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OS1309 - 日本機械学会

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OS1309 - 日本機械学会
OS1309
<M&M2009 カンファレンス・2009 年 7 月 24~26 日>
Copyright©社団法人 日本機械学会
圧電フィルム
圧電フィルムを
フィルムを用いた超音波
いた超音波による
超音波による欠陥検出
による欠陥検出・
欠陥検出・同定
および構造
および構造ヘルスモニタリング
構造ヘルスモニタリング手法
ヘルスモニタリング手法
鈴木俊男*1,前田孝治*1, 綿加 裕己*2,久保 司郎*1,阪上 隆英*1
Detection and Identification of Defects
and the Structural Health Monitoring Method
by Ultrasonic Pulse Echo Method Using the Piezoelectric Film
Toshio SUZUKI*3, Takaharu MAEDA, Yuki WATAKA,
Shiro KUBO, and Takahide SAKAGAMI,
*3
Graduate School of engineering, Osaka University, Yamadaoka, 2-1, Suita, Osaka, 565-0871 Japan
The passive and active electric potential CT method was proposed by using piezoelectric film for
identification of cracks and defects. This method is based on the principle of mutual conversion between
mechanical strains and electric potential of piezoelectric material. A smart-layer was constructed using
the piezoelectric film, and attached on a structure with a defect. In the passive method, the piezoelectric
film is used as a sensor of strain distribution. When the structure was subjected to a mechanical load, the
electric potential distribution appeared passively on the piezoelectric film due to the direct piezoelectric
effect. The defect can be identified from the distribution with the help of inverse analysis. It was found
that the crack could be identified reasonably, although the defect depth was not well estimated for the
defects located far from the layer. In the active method, the piezoelectric film is used as an ultrasonic
wave transducer. When the electric signal was input to the smart-layer, acoustic wave was actively
emitted from the layer due to the inverse piezoelectric effect, and a reflected wave was received on the
layer. This method is useful for the identification of defects far from the layer. In this study, the
applicability of the active method was examined. It was found that vertical crack, parallel crack, slant
crack and multiple cracks could be estimated well.
Key Words : Defect Identification ,Structural Health Monitoring, Piezoelectric film, Ultrasonic
Pulse Echo Method
して高精度の同定が可能である.圧電フィルムを超音
1. 緒
言
波トランスデューサとして利用する方法は,表面に遠
オンラインで欠陥の検出・モニタリングを行うため
い欠陥に対して有効性が高いと考えられるがその検討
の手法として,圧電フィルムを表面ひずみセンサとし
は見当たらない.本研究では,圧電フィルムから構成
て利用する受動型電気ポテンシャル CT 法と,超音波
されるスマートレイヤを用いた超音波の多点送受信に
トランスデューサとして利用する超音波パルス反射法
よる欠陥同定手法について,実験的に検討した.
を併用する手法が提案され,ひずみセンサと超音波ト
ランスデューサの双方の機能を備えるスマートレイヤ
受動型電気ポテンシャル CT 法は,
が開発されている[1].
圧電フィルムを用いて構造部材の表面ひずみ分布を電
気ポテンシャル分布に変換し逆解析により部材内部の
欠陥を同定する手法であり,特に表面に近い欠陥に対
2. スマートレイヤ
図 1 にスマートレイヤの構造を示す.
試験片,厚さ 52(µm)の PVDF フィルム,電極とリー
ド線端子をエッチングにより形成した FPC(Flexible
Printed Circuit)の順に積層されている.FPC の基材は
50(µm)厚の PET フィルム,回路箔材は 10(µm)厚アル
ミニウムである.FPC 上の各電極はケーブルを介して
*1
正員,大阪大学大学院工学研究科
(〒567-0871 大阪府吹田市山田丘 2-1)
*2
学生員,大阪大学大学院工学研究科.
E-mail: [email protected]
パルサレシーバに接続されており,多点で超音波の送
受信が可能である.
と推定する.エコー電圧比 rE と電極下部の状態との関
Electrodes (Etched pattern)
Flexible printed circuit
係は,試験表面とき裂と試験体底面の位置関係や試験
体の材料に依存すると考えられるが,この依存性に関
する検討が不十分であるため,試験対象によらず判定
基準は同じものとして推定を行うことにする.
Piezoelectric film
z
Structural material (Ground)
Fig. 1 Schematic illustration of smart-layer.
3. 欠陥同定手法
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬
pw
2a
Electrode
θ
3.1 1 次底面エコー
次底面エコーの
エコーのエコー高
エコー高さ分析による
分析による推定
による推定
1 探触子法では,その指向性により,図 2 に示すよう
xc1
xc2
にそれぞれの電極の下部(灰色の部分)のき裂の有無
を推定することができる.それぞれの電極で 1 探触子
Fig. 2 Schematic illustration of smart-layer.
