...

新医薬品の「使用上の注意」 - アストラゼネカ AstraZeneca

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

新医薬品の「使用上の注意」 - アストラゼネカ AstraZeneca
市販直後調査
平成14 年4 月~平成14 年10 月
2002 年 4 月作成(最新の使用上の注意をご確認下さい)
医薬品の適正使用に欠かせない情報です。使用前に必ずお読み下さい。
新医薬品の「使用上の注意」の解 説
薬価基準収載
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
LH作動薬に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分又は LH
-RH 作動
薬に対し過敏症の既往歴のある患者
輸入販売元:アストラゼネカ株式会社
注) 注意:医師等の処方せん・指示により使用すること。
ゾラデックス LA10.8mg デポは、英国 ICI 社(現 AstraZeneca 社)において開発された LH-RH アゴニス
トである酢酸ゴセレリンを、生体内分解性の担体である乳酸グリコール酸共重合体に分散した徐放性
製剤です。
本剤は、下垂体からのゴナドトロピン分泌能を低下させ、その結果、精巣からのテストステロン分泌を抑
制し、前立腺癌に対する抗腫瘍効果を発揮します。
本剤は、前腹部へ 12~13 週ごとに 1 回皮下投与することで臨床効果を持続することができます。
本剤投与約 2 時間後に最高血清中濃度に達した後、速やかに減少し、投与 72 時間以降次回投与に
至るまで低濃度に維持されます。本剤は、吸収後速やかにペプチド断片に代謝され、主に尿中に排
泄されます。
本冊子では、本剤の使用に際しての注意事項を、各項ごとに解説致しました。本剤の適正使用の一
助となれば、幸甚に存じます。
注) なお、本冊子でご紹介する症例の中には、国内における本剤の「効能・効果」及び「用法・用量」を逸脱し
た症例が含まれております。本剤の「効能・効果」及び「用法・用量」につきましては、本冊子 1 頁をご参照
ください。
目 次
Ⅰ.
Ⅱ.
Ⅲ.
Ⅳ.
効能・効果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
用法・用量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
禁忌(次の患者には投与しないこと) ・・・・・・・・・・・・・・・ 2
使用上の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)・・・・・・ 4
2. 重要な基本的注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
3. 副作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(1) 重大な副作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(2) その他の副作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
4. 小児等への投与 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
5. 適用上の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
6. その他の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
Ⅰ. 効能 ・ 効果
前立腺癌
Ⅱ. 用法 ・ 用量
通常、成人には本剤 1 筒(ゴセレリンとして 10.8mg 含有)を前腹部に 12~13 週ごと
に 1 回皮下投与する。
1
Ⅲ. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分又は LH-RH 作動薬に対し過敏症の既往歴のある患者
