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コチラ - 一般社団法人 京都府産業廃棄物3R支援センター

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コチラ - 一般社団法人 京都府産業廃棄物3R支援センター
事例で学ぶ
産業廃棄物
3R
京都企業の実践例を紹介
一般社団法人
京都府産業廃棄物3R支援センター
は じ め に
「環境経営」
という言葉があります。
企業と地域が持続可能な発展をしていくために、環境と調和した企業経営を行うことをいいます。
キーワードは
「持続」
と
「発展」。そのための
「環境」
に配慮した経営です。
持続と発展は、京都企業の
「十八番
(おはこ)」
といえるでしょう。
京都府内には、創業から100年以上にわたる老舗企業が1700社以上存在するといいます。
長い歴史の中で、事業を取り巻く社会や経済の変化、様々な困難を乗り越え、
継続し成長を遂げてきた経験があります。
そして今、
持続・発展のために求められているのが「環境」
です。
地球温暖化、
資源の枯渇、生物多様性の衰退といった人類生存の基盤となる
地球規模での環境問題が強く意識されるようになった現在、
社会や企業経営に
「環境」
を組み込むことが求められています。
そしてそれを見据え、既に多くの企業が環境経営に乗りだし、
先進的取り組みを行うようになってきました。
ここでは、
「環境」
の対象を資源
(廃棄物対策)
に絞り、京都府内の各社がどのように廃棄物削減、
省資源化対策に取り組んでいるのか、
その実例を紹介します。
様々な企業が廃棄物の3R
(Reduce 発生抑制、Reuse 再使用、Recycle 再生利用)
を推進し成果を上げています。
この冊子では、
その中から、京都を代表するメーカーや歴史や伝統を受け継ぐ企業など
18社をピックアップし、
実際に取り組んでいる3R対策の内容、成果や課題、
更に事業者の思い等をインタビューし取りまとめました。
廃棄物3Rの取り組みは、単に廃棄物削減や処理コスト削減だけでなく、
製造工程の合理化や資源の節約、従業員意識の向上など様々な効果を生み出します。
まさに
「環境経営」
の第一歩です。
企業によってその業態や取り巻く環境は様々ですが、
きっと参考になる事例があるはずです。
本誌を3Rの取り組みの推進や企業経営の改善のためにご活用いただければ幸いです。
一般社団法人
京都府産業廃棄物3R支援センター
目 次
〈食料品・バイオ系〉
バイオ樹脂
製造業
酒類
製造業
豆腐・油揚げ
製造業
(株)白石バイオマス
「米ぬかをバイオプラへ」
バイオマスの
チカラを活かした製品開発を京都から P.2
天橋立ワイン(株)
地域との
「共生」
を目指した
環境活動への取り組み
P.3
(株)京都庵
「お金をかけずに創意工夫」
おからを用いた高付加価値飼料の開発
P.4
京丹後市
与謝野町
菓子
製造業
宮津市
醤油
製造業
福知山市
綾部市
酒類
製造業
南丹市
和菓子
製造業
京都市
酒類
製造業
亀岡市
湖池屋(株)京都工場
「ゼロエミッション」
の先を目指して
P.5
竹岡醤油(株)
老舗醤油職人とゴマ職人による
地元資源の有効活用への取り組み
P.6
宝酒造(株)
3Rに
「リフューズ」
(発生回避)
の
概念を加えた
「4R活動」
の取り組み
P.7
(株)鼓月京都工場
「もったいない」
を見える化する −
社員の意識改革の取り組み
P.8
月桂冠(株)
「米から酒へ、
酒から米へ」
循環型の酒造りを目指して
P.9
長岡京市
〈機械・金属、その他系〉
鋳物
製造業
ガラス・土石
製品製造業
(株)シオノ鋳工
成功の鍵は
「全体の最適化」
を
目指す意識改革にあり
P.10
SECカーボン(株)
処理業者とのコミュニケーションから、
よりよい廃棄物処理を目指して
P.11
日東精工(株)
工業用ファスナー等
分別辞典、
分別シートを作成し
金属製品製造業
分別廃棄を徹底
包装関連
装置等製造業
板金
加工業
電源機器
製造業
佐々木化学薬品(株)
P.12
(株)三橋製作所
アドバイザー派遣事業を活用した
ゼロエミッションへの挑戦
P.13
(株)
タナカテック
3S活動が廃棄物3Rを実現する
P.14
試薬及び化学工業薬品
使用済み化学薬品の再生を通じ環境保全に貢献する
開発・製造販売
化学薬品のエキスパート
大学
電子部品
製造業
P.17
龍谷大学
理想のエコキャンパスを目指して!
ごみ減量に取組む龍谷大学
P.18
(株)
村田製作所本社
徹底した分別による減量・
リサイクルの推進
P.19
サンエー電機(株)
あらゆる不要物を有価物に
照明用電源等のエキスパート
P.15
ミヅシマ工業(株)
京都工場
建物内外美装
製品等製造・販売業 環境配慮製品の開発と
「回収して利用」
する試み
P.16
一般社団法人
京都府産業廃棄物3R支援センターの
支援メニュー
P.20
1
株式会社白石バイオマス
バイオ樹脂
製造業
「米ぬかをバイオプラへ」
バイオマスの
チカラを活かした製品開発を京都から
白石バイオマスは、
白石名誉教授(京都大学)が開発した米ぬかや木粉等を含有したプラス
チック樹脂製造技術を基盤に、2007年に設立されたベンチャー企業です。地球温暖化対策
や未利用資源活用等から期待されているバイオマス
(生物由来の有機性資源)
による環境新
▲ バイオプラスチック樹脂製造の
「混練プラント」
素材の開発事業を展開しています。
白石バイオマスは、
知られざる米ぬかの 米ぬか ・ 木 粉 等を
チカラ
ポリプロピレン等に混入・合成したバイオ
プラ樹脂や、それらを原料としたバイオプ
ラ製品の研究開発、製造・販売を展開、混
練プラントを有しデンプン系
(米ぬか等)
と木質系(木・竹
等)の樹脂(ペレット)製造が
主力です。
米 ぬか 配 合 ポリ袋 には
▲実用販売となった
「食品保存袋」
O-157、O-111など大腸菌、
▲京丹後市の不燃ごみ収集袋にも
採用されている米ぬか配合ポリ袋
黄色ブドウ球菌に抗菌作用や
消臭効果があることが公的機
▲「米ぬか樹脂」
米ぬかの色合いを残しているが、
プラスチック樹脂そのもの
関で確認され、
この機能を活
かし京丹後市内の福祉施設や
病院等で汚物ゴミ袋として採
用されています。
また、社内試験であるが野菜保存の効果が認められ
化石資源からバイオマスへの転換は、その期待と裏腹に様々な悩み
野菜保存袋が販売されるようになりました。単なる石油製品の「代
や課題を抱えています。環境価値が高い
替品」ではない、米ぬかパワーを活かした製品開発が始まっており、
こ
からといって市場参入が容易になること
れらの機能を活かした製品開発や市場開拓にも力が注がれています。
売ルート確保など課題は山積みです。ベ
ンチャー企業としての強みと弱みを冷静
新たな命を吹き込むこと
白石バイオマスは、島根県の出雲大社で行われた「平成の大遷宮」
(H20∼25)
の際、葺き替えられ撤去された屋根の檜皮(ひわだ)
を原
料にしたお箸の作製を依頼されました。廃棄
されるべき檜皮が、同社の技術により箸とし
て新たな命を吹き込まれ、再び活躍する場を
与えられることに。役目を終えた檜皮が出雲
はありません。製品性能の向上はもちろ
ん、
コスト低減、生産や供給の安定化、販
リサイクルは
に判断し、
プラ製品製造メーカーとも連
携し、米ぬか樹脂、木粉樹脂等が持つ機
能を最大限に活かした戦略が求められま
▲行待充裕 取締役
す。
会社からの一言
・経営方針、
コンセプト
大社の歴史が込められた箸として再生されま
世界初のバイオマス製品を目標にバイオマス素材を
した。
活かした付加価値の高い環境製品の開発を目指して
▶出雲大社大遷宮の記念として
檜皮から作られた箸
白檜皮由来のバイオプラ樹脂
を原料にして製作
【会社情報】
代表取締役社長 :荻野 晴彦
設
立:2007年
所 在 地:京丹後市峰山町荒山225
電話番号:0772-62-4466
2
ひとつの芽を大切に
います。
3R支援センターより
環境に良い再生品であっても、品質等メリットがなければ市場で
勝ち抜くことはできません。米ぬかの持つ多様な機能を活かした
独自の製品開発を、今後も期待したいと思います。
取材日:2014年1月
天橋立ワイン株式会社
酒類
製造業
地域との
「共生」
を目指した
環境活動への取り組み
北部の丹後地域は、大陸との交易で栄えた歴史と海の幸があり、
「もうひとつの京都」
として、
その魅力が再認識され始めています。
天橋立ワイナリーは、
天橋立が囲む内海に面した場所に
あり、
土地の資源を活かしたワインづくりを展開。
同社では、
景観悪化や悪臭が問題となってい
た牡蠣殻の再利用や、
ぶどう搾り粕等の食品残さを再資源化する取り組みを行っています。
やっかいものの
ワインづくりで
十数年前から阿蘇海
ぶどう栽培は全国的ですが、海に
で牡蠣が大量発生
面した環境での栽培は珍しいそう
牡蠣殻を再利用
地域に貢献
し、景観悪化や悪臭
です。あえて丹後の地でワインづく
が問題となっていま
りを行う理由を伺うと、
「ワインはコ
す。堆 積した牡 蠣 殻
ミュニケーションツールのひとつ。
の除去を行っている
グローバル化した現代では、逆に
ものの、処 分に費用
地域の魅力を発信していくべき。
ワ
が掛かるという問題
インは、ボルドー産やブルゴーニュ
もあります。そのやっ
産と言うように、地 域 性がある商
かいものの牡蠣殻を ▲地域ボランティアによる牡蠣殻の清掃活動
品。地域の魅力を伝えるために丹
土壌改良剤として受
後産にこだわっています。」
と藤原 ワインづくりで地元活性化に繋げた
同社も参加し、天橋立の景観保護に協力しています
け入れようという、山﨑社長の発想で、地元行政と調整して受け入
▲専務取締役の藤原邦彦様
専務はおっしゃいます。
また同社で
いという熱意をお持ちです
れルートを確立。数年前から試験的に受け入れ、以来土壌改良材と
は、既存の農家への影響を考え、農家の方の雇用を増やす等、地元
して活用しています。現在では、年間80t近くを利用し、地域の廃棄
の方の理解を得ながら事業を進めることを大切にされています。牡
蠣殻の問題でも、行政と調整し
物削減に貢献しています。
つつ、会社としてできることに取
ぶどう搾り粕の再利用
り組むことで、地域に貢献し、成
果を出されています。
ぶどう搾り粕(マール)
は、
ワインの醸造過程で生じる副産物ですが、
◀木材や漆喰を使用した内装で
趣がある店内
このマール自体にもポリフェノール等の有効成分が多く含まれてい
るそうです。同社では、チョコやクッキーに混ぜ込み、商品化してい
ます。
また、
マールの飼料化についても検討されている様子。今後、
府内で家畜のエサとして再利用
することでマールの地域循環の
仕組みを構築し、
積極的に廃棄物
地域の農水産品に徹底的にこだわることが、
‘本物’
の商品となり、地域を語ることのできる素材となると考
の削減に取り組みたいとのこと
えています。
