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パブリック・コメント結果概要(「博物館実習ガイドライン」(案))
パブリック・コメント結果概要(「博物館実習ガイドライン」(案)) 1 実 施 期 間 平成21年1月16日(金)~1月26日(月) 2 意 見 総 数 27件 3 意見者の属性 属性(職業別) 区 分 人数 男性 女性 計 個人 団体 大学教員 12 30 歳代 4 博物館職員 8 40 歳代 8 団体職員 3 50 歳代 6 社会教育施設職員 1 60 歳代 2 2 その他(不明含む) 1 不 1 1 大 1 学 学会・研究会等 計 4 属性(性別・年齢別)※個人のみ 明 計 21 3 7 8 1 4 7 25 1 27 本パブリック・コメントに寄せられた意見 (取りまとめの都合上,適宜,意見を集約・分割しています。 ) 「はじめに」に関する意見 ○ 博物館実習を、その名称に恥じない実のあるものにしたいという、今回のガイドライン(案) の狙いは評価に値するものだと思う。(大学職員・男性・40歳代 同旨外5件) ○ 現状の学芸員の資格は、その職業への就職と結びついておらず、実習を行っても余り役にたた ない。逆に現場の負担が大きいわりに、職員として多く採用する体制にないので実習自体が資格 取得の自己目的化している。ということもあり、実習自体は殆ど無駄で意味がなく、手直しをす るよりもやめるのが賢明と考える。過剰な労力を博物館は負担していることもあり、取得システ ム自体を根本的に見直し、その役割を再度構築しなおすべきだと考える。学芸員自体は重要な仕 事なので、適切な数の資格保持者の輩出と能力を備えた人材が育成される様な仕組みになるよう 希望する。(団体職員・男性・30歳代) ○ 「はじめに」の部分で述べられていることは、現在の日本の博物館の状況も十分に踏まえつつ、 よりよい博物館とそれを支える学芸員養成改善の方向性が示されており、賛成である。(大学教 員・女性・30歳代) ○ このガイドラインを有効なものにするためには、ガイドラインと同時に過剰な位のサンプルフ ォーマットや事例などを大学に提示する。また、何らかの方法で学芸員養成課程を担当している 全教員および実習を受け入れている館全てに配布する、といったような工夫を伴わないと形だけ 1 に終わってしまうと危惧する。(博物館職員・女性・30歳代) ○ 今回のガイドラインの目指す計画の実現はかなりむずかしいだろう。まず、学内実習と館園実 習の評価方法、学内実習のための付属博物館の認定基準が確立されなければ、単純に物理的な時 間の増加にすぎず、本ガイドラインが目指そうとしている改革は実現不可能だと考えられる。教 育実習とその研究の場である国立大学の付属小中学校のような、学芸員の養成、研修の場である だけでなく、その方法の実践的な研究の場となる様な博物館を国内数カ所に整備することが望ま しいと考えられる。(博物館職員・男性・40歳代) ○ 本ガイドラインでは、これまでと比べて大学内の博物館相当施設、および学外の館園施設の役 割が重くなっている。理想としては正しいが、現実は、これらの施設が数的にも規模的にも整備 されているのは、圧倒的に大都市圏である。今後の学芸員に求められる役割のひとつ「地域社会 に密着した活動」は各地域でまんべんなく学芸員養成が行われるべきと考えるが、今回の案を一 律に当てはめた場合、地域文化と学芸員、ひいては博物館との結びつきをむしろ弱めるのではな いかと危惧する。そこで、地方で養成し、その地方の博物館施設で活躍する学芸員を想定した実 習のあり方と、一般の、全国ないし国際的な規模で活躍可能な学芸員を念頭においた実習のあり 方とを分けてもよいのではないだろうか。都市-地方間の格差拡大を招かないためにも、少なく とも二様のガイドラインを策定すべきではないだろうか。