法による計測を行うと,図 3 に示すような探傷図形が
Bottom echo
V
得られる.底面エコーに注目すると,電極①~③や電
極⑨~⑪のように電極の下部に欠陥がない場合には,
入力された超音波のほとんどが底面で反射して電極へ
①
T
V
②
Flaw echo
T
Sound part
(SP)
V
戻ってくるため,どの電極でもほぼ同じ大きさの底面
エコーが現われる.一方,電極⑤~⑧のように,電極
の下部にき裂表面がある場合は,入力された超音波は
底面に達する前にき裂表面で反射するために,底面エ
コーは現われない.また,電極④のように電極の下部
にき裂の先端がある場合は,入力された超音波の一部
がき裂先端で反射し,底面に達する超音波が減少する
ため,底面エコーが無欠陥部での計測よりも小さくな
③
④
一方は電極⑧の右端と電極⑨の左端の間の幅 p の領域
T
Crack tip
(CT)
V
⑤
T
V
⑥
T
V
⑦
Crack surface
(CS)
T
V
⑧
る.したがってこれらの結果から,両き裂先端の x 方
向の位置としては,一方は電極④の電極幅 w 内,もう
T
V
T
V
⑨
T
V
⑩
に存在すると推定できる.
T
Sound part
(SP)
V
本研究では,測定電極下部の状態を判定するパラメ
ータとして,無欠陥部の最大エコー電圧に対する測定
⑪
T
Fig. 3 Reflection signal by mono probe method.
電極の最大エコー電圧の大きさを表すエコー電圧比 rE
を導入し,rE の大きさによって測定電極下部の状態を
3.2
3.2 1 次きずエコー
きずエコーの
エコーの伝搬時間解析による
伝搬時間解析による推定
による推定
決定する.
図 4(a)に示すように 2 つの電極を用いて超音波の送受
測定電極において 1 次底面エコーの最大エコー電圧
信を行うと図 4(b)に示すような探傷図形が得られる.
が Vmax であるとき,無欠陥部の最大エコー電圧を基準
きずエコーF1 の立ち上がり時間 tF1 と音速 C の乗 tF1・C
電圧 VR として,次式で定義されるエコー電圧比 rE を
は送信電極から発振され,き裂で反射して受信電極へ
求める.
到達する超音波の最短経路距離だと考えることができ
rE = Vmax / VR
(1)
本研究では,
る.図 4(a)に示すように最短経路を通った超音波の反
射点は送受信電極上の 2 点 Fp,Frを焦点とし,2 焦点
0.5< rE ならば「欠陥無し(SP: Sound part)」
からの和を tF1・C とする楕円上に存在する.スマート
0.1<rE≦0.5 ならば「き裂先端有り(CT: Crack Tip)」
レイヤ上の複数の電極で 1 電極および 2 電極による計
rE≦0.1 ならば「き裂表面有り(CS: Crack Surface)」
測を行い,
円および楕円を作成することでき裂の位置,
形状および寸法を推定することができる.
x
4.2 解析結果
いくつかの電極で 1 電極および 2
電極による計測を行い,伝搬時間解析を行った結果を
z
Pulser
Reciever
Fr(xr,0 )
Fp(xp,0)
(xr+xp,0)
図 7 に示す.赤線は実際のき裂モデルを表している.
また,図 7 から推定できるき裂先端の位置を表 1 に示
2
す.き裂上端(0,-7)およびき裂下端(16,-16.2)付近で交点
x
が集中し,円および楕円の接線はき裂表面とほぼ一致
Crack
tF1・C
しており,き裂先端の位置,き裂深さ,き裂長さおよ
びき裂形状が精度良く推定できていることがわかる.
x (mm)
0
-10
-5
(a) Propagation time analysis
B1
F1
V
0
5
10
15
20
25
-5
T
z (mm)
-10
tF1
-15
(b) Reflection signal
Fig. 4 Propagation time analysis method.
-20
4. 同定実験
4.1 試験片と
試験片とスマートレイヤ
Actual crack
図 5 に示すような,
-25
試験表面に対して 30°の傾きを有する貫通き裂の同
Fig.7 Comparison of result of
propagation time analysis and the actual crack.
定実験を行った.幅 20(mm),厚さ 15(mm)のアルミニ
ウム試験片にき裂上端の深さが 7(mm),き裂長さ
16(mm),幅 0.5(mm)の貫通スリットを放電加工により
Table 1 Estimated value of crack tip locations.
導入した.図 6 に示すように FPC の電極のサイズは
1.0×8.0(mm),電極のピッチは 1.5(mm)である.
0
0
-9 -7.5 -6 -4.5 -3 -1.5 0 1.5
x
3
4.5
6
7.5
Actual
Estimated
Lower tip
(x l , z l )
(16,-16.2)
(15.8,-16.1)
9 10.5 12 13.5 15 16.5 18 19.5 21 22.5 24 25.5 27 28.5 30 31.5 33 34.5 36 37.5 39
5. 結
言
スマートレイヤを用いた超音波多点送受信による欠
θ=30°
陥同定手法を提案し,
実験によりその有効性を示した.
0.5
z
Upper tip
(x u , z u )
(0,-7)
(0.0,-7.0)
文
献
[1] S. Kubo, et al., Proc. 6th Int. Conf. on Inverse Problems
16
Fig. 5 Installation of smart-layer.
1.5
1.5
Terminal
0.3
Electrode
1.0
Alminum pattern
PET film
Fig. 6 Design of FPC.
in Engineering: Theory and Practice, (2008), Paper #62,
pp.1-9
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