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PDFファイル - MNC System Inc. : 株式会社エムエヌシー

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PDFファイル - MNC System Inc. : 株式会社エムエヌシー
日 本 語 版
M o n day, J u n e 2 , 2 0 0 8 | I s s u e 3 | C h ic ag o, I L | S e c t i o n A
進行腎細胞がん治療としての RAD001 の臨床的効果が確立
土曜日のGenitourinary Cancer Oral Ab-
Dr.Motzerによれば、everolimusはmTORタ
stract Sessionで発表された最新のPhase III
ンパク質(細胞分裂およびがん新生血管の主
Studyの結果は、RAD001( everolimus)が転
調節物質)阻害によるがん治療への新たなア
移性腎細胞がん(CmRCC)患者の安全かつ
プローチとなる。
「これは、
この新薬物の臨床的
有効な治療法であることを確信させるエビデン
有益性を確立し、安全性情報をもたらした最初
スを示し、がん治療としてのmTOR阻害を検証
のPhase III Studyです。everolimus群の患
するものであった。Memorial Sloan-Kettering
者で、
プラセボ群より有意に良好な無増悪生存
Cancer CenterのRobert J. Motzer, MDは、
(PFS)
を示す中間結果が出たため、独立のデ
「VEGFr-TKIによる治療後に進行したmRCC
ータ監視委員会により試験中止が勧告されまし
患者でのeverolimus+対症療法(Best Sup-
た」。
この試験では、血管内皮細胞増殖因子受
portive Care:BSC)
とBSC+プラセボ」を比較
容体-チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFr-TKI)
した無作為化二重盲検試験の結果を発表した
療法(sunitinib、sorafenib、
またはその併用)
(LBA5026)。
INSIDE THIS SECTION
Breast Cancer
ビタミン D 欠乏は早期乳がん患者の転帰を悪化さ
せる .............................................................................................2A
docetaxel+bevacizumabは HER2陰性転移性乳
がん患者の無増悪生存を延長する ........................11A
治療別の無増悪生存
中核放射線部門の検討
投与中に増悪した転移性明細胞がん患者410
例を、everolimus(1日10mg経口)+BSCまたは
プラセボ
(同1日量)+BSC群に2:1の比率で無作
為に割り付けた。治療サイクルは、治療効果の判
定および安全性評価のため28日とし、増悪また
は治療抵抗性となるまで継続した。2007年10月
の試験中止時に全患者の盲検を解除し、
プラセ
ボアームの患者にオープンラベルでeverolimus
の併用によるTKI療法中に増悪した疾患に対す
た。
「ただし、
ほとんどの患者にとっては3rd-line
を投与した。試験早期終了後のデータ解析で
るeverolimusの臨床的有益性が、
この試験で
までの時間を延長させるものであると思われま
Developmental Therapeutics
は、
everolimus群のPFSは4.0カ月、
プラセボ群で
確立されたと結論づけた。
「everolimusは、
こうし
す」。
このデータを一般臨床に当てはめるとする
腫瘍内に送達されるワクチンは Low-gradeリンパ
は1.9カ月
(p<0.001、
95%CI;0.22、
0.40)
であった。
た転移性腎細胞がん患者の治療で臨床的有益
と、sunitinib、sorafenibまたはその併用下で
性が確立された最初で唯一の薬物であり、標準
増悪するRCC患者の標準治療は、単に「経験
腫患者で抗腫瘍効果をもたらす ................................6A
未承認薬の使用についての議論は続く..............11A
Gastrointestinal (Colorectal) Cancer
結腸・直腸がんに対するアジュバント化学療法
の有効性と安全性の検討 〜 GI オーラルセッ
ション .........................................................................................7A
Gynecologic Cancer
PFSが6カ月以上が、everolimus群では26%
に対し、
プラセボ群では2%であった。副次的エン
治療となるべきである。解析と経過観察が終了す
的に、投与歴のない薬物である」
ということにな
ドポイント
(安全性および患者の転帰)
は許容でき
れば追加データが得られる」
と結んだ。
る。Dr. Riniによれば、
everolimusはTKI治療後
るものと考えられた。everolimus群のOS期間の
ClevelandClinicTaussigCancerInstituteの
の難治性RCC患者のリスクグループでプラセボよ
中央値は未だ達していない、試験デザイン上クロ
BrianI.Rini,MDは、多くの患者がsunitinib、
りPFSを延長するが、
最適な治療スケジュールの
スオーバーの影響はあるが、
プラセボ群でのOS
sorafenibまたはその他の薬剤の使用経験が
規定にはプロスペクティブなトランスレーショナル
は8.8カ月であった。
あるため、
この結果は、現在の臨床における純
研究と継続的な試験結果の観察が必要である
粋な2nd-line治療試験を反映していないと述べ
と述べた。■
Dr. Motzerは、
sunitinib、
sorafenibまたはそ
高 / 中リスク子宮体がん女性には膣内小線源療
法が有効 .................................................................................6A
PARP 阻害が BRCA 変異卵巣がんに対して有
効である可能性を示唆 ....................................................8A
Lung Cancer
遺伝子発現シグネチャーは、NSCLC 治療からの
臨床効果が得られる可能性の高い患者の同定に
有用である..............................................................................8A
Lymphoma and Plasma Cell
Disorders
トータルセラピー試験で多発性骨髄腫の生存率、
奏効期間が改善 .................................................................4A
再発性、抵抗性マントル細胞リンパ腫に有効性が
期待される Temsirolimus..........................................10A
Pediatric Cancer
小児 Hodgkin’s Lymphoma の治療が若年死の
リスクを上昇させるというエビデンス ..........................8A
エリスロポエチン促進剤処方に注意を喚起
臨床医は、
エリスロポエチン促進剤(ESA)の
動きについて総説した。
このFDAのOncologic
完全な作用機序を理解し、症状を有する患者の
Drugs Advisory Committee(3月)
では、
ESA
みに処方しなければならないと、
日曜の教育セッシ
使用は化学療法による貧血に有益であると、
13対
ョン
“Erythropoiesis-stimulation Agents Use
1で採決された。一方、FDAは、ESA使用に関す
and Overuse; How Do Oncologist Negotiate
る安全性勧告を出し、
ラベルに「ブラックボックス」
Conflicting Demands?”
の演者は述べた。
ESA
警告を記載する旨変更した。
これについて、演者
は、非骨髄性悪性病変に対し化学療法中の貧
のDana-Farber Cancer InstituteのDeborah
血患者における輸血の必要性を低下させること
Schrag, MD, MPHは、
乳がん、
頭頸部がん、
リン
が示されているが、最近の臨床試験の解析でこ
パ系がん、子宮頸がん患者に、
目標ヘモグロビン
の使用に伴う有害な転帰が明らかになった。
濃度12g/dL以上でESAを投与すると、
OS、
無増
臨床医は、
症例ごとに厳格なエビデンスに基づ
いてESAを処方しなければならないと、座長を務
めたWinship Cancer Institute of Emory UniversityのFadlo Raja Khuri, MDは述べた。
Special Session
ASCO および Society of Nuclear Medicine が
分子イメージングおよびがんに関する第 1 回合同
会議を開催 ..........................................................................10A
General Meeting Information
In Brief.....................................................................................4A
本日講演予定の最新要旨 .............................................2A
悪生存、
またはその双方が短縮されると述べた。
ESAの歴史
Dr. Schragは、
ESAの歴史と医学界での急速
臨床試験での不良の転帰は、ヘモグロビン濃
な採用の概説として、医学界で短期間に受容さ
度の急激な上昇と目標ヘモグロビン濃度の上
れた理由を認識するためにはESAが導入された
昇に関連するとDr. Khuriは述べた。致死的血
状況を理解することが重要であると述べた。
Jeniffer Malin, MD, PhD( 画 面 )
、Fadlo R. Khuri,
MD、Deborah Schrag, MD, MPH( 左 か ら ) は、
ESA の慎重投与を奨励した
栓塞栓事象の増加の可能性も認められる。
さら
組換えエリスロポエチン
(epoetin alfa)
は、
1989
に、Dr. Khuriによればこうした薬剤は化学療法
年に慢性腎不全による貧血の治療向けに、1993
中の患者の疲労解消向けに承認されているもの
年に非骨髄性悪性疾患患者の化学療法による
導入時には、輸血用血液の安全性に関して懸
の、
QOLの改善はもたらされていない。
貧血の治療に承認された。
そしてdarbepoetinが
念があった。AIDSが認識されて間もない頃で、
同じ適応症で2002年に承認された。epoetin alfa
赤血球製剤の輸血によるヒト免疫不全ウイルス
演者らは、ESAに関する最近の規制当局の
“Translation of ASCO Daily News Monday, June 2, 2008・ISSUE 3・Chicago, IL・Section A © 2008 American Society of Clinical Oncology. All rights reserved.”
2A • ASCO Daily News • Monday, June 2, 2008
感染は、1985年に2000件に1件の割合であっ
た。
このリスクは1995年までに50万件に1件、2005
年に100万件に1件に低下したものの、
一般大衆に
は依然として輸血が危険との認識がある。
承認後の研究で、
貧血の目標閾値が高くなり、
目
標を14g/dL以上とする試験が開始されたと、Dr.
Schragは述べた。
この状況で、ESAは、米国で最
も広く使われる抗悪性腫瘍薬となり、Medicare
Part Bの支払の最大の部分を占めるようになっ
ESAのFDAの「ブラックボックス」警告
・ESAは、乳がん、頭頸部がん、リンパ系がん、子宮頸がん患者で、目標ヘモグロビンを12g/dL以上として
投与する場合、OS、DFSのいずれかまたは双方を短縮する
・OSおよびDFSの短縮のリスクは、目標ヘモグロビンを12g/dL未満としてESAを投与すれば排除される
・重篤な心および血栓塞栓事象のリスクの他、こうしたリスクを最低限にするには、赤血球輸血を必要と
しない最低用量を使用する
・骨髄抑制性化学療法による貧血の治療以外には使用しない
・化学療法クール終了後は中断する
出典:FDA website. Package insert for epoetin alfa; accessed June 1, 2008
た。ESAの「要件変更」および適用外使用が行
ASCO Daily News
The Official Newspaper of the
2008 ASCO Annual Meeting
Vol.11, No. 3
June 2, 2008
The publication ASCO Daily News
by the American Society of Clinical Oncology
is a service provided to all attendees.