(大学職員・男性・40歳代) ○ 「はじめに」の中で、「本ガイドラインは、博物館実習が必ずこれに沿って実施されなければ ならないことを示す性質のものではないが」とあるが、それぞれの博物館の現状を調査している のであれば、博物館によって、おかれている環境が大きく異なることが理解されよう。その状況 でなお、ガイドラインを示すことは博物館実習におけるランキングを作る可能性があり、実習の 受け入れが困難となることを理解すべきである。(博物館職員・男性・40歳代) ○ 自然史系博物館の学芸員や大学における自然史系研究者は絶対数が少ないだけでなく、自身の 研究教育活動で十分忙殺されている。これに加えて十分な博物館実習指導を展開できる体制が、 財政的裏付けもほとんど無い現状で、多くの大学において直ちに整備できるとは思えない。博物 館が扱う対象は多様で、限られた数の大学だけがガイドラインに沿った教育ができればそれでよ いというのであれば、資格を得ることのできる学芸員全体を見渡したときに多様な専門性を保証 できない。限られた分野の専門家だけしか博物館学芸員の教育に携われないことになる。この点 で、本ガイドライン案前文などに、国が全国各自治体に必要な博物館施設整備を促したり、財政 的支援策を構ずるなどの配慮を記すことが望まれる。(大学教員・男性・50歳代) 「ねらい」に関する意見 ○ 「博物館実習は、大学における学芸員養成教育の最終段階~」の段落の意図するところは理解 できなくもないが、「このため」以下の理由に繋がっていない。(博物館職員・女性・30歳代) ○ 「大学博物館」の位置づけが曖昧になるおそれがある。大学博物館は学部カリキュラムの一部 として実習を担当すると同時に、社会教育機関の機能を実践している博物館として学外からも実 習希望の学生を受け入れてきた。つまり大学博物館では「学内実習」と「館園実習」といった明 確な区切りは不可能である。この区分けは果たして本当に有効なのか、再考の必要がある。(大 2 学教員・男性・50歳代) ○ 自然史系博物館の学芸員に求められる重要な資質のひとつに研究能力がある。研究能力の基礎 は、実習や講義のレベルではなく、通常は大学院における高度な研究活動を通じて醸成される。 このたびの博物館実習ガイドライン(案)は、この点がどのように担保されるのかが見えない。 例えば「ねらい」のひとつに「調査研究の手法」とあるが、短期間の実習で身につくようなもの ではないことは、大学院の課程が2年から5年あることからも明白である。この観点からガイドラ イン(案)の調査研究に関する部分は不要である。(博物館職員・男性・50歳代) ○ 学内実習の段落で、「模型の製作」とあるが、違和感を覚える。「模型の製作」を学芸員が実 務で日常的に行っている館がかなり限定されることを考えると、全体に関わる「ねらい」で敢え ていれる必要があるほど重要項目ではないのではないか。(博物館職員・女性・30歳代) ○ 館園実習の段落で、「資料の価値を伝えるための展示解説等の教育普及活動」という表現があ るが、展示解説の目的が、資料の「価値」を伝えるためと断定している表現に疑問を感じる。自 分が、展示解説を行う際は、資料の「背景」、「持つ意味」や「見方」等を伝え、さらに利用者 の興味関心を意識して解説していく。そのことが、「資料の価値を伝える」とは言えない気がす る。また「価値」は、学芸員・博物館・設置者等が与えたものであり、利用者に取っての「価値」 とは、異なるのではないだろうか。博物館は、相互のコミュニケーションの場であり、館側の「価 値を伝える」のが、「教育普及活動」ではないと思う。「博物館資料の取り扱いや教育普及活動」 という表現ではどうだろうか。(団体職員・男性・30歳代) 「1.学内実習」に関する意見 ②単位・時間数 ○ 「学内実習」や「見学実習」として60~90時間以上の大学実習担当教員による実習を実施 することとのことだが,自然史系博物館実習担当教員は,すでに地質学や生物学などの基礎科学 の野外実習・講義等に相当な時間を割いており,さらなる実習時間の負担には限界がある。