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医薬品インタビューフォーム - バイエル薬品医療関係者向け情報

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医薬品インタビューフォーム - バイエル薬品医療関係者向け情報
2010年5月作成(新様式第1版)
日本標準商品分類番号:876349
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会のIF記載要領2008に準拠して作成
遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤
特定生物由来製品・処方せん医薬品注)
Kogenate® - FS BIO - SET® 250 IU / 500 IU / 1000 IU
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
剤
形
凍結乾燥注射剤
製 剤 の 規 制 区 分
特定生物由来製品・処方せん医薬品注)
注:注意-医師等の処方せんにより使用すること
規
量
コージネイト® FS バイオセット注 250:1 mL中オクトコグアルファ
(遺伝子組換え)100国際単位含有
®
コージネイト FS バイオセット注 500:1 mL中オクトコグアルファ
(遺伝子組換え)200国際単位含有
®
コージネイト FS バイオセット注 1000:1 mL中オクトコグアルファ
(遺伝子組換え)400国際単位含有
名
和
洋
一
格
・
般
含
名:オクトコグ アルファ(遺伝子組換え)
名:Octocog alfa(genetical recombination)JAN
製 造 販 売 承 認 年 月 日 製造販売承認年月日:2005年 3月 23日
薬 価 基 準 収 載 ・ 薬価基準収載年月日:2005年 12月 16日
発 売 年 月 日 発 売 年 月 日:2006年 1月 26日
開発・製造販売(輸入)・
製造販売元:バイエル薬品株式会社
提携・販売会社名
医薬情報担当者の連絡先
問 い 合 わ せ 窓 口
バイエル薬品株式会社・くすり相談
電話番号:0120-106-398 FAX:06-6344-2249
医療関係者向けホームページ
http://www.bayer-hv.jp/hv/
本 IF は 2010 年 2 月改訂の添付文書の記載に基づき作成した.
最新の添付文書情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページ http://www.info.pmda.go.jp/にて
ご確認ください.
IF 利用の手引きの概要
-日本病院薬剤師会-
1. 医薬品インタビューフォーム作成の経緯
医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下,添付文書と略す)が
ある.医療現場で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活
用する際には,添付文書に記載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある.
医療現場では,当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑
をして情報を補完して対処してきている.この際に必要な情報を網羅的に入手するための情
報リストとしてインタビューフォームが誕生した.
昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下,日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタ
ビューフォーム」(以下,IF と略す)の位置付け並びに IF 記載様式を策定した.その後,医
療従事者向け並びに患者向け医薬品情報ニーズの変化を受けて,平成 10 年 9 月に日病薬学術
第 3 小委員会において IF 記載要領の改訂が行われた.
更に 10 年が経過した現在,医薬品情報の創り手である製薬企業,使い手である医療現場の
薬剤師,双方にとって薬事・医療環境は大きく変化したことを受けて,平成 20 年 9 月に日病
薬医薬情報委員会において新たな IF 記載要領が策定された.
2. IF とは
IF は「添付文書等の情報を補完し,薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な,医
薬品の品質管理のための情報,処方設計のための情報,調剤のための情報,医薬品の適正使
用のための情報,薬学的な患者ケアのための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説
書として,日病薬が記載要領を策定し,薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び
提供を依頼している学術資料」と位置付けられる.
ただし,薬事法・製薬企業機密等に関わるもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及
び薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない.言い換えると,
製薬企業から提供された IF は,薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに,必要な補
完をするものという認識を持つことを前提としている.
[IF の様式]
① 規格は A4 版,横書きとし,原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し,
一色刷りとする.ただし,添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には,電子媒体ではこ
れに従うものとする.
② IF 記載要領に基づき作成し,各項目名はゴシック体で記載する.
③ 表紙の記載は統一し,表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を
記載するものとし,2 頁にまとめる.
[IF の作成]
① IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤,注射剤,外用剤)に作成される.
② IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する.
③ 添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される.
④ 製薬企業の機密等に関するもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をは
じめ医療従事者自らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない.
⑤ 「医薬品インタビューフォーム記載要領 2008」
(以下,
「IF 記載要領 2008」と略す)に
より作成された IF は,電子媒体での提供を基本とし,必要に応じて薬剤師が電子媒体
(PDF)から印刷して使用する.企業での製本は必須ではない.
[IF の発行]
① 「IF 記載要領 2008」は,平成 21 年 4 月以降に承認された新医薬品から適用となる.
② 上記以外の医薬品については,
「IF 記載要領 2008」による作成・提供は強制されるもので
はない.
③ 使用上の注意の改訂,再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並
びに適応症の拡大等がなされ,記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂さ
れる.
3. IF の利用にあたって
「IF 記載要領 2008」においては,従来の主に MR による紙媒体での提供に替え,PDF ファイ
ルによる電子媒体での提供を基本としている.情報を利用する薬剤師は,電子媒体から印刷
して利用することが原則で,医療機関での IT 環境によっては必要に応じて MR に印刷物での
提供を依頼してもよいこととした.
電子媒体の IF については,医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームペー
ジに掲載場所が設定されている.
製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが,IF
の原点を踏まえ,医療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製
薬企業の MR 等へのインタビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ,IF の利用性を高める
必要がある.また,随時改訂される使用上の注意等に関する事項に関しては,IF が改訂され
るまでの間は,当該医薬品の製薬企業が提供する添付文書やお知らせ文書等,あるいは医薬
品医療機器情報配信サービス等により薬剤師等自らが整備するとともに,IF の使用にあたっ
ては,最新の添付文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで確認する.
なお,適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発
売状況」に関する項目等は承認事項に関わることがあり,その取扱いには十分留意すべきで
ある.
4. 利用に際しての留意点
IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂き
たい.しかし,薬事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により,製薬企業
が医薬品情報として提供できる範囲には自ずと限界がある.IF は日病薬の記載要領を受けて,
当該医薬品の製薬企業が作成・提供するものであることから,記載・表現には制約を受けざ
るを得ないことを認識しておかなければならない.
また製薬企業は,IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり,今後インターネッ
トでの公開等も踏まえ,薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理
解して情報を活用する必要がある.
(2008 年 9 月)
目
次
Ⅵ. 薬効薬理に関する項目
Ⅰ. 概要に関する項目
1. 開発の経緯 ··························
1
2. 製品の治療学的・製剤学的特性 ········
1
1. 薬理学的に関連ある化合物又は
化合物群 ····························· 13
2. 薬理作用 ···························· 13
Ⅱ. 名称に関する項目
1. 販売名 ······························· 3
Ⅶ. 薬物動態に関する項目
2. 一般名 ······························· 3
1. 血中濃度の推移・測定法 ·············· 14
3. 構造式又は示性式 ····················· 3
2. 薬物速度論的パラメータ ·············· 17
4. 分子式及び分子量 ····················· 3
3. 吸
収 ······························ 18
5. 化学名(命名法)······················ 3
4. 分
布 ······························ 18
6. 慣用名,別名,略号,記号番号 ········· 3
5. 代
謝 ······························ 18
7. CAS登録番号 ······················· 3
6.排
泄
······························ 19
7.透析等による除去率 ··················· 19
Ⅲ. 有効成分に関する項目
1. 物理化学的性質 ······················· 4
2. 有効成分の各種条件下における
Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する
項目
安定性 ······························· 4
1. 警告内容とその理由 ·················· 20
3. 有効成分の確認試験法 ················· 4
2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む) ·· 20
4. 有効成分の定量法 ····················· 4
3. 効能又は効果に関連する使用上の注意と
その理由 ···························· 20
Ⅳ. 製剤に関する項目
1. 剤
形 ······························· 5
2. 製剤の組成 ··························· 5
3. 注射液の調製法 ······················· 6
4.懸濁剤・乳剤の分散性に対する注意 ······ 6
5. 製剤の各種条件下における安定性 ······· 6
6. 溶解後の安定性 ······················· 7
7. 他剤との配合変化(物理化学的変化) ···· 7
8. 生物学的試験法 ······················· 7
9. 製剤中の有効成分の確認試験法 ········· 7
4. 用法及び用量に関連する使用上の注意と
その理由 ···························· 20
5. 慎重投与内容とその理由 ·············· 20
6. 重要な基本的注意とその理由及び
処置方法 ···························· 21
7. 相互作用 ···························· 22
8. 副 作 用 ···························· 22
9. 高齢者への投与 ······················ 25
10. 妊婦,産婦,授乳婦等への投与 ········ 25
11. 小児等への投与 ······················ 25
12. 臨床検査結果に及ぼす影響 ············ 25
10. 製剤中の有効成分の定量法 ············· 7
13. 過量投与 ···························· 25
11. 力
価 ······························· 7
14. 適用上の注意 ························ 26
12. 混入する可能性のある夾雑物 ··········· 7
15. その他の注意 ························ 26
13. 治療上注意が必要な容器に関する情報 ··· 8
16. その他 ······························ 26
14. その他 ······························· 8
Ⅸ. 非臨床試験に関する項目
Ⅴ. 治療に関する項目
1. 効能又は効果 ························· 9
2. 用法及び用量 ························· 9
3. 臨床成績 ····························· 9
1. 薬理試験 ···························· 27
2. 毒性試験 ···························· 28
Ⅹ. 管理的事項に関する項目
1. 規制区分 ···························· 32
2. 有効期間又は使用期限 ················ 32
3. 貯法・保存条件 ······················ 32
4. 薬剤取扱い上の注意点 ················ 32
5. 承認条件等 ·························· 32
6. 包
装 ······························ 32
7. 容器の材質 ·························· 33
8. 同一成分・同効薬 ···················· 33
9. 国際誕生年月日 ······················ 33
10. 製造販売承認年月日及び承認番号 ······ 33
11. 薬価基準収載年月日 ·················· 33
12. 効能又は効果追加,用法及び用量変更追加
等の年月日及びその内容 ·············· 33
13. 再審査結果,再評価結果公表年月日及び
その内容 ···························· 33
14. 再審査期間 ·························· 33
15. 投薬期間制限医薬品に関する情報 ······ 33
16. 各種コード ·························· 33
17. 保険給付上の注意 ···················· 33
ⅩⅠ. 文
献
1.引用文献 ···························· 34
2.その他の参考文献 ···················· 34
ⅩⅡ. 参考資料
···························· 35
ⅩⅢ.備
···························· 38
考
Ⅰ. 概要に関する項目
1. 開発の経緯
1984年,米国ジェネンテック社は,健康なヒト染色体DNAを用いて血液凝固
第Ⅷ因子(FⅧ)の遺伝子を単離し,ベビーハムスター腎(BHK)細胞に組み
込んだFⅧ産生細胞(R3細胞)を開発した1-3).
1985年,米国マイルス社(現 米国バイエル社)はR3細胞からFⅧ製造用細
胞株を樹立し,遺伝子組換え血液凝固第Ⅷ因子(rFⅧ)製剤の製造工程を確
立した.
その後,日本を含む各国での血友病A患者に対する臨床試験を経て4-6),1993
年 2月,米国にて「KOGENATE」の販売名で承認され,日本においても1993
年 7月承認,9月に発売された.
