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報告書(3.9MB) - 九州地域産業活性化センター

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報告書(3.9MB) - 九州地域産業活性化センター
平成 21 年度
低炭素社会構築に向けた新エネルギー導入政策支援調査
~太陽光発電システムの普及加速に向けて~
2010 年3月
財団法人 九州地域産業活性化センター
調査によせて
現在、低炭素社会の構築は、世界的な最重要課題となっている。低炭素社会を目指した
社会基盤・産業基盤を構築していくことで、経済を活性化させようとする流れが世界中で
広がりつつあり、特に、新エネルギーの導入に対する関心は高くなっている。
わが国でも、ポスト京都議定書をにらみ、2007 年の「Cool Earth 50(美しい星 50)
」、
2008 年の「低炭素社会・日本をめざして(福田ビジョン)
」や「新エネルギーモデル国家の
構築に向けて(新エネルギー部会緊急提言)
」などを通し、新エネルギー普及導入の積極展
開が示された。中でも、太陽光発電は新エネルギーの柱として位置づけられ、2008 年 11
月には「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」が提示された。そして、2009
年9月には、条件付ながら鳩山総理が、1990 年比で 2020 年までに二酸化炭素をはじめと
する温室効果ガスを 25%削減することを表明し、同年 11 月からは、「エネルギー供給構造
高度化法(日本版フィードインタリフ)
」による、太陽光発電による余剰電力の固定買取制
度が始まった。わが国でも、太陽光発電の普及・拡大と太陽光発電産業の活性化が求めら
れている。
九州においては、経済産業省九州経済産業局が「COOL KYUSHU PROJECT」として
2008 年から3年間の行動計画を示し、
「クリーンエナジー九州の実現」を掲げている。2008
年には、九州地方知事会第 131 回会合で「地球温暖化対策の連携」が決定され、九州経済
同友会でも「九州における地球温暖化抑制の取り組みについて」が示されるなど、低炭素
社会の構築に向けた一体的取り組みが積極化している。また、日本版フィードインタリフ
など政策的支援が進む中で、普及と同時に九州での太陽光発電産業の裾野を拡げ、競争力
を強化することも求められている。こうした状況下、太陽光発電システムの普及に関して、
九州発のより具体的な施策を提案することが、本調査の目的である。
調査にあたっては、熊本大学学長の谷口功委員長をはじめ、業界に精通する産学の関係
者9名からなる委員会で、熱心なご審議をいただいた。また、オブザーバー参加も毎回 10
名程度あり、委員会自体が貴重な交流の場として機能した。そして、専門的な立場から負
団法人九州経済調査協会にご協力いただいた。ここに関係各位のご尽力に対して、深く感
謝するものである。
本調査が、太陽光発電の普及・拡大と太陽光発電産業の活性化を通して、低炭素社会の
形成に繋がれば望外の喜びである。
平成 22 年3月
負団法人 九州地域産業活性化センター
会長 鎌田 迪貞
概要
国内外における低炭素社会の構築に向けた取り組みの一つが、新エネルギーの導入であ
るが、その中でも、太陽光発電システムの普及は、有効な手段の1つである。太陽光発電
システムの普及に向けた取り組みは世界中で進められており、導入量は増加し続けている。
日本でも、1974 年のサンシャイン計画や 1994 年の「新エネルギー大綱」により、太陽光
発電システムの普及が促進された。近年、国内外における太陽光発電産業の急速な発展に
伴い、システムの導入目標は上方修正を続けており、現在の目標は、2020 年の導入目標が
2005 年実績の 20 倍(28GW)となっている。更に、鳩山政権の誕生により、わが国は 1990
年比で 2020 年までに、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを 25%削減することを目
指すこととなる等、太陽光発電システムをはじめとする新エネルギーの導入を更に加速す
ることが求められている。
太陽光発電システムの普及に関するわが国の取り組みは、余剰電力を10年間一定価格
で買取る「エネルギー供給構造高度化法(日本版FIT)」や補助制度、税制優遇といっ
た行政(国・地方自治体)の取り組みと、グリーン電力証書やグリーン電力基金などの
民間の取り組みが混在している。それぞれに長所と短所があるが、普及支援策の多くは、
住宅向けのシステム普及に関するものであり、事業所向けの取り組みは尐ない。しかし、
「温室効果ガス削減目標」を達成するためには、住宅向けの太陽光発電システムの設置
だけでは困難であるため、事業所向け等、住宅以外での普及に向けた取り組みが必要で
ある。
九州は、第2世代薄膜太陽電池の世界的な集積地となっており、九州の生産能力は世界
の 2.7%、国内の 17.2%であり、今後4年間で5倍程度になることが見込まれている。また、
九州は、太陽光発電システムの一大消費地でもある。九州の世帯普及率は全国を上回り、
佐賀県、宮崎県、熊本県は、都道府県別世帯普及率の上位を占めている。そして、全国の
普及のトップランナーとして、官民を挙げた取り組みが進められている。しかし、製造さ
れた太陽電池の多くは海外に輸出されており、現時点では地元(九州)での利用は進んで
おらず、生産と消費が連動しているとは言い難い。太陽光発電産業の活性化と同時に太陽
光発電システムの普及を進めるためには、薄膜太陽電池の「地産地消」を促すことが必要
であるが、住宅向けの太陽光発電システムは、第 1 世代の結晶系太陽電池が主に使われて
いるため、非住宅、つまり事業所や公共施設などの市場を開拓することが求められる。
太陽光発電システム導入に関する九州の事業所向けアンケート調査によると、新エネ
ルギーの導入や省エネルギーの推進に対して関心を持つ企業は9割を占め、太陽光発電
システムの導入・拡大の意向を持つ企業は2割程度存在しており、今後の普及の伸びし
ろに期待できる。一方、費用対効果の低さ、設置価格が不透明、導入メリットが不明確、
住宅用に比べて行政支援が不充分といったことも指摘された。また、導入インセンティ
ブとして、余剰電力買取制度や住宅向けの補助制度の認知度は高いが、非住宅向けの補
助制度やグリーン電力証書、税額控除等の認知度が低いことも明らかとなった。事業所
(中小企業)へシステムを普及させるためには、初期投資の補助制度や発電した電気の
高値買取制度、温室効果ガス削減などの分かりやすいインセンティブが必要である。ま
た、「地産地消」の太陽光発電システム普及に財献するグリーン電力証書については、
認知度の低さという問題点を明確化し、購入費用の税制面での優遇や温室効果ガス削減
量への算入が議論されている。
九州における太陽光発電システムの普及を検討する上で、念頭に置くべきプレイヤーは、
設置(施工)事業者である。今後九州では、住宅及び事業所における導入の拡大が期待さ
れるが、そもそも設置工事が適切に実施されなければ、システムの本来の性能は発揮され
ない。設置を適切に実施できるのが、ハウスメーカーや電気工事業者、木造建築工事業者
などが関わる設置事業者である。九州の既存設置事業者の活性化や地場企業の新規参入を
支援することで、九州の太陽光発電産業は、更に発展することが期待される。
太陽電池販売施工メーカーや電気工事業者、管工事業者等を対象とした太陽光発電シス
テムの設置に関するアンケート調査によると、約 50%の企業が設置事業に参入済であり、
約 25%の企業が参入していないが参入意欲ありとしているため、今後の裾野拡大が期待で
きる。しかし、既存参入事業者にとっては設置技術者・従業員の不足が、新規参入を目
指す事業者にとってはパネル調達や販売・施工ノウハウの不足が問題点であることを指
摘された。こうした問題点を解消するためには、情報交流の場の設定や優良施工業者を
認定する制度が効果的であることも明らかとなった。
太陽光発電システムの大量導入にあたっては、系統保護や電圧問題、需給バランス問
題など、安定・定量を基本とする電力の性質上、考慮しておくべき課題が多く、課題解
消のためには、電力会社に対するインフラ整備のコスト貟担が大きくなる。コスト貟担
の仕組みを早い段階で検討し、太陽光発電を含めた再生可能エネルギー導入のための社
会システムの整備が必要となる。
最後に、これらの状況を踏まえて、今後の九州での太陽光発電システムの普及に向けて、
主に以下の施策を提案した。
1)事業所向け普及促進スキーム1
①グリーン電力証書の活用
②グリーン電力証書の排出量取引との連動
本スキームの提案は、2010 年3月現在の「余剰電力買取制度の継続」
、
「行政による補助や税制優遇」
、
「パ
ネル価格並びにパネル設置費用のコスト削減努力」が今後も継続することを前提としている。また、2010
年3月現在、2010 年度より導入が予定されている「全量買取制度」は具体化しておらず、先行き不透明の
ため、全量買取制度導入時の問題点についても普及促進スキームの中で指摘した
1
2)システム設置への地元企業の参入促進
①情報交換、勉強会、研修等「場」の設定
②太陽光発電システムアドバイザー派遣制度導入
③優良施工業者認定制度導入
④システム施工保険制度
3)その他個別支援策
①九州薄膜メーカーと設置事業者のマッチング支援
②システム導入企業向けの融資メニューの充実
③小規模地区レベルでのシステム設置に対する補助制度
④規制緩和による導入支援
今後、これらの支援策の実現に向けて、関係各所で具体的な議論と取り組みが展開され、
九州がフロントランナーとなり、わが国での太陽光発電システムの普及拡大が進むことを
強く希望する。
※報告書全体での留意点※
太陽光発電システムの普及に関する各種の制度は、現在、様々な変更が実施されている最中で
ある。本報告書で記載した国の制度やデータ等については、基本的に 2010 年3月中旬頃までの
ものである。
目
次
はじめに ··········································································································· 1
1.調査の背景 ······························································································· 1
2.調査の目的 ······························································································· 2
第1章 太陽光発電等再生可能エネルギーの動向 ····················································· 3
1.再生可能エネルギーの中における太陽光エネルギー········································· 3
2.太陽光発電に関する社会情勢 ······································································· 6
3.太陽光発電産業の動向と日本での普及状況 ···················································· 10
第2章 太陽光発電の普及への取り組み ································································ 15
1.エネルギー供給構造高度化法(日本版 FIT) ················································· 15
2.政府の助成・補助制度 ··············································································· 17
3.国等の実証実験や研究に対する支援 ····························································· 22
4.地方自治体の助成・補助制度 ······································································ 23
5.グリーン電力証書 ····················································································· 26
6.グリーン電力基金 ····················································································· 32
7.各種補助制度の比較 ·················································································· 34
第3章 太陽光発電システム導入に対する九州企業の実態········································ 37
1.太陽光発電システム普及促進に関するアンケート調査の概要 ··························· 37
2.新エネルギー利用に対する取り組み実態 ······················································· 40
3.太陽光発電システムの導入インセンティブ ···················································· 47
4.温室効果ガス削減への取り組み ··································································· 51
5.グリーン電力証書について ········································································· 57
6.太陽電池関連製品の利用意向と参入意向 ······················································· 65
7.アンケート調査より明らかになった課題 ······················································· 73
第4章 太陽光発電システム設置における地場企業参入の実態·································· 77
1.太陽光発電システム設置(施工)とは ·························································· 77
2.太陽光発電システム設置に関するアンケート調査の概要·································· 79
3.太陽光発電システム設置事業等に対する取り組み状況····································· 83
4.太陽光発電システム設置事業への新規参入について········································ 87
5.太陽光発電システム設置に関しての現在の問題点··········································· 91
6.地元業者等の参入支援策について ································································ 94
7.アンケート調査から明らかになった支援の方向性········································· 109
第5章 太陽光発電システム大量導入に向けた官民の取り組み································ 115
1.太陽光発電システム大量導入の課題 ··························································· 115
2.大量導入への対策に関する政府の動き ························································ 117
3.個別住宅・小規模地区レベルにおける電力の地産地消システムの構築 ············· 119
第6章 九州における太陽光発電システムの導入支援促進策··································· 121
1.事業所対象の普及促進 ············································································· 123
2.太陽光発電システム設置に対する地元企業の参入促進··································· 134
3.その他の支援策 ······················································································ 144
参考資料:アンケート調査票
はじめに
1.調査の背景
低炭素社会の構築は、世界的な最重要課題となっている。わが国政府は、ポスト京都議
定書をにらみ、2007 年の「Cool Earth 50(美しい星 50)」で、世界全体の温室効果ガス排
出量を現状比で 2050 年までに半減とする長期目標を提案し、2008 年には「低炭素社会・
日本をめざして(福田ビジョン)
」や「新エネルギーモデル国家の構築に向けて(新エネル
ギー部会緊急提言)
」により、新エネルギー普及導入の積極展開を明示した。中でも、太陽
光発電は新エネルギーの柱として位置づけられており、同年 11 月には4省庁合同で「太陽
光発電の導入拡大のためのアクションプラン」が提示された。そして、政権交代後の 2009
年9月には、鳩山総理により、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを、1990 年比で 2020
年までに 25%削減することが表明された。
経済産業省は、2008 年度の補正予算並びに 2009 年度予算において、
「住宅用太陽光発電
導入支援対策費補助金制度」を導入し、また、「固定価格買取制度(エネルギー供給構造高
度化法)
」の導入を発表した。太陽光発電の導入をめぐる環境はこの数年間で大きく変化し
ている。
九州では、九州経済産業局が 2008 年から3年間の行動計画として「COOL KYUSHU
PROJECT」を示し、九州地方知事会が第 131 回会合で「地球温暖化対策の連携」を決定
し、九州経済同友会が「九州における地球温暖化抑制の取り組みについて」を示した。現
在は、九州におけるより具体的なプランの立案が求められている。
一方、九州地域産業活性化センターは、2009 年3月に「九州地域太陽光発電関連機械工
業調査」において、太陽光発電の普及促進にかかる意識調査と支援施策を提示している。
意識調査によると、九州経済界の新エネ・省エネへの関心は極めて高く(約 95%が関心あ
り)
、太陽光発電等の新エネルギー設備の導入には前向きな姿勢を示している(新エネへの
関心:太陽光発電約 70%、太陽光発電以外の新エネ約 30%等)
。
新エネルギーの普及にあたっては、補助金等国の政策的な制度に加えて、新エネルギー
を生み出す発電設備のストックの拡充に寄与する「グリーン電力基金」や、これらの発電
設備で生み出された環境付加価値というフローの有効活用に寄与する「グリーン電力証書」
の制度等、これまでの普及を下支えしてきた制度が存在する。しかし、国の太陽光発電シ
ステムに対する補助制度が大きく変化する中、これまでの制度のメリット・デメリットや
今後の可能性を踏まえた上で、既存の普及支援策の組み合わせや新規支援策の創出、設置
に関する新規事業者の参入の推進等を通して、普及促進スキームを再構築することが課題
となる。また、補助金を中心とした国の補助制度は充実しつつあるが、今後の制度の継続
性については不透明である。なお、普及促進スキームの再構築にあたっては、補助制度が
継続している間に、九州の太陽光発電産業がコスト競争力をつけ、国際競争力を高めてい
1
く必要性について留意することが求められる。
2.調査の目的
本調査は、低炭素社会の構築に寄与すべく、太陽光発電を軸に、新旧の支援策の組み合
わせにより、九州発の新エネルギー普及促進スキームの構築を目的とする。
① 九州が太陽光発電の「普及導入トップランナー」地域を目指すために必要な促進策の提
案と PR
② システム設置事業者も含めた九州におけるソーラー産業クラスター(産業生態系)の形
成
2
第1章 太陽光発電等再生可能エネルギーの動向
1.再生可能エネルギーの中における太陽光エネルギー
1)太陽光エネルギーの重要性
地球上で利用可能なエネルギーには様々な種類があるが、利用時に炭素の排出量が尐な
い低炭素社会の構築に財献するエネルギーは、原子力エネルギーと再生可能エネルギーで
ある。再生可能エネルギーの中には、普及のために支援を必要とするエネルギーである「新
エネルギー」がある。具体的には、中小水力を活用した発電や太陽光発電、風力発電、バ
イオマス発電などを指す。新エネルギーを活用した発電システムは、技術的には実用段階
に突入している。しかし、普及が進んでいるとは言い難い。低炭素社会の構築に向け、今
後の普及が期待されている。
図表1-1-1
新エネルギーとは
1997新エネ法
再生可能エネルギー
新エネルギー
石油代替エネルギーを製造、発生、
利用すること等のうち、
①経済性の面での制約から普及
が進展しておらず、かつ、
②石油代替エネルギーの促進に
特に寄与するもの
大規模水力
新エネルギー
再生可能エネル
ギーのうち、普及
のために支援を必
要とするもの
○供給サイドの新エネルギー
太陽光発電
太陽熱利用
風力発電
雪氷熱利用
バイオマス発電
バイオマス熱利用
バイオマス燃料製造
温度差エネルギー
廃棄物発電
廃棄物利用
廃棄物燃料製造
○需要サイドの新エネルギー
クリーンエネルギー自動車
天然ガスコージェネレーション
燃料電池
中小水力
地熱
太陽光発電
太陽熱利用
風力発電
雪氷熱利用
バイオマス発電
バイオマス熱利用
バイオマス燃料製造
温度差熱利用
バイオマス由来廃棄物発電
バイオマス由来廃棄物熱利用
バイオマス由来廃棄物燃料製造
(波力発電)(海洋温度差熱発電)
化石原料由来廃棄物発電・熱利用・燃料製造(※)
技術革新の進捗等
に応じて対象とな
る技術を精査
革新的エネルギー技術開発利用
再生可能エネルギーの普及、エネル
ギー効率の飛躍的向上、エネルギー源
の多様化に資する新規技術であって、
その普及を図ることが特に必要なもの
(※)化石原料由来廃棄物発電・熱利用・燃料製造については、
省エネルギーの一手法として位置づけられる
資料)環境省「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策について(提言)
」
出典)資源エネルギー庁資料等より事務局作成
新エネルギーの中でも、地球上に最も多く存在するエネルギーは、太陽光のエネルギー
である。地球上に届く太陽光エネルギーは、毎秒 42 兆 kcal といわれており水力(5億 kcal)
や地熱(77 億 kcal)と比較すると非常に多い。太陽光の1時間の照射エネルギーを全て活
用すると仮定すれば、世界のエネルギー需要の1年分を補える程の量である。しかし、エ
ネルギー密度は大気表面で 1,400W/㎡、地表面:1,000W/㎡であるため、太陽光のエネルギ
ーを利用する際には、太陽光発電システムで活用する太陽電池の変換効率の向上が鍵とな
る。例えば、変換効率 10%の太陽電池であれば、100W/㎡(=1,000W/㎡×0.1)のエネル
3
ギーを活用することが出来る。
勿論、太陽光のエネルギーを利用する太陽光発電システムは、天候変化による日射の強
弱によって安定した発電が出来ないなど発電をコントロールしにくいことや、現状では太
陽光発電システムの初期投資のコストが高いために発電コストが高い(46 円/kWh 程度)
ことなど、いくつかのデメリットがある。しかし、膨大なエネルギーを長期間活用できか
つ燃料が不要であることや、住宅や事業所の屋根に設置するなど土地の多重利用が可能に
なることなど、いくつかのメリットもある。そのため、発電コストを家庭用電力料金(23
円/kWh)や事業所用電力料金(14 円/kWh)の水準2に近づける研究開発は必要だが、低炭素
社会構築に向けては、太陽光を有効利用できる太陽光発電の普及促進が一つの有効な手段
となる。
図表1-1-2
地球上のクリーンエネルギー
エネルギー源
エネルギー量
水 力
5 億Kcal
潮汐流
7 億Kcal
地 熱
77 億Kcal
風 波
880 億Kcal
太陽光
4 2 0 ,0 0 0 億K c al
注)単位:毎秒
資料)太陽光発電協会
図表1-1-3
太陽光エネルギーの活用状況
資料)太陽光発電協会
2
家庭用電力料金と事業所用電力料金の金額は、PV2030+(後述)の設定より
4
2)環境的視点から見た太陽光エネルギー利用(太陽光発電)の重要性
太陽光発電による太陽光エネルギーの利用は、二酸化炭素や大気汚染物質の排出が極め
て尐ないため、地球温暖化の抑止を進める環境保全効果が高い。発電方式(エネルギー)
別に二酸化炭素の排出量を比較すると、太陽光発電は、発電の際には二酸化炭素を排出し
ないため、1kWh あたりの二酸化炭素排出量は 53 グラムにとどまっている。これは、風力
や地熱等他の再生可能エネルギーと原子力とほぼ同水準であり、環境への貟荷は低いとい
える。また、夏期・日中の電力ピーク時に発電量が増大するためピークカット効果にも期
待できる。
もちろん、太陽光発電は発電量のコントロールが難しいため、化石燃料系の発電所は必
要になるが、これを極力稼働させずに済むようにできる可能性がある。エネルギーバラン
スを図りつつ導入を進めることによって、低炭素社会の構築への財献が期待できる。
図表1-1-4
発電方式別の二酸化炭素排出量(ライフサイクル CO2)
(g-CO2/kWh)
1,200
1,000
発電燃料燃焼
800
設備・運用
600
887
400
704
478
408
200
88
38
130
111
石
油
火
力
L
N
G
火
力
L
( N
複
合 G
) 火
力
0
石
炭
火
力
53
29
22
15
11
太
陽
光
風
力
原
子
力
地
熱
中
小
水
力
注 1)発電燃料の燃焼に加え、原料の採掘から発電設備等の建設・燃料輸送・精製・運用・保守等のため
に消費される全てのエネルギーを対象として CO2 排出量を算出。
注 2)原子力については、現在計画中の使用燃料国内再処理・ブルサーマル利用(1 回リサイクルを前提)・
高レベル放射性廃棄物処理等を含めて算出。
資料)電力中央研究所より九経調作成
5
2.太陽光発電に関する社会情勢
1)普及にむけた世界的な取り組みと競争の激化
太陽光発電システムの導入は、1990 年代は日本やアメリカが中心となって進められてき
たが、2000 年以降、ヨーロッパを中心に様々な導入支援策が進められてきた。
1997 年に、京都議定書が議決され、CO2 の削減目標が定められた。これを受けて、EU
では、2010 年における再生可能エネルギーを全エネルギーの 12%、電力の 22%とするこ
とを定めた。その後 2001 年には、
「欧州再生可能エネルギー系統指令」によって、各加盟
国に対して再生可能エネルギーの利用目標を設定した。
この状況下、EU 加盟国のドイツは、再生可能エネルギーの1つである太陽光発電の積極
的な活用を始めた。2000 年の「再生可能エネルギー法(EEG)
」では、再生可能エネルギ
ー源による電力の買取の義務づけ、買取額と買取期間(20 年間保証)を定めた。こうした
太陽光発電システムによるエネルギーの買取価格を法律で定める方式が、いわゆるフィー
ドインタリフ制度(以下 FIT)である。買取額が 20 年間保証されているため、この後ドイ
ツでは急速に太陽光発電システムが普及した。ドイツでの普及の成功を受けて、現在では、
ヨーロッパを中心に FIT を採用する国が急増3している。この結果、世界の太陽光発電シス
テム年間導入量(但し IEA 加盟国 18 カ国に限る)は、2007 年に 2.2GW4を超えた。
図表1-2-1
ヨーロッパ主要国における太陽光発電導入支援策
資料)
「欧米における再生可能エネルギーの普及への取り組み」一木修・貝塚泉『光発電
2008 年 No.31』
3
但し、2009 年にドイツでは、買取補償額の減尐(フィードインタリフの逓減率の引き上げ)を実施し、
同年のスペインでは、太陽光発電による電力の年間導入量に 500MW の上限を設置するなど、見直しも行
われている。
4 主要国の導入量は、ドイツ:1,100MW、スペイン 500MW、日本 200MW、アメリカ 200MW の規模に
達している。
(出所:(株)資源総合システム「太陽光発電マーケット 2009 2008 年レビュー」
)
6
2)日本における普及に向けた動き
(1)伸び悩む再生可能エネルギーの導入量
世界的な太陽光発電システムの普及に向けた動きに対して、日本においても普及に関す
る各種の取り組みが始まっている。
日本の普及促進に向けた動きや普及促進制度は、1994 年における「新エネルギー大綱」
と、住宅用太陽光発電システムの導入に対する補助制度であるが、研究開発レベルを含め
ると、1974 年から始まったサンシャイン計画が初めてのものである。以後、ニューサンシ
ャイン計画、各種太陽光関連研究開発と、形を変えながら現在も続いている。
1994 年 12 月には、政府の新エネルギー部会により「新エネルギー大綱」が発表され、
目標として、2010 年度に太陽光発電システムを 4.8GW 導入することが示された。ただし、
現状(2008 年)では、1.9GW にとどまっている。
そもそも、これまでのわが国の再生可能エネルギーの導入量は、他国に比べて低い。2009
年2月 10 日に環境省が発表した「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策に
ついて」によると、わが国の再生可能エネルギーの導入量は、1990 年以降、現在(2006
年)に至るまで 2,300~3,000 万 kl 弱で推移しており、伸び悩んでいる。また、一次エネル
ギー総供給量に対する再生可能エネルギーのシェアでは、2005 年のわが国の実績は 5.0%
である。同年のスウェーデンは 28.4%、デンマークは 15.5%、EU 全体では 7.1%である。
2020 年における目標についても、
わが国が 8.2%であるのに対して、スウェーデンは 49.0%、
デンマークは 30.0%、フランスは 23.0%、EU 全体で 20.0%である。
(2)上方修正を続ける太陽電池の導入目標
そのため、近年はわが国でも、低炭素社会形成に向けたイニシアティブをとるために、
様々な政策が行われるようになった。
2007 年5月には、安倍総理(当時)のイニシアティブとして、
「Cool Earth 50(美しい
星 50)
」が示され、ここでは、世界全体の温室効果ガス排出量を現状比で 2050 年までに半
減とする長期目標提案が示された。これは、自然界の吸収量と同等のレベルに押さえる水
準を目標としたものであり、ここでは太陽光発電技術が重要なテーマとして記載された。
2007 年 6 月のハイリゲンダムサミットでは、気候変動が重要なテーマとなり、2050 年ま
でに世界全体の温室効果ガスの排出量を尐なくとも半減することなどを真剣に検討するこ
とが合意された。その結果、2008 年3月には、わが国の資源エネルギー庁によって Cool
Earth 50-エネルギー革新技術計画が示され、2050 年までの技術ロードマップが提示され
た。
この流れを受け、2008 年6月には、新エネルギー部会により「新エネルギー政策の新た
な方向性について~新エネルギー国家の構築に向けて~」が示され、わが国は、原子力、
省エネルギー、新エネルギーに特に注力し、新エネルギーの中では、太陽光発電、蓄電池、
燃料電池に注力することが明らかになった。つまり、太陽光発電が、新エネルギーの柱と
7
して位置づけられたのである。
同時期に、福田総理(当時)により、
「低炭素社会・日本を目指して~福田ビジョン~」
において、新エネルギー大綱(2004 年 12 月)で示されていた、わが国の太陽電池の導入
目標が上方修正された。具体的には、太陽電池の導入量を 2020 年に 10 倍、2030 年に 40
倍にするため、2020 年に 14GW、2030 年に 57GW(2005 年の導入量 1.4GW がベース)
の導入を目指すとしている。このために、家庭用補助金の再開や、フィードインタリフの
導入が検討された。更に、2009 年2月の環境省の提言「低炭素社会構築に向けた再生可能
エネルギー普及方策について」では、導入目標が更に上方修正され、2020 年には現状の 25
倍である 37GW、2030 年には現状の 55 倍である 79GW が示された上、2050 年までには
173GW の導入を目指すという、長期目標が提示された5。
2009 年9月には、鳩山政権が誕生し、1990 年比で 2020 年までに二酸化炭素をはじめと
する温室効果ガスを 25%削減することを表明した。同年 12 月には、
「新成長戦略」を示し、
6つの戦略分野の1つに「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」
を位置づけ、電力の固定価格買取制度拡充等による再生可能エネルギーの拡大支援を明示
した。
図表1-2-2
戦略分野
グリー ン・イノベー ショ ンによる
環境・エ ネルギ ー 大国戦略
ライフ・イノベーション
による健康大国戦略
アジア経済戦略
観光立国・地域活性化戦略
科学・技術立国戦略
雇用・人材戦略
鳩山政権の新成長戦略(基本方針)
2020年までの目標
主な施策
新規市場50兆円超、新規雇用140万人
日本の技術で世界の温室効果ガス排出13
億トン削減
需要に見合った産業育成と雇用の創出
新規市場約45兆円、新規雇用約280万人
電力の固定価格買取制度拡充等による再生可能エ ネルギ ー
拡大支援
住宅・オフィス等のゼロエミッション化
革新的技術開発の前倒し
エコ社会形成に向けた集中投資事業
医療・介護・健康関連産業の成長産業化
革新的な医療技術、医薬品、機器の研究開発・実用化支援
APEC自由貿易圏(FTAAP)の構築
アジア等海外市場への展開促進
バリアフリー住宅の供給促進
アジアと共同で「安全・安心」の国際標準化
ヒト・モノ・カネの流れ2倍に
アジアの所得倍増
訪日外国人2,500万人、新規雇用56万人
食糧自給率50%、農産物等輸出1兆円
鉄道・水・エネルギーなどのインフラ整備のアジア展開
羽田24時間国際拠点化、港湾の戦略的整備等
アジアからの訪日観光ビザの取得容易化
休暇取得の分散化など「ローカル・ホリデー制度」の検討
木材自給率50%以上
官民の研究開発投資GDP比4%以上
理工系博士課程修了者の完全雇用
路網整備等による森林・林業の再生
大学・研究機関改革の加速
イノベーション創出のための制度・規制改革
情報通信技術による国民の利便性向上
フリーター約半減、女性M字カーブ解消
待機児童問題を解消(就学前・就学期)
行政ワンストップ化
「トランポリン型」セーフティネットの整備
幼保一体型、多様な事業者の参入促進
出産後、希望者全てが就業復帰
育児休業の取得期間・方法の弾力化
資料)経済産業省ホームページ
これらの目標を実現するための具体的な施策も展開され始めている。
2008 年 12 月には、
条件付きではあるが1kW 当たり7万円という水準で、住宅用補助金が復活し、2009 年 11
月からは、エネルギー供給構造高度化法(日本版フィードインタリフ)により、向こう 10
年間の余剰電力の固定買取制度が始まった。
5
その後、2009 年3月の麻生政権(当時)の「経済危機対策」では、2020 年の導入目標を、2005 年実績
の 20 倍(28GW)とした。
8
最近の太陽電池の普及拡大にあわせて、2009 年6月に、独立行政法人新エネルギー・産
業技術総合開発機構(以下 NEDO)は、太陽電池の技術ロードマップとして、
「太陽光発電
ロードマップ(PV2030+)
」を発表した。これは、太陽電池市場を取り巻く国際情勢の急激
な変化に対応するため、2004 年に策定したロードマップ(PV2030)を見直したものであ
る。
主な見直し箇所は、①ロードマップのゴールを 2030 年から 2050 年に拡大、②技術課題
にとどまらず、システム関連課題、社会システムなど、広い視野で検討、③わが国産業に
よる海外に対する太陽光発電システム供給、④具体的な目標と取り組みの枠組みの提示、
である。
このロードマップでは、発電コスト目標を、2020 年までに業務用電力並(14 円/kWh)
、
2030 年までに事業用電力並(7円/kWh)とすることが定められている。しかし、近年のわ
