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石油ビジネスについて - JXホールディングス

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石油ビジネスについて - JXホールディングス
石油ビジネスについて
石油製品の多くは、製造者ごとの差異化が困難であり、また、連産品という特徴があります。また、石油
産業は装置産業であり、コスト削減には製油所の稼働率の向上が必要です。国内石油製品需要は減少
傾向にあり、それに対応するため、原油処理能力の削減が進みました。
■ 石油精製プロセス
精製過程のイメージ
比重
ナフサ留分
ナフサ
ガソリン
調合装置
改質装置
ガソリン
灯油留分
灯油・
ジェット燃料
軽油留分
軽油
常圧蒸留
装置
(トッパー)
原油
軽
A 重油
分解
ガソリン
減圧蒸留
装置
減圧
軽油
分解
装置
重油
調合装置
分解
軽油
C 重油
常圧残油
減圧
軽油
潤滑油製造工程
潤滑油
アスファルト
重
減圧残油
国内石油製品需要の推移
(百万キロリットル)
250
200
150
100
50
0
(年度)
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
(見通し)(見通し)(見通し)(見通し)
重油
08
軽油
灯油
JXホールディングス株式会社
ジェット/ナフサ
ガソリン
出典:経済産業省・資源エネルギー庁
■ 国内製油所と原油処理能力
千バーレル/日
2008年12月末
会社名
2014年4月末
1,792
836
640
707
635
225
4,835
JXグループ
東燃ゼネラルグループ *2
出光興産(株)
昭和シェル石油グループ *3
コスモ石油(株)
その他 *4
日本合計
差
1,212 *1
708
555
588
452
218
3,733
–580
–128
–85
–119
–183
–7
–1,102
*1. 大阪国際石油精製(株)および、水島製油所、鹿島製油所の
単位:
(千バーレル
バーレル/日)
)
コンデンセートスプリッターを除く
JX日鉱日石エネルギー(株)
・
室蘭製油所
180 → 0
*2. 東燃ゼネラルグループは極東石油工業(同)を含む
*3. 昭和シェル石油グループは富士石油(株)を含む
*4. その他は南西石油(株)、太陽石油(株)、
出光興産(株)
・北海道製油所
140 → 160
帝石トッピング・プラント(株)
・
頸城製油所
5→0
帝石トッピング・プラント(株)
日本海石油(株)
・富山製油所
60 → 0
JX日鉱日石エネルギー(株)
・
仙台製油所
コスモ石油(株)
・
・堺製油所
80 → 100
東燃ゼネラル石油
石油(株)
・堺工場
JX日鉱日石エネルギー(株)
・
水島製油所
455 → 345
145
156
鹿島石油(株)
・鹿島製油所
210 → 189
大阪国際石油精製
石油精製(株)
・
大阪製油所
出光興産
興産(株)
・
徳山製油所
120 → 0
コスモ石油(株)
・千葉製油所
(115)
240
極東石油工業(同)
・千葉製油所
175 → 152
出光興産(株)
・千葉製油所
西部石油
石油(株)
・
山口製油所
220
120
富士石油(株)
・袖ヶ浦製油所
192 → 143
出光興産(株)
・
愛知製油所
160 → 175
コスモ石油(株)
・四日市製油所
175 → 112
昭和四日市石油(株)
・
四日市製油所
210 → 255
JX日鉱日石エネルギー(株)
・
大分製油所
160 → 136
東亜石油(株)
・京浜製油所
185 → 70
東燃ゼネラル石油(株)
・川崎工場
335 → 268
JX日鉱日石エネルギー(株)
・
根岸製油所
340 → 270
東燃ゼネラル石油
石油(株)
・和歌山工場
170 → 132
南西石油
石油(株)
・
西原製油所
コスモ石油(株)
・坂出製油所
140 → 0
100
太陽石油
石油(株)
・四国事業所
120 → 118
出典:経済産業省・資源エネルギー庁資料より当社加工
JX日鉱日石エネルギー(株)
・
麻里布製油所
127
CHECK
エネルギー供給構造高度化法への対応
