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NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
発展途上国の対外債務累積問題について
Author(s)
田口, 信夫
Citation
経営と経済, 56(3), pp.111-141; 1977
Issue Date
1977-01-31
URL
http://hdl.handle.net/10069/28004
Right
This document is downloaded at: 2017-03-31T21:50:19Z
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
発展途上国の対外債務累積問題について
111
発展途上国の対外債務累積
問題について
田口信夫
I 序
Ⅱ 発展途上国の対外債務の現状
Ⅲ 対外債務累積の金融的側面
Ⅳ 対外債務累積の貿易的側面
Ⅴ 結び
I 序
第二次大戦後,着実な勢いで増加してきた発展途上国の公的対外債務残高
は,1973年10月のオイル・ショックおよび74年の世界的同時不況を経て膨大
な額にのぼり,世銀の年次報告(1976年版)によれば,1974年末に1500億ド
ルの大台を突破した。かかる苦境に直面した,発展途上国は1975年2月マニ
ラで77カ国グループ僚閣会議を開き,対外債務の問題について,次のような
要求を先進国側につきつけた。
(I)政府間債務については元木の帳消し,利払いの停止または猶予,こ
とに後発発展途上国に対しては,元本の帳消しをし,(Ⅱ)MSAC(石油
危機でもっとも大きな損害を受けた国)に対しては,(1ト定期限までの債務
を放棄すること,(2)民間債務については支払期間を25年以上に延ばすこと,
(3)主要債権国・債務国会議を1976年以内に開催し,債務支払いのガイドライ
ンを決めること1)。いわゆるマニラ宣言がこれである。
本宣言は本年5月ナイロビで開かれた UNCTAD第4回総会に向けて準
備されたものだが,第4回総会を経て発展途上国の対外債務問題は一次産品
問題とならんで,いまや南北間題の重要な一環を形成しつつあるといってよ
経営と経済
1
1
2
い。そこで,本稿ではまず発展途上国の対外債務の現状をみ,次に対外債務
が累積してきた要因を金融的・貿易的側面から検討することによってこの問
題に対する理解の一助としたい。
注
(
1
)
r
世界経済J1
9
7
6, 7月 VoL.XXXNo. 7,4
2頁より引用。
E 発展途上国の対外債務の現状
発展途上国の対外債務累積について早くから警告を発したのはピアソン委
員会であり,同委員会は報告の中で
r
発展途上国の負債問題は深刻であ
り,元利支払は大きな負担となっている O これに起因する危機が, 1950年代
末から 1960年代を通じてつぎつぎと生じており,この問題を少ししらべれ
ば,今後数年間に,低所得国の負債問題が深刻の度を加えるであろうことは
明白になる 1)Jと述べている O
同委員会によれば,発展途上国の対外公的債務 2)は
, 1960年代には年平均
1
4
9
6の増大を示し, 1968年 6月には 475億ドノレに達した。そして,政府勘定
による負債の元利送金は,過去1
0年聞に年平均1
7
9
6でふえ, 1967年には47億
ドノレにのぼった o
しかし,同委員会のこのような警告にもかかわらず,上記の趨勢は 1970年
代に入ってもとどまるところを知らず,むしろ増勢の傾向を示しているとい
ってもよい。そこでまず,発展途上国の公的債務残高と債務返済額の規棋
が
, 1970年代に入ってどのように変化したか検討してみよう O
第 l表は 8
6発展途上国の 1
9
6
7年から 1974年までの対外債務残高および債務
返済額を示したものであるが,年末債務残高の欄をみると, 1970年代に入っ
9
7
4年ま
て債務が急激な速度で増加していっているのがわかる o 1967年から 1
での期間でみると実に年平均2
8・
5%の地加率であり,それまで増加率(年平
均1
4
9
6
) を大幅に上回って増加しているのである O 乙のような債務残高の急
増に伴って債務返済額の方も急激な増加を示し, 1
9
6
7年から 1
9
7
4年までの期
間における債務返済は年平均3
5
9
6という債務残高の増加率をも上回るおどろ
くべき増加率(それ以前の 1
7
9
6と比較せよ)を記録したのである O しかも,
1
1
3
発展途上国の対外債務累積問題について
第 1表
年
8
6開発途上国の公的対外債務
│ 年末債務残高総額
│
債務返済額
│債務返済・債務残高比率
I11967~74 年の増加率\ I{1967~74年の増加率\ I
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注:(
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(
2
) 債務返済・債務残高比率一
}一債務残高
一
世界銀行年次報告
1
9
7
6年版より作成。
このような債務返済の増加は今後もおとろえそうもなく,第 2表にみられる
ように, 1975年以降においても債務返済額は年 150億ドノレと巨額の返済が予
想されているのである口
かくて,発展途上国の債務返済・債務残高比率は,第 l表にみられるよう
に
, 1970年代に入って上昇の傾向を示し,輸出の不振に悩んでいる発展途上
国にとって債務の返済が大きな負担となったことを物語っている D なぜなら
ば,債務返済・依務残高比率が上昇に転じたということは,発展途上国が先
進工業国の政府や民間あるいは国際機関から借入れる受取り額の増加率より
も,返済をせまられる支払い額の増加率の方が上回っていることを芯味して
いるからである O
この点を第 3表によって,もう少し詳しくみてみよう O 第 3表は年々の発
展途上国への資金流入と対外伏務返済額との関係をみたものである o 同表に
よると, 1967年から 1974年までの期間における 86発展途上国への資金移転額
(
{
1
1.)は,年平均約 25.5,
9
6の増加率であったが,債務返済征!の印加率は年平均
.5,
9
6であった。その結果,債務返済・粗資金流入比率または依務返済・
約 31
総援助流入比率(第 3表の b/a) は
, 1967年の 36・
2 %から 1974年には 44.8,
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1
1
6
経常と経済
へと急激な悪化の一途をたどっているのである O このことは,発展途上国が
受け取る援助資金のうち債務返済に当てられる部分が年々増加していってる
ことを意味しており,それだけ国内の経済開発や食料品の輸入に使える割合
966年に先進国から
が減少していくととを芯味している。 H. マグドフは, 1
発展途上国に流れた援助資金のうち約 44 労が過去の債務を返済するためにも~
われためと述べたが, 1
9
7
4年の数字でみると,発展途上国へ流入してきた粗
02億ドノレのうち, 1
3
5億ドノレ(粗資金流入量の約 45%) は債務の返済
資金量 3
6
6億ドノレにすぎないので
に当てられ,発展途上国が実際に受け取った額は 1
あるつまさに発展途上国は債務を返済するために資金を借入れるという悪循
環をくりかえしているといわざるをえない。
次に,発展途上国の債務返済負担比率を示す公的対外債務返済額の総輸出
額に占める割合をみてみよう o 第 4表をみると,全体的にはそれほど大きな
0必をこえた国が 1
9
6
7年の
変化はみられないが,第 1に債務返済負担比率が 1
1
6カ国から 1
9
7
3年には 28カ国へ増加しているとと,第 2!とは債務返済負担比
率の高い国が借入れ額の大きいラテン・アメリカ,アジア地域(第 2表 参
照)に集中していることなどの特徴点がみられる。とりわけ,ラテン・アメ
リカ地域は伝統的に高い債務返済負担出率を示しているが,この点に関し,
第一勧銀調査月報は典型的な債務国であるブラジノレ,アノレゼンチン両国を特
にとりあげて次のように述べている O
「フィナンシャノレ・タイムズによれば,民間企業も含めたブラジノレの対外
4年末に 1
6
7億ドノレ, 75年末には約 220億ドノレに上ったとされ
債務残高は, 7
6年 9月から 77年 9月までの 1年聞に,元本返済だけで 22億
るD このため, 7
6,
0
0
0万ドノレが予定され,
さらに 2
5億ドノレの利子支払いが加主されるという
(
7
6年 4月2
1日号) 0 また,アノレゼンチンの 7
5年末の対外債務残高は 100佑
ドノレ近く, 7
5年の債務返済は 30億ドノレに及んだといわれる(ユーロ・マネ
ー
, 7
6年 2月号 )4)J0
しかし,ブラジノレやアノレゼンチンのように,資源が豊富で工業化もある程
度進んでおり,将来の債務返済能力もあると考えられる国はまだいい方で,
インドやパキスタン(第 4表にみられるように,両国も高い債務返済負担比
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h115.
