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Bridge Report メドピア(6095)
ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
Bridge Report
石見 陽 社長
http://www.bridge-salon.jp/
メドピア(6095)
会社名
メドピア株式会社
証券コード
6095
市場
東証マザーズ
業種
サービス業
社長
石見 陽
所在地
東京都渋谷区恵比寿 4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー
事業内容
医療現場における医師発の生の情報を共有する医師向けソーシャルサー
ビス「MedPeer」を運営。徹底してユーザーである医師の視点に立つポジシ
ョニングが大きな特徴・強み。
決算月
9 月末日
HP
https://medpeer.co.jp/
- 株式情報 -
株価
発行済株式数
1,724 円
DPS(予)
時価総額
8,411,000 株
配当利回り(予)
0.00 円
EPS(予)
-
ROE(実)
14,500 百万円
PER(予)
19.95 円
売買単位
24.4%
BPS(実)
86.4 倍
100 株
PBR(実)
125.62 円
13.7 倍
*株価は 5/25 終値。発行済株式数は直近期決算短信の期末発行済株式数。ROE、BPSは前期末実績。
- 業績推移 -
決算期
(単位:百万円、円)
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
EPS
DPS
2010 年 9 月(実)
74
-74
-74
-75
-70.41
0.00
2011 年 9 月(実)
138
-83
-84
-85
-58.25
0.00
2012 年 9 月(実)
324
22
22
22
15.10
0.00
2013 年 9 月(実)
574
89
88
113
15.49
0.00
2014 年 9 月(実)
958
264
245
150
19.83
0.00
2015 年 9 月(予)
1,450
300
300
167
19.95
0.00
*(予)は会社側予想。2014 年 3 月 2 日付で 1:100、2014 年 10 月 1 日付で 1:5 の株式分割を実施。13 年 9 月期の EPS は分割を考慮。
メドピア株式会社の 2015 年 9 月期第 2 四半期決算概要などについてご紹介致します。
―目次―
1.会社概要
2.2015 年 9 月期第 2 四半期決算概要
3.2015 年 9 月期業績見通し
4.中期成長イメージ
5.今後の注目点
1
ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
http://www.bridge-salon.jp/
今回のポイント
・医療現場における医師発の生の情報を共有する医師向けソーシャルサービス「MedPeer」を運営。医師の集合知を形成
することで医師同士が支え合う大きな力を生み出し、患者への治療の質をより一層向上させることを目指している。徹底し
てユーザーである医師の視点に立つポジショニングが大きな特徴・強み。2015 年 3 月末の医師会員数は約 7.7 万人。
・15/9 期 2Q の売上高は前年同期比 28.7%増加の 5 億 82 百万円。サービス強化により医師会員数、投稿数共に増加し
媒体価値が更に向上したため、売上は順調に拡大した。人件費増(79 百万円)、広告宣伝費増(20 百万円)、経費増(58
百万円)など、積極的な先行投資を進めたため、営業利益は同 19.6%減少した。
・通期業績予想に変更は無い。予想売上高は前期比 51.3%増の 14 億 50 百万円を見込む。広告掲載薬剤数の増加、会
員数増に伴う単価向上のほか、上期に発生した契約タイミングのずれを下期に解消することに加え、新商品の開発を通じ
た売上の積み上げを目指している。業容拡大のための人員拡充(約 20 名増加。うち 9 名は入社済又は入社予定)と、新規
事業に対する投資本格化により営業費用は増加するが増収効果で吸収し、営業利益は同 13.3%増の 3 億円の予想。
・医師・医療関係者向け専門情報サイト「MT Pro」との連携により「MedPeer」の医師会員数は 10 万人を超える見込みとい
う事で、事業拡大のスピードは一段ギアが上がることになろう。同業 2 社に比べ同社は、事業規模は最も小さいものの、
PER、PBR の株価評価においては他社を大きく上回っている。その要因はいくつかあるだろうが、「徹底してユーザーであ
る医師の視点に立つポジショニング」という同社の大きな特徴・強みが、今後の事業展開の上で大きなアドバンテージとな
