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2008(日本語Pdfファイル)
70MPa 充てん対応蓄圧器材料の評価
(㈱日本製鋼所) ○石垣良次、高澤孝一、和田洋流、岩本隆志
1.研究開発の目的
水素社会構築共通基盤整備事業・水素インフラに関する安全技術研究において、平成 19
年度は燃料電池自動車の航続距離の増大を測るべく、NEDO ロードマップからの指針に沿
った、燃料電池自動車への 70MPa 充てん対応金属製蓄圧器材料の検討、評価試験を実施し
た。70MPa 充てん対応蓄圧器の設計において、常用圧力を 80MPa、設計圧力を 88MPa と
設定し高圧ガス保安法・特定設備検査規則に準拠し耐圧部強度計算を実施したところ、
35MPa 充てん対応蓄圧器材料である SCM435 鋼では蓄圧器肉厚が増大してしまうため、
十
分な引張強度、衝撃値を確保することが困難であるとの検討結果を得た。水素ガスの高圧
化に伴う蓄圧器肉厚の増大に対して、高強度鋼の採用により肉厚の減少を図ることは可能
ではあるが、高圧水素環境下での水素環境脆化(Hydrogen Environment Embrittlement ;
H.E.E.、水素環境脆化)の感受性増大が懸念され、その為に強度と水素環境脆化感受性のバ
ランスを図ることが、適用鋼種の選定条件となる。
平成 20 年度は平成 19 年度に着手した 70MPa 充てん対応蓄圧器材料である SNCM439
鋼強度低減材の継続研究として、70MPa 充てん蓄圧器の実機製造技術の検討を実施した。
2.研究開発の内容
2.1 実機材の製造検討
70MPa 充てん対応蓄圧器の適用鋼種の検討においては、平成 19 年度の実施において JIS
G 4103(1979) SNCM439 鋼の規格強度からの強度低減材の研究が実施されている。
SNCM439 鋼は規格最小引張強さ(T.S.)が 980N/mm2 であるが、規格最小引張強さでは水素
環境脆化感受性が高く、蓄圧器材料としての使用においては強度の調節を 880N/mm2 から
980N/mm2 の範囲に収まるような対策の実施が必要となる。
平成 20 年度の実機製造検討においては、
実水素ステーションおよび実験設備向け 70MPa
充てん対応蓄圧器の素材を用いて検討・試験を実施した。試験に用いた素材は、各蓄圧器
製造工程での鍛錬形状から熱処理された同一素材を切断し使用した。
表 2.1-1 に JIS G 4103(1979) SNCM439 鋼の規格化学成分および実機材から採取した試
験片製作材料の化学成分分析値を示す。SNCM439 鋼強度低減材の最小引張強さσ B を
880N/mm2、設計圧力を 88MPa にて設計検討を実施した結果、試験水素ステーション向け
蓄圧器は内径 274mm、外径 430mm、肉厚 78mm の蓄圧器形状が決定し、製造においては
図 2.1-1 の熱処理を実施した。熱処理は焼入熱処理 820~870℃、保持時間 2 時間、油冷却
としている。焼入熱処理後の焼戻し処理は、570~640℃、保持時間 4 時間とし、空冷であ
る。
表 2.1-1 化学成分分析結果
(mass%)
SNCM439鋼
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
産出値(レードル)
0.39
0.25
0.77
0.005
0.003
1.90
0.84
0.24
実績値
1/2t
0.40
0.26
0.80
0.005
0.004
1.88
0.83
0.24
下限
0.36
0.15
0.60
0.030
0.60
0.15
0.35
0.0300
以下
1.60
熱処理条件
以下
2.00
1.00
0.30
規格値(1)
上限
図 2.1-1
0.43
0.90
(1)JIS G 4103(1979)
820/870℃
50℃/h
570/640℃
空冷
油冷
2h
4h
焼入熱処理
焼戻し熱処理
図 2.1-1 熱処理条件
2.2 試験項目および試験装置