さら なる教員の負担増により大学での自然史系研究の続行が困難となり,自然史系博物館学芸員をめ ざす学生の教育にも悪影響を与えると思われる。(大学教員・男性・40歳代) ③実習施設 ○ 学内実習の実習施設について、学内に附属博物館を設置し、活用することが困難な場合には、 すでに附属博物館を設置している他の大学との連携・協力が必要となることを明記するべき。 (大 学教員・男性・40歳代) ○ 学内実習で、附属博物館をもたない大学もあるかと推測するが、見学実習の際に、連携する館 園に訪問し、双方の職員と学生が学内実習の期間に接触し、学生側でも館園実習の候補館を事前 に知る機会をつくることができると、一連の博物館実習のプロセスが円滑になると思われる。 (大 学教員・女性・30歳代) ○ 「学内に附属博物館を設置し・・」は非常に違和感を覚える。学芸員養成課程・博物館実習の ために「附属博物館」を設置するのはおかしい。資料・コレクションがあるから大学博物館があ 3 るのであって、第一の目的が学芸員養成課程になるのはおかしい。また、博物館実習を目的に大 学博物館を設立した場合、「館園実習」を外部にみつけにくい現状では、「館園実習」を大学博 物館で済ませるところが増えることは目に見えており、より一層、大学博物館以外の現場実務と の乖離が大きくなってしまう。(博物館職員・女性・30歳代) ○ 充実した事前、事後の学内実習は、貴重な館園実習の機会を最大限に活かすためにも、学内に 付属博物館などを設置して行なわれることは、非常に望ましいことである。(博物館職員・男性・ 40歳代) ○ 学内実習施設を持たない多くの大学では,博物館実習が行えないことになる。博物館学芸員に 必要な学問的基礎を持った学生でも,大学によっては博物館学芸員への就職の道が制限されるこ とになり,不公平な制度といえる。(大学教員・男性・40歳代) ○ 各大学で附属博物館を持つことが望ましいとしているが、教育上本当に望ましいことか、無条 件にはいえないと思う。大学で実習をできれば時間の計算もできるとともに、細かい指導も可能 だが、一方で「コミュニケーションが大切」と指摘している案の文言に反し、外部との接触の際 に緊張感をもって望む貴重な機会が失われることにもなるため、一長一短である。そもそも、附 属博物館を学芸員資格養成のためにもつという発想は本末転倒である。(大学教員・男性・40 歳代) ④指導体制 ○ 「担当教員が指導する」としかないが、ガイドラインであれば、「現職常勤学芸員または学芸 員離職から○年以内が望ましい(3~5年程度?)」といった指針は示せないか。あまりにも博物 館現場から遠ざかっている者が担当するような状況は望ましいとは考え難い。(博物館職員・女 性・30歳代) (1)見学実習 ○ 既に履修段階に即してその都度博物館の見学やボランティア、展示活動などを課外活動として 奨励し実施している大学があるにも関わらず、ガイドラインとして博物館実習の中でまたもや見 学を義務づけるのはいかがなものだろうか。見学をすることはよいのだが、限られた授業時間帯 の有効な活用法については、各大学の課程の状況の中で判断できる部分を残してもらいたい。 (大 学教員・男性・40歳代) (2)実務実習 ○ 実務実習の内容で「予算案の作成等」とあるなど、やや管理部門に比重が重くなったと思うが、 予算作成は学芸業務の本筋ではなく、大学における実習内容にそぐわないものである。よって管 理部門の項目は大幅に縮小され、学芸員業務のより実践的科目を充実させるべき。(博物館職員・ 男性・40歳代) (3)事前・事後指導 ①履修の時期 4 ○ 事前・事後指導全体の記載内容は大学の単位として当然のことであり、わざわざこのガイドラ インに示す必要性を感じない。