山
--1L0.ι11ι 件 1.16.1116.5L31ιι13111ι2.5L213.0.5.6.1ιιL3.ν
ム4.11ι2.
n
引
戸2 1 1 1 1
σ
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以ンワンルア一ゴインビナ海アトリガウ⋮リリエジンガラリダジザゴンオ一ビア民一ド民イリガイ⋮・ゼヴジ⋮ンタニア・
ラニツルメ央ヤンテボン一牙ニソベダラリ一一ジイワネエマ一ワン一ガヴインジ翠イン幹レインヴインルリラリロスミクル
ハベボプカ中チコエガガガ象ケレリマママモモニナルセシソススタトウ上ザザア中フイ大マフシ市タテアボブチココドエエ
サ束ラ
i
名
国
117
発展途上国の対外債務累積問題について
2
日4表 公的対外債務返済額の総輸出額に占める比率 (
1
)
1
9
6
7
7
4
1
1
8
経営と経済
叫 197011971119721 1973 11974
1
11967119681
同 名
H
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ホンデュラス.....・ ・
ジャマイカ…
メキシコ・・・・・・・・・
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.
トリニダッド・トパコ1
.
.
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北アフリカ及び Iド近来
アフガニスタン (7) ・
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エジプト・アラブ共和国
イラン (7)
1
.
.
.
.
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.
.
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シリア・アラブ共和国…
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南アジア (8)
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ノマキスタン (7)(9)・
スリ ・ランカ・・・・・・・・
日開発途上地中海諸国
ギ、リシャ・・・・・・・
イスラエノレ・…・・
マノレタ…・……・………
・
・
ポノレトガノレ……...・ ・
スペイン……・・・・…
トルコ…・…・・
ユーゴースラヴィア (10)
注:データの出所,定義及び解釈については「統計表の一般的注釈」に担げられている。
(
1
) 他に明示がない限り,全商品及びサーヴ、イスを含む。一部の国のデータは部分的に
推定値が用いられている。
(
2
) 乙れらの特定国に対しては,特別の通貨協定があるので,その国の対外金融状態を
把短する際に,とくに注意が払われねばならない。
(
3
) 輸出のデータは i
部品輸出のみ。
(
4
) 0
.
1以 下
(
5
) 束アフリカ共同体の支払分の%が加えられている。
(
6
) 乙の年の支払は期限前返済を含む。期限前返済を除く比率は以下の通りである:ア
9
7
4年度に 1
1
.
5
9
6,イラン 1
9
7
3
年度に 12.8%,パナマ 1
9
7
3,
7
4年度にそ
ノレジエリア 1
れ ぞ れ9
.
0
労 及 び1
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.
6
9
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9
7
3,
7
4年度にそれぞれ2
3
.
7
9
6
及 び1
9
.
3
9
6, トリニ
ダッド・卜パコ"
1
9
7
4年度にl.7
9
6,ザンビア 1
9
7
3
年度に 6.7%
(
7
) 資料は会計年度による。
(
8
) バングラデシュを除く。
(
9
) パキスタンのデータのうち 1
9
7
4年までは束パキスタンを含む。 1
9
7
3,7
4年度の比率
9
7
1,7
2年度分の債務遅滞も合む債務救済を反映している。
は
, 1
U
O
) 公的対外債務は, 1
9
6
7年に開始された民間借入に百きかえられて減少しつつある。
世界銀行年次報告 1
9
7
6
年版
1
1
9
発展途上国の対外債務累積問題について
率を示している)のように,工業化も進んでおらず,特定の一次産品(しか
も需要の伸びが期待できない)の輸出に依存している固にとっては,債務返
済の問題はより一層深刻である O たとえば,その典型的な例は銅と亜鉛の輸
出に輸出の大半を頼っているザイーノレである。白木経済新聞によれば,ザイ
ーノレは対外債務およそ 3
0億ドノレのうち,その半分以上を占める公的債務,政
9
7
5年 6月以来九一部民間市場からの借入れの利
府保証債務をこけ'っかせ, 1
子支払いさえできなくなっている句。また,第 4表にみられるように,エジ
プト・アラブ共和国などは
第 l図 非 産j
出発展途上同の債務および
債務返済負担比率
150E
1
5
0
(単位:100万ドル)
0
9
6以上の高い
1
9
7
2年以降 3
債務返済負担比率を示して
1
0
0
1
0
0
8
0
8
0
おり,今後の債務返済能力
6
0
6
0
が心配されるのである。
4
0
4
0
2
0
2
0
0
86
1A
1
0
IMFの副専務理事であ
る W
illiam B. Dale は
1
9
7
6年 5月ナイロビで閃か
れた第 4回 UNCTAD 総
会の演説の中で,最近の近
8
6
4
4
況について次のよう述べて
いる o
「非産油途上国の債務返
済負担比率
(
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(%)
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形から 1
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7
4年には 9 %に下
ったが, 1
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5年には,主要
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1968196919701
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7
6,p
.2
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5
6
0
には多くの一次産品価格の
2
9
6
下落を反映して,再び 1
経営と経済
1
2
0
に上昇した 6)J0
(
第 l図参照) 0
もちろん,このような債務返済負担比率上昇の背景として,石油危機以降
における非産油発展途上国の民間市場からの大量借入れもみのがすことはで
きないが,それはともかくとして,上記述べてきたように,発展途上国の債
務状況は年々深刻の度を加えつつあるといってよい。
それならば,このような状況をもたらした要因は,いったいどこにあった
のだろうか D 以下,その要因を金融的側面と貿易的側面から検討していきた
し"
0
注
(
1
) Partnersi
nDevelopment,1
9
6
9
.大来佐武郎監訳『開発と援助の出想』日本経
済新聞社, 1
9
6
9年
, 5
6
頁
。
(
2
) 第一勧銀調査月報は対外公的債務について,
i
借入国の政府および公的機関が直接
負担し,または借入保証をしている 1年以上の外国に対する債務を指す」と規定して
いる。第一勧銀調査月報, 1
9
7
6
年 8月号, 4頁
。
fImperialism,1
9
6
9
.p
.1
5
0
. 小原敬士訳『現
(
3
) HarryMagdoff,TheAgeo
代の帝国主義』岩波書居, 1
9
6
9
年
, 1
8
2
瓦
。
(
4
) 第一勧銀調査月報, 1
9
7
6年8月号, 7頁
。
(
5
) 日本経済新聞,昭和 5
1年1
0
月 2日付け,
1M F・世銀特集。なお同紙によれば,ザ
イーノレの債務問題に関して本年 6月パリで閃かれた債権国会議では, (
1
)
7
5
年;7
6年上
半期に払えなかった債務の 15%については 7月 1日に支払い, (
2
)
残りは 3年間の凍結
期間をおいて 7年間で支払う一一乙とで合意をみたが,ザイールは 7月 1日の返済期
限になっても支払わなかったとのことである。
(
6
) IMFSurvey,May1
7,1
9
7
6,p
.1
5
6
.
