Comments
Description
Transcript
「ドイツから何を学ぶか~望ましい電源構成に向けて~」②(PDF形式
長期エネルギー需給見通し小委員会 補足説明資料 1. 天然ガスと石炭 2. EUとポーランド 3. 地球温暖化対策とJCM 2015年3月10日 東京大学生産技術研究所 エネルギー工学連携研究センター副センター長 特任教授 金子祥三 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 1 1. 天然ガスと石炭 ① 天然ガスはクリーンで環境にも優しい。しかしエネルギー源を 海外に頼る日本は、石炭も天然ガスも両方必要。 ② 天然ガスは価格が高く、かつ変動する。石炭というオプション を持つことによって、価格交渉力を持ち、リスクヘッジができる。 ③ 石炭は価格が天然ガスの3分の1。従ってコストの安い電力を 得るには先進国であれ途上国であれ石炭は不可欠。 ④ しかし石炭は炭素分が多いのでCO2発生量が多い。この解決 には徹底した高効率発電の技術が必要。 ⑤ 幸い日本には優れた高効率石炭火力の技術がある。USC (超々臨界圧)とIGCC(石炭ガス化複合発電)である。 ⑥ IGCCは現在、日本が世界で圧倒的な技術優位にある。これを 活用して国際協力により、世界のCO2削減に協力すると共に、 日本の国内産業の振興、輸出振興の同時実現を目指すべき である。 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 2 LNG火力への過度の依存はセキュリティ上問題 中期目標の課題と削減方針案 LNG火力はサラブレッド → クリーンで高効率で建設費が安く短納期 →しかしLNGが来なくなったら、他の燃料は使えずたちまち使用不能に! サラブレッドは確かに速い! しかしサラブレッドは荷車は引けない! All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 3 天然ガスのリスク 東京湾内を進むLNG船 一旦、止まると東京電力の40%(2400万KW)の電源喪失 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 4 エネルギーセキュリティは国家最優先の重要事項! “アリとキリギリス” キリギリス -天然ガス? +15m アリ -石炭? “一つのバスケットとに卵を全部入れてはいけない” All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 5 LNG購入価格は安くできるか? 国際交渉の現実 Negotiation 交渉-条件闘争 Optionを持たなければ 交渉はできない! 切札あり オプションあり 切札 交渉開始 Plea ‐Petition‐ 哀願・懇願 (from Merriam Webster’s Collegiate Dictionary) 切札無し オプション無し 切札 negotiateの語源は“Noというこ とを楽しむ”こと Latin : negotiatus pp. of negotiari --- to carry on business from negotium --- business from neg- not otium leisure 土下座外交 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 6 エネルギー源別価格(カロリー当たり) (円/千kcal) 石炭比: 石油:3倍 LNG:2.5倍 JCOAL資料より作成 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 7 世界の主要国電源構成 ロシア イギリス 18.0% 38.5% 韓国 38.0% 日本 インド 中国 68.3% 80.2% 27.4% 総発電電力量 18,900[TWh] ドイツ カナダ 米国 17.1% 49.8% 世界合計 豪州 41.0% 4.6% 48.0% 2.4% 81.9% ブラジル フランス ENERGY BALANCES OF OECD COUNTRIES 2008 Edition ENERGY BALANCES OF NON-OECD COUNTRIES 2008 Edition IEA World Energy Outlook 2006 より作成 世界の電源構成に占める石炭火力の割合は40% 日本でも27%が石炭による発電 特に米国、豪州、中国、インドでは大半が石炭による発電 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 8 石炭はCO2発生量が多い 項 目 CO2発生量 (発熱量あたり) 天然ガス 60% 石 油 80% 石 炭 100% CH3 燃料主成分 《炭素重量比》 CH4 C6H6 [75%] [85%] [95%] All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 9 石炭利用拡大のための必要なこと 1. 石炭は燃料価格が安いので有利 2. 石炭は残念ながら炭素量が多い →高効率化による燃料消費量削減 →CO2発生量削減が絶対必要 3. 