SNCM439 鋼強度低減材の試験に際しては平成 19 年度からの継続ではあるが、平成 20
年度は実機製造検討が中心となり、遅れ割れ試験、水素分析装置を用いた水素脆化感受性
評価、蓄圧器素材性状の評価を実施した。
実機製造技術の評価においては、SNCM439 鋼強度低減材が高圧ガス保安法・特定設備
検査規則別表第 1 に規定されている規格最小引張強さ 980N/mm2 を下回ることから、蓄圧
器製造申請においては、高圧ガス保安協会(KHK)へ事前評価申請を実施している。
図 2.2-1 に試験に用いた、超高圧水素中遅れ割れ試験装置の外観および仕様を示す。試験
装置は試験容器内に遅れ割れ試験片を挿入し水素圧力 90MPa(常用)を充てんし、外側の
SUS304 製水圧チャンバー内にて水圧 90MPa にて保持する機構である。試験圧力容器内に
加圧される水素ガスは酸素等の不純物を取り除く為に、超高純度水素(99.99999%、Grade 1)
を用い、圧力容器を含む試験機配管系内の真空引きを実施し、更に超高純度水素ガスによ
る繰り返しガス置換を実施した後に試験を開始している。
水圧チャンバー仕様
試験温度
常温(温水ジャケットにて温度制御)
試験圧力(水圧)
1~90MPa
チャンバー寸法
外径465mm、内径250mm
材質
SUS304
遅れ割れ試験
容器
水圧チャンバー
試験片容器仕様
試験温度
常温
試験圧力(水素)
1~90MPa
容器寸法
外径114mm、内径70mm
材質
SCM435
図 2.2-1 超高圧水素中遅れ割れ試験装置および仕様
3.研究開発の結果
3.1 遅れ割れ試験結果
長時間水素ガス環境での水素脆化によるき裂の進展を把握するために、
遅れ割れ試験を実
施している。平成 19 年度の実施内容にて規格強度材試験片(T.S.=1144N/mm2)は、初期応
力拡大係数 25MPa√m、水素圧力 85MPa、1000 時間暴露にて、き裂の進展が確認された。
一方、強度低減材試験片(T.S.=942N/mm2)は、初期応力拡大係数 60MPa√m、水素圧力
90MPa、1000 時間暴露後においても、き裂の進展は確認されなかった。平成 20 年度は、
予き裂導入時の大気による影響をグローブボックスを用いて確認した。
実施に際しては、
表 3.1-1 水素容器材料規格である ASME Boiler & Pressure Vessel Code
Section VIII, Div.III ARTICLE KD-10 の試験要求に準拠すべく、窒素ガス環境中で試験片
へ荷重を負荷することが可能な図 3.1-2 に示すグローブボックスを導入し実施した。グロー
ブボックス内は窒素ガス置換および真空ポンプによるガス置換を繰り返し、最終的には窒
素ガス雰囲気で酸素(O2)分 0.13ppm 以下、露点-107℃以下の環境を作り出している。遅れ
割れ試験片への初期加重の負荷は、グローブボックスに貫通させたシャフトを介して実施
しており、負荷される荷重はクリップゲージによる開口量で制御している。
遅れ割れ試験片は表 3.1-2、表 3.1-3 に示す SNCM439 鋼強度低減材および実水素ステー
ション向け蓄圧器材を用い、図 3-1-1 の試験片形状に機械加工を実施している。
表 3.1-1 ASME KD-10 の試験要求項目
定歪み保持遅れ割れ試験(K減少型試験)
KD-1046 Test Procedure
適 否
現状
(a)
圧力容器内に試験片を挿入する
○
(適合)
(b)
試験前に容器内を真空排気、水素置換を
行うこと
○
(適合)
(c)
テスト容器内のガス純度が
O 2<1ppm,CO 2<1ppm, CO<1ppm,
H 2O<3ppm, 99.9999%純度水素を供給し、
上記要求を満足させること
○
(適合)
CO,CO 2濃度は測定していないが、元ガスと
して99.99999%水素を使用し、酸素分
O 2=0.2ppm,露点-62℃を確認しているので
問題なし
(d)
フェライト鋼、マルテンサイト鋼は保持時間