E 対外債務累積の金融的側面
ピアソン委員会報告は「現在の債務問題は,過去の借款条件が借入国の返
済能力に比べて厳しすぎた」として, 1960年 代 に お け る 発 展 途 上 国 の 公 的 債
務および債務支払い急増の原因を次の 4点に求めている O
第 lは
, 1961年以降援助は急速な増加をみせなかったにもかかわらず,援
1
2
1
発展途上国の対外債務累積問題について
I
J
j
]に占める借款の割合がめだって大きくなってきたこと
D
第 2は,政府貸付条件は, 60年代のはじめは幾分緩和されたものの, 1964
年から輸出信用が増大し,全体の平均貸付条件が悪化したこと o
第 3は,民間資本市場における資本コストの上昇によって,世銀その他の
多国間貸付機関が借款の金利を引き上げざるをえなくなったこと O
第 4は,世界の資金市場における金利の上昇のため,機械設備賠入に供与
される信用コストが上昇した乙とであるわ。
これらの条件は 1970年代に入ってどのように変化したのだろうか D またそ
の他の指標はどうなっているのだろうか。以下,われわれは上記ピアソン委
員会の報告も参考にしながら, 70年代における種々の指標を検討し,対外債務累積の金融的側面をみていきたい。
まず第 1~乙発展途上国へ流れる資金の貸付主体別措成をみてみたい。なぜ
ならこれは借款条件の厳・絞をみる場合の重要な指標であるからである O 第
5表は 1965年から 1975年までの期聞における D A C諸国から発毘途上国およ
び国際機関への資金の流れを示したものだが,この期間を通して政府ベース
の資金の流れと民間ベースの資金の流れには大きな変化がみられる o すなわ
ち,発展途上国に流れる総資金呈のうち,政府ベースの資金豆の割合は年々
低下し,それと反対に民間ベースの資金呈の割合は年々上昇の傾向をたどっ
ているのである。両者の割合は 1
960年代までは,前者が後者を圧倒的に上回
975年には両者の比ITt
っていたが, 1970年代に入るとその差は漸次縮少し, 1
は完全に逆転するに至っている O いわば,民間資本の流れが政府ベース資金
の不足を補反するという構造を呈してきているのである。
しかし,伏務返済の負担またはその他の理由からして,このような資金の
流れの構造上の転換は発股途上岡にとって必ずしも好ましいものとはいえな
いD まず民間貸付の典型である二国間有価証券投資と民間輸出信用をみる
と,両者は 1
9
6
0年代半ばより急速な上昇を示しているが,一般に民間の貸付
条件は政府ベースの貸付条件よりきびしいといわれており,このよなからして
も民間貸付の増大は発展途上国の出務返済に大きな負担をのこしたといわざ
るをえないのである o ピアソン J
5
5只会報告は「民間貸付の条件は,政府ベー
経営と経済
1
2
2
第 5表
DAC諸国 (1)から開発途上国及び国際機関への資金の流れ 1965-75
(1手位:10億米ドノレ)
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7
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5
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1970I
9
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│平均(百芳ドル〉
・・・
.
.
1
1
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政府及び民間ベース合計 (2)
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
1
政府ベース合計・・・ .
政府開発援助 (ODA) (3) …16,
贈与 (4) …・・…・……...・ ・
…
・ 1 3,
国際機珂写に対する出資……│
.
.
.
.
.
・ ・-…… 1 ,
1
二国間貸付....・ ・
│
その他政府資金 (5) …
民間ベース合計 (2) ・………...・ ・
1
.4,
直
接
投
資
・
・
・
・
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
二同問有価証券投資・.........
悶際機関に対する有価証券投資│
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
1
民間輸出信用・ .
H
H
H
H
H
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呈指標(純払出額)
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1 0
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7
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7
8
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9
9
資金の流れ総額の対 G N P比率(必 )(2) … 1 0
…10
.
3
4
1 0
.
3
5
1 0
.
3
3
1 0
.
3
0
1 0
.
3
3
1 0.36
政府開発援助の対 G N P比率(
9
6
)
.
.
.・・
民間及びその他政府資金の対 G N P比率
"
.
.
.
.
,
,
f
¥ ,
41 "
Afil
A
A
I f¥ A I
(%)(2)
… 1 0.
4
0
1 0.
4
2
1 0.
40
1 0.
4
4
1 0.
451 0.63
H
1
f
'
¥
f
:
'
I
条件指標
ODA純払 I
t
'
,額に占める贈与の比率(
9
6
/6)148.7147.2151
.0147.6147.2146.4
ODA貸付の加主平均期限(年)(7) ……… 130.20129.10129.50132.00In.a.In.a.
ODA貸付の 1
J
o
m
平均据間 !
G
F
Wl
J
(
年 )(7) … 1 7
.
3
0
1 7
.
0
0
1 7
.
8
0
1 8.
40in.a.In.a.
ODA貸付の加主平均金利(必)(7) ……… 1 2
.
8
0
1 2.
8
0
1 2.
8
0
1 2.
