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絵画における構図についての一考察

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絵画における構図についての一考察
絵画 における構図 についての一考察
美術教室
上
田
敏
不日
1.は じめ に
い
絵画 を画学生 の頃か ら30年余 り描 いて きた者 としての観点 を中心 にこの一考察 をした 。 また現
い
在大学 で研究制作 と,実 技指導 して い る者 としての立場 で考察 した 。
この15年 間 は,150号 か ら200号 の油 彩作品 を中心 に制作 して きたが,ま ず その時の自分 に最 も合
った,表 現 した い,ま た全 力 が発揮 で きるテーマが必要 であつた (こ れ を探求 し, これに出合 うこ
とはオ ーバ ーな言 い方 をすれば凡才 な私 とすれば命懸 けであ つた ともい える)。
に必
自分 にあったテーマ は画家 とい う専門家 であれ,学 生であれ,趣 味 で描 く人 であれ,基 本的
要 であるとい う ことはいつの時代 であつて も変わ らぬ命題 であろう。
次 にその内容 に適 した画面 の大 きさの決定 が重要である。 それが決 るとその大 きさを最大限生か
し
容 を表現す る造形 (こ れ は具象であれ,抽 象 の場合であれ)を どの ように配置するか,自 分
,内
の気持 ち と一番 ピタッ と合 つた配置がで きるか どうかによつて完成 した時の作品 のア ピール度,充
実度 は随分 と違 って くる。 いわゆる構図 の問題 である。
次 に色 彩・ 形 。マ チエール等 を工夫 しつつ最適 の判断 を積 み重ねて制作 が進み,そ の過程 で新た
い
な発見 もし,今 までの経験 と現在 の感性 のすべ てを駆使 し切 る ことによつて一 応 これ以上で もな ,
べ
これ以下 で もない といえる作品がで きる。 その作品の価値判断 は他者 に委ね るとして も今 のす て
を出 し切 ることによって成就感 とそのよろ こぴが体験 で きるのである。 その時点で 自分 としての精
一杯 の作品がで きた といえる。
そのようにささやかで はあるが私 は制作 して きた。 この ことは先達 や一 般 に絵 を描 く人 々の場合
も基本的には変わ らぬ精神構 造 の体験であろう。
々の諸要素 が
絵画 とい うものは画面 の大 きさ 。構 図・ フォルム・ 色彩・ マ チエール・ 空間解釈等
複雑 に絡 み合 い,総 合的 に作用 し合 つて成 り立 つ ものである。
しか し古来名作 といわれ ている作品 の場合や まだ評価 の定 まって いな い作品 の場 合 で も,一 望 で
の
が
瞬時 に全体が見切れ るのに,い つ まで見て いて も飽 きが こない魅力 を感 じさせ る作品 多 くある
ルム
はその諸要素 が うま く噛み合 つてい るか らであろう。 その中の動 くこともないフォルム とフォ
が響 き合 う絶妙 なバ ラ ンスの魅力 が大 きな要素 の一つで ある とい う ことはいえるであろう。逆 にそ
のバ ラ ンスに魅力 がなければす ぐ飽 きが きて もおか し くない はずである。
とい
絵画制作 とい う造形活動 の うち,表 現 しようとす る内容 のフォルムをどのように配置す るか
甲︱︱︱︱
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
う過程 は重要な造形上 の一要 素 とい えるだろう。
この小論 において構図 に焦 点 をあて次のように一考察 した い。
(1)
(2)
(3)
制作者 としての経験 か らの観点 を生か したい。
一つの構 図上 の仮設 を立ててそれ をで きるだけ広範囲の歴史的名作 に照 らしてみた い。
それによ り絵画 とい う平面上 の表現 にお いて作者 が無意識的 にして も意識的 にして も
求 めた造形上 の骨格 が もしあるな らばそれを探 りたい。
,
2.絵 画・ 平 面 に つ い て
そ もそ も絵画 とはなんであろうか。人間が ある平面上 に造形 の言葉 である色 と形 を用 いてある意
思 を記録 した もの と一応 い えるか。 ともか く平面 の上 に色 と形 で表現 された ものである。
平面上 に描 かれた もの とい う ことが大前提 であるが,で は平面 とい うものはどうい うものであろ
うか。絵画制作がで きる程 の大 きさの純粋 の平面 は自然界 にはまずない といえないか。洞窟の壁面
も凹凸があ り旧石器時代 の人々 はその上 に結 いてい る。
)で
H。 ジャンソンが『美術 の歴史」。
「で は,穴 居人 ②はどのようにして絵 を描 くことを覚 えたの
であろうか。確 かな ことは分 か らない。 しか し,洞 窟 の粗 い凹凸の岩壁 に絵 が描 かれていることか
ら,岩 壁 の凹凸 を見て,絵 を描 くことを思 い付 いたので はないか と考 えられ る。ち ょうどイ ンクの
しみが我々 に種 々の ものを連想 させ るように。
おそ らく腹 をすかせた穴居人 が洞窟 の壁 の凹凸 をじっと見 つめている うちに,そ れが獣 のように
見 えて きたので,た き木 の燃 えかすで輪郭 をなぞってみたのだ ろう。
ついで,欠 けて い る部分 を描 き足 してその獣 の絵 を完成 させたので はない だ ろうか。 そして遂 に
は洞 窟 の壁 に凹凸がな くて も,同 種 の獣 の絵 を自ら描 くようになったのだ ろう。」と述 べ, 2万 年前
の人々が 自然 の洞窟の壁 に絵 を描 きはじめたようす とそして遂 に凹凸がな くて も獣の絵 を自ら描 く
ようになったであろうい きさつを推定 して い る。私 が この小論 で考察 しようとしているのは真平 ら
な平面上での絵画活動 に絞 ろうと思 う。で は真平 らな平面 とい うのはや はり人類が創 り出 した もの
とい えるだろう。すなわちある種 の岩石で平 らに割れ るもの もあるだ ろうが純粋 な平面 とい うのは
人 工物 といえるだ ろう。 それ は岩 を平 らに磨 いて重ねた物 であつた り,柱 と柱 の間 に塗 った壁であ
った り,衣 類 のために織 られた布 をピンと張 った ものであった り,紙 であった りであろう。
それ らを初 めて創 り出 した人々 は種 々の工夫 と大変 な労力が いったであろう。 そのように創 り出
された平面 は当時の人々 にはどのように見 えたであろうか。
今 日我々 は紙 にして も,巨 大 な壁 にして も,ガ ラスにして も,有 り余 る平面 に満 ちた文明社会で
生活 してい る。 このよ うに平面 に慣れ ている我 々か らは想 像 もで きない程 の もので はなかったか。
平面 が創 り出された当初 の頃 はその一つ一つが大変な努力 で しか造 り出す ことがで きない もの と
すれば貴重 な ものであったであろうとい う ことは間違 い ないだろ う。
一歩進 めて想像す ると自然界 にはない平面 とい うものに対 して畏敬 の念 を持 ったので はない だ ろ
うか。宗教的な ものの表現 には立体的 な彫像 もさる ことなが ら,平 面上 に過 密な程 に描 かれている
多 くの例 は偶然 だ ろうか。人 工の直平 らな平 面 は限 られた大 きさの もので貴 重 な ものであった こと
は間違 い ないだろう。
人間 によって創 られた直 線 に囲 まれた四辺形である矩形 の平面 の創造。必要 に応 じてそれぞれの
大 きさに造 られた美 しい矩形。 この大事 な限 られた平面 を最大限に用 い,こ なす ことは大 いなる必
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 42巻
第
2号 (1991)
■5
然で はなかったか。
その平面上 に表現 しようとす る幾何学文様 などの抽象形であれ具体的な動物や人間 の表現 で あれ
それをその限 られた矩形 の平面上 に最大限生 かす知恵 は古今東西 ,民 族 の違 い を越 えて求 め続 けら
,
れて きたので はないか。
表現 しようとす る内容 を,い いかえれば他 の者 に伝 えようとす る内容 をその限定 された矩形 など
の中で最 も有効 に強 くイ ンパ ク トし,時 には安定 して いて変化があ り,い つ まで見ていて も飽 きが
こない配置 をす る (宗 教的な表現 にはこの事 は重 要な こととい えるだろう)と い うことは意識的 に
しろ無意 識的 にしろ真剣 に模索 された といえるので はないか。
とすれば,矩 形 とい う限定 された この平面 は人 間が創造 した ものであ り,人 間が見 る物 であるの
でその表面 の配置 の工夫 に何 か共通 の要素 ,い いか えれば造形上の要素 とい うような ものが時代 と
地域 の枠 を越 えてあるので はないだろ うか。
3.構 図 に つ い て
人 は両 日で 自然 な どの外界 を見 る時,自 分 の顔面 の前方約 180度 が視野 にはいる。一応視野 にはい
った空 間及 びその中 の物 をす べ て見 ている, とい うか網膜 に映 ってい る。
その中で 自分 が見 たい ものをほ とん どの場合真 ん中 になるよ うに顔 を向けて焦点 を合わせて見て
い る。 この場合顔 を動かせ ば視野 は自由自在である。 とい う ことは視野の中 にはいっているものは
連続 しているといえる。
それ は限定 されていない といえよ う。矩形 は直線 の四辺で直角 に囲 まれた,限 られた大 きさの平
面 である。
もしそ こに何 かが表現 されているな らば,そ れ は目にはいる森羅万象や作者 の 自在 な思考 の中か
ら抽出された とい うか,選 び抜 かれた ものがそ こに乗 つているわけである。
逆 にそれ を見 る者 はその限 られた四辺形 の中 の物 は一応す べ て一望 の もとに眺め られ る。だか ら
自分 の回 りの360度 の中か ら選ぶので はな くて,そ の矩形 の中 の ものはすべ て 目にはいって くる。言
い方 を変 えれば,記 憶 に残 るか否 か は別 にして,そ れ を見 た限 りで は否応 な しに矩形内の物 はすべ
て押 し付 けられ るとい って よい。
この事 は ミニ アチール の ような小 さな絵 であれ ミケランジェロの「最後 の審判」の大壁面 の場合
であれ 同 じである。
矩形 の中で伝 えたい ことや表現 しようとす る内容 を最大限に生か し効果的 にまたイ ンパ ク トが あ
るようにす る方法 を人々 は時 に天 才的な閃 きで配 置 した り,そ の得 た物 を師 か ら弟子 に秘伝 として
教 えた り,過 去の先達 の作品を研究す るな どして配 置 を工夫 したので はないか。 日本 の粉本 も興味
ある方法である。
構図 を考 える上での分割線 は直観 で配置す る場 合 は必要ないが,目 安 のために用いる場合 は,各
人流 のその組 み合わせが必要であろう。 その線 は描 き初 めの時 は重 要で も仕上がった時点 で は消減
す るものである。
ルーベ ンスの「 ア ン トヴ ェルペ ンを去 るメル クリウス」 (下 絵 )(87図 )に は分割線 が残 っている
が,仕 上がった作品 には分割線 は完全 に残 らない のが普通 である。 で は,実 際 には分割上 の種 々の
工 夫 の要素 があったので あろうか,そ れ とも常 に (天 才的な)直 観的なその都度 の思 い付 きによる
配置 のみで作画 がなされていたので あろうか。興味ある問題点である。
上田敏和 :絵 画 における構 図 につ いて の一考察
矩形 の中 の構 図 について,私 が基本的 に重 要 と考 える分割 をまず示 し,そ れ らを総合的 に組 み合
わせた もので構 図を分析す ることを試論 としたい。 それ を歴史的に名作 といわれてい る作品 に照 ら
してみ よう。
名作 といわれている作品 は時代 を越 えて多 くの人々の鑑賞 を経て きて い るわけであ り,そ れぞれ
の美 しさの充実度 を持 ち,人 々 に納得 を与 えて きて い るものである。何 らかの共通 の要素 と何 か新
たな ものが見 えて くるか もしれない。
4.私 の基本 的 に重要 と考 える分割
(1)対
対角線
角線
対角線 は矩形 の中 の中心点 を通 り 4隅 に伸
びる線 であるので, この位置 にポイン トを
置 くことは矩形 を暗示す る重要な位置 とい
える。人物画 における顔 とか 目によ く用 い
られてい る。
図1
4辺 の 2等 分割線 (2の 略号 で表 す )
矩形 の中心線 であるので 当然多 く用 い られ
る。 自ず と見 る者 の 目がそ こに注 がれ るで
2
あろう。縦 の中心線 は宗教画 の神 や仏 の顔
える。
図2
4辺 の 3等 分割 線 (3の 略記 号 で表 す )
3
3
明解 な分割 であ り次の(4X働 も共 によ く用 い
られ る。
ll l l r I B I B 山 ″
が よ く描 かれ る。横 の中心線 は 2分 され る
ので安定 はして い るが変化 に乏 しい ともい
︱
︲
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 42巻
第
2号
(1991)
(4)4辺 の 4等 分割線
(4の 略記号 で表す)… …・左図
(5)周 辺の 6分割線 (6の 略記号で表す)… ……・右図
図4
図5
(6)4辺 の 2等 分点 を結ぶ菱形
矩形の中での菱形であるので変化が あ り
画面の中でのまとめあるい は くくりの働 き
,
が あると思われ る。
(7)黄 金比率による分割線
(φ
の略記号で表す)
φ
柳 亮 の『黄金分割 ピラ ミッドか らル・
コル ビユジェまで』 の中で「黄金分割 は
自然や美術作品の形態美 を規定 して い る各
,
種 の比例 の中で,古 来 もっ とも理想的 とさ
れ,そ の意味 で特 に黄金の名 を冠 されて き
た比例法 で あ る。 ……」13jと 述 べ ている。
また「黄金分割 ,な い しその配分 による量
の比 率 を黄金比 あるい は黄金率 と呼び,英
語 で はゴール デ ン・ プ ロポー シ ョン,仏 語
で はプ ロポルション・ ドール,あ るい はノ
図 7
馬
皆皇彗 疋態,雛 鶏
転
祈 淘
)
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第 42巻
第
2号
(1991)
(10) 試論①
(1)か
ら(9)ま での組み合わせ
Rφ 3 R4
6 4R3φ
6 4 R3 φ R
2 Rゅ3 R4
φ分割 と0分 割 を中心 として私 の基本的 に重 要 と思 う分割線 を縦横 に組 み合わせた もので分 割線が
重 なっている位置 はよ り意 味 を増すので はないか と予想す る。
(11)試 論②
10が 基本であるが 4辺 の周辺に近い部分も重要な意味を持つ場合も応々にしてあり,そ れを解決
するために脩)の 菱形と交わった く
ア〉黄金比線 (gの 略記号で表す)と く
啄比線 (rの 略記号
イ〉せ
で表す)を 垂直,水平に伸ばす分割線を加えて試論② とする。2と φの距離とgと 周囲の辺の距離が
等しい。 2と R, rと 周囲の関係でも同様のことがいえる。
〈/〉
〈イ〉
r r
6κ P A と
φ
2
,
卜
φ
︵
R
P
上田敏和 :絵 画における構図 についての一考察
ア〉と く
イ〉をプラス
試論①に く
「
86r4R3φ
R
Rφ 3R4 r6gr
r g
6
r4 R 3 φ
R 2
R
φ
3
R 4
r 6
g
r
(12) 矩形 の分割 の方法 は この他 に 5等 分 , 8等 分 ,10等 分 や円を用 い た り,三 角形 やその他 の
ルー ト比等 々無数 とい って良 いほどの方法 が考 えられてい る。
啄 比率を中心 とする基本分割線 を組み合わせることによって
この試論 は私の選んだ,黄 金比率 と寸
それを応用 しようとするものである。その応用はこの分割線 をすべて用い るとい う意味ではな く
この基本分割線の中か ら取捨選択 してその作品のテーマに叶 うよう,造形上の主役や脇役 のフォル
ムを当てはめて計画 しようとするものである。絵 は主役だけでは成 り立たず背景や小物の位置 は単
なる偶然の場所ではない。 さりげな く,し か も日立たないけれ ども画面構成上大事な要素の一つで
,
ある。
すなわち,そ の分割線上 もしくはその近 くに作品のポイン トの造形要素,例 えば地平線,水 平線
群像 の主要人物や脇役,人物や動物な どの顔,日 ,手 などを配置する。
この分割線 の重なる部分が平面上 のより魅力ある部分 になり得 ないか。
この分割線 は完成 した作品では絵具 の下層 になって見えな くなる。 しかし目には見えないがフォ
,
ルム とフォルムの響 き合 いの暗示をす るとい う働 きは予想 される。意識下の働 きのようなもの とい
えるか。
この試論 は比率による分割であるので,ど のような矩形の場合 も当然応用で きる。