2
解
説
LH-RH アゴニスト共通の注意事項です。
本剤の国内及び海外臨床試験では、本剤による過敏症状は観察されませんでした。
しかし、本剤の有効成分である酢酸ゴセレリンを含有するゾラデックス 3.6mg デポ 1)あるいは他
の LH-RH アゴニストを投与した症例で重篤なアナフィラキシー症状の発現が報告されており
ますので、これらに対し過敏症の既往のある患者には本剤を使用しないで下さい。
なお、ゾラデックス 3.6mg デポ投与後アナフィラキシーを発現した症例の詳細を「3.副作用 (1)
重大な副作用 2)アナフィラキシー」解説の項(11 頁)に記載しておりますのでご参照下さい。
なお、国内臨床試験において軽度の瘙痒(症)2 件及び発疹 1 件が観察されましたが、これら
の副作用により試験中止に至った症例はみられず、海外臨床試験では皮膚障害は観察され
ませんでした。(「3.副作用」解説の項(9 頁)参照)
1) Raj, S.G., et al.: Am. J. Med. Sci., 312(4), 187-190, 1996
3
Ⅳ. 使用上の注意
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
脊髄圧迫又は尿路閉塞による腎障害を既に呈しているか、又は新たに発生するおそ
れのある前立腺癌患者 (「2.重要な基本的注意」及び「薬物動態」の項参照)
4
解
説
LH-RH アゴニスト共通の注意事項です。
下図に示しますように、本剤投与開始初期に血清中テストステロン濃度の一過性上昇が認め
られます。その結果、フレアーアップ(血清中テストステロンの一過性上昇に伴う前立腺癌随伴
症状の増悪)として、脊髄圧迫による異常感覚及び疼痛、骨痛、尿閉、排尿困難などが発現
することがあります。脊髄圧迫や尿路閉塞による腎障害を既に呈している患者では、これらの
症状を増悪するおそれがあり、また、本剤投与後に新たに発生するおそれのある患者につい
ても、慎重に投与する必要があります。
本剤の国内及び海外臨床試験では、投与開始 4 週以内に下表のようなフレアーアップが認
められましたが、これらによって中止に至った症例はありませんでした。(本症例の詳細につい
ては「3.副作用 (1)重大な副作用 1)前立腺癌随伴症状の増悪」解説の項(11 頁)をご参照下
さい。)
国内外臨床試験におけるフレアーアップの発現状況
国内後期第Ⅱ相
海外第Ⅲ相臨床試験 2、3)
臨床試験 1)
安全性評価対象例数
20
76
フレアーアップ発現例数
1
4
5.0%
5.3%
1
4
異常感覚(脊髄圧迫)
0
1(1.3%)
症状
尿閉
0
0
内訳
排尿困難
1(5.0%)
0
0
3(3.9%)
フレアーアップ発現率
フレアーアップ発現件数
骨痛/疼痛
1) 古武敏彦他:泌尿紀科紀要, 47(5), 349-361, 2001
2) Debruyne, F.M., et al.:J. Urology, 155(4), 1352-1354, 1996
3) 社内資料
▼参考:本剤初回投与後の血清中テストステロン濃度▼
未治療前立腺癌患者 20 例に本剤を皮下投与した際の血清中テストステロン濃度は、投与 3 日後に
一旦上昇がみられた後、4 週後には去勢域値(72 ng/dL)以下に低下し、12 週後まで去勢域値以下
を維持した。
平均血清中テストステロン濃度 (ng/dL)
1000
900
800
平均±標準偏差
700
(n = 2 0 )
600
500
400
300
200
去 勢 域 上 限 (7 2 n g/d L )
100
0
0 (3 日 )
8
4
測定時期(週)
血清中テストステロン濃度の推移
5
12
2.
重要な基本的注意
LH-RH 作動薬の投与開始初期に、血中テストステロンの一過性の上昇を認める。
この時期に骨性疼痛の一過性増悪
骨性疼痛の一過性増悪がみられることがあるが、このような症状があら
骨性疼痛の一過性増悪
われた場合には対症療法を行うこと。また、尿路閉塞
尿路閉塞あるいは脊髄圧迫
脊髄圧迫のみられ
尿路閉塞
脊髄圧迫