(博物館職員・女性・30歳代) ○ 館園の事前指導については非常に重要であると思うが、担当クラスの学生がいっせいに館園実 習に出るわけではないので、実施のタイミングが難しいのが実情。(博物館職員・女性・30歳 代) ③指導内容 ○ 「社会人としてのルール・マナー」については、現在の学生の状況から判断して重要である一 方、この時点で「博物館実習」の学内実習教員に求めるのではなく、館園実習をさせる以上、学 芸員養成課程を履修する時点でそういった観点での選抜や課程全体での指導が求められるのでは ないか。(例えば、館園実習の直前に課程事務室で個別にマナー指導の時間を1時間設ける(ビデ オを見せる)など。)(博物館職員・女性・30歳代) 「2.館園実習」に関する意見 ①目的 ○ 全体的に理想的ではあるが、各館とも人員・コスト削減の状況下、博物館側にどこまで求めら れるか、難しいとは感じた。このガイドラインを出すのであれば、定型的なサンプルフォーマッ トを予め、文部科学省や日本博物館協会等で用意し、交渉や摺り合わせに、極力時間がかからな いようサポート体制を整える必要があるように感じる。(博物館側も複数の大学を相手にするこ とになることも負荷が多いので)(博物館職員・女性・30歳代) ②単位・時間数 ○ 館園実習は,1日8時間労働とした場合,4日間で30時間の必要単位時間数を満たしてしま う。実習期間は5日以上とする記載と齟齬がある。一般的に館園実習は5日間が最低ラインと考 えられているため,館園実習は2単位とすべきと考える。協力者会議ではこれまで実務経験の必 要性が声高に叫ばれていたのに、現状のままでは館園実習時間を削減するガイドラインを提示す ることになる。(大学教員・男性・50歳代) ③履修の順序・実施時期 ○ 館園実習の実施時期は、学芸員養成課程の最終段階(4年生)で実施しなければならないこと を明記し、3年生での実施は認めないようにしてもらいたい。(大学教員・男性・40歳代) ○ 学芸員養成の最終段階(3年生あるいは4年生)で実施することを基本とする。ここに「短期大 学の場合は2年生」あるいは「学芸員補養成の最終段階(2年生)」との文言を加えて頂けないだ ろうか。確かに「基本」とあるので、短大も含む意味合いが含まれているかもしれないが、博物 館側に短大生を受け入れられないとの誤解を招くものと考える。(大学教員・男性・50歳代) ○ 博物館実習は博物館養成課程の最終段階である3年次または4年次に行われるが,この期間は 学生の就職活動や大学院入試の時期と重なり,現在でも博物館実習とこれらの活動との調整が困 5 難である。さらなる実習時間の増加によって学生が博物館実習を受けることがますます困難にな る。博物館養成課程を修了したとしても博物館に就職することが困難であるとなれば,学芸員養 成講座を受講する学生も減り,学芸員養成課程の維持も難しくなると思われる。(大学教員・男 性・40歳代) ④受講人数 ○ 見学実習や、実務実習先の館園の選択、また、博物館学のレポート作成などに資するため、館 の基本的な情報や実習に関する情報をデータベース化し公開する。館園の基本的情報をデータベ ース化することで、学生が事前に館園情報を得ることができれば、館園としても、毎回同じよう な内容の質問に繰り返し回答することもなく、学生の対応に同じ時間を費やすとしても、より有 効な使い方ができるのではないかと思う。そこで、1.館園の年報データベース、2.受入実習 (見学・実務)内容データベース、3.受入要綱データベース、を作成・公開することで、より 効率的な実習が可能になると考える。(博物館職員・男性・40歳代) ⑤実習期間 ○ 現状では最小限の単位が5日間以上との記載であり、受け入れ博物館側の現状を踏まえた設定で あると思われる。しかし、もし可能であれば、博物館の1週間を知るためにも、7日間以上もしく は土日・館の休館日を含む設定で5日間にするなどの工夫があれば、数日の間でも、さまざまな博 物館の顔を実習生が体験することが可能なのではないだろうか。