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スイッチ/計測アプリケーション Keysight 34980AとPXIの比較

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スイッチ/計測アプリケーション Keysight 34980AとPXIの比較
Keysight Technologies
スイッチ/計測アプリケーション
Keysight 34980AとPXIの比較
Application Note
はじめに
スイッチングと測定を行うテスト・システムの開発には、困難が伴います。スペースに収まるプラッ
トフォームの選択、コストと性能の適切なバランス、セットアップとメンテナンスの容易さを考慮す
る必要があります。このアプリケーション・ノートは、PXIカードケージ・ソリューションと
Keysight 34980Aスイッチ/計測ユニットを組み合わせたシステムを比較することにより、どちらの
システムがお客様のファンクション・テストやデータ収集ニーズにより適しているかを解説します。
このアプリケーション・ノートでは、Keysight 34980Aスイッチ/計測ユニットとPXIプラットフォー
ムを、ファンクション・テスト環境とデータ収集環境に関して比較しています。
スイッチ/計測システムの特性
テスト・システムを構築する際に、さまざまな入力信号や測定機器が使用される可能性がありますが、
ほぼ常に存在する2種類のコンポーネントがあります。それは、デジタル・マルチメータ
(DMM)
とリ
レー
(スイッチ)
です。テスト・システムの基本的なコアとなるのはスイッチ/計測機能であり、これ
を実現するには以下の3通りの手段があります。
1. 測定器同士をケーブルで接続する方法。
例えば、Keysight 34410/11A高速DMMと、Keysight 3499A/B/Cスイッチのような独立したス
イッチング・システムの組み合わせ。
2. PXIやVXIなどのカードケージに、DMMカードとスイッチング・カードを装着する方法。この場
合はコントローラが別途必要であり、内蔵PCを使用するか、カードケージにインタフェース・カー
ドを装着してPCに接続します。
3. 組み合わせシステム。例として、34980Aスイッチ/計測ユニットがあります。このシステムは、
内蔵コントローラ、DMM、アナログ・バックプレーンを備え、最大8枚のプラグイン・カードを
装着できます。
このアプリケーション・ノートでは、2番目と3番目の方法に焦点を当てます。
− PXIカードケージ、コントローラ、6 ½桁DMM、各種プラグイン・モジュール
− Keysight 34980Aメインフレーム、内蔵コントローラ、フロント・パネル、内蔵6 ½桁DMM、各
種プラグイン・モジュール
03 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
アプリケーションに適したスイッチ・プラットフォームの選択
ニーズに最適なスイッチ・プラットフォームの選択が難しい場合があります。表1に示すのは、キーサイトのいくつかの
プラットフォームの上位レベルでの比較です。
表1. スイッチ・プラットフォームの選択マトリクス
汎用テスト
34970A/34972A
34980A
PXI
単純なベンチトップ・スイッチング
●
●
○
使いやすさ(経験の浅いプログラマでも使用可能)
●
●
データ収集ソフトウェアが付属
●
●
1チャネルあたりのコストが安い
●
●
ハードウェア・インターロック・スキャン
●
●
高速
L449x/カスタム
●
○
○
●
○
●
プラグイン測定器モジュール
○
○
小さい動作ノイズ
●
●
トランスデューサを使用した測定
●
●
○
可搬性
●
●
○
●
○
生産、製造、RF
チャネル数が少ない(50まで)
●
チャネル数が中程度(500まで)
●
●
●
チャネル数が多い(5000まで)
●
サーキュレータ、アッテネータ、カップラなどの
内蔵信号コンポーネント
○
●
●
●
●
●
信号帯域幅(最大26 GHz)
信号帯域幅(最大40 GHz)
○
●
信号帯域幅(>40 GHz)
大規模RF/マイクロ波マトリクス
●
完全対応
○
部分対応
●
○
●
04 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
アプリケーション・ニーズに最適なスイッチ・プラットフォームを決定するには、以下を考慮します。
− 34970Aおよび34972Aスイッチ/計測器は、チャネル数の少ないポータブルのオンサイト・データ収集システムであ
り、リモート・アクセス機能があります。小型で移動が容易なので、コストが重要なアプリケーションにも適してい
ます。