を1000時間以上とする
○
(適合)
保持時間は1000時間とした
(f)
定歪み試験において荷重を負荷する際は
不活性ガスを満たしたグローブボックス内
(O 2<5ppm, H 2O<50ppm)で行うこと
○
(適合)
試験設備の制約から今回は大気中で荷重
を負荷した。設備を導入。
ボルト部へ荷重負荷
予き裂先端部
20mm
図 3.1-1 遅れ割れ試験片形状
サイドボックス
下 部 ボ ッ ク ス
(容器取り出し口)
図 3.1-2 遅れ割れ試験用グローブボックス
図 3.1-3 に遅れ割れ試験片を 90MPa 水素ガス中で 1000 時間暴露した結果を示す。試験
片条件は SNCM439 鋼強度低減材であり、予き裂の導入をグローブボックス内の窒素ガス
雰囲気中で行なった試験片と、通常の大気中で導入した試験片である。初期応力拡大係数
は 2 条件とし、35MPa√m および 60MPa√m である。1000 時間暴露後の観察からは、き
裂の進展は観察されない。
図 3.1-4 に SNCM439 鋼強度低減材と実機材の 1000 時間暴露試験後の破面観察結果を示
す。試験条件は初期応力拡大係数を 3 条件として 36MPa√m、60MPa√m および 72MPa
√m を目標値としてグローブボックス内の窒素ガス雰囲気中で負荷している。各初期応力
拡大係数条件からは、強度低減材および実機材においてもき裂の進展は観察されない。
図 3.1-5 に 45MPa 水素中にて 500 時間暴露した各種材質の遅れ割れ試験結果と、
SNCM439 鋼強度低減材および実機材の 90MPa 水素中の 1000 時間暴露遅れ割れ試験結果
を整理して示す。各引張強度にて遅れ割れ試験片に負荷する初期応力拡大係数を変化させ
ているが、引張強度で 1060MPa 以上の試験片で、き裂の進展が観察されている。
表 3.1-2 強度低減材および実機材の化学成分分析結果
(mass%)
鋼種
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
強度低減材
0.42
0.22
0.80
0.014
0.0023
1.82
0.86
0.25
実機材
0.40
0.26
0.80
0.005
0.0040
1.88
0.83
0.24
表 3.1-3 強度低減材および実機材の機械試験結果
鋼種
0.2%耐力
引張強さ
破断伸び
2
2
σε(N/mm ) σB(N/mm )
δ(%)
絞 り
φ(%)
破面遷移温度
(℃)
強度低減材
804
942
18.6
64.6
-56
実機材
763
942
22.0
62.3
-37
初期応力
拡大係数
グローブボックス中応力負荷
90MPa水素
1000hr暴露
KIapp=35MPa√m
荷重負荷環境
酸素0.13ppm 露点-107℃
大気中応力負荷
90MPa水素
1000hr暴露
KIapp=35MPa√m
35MPa√m
き裂進展なし
90MPa水素
1000hr暴露
KIapp=60MPa√m
荷重負荷環境
酸素0.13ppm 露点-107℃
き裂進展なし
90MPa水素
1000hr暴露
KIapp=60MPa√m
60MPa√m
き裂進展なし
き裂進展なし
図 3.1-3 SNCM439 鋼強度低減材の予き裂負荷条件の違いによる遅れ割れ試験結果
初期応力
拡大係数
強度低減材
初期応力
拡大係数
36
MPa√m
35
MPa√m
60
MPa√m
51
MPa√m
72
MPa√m
71
MPa√m
実機材
図 3.1-4 強度低減材および実機材遅れ割れ試験結果
初期応力拡大係数 (MPa√m)
120
中空:進展なし
中実:進展あり
SCM435
SCM440 heat B
SCM440 heat C
SUS316
HT80
SNCM439AS
SNCM439(強度低減材)
SNCM439(実機材)
SCM440 heat B
SNCM439AS
90
60
30
0
600
800
1060MPa
以上
1000
引張強度 (MPa)
鋼種
1200
応力負荷
大気中 無酸素中