40
1n.a1
.n.a
おぼ約定額のグラント・エレメント
∞
184.10182.60184.80187.50186 (8700
注:各項目は,端数を切捨てたため合計があわないことがある。すべてのデータは,時
価及び為替相場による。
(
1
) オーストラリア,オーストリア,ベルギー,カナダ,デンマーク,フィンランド,
フランス, ドイツ連邦共和国,イタリア,日本,オランダ,ニュー・ジーランド,
ノーノレウェー,スウェーデン,スイス,連合王国,及び合衆国
(
2
) 民間有志機羽による贈与を除く。とれらの合計は 1
9
7
0年858百万ドル, 1
9
7
1年913百
レ 1
9
7
3年 1,
3
6
4百万ドノレ, 1
9
7
4年
1
, 217百万ドノレ,及
万ドノレ, 1
9
7
2平 1,
0
3
6百万ド j,
び1
9
7
5年
1
, 371百万ドノレと見積もられ,すべて DAC諸国からのものである。各年
において乙れらの数字は, G N Pの約0.0496に相当する。
(
3
) 政府開発援助 (ODA) は,国家及び地方自治体を含む公的椴関,または次の基準
をみたす行政機関によって行われる低開発国及び国際機関へのすべての資金の流れ
と定義される。
(
a
) 主たる目的が開発途上国の経済開発及び福祉の促進ということで迩営されてい
るとと。
(
b
) 貸付条件が性格上譲与的なものとして意図されていること。
(
4
) 受取人の通貨で表わされる「贈与類似」の資金の流れを合む。
(
5
) その他政府資金は特に次のものを合む。
(
a
) 譲与的でないか,または譲与的要素をもっとしても輸出促進の目的が主である
公的な二国間取引
(
b
) 多数国参加の開発銀行により市場条件で発行された有価証券に関する政府及び
中央金融機関による純取得中央金融当局による貿易手形の再割引は含まれない。
(
6
) 国際機関等に対する出資を含む。
(P) 暫定数字
n.a.入手不可能
(
7
) 約定ベース
(
8
) 1
0
9
6割引かれる。
く 出 所 > 世界銀行年次報告 1
9
7
6年版。ただし, 1965-67
年の資金の流れは“ IMF
Survey" ]uly1
9
.1
9
7
6より引用。
発展途上国の対外債務累積問題について
1
2
3
ス資金に比べてかなり厳しいために,商業的債務は全債務残高の 25%にすぎ
ないが,輸出信用とその他の民間ベースの借款に対する元利支払は債務支払
総額の約半分にのぼる 2)Jとさえいっている。
とりわけ,ピアソン委員会が懸念していたのは民間輸出信用の大幅な仲び
である D 同委員会報告は民間輸出信用について次のように述べている O
「輸出信用は経済開発に役立ちうるが,あまり過度にこれに頼ると大変に
危険なことになる o 第 1!乙,輸出信用は多くの場合,対外信用としてはコス
トが高い。表面上の金利が低くても,資材の購入に当たって,高い価格を払
わされれば,結果的には,コストは高くつく
O
当委員会に報告された例の中
には,世界市場価格の 2倍もの価格で購入させられたというものもあった。
おそらく,こんな例はまれであろう。しかし,多少割高なものを買わされる
という例は少なくないと思われる。第 2に,長期投資を賄うために,このよ
うな短期借入れに過度に依存した発展途上国は,国際収支上の大きな困難に
9
5
0年代中頃以来,アノレゼンチン,ブラジノレ,チリ,ガーナ,
直面している。 1
インドネシア,
トルコなど,多数の国で対外債務の支払繰延べが必要になっ
た主な理由は,短期的な輸出信用残高が著増したことにある。むやみに輸出
信用を利用していくと,このような債務繰延べは,将来はますます困難にな
るであろう 3)J0
しかし,このような警告にもかかわらず,輸出信用は 7
0年代に入っても依
9
7
5年には約 6
2億ドノレと民間ベース合計のほぼ
然としておとろえを知らず, 1
3割を占めているのである D
かくして,民間貸付の比主の増大は発展途上国の債務返済負担を増大さ
せ,債務返済のために再び資金を借入れるという悪循環をまねかずにはおか
ないであろう D
次に民間資金の流れの中で最大の要京を占める直接投資についてみてみよ
うO 直接投資は民間ベース合計のほぼ 5割を占め,しかも借款とちがって元
利の返済義務はないが,これとて現状からみるかぎり,全体的な効果はさて
おいて,金融的または国際収支的な側面からみると,発展途上国にとって必
ずしも好しいものとはいえなし」たとえば,第 6表はアメリカの対外直技投
経営と経済
1
2
4
第 6去
アメリカの対外直接投資にともなう国際資本移動(100万ドノレ)
全世界(計)
や
タ
カ
ナ
酉ヨーロッパ
日
本
オーストラリア他
先進国(計)
ラテン・アメリカ
そ
の
{
也
低閃発国(計)
投
(
:
;
]
:
1
:
資
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'
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I
L
¥
規
(A
流)
利
投
潤
資再
投資利益
本
金
国
(B
送)
B-A
4
,
18
9
2
1
0,
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23,
776
1
6,
0
8
0
447
53,
5,
497
1
1,
796
4
7
3
5,
494
4,
5
3
3
5
0
3
,
11
2
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1
1
1
.
2
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1
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2
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1,
1
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2
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2,
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332
1
2,
755
9
4
4
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0
7
,
12
7
0
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1
6,
2
3
1
1,
0
0
9
2,
7
3
;
:
;
30,
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5,
878
5,
2
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2
1
,
11
5
0
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2,
3,
8
5
2
6,
4
9
2
1
4,
740
-4,
5
4
1
1
2,
9
3
0
,
15
9
2
25.767
1
2,
9
7
5
1
4,
705
1
9
4
1
0,
1
3,
1
7
2
7,
554
320
9,
4,
5
2
2
27,
6
8
0
2
3,
366
874
1
6,
1
,
15
56
〔注) 1
9
6
0
6
9
;ドにおける累計額
〔資料) Surveyo
fCurrentBusiness,1
9
6
2
"
'
1
9
71
.
央*~茂次「通貨危機下の多国籍企業 J エコノミスト,昭和 46 年 11 月 23 日弓­
より借用。
資に伴う国際資本移動を示したものであるが,低開発国の欄をみると,手J
I
潤
の本国送金が発展途上国への新規流入額(アメリカからみると新規流出額〉
を上回っており,発展途上国へ流れてくる資金よりも発展途上国から出てい
く資金が多いことを示している口すなわち,単純に国際収支的側面でみる
と,直接投資は発展途上国にとってマイナスの効果を示しているのである。
1960年から 69年までの累計でいえば,発展途上国からネットで約 168億ドノレ
ものドノレが出ていったことになる。
この点に関し,ピアソン委員会報告は次のように述べている口
「誤解のなかでおそらく広く行なわれているのは,外国投資が国際収支に
与える効果を測定するに当って
r
新資本の流入』とその国の外国投資の利
潤送金とを比較するやり方であろう O このような測定では,外国投資家によ
る利潤の再投資を無視することになり,また外国投資が,輸出の促進や輸入
の節約に果たす効果を無視することになる O たとえば,中近京の石油産出国
に対する外国投資の国際収支効果を測定する場合,石油の輸出がふえたこと
を考慮に入れないで,投資額と利潤送金額とを単純に比較するのはナンセン
スである O 外国投資が国際収支に与える効果を正しく評価するには,もしそ
の投資が行なわれなかったとした場合,その国の国際収支がどうなっていた
1
2
5
発展途上国の対外債務累積問題について
かを考えるべきである 4)J。
しかし,われわれはこの考え方に全面的に賛成するわけにはいかない。な
るほど,外国投資が国際収支に与える効果を正しく評価するには,もしその
投資が行なわれなかった場合,その国の国際収支がどうなっていたかを考え
るべきであるが,それはどのような方法で行なうのだろうか。また,ピアソ
ン委員会は利潤の再投資ということを強調しているが,発展途上国における
利潤再投資の現状をどのようにみているのだろうか。第 6表をみるかぎり,
利潤再投資の規模は先進国と発展途上国ではあまりにもかけはなれていると
4
7
いわなければならない。 1960-69年の累計でみれば,先進国は本国送金 1
億 4,
000万ドノレに対し,手iJi
国再投資は 1
1
5億 5,
600万ドノレとほぼ半々の割合を
示しているが,発展途上国の場合には本国送金 2
3
3億 6,
600万ドノレに対し,手J
I
潤再投資は 45億 2,
200万ドノレと本国送金の音程度の低い割合しか示していな
いのである。また,資本の新規流入(アメリカからみれば新規流出〉と本国
送金の関係をみても,先進国と発展途上国では全く正反対のパターンを示し
ている o すなわち,先進国においては新規流入額が本国送金を上回っている
のに対し,発展途上国では本国送金が新規流入額を大幅に上回っているので
ある O いし可かえれば,直接投資は国際収支面からいうかぎり,先進国におい
てはプラス,発展途上国においてはマイナスの効果を示しているのである D
奥村茂次氏はこのような現実をとらえて
r
このことは『多国籍企業』をめ
ざすアメリカ企業の対外投資活動が,低開発国から大量のドノレを吸い上げ
て,西ヨーロッパをはじめ,先進諸国にその一部を持ちこんだ乙とを示して
おり,それはドノレが相対的に不足している地域から,過剰な地域へドノレを移
動せしめ,国際流劫性の地域的偏在を激化させて,
ドル危機の促進要因とな
ったことは明らかであるめ」と述べているが,ピアソン委員会は乙のような
現実をどのように評価するのだろうか。資料は少し古いが,第 7表にみられ
るように, 1
966年現在において,発展途上国の輸出額に占める債務返済と外
国投資利潤の割合は,いずれの発展途上国においても高い割合を示している
のである。もちろん,利潤のすべてが投資国に本国送金されるわけではない
が,第 6表でみたように,発展途上国において利潤のうち再投資にまわされ
1
2
6
経営と経済
る部分はきわめて少く(た
~'S 7 表債務返済と外国投資利潤に吸収
される輸出額の比率(19
6
6
年
〉
.