− 中程度の数のスイッチングが必要なテスト・システムの場合は、34980Aデータ収集システムを使用すれば、チャネ
ル数が中程度から多数の場合まで対応できます。34980Aでは、幅広いスイッチ・モジュールの他に、高精度電圧/
電流信号や、デジタル入力/出力機能も選択できます。
− デザイン検証や製造アプリケーションなどの大規模なRF/マイクロ波スイッチングには、L4491Aを使用すれば、さま
ざまな構成の大規模スイッチ・ソリューションを実現できます。
− 高速デジタイザや波形発生器など、その他のテスト機器をテスト・システムに組み込む必要がある場合、PXIが最も
便利です。PXI測定器モジュールは、カードケージに装着するだけで簡単にPXIソリューションに組み込むことができ
ます。
表2に、34980AとPXIの特長を示します。この表には、各測定器の利点が記載されています。
34980AとPXIの機能比較
表2. 34980AとPXIスイッチ/計測システムの比較
特長
オープンなマルチベンダ・アーキテクチャ
物理サイズ
通気設備
ラック・マウント
高速I/O
34980A
PXI
LXI測定器
あり
3U
4U
特別な要件なし
特別な要件なし
EIA標準幅
ハーフ・ラックから標準EIA幅まで
業界標準LAN、USB、GPIB
PCIe
価格
低
中∼高
アナログ・バス
8線
なし
トリガ・バス
あり
あり
物理/ソフトウェア・フロント・パネル
ソフトウェア・フロント・パネル
あり
Web GUIなし
組み込み、テスト済み
仕様に要求なし
フロント・パネル
Web GUI/ソフトウェア・フロント・パネル
EMIシールド
ホット・スワップ・カード
あり
なし
PC再起動
なし
カード変更の場合は必要
最小限
2 ∼ 4時間程度
最良
最良
最良
良
良
最良
ソフトウェアのインストール
プログラミング・サポート
LabVIEW
®
Visual Studio .NET
IVI-C
良
最良
最良
なし
ピアツーピア・モジュール通信
なし
あり
システム・モニタ(パワー・レール電圧、
モジュール排気温度、ファン速度)
なし
あり
21
数千
1 ms
<1 μs
1 MB/s
4 GB/s
IVI-COM
SCPI
使用可能なプラグイン・モジュール数
プログラミング遅延
コントローラへのデータ転送速度
05 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
オープン・アーキテクチャ
使用可能なカード
PXIアーキテクチャは、オープンなマルチベンダのバックプ
レーン・アーキテクチャです。すなわち、どのベンダの計測
モジュールでも、メインフレームに装着してコンピュータか
らプログラムすることにより、システムの一部として動作さ
せることができます。PXIの物理/電気特性は、PXI Systems
Allianceという業界団体(www.pxisa.org)によって作成されて
います。この団体には、PXI測定システムやテスト・フィクス
チャのメーカ、システム・インテグレータなど60社以上が参
加しています。
ファンクション・テスト(EFT)用のスイッチ/計測システムに
一般的に組み込まれる機能としては、リレーとDMMの他にも
いくつかの種類があります。34980Aでは、業界標準のコネク
タ(50ピン/78ピンDサブ)がカード用に採用されていて、使い
やすく耐久性があり信頼性の高い接続を実現できます。これ
に対して、PXIカードは、モジュールのスペースの制約のため、
もっと小さいコネクタを使用しています。PXIフォーマットと
34980A用に使用できるカードを以下に示します。
34980Aは、LXI(LAN eXtensions for Instrumentation)とい
うオープンな業界標準を採用しています。LXI Consortium
(www.lxistandard.org)は、エレクトロニクス業界の有名企業
45社以上から構成されています。PXIの「オープン性」がバッ
クプレーンの定義にあるのに対して、34980Aやその他のLXI
準拠製品は、LAN、USB、GPIBといった業界標準のI/Oイン
タフェースと、さまざまな開発環境でのプログラミングの容
易さに重点を置いています。すなわち、LXI測定器はLAN、
USB、GPIB経由でコンピュータに接続することによりシステ
ム と し て 動 作 し ま す。34980Aで は、 電 源 と 冷 却 が 多 く の
34980Aモジュールに合わせて設計されているため、手頃な価
格でスイッチ/計測システムを実現できます。これに対して、
PXIシステムではバックプレーンがオープンなので、電源、冷
却、バス・ライン、基準クロックの標準が定められていて、
さまざまなPXIモジュール・メーカはそれを守る必要がありま
す。34980Aには、カスタム・エレクトロニクスを追加するた