ると投資家が期待している事もあるだろう。既存事業の拡大とともに、新たな収益機会となる「独自の医療システムサービ
ス」がどのようなものなのか、その概要が大いに注目される。
1.会社概要
医療現場における医師発の生の情報を共有する医師向けソーシャルサービス「MedPeer」を運営。
医師の集合知(※)を形成することで医師同士が支え合う大きな力を生み出し、患者への治療の質をより一層向上さ
せることを目指している。顧客は主として製薬企業であるが、徹底してユーザーである医師の視点に立つポジショニ
ングが大きな特徴・強み。2015 年 3 月末の医師会員数は約 7.7 万人。
※集合知:多数の知見を蓄積し、分析・体系化することで生成される情報のこと。
【沿革】
通常、医師は自らの専門領域に関しては容易に多くの情報を収集することが出来る一方、一旦専門領域外の事とな
ると質・量ともにその水準は大きく低下するのが現状だ。
最初に自らの専門領域に来院した患者が複数の疾患を併発していることも多く、担当医は自分の専門領域外の知
識もある程度は習得する必要があるが、時間的な制約等から限りがある。また、併発している専門領域外の疾患の
症状によっては専門医の診察を仰ぐ必要があるが、それがどの程度の症状から依頼すべきかの判断も難しい。
こうした医師の現状を見てきた石見社長は、多くの医師の知識や経験が集積された場があれば医師にとって非常に
有用で、患者のメリットにも繋がると考え、石見社長自らがその可能性の大きさを感じていたインターネット上で、同
社 2 番目の事業として情報共有のナレッジマネジメントツールであるWebサイト「MedPeer」の運用を 2007 年に開始
した。
同サイトの中心メニューである「薬剤評価掲示板」に対する製薬企業の関心は高いものの、低評価を書き込まれる可
能性のある掲示板に広告を出稿することには二の足を踏むケースが多く、十分な顧客化にはしばらくは苦労した。だ
が、多くの医師の意見の集約が製薬企業にとって重要なマーケティング情報になるというメリットなどを粘り強く啓発
し続けた中で、2011 年 9 月、世界的な大手製薬企業の日本法人であるファイザー株式会社との業務提携を締結。こ
れを契機に事業は順調に拡大していった。
その後、石見社長は、Vision と利益の双方を追及する企業としての仕組みやシステムを構築して永続的に発展させ
るためにはIPOが必要であるとの想いに至り上場を準備。2014 年 6 月、東証マザーズ市場に上場した。
2
ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
2004 年
12 月
2005 年
3月
2007 年
2009 年
8月
3月
5月
10 月
2010 年
4月
5月
2011 年
3月
6月
8月
6月
7月
9月
11 月
12 月
2月
2012 年
2014 年
2015 年
http://www.bridge-salon.jp/
インターネットを利用した医師向けの情報提供サービスを主たる事業目的として、東京都港区赤坂に
株式会社メディカル・オブリージュ(現メドピア株式会社)を設立
人材紹介会社への転職希望医師の一括登録サービス「医局@人事」を開設し、医師求人情報サービ
スを開始
基盤事業である医師専用サイト「Next Doctors(現 MedPeer)」の運用を開始
「Next Doctors」サイト内で医師集合知サービス(リサーチ)を開始
株式会社日経BPと、両社のコミュニティサイト統合を中心とする業務提携契約を締結
「Next Doctors」を「MedPeer」に改称、日経メディカル オンライン(現日経メディカル)との共同事業運
営を開始
株式会社メディカル・オブリージュからメドピア株式会社に商号を変更
医師集合知サービス(マーケティング支援)を開始
「MedPeer」サイト内で、「インタラクティブ・ケース・カンファレンス(症例検討会)」、「薬剤評価掲示板」
サービスを開始
「MedPeer」サイト内で「Meet the Experts(症例相談)」サービスを開始
「医局@人事」を「MedPeer」サイト内に移行、「MedPeer キャリア」としてサービスを開始
「MedPeer」サイト内で「レジデント・レポート(研修病院評価)」サービスを開始
東証マザーズ市場上場
「MedPeer」サイト内で、「ホスピタル・レポート(ホスレポ)」サービスを開始
「MedPeer」サイト内で、「医療機器評価掲示板」サービスを開始
東京都渋谷区恵比寿に本社移転
Health 2.0 LLC とのライセンス契約を締結
株式会社日経 BP と事業譲渡契約を締結し、「MedPeer」の単独運営を開始
【理念】
以下の様な Mission、Vision に加え、Our Values を定め、会社として共有すべき価値観を明確にしている。