るおそれがあるので、慎重に投与し、投与開始1ヵ月間は十分観察を行い、このよ
うな症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
6
解
説
前項に記載しましたように本剤及び他の LH-RH アゴニストの投与開始初期に、下垂体-性腺
系刺激作用により血清中テストステロン濃度の一過性の上昇に伴って臨床症状の増悪がみら
れることがあります。
この前立腺癌随伴症状の増悪(フレアーアップ)として、骨性疼痛や排尿困難といった症状の
発現がみられますが、これらの症状は通常一過性で、本剤の投与継続中に軽快・消失しま
す。
なお、骨痛増強の場合には鎮痛剤投与、排尿困難時にはカテーテル挿入など、また、脊髄圧
迫には放射線照射など対症療法が施行されることもあります。
投与初期に抗アンドロゲン剤を短期併用することで、フレアーアップを予防できるという報告も
あります 1)。
1) 赤座英之:泌尿器外科, 12(5), 623-634, 1999
7
3. 副作用
国内臨床試験において安全性が評価された全 40 症例中 27 例(67.5%)に臨床検査値の異常を
含む副作用が 57 件報告された。主たる副作用は体のほてり(20.0%)、トリグリセライド上昇
(15.0%)、貧血(12.5%)、勃起力低下(10.0%)であった。
海外臨床試験において安全性が評価された全 135 症例中 95 例(70.4%)に副作用が 146 件報告
された。主たる副作用は体のほてり(63.7%)、乳房腫脹(5.2%)、発汗(5.2%)、乳房圧痛(4.4%)
であった。
(承認時)
8
解
説
国内及び海外臨床試験の副作用集計一覧表を以下に示します(社内資料)。
国内臨床試験副作用発現状況一覧表(投与期間:12
国内臨床試験副作用発現状況一覧表(投与期間:12 週)
安全性評価対象例数
副作用発現例数(発現頻度)
副作用発現件数*
副作用の種類
件数(%)
皮膚
瘙痒(症)
2(5.0)
発疹
1(2.5)
内分泌
4(10.0)
勃起力低下
性欲減退
2(5.0)
泌尿器
1(2.5)
排尿困難
尿失禁
1(2.5)
肝臓
AST(GOT)上昇
3(7.5)
ALT(GPT)上昇
3(7.5)
γ-GTP 上昇
3(7.5)
精神神経系
めまい
1(2.5)
頭痛
1(2.5)
40 例
27 例(67.5%)
57 件
副作用の種類
消化器
鼓腸放屁
口内炎
口内乾燥
筋・骨格系
背(部)痛
血液
貧血*
その他
体のほてり
トリグリセライド上昇
コレステロール上昇
発汗
食欲不振
無力症
倦怠感
件数(%)
1(2.5)
1(2.5)
1(2.5)
1(2.5)
5(12.5)
8(20.0)
6(15.0)
2(5.0)
2(5.0)
1(2.5)
1(2.5)
1(2.5)
* 貧血(5 件)は赤血球減少(4 件)、ヘマトクリット値減少(3 件)、ヘモグロビン減少(3 件)から読み
替えた。副作用発現件数には読み替え前の件数(10 件)を集計に含めた。
海外臨床試験副作用発現状況一覧表(投与期間:最長 65 週)
安全性評価対象例数
副作用発現例数(発現頻度)
副作用発現件数**
副作用の種類
件数(%)
循環器
高血圧
1(0.7)
末梢性浮腫
1(0.7)
内分泌
乳房腫脹
7(5.2)
乳房圧痛
6(4.4)
勃起力低下
4(3.0)
性欲減退
3(2.2)
性機能異常
1(0.7)
泌尿器
血尿
1(0.7)
精神神経系
めまい
1(0.7)
頭痛
1(0.7)
感情不安定
1(0.7)
消化器
悪心
1(0.7)
食道狭窄
1(0.7)
135 例
95 例(70.4%)
146 件
副作用の種類
呼吸器
咳
呼吸困難
筋・骨格系
骨性疼痛
関節痛
筋肉痛
注射部位
軽度の皮下出血等
の局所反応
その他
体のほてり**
発汗
疼痛
倦怠感
悪寒
糖尿病
件数(%)
1(0.7)
1(0.7)
2(1.5)
1(0.7)
1(0.7)
2(1.5)
86(63.7)
7(5.2)
3(2.2)
2(1.5)
1(0.7)
1(0.7)
** 副作用発現件数には体のほてりを複数回発現した重複カウント症例(9 件)が集計に含まれる。
9
