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経営戦略 - 大和証券グループ本社

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経営戦略 - 大和証券グループ本社
13
進捗と今後の方針
18 CEO インタビュー
23 COOメッセージ
大和証券グルー プ概要
14 中期経営計画∼“ Passion for the Best ”2014∼
24 At a Glance
26 リテール部門
30 アセット・マネジメント部門
32 投資部門
33 その他
ステー クホルダー の皆様へ
28 ホールセール部門
経営戦略
経営戦略
経営管理態勢
ディスクロー ジャー
大和証券グループ 年次報告書 2014
14
経営戦略
中期経営計画 ∼ Passion for the Best 2014 ∼ 進捗と今後の方針
中期経営計画∼ Passion for the Best 2014 ∼
進捗と今後の方針
中期経営計画∼ Passion for the Best 2014 ∼骨子
外部環境に左右されない強靭な経営基盤の確立と新たな成長戦略にもとづく健全な成長を目指す
マイルストーン
2012 年度
2013 年度
再生 Turnaround
I
2014 年度
成長 Growth
拡大 Expansion
効率経営の追求による黒字転換(初年度に集中して実施)
販管費削減計画の着実な実行
● ミドル・バック部門からフロント部門への人員シフトによる
組織運営の効率化
●
中期経営計画
II
基本方針
顧客ベースの良質な収益拡大
リテール、アセット・マネジメントビジネスへの経営資源投入による国内顧客基盤の飛躍的拡大
∼投信・預金残高積上げによる安定収益拡大∼
● 新 大和証券の発足を梃子とした収益力強化
∼富裕層およびミドル・マーケットへのアプローチ強化∼
● ホールセールビジネスの再構築
∼顧客フロービジネスの再強化と効率的なグローバルネットワーク展開∼
●
連結経常利益
経営目標
[ 初年度 ]
固定費カバー率*1
[ 最終年度 ]
黒字転換
[ 最終年度 ]
1,200 億円以上
50% 以上
最終年度の目標を 1 年前倒しで達成
連結経常利益の推移
固定費カバー率の推移
最終年度目標を
1 年前倒しで達成
(十億円)
197
200
初年度
黒字転換を達成
150
120
100
102
最終年度目標を
1 年前倒しで達成
(十億円)
300
250
200
95
150
52%
42%
29%
31%
50%
31%
50
100
0
50
–12
–50
–32
2009
2010
前中計
2011
2013 (年度)
2012
0
現中計
再生
Turnaround
2009
2010
前中計
成長
Growth
固定費
安定収益*2
固定費カバー率
2011
2012
2013
(年度)
現中計
再生
Turnaround
成長
Growth
*1 固定費カバー率=安定収益/固定費
*2 安定収益:アセット・マネジメント運用報酬、投信代理事務手数料、大和ネクスト銀行運用利鞘など
大和証券グループ 年次報告書 2014
15
拡大( Expansion )
≒持続的な成長を目指して
中期経営計画最終年度は、大和証券グループの
持続的成長“ Expansion ”へ向けて、
顧客基盤の継続的な拡大に注力する
最終年度における経営目標の一部改定
連結経常利益 1,200 億円以上は維持
固定費カバー率は、60%(第 4 四半期の年換算)以上に上方修正
経営目標
(改定後)
連結経常利益
固定費カバー率*3
[2014 年度 ]
[2014 年度 ]
1,200 億円以上
60%(4Q 年換算)以上
*3 グループ全体の安定収益を再度精査し、より精緻な数値へ見直しを行っています
2014 年度の取組み方針
グローバルネットワークを含めた大和証券グループの総力を結集して「貯蓄から投資へ」
の時代をリードし、膨大な個人金融資産を活性化させることで 、グループ事業の拡大を
図り、日本経済の成長に貢献していく。
2014 年度
持続的成長
拡大 Expansion
5
4
証券 2 社統合による収益力強化
6
NISAを軸とした新たな
顧客基盤の獲得
ホールセールビジネスの再構築
u IPO の再強化
7
3
顧客ベースの
良質な収益の拡大
ラップビジネスへの
注力
2
海外アライアンスの推進
8
アセット・マネジメント
ビジネスの収益力強化
(株式投信、不動産)
営業体制の拡充
1
証銀連携ビジネス
モデルの進化
大和証券グループ 年次報告書 2014
16
経営戦略
中期経営計画 ∼ Passion for the Best 2014 ∼ 進捗と今後の方針
顧客ベースの良質な収益の拡大
独自の証銀連携ビジネスモデルの進化
1
「貯蓄から投資へ」をグループ内で完結
大和ネクスト銀行預金残高の拡大
(兆円)
大和ネクスト銀行
口座
スウィープ
貯蓄
クロスセルによる投資へのシフト促進
(十億円)
大和証券
口座
2.5
2.39 兆円
250
2.0
2,146 億円
200
投資
1.5
(%)
40
37.4%
30
23.6%
150
20
●
1.0
100
0.5
50
大和ネクスト銀行を
「貯蓄から投資へ」のゲー
0
トウェイとして独自の証銀連携ビジネスモデル
を構築・進化
●
0
11/9 12/3 12/9 13/3 13/9 14/3(年 /月末)
預金残高合計(左軸) 大和証券の口座( NISA 口座含む)で受け取っ
た分配金や売却代金などを大和ネクスト銀行
の普通・定期預金口座にスウィープし、好金利
●
営業体制の拡充
出店コストを抑制した営業所を開設
0
12/6 12/9 12/12 13/3 13/6 13/9 13/12 14/3(年 /月末)
うち外貨預金(右軸)
2012 年 7 月より取扱いを開始した外貨預金の
残高は 2,000 億円を突破
●
定期預金を通じて獲得した新規顧客に対する
有価証券への累計クロスセル率*は 37.4%ま
で拡大
*累計クロスセル率=累計クロスセル口座数/累計定期新
規口座数
で無駄なく運用
2
10
3
ラップビジネスへ の注力
業界ラップ口座残高および大和証券シェア推移
(十億円)
2012 年度
4店
(%)
1,400
50
41%
1,200
40
1,000
2013 年度
9店
800
30
600
20
400
10
200
0
12/6
2014 年度
3店