Mission
Supporting Doctors, Helping Patients 「医者を支援すること。そして患者を救うこと。」
MedPeer では医師と同じ目線で「人を救う」ことをミッション(存在意義)としています。医師は目の前の患者さんを救お
うとします。MedPeer は医師をサポートし、その結果として医師が診ている患者さんが救われるために存在していま
す。医師と MedPeer、直接・間接の違いはありますが、「患者さんのために」という想いは同じです。その想いが
MedPeer のスタート地点であり、原動力となっています。
Vision
集合知によって医療分野の変革を行うこと
集合知を活用することで医療の発展に寄与する。そうすることで、より多くの医師を支え、より多くの患者を救うこと。
それが MedPeer の実現したいことです。
Our Values
我々は異端の挑戦者である

やらなくて後悔するくらいなら恐れずに挑戦しよう。

医療界の慣例に縛られずにゲームを変えよう。

あらゆる価値観を歓迎し、敬意を払おう。
我々は最高体験を提供するプロフェッショナルである

医師、顧客に対して最高の体験を提供しよう。そのすべては患者のために。

スピード×クオリティを追及しよう。

目標に対して逃げない、妥協しない。
我々は家族である

互いに信頼し、本音で語り合おう。

部門の垣根を越えて困っている人を助け、困ったら助けを求めよう。
(同社HPを元に弊社制作)
3
ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
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【市場環境】
~拡大する医療用医薬品市場~
高齢化社会の進展を背景に医療用医薬品市場は今後も成長が続くものと予想されている。
(株)矢野経済研究所の調査(2015 年5 月)によれば、医療制度改革の行方にもよるが、医薬品需要が底固く、医療制
度改革が緩やかに推移したケースでは、輸入品を含む医療用医薬品生産高は 2015 年 9 兆 4,335 億円、2018 年 9
兆 3,315 億円を経て、2022 年には 10 兆 954 億円まで拡大すると予測している。
~製薬企業のマーケティング戦略に変化。e-Marketing の拡大~
一方、顧客である製薬企業においてはマーケティング戦略に変化が起きている。
これまでの製薬企業のマーケティングは、セールススタッフである MR(医療情報担当者)が医師へ医薬品情報など
を提供すると同時に、様々な形態での接待等によって自社製品の利用を促すというものが中心的な手法だった。
ところが、こうした接待の過剰さが問題視され、コンプライアンス強化を目的に、業界団体「医療用医薬品製造販売業
公正取引協議会」は、接待規制、MRの訪問規制、寄付金提供先の医師個人名開示など、自主規制(プロモーション
コード)を厳格化している。
また、医薬分業政策が進み、病院外薬局での処方が増加しMRの営業成績が正確に評価しにくくなったこと、製薬企
業の販売の力点が、抗がん剤など独自性のある高価な薬に移り、抗生物質などを大量に販売する時代ではなくなっ
たことなどから製薬企業各社はこれまでの接待やフェイス・トゥー・フェイスに頼ったマーケティングには限界があると
考え、営業人件費や接待交際費を減額し、より効率の良いインターネット広告等を活用した「e-Marketing」へとシフト
する傾向が強まっている。
(株)電通によれば、2014 年、「テレビメディア広告費(地上波テレビと衛星メディア関連の合計) 前年比 2.8%増」、
「新聞広告費同 1.8%減」、「雑誌広告費同 0.0%)、「ラジオ広告費同 2.3%増」で、いわゆるマスコミ四媒体の広告費
が合計では同 1.6%増であるのに対し、インターネット広告費は同 12.1%と 2 桁の伸びを示し、初めて 1 兆円を超え
た。このように、外部要因としては医療用医薬品市場の拡大と製薬企業のマーケティング戦略の変化(e-Marketing
の拡大)が同社成長の大きな要因となっている。
【事業内容】
「医師集合知サービス」と「医師求人情報サービス」の 2 つから構成されているが、「医師集合知サービス」が売上の
9 割強を占める中核事業である。
『①医師集合知サービス』
医療現場における医師発の生の情報を共有するナレッジマネジメントツールである Web サイト「MedPeer」を運営して
いる。
全国多数の医師が一堂に集まるインターネット上の「場」である「MedPeer」は、医師の集合知を形成することで医師
同士が支え合う大きな力を生み出し、医療の質、患者への治療の質をより一層向上させるものであると同社では考
えている。