コージネイトの精製工程及び最終製品には,rFⅧを安定化させる目的でヒ
ト血漿由来のアルブミンが添加されているが,アルブミンによるrFⅧの安
定化を必要としない新しい精製工程の開発,ならびにアルブミンに代わる
安定剤としてショ糖を使用した製剤処方の確立により,「コージネイトFS」
が開発され,2001年3月承認,2002年7月1000 IU,同年9月500 IU,同年11
月250 IUが発売された.
本剤の販売名コージネイトFSは formulated with sucrose(ショ糖で安定
化された)に由来するものである.
さらに,コージネイトFSの利便性を向上させるために,製剤の溶解操作を
簡便で迅速に行えるキット製品「コージネイトFSバイオセット」が2005年3
月承認,2006年1月に発売された.
2. 製品の治療学的・製剤
学的特性
(1) 本剤は遺伝子組換え技術で樹立したBHK細胞の培養により産生した血
液凝固第Ⅷ因子製剤である.
(2) 従来のコージネイトで安定剤として精製工程中および最終製品に添加
していたヒト血清アルブミンに代えて,ショ糖を添加している(5頁参
照)
.
(3) 精製工程におけるウイルス不活化処理として,有機溶媒/界面活性剤
(S/D)処理7)を導入した.
(4) 有効成分(一般名:オクトコグアルファ(遺伝子組換え))は従来の遺
伝子組換え製剤コージネイトと同じであり,コージネイトFSとコージ
ネイトの生物学的同等性が確認されている(16頁参照)
.
(5) 血友病A患者20例の出血エピソードごとの止血効果の有効率は98.0%
(749/764エピソード)であった(日本における承認時までの調査)8).
(6) 承認時までの副作用は,20例中,1例(5.0%)に臨床検査値異常(CD4
上昇,CD8低下およびCD4/CD8比上昇)が認められた.また,インヒビ
ターの発生は認められなかった(日本における承認時までの調査)8).
- 1 -
[参考]欧米においてはPUPs/MTPs*に対する試験で,61例中9例(14.8%)
にインヒビターの発現がみられた9).
(7) 簡便で衛生的な溶解操作により操作時間が短縮できる.
(8) 溶解液量はいずれの規格も 2.5 mLである(5頁参照)
.
(9) コンパクトな容器で保存・携帯に便利である.また,廃棄物の減量が
期待できる.
(10)ゴム栓には天然ゴムを使用していない.
*
PUPs(previously untreated patients:治療歴のない患者)
*
MTPs(minimally treated patients:過去の治療歴が4日未満の患者)
- 2 -
Ⅱ. 名称に関する項目
1. 販売名
1-1.和
名
コージネイト® FS バイオセット注 250
コージネイト® FS バイオセット注 500
コージネイト® FS バイオセット注 1000
1-2.洋
名
Kogenate® -FS BIO-SET 250IU for injection
Kogenate® -FS BIO-SET 500IU for injection
Kogenate® -FS BIO-SET 1000IU for injection
1-3.名称の由来
Kogenateはcoagulation factorⅧ(血液凝固第Ⅷ因子)及びgene(遺伝子)
に由来.FSは formulated with sucrose(ショ糖で安定化した)に由来.
2. 一 般 名
2-1.和
名(命名法)
オクトコグ
アルファ(遺伝子組換え)(JAN)
2-2.洋
名(命名法)
Octocog alfa(genetical recombination)
(JAN)
3. 構造式又は示性式
2,332個のアミノ酸からなる1本鎖糖たん白
4. 分子式及び分子量
分 子 量:300,000~350,000
5. 化 学 名(命名法)
該当しない
6.慣用名,別名,略号,
略
記号番号
7. CAS登録番号
号:rDNAFⅧ, rFⅧ
開発番号:BAY 14-2222
Octocog alfa:139076-62-3
- 3 -
Ⅲ. 有効成分に関する項目
1. 物理化学的性質
1-1.外観・性状
該当資料なし
1-2.溶 解 性
該当資料なし
1-3.吸 湿 性
該当資料なし
1-4.融点(分解点)
,
該当資料なし
沸点,凝固点
1-5.酸塩基解離定数
該当資料なし
1-6.分配係数
該当資料なし
1-7.その他の主な示性
該当資料なし
値
2. 有効成分の各種条件下
該当資料なし
における安定性
3.有効成分の確認試験法
aPTT一段法による(Ⅳ-10「製剤中の有効成分の定量法」の項参照)
4. 有効成分の定量法
aPTT一段法による(Ⅳ-10「製剤中の有効成分の定量法」の項参照)
- 4 -
Ⅳ. 製剤に関する項目
1. 剤
形
1-1.剤形の区別,規格
及び性状
凍結乾燥注射剤
規
格:1瓶中250 IU(2.5 mL)
, 500 IU(2.5 mL)
,1,000 IU(2.5 mL)
性
状:本剤は白色~淡黄色の凍結乾燥製剤である.添付の溶解液を加
えるとき,無色の澄明な液剤となる.
1-2.溶液及び溶解時の
pH,浸透圧比,粘
pH:6.6~7.0
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
:約1.6
度,比重,安定な
pH域等
1-3.注射剤の容器中の
なし
特殊な気体の有無
及び種類
2. 製剤の組成
本剤は注射剤本体と溶解液(注射用水プレフィルドシリンジ)からなる注
射用キット製品である.
2-1.有効成分(活性成
有効成分(活性成分)の含量及び添加物については次表を参照.
分)の含量
2-2.添 加 物
注射剤本体:
コージネイト FS コージネイト FS コージネイト FS
バイオセット注 バイオセット注 バイオセット注
250
500
1000
有効 オクトコグ アルファ
250
500
1,000
成分 (遺伝子組換え)
国際単位
国際単位
国際単位
L-ヒスチジン
8.0 mg
8.0 mg
8.0 mg
グリシン
58 mg
58 mg
58 mg
塩化ナトリウム
4.6 mg
4.6 mg
4.6 mg
添加物
塩化カルシウム
0.7 mg
0.7 mg
0.7 mg
精製白糖
28 mg
28 mg
28 mg
ポリソルベート 80
200 μg
200 μg
200 μg
1 バイアル中
2-3.電解質の濃度
1瓶2.5 mL中,塩化ナトリウム4.6 mg,塩化カルシウム0.7 mgを含む.
2-4.添付溶解液の組成
溶解液(注射用水プレフィルドシリンジ)
:
及び容量
各製剤とも1シリンジ中 日本薬局方 注射用水2.5 mLを含有する.
本剤の培養工程の培地成分としてヒト血漿たん白溶液(採血国:米国,採
血の区分:非献血)を使用している.[「献血又は非献血の区別の考え方」
参照]
- 5 -
献血又は非献血の区別の考え方
「献血又は非献血の区別は製剤の安全性の優劣を示すものではありません.」
この表示区別は,下記の手順に従って決められています.
採血国の政府が「自発的な無償
供血」の定義を有しているか
いる
その定義が 1991 年国際赤十字・
赤新月社決議と同じ趣旨か
同じ趣旨
当該国の「自発的な無償供血」の定義に
そって採血されたことが確認できるか
異なる
確認できる
いない
確認できない
「非献血」の表示
「献血」の表示
2-5.その他
3.注射液の調製法
本品を添付の日本薬局方「注射用水」2.5 mLに溶解する.
用時調製し,溶解後は3時間以内に使用すること.
4.懸濁剤・乳剤の分散性
該当しない
に対する注意
5.製剤の各種条件下にお
ける安定性
■長期保存試験
5℃の温度条件下で,130週間(約2年6ヵ月間)保存し,経時的に性状,pH,
透過度,分子量分布,純度試験,溶解時間,力価,水分,無菌試験の各項
目について試験を行った.その結果,初期値からの力価の低下はほとんど
認められず,130週目も規格値(表示量力価の80%以上)の範囲内にあり,
また,他の試験項目については顕著な変化は認められなかった.
■サイクル試験
検体を5℃で117週間(27ヵ月間)保存した後,25℃で13週間(3ヵ月間)
保存し,経時的に性状,pH,透過度,分子量分布,純度試験,溶解時間,
力価,水分,無菌試験の各項目について試験を行った.その結果,初期
値からの力価の低下はほとんど認められず,130週目も規格値(表示量力
価の80%以上)の範囲内にあり,また,他の試験項目については顕著な
変化は認められなかった.
■加速試験
25℃の温度条件下で104週間(約2年間)保存し,経時的に力価の変化を
試験したところ,経時的に力価の低下が認められたが,初期値の80%以
上が保持されていた.
■苛酷試験
温度に対する安定性:
40℃の温度条件下で保存し,経時的に力価の変化を試験したところ,52
週目に規格値を下まわるロットが認められた.
- 6 -
光に対する安定性:
ガラスバイアルから紙箱まで種々の包装形態の試料に対して,200 W・
h/m2の光源で120万 lux・h照射後,性状,pH,透過度,物理化学的性状,
溶解時間,力価の各項目について試験を行った.その結果,ガラスバイ
アルでは,遮光したコントロール用試料の62~81%まで力価が低下した.
ガラスバイアルにラベルを貼付又は紙箱に入れて試験を行ったところ,
ラベルの貼付により力価の低下は軽減し,紙箱中ではコントロール用試
料との差は認められず安定であった.
6.溶解後の安定性
長期保存試験における溶解直後,溶解4時間後の安定性試験の結果,溶解4
時間後も溶解直後の力価が維持されていた.
500単位において,室温での溶解後72時間まで,ガラスバイアル,ポリプロ
ピレンシリンジ中での力価について試験を実施し検討した結果,ガラスバ
イアルでは48時間後,ポリプロピレンシリンジでは,72時間後も安定であ
った21).
7.他剤との配合変化
該当資料なし
(物理化学的変化)
8.生物学的試験法
特になし
9.製剤中の有効成分の確
aPTT一段法による(Ⅳ-10「製剤中の有効成分定量法」の項参照)
認試験法
10.製剤中の有効成分の定
量法
aPTT一段法による
本品を添付の溶解液に溶かし,試料とする.試料及びヒト血液凝固第Ⅷ因
子標準品の2倍階段希釈液0.1 mLを採り,ヒト第Ⅷ因子欠乏血漿0.1 mL,及
び活性化部分トロンボプラスチン液0.1 mLを加え,37℃で混和し十分活性
化した後,0.025 mol/L塩化カルシウム液0.1 mLを加え,凝固時間を測定
する.
標準希釈液の第Ⅷ因子活性値,その凝固時間,試料希釈液の希釈倍数なら
びに凝固時間から試料中の第Ⅷ因子活性値を算出する.
11.力
価
力価試験:
aPTT一段法(Ⅳ-10「製剤中の有効成分定量法」の項参照)により,1瓶中
の第Ⅷ因子活性値を求めるとき,表示量の80%以上でなければならない.
12.混入する可能性のある
夾雑物
(1) 培養工程:
① 本剤の原液はヒト血液凝固第Ⅷ因子DNAを導入したベビーハムスター腎
(BHK)細胞によって産生される遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤で
あるため,BHK細胞由来たん白の混入の可能性を完全に否定できない.
- 7 -
② 本剤の培養培地には,ヒト血漿たん白溶液が使用されているため,最
終製品へのヒト血漿由来たん白混入の可能性を完全に否定できない.