円や半円+矩 形の場合 は,そ れぞれ外接する短形で分割 した。
(13) 試論①② による名画への照 らし合わせ
試論① か② を日本の浮世絵版画か ら歴史を逆 のぼって,い くつかの国を経 て,中 世,ル ネサ ンス
の ヨーロ ッパか ら近代あた りまでの,多 くの人々によって見 られたであろう名作 と呼ばれてい る絵
)
画作品の若千に照 らしてみることにする。 (平 面的な浮彫や工芸作品 も参考 として取 り上げた。
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名画 へ の 照 ら し合 わせ
試論①,② の下記の略号で構図のポイン トを列挙する。
φ=黄 金比率。 g=菱 形 とφとの交点の垂直。
水平線。R=2種 の17比 率。 r=2種 の形 線 と菱形
との交点の垂直,水平線。2=1/203=%。
(A)日 本
4三 %。
6=周 辺の%。 及び対角線と菱形とで現わす。
(1)歌 川広重
4R3φ
R
Rφ 3 R4
φ
1.水 平線 と波頭が正 にR。
岬の先端が
上か ら画面中央に向かっている松の
葉が主にφとR。 右の松の頂が 2,下 中央
に向かう枝が菱形上。大,中 の船の帆は
Rと 4。 岩盤の水平が 6。 岩屋の端が 3。
R。
2.橋 上の行列の 4人 の頭が 2と 縦,横
のφ。右か ら 2人 目の頭 はφとRの 交点。
屋根の水平がφ。欄干の頭が横φと縦 R。
手前の欄干が 3と 6。 橋 の板の始 まりが
R。 櫓が左か ら 6,φ ,φ ,R。 毛槍の先
が菱形上。雲形がRと 4と 6。 犬の足が
対角線。すべての中央が行列先頭の人の
手。
歌川広重 本朝名所 。相州江 ノ嶋岩屋之図 25.2× 38.lcm 19C
歌川広重 東海道五拾三次之内 。日本橋 22.7× 35.Ocm 19C
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
,:ぁ
R
取fあ
3.左 の人物,杖 ,傘 の
先がφ,R,対 角線。右 の
'III
二人の人物位置,縦 R,
4,横
6,4,R,3,
φと菱形上。中央の家の
中心がRと φ。軒下が R。
右 の本 の出だしと山の端
が上か ら4,R, 3。 手
前 の崖 の端 が 菱形 を暗
示。その凹んだ所 に左の
人物,右 端が右 の二人 に
つながる。
4 る . 一
4
6r4に
4.下 る人物の蓑笠 と傘が右下 の菱形 と,し か も傘
の中心が縦,横 Rで 対角線 を通 る。籠の人物群 と手
3φ R
2 Rφ 3 R4峯 砲
.gr
前の竹の枝が左下の菱形 を暗示。籠を担 ぐ右 の人物
の笠,肩 ,手 が垂直水平のφとRと 対角線 の交点。左
の二人の人の笠 を 2が 水平 に通 り,縦 に 6, 4,R
(こ
れは担 ぐ人の杖,手 ,足 )。 2本 の杖の先が 3と
風に靡 く竹群が対角線 に平行。左端 の竹の先が
φとR。 右 から 2,3,4軒 目の屋根が上か らR,φ
R。
,
R。
R
5.正 に左の柱が 6,大 提灯の底 が 3,手 前 の地面
の区切 りが g。 本堂 の 2階 右 の部分がR,φ の垂直水
平 と対角線が交わる。塔の先端が R。 塔の軒下の最
下段 と本堂 の欄千 の下がφ。
φ
3
R
4
3.歌 川広重
4.歌 川広重
東海道五拾三次之内・蒲原 25.6× 37.9cm
東海道五拾三次之内・庄野 25.4× 38.lcln
19C
19C
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第 42巻
6 4R3φ R 2 Rφ 3 R4 6。
第
2号 (1991)
rg 6 r4R3φ
9
123
R 2 Rφ 3R4 r6 gr
r
g
6
r
4
4
R
R
3
3
φ
φ
R
R
R
R
φ
φ
3
3
R
R
4
4
r
る
〓
F
6.左 傾の幹 と右へ伸びる三本 の枝で下の菱形を暗示。左傾の幹の底 は縦 4と 横 6。
右傾 の下の校の底 は 3で スター
トし対角線で切れ,4と 6で 上 に伸び Rで 切れ,Rと φで画面の右 に出る。中央の右傾の枝の底 は横 6で スター トし 2
で右画面外 に出る。この大枝か ら上 に伸 びるメインの右枝 は縦のRと φと対角線 と横のφとRと も交わっている。重要
な位置 といえる。またこの枝 のRで L型 の小枝が出ている。それにこの右傾 の大枝 か ら2と 左のRφ で小枝 が上に伸び
ている。観梅 の人達 と垣の位置が正にφとRで ある。手前に大 きく描 かれた白梅 はRφ 3と 菱形 と横 6に 接 し,下 の二
つはR。 この絵 も計算 し尽 くされた絵であるといえるだろう。
7.正 に垂直水平のRと 対角線の交点が大鷹の嘴の先。爪が対角線。翼 の左右の元が Rと φで横 の 4。 翼の先が R。 2,
3番 目の羽先が菱形上。山の頂上が 2で φ,次 ぎのが 3。 松林の横の流れが R,φ ,3,R。 洲の手前 は 6。 鷹が狙っ
てい るであろう漁労具様の物 は4と Rと
6.歌 川広重
7.歌 川広重
g。
名所江戸百景・ 亀戸梅屋舗 361× 25.5cln 19C
名所江戸百景・ 深川洲崎十万坪 364× 25.Ocm 19C
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
8.先 ず橋上 の人物の位置,左 二人 は菱形 と縦 の rと 4と 横 の 3,
R,4の 足元。二人 目は縦 のφとRの 両足,横 のφと対角線 の笠 と
Rの 足元。四,五 人 目は正に縦のRと φと横 のRと φの対角線の交
点,足 元 は 3。 六人 目はRと 4の 両足,足 元 はφ。筏 の先が 2,竿
,
林 に対応 した脇役である。
] ●
R
Z
r―
F-4
―
6
4
R 3
φ
R
2
R φ
3
R
4
6
歌川広重 名所江戸百景 。大 はしあたけの夕立 365× 24.7cln 19C
葛飾北斎 富嶽三十六景・ 凱風快晴 25.5× 38 Ocn1 19C
llllLロ
は約φ。頂上 の回 りは空 いていて横 Rで 左雲につなが り,対 角線 に
沿 つて下 ってφで少 しとぎれ,2の 画面中央で多 くとぎれ,下 のR
R
とφの巾でまた少 しとぎれその下あたりから錫雲から白雲になって
φ
い
る。そのRφ の垂直水平 と対角線 の交点を頂点 として樹林が末広
3
R が りに描 かれている。 この位置 はこの絵で山の頂上 と画面中央 と
4
共 に重要な位置 といえる。これ とは別に画面中央 とこのφ点から右
横 に頂上の下 まである模様 を中心 とした板 目は細やかな錫雲 と樹
2
,
9.右 上 りの対角線上 に富士のフォルム。山の画面右のスター ト
が約 2,頂 上が約 6と 中央が な。約 6の 左の裾野。錫雲の右上底
と
g。
雨 の中を早足でゆ く人々
さす人の頭が 2。 垂れる雨雲が rと
いる考 え方は向 き
い
を出して
にもってきて勢
先頭 の二人 を菱形上
は
の絵であ
り菱形 の角度
と
じ
こそ逆であるが庄野 同 構想。庄野 横
っている。
が急な分,駆 け足にな
鳥取大学教育学部研究報告
r8 6r4R
人文・社会科学 第 42巻
3φ R
2
Rφ
第
2号
3R4 r
(1991)
6
g
r
r g 6
F 4 R
3
φ
R
2
R φ
3
R 4
F 6
g
r
rζ 6
r 4 R 3 φ
R 2 R φ 3 R 4
r 6 g r
形のない白
10。 右上 りの富士のフォルム と雷の左下のφあた りか ら右上 がって画面 2か ら頂上左 を結ぶ菱形の くくり。
雲の上が r。 水平のφ線 を境 にして山の右 と左でモコモコとした雲形上下の対称。雷 の光 り出しが R,第 1の 光 の枝が
r,次 の折れ曲が りが菱形 との交点,次 の光 りの枝が横 Rと の交点。その枝 の折れが縦 6,元 に戻 つて本光 の大 き
く折れ曲がるのが縦,横 Rと 対角線 との交点。次 に少 し曲がるのがφとgと 菱形の交わるあた り,稲 光の左端がφR。
このようにすると図版典拠通 りである画面右端の版のずれ巾の意味がでて くる。
■.大 きく左右の大波 と舟 による菱形の くくり。富士 の頂上が対角線上。そして縦,横 φあた り。大波 のしぶ きの先が
縦,横 Rを 端 として,横 φ,3,4, r,6と 一致。中の波頭 も横φ,R,2,下 の横 R。 左端にかかったしぶ きもR,
φを中心にして縦 6。 右大波の出だしがφとRの 間,画 面左の波 の元が 3,こ の高 さの微妙な差が動 きを感 じさせる働
きの一つ。大波の垂直部分 と手前の舟の先がφとRあ た り,こ れは重要な位置。富士のバ ックの暗部か ら上に明るくな
る境が横 φ,R。 この絵 で も大波の背景にある先が対角線にかかっている雲形 は重要な脇役。そのあた りの空 は大 いな
る必然。大波のしぶ きが正 に右上 の縦,横 φRと 対角線の交点を経て富士に向かおうとしている大 きな力。正 に縦,横
φRと 対角線 の交点部分 4つ を回る動 き。
10.葛 飾北斎 富嶽三十六景・ 山下白雨 25.6× 38.6cm 19C
■.葛 飾北斎 富嶽三十六景・ 神奈川沖浪裏 25.0× 37.Ocm 19C
上田敏和 :絵 画における構図 についての一考察
φ
6 4 R3 φ
12.漁 師の手首が これまた縦,横 φRと 対角
線の重なる部分。漁師のお尻 と岩の頂 きが
縦 2で 頂 きが画面中央。左端の岩の頂 きも
横 2。 もう一人の人物の頭が R。 富士 は 3
あた りを頂 にして菱形に約平行。富士に重
なる霞か雲 は正に横 6。
R 2 黒0 3 R 4 6
13.富 士の頂 きはR。 船頭 の位置が縦,横
櫓 と左の女性のゆ
φR対 角線 の重なり部分。
はRと
と
が対角線。
ぐ
竿
φの間でその
す 布 軒
6。
の喫水線が
6。
との境の
は空の暗部
舟
先
が
と
の方向
左の女性の頭
菱形線上。舟
舶先
か ら手 を伸ばしているのが縦 Rで ,流 して
いる布が g。
14.空 の明るい部分が横 rと φの巾。富士の
頂 きが 3と gの 交点。左上 の人の頭 と鋸で
切 ってい る木 と手前の板束が対角線。左下
の受けている人物の頭が対角線上で上半身
の傾 きと板束の上 と林立す る材木の全体の
傾斜 と放 り投げている本が菱形線上。左の
積 んである材木の巾が rと 6で 上辺 と角は
g
6
4
R
3
φ 4と R。
R
鋸引 く人のお尻 と乗 つている木 は
中央 の 2軒 の屋根がφ,水辺 の舟付場が
手前の二本の棒
縦横φRと 対角線の交点部。
がそれを差 してい る。林立する主な材木 は
2。
2
Rφ 3 R 4
3, R, r, g, r。
r 6 g r
φ
r g6
r 4 R 3 φ
R 2
お12.葛 飾北斎 富嶽三十六景・ 甲州石班沢
R25。 4× 37.8cm
19C
113.葛 飾北斎 富嶽二十六景・御厩川岸か
6ら 両国橋夕陽見 254× 37.6cm 19C
単14.葛 飾北斎 富嶽 三 十六景 。本所 立川
25.1×
37.6cm 19C
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 42巻
第
2号
(1991)
127
13)東 洲斎写楽
6 4R3φ R 2 Rφ
rg 6F4 R3¢ R 2 Rφ 3R4「 6gr
3 R4
r
g
る
r
4
4
爬
R
3
3
φ
φ
黒
R
R
φ
3
R
4
6 4R3φ R 2 Rφ 3 R4 6
15,顔 の類の線が縦 φ。両 目玉が縦 R,2。 日の高さが横 3。 扇子 と手 と
紋 と肩 と箸の形で菱形 を暗示。鼻が縦,横 φRと 対角線の交点部。襟が R。
右肩が対角線。袖 口が 2。 画面の左端の扇子 と肩先が R。 指先部分が対
角線 と菱形 と縦,横 4。
16.先 ず右肩が横φ,R。 左肩が縦,横 R。 日の底φ。目玉 4と 6。 右 目
尻 の隈取 りが R。 左 目尻 と髯 の端が菱形線上。日 と紋 が 2。 左右の襟元
が上下 の縦,横 のφ,Rと 対角線 の交点部。頬 と鼻が g。 この作品では手
が重要で,従 来 か らよくデッサ ンの狂 いが指摘 されているが試論②をあ
てて主なものを挙げてみる。右手の親指 はRと 対角線 と菱形。人差 し指
はφRと 横 4。 中指 は 6。 薬指 はφRと 横 gと 菱形。小指 はφと r tt。 左
手の出回は 2。 親指 はR,φ と横 r。 人差 し指 は 4と rの 交点で菱形 に平
行。中指 は対角線。薬指 は横 rで 右手の小指 と同じ等。私は絵画的必然
か らのデフォルメの可能性 もあるのではないか と考 える。
この絵 は口上書を読 み上げている所であ り,裏 か らその文字が透 け
るように工夫 してある。その部分が縦,横 φRと 対角線 の交点部 を中心に
して描かれてい る。左手の握 りしめてい る部分 ももう一方のその位置で
ある。眉間 と左膝下が 2。 右襟元が対角線 と菱形。右手の人差 し指 と中
17。
指 は 4と
R。
東洲斎写楽 三代佐野川市松のlTA園 町の白人 おなよ 35.9× 24.8cm 18C末
東洲斎写楽 二代大谷鬼次の奴江戸兵衛 38,1× 25。 lcll1 18C末
東洲斎写楽 都座 口上図 37.3× 24.4cm 18C末
128
上田敏和 :絵 画 における構図 についての一考察
6 4R3φ R 2 Rφ 3 R4 6
6 4R3φ
R 2 Rφ 3
R4
4
R
3
φ
R
R
φ
R
3
φ
R
3
4
R
4
18.誰 もが気づ く左上 り対角線 を中心にした構図。かつ らぎの
目がφと 2。 頭が良。手先が 2と φ,R。 紋がRφ と2の 交点。
立て膝がφで菱形 を暗示。左膝が対角線 と6。 警 と大刀柄先がφ
と対角線。小刀 の柄が φ,Rと 4。 山三の目が縦 Rで 帯が横 R。
画面左 右下 の,爪 先 と帯先が対角線。
R
φ
19.不 破の右 目がすべての中心。大刀が Rと φで握 る手が 2で 柄
頭が R。 爪先が対角線。観音坊の顔がφとRと 菱形。太帯の結び
の上 と人差 し指 の先が R。
3
東洲斎写楽 三代沢村宗十郎 の名護屋山三 と三代瀬川菊之丞 の傾域かつ らぎ 38.0× 24.7cm 18C末
東洲斎写楽 三代市川八百蔵 の不破の伴左衛門 と二代坂田半五郎 の子育て観音坊 36.3× 23.9cm 18C未
東洲斎写楽 曽我五郎 と御所五郎丸 32.2× 22.2cn1 18C末
4
裾が R。
R
20。 手首 がすべ ての中心。 その人の横顔 ,手 首,右 足が左上 り
対角線。左足膝 と鞘が横 Rφ 。左爪先が縦,横 の 6と 対角線。日
が Rと 4。 後向 き人物の両足が菱形 と対角線。天幕の紐が 6,
鳥取大学教育学部研究報告 人文 。社会科学 第 42巻
第
2号
(1991)
(4)喜 多川歌麿
6 4R3φ R 2
6 4R3φ R 2 Rφ 3 R4 6
代φ3R4
4
4
R
R
3
3
φ
φ
R
R
2
R
φ
3
R
4
6 4黒
3 φR
21.縦 ,横 φRと 対角線 の交点部が眉間。口が 2。 鏡が菱形線上。髯が
約 4。 髪の結び紐 の上が縦φと横 R。 髪 の左右が共にR。 特 に左 は縦
横 のR。 右 目が Rで 左 目と耳が対角線。鏡 を持 つ手が菱形,対 角線 と
縦,横 Rtt。 左肩か ら腕の線 はφ線上。
,
22.左 手 と髪 と斜めにさした櫛が菱形線上。目がφ,警 の下のほつれ髪
の先が縦,横 φと対角線 の交点で この雰囲気を作 る要素の一つ。眉 と警
が 3。 後 ろ髪が 2。 肩か ら湯上 り手拭が正 に縦,横 φRと 対角線 にかか
る。顎が 2。 左肩の襟先が 6。 両手がRと 4。 垂れた手拭が 6。
23.三 美人の髪型,襟 等で先ず菱形の くくり。二人の 目,鼻 ,国 がす
べてφ,Rに かか り,対 角線が頼,目 ,口 を通っている。一番上 の横警
は菱形 と両φにかかるので試論②の g。 右の人 の髪の上が R。 左の人の
左右の人の後 ろ髯 と警が菱形の頂点をなし 2を 通っている。
髪 の上がお。
左の人の警がすべての中央。他 にも多 くの一致があ り,よ く計画され
た絵 であることが伺 える。
C
C
末 未
喜多川歌麿 婦人相学十鉢・ 面白き相 37.2× 24.Ocm
喜多川歌麿 婦人相学十然・ 浮気の相 37.9× 24.4cm
喜多川歌麿 高名三美人 354× 25.lcln 18C末
(<ζ
g警
Ⅷ
世
亀
転
誓
藍
偏
)
F6 g r
26.28。
この研究 を光琳 まで進めてきたとき,偶 然 この図が天地逆 に机上 に置いていたのを見て,こ れは宗達の風神雷神図の裏返 しだ と気付 き,『 原色 日本の美術
「光琳 はこの経梅 と白梅 を右 と左 に遠 く離 したが,宗 達のように,そ の二対
14宗 達 と光琳』で山根有三が「紅梅 と白梅 は,ま さに宗達の風神 と雷神 の変身である」
象が広 い金の空間をはさんでゆった り照応するだけでは満足で きず,そ の空間に,異 様なかたちの水流を描 き出した。宗達の明るい天空を,暗 い深淵 に変 えたので