(2014 年 6 月30 日現在)
●
12/12
ダイワファンドラップ
(左軸) 大和シェア
(右軸)
13/3
13/6
ダイワSMA(左軸) 13/9
13/12
0
14/3(年 /月末)
他社合計(左軸)
出所:日本投資顧問業協会、大和証券
●
営業活動の効率化
12/9
大和証券のラップ口座( SMAおよびファンドラップ)
は、資産残高が 5,000
億円を突破し、シェア41%と
「業界 No.1」
の地位を維持
支店受電業務をコンタクトセンターへ集約
●
新型タブレット端末・スマートフォンの導入
●
お客様との実質的な接触時間の拡大
大和証券グループ 年次報告書 2014
17
4
NISA を軸とした新たな
5
顧客基盤の獲得
証券 2 社統合による収益力強化
2012 年度月平均 +28%
17
本
●
2013 年度月平均
ノーロードの NISA 専用ファンド計 17 本を
3.0
7.0
2.5
6.0
5.0
4.0
1.5
3.0
1.0
568
2.0
0.5
1.0
0
月平均
201 1 年度
千件
2014 年 3 月末時点の NISA 開設口座数
0
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
2012 年度
月平均
201 1 年度
2013 年度
ミドル・マーケット収益は28%増加し、年度を
●
2013 年度月平均
2012 年度月平均 +112%
2.0
新規設定
●
リテール部門 私募仕組債販売額*
ミドル・マーケット収益*
●
通じて高水準の実績を達成
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
2012 年度
2013 年度
証券2 社統合後、商品の組成側と販売側の連携
が緊密化し、私募仕組債販売額が大幅に増加
*2011 年度の月平均値を1.0として指数化
6
ホールセールビジネスの再構築
海外アライアンスの推進
7
ホールセール部門(グローバル)経常収支
ASEAN
(十億円)
2013 年 2 月
2013 年 9 月
2013 年 12 月
20
15
タナチャート証券(タイ)
バハナ証券(インドネシア)
アフィン・インベストメントバンク
(マレーシア)
2014 年 2 月
オーストラリア・ニュージーランド銀行
(オーストラリア)
2014 年 4 月 サンフォード・シー・バーンスタイン社(イギリス)
5
0
–5
2Q
3Q
グローバル・マーケッツ ホールセール部門合計
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
18 銘柄
2013 年度
グローバル・インベストメント・バンキング
●
ホールセール部門は、2012 年度3Qから6 四半期連続で黒字を維持、海外
拠点は 2012 年度と比較して赤字幅が半減
l
270 銘柄超*2
海外のビジネスネットワークをコストをかけずに補完・拡充する海外提携
戦略を推進
*1 フィリピン、シンガポール除く
*2 2014 年 3 月末時点
アセット・マネジメントビジネスの収益力強化(株式投信 、不動産)
公募株投残高推移( ETF 除く)
大和証券オフィス投資法人( J-REIT ) 運用資産残高推移
(兆円)
(兆円)
12
60
10
50
8
40
6
30
4
20
2
10
10/9
11/3
11/9
大和証券投資信託委託(左軸) 業界全体残高(右軸)
●
u
ASEAN 株のリサーチカバレッジ銘柄数
1Q
2012 年度
0
u
*1
–10
8
l
l
l
ASEAN 地域外
10
●
提携分野
l エクイティ業務 u 投資銀行業務
12/3
12/9
13/3
13/9
14/3(年 /月末)
(十億円)
400
200
300
150
200
100
100
0
0
連結子会社化
11 月
2009 年
大和住銀投信投資顧問(左軸)
大和証券グル ープ 2 社合計の公募株投残高は 、業界最大規模を堅持し
ながらさらに拡大
(十億円)
5月
2010 年
資産残高(左軸) ●
11 月
5月
11 月
2011 年
5月
11 月
2012 年
5月
11 月 (月末)
50
0
2013 年
大和証券オフィス投資法人時価総額(右軸)
大和リアル・エステート・アセット・マネジメントがオフィスビル*1、賃貸
住宅*2 およびヘルスケア施設*3 の3 つの不動産用途の特化型 REITを運用。
不動産運用資産残高は合計で 4,200 億円を超える規模まで拡大
*1 大和証券オフィス投資法人( J-REIT )
*2 大和証券レジデンシャル・プライベート投資法人
*3 日本ヘルスケア投資法人
大和証券グループ 年次報告書 2014
18
経営戦略
CEO インタビュー
CEO インタビュー
E xpansion
Growth
Turnaround
大和証券グループ本社
執行役社長 CEO
日比 野 隆司
「成長
2013 年度は 、中期経営計画∼ Passion for the Best 2014 ∼ の 2 年目、
( Growth )」
フェーズと位置付けられた年でしたが、業績について総括をお願いします。
日比野:
「 成長( Growth )」フェーズにふさわしい実績をあげることができたと考えています。特に、
中期経営計画の最終年度の経営目標であった、
「 連結経常利益 1,200 億円以上 、固定費カバー率
50% 以上」について、それぞれ実績で「 1,970 億円、52%」と1 年前倒しで達成できたことは、評価
に値すると考えています。
当期純利益は過去最高の 1,694 億円となり、高い利益水準を実現したことで、自己資本も1 兆 785
億円まで増加しました。バーゼルⅢベ ースの連結自己資本規制比率も2014 年 3 月末で 21.8%と
高い水準を維持しており、金融機関として財務体質の面でも優位な状況にあります。また、2013 年度
の 1 株当たり配当金は通期で 34 円と、2005 年度と並んで過去最高となりました。
事業環境・連結業績の推移
(十億円)
(兆円)
600
3.0
500
2.5
400
2.0
300
1.5
200
1.0
100
0.5
0
0
–100
2005
純営業収益(左軸) 2006
2007
当期純利益(左軸) 2008
2009
2010
2011
2012
2013(年度)
東証一部売買代金(1 日平均、右軸)
大和証券グループ 年次報告書 2014
19
勘案して中期経営計画の進捗をどのように評価しますか?