が国の太陽光発電システムの価格は、1kW あたり 66~70 万円程度で推移し、発電コスト
も 49 円/kWh(2007)と、コスト低下が進んでいない。風力発電が 10~14 円/kWh、廃棄
物発電が9~11 円/kWh6であることを考慮すると、太陽光発電の発電コストは、依然高い
といえる。今後は、補助金や買取制度等による普及だけではなく、補助金や買取制度が継
続している間に、量産化を想定した技術開発を進めながら、発電コストを低下させること
が求められる。
図表1-2-3
PV2030+による太陽光発電のロードマップ
実現時期(開発完了)
2010年~2020年
2020年(2017年)
2030年(2025年)
2050年
発電コスト
家庭用電力並
(23円/kWh)
業務用電力並
(14円/kWh)
事業用電力並
(7円/kWh)
汎用電源として利用
(7円/kWh以下)
モジュール変換効率
(研究レベル)
実用モジュール16%
(研究セル20%)
実用モジュール20%
(研究セル25%)
実用モジュール25%
(研究セル30%)
超高効率モジュール40%
国内向生産量(GW/年)
0.5~1
2~3
6~12
25~35
(海外市場向け(GW/年))
~1
~3
30~35
~300
主な用途
戸建住宅、公共施設
住宅(戸建、集合)
公共施設、事務所など
住宅(戸建、集合)公共施設、
民生業務用、電気自動車など
充電
民生用途全般
産業用、運輸用、
産業地、独立電源
資料)NEDO ホームページ
6
共に電気事業連合会「図表で語るエネルギーの基礎 2008-2009」より
9
3.太陽光発電産業の動向と日本での普及状況
1)太陽電池生産量の増加
世界的な太陽光発電システム普及に向けた政策的な動きに対応する形で、太陽電池の生
産量は、近年急増している。2003 年までは数百 MW であった生産量が、2004 年には
1,195MW と 1,000MW の大台を超え、4年後の 2008 年には約7倍である 6,941MW に拡
大している。
生産量の国別構成比を見ると、2007 年までは日本が首位だったが、2008 年には、Suntech
(中国)などの企業が牽引する形で、中国が 1,787MW(シェア 26%)で首位となった。
日本も 2007 年から 2008 年にかけて、304MW 生産量を増やし、1,224MW になったが、第
2位となった。以下、ドイツ、台湾、アメリカと続く。近年、各国は太陽電池の生産量の
増加を進めている。
一方、太陽電池生産量を企業別にみると、第1位はドイツの Q-Cells であり、2年連続の
世界一となった。第2位は、CdTe 太陽電池により、生産量を急速に伸ばした First Solar
である。第3位の Suntech は、2007 年も第3位であった。日本メーカーは、第4位にシャ
ープ、第6位に京セラ、第 11 位に三洋電機、第 17 位に三菱電機となっているが、前年と
比べて順位を落としている。
図表1-3-1
世界の太陽電池生産量の推移(左)と国別構成比(右:2008 年)
(MW)
6,941
7,000
その他
1,065.0
15%
6,000
5,000
アメリカ
825.6
12%
3,733
4,000
3,000
2,521
台湾
832.5
12%
1,759
2,000
1,195
1,000
391 562
155 201 288
744
98
99 2000 01
02
03
04
05
06
07
太陽電池生産量
6,941MW
(2008年)
ドイツ
1,206.5
17%
0
08
資料)資源総合システム「太陽光発電マーケット
等より九経調作成
資料
10
中国
1,787.4
26%
日本
1,224.0
18%
PV News をもとに資源エネルギー庁作成
図表1-3-2
世界における主な太陽電池生産企業(2008 年)
First Solar(アメリ
カ・ドイツ・マレーシ
ア)
7.3%
Q-cells
(ドイ
ツ)
8.2%
Suntech(中国)
7.2%
その他
46.2%
シャープ(日本)
6.8%
MOTECH(台湾)
5.5%
京セラ(日本)
4.2%
Deutsche Solar(ド
イツ)/SolarWorld
CA(アメリカ)
3.2%
SunPower(フィリピ
ン)
3.4%
Baoding Yingli(中
国)
4.1%
JA Solar(中国)
4.0%
資料)資源総合システム「太陽光発電マーケット 2009」
日本メーカーの九州における生産動向をみると、九州での太陽電池の生産能力は、2009
年は5社合計で 285.5MW となる。これは世界の 2.7%、国内の 17.2%を占める量である。
今後の設備投資計画等を考慮すると、2010 年は 500MW 程度、2014 年頃は 1,500MW に
拡大し、今後4年間で5倍程度となる可能性がある。九州では、三菱重工業(株)
(諫早市)
、
富士電機システムズ(株)
(熊本県南関町)、(株)ホンダソルテック(熊本県大津町)、昭
和シェルソーラー(株)7(宮崎県田野町)の4社が拠点を展開し、三菱重工業(株)と富
士電機システムズ(株)が薄膜シリコン太陽電池、
(株)ホンダソルテックと昭和シェルソ
ーラー(株)が化合物系太陽電池を生産している。なお、YOCASOL(株)
(大牟田市)は
結晶系太陽電池のモジュールメーカーだが、将来的には薄膜系太陽電池のモジュールへの
進出も狙っている。
資料1-3-3
企業名
所在地
九州の薄膜系太陽電池メーカーの今後の設備等施設計画
操業年次
生産能力
(2009年)
今後の
設備投資計画
(累計)
78MW
128MW/2010年
250MW/2012年
40MW
150MW/2011年
薄膜系、
CIGS
27.5MW
-
薄膜系、
CIGS
80MW
1,000MW/2014年
結晶系
60MW
-
パネルタイプ
薄膜系、
長崎県諌早市 2002年10月 アモルファス、
微結晶タンデム
薄膜系、
富士電機システムズ 熊本県南関町 2006年11月 アモルファス
(フィルムタイ
三菱重工業
ホンダソルテック
熊本県大津町 2007年10月
昭和シェルソーラー 宮崎県田野町
YOCASOL
九州計
2007年1月
福岡県大牟田市 2007年10月
特徴
・大面積高速製膜技術
・製膜ユニットセルフクリーニング技術
・多接合化(NEDO革新的技術研究採択
・フレキシブルモジュール(軽量、大面積)
・絶縁性基板
・ステッピングロール製膜装置
・黒色モジュール
・国内販売網の重点化
(総合的な品質保証体制の確立)
・黒色モジュール
・接合界面制御技術
・モジュール工程のみ
・セルはドイツや台湾から供給
519.5MW/2010年
813.5MW/2011年
285.5MW 1,169.5MW/2012年
1,353.5MW/2013年
1,537.5MW/2014年
注1)今後の設備計画の九州計は各社の設備投資が九州内で実施された場合の想定値
注2)昭和シェルソーラーの 1,000MW 引き上げについては、2010 年からの5年間で段階的に進むと想定
し、毎年 184MW ずつ増加すると想定
資料)各社資料より九経調作成
7
2010 年4月1日付で「ソーラーフロンティア(株)」へと変更
11
現在の世界の太陽電池市場をみると、その多くは、第1世代の結晶系太陽電池であり、
市場の9割近くを占めている。無機薄膜系太陽電池は、日本で普及していない CdTe を含め
ても1割強に過ぎない。しかし、この後は、薄膜シリコンと CIGS の太陽電池は年平均 25%
程度の成長を続け、2012 年のシェアはそれぞれ 20.7%、6.8%となる見込みである。従っ
て、第2世代の薄膜系太陽電池は、今後マーケットにおいて一定のシェアを占める可能性
があるが、今後、九州の薄膜メーカー4社は、国内外の販路拡大への対応が課題となる。
図表1-3-4
太陽電池の種類別にみた成長率予測
プロダクト
サイクル
太陽電池の種類
第1世代
単結晶シ リコ ン
成熟期
(結晶系)
多結晶シ リコ ン
成熟期
第2世代
無機薄膜系 薄膜シリコン ア モ ルフ ァスシ リコ ン
(薄膜系)
シェア
2007
2012
(予測)
年平均
成長率
(予測)
88.7
67.2
4.2
4.3
20.7
26.6
成長期
微結晶シ リコ ン
成長期
CIGS
成長期
1.6
6.8
24.1
CdTe
成長期
4.5
4.9
6.1
色素増感
導入期
有機薄膜
導入期
0.8
0.4
2.6
第3世代
量子ドット
導入期(初期)
(新構造)
多接合
導入期(初期)
化合物系
有機薄膜系
注1)主要なもののみ掲載。本表を本稿における分類名称のベースとする
注2)予測値はディスプレイリサーチ社の予測値。年平均成長率は 2007 年から 2012 年までの 5 年間の値
資料)産業技術総合研究所資料、半導体産業新聞 2009.2.25 より九経調作成
2)日本と九州における普及状況
日本における太陽光発電システムの導入に対する政策的な取り組みにより、日本での太
陽電池導入量は増加し続け、2007 年には 1,919MW となった。
一方、
1994 年に定められた
「新エネルギー導入大綱」では、
2010 年の導入目標を 4,800MW
と設定し、2009 年に発表された麻生内閣における「経済危機対策」では、それまでの 2020
年の導入目標値 14,220MW を大幅に前倒しし、28,440MW と定めている。そのため、導入
量を更に増やすことが求められている。2009 年 11 月からは、エネルギー供給構造高度化
法(日本版フィードインタリフ)の導入がスタートし、普及の加速が期待されている。
12
図表1-3-5
日本の太陽電池導入実績(左)と導入目標(右)
(MW)
(MW)
2,500
60,000
1,919
2,000
50,000
1,709
1,132
1,000
低炭素社会・日本を目指して~福田ビジョン目
標値(2008年)
経済危機対策(2009年)
28,440
40,000
1,422
1,500
56,880
累積設置容量
(実績)
新エネルギー導入大綱目標値(1994年)
30,000
860
500
19 24 31 43 60
637
452
330
209
133
91
20,000
14,220
10,000
4,800
1,919
0
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
0
1995
2000
2005
2010
2015
2020
2025
2030
資料)資源エネルギー庁等より九経調作成
日本の中で南寄りに位置する九州は、太陽光発電システムの普及が進んでおり、全国的
な先進地域となっている。2008 年の人口あたりの設備容量ランキングでは、トップ 10 の
中に、宮崎県(1位)
、佐賀県(2位)、熊本県(3位)、長崎県(4位)、鹿児島県(6位)、
大分県(9位)と6県が入っており、世帯普及率ランキングでは、九州の全ての県が全国
平均を上回っている。
図表1-3-6
住宅用太陽光発電システム普及に関するランキング(2008 年)
(左:人口あたりランキング、右:世帯普及率ランキング)
(kW/1,000人)
1
宮崎県
2
佐賀県
3
熊本県
4
長崎県
5
香川県
6
鹿児島県
7
長野県
8
山梨県
9
大分県
10
岡山県
-
0.0
全国
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
(件数/千世帯)
40.0
33.6
0.0
全国
32.6
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
8.7
九州
15.5
30.9
福岡県
25.3
25.1
11.5
佐賀県
23.8
長崎県
23.5
熊本県
23.3
大分県
23.8
16.2
20.4
13.9
22.8
宮崎県
21.6
21.9
鹿児島
県
13.0
14.8
注)NEDO 住宅用太陽光発電システム普及実績/人口 注)導入件数÷住民基本台帳世帯数(千世帯)で算出
資料)新エネルギー負団、国勢調査より九経調算出 資料)新エネルギー負団、住基台帳より九経調算出
13
3)太陽光発電システムの用途
日本における年別の太陽電池の出荷量の推移をみると、2002 年度以降、順調に増加し続
けてきたが、住宅用太陽光発電システム設置への補助制度が一旦廃止された 2005 年度から
は減尐に転じた。しかし、2008 年度からは条件付きで再開されたため、再び増加に転じて
いる。
2008 年度の日本における太陽電池出荷量は 237MW であるが、その大部分が住宅向けで
あり、出荷量の 83.2%(197MW)を占めている。一方、公共・産業用に出荷された太陽電
池の出荷量は増加しているが、2008 年度の割合は 16.4%(39MW)にとどまっている。今
後、温室効果ガスを 2020 年までに 1990 年比で 25%削減するのを目指すのであれば、住宅
向けけでなく、公共施設や産業(企業・事業所)での普及を進めることが求められる。
図表1-3-7
(kW)
日本における太陽電池出荷量推移
住宅用
公共・産業用
その他
350,000
305,068
300,000
274,189
250,000
200,000
268,175
236,787
224,986
209,856
186,175
150,000
100,000
50,000
0
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
(年度)
注1)その他:電力・応用製品・民生用
注2)国内向け出荷に関する内訳であり海外向けは含めない
資料)太陽光発電協会 HP
図表1-3-8
住
宅
用
公 共 ・ 産 業 用
そ
の
他
2002
86.0
9.9
4.1
日本における太陽電池出荷量の用途別割合
2003
88.3
8.0
3.7
2004
89.8
7.6
2.6
資料)太陽光発電協会 HP より九経調作成
14
2005
88.5
10.4
1.1
2006
87.8
11.7
0.5
2007
84.1
15.3
0.5
(単位:%)
2008
83.2
16.4
0.5
第2章 太陽光発電の普及への取り組み
太陽光発電システム普及のための取り組みとして、様々な支援策が国や地方公共団体、
民間を主体として実施されている。本章では現在実施されている様々な支援策について紹
介する。
1.エネルギー供給構造高度化法(日本版 FIT)
「太陽光発電システムによる余剰電力買取制度」いわゆる「日本版フィードインタリフ」
(根拠法令はエネルギー供給構造高度化法:以下「日本版 FIT」とする)は、太陽光発電シ
ステムにより発電された余剰電力を 10 年間一定価格で買取る制度であり、2009 年7月に
関連法が成立し、同年 11 月 1 日より実際に買取が実施されている。
図表2-1-1
「太陽光発電システムによる余剰電力買取制度」の仕組み
資料)資源エネルギー庁太陽光発電買取制度室 HP より
本制度は太陽光発電システムで作られた電力のうち自家消費せずに余った電力を対象と
して、これまでの約2倍の価格で電力会社が買取を行う制度である。本制度で対象となる
電力は住宅用だけではなく、工場や事業所、学校等の公共建築物、公的施設などに設置さ
れた太陽光発電システムによる電力も対象となっているが、発電事業目的の施設は対象外
である。買取期間は 10 年間と定められており、一般的な住宅用太陽光発電システムによる
電力の買取価格は 48 円/kWh である。ただし、パネル費用と設置費用の低減に伴い、買取
価格も年度ごとに低減する事を予定している。また、自家発電設備の有無や設備容量、住
宅用か否かによっても買取金額が分けられており、自家発電設備等併設の場合(10kW 未満)
は 39 円/kWh、500kW 以上の場合は買取対象外となっている8。買取のための費用について
は太陽光発電促進付加金(太陽光サーチャージ)として電力需要家全てが貟担する事とな
8
住宅用(10kW 以上 500kW 未満)
・住宅用以外(500kW 未満)の場合は 24 円/kWh
15
っており、標準的な一般家庭(月間 300kWh)で月額数十円~100 円未満の貟担となる予
定である。
(なお、2010 年度については対象となる買取期間が短かったこともあり、太陽光
サーチャージは 0.00 円/kWh となり、2009・2010 年の買取に要した費用は 2011 年4月以
降の貟担となる。
)
図表2-1-2
「太陽光発電システムによる余剰電力買取制度」における買取価格
48円
24円
・大邸宅
買取対象外
・一般的な住宅
・契約が各戸に分かれている
集合住宅
・発電事業目的等
・ガソリンスタンドの上に
小規模パネル、等
24円
買取対象外
・発電事業目的等
0
10未満 10~
500未満
500~
(kW)
(太陽光パネル出力)
資料)資源エネルギー庁太陽光発電買取制度室 HP より
さらに、経済産業省では現状の余剰電力買取制度からもう一歩進めて、再生可能エネル
ギーの全量買取に向けた検討を始めている。経済産業省では、再生可能エネルギーの全量
買取に向けたプロジェクトチームを設置して、2009 年 11 月 6 日に第1回会合を開催、同
年 12 月までに5回のヒアリングおよび3回の会合を実施、2010 年3月をめどに中間とり
まとめ(制度のオプション(選択肢))を提示する予定である。このプロジェクトチームで
検討されている事項としては買取対象、買取価格・買取期間、買取費用の貟担の在り方、
電力系統安定化対策、他国の再生可能エネルギー導入推進制度の動向等がある。現状では
発電設備設置が難しい家庭などに電力料金貟担の理解が得られるかが課題となっているが、
政府は全量買取制度に前向きな姿勢である。
(全量買取導入時の課題については第6章参
照)
16
2.政府の助成・補助制度
1)国の補助制度と税制優遇
国による太陽光発電システムの設置に関する補助制度については、2005 年にはいったん
廃止されたが、2008 年度には条件付きで補助制度が再開されている。住宅用太陽光発電シ
ステムについては施工費を含む kW あたりのシステム単価が 70 万円以下の設備を対象とし
て、7万円/kW の補助金を交付している。また、非住宅用には一定の条件の下で事業費の
1/2 もしくは 1/3 以内の補助を実施している。また、住宅用・非住宅用ともに税制面での優
遇措置も設けられている。
2010 年度の太陽光発電システム設置に関する補助制度については、再生可能エネルギー
の全量買取を前提とした事業仕分けの結果を受けて、住宅用については予算計上見送り、
非住宅用については予算要求の縮減となったものの、住宅用については 412 億円から 401
億円、非住宅用については 388 億円から 345 億円へと予算規模を縮小して再要求を行って
いる。
図表2-2-1
国の補助制度と税制優遇(2009 年度)
住宅用
新築
補
助
金
非住宅用
既築
住宅用太陽光発電導入支援対策補助金
新エネルギー等導入加速化支援対策費補助金
平成20年度一次補正予算額90億円
平成21年度予算額201億円
平成21年度補正予算270億円
平成21年度予算額364億円
平成21年度補正予算200億円
以下の要件を満たす太陽光発電設備を設置する場合に、7万円/kw
を補助。
①変換効率が一定以上のもの
②一定の品質・性能が一定期間確保されているもの
③kwあたりのシステム価格(施工費含む)が70万円以下のもの
以下の要件を満たす場合に、事業費の1/2以内を補助。
①設置主体が公的機関や非営利民間団体
(地方自治体、学校、病院等)
②設置主体が民間事業者であっても、地方自治体と連携して設置
する場合
上記以外の場合には、事業費の1/3以内。
<ローンを組む場合>
エネルギー需給構造改革推進投資促進税制
<ローンを組まない場合>
住宅ローン減税の延長・拡充
住宅の省エネ改修に係る投資
平成21年度改正(適用期間:5年 型減税措置の創設
間)
税
制
太陽光発電設備の設置も含めた
ローンの年末残高に対して、
①1.0%(一般住宅)
②1.2%(長期優良住宅)
を所得税から控除。控除期間は
最大10年。控除額の上限は、
①500万円(一般住宅)
②600万円(長期優良住宅)
平成21年度創設(適用期間:2年
間)
省エネ改修工事を行う場合に、工
事費用の10%を所得税額から控
除。対象工事費の上限は300万
円。
平成21年度改正(初年度即時償却の適用期間:2年)
所得税又は法人税の額から取得額の7%を税額控除(中小企業等
の場合のみ)。または、初年度の即時償却(取得価格の全額)
太陽光発電設備に対する課税標準の特例措置
平成21年度創設(適用期間:2年間)
課税される固定資産税について、最初の3年間の課税標準を2/3に
軽減。ただし、対象設備は、国の補助金を受けて設置されるもの
で、10kw以上のものが対象。
資料)PVJapan2009「公共産業分野への太陽光発電の展望」セミナー(2009 年6月 25 日)における基調講
演資料から九経調作成
17
図表2-2-2
事業名
太陽光発電システムに対する国の補助制度と税制優遇(2009 年度)
実施主体
助成対象
種類
概 要
NEPC
民間企業
補助
通常地域では出力50kw以上(ただし中小企業者は10kw以上)の設備、離島地域では出力10kw以上の設
備導入が対象。補助率は1/3以内と25万円/kwのいずれか低い額。上限額は10億円。
地域新エネルギー等導入促進事業
NEPC
①地方公共団体
②NPO
③地方公共団体と連携
して事業を実施する民
間事業者等
補助
①及び②は出力10kw以上の設備、③は出力50kw以上の設備導入が対象。また、国からの他の補助を受
けていないことが要件。補助率は1/2以内と40万円/kwのいずれか低い額。
住宅用太陽光発電導入支援対策事業
J-PEC
補助
設置する建物は、住居として使用されているもの(店舗等との兼用も可)で、補助対象経費が、70万円/kw
以下が対象。7万円/kwを補助。
新エネルギー等事業者支援対策事業
太陽光発電等再生利用可能エネルギー活用
環境省
推進事業
①地方公共団体、
②民間団体
補助
①低炭素住宅の普及を目的とした地方公共団体による住宅への再生可能エネルギーの導入支援事業が
対象。補助率は総事業費の1/2。
②大半を自家消費する業務用太陽光発電施設の整備に際し、設置後5年間分のグリーン電力証書を環境
省に納めることを条件に、業務用施設への太陽光発電の導入事業が対象。30万円/kwを上限とする定額
補助。
地球温暖化を防ぐ学校エコ改修事業
環境省
地方公共団体
補助
地方公共団体が設置している学校(小・中・高校)に対し、省エネ改修や代替エネ活用設備の導入等が対
象。補助率は1/2。
地域グリーンニューディール基金
環境省
都道府県、指定都
市
補助
地域環境保全対策費補助金の交付を受けて造成した基金(平成元年)に積み増す又は新設が対象。基金
は、地方公共団体実行計画に計画されている施設等の省エネ化等の事業を対象。基金の有効期間は3年
間。
金融機関
金融機関において、温室効果ガスの排出削減を積極的に取組む企業に行う金利優遇の融資に対して利子
利子補給 補給を行う事業。融資を受ける事業者は、融資を受けた年から5カ年以内にCO2排出源単位を5%以上の
削減を誓約することが必要。
環境配慮型経営促進事業に係る利子補給事
環境省
業
エコキャンパス推進事業
文部科学
省
私立学校(小・中・
高・大学等)
補助
私立学校における環境に配慮した学校施設整備の推進に必要な施設の改造等が対象。補助対象経費が
1,000万円以上であることが要件。
補助率は1/2。上限額は高専及び大学(短期大学含む)以外は2億円。
太陽光発電導入事業
文部科学
省
公立学校
補助
公立学校施設(幼・小・中・高校等)へ太陽光発電を導入する学校に対しての補助。補助対象経費が400万
円以上であることが要件。
補助率は1/2。
地域資源利用型産業創出緊急対策事業
農林水産
省
地方公共団体、
NPO法人、民間事
業者等
補助
農林水産業関連施設等への太陽光パネルの設置に係る経費が対象。
補助率は1/2以内(営利目的民間事業者は1/3以内)。
住宅の省エネ改修促進税制
(ローン型減税)
財務省
ローンを組んで新築住宅を取得する場合に、太陽光発電設備の設置も含めたローンの年末残高に対して、
税額控除 1.0%(一般住宅)または1.2%(長期優良住宅)を所得税から控除。控除期間は10年以内で、控除額の上限
は、500万円(一般住宅)または600万円(長期優良住宅)。
住宅の省エネ改修促進税制
(投資型減税措置の創設)
財務省
税額控除
ローンを組まずに既築住宅の省エネ改修工事を行う際に、太陽光発電設備を設置する場合が対象。
工事費用の10%を所得税から控除。対象工事費用の上限は300万円。
エネルギー需給構造改革投資促進税制
財務省
税額控除
所得税または法人税の額から取得価格の7%の税額控除(中小企業等のみ)または、初年度の即時償却
(取得価格の全額)
太陽光発電設備に対する課税標準の特例措
財務省
置
税額控除
国の補助を受けて設置される設備であり、10KW以上の設備が対象。課税される固定資産税について、最
初の3年間の課税標準を2/3に軽減。
資料)各省庁のホームページから九経調作成
18
■コラム■ソーラー環境付加価値買取事業①
環境省は環境省の事務事業から発生する CO2 排出量をオフセットするために、大半を自家消
費する業務用太陽光発電システムの設置に際して、設置後5年間分のグリーン電力証書を環境省
に納付する事を条件として、2009 年度に補助金(予算額6億円)を交付している。
補助は原則単年度であり、対象となる業務用太陽光発電システムの設置者は民間事業者及び環
境省が適当と定めるもの(国および地方公共団体を除く)となっている。
設置費用補助を受けるための条件としては、主なものとして、設置後5年間分のグリーン電力
証書を環境省に納付する事、業務用太陽光発電設備である事、設置容量は 20kW 以上 200kW
以下である事、太陽光発電により発電された電力を全量自家消費して売電しない事、グリーン電
力証書発行事業者と共同で申請を行う事、補助金額の上限は太陽光発電設備1kW あたり 30 万
円である事、設備の維持管理は設置者が行う事、電力量計の設置を行う事などである。
2009 年度においては、2009 年5~11 月まで公募が行われ、全国で 29 事業体が認定を
受け、設備容量の合計は 1,947kW となっている。なお、太陽光発電設備設置における総事業
費に対する補助金の割合は4割弱程度となっている。
2010 年度においてもソーラー環境付加価値買取事業を含む「太陽光発電等再生可能エネル
ギー活用推進事業」として予算計上されており、30 万円/kW を上限とする定額補助を含めた
7.1 億円が予算計上されている。
【ソーラー環境付加価値買取事業イメージ図】
設置費用補助
環境省
グリーン電力証書納付
設置者
発電量報告
証書発行
事業者
資料)環境省資料をもとに九経調作成
19
認証機関
グリーン電力認証
■コラム■ソーラー環境付加価値買取事業②
【ソーラー環境付加価値買取事業採択者一覧】
太陽光発電設備設置者
日本電話施設㈱
㈱広真印刷社
琉球ジャスコ㈱
和歌山ターミナルビル㈱
井村屋製菓㈱
伊藤忠商事㈱
第一実業㈱
イオンリテール㈱
イオンリテール㈱
イオンリテール㈱
イオンモール㈱
㈱カスミ
㈱エコー建設コンサルタント
千代田化工建設㈱
日本資源流通㈱
㈲トキワエンジニアリング
㈱村田自動車
サンユー㈱
㈱王将フードサービス
今治造船㈱
㈱オーチャード
大塚化学㈱徳島工場
㈱セブン-イレブン・ジャパン
JFE エンジニアリング㈱
日清紡ホールディングス㈱
㈱セブン-イレブン・ジャパン
㈱セブンイ-レブン・ジャパン
㈱セブン-イレブン・ジャパン
ノヴィルフロンティア㈱
グリーン電力証書発行事業者
第1次公募
エナジーグリーン㈱
日本自然エネルギー㈱
NPO 法人九州・自然エネルギー
推進ネットワーク
エナジーグリーン㈱
エネサーブ㈱
㈱日本エコシステム
㈱日本エコシステム
エナジーグリーン㈱
エナジーグリーン㈱
エナジーグリーン㈱
エナジーグリーン㈱
エナジーグリーン㈱
小計(12 件)
第2次公募
日本自然エネルギー㈱
テス・エンジニアリング㈱
NPO 法人九州・自然エネルギー
ネットワーク
日本自然エネルギー㈱
NPO 法人太陽光発電所ネットワーク
日本自然エネルギー㈱
エネサーブ㈱
㈱日本エコシステム
エナジーグリーン㈱
小計(9件)
第3次募集
テス・エンジニアリング㈱
ネクストエナジー・アンド・リソース㈱
小計(2件)
第4次募集
エナジーグリーン㈱
日本自然エネルギー㈱
NPO 法人太陽光発電所ネットワーク
NPO 法人太陽光発電所ネットワーク
NPO 法人太陽光発電所ネットワーク
エナジーグリーン㈱
小計(6件)
合計(29 件)
資料)環境省資料より九経調作成
20
設置予定地
設備容量
(kW)
愛知県海部郡甚目寺町
香川県さぬき市
20
200
沖縄県宮古島市
100
和歌山県和歌山市
三重県津市
東京都港区
埼玉県川口市
千葉県銚子市
千葉県木更津市
愛知県名古屋市
茨城県水戸市
茨城県つくば市
20
20
100
20
20
20
50
130
100
800
徳島県徳島市
神奈川県横浜市
46
20
福岡県北九州市
50
静岡県森町
熊本県熊本市
三重県津市
京都府八幡市
香川県丸亀市
長野県松本市
徳島県徳島市
愛知県一宮市他(全8施設)
神奈川県横浜市
愛知県岡崎市
九州北地区全 33 店舗
九州西地区全 33 店舗
九州東地区全 21 店舗
千葉県船橋市
36
30
100
20
50
20
372
30
40
70
50
200
165
165
105
20
705
1,947
2)スクールニューディール制度
「21 世紀の学校」にふさわしい教育環境の抜本的充実を目的として、学校耐震化の早期
推進・太陽光パネルをはじめとしたエコ改修の拡大、学校 ICT 環境整備の実施を行う事業
が「スクールニューディール制度」である。2009 年度補正予算として、学校耐震化の早期
推進・太陽光パネルをはじめとしたエコ改修の拡大については 2,794 億円9、学校 ICT 環境
整備については 2,067 億円を計上した10。
「スクールニューディール制度」においては、公立の小中学校への太陽光発電の導入目
標を現在の 10 倍となる 12,000 校への設置を目指している。
「スクールニューディール制度」
の予算措置については、国庫貟担が 1/2 となっている。2009 年度においては地方貟担分の
90%に「地域活性化・公共投資臨時交付金」が充当されることで、国の貟担(国庫補助金
と臨時交付金)が平均 9.5/10 となった。
図表2-2-3
学校内における太陽光発電設置事例
資料)文部科学省 HP より
9
公立向け、私立向けの合計
補正予算見直しにより、学校耐震化の早期推進・太陽光パネルをはじめとしたエコ改修の拡大について
は 240 億円、学校 ICT 環境整備については 846 億円が執行停止。
10
21
3.国等の実証実験や研究に対する支援
太陽光発電の実証実験や研究に対する支援としては、NEDO や環境省、農林水産省など
が主体となり支援を行っており、特に NEDO が主体となった支援策が多い。助成対象とし
ては、民間企業や大学等の研究機関、NPO 法人、地方公共団体など多岐に渡っている。支
援の内容については太陽光発電技術の研究開発、大規模太陽光発電システムの実証実験、
太陽光発電の普及モデル事業などが対象となっている。
図表2-3-1
事業名
実施主体
国等による実証実験や研究に対する主な支援
助成対象
種類
共同研
究、研究
助成
概 要
公共施設、集合住宅及び産業施設等において、太陽光発電システムの有効性と信頼性に係る実証研究が
対象。
①新型及び建材一体型モジュール型、新制御方式適用型については、1/2を助成。
②効率向上追求型は、1/2以内の助成。ただし上限あり。
③小規模多数連携系システム採用型は、(計測機器及び表示装置の費用×1/2)+設置費用×1/2以内)
を助成。ただし上限あり。上限額:(30万円/kw×定格出力kw)
太陽光発電等新技術等フィールドテスト事業
NEDO
民間企業等
太陽光発電システム実用化促進技術
NEDO
民間企業、研究組合、公
委託
益法人等の研究機関等
再生可能エネルギー分野の中から、革新的な技術開発の発掘等を行うものを対象。
平成20年度に採択した4テーマについて研究開発を継続して実施。
太陽光発電システム未来技術研究開発
NEDO
民間企業、研究組合、公
委託
益法人等の研究機関等
再生可能エネルギー分野の中から、革新的な技術開発の発掘等を行うものを対象。
山口教授(豊田工業大)をプロジェクトリーダーとして、昨年度の研究等を継続して実施。
革新的太陽光発電技術研究開発
(革新型太陽電池国際研究拠点整備事業)
NEDO
民間企業、研究組合、公
委託
益法人等の研究機関等
再生可能エネルギー分野の中から、革新的な技術開発の発掘等を行うものを対象。
平成20年度に採択した3グループ(34機関)の体制で研究開発を継続して実施。
太陽光発電システム共通基盤技術研究開発
NEDO
民間企業、研究組合、公
委託
益法人等の研究機関等
再生可能エネルギー分野の中から、革新的な技術開発の発掘等を行うものを対象。
黒川教授(東工大)をプロジェクトリーダーとして、昨年度の研究等を継続して実施。
大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究 NEDO
委託
大規模PVシステム出力の安定化や大量連系システムの構築等の研究により、大規模PV発電所の事業性
の検証が対象。
地方公共団体、地方公
共団体の出資に係る 補助
法人
新エネルギー利用に係るビジョンの策定に必要な、賦存量の分析や可能量等の調査が対象。補助率は定
額(上限600万円)。
地域新・省エネルギービジョン策定等事業(事業化フィー
NEDO
ジビリティスタディ)
事業実施者
地方公共団体等が計画している新・省エネルギーの導入・普及に係るプロジェクトで、モデル性の高い事業
化調査が対象。補助率は定額(上限600万円)。
新エネルギー等非営利活動促進事業
NEDO
NPO法人、公益法人等 補助
営利を目的としない新エネルギーの導入・省エネルギーの普及に資する普及啓発活動が対象。補助率は
1/2以内(上限1,000万円)
新エネルギー対策導入指導事業
NEDO
地方公共団体、NPO法
委託
人等
新エネルギー等の導入・普及に係る説明会や専門家派遣、新エネルギー等の導入マニュアル等の作成が
対象。
太陽光発電システム等国際共同実証開発事業
NEDO
民間企業、研究組合、
公益法人等の研究機 委託
関等
大容量型太陽光発電システムの構築や新たな電力供給・制御機器を活用したシステムの構築等につい
て、制約が尐ない海外において行う実証実験等の研究が対象。
太陽光発電システム等高度化系統連系安定化技術国
際共同実証開発事業
NEDO
委託
太陽光発電等の自然変動電源を主体とした安定的なマイクログリッドの構築等の研究が対象。田中教授
(東北大兼(財)電力中央研究所)をプロジェクトリーダーとして、継続研究を実施する。
地方公共団体対策技術率先導入補助事業
環境省
地方公共団体、
民間企業等
補助
地方公共団体が率先的に実施する、先進的かつ先導的な代エネ・省エネ設備の効果的な導入を行うモデ
ル的な取組が対象。補助率は総事業費の1/2で600万円が下限額。
さらに、地方公共団体の施設へシェアード・エスコを用いて省エネ化を行う民間団体等も対象で、10,000万
円が補助上限額。
地域におけるグリーン電力証書の需要創出モデル事業 環境省
地方公共団体
委託
地域におけるグリーン電力証書の需要創出モデル事業が対象。市場メカニズムを通じた民間主導による自
立的な導入の促進が目的。
地球温暖化対策技術開発事業(競争的資金)
環境省
民間企業、公的機関、 補助、
大学等
委託
低炭素むらづくりモデル支援事業
①民間団体
農林水産省
②地域協議会
地域新・省エネルギービジョン策定等事業
NEDO
補助
委託
補助
実用的な温暖化対策技術の開発が対象。補助の場合の補助率は1/2。
①温室効果ガス排出量の把握に係る評価手法の構築が対象。補助率は1/2。
②モデル地区での自然エネルギー供給・需要施設整備等が対象。補助率は定額。
資料)各省庁のホームページより九経調作成
22
4.地方自治体の助成・補助制度
1)九州の地方自治体の住宅向け助成・補助制度
2009 年度は、九州・沖縄で住宅向け太陽光発電システム設置に関する支援を実施してい
る自治体(県と市町村)が 47 自治体あり、九州・沖縄の総自治体数の約 16%を占めている。
2008 年度は、九州・沖縄で支援を実施した自治体数は 12 自治体(総自治体数の4%)で
あり、支援を実施する九州・沖縄の自治体数は4倍近くに増加している。
九州・沖縄の自治体における住宅向け太陽光発電システム設置に関する支援の内容は、
宮崎県の低利融資事業を除いて、すべての自治体が補助金交付である。また、補助額は3
万円/kW 程度、上限は 10~20 万円程度の補助内容が最も多くなっている。
図表2-4-1
県名
自治体名
補助内容
北九州市
3万円/kW
福岡市
10万円/件
長崎県
上限
年間
補助上限
制度開始
他補助金
との併用
その他
12万円
(4kW)
年240件程度
H19~
○
○
