの廃棄量がなく、サイ
レージの保存性が著しく向上、長期保存が可能と
なる。このため、夏場も新鮮なサイレージが給餌
でき、乳量・乳質が確保できる。作業は、コーン
を荷受け部に投入し、ベーラ部でベールに成形、
成形が終わるとラッピングが始まり、できたラッ
ピングベールを放出する。1時間に 30 個のラッピ
ングベールを作ることができる。
-8-
風量は毎分 880 立方mで、新設計送風機構(新
送風システム)で乱れのない風を生み出し、高い
位置の枝まで薬液を到達させる。騒音は6∼7デ
シベル低減した。
ドリフト対策としては、散布対象方向のみに散
布できるノズル4分割、風量2段切り替え、オプ
ションの遮風板などがある。
電子制御HMT無段変速トラクターと
車速連動型有機ブロードキャスタ
(ヤンマー農機)
また、車速連動型有機ブロードキャスタは、ト
ラクターの車速に連動して、シャッター開度を自
動的に調節し散布量を制御するブロードキャスタ。
オペレーターの煩わしい操作負担を軽減する。ま
た、車速が一定以下のスピードになった場合や後
進するときは、自動的にシャッターが閉まり、散
布開始時のこぼれなどを防止、無駄のない作業が
できる。
トラクターは、電子制御トランスミッションを
搭載し、車速を無段階に調節することを可能とし
た。HMT(ハイドロ・メカニカル・トランスミ
ッション)は、HSTとメカミッションを組み合
わせることで高い伝達効率を実現。最適車速が無
段で選択でき、スムーズでつなぎ目のない変速が
できる。これにより、作業能率を向上、高い作業
精度、快適な作業性を実現している。
***************************************************************************************
Dr.文 武 の 農 作 業 安 全
「偽」から、
「ともに考えよう」に
***************************************************************************************
07 年の世相は「偽」でした。食品偽装に始まり、
られる危機を仲間でともに考え必要な行動計画を
国会での偽証、年明けにはなりましたが、古紙混
立てることも営農の一つと考えます。
合割合、など、すでに記憶の容量から去ってしま
ったものも多いです。
最後に PR です。
実際は 07 年から問題が起こっていた、冷凍食品
恒例の、春の農作業安全運動ポスターの頒布を
の農薬混合についても、詳細な点検が進んでいな
開始しました。地域の運動期間に間に合うようお
い時点で推測による原因等の発言は避けますが、
申し込みください。
かなり早く医療機関に患者さんがかかったり、外
今年度作成パンフレットの第2弾として「農作
袋の異状による返品などがあったとされているの
業安全平成格言集」を刊行しました。農作業安全
に対し、医療関係者や保健所が風邪による胃腸障
の基本点をいろはかるた風にまとめてみました。
害と考えたり、提供された情報の重要性を読み取
地域の安全研修にご活用ください。
れなかった担当者、食品中毒関係の検査だけをし
た流通関係者など、ことの重大性認識いわゆる危
機管理の意識が低かったといってもかまわないで
しょう。
危機管理とは、大きな組織だけが取り組むこと
ではありません。個人であっても、たとえば震災
発生時にどのような行動をとれば、パニックを小
さくすることが可能か、農業であれば、ここ数年
の範囲では振れ幅が大きいいわゆる異常気象が予
測できる場合の適正な対処法を考えておく、など
は必要な行動です。行政レベルからのガイドライ
ン等に頼る内容と、独自で対応策を考える内容と
を整理しておきましょう。何といっても、
「世の中
には安全は存在しない」のですから。
春の農作業安全運動ポスター
農作業安全平成格言集
と言っても、われわれの周囲にそれほど頻繁に
危険の芽が迫ることは少ないでしょう。しかし、
いつ遭遇するかわからないのが、現状です。考え
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業 界 短 信
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スター農機の新社長に北川良司氏、
イン「エアロスター・ダイナマックス」、2条全面
細断型ベーララッパ発表
刈りの「エアロスター・ラクティー」、管理機「ス
ーパーベジマスター」などが発表された。
北川氏は 12 月 26 日付で代表取締役社長に就任し
た。昭和 20 年8月 20 日生まれ。昭和 44 年に東京
このうち、コンバイン「エアロスター・ダイナマ
経済大学経済学部を卒業。同年4月に石川島芝浦機
ックス」は、高速刈取作業、低燃費・クリーンな排
械入社。平成 13 年取締役事業管理室長などを経て
気ガスのコモンレールエンジンにより高出力・高ト
19 年3月からスター農機常務取締役を務めていた。
ルクを実現。高速刈取作業に対応した「ダイナマッ
また、このほど発表した「細断型ベーララッパT
クススレッシャー後方増速ロングこぎ胴」で高精度
な脱穀を行う。
SW2000」は、デントコーンなどの細断物を梱包か
らラッピングまで全自動で行う定置式の作業機。容
量 4.5 立方 m のホッパ部で荷受けし、供給コンベヤ
筑水キャニコムが東日本パーツセンターを移転、
で細断物を成形部に供給。続いて成形部でロールベ
研修ルームも設置