日比野:中期経営計画で掲げた「外部環境に左右されない強靭な経営基盤の確立」を推進するなかで、
ストック性の高い顧客ベースの良質な収益が拡大し、当社グループの収益の多様化・安定化が大きく
進捗しました。これは、フォローウインドのなかで、単に最高益をあげたということにとどまらず 、
大和証券グルー プ概要
2013 年度は、アベノミクスを主因とする歴史的な好環境下にありました。市場環境を
われわれの経営の基本方針に沿った価値ある成果・実績だと思っています。
最高で、当時と収益内容を比較したものが下記の円グラフです。2005 年度の純営業収益においては、
トレーディング損益や委託手数料といった、マーケットの
影響を受けやすい、フロー性の収益が全体の60%を占めて
COMMITMENT
いました。2013 年度の純営業収益では 、トレーディング
ビジネスの多様化や安定収益の拡大に努めてきた結果、外部
損益や委託手数料の占める比率が46%まで低下しています。
環境に左右されにくい収益構造の改善が進んでいます。
一方 、2005 年度には11%にすぎなかったその他受入
ステー クホルダー の皆様へ
2013 年度の純営業収益は 5,419 億円でした。2000 年度以降では 、2005 年度の 5,793 億円が
手数料( M&A 手数料除く)が 、22%にまで倍増しました。2013 年度のその他受入手数料の内訳
銀行の運用利鞘などを含む金融収支についても、2005 年度の2%から9% へと大幅増となっています。
2011 年から取り組んだ銀行ビジネスや REIT 関連ビジネスといった新規事業も、安定収益の大きな
経営戦略
をみると、運用報酬と投信代理事務手数料の合計が 8 割程度を占めています。また、大和ネクスト
柱に育ってきています 。ビジネスの多様化や安定収益の拡大に努めてきた結果 、外部環境に左右
されにくい収益構造の構築に向けて一定の成果をあげることができたと評価しています。
収益構造の比較
純営業収益
5,419 億円
2005 年度
2013 年度
大和ネクスト銀行の運用利鞘など
を含む金融収支も収益に占める割合
が大幅に増加
委託手数料
トレーディング損益
21%
39%
17%
29%
その他受入手数料( M&A 手数料除く)
投信委託者報酬(運用報酬)
11%
22%
生命保険販売手数料
2%
9%
11%
8%
3%
4%
2%
5%
10%
2%
3%
3%
引受売出手数料
募集売出取扱手数料
M&A 手数料
営業投資有価証券関連損益
その他営業収支
その他受入手数料( M&A 手数料除く)
の内訳
投資事業組合運営報酬
その他(投信代理事務手数料含む)
大和証券グループ 年次報告書 2014
ディスクロー ジャー
金融収支
経営管理態勢
純営業収益
5,793 億円
投信残高の拡大により運用報酬、
代理事務手数料などのストック性の
高い収益の割合が倍増
20
経営戦略
CEO インタビュー
フェーズですが、
2014 年度はいよいよ中期経営計画の最終年度「拡大( Expansion )」
2013 年度の数値目標の前倒し達成を受けて、最終年度目標を上方修正しますか?
日比野:2013 年度の経常利益は、アベノミクス相場による超過収益が少なからず上乗せされた利益
水準だったとみているため、最終年度の「経常利益 1,200 億円以上」という目標は変更しません。
2014 年度は、中国のシャドーバンキング問題や新興国経済の減速、地政学的リスクの顕在化など、
先行き不透明感がやや強くなってきたことから、世界経済の成長率鈍化を想定しています。また、
日本経済については、消費増税の影響はあるものの、概ね景気は拡大し、マーケット環境についても
緩やかな円安・株高の進行を想定しています。2014 年度の
1,200 億円以上という目標は 、こうした市場環境下で 、
安定的・継続的に実現すべき経常利益水準として考えて
います 。
ACTION
固定費カバー率の最終年度目標については、当初の50%から
60%へ上方修正しました。
一方、固定費カバー率については、当初の50% 以上から
60%以上へと上方修正しました。ただし、第 4 四半期の年率換算での目標値とします。なお、固定
費カバー率のモニタリング精度を高めるため 、グループ全体の安定収益を再度精査し、より精緻な
数値へ見直しを行っています。最終年度の固定費カバー率はこの見直しを反映した数値目標です。
本格的なビジネス拡大局面に入り、固定費の削減余地は限定的ですが、固定費抑制スタンスは維持
しつつ 、顧客基盤の拡大を梃子にした安定収益の拡大に努めることで 、固定費カバー率を高めて
いきます。
改定後の固定費カバー率
(十億円)
300
45%
250
200
33%
34%
55%
60%
(%)
60
50
34%
40
150
30
100
20
50
10
0
0
2009
2010
2011
2012
2013
2014 (年度)
(計画)
固定費(左軸)
安定収益(左軸)
安定収益:アセット・マネジメント運用報酬、投信代理事務手数料、
大和ネクスト銀行運用利鞘など
固定費カバー率(右軸)
固定費カバー率=安定収益/固定費
2014 年度の事業戦略について教えてください 。
日比野:中計最終年度のテーマは「 拡大( Expansion )」ですが 、これは今後の「 持続的成長」に
向けて顧客ベースの良質な収益のさらなる拡大を目指すフェーズです。そして、その源泉となる顧客
基盤をさらに大きく強固なものにするため、さまざまな施策に取り組んでいきます。
大和証券グループ 年次報告書 2014
21
大和ネクスト銀行の預金残高および口座数が順調に増加していることに加え、そのうち新規のお客
様で証券投資を新たに始める方が増加しており、証銀連携ビジネスモデルが確実に進化しています。
実際に 、定期預金を通じて新しくお客様になっていただいた方が 、その後有価証券などを購入
された比率(累計クロスセル率*)
は、2014 年 3 月末時点で 37.4%となっており、1 年前の 23.6% から
大和証券グルー プ概要
証銀連携ビジネスモデルの進化と営業体制の拡充
大きく伸長しています。
「貯蓄から投資へ」の流れを加速すべく、リテール部門における顧客基盤の拡大を目指して、営業
まず、店舗ネットワークの拡大については、地域のお客様との接点をより拡げながら、低コスト運営
が可能な営業所の出店を加速しています。現行の中期経営計画が始まった2012 年度以降では、16
営業所の新規出店( 2014 年 6 月 30 日現在 )
となっていますが 、これらの営業所は着実に実績を
伸ばしており、短期間での黒字化を実現しています。
また、業務効率を高めるため、東京・大阪のコンタクトセンターの機能を強化するとともに、営業
サポートの戦略的なツールとして新型タブレット端末の導入を全店舗に行いました。
ステー クホルダー の皆様へ
体制の拡充に一層取り組んでいます。
*累計クロスセル率 = 累計クロスセル口座数/累計定期新規口座数
2014 年1月に NISA(少額投資非課税制度)
がスタートしました。当社グループでは、NISA 推進
経営戦略
NISA を軸とした新たな顧客基盤の獲得
のため、販売手数料無料の「ダイワのNISA 専用ファンド」を17 本新規に設定しました。また、大和証券