◎「MedPeer」の概要
「ある医師が書き込んだ疑問に対し、他の医師が回答する」といった、多くの医師同士のコミュニケーションによって形成
された「集合知」を、会員である医師達は無料で利用することができる。
医療行為へ重大な影響を及ぼすため、利用者である会員は医師に限定。ただし、医療の勉強に有用であるため医学生
にも会員資格を付与している。
医学生会員は閲覧は出来るが、医師が医療行為を行う際の参考情報となり得る各種サービスにおいては一切投稿が出
来ない。
会員資格付与に際し専門機関のシステムを通じて医師資格を確認するとともに、医師免許に係る公的書類を徴収し又は
電話による本人確認を実施し、厳重に審査を実施している。
医学生に関しては顔写真付きの学生証のコピーを徴収し、厳重な審査を行っている。
4
ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
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会員に対して「MedPeer」活用に応じてポイントを付与している。ポイントは「国境なき医師団」への寄付のほか、ギフト券
への交換が可能。
◎主な会員向けサービス
医師が日々携わる臨床プロセスの段階ごとに適切なサービスを提供している。薬剤の処方実感を共有できる「薬剤
評価掲示板」、エキスパートドクターに症例の相談ができる「Meet the Experts」など、医師たちは「MedPeer」のサービ
スを利用して様々な情報交換を行っている。
<薬剤評価掲示板>
「薬の口コミ」。医薬品ごとに①製品基本情報の閲覧、②薬剤の処方経験を有する医師会員による定量・定性評価情
報への書き込み、③同種薬効、関連医薬品リストの閲覧、④製薬企業サイトへのリンクなどのサービスを提供してい
る。エビデンス(※)を補完する処方体験を共有することができる。
(サイトイメージ)
(同社資料より)
※エビデンス:薬や治療方法,検査方法など,医療の内容全般についてそれが適切なものであると判断できる証拠。
<医療機器評価掲示板>
2014 年 9 月スタートの新しいサービス。薬剤評価掲示板と同様、医療機器の使用体験などを共有できる。
<Meet the Experts>
各領域におけるオピニオンリーダーであるエキスパートドクターへの相談機会を提供。医学書では見つからない答え
を得ることが出来る。
<インタラクティブ・ケース・カンファレンス>
臨床医としてのスキルを磨く場としてインターネット上で症例検討会を行っている。大学、病院の垣根を越え、全国の
医師と症例検討を行うことが可能。
<ポスティング調査>
数千規模の医師限定ポスティング調査への参加・閲覧が出来る。
<ディスカッション>
専門領域、臨床一般、病院運営、プライベートなど様々なテーマについて会員同士でディスカッションが出来る。
<ホスピタル・レポート>
2014 年 7 月スタートの新しいサービス。実際に勤務又は初期研修に参加した医師から寄せられた実体験に基づく研
修病院評価を提供。人材育成、診療環境充実度、待遇・ワークライフバランスなどの評価が投稿され、研修病院選択
の一助となっている。
5
ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
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◎会員数の推移と掲示板投稿件数
医師会員数は 2015 年 3 月末で約 77,402 名。3.5 人に 1 人が同サイトの会員となっている。
(同社資料より弊社作成)
こうした医師会員の活発な意見交換により、薬剤評価掲示板への投稿累計数は 2015 年 3 月末で約 39 万件と着実
に集合知が増加している。
(同社資料より弊社作成)
会員数の増大が「MedPeer」のサイト価値向上の最大の鍵となるため、同社では、DM(ダイレクトメール)、学会での、
製薬企業との共同ブースの出展、Webマーケティングなど様々な手法で認知度向上を図っている。
社内に専門スタッフを配し、様々な試みに挑戦しながらノウハウを蓄積している。
◎ビジネスモデル
同社の顧客は「MedPeer」会員である医師に対するマーケティングを行いたい製薬企業など。
医師会員たちが「MedPeer」 を活用することにより集約された集合知は、製薬企業、医療機器企業、医師人材紹介
会社、医師向けリサーチ会社等において、自社の製品・サービスの販売や開発活動に有益な情報となる。
現在主な製薬企業のアカウントが開設されている。
<マーケティング支援>
サイト上のサービスを通じて形成された医師の集合知をマーケティングに活用することを顧客である製薬企業などに
提案。また、医師会員に対する広告掲示の機会を提供している。
「薬剤評価掲示板」