American Society of Clinical Oncology
2007-2008
われつつあるかどうかの報告は難しいが、臨床医
が、QOLの検出方法論は常に進化しており、評価
塞栓事象の相対リスク上昇、生存低下の可能性
は治療開始時に高いヘモグロビン閾値を利用し
方法が検証されていなかった。
こうした初期の試
が示された。
こうした結果の基礎となる生物学的機
て、ESAを長期間使用しているか、
もしくは貧血の
験には、生存の傾向を評価する検出力もなく、
プラ
序を解明する研究が進行中である。
ある種の悪性
ASCO Daily News
Monica Morrow, MD
Editor in Chief
症状出現を待つことなく化学療法の時点でESA
イマリエンドポイントも含められていなかったことに
腫瘍細胞では、
その増殖および生存のため、
エリス
を開始しているとみられる。
注意すべきである。
ロポエチン系を利用している可能性を示すエビデ
Dr. Khuriは、ESAの有効性および安全性の
E S A 治 療に伴う有 害な転 帰 のエビデンス
エビデンスをレビューし、化学療法または放射線
は、
2003年から報告されるようになった。
Dr. Khuri
治療下でない活動性悪性疾患を適応とし、米国
は、ESA治療が、死亡率上昇、無増悪生存短縮、
versity of Californica, Los AngelesのJennifer
で承認されている薬剤はないと述べた。ASCOお
その他有害な転帰のいずれかまたはすべてと関
L. Malin, MD, PhDは、
ESAの医療費は、
2005年
よびAmerican Society of Hematologyが公表
連したという、
最近の臨床試験を概説した。数件の
のMedicareの薬剤費(100億ドル)
の15%に上ると
した実地ガイドラインでは、
ヘモグロビンが10g/dL
臨床試験は、
治療群での有害事象の増大により中
いう。
以下の場合は治療が必要であるとしている。初期
間解析後に中止されている。
ンスが得られつつあると、
Dr. Khuriは述べた。
David Geffen School of Medicine at Uni-
Dr. Malinは、健康関連のQOL向上の評価の
の臨床試験では、ESA治療により輸血および関
epoetin alfaまたはdarbepoetin alfaでの57件
方法論についてレビューし、ESAが、化学療法関
連するリスクの頻度および回数の減少が示され
の無作為化対照試験(対象患者9,353例)のCo-
連の貧血患者の一部で疲労および健康関連の
た。
また、
ESA使用によりQOLの改善も認められた
chraneメタアナリシスで、輸血リスクの低下、血栓
QOLを改善すると思われると結論した。■
ビタミン D 欠乏は早期乳がん患者の転帰を悪化させる
ビタミンD欠損症は、
乳がん患者では一般に認
ビタミンD値は50歳以上(p = 0.006)、肥満
ろ、
グラフは曲線形を示し、
ビタミンDが80〜110
められるが、University of Torontoの3つの大
(p = 0.004)
、
ビタミンDのサプリメント使用例
(p<
nmol/Lでハザード比は最も低くなり、
それよりも
学病院で行われた臨床試験では、
ビタミンD欠乏
0.0001、
平均服用量400 IU/日未満)
で有意に高
高値となると死亡リスクが上昇した。遠隔無病
が予後不良であることが示された。
日曜日のセッ
かった。
また、
ビタミンD値にはレチノール、
ビタミン
生存期間について同様の検討を行ったところ、
ション
(abstract 511)
で、Pamela J. Goodwin,
B、C、E、
リボフラビン、穀物やシリアル、
アルコール
ビタミンD値が高いほどリスクは低下した。
この
MD(Mount Sinai Hospital)
らは、
その試験の
摂取との関連性が認められ
(すべてp < 0.05)
、
違いついてはさらに検討する必要がある。
結果を報告した。
従来の報告では正常および乳がん組織にはビ
インスリン値とは逆相関した
(p < 0.0004)
。
さらに、
ビタミンD低値は腫瘍悪性度
(p = 0.03)
、
術後補
Dr. Goodwinは、
さらに再現性を検討する必
要があること、確度が高まっても、
ビタミンD補給
タミンD受容体が認められるが、
ビタミンD値の低
助療法の有無
(p = 0.02)
と関連したが、
腫瘍径、
のランダム化試験を実施する前には、
ビタミンDサ
下が乳がんのリスクを上昇させることが指摘され
リンパ節転移、
エストロゲン受容体(ER)発現との
プリメントの服用率が高まっている現在において
てきた。
さらに予後因子としてのビタミンDの寄与
関連性は認められなかった。
も、
ビタミンD欠損が問題となるかどうかを確認す
度について、Dr. Goodwinらは1989年から1996
遠隔転移の無病生存期間はビタミンD欠損群
る必要があることを指摘し「乳がん患者に、骨粗
年に新規に乳がんと診断された512例について
では正常群に比べ有意に短縮したが(ハザード
鬆症の予防として用量以上のビタミンDを服用す
比1.94、p=0.02)、患者および腫瘍特性で補正し
るようにアドバイスするにはデータは不十分だと
てもハザード比はほとんど変化しなかった。
思う」
と述べた。
検討した。
2007年に、診断時の凍結血液標本中の25-ヒ
Nancy E. Davidson, MD
President
John W. Sweetenham, MD, FRCP
Associate Editor
Joy Curzio
Managing Editor
F. Hill Slowinski, JD
Executive Editor
Lori Alexander, MTPW, ELS
Virginia Anderson
Kate Casano, MHS
Alex Castellino, PhD
Tim Donald, ELS
Peggy Farrell
Carrie Gann
Walter Jones
Lynne Lederman, PhD
Donna Miceli
Allie Moore
KT Porter
Andrea Smiley
Robert Sumner
Melinda Tanzola, PhD
Deb Whippen
Contributing Writers
ASCO Daily News Japanese Edition
ASCO Daily News 日本語版
Nagahiro Saijo, MD PhD
Executive Adviser
編集顧問:西條 長宏 医学博士
Kei Muro, MD (ISSUE 1)
Kiyohiko Hatake, MD PhD (ISSUE 2)
Kenji Tamura, MD PhD (ISSUE 3)
Scientific Advisers
監訳者:室 圭 医学博士(ISSUE 1)
畠 清彦 医学博士(ISSUE 2)
田村 研治 医学博士(ISSUE 3)
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8F Towahoridomecho Bldg.,
2-1-1, Nihonbashi Horidomecho,
Chuo-ku, Tokyo, Japan, 103-0012
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E-mail: [email protected]
Publisher
発行元
株式会社エムエヌシーシステムズ
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ドロキシビタミンD濃度を放射線免疫アッセイ法
10年生存率は欠損群74%、不足群85%、標準
本講演の討論では、
Bruce Trock, PhD
(Johns
で定量した。肝臓では、
内因性および外因性のビ
群85%で、
ハザード比は1.73であった
(p = 0.02)
。
Hopkins University School of Medicine)
が、
タミンDを不活性型の25-ヒドロキシビタミンDに変
遠隔無病生存期間と同様に、患者および腫瘍
正常および乳がん組織においてビタミンD活性の
発行人:吉本 伸
換するが、
その値は生体内の総量を反映すると
特性で補正してもハザード比はほとんど変化し
サロゲートマーカーとして25-ヒドロキシビタミンD
Akira Miyakawa, MD
Editor in Chief
考える。一般にビタミンDレベルは、
欠損、
不足、
標
なかった。
また、ER発現にはビタミンD欠損によ
が適切かどうか、
乳がん組織では不活性型ビタミ
準、過剰に分類される。診断時のビタミンD値(平
る影響は認められなかった
(抄録の記載とは異
ンDを活性型に変換する酵素の遺伝子変異が
均値)は 58 nmol/Lで、
標準と判定されたのはわ
なる)。
ビタミンDの標準群と不足群における生
起こっていないか、25-ヒドロキシビタミンD値に個
ずか24%、38%は欠損と判定された。
なお、過剰
存率に違いは認められなかったため、生存曲
体差はあるのかを検討する必要があることを指
例は認められなかった。
線の対数ハザードの平滑化処理を行ったとこ
摘した。
■
Shin Yoshimoto
Director of Publication
編集責任者:宮川 晃 医学博士
Hiromi Harada
Zlatina Zlateva, MD
Japanese Translation & Editing
日本語翻訳&編集:原田 宏美
ゾラティナ ゾラテヴァ 医学博士
Masahiro Matsumoto
Coordinator & Advertising
コーディネータ&広告担当:松本 匡弘
本日講演予定の最新要旨
Oral Abstract Session,
Central Nervous System Tumors
8:00 AM–11:15 AM • S406 (Vista Room)
8:30 AM
“Randomized phase III study of sequential radiochemotherapy of oligoastrocytic tumors of WHO-grade III with
PCV or temozolomide: NOA-04.” (Abstract LBA2007)
Presenter: Wolfgang Wick Wolfgang, MD
Oral Abstract Session, Gastrointestinal (Noncolorectal) Cancer
3:00 PM–6:00 PM • E Hall D2
3:00 PM
“CONKO-001: Final results of the randomized, prospec-
tive, multicenter phase III trial of adjuvant chemotherapy
with gemcitabine versus observation in patients with resected pancreatic cancer (PC).” (Abstract LBA4504)
Presenter: Peter Neuhaus, MD, PhD
5:15 PM
“Postoperative adjuvant chemotherapy for grossly serosa-positive advanced gastric cancer: A randomized phase
III trial of intraperitoneal cisplatin and early mitomycinC plus long-term doxifluridine plus cisplatin (iceMFP)
versus mitomycin-C plus short- term doxifluridine (Mf)
(AMC 0101) (NCT00296322).” (Abstract LBA4511)
Presenter: Yoon-Koo Kang, MD, PhD
Oral Abstract Session,
Lung Cancer — Metastatic
3:00 PM–6:15 PM • W375e
3:15 PM
“Randomized phase III study of platinum-doublet
chemotherapy followed by gefitinib versus continued
platinum-doublet chemotherapy in patients (pts) with
advanced non-small cell lung cancer (NSCLC): Results
of West Japan Thoracic Oncology Group trial (WJTOG).”