共同住宅は分譲、賃貸共に可。店舗との併用住宅は対象。
同左
年200件
H13~
○
×
共同住宅は分譲、賃貸共に可。
店舗との併用住宅は対象外。
予算の範囲内
不明
規定なし
○
店舗との併用住宅は対象。
年間15件
H14~
規定なし
年間10件
H16~
規定なし
H21~
規定なし
10万円
(4kW)
9万円
(3kW)
8万円
(4kW)
10万円
(4kW)
10万円
(4kW)
12万円
(4kW)
20万円
(4kW)
20万円
(4kW)
筑前町
2.5万円/kW
大木町
3万円/kW
香春町
2万円/kW
久留米市
2.5万円/kW
宗像市
2.5万円/kW
大牟田市
3万円/kW
筑後市
5万円/kW
吉富町
5万円/kW
県
※対象経費の
1/10
30万円/件
佐賀市
3万円/kW
10万円/件
武雄市
5万円/kW
20万円
(4kW)
神埼市
20万円/件
同左
福岡県
佐賀県
九州の地方自治体の主な住宅向け助成・補助制度①(2009 年度)
H21~
※
○
※
○
備考
太陽熱利用設備も対象。
○
店舗との併用住宅は対象。
○
※)国の補助金の交付決定を受けている人が対象。店舗との併用住宅は対象。
予算の範囲内
(予算総額1,800万円)
H21~
予算の範囲内
H21~
○
○
予算の範囲内
H21~
規定なし
×
H21~
○
○
予算の範囲内
H21~
○
○
店舗との併用住宅は対象。
予算の範囲内
(400万円)
H21~
○
○
店舗等との併用住宅は対象。
H21~
規定なし
○
店舗との併用住宅は対象。
H21~
※
○
○
※
○
○
※)国の補助金の交付決定を受けている人が対象。
県
6万円/件
同左
※
年1,600件
長崎市
6万円/件
同左
年間300件
H21~
佐世保市
6万円/件
同左
年間120件
H21~
○
○
諌早市
3万円/kW
10万円/件
予算の範囲内
H21~
規定なし
○
店舗等併用住宅も対象。
併用住宅、共同住宅、借家は対象外
太陽熱設備も対象
対象設備の設置または購入の契約の相手方が県内事業者以外の場合は、設置工事を県内事業
者が行う事が条件。
※)太陽光発電システムと省エネ設備を新たに複合的に設置する人が対象。補助金額は設置に
要する経費から国の補助金を差し引いた自己負担額の10%
店舗・事務所等との併用住宅は対象。
知事が特に認める場合を除き県内に本支店等を有する者が施工する事が条件。
※)平成21年度分は900件で一旦受付が終了したものの、700件を追加して受付が再開。
※)国の補助金の交付決定を受けている人が対象。
店舗との併用住宅は対象。
最大出力が10kW未満の設備が対象。
「我が家の環境大臣・エコながさき」への登録や使用状況の報告など市への協力が必要となる。
※)国または県の太陽光発電補助金の交付が決定していることが条件。
店舗・事務所等併用住宅は対象。賃貸の場合は所有者の同意があれば可。
定格出力が10kw未満の未使用の設備(中古品は除く)が対象。
店舗・事務所等との併用住宅は対象。
注)支援内容は宮崎県の「低利融資」を除いてすべて補助
空欄については該当する記載なし
2010 年2月 28 日現在
資料)㈳太陽光発電協会 HP、各自治体 HP
23
図表2-4-2
県名
熊本県
大分県
自治体名
補助内容
県
3.5万円/kw
菊池市
2万円/kW
天草市
5万円/kW
大津町
3万円/kW
高森町
4万円/kW
八代市
3万円/kW
水俣市
5万円/kW
山鹿市
5万円/kW
玉名市
5万円/kW
菊陽町
1.5万円/kW
山都町
7万円/kW
和水町
1.5万円/kW
南関町
3.5万円/kw
芦北町
3.5万円/kw
熊本市
3.5万円/kW
杵築市
5万円/kW
日田市
3万円/kW
中津市
3万円/kW
※
県
73.5万円/kw
九州の地方自治体の主な住宅向け助成・補助制度②(2009 年度)
上限
35万円
(10kW)
6万円
(3kW)
20万円
(4kW)
※
30万円
(10kW)
16万円
(4kW)
10万円/件
20万円
(4kW)
20万円
(4kW)
20万円
(4kW)
6万円
(4kW)
35万円
(5kW)
6万円
(4kW)
10.5万円
(3kW)
35万円
(10kW)
35万円
(10kW)
15万円
(3kW)
年間
補助上限
制度開始
予算の範囲内
H21~
予算の範囲内
H12~
予算の範囲内
予算の範囲内
備考
※)国の補助金の交付決定を受けている人が対象。店舗との併用住宅は対象。
○
○
店舗との併用住宅は対象。
増設や改修は対象外。
H18~
○
○
店舗との併用住宅は対象。
H19~
※
○
○
予算の範囲内
H19~
規定なし
○
予算の範囲内
H21~
規定なし
○
専用及び共同住宅ともに、賃貸用は対象外。増設や改修は対象外。
予算の範囲内
H21~
○
※)国の補助と併せて30万円を限度。ただし、大津町内で製造された製品の場合6万円/1kwで40
万円が上限。
※)国の補助金の交付決定を受けている人が対象。店舗との併用住宅は対象。
店舗との併用住宅は対象。
町内進出企業からの寄付を原資として実施。
年間100件
H21~
規定なし
○
店舗等併用住宅は対象。増設や改修、賃貸用は対象外。
予算の範囲内
H21~
○
○
店舗等併用住宅は対象。
予算の範囲内
H21~
○
年間5件
H21~
○
○
店舗等併用住宅は対象。
予算の範囲内
H21~
○
○
店舗等併用住宅は対象。
予算の範囲内
H21~
※
○
※
○
※
○
○
予算の範囲内
H21~
H21~
○
※)国の補助金の交付決定を受けている人が対象。店舗との併用住宅は対象。
年50件
H21~
○
○
店舗との併用住宅は対象。
10万円/件
年100件
H21~
○
○
店舗との併用住宅は対象。
10万円/件
年100件程度
H21~
○
○
店舗・事務所等兼用住宅は対象(別荘等常時居住しない場合は除く)。
H21~
規程なし
300万円/上限
予算の範囲内
H21~
※
○
年100件程度
(予算総額10.000万
円)
予算の範囲内
H21~
○
H21~
○
34.9万円/件
予算の範囲内
H21~
※
○
13.5万円
(3kW)
年400件
H16~
○
県
3万円/kW
10万円/件
宮崎市
3万円/kW
10万円/件
串間市
5万円/kW
20万円
(4kW)
県
3.5万円/kw
4.5万円/kW
○
店舗等併用住宅は対象。
※)国及び県の補助金交付決定を受けている事が条件。
店舗等併用住宅は対象。
※)国及び県の補助金交付決定を受けている事が条件。
予算の範囲内
(予算総額4,200万円)
※)低利融資事業であり、融資利率は1.9%(固定)で融資期間は10年以内。金融機関の審査を経
る必要がある。
LED照明の設置が条件。
店舗・事務所等との兼用住宅も対象。
※)国の補助金の交付が決定している事が条件。
○
3万円/kW
29.9万円/件
予算の範囲内
H21~
出水市
3万円/kW
9万円
(3kW)
予算の範囲内
H21~
鹿屋市
3万円/kW
10万円/件
予算の範囲内
(年50件程度)
H21~
県
定額2万円
同左
年300件
H21~
那覇市
3万円/kW
10万円/件
予算の範囲内
H15~
規定なし
久米島町
5万円/kW
20万円
(4kW)
予算の範囲内
H21~
○
店舗との併用住宅は対象。
※)国の補助金の交付を受けることが条件。
※
○
※
○
※
○
※
○
鹿児島県 霧島市
沖縄県
その他
○
宮崎県
鹿児島市
他補助金
との併用
※
○
○
店舗との併用住宅は対象。
○
※)国の補助金の交付決定を受けている人が対象。店舗との併用住宅は対象。
※)国の補助金の交付を受けることが条件。
市内事業者から設備を購入する事が条件。
※)国の補助金の交付が決定していることが条件。
※)国の補助金の交付決定を受けている人が対象。
○
店舗併用住宅も対象。
注)支援内容は宮崎県の「低利融資」を除いてすべて補助
空欄については該当する記載なし
2010 年2月 28 日現在
資料)㈳太陽光発電協会 HP、各自治体 HP
2)地方自治体の非住宅向け助成・補助制度
九州の地方自治体で 2009 年度に実施された非住宅向け太陽光発電システム設置の助成・
補助制度については、大牟田市、長崎県、長崎市、熊本県、鹿児島県の5つの自治体のみ
が取り組んでいる。これは、九州・沖縄の総自治体数の 1.7%程度に過ぎない。また、九州
で住宅向け太陽光発電システム設置の補助を行っている自治体の数と比較すると、約 1/10
程度の自治体しか非住宅向けの補助を実施しておらず、非住宅向けの太陽電池の補助制度
は非常に手薄である。
九州の自治体における非住宅向け太陽光発電システム設置に関する支援の内容について
は、大牟田市が固定資産税の軽減、熊本県では設備設置に関する融資を実施している。そ
の他の自治体については補助金の交付を行っている。
また、全国の地方自治体における非住宅向け太陽光発電システム設置に関する補助内容
24
を大別すると、設置に対する補助、融資、融資あっせん・利子補給とに分けられる。補助
額については 10 万円から1億円までとばらつきがあり、融資については概ね数千万円代を
上限とし、1%台の低金利で融資を行う自治体が多くなっている。地方自治体の支援の中
には、北海道美唄市の固定資産税の免除や大牟田市の固定資産税の軽減、愛知県豊橋市の
奨励金の交付など独自の支援策を実施している自治体も存在する。また、東京都葛飾区や
熊本県の様に補助金と利子補給や融資などの支援メニューを組み合わせている自治体も見
られる。
図表2-4-3
県名
自治体名
種類
福岡県
大牟田市
固定資産税
の軽減
九州の地方自治体の主な非住宅向け助成・補助制度(2009 年度)
内容
上限
制度開始
太陽光発電設備に係る固定資産税の課税標準となる価格を5/6の額とする
太陽光発電設備に対して固定資産税が課されることとなった年度から3年度分
他補助金等
との併用
H21~
県
補助
補助対象経費の1/6以内
900万円
H21~
長崎市
補助
3~6kWで1基につき30万円(先着順で2基まで)
6~10kWで1基につき60万円(先着順で6基まで)
融資
年利2.10%以内(要信用保証)
1~10年以内(うち据置期間1年以内)
5,000万円
(企業)
H21~
補助
補助対象経費の1/4以内
(10kW以上が対象)
1,000万円
H21~
補助
事業費の1/3以内
○
長崎県
熊本県
鹿児島県
備考
最大出力50kW以上の新たに設置した大規模太陽光発電設備
平成21年8月13日~平成21年12月25日。出力10kW以上の太陽光発電システムを設置しようとする民
間事業者等(大企業や、みなし大企業を除く)が対象。
新エネルギー導入促進協議会の「新エネルギー等事業者支援対策事業」の交付決定を受けていることが
条件。
10kW未満の太陽光発電システムの設置が対象(1事業者につき1基まで)。
ISO14001及びエコアクション21の認証、又はエコアクション21に関する説明会及びセミナーへの参加や使用
状況の報告等の市への協力が条件。
H21~
中小企業向けの制度融資の一つ。電気自動車給電施設の設置も対象。対象は組合も可で上限は1億円。
○
普及啓発事業を併せて行うことが要件(ただし、補助対象外)。県内製のPVパネルを設置した場合や設置
事業所等が県内の中小企業を直接の工事の発注先とする場合は、補助率を1/3以内、限度額を3,000万円
に拡充。
県内に事業所を有する民間事業者等(自営業者、社団・財団法人等を含む)が対象。
太陽光発電システム・LED照明などを2種類以上組み合わせて導入すること、LED照明の場合は1地域にお
いて一体的に導入することが条件。
太陽電池については出力10kW未満のものが対象。
注)中小企業・中小企業者向けの支援制度、空欄は該当する記載なし
2010 年2月 28 日現在
資料)㈱日本ビジネス出版(環境ビジネス.JP)HP、㈳ソーラーシステム振興協会 HP、各自治体の HP より
九経調作成
25
5.グリーン電力証書
グリーン電力とは再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、地熱等)から作ら
れ、発電時に二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しない環境貟荷の小さな電力である。こ
のグリーン電力を電気そのものの価値と再生可能エネルギーによって発電されたという環
境付加価値とに分け、環境付加価値部分を証書化したものがグリーン電力証書である。
環境付加価値を証書化することで、グリーン電力の発電事業者と電気需要家の間での証
書のやりとり(売買)が可能となる。グリーン電力証書を取得した電気需要家は火力発電
や原子力発電など一般の発電所で発電された電力を使用している場合でも、グリーン電力
証書と組み合わせることで、一般の電気をグリーン電力としてみなすことが出来る。グリ
ーン電力証書を譲渡したグリーン電力発電事業者はグリーン電力証書の販売代金を得る事
ができ、太陽光発電設備設置に関する投資費用のコスト回収の早期化が可能となる。
図表2-5-1
グリーン電力
発電事業者
電気
需要家
グリーン電力とグリーン電力証書の概念
グリーンエネルギーからの電気
電気
=
+
電気
そのもの
+
グリーン
電力証書
=
環境
付加価値
グリーン
電力証書
グリーンエネルギーによる
電気とみなせる
グリーン電力
資料)経済産業省資源エネルギー庁HPより
グリーン電力証書発行までの仕組みを図示したものが下記の図表2-5-2である。こ
の仕組みの中では、グリーン電力証書の申請事業者兼発行事業者(以下申請兼発行事業者)
が中心となる(2010 年1月現在 37 団体)。申請兼発行事業者はグリーン電力発電者に対し
てグリーン電力の発電委託を行い、グリーン電力の環境付加価値の移転を受ける。次に申
請兼発行事業者はグリーン電力証書の認証団体である(負)日本エネルギー経済研究所グリ
ーンエネルギー認証センター(以下グリーンエネルギー認証センター)へグリーン電力の
設備認定と電力量の認証の申請を行う。申請事業者兼発行事業者は認定を受けたグリーン
電力をグリーン電力証書化し、一般の電気を利用している環境付加価値購入者に対してグ
リーン電力証書を販売し、環境付加価値の移転を行う。
26
図表2-5-2
グリーン電力証書発行までの仕組み
資料)(負)日本エネルギー経済研究所グリーンエネルギー認証センターHP
グリーン電力証書制度は法制化された制度ではなく、あくまでも民間による自主的な取
り組みであり、グリーン電力証書は現在、多くの企業・団体で環境への取り組みの一環や
CSR 向上のための手段として活用されている。また、グリーン電力証書は、今後、CO2 オ
フセットソリューションサービスの市場としても拡大が予想されており、(株)富士経済の予
測によると、2008 年時点で8億円程度の市場規模から 2015 年には 34 億円程度に市場が拡
大すると予測されている。グリーン電力証書は太陽光発電設備などにより生み出される「環
境付加価値」を活用した疑似的な電力の「地産地消」の取り組みが可能で、地域としての
省エネや再生可能エネルギーの普及の取り組みが見えやすいという長所がある。
一方で、太陽光発電システムにより生み出されたグリーン電力証書は太陽光発電自体の
発電コストの高さから、風力発電やバイオマス発電から生み出されたグリーン電力証書と
比較して、その価格が高くなる短所がある(詳細については第6章参照)
。そして、一箇所
での発電量が尐量であるため、バイオマス発電や風力発電と比べると、グリーン電力の設
備として認定される件数は多いものの、グリーン電力として認証される電力量は尐ない11。
また、一般的に太陽光発電以外の発電方法によるグリーン電力証書も含めて、グリーン
電力証書の活用は環境意識の高い大企業や団体で増えつつあるが、中小企業による利用や
九州の企業による利用の事例はまだ尐ない。
2009 年 12 月末でのグリーン電力の設備認定総数 284 件に対して 215 件(75.7%)が太陽光発電である
が、設備総容量 408,398kW に対してはわずか 31,136kW(7.6%)にとどまる。
(出所:(負)日本日本エネ
ルギー経済研究所グリーンエネルギー認証センターHP より九経調算出)
11
27
図表2-5-3
グリーン電力の認証電力量と件数の推移
(件)
(1,000kWh)
300,000
250
認証発電電力量
件数
236
238,113
205
250,000
200
200,000
155,816
150,000
150
120
114,263
100
87,371
100,000
71
50,000
29,112
1,158
3
0
2001
9
2002
32,801
12
39,216
50,480
50
34
20
0
2003
2004
2005
2006
2007
2008年度
(年度)
2009年
4月~12月
注)2010 年3月末時点で、2009 年度の認証電力量は 233,396kWh、件数は 343 件が見込まれている
資料)(負)日本エネルギー経済研究所グリーンエネルギー認証センター資料より作成
図表
2001年度
風力発電
バイオマス発電
水力発電
地熱発電
太陽光発電
1,158,000
2-5-4
種類別のグリーン電力の認証電力量
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
2007年度
2008年度
29,112,000
32,801,000
37,192,000
2,024,000
40,174,102
9,673,367
632,862
36,824,862
75,626,070
1,069,723
57,959
684,431
43,608,387 48,580,450
40,428,715 179,638,527
1,369,000
1,711,943
501,648
5,680,843
1,463,115
2,500,910
2009年
4月~12月
32,409,890
114,415,036
1,392,573
4,951,192
2,647,708
注1)単位:1,000kWh
注2)空欄は該当無し
資料)(負)日本エネルギー経済研究所グリーンエネルギー認証センター資料より作成
図表2-5-
企業・団体名
2008 年度グリーン電力証書主要発行企業・団体
発行量
(単位:万 kWh)
備考
1 ソニー株式会社
3,465 ソニー・グループとしての集計
2 株式会社ヤマダ電機
1,475
3 野村ホールディングス株式会社
593
4 東京都
553 東京都庁、大田市場等で活用
5 日本空港ビルディング株式会社
300
6 アサヒビール株式会社
271
7 株式会社ホールネットワーク
251
8 中外製薬株式会社
200
9 セイコーエプソン株式会社
184
9 トヨタ自動車株式会社
184
9 日本ガイシ株式会社
184
資料)(負)日本エネルギー経済研究所グリーンエネルギー認証センター資料より
28
■事例:ソニー(株)■
ソニー㈱は 2008 年度において、グリーン電力証書を全国で最も多く購入している企業の1
つである。同社は国内の電力会社と共同でグリーン電力証書システムを開発し、グリーン電力証
書が現在の様に普及する以前からグリーン電力証書を積極的に購入している企業である。
同社では 2009 年 10 月よりソニーシティー(当社本社ビル)で使用する電力の約 50%(年
間 1,600 万 kWh)に対してグリーン電力証書(バイオマス)を利用しており、グループ会社
であるソニー企業㈱が運営するソニービルでは共用部分で使用する電力の約 90%に対してグ
リーン電力証書(風力)を利用している。また、当社グループ会社の1つで、コンサートホール
の運営を行っている㈱ホールネットワークでも 2008 年度に 251 万 kWh 分のグリーン電力証
書を購入しており、グループ全体でグリーン電力証書の購入を推進している。
ソニー㈱のグリーン電力証書活用事例(左図ソニーシティ、右図:ソニービル)
資料)ソニー㈱HP より
29
■事例:アビスパ福岡(株)■
J リーグのチームを運営するアビスパ福岡㈱は 2008 年7月に NPO 法人太陽光発電所ネッ
トワークから太陽光発電によるグリーン電力証書“PV-Green”の発行を受け、福岡県内の太
陽光発電により発電されたグリーン電力により、地元でのサッカーの試合を開催した。プロスポ
ーツの試合を地元のグリーン電力から作られたグリーン電力で開催し、カーボンオフセットする
という九州で初の取り組みであり、地元の太陽光発電によるグリーン電力証書を地元でのイベン
ト等に活用した「地産地消」の太陽光発電によるグリーン電力証書の活用事例である。
同社では 2008 年7月 13 日に開催されたホームゲームを「エコチャレンジマッチ」と題し
て、試合に必要な電力(約 3,000kWh)をグリーン電力証書によりグリーン電力化して、試合
で排出される約 1.7 トンの CO2 をカーボンオフセットし、環境負荷の低減を行った。また、
福岡県内で発電された太陽光によるグリーン電力の産地指定を行う事で、地元の太陽光発電の普
及を推進した。
地元ファンに支えられたJリーグのサッカーチームが地元の太陽光発電設備設置者が発電し
ているグリーン電力でホームゲームをグリーン化(カーボンオフセット)する事は地域貢献とも
なり、地域内での共感を呼ぶことにもつながることが期待されている。
NPO 法人太陽光発電所ネットワークによるグリーン電力証書の見本
資料)NPO 法人太陽光発電所ネットワーク HP より
30
■事例:(株)cross fm■
九州で積極的にグリーン電力証書を活用している企業の1つが(株)cross fm である。当社は
エコタウンを有する北九州市に本社を構える地場企業であり、グリーン電力証書を活用して、放
送に使用する電力の全てをグリーン電力化している。
2008 年の夏から年間 50 万 kWh のグリーン電力証書を購入しており、放送に係る電力のす
べてをグリーン電力化した全国初のラジオ局である。当社では「グリーンステーション」という
コンセプトを掲げ、環境に配慮した様々な取り組みを行っており、福岡トヨタ自動車㈱、㈱九電
工、コカ・コーラウエスト㈱などの地場企業が協賛企業として環境に配慮したグリーン電力放送
を支援している。
(株)cross fm の取り組み
資料)2008 年7月1日西日本新聞地域経済面
31
6.グリーン電力基金
グリーン電力基金とは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの設置を希望
する施設に対して助成を行うための基金である。この基金に対して、電力会社と電力の需
給契約を締結している顧客が口座振替の方法により一定金額を寄付し、電力会社も顧客の
寄付金額と同額程度の拠出を行い、双方から拠出された資金が助成のための原資となって
いる。九州地域においてはこの基金への参加を希望する顧客が1口 500 円を寄付し、九州
電力(株)も同額の1口 500 円を拠出している。九州の「九州グリーン電力基金」については
(負)九州地域産業活性化センター内に設けられた九州グリーン電力基金運営委員会により
助成先が決定される。
図表2-6-1
九州グリーン電力基金の仕組み(左図)と
九州グリーン電力基金の助成実績(右図)
資料)九州電力㈱および㈶九州地域産業活性化センターHPより
2009 年度のグリーン電力基金による助成金については太陽光発電設備が助成件数 60
件・助成金額 6,245 万円、風力発電設備が助成件数 15 件・助成金額 3,456 万円で、合計で
助成件数 75 件助成金額 9,701 万円となっている。
図表2-6-2
太陽光発電設備
風力発電設備
2009 年度九州グリーン電力基金助成件数と金額
一般枠
特別枠
計
一般枠
特別枠
計
合計
助成件数(応募件数)
53 件(69 件)
7件(10 件)
60 件(79 件)
7件(7件)
8件(17 件)
15 件(24 件)
75 件(103 件)
資料)(負)九州地域産業活性化センター資料より
32
助成金額
49,853 千円
12,600 千円
62,453 千円
23,359 千円
11,200 千円
34,559 千円
97,012 千円
グリーン電力基金による太陽光発電・風力発電設備に対する助成は 2001 年度より開始さ
れている。グリーン電力基金による太陽光発電設備および風力発電設備に対する助成件数
は概ね増加傾向にあるものの、助成金額については 2004 年度の助成金額1億 3,592 万円以
降、減尐傾向にある。グリーン電力基金の 2010 年2月末時点での加入口数は 6,791 口(1
口 500 円/月)となっている。
図表2-6-3
九州グリーン電力基金による助成件数と助成金額の推移
(件数)
80
件数
70
75
67
136
140
58
50
50
120
113
99
43
40
100
97
90
80
36
74
29
30
60
59
20
(百万円)
160
62
126
60
10
金額
40
14
27
20
0
0
平成13年度
14
15
16
17
18
資料)(負)九州地域産業活性化センター資料より
33
19
20
21
7.各種補助制度の比較
これまで触れてきた国や地方公共団体、民間などによる太陽光発電設備設置に関する支
援制度は様々な種類があるが、これらには長所と課題が存在する。
まず、日本版 FIT では、発電した電力を一定期間固定価格で買取ることで、太陽光発電
システム設置に対するインセンティブが働き、太陽光発電設備の普及が進むことで太陽光
発電のシステム価格や発電コストの減尐が期待される。また、再生可能エネルギーの普及
に関する費用を国民全体で広く担う事により、特定の個人や事業者等が大きな貟担を貟わ
ずに済むという利点がある。一方で、買取コストが電力料金に反映されるため、一律に国
民全員が貟担することに対する理解が得られるかという問題や、システム価格が下がらな
い場合には、太陽光発電による発電コストが下がらず、電力の買取価格が高値のまま維持
されてしまうという問題がある。
次に、国・都道府県・市町村などによる補助金については、太陽光発電システム導入時
に補助金を交付する事により、太陽光発電システム設置時の大きな障害の1つである、初
期投資の軽減を図る事ができる。また、それぞれの補助金を併用できる場合が多いため、
更なる初期投資の軽減が可能になる。一方では非住宅向けの補助金が不足している点、補
助金の導入に際しては公共団体の予算が活用されるために、継続性が不明な点、補助メニ
ューが豊富であっても、パネル価格やシステム価格などが高止まりしてしまえば依然とし
て導入に際しては多くの費用貟担が発生する点などが課題として挙げられる。
グリーン電力証書制度においては、証書購入資金が発電事業者へと還元されるために補
助金交付等に加えて太陽光発電の普及拡大に財献する事が出来ることや、商品の付加価値
としての活用やサービスへの活用が可能である事、再生可能エネルギーの「地産地消」が
見えやすくなり、地域産業振興への波及効果が期待できる事などが利点として挙げられる。
最後にグリーン電力基金については、太陽光発電や風力発電の普及への直接支援を望む
企業が主体的に参加できる点や公的施設等における太陽光発電や風力発電の普及拡大に財
献できる点などが利点として挙げられる。一方でグリーン電力基金への参加主体の減尐と
設備1件あたりの助成金額の減尐、行政機関等による支援策の充実によるグリーン電力基
金の必要性などの課題が存在する。
以上の様にそれぞれの制度において一長一短があり、どの支援策が最も優れているとい
う事は難しい。太陽光発電システムのシステム価格を下げながら、それぞれの支援策を組
み合わせて各支援策における課題を補完し、現在手薄な事業所向けの支援策を充実させて
いく必要がある。
34
図表2-7-1
長
所
課
題
各種補助制度の比較①
日本版FIT
導入補助金(国、県、市町村)
◎ 太陽光発電システムの新規設置に対するイ
ンセンティブが働く→普及に貢献
◎ 新規設置に関わる費用を国民全てから広く
薄く回収
◎ 普及が進むことによるシステム価格(パネ
ル、設置コスト等)と発電コスト減尐への
期待
◎ 太陽光発電システムの設置に必要な投資の早期
回収に寄与
◎ 併用可能なメニューが多く、「国+県+市町
村」と設置補助金を増加させることが可能
◎ スクールニューディールにより公立小中学校に
対して国が設置費用のほとんどを負担
▲ 設置コストを全電力需要家(≒国民)で負 ▲ 補助メニューが豊富な住宅向けに対して、非住
担することに対する理解(特にシステム設
宅(事業所)向けは相対的に乏しい
置が困難な世帯)
▲ 国、県、市町村の予算に左右(何年続くか不透
▲ 導入時には有用な制度だが長期的に成立す
明)
る制度かどうか不透明(制度の継続性)
▲ 補助メニューが豊富であっても導入には多額の
▲ 1kWあたりのシステム価格が低下しないと発
投資が必要(求められる金融機関等外部のサ
電コストが下がらず、電力買い取り価格が
ポート)
高止まりするリスク
図表2-7-2
各種補助制度の比較②
グリーン電力証書
グリーン電力基金
長
所
◎ 証書購入資金がグリーン電力発電事業者に
提供されることで普及拡大に貢献
◎ 商品の付加価値としての活用、サービスへ
の活用などが可能
◎ 利用者から見た場合エネルギーの地産地消
をアピールすることが可能
◎ 地域産業振興への波及効果の期待
◎ 証書購入により、地球環境に寄与したと見
なすことが可能
◎ 太陽光発電システム、風力発電システムの普及
を直接支援したい個人・企業の参加
◎ 地方公共団体や公益的な法人、市民団体による
公的施設(学校、公民館、病院等)に対する普
及拡大に貢献
課
題
▲ 政策誘導・補助金以外における証書の大口
ユーザー探し(カーボンオフセットと比
較)
▲ 取引が相対取引のため、購入価格に変動あ
り
▲ 自家消費分の電力計測のための一連のコス
ト負担(計量法適合メーターの設置とその
方法・手間、検針など)。証書化で得られ
る金額よりも高価
▲ 住宅から環境価値を集める場合証書発行に
係る申請コストが割高
▲ 日本版FITにより、売電へのモチベーション
の方が高くなる可能性
▲ システム設置事業者へのインセンティブ不
足
▲ 日本版FITとの関係(国民への「二重徴収」に
対する懸念、電力会社の負担)
▲ 「スクール・ニューディール政策」等、公的施
設に対する手厚い補助が充実する現在における
基金の必要性
▲ 上記施策が始まる前から続く基金自体と助成額
の減尐(1件あたりの助成額の減尐)
▲ 基本的には行政支援が手厚くない時代に誕生し
た制度(九州では2000年10月スタート)
資料)①、②ともに各種資料より九経調作成
35
■コラム■鹿児島市域住宅用グリーン電力証書購入事業
鹿児島市では住宅用太陽光発電導入促進事業補助制度の1つとして、
「鹿児島市域住宅用グリ
ーン電力証書購入事業」を 2008 年度から実施している。
鹿児島市内の太陽光発電設備を設置した住宅で発電されたグリーン電力のうち、家庭で自家消
費された電力の環境付加価値を買取、鹿児島市の本庁・各支所や鹿児島市の環境関連施設である
環境未来館で使用される電力の一部をグリーン電力化するものである。
本事業においては、鹿児島市がグリーン電力証書発行事業者である一般社団法人環境ネットワ
ーク鹿児島へグリーン電力の認証申請、グリーン電力証書の発行事務を委託。
環境ネットワーク鹿児島は鹿児島市内で新規に太陽光発電設備を設置した個人住宅から自家
消費分の環境付加価値を 20 円/kWh(上限 1,500kWh)で買取、グリーン電力証書化し、そ
れを鹿児島市へ販売するというスキームである。鹿児島市では購入したグリーン電力証書を市内
の公共施設等で使用する電力の一部に充当し、使用する電力をグリーン電力化する。
本スキームにおいては、鹿児島市と市内の市民グループが協働して事業を行っている点が特徴
となっている。本スキームの課題としてはグリーン電力証書の認知度丌足による本スキームへの
参加世帯の丌足、グリーン電力証書用のメーターの費用および設置費用、各家庭におけるグリー
ン電力証書申請手続きの煩雑さ、太陽光発電設備設置業者のグリーン電力証書に関する説明の手
間や申請手続き代行の手間などがある。
鹿児島市域住宅用グリーン電力証書購入事業スキーム
資料)一般社団法人環境ネットワーク鹿児島 HP より
36
第3章 太陽光発電システム導入に対する九州企業の実態
1.太陽光発電システム普及促進に関するアンケート調査の概要
本調査において、九州における太陽光発電システムの普及実態を把握するためにアンケ
ートを実施。以下でアンケート結果を概括する12。
1)アンケート調査の概要
[アンケート調査名]
「太陽光発電システム普及促進に関するアンケート調査」
[調査目的]
目的①:九州企業の新エネルギー利用に対する取り組み状況の把握
目的②:九州企業が求める太陽光発電システムの導入インセンティブの把握
目的③:九州企業の温室効果ガス削減への取り組み状況の把握
目的④:九州企業のグリーン電力証書導入に関するインセンティブ等の把握
目的⑤:九州企業の太陽電池関連製品の利用意向と太陽電池関連産業への参入意向の把握
[調査対象]
① 九州に立地する資本金 10 億円以上の企業(製造業を除く) 917 社
出典:帝国データバンク
② 九州に立地する資本金1億円以上の工場(製造業)
516 社
出展:㈱データフォーラム「工場ガイド」
③ 九州内のスポーツ球団および九州内で開催されるイベント等の主催者 39 団体
出展:各団体ホームページ
(①、②については 2008 年度「太陽光発電関連機械工業に関する調査等補助事業~ソーラ
ーアイランド九州の実現に向けて~」のデータを活用)
合計 1,472 社(団体)
[調査実績]
■発送日:2009 年 10 月 23 日(金)
■締切日:2009 年 11 月6日(金)
■発送数:1,472 件
■回答数:300 件
■回答率:約 20.4%(11 月 30 日回答分まで)
本章で「平成 20 年度」としているものは、(負)九州地域産業活性化センター「平成 20 年度 太陽光発
電関連機械工業に関する調査等補助事業」における普及促進アンケート調査の事を示す。なお、本章では、
環境付加価値を「環境価値」と標記している。
12
37
2)アンケート回答状況
アンケート回答者の属性
回答者の所在地は福岡県(39.0%)が最も多く、以下鹿児島県(12.7%)
、大分県(12.3%)
、
熊本県(10.7%)
、宮崎県(9.0%)
、長崎県(8.3%)、佐賀県(8.0%)と続いている。
図表3-1-1
回答者の所在地
鹿児島県
12.7%
宮崎県
9.0%
福岡県
39.0%
大分県
12.3%
熊本県
10.7%
佐賀県
長崎県 8.0%
8.3%
N=300
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
売上高では資本金 10 億円~50 億円未満の企業(31.3%)が最も多く、以下 100 億円以
上(16.3%)
、1億円~5億円未満(11.7%)となっている。
図表3-1-2
回答者の売上高
1億円未満 1億~5億円
6.3%
未満
11.7%
無回答
15.7%
5億~10億円
未満
9.3%
100億円以上
16.3%
10億~50億
円未満
31.3%
50億~100億
円未満
9.3%
N=300
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
38
回答者の業種を見ると、製造業が 27.3%と最も高い割合を占めており、医療・福祉業が
21.3%、その他サービス業が 13.3%と続いている。
図表3-1-3
回答者の業種
無回答
1.0%
その他
23.3%
製造業
27.3%
卸売業・小売
業
4.7%
その他サー
ビス業
13.3%
医療・福祉
21.3%
N=300
土木・建設・
設備工事業
3.0%
住宅・
不動産業
運輸・倉庫業
3.8%
1.7%
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
従業員数では 101~300 人(34.3%)の企業が最も多く、21~100 人(27.7%)
、301 人
以上(26.0%)
、20 人以下(11.7%)となっており、従業員数が 100 人を超える企業が全体
の 60.3%を占めている。
図表3-1-4
回答者の従業員数
無回答
0.3%
20人以下
11.7%
301人以上
26.0%
21~100人
27.7%
101~300人
34.3%
N=300
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
39
2.新エネルギー利用に対する取り組み実態
約9割の企業が新エネルギー・省エネルギーへの関心を持つ
新エネルギー・省エネルギーへの関心については、関心があると答えた企業が 89.7%と
全体の約9割を占めており、新エネルギー・省エネルギーへの関心の高さがうかがえる。
昨年度にも実施した同様のアンケートの結果と比較すると、若干だが、関心があると答
えた企業の割合が減り、関心がないと答えた企業の割合が増加している。
図表3-2-1
0%
平成21年 N=300
新エネルギー・省エネルギーに対する関心
20%
40%
60%
89.7
80%
100%
8.7
1.7
はい
いいえ
無回答
平成20年 N=346