めのブレッドボード・カードが用意されています。これは、バッ
クプレーン・インタフェースと、独自回路を追加するための
スペースを備えています。これにより、コストを低く維持し
たまま徹底したテストを実現できます。
サイズ
34980Aは標準のフル・ラック幅で、高さはわずか3Uです。
通気は側面から取り込まれ、背面から排出されるので、追加
のラック・スペースは不要です。ベンチ用途では、上または
下に測定器を積み重ねることができます。PXIモジュールは、
3UすなわちEIA標準の3ラック・ユニットです(1U=1.75イン
チ)。モジュールが装着されるPXIメインフレームの高さは、
通常「4U」すなわち7インチです。Keysight M9018A 16スロッ
トPXIメインフレームは、高さ4Uでフル・ラック幅です。キー
サイトのメインフレームは背面から通気するように設計され
ているため、ラック内のハウジングのすぐ上または下に測定
器を設置できるという利点があります。
(DIO)
− デジタルI/O
− D/Aコンバータ(DAC)。高速なものは低周波数の波形発生
器として利用可能
− 周波数カウンタ/トータライザ
− 等温ターミナル・ブロック
− カスタマイズ可能なブレッドボード・カード(シグナル・コ
ンディショニング用に便利)。歪みゲージなどに一般的に必
要とされるもの
スイッチ・カードには、図1に示すようなさまざまなスイッチ・
タイプのものがあり、構成としてはマルチプレクサ、マトリ
クス、汎用スイッチがあります。帯域幅ごとのスイッチ・タ
イプを以下に示します。
狭帯域幅(DC ∼ 100 MHz)
− FET(高速スイッチング、高いオン抵抗、低電圧/小電流)
− リード・リレー(中速スイッチング、低いオン抵抗、中程度
の電圧/電流。通常は熱起電力が大きい)
− アーマチュア・リレー(低速スイッチング、低いオン抵抗、
高電圧/大電流。通常は熱起電力が小さい)
広帯域幅(最大26 GHz、またはマイクロ波スイッチ・ドライ
バ使用時はそれ以上)
− RFリレー(低速、低いオン抵抗、低電圧/小電流)
− マイクロ波リレー(低速、低いオン抵抗、低電圧/小電流)
さまざまなベンダから、内蔵PCコントローラを含む、さまざ
まな測定機能を実現する多種類のモジュールが提供されてい
ます。
06 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
維持コスト
初期コスト
34980Aの購入価格は、空きスロット8個、内蔵LAN/GPIB/
USBインタフェース、6 ½桁DMMを装備した場合で、2591米
ドルです。これは同等の構成のPXIシステム
(概算3,500 ∼
9,500米ドルまたはそれ以上)より大幅に安くなっています。
以下の表は、34980AとPXIの同等の構成のシステムの代表的
な価格を比較したものです。
図1. スイッチのタイプの例:リード、アーマチュア、RF、FET
表3. 一般的な構成の34980AとPXIシステムの代表的な価格(米ドル)
データ収集
100チャネル
300チャネル
500チャネル
1000
電子ファンクション・テスト
1000チャネル
3000チャネル
4000チャネル
5000チャネル
ミックスド・シグナル・テスト
マイクロ波スイッチング(26.5 GHz)
6チャネル
12チャネル
24チャネル
Keysight 34980Aスイッチ/計測
PXIスイッチ/計測
$5,500
$11,200
$16,400
$28,400(2台目の34980Aと追加の
6Uラック・スペース含む)
$15,000
$23,500
$31,100
$42,000(1シャーシ)
最大500個のマルチプレクサ・チャネルの
アプリケーションに最適なソリューション
500個を超えるマルチプレクサ・チャネルが
1チャネルあたりの価格
1チャネルあたりの価格
$13/チャネル
$11/チャネル
$11/チャネル
$12/チャネル(2台目の34980Aと追加の
6Uラック・スペースを含む)
$21/チャネル
$14/チャネル
$14/チャネル
$13/チャネル
最大4000個のマトリクス・チャネルの
アプリケーションに最適なソリューション
4000個を超えるマトリクス・チャネルが
$8900
$15,400
$7,800(2スロット)
$12,900(4スロット)
$23,200(8スロット)
$12,000(3スロット)
$16,200(6スロット)
$24,600(12スロット)
必要な場合に最適なソリューション
必要な場合に最適なソリューション
最大24チャネルの場合に最適な
ソリューション。複雑なスイッチ・
マトリクス・システムには
Keysight L4490A/91Aもご検討ください。
注記:概算価格は2012年の実際のシステム価格に基づいたもので、変動する可能性があります。