ある。」16jと してぃるのを確認 したが私が裏返 しだと感 じたのはその宗達の中央の余白部分を埋める形の水流 にプラスして,雷 神の右足下の三角形 の余白に合わせ
て白梅 の左下の幹 のフォルムがつ くってあ り,風 神の余白 と対応する水流 の形 も納得で き,風 神の足下 の余白は紅梅の幹 を下にず らして埋めているからだと考えた。
以下その両図を比べてみる。私の試論②を重ねてみると白梅 と雷神 は全 く同じであることが見 えて くる。すなわちV字 形に対角線 を用いた構図であ り,自梅 の枝が
雷神の体そのものである。顔 と枝が下 りてきた太 い部分 の対角線 と菱形の 4の 交点,曲 げた右腕 と中枝が共 に gか ら6の 位置で Rで 曲がってお り,雷 神 の右手 の握
っている部分である。その枝が右に伸びたのが雷神の左手。雷神の右の膝がφとR。 白梅 もその部分で折れ曲がつて下 に向けてある。雷神のぶんばっている左星首
26.27.尾 形光琳 紅 白梅屏風 156.6× 172 7cm 18C初
卜 田蝉営 中酷目 再前 専が離 図再もづへ⑤l蝶漕
rg 6 P 4 R3 φ R 2 Rφ 3 R4
0尾形光琳
27
r86r4R3φ
R
Rφ
3 R4「 6gr
rg 6r4R3φ
R
Rφ
3R4「
6gr
27.29.紅 梅 と風神 の対比では先に述べた風神の下の余白を埋めるために紅梅の幹 と根元 を少 し下げてある。風神の左腕 にあたるのが画面右端 まで大 きく曲がって
いる幹。風神 の顔の両 目は縦 のRと φ。そして鼻 は横 R。 組悔で顔 のその位置,す なわち縦のRと φそして横の Rあ た りに花が配 してある。上に伸びる 2本 の太 い
枝 は髪 とはため く布。風神の右手 と風袋 は紅梅の左 に伸びた枝 と上部か ら右 にかけての梅花群1右足のかか ととリングが縦横 φRと 対角線 の交点で目の真下の重要
な位置で経梅の幹か ら水辺に向いた折れた枝 と同じ位置。
光琳が この風神雷神 を模写 もし,そ の上で見事 に光琳風 にアレンジ した作品。
28.29.俵 屋宗達 風神雷神図屏風 154.5× 169.8cln 17C
営
μ
一中 ︵
‘潔︶
瓢聟>報蝉瑚報襲章灘難眸 >滸 ・詳妙摯鵜 韻 卜∞鰈 韻 い
が縦横φRと 対角線 の交点部。そのかか との曲がってい る部分が共に下の横 R。 雷の音 を出す輪に沿って枝が上が り,音 を出す道具の部分で枝が曲がつた り,密 集
している。それが共 に縦横φRと 対角線付近。布 のはためいている部分,白 梅 もそのあた りに枝が最 も密集 させてある。そして対角線 に沿って布が右上隅 までたな
びいてい る。白梅の枝 もピッタリとその位置にある。画面左上の雷神 の輪 にあたるのが幹か ら上 に伸びている 3本 の小枝。
上田敏和 :絵 画における構図についての一考察
rg 6 r4 R 3φ
R 2 Rφ 3R4 r6B r
re6 r4 R3φ R 2 R φ3R4け 6gr
これ も菱形の くくり。物思恋 を暗示する手が正に縦,横 φRと 対角線 そのもののフォルム。腕 と襟元 も共に縦のφ
とR。 両 目が縦,横 φ,Rに かか り,鼻 と耳が 2。 右肩 の襟がRと φ。左肩の襟が菱形。前髪の上が 4。 妾がすべての
中央。等々 これ も正 に工大 し尽 くしているのが読み取 れる。
24。
25。
R。
鏡 に映 つている両 目が正 に対角線 とφとRに かかる。指がφとRと 2。 映っている櫛がφ。前髪が R。 襟 と左肩が
左右の垂れ髪が菱形 と対角線。右下 の着物が対角線。鏡 の縁下が R。 映っている襟先が rと r。
◎浮世絵版画の名作のい くつかにこの試論 をあてはめてみたが随分 と多 くの部分が一致する。 しか もその絵の重要な
ポイン トで。浮世絵版画 は絵師が版下 を描 く。 日本では古 くか ら紛本 とい う先達の作品を模 して練習するや り方が行
なわれてい る。
「原本が透 けて見 え,か つ原本 を汚 さない ように,紛 本 にはよく磐水 を引いた薄手の美濃紙 を用い るの
である。」⑪とい う。 もしこのような方法を用い るならば,私 の試論 に示 したような分割線のい くつかを引いた ものを
あらかじめ作ってお き,そ の上に碁水 を引いた薄手の美濃紙 をあて版下絵 を描 いたな らば,充 分意図的 にそのテーマ
のフォルムの配置が可能 と想像で きる。書道の手習 いの和紙 で試みたがそれで も充分細かい線が透けて見 えた。浮世
絵版画では一つのテーマが当たれば,例 えば,百 景 というように50と か100種 類 も描 き分 けねばならず粗方のスケッチ
を元に このような自分流の分割線 を下敷 きにして配置 したのではないか。版元 はベ ス トセラーになれば少 しずつ違っ
ていて,し か もで きるだけ多 くの作品を要求 したであろう。 い くらでも応用可能な下敷 きが必然であったかもしれな
い。
喜多川歌麿 歌撰恋之部・物思恋 38.6× 26.lcln 18C末
喜多川歌麿 姿見七人化粧 38.3× 26 4cm 18C末
﹁︱ ︱ ︱ ︱ ︱
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 42巻
rg6r4R3φ
R
Rφ
3 R4「 68r
第
2号
(1991)
30,二 曲の一双。舞楽の飾具の左肩 と左の二人の布 と
r g b
r 4 R 3 φ
か手足で菱形の大 きな くくり。翁の顔 と右足 と舞楽 の
飾具 の左端がφ。
翁 の手 と持っている鳥の止まり木 はR
と2の 交点。舞楽の大 きな飾具の頂点 とそこから垂直
に伸ばした飾具の竿 は rの 線 と全 く重な り,先 端の楕
R 2
R φ 3 R 4
円の飾 りは 2と の交点。小 さな飾具の頂点 と翁の腰の
飾 り物 もR。 内側 に向かってス トライプのある布 の右
上が r。 下 の人物 の頭頂が R。 大胆 な構図の中に細心
な計算が読み取れる。楕円の飾 りの竿の位置 とデュー
ラーの「1500年 の自画像」 の指先が何 か意味があるの
ではと考えた結果,試 諭②の gと rが 発見で きた。
r6
g r
31.上 の雲間 2を 頂点 とした菱形の くくり (左 の獅子
の右足 と右 の獅子 の右足,そ して 2頭 の立派な尻尾 と
画面左の雲の端)。 左の獅子の右 目はRと φと対角線の
交点。右 の獅子の目もRと 2と φあた り。2頭 の頭の頂
上 は左か らφとRと 4に 接 し,背 はR。 右のは縦 Rと φ
と対角線あた りで背は 2。 2頭 の足先 は左か ら順 に 3
右端の足 はgと r。 この足 もgと rの 位置であると私
と菱形 とg,次 は2と 接 し,右 獅子の両前足はRと φ。次 は 4。
なりに意味付 られた時は喜びであった。崖の底がφとR。 手前の岩の右端が R。
17)狩 野 永徳
rg6r4 R3φ
R
2
r &6 r4 R 目 ¢ R
2 R め 3 R4 デ6 g r
俵屋宗達 舞楽図屏風 (二 曲一双の右) 155,2× 170.Ocm
狩野永徳 唐獅子図屏風 225.0× 459 5cm 16C
17C
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
32.群 鶏 の頭や羽根模様 で大 きな菱形の くくり。一番上 の頭 と目
181伊 藤若 沖
とくちばしと首 はR,菱 形,φ ,r,gの 位置。上か ら 5羽 目の目
はφ。6羽 目の目が菱形,く ちばしはR。 7羽 目の目は対角線。一
番下 の頭が 2で くちばしは菱形。
rg6r4R3φ R 2 Rφ 3R4 r6gr
33.天 橋立 の半島の先の途切れた部分が まさにφとR。 橋立 の上の
部分 は下のφ。半島の左右の底の位置は下のR。 遠景の陸地 は上の
gの 交点。この試論
φ。手前中央付近の左 の山の頂点 は菱形 とφと
を重ねる と大 きく菱形や対角線の暗示が見えて くる (手 前 の山の
V字 形広が りや右遠景 の高山との雲の部分や橋立 の向 こうの海岸
線等)。 大学時代 に京都国立博物館 でこの作品を鑑賞 し,そ の素晴
らしさに感動 した思い出がよみがえり,こ の天橋立の途切れた部
分 のφとRを 発見 したときは大 きな喜びであつた。
R
φ
3
R
4
r
b
g
r
19)雪 舟等楊
r
g
6
Fg6 F4 R冨 め R 2 R 0 3 R 4
ど
gr
1420× 78.Ocm 18C
伊藤若沖
群鶏図
雪舟等楊
天橋立図 89.4× 168.8cm 室町時代後期
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科
6 4R3φ R 2 Rφ 3R4 6
第
6 4R3φ R 2 R
42巻
第
2号
(1991)
φ3烹 4 6
135
まず構図の特徴は手
前の岩や岩壁の槙様で菱
形の くくりと,慧 可の目
と達摩 の背,頭 の対角線
である。達摩 の頭頂が正
にφ (太 い輪郭線 を含 め
34。
4
R
3
φ
て)。 額 の被 り布が Rと
な。肩が 2。 腕 が 4。 腰
R
2
が R。 敷布が 6。 次に慧
可の断膏 した手がこれ も
正にφとRと 6。 額 と鼻先
黒 φ
3
R
が R。 目とその下が対角
線 と菱形 と4。 後頭部が
6。 襟が 4。
4
そそ り立 つ断壁 と空
との区切 りとその真下の
石段 を登る人物 が正に縦
35。
φとR。 それと対角線 と交
わるあた りに遠景の山を
切ってい る。中景の岩山
の右上が 2。 左端の山が
2。 手前の小岩 と木 の枝
と遠景の山の高さの違 い と手前の石
QO大巧如拙
r
段で菱形暗示。遠景の建物の屋根が
φ。その後 ろの山が R。
g
6
r
4
R
3
φ
尺
2
R
φ
3
R
4
r 6
g
r
雪舟等楊 慧可断臀図 182.7× ■3.6cm 15C末
雪舟等楊 秋冬山水図・ 冬景 46.3× 29 3cm 15C後 半
大巧如拙 瓢鮎図 111.5× 75,8clnの うち絵の部分(0 15C初
まず左の竹の先 と鯰 の傾 きが菱
形。中の岸 と竹の傾 きが対角線。遠
景の一番高い山の頂がRと φ。その真
下の鯰 は菱形 とRと φと rの 位置。
左
36。
端の山の頂点がφと2。 その真下の位
置 に人物 の持 つ瓢。山の端 を平均す
ると横φ。この名作 は私の試論 に正に
重なる作品である。 これ も大変な驚
きであった。
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
136
QO伝藤原隆信
r16r4R3φ
l131ttS第
R
2 Rφ 3 R4「 6BF
野済雹
rg6「 4R3φ
R 2 Rφ 3R4rる こr
37.ま ず右肩がφと4の
交点。笏 の握つている
ところがφ。
襟 と肩の境
がφ。
笏の中心が全ての
中心。後頭部が R。 刀
の鍔 が 対 角線 と 3と
柄頭 の飾 り紐 は 3
と rの 交点か ら rと 対
角線 まで垂れる。右 目
が 2。 東帯 の衣服の角
がほとんど一致 (一 番
下か ら rと R,次 の二
R。
つが左右 の rと g,次
が 6等 )。 石帯が 4か ら
下。冠 の頂が 2を 通 つ
て 6の 少 し上 (重 盛像
も全 く同 じ位置)。
まず右肩がφと3の
交点あた り。笏 の上下
がRと Rの 間。笏 の上
下 の角が縦横 Rと 対角
線 の交点。笏の握 って
いる巾はφとR。 左 目が
2。 後頭部が R(頼 朝像 と全 く対称)。 刀の鍔が Rと φと
4。 柄が横 4。 東帯 の衣服 の角がほとんど一致 (中 で も
画面左端 はRと 4,右 端 は3と 4)。 冠の頂が 2を 通って
6の 少 し上。画面の大 きさが頼朝像 と少 し違 うのに,大
きなポイ ン トの比率等が同じ考 えで制作 されていると考
38。
6 4 R ttφ R 2 Rφ
3R4
ιる。
えらオ
41.滝 の横巾が広 くなったところ (対 角線 に合わせてい
る)が Rで 巾もR。 手前 の岩 の一番上が R。 落ちた水 の
右が R。 菱形 に沿ってRま で見えか くれし最終 は右下隅
の対角線へ。月の出の右端が対角線。
7
3
8
3
︲
4
伝藤原隆信 源頼朝 139.4× 111.8cm 12C
伝藤原隆信 伝平重盛像 143.0× 112.2cm 12C
刃呂
智滝 1594× 57 9cm 13C末
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会学科 第 42巻
第
2号
(1991)
両界曼荼羅の周囲の文様帯でない中身で
矩形取 りして試論 を当てた。共 に中央 の垂直
水平 と対角線が一致 していることを確認。ま
ず縦の2つ のφと外 Rが 8つ の矩形の縦辺に一
致。次 に横の 2つ のφと外 Rが これ も横辺 に一
致。 この完全な一致をどう考 えればよいので
あろうか。金剛界 は縦横 3等 分 して 9つ の矩
形か らつ くられる。その中の矩形取 りはどの
様 な等分の区割 りも可能 であるはずであるの
に,上 記のように各辺の黄金比 と両 ,ヒ によっ
て区切 られた矩形をつ くりだしている。
39。
r
g
6
F
4
R
3
φ
R
大 日如来 を中心 に八方に垂直水平対角線
での広が り。金剛界では周辺の gと rは ぁま
り意味をなさなかったが この胎蔵界では周辺
の gと rが 特 に縦 に活かされている。縦横の
総 ての 4も 活かされている。
40。
R
φ
3
R
4
r
6
g
r
r 8 6
r 4 R 3 φ
R
R
φ
3
R
4
r
9
3
︵︶
ハ︶ ・ ︲
。 ︲
0
9
9
4
醐
両界曼奈羅図・ 金剛界 1830× 154 0cm
両界曼荼羅図・胎蔵界 183,0× 154,Ocm
TH
138
上田敏和 :絵 画における構図についての一考察
QO吉祥天像
42.両 国が縦 のRと φ。顎 は 3。
10聖 徳 太 子像
右手 は 2の 袖 口か ら出て対角線
を通 り,縦 のRと い。左手 は横 R
で,持 つ玉 もRが 真中を通 り巾
が縦 の rと 6。 頭光 の跡 は上が
gで 横巾が 3と 4。 頭 の飾 りが
縦φで菱形に接 し,下 2つが横 r
で柄 の先が 2。
43.肩 巾の最大位置が横 2。 太
冠の頂が約 R
子の腰 巾がφとφ。
と2。 笏の上が Rと 3,中 心が
φとR。 胸が全ての中心。太子 の
両袖の底がRと い。太子の冠の後
ろが縦,横 φと対角線。後 ろ髪の
底が R。 両従者 の後 ろ髪の底が
Rあ た り。左 の従者の刀の鞘 と
右 の従者の後 ろ髪が菱形線上。
太子 の刀の柄頭がφ。鞘先が 6。
44.釈 迦の顔や体 の縦の 2を 中
Rφ
3R4 rる gr
心に,対 角線,菱 形のか くれた
基本が見えて くる。注目したい
の横巾の約 φとφ
かれた頭光の巾が画面
のは濃 く描
ナ
これは
の壁面にも関連
と
じ
)。
他
である(肩 巾 約同
は対角線上
この
の頭
の位置
部
して くる。
両脇菩薩
さが釈迦の肉
の
との山形
におさまり
頭光 高
r と菱形
g 害 の高さと同じR。 両菩薩 の右 目と左 目が縦 4に
も 一致 し,横 は彩迦 の顎 と同じφ。他 の尊像の釈迦す
r ぐ横 の像 は左右の眉が 3。 菩薩 の外横の像の左右
4 の目が g,両 端 の像 の左右の目が r。 天蓋の巾が
:
R
ξ
杞
房
E聾 名
肇
昼
】
鳥
詠
暴
LE晉 恩
云
F負 墨
屋
岳
て い る。
2
R φ
3
R 4
r 6
g r
42.吉 祥天像 530× 31.7cn1 8C後 半
43.聖 徳太子像 1013× 53.5cm 奈良時代初期
44.法 隆寺金堂壁画第一号壁 (釈 迦浄土図) 天
武―持統期
│
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
3φ
Q⊃
竹原古墳壁画
第
g6r4R3φ
R 2 Rφ 3R4
2号
R
(1991)
2 Rψ
3
蓮弁の
検 φ。
阿弥陀の頭光の巾が約φとφ。印の手ぬミ
底が φ。結Bm朕 座の足が 2。 観音・勢至 の頭部 は対角線
共 に目は横 Rで 白重 は正に縦 6。
と菱形 の交点の左右。
45。
天蓋の巾がRと
R。
46.薬 師如来の頭光の巾が約φとφ。印の右手が縦,横 φ
Rと 対角線 の交点,左 手がRと φと 2。 足 の底が横 R。
多 くの尊像 のうち対角線 と菱形の山形にきつち りおさ
まる像の共に縦 4が 宝警の中心の化仏 と目を通 る。天
蓋の巾がRと R。
47.石 室の絵であるが底辺の最大 と高 さの一番上 とで
矩形を取 つて試論 を当ててみた。左右 の本 と上の動物
の耳等で菱形の くくりが見 える。 2本 の木 はRと 4に
人物の中心が 3で 馬の頭が縦 φRと 横 Rと 対角
当たる。
線 の交点部である。木の葉 の下 と枝 の中心が横 Rと φ。
横φRと 4,Rの 交点部。人物 の大 き
上の動物の背が 4,前 足が Rと 3,尻 尾が縦 Rで 後 ろ足がφとR。 両葉 の中心カミ
な腰が横 Rと φ。等々 この矩形の取 り方によつて偶然の一致である と思 うが興味深 い。
︱l l 上
法隆寺金堂壁画第六号壁 (阿 弥陀浄土図) 天武―持統期
法隆寺金堂壁画第十号壁 (薬 師浄土図) 天武―持統期