92.5
6.9
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
40
0.6
約6割の企業が太陽光発電システムの導入に関心
関心がある新エネ・省エネ対策については「太陽光発電システムの導入」が 61.7%と最
も多く、
「エネルギー管理の改善、徹底(46.1%)」、
「高効率機器への設備更改(39.4%)」
、
「使用エネルギーの見える化(21.2%)」と続いている。
「エネルギー管理の改善、徹底」や
「使用エネルギーの見える化」などの取り組みやすい対策の割合も多いものの、
「太陽光発
電システムの導入」という企業にとっては設備投資を伴う対策が最も高くなっていること
からも太陽光発電システムへの関心の高さを伺い知る事が出来る。また、太陽光発電シス
テムばかりではなく、
「太陽光発電以外の新エネルギー」についても 18.2%の企業が関心を
持っており、再生可能エネルギーへの取り組みに関する関心の高さが分かる。
昨年度のアンケートと比較すると、他の対策の回答割合が低下しているのに対して、「高
効率機器への設備更改」に関心があるとの回答の割合のみが増加している。
図表3-2-2
平成21年
(N=269)
平成20年
(N=320)
関心のある新エネ・省エネ対策(単位:%)
太
陽
光
発
電
シ
ス
テ
ム
の
導
入
エ
ネ
ル
ギ
ー
管
理
の
改
善
、
徹
底
高
効
率
機
器
へ
の
設
備
更
改
使
用
エ
ネ
ル
ギ
ー
の
見
え
る
化
61.7
46.1
39.4
21.2
66.3
48.1
35.9
新
エ
電ネ
力ル
のギ
蓄ー
電に
池よ
へり
の発
充電
電さ
れ
た
太
陽
光
発
電
以
外
の
新
エ
ネ
ル
ギ
ー
19.0
18.2
26.3
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
41
新
電
エ
力
ネ
の
ル
電
ギ
気ー
自
に
動
よ
車
り
等
発
へ
電
の
さ
活
れ
用
た
10.4
蓄
電
池
を
利
平用
準し
化た
利
用
電
力
の
9.3
新
エ
ネ
ル
給
ギ
湯ー
器
と
等
ヒ
のー
併
ト
用
ポ
ン
プ
式
7.8
コ
ー
ジ
ェ
ネ
レ
ー
シ
ョ
ン
の
導
入
4.8
13.8
ス
マ
ー
ト
グ
リ
ッ
ド
へ
の
参
加
1.1
そ
の
他
無
回
答
1.5
4.5
3.8
2.2
1割にとどまる事業所の太陽光発電システム導入
太陽光発電システムの導入状況については、すでに導入している企業が全体の 12.7%と
なっており、現状では事業所向けの太陽光発電システムの普及が進んでいないことが分か
る。
昨年度のアンケートと比較すると、太陽光発電をすでに導入している企業の割合が減尐
し、導入していない企業の割合が増加している。
図表3-2-3
0%
平成21年 N=300
20%
12.7
太陽光発電システムの導入状況
40%
60%
86.3
80%
100%
0.7 0.3
はい
いいえ
わからない
無回答
平成20年 N=529
16.3
81.7
1.5 0.6
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
42
太陽光発電システムの導入・拡大意向を持つ企業は全体の 23.3%
今後、太陽光発電システムを導入もしくは拡大を検討すると回答した企業は全体の
23.3%にとどまっており、検討しないと回答した企業の 39.7%を下回っている。ただし、
現状ではわからないと回答した企業が 36.3%と4割弱を占めており、検討すると回答した
企業と合計すれば 59.6%と約6割を占めているため、景気の回復や今後の施策等によって
は拡大の余地が残されていると推測できる。2008 年のアンケートとの比較においては、
「は
い」及び「いいえ」と回答した企業が減尐し、「わからない」と回答した企業が増加してい
る。
図表3-2-4
0%
平成21年 N=300
20%
23.3
太陽光発電システムの導入・拡大意向
40%
60%
36.3
80%
100%
39.7
0.7
はい
わからない
いいえ
無回答
平成20年 N=529
25.1
29.5
44.6
0.8
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
43
導入・拡大する企業は環境対策への貢献を重視
太陽光発電システムを導入・拡大する意向があると回答した企業にその理由を尋ねたと
ころ、最も大きな理由として「環境対策への財献」
(90.0%)をほとんどの企業が選択して
おり、環境意識の高さがうかがえる。他には「CSR の向上」(60.0%)、
「節電意識の向上」
(45.7%)
、
「ブランド・企業イメージへの財献」
(40.0%)
、など企業の内外に対するイメー
ジ戦略の1つとして太陽光発電システムを導入・拡大する傾向がみられる。一方で「発電
による環境価値の販売」
、
「余剰電力の売却による収益への財献」はともに 7.1%と割合が低
くなっており、売電による収益増を主目的とする企業は尐ない事が分かる。
昨年度のアンケートと比較すると、「費用対効果が期待できる」、
「消費電力のピークカッ
ト」といった項目の回答の割合が大きく増加しているのに対して、「商品・サービスの付加
価値向上」、「発電による環境価値の販売」といった項目の回答の割合が大きく減尐してい
る。
図表3-2-5
太陽光発電システムを導入・拡大する理由(単位:%)
C
S
R
環
境
対
策
へ
の
貢
献
(
企
業
向の
上社
会
的
責
任
)
の
平成21年
(N=70)
平成20年
(N=133)
90.0
90.2
60.0
54.1
節
電
(
省
エ
ネ
)
意
識
の
向
上
45.7
50.4
ブ
ラ
ン
ド
・
企
貢
業
献
イ
メ
ー
ジ
へ
の
費
用
対
効
果
が
期
待
で
き
る
40.0
34.3
36.8
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
44
13.5
消
費
電
力
の
ピ
ー
ク
カ
ッ
ト
30.0
19.5
行
政
の
支
援
策
の
存
在
20.0
19.5
商
品
・
サ
ー
ビ
ス
の
付
加
価
値
向
上
余
剰
電
力
の
売
貢却
献に
よ
る
収
益
へ
の
発
電
に
よ
る
環
境
価
値
の
販
売
7.1
7.1
17.3
21.1
7.1
そ
の
他
4.3
3.0
期待が大きい今後の設置費用の価格低下
「太陽光発電システムを導入しない」もしくは「わからない」と回答した企業にその理
由を尋ねたところ、最も多い理由は「今後の設置費用の価格低下への期待」
(45.6%)であ
る。以下、
「費用対効果がない」
(36.8%)、「設置価格が不透明」
(27.2%)と続き、コスト
面が導入のネックになっている。また、
「導入の具体的なメリットがわからない」と答えた
企業も 25.9%と全体の 1/4 以上を占めており、太陽光発電システム導入による企業へのイ
ンセンティブの尐なさが分かる。一方で「導入方法がわからない」
(3.1%)
、
「どこに相談し
たらいいのか分からない」
(1.8%)
、
「太陽電池の設置業者を知らない」
(0.4%)という回答
は尐数にとどまっており、太陽光発電システム導入に際しての情報は多くの企業が保有し
ていることが分かる。
昨年度のアンケートと比較すると、「今後の設置費用の価格低下への期待」という回答の
割合が大きく増加しており、昨年度は 1/4 程度の割合で全体の4番目の理由に過ぎなかった
のに対して、今年度のアンケートでは約半数の企業が太陽光発電システム価格低下を期待
しており、太陽光発電システムを導入しない最も大きな理由になっている。
図表3-2-6
平成21年
(N=228)
平成20年
(N=246)
太陽光発電システムを導入しない・分からないとする理由(単位:%)
今
後
の
設
置
費
用
の
価
格
低
下
へ
の
期
待
費
用
対
効
果
が
な
い
45.6
36.8
26.4
49.2
設
置
価
格
が
不
明
確
導
入
の
具
体
的
な
メ
リ
ッ
ト
が
わ
か
ら
な
い
27.2 25.9
35.4
29.3
設
置
場
所
・
ス
ペ
ー
ス
が
な
い
住
宅
用
に
比
べ
行
政
の
支
援
策
が
不
十
分
減
価
償
却
の
長
さ
16.2
16.2
14.9
15.9
19.5
19.1
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
45
故
障
時
の
保
証
や
対
応
に
不
安
夜
間
発
電
を
し
な
い
環
境
対
策
や
C
S
R
へ
の
貢
献
が
不
透
明
12.3
8.8
4.4
23.2
13.4
4.5
導
入
方
法
が
わ
か
ら
な
い
3.1
7.3
ど
こ
に
相
談
し
た
ら
い
い
の
か
わ
か
ら
な
い
1.8
太
陽
電
池
の
設
置
業
者
を
知
ら
な
い
売
電
条
件
が
悪
い
0.4
そ
の
他
12.3
8.9
12.2
無
回
答
2.2
1.2
関心が高い自家消費への実証実験
蓄電池等の活用により、太陽光発電により生み出された電力を自家消費するための実証
実験への参加については、関心があると回答した企業は 44.0%と、関心がないと答えた企
業の 22.3%を大きく上回っており、関心の高さがうかがえる。
また、太陽光発電システム導入済み、もしくは導入・拡大意向を持つ企業の場合、とも
に6割以上の企業が関心を持つという結果となっており、太陽光発電システムを導入、も
しくは導入しようとしている企業ほど新エネルギー自家消費のための実証実験への参加の
関心が高くなっていることが分かる。
図表3-2-7
0%
全体 N=300
新エネルギー自家消費のための実証実験への関心
20%
40%
60%
44.0
80%
32.3
100%
22.3
1.3
はい
わからない
太陽光発電システム
導入済 N=38
60.5
28.9
10.5
0.0
いいえ
無回答
太陽光発電システム
導入・拡大意向あり
N=70
68.6
21.4
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
46
10.0
0.0
3.太陽光発電システムの導入インセンティブ
認知度は「余剰電力買取制度」と「住宅向け設置費用の補助制度」が突出
太陽光発電システム導入インセンティブの認知度については「余剰電力買取制度」
(78.0%)と「住宅向け設置費用の補助制度」
(75.0%)が突出して高くなっている。
「非住
宅向け設置費用への補助制度」
(36.0%)は九州では事業所向けの補助制度が不足している
ためか、住宅向けの補助制度と比較してやはり認知度は低くなっていることが分かる。他
の導入インセンティブについてはいずれも全体の2割未満となっており、どの導入施策に
関しても認知度は低い。
昨年度のアンケートにおいても「余剰電力買取制度」と「住宅向け設置費用への補助制
度」の認知度が突出して高くなっており、また、双方とも認知度は向上している。昨年調
査では住宅向け設置費用への補助制度の割合が最も高かったが、本年度においては日本版
FIT の導入により、余剰電力買取制度の認知度が最も高くなっている。
図表3-3-1
平成21年
(N=300)
平成20年
(N=346)
太陽光発電システムの導入インセンティブに関する認知度(単位:%)
余
剰
電
力
買
取
制
度
住
宅
向
け
設
置
費
用
へ
の
補
助
制
度
78.0
75.0
65.3
67.3
度非
住
宅
向
け
設
置
費
用
へ
の
補
助
制
ス
ク
ー
ル
ニ
ュ
ー
デ
ィ
ー
ル
制
度
に個
対人
す住
る宅
所用
得太
税陽
の光
税発
額電
控設
除備
設
置
36.0
18.7
18.3
グ
リ
ー
ン
電
力
基
金
グ
リ
ー
ン
電
力
証
書
15.3
14.7
16.2
18.8
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
47
額対非
控す住
除る宅
所用
得太
税陽
ま光
た発
は電
法設
人備
税設
の置
税に
12.0
証太
実陽
験光
や発
研電
究設
に備
対設
す置
るに
支対
援す
る
実
利太
融陽
資光
制発
度電
設
備
設
置
に
対
す
る
低
12.0
12.0
26.9
国
内
ク
レ
ジ
ッ
ト
制
度
10.0
設
置
費
用
へ
の
利
子
補
給
制
度
8.3
9.2
産に太
税対陽
のす光
減る発
免不電
動設
産備
取を
得導
税入
・ し
固た
定施
資設
6.7
G
E
マ
ー
ク
の
認
証
制
度
そ
の
他
無
回
答
4.3
0.7
5.7
9.2
0.3
12.4
インセンティブを活用する企業は1割未満
実際に太陽光発電システムを導入している企業が全体の 11.5%にとどまっている事から、
太陽光発電システムの導入インセンティブを活用している企業は全体の 9.7%と1割未満
にとどまっている。
図表3-3-2
太陽光発電システム導入インセンティブの活用状況
活用して
いる
9.7%
活用していな
い
90.3%
N=300
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
48
導入インセンティブでは「非住宅向け補助制度」と「グリーン電力基金」を活用
太陽光発電システム導入インセンティブを活用している企業では「非住宅向け設置費用
の補助制度」と「グリーン電力基金」がともに 10 社と最も多く活用されている。ただし、
「グリーン電力基金」について、企業は自社の太陽光発電システムの設置には活用できな
いため、この 10 社は基金拠出の形で参加していると思われる。他には「住宅向け設置費用
への補助制度」
、
「太陽光発電設備設置に対する実証実験や研究に対する支援」
(ともに6社)
「余剰電力買取制度」
(5社)も活用されている。
他の導入インセンティブの活用状況についてはいずれも0~2件程度とわずかであり、
ほとんど活用されていない。また、導入インセンティブの中で、
「グリーン電力証書」を活
用している企業は2社にとどまっている。
図表3-3-3
太陽光発電システム導入インセンティブの活用内容
(社) 0
2
4
6
8
10
12
非住宅(事業所)向け設置費用への補助制度
10
グリーン電力基金(基金申込者と九州電力の寄付(拠出金)
による設備設置に対する助成制度)
10
住宅向け設置費用への補助制度
6
太陽光発電設備設置に対する実証実験や研究に対する支
援
6
余剰電力買取制度(日本版フィードインタリフ・2009年11月よ
り導入予定)
5
非住宅用(事業所用)太陽光発電設備設置に対する所得税
または法人税の税額控除
2
グリーン電力証書(自家消費分の環境価値の買取り制度)
2
設置費用への利子(一部)補給制度(法人向け)
1
スクールニューディール制度(小中学校への太陽光発電設
備導入支援)
1
太陽光発電設備設置に対する低利融資制度
1
太陽光発電設備を導入した施設に対する不動産取得税・固
定資産税の減免
1
個人住宅用太陽光発電設備設置に対する所得税の税額控
除
0
GEマークの認証制度(グリーンエネルギー活用商品のエコブ
ランド認定制度)
0
国内クレジット制度(国内排出削減量認証制度)
0
その他
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
49
N=29
複数回答
2
企業は直接的な金銭での支援を希望
今後、太陽光発電システムの導入(拡大)を検討する場合に関心をもつ導入インセンテ
ィブについては「初期投資への補助制度」(72.3%)の割合が最も高く、以下「発電した電
気の高値買取制度」
(54.0%)
、
「法人税の税額控除」
(40.3%)
、
「CO2 削減実績に換算される
制度」
(32.3%)の順となっている。一方で「認定事業者制度の設立と業者のサポート」
(3.7%)
、
「他者への屋根貸し制度」
(2.0%)
、
「債務保証制度」
(1.7%)などは低い割合となっており、
企業は直接的な金銭による支援や税額の軽減を望んでいることが分かる。
昨年度のアンケートもみると、相対的に「初期投資への補助制度」に対するニーズが高
いことがうかがえる。
本年度、太陽光発電導入インセンティブについて実際に太陽光発電システムを導入・拡
大する意向があると回答した企業に限定した場合では、
「初期投資への補助制度」の割合は
78.6%と最も高く、
「発電した電気の高値買取制度」についても 54.3%と半数を越えている。
また、他のインセンティブについては「電力証書による環境付加価値の買取制度」が 22.9%
と全体の結果と比較して割合が高くなっている他にもおおむね割合が高くなっている。
図表3-3-4
平成21年
(N=300)
太陽光発電システム
導入・拡大意向あり
(N=70)
平成20年
(N=346)
関心のある太陽光発電導入インセンティブ(単位:%)
不
動
産
取
得
税
・
固
定
資
産
税
等
の
軽
減
無
利
子
・
超
低
利
子
融
資
、
利
子
補
給
制
度
減
価
償
却
期
間
の
短
縮
電
力
証
書
に
よ
る
環
境
付
加
価
値
買
取
制
度
緑
地
面
積
と
の
代
替
制
度
認
定
事
業
者
制
度
設
立
と
業
者
の
サ
ポ
ー
ト
初
期
投
資
へ
の
補
助
制
度
発
電
し
た
電
気
の
高
値
買
取
制
度
法
人
税
の
税
額
控
除
C
O
2
削
減
実
績
に
換
算
さ
れ
る
制
度
72.3
54.0
40.3
32.3
26.3
24.0
18.7
10.0
10.0
8.3
3.7
2.0
1.7
78.6
54.3
48.6
35.7
34.3
24.3
27.1
22.9
8.6
11.4
5.7
2.9
1.4
77.2
48.8
39.6
35.3
30.1
33.8
25.1
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
50
14.5
8.1
容
積
率
や
建
ぺ
い
率
の
規
制
緩
和
7.5
8.4
他
者
へ
の
屋
根
貸
し
制
度
4.9
債
務
保
証
制
度
3.8
そ
の
他
1.7
0.0
1.4
無
回
答
7.7
8.6
7.5
4.温室効果ガス削減への取り組み
九州企業のうち約 3/4 が温室効果ガス削減取り組みを実施・実施予定
温室効果ガス削減に対する取り組みを行っている企業は 55.0%と半数を越え、行う予定
であると回答した企業(19.0%)を加えると、九州企業のおよそ 3/4 が温室効果ガス削減に
向けての取り組みを行っている、もしくは行おうとしている事が分かる。
また、太陽光発電システムの導入・拡大意向を持つ企業に限定した場合、温室効果ガス
削減に対する取り組みを行っている企業は 67.1%と全体の 2/3 以上に達し、温室効果ガス
削減に対する取り組みを行う予定である企業(25.7%)を加えると 92.8%と全体の9割を
越えており、太陽光発電システムの導入・拡大の意向がある企業は特に温室効果ガス削減
への取り組みに対して積極的である事が分かる。
図表3-4-1
0%
全体 N=300
温室効果ガス削減への取り組み状況
20%
40%
60%
55.0
19.0
80%
24.0
100%
2.0
はい
行う予定である
いいえ
無回答
太陽光発電システム
導入・拡大意向あり
N=70
67.1
25.7
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
51
7.1 0.0
約9割の企業が省エネの推進を実施・計画
温室効果ガス削減の取り組みを実施もしくは検討している企業のほとんどが「省エネの
推進」
(90.5%)を実施・検討している。他には「新エネルギーの導入・設置」
(24.8%)も
比較的高い割合となっている。
一方で「グリーン電力証書の購入」
(2.3%)、
「国内排出量取引制度への参加」
(1.4%)
、
「海
外からの排出量購入」
(0.9%)については制度の普及が進んでおらず認知度が低いためか、
取り組みを実際に実施・検討している企業の数は低い割合となっている。
図表3-4-2
温室効果ガス削減のための具体的取り組み内容
(%)
0
10
20
30
40
50
60
省エネの推進
80
90
100
90.5
新エネルギーの導入・設置(太陽光発電等)
24.8
植林活動
11.7
グリーン電力証書の購入
2.3
国内排出量取引制度への参加
1.4
海外からの排出量購入
0.9
その他
無回答
70
N=222
複数回答
6.3
0.5
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
52
費用と効果の分かりにくさが温室効果ガス削減取り組みの課題
温室効果ガス削減の取り組みにおける課題については「どの程度費用がかかるのか分か
らない」
(55.0%)
、
「どの方法が効果的なのか分からない」
(52.7%)と回答した企業の割合
が高くなっており、
「どこに相談したらいいのか分からない」と回答した企業は 6.8%にと
どまっている。相談すべきところは知っているが、相談していないことにより、温室効果
ガス削減に関するコストと効果、最適な方法が何なのか分からないと回答した企業が多く
なっている。
図表3-4-3
温室効果ガス削減の取り組みにおける課題
(%)
0
10
20
30
どの程度費用がかかるのか分からない
29.3
6.8
その他
7.7
無回答
7.7
53
60
52.7
多くの方法があり、どの方法を選んだら良いのか分からない
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
50
55.0
どの方法が効果的なのか分からない
どこに相談したらいいのか分からない
40
N=222
複数回答
取り組まない理由は排出量の尐なさと費用負担の回避
温室効果ガス削減の取り組みを行わない理由としては「温室効果ガスをそれほど排出し
ていない」と「費用がかかるため」
(ともに 37.5%)という回答が最も多くなっている。
図表3-4-4
温室効果ガス削減のための取り組みを行わない理由
0
(%)
5
10
15
20
25
30
35
40
温室効果ガスをそれほど排出していない
37.5
費用がかかるため
37.5
削減方法がわからない
20.8
業界内での自主規制がない
既に削減しており、削減余地がない
その他
15.3
2.8
8.3
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
54
N=72
複数回答
省エネの推進、新エネルギーの導入が温室効果ガス削減には有効
温室効果ガス削減のために有効だと思われる取り組みについては、「省エネの推進」
(84.0%)
、
「新エネルギーの導入・設置」
(76.7%)と回答した企業が多くなっており、
「国
内排出量取引制度への参加」
(8.0%)、
「グリーン電力証書の購入」
(6.0%)
、
「海外からの排
出権購入」
(3.3%)の割合は低くなっている。実際に温室効果ガス削減の取り組みを実施・
計画している企業の回答と比較すると、
「植林活動」以外の選択肢はいずれも割合が大きく
なっているものの、特に「新エネルギーの導入・設置」に関しては割合が大幅に増加して
いることが分かる。
太陽光発電システムの導入・拡大意向を持つ企業が温室効果ガス削減のために有効であ
ると考える取り組みについては「新エネルギーの導入・設置」(91.4%)の割合が最も高く
なっており、多くの企業が温室効果ガス削減のために有効であると考えている。また、「国
内排出量取引制度への参加」(12.9%)「グリーン電力証書の購入」(11.4%)も全体と比較
して割合が増えている。
図表3-4-5
(%)
温室効果ガス削減のために有効だと思われる取り組み
0
10
20
30
40
50
60
70
80
76.7
新エネルギーの導入・設置
34.3
32.9
植林活動
グリーン電力証書の購入
100
84.0
84.3
省エネの推進
国内排出量取引制度への参加
90
8.0
12.9
6.0
海外からの排出権購入
3.3
4.3
その他
4.0
4.3
無回答
3.0
91.4
平成21年
(N=300)
太陽光発電システム
導入・拡大意向あり
(N=70)
11.4
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
55
最も優先順位が高い取り組みは省エネの推進
企業における温室効果ガス削減のための取り組みにおける優先順位を示したものが図表
3-4-6である。最も優先順位が高い温室効果ガス削減への取り組みは「省エネルギー
の推進」であり、以下「新エネルギーの導入・設置」、「植林活動」の順となっている。最
も優先順位が低い取り組みは「海外からの排出量購入」である。
図表3-4-6
温室効果ガス削減のための取り組みにおける優先順位
(ポイント)
0
200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000
省エネルギー推進
1,776
新エネルギー(太陽光、風力、バイオマス)の導入・設置
1,285
植林活動
770
国内排出量取引制度への参加
682
地元のグリーン電力証書の購入
591
海外からの排出量購入
376
その他
124
N=265
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
注)優先順位1位に7ポイント、2位に6ポイント、以下順位毎にポイントを付与し、ポイント数にて
比較
56
5.グリーン電力証書について
グリーン電力証書の認知度は約 1/4 にとどまる
グリーン電力証書に関する認知度については「知っている」と回答した企業が 26.7%で
あるのに対して、
「知らない」と答えた企業が 72.3%を占め、知らないとした企業が大幅に
上回っている。
また、太陽光発電システムの導入・拡大意向を持つ企業に限定した場合のグリーン電力
証書の認知度は 40.0%と全体の4割へと拡大しており、太陽光発電システム導入に積極的
な企業ほどグリーン電力証書を知っている。
そして、温室効果ガス削減への取り組みを行っている企業に限定したグリーン電力証書
の認知度は 36.4%とおよそ 1/3 を占めており、太陽光発電システムの導入・拡大意向を持
つ企業に限定した場合よりは若干割合は低くなるものの、温室効果ガス削減の取り組みを
行っている企業においてもグリーン電力証書の認知度は高くなる傾向にある。
図表3-5-1
0%
全体 N=300
20%
グリーン電力証書の認知度
40%
26.7
60%
80%
72.3
100%
1.0
知っている
太陽光発電システム
導入・拡大意向あり
N=70
温室効果ガス削減の
取組みを行っている
N=165
知らない
40.0
60.0
36.4
63.0
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
57
0.0
0.6
無回答
グリーン電力証書購入の実績がある、もしくは購入を検討する企業は 3.0%にとどまる
グリーン電力証書の購入については具体的に「既に購入している」・「現在、購入検討中
である」と回答した企業の合計は 3.0%にとどまっている一方で「購入を検討していない」・
「今後も購入を検討しない」と回答した企業は合計で 44.7%とおよそ半数を占めている。
しかし、グリーン電力証書の購入について、
「未定」と回答した企業は 41.7%と約4割を占
めている事から、グリーン電力証書の認知度向上や活用方法が明確になれば、今後グリー
ン電力証書の購入を検討する企業が増加する可能性はある。
図表3-5-2
その他
3.0%
今後も購入
を検討しない
10.0%
グリーン電力証書の購入状況
無回答
7.7%
既に購入し
ている
2.0%
現在、購入
検討中であ
る
1.0%
未定
41.7%
購入を検討
していない
34.7%
N=300
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
58
企業の PR や環境への貢献のためにグリーン電力証書を購入
グリーン電力証書購入の理由は「会社・団体の PR」
(5社)、「地球環境の保全に有効」、
「CSR の向上に有効」
、
「国内での再生可能エネルギーの普及に財献」
(いずれも4社)が多
い。一方で、
「商品・サービスに対する付加価値の向上」、
「太陽光や風力など電力の種類を
選ぶことが出来る」
、
「尐量でも導入が可能」という理由はいずれも1社と非常に尐なく、
「グ
リーン電力証書を用いたビジネスの将来性」や「電力が発電された場所を選ぶことが出来
る」という理由を選択した回答は全くない。
以上により、企業がグリーン電力証書を購入する理由としては企業の対外的な PR 戦略の
一環や環境問題への財献といったものが多い。
図表3-5-3
(社)
グリーン電力証書の購入理由
0
1
2
3
会社・団体のPRのためにグリーン電力の導入が
有効であるため
グリーン電力の普及促進が地球環境保全のために
有効であるため
4
5
6
5
4
CSR(企業の社会的責任)の向上に有効なため
4
国内での再生可能エネルギーの普及に貢献できるため
4
商品・サービスに対する付加価値の向上が可能なため
1
太陽光や風力など電力の種類を選ぶことが出来るため
1
尐量でも導入が可能であるため
1
グリーン電力を用いたビジネスに将来性を感じているため
0
電力が発電された場所を選ぶことが出来るため
0
その他
0
N=9
複数回答
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
59
購入しない大半の理由は認知度の低さ
グリーン電力証書の購入を検討していない、もしくは今後も検討しないと回答した企業
にその理由をたずねたところ、
「グリーン電力証書についてよく知らないため」
(69.4%)と
いう理由が最も多く全体の約7割を占めている。また、
「導入に対する具体的なメリットが
分からないため」
(25.4%)とする回答の割合も多くなっている。一方で「国内排出量取引
制度に参加しているため」と「海外から排出権を購入した方がコストが低いため」と回答
した企業はない。
グリーン電力証書を知っている企業に限定すると、
「導入に対する具体的なメリットが分
からないため」
(35.9%)
、
「グリーン電力証書の購入費用が高価なため」
(33.3%)が上位を
占める。
グリーン電力証書を購入しない理由としては、排出量取引制度との比較というよりは、
全体的にはグリーン電力証書に対する認知度の低さであり、認知している企業にとっては
効果が見えにくいことと、高額であることが大きい。
図表3-5-4
(%)
グリーン電力証書を購入しない理由
0
10
20
グリーン電力証書についてよく知らないため
30
60
7.7
13.4
グリーン電力証書を購入しても良い利用方法を
思いつかないため
環境対策やCSR(企業の社会的責任)への貢献が
不透明なため
13.4
13.4
海外から排出権を購入した方がコストが低いため
0.0
0.0
20.5
23.1
グリ-ン電力証書の
購入を検討しない総数
(N=134)
6.7
その他
35.9
33.3
3.0
2.6
0.0
0.0
80
15.7
グリーン電力証書の購入費用が高価なため
国内排出量取引制度に参加しているため
70
69.4
25.4
グリーン電力証書の購入方法がよくわからないため
無回答
50
20.5
導入に対する具体的なメリットが分からないため
グリーン電力証書の購入手続きが煩雑なため
40
1.5
0.0
20.5
グリーン電力証書を
知っていて購入を
検討しない
(N=39)
複数回答
注1)「グリーン電力証書の購入を検討しない総数」には、図表3-5-2の「未定」「その他」と回
答した企業を含めない
注2)
「グリーン電力証書を知っていて購入を検討しない」は、上記のうち図表3-5-1で「知って
いる」と回答した企業
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
60
地元発のグリーン電力証書の活用を検討する企業は1割程度
地元の太陽光発電設備で発電された電力に基づくグリーン電力証書の活用の意向につい
ては「検討する」と回答した企業が 12.7%と「検討しない」と回答した企業(9.0%)を若
干上回っている。また、現状ではわからないと回答した企業は 72.7%と全体のおよそ 3/4
を占めている。
「わからない」と回答した企業と「検討する」と回答した企業を合計すれば
85.4%となり、全体の8割を越える。地元の太陽光発電設備により生まれたグリーン電力証
書の購入においては認知度の向上や有効なインセンティブを導入することなどが可能にな
れば、
「わからない」と回答した企業でもグリーン電力証書を購入する企業が増加する可能
性もある。
グリーン電力証書を「知っている」と回答した企業に限定した場合、地元産のグリーン
電力証書の活用を「検討する」と回答した企業の割合は 20.0%と増加し、グリーン電力証
書の活用を「検討しない」と回答した企業の割合は 7.5%へと減尐している。グリーン電力
証書を知っている企業ほど地元の太陽光発電設備で生まれたグリーン電力証書の活用を検
討するとする企業の数が増加する傾向にあることが理解できる。
図表3-5-5
0%
全体 N=300
地元産のグリーン電力証書の活用の検討意向
20%
12.7
40%
60%
80%
72.7
100%
9.0 5.7
はい
わからない
いいえ
無回答
グリーン電力証書を
知っている
N=80
20.0
65.0
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
61
7.5 7.5
活用については金銭的なインセンティブが有効
グリーン電力証書を購入するに当たって有効であると考えられるインセンティブについ
ては「購入価格のコスト低下」(44.0%)や「購入費用の損金算入などの税制面での優遇」
(42.3%)
でありともに全体の4割以上を占めている。一方で、
「各種媒体上での PR」
(9.7%)
や「金融機関等からの融資の際の金利優遇」
(8.7%)についてはともに回答の割合が低くな
っている。
グリーン電力証書を知っている企業に限定すると、有効であると考えられるインセンテ
ィブについては、
「購入価格のコスト低下」
(52.5%)、
「購入費用の損金算入などの税制面で
の優遇」
(48.8%)
、
「温室効果ガスの削減量への算入」
(41.3%)など、選択される順番に全
体との違いは見られない。しかし、知っている企業は、全体の企業と比べるとほぼ全ての
設問においてポイント数が高く、有効と考えるインセンティブを複数選択する傾向がみら
れる。
企業は、購入価格のコスト低下や税制面での優遇といった直接的なインセンティブを望
んでいる。
図表3-5-6
グリーン電力証書活用のために有効なインセンティブ
(%) 0
10
20
30
40
44.0
購入価格のコスト低下
42.3
購入費用の損金算入などの税制面での優遇
25.3
温室効果ガス削減量への算入
行政機関による表彰などグリーン電力証書を購入した企業の環境貢
献に関するPR
16.3
12.7
省エネ・温室効果ガス削減などの環境関連の無料の情報提供
行政機関の地域内で認証されたグリーン電力証書購入実績(地産)
に対する入札の際の審査点への上乗せなどの優遇措置
11.0
9.7
各種媒体(テレビ・ラジオ・インターネット)上でのPR
0.0
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
62
48.8
41.3
17.5
全体
(N=300)
15.0
20.0
6.0
5.0
その他
52.5
26.3
8.7
8.8
金融機関や信用保証協会からの融資の際の金利優遇
60
30.0
14.7
購入費用の一部が地域・環境・国際貢献に繋がる制度の新設・拡充
無回答
50
グリーン電力証書を
知っている
(N=80)
複数回答
23.7
環境価値の無償譲渡の可能性は不透明
環境価値の無償譲渡に関する可能性については、可能と答えた企業と不可能と答えた企
業が同数の 5.7%となっており、約8割の 79.3%の企業がわからないと回答しており、
「環
境価値」という言葉が分かりにくく、浸透していないという事が分かる。
図表3-5-7
不可能
5.7%
環境価値の無償譲渡に関する可能性
無回答
9.3%
可能
5.7%
わからない
79.3%
N=300
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
63
グリーン電力証書が有効と考える企業は約2割
太陽光発電普及のためのグリーン電力証書の有用性に関しては「有用」と回答した企業
が全体の 19.0%と、
「無意味」であると回答した企業の 2.7%を大きく上回っている。ただ
し、
「わからない」と回答した企業も多く、全体の 69.0%と約7割を占めている。「わから
ない」と回答した企業の大半はグリーン電力証書について知らないと回答した企業が大半