(大学教員・女性・30歳代) ⑥実習先 ○ 学芸員養成、博物館の質の維持、向上をはかるのであれば、現行法の「大学においてこれに準 ずると認めた施設を含む」という文言は適切ではないと考える。この文言を削除することにより、 登録博物館・相当施設として認可されるような努力を、施設側に促す効果も期待できる。(社会 教育施設職員・男性・50歳代) ○ 大学の附属博物館での実習も「館園実習」の中に含めるよう改訂してもらいたい。地方の博物 館では、県立規模でも、専門の学芸員は少なく、近年財政事情の悪化で学芸員はますます削減さ れる傾向にある。そのような実態において学外で「館園実習」を行うことはきわめて困難である。 (大学職員・男性・-) ○ 地方では「館園実習」に対応できるだけの余裕を持った博物館は非常に少ない。多くの学生が 受け入れ先を見つけるために奔走することになると同時に、現場では実習に対応できるための体 制づくりに多くの時間を費やすこととなる。地域の文化や生涯教育を担う学芸員を育成すべき大 学と博物館の現場の両方に本来の業務以上の負担を課す「館園実習」は存在意義そのものを見直 す必要がある。(大学教員・男性・50歳代) ⑦実習生の専門分野と館種の関係 ○ 博物館の資料は、各専門分野(昆虫学、哺乳類学、植物学、古生物学など)での資料の扱いと、 大きくは違わない。そのため、博物館の資料について学ぶには、各専門分野の状況を熟知してい 6 ることがもっとも大切である。具体的には学位(博士)の取得が望ましい。このことは、卒業論 文も手がけたことのない学部学生に、標本の取扱いを数日で教育することが困難であることを物 語っている。また、近年、卒業論文を課さない大学も増えているが、このことは博物館において 学芸員として研究活動、資料の取扱いができないことを示しており、そのような問題点も指摘す べきである。また、学芸員の博物館での業務は専門分野である。隣接が望ましいのではなく、一 致すべきであろう。(博物館職員・男性・40歳代) ⑧実習内容 ○ 講義形式だけではなく、企画・立案できる内容とするには、博物館側の現在の状況や課題を実 習生が把握できるようなイントロダクション的講義や資料が、さしつかえのない範囲で提供され ることが望ましい。(大学教員・女性・30歳代) ○ 「ボランティア活動」という、自主的な意思をもとに参加している方々の中に、強制的な館園 実習生を参加させるのは、疑問である。ボランティア活動について知ってもらい、ボランティア と交流を持つのであれば、ボランティアを管理する業務(トレーニングやスケジュール管理等) について実習すると言う記載の方が、学芸員養成には適している。(団体職員・男性・30歳代) ○ 示された内容の実習を、5日程度で行ってどれだけ博物館の実務が理解できるのか全く不明で ある。場合によっては学生には何も残らない可能性がある。(博物館職員・男性・40歳代) ⑨実習費等 ○ 実習受け入れを行うと、実習プログラム作成などで学芸員の負担が増し、残業などにもつなが るが、残業手当を支払う財源がない。また、大学は学生から授業料を徴収することで学生に対し て教育を行なっている。学外の博物館に実習受け入れを依頼する場合、学生への教育活動を委託 しているとも捉えることができる。これらのことから実習内容に見合った対価を受け入れ先施設 に支払うこともありうる、ということを明記すべきである。(団体職員・男性・30歳代) ⑪指導体制 ○ 館園実習の指導体制については、常勤の専門職員あるいは専門的な指導を行うことができる常 勤の職員の責任の下に、職員が指導を担当するものとすることと明記すべき。(大学教員・男性・ 40歳代) ⑫評価 ○ 参加する学生にとっても、短期間の実習になればなるほど実務実習は貴重である。欧米のイン ターン時には、学生と大学サイドでやり取りできる日誌が用いられる。