ールを成形する。成形したロールベールをラッピン
埼玉・東日本パーツセンターは総敷地面積 1600
グ部に搬送しラッピング。成形室からこぼれた細断
坪、床面積 520 坪。国道 254 号線(川越街道)沿い
物は搬送コンベヤ部で戻し供給コンベアに送り込
で、関越自動車道本庄児玉ICから 15 分と好立地
むようになっており、こぼれがなく、堅く締まった
にある。即納率 100%を目指してアイテム数の充実
ベールを成形できる。
を図ったほか、商品研修ルームの設置も行い、今ま
でにない営業センターを打ち出している。
三菱農機がハーフクローラトラクタ、
井関農機が平成 20 年度ヰセキ全国表彰大会を開催
3条・4条刈りコンバインなど
大会には総勢 900 名が参集。席上、蒲生社長は、
20 年上期の新商品として発表した。ハーフクロー
今年の方針として
ラトラクタ「GOKシリーズ」は 30、34 馬力の2
型式。同「GVKシリーズ」は 65∼95 馬力の5型
1. 顧客満足の向上
式。コンバインは3条刈りVSシリーズと4条刈り
2. 商品競争力の向上
VYシリーズ。
3. コンプライアンスの徹底
GOKシリーズは、平成 19 年国土交通省排ガス規
−を強調。顧客満足の向上については「需要家に
制対応の大排気量4気筒ディーゼルエンジンを搭
喜ばれる製品を」という原点に立ち返り、今後とも
載。余裕の排気量で作業効率がアップする。また、
商品競争力のある商品を供給し、更なるお客様サー
接地面積が広く、接地圧が低いので湿田でも快適。
ビスの向上に注力していくと述べ、これからも「農
横滑りが少なく、高い精度の作業ができる。GVK
業、農機に基軸を据えて前進し続け、ヰセキブラン
シリーズは、新クローラサスペンションを採用し、
ドを発展させる」と力強く語った。
高い走行安定性とグリップ力を発揮する。コンバイ
本田技研工業が埼玉県に災害用・投光機付き発電機を寄贈
ンは、コンパクトな車体に大排気量エンジンを搭載
社会活動の一環として、首都圏大規模災害に備え、
し、刈取・脱穀の高能率化、選別の高精度化、ユニ
バーサルデザインによる操作性の向上を図ってい
埼玉県へ投光機付き発電機 16 台を寄贈した。同県
る。
への災害備蓄機材の寄贈は、昨年3月に続き今回が
2回目で、今回寄贈した投光機付き発電機は、埼玉
県の南西部地域の災害活動を行う「新座防災基地」
クボタがディーラーミーティングを開催し、新製品発表
および、北部地域の災害活動を行う「熊谷防災基地」
「拡げよう元氣農業」
「速めよう経営改革」のスロ
ーガンを掲げて開かれた第 61 回クボタ機械ディー
へ配備される予定。贈呈式は1月 21 日、埼玉県庁
ラーミーティングでは、2日目に製品展示が行われ、
で行われ、上田清司埼玉県知事、ホンダ側から吉見
「先進・基盤技術で更なる進化」と「クボタ流・熱
幹雄専務らが出席した。
血ブランド商品」をテーマに、5・6条刈りコンバ
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万円、前年比 88.6%と2ケタ台の落ち込みで、3000
ヤンマー農機が全国大会を開き新製品展示
「農が変わる農が応える今未来への布石を」との
億円を割り込んだ。輸出向けは 1874 億 300 万円、
大会スローガンの下、開かれた 20 年ヤンマー農機
同 103.6%で、前年増を確保した。国内向けは、構
全国大会では、ヤンマー創業 100 周年、ヤンマー農
造的な農家戸数の減少や、新農政による買い控え、
機 50 周年に向け、新たな目標を掲げ、決意を固め
米価下落などによる購買意欲の低下が要因とみら
た。展示場では新製品を含む 70 型式もの最新鋭機
れる。
を披露。中型フルクローラトラクタ「CT200 シリ
ーズ」や、全面5条刈りコンバイン「AG570」、多
ササキコーポレーションが
目的田植機「VP60」、
「同 80」、ミニ耕うん機「Q
高速代かき機「マックスハロー」拡充
追加したMVシリーズは、価格低迷などから厳し
T30」などに関心が寄せられた。
このうち、中型フルクローラトラクタ「CT200
い状況にある国内稲作界に対して、「勝利をつかみ
シリーズ」は、環境に優しい新型直噴ディーゼルエ
取るよう願いを込めて」(同社)ビクトリーの頭文
ンジンを搭載、優れた駆動力を発揮する 三角フル
字 V を型式名に入れ込み、高速代かき機「マック
クローラ などにより、湿田でも機動力の高い作業
ス・V」として普及拡大を図る。適応トラクタは 17
が行える。また、乗用車感覚で軽快に運転・作業が
∼30 馬力。主な特徴は、
できる
1.
丸ハンドルFDS 、低騒音・低振動を追
一体型の可変式ロングレーキ装備で、土の抵
求、完全フローティング「静音キャビン」
(Q仕様)
抗に合わせてレーキが動くため稲株などの
−などが特徴。
引きずりがなく、きれいに確実に埋め込む
2.
3.
19 年の日農工・部会統計で、農機集荷は前年比 94%
サイドウエーブガードで泥の横漏れを防ぐ
ウエーブサイドレベラーにより、わきの泥
を内側に戻すため均平性がより向上する
日農工が各部会の生産、出荷額等を集計した結果
−など。
によると、19 年1∼12 月の生産額は 4592 億 2300
万円、前年比 92.8%、出荷額は 4836 億 6600 万円、
同 93.9%となった。出荷のうち、国内は 2962 億 6300
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