であると考えられるため、グリーン電力証書の認知度が向上すれば、
「有用」もしくは「無
意味」とどちらかの回答をする企業が増えてくるものと思われる。
また、グリーン電力証書を「知っている」と回答した企業に限定した場合のグリーン電
力証書の有用性については、
「有用」であると回答した企業の割合は 31.3%と全体の結果と
比較して大きく増加している。グリーン電力証書の認知度が高くなるほど、グリーン電力
証書が太陽光発電普及のために有用であると考える企業の割合が増加する傾向にある事が
分かる。
図表3-5-8
太陽光発電普及のためのグリーン電力証書の有用性
0%
全体 N=300
20%
19.0
40%
60%
80%
69.0
100%
2.7 9.3
有用
わからない
無意味
無回答
グリーン電力証書を
知っている
N=80
31.3
55.0
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
64
5.0 8.8
6.太陽電池関連製品の利用意向と参入意向
太陽電池関連事業に取り組んでいる(取り組む予定である)企業は 5.3%
製品開発や製造技術開発など、太陽電池関連事業の取り組み状況については「取り組ん
でいる」と回答した企業が 4.0%、
「取り組む予定である」と回答した企業が 1.3%と双方を
合計しても 5.3%と尐ない。その一方で「取り組んでいない」と回答した企業が 88.7%とな
っており、全体の約9割が太陽電池関連事業に関わっていない。
図表3-6-1
太陽電池関連事業の取り組み状況
取り組んで
いる
4.0%
無回答
6.0%
取り組んで
いない
88.7%
取り組む予
定である
1.3%
N=300
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
太陽電池関連事業に取り組んでいる企業の業種は「製造業」と「住宅・不動産業」が 18.8%
と最も多く、以下、
「土木・建設・設備工事業」と「その他サービス業」が 12.5%、
「卸売・
小売業」が 6.3%と続いており、
「医療・福祉」と「運輸・倉庫業」については太陽電池関
連事業に取り組んでいない。
65
図表3-6-2
太陽電池関連事業に取り組んでいる企業の業種
無回答
6.3%
製造業
18.8%
その他
25.0%
卸売・小売業
6.3%
土木・建設・
設備工事業
12.5%
その他サー
ビス業
住宅・不動産
12.5%
業
18.8%
N=16
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
また、製造業に限定した場合、ほとんどの企業が太陽電池関連事業への取り組みを行っ
ておらず、
「取り組んでいる」と回答した企業がわずか 3.7%にとどまっており、
「取り組む
予定である」と回答した企業はゼロとなっている。
図表3-6-3
製造業における太陽電池関連事業の取り組み状況
取り組んで
いる
3.7%
無回答
1.2%
取組んで
いない
95.1%
N=82
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
66
事業に取り組む企業の4割弱はシステム・施工関連
サンプル数は尐ないものの、太陽電池関連事業に取り組んでいる企業のうち、およそ4
割弱の6社が「システム・施工関連」に携わっている。他には2社が「セル/モジュール関
連」に携わっているが、一方で「アプリケーション関連」に取り組んでいる企業はなく、
九州内においては「システム・施工関連」に携わる企業が多くなっている。
図表3-6-4
(社)
太陽電池関連事業の取り組み内容
0
1
2
3
4
5
6
システム・施工関連
7
6
セル/モジュール関連
2
製造装置関連
1
部品・材料関連
1
検査・測定関連
1
アプリケーション関連(応用製品生産/開発)
0
その他
5
無回答
N=16
複数回答
1
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
最大の課題は人材
太陽電池応用製品の生産/開発を行っている、もしくは予定している中での企業が抱える
問題点は、
「人材」
(4社)が大きく、以下「情報(関連企業、大学、製品等について)」、
「製
品の機能評価・分析」
、
「資金」
(いずれも2社)が続いている。一方で「ビジネス化する上
での相談窓口」
、
「大学とのマッチングコーディネーター」、
「事業所(ハード)」に関しては
問題がないとの回答となっている。
図表3-6-5
(社)
人材
情報(関連企業、大学、製品等について)
製品の機能評価・分析
資金
適切な取引相手の情報
企業とのマッチングコーディネーター
ビジネス化する上での相談窓口
大学とのマッチングコーディネーター
事業所(ハード)
その他
無回答
0
太陽電池応用製品を生産/開発の問題点
1
2
3
4
5
6
7
8
4
2
2
2
1
1
0
0
0
2
N=16
複数回答
7
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
67
生産中の応用製品は農業・福祉・自動車・防災・照明・情報機器・道路標識など
現在、生産/開発中の太陽電池応用製品については「農業関連」、「福祉関連」、「自動車用
電源等」
、「防災用電源」
、
「照明用電源」、「情報機器関連」、「道路標識用電源等」を生産/開
発している企業が存在する。一方で「医療関連」
、
「モバイル機器電源」、
「レジャー用電源」
、
「玩具等」
、「建設関連」
、
「ウェアラブル電源」を生産/開発している企業はゼロとの結果に
なっている。
図表3-6-6
(社)
現在、生産/開発している太陽電池応用製品
0
1
2
農業関連(植物工場の電源等)
1
福祉関連(電動車いす、福祉車両等)
1
自動車用電源等
1
防災用電源(各種計測器用電源等)
1
照明用電源
1
情報機器関連(パソコン電源等)
1
道路標識用電源等
3
1
医療関連(医療用電源等)
0
モバイル機器電源(携帯電話等)
0
レジャー用電源等
0
玩具等
0
建設関連(工事現場電源等)
0
ウェアラブル電源(衣服等)
0
N=4
複数回答
その他
2
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
68
関心が高い照明用・情報機器用・防災用・医療福祉用分野への参入
参入を予定、もしくは参入への関心がある太陽電池応用製品の分野については「情報機
器関連」
(11 社)が最も多く、以下「照明用電源」
(10 社)、
「医療関連」、
「防災用電源」
(と
もに9社)と続いている。一方で「玩具等」、「建設関連」、「ウェアラブル電源」などの分
野への参入予定および参入への関心の回答はない。
図表3-6-7
参入を予定、参入への関心がある太陽電池応用製品
(社)
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
情報機器関連(パソコン電源等)
11
照明用電源
10
医療関連(医療用電源等)
9
防災用電源(各種計測器用電源等)
9
福祉関連(電動車いす、福祉車両等)
6
自動車用電源等
5
農業関連(植物工場の電源等)
4
モバイル機器電源(携帯電話等)
2
レジャー用電源等
2
道路標識用電源等
1
玩具等
0
建設関連(工事現場電源等)
0
ウェアラブル電源(衣服等)
0
その他
12
N=25
複数回答
1
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
太陽電池応用製品について参入を予定、もしくは参入への関心がある企業の業種につい
ては「製造業」と「医療・福祉業」がともに 24.0%で最も多く、
「その他サービス業」
(20.0%)、
「土木・建設・設備工事業」
(12.0%)の順となっている。一方で「卸売・小売業」、
「住宅・
不動産業」、「運輸・倉庫業」については太陽電池応用製品への参入の関心がある企業はゼ
ロとなっている。
69
図表3-6-8
太陽電池応用製品について参入を予定、参入への関心がある企業の業種
その他
20.0%
製造業
24.0%
土木・建設・
設備工事業
12.0%
その他サー
ビス業
20.0%
医療・福祉
24.0%
N=25
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
約7割の企業が照明用電源として太陽電池の利用を希望
今後利用意向のある太陽電池応用製品に関しては、
「照明用電源」
(69.7%)と回答した企
業の割合が最も高く、以下、
「情報機器関連」(42.9%)、「防災用電源」(27.7%)の順とな
っている。一方で「レジャー用電源」
(1.7%)、
「玩具等」
(0.8%)、
「ウェアラブル電源」
(0.0%)
などの分野の太陽電池応用製品については、利用意向を持つ企業の割合が低い。
図表3-6-9
(%)
今後利用する意向のある太陽電池応用製品
0
10
20
30
40
50
照明用電源
42.9
防災用電源(各種計測器用電源等)
27.7
自動車用電源等
25.2
福祉関連(電動車いす、福祉車両等)
20.2
モバイル機器電源(携帯電話等)
14.3
医療関連(医療用電源等)
11.8
農業関連(植物工場の電源等)
7.6
建設関連(工事現場電源等)
5.9
道路標識用電源等
玩具等
ウェアラブル電源(衣服等)
その他
70
80
69.7
情報機器関連(パソコン電源等)
レジャー用電源等
60
4.2
1.7
N=119
複数回答
0.8
0.0
4.2
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
70
今後太陽電池応用製品を利用する意向を持つ業種については「製造業」が 26.9%と 1/4
以上を占めており、以下「医療・福祉」
(24.4%)、
「その他サービス業」
(13.4%)と続いて
いる。
「製造業」と「医療・福祉」の2業種だけで全体の半数を超える 51.3%を占めている。
図表3-6-10
太陽電池応用製品の利用意向を持つ業種
その他
19.3%
製造業
26.9%
卸売・小売業
3.4%
その他サー
ビス業
13.4%
土木・建設・
設備工事業
5.0%
医療・福祉
24.4%
N=119
運輸・倉庫業
2.5%
住宅・不動産
業
5.0%
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
サンプル数が極めて尐ないが、業種ごとに今後利用意向のある太陽電池応用製品の分野
を見ると、製造業における照明用電源(84.4%)、卸売・小売業におけるモバイル機器電源
(75.0%)と情報機器関連(75.0%)
、土木・建設・設備工事業における建設関連(66.7%)、
住宅・不動産業における照明用電源(83.3%)
、運輸・倉庫業における照明用電源(66.7%)、
医療・福祉における福祉関連(65.5%)と照明用電源(62.1%)
、その他サービス業におけ
る照明用電源(68.8%)と情報機器関連(62.5%)の割合が高い。全体では、照明用電源や
情報機器関連での利用意向が高い。
。
71
図表3-6-11
0
(%)
10
20
30
40
9.4
40.6
農業関連(植物工場の電源等)
福祉関連(電動車いす、福祉車両等)
医療関連(医療用電源等)
16.7
16.7
16.7
モバイル機器電源(携帯電話等)
自動車用電源等
33.3
66.7
レジャー用電源等
16.7
16.7
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
玩具等
防災用電源(各種計測器用電源等)
照明用電源
16.7
16.7
建設関連(工事現場電源等)
83.3
ウェアラブル電源(衣服等)
情報機器関連(パソコン電源等)
16.7
16.7
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
道路標識用電源等
その他
33.3
33.3
66.7
33.3
41.4
37.9
13.8
0.0
3.4
27.6
65.5
62.1
0.0
0.0
0.0
0.0
41.4
18.8
18.8
12.5
0.0
0.0
0.0
複数回答
75.0
0.0
0.0
0.0
0.0
3.4
その他サービス業 N=16
75.0
50.0
0.0
0.0
0.0
0.0
100
84.4
50.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
医療・福祉 N=29
90
25.0
0.0
運輸・倉庫業 N=3
80
28.1
0.0
0.0
住宅・不動産業 N=6
70
9.4
6.3
3.1
土木・建設・設備工事業 N=6
60
25.0
0.0
0.0
0.0
卸売・小売業 N=4
50
12.5
0.0
0.0
製造業 N=32
利用意向のある太陽電池応用製品(業種毎)
6.3
31.3
37.5
68.8
62.5
6.3
資料)太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
72
7.アンケート調査より明らかになった課題
■新エネルギー導入への関心は高いものの、実際に導入している企業は尐数
新エネルギーの導入や省エネルギーの推進に関しては、約9割という大多数の企業が関
心を持っており、特に太陽光発電システムの導入については新エネ・省エネに関心を持つ
企業の6割が関心を持っている。しかし、太陽光発電システムの導入意向もしくは拡大の
意向を持つ企業は、約2割である。また、実際に太陽光発電システムをすでに導入してい
る企業はさらに尐なく、全体の約1割にとどまっている。
■太陽光発電システム導入に対する障壁は費用対効果の低さ
事業所への太陽光発電システムの導入が進まない理由については様々あるが、企業にと
っては特に今後の設置費用価格低下への期待が大きいが、現在は費用対効果が低いため、
太陽光発電の導入を躊躇しているという面が見受けられる。太陽光パネル自体の価格低下、
効率的な設置方法による設置費用のコスト低減などが求められている。
■太陽光発電システムを導入している企業は対外的な企業イメージ向上を重視
一方で、既に太陽光発電システムを導入している企業にとっては、環境対策への財献や
CSR の向上、企業イメージへの財献など対外的なイメージアップが重視されている。現状
では、費用対効果は低いものの、環境対策を実施することによる企業イメージの向上とい
う無形の価値を重視して太陽光発電システムへ投資していることが分かる。
■中小企業への普及のためには明確なインセンティブが必要
しかし、こうした無形の価値に投資できる企業は資金的に余裕のある一部の大企業に限
られており、一般の中小企業に太陽光発電システムを普及させるためには、導入する事に
よって得られる明確なインセンティブが必要となる。導入インセンティブについては住宅
用・非住宅用も含め、様々な手段があるが、事業所向けの導入インセンティブが一般住宅
向けのインセンティブと比較して不足している事もあり、余剰電力買取制度や住宅向け設
置費用の補助制度の認知度は高く、事業所向けのインセンティブについての認知度は低い。
なお、実際に事業所向けの導入インセンティブを活用している企業は全体の約1割程度に
とどまっている。
今後、事業所向けに太陽光発電を普及させていくためには、地場の中小企業にとって分
かりやすく、利用しやすいインセンティブを設ける必要がある。一般の企業が関心を持つ
インセンティブとしては、初期投資の補助制度や発電した電気の高値買取制度など、費用
対効果を高めるための直接的な金銭によるインセンティブへの関心が高くなっている。企
業にとって太陽光発電システムを導入する際の最も効果的なインセンティブとしては短期
的には補助金などの資金面での政策的な支援が求められており、中長期的には太陽電池パ
73
ネルおよび設置コストの低減が求められている。
また、全体の約 3/4 の企業が、温室効果ガス削減への取り組みを実施もしくは実施予定で
あり、全体の 3/4 以上の企業は、新エネルギーの導入等が今後の温室効果ガス削減のために
有効な取り組みであると考えている。つまり、多くの企業が温室効果ガス削減に取り組む
中で、太陽光発電を含む新エネルギーを導入する事が温室効果ガス削減のために有効な手
段であると期待されている。企業の温室効果ガス削減のニーズを捉えて、削減実績と連動
させたインセンティブも有効な手段となり得る。
■グリーン電力証書はインセンティブの提供による認知度向上が課題
最後に、太陽光発電システムを普及させるための1つの手段として、グリーン電力証書
の活用が考えられる。グリーン電力証書により、地域の再生可能エネルギーから生まれた
電力を地域で擬似的に活用する事が出来るため、地産地消での再生可能エネルギーの普及
が可能となる。しかし、企業の温室効果ガス削減の取り組みにおいては、省エネルギーの
推進や新エネルギーの導入が優先されており、企業にとってのグリーン電力証書の有用性
は高いとは言えない。また、グリーン電力証書の認知度自体も全体の約 1/4 程度にとどまっ
ており、現在グリーン電力証書が普及していない大きな理由はグリーン電力証書の認知度
が不足(制度の「わかりにくさ」も含む)しているためという事が出来る。今後、太陽光
発電システム普及のための手段の一つとしてグリーン電力証書を普及させていくためには、
グリーン電力証書を活用するための有効なインセンティブとして多くの企業が挙げている
購入費用の税制面での優遇および購入価格のコスト低下などの支援や、企業の温室効果ガ
ス排出量のオフセットが可能となる様なグリーン電力証書購入量の温室効果ガス削減量へ
の算入などの仕組み作りを行い、企業にとって魅力的なインセンティブの選択肢を増やし、
グリーン電力証書自体の認知度を上げる事が必要である。
① 新エネルギー導入への関心は高いが、実際に太陽光発電システムを導入している企業
は尐数。
② 太陽光発電システム導入に対しては費用対効果の低さが障壁となっており、太陽光パ
ネルの価格低下、設置費用のコスト低減が求められる。
③ 太陽光発電システムをすでに導入している企業では対外的な企業イメージの向上を重
視。
④ 中小企業へ太陽光発電システムを普及させるためには初期投資の補助制度や発電した
電気の高値買取制度などの明確で分かりやすいインセンティブが必要。また、太陽光
発電システム導入による温室効果ガス削減に関するインセンティブも有効。
⑤ 太陽光発電システム普及支援策の1つであるグリーン電力証書の普及に関しては購入
費用の税制面での優遇、購入価格の低減、温室効果ガス削減実績への算入などのイン
センティブの提供による認知度向上が課題。
74
■コラム■太陽光オンサイト発電事業

九州電力㈱は 2009 年 12 月 16 日に、産業・公共部門顧客向けに太陽光オンサイト発電
事業等を行う㈱キューデン・エコソルを設立した。
※太陽光オンサイト発電事業とは?

工場、ビルなどのお客さま施設内に太陽光発電設備を設置・所有し、お客さまに発電した電気を提
供する事業

これまで電気事業で培った技術力やエネルギー分野の総合提案力、スケールメリットによ
る調達力、九電グループの総合力を活かした事業推進などにより、お客さまへ高品質で低
コストのサービスを提供する。

オンサイト発電のお客さま側メリットは以下の通り
①
太陽光発電設備設置に係る初期投資が丌要
②
設備導入時の各種申請手続きをお客さま自身で行う必要がない
③
お客さまの手間をかけずに設備の保守・運転管理も全て事業会社が実施する
太陽光オンサイト発電事業の仕組み
資料)九州電力㈱HP より引用
75
76
第4章 太陽光発電システム設置における地場企業参入の実態
本調査においては、九州における太陽光発電システム設置における地場企業の参入実態
及び有効な参入支援策を把握するためにアンケートを実施した。本章では、太陽光発電シ
ステム設置(施工)についてふれた後、アンケート結果を概況する。
1.太陽光発電システム設置(施工)とは
太陽光発電システムは、住宅や公共施設・事業所などに対する設置工事が適切に実施さ
れることによって、本来の性能が発揮される。そのため、太陽光発電システムの普及拡大
における、設置者の役割は非常に大きい。
太陽光発電システムは、太陽電池モジュールと、太陽電池モジュールからの電力を集め
る端子台・保守点検用の開閉器・雷からの保護器などの機能を内蔵した接続箱、発電電力
(直流)を商用電源と同じ交流に変換する機能を持つパワーコンディショナなどの機器の
組み合わせによって構成される13。
住宅向け太陽光発電システムの場合、屋根の上に設置された太陽電池モジュールにより
発電し、その電力をパワーコンディショナで交流電力(商用電力系統と同じ)に変換し、
連系運転を行う。システムから(住宅用)分電盤に送られた電力は、家庭内で消費される
が、家庭内の消費量が太陽光発電システムからの電力よりも多い場合は、商用電力系統か
らの電力で補われ(買電)
、逆の場合は、余剰電力が系統側に送り返される(売電)。こう
した運転方式を系統連携と呼び、系統側に電力を送ることを逆潮流という。
設置者は、システムが正確に稼働するために、正確にシステムを設置することが求めら
れる。そのために、屋根の構造や屋根材、設置用の金具といった設置部分や、電気工事に
ついて様々なルールを学ぶことが求められる。また、設置に関連する建築関連の法規・条
例(法律である建築基準法や地方自治法における法規や条例)や、電気事業法、系統連携
のガイドライン(経済産業省によって制定された技術指標「電力品質確保に係る系統連携
技術要件ガイドライン」
)についても理解した上で、設置を進めることが必要である。
国内で、太陽光発電システムの設置に関わる具体的な企業数は不明であるが、日本では
住宅向けを中心に普及が進んでいること、
「建築」と「電気」に関する知見が求められるこ
とから、ハウスメーカーや電気工事業者、管工事業者、木造建築工事業者などが設置に関
係しているものと思われる。
13
公共施設・産業(事業所)の場合、商用電力系統から必要に応じて低圧の動力電源や電灯電源に変圧す
る受変電設備が必要になる。また、システム所有者の希望によっては、蓄電池や外部モニタ、データ収集
装置が必要になることもある
77
図表4-1-1
住宅用太陽光発電システム(例)
資料)全国中小企業団体中央会、太陽光発電施工技術センター「太陽光発電施工技術講習会
図表4-1-2
講習資料」
事業所用太陽光発電システム(例)
資料)全国中小企業団体中央会、太陽光発電施工技術センター「太陽光発電施工技術講習会
78
講習資料」
2.太陽光発電システム設置に関するアンケート調査の概要
1)アンケート調査の概要
[アンケート調査名]
太陽光発電システム設置における、地場企業参入支援に関するアンケート調査
[調査目的]
目的①:九州企業の太陽光発電事業等に対する取り組み状況の把握
目的②:九州企業の太陽光発電システム設置事業への新規参入予定及び参入意欲の把握
目的③:九州企業の太陽光発電システム設置に関しての問題点の把握
目的④:九州企業の参入支援策の提示と利用可能性の把握
[調査対象]
(1) 九州のハウスメーカー及び建築家 242 社
出典:Web サイト「HOME’s 注文住宅」掲載企業、ASJ 建築家リスト
(2) 太陽電池販売施工メーカー
208 社
出展:経営事項審査 徹底活用法!ホームページ
(3) 九州の電気工事業者、管工事業者、木造建築工事業者 550 社
出展:東京経済株式会社
(
(1)
、
(2)については平成 20 年度「太陽光発電関連機械工業に関する調査等補助事業
~ソーラーアイランド九州の実現に向けて~」のデータを活用)
合計 1,000 社
[調査実績]
■発送日:2009 年 10 月 30 日(金)
■締切日:2009 年 11 月 30 日(月)
■発送数:1,000 件
■回答数:212 件
■回答率:約 21.2%(11 月 30 日締切分まで)
79
2)アンケート回答状況
アンケート回答企業の属性
回答企業の所在地は福岡県(38.7%)が最も多く、次いで鹿児島県(13.7%)、熊本県
(12.7%)
、宮崎県(10.8%)と続いている。
図表4-2-1
回答企業の所在地
無回答
1.9%
鹿児島
13.7%
福岡県
38.7%
宮崎県
10.8%
大分県
9.0%
熊本県
12.7%
長崎県
7.1%
佐賀県
6.1%
N=212
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
売上高では資本金1億~5億円未満の企業(41.5%)が最も多く、次いで1億円未満
(25.0%)
、5億~10 億円未満(15.1%)
、10 億~50 億円未満(12.7%)となっている。
図表4-2-2
50億~100億
円未満
2.8%
回答者の売上高
100億円以上
1.9%
10億~50億
円未満
12.7%
無回答
0.9%
1億円未満
25.0%
5億~10億円
未満
15.1%
1億~5億円
未満
41.5%
N=212
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
80
回答者の業種を見ると、建設業(電気工事業)が 25.9%と最も高い割合を占めており、
次いで建設業(管工事業)が 21.7%、建設業(木造建築工事業)が 19.3%、卸売・小売業
が 10.8%と続いている。
図表4-2-3
電気・ガス・
水道・熱供給
業
2.4%
回答者の業種
その他サー その他 無回答
ビス業
5.2%
1.9%
2.4%
運輸・通信業
0.0%
建設業(木造
建築工事業)
19.3%
不動産業
1.9%
卸売・小売業
10.8%
建設業(木造
建築工事・電
気工事・管工
事以外)
8.5%
建設業(管工
事業)
21.7%
建設業(電気
工事業)
25.9%
N=212
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
さらに、回答者の業種について、太陽光発電システム設置事業に既参入の企業と未参入
の企業との企業別にみると、既参入企業においては、建設業(電気工事業)が 24.8%と最
も高い割合を占めており、次いで建設業(木造建築工事業)が 21.2%、卸売・小売業が 15.0%、
建設業(管工事業)が 14.2%と続いている。また、未参入企業においては、建設業(管工
事業)が 30.5%と最も高い割合を占めており、次いで建設業(電気工事業)が 26.3%、建
設業(木造建築工事業)が 16.8%と続いている。なお、運輸・通信業と回答した企業はい
なかった。
81
図表4-2-4
0%
10%
20%
30%
回答者の業種
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.0
既参入 N=113
未参入 N=95
21.2
24.8
16.8
14.2
26.3
10.6
30.5
15.0
6.3
2.7 3.5
0.0
1.1
2.1
6.3
建設業(木造建築工事業)
建設業(電気工事業)
建設業(管工事業)
建設業(木造・電気・管工事業以外)
卸売・小売業
不動産業
運輸・通信業
電気・ガス・水道・熱供給業
その他サービス業
その他
無回答
1.1
2.7
3.5 1.8
7.4
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
従業員数では 20 人以下(70.3%)の企業が最も多く、次いで 21~100 人(24.5%)
、101
~300 人(2.8%)
、301 人以上(2.4%)となっており、従業員数が 100 人以下の企業が全
体の 94.8%を占めている。
図表4-2-5
101~300人
2.8%
回答者の従業員数
301人以上
2.4%
21~100人
24.5%
20人以下
70.3%
N=212
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
82
2.1
3.太陽光発電システム設置事業等に対する取り組み状況
約5割の企業が設置に関する事業を展開
太陽光発電システム設置(以下、システム設置)に関する事業を既に展開していると答
えた企業は 53.3%であり、展開していないと答えた企業は 44.8%である。
図表4-3-1
太陽光発電システム設置に関する事業展開の有無
無回答
1.9%
いいえ
44.8%
はい
53.3%
N=212
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
83
約5割の企業が販売から施工まで一貫した事業を展開
既にシステム設置事業を展開していると回答した企業に対して、どのような分野に参入
しているのか尋ねると、営業から販売・施工まで一貫と答えた企業が 50.4%と最も高く、
次いで営業から販売まで(施工は外注)は 34.5%、営業のみ(部材の調達から施工までを
外注)及びメンテナンス・アフターサービスは 12.4%となっている。
一方、施工のうち電気工事のみは 8.8%、施工(家屋工事+電気工事)のみは 3.5%、施
工のうち家屋工事のみは 2.7%となっており、施工分野のみを手がけている企業は比較的尐
ないことが分かる。
図表4-3-2
(%) 0
既に展開している事業分野
10
20
30
40
営業から販売・施工まで一貫
60
50.4
営業から販売まで(施工は外注)
34.5
営業のみ(部材の調達から施工までを外注)
12.4
メンテナンス・アフターサービス
12.4
施工のうち、電気工事のみ
施工(家屋工事+電気工事)のみ
50
8.8
3.5
施工のうち、家屋工事のみ
2.7
システム設計・構造設計
2.7
その他
2.7
無回答
2.7
N=113
複数回答
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
84
事業分野は住宅向けが中心
既にシステム設置事業を展開していると回答した企業に対して、展開している事業の対
象分野について尋ねると、既築住宅向けが 77.0%と最も高く、次いで新築住宅向けは 63.7%、
工場・事業所向けは 28.3%、その他公共施設(空港等)向けは 14.2%、小中学校向けは 13.3%
となっている。住宅向けに事業を展開している企業が多く、一方で工場・事業所や公共施
設等の大規模施設向けに事業を展開している企業は尐ないことが分かる。
工場・事業所向けのシステム設置については、システム導入企業と設置業者が様々な条
件をすり合わせながら相対契約で進めている。このようなことから、システム設置に関す
る新規参入分野としては、工場・事業所向けよりもまずは住宅向けが比較的容易であると
いえる。
図表4-3-3
(%) 0
10
既に展開している事業の対象分野
20
30
40
50
60
70
既築住宅向け
77.0
新築住宅向け
63.7
工場・事業所向け
28.3
その他公共施設(空港等)向け
14.2
小中学校向け
その他
無回答
80
13.3
N=113
複数回答
2.7
1.8
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
85
90
売上げが一番高い事業分野は住宅向け
既にシステム設置事業を展開していると回答した企業に対して、売上げが一番高い事業
分野について尋ねたところ、既築住宅向けが 62.8%と最も高く、次いで新築住宅向けは
40.7%、工場・事業所向けは 10.6%、小中学校向けは 4.4%、その他公共施設(空港等)向
けは 2.7%となっている。
図表4-3-4
(%) 0
10
売上げが一番高い事業分野
20
30
40
50
既築住宅向け
40.7
工場・事業所向け
10.6
小中学校向け
その他
無回答
70
62.8
新築住宅向け
その他公共施設(空港等)向け
60
4.4
2.7
N=113
複数回答
1.8
3.5
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
86
4.太陽光発電システム設置事業への新規参入について
未参入企業の約5割が新規参入予定・意欲あり
現在のところシステム設置事業に参入していない企業に対して、システム設置事業への
新規参入予定、もしくは新規参入意欲について尋ねたところ、「はい」と回答した企業が
48.5%と最も高く、次いで「いいえ」と答えた企業が 29.3%、「わからない」と答えた企業が
20.2%であった。 現在のところシステム設置事業に参入していない企業のうち、約5割も
の企業が新規参入予定、もしくは新規参入意欲を持っており、システム設置事業に対して
高い関心を持っている企業が多いことが分かる。
さらに、新規参入予定、もしくは新規参入意欲を持っている企業について、回答企業の
業種別にみると、建設業(電気工事業)が 33.3%と最も高かった。次いで、建設業(木造
建築工事業)及び建設業(管工事業)が 20.8%、建設業(木造・電気・管工事業以外)及
び販売・小売業が 8.3%と続いている。
図表4-3-5
設置事業への新規参入予定・意欲(左)と意欲ある企業の業種(右)
電気・ガス・水
道・熱供給業
2.1%
無回答
2.0%
不動産業2.1%
わからない
20.2%
その他サー
ビス業2.1%
その他2.1%
運輸・通信業
0.0%
卸売・小売業
8.3%
建設業(電気
工事業)
33.3%
建設業(木造・電
気・管工事業以
外)8.3%
はい
48.5%
無回答
0.0%
建設業(管工
事業)20.8%
いいえ
29.3%
建設業(木造建
築工事業)20.8%
N=48
N=99
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
87
意欲があっても遅れる具体的な取り組み
システム設置事業に新規参入予定、もしくは新規参入意欲がある企業に対して、参入に
向けての現在の具体的な取り組み状況について尋ねたところ、業界誌やインターネット等
で情報収集を行っている企業が 39.6%と一番高く、次いで現在のところ具体的には取り組
んでいないが 33.3%、パネルメーカー主催の勉強会に参加したが 31.3%、既に太陽光発電
事業に進出している他企業から情報提供を受けているが 25.0%である。
約3割強の企業が新規参入予定もしくは新規参入意欲はあるものの、現在のところ具体
的には何も取り組んでいない状況であり、適切な情報提供の機会のニーズが高いことが分
かる。
図表4-3-6
新規参入に向けての具体的な取り組み方法
(%) 0
5
10
15
20
25
30
35
業界誌やインターネット等で情報収集を行っている
40
45
39.6
現在のところ具体的には取り組んでいない
33.3
パネルメーカー主催の研修会に参加した
31.3
既に太陽光発電事業に進出している他企業から情報提供を受け
ている
太陽光発電協会(JPEA)主催の施工工事に関する無料講習会に
参加した
25.0
4.2
地方自治体主催の勉強会等に参加した
0.0
既に太陽光発電事業に進出している他企業へ社員を派遣し研修
等をさせている
0.0
その他
N=48
複数回答
2.1
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
■事例■システム設置分野への参入方法(昨年度調査から)
太陽光発電システムの設置業者は、中小企業であることが多い。昨年度に実施した「太陽光発
電関連機械工業に関する調査等補助事業」調査の結果では、これらの企業が太陽光発電システム
設置事業へ参入した経緯を辿ると、経営者の意識や行動力によって現在の成功があることがわか
った。ただし、参入と言っても一朝一夕に成功にたどりついた訳ではなく、施工業者としての実
績を積むための勉強や努力を行ってきた。その中で、参入に成功した経営者はキーマンとなりう
る人物と出会ったりしている。ある経営者は、システム設置の施工業者を目指して当時のシステ
ム設置の補助事業に応募し、同時に補助を受けた近所に住む大学教授(太陽電池を研究)と懇意
になり、太陽電池を基礎から学び、施工業者としての技術についても実践で学ぶことが出来たと
のことである。このように、太陽光発電産業への参入を考えている地元中小企業にとっては、何
らかの示唆を得たり、取引に繋がるようなキーマンとの出会いが鍵となるともいえる。
88
参入予定・意欲がない主な理由は会社の方針
システム設置事業に新規参入予定、もしくは新規参入意欲がない及びわからないと答え
た企業に対して、その理由について尋ねたところ、会社の方針(本業専念や既存事業の不
振等)として今後も参入予定なしと答えた企業が 54.9%と最も高く、次いで販売や施工ノ
ウハウ等の事業の展開に必要な事業段階の知識や情報不足は 13.7%、今後の業界動向を注
視している段階は 11.8%、商品知識や業界情報等の事業の展開に必要な初期段階の知識や
情報不足は 9.8%であった。
会社の方針(本業専念や既存事業の不振等)として今後も参入予定がないと答えた企業
が最も多かったが、一方で知識や情報不足、今後の業界動向を注視している段階であると
答えた企業も尐ないながらも存在しており、今後の状況次第でシステム設置事業への参入
を考える企業も出てくることがうかがえる。
図表4-3-7
システム設置事業への新規参入予定・意欲がない理由
(%)
0
10
20
会社の方針(本業専念や既存事業の不振等)として
今後も参入予定なし
販売や施工ノウハウ等の事業の展開に必要な