これらの素材を最大限に活用し、農業、工
です。
業(製造)、商業、観光、環境の各分野で真に魅力ある
◀天橋立ワイナリー
オリジナルマールクッキー
【会社情報】
代表取締役社長 :山﨑 浩孝
創
業:1991年
従 業 員:21人
所 在 地:宮津市国分123
電話番号:0772-27-2222
会社からの一言
商品づくりに取り組んでいます。
3R支援センターより
近年、
「ご当地グルメ」
といった言葉をよく耳にします。同社のよう
に、環境活動を進めることが、地元との相互理解を深め、結果、
地域との「共生」が可能となって、真に魅力のある商品ができる
のだと思います。
取材日:2015年12月
3
株式会社京都庵
豆腐・油揚げ
製造業
「お金をかけずに創意工夫」
おからを用いた高付加価値飼料の開発
豊かな自然に囲まれた福知山市に工場を構え、味付け油揚げ・和惣菜等の製造を行っている
京都庵では、油揚げの副産物である おから の有効利用について、長年検討してきました。
お
からの欠点は腐敗しやすいことにありますが、現在、醤油粕との混合による低コストで保存性
に優れたおから飼料の開発に取り組んでいます。
お金をかけずに そして「お金をかけずに創意
入江先生、京都大学大学院
工夫で有効活用」をモットー
談したところ、技術支援の快
に省エネ&廃棄物の減量・リ
諾を得て、産学連携の研究開
サイクルに取り組んできまし
発がスタートしました。
京都庵は「捨てるものは宝」
創意工夫
農学研究科の熊谷先生に相
た。そんな中、
いま工場長を中心に力を入れて取り組んでいるのが、
まずは、醤油粕の腐敗抑制
生おからの飼料化です。
効果を確認するため、含水率
おからは栄養価が高く、食品原料
や醤油粕混合比率を変えた ▲肥育試験の様子(京都大学附属牧場)
や飼料原料として有用ですが、多
10種類のブレンド飼料を用意し、腐敗の進行具合を調べる試験を
量の水分を含有するため極めて腐
行いました。最長12週間保管し、腐敗産物として生じる各種有機酸
敗しやすいという欠点があります。
の濃度や腐敗臭等を調査したところ、醤油粕に一定の腐敗抑制効
そのため、産業廃棄物として処理
果が確認されました。生おからそのものでも、醤油粕を等量以上の
されることが多く、十分に有効利 ▲油揚げ製造工程で発生する生おから
比率で混合することで腐敗はほとんど進行しませんでした。
用されているとはいえません。
もち
こうして、醤油粕の腐敗抑制効果が確認されたことから、現在、京都
ろん、乾燥させることで保存性は向上しますが、乾燥処理には多くの
大学附属牧場と愛知県知多半島にある牧場の協力のもと、肉牛の
エネルギー(=コスト)がかかるため、本来かかる廃棄物処理経費を
長期肥育試験を行っています。近い将来、生おからが醤油粕のチカ
考慮しても、飼料としての販売価格は高くなってしまいます。
ラを得て高品質飼料として生まれ変わることが期待されます。
そこで「お金をかけずに創意工夫」− 工場長は、惣菜製造を通じて
培った経験とヒガシマル醤油の技術協力のもとに、おからに塩分濃
度が高い醤油粕を混合することで、エネルギー・コストをかけずに、
保存性を高めることができないかと考えました。
醤油粕のチカラ
醤油粕は、醤油製造においてもろみを搾る工程で生じる副産物です
▲環境保全推進室 田村氏
▲梶川取締役工場長
が、
この醤油粕自体にも、
ビタミンEやイソフラボン類等が多く含ま
れ、飼料として適しています。
おからと混合することで、
おからの保存
性が向上するだけでなく、非常に栄養バランスの取れた飼料になる
のではないか − 工場長の期待は
膨らみました。
しかし、
いざ飼料の開発を行おうに
▲栄養価の高い乾燥醤油粕
我々は経費を抑えておからを再資源化し、畜産農家に
廉価で品質の良い飼料を提供します。我々はこれまで
も、京都庵はこれまで食品製造業
培った技術をもとに、食品残渣の排出者とリサイクル
一筋。
当然、畜産に関する知識や経
品の利用者がWin-Winとなる
「安心・安全・有益な飼
験はありませんでした。
そこで、畜産
料提供システム」
を確立したいと考えています。
部門の専門家・宮崎大学農学部の
【会社情報】
代表取締役社長 :松田 清克
創
業:1992年
従業員数:約100人
所 在 地:福知山市三和町下川合37-4
電話番号:0773-58-3366
4
会社からの一言
3R支援センターより
廃棄物の再資源化は大切なことですが、企業にとってそのコスト
を度外視することはできません。企業が継続的に再資源化を進
めるためには、
コストパフォーマンスの高い再生資源化方法を選
択することが求められます。
取材日:2014年11月
湖池屋株式会社京都工場
菓子
製造業
「ゼロエミッション」
の先を目指して
国産ポテトチップスを初めて世に送り出した総合スナックメーカー「湖池屋」
は、京都府のほ
ぼ中央に位置する南丹市に京都工場を構え、
この京都工場で同社の西日本の製品供給のほ
ぼすべてを担っています。
同工場では、
スナック菓子を製造する際に発生する廃棄物をより付
加価値の高い製品にリサイクルする取り組みを続けています。
取り組みの に戻り、廃棄物部門を担当したのが今か
片山工場長が東京の本社から京都工場
契機
ら10年程前の平成17年。その頃、工場
の経費削減はかなり進んでいましたが、
次のターゲットになったのが「廃棄物の
取り組みの
成果
もともとは「廃棄物の量を減らす」
という目的で開発した乾燥施設で
すが、出来上がったでんぷんは非常
に高品質で、養魚用のエサやペット
用吸着マットとして有価で買い取ら
処理費用の削減」
でした。当時は「何も知らなかった」
と話す工場長
れ、予想以上の成果が得られること
が、
まず最初に行ったことは「情報収集」でした。
とにかく、足を使っ
となりました。こういった販路の確
て様々な展示会やセミナーに参加し、先輩たち から情報をかき集
保も、片山工場長の積極的な情報
めたといいます。他の会社にお願いして、工場を訪問することもしば
収集活動の賜物といえます。
しば。生きた情報を得るには、足を使うこと、そして人との出会いを
大切にすることとおっしゃいました。
◀でんぷんから作られた養魚のエサ。
主に養殖ウナギ用に販売
リサイクルの
内容
取り組みの
片山工場長が目を着けたのが、芋のスライス工程で発生する
「でんぷ
意識の芽生え
ん」
でした。排水処理のやっかいものであり、当時は排水から分離し
この 成功体験 を機に、工場の従業員にもリサイクルの意識が芽生
て「捨てるしかなかった」
というでんぷん。捨てるしかないのであれ
え、社内の勉強会等も積極的に行われるようになりました。従業員か
ば、
「せめて量を減らして処理費用を削減しよう」
ということで、乾燥
ら
「この廃棄物もこうしたら売れるのでは」
といった意見が出るように
による減量化を考えました。取りあえず・・・ということで他社の食品
なり、
リサイクル率は右肩上がりに。汚泥は培養土に、芋皮・芋片は
工場を見学した際に実際に使用されていたおから用乾燥施設の製
乾燥処理後に養豚用の飼料に、
造メーカーに連絡しました。
しかし、
「おからとでんぷんとでは性状・
さらに包装プラスチック等は固
性質が異なるため転用は不
形燃料原料に再生利用されてい
可能」
との返事。
ます。現在では、工場の製造ライ
それでは、
とメーカーに試料
ンから排出される廃棄物はほぼ
を送り、メーカーと共同でで
全量リサイクルされています。
んぷん用乾燥施設の開発に
取りかかりました。試行錯誤
の上完成したでんぷん用乾
▲リサイクルされる前の芋皮。乾燥処理に
より飼料に生まれ変わる
会社からの一言
燥 施 設は、当時 全 国 的にも
∼ より高品位なリサイクルをめざして ∼
非常に珍しい施設だったそ
今はリサイクル業者に委託することで高いリサイクル
うです。
率を達成していますが、
これからは自家処理による処
▶試行錯誤のうえ開発された
でんぷんの乾燥装置
【会社情報】
代表取締役社長 :小池 孝
設
立:1958年
所 在 地:南丹市園部町千妻マカリ
1-1(京都工場)
電話番号:0771-63-0375(京都工場)
理費用の削減やより付加価値の高い製品としての再
生を目指していきたいと考えています。
3R支援センターより
「リサイクルできれば出口は何でもOK」
というのは昔の話で、
これからはより高品位な製品に再生することが求められてい
るといえます。
取材日:2014年5月
5
竹岡醤油株式会社
醤油
製造業
老舗醤油職人とゴマ職人による
地元資源の有効活用への取り組み
明治3年創業の竹岡醤油(亀岡市)
では、地元京丹波産の原材料や沖縄県産の海塩を使用し
た純国産の本格醸造醤油の製造・販売を行っています。同社では、現在は地元のゴマ油メー
カーから発生するゴマの搾り粕を用いた新商品の開発プロジェクトに取り組んでいます。
産学連携
竹 岡 醤 油の5 代目
り、美味しい醤油が出来上がります。山田製油のゴマの搾り粕は、
こ
竹岡忠晃社長が、
の大豆の代替として十分な量のタンパク質が含まれていたのです。
いま新たな醤 油 原
また、竹岡社長には別の狙いもありました。それは、
ゴマに含まれる
料として注目してい
共同研究のスタート るのが
「ゴマの搾り
ゴマリグナンや有用脂肪酸等の健康機能成分でした。健康志向が高
粕」
です。
コンビを組むのは、亀岡市の北に位置する南丹市胡麻とい
る−竹岡社長はそう考えました。
まる昨今、美味しく、かつ身体にいいゴマ醤油が出来れば勝算はあ
身体に優しい
う地で、代々ゴマ油の製造を行っている山田製油。山田製油の最大
のタンパク質やうま味成分が残っ
美味しく、
醤油の開発を目指して
のこだわりは
「一番搾り」
で、通常は同じゴマを使って2、3度搾るとこ
ろを一番搾りだけ使用することにより、
すっきりとした雑味のない味
わいを得ることができるといいます。3代目の山田康一社長は、多く
ていると考えられる一番搾り後の
まずは、京都学園大学の実験室に山田製油のゴマの搾り粕と竹岡
ゴマの搾り粕について、有効活用
醤油の麹菌を持ち込み、小麦、大豆、
ゴマの搾り粕の配合比を変え
の方法を探っていました。そして、
た数種類の試料を作製し、約6ヶ月間の熟成試験を行いました。熟
地元の京都学園大学バイオ環境
成後の各醤油のグルタミン酸濃度を測定したところ、大豆のみの試
学部に相談したところ、醤油の原
料では6.2g/ℓ、大豆とゴマの搾り粕を等量混ぜ合わせた試料では
料にできる可能性があると、同大
6.4g/ℓとほぼ同量のグルタミン酸が含まれることが確認できまし
学で臨時講師として教壇に立って ▲多くのタンパク質や旨味成分を
た。竹岡社長の自信は確信へ変わりました。
タンパク質を含む
ゴマの搾り粕
以下と、健康機能成分の抽出には課
いた竹岡社長を紹介されました。
含む山田製油のゴマの搾り粕
豊富な
試しに、京都学園大学で山田製油のゴマ及びその搾り粕のタンパク
一方で、搾り粕に含まれるセサミンのうち醤油に抽出できたのは1%
題を残していました。現在、竹岡社長