竹原古墳壁画 人 と馬 150× 200cm 6C
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
◎ 日本への黄金比流入 を柳亮 は『続黄金分割一 日本の比例一法隆寺 か ら浮世絵 まで』 の中で「ペルシャを経てまず
明代 の中国へ流入 し,室 町幕府の親明政策 の浪に乗 つて, とりわけ三代将軍義満 の時代 に,明 文化の一環 としてわが
国へ も流れ こんだ もの と解 されるのである。わが国では,仏 教の伝来 と同時 に,伽 藍建築に不可欠の技術 として 1:
啄 の比例法が流入 し,伽 藍の平面計画や,寺 地の割 り出しに適用されたのをはじめ,建 築以外の領域 にも及んで,絵
寸
lelと
画や彫刻等にも同様の比例法が適用 され,黄 金比流入以前におけるわが国の比例概念 を基礎づけた」 述べている。
私のここまでの研究で特に室町時代の雪舟の代表作3作 において黄金比率を最も重要な位置に用いていることがわ
啄比率が用いられていることが見える。室町時代以前は単なる偶然であろ
かる。それ以後も多くの場合,黄 金比率と↓
啄比率を用いた矩形も興味がある。法隆寺金堂
うか。空海の教王護国寺 (東 寺)の 両界曼奈羅の金剛界の黄金比率と↓
壁画の中尊の頭光の巾がその壁画の巾の約黄金比率の位置に描かれているのもまた興味がもたれる。
(B)古 代
(1)中 国
6
48.壁 面の中で この図 としての矩形が線
引 きしてあるので絵の全体 はよく分かる。
仏 の頭 と体 の中央が画面全体 の中央 の 2
である。
仏の頭光の巾が画面巾のφとφの
4
R
φ
R
Rあ た り。仏 の印の手が対角線。衣文の
腹の部分が中央。 これは前出の法隆寺の
第 1,10号 壁 と同 じ。衛像の両膝が縦
足 の台の底が
横φ更と対角線 との交点部。
,
R
φ
3
R
4
48.敦 違壁画 第322窟 仏説法図 初唐太宗期末か ら高宗期前半 7世 紀中頃
6。
aF︰IIIII
3
対角線 と菱形の大 きな くくり。
巾である。
対角線 と菱形 の山形の中に諸尊が対称 の
位置 に配 されてい る。上下 はバ ランスの
変化 のために変 えてあるが縦の中央から
顔な どは全 く等距離である。例 えば仏の
左右の像の中心 は 3, 2人 目の左右の像
の左 目 と右 目が 4。 天蓋の横が 6,巾 が
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会学科 第 42巻
第
2号 (1991)
141
49.頭 光 (肩 巾も)が 画面巾のφとφの巾。天蓋の
巾がRと R。 菩薩の顔が対角線 と菱形の横 4。 額
の化仏が対角線 と横 6。 仏の自亀 は 2と 6の 交点。
一番下 の台の巾がRと R。
4
R
◎法隆寺金堂壁画が第322窟 壁画等,中 国初唐の敦
燿壁画か らの影響 を受けていることはよく指摘さ
れ知 られている。注 目すべ きことは頭光の横巾が
この両図共 に前出の法隆寺壁画 と同じ頭光巾の約
φとφの位置や脇菩薩の対称的な配置などが壁画面
3
φ
R
R φ
の横巾の大 きさが異なるのに同じような比率の位
置 に描かれているということは壁画面巾に対 して
の比率の考え方 も存在 したのではないか。そして
それ らを応用 したのではないか。仏の位置がここ
にあげた日,中 の 5例 で も (下 記 のインドの例 も
であるが)画 面巾の完全に1/2で あることか ら,少
3
R 4
な くとも画面巾全体の中での1/2を 計算 しているこ
とはまちがいない。それに基づいて対称 の位置が
決 まる。 ということは当然おおよその感 じで描い
ているのではな く,画 面巾全体の中での位置 とい
うことが意識的 に計算 されて作画 されていること
がうかがえる。
50。 塔の頂がすべ ての中心。天蓋 と塔の台の横巾
がφとφ。台の上 と下辺が 2と R。 中央の人物の顔
が横 Rで 手がφ。塔の横のセンターが Rと φ。
51.仏 の像が まだ表現 されていない時代 で円座が
仏 とされているがその台座の上辺が横φ下辺が R。
52.同 じく横φの横長の長方形が仏。対角線 の右下
のも仏 とされている。
上の横 Rと φとRが 舟 と人々。
51
敦連壁画
第 444窟 仏説法図
盛唐
アマ ラーブ ァテ ィ- 2C後 半
帰郷説法図 アマ ラー ブァテ ィー 2C
龍王護塔
尼連禅河渡渉 の奇蹟 図
(サ
ンチー大塔東門柱 )
上田敏和 :絵 画における構図 についての一考察
142
(3)イ
ラン
6 4
φ
B55
53.全 体 は円の中の菱形の くくり。馬 の腹 と背が横φとφ。弓の弦を引 く手がφとR。 帝王の肩,腰,足 は 2。 それに
弓の先が共 に 2,そ の二つの曲が り部分が菱形 と対角線。上の獅子の頭上が 6。 馬 の首上が R。 下 の獅子 の首上が R。
しか も両獅子の頭部 は対角線 と菱形。
54.下 辺の文様でない部分 の横巾 と上の半円の文様で区切ってあるのを上辺 とする矩形 を取つてみた。左の 3世 の額
と神 の目が横 φ。神 の右手 と右下隅の蛇が対角線。3世 の手 と神 の腕輪が横 2。 中央 の絵文字が縦 の 2。 3世 の持物 か
ら注 いでいる 2つ の器が縦 ψとR。 神 の持物 と膝か ら下がつてい る物がRと φ。
55.牛 に逆立ちで乗 る人物が縦の 2と 牛 の後 の背が横 の 2。 牛 の前足 と尻尾 と右の女性の手 と頭が対角線。女性の爪
先が gと
r。
53.銀 製帝王狩猟図盤 経25。 lcm
4C
54.ア メン神 の前に立つ トトメスニ世 幅150cm 第18王 朝 (B C 1567-B C 1320)
55.闘 牛士のフレスコ 高さ約62cm B C1500年 頃
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会学科 第 42巻
第
2号
(1991)
(C)ヨ ー ロ ツパ
(1)ジ
ョツ ト
6 4R3φ R 2 Rφ 3 R4 6
4
R
3
φ
R
R
φ
3
R
4
58.'中 央 の人の頭がすべての中心。その右手が対角線。
キリス トの額が 6と 4の 交点。両手が縦のφとR。 右足の
聖痕が正 に菱形 と3と 6の 交点。キリス トを抱 く女性の目が菱形上。手が対角線。
ジョット 小鳥への説教 (聖 フランチェス コ伝) 270× 200cm 13C末
ジョット ユダの接吻 (キ リス ト伝) 200× 185cm 14C初
ジョット キリス トの死 への悲 しみ (キ リス ト伝) 200× 185cm 14C初
R 4
左の耳 を切 り落 としている人物 とユ
群衆 の頭の上が横φ。
ダ と右端の人物の頭の上が検 R。 ユダの頭が縦 2,肩 が
中央。左 の背を向けている人物 の左手 と服 が菱形。右手
前 の人のキリス トヘの指先がφ。キリス トの頭上の棒 2本
がψとR。
R 2 Rφ 3
57.正 にテーマの通 リキ リス トとユダの接吻が対角線上。
R3 φ
点部。右手がRと Rの 交点。飛 んでいる鳥が対角線 と横
φと縦,横 3,縦 R,4の フォルム。右 の葉の上が 6,左
横がたて 2,葉 の底が横 2。 左端の葉の右が対角線 と菱
形 と4。 下の葉 の右が R。
6 4
56.聖 フランチェス コの顔が正 に縦,横 φRと 対角線 の交
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
(2)ア ヴィニ ヨン派
6 4R3φ
r86r4R3φ
R 2 R
R 2 Rφ
ン・ フアン・ アイク
rg 6r4R3¢ R 2 Rφ 3
(31ヤ
φ 3R4
3鷲
R4
4r68r
59.先 ずバ ツクの空 との境が横φ。キリス トの目が縦φ。
g
6
中央 の人が 2。 左右 の女性で菱形 を暗示。左 の男性 の
目がφ,手 が 2。 キリス トの腰下の布 は対角線,離 れて
ある小片 は菱形,φ , 6あ た り。
4
R
3
φ
庶
2
R
60.シ ャンデ リヤの中央 と鏡 と氏の左手 の袖 口と犬の
右足が 2。 ロウソクと夫妻の顔が菱形 を暗示。 シャン
デ リヤの横巾がφとφ。夫妻で重ねている手が縦,横 R
と対角線。婦人 の左手 と氏の右手 の袖 口が横φ。その立
てている手 の指先が R。 左下の履物が対角線。
φ
3
R
4
6
61.幼 いキ リス トの目と左手が縦φ,右 手が対角線。聖
母の手 と左の人の袖口が横 2。 聖母 と男性 の頭が菱形
線上。 2本 の柱が共に縦 r。 柱 の飾 りが横 r。 地平線
が 3。 中景 の後向 きの右の人物がすべての中央。
59.ア ヴ ィニ ョン派 ブ ィルメー ブ・ レ 。ザヴィニ ョンの ピエ タ 162× 218cm
60.ヤ ン・ ファン・ アイク アル ノル フ ィーニ夫妻 83.8× 57.2cm 15C
61.ヤ ン・ フ ァン・ アイク ロラ ンの聖母 66× 62cm 15C
15C
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会学科 第 42巻
第
2号 (1991)
145
62.椅 子の背の巾が正にφとφの巾。その
取っ手が対角線 と縦,横 の 3。 キリス ト
b 4 R3φ R 2 R φ 穂 く4 6
の左足先 は対角線,右 足先 は 2と φの交
点。右手 は横φ。聖母の手が縦 と横φの交
点。左右 の人物 の額が縦,横 の 6と 対角
線の交点。右の膝 を付 く人物の頭が Rで
目が縦 4。 手の先 は縦,横 Rの 交点。左
の人物 の持つ十字架 は正に縦 4,横 4の
交点。
等々計算 し尽 くした構図 といえる。
前出の法隆寺や敦連 の仏画 と共通する要
素が多 くある。聖なる表現における時代
と地域 を越 えた人類の知恵であろうか。
63.聖 母の左右の手,左 右の女性の手が
菱形 を暗示。幼 いキリス トの右手の指が
正 に縦,横 φRと 対角線 との交点。左手が
Rと φ。
左右の女性の頭 とキリス トの頭 と
窓が横 R。 聖母の左後の建物 の線が正に
右か ら縦φ, 3,R。 窓の線 も4。
64.キ リス トの顎がすべての中央で鳩の
頭 とキリス トの右足 までが縦 2。 キリス
(4)ピ
ェ ロ 。デルラ 。フ ラ ンチ ェス カ
6 4R3φ
R
2 Rφ 3 R4
る
卜の両肘 の巾が正 に
φとφの巾で縦,横 φ
Rと 対角線 の交点。
右 の人物 の洗礼の手
と皿が 2と
Rの 交点
で右足 が R。 立 ち木
も対称 の R。 左端 の
女性 の右手 が菱形で
次 の二人 の右 目と左
目が 6と
4。
半円 と
矩形 の区切 りが正 に
横 3で 鳩 の翼 も。 こ
の作 品 も東西 の聖な
る表現 に共通 の要素
が 多 い。
ヤン・ ファン・ アイク ファン・ デル・ パー レの聖母 122.1× 157 8cm 15C
ピエロ・ デルラ 。フランチ ェスカ セニ ガ ッリアの聖母 610× 53.5cn4 15C
ピエロ °デルラ・ フランチェスカ キ リス ト洗礼 167× 116cn4 15C
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
(5)ボ
65.中 央 の ビーナスの
ッティチエル リ
6 4 R 3φ
R
額 と右 足先 が 縦 の中
心。その腹部が全画面
の中心。キュー ピツト
Rφ 3 R4
る 4 R3φ
の中央の羽から 3美 神
の上の手組み と右端 の
風 の神 の顔が菱形上。
3美 神 の上に挙げた手
組 みは菱形 と対角線 と
R 2 Rφ 3 R 4 6
「
g6F4R3φ
R
Rφ
3寂 4「
4の 交点。右端 の美神
の顔 と目 も対 角線 と
縦,横 φに接す る。体 の
その中
中心線 は縦のφ。
の手組 みは横φとRと
縦 4の 交点。一番下 の
手組 みは正に縦,横 の
φと対角線 の交点。中
の美神の体の中心線 は
R。 ビーナスの右横 の
女神の顔 と目が対角線
で縦 の 3の 交点。
6gF
66.ビ ーナスの右 から
r 猛
F
食
畳
φ
R
2
景
と
R
4
r 6 F
ボ ッテ ィチ ェル リ 春 203× 314cn1 15C
ボ ッテ ィチ ェル リ ブ ィ―ナスの誕生 172.5× 278.5cm
15C
布 を差 し出す手 と風神
達の体の傾 きが上の菱
形,下 は貝 のV字 形に
よる菱形の画面の くく
り。右 の半島 と水平線
が上の横φあたり,下 は
貝の頂点が正に縦,横
φと対角線 の交点部。
その舞台装置の中で立
つ主役の ビーナス。体
の重心 は中央 の左足
に。頭頂 は r,乳 房 は
Rと 3,謄 はφあた り
,
左手 は 2と 対角線,膝
が 3と Rそ して右爪先
が縦 R。
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
(6)ボ
ッス
4R3φ
R φ 3R4
R
第
2号
(1991)
6 4 R 3 φ
67.手 品師の指先を見 つめる人物の顔が
正 に縦,横 φRと 対角線 の交点部。人物群
の端が 2。 机 の線が見事 に一致する。す
なわち上辺が横 2,下 辺が 3で 両 コーナ
ーが対角線 と縦 の 3と の交点。手品師の
玉 を持 つ手が縦,横 の Rの 交点。籠を持
つ手が Rと φ。机上 の物 が縦,横 のRや φ
R 2 R φ 3 R 4 6
と2の 位置。空 との境が横 6。
68.キ リス トの額がすべての中心。十字
架が対角線。菱形 の くくり(右 下の人物
右 の中の人物,そ の上の人の襟,中 の人
物 の口と目,十 字架の上の人物の目,左
の女性の帽子)。 キ リス トの目が横 2を 始
めとしてほとんどの目が Rや φなどの線に
かかっている。
,
69,顔 の中心線が 2。 顔 の横巾がφ。目尻
がRと 4の 交点。顎が横 R。 大 きくは頭
と手を頂点 とする菱形の くくり。胸元 の
自が 2と Rの 交点。前 にも記 したがこの
6 4R3φ R 2 Rφ
3 R4
る
人差 し指の先の位置の必然性 を求めて r
を見つ けた作品である。
(7)デ ュー ラ ー
ボッス 手品師 53バ 65cm 15C
ボッス 十字架 を担 うキリス 卜 76.5× 83.5cm 16C初
デューラー 1500年 の 自画像 67× 49cm 16C初
絵画 における構図についての一考察
18)ジ
ォルジ ョーネ 十テ ィツィアーノ
3R4
R 2 Rφ
6 4R3φ
191レ
オナル ド・ グ・ ヴインチ
6 4R3φ R 2 Rφ 3 R4 6
4
R
3
φ
R
R
φ
3
R
4
(立 っている女性 の肩か ら左手 と支えている右手 と
っている女
膝 と座
性 の左足か ら腰 )。 中央 の男性 の顔のシルエ ット
べて
がす
の中心。
笛の国が 2で 持つ手がRと φと3の 交点で笛 の先
と肘が対角線。男性 の楽器 を握 る左手が縦,横 R,φ と対角線の交
点。左 の本 と支 えている腕 が縦 の 6。 座 している女性 の臀部が横
70.菱 形暗示
6。
71.聖 母の胸元がすべての中央で右 目が対角線。広 げている左手
が横 R,縦 R,φ と対角線 と交わる。幼児 の頭がそれぞれ横 Rで 立
てている指先が R。 またそれぞれの目が縦,横 のφ。合掌 の手が 3
とRの 交点。
右 の女性 の右手が対角線 と縦 の 3と φとRと 交わり横
3の 位置。上の岩 の隙問,左 右 の一番上が 4と 対角線 と菱形 の交
聖母の頭上の隙間の岩 はφと
点で下 の人物 の手などで菱形を暗示。
Rの 巾で横φまで。
73.額 の飾 りと鼻 の縦線が R。 右 目が φ,左 目が 2で 横 R。 頭が横
gと 菱形の くくり。両頼が対角線。すべての中央が首飾 り。胸元
が正 に縦,横 φRと 対角線 の交点部。手前 の横板が gと r。 左肩が
2c
70。
ジォルジョーネ十ティツィアーノ 田園の合奏 110× 138cm
16C初
71. レオナル ド・ グ・ ブィンチ 岩窟 の聖母 199× 122cm 15C
末
73.レ オナル ド・ ダ・ ブィンチ 婦人 の肖像 62× 44cm 15C末
rg 6「
4R3φ R 2 Rφ 3R4 r6gr
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
第
2号
(1991)
6 4 段こ φ R
2 Rφ 3 R 4 6
r4 R3φ R ? Rgう O R4「 6 g r
72.左 右 の上隅のコーナーを頂点に上辺を取 り,画 面左下 の
白い横線 を下辺に取 つて試論 を当ててみる。天丼のセンター
:
r
4
象写ヲ 空夕恋基万酵奨七で生贔写古F子 民を伝咎ほ系筆写真
卜の右類。天丼 と正面の壁の境が横の 6。 正面 と左右の壁の
境が縦 の左右の 3。 正面のアーチの下の横線がφ。左端の窓の
:
三
争を│::二 ζ3二 喜ご曽馨壕ζ;争 1争 :を 争 ξ写 ::
人物群 の顔 はほ とん ど横 2を 通 るが ユ グの頭 は少 し落 として
2
縦 の R。 肘 ついてい る右手 はキ リス トの左 目 と同 じ対 角線 上。
R 74.頭 部 と右手 で菱形 の くくり。胸元 と右手 の 甲が縦 のφとR。
!