07 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
代表的な構成を以下に示します。
開発時間コストとプログラミングの容易さ
− データ収集システム:300、500、および1000チャネル以上、
100 V/1 A 2線マルチプレクサ・チャネル、DMMに接続し
て電圧/電流/温度測定を実行
テスト・システムの開発時間は、追加コストの要因となります。
34980Aではいくつかのプログラミング方法が可能で、いずれ
もセットアップとプログラミングを容易にし、開発時間を最
小限に抑えるように設計されています。使用可能なプログラ
ミ ン グ 方 法 と し て は、 フ ロ ン ト・ パ ネ ル・ コ ン ト ロ ー ル、
Webイ ン タ フ ェ ー ス、BenchLink Data Logger Pro、
Command Expert、ドライバ、SCPIコマンドがあります。
34980Aのフロント・パネルは、初めて使用する場合には最も
簡単な方法であり、スイッチング動作や測定を、測定器前面
のボタンとディスプレイを使用して実行できます。ボタンを
何回か押すだけで、スイッチの動作を簡単に検証し、測定を
実行できます。
− ファンクション・テスト:最大100 Vの信号をスイッチ・
マトリクスでルーティングしてDUTに入力信号を供給し、
スイッチ・マトリクス経由でDUT出力をDMMおよびその
他の測定器にルーティング。デジタルI/Oおよび汎用スイッ
チングをその他のシステム制御に使用する場合もあり
− ミックスド・シグナル・テスト:3 GHzまでのRFスイッチ
ングにより、IFおよびビデオ信号をルーティング。デジタ
ルI/Oおよび汎用スイッチングをシステム制御に使用する場
合もあり
− マイクロ波スイッチング:最大26.5 GHzのスイッチングに
よる高周波信号のルーティング
34980Aは、500チャネル以下のすべての構成で、PXIに比べて、
必要なラック・スペースが小さく、ハードウェア価格が安い
という明確な利点があります。34980Aテスト・システムの価
格は、同等のPXIに比べてわずか50 ∼ 75 %で済みます。PXI
システムは、必要なチャネル数が多い場合と、デジタイズや
信号生成といった34980Aでは提供されていない追加機能が必
要な場合に利点があります。テスト・システムのコストに影
響するその他の要因として、開発時間、継続的なメンテナンス・
サポート、オープン・システムの必要性などがあります。
34980Aの場合、モジュールを装着し、電源をオンにし、フロ
ント・パネルまたはWebインタフェース・ソフトウェア(ソフ
ト ウ ェ ア の イ ン ス ト ー ル が 不 要 な シ ン プ ル なLANイ ン タ
フェース)からスイッチ/計測を開始するまでに、ほんの数分
しかかかりません。PXIの場合は、測定を開始するためには、
モジュールに個別のアドレスを設定し、モジュールのアドレ
ス を 書 き 込 ん だ プ ロ グ ラ ム を 用 意 す る 必 要 が あ り ま す。
34980Aでは、装着されたモジュールにアドレスが自動的に割
り当てられるので、初期セットアップは不要です。PXIではセッ
トアップと操作を熟練した技術者またはエンジニアが行う必
要があるのに対して、34980Aは誰でも簡単に操作できます。
選択可能な34980Aモジュールを表4に示します。この中から
最大8台のモジュールを、任意の順序で、34980Aメインフレー
ムの8個のスロットに装着できます。内蔵DMMはスロットを
占有しません。これはPXIと34980Aの重要な違いの1つです。
単に価格と空きスロット数だけの問題ではなく、34980Aのコ
ントローラ、アナログ・バス、リレー /DMMのハンドシェー
クはすべて内蔵されており、追加の配線が不要になることが
重要なのです。PXIの場合は、DMMが1スロットを占有し、ア
ナログ・バスは存在せず、リレー・カードとDMMの間に自動
ハンドシェーク接続はありません。適切なバックプレーン信
号への接続は、ユーザーが作成したソフトウェアによって行
われます。34980Aには、1チャネルあたりの価格が安いにも
関わらず、PXIよりも高い入力電圧と大きい入力電流をサポー
トするという利点もあります。
また、内蔵グラフィカルWebインタフェース(図2)を使用すれ
ば、追加のソフトウェアをダウンロードすることなく、通常
使用しているWebブラウザから34980Aを制御できます。画
面上のグラフィカル・スイッチをクリックするだけで、スイッ
チを開閉し、測定値を取得することができます。34980Aの
DMMと ス イ ッ チ・ カ ー ド に は 内 蔵 コ マ ン ド と 内 部 ハ ン ド
シェークが用意されているため、PXIシステムよりもプログラ