博物館側からのコメント に加え、学生が実習でどのように成長したかを見る際は、学生自身のコメントも評価資料となる と思われる。(大学教員・女性・30歳代) ○ 大学は評価をする立場にあるので、「予め評価基準を設けておくことが『望ましい』」のでは なく、「予め評価基準を設ける『べき』」ではないだろうか。また、博物館側が「成績をつける 際の参考になるように協力する」のならば、大学側が設けた評価基準を、博物館側に共有し、そ 7 の基準に基づいて、博物館が実習生を評価する必要があると思う。基準が曖昧なまま、博物館側 が評価の参考資料を準備するのは難しい。(団体職員・男性・30歳代) ○ 実習についての申し込み方法や提出書類、実習ノートについても、ある程度、内容を統一した 書式のものにし、それをもとに事務手続きを行うようにすれば、受入館園の負担も軽減し、また、 実習生の評価についても、おおよその指針、評価基準を示すことによって、より客観性の高いも のになると考える。また、評価の基準を設けることは、館園にとっても、実習の最低限度の基準 を超えるようなカリキュラムを作ることになり、実習内容の低下を防ぐことにもつながる。(博 物館職員・男性・40歳代) ○ 館園実習の「評価」は大学に責任を持つよう強く明記してもらいたい。学生の評価を丸投げす る例が多く、博物館側は結局「よくできました」式の評価しかつけられないのが実情である。(博 物館職員・男性・40歳代) 「3.留意事項」に関する意見 〔大学〕 ○ 実習と他の科目の内容の刷り合わせの必要性は感じる。自分が教えている学生達が、これまで の3年間関連科目で何を学んでいるのかが見えず、一つ一つ授業中に確認することが多い。学芸員 養成課程は非常勤講師が多いこともあり、教員同士が密に連絡を取ることは実際には不可能であ るので、課程事務室がそのような資料(少なくとも、誰の授業を受けてきているか、および各授 業のシラバス)を配布するような仕組みが欲しい。(博物館職員・女性・30歳代) ○ 博物館実習を実験等の他の科目で代替えして開講することは適切ではなく厳に慎むこととある が,学芸員活動を行って行く上で必要な資料や野外調査に関する知識と技術は,野外実習を含む 大学での基礎科学の実験実習や講義で習得可能である。学問的基礎や調査技術がしっかりできて いないと博物館実習は無意味なものとなる。むしろ,博物館実習を受ける要件として,博物館で の実習に比べると教育効果が薄い大学での「学内実習」をやめて,学芸員として必要な専門分野 の実験実習科目に充てるべきである。(大学教員・男性・40歳代) ○ 大学側の教員が実習中の実習生を訪れる機会を組み込むことも、博物館サイド・大学サイドの 連携・コミュニケーションを密にすると思われる。(大学教員・女性・30歳代) ○ 「学芸員には、生涯学習社会における社会教育指導者として、~その成果を活用して行うボラ ンティア活動等の機会を提供することが重要であることを指導すること」の部分で、生涯学習・ 社会教育をボランティアに結びつけるのは短絡的である。一方、現在の厳しい財政状況の中、博 物館は多くの人々の善意で支えられている。そこで、この部分は、「学芸員は、生涯学習社会に おける社会教育指導者として、人々の多様な学習ニーズを把握し、学習活動を効果的に支援する 必要があること、また、博物館はボランティアをはじめとする多くの人々に支えられているとい う認識を持つよう指導すること」とすべきではないか。(大学教員・女性・50歳代) 〔博物館〕 ○ 非常勤職員ばかりで経営が成り立っている私立の館や市町村立の施設は実習生を受入れること 8 に大きな抵抗があるだろう。国や県としては、そういった中小規模の館や園に自己犠牲なく地域 の学芸員養成に協力的になってもらうためには、何らかの形でインセンティブをつける必要があ る。(大学教員・女性・30歳代) ○ そもそも博物館が博物館に関する人材を育成する責務を有していることは,どこにも明文化さ れていないのではないだろうか。