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
※1) SNCM439 鋼強度低減材およ
び実機材は 90MPa 水素中、1000
時間曝露による試験結果を示す。
※1)
図 3.1-5 45MPa-500 時間曝露および 90MPa-1000 時間暴露遅れ割れ験結果
3.2 水素分析装置を用いた水素脆化感受性評価
四重極型質量分析機(QMS)を用いて、SNCM439 鋼の水素中変形に伴う鋼中への水素進
入 挙 動 を 調 査 した 。 試 験 に用 い た 試 験片 強 度条 件 は SNCM439(T.S.=1163N/mm2) 、
SNCM439R1(T.S.=977 N/mm2)および SNCM439R2(T.S.=947 N/mm2)の 3 種類とし、図
3.2-1 に示す長さ 19mm(平行部 8mm)、幅 4mm(平行部 3mm)、厚さ 1mm の板状試験片を
用いた。試験方法は当該板状試験片を、機械加工後①QMS 中で 600℃にて脱水素処理を実
施、②引張試験前に水素量測定、③0.5MPa 水素中引張試験(ひずみ速度:1.1x10-5S-1)、④
引張試験後水素量測定を実施した。
図 3.2-2 に試験結果を侵入水素量と引張ひずみ量の関係で整理して示す。試験結果からは
侵入水素量は降伏点近傍までひずみ量増大に伴い増加を示しており、高強度材に比較して
低強度材の方が多くの水素が侵入している結果である。
3
4
R0.5
1
8
19
図 3.2-1 水素分析用引張試験片形状
昇温速度:200℃/h,150℃までの放出水素量
1200
800
600
4
400
2
0
0.000
/ MPa
6
1000
Stress,
Hydrogen content, CH
SNCM439
SNCM439R1
SNCM439R2
Stress-strain curve
SNCM439
SNCM439R1
8
-3
Hydrogen content, CH / 10 mass ppm
10
200
0.005
0.010
Strain,
・降伏点近傍まで引張ひずみ量
0
増大に伴い水素侵入量も増大。
0.015
0.020
・低強度鋼の方が侵入水素量
が多い。
図 3.2-2 侵入水素量と引張ひずみ量の関係
3.3 蓄圧器素材性状の評価
70MPa 充てん対応蓄圧器素材である SNCM439 鋼について、実機製造素材と市販購入
素材の性状調査を実施した。対象素材の化学成分分析結果を表 3.3-1 に示す。JIS 規格成分
値のリン(P)=0.030%以下、硫黄(S)=0.030%以下であり、実機製造素材及び市販購入素材の
化学成分値は問題の無い値ではあるが、市販購入素材については実機製造素材より P およ
び S が高い値となっている。
確認機械試験として引張試験(常温)、シャルピー衝撃試験を実施した。引張試験片は試験
片を採取する素材の大きさから、JIS 4 号試験片および JIS 14 号試験片を素材の長手方向
(軸方向、L 方向)および周方向(C 方向)から採取した。シャルピー衝撃試験片は JIS Z2202 V
ノッチ試験片を、引張試験片の採取方向と同様に採取している。V ノッチの加工方向はサイ
ドノッチとした。また機械試験片採取前の熱処理は、実機製造素材は当社製造工程の熱処
理工程を再現し、市販購入素材については蓄圧器製造メーカーの熱処理工程を付与してい
る。
引張試験結果を表 3.3-2 に示す。素材は SNCM439 鋼強度低減材の T.S.=880~980N/mm2
の引張強さの範囲に入っているが、市販購入素材においては内表面 3/4t 位置で若干ではあ
るが、強度低減材の範囲を超えている。また C 方向と L 方向では伸び・絞り値に異方性が
見られる。シャルピー衝撃試験結果を図 3.3-1 に示す。試験結果から素材の FATT にはバラ
ツキがあるが、0℃以下の値である。また吸収エネルギーは市販購入素材については試験片
採取の方向により上部棚の吸収エネルギーに違いが出ている。