■培養工程に由来する夾雑物
種
含有量
(20 ロットの平均±SD)
類
基準値
BHK たん白
BHK フィブロネクチン
3.63±1.43 ng/1000 単位
2.50±1.26 ng/1000 単位
11 ng/1000 単位以下
9 ng/1000 単位以下
ビメンチン
BHK DNA
30.2±16.9 ng/1000 単位
3.19±1.12 pg/1000 単位
100 ng/1000 単位以下
10 pg/1000 単位以下
ヒト血漿アルブミン
<4 μg/mL(検出限界以下)
(3 ロットの平均)
1 mg/mL 以下
(2) 精製工程:
① 本剤の精製工程中,マウスモノクローナル抗体を用いたアフィニティ
ーカラム処理を行っているので,マウスIgGの混入の可能性を完全に否
定できない.
② 本剤の精製工程中,銅(Cu)固定化金属イオンカラム処理を行ってい
るので,Cuの混入の可能性を完全に否定できない.
③ 本剤の精製工程中,ウイルス不活化のために,S/D(有機溶媒/界面
活性剤)処理を行っていることから,TNBP(トリ-n-ブチルリン酸)の
混入の可能性を完全に否定できない.
④ 本剤の精製工程中,緩衝液成分として添加されるイミダゾールの混入
の可能性を完全に否定できない.
■精製工程に由来する夾雑物
種
類
マウス IgG
含有量
2.07±2.08 ng
基準値
10 ng/1000 単位以下
(20 ロットの平均±SD)
Cu
<0.3~0.4μg
0.6 μg/1000 単位以下
(5 ロットの結果)
TNBP
0.94±0.33μg/1000 単位
5 μg/1000 単位以下
(11 ロットの平均±SD)
イミダゾール
11.20±8.10μg/1000 単位
(11 ロットの Mean±SD)
13.治療上注意が必要な容
該当しない
器に関する情報
14.そ の 他
- 8 -
20 μg/1000 単位以下
Ⅴ. 治療に関する項目
1. 効能又は効果
血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者に対し, 血漿中の血液凝固第Ⅷ因子を補い, そ
の出血傾向を抑制する.
2. 用法及び用量
本剤を添付の溶解液2.5 mLで溶解し,緩徐に静脈内注射又は点滴注入する.
なお,1分間に5 mLを超える注射速度は避けること.
用量は,通常,1回体重 1kg当たり10~30国際単位を投与するが,症状に応
じて適宜増減する.
用法・用量に関連する使用上の注意
輸注速度が速すぎるとチアノーゼ,動悸を起こすことがあるので,1分
間に5 mLを超えない速度でゆっくり注入すること.
3. 臨床成績
3-1.臨床データパッケ
該当しない
ージ(2009年4月以
降承認品目)
3-2.臨床効果
(1) 出血エピソードに対する治療成績
国内で実施した血友病A患者20例についての臨床試験における治療期間
は,24週間から最長84週間(1年以上の患者5例)である.下表に示すよう
に,出血エピソードごとの止血効果判定の解析対象となった全764エピソ
ードにおける有効率(「有効」以上)は,98.0%(749/764エピソード)
であった8).
■コージネイトFSの出血エピソードごとの止血効果
止 血 効 果
有効率
(著効+有効)
著 効
有 効 やや有効 無 効
悪 化
98.0%
関
節
666
594
59
12
1
(653/666)
97.4%
筋
肉
39
33
5
1
(38/39)
94.7%
皮
下
19
17
1
1
(18/19)
100.0%
歯
肉
13
13
(13/13)
100.0%
血
尿
6
5
1
(6/6)
100.0%
その他の開放性出血※1
7
7
(7/7)
100.0%
※2
その他の閉鎖性出血
4
3
1
(4/4)
100.0%
※3
2ヵ所出血
10
7
3
(10/10)
98.0%
679
70
13
2
0
764
計
(100.0%) (88.9%)( 9.2%)( 1.7%)( 0.3%) ( 0%) (749/764)
※1:創傷出血(3),鼻出血(1),口腔内(開放性)出血(1),血痰(1),痔核出血(1)
※2:喉頭部出血(2),頚椎出血(1),口腔内(閉鎖性)出血(1)
※3:関節出血+歯肉出血(6),関節出血+筋肉出血(1),関節出血+皮下出血(1),皮下出血
+鼻出血(1),関節出血+血尿(1)
出血部位
出血回数
- 9 -
(2) 投与ごとの止血効果判定
下表に示すように,投与ごとの止血効果判定の解析対象となった総投与
回数1,115回における有効率(「有効」以上)は,82.9%(924/1,115回)
であった8).
■コージネイトFSの投与ごとの止血効果
出血部位
投与回数
止 血 効 果
著 効
有 効
やや有効
無 効
関
節
965
649
160
49
103
筋
肉
66
27
15
13
11
皮
下
22
17
1
4
歯
肉
14
13
1
血
尿
12
6
2
その他の開放性出血※1
8
7
1
その他の閉鎖性出血※2
6
5
1
2ヵ所出血※3
22
9
10
計
1
3
2
1
有効率
悪 化 (著効+有効)
4
83.8%
(809/965)
63.6%
(42/66)
81.8%
(18/22)
100.0%
(14/14)
66.7%
(8/12)
100.0%
(8/8)
100.0%
(6/6)
86.4%
(19/22)
1,115※4
82.9%
733
191
69
118
4
(100.0%) (65.7%)(17.1%)( 6.2%)(10.6%)( 0.4%) (924/1,115)
※1:創傷出血(3),鼻出血(1),口腔内(開放性)出血(1),血痰(1),痔核出血(1)
※2:喉頭部出血(2),頚椎出血(1),口腔内(閉鎖性)出血(1)
※3:関節出血+歯肉出血(6),関節出血+筋肉出血(1),関節出血+皮下出血(1),皮下出血
+鼻出血(1),関節出血+血尿(1)
※4:2つの異なるエピソードに対して投与された1回は,2回として集計に加えた.
3-3.臨床薬理試験:
忍容性試験
(1) 単回投与における生体内回収率
国内血友病A患者5例にコージネイトFS約50 IU/kgを単回投与した際
の投与完了10分後の生体内回収率※は,67.9±11.3%(Mean±SD)であっ
た10).
(2) 長期投与した際の生体内回収率
次頁の表に示すように,国内重症血友病A患者20例を対象に検討した,
投与開始12,24週間後の生体内回収率には,初回投与時と比べて有意な
変化はみられなかった8).
※:生体内回収率の算出方法
生体内回収率(%)=
血漿中 FⅧ:C 上昇値(Y)
血漿中 FⅧ:C の理論的上昇期待値(X)
×100
Y = 投与完了 10 分後の血漿中 FⅧ:C-投与前の血漿中 FⅧ:C
投与量(IU)
X =
体重(kg)/ 13×1000×(100-ヘマトクリット値)/ 100
- 10 -
×100
■国内血友病A患者にコージネイトFS約50 IU/kgを24週間長期投与
した際の各投与完了10分後の生体内回収率
項
目
12 週目
24 週目
17
17
初回投与時の生体内回収率(%)
74.6±17.0
75.3±16.3
各測定週の生体内回収率(%)
78.4±16.1
82.8±23.9
初回投与時からの変化量(%)
3.8
7.5
-3.1~+10.8
-2.6~+17.7
症例数
変化量(%)の 95%信頼区間
Mean±SD
3-4.探索的試験:用量
反応探索試験
用量反応試験は実施していないが,開発時第Ⅲ相試験成績を以下のとおり
集計した.
参考:出血の種類と1回投与量
下表に示すように,投与ごとの止血効果判定の解析対象となった本剤の総
投与回数は1,115回で,1回の投与量では10~20 IU/kgが320回(28.7%),
21~30 IU/kgが589回(52.8%)と,大部分(81.5%)が10~30 IU/kg の
範囲内にあり,1回の平均投与量は24.1±8.4IU/kgであった8).
■出血の種類とコージネイトFSの1回投与量
出血の種類
投与回数
関節出血
筋肉出血
皮下出血
歯肉出血
血
尿
その他の開放性出血※1
その他の閉鎖性出血※2
複数部位の出血※3
965
(86.5%)
66
( 5.9%)
22
( 2.0%)
14
( 1.3%)
12
( 1.1%)
8
( 0.7%)
6
( 0.5%)
22
( 2.0%)
※4
計
1,115
(100.0%)
1回投与量(実測力価)(IU/kg)
9
10~20
21~30
31~40
41≦
11
281
516
138
19
18
26
14
8
3
16
2
9
6
6
2
3
2
2
6
11
3
3
3
2
3
2
14
320
589
158
34
( 1.3%) (28.7%) (52.8%) (14.2%) ( 3.0%)
※1:創傷出血(3),鼻出血(1),口腔内(開放性)出血(1),血痰(1),痔核出血(1)
※2:喉頭部出血(2),頚椎出血(1),口腔内(閉鎖性)出血(1)
※3:関節出血+歯肉出血(6),関節出血+筋肉出血(1),関節出血+皮下出血(1),皮下出血
+鼻出血(1),関節出血+血尿(1)
※4:2つの異なるエピソードに対して投与された1回は,2回として集計に加えた.
- 11 -
3-5.検証的試験
(1) 無作為化並行用量反応試験
実施していない.
(2) 比較試験
比較試験は実施していない.なお,同一有効成分であるコージネイトの
開発時臨床試験における血友病A患者19例における出血エピソードごと
の止血効果は「有効以上」で98.4%(630/640エピソード)であった5).
(3) 安全性試験
国内第Ⅲ相臨床試験において,24週間から最長84週間(平均41.6±18.8
週間)の長期補充療法を重症血友病A患者20例を対象に行った8).
本剤との因果関係が完全に否定できない臨床検査値の変動が,安全性検
討症例20例のうちの1例に認められた.その内容は,CD4(%)上昇(53.4
→61.7%),CD8(%)低下(18.3→13.7%)およびCD4/CD8比上昇(2.92
→4.50)で,
「関連性あるかもしれない」と判定された.
また,FⅧインヒビター及び抗体検査においては,試験開始後FⅧインヒ
ビターを発現した症例は1例もなく,rFⅧ,BHKたん白及びマウス IgGに
対する抗体もすべて陰性であった.
概括安全度の判定において,CD4(%)上昇,CD8(%)低下及びCD4/CD8比
上昇のみられた1例が「やや問題あり」と判定されたが,20例中19例が「全
く問題なし」と判定された.
(4) 患者・病態別試験
高齢者又は特別な病態を対象とした臨床試験は実施していない.
3-6.治療的使用
(1) 使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査)
・製造販売後臨床試験
(市販後臨床試験)
該当しない
(2) 承認条件として実施予定の内容または実施した試験の概要
該当しない
- 12 -
Ⅵ. 薬効薬理に関する項目
1. 薬理学的に関連ある化
クリオプレシピテート,ヒト血漿由来第Ⅷ因子
合物又は化合物群
2. 薬理作用
2-1.作用部位・作用機
序
作用部位:出血部位
作用機序:静脈内に投与することにより,血中の血液凝固第Ⅷ因子濃度を
上昇させ,生体内出血部位(損傷組織のリン脂質膜)に結合し
た第Ⅷ因子は,第Ⅸa 因子および第X因子レセプターとして両
因子を濃縮,局在化し,第X因子の活性化を促進する.