.
.
.
.
.
.6
9年の累計
とえば, 1960,
国
でいえば,投資収益 276億
名
ドノレのうち 45億ドノレが再投
資にまわされたにすぎな
い) ,この点からして,利
ニカラグア
ナイジエリア
ノマキスタン
6.
4b
チ
コロンピ
という形で外国へ流出した
コスタ L
エクアド,
といわざるをえないのであ
エチオピ 7
るO ピアソン委員会報告は
グアテマラ
ホンジュラス
、外国投資の輸出促進効
イ ン ド
果グということを強調して
ケ ニ ア
そのことによってえられる
利潤,すなわち発展途上国
における拡大再生産のため
に必要な資金の大半が本国
メキシコ
パ ナ マ
ノf
rミ
ラグァイ
ノ
レ
ー
ー
フィリピン
送金という形で流出してい
ト
っている現実をみないわけ
ウノレグァイ
にはいかないのである旬。
かくして,外国投資にも
とづく利潤の本国送金が国
際収支の大きな赤字要因と
IA
9.
4b
1
0
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1
4
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2
9
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1
.
8
jレ
ブラ♀
潤のほとんどは外貨の流出
いるが,先にみたように,
輸出額の比率 (
9
6
)
│債務の利│
│公的債務│子と外国
の佑還
│投資の手J
II 口;
出 品
│潤
l
jレ
コ
ベネズエラ
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5
3
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3
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.
3
1
2
.
3
2
3
.
8
1
7
.
1
2
6
.
1
(
a
) 1964年
(
b
) 1
9
6
5
年
(
c
) 外国投資の利潤をふくまない。
H. Magdoff,o
p
.c
it
,
.p
.1
5
5
. 邦訳,前掲
=(~n87頁。
みなされるならば,それは
とりもなおさず,債務累積のー要因とみなされなければならないだろう。なぜ
ならば,貿易収支において大幅な赤字を計上している現在,発展途上国は本
国送金によっておこった国際収支上のギ、ヤップを外部からの資金調達によっ
て埋め合せなければならないからである O かくして,
刈責務返済のために資
金を借り入れる H という先に述べたのと同じパターンが直接投資についても
1
2
7
発反途上国の対外債務累加問題について
第 8表地域別経常収支の推移(除公的移転)
単位:1
0
[
.
立ドノレ
よ三日
9
7
6
7
3 11974 1 19751 1
;
J
;
;
;
j
μ
;
;
%
:
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~I:毘 ll[l 途上川
I-9 I-2l..I-38 Iー 34
a
) I -4 IーF;>
そ の 仙(
5
11 ー1
1
-14
:
1
) J
;t
(注) (
アフリカ!イスラエ Jレ,キプロ
F
i
T
:
l,H
'J
ス,マノレタ,およと¥ーゴスラピア
OECD.,Economiぺi
o
u
t
l
o
o
k,December
1
9
7
5,p
.
6
4
.
みられるのである o
本国送金によって
引きおこされる国際
収支の赤字とは直接
関係ないが,債務累
積との関係で近年と
くに注目されるの
は
, 1974年と 75年に
非産油発展途上国が
民間市場から大量の
資金調達をお乙なっ
た乙とであろう o 1974年とお年,非産油途上国は石油価格と工業製品の値上
り,そして工業諸国の~:による一次産品価格の下落によって,第 8 表にみ
られるように,経常収支止ぷいて大幅な赤字を計上した。乙の経常収支の赤字
とみられるように,民間市場(とく
を補反するために,非産油途上国は第 9表 l
にユーロ・カレンシー市場)に大きく依存せざるをえなくなったのである。
第 9表をみれば,非産油発展途上国のユーロカレンジー市場からの借入れ
5億ドノレから 1
9
7
3年には 45億ドル, 1
9
7
4年には 6
3億ドル, 1975
は
, 1972年の 1
5低ドノレとおどろくべき増加を示している o これに米銀など,ユーロ
午には 8
カレンジー市場以外の民間市場からの借入れを加えるならば,その額はもっ
と巨初にのぼるはずである o しかも,民間の貸付条件は前にち述べたよう
に,政府あるいは国際機関の貸付条件にもともと劣っている上, 1
9
7
4年
, 75
年は金利,返済期間の面で条件がとりわけきびしいものであった。第一勧銀
調査月報によれば
7)
,
oくの場合に基準金利とされるユーロ 6カ月物レート
4必まで高騰し,乙れに上乗せとなるスプレッドは, 73
は
, 74年央には一時1
年の J'""l~ぎから 74 年には号 '""1 き%に拡大した(最優遇発展途上国に対す
4年以降再び短縮化の傾向にあり, 74年の 7'
るもの) 0 また,期間も 7
"
"
1
0年
に対して, 75年には 5年程度が支配的となっている o かくて,非産油途上国
9
7
4年
, 75年における民間市場からの巨額の借入れは,今後における債務
の1
1
2
8
経営と経済
9表 ユーロ・カレンシー銀行信用
(単位:1
0
0
万ドル)
1
9
7
5
二
三
そ の 他b
インドネシア
イ ラ ン
そ の 他
社会主義諸国
ポーランド
ソ 述
そ の 他e
、
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1
1
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3
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15
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64
12
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2,
42
7
,3 1 7 5 7 4
斗・守よ円
イタリー
,
,,,
8
ギリシ
87
67
02
83
68
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52
49
56
27
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73
95
00
09
73
37
29
33
53
37
4
8
nU14 勺凸 G U 1ム 円 。 ロ u n U 4 A R V R d 1
フラン
スヤ
先進国
1
9
7
4 上半期
。
1
9
7
2 1
9
7
3
4
6
9
1
1
5
2
6
3
1,
2
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1
2
9
発展途上国の対外債務累積問題について
返済の負担に一層の主圧を加えずにはおかないであろう o MorganG
uranty
TrustCompanyo
fNewYork も「より重大なととは,
(非産油発展途上
国が)過去 2年聞に経験し,そしておそらく 1976年にも経験しそうな巨額の経
常収支の赤字が, 2
"
"
"3年後におけるきわめて急激な債務返済必要額の増加
を意味する 8)J ものだとして,将来における非産油途上国の債務返済の困難
を予想している。
右務
j5~'、{十川
ifr
最後に, {J'伯;ω2
する{借昔;款夫の条件をみてみよう o 借款の負担を評価する方法としてグラント・
エレメントを測定する方法があるが,これは借款条件がどの程度絞和された
かを近似的に示す指標であり,利子平・償還期間,据置期間等が主要なきめ
てとなる o すなわち,利子率が低ければ低いほど,また償還期間,据置期間
が長ければ長いほど,グラント・エレメントは高くなるのである O そこで第
10表をみてみると, 86発展途上国に対する借款の平均利率は 1967年の 4・
396
から 1974年には 6・
3必に上昇し,借款の平均償還期間も全体として縮少の傾
向をたどっていることがわかる。その結果,借款条件の平均絞和価位を示す
グラント・エレメントも 1967年の 3496から 1974年には 2496へと,年々思化の
傾向をたどっているのである O 前にも述べたように,ピアソン委只会報告は
1
0
表 貸付約定額の平均条件及び貸付.ni~l;i 与のグラント・エレメント
(単位:1
0
0
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経営と経済
1
9
6
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借款が援助のなかに占め
る割合がめだって大きくなったこと」をあげているが,このような傾向は 70
年代に入っても依然として継続しており,先に述べた借款条件の悪化とあい
まって,発展途上国の債務返済を困難にしているのである o
以上,われわれは資金の流れを中心として発展途上国の債務累積・債務返
済急増の原因をみてきたが,最後に,債務累積・支払困難の重要な側面とし
て第二次大戦後における発展途上国の貿易(とくに輸出)の動向をみてみた
い。というのは,発展途上国にとって,輸出の増加は輸入代金の支払いの他
に対外債務返済に必要な外貨を供給する最大の源泉であり,また愉出の増加
それ自体が対外借入れの必要性の減少を意味するからである o そういう意味.
