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平成17 年4 月 財務省関税局 貿易統計業務・システムの今後の見直し

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平成17 年4 月 財務省関税局 貿易統計業務・システムの今後の見直し
平成 17 年 4 月
財務省関税局
貿易統計業務・システムの今後の見直し内容について
1.業務・システムの概要
貿易統計は、外国貿易に関する最も基本的な統計であり、現実の貿易動向を的確に表していることから、
国際間の貿易比較や関税政策、通商政策など我が国の経済政策及び民間企業の経済活動の貴重な資料とし
て広く利用されるとともに、国際収支統計、国民所得統計など各種の経済統計の基礎資料としても重要な
役割を果たしています。
貿易統計業務・システム(以下「本システム」という。
)は、輸出入者等が書面や通関情報処理システ
ム(NACCS)等により、全国の税関に提出し許可となったデータ(価額、数量等)等を一括処理し、
品目、国ごと等に集約し、各種統計帳票を作成するとともに、貿易統計の加工・分析用データベースを作
成するものであり、貿易統計の作成、公表を迅速かつ正確に行なうことを目的として導入されたものです。
2.刷新可能性調査について
平成 15 年7月 17 日のCIO連絡会議において、国民の利便性向上、IT化に対応した業務改革を基本
方針とした電子政府構築計画が決定され、この中でレガシーシステムの見直しのための財務省行動計画
(アクション・プログラム)が策定されました。
財務省関税局では、
・ 本システムがレガシーシステムであるとの指摘を受けたものではないものの、従来から汎用コンピ
ュータを使用し、かつ、年間の経常的経費が1億円以上の情報システムであることから、レガシーシ
ステムに準ずる位置付けとして整理されていたこと
・ 貿易統計は、通関情報処理システム(NACCS)等より提供される通関実績データ等を集計する
全数統計であり、関税局内においてそのデータ等の提供元である通関情報処理システム(NACCS)
等の税関システムに係る刷新可能性調査を実施中であること
に鑑み、総務省が担当府省である統計調査等業務の見直し・最適化計画に依存することなく、財務省と
して独自に調査を実施することとし、平成 16 年度本システムとの関係を有しない外部コンサルタント事
業者に調査を委託しました。当該調査結果についての当局の考え方は以下のとおりです。
(1)システムの安定性・信頼性・効率性及びシステム利用者の利便性の向上について
本システムは、汎用コンピュータを活用することにより、信頼性の高い統計データを安定して作成し
てきたところですが、情報技術の発展に伴い、いまや汎用コンピュータより廉価なオープン系システム
によっても十分な可用性、安定性及び信頼性を得られると考えることから、オープン系システムへの移
行を行い、システム費用を削減することが望ましいと考えます。
また、今日、貿易統計閲覧希望者はインターネット上での閲覧が可能となり、貿易統計閲覧室におい
て紙媒体の統計帳票を参照する需要が少なくなってきていることから、インターネットでのデータ提供
を充実することで紙媒体の閲覧用帳票を全面的に廃止し、帳票作成のためのシステム費用等を削減する
ことが望ましいと考えます。加えて、帳票と同じ作成処理を必要とするPDFファイルについても検索
機能の強化やCSVデータ等で代替可能なことから廃止することが望ましいと考えます。
(2) 調達の透明性の確保について
本システムは、昭和 38 年度より汎用コンピュータを利用する形で運用しているため、プログラムの
動作保証等の観点から、プログラム開発及びプログラム保守については、随意契約による調達形態を採
用していますが、汎用コンピュータ等機器の賃貸借契約については、定期的な一般競争入札を実施して
いるところです。
今後、汎用コンピュータからオープン系プラットフォームへの移行等に際しては、外部専門家による
調達支援やPMO(注)等の活用により、一定の業者に拠らない幅広い調達を目指す必要があると考えま
す。
(3) 刷新化にかかる費用及び経費削減効果について
上記(1)で述べましたシステム費用削減のための改善策を行う際に、最適化実施を開始することので
きる平成 18 年度以降の本システムに係る費用を積算したところ、システム改善のための投資総額は約
6.6 億円を要すると見込み、改善後のシステムが平成 20 年度に本格稼動開始するものとすると、起算点
となる平成 20 年度以降4年間で経常経費が約 11 億円削減でき、経費低減率は約 54%であるものと推定
できます。
なお、システム改善のための投資額を含めた費用総額の削減率である期間総額低減率は、システム改
善を開始する平成 18 年度を起算点として5年間で約6%(約 1.5 億円)の削減と推定できます。
(4) 業務の効率性向上のための改善策及び経費節減効果について
業務上の問題、システム構成等に起因する問題等の観点で、業務の効率性をさらに向上するために、
①申告データ等収集のオンライン化とデータ統合、②貿易統計閲覧室等の縮小等及び定型資料作成業務
の見直し、③閲覧用帳票、PDFの廃止に伴う関連業務の効率化、④ダウンサイジングによるシステム
管理業務の効率化を実施することが望ましいと考えます。
①から④までの改善策によって削減できる業務改善効果は、年間約4千4百万円、システム改善後の
平成 20 年度からの4年間で約 1.8 億円となることが推定できます。
なお、(3)のシステム改善及び(4)の業務改善の両方を含んだ総合的な投資対効果を表す総合効果指数
は、システム改善のための投資総額を約 6.6 億円要すると見込み、削減が見込まれるシステムに係る経
常経費の約 11 億円と合わせて、約 193%になると推定できます。
3.システムの今後の見直しについて
本システムの今後の見直しについては、外部コンサルタント事業者による刷新可能性調査報告書並びに
上記の考え方を基に、以下のとおり進めていくこととします。
(1) システム刷新化の必要性及び基本的な方針
本システムは、汎用コンピュータ、データベースサーバ及びクライアントからなる三階層で構成され、
同一データや類似機能が汎用コンピュータ及びサーバに重複して存在しているほか、レコード数の多い
詳細データ、集約データがSAMファイルとして保存されており、集約組換えの柔軟性が低いとともに、
機能の追加・変更に多大な労力、コストを要しています。
また、業務に関しても各帳票及び検索の利用頻度等利用者ニーズを的確に把握する仕組みがないこと、
社会環境の変化や法令改正など外部環境変化に対してシステムの柔軟な対応が難しいこと、業務・シス
テム仕様など知識の継承が難しい等の問題があります。
これらの問題を解決するためには、抜本的に業務フローの見直しを行い、システム改善を伴った業務
プログラム及びデータベースの再構築を実施する必要があり、UNIXベースのオープン系システムに
おいても許容レベルの信頼性を確保できると考えるとともに、経済的合理性も期待できることから、業
務・システム最適化計画の中で検討・取組みを進めていくことが適当であると考えます。
(2) 具体的な取組について
本調査結果及び通関情報処理システム(NACCS)
、税関手続申請システム(CuPES)
、通関情
報総合判定システム(CIS)
、外郵(外国郵便)輸入事務電算処理システム(COMTIS)等税関
システムの見直し方針並びに統計調査等業務の見直し方針を踏まえ、平成 17 年 6 月末までに本システ
ムの見直し方針を策定し、平成 17 年度末までのできる限り早期に策定することとなっている業務・シ
ステム最適化計画の中で検討・取組を進めていくこととしたい。
(注)PMO(Project Management Office)
組織の中における複数のプロジェクトの最適化を行うことで作業の効率化を図り、また、それらの
マネジメント業務を横断的に調整し、支援する組織。
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