(Abstract LBA8012)
Presenter: Toyoaki Hida, MD, PhD
Oral Abstract Session,
Head and Neck Cancer
3:00 PM–6:00 PM • E Arie Crown Theater
5:30 PM
“Phase III study of tirapazamine, cisplatin and radiation
versus cisplatin and radiation for advanced squamous cell
carcinoma of the head and neck.” (Abstract LBA6008)
Presenter: Danny Rischin, MD, MBBS, FRCP
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分野には様々な意見があり、
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4A • ASCO Daily News • Monday, June 2, 2008
トータルセラピー試験で多発性骨髄腫の生存率、奏効期間が改善
総会1日目のMyeloma Oral Abstract Ses-
究による進歩で、管理が困難なこの疾患が「潜
sionで発表されたデータは、現行の骨髄腫治
在的に治癒可能」となったと述べた(Abstract
療プロトコルで達成可能な継続的完 全 寛 解
8516)。
10%である。
TT 3試験に登録した予後因子が同様の患者の
全治療期間でのthalidomide追加の有効性を評
生存数値の比較から、bortezomib追加によるCR
価した668例の患者でのPhase III study(TT 2)で
期間(p=0.003)およびEFS(p=0.0002)の有意
(CCR)率と効果持続性により、その後の臨床
この解析は、主として移植後の薬物療法の
は、CR50%、奏効期間の中央値は5年であっ
の増加が示された。遺伝子発現プロファイリン
試験で生存に関する評価のための非常に高度
デザインと評価の時間的枠組みとして実施さ
た。Event-Free Survival(EFS)およびOSの中
グによるt(4;14)およびdelTP53状態と生存デー
な基準が確立されたことを示す。この新たな基
れたが、他の併用療法にbortezomibを取り入
央値はそれぞれ5.0年、9.0年であった。Dr. Bar-
タの相関は、高リスク患者集団の存在を示唆し
準の基礎となる解析には、約20年にわたる3件
れた3件の他の試験と比較すると、最初の討論
logieらは、thalidomideを投与したTT2群患者で
ており、bortezomibはこうした患者に独自の付
の「トータルセラピー」
(TT)試験が含まれ、
項目はプロテアソーム阻害剤と併用したbort-
は、対照アームおよびTT1の患者よりも連続CR
加的な効果がある。変異状態は、bortezomib
その最も古い試験では、10年超のCCRから約
ezomibの評価となった。
率(p<0.001)および5年EFS(p<0.001)が有意
療法が有効であるとみられる多発性骨髄腫患
に改善したと、2006年に報告している(Barlogie
者の特定に有用となる。
10%の奏効率が示唆される。導入化学療法と
Dana-Farber Cancer InstituteのKenneth
自己幹細胞移植後のインターフェロン維持療法
C, Anderson, MDは、bortezomibを「模範的な
よりなるTT 1の2件のその後の変法によりさら
薬物開発」と賞賛し、Dr. Barlogieらの知見を
に生存が延長されることが、統計学的に予測
「真に注目すべきもの」と述べた。
B, et al. Blood. 2006;107:2633-2638)。
TT 2およびTT 3では、前維持期が完了する
TT 3ではbortezomibを前投与し、移植後は
かどうかが生存の転帰の独立予測因子で、宿
thalidomideと併用した。303例の患者を対象と
主の受容性と認容性が今後の臨床試験の課題
TT 1は231例の患者を対象としたPhase II study
したPhase II studyの初期結果が2カ月前に発表
となる。■
計画にthalidomideおよびbortezomibを追加し
で評価した。完全奏効率は40%、完全奏効期
され(Pineda-Roman M, et al. Brit J Haematol;
ている。University of Arkansas for Medical
間の中央値は2.5年と報告されていたが、10年
140:625-634)、CR率、EFS、OSの3年推定値は
ScienceのBart Barlogie, MD, PhDは、この研
の経過観察後、16例がCRであり、奏効率は約
それぞれ90%、80%、85%であった。TT 2および
される。こうした変法(TT 2とTT 3)は治療
は長期の観察が必要である。
生殖器・泌尿器がん
局所乳がんの補助療法
Local-regional and Adjuvant Therapy
Oral Abstract Session: Breast Cancer —Localregional and Adjuvant Therapy
Presenter: Hyman Bernard Muss, MD
(Abstract 507)
Discussant: John Crown, MD
CALGB/CTSU 49907 試験では、高齢(≥65
歳)の乳がん、特にホルモン受容体陰性例で
は、
capecitabine は 標 準 療 法(CMF あ る い
はAC)に対して劣性であることが示された。
capecitabine 群ではrelapse-free survival イ
ベントは2.4 倍(95 % CI: 1.5-3.8、補 正 後p =
0.0003)
、死亡率は2.1 倍(95% CI: 1.2-3.7、
p=
0.02)
高かった。
Oral Abstract Session: Breast Cancer —Localregional and Adjuvant Therapy
Presenter: Rajini Katipamula, MBBS
(Abstract 509)
Discussant: Mary Beth Terry, PhD
Mayo Clinic Rochester における検討では、
術前MRI(pMRI)を施行した女性では、乳腺
腫瘤摘出術よりも乳房切除術の施行率が高
いことが示された。
pMRI 施行例における乳
房切除術の施行率は、
2003 年には30%、
2006
年には43%に増加した。
pMRI 結果に基づく
術式の選択が、患者にとってベネフィットと
なるかどうかを検討する必要がある。
免疫療法の開発
Poster Session: Developmental Therapeutics
Immunotherapy
Presenter: Renier J. Brentjens, MD, PhD
(Abstract 3045)
B 細胞腫瘍に対する新しい免疫療法とし
て、自己T 細胞を単離、活性化し、遺伝的にB
細胞特異抗体CD19 を発現するように調整す
るテクニックが評価された。このT 細胞をプ
リンアナログ抵抗性の慢性リンパ性白血病
患者に静注したところ、初回解析では忍容性
は良好で、有効性が認められた。次回の解析
では、免疫療法前にリンパ球除去を目的に化
学療法を行う予定である。
Oral Abstract Session: Genitourinary Cancer
Presenter: Joaquim Bellmunt Molins, MD
(Abstract 5028)
Discussant: Maha Hussain, MD
リンパ腫
Oral Abstract Session: Lymphoma
Presenter: Myron S. Czuczman, MD
(Abstract 8509)
Discussant: Andrew David Zelenetz, MD, PhD
多施設無作為化第III 相試験の結果から、
進行期移行細胞がんに対する2nd-line 療法
と し て、
urothelium が 生 存 率 を 改 善 す る こ
とが初めて実証された。最適な支持療法の下
でvinflunine と 併 用 す る と、
OS 期 間 は 支 持
療法群に比べて有意に延長した(6.9 ヵ月vs
4.3 ヵ月、
p=0.04)
。新しい微小管形成阻害薬の
併用により、治療効果およびprogression-free
survival(無増悪生存期間)も有意に改善し
た。
頭頸部がん
Poster Discussion: Head and Neck Cancer
Presenter: David Pfister, MD
(Abstract 6016)
Discussant: David I. Rosenthal, MD
限定的ではあるが無作為化比較対照試験
の結果から、頸部切除術および放射線療法後
に鍼治療を行うと、
標準療法(理学療法、
鎮痛
剤、抗炎症療法など)に比べて、疼痛および機
能不全、口腔内乾燥が軽減することが示唆さ
れている。慢性筋骨格系疼痛の管理における
鍼治療の効果を検討した比較対照試験、口腔
内乾燥を対象とした観察研究の結果は一貫
している。
肺がん
Local-regional and Adjuvant Therapy
Oral Abstract Session: Lung Cancer —Localregional and Adjuvant Therapy
Presenter: Thierry Le Chevalier, MD
(Abstract 7507)
Discussant: Pieter E. Postmus, MD, PhD
International Adjuvant Lung Cancer Trial
では、外科手術から5 年間に治癒切除術を受
けたNSCLC 例1867 例をさらに3 年間追跡し、