ミングが容易です。PXIシステムのDMMとスイッチ・モジュー
ルは個別の測定器として制御され、それぞれに別個のアドレ
スと専用のコマンドが必要です。
デ ザ イ ン 検 証 用 にKeysight 34980Aに はBenchLink Data
Loggerソフトウェア(図3)が用意されています。BenchLink
Data Loggerソフトウェアは、熟練したプログラマでも初心
者でも区別なく使用でき、短時間で容易に測定をセットアッ
プして、数百チャネル分のデータを収集し、グラフ化するこ
とができます。
34980AのBenchLink Data Logger Proソフトウェアは、高度
なデータ・ロギングおよび意思決定機能を使いやすい形式で
提供しているので、何時間ものプログラミングを行わなくて
もデータを収集して解析できます。このWindows ®ベースの
アプリケーションでは、スプレッドシートを使用して、収集
する測定を指定し、リミットと実行する操作を定義し、プロ
セスを開始します。これにより、データが収集され、評価さ
れて、リアルタイムで処理されます。
BenchLink Data Logger Proの詳細については、
www.keysight.co.jp/find/34832A を参照してください。
08 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
表4. Keysight 34980Aモジュールの選択
チャネル数
最大電圧
最大電流
40、アーマチュア
70、アーマチュア
40/80、リード
70、リード
40/80、FET
300 V
300 V
150 V
150 V
80 V
2A
2A
1.5 A
1.5 A
0.02 A
64、リード
128、リード
99、アーマチュア
100 V
100 V
100 V
1A
1A
1A
デュアル4×8
デュアル4×16
デュアル/クワッド4×8
300 V
300 V
150 V
2A
2A
1.5 A
4×32、アーマチュア
4×64、リード
8×32、アーマチュア
100 V
100 V
100 V
2A
.5 A
2A
28(C)4(A)
20(フォームA)
250 V
250 V
8A
8A
26、SPDT
64、SPDT
50、SPST
100、SPST
20、SPST
250 V
100 V
100 V
100 V
125 V
2A
1A
1A
1A
5A
マルチプレクサ
34980A
34921A
34922A
34923A
34924A
34925A
Keysight PXI
M9101A
M9102A
M9103A
マトリクス
34980A
34931A
34932A
34933A
Keysight
M9120A
M9121A
M9122A
汎用
34980A
34937A
34938A
Keysight PXI
M9130A
M9131A
M9132A
M9133A
M9135A
09 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
図2. 34980AのグラフィカルWebインタフェース
図3. 34832A BenchLink Data Logger
(34980A用)
010 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
エンジニアの中には、SCPIよりも上位レベルの仮想測定器
(IVI)ソフトウェア・ドライバを好む人もいます。IVIドライバ
プルなインタフェースから実行できます。このソフトウェア
には、いくつかのCコンパイラとVB6で使用できるIVI-Cドラ
は無料でダウンロードでき、SCPI
イバと、Visual Studio.NETやその他のCOMベースの開発環
(Standard Commands for
境で使用できるIVI-COMドライバがあります。キーサイトは、
Programmable Instrumentation)またはIVI-COMドライバを
使用する測定器に対して使用できます。Command Expertは、 IVI-CとIVI-COMの両方のドライバを34980AおよびKeysight
測定器コマンドの検出、コマンドの詳細なドキュメントの表
PXI測定器用に提供しています。
示、測定器コマンド・シーケンスの構築とコマンド構文の検
証の機能を備えています。Command Expertからコマンド・
SCPI測定器で動作するドライバはSCPIコマンドを生成しま
シーケンスを実行することも、コマンド・シーケンスをエク
す。プログラマは、必要に応じて、ネイティブSCPIコマンド
スポートしてPCのプログラミング環境に統合することもでき
をドライバ内で使用できます。SCPI測定器は高レベルの処理
ます。Command Expertの詳細については、www.keysight.