2009 年 7 月
エネルギー供給構造
高度化法成立
エネルギー供給事業者(電気、
石油、ガス)による
①非化石エネルギー源の利用
②化石エネルギー原料の有効
な利用
を促進する
石油に関して
• 国内重質油分解装置の装備率 *(2010 年 10%)
を 2014 年 3 月までに 13% まで引き上げる
• 石油精製各社は、現状の装備率に応じた、
3 段階の改善率の達成が義務付けられた
* 重質油分解装置の装備率=重質油分解装置の能力/常圧蒸留
装置の能力
装備率向上に向けて
• 重質油装置の新設・増設、または常圧蒸留装置
(トッパー)の削減
• 設備効率の改善、および技術開発
JXの精製能力削減の成果
ステップ 1
2010 年 10 月
△ 40.0 万バーレル/日
ステップ 2
2014 年 3 月
△ 18.0 万バーレル/日
JXホールディングス株式会社
09
石油ビジネスについて
■ 石油製品の収益構造
石油製品の収益は、以下の要素によって変動します。中でも、白油(ガソリン・灯油・軽油・A重油)は販売数量が大きく、
そのマージンが収益に大きな影響を与えます。
石油精製販売事業の収益変動要因
① 数量・製品構成
④ 固定費増減
② 原油価格・製品価格・為替レート
⑤ その他
製油所で使用する燃料コスト
白油マージン
③ 需給バランス
輸出品マージン
潤滑油などのマージン
フォーミュラ品タイムラグ
在庫影響
卸売価格体系とマーケットの関係
石油製品の卸売価格は、原油価格やアジアの石油製品市況、国内の需給バランスなど、さまざまな要素を勘案して決定され
ます。
WTI
世界経済情勢
ブレント
世界需給バランス
投資マネー
アジア需給バランス
世界の燃料油需給
(新興国が牽引)
シンガポール
石油製品市況
海外
ドバイ、オマーン
石化品市場
輸出入動向(燃料油、石油化学品)
国内
小売価格
製油所稼働率
製品在庫水準
元売仕切
国内需給バランス
(内需減少)
国内石油製品(ガソリン・灯油・軽油・A 重油)マージン
(¥/リットル)
国内石油製品マージンは、原油処理能力
15
の削減が本格化した 2010 年度に大きく
2010年度
12
改善しましたが、その後、需要の構造的
平均
減少などにより、2013 年度には 2009 年
2011年度
9
平均
2009年度
2012年度
度と同水準まで落ち込みました。
平均
2013年度
平均
平均
6
3
0
2009年4月
10
JXホールディングス株式会社
2010年4月
2011年4月
2012年4月
2013年4月
2014年4月
■ 在庫影響
石油精製販売事業は、備蓄義務によりほかの産業と比べて棚卸資産の保有量が多く、また近年は原油価格・為替
レートの変動が大きいため、棚卸資産の評価によって会計上の利益が大きく変動します。
棚卸資産の評価によって発生する会計上の利益または損失を「在庫影響」と呼びます。石油精製販売事業が採用し
ている総平均法による在庫影響に、棚卸資産の簿価切り下げによる影響を加味した額を「在庫影響」としています。
総平均法・簿価切り下げによる在庫影響
・総平均法による在庫影響について
棚卸資産の評価方法の一つであり、
「期初の棚卸資産の評価額」と「期中に仕入れた棚卸資産の取得額」を平均して、
期末の棚卸資産を算定します。
期初在庫
原油価格が上昇する局面
期中仕入
売上原価
在庫影響
期中の受入単価と期初の
「割安な」在庫単価を平均
110$
売上原価を「押し下げ」
(在庫評価益)
108$
100$
70 日分
365 日分
総平均
原油価格が下落する局面
期初在庫
期中の受入単価と期初の
「割高な」在庫単価を平均
期中仕入
売上原価
110$
売上原価を「押し上げ」
(在庫評価損)
在庫影響
100$
70 日分
102$
365 日分
総平均
・簿価切り下げによる在庫影響について
(参考)JXグループの在庫影響
棚卸資産の期末時点における時価(正味売却価額)
が帳簿価額を「下回って」いる場合、評価損(在庫
(億円)
1,200
1,000
影響)が発生
800
600
400
200
0
(年度)
CHECK
2010
2011
2012
2013
各国の備蓄義務の違い
日本
義務(目標)
国家備蓄
5,000 万 kl
協会備蓄
̶
民間備蓄