は京都学園大学のアドバイスを受け
ながら、健康機能成分の発現という
大きな課題に挑戦しています。未来
の商品化に向け、職人たちの挑戦は
これからも続きます。
質の含有量を調べたところ、乾燥ゴマには約20%、搾り粕には約
2 9%のタンパク質が含ま
れていることが分かりまし
醤油は日本人の味とも言える大切な調味料であり、醤
た。醤油の主原料は大豆、
油作りは地元に根付いた産業でしたが、残念ながら
小麦、
そして塩。大豆のたん
ぱく質が分解してできるア
ミノ酸の旨味に、小麦のデ
ンプン質が分解してできる
▲熟成中のもろみ
途中で成分分析や味の確認を行う
アルコール分の風味が加わ
【会社情報】
代表取締役社長 :竹岡 忠晃
創
業:1870年
所 在 地:亀岡市本梅町東加舎磐ノ上9番地
電話番号:0771-26-3007
6
会社からの一言
▲取材に応じていただいた
竹岡忠晃社長
昨今は衰退の一途を辿っています。
それぞれの事業者
が伝統を守りつつ、地域に根付いた資源を有効活用
し新しい事へチャレンジしていくこと、
これが地域産業
の活性化をもたらすと考えています。
3R支援センターより
現在、
ゴマの搾り粕の多くは肥料として再生利用されています
が、今回のプロジェクトは、
より付加価値の高い機能性食品への
再生利用を目指す取り組みです。
この研究開発は、京都府の補
助 金「 京 都 府 産 業 廃 棄 物 発 生 抑 制 等 促 進 事 業 費 補 助 金 」
(P20参照)
を受けて実施されており、京都の「産」、
「 学」、
「 公」
が連携した事業として、
その成果が期待されています。
取材日:2014年11月
宝酒造株式会社
酒類
製造業
3Rに
「リフューズ」
(発生回避)
の
概念を加えた
「4R活動」
の取り組み
宝酒造では、空容器の問題への対応を自然環境保護と並ぶ環境活動の2本柱と位置付け、長
年にわたり容器の4R活動に取り組んできました。4Rというのは3Rにリフューズ
(Refuse:発
生回避)
を加えたもので、
リフューズの取り組みとして
「焼酎のはかり売り」
というビジネスモ
デルを確立しました。宝酒造は、容器の4R活動が評価され、平成26年度3R推進功労者等表
彰で内閣総理大臣賞を受賞しました。
環境活動を実践する上での
ポイント
「環境活動を実践する上で、
できる
頼関係をベースに、
お互いが協働することで成り立っています」
と中
尾環境課長は語ってくれました。
現在、宝酒造の焼酎のはかり売りを行っている販売店は、全国159
だけ早く取り組むこと、そして継続
店舗(平成26年9月現在)。1998年の開始以来「継続して取り組
して取り組むことが大切だと考え
む」
ことで、
これまでに約752万本のペットボトル(2.7ℓペットボト
ています」
と中尾環境課長は取り組みのコツを話してくださいました。
「できるだけ早く取り組む」事例として、宝酒造は1989年に日本で
初めて缶飲料の飲み口にステイオンタブ(SOT)
を採用しました。当
時、
アメリカではすでにSOTが普及していましたが、
日本ではまだ飲
み口から外れるタブが主
流で、タブのポイ捨てや
動物のタブの飲み込み被
害が問題となっていまし
親子で学べる
「エコの学校」の開催
宝酒造では、環境教育の取り
組みとして、
ごみを減らす方法
た。宝 酒 造ではいち早く
について親子で学べる「エコ
SOTを採用することで、
の学 校 」を開 催しています。
ポイ捨て対策に努めまし
「エコの学校」では、実際の酒
パックを使った紙すきによる
た。
▲1989年、宝酒造が日本で初めて
ステイオンタブを採用した
ル)
と約188万枚の段ボールの節約に繋がったといいます。
はかり売りを
スタート
焼酎の
絵はがきの作成を体験するこ
とができます。
「 次世代を担う
▲「エコの学校」紙すき体験の様子
子どもたちに、ごみの問題に
ついて楽しく学んでいただき
宝酒造では1998年から焼酎の中
たい」
と中尾環境課長は語っ
身だけを販売するというビジネス
て下さいました。
モデルを確立しています。はかり売り専用タンクを開発し、工場で焼
酎を詰めて販売店に直送。顧客はペットボトル等の空容器を販売店
に持参し、販売店で必要な
分だけ詰めて購 入すると
▶取材に応じていただいた
中尾環境課長
会社からの一言
いう仕 組 みです 。顧 客 に
とっては、容器のごみが発
環境活動全般について言えることですが、継続して長
生しないほか、欲しい量だ
く続けることが何より大切と考えています。
たとえどん
け購入できるというメリッ
なに小さな活動であっても地道に続けていくことで大
トがあります。
「はかり売り
きな成果に繋がることをひしひしと感じています。環境
は、資源の節約のために人
手を使う販 売 方 法 。消 費
者、販売店、メーカーの信
活動にゴールはありません。
これからも粘り強く取り組
▲3R推進功労者等表彰で内閣総理大臣賞を
受賞
【会社情報】
代表取締役社長 :柿本 敏男
創
業:1842年
従業員数:1,309人
所 在 地:京都市下京区四条通烏丸東入
んで行きたいと思います。
3R支援センターより
昨今3Rの取り組みは企業に広く浸透してきましたが、最近で
は、宝酒造のように3Rにリフューズという概念を加えた「4R」活
動に取り組む企業も増えてきています。発生そのものを回避する
というリフューズの考え方は、廃棄物問題の根本的かつ最良の
長刀鉾町20(四条烏丸FTスクエア) 解決方法といえるでしょう。
電話番号:075-241-5111
取材日:2015年1月
7
株式会社鼓月京都工場
和菓子
製造業
「もったいない」
を見える化する −
社員の意識改革の取り組み
伝統の京菓子文化を大切に守りながらも、京菓子業界に新風を吹き込む革新的な商品を産
み出す
「京菓子處 鼓月」
では、京都府産業廃棄物発生抑制等促進事業費補助金を活用して
真空乾燥装置を設置し、食品残さなどを家畜用飼料として再生利用する取り組みを行ってい
ます。
「自社でリサイクル」
という選択
理業者に引き取られ、焼却処分されていました。
しかし、今では、返品
された賞味期限切れ商品を袋から取り出す作業を全社員が交代で
行うことで、社員全員の「もったいない」意識の向上につながるよう
鼓月では、以前は返品商品や製造残さを
になったといいます。
焼却処分していました。
しかし、
とある食
また、
この取り組みを始めてから、
ごみの分別等、社員の自発的な環
品関連会社が廃食品から真空乾燥施設を用いて良質な乾燥飼料を
境活動を積極的に行うようになったそうです。工場に併設されたリサ
製造している情報を入手し、
「自社でも同じようなことができないか」
イクルルームは、今や社員の環境意識や商品への思いの
「シンボル」
という検討を始めました。そして、平成22年に京都府産業廃棄物発
となり、廃棄物削減効果以上のメリットをもたらしているようです。
生抑制等促進事業費補助金を活用し、真空乾燥施設の導入に踏み
切りました。普段から新しい環境対応技術や他社の取り組みといっ
た情報にアンテナを広げておくことが重要なのかも知れません。
真空乾燥施設に投入され
「地産地消」
を
理され、翌 朝には豚用の
最初は神奈川県の養豚
目指して 製造した飼料原料は、
業者へ販売していましたが、最近は地産地消
飼料となり、養豚場に出荷
を目的に、京丹波町の岸本畜産と新たに販売契約を結びました。
「京
た残さ等は、一 晩 乾 燥 処
されていきます。真空にす
都ぽーく」、
「 京丹波ぽーく」
を生産している岸本畜産は、
もちもち感
ることで、低温で乾燥する
の肉質と脂の甘みを追及
ことができ、成分変化が少
し、エサに対して強いこ
だわりを持たれています
ない良質な飼料を作るこ
とができるそうです。
▲京都府産業廃棄物発生抑制等促進事業費補
助金を活用して設置した真空乾燥装置
「もったいない」
を
見える化する
が 、そ ん な こ だ わ り を
持ったプロの養豚業者か
らも、鼓月の乾燥飼料は
評価を受けています。
真空乾燥施設へ投入さ
味 期 限 切れ商 品といい
ます。
この賞味期限切れ
商品の開封作業は、全部
署・全社員で実施されて
います。
▲返品商品の開封作業は全社員で行う
8
▲養豚業者からも高い評価を受ける乾燥飼料
れる残さの約 半 分が 賞
会社からの一言
真空乾燥施設の設置は、目に見えない多くのメリット
をもたらしてくれました。ただし、
「 乾燥飼料を作るこ
これまでは返品された製
と」が本来の目的ではなく、重要なのは製造ロスや返
品を目にするのは特定の
品を削減することであり、
いつの日かこのリサイクル装
部 署の一 部の社員のみ
置を止めること、
それが本当のゴールだと考えています。
で、すぐに産業廃棄物処
【会社情報】
代表取締役社長 :中西 英貴
設 立:1945年
従業員数:434人
所 在 地:京都市伏見区横大路下三栖
東ノ口11-1
電話番号:075-623-1651
3R支援センターより
鼓月では、京都府の補助金「京都府産業廃棄物発生抑制等促
進事業費補助金」
(P20参照)
を活用し、自社でリサイクルする
道を選択しました。社員全員で取り組むことで自社の廃棄物を
「見える化」
し、できるだけ廃棄物を出さないという意識が生ま
れ、
コスト面だけではない効果が得られたようです。
取材日:2014年1月
月桂冠株式会社
酒類
製造業
「米から酒へ、酒から米へ」
循環型の酒造りを目指して
京都市南部に位置する伏見は、兵庫県の灘と並ぶ日本の酒どころです。
その地で1637年(寛
永14年)
から酒造りを続けてきた月桂冠は
「米から酒へ・酒から米へ」
の循環型の酒造りを実
践する等、ゼロエミッションの優等生 としても注目を集めています。現在では再資源化率
99%以上を達成し、2012年には、京都府環境保全功労者表彰を、2014年には地球温暖化
防止活動環境大臣表彰を受賞しました。
一升の酒に
は有機質肥料として再生利用しています。
なお、
この肥料は、JA東び
わこ・稲枝地区(滋賀県彦根市)の田んぼの土作りに使われ、育った
八升の水がいる
また、製品充填工程
稲から再び酒作りを行っています。
で出てくる廃プラス
そういわれる酒造り。伏見が、質の高
チック類についても、
い伏流水が豊富な地であったことが、
固形燃料として再生
日本を代表する酒どころとなった大き
利用しています。
な要因と言われています。一方で、排
水の量も相当なものになります。月桂
冠では、排水処理設備により毎日約
▶「米から酒へ、
酒から米へ」
循環型の酒造り
800トンの排水を浄化処理しており、
これまで年間約300トンの余剰活性
汚泥が発生していました。一般には余
剰活性汚泥は産業廃棄物として焼却
され、最終的には処分場に埋め立てら
れますが、
月桂冠ではこの余剰活性汚
泥を排水処理施設場内で脱水処理
▲汚泥を有効活用したJA京都中央
の堆肥
し、堆肥として全量を再資源化してきました。
さらに、2014年秋から
は余剰活性汚泥を発生しない新しい排水処理施設を導入しました。
2度美味しい!?