cisplatin をベースとした化学療法の有効性
を確認した。
5 年間にOS(p = 0.006)および
無病生存期間(p = 0.04)は有意に改善した
が、この効果はアジュバント化学療法の施行
率の高さに起因すると考えられた。治療の有
効性と有害性のバランスを評価するために
再発/ 治療抵抗性の活動性非ホジキンリ
ンパ腫に対するlenalidomideの有効性が国
際的な第II 相試験によって確証された。評価
可能であった46 例のうち、奏効率は28%で、
lenalidomide への反応性に関連する因子とし
て、腫瘍の重症度、最後のrituximab 投与から
の期間の長さが同定された。
メラノーマ
Oral Abstract Session: Melanoma
Presenter: Kelly McMasters, MD, PhD
(Abstract 9003)
Discussant: Vernon Keith Sondak, MD, FACS
センチネルリンパ節(SLN)生検およびリ
ンパ節切除(CLND)施行後のリンパ節陽性
例に対するアジュバント高用量IFN α療法
は、
DFS もOS も改善しないことが示されて
いる。プロスペクティブで無作為化試験であ
るSunbelt Melanoma Trialの最終報告では、
従来の報告と同様に、経過観察群、
CLND 群、
CLND +高用量IFN 群に割り付けられた患
者のうち、
PCR 法でSLN 陽性と判定された患
者だけが転帰不良であった。
骨髄腫
Oral Abstract Session: Myeloma
Presenter: Steven P. Treon, MD, PhD
(Abstract 8519)
Discussant: Kenneth C. Anderson, MD
Waldenström 型マクログロブリン血症患者
23例を対象とした第II相試験では、
bortezomib、
dexamethasone、
rituximabの併用療法の有効
性が検討された。レジメンの抗腫瘍活性は高
く、全反応率は96%で、
CR あるいはnCRは4
例、
PR は14 例であった。
中央値で14.7ヵ月まで
追跡したが、
20 例はprogression-freeで推移し
ている。
小児がん
Oral Abstract Session: Pediatric Cancer I
Presenter: Michael J. Borowitz, MD, PhD
(Abstract 10000)
Discussant: Yoav H. Messinger, MD
Children’s Oncology Groupでは、
急性リ
ンパ芽球性白血病において微小残存腫瘤
(MRD)
は、
治療の後期においても重要かつ独
立した予後マーカーであることを明らかに
した。高リスク患者では後期MRD は予後を
悪化させるが、標準リスクの患者であっても
MRD 陽性例では約50%が治療に失敗した。
しかし、寛解導入療法の後期にMRD 陽性と
なった後期MRD 例は、
NCI では標準リスク
群に分類され、高リスク群には分類されてい
ない。
Oral Abstract Session: Pediatric Cancer I
Presenter: Kimberly Dunsmore, MD
(Abstract 10002)
Discussant: Yoav H. Messinger, MD
2 つのステージから構成されるパイロット
試験(COG AALL00P2)
では、
高リスクである
新規T 細胞性急性リンパ球性白血病(T-ALL)
を 有 す る 小 児 に お い て、
Berlin-FrankfurtMuenster 強 化 レ ジ メ ン にnelarabine を 併
用した場合の有効性が検討された。ステー
ジ 1では、緩徐な早期反応性を示した12 例
がnelarabine と化学療法の併用療法を受け、
good responder 16 例 が 化 学 療 法 を 受 け た。
そ の 結 果、3 年event-free survival は75% で
あった。ステージ2 では、
nelarabine と化学療
法の併用療法を受けた61 例の3 年event-free
survivalは70%以上で、毒性の増加は認めら
れなかった。これらの結果に基づいて、
COG
AALL0434 では、新規高リスクT-ALL 例を対
象に、強化化学療法とnelarabine 併用の効果
を検討する試験を計画中である。
肉腫
Oral Abstract Session: Sarcoma
Presenter: Richard B. Womer, MD
(Abstract 10504)
Discussant: Douglas S. Hawkins, MD
局 所 性Ewing 肉 腫 群(ESFT)患 者 で は、
化学療法の施行頻度は3 週毎に比べて2 週毎
の方が有効性は高いことが示された。中央値
3 年間の追跡では、
event-free survival は3 週
毎群65%、2 週毎群76%と、後者で有意に高
かった(p = 0.028)。2 週毎群でも毒性の上昇
は認められなかった。
6A • ASCO Daily News • Monday, June 2, 2008
腫瘍内に送達されるワクチンは Low-grade リンパ腫患者で抗腫瘍効果をもたらす
Stanford University Medical Centerの
につつある腫瘍細胞から漏れた腫瘍抗原を提
クチン投与前後のサンプルを用いて、臨床反応
免疫応答を顕在化できると述べた。「toll様受
Joshua Brody, MDらは、low-gradeリンパ腫の
示する」とDr. Brodyは説明した。さらに、CpG
を腫瘍特異的免疫応答の発生と関連づける研
容体と相互作用するCpGは、全身投与時には有
個別化ワクチン療法の腫瘍内送達戦略を開発
は、B細胞リンパ腫に自身の抗原を腫瘍特異的
究が進行中である。
意の臨床活性を示さず、腫瘍内に投与すれば局
した(Abstract 3003)。そのPhase II Studyの
T細胞に提示させる。この2方面の免疫が作用
Dr. Brodyは、この戦略が臨床開発の新たな
データが昨日のDevelopmental Therapeutics;
して、腫瘍特異的T細胞が個別化され活性化し
段階に取り込まれる可能性があると確信してい
法が無効であった患者での全身奏効率が20%
Immunotherapy Oral Abstract Sessionで発
て腫瘍を死滅させる。
る。次の段階は「がん患者に固有の免疫抑制要
程度とすれば、より多くの集団でのCpGの検討
このワクチン送達戦略により、送達部位およ
素を除外して」この戦略の力を高めることにあ
は妥当と思われる。これがCpGの次の論理的
段階である」と、Dr. Disisは述べた。
表された。
所および全身で臨床反応がみられる。化学療
このPhase II Studyには、複数箇所(うち最
び遠位で抗腫瘍効果がみられた。ワクチン注
る。Dr. Brodyのグループは、自己幹細胞移植
低1カ所が表層性)の進行を伴うlow-gradeリ
入部位の局所反応は、7例の患者がCR、5例が
と組み合わせたこのワクチン戦略によるこうした
また、アジュバント化学療法におけるHER2
ンパ腫患者15例が登録された。表層部位には
PR、3例がSDであり、治療歴が少ない患者の
「やり直し」抗腫瘍免疫の達成方法を示した前
ペプチドベースのワクチンの公表データを引用
低線量放射線照射を行って腫瘍細胞死を誘発
奏効率が高かった。遠位に関しては、CRが1
臨床研究を最近完了した。
して「免疫療法で誘導される臨床反応は、細胞
し、患者特異的腫瘍抗原を腫瘍環境に放出さ
例、PRが2例、SDは7例でみられた。
これらのデータの討論で、Center for Trans-
傷害性の薬物によるものと質的に異なるため、
せた。次いで、複数のCpG配列を含むオリゴヌ
Grade3/4の毒性はみられなかった。
「Grade
lational Research in Women’s Health at the
ワクチン療法を受けている患者にはより長期の
クレオチド6mgを、腫瘍内に週1回、計10回投与
1/2の発熱は、奏効患者でみられたため、今後、
University of WashingtonのMary L. (Nora)
経過観察が必要である」と結んだ。■
した。
「CpGオリゴヌクレオチドは免疫刺激剤と
治療への反応との関連づけに利用できる可能
Disis, MDは、CpGオリゴヌクレオチドによる樹
して機能して、抗原提示細胞を活性化させ、死
性がある」と、Dr. Brodyは付言した。現在、ワ
状細胞の活性化が知られており、その後強力な
高 / 中リスク子宮体がん女性には膣内小線源療法が有効
昨日の“Gynecologic Cancer Oral Abstract
群における膣内再発率は3年で2%と予測され
で要約データを報告したNout氏は、手術後に
者に‘不要’な治療を行うことを正当化できる
Session”では、高/中リスク子宮体がん患者に
ている。膣内再発率を主要エンドポイントと
VBTを受けた患者は下痢が有意(p<0.001)
か」と再度、問いかけた。
おいて、有効性と患者のQOLの観点から、膣内
したのは、PORTEC-1で、それ以上の治療法
に少なかったと指摘した。EBRT群では、放
T h o m a s 氏 に より報 告され たように 、
小線源療法(vaginal brachytherapy ;VBT)
がないTAH-BSO後の子宮体がん患者におい
射線療法後に22%の患者に中程度〜高度の下
PORTEC-1では、経過観察のみの患者と比べ
が、骨盤内放射線療法と比べて、より良い治
て、膣が再発の主要部位であることが示され
痢がみられたのに対し、VBT群では6%であっ
て、EBRT治療を受けた患者では、局所再発
療オプションとなる可能性を示した成績(Ab-
たためである(Creutzberg CL, et al.Lancet.