2-2.薬効を裏付ける試
験成績
遺伝子組換え血液凝固第Ⅷ因子(rFⅧ)の有効性を確認する試験として,
Miniature Schnauzer FⅧ欠乏犬を用い,その止血作用及び投与後の血漿中
FⅧ凝固活性(FⅧ:C)推移をヒト血漿由来血液凝固第Ⅷ因子(pdFⅧ)のそ
れと比較を行った.
その結果,rFⅧは出血時間を正常化させ,投与後の血漿中凝固活性推移は
pdFⅧのそれとほぼ同様であり,血漿中凝固活性消失半減期に有意な差は認
められなかった 11).
2-3.作用発現時間・持
該当資料なし
続時間
- 13 -
Ⅶ. 薬物動態に関する項目
1. 血中濃度の推移・測定
法
1-1.治療上有効な血中
濃度
参考:インヒビターのない血友病患者の急性出血,処置・手術における凝
固因子補充療法のガイドライン 12)
第Ⅷ因子:必要投与量(単位) = 体重(kg)×目標ピークレベル(%)×0.5
表 1 急性出血の補充療法
出血部位
補充療法
備考
急性期は局所の安静保持を心が
ける.外傷性の関節内出血もこ
の投与法に準じて行う.なお急
1) 関節内出血
性期に関節穿刺を行う場合には
「各種処置・小手術」の項に従
って補充療法を行う.
急性期は局所の安静保持を心が
ける.腸腰筋出血注 2)は原則とし
て入院加療とし,安静を図りつ
2) 筋肉内出血
つ,12 時間毎のボーラス投与,
又は関節手術に準じて持続投与
を行う.
局所処置にて止血しなければ目標ピーク因子レベルを トラネキサム酸 1 回 15-25 mg/kg
20-40%とし 1 回投与する.重症度に応じて 12-24 時間 を 1 日 2-3 回の経口投与又は 1
毎に 1-2 日間投与する.舌や舌小体,口唇小体の出血, 回 10 mg/kg を 1 日 2-3 回の静注
口唇裂傷による出血の場合は目標ピーク因子レベルを を行う.
3) 口腔内出血
40-60%とし,12-24 時間毎に 3-7 日間投与する.
なお舌や舌小体,口唇小体の出
血,口唇裂傷では流動食など柔
らかい食事を心がけ,入院加療
を考慮する.
目標ピーク因子レベルを 80-100%とし,症状に応じて 消化管壁内血腫に対してもこの
12-24 時間毎に,止血後も 3-7 日以上投与する.もし 投与法に準じて行う.
4) 消化管出血
くは関節手術に準じて持続投与を行う.出血症状に応 入院にて行う.
じて漸減・中止する.また原因の検索を行う.
5) 閉塞のおそれの 消化管出血に準じて行う.
入院にて行う.
ある気道出血
原則不要であるが,大きな血腫や頚部,顔面の血腫に 気道圧迫のおそれがある場合は
6) 皮下出血
対しては目標ピーク因子レベルを 20-40%とし,症状 気道出血の補充療法に準じ,入
に応じて 12-24 時間毎に 1-3 日間投与する.
院加療を考慮する.
通常は無投与にて経過を観察する.局所処置とトラネ 重症の場合や,貧血が進行する
キサム酸(1 回 15-25 mg/kg を 1 日 2-3 回の経口投与又 場合は入院加療にて行う.
7) 鼻出血
は 1 回 10 mg/kg を 1 日 2-3 回)の投与を行っても止血
しない場合は目標ピーク因子レベルを 20-40%とし,
症状に応じて 12-24 時間毎に,1-3 日間投与する.
軽度の場合は安静臥床と多めの水分摂取(あるいは補 トラネキサム酸の投与は禁忌で
液)を行い,また原因の検索を行う.改善しない場合 ある注 3).
は目標ピーク因子レベルを 20-40%に,疼痛を伴う場
8) 肉眼的血尿
合や血尿が遷延する場合は,40-60%を目標に,症状に
応じて 12-24 時間毎に,1-3 日間投与する.
症状に応じて目標トラフ因子レベルを 80-100%とし 上下肢の骨折では血腫によるコ
て持続輸注を行うか,ピーク因子レベル 100%を目標 ンパートメント症候群の発症に
9) 骨折
としてボーラス投与を 12 時間毎に行う.1 週間程度継 留意する.
続し,止血後は慎重に漸減・中止する.
骨折の補充療法に準じる.治療経過に応じて追加投与 軽微な外傷以外は入院治療とす
10) 外傷
を継続する.ただし,ごく軽微な切創では口腔内出血, る.
皮下出血,鼻出血の投与に準じて行っても良い.
目標トラフ因子レベルを 100%とした持続輸注が推奨 入院治療とする.
されるが,困難な場合はピーク因子レベル最低 100%
11) 頭蓋内出血
を目標として注 4)ボーラス投与を 12 時間毎に行う.最
低 5-7 日以上継続し,漸減・中止する.
程度に応じ,速やかに目標因子レベルを 50-100%となる 乳幼児の頭蓋内出血の初期は典
12) 乳幼児の
よう 1 回輸注する.必要に応じその後 CT スキャンなどの 型的な症状を呈することが少な
頭部打撲
検査を行う.検査で頭蓋内出血が否定された場合でも一 いので注意を要する.
両日中は経過観察を十分行う.
出血の前兆又は初期の場合,目標とするピーク因子レ
ベルを 20-40%の範囲で選択し,1 回投与する.重症出
血注 1)の場合は 40-80%の範囲で選択して 1 回投与す
る .以後 は症状 に応じ て目標ピ ーク因 子レベ ルを
20-80%の範囲で選択し,12 から 24 時間の間隔で出血
症状消失まで追加投与を行う.
関節内出血に準じて投与を行う.
- 14 -
表 2 手術・処置注 5)における補充療法
処置・手術
補充療法
備考
原則無投与で経過を観察し,
トラネキサム酸 1 回 15-25
1)-1 歯科治療(抜歯,切開を
mg/kg を 1 日 2-3 回の経口投
伴わない場合)
与又は 1 回 10 mg/kg を 1 日
2-3 回の静注を行う.
処置に応じて,目標ピーク因子レベルを トラネキサム酸 1 回 15-25
1)-2 歯科治療(抜歯,切開を
20-80%から選択して,処置直前に 1 回投与 mg/kg を 1 日 2-3 回の経口投
伴う場合)
する.
治療経過に応じて 12-24 時間毎に 1-3 与又は 1 回 10 mg/kg を 1 日
日間追加投与する.
2-3 回の静注を併用する.
実施前に治療内容に応じて目標ピーク因子
レベルを 20-40%として 1 回投与する.定
2) 理学療法前(術後のものを除く)
期補充療法を行なっている場合は,輸注日
を理学療法の日に合わせる.
表 3 に従う
内視鏡的硬化療法の際の投
3) 各種処置・小手術
与は手術に準ずる.
トラフ因子レベル 80-100%を目標とした
持続輸注とし,5-10 日間継続する.術後理
学療法開始までの期間はピーク値 100%を
目標に 12-24 時間毎にボーラス投与を行う
4) 関節手術
か,減量して持続輸注を継続する.理学療
法開始後は,経過に応じて目標ピーク因子
レベル 20-80%から選択して 24 時間毎もし
くは 3 回/週投与を継続する.
トラフ因子レベル 80-100%を目標とした
持続輸注とし,5-10 日間以上継続する.術
5) 開腹・開胸・開心・開頭などの 後は全抜糸を目安にピーク値 100%を目標
全身麻酔下手術
に 12-24 時間毎にボーラス投与を行うか,
減量して持続輸注を継続し,経過に応じて
漸減・中止する.
注 1) 初期の出血の自覚症状に気づかず,何らかの理学的所見が出現してから気づいた場合,もしくは何らか
の理由で速やかな補充療法が行われなかった場合や頻繁に出血を繰り返す target joint に出血が連続
して起こった場合などを「重症」とした.ただし,target joint における出血に対して単に追加投与
を繰り返すのみでは問題の解決にならないことも多く,定期補充療法や整形外科的治療の必要性も考慮
される.
注 2) 腸腰筋出血における至適な投与法については従来,80%以上のピーク因子レベルが目標とされることが
多かったが,近年こうした濃厚な治療の必要性について検討が進んでいる.
注 3) 血尿の際,トラネキサム酸を使用・併用すると尿管内に形成された血塊が溶けにくくなり,水腎症を来
す可能性があるため一般的に禁忌とされている.
注 4) ピーク値 150-200%を超えるなど極端に過剰にならないように留意する.
注 5) 血友病患者に対して比較的多く行われる歯科処置,整形外科的処置・手術においては,一般に圧迫や創
面の縫合により止血が期待できない場合が多く,この点注意を要する.
表 3 各種処置・小手術における目標因子レベル
施行前,追加の目標ピーク因子レベル
関節穿刺
20~40%目標
腰椎穿刺
40~80%目標
上部・下部消化管
内視鏡検査と生検
40~80%目標
肝生検
40~80%目標
動脈穿刺,中心静脈カテーテル,
処置の内容に応じて 20~80%目標
心臓カテーテル・血管撮影など
結石超音波破砕術
40-80%目標
- 15 -
追加投与法
必要に応じて 12-24 時間後に 1 回
12-24 時間毎
1-4 日間
生検等,観血処置を行った場合は必
要に応じて 12-24 時間毎 1-4 日間
必要に応じて 12-24 時間毎
1-4 日間
必要に応じて 12-24 時間毎
1-7 日間
12-24 時間毎
1-2 日間
1-2.最高血中濃度到達
時間
投与約 10 分後 10)
1-3.臨床試験で確認さ
れた血中濃度
(1) 血中濃度推移および薬物動態パラメータ
重症血友病A患者 5 例にコージネイト FS 又はコージネイトを各々約 50
IU/kg 単回静脈内投与した時の血漿 FⅧ:C の推移を下図に,薬物動態
学的パラメータを下表に示す10).
本剤投与後の血漿中 FⅧ:C はコージネイト投与後に比べやや低値で推移
し,AUC 及び Cmax はそれぞれコージネイト投与時の 88.2%及び 86.6%
であった(t 検定において有意差を認めた.それぞれ p=0.050,p=0.041)
.
T1 / 2 は両製剤ともにほぼ同じ値を示し,有意差は認められなかった
(p=0.879)
.
一方,外国人における薬物動態試験においては,AUC および Cmax に関し
てコージネイト FS がコージネイトに比べ有意に低値を示したものの,両
製剤は生物学的に同等であることが証明された 11,14).
■国内血友病A患者にコージネイト FS およびコージネイトを約 50 IU/kg
単回投与した際の血漿中 FⅧ:C の推移 10)
120
血漿中 FⅧ:C (% of normal)
100
コージネイト
コージネイトFS
Mean±SD,n=5
80
60
40
20
0
0
6
12
18
24
30
36
42
48
時間(h)
■国内血友病A患者にコージネイト FS 及びコージネイトを約 50 IU/kg 単
回投与した際の薬物動態学的パラメータ(n=5)10)
投与製剤
コージネイト FS
コージネイト
P 値(t 検定)
AUC
Cmax
T1/2
[%・h・kg/IU] [%・kg/IU]
[h]
23.12±3.35
1.66±0.23 13.96±4.18
26.12±2.99
1.92±0.29 13.48±2.40
0.050
0.041
0.879
Mean±SD
- 16 -
参考:外国人データ 13)
北米において 20 例の重症血友病A患者を対象とし,クロスオーバー法にて
コージネイト FS とコージネイトをそれぞれ約 50 IU/kg 単回静脈内投与し
た際の両製剤の生物学的同等性について検討した.血漿中 FⅧ:C から求め
た薬物動態学的パラメータ(AUC0-48,Cmax,T1/2 )は生物学的に同等と認
められる範囲にあることが証明された.