(1) 重大な副作用
1) 前立腺癌随伴症状の増悪(頻度不明*):
本剤投与開始初期に骨性疼痛、尿路閉塞、排尿困難、脊髄圧迫等があらわれる
ことがある。このような症状があらわれた場合には対症療法を行うこと。(「2.重要な
基本的注意」の項参照)
*ゾラデックス 3.6mg デポの使用上の注意に記載されているが、本剤の臨床試験では観察されなかった事象を含む
ため頻度不明とした。
2) アナフィラキシー(頻度不明*):
アナフィラキシー等の過敏症状があらわれることがある。このような症状があらわれ
た場合には適切な処置を行うこと。
*ゾラデックス 3.6mg デポの使用上の注意に記載されているが、本剤の臨床試験では観察されなかった事象を含む
ため頻度不明とした。
10
解
説
「1.慎重投与」の項(4 頁)及び「2.重要な基本的注意」の項(6 頁)において、本症状については注
意を喚起しております。以下に、本剤の国内及び海外臨床試験時に発現したフレアーアップ(前立
腺癌随伴症状増悪)症例の詳細を示しました。
解
副作用
症状 ・ 経過
国内
排尿困難
本剤投与 9 日後に極めて重度の排尿困難が発現した。バルーンカテーテル留
70 代
(極めて重度)
海外
疼痛
70 代
(軽度)
海外
疼痛
70 代
(重度)
海外
骨痛
60 代
(軽度)
海外
異常感覚
60 代
(軽度)
置により 4 日後に回復したため、その後治療を継続した。
本剤投与 28 日後に軽度の疼痛増大が発現した。(治験登録時に腕及び
肩の疼痛がみられた。)アセトアミノフェンを処方した。治療は継続した。
初回投与日に重度の下肢疼痛を訴えたが、28 日後には消失した。治療
は継続した。
初回投与 2 日後に軽度の骨性疼痛を訴えたが、5 日後には消失した。治
療は継続した。
初回投与 14 日後に足指における異常感覚(脊髄圧迫)を訴えたが、70 日
後には消失した。
説
国内及び海外臨床試験において本剤によるアナフィラキシーは観察されませんでした。
軽度の皮膚障害としては、国内臨床試験において、瘙痒(症)2 件(5.0%)及び発疹1件
(2.5%)が観察されましたが、これらの副作用により試験中止に至った症例はみられず、海外
臨床試験では皮膚障害は観察されませんでした。(「3.副作用」解説の項(9 頁)参照)
なお、酢酸ゴセレリンを投与された患者で重篤な過敏症状(アナフィラキシー)を発現した海外
報告 1)がありますので、その詳細を下記に示します。
[重篤な過敏症状・症例概要]1)
性・
年齢
女
36 歳
使用理由
(合併症)
子宮内膜症注)
併用薬
投与量
3.6mg
(4 週に 1 回)
経
過
及
び
処
置
3 回目投与 2 日後、注射部位に軽度の局所反応(かゆみ、腫
脹、紅斑)が発現し、4,5 回目の投与後も同様の経過。6 回目
投与 8 時間後、投与部位に瘙痒と紅斑が発現。24 時間後に
は次第に増悪し、体幹・四肢に拡大。ジフェンヒドラミンで、幾
分改善したが、約 48 時間後に全身性の発疹、腫脹、呼吸困
難等が発現し、救急室にてエピネフリン、ジフェンヒドラミン、
ステロイド剤等にて治療。約 2 週間後に回復。
プリックテストの結果、酢酸ゴセレリンが陽性反応を示した。
結合型エストロゲン、酢酸メドロキシプロゲステロン
注) ゾラデックス 3.6mg デポの国内で承認された効能・効果は「前立腺癌」及び「閉経前乳癌」です。
1)
Raj, S.G., et al. : Am. J. Med. Sci., 312(4), 187-190, 1996
11
3) 間質性肺炎(頻度不明*):
間質性肺炎があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること。
*ゾラデックス 3.6mg デポの使用上の注意に記載されているが、本剤の臨床試験では観察されなかった事象を含む
ため頻度不明とした。
12
解
説
本剤の国内及び海外臨床試験では、間質性肺炎は観察されていません。
しかし、現在までにゾラデックス 3.6mg デポ投与例において、国内で因果関係が否定できない