た。それに伴い、患者の日常活動における制限
率が低いことが示された。PORTEC-2では、治
stract LBA5503)が報告され、注目を集めた。
2000;355[9213]:1404-1411)。
は有意(p<0.001)に減少した。その結果、社
療回数が少ないことから、EBRTよりVBTが
The Postoperative Radiation Therapy for
PORTEC-2には、手術的ステージングが行
会的機能は、EBRT群と比べて、VBT群では
優れることが示された。しかし、これらの治療
Endometrial Carcinoma(PORTEC-2)試験の
われていない高/中リスク子宮体がん患者427例
有意(p<0.002)に良好であった。放射線療法
法の生存に及ぼす影響は明らかではない。
「論
成績を報告したLeiden University
Medical
が登録された。TAH-BSO後、214例がEBRT
時に医師により報告された治療関連副作用で
理的な次の段階として、患者と医師の好みによ
CenterのRemi A. Nout, MDは「放射線外 照
群に、213例がVBT群に、1:1の割合で、それぞ
は、EBRT群において胃腸毒性が高率に認めら
り、手術後の経過観察の選択もあり得る。膣内
射療法(external beam radiation therapy
れ無作為に割り付けられた。対照群の患者に
れた。EBRT群では、軽症の下痢または痙攣が
再発が生じると考えられる10%のために、再発
;EBRT)とVBTの効果は同程度であるが、将
は、46GyのEBRTが23分割照射された。VBT
35%、中等度の下痢(1日5回以上)が19%にみ
後のEBRT、VBT治療が奨められるであろう」
来的にはVBTが高/中リスク子宮体がん治療に
群の患者には、高頻度の21Gyの3分割照射また
られたのに対し、VBT群では、それぞれ12%、1
とThomas氏は述べた。さらに「PORTEC試験
選択されるようになると思われ、単純で短く(3
は低頻度の30Gy1回照射が行われた。
%であった。
は、子宮体がん患者の知識と臨床ケアの進歩を
セッション)、治療関連副作用が少なく、患者
のQOLを改善すると思われる」と述べた。
PORTEC-2の3年目のエンドポイントの成績
Q O L の 改 善 に 加 えて、E B R T 群と 比 べ
もたらした。低/中リスク患者の大半は、再発リ
を表に示した。追跡期間中央値34ヵ月におい
て、VBT群では、照射時間が大幅に短縮され
スクが低いことが示されている。こうした患者
膣内・骨盤内再発は、子宮体がん手術後の患
て、膣内再発率は、VBT群では0.9%、EBRT群
た。EBRTの23分割照射を受ける患者は、通
では、手術的ステージングの病的状態がなくな
者に高頻度にみられる。最近では、再発リスク
では1.9%であった(p=0.97)。膣内再発率は低
常、週に5回、約5週間、治療を受ける必要があ
り、EBRTが不要になるかもしれない」と結論
減少のためにEBRTが行われている。複数の
かったものの、骨盤内再発率は、VBT群の方が
る。一方、VBTを受ける患者は、低頻度の場合
した。■
Phase II studyで、膣内再発予防におけるVBT
高かった(VBT群3.5% vs EBRT群0.6%;p=
は1回、高頻度の場合は3回の外来受診でよい。
の有効性が報告されている。
0.03)。しかし、骨盤内再発の多くは、遠隔再発
これらのことから、医師や高/中リスク子宮体が
PORTEC-2は、完全子宮摘出と両側性卵巣
との関連で生じていた。初回不成功時の子宮体
ん患者が手術後の治療として、EBRTよりVBT
輸卵管切除術(total abdominal hysterectomy
内再発率は、VBT群1.3%、EBRT群0.7%であ
を選択するのは当然とも考えられる。Nout氏
and bilateral salpingooophorectomy;TAH-
った。OS、RFS率は、両群、ほぼ同程度であっ
は、ASCO Daily Newsに「PORTEC-2は、現
BSO)後の高/中リスク子宮体がん患者におい
た。
在の標準的治療であるEBRTとVBTを比較し
て、EBRT(対照群)とVBT(治療群)を比較
しかし、Nout氏によれば、患者のQOLの成
した、無作為化 Phase III study である。主要
績は、VBT群の方が良好であったという。2007
本成績のディスカッションにおいて、the To-
エンドポイントは膣内再発率であるが、EBRT
年のEuropean Cancer Conference (ECCO)
ronto Odette Sunnybrook CancerのCenter
た唯一のPhase III studyである」と語った。
Gillian Thomas, BSc, MD, FRCPは「この試験
の臨床成績は、子宮体がん患者の診療に大きな
子宮体がんに対する術後放射線療法の 3 年目の成績
(PORTEC-2)
影響力を及ぼすべきである」と述べた。
試 験 は非 常によくデ ザインされたもので
臨床エンドポイント
VBT
EBRT
P値
膣内再発率
0.9%
1.9%
0.97
「PORTEC-2は、VBTがEBRTにとってかわる
骨盤内再発率
局所再発率
遠隔再発
3.5%
4.0%
6.3%
0.6%
2.5%
5.7%
0.03
0.15
0.37
ことができることを示した。しかし、検討すべき
あり、解 析も正確に行われた。Thomas氏は
選択肢もある。長期的な膣コントロールと生存
率が同等と考えられるなら、手術後に経過観察
し、膣内/骨盤内再発に対してのみ放射線療法
初回不成功時の再発
膣
骨盤
遠隔
0%
1.3%
6.4%
1.6%
0.7%
6.0%
OS
90.4%
90.8%
0.55
した。PORTEC-1、PORTEC-2のデータに基づ
RFS 率
死亡率
89.5%
9.2%
89.1%
9.7%
0.38
0.96
性のある臨床効果が非常に小さいものだとした
を行うべきではないか」と問いかけた。
http://www.clinicalnewswire.com/
Thoma s 氏は、手 術後のみの経 過観 察と
VBTと比較することを示すアルゴリズムを提示
略語: VBT, vaginal brachytherapy; EBRT, external beam radiation therapy.
医療の最前線を世界から
き、Thomas氏は「補助VBTから得られる可能
ら、膣内再発率を減少させる効果は、98%の患
株式会社エムエヌシーシステムズ
〒103-0012 東京都中央区日本橋堀留町 2-1-1 藤和堀留町ビル 8F
TEL: 03-5652-3500 E-mail:[email protected]
Monday, June 2, 2008 • ASCO Daily News • 7A
結腸・直腸がんに対するアジュバント化学療法の有効性と
安全性の検討〜 GI オーラルセッション
総 会1日目の 消 化 器 がん( 結 腸・直 腸 が
ん)のオーラルセッションで、oxaliplatin(L-
た場合の安全性について報告した(Abstract
4006)。
OHP)による無増悪生存期間の延長に対する
アジュバント化学療法としてのbevacizumab
有効性とmFOLFOX6+bevacizumabの検討
の 安 全 性のデータが 得られたことは、非常
結果が報告された。結腸・直腸がんのアジュバ
に大きな成果であり、Dr.
ント化学療法としての有用性が検討された。
で、bevacizumabが手術後の患者さんにおい
Figure 1A
Allegraは「これま
てどのような重篤な副作用を及ぼすのか明確
Oxaliplatinの有効性
でなかった」とbevacizumabの安全性に対す
Norman Wolmark, MD(Allegheny Gener-
る危惧を述べた。
al Hospital)は、National Surgical Adjuvant
Phase III Studyでは、stage II/IIIの直腸
Breast and Bowel ProjectでのC-07試験(Ab-
腺がん患者2710例において、mFOLFOX6群
stract
LBA4005)の結果を報告した。この試
とmFOLFOX6+bevacizumab群に無作為に
験はstage II/IIIの結腸・直腸がんに対してbo-
割り付けられた。追跡期間28.5カ月(平均値)
lus fluorouracil(5-FU)and leucovorin(LV)
で、評価対象となったmFOLFOX6群1,321例
に、L-OHPを併用した場合の有効性を検討し
とmFOLFOX+bevacizumab群1,326例にお
たものである。主要エンドポイントはDFSで、
ける早期死亡率(18カ月)には差はなく(1.33%
今回はOSに関して初めての報告である。Dr.
vs 1.35%)、多くの有害事象はgrade 3で、その
Wolmarkの報告によると、死亡数(560例)は
発現率はmFOLFOX+bevacizumab群で有意
プロトコール作成時の当初に想定していた死亡
に多かった(p=0.0006)。しかし、大部分の有
数(700例)より少なく、そのため追跡6年時点
害事象は管理可能であった。
でのL-OHP併用群のOSは、5 -FU/LV群と比
較して良好であった(Figure1)。
mFOLFOX+bevacizumab群では、血小板
減少やアレルギー反応の発現は少ないことが認
またL-OHP併用群のDFSは良好であり、追
められ、
(それぞれ3.4% vs 1.4%、P<0.001;4.7
跡期間67カ月(平均値)での5-FU/LV/L-OHP
% vs 3.1%、p=0.03)、心臓、中枢神経、末梢動
群のDFSは69.4%、5-FU/LV群の64.2%と比
脈虚血、消化管穿孔、出血などの有害事象の増
較して有意に高く(p=0.002)、リスク低下率は
加は認められなかった。
19%であった。
Figure 1B
Table 1に追跡期間12カ月の有害事象の発
Dr. Wolmarkは、この試験の結果は、結腸
現率を示す。創合併症に注目すると、発現した
がんに対する5-FU/LV/L-OHPの有効性を検
創合併症は全てgrade 3であり、手術の影響も
討したMOSAIC試験の結果(Andre T, et al.
あるが、bevacizumabを投与中止する患者も1
N Engl J Med. 2004;350[23]:2343-2351)を
例いた。創合併症の63%は瘢痕ヘルニアで、他
確証するものであると述べた。「C- 07試験と
37%は裂開、感染症、注入ポート部の炎症であ
MOSAIC試験の結果で、5 -FU/LVにL-OHP
った。創合併症発現に関しては、ヘルニアは5カ
を併用投与することでOSおよびDFSの延長が
月(中央値)で、注入ポートに関連するものは2
みられ、L-OHPの有効性が確認された」と結
カ月(中央値)で認められた。
論した。
Dr. Allegraは、アジュバント療法としての
Richard M. Goldberg, MD(University of
bevacizumabの有効性がきちんと認められる
North Carolina Lineberger Comprehensive
までは、bevacizumabをアジュバント療法とし
Cancer Center)もDr. Wolmarkの所見に同意
て使用することは推奨しないと述べた。また、
し、5-FUのbolus投与、持続静注投与のいずれ
長期間追跡することにより、遅延性の有害事
においてもL-OHPの有効性を再認識できたと
象の発現も明らかになってくる可能性がある
述べた。すでに認められているStage
IIIに対
という。最後に、この試験に関して、Dr. Gold-
するL-OHPの有効性と同等の有効性が、stage
bergは、
「繰り返しになるが、bevacizumabの
IIに対しても考えられた。Dr.
Goldbergは、6
長期有効性と安全性に関するデータが必要で
年DFSは5年DFSよりも良好であったことか
ある」と長期追跡による評価の重要性を語っ
ら、今後アジュバント化学療法を検討する場合
た。■
Figure 1A and 1B. The combination of oxaliplatin and bolus fluorouracil (FU)/leucovorin (LV) (FLOX)
led to a borderline increase in overall survival (the secondary endpoint) and improved diseasefree survival (primary endpoint) compared with the chemotherapy regimen alone (FULV).
は、より多くの患者、より長期の追跡期間を設
mFOLFOX6 plus
Bevacizumab
mFOLFOX6
Alone
p value
32.4
26.1
< 0.001
Hypertension
5.9
0.7
< 0.0001
Pain (any)
4.7
2.1
< 0.001
Depression
2.9
1.3
< 0.01
Dizziness
1.6
0.7
0.04
Proteinuria
1.6
0.2
< 0.001
Wound complication
1.1
0.3
0.01
定する必要があると述べた。Adjuvant Colon
Cancer
Endpoints(ACCENT)によると、最
近のDFSとOSは、1978年に対して確実に延び
ている(O’Connell MJ, et al. J Clin Oncol.
2008;26[14]:2336-2341)。
また、再発後の生存期間も延びている。Dr.