■北米において血友病A患者にコージネイト FS 及びコージネイトを
約 50 IU/kg 単回投与した際の生物学的同等性(n=20)
コージネイトFS(①)
コージネイト(②)
Mean±SD
4
40
%・kg/IU
Kg・h/dL
50
30
20
10
0
Cmax
3
15
2
10
1
5
2.2
26.1 31.9
2.4
0
① ②
①/②比
①/②比の
90%信頼区間
1-4.中毒域
該当資料なし
1-5.食事・併用薬の影響
該当資料なし
1-6.母集団(ポピュレ
ーション)解析に
より判明した薬物
体内動態変動要因
該当資料なし
T1/2
20
h
AUC0-48
60
13.1
① ②
① ②
AUC0-48
Cmax
T1/2
0.86
0.92
0.98
0.803~0.916
0.846~0.983
0.906~1.011
2. 薬物速度論的パラメー
タ
2-1.コンパートメント
2 コンパートメントモデルにて解析した[Ⅶ-1(3)の項]参照
モデル
2-2.吸収速度定数
該当資料なし
2-3.バイオアベイラビ
該当資料なし
リティ
2-4.消失速度定数
13.3
0
該当資料なし
- 17 -
2-5.クリアランス
該当資料なし
2-6.分布容積
該当資料なし
2-7.血漿蛋白結合率
該当資料なし
3. 吸
収
静脈内投与のため血液中に移行する.
4.分
布
主に血管内
参考:動物試験データ 14)
雄性ウサギに 125I-rFⅧ 0.8μg/kg(0.29 U/kg)を単回静脈内投与した
際の組織内放射能濃度を測定した結果,遊離
125
I 又は
131
I の取込みが推定
される甲状腺を除き,いずれの測定時点においても血液中に最も高い放射
能が認められた.
組
織
血
液
肺
肝
臓
腎
臓
脾
臓
心
臓
脳
筋
肉
脂肪組織
(後腹膜)
胸
腺
甲 状 腺
※(
4-1.血液-脳関門通過
濃度(ng eq. of FⅧ/g
1hr (2) ※
24hr (2)
4.45
0.47
0.51
0.07
1.69
0.34
2.02
0.30
3.70
0.36
0.35
0.06
0.11
0.01
0.28
0.02
0.14
0.03
0.02± 0.00
0.31
39.60
0.04
267.38
0.01± 0.00
196.14±43.89
)内は使用動物数
該当資料なし
性
4-2.血液-胎盤関門通
該当資料なし
過性
4-3.乳汁への移行性
該当資料なし
4-4.髄液への移行性
該当資料なし
4-5.その他の組織への
該当資料なし
移行性
5. 代
謝
5-1.代謝部位及び代謝
or mL)
72hr (4)
0.11± 0.01
0.03± 0.00
0.11± 0.00
0.09± 0.01
0.07± 0.01
0.02± 0.00
0.01± 0.00
0.01± 0.00
該当資料なし
経路
- 18 -
5-2.代謝に関与する酵
該当資料なし
素(CYP450等)の
分子種
5-3.初回通過効果の有
該当資料なし
無及びその割合
5-4.代謝物の活性の有
該当資料なし
無及び比率
5-5.活性代謝物の速度
該当資料なし
論的パラメータ
6. 排
泄
参考:動物試験データ
雄性ウザギに
125
I-rFⅧ 0.8μg/kg(0.29 U/kg)を単回静脈内投与した
際,投与後 72 時間で 65.38±11.09%が尿中に排泄され,その大部分が投与
後 24 時間以内に排泄された 14).
6-1.排泄部位及び経路
該当資料なし
6-2.排 泄 率
該当資料なし
6-3.排泄速度
該当資料なし
7. 透析等による除去率
該当資料なし
- 19 -
Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.警告内容とその理由
2.禁忌内容とその理由
(原則禁忌を含む)
該当なし
原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とす
る場合には慎重に投与すること)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
[解説]
本剤は血液凝固第Ⅷ因子(遺伝子組換え)及び添加物として L-ヒスチジ
ン,アミノ酢酸,精製白糖が含有されている.これらの成分に対して過敏
症の既往歴のある患者への投与を避けること.
3. 効能又は効果に関連す
る使用上の注意とその
理由
4. 用法及び用量に関連す
る使用上の注意とその
理由
該当なし
輸注速度が速すぎるとチアノーゼ,動悸を起こすことがあるので,1 分間
に 5 mL を超えない速度でゆっくり注入すること.
[解説]
本剤の適正使用の観点から,同種同効品の使用上の注意を参考にして設定
した.
5. 慎重投与内容とその理
由
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) マウスモノクローナル抗体により精製した製剤又はハムスター腎
細胞由来の製剤に過敏症の既往歴のある患者
(2) ヒト血漿由来の第Ⅷ因子製剤に過敏症の既往歴のある患者
[解説]
(1) 本剤は抗ヒト血液凝固第Ⅷ因子マウスモノクローナル抗体を用いた
アフィニティークロマトグラフィーにて純化・精製されているため,
製剤中にマウスモノクローナル抗体混入の可能性が否定できない.ま
た血液凝固第Ⅷ因子(遺伝子組換え)の産生細胞であるハムスター腎
細胞由来たん白の混入の可能性が否定できない.よって,マウスモノ
クローナル抗体により精製した製剤又はハムスター腎細胞由来の製
剤に過敏症の既往歴のある患者への本剤投与により過敏症を起こす
可能性があるので,慎重に投与すること.
(2) ヒト血漿由来の第Ⅷ因子製剤に過敏症の既往歴のある患者は,本剤の
投与によっても過敏症を起こす可能性があるので,慎重に投与するこ
と.
- 20 -
6.重要な基本的注意とそ
の理由及び処置方法
[患者への説明]
本剤の使用にあたっては,疾病の治療における本剤の必要性とともに,
本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられ
ているが,製品中に残存するヒト血漿たん白に由来する感染症伝播のリ
スクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し,理解
を得るよう努めること.
(1) 本剤の培養培地にはヒト血漿たん白溶液が使用されている.製品中に
残存するヒト血漿たん白の原材料となる血漿については,HBS 抗原,
抗 HCV 抗体,抗 HIV-1 抗体,抗 HIV-2 抗体陰性であることを確認して
いる.さらにプールした試験血漿については,HBV-DNA,HCV-RNA 及
び HIV-RNA について核酸増幅検査(NAT)を実施し,適合した血漿を
本剤の製造に使用しているが,当該 NAT の検出限界以下のウイルスが
混入している可能性が常に存在する.その後のヒト血漿たん白の製造
工程であるコーンの低温エタノール分画法及び 60℃,10 時間液状加
熱処理は,HIV をはじめとする各種ウイルス不活化・除去効果を有す
ることが確認されている.また,本剤の精製工程において TNBP/ポリ
ソルベート 80 による SD 処理※を実施している.しかし,現在の製造
工程では,ウイルスを完全に不活化・除去することが困難である.
※ SD 処理:Solvent/Detergent Treated
Solvent[有機溶媒:TNBP(Tri-n-Butyl-Phosphate)
]
Detergent[界面活性剤:ポリソルベート 80]
(2) アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので,観察を十分に行
うこと.
(3) 患者の血中に血液凝固第Ⅷ因子に対するインヒビターが発生するお
それがある.特に,血液凝固第Ⅷ因子製剤による補充療法開始後,
投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に
集中して補充療法を受けた時期にインヒビターが発生しやすいこと
が知られている.本剤を投与しても予想した止血効果が得られない
場合には,インヒビターの発生を疑い,回収率やインヒビターの検
査を行うなど注意深く対応し,適切な処置を行うこと.
(4) 大量投与により血管内に凝固による栓塞を起こすおそれがあるの
で,慎重に投与すること.
[解説]
本剤の適正使用の観点から,同種同効品の使用上の注意を参考にして設定
した.
- 21 -
7.相互作用
7-1. 併用禁忌とその理
該当なし
由
7-2. 併用注意とその理
該当なし
由
8. 副 作 用
8-1.副作用の概要
本剤の承認時での調査例数 20 例中 1 例(5.0%)に CD4 上昇,CD8 低下及
び CD4/CD8 比上昇が認められた(Ⅷ-8-4-(2)「臨床検査値の変化」の項参
照)8).
また,コージネイトでの承認時
5,6)
及び市販後の使用成績調査・特別調査
(長期使用症例)での調査症例 742 例中 40 例(5.39%)に副作用が認めら
れた(再審査終了時)
.
8-2.重大な副作用と初
期症状
アナフィラキシー様症状(頻度不明)
:アナフィラキシー様症状を起こす
ことがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を
中止し,適切な処置を行うこと.
8-3.その他の副作用
0.1~5%未満
過 敏 症注)
0.1%未満
発疹,蕁麻疹
消 化 器
嘔気
投与部位
血管痛
頻度不明
痒
嘔吐
そ の 他
注射部位反応
発熱
注)このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
8-4.項目別副作用出現
(1) 項目別副作用発現率
頻度及び臨床検査
① 自覚症状・他覚所見
値異常一覧
国内第Ⅲ相臨床試験において,24 週間から最長 84 週間(平均 41.6±18.8
週間)の長期補充療法が重症血友病A患者 20 例を対象に行われた 8).
総計 1,541 回の投与において,本剤と因果関係のある自覚症状・他覚
所見は認められなかった.
また,FⅧインヒビター及び抗体検査においては,試験開始後 FⅧイン
ヒビターを発現した症例は 1 例もなく,
rFⅧ,
BHK たん白及びマウス IgG
に対する抗体もすべて陰性であった.
② 副作用
参考:外国人データ
自覚症状・他覚所見
欧米にて PTPs(previously treated patients)の重症血友病A患者(F
Ⅷ:C 2%未満)のべ 71 例を対象として多施設共同臨床試験が行われ,総
計 12,546 回投与中,本剤との因果関係が否定されなかったもの(因果関
係が「関係ないらしい」,「関係あるかもしれない」,「多分関係あり」,
- 22 -
あるいは「評価不可能」)
,が 13 例 24 件(0.2%)みられた.主な症状
は,発疹,注射部反応,嘔気,めまい,味覚倒錯などであったが,1 例
の動悸を除いていずれも軽~中等症状であった 13).
FⅧインヒビター及び抗体検査
① PTPs:上記の欧米にて行われた多施設共同臨床試験の 71 例に対し
て,FⅧインヒビター発生の有無を定期的にベセスダ法を用いて検
討した結果,24 ヵ月を通して FⅧインヒビター(≧0.6BU)が検出
された症例は 1 例も認められなかった.
BHK たん白及びマウス IgG に対する抗体検査はすべて陰性であった.
rFⅧに対する抗体検査において,1 例に 12 週目及び 24 週目で陽性
が認められたが,本症例では FⅧインヒビターは検出されず,生体
内回収率の低下やアレルギー反応もみられなかった 13).