多くて・軽い
エコカップ
月桂冠では、2010年に、容器メーカーと共同して、ガラスカップの
肉厚を大幅に薄くした
「エコカップ」
を開発。
この「エコカップ」は、重
米から酒へ、
量を従来品の155グラムから26グラム減量、17%の軽量化を実現
しました。なお、軽量化によるコスト削減分はお酒を10ミリリットル
酒から米へ
増やして、
お客様に還元しています。
お客様にはたくさん飲んでいた
だき、環境にも優しい。一石二鳥の製品といえるでしょう。
酒造りにおいては、副生成物として大量の酒粕が発生します。その
多くは食品用の原料として販売していますが、一部の酒粕にはでん
ぷんの含有量が
少なく、植物の生
育に有効な上質
▲琵琶湖岸道路沿いのPR看板
【会社情報】
代表取締役社長 :大倉 治彦
創
業:1637年
従業員数:486人
所 在 地:京都市伏見区南浜町247番地
電話番号:075-623-2001
会社からの一言
当社は品質第一を基本理念のひとつに掲げ、高品質
の製品をお客様にお届けすることを心がけております
なタンパク質(窒
が、品質だけではなく、環境面としての3Rにも力を入
素 成 分 )が 豊 富
れ、廃棄物の削減やリサイクルに取り組んでおります。
に 含 まれること
今後も一層3Rを推進して行きたいと思います。
に着目し、現在で
3R支援センターより
日本酒は“SAKE”の愛称で世界的ブームとなっていますが、
月
桂冠は海外進出のパイオニア的存在と言われ、海外でも大変
高い評価を得ています。
月桂冠が「酒造り」
だけでなく
「地球環境
の保全」
を使命とし、循環型社会に向けた環境への取り組みを
地道に続けてこられたことが、地元地域に愛され、海外でも高い
評価を受け続ける理由の一つではないでしょうか。
取材日:2013年10月
9
株式会社シオノ鋳工
鋳物
製造業
成功の鍵は
「全体の最適化」
を目指す意識改革にあり
京都府北部の与謝野町で江戸時代天保年間から鋳物製造を行っているシオノ鋳工では、社
を挙げて
「不良率の低減」
に取り組んでいます。不良率の低減は廃棄物削減の第一歩です。
シ
▲手作業の工程が多い砂型鋳造
ノオノ鋳工では、週1回の全社員によるミーティングで、不良品の発生原因の究明や再発防
止策について意見を出し合い、
自分のパートだけでなく
「全体の最適化」
を考えるように社員
の意識改革を徹底し、不良率の低減を目指しています。
「不良率の低減」
を 全体ミーティングが
目指して と呼ばれる約1,500℃の金属を砂で作った型
社員の意識を変える
ようとう
シオノ鋳工で行っている
「砂型鋳造」
では、溶湯
に流し込みます。不良品は原料として溶融炉に戻して再生利用しま
吉野工場長が始めたのが週1回のミーティング。全社員で不良品を
すが、金属の溶融には相当のエネルギーが使われるため、不良品の
囲み、発生原因の究明や再発防止策について意見を出し合いまし
再溶融は、エネルギーの使
た。吉野工場長は
「従業員の意識を変えることが一番の狙いでした。
用量の増加につながってし
それぞれの担当者が『自分の職域が問題なければいいや』
という考
まいます。また、万一、不良
えを持っているうちは改善されません」
と語ります。
品が世に出てしまうと会社
初めはあまり意見が出ず、
また意見が出ても個人のミスを非難する
の信頼問題にもなります。
ようなものが多かったといいます。
しかし取り組みを続けるうちに、
そこでシオノ鋳工では、平
次第に一人一人が当事者意識を持って自分の頭で原因・対策を考
成 1 9 年 頃から「 不良率の
えるようになりました。不良品の直接の原因となった工程の手前で
低減」を目指して対策を進 ▲約1,500℃の金属(溶湯)を砂型に流し込む
作業
めてきました。
少しでもミスを減らす手助けができないか、自分のパートで何がで
きるかを各担当者
が考え、
「全体の最
キーワードは
適化」
を図るよう意
「全体の最適化」
砂型鋳造において、最も難しく、不良品の発生原因となりやすい工
識が変わってきた
といいます。
そして、
取り組みを始めた
頃3.7%だった不
良率は、4年後には
程が上側の砂型と下側の砂型を組み合せる「型合わせ」。
「 型合わ
1.5%まで低減さ
せ」
も含め、製造工程はいくつかのパートに分けられており、各工程
れました。
の多くは職人による手作業で行われます。
このように各パートの担
当が明確になると、不良品が
発生した際の原因は一個人に
追求されがちです。
塩野社長は、
「これらの課題は
個々人の問題ではなく、製造
過程の問題であると捉え、全
体の最適化 を目指すことが重
要なんです」
と工程全体の最
▲不良品が発生しやすい
「型合わせ」
の工程
適化の重要性を強調します。
【会社情報】
代表取締役社長 :塩野 浩士
創
業:1830年
従業員数:20人
所 在 地:与謝野町字金屋1917-1
電話番号:0772-42-6288
10
▲週1回のミーティング後の様子
不良品の発生原因の究明や再発防止策について意見を
出し合う
会社からの一言
ミスを憎んで人を憎まず − この取り組みは社員のス
キルアップだけではなく、人間性の向上にも繋がって
いるんです。不良率は1%を切るところまでは必ずいけ
ると思っています。
これからも目標を高く持ってがん
ばっていきます。
3R支援センターより
各担当者がそれぞれの担当箇所の熟練度を上げることも大切
ですが、広い視野で工程を見渡し、全体の最適化という観点で
改善点を見つけること、
この繰り返しがシオノ鋳工の不良率の
低減に繋がったようです。
取材日:2014年8月
SECカーボン株式会社
ガラス・土石
製品製造業
処理業者とのコミュニケーションから、
よりよい廃棄物処理を目指して
福知山市の長田野工業団地で炭素製品の製造を行っているSECカーボンでは、創業以来、
一貫して炭素の世界を追求し、人造黒鉛電極等の製品は海外でも高い評価を受けています。
SECカーボンは廃棄物処理業者とのコミュニケーションを大切にしながら、廃棄物の削減
等、環境負荷の低減に取り組んでいます。
良い処理業者とは
炭素製品の製造過程で
生じる廃棄物
SECカーボンで製造する炭素製品は、
いずれもその原料はコークス
3500
(炭素)
とそれを繋ぎ合わせるためのバインダーピッチのみと、
いたっ
3000
てシンプルです。その工程は、
まず原料となるコークスを粉砕して粒
2500
度を調整し、バインダーピッチと混合した後に成形機にかけ、焼成や
2000
黒鉛化(超高温熱処理)
を経て、各種製品に加工されていきます。製
1500
造過程で発生する主な産業廃棄物は、黒鉛化炉の母材から発生する
1000
廃レンガブロックや床面等を清掃した際に回収される清掃粉等です。
500
廃棄物処理業者は大切な
パートナー
0
さらに、黒鉛化炉の
■廃棄物発生量とリサイクル率の推移
4000
98.3% 98.3% 98.0% 98.5% 98.8% 99.0%
100%
80%
60%
59.9%
40%
20%
19.3%
8.0%
0%
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
0%
母材から発生する
廃レンガブ ロック
は、平成16年頃に
処理業者に働きか
け、路盤材原料とし
て再 生 利用するよ
うになりました。こ
の処理業者とは日
頃からコミュニケー
ションを取り、より
良い廃棄物処理を行うためのアドバイスをもらっているといいます。
最近では、
「 廃レンガブロックに付着しているカーボンを除去すれ
ば、有価で売れる可能性がある」
との助言があり、社内で対応可能か
京都工場で回収される清掃粉は、かつてはセメント会社で原燃料と
検討しているそうです。
して利用されていました。ある日、
「 原燃料になる、つまり 燃える と
「今の処理業者は、頻繁に工場を訪ねて来られます。例えば、私が
いうことは炭素量が多いのでは?」
と思い、試しに分析にかけてみた
『工場からこんな廃棄物が出たが大丈夫だろうか』
とメールで写真を
ところ、期待どおり相当量の炭素量が含まれていることが分かりまし
送ると、
すぐに現場・現物を確認に来られ、適正な処理方法を提案し
た。そこで、
いつも処理を委託している産廃処理業者を通じて、関係
ていただけます。
良い処理業者からは
業者に加炭材*として利用できないか、相談してみました。業者から
必ず提案がある。餅は餅屋といいま
は
「ぜひともテストしてみたい」
との回答があり、早速試料を送りテス
すが、
やはり処理業者は廃棄物処理・
トを重ねました。その結果、工場の屋内で回収した清掃粉について
リサイクルのプロですから。
こういっ
は、安定した高濃度の炭素量が確保でき、加炭材として利用できる
たことの積み重ねが信頼に繋がって
目処が立ちました。京都工場では、
これまで屋内とそれ以外の清掃
いきます」中村係長は処理業者との ▲尾上グループリーダー(左)
関係についてそう語ってくれました。 中村係長(右)
粉はまとめて回収していましたが、
これを
別回収することで、屋内の清掃粉につい
会社からの一言
ては有価で買い取ってくれることになっ
たのです。一手間増えますが、
これまで産
業廃棄物として処理していたものを、一
値段が安いからといって安易に飛びつくようなことは
部有価で売却することが可能となり、処
せず、安心して処理を任せられる業者かどうか、
しっか
理コストは大幅に低減したといいます。
*
鋳鉄や鋼の溶解の際に炭素量を増加させるため
に添加する炭素物質のこと。
▲ 加炭材として再生利用され
るようになった清掃粉
【会社情報】
代表取締役社長 :大谷 民明
創
業:1934年
従業員数:約300人
所 在 地:福知山市長田野町3丁目26番地
電話番号:0773-27-2411
りと見極めることが大切だと考えます。
3R支援センターより
単に安いからと、安易に処理を委託することは、不法投棄等のト
ラブルに巻き込まれる可能性もあります。処理料金の安さだけで
選定せず、
その処理業者が信頼に値するか、慎重に見極める必
要があるといえます。
取材日:2014年11月
11
日東精工株式会社
工業用ファスナー等