間質性肺炎症例が報告されていますので、国内のゾラデックス 3.6mg デポの使用上の注意を
参考に設定しました。
以下に、その詳細を示します。
[間質性肺炎・症例概要]1)
性 ・
年 齢
男
77 歳
使用理由
(合併症)
前立腺癌
併用薬
投与量
3.6mg
(4 週に 1 回)
経
過
及
び
処
置
本剤の投与開始約 2 年後、投与後 2~3 日続く全身倦怠感と微
熱を自覚していたが放置。その後も、本剤投与後同様の症状が
出現していた。投与開始約 3 年 4 ヵ月後、3 日間持続する全身
倦怠感、発熱があったが、自然に軽快するも、10 日後、呼吸苦
が出現し、発熱、発汗を認め、徐々に意識を消失したため、入
院。入院時、両肺野に捻髪音、胸部 X 線上びまん性すりガラス
状陰影、CT 上蜂巣状陰影がみられた。
間質性肺炎と診断し、挿管による呼吸管理の上、ヒドロコルチゾ
ンの投与を開始。25 日後、胸部 X 線上、右上肺野の一部を除
いてほぼ回復したため、人工呼吸器を除去した。
末梢血での DLST は陰性であった。
な し
1) 国島康晴他:臨床泌尿器科, 52(10), 765-767, 1998
13
4) 肝機能障害、黄疸(頻度不明*):
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP 上昇等の肝機能障害、黄疸があらわれることが
あるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこ
と。
*ゾラデックス 3.6mg デポの使用上の注意に記載されているが、本剤の臨床試験では観察されなかった事象を含む
ため頻度不明とした。
14
解
説
本剤の国内及び海外臨床試験では重度の肝機能障害は観察されておりません。しかし、現
時点までに、ゾラデックス 3.6mg デポ投与例において、国内で因果関係が否定できない重篤
な肝障害の症例が報告されていますので、国内のゾラデックス 3.6mg デポの使用上の注意を
参考に設定しました。
[重篤な肝機能障害・症例概要]
使用理由
(合併症)
性・年齢
前立腺癌
(痔核)
男・70 代
投与量
3.6mg
(4 週に 1 回)
経 過 及 び 処 置
前立腺癌(Stage C)と診断され、ゾラデックス 3.6mg デポ(以下、ゾ
ラデックス)及びフルタミドの投与を開始した。約 7 ヵ月後、肝機能
障害のためフルタミドを中止し、ゾラデックス単独投与となった。そ
の約1年後(ゾラデックス投与約 3 週間後)、内痔核の手術のため
に入院した。入院時車椅子を使用しており顔色は不良で活気がな
く、血液検査で高度の肝機能検査値異常(AST:2718 IU/L、ALT:
1135 IU/L)が認められた。強力ミノファーゲンC 40mL/日投与(死
亡時まで継続)により、徐々に AST、ALT 値は低下。腹部 CT では
異常なし。入院 10 日後、ゾラデックスを投与したところ、再度 AST、
ALT が上昇した(各 443 IU/L、571 IU/L)。翌月のゾラデックス投
与(最終投与)後にも、AST、ALT が上昇し(各 246 IU/L、182
IU/L)、また食欲低下、栄養状態不良、抵抗力低下が認められ、
寝たきりとなった。約1ヵ月後、肺炎、肺化膿症となり抗生剤で治療
したが奏効しなかった。入院 84 日目の肝機能検査値は AST 36
IU/L、ALT 44 IU/L であったが、入院 88 日目に死亡した。剖検は
実施されていない。
[死因:肺炎(本剤との因果関係なし)]
併用薬
な し
入院
半年前
入院日
入院
8 日目
入院 13 日目
(本剤投与 2 日後)
入院
37 日目
入院 43 日目
(本剤最終投与 4 日後)
入院
84 日目
AST(IU/L)
38
2718
338
443
137
246
36
ALT(IU/L)
26
1135
462
571
175
182
44
15
(2) その他の副作用
1) 国内データ(投与期間:12
国内データ(投与期間:12 週)及びその他
発現部位
5%以上
5%未満
循環器注 2)