製薬企業が販売する薬剤の評価ページ内にテキスト広告を掲示する。
6
ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
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製薬企業は医師であることが確認された会員に対し自社コンテンツを閲覧させることが出来る。
また製薬企業はフィードバック情報としてその薬剤が属する疾患領域全体の薬剤評価を他社の薬剤を含めてすべて
閲覧することが出来るので、マーケティング戦略の立案に活用できる。
「Meet the Experts」
相談のあった特定疾患領域において製薬企業はテキスト広告等を掲載できる。
また、製薬企業はオピニオンリーダーのエキスパートドクターと医師会員のやり取りを閲覧することが出来るので最
新の臨床所見を共有することが出来、マーケティング戦略の立案に活用できる。
<リサーチ>
会員データベースを活用したアンケート調査を実施することができる。
年齢、勤務地域、診療科目、医師経験年数など、多くの属性項目から回答者選択が可能なので、臨床の現場や薬剤
に関連した見解の収集、特定薬剤の市場規模の把握、マーケティング戦略立案など様々な場面において従来型の
紙によるアンケートと比べてスピードとコストの両面で優位性を有している。
『②医師求人情報サービス』
医師向け人材紹介会社を顧客として「MedPeer」を通じて求人情報の機会を提供している。また転職を希望する医師
会員が人材紹介会社に登録する機会も提供している。
【特徴と強み】
他の「医師向け情報サイト」との最も大きな違いであり同社を特徴づけるものが「徹底した医師目線」に立ったポジシ
ョニングだ。「MedPeer」は国内で唯一の医師目線のソーシャルメディアである。
(同社資料より)
同社の顧客はサプライヤーの製薬企業であるが、「MedPeer」運営においてはユーザーである医師の目線を重視し
ている。
サイトの運営に当たり、石見社長自らが医師の目線から、改善点も含め細かく指示を出している。
これは「医師向け情報サイト」を運営する同業他社のエムスリー(株)(2413、東証 1 部)や(株)ケアネット(2150、東証マ
ザーズ)の経営者もしくは創業者がコンサルティング会社出身なのに対し、石見社長自身が医師であるという点が大
きな背景となっているのだろう。
「MedPeer」の掲載薬剤数は 2015 年 3 月末時点で 2,397 点。他社サイトと比較して圧倒的に大きな掲載数となってい
る。他社サイトは製薬企業から広告費を得た薬剤のみ掲載しているのに対し、薬剤評価掲示板はユーザーである医
師にとっての「薬剤の事典」でなければ意味が無いと考える同社は全ての薬剤情報を掲載する方針であり、この点
からも医師目線重視の姿勢が明確である。
サプライヤー目線かユーザー目線か、最終的に支持されるのがどちらであるかは明確だと同社は考えている。
7
ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
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2.2015 年 9 月期第 2 四半期決算概要
(1)業績概要
(単位:百万円)
14/9 月期 2Q
構成比
(累計)
15/9 月期 2Q
構成比
対前年同期比
(累計)
売上高
452
100.0%
582
100.0%
+28.7%
売上総利益
402
88.9%
506
87.0%
+25.9%
販管費
265
58.7%
396
68.1%
+49.4%
営業利益
136
30.2%
109
18.9%
-19.6%
経常利益
133
29.5%
109
18.7%
-18.4%
80
17.8%
56
9.7%
-29.7%
当期純利益
会員数、投稿数も拡大し増収。積極的な先行投資により利益は減少。
売上高は前年同期比 28.7%増加の 5 億 82 百万円。サービス強化により医師会員数、投稿数共に増加し媒体価値が
更に向上したため、売上は順調に拡大した。
人件費増(79 百万円)、広告宣伝費増(20 百万円)、経費増(58 百万円)など、積極的な先行投資を進めたため、営業
利益は同 19.6%減少した。
(2)サービスの概況や主な取り組み
◎順調な会員数増加
2015 年 3 月末の会員数は 77,402 人。月間増加ペースは前期の約 800 人から今上期は約 1,000 人に拡大している。
◎情報提供の拡充
各種コンテンツを拡充し、提供できる情報の質と量を確保した。
 薬剤評価掲示板投稿数は月間約 7,500 件、累計数は 2015 年 3 月末で 387,233 件。増加ペースは前期の 1.2 倍
となっている。