金属製品製造業
分別辞典、分別シートを作成し
分別廃棄を徹底
500人を超える従業員が働く日東精工では、製造工程等から発生する多種多様な廃棄物に
ついて
「分別辞典」、
「分別シート」
を作成し、
「分別保証書」
の義務付け等により、従業員全員
に廃棄物の分別を徹底させる工夫をしています。
工業用ねじ
綾部市に本社を置く日
を交えた
「分別シート」
を掲示して
東精工は工業用ねじの
従業員が容易に分別できるように
大手メーカーです。
その
工夫しています。さらに排出する
主力製品を製造するのがファ
の大手メーカー スナー
事 業 部 、ファスナーと
廃棄物に自己責任を意識づけする
ために職場や責任者を記載した
「分別保証書」を廃棄物袋に添付
言っても洋服に使われているファスナーとは違い「ねじ」や「リベット」の
ことです。
自動車、
カメラ、携帯電話、
ゲーム機、医療、住宅を始め幅広
▲洗浄液浄化システム
い分野で使われるねじです。
製造は、
線材
(鉄、アルミ、ステンレス等)
か
生産技術部
らねじの形を作り、洗浄、
熱処理、
めっき、
検査工程を経て包装出荷され
ます。
こうした工程から廃金属、廃アルカリ、汚泥等を始め様々な廃棄
日東精工では、廃
棄 物 管 理を生 産
削減するかは、企業が大きくなれ
が廃棄物管理を統括 ています。これに
ばなるほど組織的で綿密な対策
より廃棄物削減対策に係る装置を設計・製造の段階から具体的に
が必要となってきます。
そこで同社
検討できるとのことです。例えばねじの洗浄行程では、使用された洗
が採った戦略が「分別辞典」、
「分
浄液は再利用されますが、何回も使うと浮上油が蓄積します。従来
物が発生します。
それをどうやって
▲ねじの生産本数では世界トップクラス
することを義務づけています。
別シート」、
「分別保証書」。
ここに
は不要な上澄み分をすくって除去し
廃棄物削減や分別を徹底するた
ていましたが、廃棄ロスが多く除去も
めの知恵が盛り込まれています。
「分別辞典」、
「分別シート」、
「分別保証書」
技 術 部 が 統 括し
不十分でした。そこでこれを改善する
ため洗浄液浄化システムの改良に着
手した結果、上澄み分(浮上油)
と沈
殿物(SS分)
を効果的に除去すること ▲ 生産技術部生産技術課の
上柿班長(右)
と村上氏(左)
に成功しました。
「分別辞典」は廃棄物の種類ごとに分別先と分別方法を記載したも
のです。同社では実に470種類にも廃棄物を分類して詳細な辞典を
作成。例えば機器であれば「コードは40cmの長さに切断」等詳細に
記載し分別場所に配置しています。
この辞典、従業員の意見やアン
ケートを基に改善、改訂を重ねています。
また分別保管場所には絵
に話を伺った
会社からの一言
弊社の環境基本方針は、企業活動を展開する上にお
いて環境保全を最重点とし、地域環境を守り、社会と
調和して豊かな社会の実現に貢献することを目的とし
ます。全従業員に環境カードを配布、各人の環境保全
に対する目標を記入して常に携帯し、各職場には環境
方針を掲示して周知徹底を図っております。今後も
「景気の波に左右された結果廃棄物量が減った」
では
▲廃棄物袋に添付する
分別保証書
なく、
このような施策を執った結果、排出量が減ったと
いう取り組みを進んで行って参りたいと思います。
▲ずらっと分別シートが貼られた分別保管場所
【会社情報】
代表取締役社長 :材木 正己
設
立:1938年
従業員数:571人(単独)、1,427人(連結)
平成26年12月31日現在
12
所 在 地:綾部市市井倉町梅ヶ畑20番地
電話番号:0773-42-3111
3R支援センターより
大企業は廃棄物の種類も多く詳細な
「廃棄物辞典」等の作成や
組織体制の構築が不可欠です。分別保管の重要性は大企業も
中小企業も何ら変わりません。従業員全員が責任を持って参加
しやすいよう
「分別シート」
「 分別保証書」
といった手法はどの企
業でも参考となることでしょう。
取材日:2014年11月
株式会社三橋製作所
包装関連
装置等製造業
アドバイザー派遣事業を活用した
ゼロエミッションへの挑戦
三橋製作所は、京都市右京区に本社兼工場を構え、包装関連装置とコンバーティング関連
機器を中核事業としています。同社では、平成22年から3R支援センターのゼロエミッション
アドバイザー派遣事業を活用し、
ゼロエミッションへの挑戦を続けてきました。
「廃棄物とは
何か?」
からスタートし、2年後には廃棄物発生量を6割削減することに成功しました。
まずは分別
保管方法、廃棄方法などをまとめた「廃棄
物投入手順書」を作成し、全従業員に周知
分ければ資源・混ぜればゴミ
「何ともったいない。
これはやりがいがあるな」初めてアドバイザーが
三橋製作所を訪れたとき、廃棄物置場にアルミなどの金属類が他の
ごみと混ざって置かれている状況を見て、
そう感じたそうです。
担当アドバイザーは、
まず「廃棄物とは何か?」
といった基本的なと
ころから丁寧に説明することにしました。
まずは法的な理解をきちん
と持ってもらい、
そこから分
▲ 現場でのアドバイスの様子
しました。
▶廃棄物置場にある
流入量記録表
有価物化
への取り組み
次に、担当アドバイザーは、得
られたデータを分析し
「有価物
化への取組」についてアドバイ
スしました。特に、古紙の排出
量の多さに着目し、
「 段ボール
別の重要性を社員全員に
/雑紙(雑誌・カタログ類を含む)/新聞紙/コピー紙/シュレッ
認識してもらうことが重要
ダー」
の5種類に分類し、有価リサイクルの可能性を探るようアドバイ
だと考えたのです。
「まずは
スし、併せて再生事業者の情報も提供しました。
この助言により、最終
分別。分ければ資源・混ぜ
的に全ての種類の古紙について、有価でリサイクル業者に引き渡せる
ればゴミ」これを理解して
ようになりました。同時に、金属類や廃プリント基板などの回収先の
もらうところからスタートし
見直しにより有価引き渡しの範囲が広がったことで、廃棄物排出量
は大幅に削減され始めまし
ました。
社員一丸で取り組む
た。
この頃から、
社内で廃棄物
減量化のための様々な提案
がなされるようになってきた
そうです。
こうして、2年間の
担当アドバイザーの助言を受け、三橋製作所では本社兼工場の事
取組を通し、廃棄物排出量の
業所を
「職種」
と
「場所」により4つのエリアに分け、
ゴミの種類を細
6割削減に成功しました。
かく把握することから始めました。
この作業を通して
「区分けの種類
や保管の仕方、その区画の大きさは適切か、回収の依頼先や頻度は
適切か」
これまで何年も当たり前にやってきたことを見直すようにな
りました。
こうして得られた
▲古紙の分別保管場所
会社からの一言
大きな課題であった廃棄物の問題については、
ゼロエ
調査結果をもとに、廃棄物
ミッションアドバイザーが頼もしい助っ人となりました。
を15種類に分類し、エリア
実態調査・分別・リサイクル化・処理費削減へと段階
ごとの一次保管場所と、業
者に引き渡す二次保管場
的に進めることを教わりました。
「人財」
に限りのある
所を設置して、2段階で集
中小企業では外部力の活用が不可欠で、
それを支援
積しました。
また、それぞれ
してもらえる事業は大変ありがたいと痛感しています。
の保管場所における分別・ ▲工場内に設置された一次保管場所
【会社情報】
代表取締役社長 :三橋 宏
創
業:1944年
従業員数:100人
所 在 地:京都市右京区山ノ内赤山町1
電話番号:075-316-3284
3R支援センターより
三橋製作所の成果は、
もちろん担当者の熱意なしには語れませ
んが、少なからずアシスト役としてのアドバイザーの効果もあっ
たのではないかと思います。
“廃棄物とは?”からでも結構です。
ぜひ一度、
ゼロエミッションアドバイザー派遣事業(P21参照)
を
ご活用ください。
取材日:2013年7月
13
株式会社タナカテック
板金
加工業
3S活動が廃棄物3Rを実現する
大型板金加工、薄物の板金加工を中心に事業を展開しているタナカテックでは、3S活動(整
理・整頓・清掃)
の継続を通じて、流通・在庫管理の合理化、廃棄物の削減によるコストダウン
に取り組んでいます。3S活動が、会社の財産である人材育成に繋がり、そして廃棄物の3R
(Reduce発生抑制、Reuse再使用、Recycle再生利用)
の推進にも繋がっていると信じて、
活動を行っています。
3S活動は
人づくり
改善活動のきっかけは、今か
でどのような改善を行ったかを紹介してい
ら30年程前に参加した勉強
ます。
この新聞では、指摘事項だけでなく、
会。
「これからの成熟社会に
優秀な取り組みも紹介し、従業員の意欲
おけるモノづくり」
と題された
向上にも役立っているといいます。
講演会に参加した田中社長
さらに、仕事の進捗状況や在庫管理を見
は、ものづくりを支える人材育成の大
える化する
「TMS(タナカテック・マネジメ
切さを学び、
「このままではいけない」
と
ント・システム)」
では、
ムダをなくした合
危機感を持ったそうです。
理的な受注生産計画を可能とし、急な
「他社の取り組みをまねることから始
▲使いやすいように
整理整頓された工具置場
▲「誰いつ新聞」
の一例
発注や納期の問い合わせに対して瞬時
まった」
というタナカテックの3S活動。
地
に的確な判断ができるようになったとい
味で地道な取り組みに、最初は職人さ
います。受け身の生産体制ではなく、攻
んの反発も強かったと田中社長は振り
返ります。
自分の技術にプライドを持つ職人たち。
「なぜ自分が床掃除
めの営業を可能にした改善活動といえ ▲TMSの一例、作業の進捗状況
るでしょう。
を見える化する
「受注負荷計画
ボード」
をしないといけないのか。
こんなことをしに来たのではない」
と会社を
離れた職人もいたそうです。
そのような状況で、社長は自らが先頭に
立って改善活動に取り組み、
自らの行動により、時間をかけて社員の
3S活動の先にある 思いで始まった3S活動
3 0 年 前に社 長の強い
は会社の財産である人材の育成に
廃棄物3R
繋がり、会社の根本を作っているの