皮膚
瘙痒感
内分泌
性欲減退・勃起力低下
発疹
乳房腫脹・圧痛
排尿困難
泌尿器
肝臓
頻度不明注 1)
高血圧、低血圧などの血圧の変
動
AST(GOT)、ALT(GPT)、
γ-GTP の上昇
BUN 上昇、クレアチニン上昇、
蛋白尿
Al-P、LDH の上昇
精神神経系
感覚異常(しびれ等)
消化器
悪心、嘔吐
骨性疼痛、関節痛、骨塩量の低
下
白血球減少、血小板減少
筋・骨格系
血液
貧血
軽度の皮下出血等の局所反応
注射部位
その他
発汗、体のほてり、トリ
顔面潮紅、発熱、浮腫、体重増
食欲不振、倦
グリセライド上昇、コレ
加、鼻出血、血糖値上昇、下垂
怠感
ステロール上昇
体卒中
注1) ゾラデックス 3.6mg デポの使用上の注意に記載されているが、本剤の臨床試験では観察されなかった事
象を含むため頻度不明とした。
注2) 通常、一過性で、治療の継続又は休薬により回復するが、必要に応じて本剤投与中止等の適切な処置
をとること。
2) 海外データ(投与期間:最長 65 週)
発現部位
5%以上
1~5%未満
循環器注)
内分泌
乳房腫脹
乳房圧痛、性欲減退・勃起力低下
筋・骨格系
骨性疼痛
注射部位
軽度の皮下出血等の局所反応
その他
発汗、
体のほてり
1%未満
高血圧、低血圧などの
血圧の変動
関節痛
倦怠感
浮腫
注) 通常、一過性で、治療の継続又は休薬により回復するが、必要に応じて本剤投与中止等の適切な処置をと
ること。
16
解
説
その他の副作用のうち、頻度の高かった副作用は、LH-RH アゴニストの薬理作用である血清
中テストステロン低下作用に起因する体のほてり、発汗、乳房腫脹、性欲減退、または勃起力
低下等でした。
本剤の国内外臨床試験における副作用発現状況は副作用集計一覧表(9 頁) をご参照下さ
い。
17
4. 小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない
(使用経験がない)。
5. 適用上の注意
必要に応じて投与部位にあらかじめ局所麻酔を施行する。
6. その他の注意
(1) 本薬で抗腫瘍効果が得られず進行を認めた場合は、集学的治療法などの治
療法を考慮すること。
(2) 本剤の投与により脳梗塞等の血栓塞栓症がみられたとの報告がある。
(3) 雄ラットに長期投与した試験で、対照群に比し、良性の下垂体腺腫の発現の
増加がみられている。本所見は外科的に去勢した雄ラットにおいても報告され
ている。
18
解
説
本剤の小児に対する使用経験はなく、安全性が確立しておりません。
解
説
国内臨床試験のプロトコール上、局所麻酔使用の制限はしていませんでしたが、未治療患者 20
例のうち、3 例(15%)が局所麻酔を施行されました。なお、海外臨床試験 1)では本剤の投与回数
総計 614 回中、17 回(3%)において局所麻酔が施行されました。
必要に応じて、予め投与部位に局所麻酔施行を考慮願います。
1) Fernandez del Moral, P., et al.: Urology, 48(6), 894-900, 1996
解
説
(1) 本剤は、内分泌療法剤であり、根治的療法ではありません。前立腺癌の進行が認められ
た場合は、他剤に変更又は集学的治療等を施行して下さい。
(2) 本剤の国内及び海外臨床試験では血栓塞栓症は観察されておりません。しかし、海外に
おいて本剤との因果関係が不明な肺塞栓症例が報告されておりますので、ゾラデックス
3.6mg デポと同様に本項に設定しました。
(3) ラットの 12 ヵ月投与(雄 1000,2000µg/28 日、雌 500,1000µg/28 日:いずれも徐放性製
剤を皮下投与)毒性試験1)からの報告です。本所見は外科的に去勢した雄ラットでも報告
されています2)。現時点において、ヒトでは国内外ともに観察されておりません。
1) Iswaran, T.J.他: 薬理と治療, 17(3), 799-815, 1989
2) Griesbach, W.E., et al.:Br. J. Cancer, 14, 49-59, 1960
19
MEMO
20
Fly UP