 医師が専門医に直接質問ができる MTE(症例相談)の対象疾患数は対前年同期比 1.4 倍の 46 件となった。
 同社の独自取材などに基づいた「MedPeer ニュース」の配信を開始した。医師が必要とするトレンドを分かり易く
伝達する。
 厚生労働省所管の独立行政法人医薬品医療機器総合機構へのリンク提供を開始した。信頼性の高いコンテン
ツへの誘導で情報の幅を拡充する。
◎情報受領者である医師の高い評価
地域、診療科目、時間といった壁・制約をインターネットによって取り払う同社サービスの有用性を高く評価する医師
の声が多数同社に届いている。
<医師の声の例>
「過疎地の診療所勤務なので、多くの先生方の意見や考えを拝見させてもらえる事が日々の診療に役立っていま
す。」
「専門医になると他の領域、特に一般内科領域での新しい薬に疎くなります。高血圧や高脂血症や糖尿病や心房細
動などの動向を抑える意味合いで大変助かっています。」
「実際の臨床場面で困っているが、国内のガイドラインなどで言及のない問題に関し、意見・アドバイスを得ることが
できた。また、自分が質問するだけでなく,他の Dr が困っていることもわかるので,勉強になる。」
◎製薬企業にとっての集合知の高い実効性
クライアントである製薬企業にとって最大の関心事は、「MedPeer サイトで情報を受領した医師が、処方する薬剤を変
更するのか?」という点であるが、同社のアンケートによれば、医師の 47%が、「薬剤評価掲示板を参照することに
よって処方意向が変わった。」と回答している。同社サイトの医師に対する影響力の大きさが明確である。
8
ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
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◎医療業界への貢献と新規事業分野への布石
米国カリフォルニアに拠点を置く企業「Health 2.0 LLC」と、医療・ヘルステック分野に関する世界最大規模のカンファ
レアンス「Health 2.0」の日本における一連のイベントの開催・運営に関する独占的なライセンス契約を締結した。
Health 2.0 LLC との協力関係のもと、「Health 2.0 Japan」のカンファレンスなどを順次展開する。第 1 回は今年 11 月
に東京で開催する予定。
Health 2.0 LLC は、2007 年より「Health 2.0」を世界各地で開催している。カンファレンス開催を通して培った、関連企
業や医療機関、投資家たちとのグローバルなネットワークをもとに、スタートアップ企業への各種支援を行うとともに、
業界の最新ニュースの情報発信サービス、調査事業も展開している。
メドピアは、Health 2.0 LLC と協力し、グローバルなカンファレンスの開催を軸に、情報プラットフォームを創設するこ
とで、そこに集まったプレイヤーが革新的なアイデアや商品・サービス、専門知識を世界に向けて発信し、新しいビジ
ネスや投資につなげていく場を創造する。また、同社自らも更なる成長のための新ビジネスの立上げや投資機会の
獲得を目指す。
◎新ビジネス展開の布石
7.7 万人の医師会員向けのメディアとしての媒体価値の活用を進める。
希少疾患に焦点を当てたタイアップ広告や動画、バナー広告等を企画しているほか、医師を「富裕層」と捉え、製薬
業界以外の領域からのマネタイズを目指してトライアルを近日中に開始する。
◎「MedPeer」サイトを同社のみで運営する体制へ
日経 BP 社と共同運営している「MedPeer」について、2015 年 3 月 1 日からメドピアの単独運営に変更することとした
「MedPeer」は、2007 年にメドピアがサービス提供を開始し、2009 年より、日経 BP 社が提供する医師・医療従事者の
ための総合医療情報サイト「日経メディカル Online」と共同で運営してきたが、今後の「MedPeer」の方向性について
両社で検討した結果、2 社の共同運営よりもメドピアが単独で運営するほうが意思決定をスピードアップさせ、サービ
スを効率化できるという点で合意した。
メドピアは日経 BP 社に帰属する事業を 2015 年 2 月 28 日付で事業譲受した。取得額は 170 百万円。
発生した 170 百万円ののれんを 5 年均等で償却する。
◎医師・医療関係者向け専門情報サイトとの連携を開始
2015 年 6 月 10 日、医師・医療関係者向け専門情報サイト「MT Pro(エムティープロ)」を運営する株式会社メディカル
トリビューン(東京都千代田区)との間で、「MedPeer」と同サイトの会員連携を行う業務提携契約を締結することを決
議した。
<業務提携の背景>
(株)メディカルトリビューンは、独自の医学・医療ニュースの提供に加え、医学・医療に特化したコンテンツの検索機