が可能なものが多く、複雑な機能を短いコマンドで実現でき
るので、I/Oトラフィックを最小化できます。
com/find/commandexpert を参照してください。
34980A用のCommand Expertでは、測定器コマンド、ドキュ
メント、構文チェック、コマンド実行のすべてを、1つのシン
34980Aを使用して自動テストを開発する場合、SCPIコマン
ドまたはソフトウェア測定器ドライバを任意のプログラミン
グ・アプリケーションで使用して、テスト・プログラムを作
成することもできます。
PXIメインフレームおよびモジュールには、フロント・パネル・
ディスプレイも、ノブやボタンなどのコントロールもありま
せん。PXIシステムの制御と操作は、測定器コマンド、測定器
ドライバ、またはソフトウェア・フロント・パネルを使用して、
ソフトウェア・プログラムから行う必要があります。
グラフィカル・プログラミング環境としてはNI LabVIEWや
Keysight VEE Proが普及していますが、ほとんどの製造テス
ト開発は、VB.NET、C#、VC++などのテキスト・プログラミ
ング環境を利用して行われます。これらの最近のプログラミ
ング環境は、成熟し、使いやすくなっています。すぐに使用
できるグラフィックス・ライブラリにより、グラフィカル・デー
タ表示も比較的容易に作成できます。
ソフトウェア・ドライバとSCPIコマンドの比較
PXI測定器ドライバは、PXIハードウェアとの通信に用いられ、
エンド・ユーザが利用するのは困難な下位レベルのレジスタ・
プログラミングを使用しています。ドライバは、
PXIハードウェ
ア・メーカからユーザに提供されています。レジスタの読み
書きは非常に高速に実行されるので、速度の最適化は通常は
不要です。一部のPXI測定器は、付属のPXIドライバ以外に測
定器制御の方法を提供していません。
SCPIは、高速で覚えやすく普及しているという特長があり、
34980Aを初めとするさまざまな基本測定器(DMM、ファンク
ション・ジェネレータ、カウンタ、スイッチなど)で使用でき
ます。SCPIはASCII言語で、VISA関数コールによって簡単に
使用でき、ドライバのインストールは不要です。キーサイト
のLAN、USB、GPIBベースの測定器は、内蔵SCPIコマンド言
語を備えています。
Keysight PXI測定器は、IVI-COMおよびIVI-Cコマンドで制御
できます。IVI-COMおよびIVI-Cコマンドは、通常のSCPIコマ
ンドに似ています。IVI-COMおよびIVI-Cコマンドは、テスト・
システム用に選択された任意のプログラミング環境で使用で
きます。スイッチング動作や測定を数行のコードで実現でき、
スイッチ操作を実行する前に複数のドライバ・ノードを接続
することは不要です。
最近のコンピュータは高速なので、SCPIコマンドを作成する
ためのドライバとのやりとりにかかる時間はほぼ無視でき、
IVIドライバ・コマンドはSCPIによる直接プログラミングと同
等の速度で実行できます。
34980Aのドライバは、機能に最適化されています。最高のス
ループットを得るには、34980AのネイティブSCPIコマンド
を使用してください。例えば、34980AのLabVIEWドライバ
を使用して「リレーをクローズ、クローズをチェック、リレー
をオープン、オープンをチェック」というコマンド・シーケ
ンスを送信した場合、より効率的なSCPIコマンドを使用した
場合に比べて、2倍近く時間がかかる可能性があります。なお、
単純なクローズ/オープンのベンチマークは、実際のデータ・
スループットを反映するとは限りません。実際のデータ・ス
ループットは、実行する測定の種類に依存します。ドライバ
と直接SCPIコマンドの考え方の違いを図4に示します。詳細
については、Keysight Application Note 5989-4886JAJP「LXI
測定器によるテスト・システムの最適化 スループットの向上、
コスト削減」を参照してください。
011 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
このLabViewプログラムから出力されるSCPIコード: ROUT:CLOS (@1001)
1.4 ms
Read 1
1.5 ms
ROUT:CLOS? (@1001)
ROUT:OPEN (@1001)
ROUT:OPEN? (@1001)
Read 1
Total
(ステートを設定)
1.3 ms
(ステートを確認)
1.6 ms
(ステートを設定)
1.0 ms
(ステートを確認)
8.3 ms
(6個のLANパケット)
1.5 ms
このLabViewプログラムから出力されるコード:
ROUT:CLOS(@1001);:ROUT:OPEN(@1001);:ROUT:OPEN?(@1001)
Read 1
Total
図4. LabVIEWとSCPIのプログラミング例
1.4 ms
2.5 ms
3.9 ms(2個のLANパケット)
012 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
メンテナンスおよびサポートのコスト
実行速度
テスト・システムをデザインする場合、エンジニアは以下を
考慮する必要があります。
テスト・システムの開発で最適な実行速度を実現するには、
いくつかの要因があります。テスト・システムをデザインす
る目的としては、電子ファンクション・テストやデータ収集
があります。テスト・システムのデザインによって、測定を
どれだけ高速に実行できるかが変わります。測定器を制御す
るには、測定器コマンドを使用する方法と、提供されている