Goldbergは、いまやDFSは重要なエンドポイン
トであろうと述べた。それにDr. Wolmarkも同
意し、治療による生存期間の延長とともに、OS
を検討するには最低5年以上の追跡期間を必
要とすると述べた。
Bevacizumabの安全性の検討
Carmen J. Allegra, MD(University of
Florida)は、stage II/IIIの結腸・直腸がんに
対するアジュバント化学療法を、bevacizumab
をmFOLFOX6(5-FU/LV/L-OHP)に併用し
Sensory neuropathy (grade 2+)
Table 1. Significantly Different Toxicities (Grade 3 or Higher)
12 Months after Completion of Chemotherapy
8A • ASCO Daily News • Monday, June 2, 2008
遺伝子発現シグネチャーは、NSCLC 治療からの臨床効果が得られる
可能性の高い患者の同定に有用である
遺伝子発現プロファイリングは、補助化学療
は、リスク群における限られた治療オプションの
法の臨床効果が得られる早期非小細胞肺がん
患者を判別できる予後的遺伝子発現シグネチャ
Dr.Tsaoは、この15-遺伝子シグネチャーは治
選択された標的の有効性を決定するのに重
(nonsmall cell lung cancer ;NSCLC)患者の同
ーの同定が検討された。さらに、ステージIの患
癒切除後の化学療法が有益な可能性が高い患
要な予後パラメータ、予測パラメータを理解する
定に有用と考えられている。昨日の“Lung Can-
者、入手可能な他のデータセットにおけるシグネ
者の同定に有用な可能性があり、さらなる検証
ことは重要である。予後パラメータは治療とは
cer, Local-regional and Adjuvant Therapy
チャーの有用性、補助化学療法の有効性に対
で有用性が確認されれば、補助化学療法を受
独立して、患者のアウトカムに影響を及ぼす。予
Oral
するシグネチャーの予測的価値も検証した。
けるべき患者を同定する方法の改善につながる
測パラメータは治療の決定に役立ち、その効果
可能性があるとした。
は治療に依存する。
「補助療法の理想的なパラ
Abstract
Session”において、Princess
スク群では認められなかった(p=0.008)。
明している」と付言した。
Margaret Hospital, CanadaのMing S. Tsao, MD,
JBR.10試験における133例(経過観察が62
FRCPCは、予後的遺伝子発現シグネチャーの同
例、化学療法が71例)から採取した組織の検
ディスカッションでは、H. Lee Moffitt Cancer
定と検証をめざした成績(Abstract 7510)を提
討により、観察群の62例を死亡のハイリスク群
Center & Research InstituteのGerold Bepler,
示し、最近の分子マーカーは、補助化学療法が
(33例)、ローリスク群(29例)に分類できる
MD, PhDが「分子技術と生物学的技術を統合
こうした基準によれば、Tsao氏らの研究も同
有効な患者をより正確に選択できるように改善さ
15-遺伝子発現シグネチャーが同定された。さら
させることが、遺伝的プロファイルに基づくより
定された15-遺伝子発現シグネチャーは予後的
れているので、ハイリスク患者や予後不良患者
に、ステージIまたはIIのNSCLC患者372例から
効果的な患者の標的化やより良い患者の選択
であり、かつ予測的でもあることで同じ方向性
の同定にも有用であると述べた。
採取した組織標本を含む5つの独立した遺伝
につながる可能性がある」と述べた。この最も
を示す。しかしながら、遺伝子とシグネチャー
子発現データセットにおいても、同じシグネチャ
一般的なモデルは、慢性骨髄性白血病(CML)
の最適な数に関する問題は残っており、この遺
ーの有用性が確認された。
におけるimatinibの使用である。「肺がんは
伝子発現はプロスペクティブに検証されるべき
であるとBepler氏は指摘した。■
ステージIB-II NSCLC患者において補助化
学療法の生存に及ぼす影響を検討したJBR.10
試験の成績では、各ステージとの相関が明らか
化学療法は、ハイリスク患者の死亡リスクを有
CMLと同じではない。肺がん患者は非常に複
にされた。すなわち、ステージIBの患者と比較
意に減少させた(p<0.0001)。こうした効果は、
雑なゲノムを有している。このことが、CML患
して、ステージIIの患者が補助化学療法から得
ハイリスクのステージIB(p=0.007)、ステージ
者において標的化治療が有効であっても、肺が
られる効果は限られたものであった。本試験で
II(p=0.0059)の患者では認められたが、ローリ
ん患者では標的化治療が有用でないことを説
メータは、予後的でかつ予測的なものである」
とBepler氏は述べた。
小児 Hodgkin’
s Lymphoma の治療が若年死のリスクを上昇させるというエビデンス
1 日目に報告された Childhood Cancer Survivor Study(CCSS)研究より生存者の死亡リスクの検討
Hodgkin’s
Lymphoma(HL)に対する現在
発症(grade 3/4)の検討を行った。
者でより生存率を低
の治療法は大変優れており、その生存率は1990
20年以内の再発は13.2%、30年以内の2次が
年代より94%を誇っている。HL治療後の2次が
んの累積発生率は女性で25.3%(乳がんを除外
んの発現はよく知られているところで、小児HL
すると10.9%)、男性で10.6%、乳がんを除けば
Dr. Castellinoは、
に対する治療に関連する死亡率を検討した研究
男女差は認められず、Grade3/4の心血管疾患の
この 疫 学 研 究 によ
がいくつか行われている。
発症率にも差は認められなかった。しかし、2次
ってH L患者の治療
がんと心血管疾患の発症は性別に関係なく死亡
に 関 連 する 疾 患 発
の主原因となっていることが認められた。
症と若 年 死 に 関 す
The Childhood Cancer Survivor Study
(CCSS)は、1970〜1986年に、がんを発症した
下させることが判明
した。
小児患者の生存率を検討する長期の疫学研究
Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解
る 傾 向 が わ かりつ
である。この研究報告によると、全米の人口と比
析で、アントラサイクリン系薬剤による化学療法
つあると述べた。同
較して、小児HLの生存患者の標準化死亡率は
は男性患者において主な死亡原因であること
医師は、H L 患者の
8.3(95%CI:[7.4〜9.2])であるという。Sharon
が認められた(ハザード比:3.2、[1.8〜5.6])。一
2次がんと心血管疾
M. Castellino, MD(Wake Forest University
方、Suprahepatic/infradiaphragmatic放射線
患の 早 期 発 見の 必
School of Medicine)は、土曜日に行われたPedi-
療法は、女性患者において主な死亡原因である
要 性を認 識 する べ
atric Cancer I Oral Abstract Session(Abstract
ことが認められた(<30Gyでは4.5、[1.2〜17.4];
きであることも示唆
10006)で、CCSSの生存HL患者の死亡原因を
>30Gyでは3.5、[1.1〜11.6])。さらに、女性患者
した。Smita Bhatia,
検討した結果を報告した。CCSSでは、レトロス
では再発が重要な死亡リスクであり、Grade3/4
MD, MPH(City of
ペクティブに登録した生存HL患者1927例を23年
の心血管疾患の発症は男女を問わず死亡のリ
Hope National Medical Center)は、1980年代
いると述べ、医師は、生存患者が治療による後
(中央値)にわたってプロスペクティブに観察し
スクであった。また、2次がんは、男女を問わず
後半からはより副作用の少ない治療法へとシフ
遺症のリスクを負わないよう努めるべきであると
ており、2次がんの発現や重篤な心血管疾患の
生存率を低下させる原因となっており、男性患
トしており、疾患の合併を減らす努力がなされて
力説した。■
Supra- and infradiaphragmatic radiotherapy were significant risk factors
at all doses for mortality in female survivors. Male survivors also experienced increased risk of mortality because of these therapies but only at
doses of 30 Gy or greater.
PARP 阻害が BRCA 変異卵巣がんに対して有効である可能性を示唆
昨 日 行 わ れ た 婦 人 科 が ん の セッション
26例において、BRCA1変異が認められる患者
Dr. Fongらは、プラチナ製剤投与をしない
Dr. Fongは「現時点では、BRCA変異卵巣が
で、Peter C. Fong, MBBS, FRACP(The Royal
とBRCA2変異が認められる患者の割合は、お
BRCA変異卵巣がんに対するAZD2281とpegy-
んに対してPARP阻害の有効性を示すエビデン
Marsden Hospital and The Institute of Can-
よそ5:1であると報告した。これらの患者には
lated liposomal doxorubicinを比較するPhase II
スはない。Phase II Studyで、proof-of-conceptの
cer Research, United Kingdom)の発表の後、
AZD2281が投与され、奏効率は46%、13%で
Studyの計画を進めている。これらの遺伝子変
検討が行われる」と結論した。■
ディスカッションセッションでAndreas du Bois,
無増悪を認め、計59%の患者で治療効果が得
異の特徴が、homologous recombinationへ影響
MD, PhD(Horst Schmidt Klinik, Germany)
られた。Response Evaluation Criteria in Solid
する内因性のDNA損傷であることから、BRCA
が「経口ポリADPリボースポリメラーゼ阻害薬
Tumors(RECIST)あるいはGynecologic Can-
変異卵巣がんに対してAZD2281、およびPARP
AZD2281(KU-0059436としても知られている)
cer Intergroup Cancer Antigen 125(GCIG-
阻害が有効であると考えられる。このDNA損傷
を用いたPhase I Studyの結果、卵巣がんでの
CA125)criteriaを満たす患者をレスポンダーと
はPARP酵素によって媒介されるため、PARPの
BRCA1およびBRCA2変異は治療の標的となる
したが、BRCA1変異患者とBRCA2変異患者の
阻害作用は、BRCA変異卵巣がんに対する有効
遺伝子であることが認められた」と結論した。こ
割合は変わらなかった。
な治療戦略になると考えられる。
の結論は、AZD2281はBRCA変異卵巣がんに
プラチナ製剤に対して感受性患者(80%)と
Dr. du Boisは、全卵巣がん患者の10%〜15%
対する抗腫瘍効果を有するという、Dr. Fongの
抵抗性患者(40%)にAZD2281を投与したとこ
の少数にBRCA変異が認められると述べた。し
これまでの見解をサポートするものである。
ろ、全奏効期間では2群に差は認められなかっ
たがって血管新生阻害薬、エピジェネティックス
たが、抵抗性患者の最長奏効期間は感受性患
や体細胞変異による細胞内分子を標的とする治
者のおよそ半分であった(32週 vs 77週)。
療法の開発が求められている。
Dr. Fongは、プラチナ製剤による治療を受
けて遺伝 子変異の認められる卵巣がん患者
全卵巣がん患者の10%〜15%の少数
にBRCA変異が認められる。したが
って血管新生阻害薬、エピジェネティ
ックスや体細胞変異による細胞内分
子を標的とする治療法の開発が求め
られている。
10A • ASCO Daily News • Monday, June 2, 2008
ASCO および Society of Nuclear Medicine が
分子イメージングおよびがんに関する第 1 回合同会議を開催
昨日、AS COおよびSociety of Nuclea r
する必要があると述べ、講演を締め括った。
Medicine(SNM)のメンバーにより、臨床試
がん専門医の視点
験における有効性を改善する上で、同法をど
のように活用するかを検討する合同セッショ
Douglas Yee, MD(University of Minne-
ン“Molecular Imaging and Cancer: Optimizing
sota)は、核イメージングが、特に乳がんにおけ
Clinical Trials and Clinical Practice”が開催さ
る新しいがん治療法の開発およびモニタリング
れた。ここではがんの個別治療における分子イメ
に、いかに有用であるかに多くに時間を費やし
ージングの役割を検討し、がんの生物学を含む
た。がんのスクリーニングおよび治療において
分子イメージングの進歩に焦点が当てられた。
挑戦するべき課題は多い。がんは均一なもので
セッションはASCO PresidentであるNancy
はなく、一つの治療法がすべてのがんに有効と
E. Davidson, MDおよびSNM Presidentである
いうわけではないが、新しい治療標的は毎日の
Alexander(Sandy)McEwan, MDによる開会
ように開発され、転移性がんでは新しい治療法
の辞で始まった。
が次々に評価されている。分子イメージングは、
Dr.