日本には幸い世界最高の高効率石炭 火力技術がある All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 10 火力発電の高効率化の歴史 プラント熱効率( %) 高効率発電の歴史 天然ガス 70 固体酸化物燃料電池(SOFC) +ガスタービン+蒸気タービン 60 発電用 IGFC 50 MACC a: ニューコメン IGCC (0.5%) 40 IGCC b: ジェームス・ワット (4%) 発電所 (3%) 20 127at×538℃ 再生サイクル 42at×450℃ 蒸気機関 1700 c b a 1750 (USC) 169at×566/566℃ 再熱サイクル 蒸気タービン 動力用 10 250at×600/600℃ 超超臨界圧 246at×538/566℃ 超臨界圧 c: 初期の火力 30 石炭 1800 1850 ①James Wattの改良 1900 10at×268℃ 1950 2000 2050 2100 →年 ②Parsonsの蒸気タービン(軸流・多段) 1884年 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 11 石炭ガス化複合発電 IGCC 勿来 10号機250MW ガス化炉:1700 Ton/日、NOx、SOx、ばいじんが一桁の数値 2000時間連続運転達成(2008年) 5000 時間耐久運転達成(2010年) 2011.3.11の大震災後、4か月で復旧、8月11日以降3カ月連続運転 (2238時間以上) 2013.6.28に勿来10号機として商用運転を開始後、 5か月以上ノンストップ 12月8日現在で3917時間の連続運転世界記録を 連続運転を達成 達成した。 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 12 IGCCのメリット 1. 世界最高効率のクリーンな石炭火力発電所の実現 (CO2排出量が世界最少) 2. 排気ガス(NOx、SOx、煤塵)は天然ガス並にクリーン 3. 将来固体酸化物型燃料電池(SOFC)を追加し、トリプル 複合発電として更なる増出力・高効率化が可能 4. 非溶出性ガラス質スラグ 5. 温排水が従来の30%減→漁業への影響最小 6. 所要敷地面積が従来の30%減 7. 低灰融点の低品位炭(褐炭・亜瀝青炭)が使用可能 8. 現在、日本が抜群の国際競争力を保持 IGCCの 溶融スラグ IGCCの石炭灰はフライアッシュ ではなく、ガラス質の非溶出性 スラグで体積は1/2 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 13 日本経済新聞 2013年11月23日(土) 全国版朝刊 福島県に50万KWIGCCを2基建設 2020年代初頭までに運転開始 +15m いよいよ石炭も IGCCの時代に! All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 14 福島復興50万KW商用機 1. 勿来25万KW実証機は見事に成功して、その実証機として の役割りを果たし、常磐共同火力(株)勿来10号機として 商用機となった。 2. これによりIGCCは商用機の実現の段階となり、特に福島 第一原子力発電所の事故のあと、一日も早い高効率IGCC 商用機の実現が切望されていた。 3. この度、福島県に54万KWのIGCCが2基建設されることに なり、1基はいわき市の常磐共同火力構内に、もう1基は 東京電力広野火力発電所構内に建設される予定である。 4. この勿来IGCC商用機54万KWは東京オリンピックに間に 合うように2020年の営業運転開始が期待されている。 5. 現在環境アセスメントが実施されている。 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 15 最終案:東京電力福島復興プロジェクト 54万kWのIGCC商用機2基を2020年初頭に建設! 2013年11月29日に東京電力が福島県に正式申し入れ! ★54万kW IGCC! 東京電力広野火力発電所 現在出力:380万kW 福島第一原発 成美堂出版:地図で読む東日本大震災より 常磐共同火力株式会社 勿来発電所 : 現在出力 187.5万kW ★54万kW IGCC! All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 16 日本の石炭火力技術の国際競争力 技術 USC (超々臨界圧) IGCC (石炭ガス化 複合発電) 状況 今後の展開予想 USCは性能上・仕様上の ☆日本メーカはすでにUSC 優位差は無く、完全に 技術を中国にライセンス済み 価格勝負 ⇒中国のUSC製造能力は日本 の10倍、設備容量も10倍 ☆中国マーケットの飽和で強力 ・中国製のコストは日本の1/2 ・日本が可能な唯一の対抗策は な輸出ドライブがかかっている インド等の工場で製造すること ☆日本のIGCCは日本独自の 国産技術 ☆現在IGCCで日本と競合できる 国はない ・性能:10%以上良い ・米国・欧州・中国・韓国いずれ も現在輸出能力は無い ☆IGCCの主要機器を自製し、 ターンキーで納入できるのは 日本メーカのみ JCM活用により、地球温暖化 防止と高効率石炭火力建設で 国際貢献 IGCCは30気圧に加圧している ためコンパクトであり、 主要機器を日本国内で製造可能 ⇒国内製造維持 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 17 2. EUとポーランド 1. EUとEU最大の中心国ドイツは基本的に歩調を合わせて 諸施策を実施している 2. しかしポーランドを筆頭とする中央ヨーロッパ11ヶ国は 必ずしもドイツとは利害が一致せず、大きく意見が 異なる点がある。 