の各支店では、投資経験が少ないお客様向けのコンテンツとして、NISA デスクの設置や、NISA に
関連する少人数セミナーなどを開催しています。
こうしたなか 、積立投資用の待機資金を、大和ネクスト銀行口座との連携機能を通じて好金利で
無駄なく運用できる証銀連携ビジネスモデルは、NISA の推進においても他社との差別化要因となって
NISA は開始されたばかりなので収益への貢献はまだ限定的ですが 、中長期的な顧客基盤拡大
への「種まき」として、極めて重要な取組みと位置付けています。
経営管理態勢
います。
ホールセールビジネスの再構築
ホールセール部門は 2012 年度第 3 四半期に 11 四半期ぶりの黒字化を果たして以来 、黒字基調
が継続しています。
グローバル・マーケッツでは、リテール部門との連携強化、お客様の投資ニーズに機動的に対応
インベストメント・バンキングでは、エクイティ引受けが前年度と比べると金額ベースで減少しましたが、
海外 CBやサムライ債において多くの主幹事を務めました。IPOビジネスについては、人員増強を含めた
強化を図っています。
海外拠点の収支については、2013 年度も赤字となりましたが、赤字幅はこの1 年間で半減しており、
収支均衡が視野に入るレベルまで改善してきました。
大和証券グループ 年次報告書 2014
ディスクロー ジャー
したオーダーメイド商品の提供能力の向上などを通じて、収益力を大きく高めています。グローバル・
22
経営戦略
CEO インタビュー / COOメッセージ
海外アライアンスの推進
2013 年はタイのタナチャート証券、インドネシアのバハナ
証券 、マレーシアのアフィン・インベストメントバンクと、
エクイティビジネスを中 心とした業 務 提 携 契 約を締 結
NEW INITIATIVES
業務提携により、ASEAN 主要国でのリサーチカバレッジは、
提携前の18 銘柄から270 銘柄強*へと大幅に増加しました。
しました。これらの業務提携により、自社の拠点を有する
シンガポールとフィリピンを除くASEAN 主要国でのリサーチカバレッジは 、提携前の 18 銘柄から
270 銘柄超*へと大幅に増加し、エクイティビジネスのプラットフォームが強化されました。業務提携
を受けて、大和証券投資信託委託が ASEAN 株式ファンドを設定し、大和証券で販売するなど、日本
の個人投資家に対する ASEAN への投資機会の充実にもつながっています。
ASEAN 以外にも、2014 年 2 月にはオーストラリア・ニュージーランド銀行との間で、M&A 分野に
おける業務提携に関する覚書を締結し、4 月には 、欧州株リサーチサービスを補完する目的で 、
イギリスのサンフォード・シー・バーンスタイン社と提携契約を結んでいます。
こうした一連の取組みは、大きなコストと時間をかけずに、効率的に当社のグローバルネットワークを
強化し、サービスレベルの向上につなげることで、ビジネスの拡大を目指すものです。当社グループは、
自社資源による拡大と、提携による機能補完のベストミックスを常に見極めながら、持続的な成長を
グローバルに実現させていきます。
*2014 年 3 月末時点
2014 年度よりも先を見据えて、当社グループの経営のあり方をどのようにお考えですか?
日比野:当社グループは、非常に難しい市場環境のなかでも継続して「安定収益」の拡大に注力して
きました。安定収益はストック性の収益であり、市場環境に左右されにくい収益です。
一方で、株式委託手数料やトレーディング収益などは、相場によって左右されやすいフロー収益
です。証券会社はフロー収益が大半で、業績は市場に左右されるボラタイルなものであり、安定的
な経営は難しいと長らく言われてきました。したがって 、自らの真の実力を適正に見極めながら、
その持続的成長を図ることが、証券会社経営の要諦と考えています。
今後は、これまでも重視してきた安定収益をコアとしつつ、想定される環境下で、お客様のニーズに
丁寧に応えていくなかで生まれる健全な収益の拡大を意識します。そして、収益のボラティリティを
下げつつ 、利益を拡大することで持続的な企業価値向上に努めていく方針です 。
大和証券グループ 年次報告書 2014
23
COO メッセージ
大和証券グルー プ概要
ベ ーションを高めながら、その能力を 100% 引き出すよう、当社グループではさまざまな施策を
行っています 。
ステー クホルダー の皆様へ
大和証券グループにとって「 人材 」はまさに競争力の源泉です 。社員一人ひとりの能力とモチ
2014 年 4 月、すべての社員を対象とした給与水準の引き上げを実施するとともに、より能力・実績・
実に 20 年ぶりとなります。これは単に 2013 年度における好業績を反映したというだけでなく、これ
まで取り組んできたコスト削減と安定収益拡大による「 強靭な経営基盤の確立 」の進捗が可能に
経営戦略
職責が反映されるように処遇改定を行いました。全体的な給与水準の引き上げは 1994 年以来 、
したものです。
研修制度についても、2014 年 1 月から新設・拡充しています 。若手社員、中堅社員向けには、
ミドル・マーケット、相続・事業承継など中期経営計画における重点分野のほか、市場の好転により
需要が高まっている分野に焦点を当て、専門知識と営業スキルの向上を図っています。一方 、管理
職向けには、従来のコンプライアンスや労務管理に関する研修に加えて、コーチングやリーダーシップ
また 、海外ビジネスにおいて将来の中核を担うプロフェッショナルを養成する仕組みを強化して
います。具体的には、2014 年 4 月に、海外主要拠点での OJT( On
the Job Training )と現地の外務
員資格を取得するプログラムを開始し、ロンドン、香港、ニューヨーク、シンガポールの 4 拠点に合計
8 名の若手社員を派遣しました。当プログラムの継続的な提供により、語学力や業務スキルに優れる
経営管理態勢
といった、マネジメントスキルの向上を目指した研修を実施しています。
だけでなく、各地の文化や慣習も理解できる 、真のグロー バル人材を育成し 、将来の経営を担う
人材の層を厚くしていきたいと考えています。
持続的成長の実現に向け邁進していきます 。
大和証券グループ本社
執行役副社長 COO
岩本 信之
大和証券グループ 年次報告書 2014
ディスクロー ジャー
今後も、長期的な視野からの「 人材の重視 」を各施策によって進めることで 、当社グループの
24
経営戦略
At a Glance
At a Glance
2013 年度
純営業収益
経常利益
(十億円)
リテー ル部門
120
90
■
■
■
大和証券
日の出証券
リテラ・クレア証券
60
2,530 億円
■
■
■
2011
2012
2013
(年度)
2011
2012
2013
(年度)
2011
2012
2013
(年度)
2011
2012
2013
(年度)
2011
2012
2013
(年度)
60
40
グローバル・マーケッツ
グローバル・インベストメント・バンキング
大和証券
大和証券 CMヨーロッパリミテッド
大和証券 CM アジアホールディング B.V.
大和証券 CM アメリカホールディングス Inc.