実施段階の知識や情報不足
40
50
60
54.9
13.7
今後の業界動向を注視している段階
11.8
商品知識や業界情報等の事業の展開に必要な
初期段階の知識や情報不足
資金不足
30
9.8
0.0
その他
5.9
無回答
5.9
N=51
複数回答
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
89
営業から販売・施工まで一貫した展開を希望する新規参入予定企業
今後新規に参入したいと考えている事業分野について尋ねたところ、営業から販売・施
工まで一貫と答えた企業が 52.1%と最も高かった。次いでメンテナンス・アフターサービ
スは 22.5%、施工のみ(家屋工事+電気工事)は 15.5%、営業から販売まで(施工は外注)
は 14.1%、施工のうち電気工事のみは 12.7%、システム設計・構造設計は 11.3%、施工の
うち家屋工事のみは 9.9%、営業のみ(部材の調達から施工までを外注)は 8.5%であった。
新規参入予定、もしくは新規参入意欲のある企業の約5割が、営業から販売・施工まで
を一貫して手がけたいと考えており、営業から販売・施工までを視野に入れた新規参入へ
の支援策が求められることが分かる。
図表4-3-8
システム設置事業に関して新規参入したい分野
(%) 0
10
20
30
40
営業から販売・施工まで一貫
60
52.1
メンテナンス・アフターサービス
22.5
施工のみ(家屋工事+電気工事)
15.5
営業から販売まで(施工は外注)
14.1
施工のうち、電気工事のみ
12.7
システム設計・構造設計
11.3
施工のうち、家屋工事のみ
9.9
営業のみ(部材の調達から施工までを外注)
その他
50
N=71
複数回答
8.5
2.8
無回答
12.7
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
90
5.太陽光発電システム設置に関しての現在の問題点
主な問題点は営業・販売や施工技術のノウハウ不足
システム設置に関しての自社の問題点は、営業や販売ノウハウの不足が 41.3%と最も高
かった。次いで、施工技術・ノウハウの不足は 34.8%、国や地方自治体との補助金等手続
き及び一般への自社の知名度不足と PR ノウハウの不足は 32.1%、太陽電池パネルの調達
は 29.3%、社員の教育・研修体制は 28.8%、システム設置後のメンテナンスやアフターサ
ービス体制は 27.2%と続いている。
さらに、システム設置事業に既参入の企業と未参入の企業との企業別に集計したところ、
既参入企業においては、一般への自社の知名度不足と PR ノウハウの不足が 34.5%と最も
高く、次いで、営業や販売ノウハウの不足は 31.9%、太陽電池パネルの調達は 31.0%、国
や地方自治体との補助金等手続きは 29.2%と続いている。一方で、未参入企業においては、
施工技術・ノウハウの不足が 63.2%と最も高く、次いで、営業や販売ノウハウの不足は
57.4%、社員の教育・研修体制は 45.6%と続いている。
既参入企業においても、未参入企業においても、営業・販売ノウハウの不足が問題だと
考える企業が多く存在し、両者に共通の問題点であることが分かる。一方で、既参入企業
においては、一般への自社の知名度不足と PR ノウハウの不足も問題だと考えており、消費
者に対していかに売るかということを考えていることが分かる。これに対して、未参入企
業においては、施工技術・ノウハウの不足や教育・アフターサービスの構築を問題だと考
えている企業の割合が最も高く、新規参入に当たっての最も大きな壁であることが分かる。
91
図表4-5-1
システム設置に関する自社の問題点
(%) 0
5
10
15
20
25
30
35
40
営業や販売ノウハウの不足
45
41.3
施工技術・ノウハウの不足
34.8
国や地方自治体との補助金等の手続き
32.1
一般への自社の知名度不足とPRノウハウの不足
32.1
太陽電池パネルの調達
29.3
社員の教育・研修体制
28.8
システム設置後のメンテナンスやアフターサービス体制
27.2
電力会社との系統連系等の手続き
17.9
部材(架台やパワーコンディショナー等)の調達
16.8
自社の施工人員の不足
15.2
外注可能な施工業者の不足
14.1
その他
N=184
複数回答
6.5
無回答
8.7
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
図表4-5-2
既・未参入企業別のシステム設置に関する自社の問題点
(%) 0.0
10.0
20.0
30.0
一般への自社の知名度不足とPRノウハウの不足
29.4
60.0
70.0
34.5
57.4
31.0
27.9
太陽電池パネルの調達
29.2
国や地方自治体との補助金等の手続き
社員の教育・研修体制
19.5
システム設置後のメンテナンスやアフターサービス体制
19.5
36.8
45.6
41.2
17.7
施工技術・ノウハウの不足
63.2
15.9
19.1
部材(架台やパワーコンディショナー等)の調達
15.0
13.2
外注可能な施工業者の不足
自社の施工人員の不足
12.4
電力会社との系統連系等の手続き
12.4
無回答
50.0
31.9
営業や販売ノウハウの不足
その他
40.0
1.5
9.7
7.1
8.8
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
92
20.6
27.9
複数回答
既参入 N=113
未参入 N=68
業界全体の問題点は補助金申請の頻雑さ
システム設置に関しての業界全体の問題点は、補助金申請の頻雑さが 42.4%と最も高か
った。次いで、太陽電池パネルの調達や取引における太陽電池パネルメーカーとの関係は
33.2%、販売・施工に関する悪質業者の増加は 28.8%、システム設置後のアフターサービ
スやメンテナンス体制の構築は 23.9%と続いている。
既にシステム設置事業に参入している企業に対するヒアリングにおいても、補助金申請
の頻雑さについては、国と地方自治体、地方自治体でも都道府県と市町村というように個
別に補助金の申請・交付が行われており、申請書類を提出先ごとに作成しなければならな
い点に関する改善を求める企業も見られた。
図表4-5-3
システム設置に関する業界全体の問題点
(%)
0
5
10
15
20
25
30
35
補助金申請の頻雑さ
33.2
販売・施工に関する悪質業者の増加
28.8
システム設置後のアフターサービスやメンテナンス体制の構築
23.9
施工業者による施工品質のバラツキ
20.1
営業時の説明不足や情報不足等によるお客様とのトラブル
19.0
系統連系の手続き等の電力会社との関係
19.0
企業同士の意見交換や情報共有等の尐なさ
16.3
外注する施工業者の不足
無回答
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
93
45
42.4
太陽電池パネルの調達や取引における太陽電池パネルメーカー
との関係
その他
40
11.4
N=184
複数回答
8.7
17.9
6.地元業者等の参入支援策について
1)様々な情報交換や勉強会・研修等のための「場」の設定
関心が高い「場」の設定
参入支援策として提示した「場」の設定についての関心の有無については、「はい」と答え
た企業が 71.2%と最も高く、次いで「いいえ」が 9.8%、「わからない」が 9.2%であった。
想定する「場」の実施機関については、基準等は業界・有識者で決め民間企業等が運営と
答えた企業と国・地方自治体が関係する公社・負団等が運営と答えた企業がともに 31.5%
と最も高く、次いで設置業者各社で費用を貟担し、業界団体・法人等を新設しての運営が
15.2%であった。
さらに、システム設置事業に既参入の企業と未参入の企業との企業別にみると、「はい」
と答えた企業は、既参入企業では 68.1%であり、未参入企業では 76.5%であった。また、
「いいえ」と答えた企業は、既参入企業では 12.4%であり、未参入企業では 4.4%であった。
様々な情報交換や勉強会・研修等のための「場」の設定においては、既参入企業よりも未
参入企業のニーズが高い。
図表4-6-1
わからない
9.2%
「場」の設定に関する関心の有無(左)と想定される実施機関(右)
無回答
9.8%
無回答
19.6%
その他
2.2%
いいえ
9.8%
国・地方自治
体が関係す
る公社・財団
等が運営
31.5%
はい
71.2%
N=184
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
94
設置業者各
社で費用を
負担し、業界
団体・法人等
を新設して運
営
15.2%
基準等は業
界・有識者で
決め、民間
企業等が運
営
31.5%
N=184
図表4-6-2
0%
既・未参入企業別の「場」の設定に関する関心の有無
10%
20%
既参入 N=113
30%
40%
50%
60%
68.1
未参入 N=68
70%
12.4
76.5
はい
80%
いいえ
わからない
90%
100%
9.7
9.7
4.4 8.8
10.3
無回答
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
「場」へのニーズはパネルメーカーからの機器の情報や施工技術
「場」で扱って欲しいテーマについて尋ねると、太陽電池パネル・電気機器等の各種設置
機器の最新情報が 58.7%と最も高かった。次いで、施工技術の研修や施工技術のレベルア
ップが 58.2%、業界の最新動向が 50.5%、消費者保護等の販売時に適用される法律の研修
が 34.2%と続いている。
また、情報交換したい相手としては、パネルメーカーが 57.1%と最も高く、次いでシス
テム・設備メーカーが 31.5%、電力会社が 27.7%、材料メーカーが 26.1%、製造装置メー
カーが 25.0%、行政が 23.4%と続いている。
さらに、システム設置事業に既参入の企業と未参入の企業との企業別に集計したところ、
既参入企業においては、太陽電池パネル・電気機器等の各種設置機器の最新情報が 56.6%
と最も高かった。次いで、業界の最新動向が 53.1%、施工技術の研修や施工技術のレベル
アップが 50.4%であった。未参入企業においては、施工技術の研修や施工技術のレベルア
ップが 70.6%と最も高かった。次いで、太陽電池パネル・電気機器等の各種設置機器の最
新情報が 63.2%、業界の最新動向が 48.5%と続いている。
情報交換したい相手としては、既参入企業においてはパネルメーカーが 56.6%と最も高
かった。次いで、電力会社が 28.3%、行政が 25.7%と続いている。未参入企業においても、
パネルメーカーが 58.8%と最も高かった。次いで、システム・設備メーカーが 45.6%、材
料メーカーが 39.7%と続いている。既参入企業及び未参入企業ともに、情報交換したい相
手としてパネルメーカーのニーズが最も高い。太陽電池パネルや電気機器等の設置機器に
関する情報や、
(未参入企業にとっては)施工技術等の情報を得たいと考えているものと思
われる。
95
図表4-6-3
「場」で扱って欲しいテーマ
0
(%)
10
20
30
40
50
60
太陽電池パネル・電気機器等の各種設置機器の最新情報
58.7
施工技術(施工の模範例・推奨例・失敗例等)の研修(施工技術
のレベルアップ)
58.2
業界の最新動向の発表
70
50.5
消費者保護等の販売時に適用される法律の研修
34.2
設置事業者と新規参入意欲のある地元工務店との情報や意見
交換
27.2
施工時に適用される労働安全規則等の法律の研修
21.2
その他
1.6
N=184
複数回答
無回答
16.8
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
図表4-6-4
(%) 0
「場」において情報交換したい相手
10
20
30
40
パネルメーカー
60
57.1
システム・設備メーカー
31.5
電力会社
27.7
材料メーカー
26.1
製造装置メーカー
25.0
行政
23.4
導入支援コンサル
17.4
金融機関
12.0
アプリケーションメーカー
10.9
ハウスメーカー
9.8
デベロッパー
4.9
マスメディア
4.9
その他
50
N=184
複数回答
1.1
無回答
19.0
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
96
図表4-6-5
既・未参入企業別の「場」で扱って欲しいテーマ
(%) 0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
56.6
太陽電池パネル・電気機器等の各種設置機器の最新情報
業界の最新動向の発表
48.5
施工技術(施工の模範例・推奨例・失敗例等)の研修
(施工技術のレベルアップ)
63.2
53.1
50.4
31.9
消費者保護等の販売時に適用される法律の研修
設置事業者と新規参入意欲のある地元工務店との情報や
意見交換
21.2
17.7
施工時に適用される労働安全規則等の法律の研修
38.2
36.8
26.5
2.7
0.0
その他
70.6
複数回答
無回答
13.2
既参入 N=113
未参入 N=68
18.6
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
図表4-6-6
既・未参入企業別の「場」において情報交換したい相手
(%) 0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
56.6
58.8
パネルメーカー
28.3
27.9
電力会社
行政
19.1
製造装置メーカー
17.7
材料メーカー
17.7
金融機関
17.7
2.9
9.7
導入支援コンサル
8.8
ハウスメーカー
8.0
アプリケーションメーカー
マスメディア
5.3
2.9
デベロッパー
4.4
5.9
無回答
25.7
23.0
システム・設備メーカー
その他
60.0
45.6
38.2
39.7
30.9
11.8
14.7
複数回答
1.8
0.0
16.2
20.4
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
97
既参入 N=113
未参入 N=68
70.0
80.0
2)太陽光発電システム施工時における施工アドバイザー派遣制度
約4割の企業が関心を持つ施工アドバイザー派遣制度
参入支援策として提示した施工アドバイザー派遣制度についての関心の有無については、
「はい」と答えた企業が 44.6%と最も高く、次いで「いいえ」が 16.3%、「わからない」が 13.0%
であった。
施工アドバイザー派遣制度において想定する実施機関については、基準等は業界・有識
者で決め民間企業等が運営と答えた企業が 23.4%、国・地方自治体が関係する公社・負団
等が運営と答えた企業が 24.5%と拮抗しており、次いで設置業者各社で費用を貟担し、業
界団体・法人等を新設して運営と答えた企業が 11.4%であった。
さらに、システム設置事業に既参入の企業と未参入の企業との企業別にみたところ、「は
い」と答えた企業は、既参入企業では 38.9%であり、未参入企業では 55.9%であった。ま
た、
「いいえ」と答えた企業は、既参入企業では 20.4%であり、未参入企業では 8.8%であ
った。施工アドバイザー派遣制度においては、既参入企業よりも未参入企業のニーズが高
い。
図表4-6-7
施工アドバイザー派遣制度への関心の有無(左)と想定される実施機関(右)
設置業者各
社で費用を
負担し、業界
団体・法人等
を新設して運
営
11.4%
無回答
26.1%
無回答
38.0%
はい
44.6%
わからない
13.0%
いいえ
16.3%
N=184
その他
2.7%
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
98
基準等は業
界・有識者で
決め、民間
企業等が運
営
23.4%
国・地方自治
体が関係す
る公社・財団
等が運営
24.5%
N=184
図表4-6-8
既・未参入企業別の施工アドバイザー派遣制度への関心の有無
0%
既参入 N=113
10%
20%
30%
40%
38.9
未参入 N=68
50%
20.4
55.9
はい
60%
いいえ
16.8
8.8
わからない
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
99
70%
無回答
7.4
80%
90%
23.9
27.9
100%
3)優良施工業者認定制度
約6割の企業が関心を持つ優良施工業者認定制度
参入支援策として提示した優良施工業者認定制度についての関心の有無については、「は
い」と答えた企業が 57.6%と最も高く、次いで「いいえ」が 6.5%、「わからない」が 10.9%で
あった。
優良施工業者認定制度において想定する実施機関については、国・地方自治体が関係す
る公社・負団等が運営と答えた企業が 32.1%であり、基準等は業界・有識者で決め民間企
業等が運営と答えた企業の 21.7%を若干上回っている。次いで設置業者各社で費用を貟担
し、業界団体・法人等を新設して運営と答えた企業が 8.7%であった。
さらに、システム設置事業に既参入の企業と未参入の企業との企業別に集計したところ、
「はい」と答えた企業は、既参入企業では 61.1%であり、未参入企業では 52.9%であった。
また、
「いいえ」と答えた企業は、既参入企業では 6.2%であり、未参入企業では 5.9%であ
った。優良施工業者認定制度においては、未参入企業よりも既参入企業のニーズが高い。
図表4-6-9
優良施工業者認定制度への関心の有無(左)と装丁する実施機関(右)
無回答
25.0%
基準等は業
界・有識者で
決め、民間
企業等が運
営
21.7%
無回答
35.3%
はい
57.6%
わからない
10.9%
いいえ
6.5%
国・地方自治
体が関係す
る公社・財団
等が運営
32.1%
その他
2.2%
N=184
設置業者各
社で費用を
負担し、業界
団体・法人等
を新設して運
営
8.7%
N=184
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
図表4-6-10
0%
既・未参入企業別の優良施工業者認定制度への関心の有無
10%
20%
既参入 N=113
30%
40%
50%
60%
61.1
未参入 N=68
6.2
52.9
はい
いいえ
5.9
わからない
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
100
11.8
無回答
70%
10.6
80%
90%
22.1
29.4
100%
4)施工に関するチェック機関の設立
約6割の企業が関心があるチェック機関の設立
参入支援策として提示した施工に関するチェック機関の設立についての関心の有無につ
いては、「はい」と答えた企業が 60.3%と最も高く、次いで「いいえ」が 4.9%、「わからない」
が 8.7%であった。
施工に関するチェック機関の設立において想定する実施機関については、国・地方自治
体が関係する公社・負団等が運営と答えた企業が 31.5%と基準等は業界・有識者で決め民
間企業等が運営と答えた企業の 23.9%を若干上回っている。次いで設置業者各社で費用を
貟担し、業界団体・法人等を新設して運営と答えた企業が 9.8%であった。
さらに、システム設置事業に既参入の企業と未参入の企業との企業別に集計したところ、
「はい」と答えた企業は、既参入企業では 62.8%であり、未参入企業では 55.9%であった。
また、
「いいえ」と答えた企業は、既参入企業では 5.3%であり、未参入企業では 4.4%であ
った。施工に関するチェック機関の設立においては、未参入企業よりも既参入企業のニー
ズが高い。
図表4-6-11
チェック機関への関心の有無(左)と想定する実施機関(右)
設置業者各
社で費用を
負担し、業界
団体・法人等
を新設して運
営
9.8%
無回答
26.1%
基準等は業
界・有識者で
決め、民間
企業等が運
営
23.9%
無回答
33.2%
はい
60.3%
わからない
8.7%
いいえ
4.9%
国・地方自治
体が関係す
る公社・財団
等が運営
31.5%
その他
1.6%
N=184
N=184
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
図表4-6-12
0%
10%
既・未参入企業別のチェック機関への関心の有無
20%
既参入 N=113
30%
40%
50%
62.8
未参入 N=68
いいえ
70%
5.3
55.9
はい
60%
4.4 7.4
わからない
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
101
無回答
9.7
80%
90%
22.1
32.4
100%
5)太陽光発電システムの設置を保証する保険制度
保険制度の活用を考える企業は約6割
参入支援策として提示した太陽光発電システムの設置を保証する保険制度について、自
社のビジネスに活用したいと思うか尋ねると、「はい」と答えた企業が 62.0%と最も高く、
次いで「いいえ」が 4.3%、「わからない」が 8.2%であった。
さらに、システム設置事業に既参入の企業と未参入の企業との企業別にみると、「はい」
と答えた企業は、既参入企業では 68.1%であり、未参入企業では 54.4%であった。また、
「いいえ」と答えた企業は、既参入企業では 2.7%であり、未参入企業では 5.9%であった。
太陽光発電システムの設置を保証する保険制度については、未参入企業よりも既参入企業
のニーズが高い。
図表4-6-13
自社ビジネスへの保険制度の活用の有無
無回答
25.5%
はい
62.0%
わからない
8.2%
いいえ
4.3%
N=184
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
図表4-6-14
0%
既・未参入企業別の自社ビジネスへの保険制度の活用の有無
10%
20%
30%
既参入 N=113
40%
50%
60%
68.1
未参入 N=68
いいえ
80%
2.7 8.0
54.4
はい
70%
5.9 7.4
わからない
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
102
無回答
90%
21.2
32.4
100%
保険制度が消費者の安心につながると考える企業は6割超
参入支援策として提示した太陽光発電システムの設置を保証する保険制度が、消費者が
システム設置を行う場合の安心につながると思うか尋ねると、「はい」と答えた企業が
64.1%と最も高かった。次いで、「わからない」が 8.2%、「いいえ」が 3.3%であり、施工を
保証するような保険制度の導入により、消費者が安心してシステム設置が出来るようにな
ると多くの企業が考えていることが分かる。
図表4-6-15
保険制度が消費者の安心につながるかどうか
無回答
24.5%
わからない
8.2%
はい
64.1%
いいえ
3.3%
N=184
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
103
保険制度への参加には優良設置業者認証がインセンティブとして機能
提示した保険制度に対してどのようなインセンティブがあれば参加するか尋ねると、優
良設置業者としての認証と答えた企業が 38.6%と最も高かった。次いで、施工時の安全対
策等への補助金の受給とした企業が 19.0%、パネル等部材の優先受給が 4.9%と続いている。
保険制度と優良施工業者認定制度を上手く組み合わせた参入支援策が必要であることが
分かる。
図表4-6-16
保険制度へ参加するためのインセンティブ
優良設置業
者としての認
証
38.6%
無回答
33.7%
その他
3.8%
施工時の安
全対策等へ
の補助金の
受給
19.0%
N=184
パネル等部
材の優先受
給
4.9%
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
104
支払い可能な年間保険料額は工事代金の1%未満
保険制度について、年間いくらまでなら保険料として支払うことが可能であるか尋ねる
と、工事代金の1%未満と回答した企業が 37.0%と最も高かった。次いで、工事代金の1%
~5%未満が 25.5%、工事代金の5%~8%未満が 3.3%であった。支払う保険料額が高く
なるにつれて、支払い可能だと答える企業の数は減尐し、工事代金の8%~10%及び工事
代金の 10%以上では支払い可能だと回答した企業はなかった。
図表4-6-17
支払い可能な年間の保険料額
無回答
29.3%
工事代金の
10%以上
0.0%
工事代金の
8%~10%
未満
0.0%
その他
4.9%
工事代金の
1%未満
37.0%
工事代金の
1%~5%未
満
25.5%
工事代金の
5%~8%未
満
3.3%
N=178
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
105
■事例:施工に係る保険制度■
現在、システム設置工事に関わる保険としては、システム設置工事やリフォーム工事、オール
電化工事等を含めて、家屋の工事全般に関わる保険として主に、①請負業者賠償責任保険、②生
産物賠償責任保険(PL 保険)、③受託者賠償責任保険がある。①請負業者賠償責任保険とは、
工事現場で作業中に誤って工具を落とし通行人が怪我をした場合や、工事現場の足場が倒れ、現
場近くの駐車車両をキズつけた場合等に対する補償である。②生産物賠償責任保険(PL 保険)
は、工事完成後、配線ミスにより火災が発生し入居者が怪我をした場合や、建設した家の壁が崩
れて隣家を損壊させた場合等に対する補償である。③受託者賠償責任保険とは、メーカーから支
給された交換部品を盗まれた場合や、トラックから貨物を荷下ろし中に落下させ破損させた場合
等に対する補償である。補償内容等に若干の違いがあるが、多くの損害保険会社でほぼ同様の保
険が販売されており、工事一般を施工する企業が加入し、施工中の事敀等に備えている。システ
ム設置を行う場合も、施工業者はこれらの保険に加入し、施工中の事敀に備えている。また、各
パネルメーカーも施工業者がこれらの保険に加入していなければ、そもそもパネルの販売を行わ
ない場合が主である。各パネルメーカーが行っている保証は、メーカーによって若干の違いはあ
るが、モジュールや周辺機器等システム機器の製造上の丌具合に対しての保証であり、施工が原
因の丌具合に関しては施工業者の対応となっている。つまり、施工工事が原因である雨漏り等の
丌具合に関しては、施工業者が上述の損害保険を掛けることで、施工の丌備による丌具合に備え
るようになっており、パネルメーカーとしての保証の対象外となっている。
企業の関心が高い保険制度
提示した五つの支援策のうち一番関心のある支援策について尋ねたところ、太陽光発電
システムの設置を保証する保険制度と回答した企業が 28.8%と最も高かった。次いで、様々
な情報交換や勉強会・研修等のための「場」の設定は 20.7%、優良施工業者認定制度は 17.4%、
太陽光発電システム施工時における施工アドバイザー派遣制度は 7.1%、施工に関するチェ
ック機関の設立は 3.3%と続いている。
さらに、システム設置事業に既参入の企業と未参入の企業との企業別に集計したところ、
既参入企業においては、太陽光発電システムの設置を保証する保険制度と回答した企業が
27.4%と最も高かった。次いで、優良施工業者認定制度が 23.0%、情報交換や勉強会・研
修等のための「場」の設定が 20.4%と続いている。未参入企業においては、太陽光発電シス
テムの設置を保証する保険制度が 30.9%と最も高かった。次いで、情報交換や勉強会・研
修等のための「場」の設定が 22.1%、太陽光発電システム施工時における施工アドバイザー
派遣制度が 13.2%と続いている。
既参入企業及び未参入企業ともに、保険制度への関心が一番高い。一方で、既参入企業
では優良施工業者認定制度に関心が高く、未参入企業では「場」の設定や施工アドバイザ
ー派遣制度に関心が高いことから、既参入企業は他社との差別化、未参入企業は施工技術
の習得に関心を向けていることがうかがえる。
106
図表4-6-18
一番関心のある支援策について
(%) 0
5
10
15
20
25
30
太陽光発電システムの設置を保証する保険制度
35
28.8
様々な情報交換や勉強会・研修等のための「場」の設定
20.7
優良施工業者認定制度
17.4
太陽光発電システム施工時における施工アドバイザー派遣制度
7.1
施行に関するチェック機関の設立
3.3
その他
N=184
複数回答
1.1
無回答
28.8
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
図表4-6-19
既・未参入企業別の一番関心のある支援策について
(%) 0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
27.4
太陽光発電システムの設置を保証する保険制度
優良施工業者認定制度
35.0
30.9
23.0
8.8
様々な情報交換や勉強会・研修等のための
「場」の設定
20.4
22.1
施行に関するチェック機関の設立
4.4
1.5
太陽光発電システム施工時における
施工アドバイザー派遣制度
その他
30.0
複数回答
3.5
0.0
13.2
既参入 N=113
未参入 N=68
1.8
26.5
無回答
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
107
30.9
業界団体への負担可能な年間の会費は5万円未満
提示した支援策の実施機関として業界団体の設立を想定した場合、会費として年間いく
らまでなら貟担しても良いか尋ねたところ、1万円~5万円未満と回答した企業が 29.9%
と最も高く、次いで1万円未満が 28.8%であり、合わせて 58.7%が5万円未満と回答して
いる。次いで、5万円~10 万円未満は 4.9%、10 万円~20 万円未満は 1.1%、20 万円~30
万円未満は 0.5%であった。また、30 万円以上の会費貟担が可能であると回答した企業は
いなかった。
図表4-6-20
(%)
実施機関として業界団体を想定した場合に負担可能な年間会費額
0
5
10
15
20
25
1万円~5万円未満
28.8
5万円~10万円未満
4.9
10万円~20万円未満
1.1
0.5
30万円~40万円未満
0.0
40万~50万円未満
0.0
50万円以上
0.0
その他
35
29.9
1万円未満
20万円~30万円未満
30
N=184
複数回答
3.3
無回答
31.5
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
108
7.アンケート調査から明らかになった支援の方向性
1)システム設置分野への地元企業参入の必要性
国や地方自治体による助成制度の充実や余剰電力買取制度の開始により、太陽光発電シ
ステムの設置件数は飛躍的に伸びており、今後ますます設置ニーズが高まることが予想さ
れる。本調査におけるアンケート調査や既存の設置業者に対するヒアリング調査の結果で
は、太陽光発電パネルを調達し既にシステム設置事業を展開している設置業者等において
は、実際の施工現場における設置技術者・従業員が不足していることが課題となっており、
現場での施工体制の構築が急務となっている。一方で、地元企業は太陽光発電パネルの調
達や販売・施工ノウハウ等の不足が課題となっており、システム設置分野への参入が進ん
でいない状況である。そこで、システム設置分野への地元企業の新規参入を促すことで、
このようなミスマッチ状況を改善し、今後のシステム設置ニーズに迅速に答えるとともに、
地域経済の活性化を図ることが出来るものと考えられる。太陽光発電システムのさらなる
普及拡大に向けて、システム設置分野における地元企業の新規参入や取引拡大を支援する
仕組みを作ることが求められている。
2)システム設置分野への地元企業参入の現状と課題
本調査におけるアンケート調査結果では、およそ 25%の企業が、
「現在システム設置事業
に参入していないが参入意欲あり」と回答している。しかし、このような参入意欲組のお
よそ3割が、
「具体的には何も取り組んでいない」と回答しており、まずはキーマンとなる
人物との出会いや様々な情報提供等によりシステム設置分野への参入に対する誘導が必要
であると考えられる。
本調査におけるアンケート調査結果では、システム設置分野における業界の問題点とし
て、パネルの調達や取引におけるパネルメーカーとの関係や補助金申請手続きの頻雑さと
回答する企業が多い。また、既参入企業及び未参入企業ともに、情報交換の相手としてパ
ネルメーカーのニーズが高い。既存の設置業者に対するヒアリング調査結果でも、パネル
調達の難しさや供給の遅れといった問題や、国と地方自治体への補助金申請時における作
成書類の重複による頻雑さ等を問題にする声が多かった。これらの問題に対応する体制が
整えば、新規参入や取引拡大が加速する可能性がある。このようなことから、システム設
置分野におけるキーマンとなるような人物との出会いを促す「場」の創設や、地元業者と
パネルメーカーや行政機関等とが円滑に情報交換を行えるような支援が必要であると考え
られる。
さらに、既参入企業及び未参入企業ともに、営業・販売ノウハウの不足が問題だと考え
る企業が多く存在しており、両者に共通の課題である。既存の設置業者に対するヒアリン
グ調査結果では、環境問題の知識が必要である等太陽光発電システムの営業は特殊な面が
多く、きちんとした営業ノウハウがなければシステムの販売は非常に難しいとの声が多い。
109
適切な営業・販売ノウハウの情報提供を行うためには、ノウハウを持つ既存の設置業者と
のマッチング等の支援を行う必要があると考えられる。
他に、未参入企業では、営業・販売や施工ノウハウの不足に次いで、社員の教育・研修
体制を問題点として挙げる企業が多い。このため、企業における社員教育・研修等への支
援も必要であると考えられる。
太陽光発電システムは、設置工事が適切に行われることによって初めて本来の性能が発
揮出来ることになる。このため、太陽光発電システムの普及拡大にあたっては、システム
設置を行う者の役割は非常に大きい。本調査のアンケート調査結果では、未参入企業にお
ける自社の問題点として、施工技術・ノウハウの不足を挙げる企業が最も多い。既存の設
置業者に対するヒアリング調査結果では、施工のキャパシティを広げるためにも施工を他
の企業に外注する必要性があるが、求める施工レベルに達している企業がなかなかいない
ため外注出来ない状況であるとのことであった。システム設置に当たっては、住宅の形状
や立地条件、工法、屋根や家屋に使われている資材の材質等、様々な条件を考慮しなけれ
ばならない。特に、建築年数が一定以上になった既築住宅の場合は、屋根や家屋の経年务
化が生じており、経験がものをいう判断も求められる。既存の設置業者に対するヒアリン
グ調査結果でも、施工の現場において様々な判断も要求されることから、毎日現場に出て
様々な現場で経験を積むことが施工技術のレベルアップにとって非常に重要であるとのこ
とであった。通常、システム設置業者になるためには、各パネルメーカーが開催している
施工研修を受講し、
メーカー指定の工事業者 ID を取得する必要がある。
この施工研修では、
システム設置に必要な一連の工事についての研修が受講出来るが、研修期間は3日から1
週間とごく短期間であり、上述のような施工レベルに達するまでにはかなりの施工経験が
必要となる。このようなことから、システム設置に関する施工技術のレベルアップを図る
ための支援、特に実際の施工現場における技術指導等の支援が必要であると考えられる。
■事例■太陽光発電施工技術センター(J-cot)による施工研修
一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は、国の政策に協力する形で、その傘下に「太陽光発
電施工技術センター(J-cot)」を設置し、全国を巡回する形で無料の施工技術講習会を開催し
ている。この無料の施工技術講習会は、経済産業省が行う中小・小規模企業の「人材対策事業」
の補助事業者である全国中小企業団体中央会からの委託を受け、太陽光発電システムの設置工事
を行おうとする者を対象に、太陽光発電システムに関する基礎知識、設置工事に関する基礎知識
等についての講習を行う、「太陽光発電システム設置工事に関する研修事業」である。この講習会
の参加費用は無料であり、全国を回る形で毎月4~5カ所で開催されており、受講期間は1日間
である。なお、この講習会は、施工に係る基礎的事項についての研修を行うものであり、講習内
容はセンターが推奨する施工に関する技術ガイドライン等である。ただし、実際にシステム設置
を行う場合には、各パネルメーカーが実施する所定の施工研修を受けなければならない。
110
■事例■パネルメーカーによる施工研修