70 日分
量
アメリカ
義務(目標)
4,776 万 kl*1
10 億バーレル *4
(108 日分)
̶
3,635 万 kl*1
(82 日分)
*1. 2013 年 12 月末 *2. 2011 年度 *3. 2012 年度 *4. 目標
量
フランス
義務(目標)
量
̶
̶
̶
̶
̶ 2,033 万トン *2
義務なし
̶
消費量の
28.5%
̶
1,775 万トン *2
ドイツ
義務(目標)
̶
量
̶
̶ 2,366 万トン *3
輸入量の
2,348 万トン *3
90 日分
出典:石油連盟
JXホールディングス株式会社
11
石油ビジネスについて
■ 石油化学品の製造プロセス
石油精製
石油化学
輸入ナフサ
エチレン
生産ナフサ
接触改質
ナフサ留分
石油化学用
ナフサ
分解
プロピレン
B-B 留分
ガソリン
LPG
重質 NGL
粗製軽油等
灯油
分解油
肥料用等
オフガス・
分解重油
改質生成油
軽油
残渣油
接触分解
抽出・蒸留
副生ガス
重油
芳香族
精留
■ 石油化学品の収益構造
石油化学品は、種類によって価格決定方法が異なります。JXグループが主力とするパラキシレンやベンゼンは大手
需要家との交渉によって決まります。
ナフサ
東アジア市況に影響される
ベンゼン
パラキシレン
ACP*(Asia Contract Price)
一般の
精製会社
付加価値
パラキシレン
毎月の先決方式
キシレン
パラキシレン
マージン
トルエン
エチレン
プロピレン
ナフサ市況、東アジア市況に
影響される
ナフサ
原油
* 大手メーカー ( 当社含む )、大手ユーザー間の価格交渉(個別 ・相対。
アジア需給を反映し、指標価格を決定。)
12
JXホールディングス株式会社
JXグループは原油処理からスタートしてパラキシレン
を生産しているため、パラキシレン原料供給のみの
一般の精製会社や、ナフサやキシレンを処理する一般
の化学会社と比べると、より大きな付加価値を得るこ
とができます。
一般の
化学会社
CHECK
芳香族の主な用途とJXグループのプレゼンス
パラキシレン誘導品の主な用途
ベンゼン誘導品の主な用途
パラキシレン
ベンゼン
高純度テレフタル酸
スチレンモノマー
シクロヘキサン
アルキルベンゼン
ポリスチレン
ナイロン繊維
(パンティストッキング)
合成洗剤
TV の枠
ペットボトル
フェノール
カップ麺の
容器
ポリエステル繊維
JXグループは芳香族を主力製品に据えており、うち
パラキシレンの供給能力は年間 312 万トンを誇りま
アジア地域のパラキシレン需要
(百万トン)
す。ポリエステルやペットボトルの原料となるパラキ
40
シレンは、経済成長を背景に、アジア地域で需要拡大
30
が見込まれています。
20
+6% /年
10
0
(暦年)
2010
2011
2012
2013
2014
2015
出典:当社推定
最終製品であるポリエステル需要の拡大を背景に、パラキシレンマージンは高水準で推移してきましたが、足元
では、最大需要地である中国の景気動向への不安や、アジア域内でパラキシレン製造装置の新増設が予定されてい
ることなどから、一時的に軟調に推移しています。
(単位:$/トン)
2004 年度
2005 年度
2006 年度
2007 年度
2008 年度
2009 年度
2010 年度
2011 年度
2012 年度
2013 年度
Asian Contract Price
829
903
1,103
1,119
1,020
999
1,162
1,555
1,510
1,401
対原油マージン
563
514
660
556
425
493
550
754
732
639
対ナフサマージン
416
389
511
351
309
369
388
585
583
486
平均価格
* ACP 未決の月についてはスポット価格の平均値を採用
($/トン)
2,000
1,500
パラキシレン
(ACP)
1,000
対原油
PXマージン
対ナフサ
PXマージン
500
0
(年度)
2010年4月
2011年4月
2012年4月
2013年4月
2014年4月
JXホールディングス株式会社
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