0
(十億円)
ホ ー ルセー ル部門
■
30
20
0
–20
1,753 億円
–40
–60
(十億円)
アセット・マネジメント部門
30
20
■
■
■
■
大和証券投資信託委託
大和住銀投信投資顧問
大和リアル・エステート・アセット・マネジメント
大和証券オフィス投資法人
10
487 億円
0
(十億円)
投 資部門
20
15
■
■
■
大和企業投資( DCI )
大和 PI パートナーズ
( PIP )
大和証券エスエムビーシー
プリンシパル・インベストメンツ
( DPI )
10
199 億円
5
0
(十億円)
その他
6
4
■
大和総研ホールディングス
大和総研
大和総研ビジネス・イノベーション
■
大和ネクスト銀行
2
448 億円
0
※ 1 リテール部門の店舗数は 2014 年 6 月 30 日現在 、その他の数値は 2014 年 3 月末または 2013 年度実績による。
※ 2 その他の純営業収益および経常利益は、セグメント別の業績における「その他・調整等」の数値。
大和証券グループ 年次報告書 2014
25
事業内容
135 店舗
■
店舗数:
■
総合口座数:3,603 千口座
■
オンライン口座数:2,753 千口座
■
預り資産残高:48.4 兆円
リテール事業は、国内の個人投資家の資産
当期ハイライト
■
運用ニーズに応え、家計と資本市場をつなぐこ
取扱いを強化したことなどを背景に、エクイ
とで、個人の財産形成と資本市場への資金供給
ティ収益が拡大。
に貢献する役割を担っています。全国 135 の店
■
国内外の株式や債券、投資信託に加え、年金保
■
舗網と、充実したインターネットインフラにより、
拠点数: 世界
■
主幹事を務める日本の上場企業数:715 社、
シェア21%(東洋経済四季報ベース)
■
株券売買高:95.6 兆円
■
引受高、募集・売出しの取扱高:
7,000 億円(株券)、9.6 兆円(債券)
ラップ口 座 の 契 約 資 産 残 高 業 界 No.1 の
地位を維持。
商品・サービスを取り揃えています。
ホールセール事業は、グローバル・マーケッ
■
日本 株 委 託 手 数 料 およびトレ ー ディング
で構成されます。グローバル・マーケッツにお
■
2013 年 度の国内最 大 規 模となったソフト
ツ、グローバル・インベストメント・バンキング
収 益が大 幅に増 加 。
いては 、機関投資家を中心とするお客様を対
バンクの普通社債発行において事務主幹事
象に有価証券のセールスおよびトレーディング
業務を行っています。また、グローバル・イン
を務める。
■
ベストメント・バンキングにおいては 、事業法
ASEAN を始 めとする各 国 金 融 機 関との
業務提携契約を締結。
人 、金融法人などのお客様が発行する有価証
ステー クホルダー の皆様へ
20ヵ国・地域
■
未出店地域における顧客基盤の拡大を目的
に 9 営業所を新設。
険やラップ口座サービスなど、さまざまな金融
※ 1 上記数値は大和証券の数値。
※ 2 大和証券、日の出証券、リテラ・クレア証券の3 社
合計の店舗数は 153 店舗。
国 内 株 式 市 況 の 活 況 および 外 国 株 式 の
大和証券グルー プ概要
事業規模
券の引受けや M&A のアドバイザリーなどの投
16.6 兆円
■
運用資産残高:
■
公募株式投資信託残高:11.2 兆円
■
投資顧問契約残高:2.3 兆円
アセット・マネジメント事業では、運用の専門
■
家として、投資家本人に代わって運用を行う運
資金増加額は、国内アセット・マネジメント
用受託業務および運用の助言業務を行ってい
ます。個人投資家のニーズに応える投資信託
会社中最大の 1 兆 827 億円。
■
の設定・運用、機関投資家に対する投資顧問
評価 1 位。
■
担っています。
約 4,400 億円まで拡大。
■
プリンシパル投資残高合計:870 億円
投資事業では、自己資金もしくは投資ファンド
■
DCI では 、優良なベンチャー企業の発掘・
を組成することによって、企業などに資金提供
投資実行を推進するとともに、既存投資先
イベ ート・エクイティ投 資 、金 銭 債 権 投 資 、
タルゲインを獲得。
をしています 。ベンチャー投資 、国内外のプラ
エネルギー投資など幅広く投資を行っています。
企業のEXIT の極大化を図り、大幅なキャピ
■
経営管理態勢
76 本/ 3,146 億円
投資ファンド:
大和リアル・エステート・アセット・マネジメント
が運用するREITの運用資産残高は、合計で
※ 上記数値は大和証券投資信託委託、大和住銀投信
投資顧問の合計。
■
大和住銀投信投資顧問は、
「年金情報」誌
の年 金 顧 客 評 価 調 査で 、5 年 連 続の全 体
のほか 、不動産投資信託の運営・運用を通じ
て 、お客 様 の 資 産 の 形 成を支 援する役 割を
大和証券投資信託委託の2013 年度における
経営戦略
資銀行業務を行っています。
PIPでは、国内外で複数の企業に投資をした
ほか、メガソーラー発電所にも投資。金銭
債権の投資・回収が順調。
※ 投資ファンドはDCIの数値。プリンシパル投資残高は
PIPとDPI の合計。
大和ネクスト銀行
2.3 兆円
預金残高:
口座数:901 千口座
その他事業には、大和総研グループによる
リサーチ・コンサルティング業務、システム業務
のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務など
が含まれます。
■
大和ネクスト銀行の外貨預金残高は、2012
年7 月の取扱い開始から順調に増加し、2014
年 3 月には 2,146 億円にまで拡大。
大和証券グループ 年次報告書 2014
ディスクロー ジャー
■
26
経営戦略
リテール部門
リテー ル部門
リテール部門では、お客様のあらゆる取引スタイルに対応するため、営業員が付加価値の高い提案
型サービスを提供する
「ダイワ・コンサルティング」
コースと、インターネットやコンタクトセンターを
通じて、利便性の高いサ ービスを提供する「ダイワ・ダイレクト」
コ ースの 2 つのお取引コ ースを
提供しています。さらに、国内外の株式や債券、投資信託、年金保険、ファンドラップ、SMAといった
投資・運用商品に加え 、証券担保ロ ーンや好金利の普通預金・定期預金の提供など 、お客様の
多様化するニーズを網羅できる充実した商品・サービスを取り揃えています。
2013 年度の事業環境と業績
2013 年度の株式市場は先進国を中心に上昇傾向とな
2014 年度のアクションプラン
りました。米国における金融緩和縮小観測が高まる局面
1. 独自の証銀連携ビジネスモデルの進化
2. NISA を軸とした新たな顧客基盤の獲得
3. 株式投信とファンドラップ純増をベースとした安定
収益基盤の拡大
4. 相続をコアとした富裕層ビジネスの強化