システム設置工事を行う場合、各パネルメーカーは認定制度を採用しており、パネルメーカー
が発行する工事業者 ID を取得しなければ、原則そのメーカーのパネルを販売も施工もできない
形となっている。また、通常太陽光発電システムには各パネルメーカーの 10 年保障が付くが、
その申請を企業が行う際にも、工事業者 ID 番号が必要になる。この工事業者 ID を取得するため
には、各パネルメーカーが行っている研修を受けなければならない。各パネルメーカーによって
若干内容や研修期間等に差はあるものの、通常の研修期間は2泊3日から1週間程度である。
3)新規参入を目指すべきターゲット分野
本調査のアンケート調査結果では、既にシステム設置事業を展開していると回答した企
業における参入分野は、既築住宅及び新築住宅向けが圧倒的に多い。一方で、工場・事業
所や公共施設等の大規模施設向けに事業を展開している企業は尐ない。売上げが一番高い
事業分野においても、既築住宅及び新築住宅向けが圧倒的に多く、工場・事業所や公共施
設等の大規模施設向けは尐ない。また、工場・事業所や公共施設等の大規模施設へのシス
テム設置については、システム導入業者と設置業者とが様々な条件をすり合わせながら相
対契約により事業を進めており、新規企業の参入にとって障壁は高いと言える。このため、
地元企業が新規にシステム設置事業に参入する場合は、既築住宅や新築住宅といった戸建
て住宅向けが参入障壁は比較的低いと考えられる。また、上述したように太陽光発電シス
テムの営業は難しく、営業ノウハウが十分に備わっていなければシステム販売を行うこと
は非常に厳しい。既存の設置業者へのヒアリング調査結果においても、地元企業がシステ
ム設置事業に新規参入する場合は、営業・販売段階ではなく、施工段階からが良いとのこ
とであった。このようなことから、システム設置分野に新規参入を目指す地元企業におい
て、まず目指すべきターゲット分野は、戸建て住宅向けの施工に関する事業分野であると
考えられる。
4)システム設置分野における品質保証の必要性
システム設置件数が飛躍的に伸びている状況の中、新聞報道等によれば、屋根に穴が空
いて雤漏りが発生する等の施工ミスが原因とみられるトラブルが相次いでいる。システム
設置が急増している一方で、設置業者の育成が間に合わず、ずさんな工事も発生している
ためである。また、リフォームのついでにシステムを設置する場合も多く、専門業者だけ
ではなく、電気店や台所・トイレの設置業者、空調業者等様々な異業種からの参入が急増
している。システムの設置工事に絡んだトラブルが急増している背景には、こうした点も
影響していると見られている。今後、さらにシステム設置件数の伸びが期待される中で、
このような施工に関する被害が広がれば、太陽光発電システム自体の評判が悪くなり、消
費者(エンドユーザー)がシステム設置に二の足を踏むことになりかねず、普及の足を引
っ張りかねない。その結果、地元企業の新規参入が進まないという状況が生まれることも
111
予想される。本調査のアンケート調査結果でも、システム設置に関しての業界全体の問題
点として、補助金申請の頻雑さやパネルメーカーとの関係に次いで、販売・施工に関する
悪質業者の増加と回答した企業が多かった。また、既存の設置業者に対するヒアリング調
査結果においても、優良な設置業者とそうではない設置業者との差別化の必要性や、質の
悪い業者が淘汰される仕組みの構築等が必要だとの声が多く聞かれた。このようなことか
ら、太陽光発電システムのさらなる普及拡大に向けて、施工の品質保証等を担保する仕組
みを構築することで、消費者が安心してシステム設置が行えるような環境づくりも求めら
れている。
5)アンケート調査において提示した5つの支援策について
本調査のアンケート調査においては、①「場」の設定、②アドバイザー派遣制度、③優
良施工業者認定制度、④チェック機関の設立、⑤保険制度の5つの参入支援策を提示し、
それぞれについて関心の有無等を尋ねている。アンケート調査結果では、提示した個々の
参入支援策に対する関心はそれぞれ高いが、優先順位をつけると既参入企業及び未参入企
業ともに、⑤保険制度に対する関心が一番強い。また、①「場」の設定と②アドバイザー
派遣制度は、既参入企業よりも未参入企業においてより関心が高く、③優良施工業者認定
制度と⑤保険制度では、未参入企業よりも既参入企業においてより関心が高い。既参入企
業においては、他社との差別化、未参入企業は施工技術の習得や様々な情報等の入手に関
心が向いていることが分かる。
また、保険制度を利用するにあたってのインセンティブとして、優良設置業者としての
認証と回答した企業が最も多かった。このため、③優良施工業者認定制度と⑤保険制度と
を組み合わせた支援策が、地元企業の利用ニーズの高い支援策になると考えられる。また、
アンケート回答企業の6割以上が、⑤保険制度があれば消費者の安心につながると回答し
ており、消費者にとって、システム設置における品質保証に有効な支援策として、保険制
度は重要であると考えられる。
■事例■施工に係る保険の保険料算定(損害保険会社へのヒアリングから)
施工に係る保険については、損害保険会社と施工業者とが個別に契約を結んでいる。年間保険
料の算定は、原則的に年間売上高(完成工事高実績)や工事請負金額に対してある一定の割合を
乗じて決定されている。しかし、損害保険会社の独自調査により、例えば、トラブル発生時の対
応マニュアルの整備状況や研修制度の有無等により、同規模の施工業者間でも保険料に差を設け
ている。
さらに、保険制度においては、本調査のヒアリング調査結果から次のような課題が明ら
かになった。施工ミスと思われるトラブルが生じた時に、設置業者が倒産等で既にいなく
なっている場合、設置業者が個別に損害保険会社と施工に関する保険を契約している現行
112
の保険制度では、消費者は泣き寝入りするしかないという課題である。新聞報道によると、
欠陥住宅の相談を受ける(負)住宅リフォーム・紛争処理支援センターには、今年度「太
陽光パネルを取り付けたら、子供部屋で雤漏りがするようになった。販売代理店は倒産し、
パネルメーカーからは建物には責任は貟えないと言われた」等の相談がある。今後、さら
にシステム設置が伸びていく中で、このようなトラブルの増加が予想されることから、新
たな保険制度が必要であると考えられる。
なお、本調査のアンケート調査結果では、④チェック機関の設立は他の支援策と比較し
てニーズが極めて尐ない。また、既存の設置業者に対するヒアリング調査結果でも、例え
ば工事の仕上がり具合をチェックするとなると消費者の感性の問題となってしまう等、施
工の何をチェックするのかが大きな問題となるのではないかとのことであった。さらに、
施工のチェックを実施するためには、各パネルメーカーで異なる施工方法を統一すること
や、施工技術のガイドラインの策定等が要求されることになる。このようなことから、九
州地域における九州モデルとしての実現可能性を考えた場合、他の支援策と比較してその
可能性が低いと考えられるため、④チェック機関の設立について本調査では検討しないも
のとした。
113
114
第5章 太陽光発電システム大量導入に向けた官民の取り組み
現在、太陽光発電システムの普及のみに目が向けられがちであるが、大量導入にあたっ
ては、安全、定量を基本とする電力の性質上、解決すべき課題も多い。今後、再生可能エ
ネルギー導入にあたっては、安定的な電力供給を行うために新たなインフラ整備にかかる
コスト貟担の仕組みを早い段階で検討し、太陽光発電システムを含めた再生可能エネルギ
ー導入のための社会システムの整備が必要となる。
ここでは、大量導入にあたっての代表的な課題と、現在の政府の動きをまとめた上で、
全国に先駆けて、太陽光発電電力の逆潮流防止策を講じた、民間事業体による取り組みを
紹介する。
1.太陽光発電システム大量導入の課題
1)系統保護問題
配電系統において系統連系を行う際、事故や災害時に備え、作業員などの感電や再閉路
での非同期連系を防ぐために、太陽光発電側も速やかに解列14する必要がある。電力系統の
停止(停電時)に太陽光発電設備が停止しない状態を「単独運転」と呼び、単独運転状態
を検出し速やかに停止する機能を「単独運転検出機能」と呼ぶ。現在、上位系統が切り離
されてから1秒以内に単独運転を検出し、速やかに太陽光発電設備を解列することが決め
られている。これまでの技術開発によりこの要件を満たす機能を持ったパワーコンディシ
ョナが実用化されている。
しかし、住宅団地や集合団地などで複数台の太陽光発電が集中し、連系されはじめてい
る。この場合、単独運転の問題は、個別住宅や柱上変圧器単位だけではなく、配電系統の
フィーダ15やバンク16にまで範囲を広げて検討する必要がある。太陽光発電設備の集中連系
になると、単純な単独運転問題だけでなく、高低圧混触・地絡保護の問題まで発展する。
集中連系の際は、電力会社、施工業者などとの個別連系協議が必要となり、大量導入や
集合住宅などに導入する際の障壁になることも考えられる。
2)電圧問題
発電設備等を低圧配電系統に連系する場合においては、低圧需要家の電圧を標準電圧
100V に対して 101±6V 内に、200V に対して 202±20V 以内に供給電圧を納めるよう電気
事業法にて規定されている。電力の流れが一方向の場合、送電・配電線のインピーダンス
の想定により電力会社(系統側)による電圧制御が比較的容易である。しかし、太陽光発
電の設置で、電圧上昇による逆潮流が発生するようになった。太陽光発電設備側で電力の
14
15
16
電力系統から発電設備等を切り離すこと
電力を伝送するために用いられる給電線のこと
1台の柱上変圧器(トランス)から電力を供給している電気設備をまとめた単位
115
出力が安定せず変動が大きい場合、系統側だけの制御では全地点の電圧を適切に保つこと
が難しくなっている。
現在、電圧が規定の範囲を超える場合は、太陽光発電システム設置者の電圧逸脱対策と
して、無効電力・有効電力の制御を行っている。しかし、低圧配電系統では通常、無効電
力による電圧制御感度が低いため、有効電力を制御する。そのため、電圧上昇時には、太
陽光発電システム設置者側で出力抑制が発生する。
需要家側の対策として、電圧上昇による出力抑制分を蓄電池に溜める対策技術が検討さ
れているが、まだ設置コストが高く、出力抑制専用に導入するメリットは尐ないとの研究
結果もある。
系統側の対策として、配電系統の電圧を自動制御する機器が開発されている。また、101
±6V の電圧規定を変更することも考えられる。また、太陽光発電の大量(集中)導入に向
け、太陽光発電(需要家側)と電力会社(系統側)の協調が最も重要となる。
3)需給バランス問題
一つ一つの太陽光発電システムや集合住宅レベルよりも、広範囲での太陽光発電システ
ムの大量導入が行われると、系統保護や電圧問題といった課題に加えて、地域における電
力の需給バランスが問題となる。需給バランスは、太陽光発電の周波数変動と余剰電力問
題に分けられる。特に問題となるのが、余剰電力の問題で、例えば、年始年末や GW など
電力需要の尐ない時期に、太陽光発電が必要以上に発電してしまうケースである。太陽光
発電量が大きいため、短周期で需給バランスが崩れ、系統全体が不安定になってしまう恐
れがある。
この問題は、日本に太陽光発電システムが 10~30GW 程度導入された際に顕在化すると
予想されており、太陽光発電の短周期変動の実態把握、周波数変動との関係性の把握、分
析・評価を行い対策技術の検討を行う必要がある。
116
2.大量導入への対策に関する政府の動き
~次世代エネルギー・社会システム協議会~
太陽光発電システム大量導入時の課題を解消するために、経済産業省では、
「次世代エネ
ルギー・社会システム協議会」を設置し、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー
の大規模導入を見据えた、今後の政策について中間報告をまとめている(「次世代エネルギ
ー・社会システム協議会
中間取りまとめ(案)~次世代エネルギー・社会システムの構
築に向けて~」
、2010 年1月17)。また、総務省や国土交通省など関係5省の連絡会議を立
ち上げ、電力をはじめ通信、都市開発など各方面から議論を進め、2010 年 4 月までには、
今後 20 年間程度の長期のロードマップを策定し、政策の方向を決めることになっている。
同報告書では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを「二酸化炭素の排出削減を目
指す上で重要なエネルギー源」と位置づけている。しかし、再生可能エネルギーは制御が
困難で、かつ出力が不安定であるために、地域的な電圧変動問題や周波数が不安定になる
といったリスクがあることを指摘している。一方で、電気自動車など次世代自動車の普及
や、家庭内における電化の進展により、今後多くの電力需要が見込まれているとしている。
こうした電力需給両面での変化に対応し、電力利用の効率化を実現するために、受給バラ
ンスを取りつつ電力の安定供給を実現するための電力送配電網を「スマートグリッド」と
しており、その中で「日本型スマートグリッド18」を定義している。そして、「日本型スマ
ートグリッド」によるわが国のエネルギーシステムの強靱化を目指すためには、大規模電
源を中心とする従来型電力系統と、エリア単位のエネルギーマネジメントシステムの双方
を、電力の安定供給を保持しつつ、低炭素化を最大限に進め、かつ社会的総コストを最小
化する全体システムとして一体的、統合的にとらえる視点が重要としている。次世代エネ
ルギー・社会システムの構成要素としては、スマートハウスや蓄電池、電気自動車などの
次世代自動車等が位置づけられており、これらの構成単位がネットワークで繋がると、よ
り効率的なエネルギーの利用ができる可能性があることも指摘されている。
この次世代エネルギー・社会システムの構築に向けて、具体的に、短期的には「日本型
スマートグリッド」の構築を急ぎ、中長期的には、地域のエネルギーマネジメントの技術
的可能性と、社会的なコストが最小化することができるモデルの検証を行うことが提案さ
れている。地域のエネルギーマネジメントとしては、供給サイドからの電力量の不安定さ
をカバーするための送配電ネットワークの構築や、余剰電力を家庭やオフィスで融通し合
ったり、蓄電池を利用した地域内で、電力消費の効率化を図る、エネルギー地産地消モデ
ルが一つの柱として位置づけている。
17
この報告書は、あくまで「2010 年1月時点における中間報告」としているため、ロードマップの策定状
況や各省連携の状況を踏まえて、その都度の時点において改訂を行う予定としている
18 同報告書では、
『再生可能エネルギーが大量導入されても現在の電力システムの安定的な供給、品質の確
保を維持できるような強靱な電力ネットワークと、需要サイドのエネルギーマネジメントを通じた「地産
地消」モデルの相互補完』と定義
117
同報告書では、次世代エネルギー・社会システム構築に向けて、様々な実証事業が必要
としている。例えば、需要家のその時々の行動や、次世代自動車の走行パターン、天候の
状況やエネルギー消費にあわせた蓄電池の充放電等に関する様々なデータを収集・分析す
ることなどである。
しかし、大がかりなインフラ整備のコスト貟担の仕組みなどは、九州という1地域のみ
で解決できる問題ではなく、国全体としての検討が必要になる。
「次世代エネルギー・社会
システム協議会」等、国の長期的なロードマップ、政策に沿った地域としての対応が求め
られる。
118
3.個別住宅・小規模地区レベルにおける電力の地産地消システムの構築
これまで触れたように、太陽光発電の大量導入に際しては、系統保護や電圧問題、需給
バランスなど、解決すべき課題が残されている。太陽光発電は、ここ 1~2 年で急速に普及
が進んでいる分野であるため、前述の課題解決に向けた点としての動きはあるものの、面
的な動きには至っていない。また、通常の施工業者は、住宅設備の一部として太陽光発電
を捉えており、逆潮流防止策や地域での電力地産地消システムを考慮しないことがほとん
どである。
こうした状況下、芝浦特機(北九州市)では、全国に先駆けて、マンションなどの集合
住宅、宅地開発による住宅団地など太陽光発電集中地帯において、独自の逆潮流防止対策
を講じている。
■事例■芝浦特機(北九州市)
太陽光発電付集合住宅
芝浦特機株式会社は、独自の実証実験を基に、集合住宅(マンション)において太陽光発電で
発電した電気を各住居に同分配する「個別連系」を実現するなど、全国レベルでも先進的な取り
組みを行っている。これまで、各住居に対して太陽光発電による電力を分配するには、逆潮流の
大量発生、前述の単独運転防止、各住居への均等配分などの問題が指摘されており、集合住宅で
の太陽光発電利用は、小規模のシステムを使い共用部分のみに電気を供給する事例しかなかった。
同社のマンションの屋上に設置された太陽光パネルは、住居ごとに割り当てられ、その割り当
てパネルでの発電量を各家庭で利用することになっている。しかし、マンション全体での大量の
逆潮流が発生するのを防ぐために、マンション内で、各家庭での太陽光発電由来の余剰電力や丌
足電力を売買する仕組みをつくり、電力の平準化を図っている。
このような技術は、全国でも珍しく注目を浴びている。さらに、同社ではニューガイアシリー
ズでのノウハウを活かし、戸建ての住宅団地(福岡県宗像市)で、太陽光発電システムと電気自
動車を利用した災害対策型省エネ住宅の開発を行っている。
芝浦特機が手掛ける太陽光発電付き集合住宅例
写真)芝浦特機提供
119
■事例■群馬県太田市:集中連係型太陽光発電システム実証研究
群馬県の太田市では、NEDO のプロジェクトを利用した社会実験が行われた。具体的には、
①蓄電池の活用等、電圧上昇による出力抑制に関する太陽光発電システム側の対策技術・装置、
および集中連系時に高速で確実に動作するとともに丌動作・丌要動作の尐ない新たな単独運転検
出装置等の開発、②実証試験地区(太田市)および模擬配電系統(財団法人 電力中央研究所赤
城試験センター)等にて太陽光発電システム、計測システム等を構築し、出力抑制回避技術およ
び新型単独運転検出装置等の有効性の実証、③上記研究項目の実証データを活用し、汎用性の高
い太陽光発電システムの集中連系に関する応用シミュレーション手法の開発などを行っている。
集中連係型太陽光発電システム実証研究
群馬県太田市 PalTown 城西の杜
資料)NEDO
(群馬県太田市)
事業期間:H14~19 年
H19 年度予算
6.4 億円
NEDO のプロジェクトを関電工が受託し実施
HP より
図表5-3-1
太陽光発電設置における逆潮流防止策例(住宅レベル)
資料)
(負)電力中央研究所
120
第6章 九州における太陽光発電システムの導入支援促進策
太陽光発電システムの普及については、低炭素社会の構築という世界的課題の解消を目
指すための一手段として、国内外で導入が進められている。導入支援策は、2009 年 11 月
からスタートした「エネルギー供給構造高度化法(日本版 FIT)」に象徴されるように、現
在は主に政策的支援により進められている。普及に当たっては、PV2030+のロードマップ
に従い、発電コストの低減(つまりパネル価格および設置費用のコスト削減)を進めつつ、
政策的支援(余剰電力買取制度の継続、国や地方自治体による補助制度や税制優遇)の継
続が求められる19。こうした中、薄膜系太陽電池メーカーが集積し、太陽光発電システムの
普及導入がトップレベルにある九州は、普及に関する全国のフロントランナーとなってい
る。九州において独自の普及促進策を展開することは、全国の他地域における普及拡大の
参考となる可能性がある。
九州の事業所においては、多くの企業が太陽光発電システムの導入に関心を持っている
が、実際に導入・拡大意向を持つ企業は限られていることが確認できた。政策的支援も住
宅向けは豊富だが、事業所向けはメニューが尐ないため、事業所をターゲットとした普及
促進策が必要であることが明らかとなった。
また、主に住宅向けのシステム普及に対する政策的支援の充実と共に、普及は着実に進
んでいる。しかし、既存の設置業者は人手不足が目立ち施工態勢の構築が急務であること、
設置に参入したいと考える地元企業は多いが何をやれば良いか分からない企業が多いとい
う「ミスマッチ状況」が発生しているため、地元企業の参入を促しながらミスマッチ状況
を改善する仕組みの必要性も確認できた。また、システム普及に当たっては、薄い/軽い
といった特性を持つ九州産の薄膜太陽電池の活用を促進し、普及加速と同時に、太陽光パ
ネル産業の拡大を進めることも求められる。
今後、九州を太陽光発電システム普及のフロントランナーとするためには、①「事業所
をターゲットとした普及促進策」と、②「システム設置に対する地元企業の参入促進」、③
「その他各種促進策」が不可欠となる。以下、事業所向けは2点、地元企業参入について
は4点、その他で4点、普及促進策を提案する。
19
政策的支援が続いている間に、パネルメーカー等太陽光発電システムに関係する産業が、支援が尐なく
なる/なくなる時に備え、コストダウン等国際競争力の向上を進める必要性は、常に念頭に置く必要がある
121
図表6-1 太陽光発電システム導入支援促進策一覧
事業所
向け
普及促進
①グリーン電力証書の活用
②排出量取引との連動(①発展系)
前提:余剰電力買取制度継続、行政による補助や税制優遇、パネル価格並びにパネ
ル設置費用のコスト削減努力
※全量買取制度導入時には、グリーン電力証書制度自体が成立しなくなる恐れも
①情報交換、勉強会、研修等「場」の設定(新規参入支援)
システム
設置への
地元企業
参入促進
②太陽光発電システムアドバイザー派遣制度導入(新規参入支援)
③優良施工業者認定制度導入 (品質保証)
④PVシステム施工保険制度 (品質保証)
①九州薄膜メーカーと設置事業者のマッチング支援
②太陽光発電システム導入企業向けの融資メニューの充実
その他
③小規模地区レベルでのシステム設置に対する補助制度
④規制緩和による導入支援
資料)九経調作成
122
1.事業所対象の普及促進
1)普及促進支援策
事業所向けの太陽光発電システム普及支援策には余剰電力買取制度、国の補助制度と税
制優遇、実証実験や研究に対する支援、地方自治体の助成・補助制度、グリーン電力証書、
オンサイト発電事業などの普及支援策が存在する。
以上に挙げた様々な普及支援策が存在する中で、本節においてはグリーン電力証書を活
用した事業所向け太陽光発電システムの普及支援策を提案する。支援スキームにグリーン
電力証書を用いることで、CO2 削減活動を外部に依存しない「地域内での CO2 削減」、再生
可能エネルギーの地産地消が可能となる「地域内での再生可能エネルギーの活用」、環境付
加価値の需要と供給を創出する事による「地域内での資金循環」などが可能となる。
ただし、太陽光発電システム投資コストの早期回収を可能にする余剰電力買取制度の継
続、太陽光発電システム初期投資価額を支援する行政機関による補助制度や税制優遇、太
陽光発電システム自体のコスト削減を実現するための太陽電池パネル価格低下およびパネ
ル設置費用のコスト削減努力などはいずれも普及支援策として最も重要なものである。グ
リーン電力証書による事業所向けの太陽光発電システム普及支援スキームはこれらの諸制
度を補完するものであり、再生可能エネルギーの普及および CO2 削減の一手段として提案
するものである。
なお、事業所向け太陽光発電システム普及のためのグリーン電力証書活用スキームはあ
くまでも、現在の制度(日本版 FIT 等)が継続した場合を想定している。現在、再生可能
エネルギーの全量買取制度が議論されているが、全種全量が買取されるのか、住宅向けに
関しては日本版 FIT が継続されるのか等の詳細な枠組みが現在は決定していない。全量買
取制度が実施された場合にはグリーン電力証書の前提となる環境付加価値そのものが買取
価格に含まれてしまうため、太陽光発電によるグリーン電力証書の制度自体が成立しなく
なる恐れもある。本節においては全量買取制度導入時における課題を後述するにとどめる
ものとする。
123
2)グリーン電力証書の活用による普及促進
(1)グリーン電力証書の問題点
グリーン電力証書を利用した太陽光発電システム普及支援策における課題としては、グ
リーン電力証書発行申請時の事務手続きの貟担、太陽光発電由来によるグリーン電力証書
の価格の高さ、グリーン電力証書を活用するユーザー(需要側)へのインセンティブの不
足、グリーン電力証書における環境付加価値を提供する太陽光発電設置者(供給側)への
インセンティブの不足などがヒアリング等から明らかになっている。そこで、グリーン電
力証書および事業所向け太陽光発電システム普及支援策における課題と考えられる解決策
を表したものが図表6-1-1である。
図表6-1-1
グリーン電力証書および事業所向け太陽光発電システム普及支援策における
問題点と考えられる解決策
課題
事業所向け支援メニューの不足
グリーン電力証書発行申請時の事務手続きの負担
太陽光発電由来のグリーン電力証書の価格の高さ
グリーン電力証書ユーザーへのインセンティブの不足
太陽光発電システム導入者(主に事業所)へのインセンティブ
の不足
グリーン電力証書のユーザー発掘
グリーン電力証書の知名度の不足
考えられる解決策
事業所向け補助金の設定による補助の充実
補助金の申請とグリーン電力証書申請の事務手続きを一
体化することで、事務手続きの簡素化(太陽光発電システ
ム設置者・施工業者)
事業所の自家消費分の環境付加価値をグリーン電力証書
化する事で、1件あたりの電力量の大口化が可能となり、
事務手続き等の簡素化によるコスト削減
企業の温室効果ガス削減実績への参入
購入費用の損金算入
行政機関に対する入札の際の審査点上乗せ等の優遇措置
ユーザー企業の環境財献 PR
法人税・不動産取得税・固定資産税等の減免措置
設置費用に対する低利融資
行政機関による協力
グリーン電力証書を手軽に取引できる「場」の設定
身近なイベントや行政機関の施設によるグリーン電力証
書の活用促進
グリーン電力証書の制度の法的な裏付け
資料)ヒアリング等をもとに九経調作成
(2)グリーン電力証書を活用した事業所向け普及促進スキームの提案
上記の課題および解決策をもとにグリーン電力証書を活用した事業所向け太陽光発電シ
ステムの普及促進支援スキームを提示する。なお、本スキーム案を図示したものが図表6
-1-2である。以下、スキーム図の番号順にスキームの内容及び効果を説明する。
①「補助金交付」
住宅向け太陽光発電システム支援策と比較して手薄となっている事業所を対象とした太
陽光発電システム設置に関する補助金を充実させ、太陽光発電システムの普及を進める。
②「環境付加価値の譲渡」
自治体から補助金の交付を受けた太陽光発電システムの設置事業所は補助金の対価とし
124
て事業所自家消費分の環境付加価値を提供する(余剰電力については電力会社へ売電)。
環境付加価値の譲渡を補助金交付の条件とする事で、太陽光発電システムの設置事業所
にとっては補助金の申請手続きと環境付加価値の譲渡手続きとが一体で行えるようになり、
事務手続きが簡素化される。また、太陽光発電システム施工業者にとっては太陽光発電シ
ステム設置時に顧客へグリーン電力証書制度の説明を行う貟担などが軽減される。
グリーン電力証書制度普及に関するスキームを事業所向けに限定する事で1件あたりの
認証電力量が大きくなるため、住宅向けの場合と比較して事務手続きが簡素化され、低コ
ストでの環境付加価値の収集が可能となる。
なお、グリーン電力証書制度における環境付加価値の供給側である太陽光発電システム
の設置事業所に対しては、固定資産税の減免などの税額控除や設置費用に対する低利融資
などのインセンティブを提供することで、事業所への太陽光発電システム設置を促す。
③「グリーン電力証書発行手続きの委託」
事業所から環境付加価値の提供を受けた地方自治体はそれらの環境付加価値をまとめて、
グリーン電力証書発行事業者へグリーン電力証書の発行手続きを委託する。事業所から生
まれた環境付加価値を集約して、グリーン電力証書の発行を行うことで、グリーン電力証
書発行事業者におけるグリーン電力証書発行に係る事務手続きが軽減され、住宅から生ま
れた環境付加価値によるグリーン電力証書発行と比較して低コストでのグリーン電力証書
の発行が可能となる。
④「グリーン電力証書販売」
グリーン電力証書発行事業者がグリーン電力証書を購入し活用する企業・団体にグリー
ン電力証書を販売する。
グリーン電力証書の購入者に対しては、購入費用の損金算入、行政機関による PR、グリ
ーン電力証書購入量の温室効果ガス削減実績への算入、行政機関に対する入札時の優遇な
どの様々なインセンティブを提供する。特に、グリーン電力証書の購入費用の損金算入に
ついては、現在はグリーンエネルギーマークの使用料のみが損金算入の対象となっている
が、広くグリーン電力証書の購入費用も損金算入の対象とする事で、企業にとってグリー
ン電力証書を購入する事が地域での太陽光発電の普及や温室効果ガス削減等につながる様
な寄付的な意味合いを持たせる事も可能となる。様々なインセンティブを提供する事によ
り、企業・団体の購入を促進し、グリーン電力証書の知名度向上につなげる。
また、グリーン電力証書を手軽に取引できる「場」を設定する事により、企業の環境対
策だけではなく、環境財献イベントなどでも利用できるようにする。手軽にスポット的な
利用も行えるようにすることで、グリーン電力証書の活用が進む可能性もある。
125
⑤「販売代金の還元」
グリーン電力証書の購入代金はグリーン電力証書発行事業者を経由して自治体へと還元
する。還元された資金により自治体は、次年度の本スキームにおける補助金交付やその他
の環境活動の負源とする事や、自治体自身がグリーン電力証書を購入して自治体の施設や
イベント等で活用する。
⑥「地方自治体の役割」
本スキームにおいて、地方自治体は太陽光発電システム設置事業者への補助金の交付以
外にも、太陽光発電システム設置事業者およびグリーン電力証書購入企業の開拓支援、一
般市民に対する本スキーム参加企業の環境財献に関する PR 等を実施し、グリーン電力証書
の認知度向上等の役割を果たす。
図表6-1-2
グリーン電力証書を用いた太陽光発電システム普及促進スキーム(案)
③グリーン電力証書発行手続委託
⑥地方自治体の役割
太陽光発電システム
設置事業所・グリーン
電力証書購入企業の
開拓支援およびPR
固定資産税等の減
免、低利融資、自
治体によるPRなど
のインセンティブ
グリーン電力証書
発行事業者
地方自治体
②
環
境
価
値
の
譲
渡
①
補
助
金
交
付
⑤販売代金の還元
購
入
代
金
・地域内で
のCO2削減
・電気の地
産地消
・資金の地
域内循環
太陽光発電
設置事業所
余
剰
電
力
の
売
電
グリーン電力
証書取引市場
④
グ
リ
ー
ン
電
力
証
書
販
売
グリーン電力証書
購入団体
電力会社
購入費用の損金算入、温室効
果ガス削減量への算入、入札
時の優遇、自治体によるPRな
どのインセンティブ
資料)九経調作成
図表6-1-3
本スキームにおいて想定される事業主体
地方自治体
九州内の各都道府県、市町村
太陽光発電システム設置事業所
九州内の地場中小企業等
グリーン電力証書購入団体
環境貢献活動を実施している九州内の大企業・中堅企業、地方自治体等
グリーン電力証書発行事業者
㈱NTT ファシリティーズ、㈱九電工等グリーン電力証書発行事業者
グリーン電力証書取引市場
(福岡証券取引所等)
電力会社
九州電力株式会社
注)あくまでも想定であり、各主体に同意をとったものではない
資料)九経調作成
126
図表6-1-4
本スキームにおいて想定されるインセンティブ
太陽光発電設置事業所向け
グリーン電力証書購入団体向け
・法人税、不動産取得税、固定資産税等の減免
・金融機関による低利融資
・容積率や建ぺい率の規制緩和
・緑地面積との代替制度
・減価償却期間の短縮
・行政機関による環境貢献に対する PR
・購入費用の損金算入などの税制面での優遇措置
・温室効果ガス削減量への参入
・行政機関への入札時の優遇措置
・行政機関による表彰など環境貢献に対する PR
資料)九経調作成
以上より、事業所向けの太陽光発電システムの普及にグリーン電力証書を活用すること
で、再生可能エネルギーの地産地消、再生可能エネルギー普及のための資金の地域内での
循環、地域内での CO2 削減活動の拡大等の効果を見込む事ができ、地域限定での再生可能
エネルギー、特に太陽光発電システムの普及促進に財献することが可能となる。
(3)今後の展開
「太陽光発電システム普及促進に関するアンケート(第3章参照)
」において、各企業は
太陽光発電システムを導入する理由として、環境対策(CO2 排出削減)への財献を挙げて
いる。また、同様に温室効果ガス削減にとっては再生可能エネルギーの導入が有効である
と考えている企業は多い。このアンケート結果から、企業の CO2 削減のための再生可能エ
ネルギー導入に対するニーズは大きい。
現在のグリーン電力証書取引制度は法律に裏付けされたものではなく、あくまでも企業
の自主的な取り組みに依存している。今後、グリーン電力証書の活用を促進する場合には
グリーン電力証書を購入して活用することで CO2 削減実績への算入が可能となるような
CO2 削減のための諸制度(排出量取引制度等)との連動が必要となる。そうする事で、企
業の再生可能エネルギー導入による CO2 削減ニーズを満たし、グリーン電力証書の活用促
進、知名度向上につながる可能性がある。以下では、条例において、グリーン電力証書の
購入量が温室効果ガス削減実績への算入を可能とする、排出量取引制度を実施予定である
東京都の事例を紹介する。
127
■事例■東京都のグリーン電力証書活用事例
東京都では大規模事業所への「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」を 2010
年4月から実施予定である。原油換算で 1,500kl 以上のエネルギーを使用する事業所を対象と
して、平成 2010~2014 年、平成 2015~19 年の各5年間の削減計画期間を設定し、温室
効果ガスの削減義務を課している。温室効果ガス総量削減義務の履行手段としては、①超過削減
量(対象事業所が義務量を越えて削減した量)
、②都内中小クレジット(都内中小規模事業所の
省エネ対策による削減量)、③再エネクレジット(再生可能エネルギー環境付加価値)
、④都外ク
レジット(都外の大規模事業所の省エネ対策による削減量)などが認められている。
東京都の排出量取引制度においては「再エネクレジット」として、
「グリーンエネルギー証書」、
「RPS 新エネ電気相当量」、都が認定する託送によるグリーン電力(生グリーン電力)が対象と
なっており、削減義務対象者はこのクレジットを購入する事により、排出削減実績に算入する事
が可能となっている。特に太陽光(熱)、風力、地熱、水力(1,000kW 以下)に基づいたグリ
ーンエネルギー証書についてはクレジット(削減量)を 1.5 倍換算で排出削減量に算入する事
ができ、グリーン電力証書と独自の排出量取引制度を連動させた事例となっている。
東京都「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」
における再エネクレジットの概要
資料)東京都環境局都市地球環境部『大規模事業所への「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制
度」
(概要)
』より抜粋
128
(4)本スキームにおける課題
一般的にグリーン電力証書の課題として、「事務手続きの煩雑さ」、
「コストの高さ」、
「イ
ンセンティブの不足」、「知名度の不足」などがあるが、本スキームにおいては特に「太陽
光発電由来のグリーン電力証書の価格の高さ」と「太陽光発電設置事業所の環境財献 PR」
、
「自治体の補助金の負源の確保」などが挙げられる。
①太陽光発電由来のグリーン電力証書の価格の高さ
グリーン電力証書の価格は、相対取引であるため、購入契約年数や購入量によって金額
が異なるものの、太陽光発電によるグリーン電力証書の価格はおよそ 10~15 円/kWh であ
る。これに対して、風力発電によるグリーン電力証書の価格は5~10 円/kWh、バイオマス
発電によるグリーン電力証書の価格は5円/kWh 程度であり、太陽光発電によるグリーン電
力証書の価格が最も高くなっている。太陽光発電によるグリーン電力証書の価格が高い理
由は風力やバイオマスと比較して発電コストが高くなっているためであり、太陽光発電に
よるグリーン電力証書の価格低下のためには発電コスト低下が求められる。特に太陽光発
電システムの設置コストは設置のための人件費がその多くの割合を占めており、施工にお
ける規制の緩和や各太陽電池メーカーによって異なる施工方法の共通化などが求められて
いる。しかし、太陽光発電の発電コスト低下を実現するためには太陽電池メーカーによる
太陽電池パネルの価格低下や太陽光発電システム施工事業者による設置コストの低下など
の事業者の努力だけではなく、九州全体で太陽光発電システムの普及拡大による発電コス
トの低下を図る事も重要である。
図表6-1-5
CO21トン削減に係るコストの比較
削減方法
グリーン電力証書