体制の改善をもたらしました。
さらに、生産体制の改善は、生産ロスの
です。あれだけ反発していた職人た
低減や歩留まりの向上にも繋がり、
この1年間だけをみても廃棄物の
意識改革に取り組んだといいます。
「3S活動は 人づくり です。3S活動
ちが、今では率先して改善提案をし
▲整理整頓が行き届いた明るく
ています」
当時を振り返りながら、田 クリーンな工場内の様子
従業員自らが作成した標語を掲示
中社長はそう語ってくれました。
は、今では従業員全体
に浸透し、流通・在庫管
理の合理化など、生産
処理コストは3割削減されたそうです。3S活動を徹底することが、3R
で最も重要なReduce(発生抑制)
に繋
がりました。
廃棄物の発生抑制を行う上で生産活動
徹底した
「見える化」
による
改善活動
タナカテックの工場内には、至
の合理化は大切なポイントですが、
その
ためには従業員一人ひとりの日頃の3S活
動の実践が求められるといえるでしょう。
るところに
「見える化」
の工夫が
されています。例えば、休憩室
に掲示された
「コストランキング」
では、
ある
▲梱包資材の単価を見える
化した
「コストランキング」
14
▲取材に応じていただいた田中
と営業部藤枝さん
(右)
社長(左)
会社からの一言
資材のコストをランキング形式で紹介し、
よ
継続して続けることは簡単なことではありません。
でも、
り低コストの資材購入を呼びかけています。
その簡単ではない3S活動の継続が社員と会社を強く
また、
「 誰いつ新聞」
では、環境活動担当者
し、
その先に廃棄物の削減があったと思っています。
の3Sに関する指摘事項に対して、各部署
【会社情報】
代表取締役社長 :田中 稔
創
業:1940年
従業員数:30人
所 在 地:京都市南区吉祥院
池の内町47番地
電話番号:075-681-8741
3R支援センターより
3S活動は、生産活動の合理化や廃棄物コストの削減の第一歩
と言えるでしょう。
しかし、単発的な改善活動では、大きな効果は
期待できません。
タナカテックでは、
「 継続した3S活動が社員と
会社を強くする」
という社長の強い信念、そして率先して取り組
む姿勢が社員の意識を変え、継続的な改善活動を可能にしたと
いえるでしょう。
取材日:2015年1月
サンエー電機株式会社
電源機器
製造業
あらゆる不要物を有価物に
照明用電源等のエキスパート
今ではもうすっかり私たちの生活の中に溶け込んできたLED照明ですが、
そんなLED照明に
高効率で高品質の電源を供給するために欠かせないのが定電流電源装置です。
サンエー電機では、LED照明の安定した調光に欠かせない定電流電源装置を始め、医療用
電源、
ランプ点灯用電源、高圧電源など様々な分野の電源の開発・製造を行っています。
細かな分別が
同社で開発・製造し
有価物化に
▲ LED電源は昨年100万台を突破した
ている電 源 装 置は、
プリント基 板にコン
調べ、よく聞く
よく
デンサー、半導体、抵
なぜ廃棄物を有価物に変
抗、
トランスなどの部
えることができたか。総務
品を装着し、LED照明用電
部の奥係長は、処理業者
源では防水、防塵等のため
や同 業 者によく聞くこと
に樹脂を充填し密閉化し、
が大事、処理現場を見学
点検の上出荷されます。そ
したり、様々な情 報を積
の過程の中で排出されるの
極的に収集することによ
が、銅線や鉄、アルミなどの
り、有価物化が実現でき
金 属くず、廃プラや充 填用
たと言います。処 理 業 者
樹脂などの不要となった廃
等との緊密なパートナー
棄物です。
シップの賜物ともいえる
これらの廃棄物、以前は一
でしょう。
「とにかく業者によく相談すること、現地を見て確認するこ
▲ お話しを伺った奧係長
括して処理していたといい
とが大切です」
と奥係長。現在では、従業員にも廃棄物を有価物にす
ます。それを分別し有価物
る取り組みが定着、従業員の方から廃棄するものを持って来て、
「こ
に変えようと取組に着手し
れ、売れる?」
と聞きに来るようになったとのことです。
たのが6年前。銅線や鉄やア
ルミなどの金属くずを分別
▲ 製造工程の中で排出される銅線の端材
して有料化する、銅線等が
巻かれたプラスチック製の
ボビンは販売し再使用する、LED電源用の充填樹脂も残さをRPF
(固形燃料)原料に、紙類も分別し買い取ってもらうなど、
あらゆる分
野で分別し有価物に変
従業員自らが
創意工夫
情報収集と共に大事なのが社内での取り組み。廃棄物の分別は従
業員の協力なしにはできません。廃棄するときに従業員一人ひとり
がきちんと分別しなければ、
せっかくの分別・有価物化も絵に描いた
える取組を行ってきまし
餅です。
その為に大事なのが、上に立つ人間の率先実行。
「上の人間
た。
これにより不要物の
が率先することにより、若手も自主的に実施するようになる」
と牧野
殆どが有価で売却するこ
社長。従業員が自ら考え創意工夫しながら実施する好循環が生まれ
とができ、現在、廃棄物と
るといいます。
また
「3S委員会」
を設置、整理・整頓・清掃にも力を入
して処分しているのは弁
れているとのこと。工場内の清掃活動を社員全員で行い、倉庫物品
当ガラなど一部の廃プラ
の整理・整頓の取り組みを進めてきました。
そういった作業を従業員
などに限られるようにな
が自主的に実施する中で、
自分たちで作業環境も改善する積極性が
りました。
生まれてきたといいます。
そういった積極性が、廃棄物を分別し有価
▶ 牧野稔代表取締役にも
お話しを伺った
【会社情報】
代表取締役社長 :牧野 稔
設
立:1971年
従 業 員:100名
所 在 地:京都市南区久世殿城町295
電話番号:075-933-2411
物に変える取り組みにも、大きく貢献したのでしょう。
3R支援センターより
混ぜてしまえば廃棄物であっても、分別を徹底すれば有価にな
る・・・しかし用途に応じて適切に分けなければそれも実現しませ
ん。
その為にはよく調べ、処理業者など関係者によく聞くこと、
そ
して従業員全員が積極的に参加できる体制を作ること、同社に
はその二つの重要性を教えていただきました。
取材日:2015年12月
15
ミヅシマ工業株式会社京都工場
建物内外美装
製品等製造・販売業
環境配慮製品の開発と
「回収して利用」
する試み
京都市南区久世のミヅシマ工業京都工場では、
ベンチ、ビル入口のマット、ゴミ箱、清掃用具
など建物内外の美装用品を製造しています。今その製品に求められるのが環境への配慮。
同
社では再生材を原料とした樹脂マットや環境配慮製品の供給に力を入れています。
グリーン購入の広がり 再生材を利用する
ごみ発生の少ない製品、省エネ性能の高い機器、再生材料を用いた
製品など環境に配慮された商品を選ぶことを「グリーン購入」と言い
ます。
グリーン購入法が制定(H12)
され、国が率先して環境配慮製
メーカーだから分かる、その難しさ
「正直言って、
ものによってはバージン材の方が安くて質が良いもの
が作れるんです」
と率直に語ります。
「 再生品はゴミが原料だから安
品を調達するようになっ
てから、京都府や京都市
いだろう」
は大きな間違い。洗浄・分別・粉砕等手間もコストもかかり
等市町村、CSRを重視す
ます。バージン材の方が
る企業等広く民間でも、
実際は楽。しかし様々な
環境に優しい物品の調達
矛盾や課題を抱えつつこ
れを推進していこうとす
が 広がってきています。
「今では環境配慮製品の
るのは、天然資源の消費
購入が当たり前の時代に
を減らし資源が循環する
なってきました」
と村田工
社会を作ろうという大き
場長は語ります。
な潮 流と、それに応えよ ▲Clicマット(アルミベースに樹脂繊維を組み合わ
▲ リサイクルベンチ
「回収して利用」
する
うとする強い意志がある
からでしょう。
せたもの)
は、
ニードルパンチ部(フェルト状にし
た不織布)を交換する
(洗浄し再利用)。
これは
新品より安価で需要がある
また同社は「回収して利用」するという姿勢を打ち出しています。具
体的には建物の玄関などに置かれる「塩ビマット」を回収・再生する
試み。塩ビは分別さえ行われれば再生し易いもの。現に農業用塩ビ
フィルムはリサイクルルートが確立しています。同社は塩ビマットに
ついて再生の体制を整えました。
しかし実施には多くの課題も。回収
や洗浄・粉砕に要するコスト、顧客の関心、業界全体への広がり
等々。幾多の壁があり
先駆者だから経験す
る困難があります。今
後この野心的な試み
が実を結ぶことを期
待したいと思います。
▲生産部長兼工場長村田取締役(左)
生産部開発課髙濱主任(右)
▲営業部業務課村上課長(左)
営業部営業課冨長役員補佐兼課長(右)
会社からの一言
創業以来、
ミヅシマは、
「キレイな環境づくりのパイオ
ニア」
をモットーとしてものづくりをしてきました。今後
は、
より3Rに特化した製品を提供するとともに循環シ
ステムの構築を進めていきたいと考えています。
◀玄関マット
【会社情報】
代表取締役社長 :水島 正廣
創
業:1936年
所 在 地:京都市南区久世築山町
380-2(京都工場)
電話番号:075-934-6661(代)
(京都工場)
16
3R支援センターより
再生品の市場が拡大するにつれ原材料の「良い再生材」の確保
が難しくなってきているとのこと。原料の確保、
リサイクルルート
の確立、購入者の意識改革など克服すべき課題が多いのです
が、
それだけに今後が期待される分野ではないかと感じました。
取材日:2014年12月
佐々木化学薬品株式会社
試薬及び化学工業薬品
開発・製造販売
使用済み化学薬品の再生を通じ
環境保全に貢献する化学薬品のエキスパート
金属の持つ性質や機能、精度や信頼性、耐久性等を向上させるため、金属製品には化学薬品
による様々な表面処理が行われています。例えば金属に光沢を付与したり表面を滑らかにす
るための化学研磨液、金属表面のサビや皮膜を除去するための酸化皮膜除去剤、汚れを取る
ための洗浄剤、
メッキを剥がすための剥離剤等々。佐々木化学薬品は、
そんなニーズに対応す
るための表面処理用化学薬品を提供しています。
化学薬品は
少ない方が良い?