② PUPs 及び MTPs:欧米では,上記臨床試験とは別に 1997 年 10 月よ
り,重症血友病A(FⅧ:C 2%未満)と診断された 4 歳以下の PUPs
(previously untreated patients:治療歴のない患者)及び MTPs
(minimally treated patients:過去の治療歴が 4 日未満の患者)
を対象とした臨床試験を実施しており,本剤が投与された 60 例の
うち 9 例(15%)に FⅧインヒビターの発現がみられた.5 例に高
力価(>10BU)の,残り 4 例には低力価(≦10BU)のインヒビター
がみられた 9).
(2) 臨床検査値の変化
コージネイト FS の治療前後における臨床検査値の変化を統計学的に検
討したところ,直接ビリルビンに有意な低下,CD4 細胞数に有意な上昇
が認められた 15).一方,個々の症例について検討してみると,本剤と
の因果関係が完全に否定できない臨床検査値の変動が,安全性検討症例
20 例のうちの 1 例に認められた.その内容は,CD4(%)上昇(53.4→
61.7%)
,CD8(%)低下(18.3→13.7%)及び CD4/CD8 比上昇(2.92→4.50)
で,
「関連性あるかもしれない」と判定された 8).
- 23 -
■コージネイト FS の治療前後における臨床検査値の変化 15)
検
血液検査
血液生化学検査
尿検査
細胞性免疫検査
※
査
項
目
4
3
治療前※
n
治療後※※
n
赤血球数
(×10 /mm )
508±30
20
507±30
20
ヘモグロビン
ヘマトクリット値
(g/dL)
(%)
15.1±0.9
44.8±2.9
20
20
15.1±0.9
44.5±2.9
20
20
白血球数
(/mm3)
5453±1170
20
5660±1083
20
白血球分画:杆状核球
白血球分画:分節核球
白血球分画:好酸球
白血球分画:好塩基球
白血球分画:リンパ球
白血球分画:単球
(%)
(%)
(%)
(%)
(%)
(%)
2±2
53±8
3±2
1±1
38±9
3±2
19
19
20
20
20
20
1±2
51±11
2±2
1±1
41±12
4±4
18
18
19
19
19
19
血小板数
(×104/mm3)
22.1±5.2
20
21.7±4.7
20
BUN
クレアチニン
総ビリルビン
直接ビリルビン
GOT
GPT
Al‐P
LDH
総たん白
アルブミン
尿酸
総コレステロール
Na
K
Cl
Ca
無機リン
pH
比重
CD4
(mg/dL)
(mg/dL)
(mg/dL)
(mg/dL)
(IU)
(IU)
(IU)
(IU)
(g/dL)
(g/dL)
(mg/dL)
(mg/dL)
(mEq/dL)
(mEq/dL)
(mEq/dL)
(mg/dL)
(mg/dL)
11.7±3.2
0.9±0.2
0.6±0.2
0.2±0.1
29±15
40±35
247±170
372±65
7.8±0.5
4.8±0.3
5.8±1.0
159±26
141±2
3.9±0.7
102±3
9.1±0.3
3.2±0.9
6.2±0.9
1.020±0.008
40.4±7.7
20
20
19
19
20
20
20
20
19
19
20
20
20
20
20
20
20
15
15
20
11.8±3.3
0.9±0.1
0.6±0.2
0.2±0.1
28±11
37±29
235±141
344±43
7.8±0.7
4.9±0.4
6.0±1.2
160±28
142±2
4.0±0.5
102±2
9.2±0.5
3.1±0.8
6.6±0.8
1.021±0.007
42.7±8.6
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
17
17
20
CD4
(/mm3)
808±198
20
979±449
19
CD8
(%)
30.3±7.9
20
28.6±8.3
20
CD8
(/mm3)
613±211
20
646±292
19
1.47±0.63
20
1.77±1.12
20
Mean±SD
(%)
CD4/CD8比
本剤初回投与前,※※24週間以上の補充療法後
8-5.基礎疾患,合併症,
該当資料なし
重症度及び手術の
有無等背景別の副
作用発現頻度
- 24 -
8-6.薬物アレルギーに
■原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とす
対する注意及び試
る場合には慎重に投与すること)
験法
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) マウスモノクローナル抗体により精製した製剤又はハムスター腎
細胞由来の製剤に過敏症の既往歴のある患者
(2) ヒト血漿由来の第Ⅷ因子製剤に過敏症の既往歴のある患者
■重要な基本的注意
(1) アナフィラキシー様症状を起こす可能性があるので,観察を十分に
行うこと.
(2) 患者の血中に血液凝固第Ⅷ因子に対するインヒビターが発生する
おそれがある.特に,血液凝固第Ⅷ因子製剤による補充療法開始後,
投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に
集中して補充療法を受けた時期にインヒビターが発生しやすいこ
とが知られている.本剤を投与しても予想した止血効果が得られな
い場合には,インヒビターの発生を疑い,回収率やインヒビターの
検査を行うなど注意深く対応し,適切な処置を行うこと.
■副 作 用
コージネイトでの承認時 5,6)及び市販後の特別調査(長期使用症例)
での調査症例 133 例中 0.1%未満に過敏症(発疹,蕁麻疹)の副作用が
認められた(安全性定期報告時).
このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
9. 高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を観察しなが
ら慎重に投与すること.
10. 妊婦,産婦,授乳婦等
への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を
上回ると判断される場合のみ投与すること[妊娠中の投与に関する安全性
は確立していない].
11. 小児等への投与
該当なし
12. 臨床検査結果に及ぼす
本剤の承認時での調査例数 20 例中 1 例(5.0%)に CD4 上昇,CD8 低下及
影響
13. 過量投与
び CD4/CD8 比上昇が認められた 8).
■重要な基本的注意
大量投与により血管内に凝固による栓塞を起こすおそれがあるので,慎
重に投与すること.
- 25 -
14. 適用上の注意
(1) 調製時:
1) 他剤との混合注射を避けること.
2) 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと[本剤は
保存剤が含有されていないため].
3) 溶解した液を使用する際には,ろ過網のあるセットを用いること.
(2) 投与時:
1) 溶解時に不溶物の認められるもの又は混濁しているものは使用しな
いこと.
2) 一度溶解したものは 3 時間以内に使用すること.
3) 凍結した溶液は使用しないこと.
(3) 家庭療法時※:
1) 患者が家庭で保管する場合においても冷蔵庫内で保存することが望
ましいが,室温(25℃以下)で保存することもできる.この場合には,
3 ヵ月以内に使用し,再び冷蔵庫に戻さないように指導すること.
2) 子どもの手の届かないところへ保管すること.
3) 使用済のシリンジ,翼付針等の処理については,主治医の指示に従う
こと.
※ 本剤は医師の指導のもとで教育を受けた患者に対し自己注射が認め
られている.
15. その他の注意
本剤は von Willebrand 因子を含んでいない.
16. その他
本剤は,製造工程中にヒト血漿たん白溶液を使用しており,原料となった
血液を採取する際には問診,感染症関連の検査を実施するとともに,製造
工程において一定の不活化・除去処理などを実施し,感染症に対する安全
対策を講じているが,製品中に残存するヒト血漿たん白による感染症伝播
のリスクを完全に排除することはできないため,疾病の治療上の必要性を
十分に検討の上,必要最小限の使用にとどめること.(Ⅷ-6「重要な基本的
注意」の項参照)
参考:ショ糖(スクロース)静脈内投与の安全性
コージネイト FS には安定剤として,従来のアルブミンに代えてショ糖(精
製白糖)が用いられている.ショ糖はブドウ糖(グルコース)と果糖(フ
ルクトース)からなる二糖類で,日常生活においても食用に使用されてお
り,有害なものではないが,特に糖尿病患者や腎機能障害患者などにおい
ては,静脈内投与時の安全性が懸念される.
静脈内投与されたショ糖は代謝されずに,腎臓から排泄される.FDA の警
告 16,17)におけるショ糖の1日最大静脈内投与量は 25 g 以上といわれている.
コージネイト FS のショ糖含有量は,250 単位,500 単位,1000 単位いずれ
の剤型とも1バイアルあたり 28 mg であるので,これを 1000 単位のバイア
ル数に換算して,約 900 バイアル(900,000 単位)投与した場合のショ糖
の量に相当する.
また,内分泌学者である Friday ら
18)
によると,静脈内投与されたショ糖
は代謝されず腎臓より排泄されるため,仮に 10 バイアル(1000 単位バイ
アル換算で 10000 単位)静脈内投与したとしても,Ⅰ型及びⅡ型糖尿病患
者の血中グルコース濃度に影響を及ぼさないといわれている.
- 26 -
Ⅸ. 非臨床試験に関する項目
1.薬理試験14)
1-1.薬効薬理試験(「Ⅵ.
薬効薬理試験に関
する項目」参照)
1-2.副次的薬理試験
該当資料なし
1-3.安全性薬理試験
コージネイトは,一般症状及び行動(マウス)
,中枢神経系(マウス,ラッ
ト),体性神経系(ラット)
,自律神経系及び平滑筋(モルモット),呼吸,
循環器系(モルモット,イヌ),消化器系(ラット,ウサギ),水及び電解
質代謝(ラット)及び血液学的パラメータ(ラット,ウサギ,ネコ)に対
し臨床使用,特に問題となる作用は認められなかった.
動物種
(n)
投与経路
投 与 量
成
1.一般症状及び行動に及ぼす影響
(Irwin の多次元観察法)
マウス
(4)
i.v.
50,100,
150 U/kg
作用なし
2.中枢神経系に及ぼす影響
(2・1 自発運動量に対する作用:Openfield
法)
ラット
(10)
〃
〃
作用なし
(2・2 麻酔増強作用:ヘキソバルビター
ル麻酔)
マウス
(8~9)
〃
〃
作用なし
(2・3 抗痙攣作用:ペンチレンテトラゾ
ール痙攣)
マウス
(10)
〃
〃
閾値軽度低下(150 U/kg)
(2・4 鎮痛作用:Tail Clip 法)
マウス
(10)
〃
〃
作用なし
(2・5 鎮痛作用:Hot Plate 法)
ラット
(8~10)
〃
〃
作用なし
(2・6 正常体温に対する作用:直腸温)
ラット
(8~10)
〃
〃
軽度低下(≧100 U/kg:
用量相関性なし)
(2・7 協調運動能に対する作用:
回転棒法)
マウス
(8~10)
〃
〃
一過性の抑制
(<100 U/kg)
(2・8 カタレプシー惹起作用)
ラット
(8~10)
〃
〃
作用なし
試
験 項
目
績
一般症状及び行動/中枢神経系/体性神経系/自律神経系及び平滑筋に対する作用
呼吸・循環器系に対する作用
3.体性神経系に及ぼす影響
(神経-筋接合部に対する作用:坐骨神経
-腓腹筋標本)
4.自律神経系及び平滑筋に及ぼす影響
(摘出回腸への作用:マグヌス法)
ラット
(8)
〃
〃
収縮力の増強(50U/kg:
用量相関性なし)
モルモット
(5)
in vitro
6.5×10-3
6.5×10-2
6.5×10-1
U/mL
自動運動,アセチルコリ
ン・ヒスタミン・BaCl2 収
縮:作用なし
5.呼吸・循環器系に及ぼす影響
(5.1 肺粘性抵抗・動的肺コンプライア
ンス)
麻 酔
モルモット
(6)
i.v.