3. 特に発電の90%を石炭火力に頼るポーランドでは 地球温暖化対策で大きくドイツと対応が異なっている ----石炭無しでは国が成立たない 4. 一方EUのメンバーとしての立場もあり、地球温暖化 対策でもそれなりのアクションが必要になっている。 5. このためポーランドは日本の高効率石炭技術を切望 しており、ここに日本とポーランドの国際協力が大きな 意味を持って来ている。 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 18 欧州各国の発電電力量の内訳 World Sweden 13 12 111 44 Coal 4 Oil 41 16 40 Nat. Gas Hydro Nuclea 8 Poland 30 19 2 22 1 40 Russia 7 42 1 Germany 16 0. 1 45 4 14 87 6 4 31 5 9 Spain 19 15 5 20 11 29 7 9 13 0 17 7 16 48 15 3 0. 93 China Italy 16 49 38 46 1 0. 3 16 Ukraine 19 18 Renewable 5 Japan 22 11 9 2 0.2 1 U.S.A. 24 43 14 79 5 19 40 8 24 1 (Source: Enerdata “Global Energy Statistical Yearbook 2013”) All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 19 ドイツとEU中央11か国 中欧 11か国 ドイツ ポーランド 人口: ドイツ: 8200万人 中欧11カ国:9650万人 日本はこれからEU-11(中央11か国) との関係を大切に! 出典:2013VGB発表資料を基に金子作成 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 20 中欧の発電容量(2012.12.31現在) 中欧の発電容量はドイツに匹敵! EU-11 12億KW ドイツ 14億kW 出典:2013VGB発表資料を基に金子作成 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 21 中欧(EU-11)の石炭および褐炭資源 中欧の石炭および褐炭の埋蔵量 (単位:百万トン) 石炭 褐炭 その中でもポーランドの存在は大きい! 出典:2013VGB発表資料を基に金子作成 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 22 特に中央ヨーロッパは褐炭の比率大 褐炭の生産 褐炭および石炭による発電割合 (MWh-%) 国名 褐炭 石炭 ドイツ ポーランド ギリシャ ルーマニア チェコ セルビア トルコ 25 31 57 20 56 0 石炭 合計 45 87 57 39 51 69 17 8 8 0 9 47 59 69 26 1) sub-bituminous included * Data for 2010, Source: European Association for Coal and Lignite ”EURACOAL” Total: 1.1[Gt/year] Data Source: Federal Institute for Geosciences and Natural Resources (Hanover) All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 23 各国の低品位炭 Victoria, Australia ギリシャ ポーランド ドイツ 水分% 褐炭は50%位が水分! スペイン Dakota, USA インドネシア All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 24 なぜ褐炭焚きボイラは効率が低いのか? • 通常のボイラでは排出温度(煙突出口温度)を 酸露点以上に保持する。(低温腐食防止のため) • 従って排ガス中に含まれる水分は水蒸気として 大気に放出される ⇒従って水分の蒸発潜熱は回収されない ⇒従ってボイラ効率は低くなる。 温度 潜熱損失 水分損失 水蒸気 To 酸露点 顕熱損失 乾排ガス損失 凝縮水 (pH < 3) ボイラ 未燃損失 その他損失 ボイラの熱損失 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 25 CO2排出量計算図表 1400 従来型(ボイラ-蒸気タービン) 複合発電 CO2 排出原単位 (g-CO2/kWh) 1300 1200 褐炭は水分が多く効率が低い! 1100 燃料のC:H比(重量比) 石炭=95:5 石油=85:15 天然ガス=75:25 褐炭 1000 900 USC IGCC:GT1500~1600℃ 800 IGFC 700 600 Obama要求:500g/kWh 500 複合発電 :GT1500~1600℃ 400 300 200 トリプル複合発電 30 35 40 45 50 55 60 65 プラント熱効率% (送電端, 高位発熱量基準) All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 26 世界の褐炭・亜瀝青炭資源 世界の石炭資源の半分は水分の多い褐炭・亜瀝青炭 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 27 3. 