標的となる分子マーカーは発現しているか、そ
McEwanは、近年、がんイメージングが
用いられるようになった理由(診断およびステ
ージ分類、治療効果の評価、フォローアップとス
分 子 イ メ ー ジ ン グ に 関 す る 最 初 の 合 同 セ ッ シ ョ ン の パ ネ リ ス ト( 左 か ら ):Douglas Yee, MD、Nancy E.
Davidson, MD、Alexander(Sandy)McEwan, MD、David Mankoff, MD、Chaitanya Divgi, MD
れが阻害されているか、標的分子阻害との生
て標的分子マーカーのイメージングは支援とな
物学的因果関係があるか、新薬の開発におい
テージ分類)を説明し、がんイメージングは診
臨床試験について、そしてイメージング専門医は
評価する必要が生じている。そのため、分子イ
断、治療法の層別化、治療効果および毒性の予
イメージング装置、がんの描出法、画像の読影
メージングから得られる機能パラメータは必須
るか、などを決定する際に十分参照されるだろ
測および評価、腫瘍の遺伝的特性の決定、治
法についてくわしいからだ」と述べた。
のものとなる。構造の変化は通常、機能の変化
う。
療個別化などにおいて重要であると強調、
「核
医学と腫瘍学が交流する機会は、基礎研究、ト
ランスレーショナル研究だけでなく、臨床領域
イメージング医の視点
Chaitanya Divgi, MD(University of Penn-
を伴い、生物学的療法ではその傾向が強いが、
例えばエストロゲン受容体(ER)陽性の乳が
機能の変化が顕在化するまでには長い期間を
んでは、分子イメージングにより、ER発現の有
要するからである。
無、腫瘍に対する抗エストロゲン療法の効果判
sylvania)は、今回のASCOとSNMの合同セッ
D r. D i vg iは、講 演の 大半 を機 能イメー
定、実際に腫瘍は縮小するのか評価できる。標
座長であるDav id M a n kof f , M D, Ph D
ションは、がん治療医とイメージング専門医の
ジ ング に お ける P E T の 革 新 的 役 割 の 説
的の中には治療抵抗性のものも存在するが、分
(University of WashingtonおよびSeattle Can-
違いを際立たせることになるだろうと言う。
「ど
明に費 やした 。特 に 、核トレ ーサ ーである
子イメージングを活用すれば、治療の有効性を
cer Care Alliance)が、プログラムを俯瞰して、
こまで共同研究が可能かはわからないが、例
fluorodeoxyglucose(FDG)について、分子イメー
迅速に判定し、それに基づいて治療方針を決定
解剖学的イメージング(腫瘍のサイズ、形状、密
えば、がん専門医が臨床試験をデザインする際
ジング技術の標準法であると位置づけた。新し
することもできる。
度を評価し、腫瘍サイズの縮小から反応性を決
に、イメージング専門医が初めから参画してい
い核トレーサーが開発中であるが、規制は厳しく
Dr. Yeeは「実験的イメージングは、特定の腫
定)と分子イメージング(腫瘍の生物学的特性、
れば、後から必要となるサロゲートマーカーの
なっており、FDGに比べて有用性を明示すること
瘍に対する新しい薬効成分を同定する際にも有
分子的特徴を評価し、分子プロセスから反応性
選定などの点でずいぶん役立つはずだ」と述べ
は難しいという。結論としてDr. Divgiは、分子イ
用性は高く、がん治療を個別化する際にも非常
を決定)の違いを説明した。がん専門医とイメー
た。イメージングは組織微小浸潤の評価には欠
メージングはがん治療において重要かつ革新的
に役立つ」と述べて締め括った。■
ジング専門医が交流すべき理由として「がん専
かせないツールである。また、生物学的療法の
な役割を担っていくと考えられ、臨床に応用する
門医は臨床的な問題、がんのバイオマーカー、
数が増えており、がんの表現型をリアルタイムで
ために比較臨床試験を行い、その有用性を確立
にもあり、拡大しつつある」と述べた。
再発性、抵抗性マントル細胞リンパ腫に有効性が
期待される Temsirolimus
昨日の“the Lymphoma Oral Abstract Ses-
今回のPhase III Studyでは、測定可能な疾
Temsirolimus 175/75mg群のPFS期間は、
sion”では、再発性、抵抗性マントル細胞リンパ
患を有する再発 性または抵抗性MCL患者が
医師選択治療群と比べて、有意に延長した(4.8
腫(mantle cell lymphoma ;MCL)患者にお
登録された。本試験では、中枢神経系疾患を
カ月 vs. 1.9カ月;ハザード比 0.44;97.5% CI:0.25,
いて、mTOR阻害薬temsirolimusが無増悪生存
有する患者は除外された。合計162例の患者
0.78;p=0.0009)。低用量の175/25mg群のPFS
(progression-free survival:PFS)を有意に改
が、temsirolimus毎週175-mg、30分注入を3週
期間中央値は3.4カ月で、医師選択治療群に対
善したとする、プロスペクティブ無作為化国際
間継続後、75-mg
temsirolimus(175/75mg)
する有意な優位性は示されなかった。客観的
Phase III Studyの成績(Abstract 8513)が報
または25-mg temsirolimus(175/25 mg)また
有効率は、temsirolimus 175/25mg群(6%)、
告された。
は、gemcitabine、fludarabineなど医師が選択
医師選択治療群(2%)と比べてtemsirolimus
B細胞非ホジキンリンパ腫の約6%を占める
した単剤治療(医師選択治療)のいずれかに
175/75mg群(22%)で高かった。OS率には、群
MCLは、予後不良であり、中央生存期間は3-4
無作為に割りつけられた。Temsirolimusは、増
間に有意差は認められなかった。
年とされている。「進行期における再治療成
悪、死亡、受容不能な毒性などが発現するまで
績は概ね不良である」と、Germany,
継続された。
Johannes
Temsirolimusの毒性増加は「軽度で管理
可能」と報告された。医師選択治療群と比較し
Gutenberg-UniversitatのGeorg Hess, MDは、
て、temsirolimus175/75mg群では、グレード
「多くのレジメンや単剤が用いられているが、こ
3/4の血小板減少症の頻度が高かったが(63%
れらの患者に対する世界標準治療は、未だ確立
されていない」と語った。
MCLは、t(11;14)転座が特 徴で、その結
進行期における再治療成績は概ね不
良である。多くのレジメンや単剤が用
いられているが、これらの患者に対す
果、cyclin D1 mRNAが過剰に発現する。その
る世界標準治療は未だ確立されてい
翻訳がmTORキナーゼにより調節されている
ない。
ことから、mTOR抑制薬の有効性が期待され
−Georg Hess, MD
vs
40%)、逆にグレード3/4の好中球減少症の
頻度は低かった(24% vs 45%)。しかし、グレー
あなたの患者に、
がんについて説明しよう。
Net の ASCO Expert Corner:
2008 年 ASCO 年次総会のハイライトが、
www.cancer.net/feature で
ド3/4の感染症発現率はtemsirolimusで高かっ
閲覧できる。
た(9% vs 4%)。胃腸系副作用もtemsirolimus
本記事は、
ASCO 会員の専門性を利用する
群により多くみられた。
進行中のシリーズの最新のものである。
Dr. Hessは「本試験は、MCLにおいてmTOR
ることとなった。実際、以前の研究では、進行
抑制が抗腫瘍効果を発現、維持するという原則
期腎細胞がん治療に承認されたmTOR抑制薬
の証明になった」と結論した。さらに「本成績か
temsirolimusが再発MCL患者に有効であった
Dr. Hessは、患者の治療歴は豊富で、約半数
ら、MCL治療の選択肢に175/75mg temsiroli-
ことが報告されている(Witzig TE, et al. J Clin
は以前に4-7レジメンの治療を受けていたと指摘
musを追加すべきことが示唆された」と述べ、
Oncol. 2005;23:5347)。
した。診断後の期間中央値は4年であった。
講演を終えた。■
本記事では、年次総会で報告された
研究が、患者さんにもわかりやすい
要約として掲載されている。
Monday, June 2, 2008 • ASCO Daily News • 11A
未承認薬の使用についての論議は続く
昨日の教育セッション“Access to Investiga-
の選択権を抱合して考慮すべきものである。こ
tional Drugs Off-protocol: What Do We Owe
うした行為は薬剤承認のプロセスにも影響を
Patients?”の演者らの見解は、未承認薬剤の
及ぼし、承認を遅らせ、他の患者の使用機会を
無制限な使用に対する関心は低いことで一致
遅らせる可能性がある。Dr. Emanuelは、転移
した。「患者支援団体からの要請により、この
性乳がんで骨随移植を受けた女性は、臨床試
課題は過去10年間の山場を超えた。この問題
験では1千例であるが、臨床試験外では推定2
はもはや法廷で論争する問題ではないが、が
万3千例から4万例にのぼることを指摘した。試
ん専門医である私は、未承認薬を使用したい
験の遅れにより、効果がないと判明した治療を
と望む患者と毎週のように向き合っている」。
受けた多くの女性で、死亡などの健康被害が生
座長であるAnthony Lee Back, MD(Seattle
じた。
Cancer Care Alliance)はセッションの冒頭で
こう述べた。
Judith J. Ochs, MD(AstraZeneca Pharmaceuticals)は、企業の観点からこの問題を
Panelists (left to right) Anthony Lee Back, MD; Judith J. Ochs, MD; Ezekiel J. Emanuel, MD, PhD;
and Ann T. Farrell, MD, confront the widely debated moral and legal issues surrounding patient
access to investigational agents.