5. 営業活動の効率化と質の向上による営業力の拡大
では日本の株価が乱高下する場面もみられましたが、円
安傾向や企業業績の改善が進むなか 、株価も上昇基調
となり、当期末の日経平均株価は 14,827 円 83 銭となり
ました。
このような事業環境のなかリテール部門においては、
外国株式 、株式投資信託およびファンドラップの取扱い
に注力し、お客様の利便性向上と未出店地域における顧
客基盤の拡大を目的に9 営業所を新設しました。国内株式
市況の活況および外国株式の取扱いを強化したことなど
商品募集・販売額の推移(大和証券)
資産導入額の推移(大和証券)
(十億円)
(十億円)
2,000
300
200
1,500
100
1,000
0
500
0
株式投信 –100
1Q
2Q
3Q
2012 年度
外債 国内債 4Q
年金保険 1Q
2Q
3Q
2013 年度
ラップ 4Q
エクイティ –200
個人 1Q
2Q
3Q
2012 年度
4Q
1Q
2Q
3Q
2013 年度
4Q
法人
大和証券グループ 年次報告書 2014
27
大和証券グルー プ概要
大和証券グループ本社
草 木 頼幸
ミアムサービス」および同サービスの特典をご家族まで
託販売では、残高拡大に努め 、実績をあげました。
拡大できる「 家族プラス」を開始しました。大和証券の店
お客様の投資方針にもとづき専用投資信託の組み合
舗網を通じて、好金利の預金と利便性の高いサービスを
わせにより分散投資を提供する「ダイワファンドラップ」
幅広いお客様に提供しています 。
では 、顧客資産の残高拡大に努めており、2014 年 3 月
2014 年 1 月に始まったNISA(少額投資非課税制度)
に
末時点におけるラップ口座*の契約資産残高では引き続
おいては、購入手数料を無料とする「ダイワの NISA 専用
き業界 No.1 の地位を維持しています 。
ファンド」の新規設定や 、毎月一定額の投資信託を買付
また 、大和ネクスト銀行( 2013 年度末の預金残高:約
ける「 投信積立」を提供し、貯蓄から投資へのシフト促進
2.4 兆円)の銀行代理業者として 、円預金および外貨預
金を取り扱い、2013 年 4 月より、お客様からのお預り資産
と顧客基盤の拡大を図っています 。
大和ネクスト銀行 預金残高および口座数推移
( 兆円 )
* お客様と大和証券が投資一任契約を締結し、当該契約にもとづき、同社が投資
判断 、売買注文を行い、お客様に契約資産残高に応じた手数料を一括してお支
払いいただく口座
経営管理態勢
の評価額に応じて円定期預金金利などを優遇する「プレ
ニーサ
経営戦略
を背景に、エクイティ収益が拡大しました。また、投資信
ステー クホルダー の皆様へ
執行役副社長
リテール部門担当
sustainability
( 千口座 )
1,000
2.5
800
1.5
600
1.0
400
0.5
200
動法人 日本 NPOセンター の
「東日本大震災現地 NPO 応援基金」
を通
じ、現地で支援活動を行うNPO へ助成しています。2013 年 5 月には、
基金への寄付( 4,987 万円)
と、9 月には第 2 期助成を実施しました
(助成件数 9 件、助成総額 3,503 万円)。
0
0
12/6
預金残高(左軸) 12/9
12/12
13/3
13/6
13/9
13/12
14/3(年 /月末)
口座数(右軸)
大和証券グループ 年次報告書 2014
ディスクロー ジャー
2.0
大和証券では、投資信託「ダイワ・ニッポン応援ファンドVol.3―
フェニックスジャパン―」
からの信託報酬の一部を認定特定非営利活
28
経営戦略
ホールセール部門
ホ ー ルセー ル部 門
ホ ールセール部門は 、グロ ー バル・マー ケッツとグロ ー バル・インベストメント・バンキングで
構成されています。グローバル・マー ケッツでは、主に機関投資家や事業法人のお客様を対象と
した株式・債券・為替・デリバティブなどの販売およびトレーディングに加え、リテール部門への
商品供給も行っています。グロー バル・インベストメント・バンキングでは 、株式・債券などの
引受け、IPO 、M&A アドバイザリー などを行っています。
2013 年度の事業環境と業績
2014 年度のアクションプラン
グローバル・マーケッツにおいては、国内株式市場にお
1. IB 提案力の質・量の強化によるパイプラインの拡充
2. 顧客基盤の拡大に向けた IPOビジネスの強化
3. グローバル・ネットワークを活かした海外プロダクト
の強化 、案件の獲得
4. 顧客ニーズを踏まえたビジネス展開とトレーディング
収益の拡大
いて株価水準および売買代金がともに堅調に推移したこと
により、日本株委託手数料が大幅に伸長したことに加え、市
場環境に応じた機動的なポジション運営により、トレーディ
ング収益も大幅に増加しました。また、2012 年度に引き続
き、リテール部門とホールセール部門が連携することで、お
客様のニーズや市場環境の変化に対応した商品をタイム
リーに提供し、債券を中心に安定した収益をあげることがで
きました。
グローバル・インベストメント・バンキングでは、株式市場
の上昇や企業業績の回復などを背景に企業の資金調達が拡
大したことに伴い、大和証券の引受案件も増加し、収益を拡
大することができました。
四半期業績推移
グローバル・マーケッツ
グローバル・インベストメント・バンキング
(十億円)
(十億円)
50
15
40
10
30
20
5
10
0
0
–10
純営業収益 1Q
2Q
3Q
2012 年度
経常利益
4Q
1Q
2Q
3Q
2013 年度
4Q
–5
純営業収益 1Q
2Q
3Q
2012 年度
4Q
1Q
2Q
3Q
2013 年度
4Q
経常利益
大和証券グループ 年次報告書 2014
29
大和証券グルー プ概要
大和証券グループ本社
髙 橋 昭夫
国内の引受業務では、2013 年度の国内最大となったソフ
取引所 へ の新 規 上 場に係るアドバイザリー契 約を締 結
トバンクの普通社債発行において事務主幹事を務めました。
しました。
海外では、International Bank for Reconstruction and
2012 年度のタイの証券会社 Thanachart
グローバルドル債*1 の発行において、多くのブックランナー*2
を務めました。
また、当社グループおよびMyanma
リミテッド)
との間で、ミャンマーにおいて設立予定の証券
・M&A 案件
2013 年度の主な引受け主幹事(共同主幹事案件を含む)
ラリア・ニュージーランド銀行)
と業務提携契約を結び、今後
成長の見込める市場におけるプレゼンス向上策を着実に
推進しました。
*1 欧州、米国、アジアで募集される債券
*2 債券の発行時に、主に販売面の管理、推進を行う会社
経営管理態勢
Economic Bank
(ミャンマー 経 済 銀 行)との 合 弁 会 社 である Myanmar