地球温暖化対策 ① 資源小国で国際的協調が不可欠な日本は、それなり に地球温暖化防止に協力することが必要 ② EU,ドイツは理想を掲げ、地球温暖化対策ノリーダー シップを狙っている ③ 一方、冷淡だった米国が急変し、Obama大統領も “Climate Action Plan” を出し、積極攻勢に出ている ④ このままでは日本が悪者にされかねない ⑤ 日本の高い技術力をベースに、エネルギーベストミッ クスを踏まえつつ、積極的に国際貢献すべきである ⑥ その時の切り札となるのが二国間クレジット制度 (JCM)である。これを最大限に生かすべきである。 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 28 日本の地球温暖化対策---CO2削減案 2009年6月 麻生内閣15%削減案 (2005年基準) 2009年9月 鳩山内閣25%削減案 (1990年基準) 2013年9月 安倍内閣3.8%削減案 (2005年基準) All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 29 CO2削減で衰弱死するのは馬鹿げている! 体重60kg 5%削減 (2005年) ・努力継続ケース 10%削減 57kg ・国際衡平性 (限界削減費用同等) 15%削減 30%削減 54kg ・最大導入ケース 51kg 42kg (38kg) 最大の懸念:ダイエットし過ぎで衰弱死しないか? All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 30 米国のエネルギー政策の変遷 1995 1990 2000 Bush / Chaney Clinton / Gore G.H.W. Bush ◎気候変動政府間パネル (IPCC)発足 (1988) ・COP3 京都会議(1997.12) ・2003.3 議定書採択 米国 イラク 侵攻 ・COP1開催(1995) ◎気候変動枠組条約発効 (1994.3) ・2001.9.11テロ ・石炭重視/石炭高度利用 技術支援 米国の地球 温暖化への取組 ◎リーマンショック ◎福島第一事故 積極的参加 背景となる技術 ARRA法 (Obama) Energy Policy Act (Bush) ・天然ガス重視 ・石炭火力敵視 攻勢 消極的参加 ・CCSで石炭と 環境の両立 可能との見通し 米国IGCC実証機の建設と運転 Climate Action Plan (Obama) シェールガス 生産急増 ・強力な IGCC支援策 (3 Party Covenant) ・ゴアとの接戦を 制したブッシュは 就任2ヶ月後、 京都議定書を離脱 2015 Obama / Biden ・2001.3 米国の京都議定書離脱 ◎トロント会議 米国の エネルギー 政策 2010 2005 ・CCSは経済的に 不成立との結論 CCS技術への期待 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 31 地球温暖化を巡る動き 現状 今迄 日本 EU EU そうは言っても 石炭も大事・・・ 日本 CO2を下 CO2を下げ ろ! げろ! ・CO2を下げろ! ・石炭火力を禁止しろ! USA ・そうは言っても 石炭が頼りだ・・・ USA All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 32 Obamaの Climate Action Plan President Obama's Address The President's Climate Action Plan (June 25th , 2013 at Georgetown University) CO2を”pollutant”として“汚染物質”と定義 地球温暖化対策に国を挙げて取り組む 国際的にも地球温暖化防止を働きかける 1. 2. 3. 4. Cut Carbon Pollution in America Prepare the United States for the Impact of Climate Change Using Sound Science to manage Climate Impacts Leading International Efforts to Address Global Climate Change All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 33 Obama’s Climate Action Plan (2) 1. 2. 3. 