では,債務問題の本質的核心は金融的側面よりもむしろこの部而にあるとい
わなければならない。
注
(
1
) 大来佐武郎監訳,前j
自
主
, 1
2
5
1
2
6
瓦
。
(
2
) 同書, 1
2
7
頁
。
(
3
) 同書, 9
4
9
5
頁
。
(
4
) 同書, 7
9
頁
。
(
5
) 央村茂次「通貨危機下の多国籍企業」エコノミスト,昭和 4
6
年1
1月2
3日号, 3
3
頁
。
(
6
) H ・マグドフは工業投資について,ラテン・アメリカにおける米国企業生産物の 8
ちたらずが晴山貿易に向けられているにすぎないと述べている。 H.Magdoff,o
p
.
F
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.1
61.邦訳前掲古, 1
9
4
頁。従って,直接投資が的出をただちに増加させると
は必ずしも言えなのいである。
(
7
) 第一勧銀調査月報, 1
9
7
6
年 8月号, 6頁
。
(
8
) M. G
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. ( )は筆者。
百
対外債務累積の貿易的側面
債務累積問題を貿易的側面からとらえるという主要な問題提起をしてくれ
たのは,
H
マグドフであるので,ここでまず彼の言葉を引用しておきた
い。彼は次のように述べている。
発展途!二│可の対外債務累積問題についい
1
3
1
「しかし,なぜある国は毎年毎年金を借り続けなければならないのだろう
か。借入れた金は債務を返済するのに十分なだけの金を生み出すようにその
国の開発に使用されないのだろうか。これらの質問に答えるためには,われ
われは国内債務と対外債務のちがいについて知らなくてはならない。ある実
fを返済しなければならない場合には,手続きはき
業家が国内で借入れ,位 t
わめて簡単である。彼は,彼の~Jî-:Aミが借入れた資金によって成長するに従
い,利潤の一部を伎って,
f
仕入れたのと同じ貨幣でもって返済する o しか
し,もしある実業家あるいは政府が外国の源泉から資金を借入れるならば,
m
'
i でしから'
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5を返済できない。従って,借入れた金が国内の生
彼は外国の 1
長を生み出すのを助けるとしても,必要とされる外貨をうるのに十分なだけ
の輸出がなされなければ,債務は返済しえないのである。もし輸出が債務を
返済し,必要な輸入品を購入するのに十分でないならば,その時にはより一
周の借入れをお乙なうような圧力が存在する o 乙のような過程がどたん場ま
でくると,銀行家はーーもし借入国が従順な子供のようにふるまうならば
一一借款のリスジュー lレをおとなう 1)J。
この指摘のなかに発展途上国が現在かかえている債務問題の本質はほとん
ど言い尽されているといっても決して過言ではないが,このような指摘にも
かかわらず,第二次大戦後における発展途上国の貿易(とくに輸出〉の動向
は好ましいものではなかった。第 1
1表が示しているように,戦後における発
展途上国(とりわけ非産油途上国)の輸出成長率は先進国のそれに比べて著
しい遅れをみせ,その当然の結果として,世界の輸出総額に占めるシェア
も,第 12表にみられるように,年々低下の一途をたどったのである。発展途
上国の貿易が停滞した理由については,さまざまな論者がさまざまの角度か
ら検討しており,この程の分野における文献はまさに汗牛充椋のていを示し
ているともいってもよいが,こ乙ではこの問題についての重要な先駆者と思
われる R
. ヌノレクセの所論 2)を参照する乙とによって,発展途上国の貿易が
停滞した理由について検討することにしたい。
ヌノレクセは 1
9世紀(彼はこの期間を 1
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1
5,
.
.
.
.
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9
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次産品の輸出が果していた役割と 20世紀における一次産品の役割を比較する
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とができた。一方,工業中
占
の高い成長率を享受するこ
の安い食料・原材料の輸入
によって,工業生産をひや
く的に伸ばすことができた
のである。そして,一次産
1
9
5
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1
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次産品に対する活発な需要
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おいては,工業中心地の一
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9世紀の世界に
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ある。かくして,ヌノレクセ
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お
1122223345 ↑ 出 ゆ 閉 山
地域の,成長の過程に累積
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J
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し,それば一次産品の輸出
的な作用をおよぼしたので
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可
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1
1
1
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i
1
3
4
経営と経済
せ,外国資金の流入ともあいまって,発展途上地域の経済成長を決定すると
いう主要な要因となっていたのだが, 2
0世紀に入ると工業中心国の一次産品
に対する需要は減少し,一次産品の輸出はもはや工業中心地の高い成長率を
発展途上国へ伝播する重要な要因ではなくなった。その理由として,ヌノレク
セは次の 6点をあげている o
(
1
)先進国経済の工業生産構成が刈ゲ工業から、重グ工業(機械工業,化
学工業など) ,すなわち完成品に含まれる原料の比率の高い工業から低い工
業に移りつつある乙と o
(
2
)特殊ケースとして,先進工業諸国の総産出日に占めるサービス部門の割
合が上昇しており,これが先進国原料需要を国民生産の伸びより遅らせてい
る乙と O
(
3
)多くの民業商品に対する消費者需要の所得弾力性が低落する傾向にある
乙と。
f
命入に忠影響
(
4
)農業保護主義が発展途上国から工業諸国への一次生産物の 4
を与えた乙と O
(
5
)天然資源の工業的利用で大幅な節約が(たとえば,電気メッキ法や金属
の組織的回収と再加工を通じて)達成されていること。
(
6
)少なからず重要なこととして,指導的な工業中心地では,天然原料を,
大部分はその土地で生産する 2, 3の基礎的な要素からつくられる合成その
他の人造的代替品によって置き替える傾向がますます強まってきたことめ。
以上をもってヌノレクセは 2
0世紀に入って一次産品の輸出が停滞した理由だ
としている。乙れらの諸要因は (
4
)の政策的要因を除けばすべて資本主義の合
理性が要求する必然的かっ構造的な要因であり,かかる観点から彼は,発展
途上国の発展の方向を一次産品の輸出よりもむしろ工業化の方向にみいだす