「化学薬品って、少な
い方がいいんです」
と
佐々木社長は開口一
番おっしゃいます。
自
社製品が少ない方が
使用済み薬品を
そして使用済
再資源化する
み薬品の再資
源化の取り組
み 。顧 客に販
売した化学薬
良いって一体・・・・と思っていると、­表面処理は生産プロセスの一つ
品は使用後廃棄されますが、処理コストがかかる上、廃液は環境に
に過ぎない、製造上せざるを得ないけれど企業にとっては少ない量で
負荷を与えるリスクもあります。
このコストとリスクを低減するため、
効果的な表面処理ができるに越したことはない­ と説明してくれまし
同社は使用済み薬品の再生技術を開発しました。表面処理薬品の
た。
その裏には、化学薬品は危険なもの、使用後の処理もきちんと行
廃液には金属等の不純物が溶け込んでおり、
それを分離し金属を回
わないと環境汚染の元になってしまうという認識があるのでしょう。
安全性の向上と
環境負荷低減は必須
収すると共に廃液を再度化学薬品として蘇らせる技術です。
自社の使用済み薬品を再生する技術を開発する・・・この考え方は
「拡大生産者責任 *EPR」
に基づいているとも言えます。生産者が製
品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負
うというこの考え方は、環境に配慮した持続可能な社会をつくって
いく上で今後益々生産者に求められていくものでしょう。
(*EPR:Extended Producer Responsibility)
お客様の立場になって考えればそういうことになる。
そこで同社が目
指しているのが、顧客に満足していただける「品質」の向上と
「コス
ト」の低減。
ここで品質とは、化学薬品の性能や機能は当然、薬品の
「安全性」
や
「環境対策」
を向上させることも意味しています。取扱い
が難しい危険な物質、環境に負荷を与える物質はできるだけ使わな
い、更に使用済みの薬品を再資源化して新たな製品に再生するとい
う取り組みが、現在同社で積極的に行われています。
その取り組みの一つとしてステンレス鋼用溶接焼除去剤の
「エスピュ
▲ サビ取り剤「S-800」
による処理前後
アSJジェル」。一般に使用される硝フッ酸などの毒劇物を含まない溶
接除去剤を
会社からの一言
開 発し、扱
いやすく作
環境問題は私たちの生活面ではもちろん、企業活動の
業の安全性
面からも避けて通ることのできない重要な問題です。
が向上し廃
廃棄処理に頼ってきた使用済み商品を、再資源化する
液処理も容
ことで新たな製品に再生するリサイクル技術を確立し、
易なものと
しました。
これまでお客様や社会に多大な負担をお願いしてきた
▲ 右から佐々木智一 代表取締役、
止原正博 研究開発部環境事業課 責任者、
高田慎一 研究開発部主任研究員
【会社情報】
代表取締役社長 :佐々木 智一
創
業:1946年
従 業 員:79人(2015年4月現在)
所 在 地:京都市山科区勧修寺西北出町10
電話番号:075-581-9141(代)
使用済み商品の処理やその手間を軽減していきます。
3R支援センターより
自社製品の廃棄処理まで目を配る・・・昔の言い方をすれば近江
商人の「三方よし」、現代風にいえば「拡大生産者責任」
というこ
とでしょうか。環境配慮の取り組みが企業の本業に組み込むこ
とが必要な時代になってきています。
取材日:2015年6月
17
龍谷大学
大学
理想のエコキャンパスを目指して!
ごみ減量に取組む龍谷大学
龍谷大学は、約2万人が集い学ぶ総合大学。2011年に
「エコキャンパス実現に向けた基本方
針」
を策定し、環境にやさしいキャンパスづくりを開始。約1万2千人が学ぶ深草キャンパスで
は、学生たちが中心となり取り組んだ「ごみ減量ワークショップ」の提案を取り入れた分別
BOXを設置して廃棄物の減量に取り組んでいます。
ワークショップで
学生の意見
ワークショップの提
案は、現 在キャンパ
ごみ組成の調査
が生んだ分別BOX
ワークショップで
す。分別数は、
これまでの
「燃えるゴミ、
ビン・缶、ペットボトル」
の3分
は学生自身が汗を
別を5分別(燃えるゴミ、
ビン・缶、ペットボトル、
プラスチック、再生
ス内各所に設置され
ている分別ボックス
に 活 かされていま
流し、まず、
ごみの
可能な紙類)に。分別表示もイラスト等を使い分かりやすく工夫さ
組 成を調 査 。なん
れ、一部の分別ボックスには透明タイプを採用。更に、館内の据付分
と8 5 %が 再 資 源
別ボックスの上に天板を設け、手荷物を置いて分別できるような工
化可能であること
夫もされています。
また、分別ボックスの数は「ごみ箱の数だけごみ
が判 明 。その内訳
が出る」
という意見もあったことから、必要最小限にとどめ、発生抑
の 代 表 的 なもの
制を推進。各所の分別ボックスの大きさや投入口の形など細かな工
は、紙 類が3 0%、 ▲ ワークショップ実施の様子
夫については、実際に清掃し、実態を把握している清掃業者の意見
厨芥類が24%、
プ 文字の大きさやイラストに工夫が凝らされている
を採用するなど、学内を挙げて取り組んだ結果が随所に光っていま
ラスチック類が21%でした。
この結果の中から、実施可能で効果が出
す。
ワークショップ
やすい課題に対して学生たちが提案し、約2週間、3班に分かれて試
から分別BOXの導
行的な取組を行いました。具体的な分別表示や啓発活動が大きな効
入まで学生を支え
果を生み、結果、2週間で
た、管理課の原山
▲ 屋外の分別BOXのイラスト表示
合計約115kgの分別排
さんは、
「まだまだ
出に成 功しました。一 方
やることは、たくさ
で、課題として「授業プリ
んあります。試行錯
ントが多い」
「キャップやラ
誤しながら進んで
ベルがついたままのペット
いきます」
と力強く
ボトルが多い」、
「レジ袋に
語ってくれました。 ▲ 左から管理課原山氏、井崎君、政策学部北川教授
入ったまま分別されてい
ないごみが目立つ」
などが
挙げられました。
大学からの一言
∼環境にやさしいキャンパス(エコキャンパス)実現にむけて∼
社会との共生を大学活動の理念に掲げ、教育、研究活
◀「和顔館」
ベンチ型分別BOX
ベンチとごみ箱が一体となっ
てデザインされたもので、建
物に調和しながら、
さりげな
く分別を後押しし、学生生活
の中に溶け込んでいます
【大学情報】
創
設:1639(寛永16)年
学 生 数:約2万人
(うち、深草キャンパス約1万2千人)
所 在 地:京都市伏見区深草塚本町67
電話番号:075-645-7877(管理課)
18
動を行ってきた本学にとって、社会的要請となっている
環境問題への取り組みは重要なテーマであると認識し
ています。
これからもエコキャンパス実現に向け、全て
の大学構成員が一丸となって積極的に取り組みます。
3R支援センターより
約1万2千人の学生たちに分別の意識を持たせることは大変根
気がいる作業。だれでも間違い無く分別ができるようにするに
は、学生目線の意見とそれを丁寧に反映させる大学運営者の努
力が必要です。本格的分別活動が始まった龍谷大学深草キャン
パス。今後も学生の斬新な意見を取り入れた廃棄物対策がど
のような効果をもたらすのか楽しみです。
取材日:2015年9月
株式会社村田製作所本社
電子部品
製造業
徹底した分別による減量・リサイクルの推進
2014年に創業70年を迎えた電子部品の製造販売メーカー村田製作所本社(長岡京市)
で
は、徹底した分別による廃棄物の削減に取り組んでいます。
また、定期的に廃棄物の処理の
委託先にも赴むく等、処理業者とのコミュニケーションを大切にし、安心確実に廃棄物を処
理すべく廃棄物管理体制の強化に取り組んでいます。
ゼロエミッションの の場 所に本 社を移 転
村 田 製 作 所では現 在
達成
する前の2000年頃から、資源の有効活用のた
PEフィルム、
PPバンド
(梱包ひ
も)、発泡スチロール等、それぞ
れに分別ボックスを設けました。
め、廃棄物のゼロエミッションへの取り組みを
「基本は分けることです」
と西村
本格的に開始しました。当時、ゼロエミッション
マネージャーは言います。当た
達成に向けて課題とされていたのがセラミック系廃棄物。生産工程
り前のことですが、
しかしそれを
の見直しによる発生抑制や分別細分化を進める一方、複数の処理
徹底するのは大変なこと。本社
業者に相談し、セラミック系廃棄物のリサイクル方法の提案を求め
の従業員は約1,500名。全員に
ました。最終的に、セメントや路盤材の原料としてリサイクルする方
分別意識を浸透させることは、 ▲電気コードのプラグとコードを切断する
法・ルートを開拓。
その結果、2004年3月末時点でゼロエミッション
大変根気のいる仕事です。廃棄
を達成しました。
また、2006年以降は、
これまで熱利用していた一
物処理を所管する環境推進課では、各ボックスに分別シートを表示
部の廃棄物について、全量マテリアルリサイクルに切り替えることに
する等、だれでも間違いなく分別ができるようきめ細かな対応を続
成功しました。
けてきました。
こうした努力が実を結び、今では総排出量の多くを有
価売却できているそうです。
■ 国内オールムラタにおけるリサイクル率の推移
100.0% 100.0%