4. Cut Carbon Pollution in America Prepare the United States for the Impact of Climate Change Using Sound Science to manage Climate Impacts Leading International Efforts to Address Global Climate Change ….put in place tough new rules to cut carbon pollution-just like other toxins like mercury and arsenic… Carbon pollution standards for both new and existing power plants Unlocking long-term investment in clean energy innovation $8 billion in loan guarantee for wide array of advanced fossil energy projects under its Section 1703 Expanding bi-lateral cooperation with major emerging economics Leading global sector public financing towards cleaner energy: The President calls for an end to U.S. government support for public financing of new coal plants overseas, except for (a) the most efficient coal technology available in the world’s poorest countries in cases where no other economically feasible alternative exists, or (b) facilities deploying carbon capture and sequestration technologies. All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 34 Obamaのやり方は今までとはどう違うのか? CO2を大気汚染物質と定義 従って大気汚染防止法の対象物質とする →行政で規制可能(EPA長官) これを無効にするには裁判で争う →最高裁の判決が出るまでは有効 このようにして(立法を避け)行政命令で、 どんどん規制して行こうという作戦 2014年11月4日の中間選挙惨敗のあと、 どうするのか? All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 35 Obamaの狙いは何か? 石炭火力の事実上の建設禁止 1. 2. 3. 4. 5. 天然ガス(シェールガス)で米国内の産業復興と輸出マーケットを支配: そのためには①米国内価格を3~4$に ②輸出LNGは出来るだけ高く →欧州の天然ガスを支配するロシアと真っ向から対立 天然ガスの比率を高めるため新設石炭火力の建設を事実上禁止する。 具体的にはCO2の排出規制(500 g/kWh以下)。これで事実上石炭火力は建設 できなくなる。 国際的には地球温暖化防止の美名のもとに攻勢。世界各国にも石炭火力を 禁止するように圧力(天然ガスを増やせということと同義)。日本にも圧力。 最大の問題は世界銀行などの公的銀行の融資禁止措置。 米国は天然ガスコンバインドサイクルの世界シェアの50%以上を押さえ、しかも 主機であるガスタービンはすべて米国内で製造(米国の製造業復権の一環?) 英国・カナダとは完全に歩調を合わせている。EUも基本的に同意しているが、 ポーランドなど石炭無しでは国が成立たない国もあり事情は複雑。 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 36 低金利融資の影響度 石炭火力は設備費が大きいので 低金利融資が無いと建設不可能! All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 37 石炭火力輸出に対する各国のファイナンス 単位:10億ドル(1000億円) 日本をいじめても中国は勝手に ファイナンスし輸出し続ける! 中国 日本 Comparison of foreign financing for coal power plants among countries Source: Authors 出典:東京大学公共政策大学院 上野貴弘客員研究員報告(GraSPP-DP-E-14-003)より引用 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 38 発電用ボイラの輸出実績 中国の輸出量は日本の3倍以上! Export of steam or other vapor generating boilers (other than central heating hot water boilers) between 2009 and 2013 Source : UN Comtrade Database 出典:東京大学公共政策大学院 上野貴弘客員研究員報告(GraSPP-DP-E-14-003)より引用 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 39 JCMの役割と期待---国連CDMとの比較 1. 京都議定書にもとづく京都メカニズムは多くの問題点があり、 課題と教訓を残した。 2. 期待されたCDMも真に有効なプロジェクトは少なく、また実績に よると総費用のうち、プロジェクトに純粋に使用された割合は 30%に満たず、大半のお金が途中の経費で消えていた。 