能を併せ持つ、医師向け専門情報サイト「MT Pro」を運営している。
両社は、「MedPeer」と「MT Pro」間での会員連携によって、①互いの医師会員に対するより幅広い医療情報の提供、
②「MedPeer」内における医師集合知蓄積のスピードアップ、③製薬企業をはじめとする企業に対するより質の高い
医師向けマーケティング支援の提供等が可能になり、両社の事業拡大にとってメリットが大きいと判断した。
<業務提携の内容>
2015 年 6 月 24 日より、「MedPeer」に登録する医師会員と、「MT Pro」に登録する医師会員の会員連携を行う。
この連携により、「MedPeer」の医師会員は、「MedPeer」に蓄積された医師の集合知に加えて、「MT Pro」を通じてメ
ディカルトリビューンが提供する最新の医療情報を取得することができる。
また、互いのユーザーは同じ ID(メールアドレス)で他方のサイトにもログイン可能となる予定で、医師会員にとって
の有用性・利便性は大きく向上する。
「MT Pro」の正確な医師会員数は非開示ではあるが、メドピアによれば、この連携により「MedPeer」の医師会員数
は 10 万人を超えるという。また、その他の連携につても協議を進めて行く。今期業績に対する影響は軽微とのこと。
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ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
http://www.bridge-salon.jp/
<株式会社メディカルトリビューン概要>
名称
株式会社メディカルトリビューン
所在地
東京都千代田区九段南
代表者
代表取締役社長 小林 康行
事業内容
医薬、歯学、薬学および科学等の分野における新聞、雑誌、定期および不定期刊行物、書
籍、ならびに Web メディアの発行、頒布および販売、セミナーおよびシンポジウム等の企画、
立案、運営
資本金
13 億 2,500 万円
設立年月日
1967 年 11 月
(株)メドピアとの関係
資本、人的、取引それぞれにおいて関係は無く、関連当事者にも該当しない。
(3)財務状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS
(単位:百万円)
14 年 9 月末
流動資産
15 年 3 月末
1,229
1,043
現預金
951
766
売上債権
245
240
58
272
固定資産
有形固定資産
4
63
無形固定資産
0
168
54
41
1,287
1,316
投資その他の資産
資産合計
14 年 9 月末
流動負債
15 年 3 月末
231
185
未払法人税等
81
37
ポイント引当金
44
51
-
15
固定負債
資産除去債務
-
15
231
200
1,056
1,116
493
493
80
136
負債純資産合計
1,287
1,316
自己資本比率
82.0%
84.5%
負債合計
純資産
資本金
利益剰余金
現預金の減少で流動資産は前期末に比べ 185 百万円減少。事業譲受によるのれんの発生などで固定資産は同 214
百万円増加し、資産合計は同 28 百万円の増加となった。会員増に伴いポイント引当金が増加したが、未払法人税等
が減少し負債合計は同 31 百万円の減少。四半期純利益計上により利益剰余金が増加し、純資産は同 59 百万円増
加した。この結果自己資本比率は 84.5%と前期末の 82.0%から上昇した。
◎キャッシュ・フロー
(単位:百万円)
14 年 9 月期 2Q
15 年 9 月期 2Q
増減
営業 CF
63
21
-42
投資 CF
-1
-209
-207
フリーCF
61
-188
-249
財務 CF
-17
2
+20
現金同等物残高
121
951
+830
本社移転費用の支払いなどで営業CFのプラス幅は縮小した。事業譲受による支出で投資CFのマイナス幅は拡大
し、フリーCF はマイナスに転じた。
財務 CF は前年同期にあった長期借入金返済が無くなりプラスに転じた。
キャッシュポジションは上昇した。
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ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
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3.2015 年 9 月期業績見通し
(1)業績見通し
(単位: 百万円)
14 年 9 月期
構成比
15 年 9 月期(予)
構成比
前期比
売上高
958
100.0%
1,450
100.0%
+51.3%
売上総利益
850