最初の演者であるEzekiel J. Emanuel, MD,
論じ、登録された試験は、科学的に妥当性があ
PhD(National Institutes of Health)は、倫
り、規定を完全に満たしたものであるべきで、
理および法的な観点から、未承認薬の使用に
安全性と有効性が確認された薬剤の臨床効果
Ann T. Farrell, MD(U. S. Food and Drug
反対意見を持つ委員を含まない偏ったパネル
ついて論じた。この問題は、Abigail Alliance
をできるかぎり多くの患者が享受できるように
Administration)は、承認外使用についての
への問題提起も寄せられた。パネルが作成し
による法廷論争によって火がついた。自由主義
すべきだと述べた。延長試験の参加者は製薬
規制緩和の修正案について報告した。提案さ
た、
「未承認薬使用の増大が薬剤開発を遅ら
の観点からはAllianceの立場は擁護されるべ
企業にとっては負担になる。薬剤の承認外使
れた修正案には、重篤な患者あるいは余命短
せ、承認プロセスを遅延させる」とするコンセ
きであり、個人には選択の権利があり、合法か
用は試験にも影響を及ぼし、安全性や有効性、
縮のリスクがある患者では、未承認薬の使用
ンサスに合意できないという意見もあった。が
つ他人に害を及ぼすものでなければ、リスクを
供給体制、製造体制、投与期間についてのデー
を、薬剤の開発目的ではなく、治療として認
ん患者からは、医師は臨床試験への患者リク
侵しても願望を叶えることが許される。そのた
タを収集する上でも障害となり、医療費も高額
め、拡大使用の新しいタイプとして追認する提
ルートをもっと効果的に行うべきだとする指摘
め、能力がある末期患者は、有害でなければ
となる。Dr. Ochsは開発の早期段階にある薬
案、試験段階にある薬剤の費用負担に関する
も寄せられた。Dr. Emanuelは、不適切な形
未承認薬でも未試験薬でも、どのような薬剤で
剤、特に新しいクラスの薬剤は、安全性を確認
提案が含まれる。修正案が発表されて以来、当
で、がんの臨床試験に参加する患者が多いと
も使用する権利を有すると考えられる。しかし
するのは難しく、末期患者に対する投与は、登
局に寄せられたコメントは、その提案と目標を
述べた。
米国の法廷は、承認薬であっても患者が使用
録されたプログラムを遅延させ、方向性を狂わ
支持するものが多かった。しかし、個人あるい
する憲法上の権利はないと判断した。
せると指摘した。医療コミュニティの多くが、薬
は患者支援団体、製薬およびバイオテクノロジ
の使用は現在も続いており、すべてのがん研究
座長であるDr.
Backは最後に、
「未承認薬
反Abigailの道徳的見解では、がんの早期ス
剤承認の科学的プロセスと末期患者に対する
ー産業界からは、行き過ぎあるいは不十分だと
者が関与すべき課題である」と述べ、セッショ
テージへの薬剤投与は、個人の自己選択権だ
投与の必要性のバランスを取る方策を模索して
いう評価も寄せられている。
ンを締め括った。■
けでなく、医療施設、製薬企業、規制当局など
いる。
また、未承認薬使用について異なる見解や
docetaxel+bevacizumab は HER2 陰性転移性乳がん患者の
無増悪生存を延長する
study
thracycline、15%はtaxaneでの治療歴があり、
低用量bevacizumabアーム55%(p=0.0295)、
篤な動脈血栓症、高血圧、出血、疲労、感覚性
(AVADO)で、転移性乳がんの1st-lineのtax-
また80%超の患者は治療開始時で疾患の計測
高用量アーム63%(p=0.0001)。Dr. Milesは、
ニューロパシーおよび消化管穿孔の発生率は
ane療法へのbevacizumab(血管新生阻害性
が可能であった。
この試験にはbevacizumabアーム間の差の検
AVADO試験で低く、発熱性好中球減少症の
出力はないことを述べた。
発生率は実質的に高かった。Dr.
bevacizumab
plus
docetaxel
モノクローナル抗体)追加の効果が確認された
低用量bevacizumabでのPFSのハザード比は、
(Abstract LBA1011)。Mount Vernon Can-
プラセボに比較して0.79(p=0.0318、95%CI;0.63、
OSデータは1年後になるが、今回の解析時点
衆からの質問に対して、6サイクル以上のdoc-
cer Center, MiddlesexのDavid Miles, MDが
0.98)、高用量bevacizumabでのハザード比は0.72
では患者の約80%が生存していた。事前指定
etaxel投与は問題が多い(ほとんどの患者が6
26カ国の研究者を代表して発表した。10カ月
(p=0.0099、95%CI;0.57、0.90)であった。Dr.
した1年解析での生存率は、両bevacizumabア
サイクル終了時に休薬を要求)が、paclitaxel
(中央値)の追跡期間で、無増悪生存(PFS)
Milesは、PFS曲線の形状は患者の評価間隔の影
ームとも高かった。
の忍容性は良好であり、疾患進行まで投与でき
が延長され、奏効率は上昇したという。
響を受けたと述べた。
患者のほぼ全員で1種以 上の有害 事 象が
Milesは、聴
ると述べた。
この二重盲検無作為化プラセボ対照Phase
みられた(doceta xel使 用を反 映)が、有害
AVADOにより、ファーストラインのtaxane
I I I Studyでは、docetaxel( 米国より欧州で
事象の治療に有意差はみられなかった。Dr.
療法へのbevacizumabの追加の効果が確認さ
Milesは、プラセボの中止に至った毒性は11%
れ、安全性に関する新たな問題は認められな
で、bevacizumab群の数字とほぼ同じと述
かった。
一般的な)+プラセボを、docetaxel+低用量
(7.5mg/kg)または高用量(転移性乳がんの
承認用量15mg/kg)のbevacizumabと比較し
「AVADOにより、ファーストラインの
taxane療法へのbevacizumabの追加
の効果が確認されました。安全性に関
た。bevacizumabは、最長96週間、あるいは増
する新たな問題は認められませんでし
悪または許容できない毒性が発生するまで、3
た」。
週ごとに投与した。docetaxel(100mg/m )は
2
−David Miles, MD
最多9サイクルまで3週ごとに静注した。主要
エンドポイントはPFS、副次的エンドポイント
は、CR、奏効期間、治療成功期間、OS、安全
性、QOLであった。
べた。両試験薬アームの患者の20%超がdoc-
Loyola University Chicago, Stritch School
etaxelを中止した。重篤な毒性の頻度はbeva-
of MedicineのKathy Albain, MDは、自身
cizumabアームで高かったが、死亡に至った有
の討論で、OSではなくPFSに基づくbevaci-
害事象はdocetaxel単独群と異ならなかった。
zumabの迅速承認は論争となっている(OS
貧血、感染症、末梢浮腫の頻度はプラセボ群
に対する効果を報告した研究がない)とコメン
で高かった。grade 3以上の重篤な有害事象で
トした。E2100ではPFSの倍増が報告された
疾患進行前のプロトコルによらない治療(プ
は、発熱性好中球減少症の頻度がプラセボよ
(プラセボ群6ヵ月、bevacizumabアーム12ヵ
ラセボ群の患者の3%、低用量bevacizumab群
りbevacizumabアームでわずかに高かった。最
月)が、AVADO試験のPFSでの統計学的有
13ヵ月間に、HER2陰性局所再発性または転
で4%、高用量群で3%)についてみたデータでの
も重要なことは、安全性に関する新たな兆候は
意差はそれほど大きくなかった(双方のbeva-
移性乳がんの患者736例を集めた。以前にネオ
層化解析は、迅速承認過程でFDAの同意を得
検出されず、bevacizumabにはdocetaxelの確
cizumab投薬量について約1ヵ月)。Dr. Albain
アジュバント化学療法、アジュバント化学療法
た。この解析によるハザード比は、低用量アー
立された安全性プロファイルに対する影響がほ
は、E2100の確実なPFSのデータ、AVADO試
のいずれかまたは双方を受けた患者は、最後
ム0.69(p=0.0035、95%CI;0.54、0.89)、高用
とんどないことである。
験の補強データ、他のがんでの使用から確立
の治療から再発までに6ヵ月(taxaneの場合は
量アーム0.61(p<0.0001、95%CI;0.48、0.78)で
12ヵ月)経過していれば参加させた。患者の特
あった。
迅速承認の基礎となった他のフェーズIII試
されたbevacizumabの安全性プロファイルに
験(paclitaxelをbevacizumab+paclitaxelと比
より、迅速承認が合理的なものとなったと結
論づけた。■
徴は相対的に均衡しており、患者の腫瘍の約
計測可能疾患のある患者の奏効率はプラセ
較)である試験E2100(Miller K, et al. NEJM.
2/3はホルモン受容体陽性、50%の患者はan-
ボより有意に高かった(プラセボアーム44%、
2007;357(26):2666-2676)と比較すると、重
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