3. また実施されたプロジェクトも本当に相手国が熱望していたもの とは言い難く、また温暖化防止効果にも疑問が残るものが多 かった。 4. この反省を踏まえ、真に相手国が欲する重要プロジェクトを中間 搾取を最少にしながら実施する二国間クレジット制度JCMが考案 され、実施されつつある。 5. 今、日本がやるべきことはこのJCMの相手国をどんどん拡大して 日本に協賛する国を増やし、現在のいわば私的な制度を、 デファクトスタンダードとして世界に認知させることである。 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 40 COP19における各国のせめぎ合い 先進国 途上国 LMDC UG(Umbrella Group) 日本 ニュージーランド アメリカ カナダ オーストラリア (EIG) EU ノルウェー スイス 韓国 パキスタン アルジェリア サウジ フィリピン エクアドル ボリビア ベネズエラ クウェート メキシコ 中国 インド BASIC モナコ リヒテン シュタイン ブラジル 南アフリカ チリ ナウル ネパール スワジランド (AOSIS) 小島嶼国連合 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 41 なぜJCMか? ---- 京都メカニズムの矛盾点と反省 京都メカニズム 京都メカニズム 【第6条】 共同実施 JI 【第12条】 クリーン開発 メカニズム CDM 【第17条】 排出権取引 CER Trading 対象国 排出量目標を約束 した国同士 取引単位の名称 排出削減単位 (割当量の一部と同じ) ERUS : Emission Reduction Units 排出量目標の約束 認証された排出削減量 をしていた国として ERUS : Certified Emission Reductions いない国 排出量目標を約束 した国同士 割当量(排出目標)の一部 AAUS : Assigned Amount Units 目標あるいは制約条件 目標遵守(割当量の範囲内で の排出)/排出削減の追加性 (独立機関による排出削減量の 検証) 排出削減の追加性(運営機関 による排出削減量の検証)/途 上国の利益と持続的開発(ホス ト国による承認) →追加性(Additionality)に問題 目標遵守(割当量の範囲内で の排出)/リザーブの維持 日本は1兆円近い国費を使って、一体何を得たのか? All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 42 CDMの解析例 正味のプロジェクト費用は30%以下! Summary of project-level financial analysis Project number Project type Registration date Total revenue Sail price per CER8(GBP) 1709 Waste heat recovery 15/12/2008 90.1m 7.79 1907 Waste heat recovery 19/11/2008 12.7m 10.95 1304 Natural gas 22/02/2008 2560m 6.43 1530 Biomass 17/04/2008 75.0m 6.45 1808 Hydro 10/10/2008 46.2m 6.81 1992 Wind 26/01/2009 97.3m 7.53 1980 Hydro 24/03/2009 147.2m 12.11 1763 Hydro 08/08/2008 26.3m 5.14 1823 Wind 10/10/2008 198.2m 6.02 1566 Hydro 03/06/2009 6.6m 12.95 Arithmetic Mean 8.21 All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 43 PJ遂行後・・・3.8% CDMプロジェクトのコストの流れ CDM理事会 1.2% 購入金額の28%しかプロジェクトに使われていない! 検証費 2.6% 仲介・販売・企画費・・・40.2% 購入者 販売者 9.0% 口ききブローカー 0.9% 全購入費用・・・100% 企画者と投資家が 51%を取る 企画者 (CER販売者) 30.3% プロジェクト 開発業者 プロジェクト建設・ 運転費 27.5% 国・政府 5.0% 弁護士・ コンサルタント 0.2% 投資家 21.0% 地方政府 2.4% PJ遂行前 ・・・28.6% PJ費用 ・・・27.5% プロジェクト費用は28% All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 44 世界の動きと地球温暖化対策 1. 日本は世界の孤児になってはいけない →日本は海外との貿易無しには生きて行けない 2. 交渉のオプションが無いと地球温暖化交渉は できない 3. 国連の交渉であるUNFCCやCOPの実態は多数 派工作。日本はJCMをテコに各国と連携すべし。 4. 日本の技術力が結局日本を救う All Rights Reserved. Ⓒ Prof. Kaneko Laboratory, IIS, University of Tokyo 45 Thank you for your attention! The End