ソフトウェア・ドライバを使用する方法があります。どの制
御方法を使用するかによって、テスト・システムの開発時間と、
測定およびスイッチング動作の実行時間が決まります。開発
時間と実行時間にはプログラミング環境が大きく影響します。
環境によっては、開発時間とテスト実行時間を最適化できる
かどうかが、プログラマの経験に大きく依存する場合もあり
ます。テスト開発時間とテスト実行時間に関連する要因の詳
細については、この後で説明します。
− 返送修理のコスト/時間
− 代替/レンタル測定器またはモジュールのコスト/利用可
能性
− 予備の測定器またはモジュールの所有コスト
34980AはLXI製品なので、インターネットに接続して、世界
中のどこからでも追加ソフトウェアなしでアクセスできると
いう利点があります。ファイアウォールのアクセス権を適切
に設定すれば、サポート・エンジニアが34980Aに接続し、
WebインタフェースからIPアドレス経由で、テスト・システ
ムの構成を支援したり、質問に答えたりすることができます。
PXI測定器も、付属のコントローラへのリモート・ログインを
通じてLANに接続することで、インターネットからアクセス
することは可能ですが、もっと手間がかかります。
34980AおよびKeysight PXIスイッチから構成されるコネク
タ・ブロックは、耐久性と堅牢性が高く、長寿命の接点を実
現して信頼できる結果を得ることができます。また、ねじ式
端子接続を備え、テスト構成の変更や新しいテスト機能の追
加に便利です。一部のPXIベンダが使用しているブレークアウ
ト・ボックスは、最初の配線に手間がかかるだけでなく、テ
スト・システムの変更に伴う配線変更がきわめて困難です。
34980AモジュールおよびKeysight PXIカードには高品質のリ
レー・スイッチが用いられていて、信頼性の高い接続と長寿
命を実現しています。リレーが故障した場合でも、34980Aお
よびKeysight PXIスイッチはスルーホール接続を備えている
ため、交換が容易です。これに対して、他のベンダのPXIモ
ジュールの中には、表面実装スイッチの個々の部品の交換が
困難なものがあります。このような場合は、リレー・ボード
全体の交換が必要になり、費用がはるかに高くなるだけでな
く、交換ボードがただちに入手できない場合は時間もかかり
ます。
テスト・システムの更新やモジュールの故障の際には、測定
器メインフレームからモジュールを取り外したり、新しいモ
ジュールを追加したりすることが必要な場合があります。PXI
の場合は、システムの電源を落とし、モジュールを交換した後、
再起動することが必要です。製造環境では、これによって貴
重な時間が無駄になり、テストに遅れが生じます。34980Aで
は、PXIと異なり、バックプレーンがPCに接続されていない
ため、電源をオンにしたままモジュールを取り外したり挿入
したりできるという特長があります。新しく挿入したモジュー
ルはただちに認識され、34980Aを再起動する必要はないので、
テスト再開までの時間を大幅に短縮できます。
ファンクション・テストとデータ収集の違い
ファンクション・テスト
(EFT)
アプリケーションとデータ収集
(DAQ)アプリケーションに用いられるハードウェアはほぼ同
じですが、達成できるスループットは2つのアプリケーション
で大幅に異なります。EFTシステムとDAQシステムの違いを理
解することは、34980AとPXIソリューションの性能仕様を比
較するにあたって重要な要素です。使用方法を理解していな
いと、期待したテスト速度を実現できない可能性があります。
EFTは、被試験デバイス(DUT)に入力信号を印加し、出力を
モニタして、期待される応答と比較する測定方式です。EFTシ
ステムは、多くの測定器を高速スイッチを経由して接続する
デザインになっており、自動車用エンジン・コントローラな
どの電子モジュールの機能検証が目的です。EFTシステムのテ
スト・プロセスでは、スイッチをクローズし、入力信号(DUT
の電源を含む)と負荷を印加し、測定を実行し、リレーをオー
プンすることが必要です。このプロセスが多数回繰り返され
ることで、DUTへのすべての入力接続がテストされます。すな
わち、個々の測定と、入力信号および測定機器の構成変更のオー
バヘッドが、繰り返し必要になります
(リレーのクローズ、測
定の実行、リレーのオープン)
。測定が可能であることを確認
するためにポーリングが用いられることも多く、これによりさ
らに実行時間が延びます。結果はリミットと比較され、違反が
記録されます。結果として、実行速度は50 ∼ 250回/s程度に
なります。
013 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
34980Aは、このようなEFTテストの要件を満たすのに適して
います。34980Aと、用意されているアナログ/デジタル・ソー
ス・モジュール、高精度DMM、スイッチを組み合わせること
で、EFTに最適なソース/メジャメント・ソリューションを実
現できます。
DAQは、多数のセンサをDMMのような測定装置にマルチプレ
クサ経由で接続する測定方式です。大量のデータが記録され、
後で解析されたり、リアルタイムで解析されたりします。例
として、大規模なDUTのさまざまなポイントでの多数の温度
測定があります。DAQモードでは、電圧計と複数のリレーを
プログラムして、スキャン測定を実行します。スイッチのオー
プン/クローズ状態のリストがテスト・システムにダウンロー
ドされ、ハードウェア・ハンドシェークによってDMM測定が
スイッチ・セットアップとリンクされます。電圧計から「測