のである D
以上がヌノレクセの所論であるが,ところで,ヌノレクセが言うように, 2
0世
紀における発展途上国の一次産品輸出の停滞が資本主義の合理性が要求する
構造的要因にもとづくものとすれば,発展途上国が今後一次産品の愉出に頼
るということは全く不可能なことなのであろうか。ヌノレクセは (
4
)の政策的要
発展途上国の対外債務累積問題について
1
3
5
因に関して1"もっとも,この点はあまり誇張すべきではない。というの
は,この保護は低開発的な熱帯地域からの北大西洋地域の輸入よりも,むし
ろ新定住地域からの西欧の輸入に特に影響しているからである D そのうえに
工業製品の貿易を妨げている保護主義もたくさんある的」として, (
4
)の政策
的要因を軽視しているのであるが,この点について,森田桐郎氏は次のよう
な主張をもってヌノレクセの所説を批判している O
「たしかにこの数十年聞に一次産品の生産および輸出の増加率は工業製品
のそれに比して劣っており,そのかぎりでは,さきのヌノレクセの所説は首肯
されるもののようであるが,とりわけ第二次大戦後の問題は,一次産品総輸
出の内部で,増加率についてもシェアの面でも,後進国が先進資本主義国に
対して劣勢を示している点にあるのである O たとえば,国連統計によれば,
1
9
5
8年を基礎とする指数でみて,先進国からの一次産品(石油を除く)愉出
9
5
0年の 6
8から 1
9
6
4年の 1
4
8へ,すなわち 2倍以上の伸長を示しているの
は1
0から 1
1
9へわずか 3
0
9
6強の伸びを示している
に対し,後進国からのそれは 9
にすぎず,その結果一次産品(除石油)輸出における後進国のシェアは,同
じ期聞に 51%から 3
9
9
6へ低下しているのである o ……………したがって後進
国輸出の停滞は,たんに技術進歩の必然的結果や所得郎力性の低さなどによ
っては説明しつくされないのであって,その場合,ヌノレクセの説明における
第 4項すなわち先進国の良業保護政策およびその他の輸入規制を主視しない
わけにはいかないのである 5)J。
そして森田氏は国連の (Wo
r
1dEconomicSurvey,1
9
6
3
) の統計から,
「後進国の対先進国一次産品輸出のうち,なんらかの政策的障害(関税・国
内税・数量制限)を宗らないものは,全体の 3
9
9
6,約 7
0億ドノレにすぎない。
とりわけ,基礎的食料ではわずか 1
3タム果実・野菜では 3
6
9
6,動植物性泊脂
では 2
2労にすぎず,他方,工業用原料においては,比 l佼的その比率が日い。
すなわち,先進国において民業保護の対象となっている温帯性民産物がもっ
ともきびしい貿易障害に当面しているのである 6)J として,先進国の政策的
障害が発展途上国の一次産品(とくに民産物)輸出に与える影響を主祝して
いるのである o
1
3
6
この点に関しては,奥村茂次氏も同様で
経営と経済
I乙のことからもあきらかなよ
うに,低開発国の対先進国貿易の不振は主として石油以外の第一次産品輸出
の困難にもとづくものであり,その理由としては,先進資本主義国における
人造合成原料の開発や消費構造の変化など,さまざまな要因が先進国側の経
済学者によってあげられているが,国連貿易開発会議におけるプレピッシュ
報告がまさに指摘したように,先進資本主義諸国における農業保護政策とそ
こから生じた第一次産品輸出市場への先進工業諸国の強力な政府援助を背景
とした輸出拡大が,その大きな責を負わなければならないの」として,先進
資本主義諸国の良業保護政策と食料援助を発展途上国停滞の主要要因として
主視しているのである o
かくして,このような先進国側の良業保護政策の影響もあって発展途上国
の農産物輸出は停滞をきわめ, GATTのリポートによれば,発展途上国の世
9
5
5年の 4
2必から 1
9
7
1年には 2
8
5
ぢへと大幅
界の良産物輸出に占めるシェアは 1
に低下していったのである 8)。ヌノレクセは 20世紀における発展途上国の一次
産品輸出停滞の主要因を「資本主義経済における技術進歩と所得水準の上昇
に由来する諸要因」に求めたのであるが,森田・奥村両氏のこの指摘はヌノレ
クセがはからずも軽視した政策的要因,すなわち農業保護政策の撤廃・緩和
こそが発展途上の一次産品(とくに良産物)輸出停滞の打解策であることを
示唆している D
以上,数量的側面から第二次大戦後における発展途上国の貿易の動向を検
討してきたが,もう一つの残された重要な側面として輸出価格,すなわち交
易条件に照らしての貿易の検討がある。以下,価格的側面から発展途上国の貿
9
5
0年から 1
9
7
3年までの交易条件の変化を
易を検討していきたい。第 2図は 1
9
5
0年代, 1
9
6
0年代を通じて発展途上国の交易条件は
示したものであるが, 1
9
7
0年に入ってやっと改善のきざしをみせて
一貫して悪化の傾向をたどり, 1
きたことを示している的。このように,発展途上国の交易条件が,戦後,一
貫して悪化の傾向をたどった背景には,もちろん,先にヌルクセが述べたよ
うな技術進歩にもとづく構造的要因あるいは政策的要因もあったであろう。
しかしみおとしてならない点は,森田氏の次の指摘である。
1
3
1
発展途上国の対外債務累積問題について
第 2図 交 易 条 件 の 推 移
(指数)
1
1
0
1
0
0
9
0
工業製品
その他(.,-次産品)
8
0
50515253545556575859606162636465666768697071727
3
(
明
『世界経済白書』昭和 49年版267頁
。
「先進国工業において後進国の一次生産部門をはるかに凌駕する生産性の
上昇がみられるにもかからず,後進国一次輸出品の価格が下落し,先進国工
業 品 価 格 が 安 定 ( あ る い は む し ろ 上 昇 ) し て い る と い う 関 係 10)J,すなわ
ち工業製品の独占的供給者として,また一次産品の独占的賠入者として,い
ずれの価格をも自由に左右しえる独占者としての先進国の存在である O
第1
3表は発展途上国輸出入の地域別 1
{
J
J成を示したものだが,上記指摘した
工業製品の独占的供給者としての,また一次産品の独占的賠入者としての先
進国立場を如実に示している。
まず愉出についてみれば, 1
9
7
3年における発展途上国の輸出総額は 1020佑
ドノレであるが,そのうち工業地域への愉出は 7
50億ドノレで,総 ~i命出額の突に
7割以上を先進地域への輸出に依存しているのである。発展途上国は輸出の
l
j
命出に頼っているから,上記の数字はまさに一次産
約 8割がたを一次産品の1
品の独占的購入者としての先進国の立場を物語っているといえよう
D
次に輸
入についてみれば, 1
9
7
3年における発展途上国の輸入総額は 1
0
1
0億ドルであ
00億ドノレあまりが工業地域からの輸入で,総輸入額の宍に
るが,そのうち 7
7 割あまりを先進国からの輸入 !C~!買っているのである。工業地域の輸出品の
大部分は工業製品の輸出によって占められているから,乙こにもまた,工業
製品の独占的供給者としての先進国の存在をみないわけにはいかないのであ
るo
交易条件恐化の背後関係は上記述べた通りであるが,ところで交易条件の
悪化は愉出所得の減少,すなわち一次産品 l単位に対する外貨受取りの減少
1
3
8
経営と経済
第1
3
表
発展途上国輸出入の地域別栴成
(単位:1
0億ドノレ f
.
o
.
b
.
c
.i
.
f
)
¥¥年¥輸¥¥出地¥域 I
工業地域
発
展
ミ
Aン
え
ら
j、
上
国
輸
出
1
9
6
0
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9
6
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4
0
I
途上国地域 I
共産圏 I
合
6
.