博物館職員は多くの業務を抱え疲弊している。将来,そのほと んどが学芸員となることはないと予想される学生たちに実習を行うことに,意義を見いだせない。 さらにガイドラインが示されることにより,現状以上に負担が増えることになることを懸念して いる。(博物館職員・男性・30歳代) ○ 「博物館は、学芸員をはじめとする博物館に関する人材を育成する責務を有していることを自 覚し」とあるが、その法的根拠は何であろうか。これまで博物館が博物館実習に協力してきたの は、博物法第3条に定める「援助」であって「責務」としてではないと思う。それは博物館の主 な業務でなく、善意に基づくサービスといったものである。この部分については、全面的に書き かえが必要である。さらに、この案を実現するためには、現状でも忙しい博物館側に新規事業を 強制するため、それなりの人員増強、予算の手当や補助などの施策を伴うべきである。(学会・ 研究会等) ○ 大学との連携・協力とは何をどのように連携・協力するのか不明である。(博物館職員・男性・ 40歳代) ○ 新たに定められる博物館実習のガイドラインが徹底されるよう求める。これまで、実習受け入 れの博物館施設によっては、実習生に雑用ばかりやらせて、実習期間中はほとんど駐車場の整理 係というようなひどい例もあった。(団体職員・男性・30歳代) ○ このような内容が留意事項として記載されるのは疑問。現在の繁忙な博物館・学芸員を知って いるなら、人員・予算の増強をまっさきに掲げるべきであろう。また、「博物館は、学芸員をは じめとする博物館に関する人材を育成する責務を有していることを自覚し、」とあるが、そうし た気概をもってはいても、正式に「責務」という強い文言で書かれると、その根拠はなにかと言 わざるを得ない。実情的にも大学講座への支援でしかない。訂正してもらいたい。(博物館職員・ 男性・60歳代) 〔実習生〕 ○ 「3.留意事項」に[実習生]の項目がないのは片手落ちではないか。学芸員を志す者としてふさ わしいとはどういうことか、その気概と自主性の持ち方などを含め、大学と博物館との間に立っ て交渉すること、それ自体が学芸員である前に社会人としての「実習」の一環であることを認識 させるべきである。[実習生]の項を追加して設けることを提案する。(その他・男性・60歳代) ○ 実習生同士が、他館の実習生が企画したプログラムに参加したり、他館に見学に行く際に、実 習生が実習生に展示解説なり、バックヤードツアー、テーマの異なる館の資料の扱い方について の発表をする機会を設けるなどで、短期間の実習で自分の実習館以上の内容に触れる機会ができ る。(大学教員・女性・30歳代) ○ 博物館実習生においては、すでに各館で実施されているボランティア制度によって無給スタッ フに任されている職務よりも最低1ランク上(有給レベル)の職務責任を認識してもらい、与え 9 られた任務の遂行を通じて現場で真剣に学んでもらうことが必須である。(大学教員・女性・3 0歳代) 「その他の意見」 ○ 博物館実習の改善充実を目指すのであれば,資源の有効活用の観点から,博物館や博物館相当 施設を有する大学には,それなりの人的・金銭的措置を新たに行うなど,学芸員資格を取得する ための科目を開講している学部や大学の学芸員資格取得希望学生の便宜を図るべきである。(大 学) ○ 今回のパブリック・コメントの募集期間はあまりにも短すぎる。せめて募集期間を1か月程度 設ける・全国の博物館等には周知を徹底する,等の手順は必要である。今後考慮してもらいたい。 (博物館職員・男性・30歳代 同旨外2件) ○ 意見募集におけるホームページへの掲載方法に問題がある。必要な資料がすべてPDFファイルに なっているため閲覧しにくい。より多くの意見を集めるためには、使いやすい文書ファイルの公 開に改めていくことが必要である。(団体職員・男性・30歳代) 10