定完了」トリガが送られると、スイッチはリスト中の次の状
態に移行します。DMMは、「測定完了」トリガを送信した後、
あらかじめプログラムされた時間だけ待つか、スイッチから
のアドバンス・トリガというハードウェア信号を受信するま
で待ちます。アドバンス・トリガは、スイッチがプログラム
された状態に移行し、測定値を取得する準備ができたことを
示しています。このハードウェア・ハンドシェークにより、
測定器の間で送受信されるI/Oデータの量を最小化できます。
また、EFTテスト・システムの場合と異なり、スイッチング動
作のたびに測定セットアップ時間がかかることはありません。
セットアップ情報はダウンロードされ、1回の開始コマンドに
よってスキャン操作が開始されます。スキャン型のデザイン
のために、実行は非常に高速で、必要な測定分解能とスイッ
チング速度だけに制限されます。
高速なバックプレーン速度は、テスト・システムの測定速度
を決定する小さな要因の1つに過ぎません。DMMの高速測定
能力と、選択した測定分解能、およびスイッチング動作時間も、
測定速度に影響します。スイッチにはさまざまな種類があり、
接点を実現する速度がそれぞれ異なります。FETスイッチは最
も動作が高速なスイッチの1つであり、1,000チャネル/sの測
定速度を実現できます。測定スループットは、バックプレー
ンがどれほど高速であっても、測定時間とスイッチ速度によっ
て制限されます。
図5. 34980Aのモジュール34922A、70チャネル・アーマチュア・
マルチプレクサ
014 スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
まとめ
34980Aは、低コストで信頼性の高いスイッチ/計測ソリューションであり、データ収集や電子ファンクション・テスト
のさまざまなニーズに応えるように設計されています。オープン・システム・デザインのための余分なコストがかからず、
目的のために必要な冷却、電力、シールド、内蔵機能を提供します。34980Aの業界標準のLXIアーキテクチャは、低コ
スト、高速性、使いやすさが特長です。
Keysight PXIは、34980Aと同等の入力電圧/電流仕様で、システムあたりのチャネル数はより多くなっています。
Keysight 34980AおよびPXIスイッチは、スルーホール方式なので、スイッチ交換を容易に低コストで行うことができ、
テストのメンテナンスや修理の時間を最小化できます。
Keysight 34980AおよびPXIスイッチには、IVI-C、IVI-COM、LabVIEWドライバと、ソフトウェア・フロント・パネル
が付属しているので、テスト・システム内のスイッチのテストと制御の方法を柔軟に選択できます。
Keysight 34980AおよびPXIスイッチは、耐久性が高く堅牢なコネクタ・ブロックを備え、信頼できる接点によって最良
の結果が得られます。
34980Aスイッチ/計測プラットフォームの利点のまとめ:
− 500チャネルまでのシステムで1チャネルあたりのコストが最小
− フロント・パネルとWebインタフェースによる測定への容易なアクセス
− 電圧/電流仕様と価格の全体的なバランスが最適
− 堅牢な多ピン・インタフェースによる信頼できる測定
PXIスイッチ/計測システムの利点のまとめ:
− 最大15,000回/sの高速トランザクションと低レイテンシのDMMにより、テスト・スループットが向上
− 内蔵ドライバおよびソフトウェア・フロント・パネルによる高密度のスイッチング
− オープン環境なので、34980Aプラットフォームで提供されていない他のモジュールも容易に追加可能
Keysight | スイッチ/計測アプリケーションKeysight 34980AとPXIの比較
myKeysight
www.keysight.co.jp/find/mykeysight
ご使用製品の管理に必要な情報を即座に手に入れることができます。
www.axiestandard.org
AXIe(AdvancedTCA® Extensions for Instrumentation and Test)は、
AdvancedTCA®を汎用テストおよび半導体テスト向けに拡張したオープン規格です。
Keysightは、AXIeコンソーシアムの設立メンバです。
www.pxisa.org
PXI(PCI eXtensions for Instrumentation)モジュラ測定システムは、PCベースの堅
牢な高性能測定/自動化システムを実現します。
契約販売店
www.keysight.co.jp/find/channelpartners
キーサイト契約販売店からもご購入頂けます。
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PICMGおよびPICMGロゴ、CompactPCIおよびCompactPCIロゴ、AdvancedTCAお
よびAdvancedTCAロゴは、PCI Industrial Computers Manufacturers Groupの登録
商標です。”PCIe”および”PCI EXPRESS”は、PCI-SIGの登録商標です。
www.keysight.co.jp/find/34980A
www.keysight.co.jp/find/PXI
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Published in Japan, October 7, 2014
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