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ジェンダー認知の変容とその測定

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ジェンダー認知の変容とその測定
湯川・松村・石田:ジェンダー認知の変容とその測定
ジェンダー認知の変容とその測定
湯川隆子*・松村祐一郎**・石田勢津子***
Measuring for the Change of Gender Cognition
Takako YUKAWA, Yuichiro MATUSMURA and Setsuko ISHIDA
要 旨
本稿では、近年におけるわが国のジェンダー認知の変容について、この認知的変容の事実をより的確
に把握すること、さらには、変容の事実が確認された場合には、その変容を規定する要因や条件を明ら
かにするためにはどうすべきかを、 心理学における測定方法の問題を中心に検討した。これらのため
に、まず始めに、ジェンダー認知の変容を促し規定する要因として「ジェンダー規範の受容性」と「自
己の性(性別)の受容性」の2つを想定し、概念化した。さらに、これまでに開発されている心理学の
」と「両性性尺度(ex . BSRI)
」の2つ
代表的な量的尺度である「平等主義尺度(ex . SESRA , SARLM)
をとりあげ、その目的と性格、および長所と短所を論じた。その上で、「ジェンダー規範の受容性」と
「自己の性(性別)の受容性」のどちらが、ジェンダー認知の変容を規定する要因として有効かを、2つ
の量的尺度との関係から検討した。
問題
近年、特に1980年代以降、わが国の社会状況におけるさまざまな変動や推移は、われわれの生
活のありようや種々の価値観・信念を変貌させてきた。男女に関わる価値規範や通念(ジェン
ダー・イデオロギー)においてもまた、伝統的な規範に則った性別意識から、性別にとらわれな
い平等主義的な意識への変容の兆しが見られたのも例外ではなかった。ジェンダー・イデオロ
ギーに対する人々の認知的変化の有無やその特徴を的確に測ること、そして、変化の事実が示さ
れた場合には、それを促している要因や条件を明らかにすることが心理学の重要な課題となった。
そのためには、ジェンダーの認知について、どの部分がどう変わったのか、変化しなかった部分
はあるのか、そして、変化を生じさせた条件は何か、変化の有無に関係する基本的要因は何かな
どをつきとめる作業が喫緊とされた。このことは、ジェンダー認知のどこに着目し、どのような
測度や指標を用いるべきかについての方法的な吟味を精緻化させることを意味した。
湯川・石田(2005a)は先に、ジェンダー認知に関する内外の先行諸研究の結果を整理し、これ
に理論的な考察も加えて、以下に述べる3点を指摘した。
平成24年10月2日受理 *社会学部非常勤講師・**社会福祉法人いづみ福祉会・***名古屋外国語大学
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