50,100,
150 U/kg
作用なし
麻 酔
イ ヌ
(3)
〃
〃
作用なし
(5.2 血圧,心拍数,血流量,心電図に
及ぼす影響)
- 27 -
動物種
(n)
投与経路
投 与 量
成
ラット
(5)
i.v.
50,100,
150 U/kg
作用なし
(6・2 基礎胃酸分泌・ヒスタミン誘発胃
酸分泌に対する作用)
ラット
(8)
〃
〃
作用なし
(6・3 胃粘膜障害作用・インドメタシン
誘発胃潰瘍に対する作用)
ラット
(15)
〃
〃
作用なし
(6・4 生体位胃腸運動に対する作用,バ
ルーン法)
麻 酔
ウサギ
(3)
〃
〃
一過性の軽度抑制(≧50 U
/kg:賦形剤対照群との
間に差を認めず)
ラット
(10)
〃
〃
作用なし
ラット
(5)
〃
〃
作用なし
ラット
(5)
〃
〃
作用なし
ウサギ
(3)
in vitro
0.65,1.95,
6.50 U/mL
作用なし
50,100,
150 U/kg
陰性(ヒスタミン様血圧
降下物質の存在なし)
試
験 項
目
消化器系/水及び電解質代謝に対する作用
6.消化器系に及ぼす影響
(6・1 腸管輸送能に対する作用:炭末法)
7.水及び電解質代謝に及ぼす影響
(尿量,尿中 Na+濃度,尿中 K+濃度の測定)
そ
の 他
の 作 用
8.血液凝固系に及ぼす影響
(プロトロンビン時間,活性化部分トロン
ボプラスチン時間,フィブリノーゲン測
定)
9.血小板凝集に及ぼす影響
(コラーゲン刺激,ADP 刺激による凝集作
用に対する影響)
10.溶血作用
11.血圧降下物質試験
麻 酔
ネ コ
(3)
i.v.
績
2. 毒性試験
2-1.単回投与毒性試験
(1) コージネイト 14)
動物種
投与
(系統,体重)
経路
例
性 数
マウス
White Swiss
静脈内 ♂ 10
16~20g
ラット
成
LD50 値(U/kg)
>7200
(14040)※2
績
特
記
所
見
自発運動抑制※1,
呼吸障害※1,
間代性痙攣※1,
正向反射喪失※1
静脈内 ♂
7
>2970
異常所見,死亡例なし
ウサギ
New Zealand White 静脈内 ♂
3
>900
異常所見,死亡例なし
(SD,150~160g)
2.21~2.42kg
※1 賦形剤(0.5%ヒトアルブミン,0.275 M グリシン,2.5 mM CaCl2,0.1 M NaCl)
対照群においても観察され,投薬群と賦形剤対照群との間で程度および出現頻度に
差は認められなかった.
※2 本用量で半数例の死亡がみられ,同用量投与した賦形剤対照群においても 10 例中
3 例に死亡が認められた.
- 28 -
(2) コージネイト FS19)
マウス,ラット及びウサギにおけるコージネイト FS 大量静脈内投与によ
る急性毒性(LD50 値)を検討した結果は以下の通りであった。
マウス:LD50 >10,750 IU/kg
ラット:LD50 > 7,095 IU/kg
ウサギ:LD50 > 2,150 IU/kg
また、これら 3 種の動物において,体重増加,剖検にて有害事象は認め
られなかった.
2-2. 反復投与毒性試験
(1) コージネイト 14)
ラット(雄)に 30, 100, 300 U/kg/日を静脈内に 4 週間投与し,また
4 週間の回復試験を行った.
その結果,一般症状,体重,血液学的検査,血液生化学検査,尿検査,
眼科学的検査,剖検時肉眼的検査及び臓器重量に異常は認められなかっ
た.
病理組織学的検査では 300 U/kg 投与群で投与終了時に腎臓におけるボ
ーマン嚢基底膜肥厚及びメサンギウム細胞増殖の発現増加傾向が認めら
れたが,賦形剤対照群との間に有意差はなかった(Fisher's Exact Test)
.
また,投与開始後 2 週間目より賦形剤対照群では賦形剤に対する抗体が,
rFⅧ投与時では rFⅧに対する抗体の産生が見られ,いずれも抗体価は 4
週目にピークを示し,回復期間終了時までほぼ一定であった.
(2) コージネイト FS19)
ウサギ及びイヌに対し,300 IU/kg/日を静脈内に 5 日間連続投与し,
体重増加,血液化学検査,剖検,病理組織検査の項目について検討した
ところ,ウサギ,イヌのいずれにおいても本剤に起因すると考えられる
有害事象は認められなかった.
2-3.生殖発生毒性試験
該当資料なし
- 29 -
2-4.その他の特殊毒性
(1) コージネイト 14)
抗 原 性
① ウサギを用いた抗原性試験
rFⅧを感作させたウサギから得た抗血清を用い,アフィニティクロマ
トグラフィー法及び競合結合法により rFⅧに対するウサギ IgG 抗体の
rFⅧと,ヒト血漿由来血液凝固第Ⅷ因子(pdFⅧ)に対する抗体活性を
比較したが,差異は認められなかった.
② ヒト FⅧcDNA 導入トランスジェニックマウスを用いた抗原性試験
ヒト FⅧcDNA を導入したトランスジェニックマウス及び正常マウスに
rFⅧ又は pdFⅧ+ヒト血清アルブミン(HSA)を感作抗原として感作し,
イムノブロット法により抗体産生の有無を検討した.その結果,トラ
ンスジェニックマウスにおいてはいずれも HSA に対する抗体産生が認
められたが,rFⅧおよび pdFⅧに対する抗体産生は認められなかった.
また,正常マウスにおいては rFⅧ,pdFⅧ及び HSA のいずれに対しても
抗体産生が認められた.
③ BHK たん白の抗原性
BHK たん白の抗原性をモルモットを用いて検討した.その結果,BHK た
ん白を Freund's adjuvant と共に皮下投与した群では抗体産生が認め
られたが,
BHK たん白単独静脈内投与感作群では 0.1 mg/kg まで,
ELISA
法による抗体価測定,全身性及び局所性アナフィラキシー反応のいず
れにおいても抗体産生は認められなかった.
すなわち,BHK たん白を静脈内投与した際,その抗原性は極めて弱い
ものと思われた.
BHK DNA の形質転換誘発作用
BHK DNA はマウス胎仔由来培養細胞(C3H10T1/2, NIH3T3)に対して,
pMLV(Moloney leukemia virus)DNA の存在の有無にかかわらず,形質転
換誘発作用を示さなかった.
変異原性
① 復帰変異試験
大腸菌及びネズミチフス菌を用いた復帰変異試験によって検討した結
果,いずれの試験においても変異原性は認められなかった.
② 染色体異常試験
チャイニーズハムスター卵巣及び肺継代培養細胞を用いた染色体異常
試験によって検討した結果,いずれの試験においても染色体異常は認
められなかった.
③ 優性致死試験
マウスを用いた優性致死試験によって検討した結果,いずれの試験に
おいても優性致死作用は認められなかった.
- 30 -
局所刺激性
ラット尾静脈,ウサギ耳静脈及びイヌ前肢静脈に5日間連続投与し,投与
部位血管及び周囲組織を検討した結果,刺激性を示唆する所見は認められ
なかった.
(2) コージネイト FS20)
抗 原 性
ウサギを用いた免疫系モデルにより、コージネイト FS に対する抗体を作成
し,コージネイトに対する結合を検討した.ニュージーランド白色ウサギ
にコージネイト FS を投与し,免疫した後,その免疫血清をコージネイト
を固定化したカラム(KG-0 カラム)に通し,吸着されずに溶出されるコー
ジネイト FS に特異的な抗体を capture ELISA 法にて検出した.その結果,
KG-0 カラム吸着後はコージネイト FS に対する抗体は認められず,本剤に
特異的な抗体は存在しないことが示された.
- 31 -
Ⅹ. 管理的事項に関する項目
1.規制区分
特定生物由来製品・処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
有効成分:オクトコグアルファ(遺伝子組換え)生物由来成分
2.有効期間又は使用期限
有効期間2年6ヵ月(使用期限は,瓶ラベル・外箱に表示)
3.貯法・保存条件
凍結を避け,2~8℃(冷蔵庫)で保存
4.薬剤取扱い上の注意点
記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから,本剤を投与又
は処方した場合は,医薬品名(販売名),製造番号(ロット番号),投与又
は処方年月日,投与又は処方を受けた患者の氏名,住所等を記録し,少な
くとも20年間保存すること.
4-1.薬局での取り扱い
凍結を避け,2~8℃(冷蔵庫)で保存
について
4-2.薬剤交付時の注意
(患者等に留意す
べき必須事項等)
本剤の使用にあたっては,疾病の治療における本剤の必要性とともに,本
剤の製造に際し,感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられてい
るが,製品中に残存するヒト血漿たん白に由来する感染症伝播のリスクを
完全に排除することができないことを患者に対して説明し,理解を得るよ
う努める。また,以下のような副作用が起こりうることを伝える.
(1)アナフィラキシー様症状
(2)インヒビターが発生しうること
(3)大量投与により血管内に凝固による栓塞をおこすおそれがあること
(
「Ⅷ.6.重要な基本的注意とその理由及び処置法」の「患者への説明」
の項を参照.)
5.承認条件等
なし
6.包
注射剤
装
瓶
250 IU×1バイアル[(日本薬局方 注射用水 2.5 mL)プレフィルドシリン
ジ×1シリンジ付き]
500 IU×1バイアル[(日本薬局方 注射用水 2.5 mL)プレフィルドシリン
ジ×1シリンジ付き]
1000 IU×1バイアル[(日本薬局方 注射用水 2.5 mL)プレフィルドシリン
ジ×1シリンジ付き]
[付属物としてセーフィルターPSVセット(翼付針),スワバー(アルコール
綿),絆創膏及び廃棄用袋を添付]
- 32 -
7.容器の材質
8.同一成分・同効薬
薬剤バイアル:無色透明のガラス瓶,ゴム,ポリエチレン(PE)
商
品
名
会
社 名
由
特
徴
アドベイト
バクスター
遺伝子組換え
クロスエイトM
日本赤十字社
献
血
TNBP/オクトキシノール 9 処理
モノクローナル抗体精製
コンファクトF
化血研
献
血
65℃ 96 時間乾燥加熱
von Willebrand病の効能・効果あり
9.国際誕生年月日
1993年2月25日(米国にて承認取得)
10.製造販売承認年月日及
承認年月日:2005 年 3 月 23 日
び承認番号
来
承認番号: 250IU
21700AMY00143
500IU
21700AMY00144
1000IU
21700AMY00145
11.薬価基準収載年月日
2005 年 12 月 16 日
12. 効能又は効果追加,用法
該当なし
及び用量変更追加等の
年月日及びその内容
13. 再審査結果,再評価結
該当しない
果公表年月日及びその
内容
14.再審査期間
該当しない
15.投薬期間制限医薬品に
平成14年 3月18日付厚生労働省告示第99号の投薬期間に上限が設けられて
関する情報
16.各種コード
いる医薬品に該当しない.