Securities Exchange Centre Co., Ltd.(ミャンマー証
券取引センター )
は、2013 年 12 月 2 日付で、ミャンマーの
大手財閥傘下の銀行であるAsia Green Development
Bank Limited(アジア・グリーン・デベロップメント・バンク・
経営戦略
Development(国際復興開発銀行)や国際協力銀行などの
Securities
Plc.(タナチャート証券)との業務提携に続き、2013 年度
もインドネシアの証券会社PT. Bahana Securities( バハナ
証券)、マレーシアの投資銀行 Affin Investment Bank
Berhad(アフィン・インベストメントバンク)、Australia
and New Zealand Banking Group Limited(オースト
ステー クホルダー の皆様へ
執行役副社長
ホールセール部門担当
sustainability
株式公募・売出し
(含む CB)
山口フィナンシャルグループ
ミクシィ
ユーロ米ドル CB
PO
当社グループが積極的に取り組んでいるインパクト・インベストメント
149 億円
約 3,100 億円
インパクトを重視する点に特徴があります。2013 年 11 月には、国際
IPO
オープンハウス
中国光大銀行
IPO
IPO
債券
ソフトバンク
三井住友信託銀行
国際復興開発銀行
リテール債
グローバルドル債
グローバルドル債
4,000 億円
10 億ドル
60 億ドル
債券は 、従来の SRI 投資に比べて、投資が及ぼす直接的な社会的
機関による女性をテーマとした日本で初めての債券、国際金融公社
( IFC )
が発行する
「女性の力 応援ボンド」
を引き受けました。
M&A
東急不動産、東急リバブル、東急コミュニティーの経営統合
アサヒグループホールディングスによるミャンマー Loi Hein Companyとの合弁設立
日本電気による NEC モバイリング株式の譲渡
Prudential Financial, Inc. によるマレーシア生保 Uni.Asia Life Assurance Berhad
の買収
大和証券グループ 年次報告書 2014
ディスクロー ジャー
3 億ドル
118 億円
30
経営戦略
アセット・マネジメント部門
アセット・マネジメント部 門
大和証券グループのアセット・マネジメント部門は 、主として個人投資家のニーズに応える投資
信託の設定・運用を行う大和証券投資信託委託(以下 、大和投資信託)
と、年金基金などの機関
投資家に対する投資顧問で長年の信頼と実績のある大和住銀投信投資顧問(持分法適用関連会社)、
J-REIT の資産運用を行う大和リアル・エステート・アセット・マネジメントおよび同社が運用する
大和証券オフィス投資法人などによって構成されています。
2013 年度の事業環境と業績
2014 年度のアクションプラン
1. 運用体制の強化・パフォーマンス追求
2. 証券・銀行窓販の両チャネルにおける主力ファンド
の構築・拡充
3. 訴求力のあるファンドラインアップの強化
4. 顧客ニーズの変化に応じた商品提供・顧客サポート
の強化
大和投資信託および大和住銀投信投資顧問は、幅広い
販売チャネルを通じた商品の提供や運用力の強化により、
運用資産額の拡大に取り組みました。
大和投資信託では、
「ダイワ米国株ストラテジーα
(通貨
選択型)
−トリプルリターンズ−ブラジル・レアル・コース
(毎
月分配型)」
(2013 年度の資金増加額:911 億円)が大和
証券による販売において好調であり、銀行窓販チャネルに
おいては「ダイワ高格付カナダドル債オープン
(毎月分配
型)」
(2013 年度の資金増加額:4,486 億円)
の販売が好調
でした。また、2013 年12 月に「ダイワ・スイス高配当株ツイ
ンα
(毎月分配型)」を新規に設定し、当初設定額が 601 億
円となりました。2013 年度における同社の資金増加額は、
国内アセット・マネジメント会社中最大の1 兆827 億円となり、
アセット・マネジメント部門の主要運用資産残高
銀行窓販チャネルにおける公募株式投信残高
(兆円)
(兆円)
18
4
15
3
12
2
9
6
1
3
0
12/6
12/9
12/12
13/3
13/6
13/9
13/12 14/3
(年 / 月末)
大和投資信託(公募株式投信)
大和投資信託(公募公社債投信)
大和住銀投信投資顧問(投資顧問)
大和住銀投信投資顧問(公募株式投信)
0
9/3
大和投資信託 10/3
11/3
12/3
13/3
14/3
(年 / 月末)
大和住銀投信投資顧問
大和証券グループ 年次報告書 2014
31
大和証券グルー プ概要
大和証券グループ本社
白川 真
シャル・プライベート投資法人に加え、ヘルスケア施設に
大和住銀投信投資顧問では、国内外の年金基金などを
ことにより、合計 3 法人となりました。これにより運用資産
対象とする投資顧問業務において運用能力の向上に努め
残高合計は 2014 年 3 月末に約 4,400 億円まで拡大しま
た結果、格付投資情報センター( R&I )が発行する「 年金
した。また、大和証券オフィス投資法人は、日本格付研究所
情報」誌の年金顧客評価調査で、5 年連続の全体評価1 位
( JCR )
より長期発行体格付 AA–(安定的)
を取得しており、
を獲得しました。また、投資信託業務では、2013 年 4 月に
「グローバル リアルエステート サステナビリティ ベンチマーク
設定した「カナダ高配当株ツインα
(毎月分配型)」が新規
設定後も順調に残高を拡大し、2013 年度末の純資産残高
は 1,904 億円となりました。
不動産アセット・マネジメント分野では、大和リアル・エス
特化した日本ヘルスケア投資法人を2014 年 1 月に設立した
経営戦略
2013 年度末における同社の公募株式投資信託の純資産
残高は、過去最高の 8 兆 9,584 億円となりました。
ステー クホルダー の皆様へ
執行役副社長
アセット・マネジメント部門担当
調査」
( Global
Real Estate Sustainability Benchmark
( GRESB )Survey )
にも参加し、2 年連続で最高位のカテ
ゴリーである「グリーン・スター」
(“ Green Star ”)
の評価
を獲得しました。
経営管理態勢
テート・アセット・マネジメントが運用する不動産用途の特化
型 REITは、大和証券オフィス投資法人、大和証券レジデン
sustainability
大和リアル・エステート・アセット・マネジメントは、高齢化社会が
進行するなか、民間資金を有効活用した高齢者向け施設の整備を目
指し、2014 年1 月、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅、病院