88.7%
1,279
88.2%
+50.5%
販管費
585
61.1%
979
5.4%
+67.3%
営業利益
264
27.6%
300
20.7%
+13.3%
経常利益
245
25.6%
300
20.7%
+22.4%
当期純利益
150
15.7%
167
11.5%
+11.4%
*予想は会社側発表
業績予想に変更無し。売上は引き続き好調。先行投資あるが営業利益は 2 桁増益。
業績予想に変更は無い。予想売上高は前期比 51.3%増の 14 億 50 百万円を見込む。製薬企業毎の広告掲載薬剤
数の増加、会員数増に伴う単価向上のほか、上期に発生した契約タイミングのずれを下期に解消することに加え、
新商品の開発を通じた売上の積み上げを目指している。
業容拡大のための人員拡充(約 20 名増加。うち 9 名は入社済又は入社予定)と、新規事業に対する投資本格化によ
り営業費用は増加するが増収効果で吸収し、営業利益は同 13.3%増の 3 億円の予想。
成長のための投資ステージであるため、配当は実施しない。
4.中期成長イメージ
「既存事業の成長」と「新たな収益機会の確保」を成長の軸としている。
①既存事業の成長
前述のように市場規模は極めて大きく成長余地の高い既存事業を更に拡大する。
主な製薬企業のアカウントを開設しているが、深掘りの余地はまだまだ大きい。広告掲載数を増加させるとともに、
サイト価値向上によって広告単価を引き上げる。
また 2014 年 9 月よりスタートさせた「医療機器評価掲示板」のような新商品開発も進めて行く。
②新たな収益機会の確保
周辺事業や新たな領域への参入による収益機会の拡大にも取り組んでいく。
政府は IT を活用した医療分野の改革を推進しており、従来とは異なる枠組みへの変化が見られ始めている。
その一例が、「遠隔診断」。遠隔画像診断や遠隔病理診断など遠隔診断は、対面診療を規定する医師法 20 条に抵
触するのではないかとの見方もあったが、医療の地域間格差を解消するメリットを重視する厚生労働省は遠隔医療
を原則として認める方向に変化している。
また、「医薬分業」についても、厚生労働省は、医療費の抑制に向けて、患者の体質を把握し調剤や服薬指導を行っ
ている「かかりつけ薬局」が薬の服用を一元的に管理し、飲み残しを削減した場合には報酬を加算する方針を示して
いるのに加え、院内薬局の規制緩和も検討するなど、こちらでも変化が起き始めている。
同社は、「MedPeer」によって形成された医師集合知を更に蓄積してより医療現場に近い場所で活用する独自の医療
システムサービスの構築を目指している。
また、その次のステージとして、電子カルテ等の新たな医療システムサービスの提供をベースに、医師集合知を家
庭で活用する「患者向け医療情報共有サービス」にも取り組んでいく考えであり、以上のような「変化」は同社の今後
の事業展開にとって大きな追い風になると同社では考えている。
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ブリッジレポート(6095) 2015 年 5 月 26 日
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5.今後の注目点
6 月に入り大きなリリースが行われた。「MT Pro」との連携により「MedPeer」の医師会員数は 10 万人を超える見込み
という事で、事業拡大のスピードは一段ギアが上がることになろう。
同業 2 社に比べ同社は、事業規模は最も小さいものの、PER、PBR の株価評価においては他社を大きく上回ってい
る。その要因はいくつかあるだろうが、「徹底してユーザーである医師の視点に立つポジショニング」という同社の大
きな特徴・強みが、今後の事業展開の上で大きなアドバンテージとなると投資家が期待している事もあるだろう。
既存事業の拡大とともに、新たな収益機会となる「独自の医療システムサービス」がどのようなものなのか、その概
要が大いに注目される。
<参考:同業他社比較>
(単位:百万円、倍)
売上高
2150
ケアネット
2,200
2430
エムスリー
6095
メドピア
増収率
営業利益
増益率
-
200
63,000
22.7%
19,000
1,450
51.3%
300
営業利益率
-
時価総額
PER
PBR
33.8
4.7
9.1%
6,181
18.3%
30.2%
754,724
66.8
16.7
13.3%
20.7%
14,660
87.4
13.9
*売上高、営業利益は各社の今期予想。ケアネットは決算期変更のため、前期比較を行っていない。
時価総額は 2015 年 5 月 26 日終値ベース。
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