R
4
(像 と共通点が見 えて くる。
左 の手招カミ
横 Rφ あた り。73番 の婦ノ
頭 が菱形 に接 し両 目鼻 が縦 のφとRと 2。 左肩が 2。 婦人像 の
手前 の手招が モ ナ・ リザで は手 に発展 させている。
6
g
r
72.
74.
レオナル ド・ グ・ ブィンチ 最後 の晩餐 460× 880cm 15C末
レオナル ド・ グ・ ヴィンチ モナ リザ (ジ ョコンダ) 77× 53cm 16C初
上田敏和 :絵 画における構図 についての一考察
10ミ ケランジェロ
4
R
6
4
R
3
R 4
イ│ 、
子ヽ
6
6
4 霞3 9 R
2
日9ご4
6
照
2
Rφ 3R4
FtFnit子
6
4 R3 9 R
2
R9S4
6
神 の他の指が Rで あることから私 は雪
75.ま ず特筆すべ きは神の人差 し指 とアダムの人差 し指の位置が正にφである。
舟 の天橋立 の半島の先の途切れた部分のφとRを 連想する。よく似た時代 に東西の国々で黄金比を用いた同 じ偉大 な発
想があったことに感動する。アダムの目か ら右肩,左 の爪先,神 の足か ら頭へかけての菱形の くくり。神 の下の布の
対角線。神のバ ックの大 きな布が 2。
76.蛇 の巻 く木が中央。 アダム とエバ の手足等で菱形 (蛇 の尻尾 も)く くり。地平線がψ。左端の岩が上 φ。追われて
よけるアダムの手 と首が対角線。
ミケランジェロ アダムの創造 280× 570cm 16C初
ミケランジェロ 原罪 と楽園追放 280× 570cm 16C初
t 出 T ︲t ■″ 払 口 ︲ ︱︱
lt出 戸 μ l l ︲t l ︼ ″ ︲i
i脚
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会学科 第 42巻
第
2号 (1991)
151
3
R
4
77.二 つのアーチの頂 を上辺 に左右の壁の境 を横 巾,一 番下 を下辺 とする矩形 を取 った。キ リス トの真上の飾 りの
小 さな突起が中央であるのでキ リス トの左足が縦 の 2で あることがわかる。その爪先が横 Rで 右足の膝 がφである。左
手 は横 R。 右手の肘が縦 R。 頭が横 4。 マ リヤの顔が縦横 Rの 交点。足が Rの 交点 と対角線。キ リス トの近 くで右側
の白髭の人物の顎が横 R,腕 が対角線。両足が縦 3と R。 これに対応する左側人物の顔が縦横 Rの 交点で両足が 4と
画面中央の二人の人物が対角線。皮 を剣がれた人物が縦 Rに 沿って下げられ顔が横 2と の交点。肘をついて凝視
する人物が縦のRと 横 Rと φと対角線。上が空いていて横φか らラッパ を吹 く人 々で一番下 のラッパ の先が縦 φとRの
R。
間。舶先で棒 を振 る人が縦 Rで 足先が菱形。それに対応する左の群像が縦 Rと 菱形。その左右の水辺が横 6。 全体で
は菱形や対角線の くくりが暗示されている。
︱︱ ﹂ 止
77. ミケランジェロ 最後 の審判 1370× 1220cm 16C
QOラ ファエルロ
r
g
6
r4R3φ
Rφ 3R4
R
「
6
g
r
g 6
F 4
寂 3
あア R 2
R φ
3
R 4
r 6
g r
r86r4R3φ R 2 Rφ 3R4 r6g r
まず舞台装置である建物では中央 のアーチのす ぐ上の横線がR,
r,次
け その上がφ,そ の上のアーチが 3,次 が 4,次 の逆アーチ形が
ど の 6が 左右の柱の飾 りに一致。一番上 のアーチが g。 縦 を見 ると中
6 か ら左右のR,φ ,3,R,Tが 対称 で主要な区切 りで一致 し6は 左
: 右 の彫像の中心線で頭 は対角線。 この左右対称 の舞台装置で中央 の
R プラ トンとアリス トテレスの二人 (顔 が対角線で足元が横 R)を 中心
78。
3
く
にして横 2よ り下 に群像が中央 を空けて R等 のポイン トをおさえて
配 されている。
TI‘︱ 十 11 1 I I I 千 =
︱︱
上田敏和 :絵 画における構図についての一考察
2 79.聖 母の右 目が縦 R,顎 が横 R。
16C初
L
ラファエルロ アテネの学堂 底辺770cm 16C初
ラファエルロ 聖母子 と幼 い聖 ヨハ ネ (美 しき庭師)122× 80
︱ とEE▼﹁
i
3
i
遠景山波が横φ。キ リス トの右 目
が縦 R横 2の 交点。左手の先がすべての中央。右手が縦横 のφと対角
線 の交点。両足が対角線。ヨハ ネの鼻がφと2の 交点。十字架 を持つ
手がRと 2。 右膝 と腕が対角線。左手 と足が縦 Rと rと rの 交点。
聖母の足が 2と gの 交点。背景 の塔がφと対角線 とgの 交点。
I
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
tDプ リューゲル
6 4黒
3φ
R 2 R
φ 3R4
6
第
2号
(1991)
6 4R3φ R 2 R
φ3R4
6
QOエ ル・グレコ
6 4鷲
R 2 Rφ
3 φ
3 R4
バベルの塔の頂が 2で 下辺の 2の 左右で菱形暗
示。地平線がφ。左下人物が対角線。塔 に登 る坂道が
右の縦 Rφ と横 Rと 4の 交わる部分。
80。
4
81.絞 首台がすべての中央でそれに止 まるかささぎ
R
3
と左下の人物の頭が対角線。人物達 の上の本がφと
地平線が 3。
R。
φ
痕)力 ゞ6。 左の寄進者の目と合掌する手が 6。 右の
寄進者の目と指先 も 6。 その人々 とバ ックの雲形 と
キリス トの頭上の紙 で菱形暗示。
2
R
82.キ リス トの左 目 と右足が 2。 十字架 の両手
R
φ
8
R
4
ブ リューゲル
バベル の塔 114×
155cm 16C
50.8cm 16C
プ リュー ゲル
絞首台の上 のか ささぎ 45.9×
エル・ グ レコ
2人 の寄進者 によって崇拝 され る十字架 のキ リス ト 250× 180m 16C
(聖
TII︲︲︲
上田敏和 :絵 画における構図 についての一考察
154
6 4R3φ
2
R
83.群 像 の頭が横 R。 伯の顎が 2。 伯 を抱 く2人
Rφ 3 R4
の人物 の顔が横 R。 キリス トの右 目が菱形。 その
膝元 の群像が横 6。 その内の左右二人の背が菱形。
下 は伯 を抱 く人の腕や袖 と布 で菱形。
84.右 の馬 の首 と脚 と下 の女性 の爪先 と抱かれる
女性 の右足で大 きく菱形の くくり。抱 かれる女性
の手 と太股 と下 の女性の右腕が対角線。抱かれる
女性の左手 と臀部 と右足 と右の男性 の顔が対角線。
その女性の顔が縦 Rと φと横 4と Rの 交わる部分。
上の男性の眉間 と下の女性 の臀部 と爪先が 2。 左
の地平線が R。
R
φ
3
R
4
83
1141ル ー ベ ン ス
6 4R3φ
R
83.エ ル・グレコ
オルガス伯 の埋 葬 487.7× 360.
7cm 16C
84.ル ーベ ンス
209cm 17C
レウキ ッポスの娘 の掠奪 222×
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
2号 (1991)
第
85。
155
この下絵 を見ていて,分
割線 の跡が残っているのを見
つけ (87図 )ル ーベ ンス もこ
のようにして制作 を進めてい
た事実を確認 したのである力比
後 日私の試論 を重ねてみると
見事 にこのように一致 し,感
激 した。先ず中央 の彫像のよ
うに立つ人物の台座 にある線
は画面の 2に なっている。 こ
れは当然 として,左 右 の柱 と
その彫像 に引かれている縦線
が正にRに 一致する。あ との
部分 は見て分かるよう│こ ほと
んどがピッタリと重なる。す
なわち中の人物の左肩がすべ
ての中央 で,た なび く衣 と捧
げもつ棒 の先が対角線で左手
の指先が R。 その右下の女性
の顔が縦,横 φRと 対角線の交
わる部分である。建物の内側の左右が縦 φで上部が横 Rと φ。頂上 の二人の人物 か ら柱 の上の左右の壷が菱形。下 は柱
の間にいる人物達の手が菱形上。建物の上で貝を吹 く人獣が縦横 6と 対角線の交点。中の男性 と右の女性の差 し合 う
手の間はRと φ。 ミケランジェロのアダムの創造の手のように。
86.試 論② を重ねると周辺の柱が r。 その上の人獣が持つ両飾 り物 の中心はや はりr,底 が横 rで 対角線 に接する。
左右の柱の間にい る 4人 の体の中心を gと rが 通 る。
87.分 割線が分かるように部分 を載せる。台座 と左右の彫像の中心線が残っている。
ルーベ ンス アン トヴェルペ ンを去るメルクリウム (下 絵)77× 79cm 17C
ルーベ ンス アン トヴェルペ ンを去るメルクリウム (下 絵) 77× 79cm 17C
ルーベ ンス ア ン トヴェルペ ンを去 るメルクリウム (下 絵)の 部分
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
156
88.右 目が対角線 とφ。左 目
00ハ ルス
が縦 2。 右 目 と鼻 と口と左
腕が対角線。顎 と右手 とバ
ックの流れが対角線。横 4
` か らの豊かな胸元が三Eに φ
t とRと 6と 対角線。両襟 と
¢ 左の髪飾 りの紐の輪が横
2 2。
キリス トの額が横 2。
i 左 目 と右手が縦 φ。右 の二
立つ
と 人の人物が縦 のRと φ。
人の手が縦,横 Rと 対角線
: 89。
3φ
R 2 Rφ
の交点。
右の人の手がφとR
の交点。肘が縦,横 Rと 対
角線 の交点。左端の女性が縦 6で 手が横 Rと φ。机
のセンターが横 R。
3 R4
博士の口が正に縦,横 φと対角線 の交点。しか
も左手が縦φ右手が横φ。右肘がすべての中心。次
4
の人の目が縦 2。 鼻が横 R。 次の人の左 目が対角
R
3
φ 線。次の人 の右 目がφと2の 交点。次の人 の屑間が
R
対角線 と縦,横 3。 次の人 の左 目がRと 6の 交点
2
手が横 φ。死体の目がRと 3の 交点。頭 の上や博士
90。
6
,
3
91.群 像 の頭や足や手の菱形 と対角線 の大 きな く
くり。中の二人の人物 の顔が正に左右の縦φとRの
ている位置は縦 2と 横φとR。
勝利の冠 を戴ヤゝ
位置。
88.ハ ルス ジプシーの娘 58× 52cm 17C
89.レ ンブラン ト エマオのキ リス ト 68× 65cm 17
C
90.レ ンブラン ト テ ュルプ博士の解剖学講義 169
5× 216 5cm 17C
91.ベ ラスケス バ ッカスの勝利 165× 225cm 17C
l
ド憔出 F l = = = = ﹂ F l l
ど 台FH= ︲
の帽子等ほとんどの線 に掛かつている。それに立
っている人 と左端の人 と死体 とで菱形暗示 と右下
段
4
に立て掛 けてある本 を含む両対角線の大 きな くく
りで この緊張感が出ているといえる。
6
S
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会学科 第 42巻
6 4 R 3φ
R
6 4R3φ
庶
第
rgる r4R3φ
2 Rφ
2号
黒
(1991)
2 Rφ 3R4 r6gr
3 R4 6
92.降 服の印を渡 している人物の顎がすべての中心。勝
者の目が対角線。群像の頭が横 φ。勝者の槍群の左端が正
に縦φと重なっている。煙 と右の馬の首が菱形。地平線が
横 6。 右の馬の後脚が縦 Rと 対角線。
93.頭 ,袖 ,左 手の菱形。左上の椅子の飾 り,襟 ,膝 の
対角線。左肩右手,袖 の対角線。右手 の指輪が縦 φ。右目
は縦 R。 左手 は横 Rと φ。紙 は横φとRの 間。椅子の背の
横 は横 rと 4の 間。
94.工 女の左 目が縦 2と 横 3の 交点。それを囲む対角線
の一つは左の腰元の背か ら頭の線で右上の窓へ。 もう一
つは右の腰元の体の傾 きか ら入口に立つ人の手 を経て
描かれているキャンバ スの角の対角線。画家の頭 と鏡や
,
入 回の上縁が横 2で 王女 は画面の中央 を頂点 とする二等
辺三角形の正に中央 に立っている。左右の腰元の顔 と入
回の右側 と鏡の左側が縦 φ。左の腰元の肩 は縦,横 Rと 対
角線の交点。王女の左肩 は縦 2と Rの 交点。入回の ドアの底 も横 R。 その入回の外の階段の上 は横 φ。そ こに立つ
人
物 は縦 R。 鏡 に映 る工の顔 は対 角線,妃 は縦 R。 画家の目とパ レッ トを持つ親指 は縦 4,筆 を持つ手 は正 に Rと
横
φの間。キャンバ スの右端 は縦 6。 右に立 つ女性 も縦 6。 犬の前足 はRと φ,右 日と鼻 はR,後 足 は 6。 正 に計算され
尽 くした名作中の名作 といえるか。
ベ ラスケス プ レグ降服 307× 367cm 17C
ベ ラスケス 教皇 イ ンノケ ンテ ィウス10世 140×
ベ ラスケス 腰元 たち 318× 276cm 17C
120cm 17C
上田敏和 :絵 画 における構図 についての一考察
158
loプ ーサ ン
6
4R 3φ
R
Rφ
95.女 性 の目と爪先が正に縦 φ。中央 の石
右の男性の顔 は縦 2と 横
碑の上辺 も横φ。
φとR。 右手 は対角線でその持つ棒 は上が
R,下 が 6。 左の人の棒の上 は菱形 とR
3 R4
6
4
R 3
φ
の交点で下 は菱形 と6の 交点。左右 の山
の端や中の人の足で全体 は菱形のくくり。
左の本 と左の人の頭 と手 と右 の男性の膝
と女性の上衣 の下 とが対角線。膝ついて
R
いる人の左爪先 と右 の男性 の手 とが対角
2
線。左 の人の腰 と腫が縦 6。
R φ
3
96.の みを取 る手が縦横のφとR。 そのう
R
4
6
えの乳頭が縦横 のφと対角線 の交点。その
右 のがφとR。 額が縦 2。 目 と口が縦 Rと
φ。両足 の膝あた りが正に縦,横 φRと 対
角線。 ロー ツクの炎の上が横φ。
97.左 か らの建物 の端が縦 2。 右の建物
群 の巾が縦 Rと 縦 rの 塔。屋根 の横線 が
φとRあ た り。塔が右の縦 Tと 6,左 の r
と一致。手前の右の人物が縦 R。
QOフ ェルメール
QOラ ・ トゥール
6 4R3,R 2 Rφ
3R4
rg 6r4R3φ
R
Rφ
3R4 r6gr
r g る
r 4
R3 φ
R 2 R φ 3
R 4
r 6
g r
ノーサン アルカディアの牧人 85× 121cln 17C
ラ・ トゥール 蚤を捜す女 120× 88cm 17C
フェルメール デルフ トのりし
望 985× 117.5cm 17C
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
4R3φ R 2
6 4R3φ
R
庶φ
第
2号
(1991)
3R4
98.壁 掛 けの左が縦 φ。楽器が横 2。 机上 の彫刻の顔面
が横φ。モデルの右 目が対角線。画家の足 と椅子の足 は
右 か ら対角線,縦 4,Rと 3,φ とR。 シャンデリヤと
カーテンで菱形の くくり。
2 Rφ 3 R4
6
99.レ ースを編む部分が正に縦,横 φRと 対角線の交点
4
R 3
φ
部。左 の布の端 と左手の上が横 2。 頭 と背,布 と糸
レース台飾 り等で菱形。左 目 と鼻が縦 2。 右 目が横φ。
右の髪 を曲げた部分が縦,横 φと対角線。レース台の脚
g。
1ま 縦
,
R
2
R φ
3
R
4
98.フ ェルメール ア トリエ の画家 130× ■Ocm 17C
99.フ ェルメール レース を編 む女 24× 21cm 17C
100。
フェルメール 地理学者 53× 46.5cm 17C末
100.顔 の目鼻口部が正 に縦,横 φRと 対角線 の部分。
コンパスを持 つ手 も全 く同じ下の部分。左手 は縦 2と
φの巾で横 R。 窓の下が横 2。
上田敏和 :絵 画における構図についての一考察
160
1211シ
ヤ ンパ ー ニ ユ
6 4黒
2 Rφ 3 R4
3φ R
山口
■Dr十ltよ、
魚
2
鷹φ