2
6
7
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2
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4
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3
.
2
3
3.
46
5.
40
計-
27.
4
36.
4
3
8
.
6
3
9
.
9
4
4
.
3
4
9
.
5
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5.
4
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3
.
0
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.
6
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2
.
5
??i
計
工業地域│途上叫共座開ト合
発
展
途
上
国(輸入)
1
9
6
0
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.
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1
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0
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7
.
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0
.
6
8
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1
.
5
6
4
6
.
0
3
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.1
6
5
7
.
6
3
6
4
.
3
7
7
2
.
2
0
1
01
.3
0
GATT,I
n
t
e
r
n
a
t
i
o
n
a
lTrade1973/74,
1
9
7
4,P
. 3の表より作成
を意味する O 第 14表は交易条件の悪化によって発展途上国がこうむった賠買
力の喪失(=外貨の喪失)を示したものであるが, 1961年から 1966年までの
輸出購買力の喪失,すなわち外貨の喪失は累計で約 134億ドノレにおよんでお
約 349億ド Jレ
) の実に 4割近くに相
り
, この期間における先進国経済援助 (
当しているのである o 1966年における交易条件の低下による購買力の良失を
1966年における発展途上国の対外債務返済額と比較してみると,前者の 27億
ドノレに対して後者は 36億ドノレ11)であり,交易条件の悪化がなければ発展途上
1
3
9
発展途上国の対外債務累積問題について
国の対外債務返済はいかに緩
和されたかこれによっても明
らかであろう O 単純に考えれ
1
4表発展途上国の輸出購買力の喪失
(単位:1
0
0
万ドノレ)
l
父
く
山
易
喪
条
失
件
aづ
低1
i
lの
先
b経
送
開
済
援
助
ら
│
対
公
額
的
す
の
援
比
率
る
助
献
に
ば,もし交易条件の悪化がな
ル分はそのことによって当然
1
9
6
1
1
9
6
2
1
9
6
3
1
9
6
4
1
9
6
5
1
9
6
6
免除されたはずなのである o
合計│
かったとした場合, 1
9
6
6年に
おける発展途上国の対外債務
6億ドノレのうち 27億ド
返済額 3
- ,
18
2
4
- 2,
1
5
8
1
0
9
- 2,
0
2
6
- 2,
5
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9
- 2,
7
5
2
- 2,
4,
9
9
6
5,
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1
4
2
.
8
3
8.
4
タ6
かくして,われわれは戦後
(
a
) 乙れは発展途上国が交易条件の変化によって
一貫して続いてきた交易条件
乙うむった購買力の純喪失額の推計を示して
いる。計算は 1
9
5
3
1
9
5
7年の期間に輸出品に
対して受取った平均価格と輸入品に対して文
払った平均価格にもとづいている。
(
b
) 非共産主義国政府と多国問機関(たとえば世
界銀行〉からの資金流入額。
(
c
) 推計
日. M
agdoff,o
p
.c
i
t
.,P
.1
5
8
. 邦訳,前
括主 1
9
1頁
。
の悪化は,先に述べた輸出数
量の停滞ともあいまって,発
展途上国の対外債務返済を困
難にしてきたといわざるをえ
ない。こ乙でもう一度,先に
. マグドフの言葉を想起してみよう O 彼は言う
引用した H
Iもし輸出がも1
務を返済し,必要な輸入品を購入するのに十分でないならば,その時にはよ
りー居の借入れをおこなうような圧力が存在する J0 単純なようだが,問題
の核心はまさにこの点につきているのである D 戦後の状況は発展途上国が貿
易収支において赤字を出し,その赤字を埋め合せるために外国から資金を借
入れる O しかし,その借金の利子がふくらみ,利子返済のために再び外国か
ら資金を借入れる O こういう思循環が戦後一貫して継続し,対外伯務を雪ダ
ノレマ式に膨脹させてきたのであるが,もとをただせばこの悪循環の根源は貿
易収支の赤字に帰せられるのであり,債務を返済するのに十分なだけの外貨
がえられなかったということである口乙の問題が解決されないかぎり,発展
途上国が現在かかえている対外債務問題は永久に解決されないだろうーーた
とえ工業化をはかろうとも。
1
4
0
経営と経済
注
(
1
) H.Magdoff. o
p
.c
it
.
. PP.
1
5
3
1
5
4
. 邦訳,前掲苫 1
8
6
頁
。
(
2
)R
.Nurkse. P
a
t
t
e
r
n
so
fTrade and Development. 1
9
5
9
. 邦訳「貿易と発
民の類型 J (河村,大畑,松永,渡辺訳『世界経済の均衡と成長』所収)
(
3
) 邦訳,同 t
i
3
3
9
3
4
0
頁
。
(4)
邦訳,同 ~&340頁。
(
5
) 森田桐郎「南北叩題 J.
1
9
6
7
年.
5
9
6
1頁
。
(
6
) 同書. 6
2瓦
。
(
7
) 奥村茂次「低開発国の外国貿易と『南北問題~
論~
J (尼崎彦朔稲『低開発国政治経済
)1
7
4頁
。
(
8
) GATT.I
n
t
e
r
n
a
t
i
o
n
a
lTrade1
9
7
3
/
7
4
.1
9
7
4
.P
.1
0
5
.
9
7
0
年代に改善のきざしをみせてきた交易条件も. 1
9
7
4年の世界的同時不
(
9
) しかし. 1
況によって再び、悪化の方向にある。
仰)森田桐郎前掲告. 6
3
6
4瓦
。
(
1
1
) 世銀年次報告. 1
9
7
4年版 9
3
頁の表より。
V 結 び
以上,われわれは発展途上国がおかれている{責務の現状,およびそういう
状況をもたらしたと思われる諸原因について金融・貿易の両側面から検討を
加えてきた D そして,以上の検討を通じて,われわれは発展途上国をとりか
こむ国際経済環境は突にきびしいものだったといわざるをえない口発展途上
国が今かかえている膨大な(責務を解消するにはどうしたらよいか。そのため
の手段を今すぐこ乙で具体的にあげるのは非常にむずかしいが,基本的には
次のことが達成されなければならないだろう D
(
1
)短期的には一次産品の価格を安定させ,一次産品の輸出所得を増大させ
ること。
(
2
)長期的には,一次産品の輸出を伸ばしながらも,一次産品の輸出でえた
外貨で工業化をはかり,工業製品の輸出を徐々に仲ばしていくことである O
このことは,発展途上国が自立的な発展を達成するためにはどうしても必
発展途上国の対外債務累積問題について
1
4
1
要なことであり,そのためには,途上国自身の努力はもちろんの乙と,先進
国側の努力を大いに必要とする o 具体的には,農産物を中心とする一次産品
に対する貿易障害を軽減すること,なんらかの方法で一次産品の価格を安定
させ,一次産品の輸出所得を保証する乙と,発展途上国の工業化の進展につ
れて先進国は国内市場を解放し,国内の産業構造を調整することなどであろ
うD これらは技術的にみて,また先進国の内部事情からして非常に大きな困
難を伴うが,これらが実現されない乙とには債務問題は解決されないのであ
るD 雪ダノレマ式にふくれあがる債務を放置するか,または援助を打ち切って
発展途上国の資本主義陣営からの離脱を認めるか,その帰趨はまさにとの点
にかかっているのである。
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