100%
90%
ゼロエミッション達成
70%
53.4%
廃棄物処理業者は3Rを進める上で大切なパートナー。処理業者の
50%
40%
30%
39.9%
38.3%
33.1% 33.3%
27.3% 25.6%
持つ情報量や技術力を見極め選定するとともに、定期的に現地確認
31.7%
を行い、最新のリサイクル情報等を入手しているとのこと。廃棄物処
20%
10%
0%
連携
処理業者との
84.9%
80%
60%
工具(コードは有価売却)
理・リサイクルのプロである処
94年度 95年度 96年度 97年度 98年度 99年度 00年度 01年度 02年度 03年度 04年度
理業者とは、積極的にコミュニ
社員教育
ケーションを図り、良好なパー
分別と
トナーシップを築くことが3Rを
推進する上で重要となります。
本社(一部開発研究機能を持つ)から排出される廃棄物は、廃プラ
◀環境推進課の
西村シニアマネージャーから
お話を伺う
スチック、金属くず、紙類など。
どれもきちんと分別すれば売却できる
ものばかりでした。
そこで、次に取り組んだのは、徹底した分別による
有価売却の促進でした。例えば、金属くずは、銅、銅線、
アルミ、被覆
線 、ステンレス等に分けて回
会社からの一言
収ボックスを設置し、
より価値
ある物として売却できるように
従業員一人ひとりの分別意識がとても重要。
しました。
また、廃プラスチック
いかに従業員の意識を高めるか、
これによって分別の
の排出量の多くを占めていた
プラスチック系緩衝梱包材も、 ▲ 回収ボックスには分別シートを表示
【会社情報】
代表取締役社長 :村田 恒夫
設
立:1950年
従業員数:7,348人
所 在 地:長岡京市東神足1-10-1
電話番号:075-951-9111(代)
精度は大きく変わってきます。
3R支援センターより
村田製作所の廃棄物保管場所は、非常に整理整頓されており、
隅々まで清潔に保たれていました。
廃棄物ではなく、素材・原料という
「売り物」
としてしっかり管理す
る姿勢が感じられました。
取材日:2014年10月
19
一般社団法人京都府産業廃棄物
3R支援センターの
支援メニュー
廃棄物ゼロエミッションに取り組む企業を応援します!
廃棄物ゼロエミッション
期待できるメリット
4
メリット
従業員の
活動の継続的実施
Support
環境意識向上
メリット
3
作業工程改善
2
メリット
廃棄物
処理コスト削減
メリット
1
廃棄物削減
京都商工会議所・京都府中小企業団体中央会・(一社)長田野工業センター
(公社)京都工業会・(公社)京都府産業廃棄物協会・NPO法人 KES環境機構
京都府・京都市
京都府産業廃棄物発生抑制等促進事業費補助金
産業廃棄物の3R(発生抑制・再使用・再生利用)を推進し、環境負荷の少ない循環型社会の構築を促進するため、産
業廃棄物の発生抑制等の促進に係る①研究・技術開発等及び②リサイクル施設等整備に要する経費の一部を助成し
ています。
事業名
対象事業
① 研究・技術開発等分野
産業廃棄物の 3Rその他適正な処理の促進に係る研究、
業
の
京都府内に事業所を有する事業者及び事業所を設置しようとする事業者
事業者が大学等研究機関と
実施形態
共同で行う事業
補
助 率
補助対象経費の2/3以内
助
成
額
補助事業
の
期
間
選考方法
産業廃棄物のリサイクル施設等を設置する事業
技術開発又は産業廃棄物を使った商品開発を行う事業
応募資格
事
② リサイクル施設等整備分野
事業者が単独で行う事業、
事業者が単独で行う事業
又は大学等研究機関以外の
他事業者と共同で行う事業
補助対象経費の1/2以内
1件当たり総額
50万円
事業年度から3年度以内
補助対象経費の1/4以内
以上
1,000万円以内
事業年度から2年度以内
(複数年の場合、進展状況の評価により継続が望ましいと判断されるものに限り2 年度以降の補助金交付を決定。)
外部有識者等による審査会での審査を経て決定
(年度により内容が異なることがありますので、 詳細は下記問合せ先にお問合せください。
)
問合せ先
20
一般社団法人
京都府産業廃棄物3R支援センター
〒615-0801 京都市右京区西京極豆田町2番地
TEL 075-322-0530
FAX 075-322-0529
京都府環境部
循環型社会推進課
〒602-8570 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
TEL 075-414-4714
FAX 075-414-4710
ゼロエミアドバイザー派遣事業
NPO法人KES環境機構と連携し、府内企業の産業廃棄物3R対策、環境マネジメントに係る相談に対し、専門知識
を有するアドバイザーを派遣しゼロエミッションの取組を支援します。
アドバイス事 例
よくある相談 内容
●廃棄物をもっと減らしたい
●廃棄物を資源化したい
●処分・リサイクル業者の情報提供
●廃棄物の有価物化の提案
●処理方法が適切か確認して欲しい
●原材料の調達、製品出荷時での廃棄物
の排出抑制や有効活用の促進
●リサイクル業者の情報が欲しい
●製造工程で発生する廃棄物の3Rの促進
●廃棄物削減に向けて
具体的な対策がたてられていない
●廃棄物を出さない製品設計・製造の促進
●原材料・資材等の歩留まりの改善
●減量・リサイクルを向上させるため
社内の減量化計画を見直したい
●従業員の環境意識を向上させたい
ゼロエミアドバイスの様子
アドバイス料は無料。また訪問企業の情報について
「守秘義務」を厳守 します。
アドバイザー受付・訪問支援の流れ
京都府内の
排出事業者
申込み
特定非営利活動法人KES環境機構
TEL:075(321)4767FAX:075(322)6901
E-ma i l:[email protected]
又は
工業団地等
アドバイザースキルアップ研修
一般社団法人京都府産業廃棄物3R支援センター
企業訪問・アドバイス
(KES環境機構より派遣)
TEL:075(322)0530FAX:075(322)0529
E-ma il:[email protected]
人材育成事業・情報提供事業
専門家派遣の様子
研修会の様子
専門家派遣
冊子・ ニュースレター発行
企業の皆さまの御依頼に応じて、
社内研修や業界団体講習会などに
講師を派遣します!!
講師は、廃棄物や環境マネジメン
ト、法律の専門家など。効果的な
研修となるよう、この「専門家派
遣」を御活用ください。
講師派遣費用は無料です。
センターにて無料配布中!!
当センターのホームページからもダウンロードできます。
詳しくはコチラから → http://www.kyoto-3rbiz.org
セミナー開催
廃棄物の適正処理から3Rの推進
まで、専門の講師が分かりやすく、
ためになる講演を行います。毎年
行っている、この公開セミナー(無
料)にご参加ください。
セミナー会場の様子
ゼロエミッションアドバイザーは、企業の環境
マネジメントや廃棄物処理について、豊富な経
験と知識を持った専門家集団です。毎年、ゼロ
エミの研修会を受講
し、廃棄物処理・リ
サイクルや法令解釈
などのスキルアップ
を行っています。
左から
京都府・京都市産廃中間処理業者一覧
排出事業者のための3Rのポイント
排出事業者のための処理委託のポイント
事例で学ぶ産業廃棄物「3R」
ニュースレター(季刊誌)
3Rに取り組む企業の実態やリサイクル
業者の情報など、企業に役立つ情報を
発信しています。
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一般社団法人京都府産業廃棄物3R支援センターは
産業廃棄物の3R(リデュース・リユース・リサイクル)
を推進していくため、京都府内の産業界、
処理業界、大学等の研究機関、各種団体、行政機関に賛同いただき、京都府の産業廃棄物税を
財源として設立されました。
本センターは、産業廃棄物の3Rに取り組んでおられる企業の皆さんを応援するため、様々な支援
メニューを用意しています。廃棄物ゼロエミッションの取り組みは、廃棄物の減量にとどまらず、
コスト削減など企業経営の合理化にも繋がるものです。
本センターが産業廃棄物の3Rを支援する拠点として広く皆様に活用され、今後の循環型社会を
支える新たな産業システムの創出、持続可能な社会の構築に貢献できることを願っています。
事例で学ぶ産業廃棄物「3R」京都企業の実践例を紹介
2015年3月初版発行 2016年3月第2版発行
京都工業会館2F
中ノ橋
五条
(茶色のタイルの4階建)
公園
P
大門町
五条通
西大路通
阪
極
至大 西京
阪急
葛野大路通
発 行:一般社団法人京都府産業廃棄物3R支援センター
住 所:〒615-0801 京都市右京区西京極豆田町2番地
京都工業会館内2階
T E L:075-322-0530
F A X:075-322-0529
E - mail: [email protected]
U R L: http://www.kyoto-3rbiz.org/
宮
条大
至四
株式会社たけびし
花屋町通
ノア・インドアステージ
西大路
京都西
花屋町
七条通
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