101.右 の人の頭 と足で対角線。同 じ人の衣服 と立ってい
る人の頭で菱形暗示。右 の人の右 日は対角線 と菱形 と縦
横 4の 交点,胸 の十字 は横 φとR。 左の人 の顔 はφとRの
3R4
Lq
トー
6 4R3φ
巾で 日は横 6。
6
i球
云
み
扁
篇財話
黙繁Д
来
曳I鷲き
黒乗
:専BB;B争
艶鴛属
風景にあっては
】が4。 白雲の横の途切れ巾が横のRと φ。
6雲 の形 も重要な要素になってい る。
103.中 央 に立 つ男性が 2。 女性の顔が対角線。その右で
両手を取 り合 っている二人が縦,横 φRと 対角線の交わる
位置。右端 のカップルの男性が縦 R,女 性が 4で 顔 が横
φ,白 いスカー トの中心は縦横 4と 対角線 と菱形 の交点。
右端 の彫像 は試論②では縦 grの 位置。 その顔部分 は横
φとRと 菱形 の交点。右 の大樹 の左端 は 2。 画面左 の山か
崖の凸部 は横 R。 遠景の三角形 の山頂 は対角線。かすむ
Qnシ ャルダン
6 4R3φ R 2 Rφ 3R4 6
地平線 は横 2。
104.鼻 を通 る顔の中心が縦ψ。額を菱形が通る。二段 に
φ
3
重ねた大 きなパ ンとそれを持つ手力滞静 とR。 その後 ろの
皿 と壷の中心を通 る菱形。その皿 の中心 は縦 6で それは
その真下の黒 い瓶 の中を通る。靴先が菱形。右手が横 2
と縦 Rの 交点。その肘が縦,横 φRと 対角線 の交わる部分。
包か ら斜 めに出た買物 が横 Rと 縦 Rと 4。 その真下に床
上の皿。
6 101.シ ャンパーニュ 1662年 の奇蹟
165× 229cln 17C末
102.ホ ッベマ ミッデルハルニスの街路 102× 140cm 17C末
103.フ トー キュテラ島への船出 128× 193cm 189
104.シ ャルダ ン 買物帰 りの女 47× 37cm 18C
kHrド ︲
ヽb■TRド に︱ ト ー慟 L D 耳 、 ﹁
︲︲
:
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
4R 3φ R
Rφ
3彙
2号
(1991)
105.盾 の真 中が正 に縦,横 φRと 対角線の交
点部。そして割 って入 る女性 の顔 と首 も対称
の部分 のそれ。戦 う 2人 の男性 の顔が横 2。
子供 を寺って捧 げる女性 と子供が縦 R。 その
子供の頭が横 3と 対角線。城 の崖の右端部分
が縦φ。右 の一番長 い槍が縦 6。
QOダ ビッド
6
第
4
106.婦 人の手がすべての中央。頭 とベ ッドの
背 もたれ と脚 の付 け根部 と布 の下がつた方向
と右 のベ ッドの付 け根 と右のベ ッ トの背 もた
れで菱形暗示。その背 もたれの曲が り部分が
横φ。ベ ッドの手前の脚がそれぞれ縦 rと r。
踏台が横 g。 燭台が正に縦 r。
4
良
107.ナ ポレオンの頭部が正に縦,横 φRと 対
角線 の部分。捧 げる冠 も横 Rと 対角線。冠 を
授 けられる皇后 の頭が横 Rと 縦 の 2。 合わす
手 も 2。 列席の人々の頭 もナポレオンの頭 と
r6
同 じ横 R。 十字架が画面の全中心あたり。画
面中央上段の人々の頭が横φとR。 画面右に並
ぶ垂直 の棒 の左端が縦 4。 右 の柱の内側が縦
6,中 の柱の飾 り角が 3,柱 の中央 の凹部が
φ,左 の壁の角が 6。
4R3φ
黒
4
6
4 健3 φ R
2 R¢ 3 R 4
6
グ ビッド サ ビニ 386× 520cm 18C末
106.ダ ビッ ド レカ ミエ夫人 173× 243cm
105。
19C初
107.ダ ビッド ナポレオンの戴冠式 610×
931cm 19C初
上田敏和 :絵 画における構図についての一考察
162
QOジ ェリコー
6 4'R3φ
4
R
6
108.水 平線が R。 帆柱 は画面の左の縦 Rを 横φと
の交点を支点 として少 し左へ傾 けた位置。船が見
えた方向を差す手が縦φと上の横 Rと の交点。筏の
先 で立ち上がって布 を振 る人が縦 R。 頭 は菱形 と
│
交わる。 その下で振 る人 は縦 4で 布 は横 Rと 菱形
悽
弩
言
傷
盗
綺
顎
を
報を
え
雅百
星
物
手
の
き
な
く
く
り
形大 。
菱
】の
i ?奮
争号
暑
魯
怠
ζサ 号
〔ご
llさ ::尼 ::写
:ζ
│と
バ
の男性
か
ら
画面右下
ックにして工の右手
目)を
108
Q⊃
ドラクロア
6 4R3φ
R 2
魚φ
3R4
の爪先への対角線上の場面が主。ベ ッドのコ‐ナ
ーの象の耳がすべての中心。工の顔 は縦 4横 6の
交点。足元の女性 の顔,肩 あた りが縦,横 φRと 対
角線 の交わる部分。左右の伸ばした手が縦 4,2。
その下の男性の肘が横 2と φ,Rの 交点。画面右 の
女性の胸 を刺す短刀が縦 Rと 横 2の 交点。 その男
女 の目が債 2。
菱形 の くくり(高 らかに旗 を持 つ手を頂点 に
の頭
女性
,銃 剣,短 銃,建物,下 の人の左足か ら
爪先。左端 の人物の肘。銃 を持つ人の帽子)そ の
110。
帽子 と右 の短銃 は縦 4と それぞれの対角線上 (下
の横たわる二人の人物 につながる)。 メインの女性
の顔 は縦 R,φ の位置。
6 4R3φ
R
Rφ
3R4
108.ジ ェ リコー
メデュース号の筏 491× 716cm
19C
109.ド ラクロア
サルダナバ ロス の死 394× 716
cm 19C
l10.ド ラクロア
cm 19C
民衆 をひ きい る自由 260× 325
鳥取大学教育学部研究報告 人文 。社会学科 第 42巻
QOア ングル
6 4R3φ R 2
QOタ
咸¢3R4
第
2号
(1991)
ーナー
6
2 Rφ 3 R4
6
4R 3φ
R
Rφ
3Rh
111.左 目,謄,恥 部,右 膝,左 爪先が縦 2。 恥部 はすべての
中心。右手,壷 と水の流れ出ている口を持つ手首が菱形線上。
乳頭が横 Rを 中心にして両縦φ,Rの 間の上下。手 も横 R。 謄
がRと 2の 交点。両膝が横 3と R。 長 く水 が流れ落ちている
のが縦 6。 右 の花が横 6。 左の花の茎が縦 6,花 が横 4。
112.菱 形の くくり。右下の女性の左足か ら恥部,謄 ,乳 頭
右手へ。立 っている女性の顎,鼻 。画面左の人の首 を経て左
へ。左下の人の乳頭から楽器 を弾 く後向きの人の大股へ とつ
ながる。腕,肘 ,顔 の両対角線。群像の主な顔 は横 φ。踊る人
は縦 6,手 と肘 が横 R,乳 頭が 6と 横φの交点。浴槽 の斜めの
直線やその上の床面の横φの直線が曲線の多い中でのアクセン
,
ト。
113.水 平線が 4。 曳航船の舶先が正 に縦 φとR。 戦艦 の舶先
が縦 4,先 端が横 2。 本体の上辺が横φ。旗が横φとRの 幅で
縦 R。 3本 帆柱のうち上か ら 1, 2は 対角線。 3番 目は菱形
線。左下 と右下の海面上の物 は対角線。特 に右下の浮ぶ物 は
縦,横 6と 対角線。右の水平線上の太陽は菱形 とRの 交点。
111.ア ングル 泉 168× 82cm 19C
l12.ア ングル トル コ風 呂 108cm 19C
l13.タ ーナー 戦艦 テメ レイル 91× 122cm 19C
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会学科 第 42巻
第
2号
(1991)
QOア ングル
6 4R3φ R 2 Rφ 3 R4 6
111.左 目,勝,恥 部,右 膝,左 爪先が縦 2。 恥部 はすべての
中心。右手,壷 と水の流れ出ている口を持 つ手首が菱形線上。
乳頭が横 Rを 中心 にして両縦φ,Rの 間の上下。手 も横 R。 隣
がRと 2の 交点。両膝が横 3と R。 長 く水 が流れ落ちている
のが縦 6。 右 の花が横 6。 左の花の茎が縦 6,花 が横 4。
112.菱 形の くくり。右下の女性の左足から恥部,謄 ,乳 頭
右手へ。立 っている女性 の顎,鼻 。画面左の人 の首を経 て左
へ。左下の人の乳頭か ら楽器 を弾 く後向きの人の大股へ とつ
,
ながる。腕,肘 ,顔 の両対角線。群像 の主な顔 は横 φ。踊 る人
は縦 6,手 と肘が横 R,乳 頭が 6と 横φの交点。浴槽の斜めの
直線やその上の床面の横φの直線が曲線の多い中でのアクセン
ト。
113.水 平線が 4。 曳航船の舶先が正 に縦φとR。 戦艦 の舶先
が縦 4,先 端が横 2。 本体 の上辺が横φ。旗が横φとRの 幅で
縦 R。 3本 帆柱 のうち上か ら 1, 2は 対角線。 3番 目は菱形
線。左下 と右下 の海面上 の物 は対角線。特 に右下 の浮ぶ物 は
縦,横 6と 対角線。右の水平線上の太陽は菱形 とRの 交点。
1■ .ア
ングル 泉 168× 82cn1 19C
トルコ風 呂 108cm 19C
l13.タ ーナー 戦艦テメレイル 91× 122cm 19C
l12.ア ングル
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
114.正 に水平線 はR。 右の波頭 も正に縦,横 φR
00ク ールベ
6 4R3φ
R
と対角線 の交点。その左の小 さな波頭 も対角線上。
その左上の波頭 は横 Rφ の巾,左 端が縦 6で その下
の両舟 のBHI先 と船尾 も。
右 の舟の船尾は縦φとRの
間。海岸 の泡立 は主に横 4か ら下。左 の雲は横 φ
2 Rφ 3R4
,
右 は上の横 R。
115.地平線 は横 Rと
3。
菱形線上 は左上の藁の積
上げ,左 の人の手,右 の人の麦の穫先。対角線上
は中央の人の左肩がすべての中心で,積 藁 と右の
人の麦の穂先 とスカー ト。 もう一方は右 の人の頭
と中央の人の鼻。中央の人の頭は横 2に 接 し縦φR
の巾で落ち穂 を拾 う腕 が正 にその間。 その鼻先は
縦,横 Rと 対角線 の交点。左の人の拾 う手 は対角
立つ人の穂を持つ手は横φとRの
線 と横 Rの 交点。
Rφ
間。 3人 の体 の中心線 は左か ら縦 3, 2, 4の 配
置。頭,体 の線 もそれぞれの重要な線 に関 ってい
る。中景の荷車 と藁を積む人々 も縦φ,R。
3R4
6
6 4 R3 φ R 2 R0 3 R4 116.畑 と木立 の境が 2。 菱形 の くくり。すなわち
右 の本の根,幹 が横 2か ら菱形線 にそって左上に
曲が り,空 に浮かぶ雲を頂点に空 に飛ぶ 3羽 の鳥
のうち, 2羽 が菱形線上 (中 の 1羽 は縦 Rと の交
点)。 左の木の葉 を経て左の屋根へ。下 は左の木の
根元。道 の右へ少 し曲がる部分が正 に縦,横 φRと
対角線 の交点。木立の中にある屋根 も正に左上の
それ。左画面の立木 はそれぞれ縦 3,R, 6。 左
端の 6と 横 6と 対角線 の交点あたりに虹がかかる。
114.ク ールベ 荒海 117× 160cm 19C
l15. ミレー 落 ち穂拾 い 84× ■ lcm 19C
ミレー 春 85× ■Oc14 19C
l16。
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
6 4R3φ
R
Rφ
3R4
第
2号
(1991)
00ム ンク
6 4庶
3φ
R 2 Rφ 3R4
90モ ネ
4R 3φ R
庶φ
3R4
117.菱 形線上 は右の人の腕。左の荷物。左の男性
の顔 は縦,横 Rと 横 2に かか り左 目に対角線が通
る。
左の女性の左 目が縦φ,顔 の中央を横 2が 通る。
爪先 は縦,横 R。 右 の人の右手 は正 に縦 Rφ の巾で
親指は横 2。 その下の立膝 は正に縦,横 φRと 対角
線の交点。奥の女性の頭 も縦 Rφ の巾で横 3,φ に
囲まれ対角線あた り。
118.太 陽が縦φ上で横 Rと 3の 巾。海面上の太陽
の反射 も当然縦 φ上。手前の舟 は縦 2と 横 4の 位
置。上の舟 は横 φと縦 Rの 位置。右 からの岸壁の端
がすべての中央。遠景のもやにかかっている船の
帆柱やクレーン様の林立 しているのがφ,3,R,
4, 6あ た り。港の左端が横φ。
120.叫 ぶ人 の顔 と手 の部分に多 くの要素が集中。
頭の左上がすべての中央。右手が対角線。左 目が
縦 R。 鼻が対角線 と横 R。 叫ぶ口が横 φ。水平線 と
左の人物の頭が 3。 山の端が 4と Rあ た り。
マネ 車 の上の食事 214.1× 299,9cm 19C
モネ 日の出,印 象 499× 64.8cn1 19C
120.ム ンク 叫び 84× 67cm 19C末
117。
l18。
上田敏和 :絵 画 における構図 についての一考察
166
1341ス
ー ラー
r g
6
r
4R 3φ
R
Rφ
3R
F
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6
F
4
R
3
φ
健
2 Rφ 3 R 4
Fる
五
日
g r
F
F
I
I
I
十
I
L
3φ
R 2 Rφ 3 R4
7
6 4R
■
00ク レー
口
,
く人,そ の右の人の背,中 央で立つ少女の脚,傘 さす人の頭
右 に立つ男女の顔,頭 か ら傘。菱形 の くくり (左 下の人物 の
肩,日 か らその上の男性の膝,手 か ら左上 に立つ女性 のムカ
ー ト。 そこか ら上 は岸辺に立 つ人の傘,木 ,上 の枝あた り。
岸辺 がその方向。右下の犬の頭。_右 に立つ人のスカー ト。上
は胸か ら中景の木の枝のあた り)。 画面下から横線 をたどって
ゆ くと rが 犬の足 と左端の人の手の下 と足の影。次の rは 猿
l t
︲
6
︲
119.周 辺の縁取 りしてある部分の内側に試論② を当てた。縦
2が 中央で立つ婦人 の中心。横 2が 右の中景の木陰 と左端の
水草の固まりになっている。対角線上 は左下の木陰か ら肘 つ
,
4
6
の背 と左端の木陰。φは手前の本陰の上辺 と左端の岸辺。Rは
右端 の三角形。 2は 右 の木陰 と左端の水車。次のRは 傘 と水
草。φは中景の木の根元の木陰の線 と点在する人。3は右の木々
の根元 と左の人影。 Rは 長 い木陰 と左端の舟。 4は その上の
短 い木陰 と点在する人 の頭。 rは 水平線。一番上の Tは 左端
隅の塔状の木等 ほとんど一致する。縦線 も人物や木 とよ く一
致する。
121.左 目が対 角線 ,縦 ,横 φの交点。右 目が縦 φRと 横 Rの 交点。 国 と頼 の線が横 R。 顎が横
119.ス ーラー グラン ド・ ジャ ッ トの 日曜 日 200× 300cm 19C末
121.ク レー セ ネ シオ 40.5× 38cm 20C
4。
首 の右側が縦 φ。
T
庶
■
3
L
R
φ
=
2
・︱
R
r
3
φ
ド
R
I
4
掛
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
1391ぢ
ガリ
第
2号
(1991)
122.縦 の線が縦 R。 右端 の長方形が縦 r。
6 4R3φ
R
Rφ
3R4
123.全 体 に両対角線 と菱形の くくり。左下の左
手,顔 か ら右端の人の手,窓 へ。右下の人の爪
先か ら馬の顎,斜 めの形 (鳥 の体の一部),牛 の
角への両対角線。菱形 は下 中央 の柄先か ら,蹄
6人 の手。右 の人物 と上の光 と馬の鼻,左 の子供
を抱 いて泣 く母親。 目がほとんどこの試論に一
,
4
R
3
φ
致する (左 下の人の 6と r, rと r。 子供の目
が r。 母親が R,φ 。牛が r,6。 馬の右 目が R
と 4。 顔 を入れる人が 3。 右端の人の rと R)。
R
恋人 を探 しているであろう右下 の女性の顔が右
の縦φRと 上下 Rの 間。下の青年を踏み付けて
,
象徴 された馬の顔の中心が左の縦φR,鼻 と顎が
2菱 形 と対角線 に接する。天丼の電球 と一番下 の
腕が縦φ。牛 の足 は r。 馬の後脚 が 4,3。 前足
Rが 2,φ 。右下の女性の右腕が 3。 右端 の女性 の
φ 左腕が 6。 各々の中心 を通 る。
3