表 3.3-1 SNCM439 鋼実機製造素材および市販購入素材の化学成分分析結果
(mass%)
C
0.40
0.40
実機製造素材
市販購入素材
Si
0.26
0.23
Mn
0.80
0.78
P
S
0.005 0.004
0.023 0.011
Ni
1.88
1.71
Cr
0.83
0.83
Mo
0.24
0.20
表 3.3-2 SNCM439 鋼実機製造素材および市販購入素材の機械試験結果
SNCM439 鋼実機製造素材
試験片採取位置
カバー
1/4t
ボディー
1/4t
降伏点
N/mm
2
SNCM439 鋼市販購入素材
引張強度
N/mm
伸び
2
絞り
%
%
C方向
841
970
22.0
58.7
L方向
840
969
22.5
58.7
C方向
849
972
22.7
5837
L方向
836
973
21.2
59.2
(1) 試験片:JIS Z2201 4 号試験片
(直径 14mm、標点距離 50mm)
試験片採取位置
内表面
1/4t
内表面
3/4t
降伏点
N/mm
2
引張強度
N/mm
2
伸び
絞り
%
%
C方向
821
965
15.1
45.6
L方向
808
957
20.1
66.2
C方向
852
981
17.4
45.6
L方向
856
984
21.6
67.7
(1) 試験片:JIS Z2201 14A 号試験片
(直径 8mm、標点距離 35mm)
100
採取方向:C方向
60
40
FATT
=-65℃
20
20
0
160
140
120
120
60
40
20
0
-160 -120
FATT
=-2℃
40
140
80
FATT
=-8℃
60
160
0
100
L-R方向
C-R方向
80
延性破面率 (%)
80
吸収エネルギー (J)
吸収エネルギー (J)
延性破面率 (%)
100
L-R方向
100
80
60
40
C-R方向
20
-80 -40
0
試験温度 (℃)
40
80
-80
-40
0
40
80
試験温度 (℃)
図 3.3-1 SNCM439 鋼実機製造素材および市販購入素材のシャルピー衝撃試験結果
4.まとめ
(1) SNCM439 鋼強度低減材(引張強さ 880N/mm2 から 980N/mm2 の範囲)の遅れ割れ試
験片を、グローブボックス内の不活性雰囲気中(窒素ガス)および大気中で予き裂導
入し、常温、90MPa、1000 時間曝露を実施した。試験結果からは水素脆化による
き裂の進展は認められなかった。
(2) 同じく、SNCM439 鋼強度低減材と実機製造材から採取した遅れ割れ試験片を用い
てグローブボックス内の不活性雰囲気中(窒素ガス)で予き裂を導入し、常温、90MPa、
1000 時間曝露を実施した。試験結果からは水素暴露された各初期応力拡大係数試験
片の水素脆化によるき裂の進展は認められなかった。
(3) 水素分析装置(QMS)を用いて、SNCM439 鋼の水素中変形に伴う水素侵入挙動を調
査した。試験結果からは、試験片への侵入水素量は降伏点近傍までのひずみ量増大
に伴い増加することが認められた。また、低強度材の方が高強度材よりも多くの水
素が侵入することが認められた。
(4) SNCM439 鋼を用いた蓄圧器製造における、素材の性状調査を実施した。実機製造
素材及び市販購入素材の機械試験結果から、市販購入素材に延靭性における異方性
が認められた。
(5) 今後は遅れ割れ試験における、き裂の進展条件を確認すべく 90MPa オートクレー
ブ付き疲労試験機を用いて水素中で予き裂導入及び応力負荷を実施し、荷重保持下
における挙動を評価する予定である。
(6) また水素分析装置を用いて、変形に伴う転移密度、ひずみ等の微細構造変化と水素
量の関連を評価する予定である。
謝辞
この成果は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の
結果、得られたものです。
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