施設特化型投資法人「日本ヘルスケア投資法人」を設立しました。
2014 年3 月、有料老人ホームを中心に運用を開始し、東京証券取引所
への上場を目指しています。
大和証券グループ 年次報告書 2014
ディスクロー ジャー
およびメディカルモールなどを投資対象とした日本初のヘルスケア
32
経営戦略
投資部門/その他
投資部門
大和証券グループの投資部門は、投資家からの出資によって組成したファンドを通じて投資を行う
大和企業投資と、自己資金で投資を実行する大和 PI パートナーズの2 社を中心に構成されています。
ベンチャー投資 、国内外のプライベート・エクイティ投資 、金銭債権投資 、エネルギー投資(メガ
ソーラー )など、幅広く投資を行っています。
できました。ファンドマーケティング活動も継続し、新規
ファンドの組成を計画しています。
2014 年度のアクションプラン
大和 PI パートナーズは 、金融機関からの金銭債権の
1. 新興・成長企業に対する投資機能の強化に向けた、
ファンドレイズ推進・組織体制拡充へのグループの
経営資源の積極的投入
2. リスク状況・資本効率を意識しつつ、厳選された魅力
的な投資機会の捕捉
3. 既存案件における投資回収の極大化
買取りや、保有債権の回収が順調であることに加え、企業
再編に関連した新規ローンも積極化しました。また、プライ
ベート・エクイティ業務では、鉄鋼メーカーの中山製鋼所 、
インドネシアの投資会社 Saratoga
Investama Sedaya 社
など、複数の企業に投資しました。加えて、エネルギー関連
投資として、香川県観音寺市のメガソーラー発電所など、
複数のプロジェクトに投資しました。
2013 年度の業績
大 和 証 券エスエムビーシープリンシパル ・インベスト
大和企業投資では 、復興活動やものづくり企業への支
メンツは 、三井住友建設株式の売却を中心に、投資資産
援を中心に優良なベンチャー企業の発掘・投資実行を推
の回収を行いました。
進しました。また、既存投資先企業の EXIT の極大化を図
これらの施策により、2013 年度の大和証券グループ
り、ベンチャー投資案件の IPO やバイアウト投資案件の売
投資部門の純営業収益は前年度比 14.3%増の 199 億円、
却などにより、大幅なキャピタルゲインを獲得することが
経常利益は前年度比 21.3%増の 171 億円となりました。
sustainability
大和企業投資
大和 PI パートナーズ
大和企業投資が設立するファンドは、成長が期待できる優良なベン
大和 PI パートナーズでは 、メガソーラープロジェクトに積極的に
チャー企業へリスクマネー を供給し、ハンズオン支援を通じて投資先
取り組んでいます。2014 年 4 月より、香川県観音寺市のメガソーラー
企業の企業価値向上を図ることを目的としています。ファンド事業を
発電所で、電力の供給を開始し、北海道釧路市では 、メガソーラー
通じて、新しい技術・新しい市場の創出・活性化を行い、社会の持続
発電所 2 ヵ所の工事に着手しました 。
的発展に貢献します。
メガソーラー発電所
香川県観音寺市
(大和 PI パートナーズ)
大和証券グループ 年次報告書 2014
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その他
総研グループ、銀行業務を行う大和ネクスト銀行などによって構成されています。
大和証券グルー プ概要
大和証券グループのその他事業は、リサーチ・コンサルティング業務、システム業務などを行う大和
大和総研グループ
1. 経済・金融・環境を柱とした積極的な情報発信により、
グループプレゼンスを向上
2. 国内・アジアにおけるコンサルティング力の強化に
より、グループの収益機会を拡大
3. グループシステムのオフショア化・クラウド化により、
システム効率性を向上
に関する国際協力機構( JICA )
などの公的機関からの大型
案件に取り組むなど、多様なサービスを展開しています。
システム業務では 、中国のシステム開発子会社である
訊和創新有限公司を活用し、オフショア化を拡大するとと
もに、国内最高水準のクラウド環境を整備し、クラウド化を
加速させることにより、コスト効率化を徹底しています。ミャ
ンマー関連では 2015 年の証券取引所開設に向け 、証券
ステー クホルダー の皆様へ
2014 年度のアクションプラン
取引所や証券会社向けのシステム構築を継続 、また、ミャ
2013 年度の実績
し、ミャンマーの金融 ITシステムの近代化に向けた取組み
大和総研のリサーチ業務では、税や社会保障、国内外の
を本格化しました。
経営戦略
ンマー中央銀行と「 IT 分野の支援に関する覚書」を締結
経済動向に加え、長期ビジョンである「 DIR30 年プロジェ
クト」
レポートを発表するなど、テレビ・セミナー・出版を通
sustainability
じて幅広い層へタイムリーに情報発信することで、外部か
らの高い評価を受け 、大和証券グループ全体のプレゼン
大和総研ビジネス・イノベーションでは、埼玉県が推進するエコ
ス向上に貢献しています。コンサルティング業務では、国
タウンプロジェクトにて
「 HEMS*インフラを活用した行政サービス
え、官公庁などの公的機関からの受注を拡大し、海外で
は、ミャンマー資本市場育成に注力するとともに、ミャンマー
の提供実証」
を行っています。住宅に設置されるHEMSを活用し、
環境配慮型都市づくりを支援しています。
* Home Energy Management System の略で、家庭における電気などのエネルギー管理
(表示・制御)
を支援するシステム
経営管理態勢
内においては 、大手企業向けコンサルティング案件に加
大和ネクスト銀行
2014 年度のアクションプラン
プレミアムサービスの開始、ファンドラップなどの各種証券
商 品との セットプランなど 、証 銀 連 携ビジネスモデルを
活かした事業展開により、2013 年度末の預金残高(譲渡性
預金含む)は 2 兆 3,991 億円 、銀行口座数は 90 万口座と
2013 年度の実績
なりました。
大和ネクスト銀行は、個人金融資産の過半を占める預金
特に、2012 年 7 月に取扱いを開始した外貨預金は、各種
を有価証券投資につなげていくゲートウェイとして「貯蓄から
キャンペーンの 実 施などにより、2013 年 度 末 の 残 高は
投資へ」の潮流をつくり出すことをミッションとしています。
2,146 億円と着実に拡大しています。
大和証券グループ 年次報告書 2014
ディスクロー ジャー
1. 証銀連携ビジネスモデルの進化
2. 外貨ビジネスの拡大
3. ALM 機能の強化
開業から3 年目にあたる 2013 年度は 、2013 年 4 月の
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