R124.菱 形の くくり。水平線が横φあた り。右の
4虎 の顔が正 に縦,横 φRと 対角線の交点。銃の後
部が縦φと2の 交点。左前足が縦 Rと 2の 交点。
6右 前足がすべての中心。左の虎の国が対角線。
鼻が横 Rと 縦 3と の交点。魚の口が横φ。ざくろ
が横 R,φ と菱形。人の爪先が横 4。 両膝が縦φ
Rと 横 R4と 交わる。勝が縦φ。左乳頭が縦 4と
横 Rの 交点。顎 は対角線 と3, 6の 交点。縦 3
か ら下がっている象の頭 は縦 Rφ と横 6の 交点。
鼻先 は横 69前 足先 は縦 2。
モン ドリアン 赤・ 黄・ 青 によるコンポジション 45× 45帥
ピカソ ゲルニカ 351× 782.5cm 20C
20C
ダ リ ザクロの周囲を一 匹の蜜蜂が飛んだために生 じた夢か ら目覚める一瞬前 51× 41cm 20C
上田敏和 :絵 画における構図についての一考察
沖
6。
まとめ
この試論 を名画に照らす一考察の中で考えたり見 えてきたことの主なものを挙げる。
ほ
を
系
逸
a落 で
】
昌
毛
を
亀
こ
ヱ
手
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雛錨鶴鎚生
↓
:籍3と 桂
≦
,1櫨 盤吊誂畜
いて透
きたので はないか。 しか も多 くの版下 を制作す る必要か ら基本の組合せの下敷 きを作 つてお
か してそれを応用 したので はないか。
(2)光 琳 と宗達 へ の出合 い。宗達 の思 い切 つた基本 の要素の用 い方 へ の驚 き。光琳 が宗達 を徹底
研究 して自分 の作品 にア レンジ したであろう こと。
(3)雪 舟が黄金比率 をあの名作 で使 い こな しているので はないか とい うこと。
(4)如 拙 の余 白の多 い瓢鮎 図 にこの試論 の多 くが一致 した こと。
いのか。
(5)室 町以前 の画面全体 の比 率 の中で黄金比率 と一致 した例 があるのをどう解釈 した らよ
'
曲
r
'
頼朝像 や重盛像や次の(6X7)な ど。
(6)教 王護国寺 の曼荼羅の金剛界 の資金比率 と韻恥
(7)法 隆寺金堂壁画の壁画面 の横 巾の中で釈迦 や女阻覇
巾が約両黄金比点
い
巾 になってい る。脇菩薩等 の配置 が如来 を中心 に (目 のような細かな ものまで)対 称 に描 かれて
る事実がある ことが確認 で きた。 この ことはあ らか じめ計 算 してい ない と不可能 な ことである。
山
姦豪碓払げ 殻
(8)そ の影響で知 られ る敦違の初唐の壁画 と絵 の大 きさが異なるの に同 じ比の頭光 や肩巾である
脅 [守 Z稼 ≧警を俗 家雷泰亀票琵 ?襴 口 景雰壕 履 Sgζ λ秘設 塚象ζ?仏 恩曇揉 屎筋唇I棟
ある。 そして脇菩薩 の配置 の仕方 に共通 の基本要素 を応用 して い る ことが伺 われ る。法隆寺 の壁画
晶昌
)
力
3R患 汽 云弁 Э率 の浮彫 に
‖
れ は人工で平 らにした石上 に多分下書
きをして彫 つたであろうか ら試論 を当ててみた)仏 を現わす位置 を単 にす べ ての中心 にせず黄金比
iξ P雇 宿 法詈ど尾亀 債号 密
(こ
率 の位 置 に表現 されて いた事実 も興味がある。
(10)ヨ ー ロ ッパ で はジ ョッ ト以来 の本当 に名作 と呼 ばれてい る例 を取 り上 げたが このように多 く
の場合 この試論 と一致 した事実。正 に計算 しての制作であ つたであろう。 ヤン・ フアン・ アイクや
ダ・ ビンチの「最後 の晩餐」 やラファエルロの「 アテネの学堂」 などのバ ックの建物 な どの配置で
〕
ないわ けである。 また東西の聖な る表現 にも共通 の要素がみ られ る (資 金比
洵
置澪ぐ訂寡晶響患ビ見
(11)ル ーベ ンスの下絵 の分割線 の発見 とこの試論 との一致。
(12)19世 紀 ,1872年 のモ ネの「 日の出・ 印象」 にお いて も構図 のポイ ン トが一致 して いる。 この
い
作品 はあたか も印象だけで描 い た作品 と批評 され以後印象主義 の名称 の元 になった この作品 にお
て もである。
(13)ス ーラー は黄金比率 を研究 していた といわれ るが この試論 と細部 まで一致 したのには感激 で
'
あ った。
(14)20世 紀 は参考 に少 し挙 げたが, この ピカソ,グ リの作品 もポイ ン トで多 く一 致 して い る。
現在 のわれわれ は印刷物 で,縮 小 してあるとはい え多 くの作品を鑑賞す る ことがで きる。 その作品
ユ
i
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
第
2号 (1991)
169
を実際見 な くて もである。 かつて多 くの先達 は例 えば同 じ日本国 内であって も一般 に見 ることがで
きなかった りましてや諸外国の作品 はほ とん ど見れなかった と思われ る。 しか し帰化人 か ら学 んだ
り留学や交易物 の中で少 しの ヒン トを得 た りして時間 をかけ多 くの試行錯誤 をしつつ その努力 の中
で天才的な人 々のすば らしい発想 も多 くあった と思われ るが 自分 の ものにして表現 してい ったこと
が しのばれ る。 この試論 を当てる ことに よって今 まで全 く気付かなかった細部 の工夫 も作者 のある
程度気持 ちに近 付 い て見れたので はないか。多 くの新 しい ものが見 えて きて大 きな感 動 を味わった。
毎回あの名画 はどうい う工夫が してあるのか どきどきしなが ら照 らして いった。少な くともここに
見 て きた作品数 はほんの一部 の作品 で はあるが,多 くの先達が綿密な計画 と人智 を尽 くして取 り組
んだで あろう ことが しのばれ る。 このよ うな基本 の要素 をいかに応用す るかが大 事 な ことで,こ の
中の要素 をその時 のテーマ に即 して取捨選択 して応用すれば無限の可能性 が あると思われ る。矩形
とい う形であれば比 率 の分害!で あるので どのような矩形 であって もよいわ けである。 もちろんこれ
だけで良 い作品が創れ るわけで はない。他 の構図上 の要素 も必要だろうし,色 や マ チエールなどな
ど数多 くの要素 の良 い と思 う組合 せの判断 を積 み重ねてその人 の制作 がなされ るであろう。
この絵画 における構 図 についての一考察 で,時代 と地域 を越 えて名作 といわれている作品 の中 に
共通す る要素 をある程度見出せたよ うに思 う。 これ らの基本的要素 のい くらか を組 み合わせ る こと
の意義 (例 えばポイン トの部分 で縦 ,横 φRと 対角線 との交 点 が多 く出て きた ことな ど)は 明 らかに
なったので はないか と考 えられ る。
〔
後 記〕
ある研究の必要か ら構 図 についての基本 の組合 せ を一 つづつカロえて この試論 を作 って きた。私の
今 までの実際の制作 においては先 に記 したように黄金比 を中心 に少 し組 む程度 であった。研究 を進
めるにしたが って基 本 の要素 の縦・ 横 の組合 せが矩形 の中で よ り重要なポイ ン トになる可能性 が見
えて きた。普通 自分で思 い付 く場所 を無理矢理 に理 屈 をつ けてみて もそれが本当 にその矩形 の中で
意味 が 出るのか どうか は分 か らない。 しか し人 はその試行錯誤 を繰 り返 してい くうちにいつか はそ
の人流の意義 づ けがで きそこに普遍性 の要素 があれば他 の人 にも通 じるようになるのか もしれない。
しか し矩形の中によ り普遍性 の要素の基本的な組合 せが あるので はないか。名作 と歴史的にいわれ
て い る作品 はその要素 を持 っている場合が多 いので はないか。名画 と呼 ばれてい るある作品 の中 に
その要素 の組合 せ を感 じた。 それが本当 に他 の名作 にもあるのか とい う ことを確認す ることか らこ
の研究 が具体的にスター トした。 で きるだけ多 くの時代 と場所 を超 えることが必 要 と考 えたわけで
ある。思 えば壮大 な ロマ ンの旅 であった。で きるだけ幅広 くと思 い 日本か らヨーロ ッパ まで とした。
画面全体 の中での比率であるので作品全体 ,い わゆる全図が必要であった。それ をで きるだけ捜 し
しか もで きるだけ大 きな図版 であるのを コピー し,そ の うえに赤 のボールペ ンで縦横 の辺の長 さに
,
率 を掛 けて線 を引 いてい った。その中か らこの124点 を選んで コン ピュー ター を用 いて作図 を行な
。 (※ ペ ージ配分の関係で図版 の配 置 を一 部前後 させた)
'ヒ
つた。感動的な出合 い の旅 であった
引用文献
(1)美 術 の歴史
(2)美 術の歴史
H,Wジ ャンソン&カ ウマン著
H.Wジ ャンソン&カ ウマン著
訳者木村重信 。辻成史 1980年
訳者木村重信・ 辻成史 1980年
創元社
創元社
下 ︲
上田敏和 :絵 画 における構図についての一考察
(訳 者注)穴 居人
(Cavemen)と い う呼称 は正確でない。旧石器時代人 は通例 は竪穴式住居や岩陰 に住んだ。
もちろん,南 フランスや北スペ インのように洞窟 のた くさんある地方では,洞 窟 の前面 および入口
か ら数メー トルの 日光のさしこむ部分 は住居 として用いられたが,洞 窟 の奥所 は決 して住居 とはさ
れなかった。洞窟の奥 は真暗で,つ ねに湿っているし,焚 火な どであか りをとるにして も煙が充満
じやす く,ま たなによりも落盤 の危険があつたか らである。
柳亮著 1965年 美術出版社
は)黄 金分割 ピラミッドか らル・ コルビュジェまで 柳亮著 1965年 美術出版社
脩)京 都大学文学部美学美術史学研究室 研究紀要第11号 1990
安田篤生 尾形光琳 と狩野派一狩野派学習 と水墨表現 に現れたその影響―
沖
0黄 金分割 ピラ ミッドか らル・ コルビュジェまで
^
曽
︱
俯)原 色 日本美術 第14巻 宗達 と光琳 山根有三 1969年 小学館
角川書店
17)世 界美術全集 7 日本室町 1962年
瓢鮎図 足利義満 の座屏 (つ いたて)用 に,1409年 に相国寺 の大巧如拙が表に瓢鮎図,裏 に玉碗梵芳が題讃 を
書 した。その後,掛 け幅に改装 されたのが本図であつて,禅 機図 と山水図が合成 された記念的水墨画
である。
(8)続 黄金分割一 日本の比例一法隆寺か ら浮世絵 まで
柳亮者 1977年
美術出版社
(1)原 色西洋美術史図録年表
嘉門安雄 倉田二郎監修 1971年
教育出版株式会社
iFI
参照文献
り)原 色 日本 の美術 小学館
(3)世 界美術全集 角川書店
図版典拠及 び参考文献
本朝名所 。相州江 ノ嶋岩屋之図 252× 38 1cm 19C
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉11広 重 1975 集英社
2.歌 川広重 東海道五拾二次之内・ 日本橋 22,7× 35 0cm 19C
ジェームス・ A・ ミッチナー コンクション広重展図録 1991 国際 アー ト
3.歌 川広重 東海道五拾三次之内・ 蒲原 25,6× 37 9cm 19C
愛蔵普及版〉■広重 1975 集英社
浮世絵大系 〈
・ 庄野 25,4× 38 1cm 19C
五拾二次之内
東海道
〉■広重 1975 集英社
〈
愛蔵普及版
浮世絵大系
・
5.歌 川広重 名所江戸百景 浅車金竜山 361× 25 0cm 19C
愛蔵普及版〉ユ広重 1975 集英社
浮世絵大系 く
・亀
6.歌 川広重 名所江戸百景
戸梅屋舗 36.1× 25.5cm 19C
〈
浮世絵大系 愛蔵普及版〉■広重 1975 集英社
7.歌 川広重 名所江戸百景・ 深川洲崎十万坪 36.4× 25,0伽 19C
浮世絵大系 く
愛蔵普及版〉■広重 1975 集英社
8.歌 川広重 名所江戸百景 。大 はしあたけの夕立 365× 24,7cm 19C
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉■広重 1975 集英社
・
二
9.葛 飾北斎 富嶽 十六景 凱風快晴 255× 38 0cm 19C
1.歌 川広重
ヽh■︻´
,I
に心■田い
愛蔵普及版〉 8北 斎 1975 集英社
浮世絵大系 〈
・
三
10。 葛飾北斎
富嶽 十六景 山下 白雨 256× 38.6cm 19C
愛蔵普及版〉 8北 斎 1975 集英社
浮世絵大系 〈
三
11.葛 飾北斎 富嶽 十六景・ 神奈川沖浪裏 250× 37.Ocm 19C
愛蔵普及版〉 8北 斎 1975 集英社
浮世絵大系 〈
三
12.葛 飾北斎 富嶽 十六景・ 甲州石班沢 254× 37 8cm 19C
坐
﹁︱︱︱
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
第
2号 (1991)
171
浮世絵大系 く
愛蔵普及版〉 8北 斎 1975 集英社
葛飾北斎 富嶽三十六景・ 御厩川岸か ら両国橋夕陽見 25.4× 37.6cm 19C
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 8北 斎 1975 集英社
葛飾北斎 富嶽三十六景 ,本 所立川 251× 37.6cm 19C
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 8北 斎 1975 集英社
東洲斎写楽 三代佐野川市松の祗園町の自人おなよ 35,9× 24.8cm 18C末
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 7写 楽 1975 集英社
東洲斎写楽 二代大谷鬼次の奴江戸兵衛 38.1× 25,lcm 18C末
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 7写 楽 1975 集英社
東洲斎写楽 都座 口上 図 37.3× 24.4cm 18C末
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 7写 楽 1975 集英社
東洲斎写楽 三代沢村宗十郎の名護屋山三 と三代瀬川菊之丞の傾城かつ らぎ 38.0× 24,7cm 18C末
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 7写 楽 1975 集英社
東洲斎写楽 三代市川八百蔵の不破の伴左衛門 と二代坂田半五郎 の子育 て観音坊 36.3× 23.9cm 18C末
浮世絵大系 く
愛蔵普及版〉 7写 楽 1975 集英社
東洲斎写楽 曽我五郎 と御所五郎丸 32.2× 22.2cm 18C末
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 7写 楽 1975 集英社
喜多川歌麿 帰入相学十必・ 面白き相 37.2× 24.Ocm 18C未
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 5歌 麿 1975 集英社
喜多川歌麿 婦人相学十募・ 浮気の相 37.9× 24.4cm 18C末
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 5歌 麿 1975 集英社
喜多川歌麿 高名三美人 35.4× 25.lcm 18C末
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 5歌 麿 1975 集英社
喜多川歌麿 歌撰恋之部・ 物思恋 38.6× 26.lcm 18C末
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 5歌 麿 1975 集英社
喜多川歌麿 姿見七人化粧 38,3× 26.4cm 18C未
浮世絵大系 〈