厚生労働省薬価基準収戴医薬品コード
コージネイト FS バイオセット注
250:6343430G1026
コージネイト FS バイオセット注
500:6343430G2022
コージネイト FS バイオセット注 1000:6343430G3029
17.保険給付上の注意
血友病治療に伴う医療費については,通常の医療保険に加えて,国や自治
体の定める「特定疾病療養受療証」,「小児慢性特定疾患治療研究事業(20
歳未満)
」,
「先天性凝固因子障害治療研究事業(20 歳以上)」が利用できる.
- 33 -
ⅩⅠ. 文
1. 引用文献
献
1) Vehar AG, et al.:Nature, 312(22)
:337-342, 1984
2) Gitschier J, et al.:Nature, 312(22)
:326-330, 1984
3) Wood WI, et al.:Nature, 312(22)
:330-337, 1984
4) Schwartz RS, et al.:New Engl. J. Med., 323(26)
:1800-1805, 1990
5) 福井 弘
ほか:日本輸血学会雑誌,37(5)
:593-604, 1991
6) Fukui H, et al.:Int. J. Hematology, 54:419-427, 1991
7) Horowitz B, et al.:Transfusion, 25:516-522, 1985
8) Yoshioka A, et al.:Haemophilia, 7(3)
:242-249, 2001
9) Kreuz W, et al.:Thromb. Haemost., 93:457-467, 2005
10) Shirahata A, et al.:Int. J. Hematology, 72:101-107, 2000
11) Giles AR:Blood, 72(1)
:335-339, 1988
12) 日本血栓止血学会:インヒビターのない血友病患者の急性出血,処置・
手術における凝固因子補充療法のガイドライン
13) Abshire I, et al.:Thromb. Haemost., 83:811-816, 2000
14) バイエル薬品社内資料(コージネイト申請資料)
15) バイエル薬品社内集計資料
16) FDA/CBER, Dear doctor letter, November 13, 1988:ショ糖で安定
化した静注用グロブリン製剤(sucrose-formulated IVIG)投与による
急性腎不全
17) Winward DB, et al.:Pharmacotherapy, 15(6)
:765-772, 1995
18) Friday KE, et al.:米国バイエル社社内資料, 1998
19) Kowolenko M, et al.:Thromb. Haemost., Suppl.:509-510(Abstract
No. PS-2084), 1997
20) Landskroner K, et al.:米国バイエル社社内資料, 1996
21) Revel-Vilk S, et al.:Haemophilia. 16(1)
:72-79, 2010
2.その他の参考文献
特になし
- 34 -
ⅩⅡ. 参考資料
1.主な外国での販売承認状況(2009 年 5 月現在)
国
名
承認年月
EU 諸国
2004 年 10 月
カナダ
2005 年 3 月
オーストラリア・ニュージーランド
2005 年 6 月
米
国
2005 年 11 月
中
国
2007 年 9 月
本邦における効能又は効果,用法及び用量は以下のとおりであり,外国での承認状況とは異なる.
■効能又は効果
血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者に対し,血漿中の血液凝固第Ⅷ因子を補い,その出血傾向を抑制する.
■用法及び用量
本剤を添付の溶解液 2.5 mL で溶解し,緩徐に静脈内注射又は点滴注入する.なお,1分間に 5 mL を超え
る注射速度は避けること.
用量は,通常,1回体重1 kg 当たり 10~30 国際単位を投与するが,症状に応じて適宜増減する.
用法・用量に関連する使用上の注意
輸注速度が速すぎるとチアノーゼ,動悸を起こすことがあるので,1 分間に 5 mL を超えない速度でゆっ
くり注入すること.
- 35 -
■外国における効能又は効果,用法及び用量(コージネイト FS として)
国
名
会 社 名
販 売 名
剤形・含量
発 売 年
効能又は効果
用法及び用量
米国
Bayer Corporation
Kogenate®FS
注射剤:250 国際単位,500 国際単位,1000 国際単位
2000 年
本剤は血液凝固第Ⅷ因子活性の欠乏が証明された古典的血友病(血友病A)の治療に適用する.本
剤は血友病患者における出血エピソードの治療又は予防のために,あるいは緊急又は随意的外科手術
を行うために,凝固因子欠乏の一時的補充の手段に用いる.
先行製剤 KOGENATE®の臨床試験において,試験中にインヒビターを発現した患者でインヒビター力
価が 10 ベセスダ単位(BU)/mL 未満の場合,継続して臨床効果を示した症例もみられた.インヒビ
ターが存在する場合には,第Ⅷ因子の必要量は様々である.投与量は治療後の臨床効果及び循環第Ⅷ
因子濃度をモニターすることによってのみ決定すること.本剤は KOGENATE® と同等の生物学的活性を
有するので,KOGENATE® と同様の方法で使用すること.
本剤は,von Willebrand 因子を含んでいないので,von Willebrand 病の治療には適用されない.
本剤は溶解後 3 時間以内に使用すること.提供されている輸注セットを用いることが望ましい.
一般的治療方法と治療効果の評価
以下に記載した投与量は,一般的ガイドラインとして提示されている.止血に必要とされる本
剤の投与量は,患者の要望,欠乏症の重症度,出血の重症度,インヒビターの存在,及び期待す
る第Ⅷ因子濃度に応じて個々の症例により決定すること.第Ⅷ因子濃度の測定を行って,治療経
過を追跡することは必要である.本剤の臨床効果は,治療の有効性を評価するための最も重要な
要因である.満足する臨床効果を得るためには,予想されるよりも高用量を投与することが必要
となる場合もある.
投与量の計算
第Ⅷ因子濃度の生体内の上昇率は,体重 1kg 当たりの投与量(IU/kg)に 2%/IU/kg を乗じ
ることにより推定できる.
第Ⅷ因子上昇期待値(%) = 投与量 IU×2%/IU/kg/体重(kg)
又は
必要量(IU)= 体重(kg)×第Ⅷ因子上昇期待値(%)/2%/IU/kg
止血に必要な投与量は,出血の種類や重症度に応じ,次の一般的ガイドラインに従うこと:
出血症状
軽度出血
(表在性,初期出血,関節内出血)
中等度から大出血
(筋肉内出血,口腔内出血,明確
な出血性関節症,既知の外傷)
手術(小手術)
大出血から生命に危険を及ぼ
す出血
(頭蓋内,腹腔内または胸腔内
出血,消化管出血,中枢神経系
出血,咽頭後隙部または骨盤死
腔,腸腰筋鞘の出血)
骨折
頭部外傷
大手術
予
治療 に必要な
血漿 FⅧ活性
20~40%
30~60%
80~100%
~100%
治療に必要な血漿濃度を維持
するために必要な投与量
10~20 IU/kg
さらに出血がみられた場合には投与を繰り返す
こと
15~30 IU/kg
必要があれば,12~24 時間でもう 1 回投与する
こと
初期投与量 40~50 IU/kg
8~12 時間毎に 20~25 IU/kg を繰り返すこと
手術前に 50 IU/kg
手術前に 100%の活性を確認すること.最初は 6
~12 時間後に必要に応じて繰り返し,治癒が完
全になるまで 10~14 日間繰り返すこと
防
本剤は出血予防に対しても定期的に投与することができる.
- 36 -
国
名
会 社 名
販 売 名
剤形・含量
発 売 年
効能又は効果
用法及び用量
EU
Bayer AG(ドイツ)
KOGENATE® Bayer
注射剤:250 国際単位,500 国際単位,1000 国際単位
2000 年
本剤は血友病A患者(先天性第Ⅷ因子欠損)に対する出血の治療と予防に適用される.
本剤は von Willebrand 因子を含んでいないので,von Willebrand 病には適用されない.
第Ⅷ因子活性の 1 国際単位(IU)は正常ヒト血漿 1 mL 中の第Ⅷ因子の量に相当する.必要量の第
Ⅷ因子活性の計算は, 1 IU/kg 体重を投与すると血漿第Ⅷ因子活性が正常値の 1.5~2.5%上昇する
という経験的所見に基づいている.必要量は次式を用いて決定される.
I. 必要量(I.U.)=体重(kg)×第Ⅷ因子上昇期待値(正常値に対する%)×0.5
II. 第Ⅷ因子上昇期待値(正常値に対する%)=2×投与量(IU)/体重(kg)
補充療法の用量と投与期間は患者の状況(体重,止血機能異常の重症度,出血の部位と程度,イン
ヒビターの力価,期待する第Ⅷ因子濃度)に応じて個々に決定する.
下表は第Ⅷ因子の最低血漿濃度の指針である.表に示した出血症状が生じた場合,第Ⅷ因子活性は
該当する期間中,所定濃度(正常値に対する%)以下に低下してはいけない:
出血症状
出血
(初期出血,筋肉内出血,
口腔内出血)
広範囲の出血
(筋肉内出血,血腫)
生命に危険を及ぼす出血
(頭蓋内出血,咽頭部出血,重
度の腹腔内出血)
手術
(抜歯を含む小手術)
大手術
治療に必要な血
漿第Ⅷ因子活性
20~40%
30~60%
60~100%
30~60%
80~100%
(術前~術後)
治療に必要な血漿濃度を
維持するために必要な期間
12-24 時間毎に繰り返すこと.
最低 1 日,痛みのある出血が緩解または治癒す
るまで
12-24 時間毎に痛み及び無力感が緩解するまで,
3~4 日間以上注入を繰り返す
危機を脱するまで 8-24 時間毎に注入を繰り返
す.
30~50%に維持するためにさらに 7 日間治療を
続ける
24 時間毎に,治癒するまで,最低 1 日
傷が十分に治癒するまで,8-24 時間毎に注入を
繰り返す.
その後,第Ⅷ因子活性を 30~50%に維持するた
めにさらに 7 日間治療を続ける
投与量と投与回数は個々の症例における臨床効果に応じて適宜増減する.状況により計算値より多
い用量が,特に初回量の場合必要である.
本剤は重症血友病A患者の出血予防に対しても投与され,本剤 20~60 IU/kg の用量を 2~3 日間
隔で投与することが頻発及び問題のある出血エピソードの回数を減らすのに有効である.ある症例,
特に若年患者では投与間隔を短くし,投与量を増やす必要がある.
インヒビターを有する患者
インヒビターの発現について患者をモニターすること.期待したFⅧ濃度に到達できなかった
場合や,適切な用量で出血がコントロールできない場合には,FⅧインヒビターが存在している
ことがあり,定量測定を行うこと.インヒビターが 10 ベセズダ単位(BU)/mL 未満の場合には,追
加の遺伝子組換えFⅧの投与はインヒビターを中和し,KogenateFSにより継続して臨床効果を
示す場合もある.しかしながら,インヒビターが存在する場合には,FⅧの必要量は様々であり,
投与量は臨床効果および血漿中FⅧ活性をモニターすることにより調整すること.
投与方法
本剤は数分かけて静脈内に注射すること.投与速度は患者の程度により決定すること(最大注
入速度:2 mL/分)
.
- 37 -
ⅩⅢ. 備
特になし
- 38 -
考
(2010 年 5 月作成)KOG・2.0(MX)
資材記号
KOG・10・9001
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