愛蔵普及版〉 5歌 麿 1975 集英社
尾形光琳 紅 白梅屏風 156.6× 172,7cm 18C初
メ トロポ リタン美術全集別巻 H
日本の美術歴史 。名作・ 美術館 1987年 福武書店
尾形光琳 紅 白梅屏風 156.6× 172.7cm 18C初
メ トロポリタン美術全集別巻 H
日本 の美術歴史 。名作・ 美術館 1987年
福武書店
俵屋宗連 風神雷神図屏風 154.5× 169.8cm 17C
講談社版世界美術大系日本美術10 1964年 講談社
俵屋宗達 風神雷神図屏風 154.5× 169.8cm 17C
講談社版世界美術大系 日本美術11 1964年 講談社
俵屋宗達 舞楽図屏風 (二 山一双の右) 155.2× 170.Ocm 17C
日本美術絵画全集俵屋宗達 1976年 集英社
狩野永徳 唐獅子図屏風 225.0× 459.5cm 16C
世界の美術 1日 本・ 東洋 1967年 学習研究社
伊藤若沖 群鶏図 142.0× 78.Ocm 18C
世界の美術 1日 本 。東洋 1967年 学習研究社
雪舟等揚 天橋立図 89.4× 168.8cm 室町時代後期
日本美術大系第 4巻 中世絵画 1960年 講談社
雪舟等楊 慧可断膏図 182.7× 113.6cm 15C末
日本美術大系第 4巻 中世絵画 1960年 講談社
上国敏和 :絵 画における構図についての一考察
沖
36。
メ トロポ リタン美術全集別巻 H
日本の美術歴史 。名作・ 美術館 1987年 福武書店
大巧如拙 瓢鮎図 ■15× 75 8cmの うち絵の部分 15C初
メ トロポリタン美術全集別巻 H日 本 の美術歴史 。名作・美術館 1987年
︲
35.雪 舟等楊 秋冬山水図・冬景 463× 29.3cln 15C後 半
福武書店
37.伝 藤原隆信 源頼朝 139.4× ■1.8cm 12C
平凡社
家庭美術館 日本 1963年
国宝大事典一絵画 1985年
I町 ︱
38.伝 藤原隆信 伝平重盛像 1430× ■2 2cm 12C
講談社
39.両 界曼荼羅図・金剛界 183.0× 154 0cm 9C
40。
朝 日新聞社
弘法大師 と密教美術展図録 1983年
両界曼荼羅図・ 胎蔵界 1830× 154.Ocm 9C
弘法大師 と密教美術展図録 1983年
41. 那智M竜
朝 日新聞社
1594× 57.9cm 13C末
家庭美術館 日本 1963年
平凡社
42.吉 祥天像 53.0× 31.7cm 8C後 半
43.聖 徳太子像 1013× 53 5cm 奈良時代初期
アサ ヒグラフ増刊裕8. 4.15 1968年 朝 日新聞社
44.法 隆寺金堂壁画第一号壁 (釈 迦浄土図) 天武一持統期
福武書店
二山 F I
メ トロポ リタン美術全集別巻 H日 本 の美術歴史 。名作・ 美術館 1987年
原色 日本の美術 2法 隆寺 1966年 小学館
(阿 弥陀浄上図) 天武一持統期
45,法 隆寺金堂壁画第六号壁
原色 日本の美術 2法 隆寺 1966年 小学館
(薬 師浄上図) 天武―持統期
アサ ヒグラフ増刊'68. 4.15 1968年 朝 日新聞社
46.法 隆寺金堂壁画第十号壁
家庭美術館 日本 1963年
山
卜一
47.竹 原古墳壁画 人 と馬 150× 200cm 6C
平凡社
︱
敦爆壁画 第322窟 仏説法図 初唐太宗期末か ら高宗期前半 7世 紀中頃
中国石窟敦爆莫高窟 3 1981年 平凡社
49.敦 建壁画 第444窟 仏説法図 盛唐
中国石窟敦鰹莫高窟 3 1981年 平凡社
50.龍 王護塔 アマ ラージァティー 2C後 半
48。
原色世界の美術 第13巻 1970年
51.帰 郷説法図 アマ ラーブァティー
小学館
2C
卜
BCl
0日甲fl
東洋美術全史 1972年 東京美術
(サ ンチー大塔東門柱)
東洋美術金史 1972年 東京美術
53.銀 製帝王狩猟図盤 経251帥 4C
52.尼 連禅河渡渉 の奇蹟図
東洋美術全史 1972年 東京美術
54.ア メン神 の前に立つ トトメス三世 幅150cnl 第18工 朝 (BC1567-BC1320)
原色世界の美術第12巻 1970年 小学館
55,闘 牛士のフレスコ 高 さ約62cm BC1500年 頃
世界 の美術 2 西洋 1967年 学研 (学 習研究社)
ジョット 小鳥への説教 (聖 フランチェスコ伝) 270× 200cm 13C末
カンヴァス世界 の大画家 1 1985年 中央公論社
57.ジ ョット ユグの接吻 (キ リス ト伝) 200× 185cm 14C初
56。
カンブァス世界 の大画家 1 1985年
中央公論社
﹁︱ ︱ ︱
LA
鳥取大学教育学部研究報告 人文 ,社 会学科 第 42巻
第
2号
ジョッ ト キ リス トの死 への悲 しみ (キ リス ト伝) 200× 185cm 14C初
カンブァス世界 の大画家 1 1985年 中央公論社
59.ア ヴィエ ョン派 ブィルヌーヴ・ レ・ ザブィニ ョンのピエタ 162× 218cm 15C
58。
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
60.ヤ ン・ ファン・ アイク アルノルフィーニ夫妻 83.8× 57 2cn1 15C
美術 の歴史 1964年 美術出版社
61.ヤ ン・ ファン・ アイク ロランの聖母 66× 62c14 15C
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
62.ヤ ン・ ファン・ アイク ファン・ デル・ パーレの聖母 122.1× 157.8cm 15C
カンブ ァス世界の大画家 2 1983年 中央公論社
63.ピ ェロ・ デルラ 。フランチェスカ・ セニガ ッリアの聖母 61,0× 53.5cm 15C
カンヴ ァス世界の大画家 3 1985年 中央公論社
64. ピェロ・ デルラ・ フランチェスカ キ リス ト洗礼 167× 116cm 15C
カンブ ァス世界の大画家 3 1985年 中央公論社
ボ ッティチェル リ 春 203× 314cm 15C
65。
カンブ ァス世界の大画家 4 1982年 中央公論社
66。
ボッテ ィチェル リ ブィーナスの誕生 172.5× 278.5cm 15C
世界美術全集 第30巻
西洋(6)ル ネサンス 1 1961年
角川書店
67.ボ ッス 手品師 53× 65cm 15C
カンブァス世界の大画家 6 1982年 中央公論社
68.ボ ッス 十字架 を担 うキ リス ト 76.5× 83 5cm 16C初
カンブ ァス世界の大画家 6 1982年 中央公論社
69.デ ュー ラー 1500年 の 自画像 67× 49cm 16C初
カンヴ ァス世界の大画家 7 1983年 中央公論社
70。
ジォルジョーネ十ティツィアーノ 田園の合奏 110× 138cln 16C初
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
71.レ オナル ド・ グ・ ヴィンチ 岩窟の聖母 199× 122cm 15C末
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
72.レ オナル ド・ グ・ ブィンチ 最後の晩餐 460× 880cm 15C末
随筆 レオナル ド・ グ・ ブィンチ 1948年 朝 日新聞社
73.レ オナル ド・ ダ oブ ィンチ 婦人の肖像 62× 44cm 15C末
カンブ ァス世界の大画家 5 1983年 中央公論社
(ジ ョコンダ) 77× 53cm 16C初
74.レ オナル ド・ グ・ ブィンチ モナ リザ
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
75. ミケランジェロ アダムの創造 280× 570cm 16C初
カンブ ァス世界の大画家 8 1983年 中央公論社
76. ミケランジェロ 原罪 と楽園追放 280× 570cm 16C初
カンブ ァス世界の大画家 8 1983年 中央公論社
77. ミケランジェロ 最後の審半」 1370× 1220cm 16C
カンヴ ァス世界の大画家 8 1983年
中央公論社
78.ラ ファェルロ アテネの学堂 底辺770cm 16C初
カンヴァス世界の大画家10 1985年 中央公論社
(美 しき庭師) 122× 80cln 16C初
79.ラ ファェルロ 聖母子 と幼 い聖 ヨハ ネ
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
80.ブ リューゲル バベルの塔 ■4× 155m 16C
カンブ ァス世界の大画家■ 1984年
FLAMMARION
中央公論社
81.ブ リューゲル 絞首台の上のかささぎ 45,9× 50,8cm 16C
(1991)
173
上国敏和 :絵 画 における構図についての一考察
カンブァス世界 の大画家■ 1984年 中央公論社
エル・ グレコ 2人 の寄進者 によって崇拝 される十字架のキリス ト 250× 180cm
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
エル・ グ レコ オルガス伯 の埋葬 487.7× 360,7cm 16C
美術の歴史 1964年 美術出版社
ルーベ ンス レウキッポスの娘 の掠奪 222× 209cm 17C
世界美術金集12 愛蔵普及版 1978年 集英社
ルーベ ンス アン トゾェルペ ンを去 るメルクリウス (下 絵) 77× 79cm 17C
カンヴァス世界の大画家12 1982年 中央公論社
ルーベ ンス アン トヴェルペ ンを去 るメル クリウス (下 絵) 77× 79cm 17C
カンヴァス世界 の大画家12 1982年 中央公論社
ルーベ ンス ア ン トゾェルペ ンを去 るメルクリウス (下 絵)の 部分
カンブァス世界 の大画家12 1982年 中央公論社
ハルス ジプシーの娘 58× 52cm 17C
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
89.レ ンブラン ト エマオのキリス ト 68× 65cm 17C
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
FLAMMARION
90.レ ンブラン ト テュルプ博士 の解著J学 講義 169.5× 216.5cm 17C
世界美術全集 普及版 第18巻 1956年 平凡社
91.ベ ラスケス バ ッカスの勝利 165× 225cm 17C
大系世界 の美術 第16巻 バロ ック美術 1972年 学研 (学 習研究社)
プレダ降服 307× 367cm 17C
ラスケス
92.ベ
世界美術金集 普及版 第18巻 1956年 平凡社
93.ベ ラスケス 教皇イ ンノケンティウス10世 140× 120cm 17C
大系世界の美術 第16巻 バ ロック美術 1972年 学研 (学 習研究社)
94.ベ ラスケス 腰元たち 318× 276cm 17C
世界美術全集 普及版 第18巻 1956年
ーサン
アルカディアの牧人 85× 121cm 17C
95.プ
平凡社
世界美術全集 普及版 第18巻 1956年 平凡社
96.ラ ・ トゥール 蚤を捜す女 120× 88cn1 17C
大系世界 の美術 第 16巻 バロ ック美術 1972年 学研 (学 習研究社)
97. フェルメール デルフ トの眺望 985× 117.5cm 17C
カンヴァス世界 の大画家17 1985年 中央公論社
フェルメール ア トリエの画家 130× ■Ocm 17C
98。
大系世界の美術 第16巻 ′ヾロック美術 1972年 学研 (学 習研究社)
99.フ ェルメール レースを編む女 24× 21cm 17C
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
100.フ ェルメール 地理学者 53× 46.5cm 17C末
大系世界の美術 第16巻 バロック美術 1972年
パ
101.シ ャン ーニ ュ 1662年 の奇蹟 165× 229cm 17C末
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
学研 (学 習研究社)
FLAMMARION
ミッデルハルエスの街路 102× 140cm 17C末
世界美術全集 普及版 第18巻 1956年 平凡社
103.フ トー キュテラ島への船出 128× 193cm 18C
102.ホ ッベマ
MUSEE DU LOUVRE P41NTINGS 1970年
FLAMMARION
104.シ ャルダン 買物帰 りの女 47× 37cm 18C
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会学科 第 42巻
第
2号
(1991)
ダ ビッド サ ビニ 386× 520cn 18C末
107.
世界美術全集 普及版 第22巻 1956年 平凡社
ダ ビッド レカ ミエ夫人 173× 243cm 19C初
世界美術金集 普及版 第22巻 1956年 平凡社
ダ ビッド ナポレオ ンの戴冠式 610× 931cm 19C初
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
ジェリコー
FLAMMARION
メディュース号の筏 491× 716cm 19C
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
ドラクロア サルダナバロスの死 394× 716cm 19C
世界美術全集 普及版 第22巻 1956年 平凡社
ドラクロア 民衆 をひきいる自由 260× 325cm 19C
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
FLAMMARION
ア ングル 泉 168× 82cm 19C
112.
アングル
世界美術全集 普及版 第22巻 1956年
トルコ風 呂 108cm 19C
平凡社
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
ターナー 戦艦テメレイル 91× 122伽 19C
世界美術全集 普及版 第22巻 1956年
クールベ 荒海 ■7× 160cm 19C
世界美術全集 普及版 第23巻 1955年
ミレー 落ち穂拾 い 84× ■■m 19C
平凡社
平凡社
MUSEE DU LOUVRE PAINTINGS 1970年
ミレー 春 85× 110cm 19C
世界美術全集 普及版 第23巻 1955年
マネ 草 の上の食事 214.1× 299,9cm 19C
FLAMMARION
FLAMMARION
平凡社
世界美術全集 普及版 第23巻 1955年 平凡社
日の出,印 象 499× 64.8cm 19C
世界の美術 15 1964年 河出書房
スーラー グラン ド・ ジャッ トの日曜 日 200× 300cn1 19C末
モネ
世界の美術 2 西洋 1967年
ムンク 叫び 84× 67cm 19C未
世界の美術 2 西洋 1967年
クレー セネシオ 40.5× 38cm 20C
学研 (学 習研究社)
学研 (学 習研究社)
世界の美術 2 西洋 1967年 学研 (学 習研究社)
モン ドリアン 赤・ 黄 。青によるコンポジション 45× 45cm 20C
世界 の美術 2 西洋 1967年 学研 (学 習研究社)
ピカソ グルニカ 351× 782.5cm 20C
メ トロポリタン美術全集 別巻 1 世界の美術 歴史 。名作・ 美術館 1987年 福武書店
グリ ザクロの周囲を一匹の蜜蜂が飛んだために生 じた夢か ら目覚める一瞬前 51× 41伽 20C
世界の美術 2 西洋 1967年
学研 (学 習研究社)
(1991年 8月 31日 受理 )
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