コスト
太陽光
約 20,000 円
風力
約 12,000 円
バイオマス
排出権価格
約 9,000 円
約 1,500 円
注)電気の排出係数1kWh=0.555kg(CO2)にて換算
資料)日経・JBIC 排出量取引参考気配および環境省「カーボンオフセットに用いられる VER の認証基準に
関する検討会」資料、ヒアリング等をもとに九経調作成
②太陽光発電設置事業所の環境貢献 PR
本スキームにおいて、自治体から補助金を受け、太陽光発電システムを設置した事業所
は補助金の対価として、自治体へ環境付加価値を譲渡する。環境付加価値を譲渡した事業
所は自社で太陽光発電システムを設置しているものの、環境付加価値を譲渡しているため、
自社の使用電力は通常の電力と同じであり、自社の温室効果ガスを削減出来ず、太陽光発
電により発電された電力で使用電力を抑える事が出来るというメリットがある一方で、環
129
境財献に関する PR を対外的に行えないという事になる。アンケート結果にもあるように、
太陽光発電システム設置事業所にとっては環境財献を外部に PR するという事は非常に重
要であるため、グリーン電力証書における環境付加価値の提供側である太陽光発電システ
ムの設置事業所にとっては対外的な PR が出来ないという事は大きなデメリットとなる。
この問題を解決するためには、行政機関等が当該事業所に変わって、本スキームへの財
献 PR という形で対外的な PR を行うという方法が考えられる。本スキームに係る関係機関
で支援組織を形成し、グリーン電力証書の普及に財献した企業・事業所を表彰して、マス
コミ等の協力も得ながら、各媒体で対外的な PR を行っていくという方法である。太陽光発
電システムを設置している事業所は自社の温室効果ガス削減に関する PR は行えないもの
の、CSR 報告書等を作成していないような地場の中小企業にとっても、
「地産地消」のグリ
ーン電力証書の普及に財献し、ひいては地域の温室効果ガス削減に財献したという PR を対
外的に行う事が出来る。
図表6-1-6
スキーム支援組織を通じた環境貢献 PR の方法
スキーム支援組織
表彰
行政機関
表彰
グリーン電力証書
太陽光発電システム
購入企業
設置事業所
マ
ス
コ
ミ
の
協
力
対
外
的
な
太陽電池
太陽光発電システム
メーカー等
施工会社
PR
資料)九経調作成
③自治体の補助金の財源の確保
本スキームにおいては、自治体から太陽光発電システム設置事業所に向けての補助金の
交付を最初の条件としており、自治体からの補助金の負源の確保も重要な問題となる。地
方自治体においては負源である税収が減尐している中で、いかにして負源を確保するかと
いう事も大きな問題である。
自治体の負源の問題については、国からの交付金において、環境関連の使途については
各地方自治体が自由に利用できるという仕組みを政府に提案していくという事も考えられ
る。国からの交付金についてはそのほとんどが使途を限定されたものであり、自治体とし
ては利用しにくいものとなっている。地方分権の議論とも絡めて、環境対策として各自治
体がそれぞれ独自の対策を打てるような交付金の枠を要求するという事も今後必要である。
130
3)再生可能エネルギー全量買取制度導入時の留意点
(1)再生可能エネルギー全量買取制度の動向
再生可能エネルギーの全量買取に向けて、経済産業省がその検討に向けたプロジェクト
チームを設置している。具体的には、2009 年 11 月に第1回会合を開催し、2009 年 12 月
までに5回のヒアリングを実施し、2010 年3月をめどに中間とりまとめ(制度のオプショ
ン・選択肢等)を提示する予定である。プロジェクトチームにおいては買取対象・買取価
格・買取期間・買取費用の貟担の在り方、電力系統安定化対策、他国の再生可能エネルギ
ー導入支援推進制度の動向等の検討を行っている。太陽光発電設備設置が難しい家庭など
に電力料金貟担の理解が得られるかが課題となっているものの、政府は全量買取制度に前
向きである。
政府における再生可能エネルギーの全量買取制度導入の検討を念頭においた行政刷新会
議による事業仕分け結果を受け、経済産業省は「新エネルギー等導入加速化支援対策費補
助金」、
「住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金」について予算を縮減して再要求を行っ
ている。
図表6-1-7
事業名
新エネルギー
等導入加速化
支援対策費補
助金
住宅用太陽光
発電導入支援
対策費補助金
事業仕仕分け結果を受けた関連予算の再要求状況(単位:百万円)
当初要求額
仕分け結果
再要求額
38,845
予算要求の縮減
(1/2 程度)
34,480
41,238
予算計上見送り
(12 月末までに新政
権の下、よく議論・
精査し、必要があれ
ば出し直し)
40,146
備考
「再生可能エネルギー全量買取制度を前
提」の検討を念頭に、原則として、建設に
長期を要しない事業のみを支援対象とす
る。なお、21 年度以前に採択された既存
事業の後年度貟担分については経過措置
として維持。22 年度は 244 億 8,000 万円
を計上。
「再生可能エネルギー全量買取制度」の検
討と合わせて、設備価格の低下を誘導する
補完的・暫定的な普及支援策として、本補
助金制度を位置づける。22 年度は業務管
理費を大幅に見直した上で、必要額 401 億
4,600 万円を計上。
資料)
「平成 22 年度経済産業省予算案の概要(平成 21 年 12 月 25 日報道発表分)
」より抜粋
(2)再生可能エネルギー全量買取制度の課題
太陽光発電システム普及支援の手段として、海外ではフィードインタリフが積極的に導
入されており、現在日本で行われている太陽光発電システム初期投資への補助金よりも再
生可能エネルギー全量買取制度へ移行した方がより効率的な太陽光発電システムの普及に
つながるという議論があるが、再生可能エネルギー全量買取制度にはいくつかの課題が存
在する。
①既存の制度との整合性
現在、再生可能エネルギーの全量買取制度については、制度的な枠組みの詳細が未だ決
定されていないものの、再生可能エネルギーの全量買取が実施された場合には、再生可能
131
エネルギーで発電された電力とともにその環境付加価値も買取の対象となり、グリーン電
力証書制度が前提としている自家消費分の環境付加価値という概念が消滅してしまうため、
太陽光発電由来のグリーン電力証書が成立しなくなる恐れがある。また、現在実施されて
いる住宅向け太陽光発電設置に関する補助金や新エネルギー等導入加速化支援対策費補助
金、RPS 法等の他の諸制度ともいかにして整合性を取るのかという課題が存在する。付加
価値の位置づけをきちんと担保出来る制度設計が必要となる。
②コスト負担
全量買取制度が実施された場合には、一般市民、太陽光発電設備設置者、電力会社等に
更なるコスト貟担が発生する可能性がある。
全量買取制度では買取料金のコスト貟担を広く国民全体で貟担するという事が前提とな
っており、一般市民にとっては、余剰電力買取制度以上の電力料金の貟担がかかる事が明
白である。太陽光発電設備の設置が可能な比較的余裕のある世帯に対して太陽光発電設備
を設置出来ない世帯でも再生可能エネルギー普及にかかる貟担をしなければならず、貟担
の不公平さが発生することとなる。また、利益目的の発電事業者に対しても国民貟担での
買取を行わなければならず、更なる不公平感が生まれる可能性もある。
太陽光発電設備を設置している家庭や事業所にとっては、既存の配電設備変更のコスト
貟担が発生する可能性がある。また、電力会社にとっては電力系統安定化対策のためのイ
ンフラ投資コストの増加が予想される。電力会社によるインフラ投資コストの増加は一般
市民にとっては電力料金の更なる増加につながりかねない。
事業仕分けの内容を鑑みれば現在実施されている補助金の廃止等も予想されるが、太陽
光発電設備設置に関しては、投資初期コストの低減が重要な要素であり、初期コストの貟
担が増加することになれば、太陽光発電設備普及の阻害要因となる可能性もある。
③急激な需要増加に対する対応
2009 年 11 月1日に開始した日本版 FIT 実施前後では太陽光発電関連の需要が大幅に増
加した。全量買取制度が実施される事により、太陽光発電設備設置施工会社や太陽電池メ
ーカーにとっては、太陽電池および太陽光発電システム施工などの需要の更なる増加が予
想されるものの、急激な需要の増加が予想されるため、需要増加に対応するための人員・
設備面での対応が必要となる。
④省エネ意識の低下
CO2 削減の観点からは、再生可能エネルギーの全量買取制度の実施により太陽光発電設
備の更なる普及が予測されるため、CO2 排出削減量増加の期待があるが、余剰電力買取制
度の下では自家消費分の電力量を減らしてより多くの余剰電力を売却するために、一般市
民にとっては省エネを行おうという意識が働いていたが、全量買取制度の下では太陽光発
132
電設備により発電した電力をすべて買取ってもらえるため、自家消費分の電力量を減らす
という省エネの意識が低下して、屋根貸しの状態になってしまう恐れがある。
図表6-1-9
再生可能エネルギー全量買取における課題とメリット
課題
行政機関
一般市民・中小企業
電力会社
太陽光発電設備
設置者(個人・企業)
太陽電池メーカー
太陽光発電設備
設置施工会社
CO2 削減
グリーン電力証書制度
メリット
・RPS 法等他の諸制度との整合性
・電力料金貟担の増加、貟担の不公平さ
・電力系統安定化対策のためのインフラ投資
貟担の拡大
・利益目的の発電事業者の増加
・既設者の配線変更等のコスト貟担
・補助金の減額による初期投資コストの増加
・全量買取制度移行後の急激な需要への対応
・施工需要の急激な需要に対する対応
・省エネに対する動機の低下(屋根貸しの状
態になる)
・太陽電池由来の証書が消滅の恐れ
・経済対策効果
・補助金等の削減
・売電による太陽光発電設備投資に対する早
期のコスト回収
・太陽電池需要の増加
・施工機会の増加
・再生可能エネルギーの利用増加による CO2
の削減
資料)九経調作成
⑤その他
太陽光発電システムによる電気の全量買取は、既にドイツやスペイン等の外国で実施さ
れている。全量買取により、これらの国では太陽光発電システムの普及が急速に進む一方
で、太陽電池セル・モジュールの供給過剰による価格の大幅な下落と関連企業の収益の圧
迫、価格競争力のあるアジア製セルの輸入量増大などがみられた。普及と同時に国内の太
陽光発電産業の活性化・競争力の向上を図るためには、両者のバランスが取れるような、
全量買取に関する確かな制度設計が求められる。
いずれの場合においても、再生可能エネルギーの全量買取制度実施においては、目的を
明確にして買取の対象をどこまで広げるか、どの程度の価格で何年程度買取るのかという
価格設定のメカニズムをどう設計するか、現状の制度から制度移行をいかにしてスムーズ
に行うのかといった議論を経た上で、全量買取制度実施下における達成状況を詳細にレビ
ューする必要がある。
また買取の対象や買取の年数を変えようとも、全量買取制度は、今以上に国民等へのコ
スト貟担が必要になるため、長期的に継続するかどうかは不透明である。全量買取制度な
どの政策的支援が続いている間に、パネルメーカー等太陽光発電産業に関係する企業は、
支援が尐なくなる/継続しなくなる時に備え、コストダウンを通して、国際競争力の向上を
進めておくことを念頭に置く必要がある。
133
2.太陽光発電システム設置に対する地元企業の参入促進
1)新規参入促進支援スキーム
システム設置分野への新規参入を目指す、もしくは参入して間もない地元企業向けの、
新規参入支援及び取引拡大支援スキームについて提示する。
①情報交換や勉強会・研修等のための「場」の設定
パネルメーカーや既存の設置業者、電力会社等と、新規参入を検討する地元企業とが
交流出来るような「場」を創設し、業界の動向、パネルや電気機器等各種設置機器の最
新情報から販売・施工ノウハウ等まで学べる環境作りを目指す。また、参加する地元企
業とパネルメーカーや既存の設置業者、電力会社等とが実際に顔を合わせることが出来
る「場」を創設することで、お互いのニーズや問題点等についてより深く把握・理解す
ることが可能となる。
さらに、この「場」では、参加する地元企業が実際にシステム設置分野に新規参入を果た
すことが可能となるように、3つのステップを準備する。1ステップ目では参入支援とし
て、業界の最新情報や動向、パネルや電気機器の情報、系統連系や補助金等の制度等、事
業実施に当たっての初期段階の情報や知識を得ることが出来るようにする。2ステップ目
ではレベルアップ支援として、営業・販売ノウハウや施工技術等のより実践的な情報を提
供することで、事業実施段階における情報や知識を得ることが出来るようにする。最後の
3ステップ目ではマッチング支援として、施工に関するパートナーが欲しい既存の設置業
者と参加企業との直接的なミーティング(商談会等)の場を提供する。例えば、既存の設
置業者の特約店となることでパネルの供給や営業・販売支援を受けることや、施工に関す
る外注を受注すること等、より具体的なビジネスが展開していくような支援を行うものと
する。
134
図表6-2-1
「場」のイメージ図(左)と「場」での具体的な支援ステップ
施工
業者
ステップ1(参入支援)
・業界の最新情報や動向、パネルや機器設備、系統連
系や補助金の制度等の情報を提供
電力会社
パネル
メーカー
行
政
→初期段階の情報や知識を入手できる
・施工技術(施工の模範例や失敗例)の習得
・パネルや電気機器等の各種設置機器の最新情報
ステップ2(レベルアップ支援)
・販売ノウハウや施工技術等の実践的な情報を提供
「場」
→事業実施段階の実践的な情報や知識を入手できる
・業界の最新情報や動向
・系統連系や補助金申請等の手続き
ステップ3(マッチング支援)
F社
新規参
入を目
指すA社
C
社
B社
D社
・パートナーが欲しい既存の施工業者との直接ミ ーティ
ング(商談会)の場を提供
E
社
→既存の施工業者の特約店となる等、企業同士のマッ
チング
資料)九経調作成
②太陽光発電システムアドバイザー派遣制度
太陽光発電システムの施工や行政機関への補助金の申請手続き、電力会社への系統連系
の申請手続き等に関して、新規参入や取引拡大を目指す地元企業を対象として、各分野に
おいて経験や知識、実績等豊富なアドバイザーを派遣する制度である。派遣されたアドバ
イザーによって、施工技術レベルアップや各種の申請手続き、企業内での社員教育・研修
等に対する支援を行うことを目的とする。
特に、施工技術に関しては、住宅の屋根には切妻屋根や方形屋根、陸屋根等の様々な形
状の屋根が存在する。このような屋根形状や屋根葺き材、建築様式によって、システム設
置に係る施工方法や使用材料が異なってくる。このため、様々な現場において経験を積む
必要があるが、このような実際の施工現場において、アドバイザーから直接、施工技術の
指導や問題改善へのアドバイス等を受けることが出来るものとする。
太陽光発電システムアドバイザーは、各分野における豊富な経験や知識、実績を備えた
人物が必要である。また、支援を行うためには各企業の中に入り込む必要があることから、
守秘義務や中立性等を求められる。さらに、アドバイザーを雇うための人件費等の費用も
考えなければならない。このため、アドバイザーにはパネルメーカーや設置業者、電力会
社等において実務に携わってきた退職者を起用するものとする。
135
図表6-2-2
太陽光発電システムアドバイザー派遣制度のイメージ図
B社
A社
・社内研修会
の講師
・施工現場で
の技術指導
派遣
~PVアドバイザー派遣団体~
・パネルメーカーOB
・設置業者OB
・電力会社OB
・行政機関OB
派遣
D社
C社
・補助金申
請時の手続
き支援
・系統連系時の
申請手続き支援
資料)九経調作成
■事例■「太陽光発電指導員制度」
A社では、施工を担当する現場の作業員以外に、「太陽光発電指導員」という制度を作り運用
している。施工の実績や経験が豊富な職員を指導員として任命し、新しく作った作業員チーム(2
~3名)に対して、実際の施工現場にて知識や技術等を教えるという役割を担わせており、現在
は2名体制である。太陽光発電システムに対する豊富な経験や知識、実績等が必要であるため、
A社に 300 名程度在籍している現場作業員の中でも、やっと2名を確保しているという状況で
ある。このような制度は、従来から建設現場等における足場の仮設事業で行ってきたことであり、
これを太陽光発電システム事業にも応用したものである。さらに、
「太陽光発電指導員」の下に、
現場立ち会いや現場監督を行う「太陽光発電インストラクター」という職も作っている。なお、
この職に付くにも、10 年程度の経験を必要としている。
136
■事例■福岡県の「自動車産業参入アドバイザー制度」
福岡県では、アジアをリードする自動車の一大生産拠点を目指して「北部九州自動車 150 万台
生産拠点推進構想」を官民挙げて推進している。
150 万台生産拠点形成に向け、財団法人福岡県中小企業振興センター(県が 85%出資し、他
に福岡市や北九州市等が出資)に、県内中小企業の自動車産業への新規参入や取引拡大を支援す
ることを目的として自動車産業参入アドバイザーを設置している。現在、自動車メーカーの現役
役職者・OB 等6名が在籍しており、自動車産業業界の専門家(自動車産業参入アドバイザー)
として、地元企業の参入支援活動を幅広く支援している。この制度の最大の特徴は、アドバイザ
ーによる「徹底した現場改善指導」と「取引実現までの支援」の2点にある。地元企業から支援
要請や相談があった場合、アドバイザーは会社等を訪問し、状況を把握した上で会社側と意見交
換を行い支援に対する意向を確認する。支援が決定したら指導方針を決め、生産現場での問題改
善から新規受注のための斡旋まで徹底した指導を開始している。指導の内容は、企業の状況によ
り異なるが、ものづくりの基本である「2S・1Y」
(整理・整頓・床置き全廃)の徹底から始ま
り、
「ものづくり基盤」
(生産管理や品質保証等)のレベルアップを図っている。これと平行して、
支援企業の製品や製法について、プレゼンテーションを行う力を体得する等のセールス力の向上
活動を行い、新規受注に向けて企業の総合力向上を図っている。訪問指導は月2~3回が標準的
な回数であり、支援にあたって指導料等企業側の負担はかからない。
福岡県の担当者によると、参入を果たした企業数等の具体的な数値については現在のところ公
表していないが、利用者の評判は概ね良好と話している。
2)施工における品質保証スキーム
消費者(エンドユーザー)が安心してシステムの設置が出来るようになること等、消費
者の視点に立ちつつ、特にシステム設置に係る施工分野における品質を保証する支援スキ
ームについて提示する。
①優良施工業者認定制度
システム設置時の施工に関して、施工技術や品質保証、メンテンス等について、一定の
基準を満たす太陽光発電システムの優良施工業者を認定する制度である。優良施工業者認
定制度は、消費者が安心して施工やメンテンスを依頼出来るようにするための制度であり、
以下のような仕組みを考えている。
まず、優良施工業者としての認定を受けたい施工業者が、優良施工業者としての認定を与
える機関(施工に関わる関係業者や機関等の団体・組合等)に対して、認定の申請を行う。
次に、申請を受けた機関は、認定のための各評価項目について審査・判定を行い、その結
果について申請を行った施工業者に通知するものとする。認定のための各評価項目は、施
工技術の質に関することや施工に関する研修制度の有無、施工の質を維持するための制度
の充実度、事故等が起きた場合の対応マニュアルの整備等の管理体制の有無等が考えられ
137
る。これらの各評価項目について、優良施工業者としての認定を与える機関が審査・判定
を行い、優良施工業者として認定するかどうかを決定する。
しかし、どのような施工が優良な施工であるのかについての判断・評価は極めて難しい。
また、その判断・評価を下すのは、最終的にはシステムを設置する消費者である。消費者
は、施工に対して如何にコストを抑えるかという視点を何よりも重要視する場合から、コ
ストよりも外観と調和したデザインや出来るだけ長期間品質を維持する施工等を重要視す
る場合もある。各施工業者は、このような消費者のニーズに応えるために、低コストの簡
便な施工方法や外観と調和したデザイン・施工方法、より長期間に渡って品質を維持する
ための施工技術等について日々研究開発を行っている。また、このような施工技術や施工
に対する方針の差は、施工業者の企業努力の結果や企業として目指すべき方向性の違いで
もある。このため、この優良施工業者認定制度は、システム設置において当然に守るべき
最低限の基準を設定し、この基準を満たしている施工業者を優良施工業者と認定するもの
とする。
優良施工業者認定制度を導入する利点は、不良・不適格業者を排除することが可能とな
ることで、消費者は認定を受けた業者に施工を依頼する等により、安心してシステム設置
を行うことが出来るようになる。また、優良施工業者としての認定を与える団体・組合が、
施工業者の施工技術等の現状を把握することで、施工技術のさらなるレベルアップや施工
コストの低減等を図ることが可能となる。さらに、これらの施工技術を施工業者へフィー
ドバックすることにより、施工業者においても自社の施工技術のさらなるレベルアップが
可能となる。一方で、施工業者にとっても、他企業との差別化を図ることが可能となる。
さらに、優良施工業者としての認定を受けた場合は、施工業者が施工時に加入する損害保
険等の保険料が下がるような仕組みへの利用を促していく。
図表6-2-3
優良施工業者認定制度のイメージ図
施工業者
利点
①優良施工
業者としての
認定を申請
■優良業者として認定を受ける利点
・他業者との差別化
・施工に係る保険の保険料が下がる
②認定の
ための各
項目につ
いて検討
③優良施
工業者とし
ての認定
■認定制度を導入する利点
・施工技術等のフィードバック
・消費者の安心・安全につながる
利点
~施工に関わる企業や機関等の団体・組合~
・優良施工業者としての認定を与える組織
・認定項目は、①施工方式、②研修制度、③品質保証制度、④管理体制 など
資料)九経調作成
138
■事例■全国基礎工業協同組合連合会、「評価方式優良・適格業者選定制度」
全国基礎工業協同組合連合会は、2009 年 12 月から「評価方式優良・適格業者選定制度」を
スタートさせている。同制度は、設備機械や技術・技能者を背景とした施工能力と、技術・創意
工夫などの提案能力を組み合わせて総合的に企業評価を行う制度である。
(財)建設業振興基金
の「専門工事業企業力指標」を参考に、基礎工事専門企業の施工能力等を客観的に評価・公表す
るものであり、丌良・丌適格業者の排除と、発注者が求める施工能力に適した専門工事業者選定
の一助とすることを狙いとしている。なお、結果についてはウェブ上に一般公開し、広く企業活
動を行っており、企業情報をオープンにすることで取引先の拡大や丌良・丌適格業者との差別化、
業界内での自社の位置付けの明確化等につながるものと考えている。評価の視点として、保有機
械数や実績、技術力、人材(資格者)、教育訓練など、実際の基礎抗施工能力に緊密にかかわる
内容から、福利厚生や業績等まで幅広く取り入れて多面的に評価し、3つのグレードで評価付け
を行っている。
139
②PV システム施工保険制度
想定する制度は、まずシステム設置業者等が集まって団体・組合を組織し、この団体・
組合と損害保険会社とでシステムの設置工事に関する団体契約を結び、各設置業者はこの
団体・組合に加入するとともに保険にも加入する。施工に係る不具合が生じた場合、通常
であれば設置業者が保険金を受け取って欠陥を直す。しかし、不具合が生じた時点で設置
業者が倒産等でいなくなっている場合には、消費者は団体・組合を相手に補償を求めるこ
とを可能とし、保険金は消費者が直接受け取ることとする。消費者はこの保険金を使うこ
とで不具合を直すことが可能となることで、消費者は安心・安全にシステムを設置出来る
ようになる。また、団体契約を結ぶことで保険契約に係る損害保険会社の事務の軽減や保
険契約のスケールメリット等により、各設置業者が個別に損害保険会社と契約する場合と
比較して、保険料が割安となる可能性がある。さらに、優良施工業者認定制度との組み合
わせにより、研修制度や管理体制の充実、不具合の発生件数が尐ない等の優良な施工業者
については、保険料の低減が図られるようにする。
なお、現在国土交通省は、住宅リフォームによる消費者被害を防止するため、消費者が
安心して住宅のリフォーム工事ができるような「リフォーム瑕疵保険」を整備しようとし
ている(詳細は後述)
。このリフォーム瑕疵保険は、ここで提示した「PV システム施工保
険制度」を内包した保険制度となる可能性も考えられる。このため、この保険制度を実施
するにあたっては、リフォーム瑕疵保険との関係性を十分に考慮する必要がある。
図表6-2-4
PV システム施工保険制度のイメージ図
損害保険会社
団体契約
~施工業者の団体・組合~
・保険料等納付
・保険金等請求
施工業者
施工業者の倒産時など
保険金の直接請求
保険金支払い
・補償等
・補償等の請求
消費者(エンドユーザー)
資料)九経調作成
140
■事例■住宅瑕疵担保履行法
新築住宅の発注者や買主を保護するため、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律
(住宅瑕疵担保履行法)が 2009 年 10 月1日に施行され、新築住宅の請負人や売主に資力確保
措置(保険への加入または保証金の供託)が義務付けられた。
この法律は、新築住宅を供給する事業者に対して、雨漏りや基礎の亀裂、床の傾斜瑕疵の補修
等が確実に行われるよう、保険や供託を義務付けるものである。万が一、事業者が倒産した場合
等でも、購入者に対して、瑕疵の状況を調査した上で 2,000 万円を上限として必要な補修費用の
支払いが保険法人から受けられるものである。新築住宅が対象であり、瑕疵担保責任の範囲は、
構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分に関する 10 年間の瑕疵担保責任を対象
としている。なお、この保険については、国土交通大臣が指定した「住宅瑕疵担保責任保険法人」
の保険に限られており、6法人が存在する(2010 年3月1日現在)
。
さらに、保険金の支払いに主に保険契約者と保険法人との間で、一定の期間を超えても合意に
至らない場合に審査を行う「住宅瑕疵担保責任保険協会審査会」があり、住宅瑕疵担保責任保険
協会に設置されている。
資力確保のためのもう一つの方法として、供託制度がある。業者が法務局の供託所に保証金を
預け、業者が倒産などによって瑕疵担保責任を履行出来なくなった場合に、その保証金から必要
な費用を支払うものである。
住宅瑕疵担保責任保険のスキーム図
資料)国土交通省ホームページ
141
■事例:リフォーム瑕疵保険■
国土交通省は住宅リフォームによる消費者被害を防止するため、消費者が安心してリフォーム
工事ができるよう建築士による検査と保証がセットになった住宅リフォーム瑕疵保険の整備を
行っている。2009 年 10 月1日に施工された住宅瑕疵担保履行法に基づく保険制度(加入は
任意)として、リフォーム工事に欠陥が見つかった場合の修理費用をまかなうものであり、仮に
工事業者が倒産した場合でも保険金を受け取ることができるようになっている。保険は、国土交
通大臣が指定した住宅専門の保険会社が建築士による現場検査を行った上で引き受け、加入手続
きは工事業者が確認するため、保険を希望する場合は契約前に工事業者に確認する。また、保険
に加入している工事業者のリストを公開し、消費者が工事業者を選択する際の参考にしてもらう
ことになっている。なお、太陽光発電システムの設置工事についても、この保険制度の対象とな
る予定となっている。2010 年3月末時点で、リフォーム瑕疵保険を取り扱う保険法人として
国土交通大臣から指定された法人は、「リフォーム工事瑕疵担保責任保険」を扱う(株)日本住
宅保証検査機構と「共同住宅等大規模修繕工事瑕疵担保責任任意保険」を扱うハウスプラス住宅
保証(株)の2法人である。なお、保険の開始時期は各保険法人に委ねられており、現在のとこ
ろリフォーム工事瑕疵担保責任保険の開始時期は未定となっており、保証の適用範囲等の保険の
詳細についても現在検討中とのことである(2010 年3月末時点)。
142
3)スキームの実施主体について
これまで提案した参入支援策は、実際にこれらの支援策を動かす実施主体が重要な役割
を果たすことになる。実施主体としては、システム設置に関わる設置業者等が業界団体・
法人等を新設して運営する場合や、国・地方公共団体が設立する公社・負団等が運営する
場合等が考えられる。地場企業参入支援に関するアンケート調査結果では、それぞれの支
援策において、
「基準等は業界・有識者で決め、民間企業等が運営」するという回答と、
「国・
地方自治体が関係する公社・負団等が運営」するという回答とが拮抗する結果であった。
地元企業にとっては、支援策の公平性や公正性が担保されるという点が、どのような実施
主体であれば良いかを決める要素であると考えられる。実施主体としては、公平性・公正
性を担保する団体や行政、また、業界や有識者で決めたルールを履行する民間団体が旗振
り役となることが望ましい。
図表6-2-5
支援策
想定される各支援策の実施主体について
設置業者各社 基準等は業界・ 国・地方自治体
で費用を負担
有識者で決 が関係する公
し、業界団体・ め、民間企業 社・財団等が運
法人等を新設
等が運営
営
無回答
「場」の設定
14.6%
31.5%
31.5%
20.2%
アドバイザー派遣制度
10.1%
24.2%
25.3%
37.6%
優良施工業者認定制度
8.4%
21.9%
32.6%
34.8%
チェック機関の設立
9.6%
24.2%
32.6%
32.0%
注)全て N=178。なお、保険制度については質問していない
資料)地場企業参入支援に関するアンケート
■事例■宮崎県の「サングリーン・エコ事業協同組合」
宮崎県の中小建設業 16 社と屋外広告業1社は、太陽光発電システムの設置工事への参入を目
指して「サングリーン・エコ事業協同組合」を設立。公共事業が縮小傾向にあるため新分野に活
路を求め、県内に製造拠点を構える昭和シェルソーラーの太陽電池パネルを用いたシステムを中
心にシステム設置工事の共同受注や建設資材の共同購入に取り組む。防水・塗装・電気工事など
の業者が共同で工事を行うことで、消費者の満足度や組合員の信用力を高め、工事の受注額を
2010 年に1億円、2011 年には5億円を目指すとしている。
143
3.その他の支援策
1)九州薄膜メーカーと設置事業者のマッチング支援
九州には、三菱重工業(株)、富士電機システムズ(株)、(株)ホンダソルテック、昭和シェ
ルソーラー(株)20と第2世代の無機薄膜系太陽電池のメーカーが4社集積している。2007 年
時点での第2世代の無機薄膜系太陽電池のシェアは 5.9%にとどまるが、2012 年には 27.5%
にとなることが予想されている。
結晶系太陽電池とは異なり、薄くて軽いといった特徴を持つ無機薄膜系太陽電池は、今
後のマーケット拡大が期待されている。特に、多様な形状への対応が求められたり、建物
の強度がそれほど強くない事業所や工場、交通機関、公共施設などへの導入に適している。
その一方で、九州薄膜メーカー4社は、結晶系太陽電池メーカーと比べて、住宅向け・事
業所向け共に、国内の販路を十分に確保しているとは言い難い状況にある。住宅向け太陽
光発電システムのパネルの多くは、第1世代の結晶系太陽電池である。
今後は、無機薄膜系太陽電池メーカーによる変換効率の向上や歩留まりの改善等、パネ
ルやモジュール/デバイスとしてのレベルアップが必要だが、それに加えて今後大幅な需
要拡大が見込まれる建物向け(事業所等)の太陽光発電システムに対する販路拡大が求め
られる。
一方、九州のシステム設置企業(ないし設置の意欲を持つ企業)の多くは、パネルメー
カーとの情報交換を求めている。薄膜メーカーから見たシステム設置企業は、顧客を抱え
る「販路」となる。また、システム設置企業から見た薄膜メーカーは、「パネルの調達先兼
情報交換の相手」となる。パネルメーカーとの商談を求める設置事業者と、九州薄膜メー
カーとのマッチングを支援することで、
「九州産パネルの地産地消」を促進することが求め
られる。
■薄膜メーカーを中心とする太陽電池メーカーとシステム設置企業とが情報交換する「場」
の提供(本章第2節参照)
業界情報の交換、住宅向けないし事業所向け太陽光発電システムにおける無機薄膜系太
陽電池の活用やパネル供給/調達の可能性などに関する意見交換の場を設定する。また、
適正な競争を阻害しない範囲内で、
「場」の延長線上としては、太陽光発電普及のための協
議会の設立も考えられる。
九州の薄膜メーカーにとっては、安心できる販路の確保が期待され、施工業者にとって
は、既に活用している結晶系太陽電池に加え、多種多様な太陽電池を取り扱うことが可能
になり、設置方法の選択肢が増えるというメリットが考えられる。
20
2010 年4月1日付けで、
「ソーラーフロンティア(株)」と社名変更の予定
144
2)太陽光発電システム導入企業向け融資メニューの充実
多くの民間金融機関は、住宅向け(太陽光発電システム導入)の融資メニューを導入し
ている。九州の地銀でもほとんどの金融機関が導入している。一部の金融機関は、オール
電化住宅やエコウィル、床暖房システムなども対象としている。しかしその一方で、事業
所向けのメニューを導入する金融機関は尐ない。
九州で事業所向け専門の融資メニューを導入している地銀は肥後銀行(熊本県の制度融
資として)と鹿児島銀行の2行、太陽光発電システムの導入にも活用可能な環境関連の私
募債を導入しているのは西日本シティ銀行と大分銀行の2行にとどまる。また、太陽光発
電システム導入者(事業所)向けの融資メニューはあるが、設置業者(デベロッパー等)
への融資メニューはみられない。
図表6-3-1
銀行名
九州の地銀における主な環境融資
名前
概要
西日本シティ銀行
(福岡県)
環境私募債
環境配慮企業(ISO14001、エコアクション21等取得)が対象。
設備資金、運転資金いずれにも利用可能。通常の銀行保証付
私募債よりも発行コストが優遇。
大分銀行
(大分県)
カーボンオフセット エコ私募
債
純資産額1億円以上でストック要件、フロー要件を満たした環
境配慮企業(ISO14001、エコアクション21、エコおおいた推進
事業所等取得)が対象。保証料率0.1%優遇。私募債引受け
時に銀行の「引受手数料」の一部を活用して排出権を購入。購
入した排出権を日本政府に無償譲渡して、我が国の温室効果
ガス削減目標に貢献。
鹿児島銀行
(鹿児島県)
かぎんエコローン
かぎんエコ私募債
CO2排出量削減にかかる設備導入費用(太陽光発電機器設
置、屋上緑化等)の融資。この他低公害車導入費用、大気汚
染対策等にかかる設備導入費用、LED照明等省エネ型機器設
備導入費用、ISO14001認証等取得費用も対象。
導入費用の範囲内が対象。期間は10年以内(エコローン)ない
し2年以上7年以内(私募債)。エコローンは利率0.25%優遇。
私募債は財務代理手数料が不要(通常は発行額×(3/1,000
+2/1,000×年数)が必要)
資料)各社ホームページより九経調作成(2009 年 11 月現在)
145
図表6-3-2
名称
福
岡
銀
ISO
取得支援
PV設置(事
業所)融資
九州の地銀における環境融資一覧
PV設置業者
向け融資
私募債
行
西 日 本 シ テ ィ 銀 行 環境私募債
筑
邦
銀
PV設置
(住宅)融資
備考
○
○
PV付き戸建て住宅購入時にエコ・アクションポイントの付与。
他にオール電化、エコウィルが対象のローンも
◎
○
オール電化住宅・ガス温水式床暖房システムも対象
行
○
福 岡 中 央 銀 行
佐
賀
銀
行
○
○
リフォーム資金としての利用が可能(住宅PV設置向け融資)
○
オール電化住宅・ガス温水式床暖房システムも対象
○
リフォーム資金としての利用が可能(住宅PV設置向け融資)
佐 賀 共 栄 銀 行
長
崎
銀
行
十
八
銀
行
親
和
銀
行
肥
後
銀
行
○
○
○
○
○
熊本フ ァミ リー 銀行
大
分
銀
行
豊
和
銀
宮
崎
銀
○
カーボンオフセット
エコ私募債
◎
○
行
○
○
行
○
○
宮 崎 太 陽 銀 行
鹿 児 島 銀 行
・ISO取得支援及び事業所向け融資は熊本県の制度融資
・リフォーム資金としての利用が可能(住宅PV設置向け融資)
リフォーム資金としての利用が可能(住宅PV設置向け融資)
○
かぎんエコローン
かぎんエコ私募債
○
○
◎
南 日 本 銀 行
○
新築、既築住宅への設置双方が対象(住宅向け融資)
○
注1)私募債の◎は環境関連専門の私募債、○は環境関連を含めた一般の私募債
注2)ホームページに記載されていたメニューのみを抜粋。従って印が付いていない=メニューが無いと
は限らない
資料)「広がり見せる「環境融資」への取組み状況」『金融調査情報 18-15』、環境ワークスホームページ、
各銀行のホームページより作成(2009 年 11 月)
。住宅向け PV 設置融資を除き、事業所向けが対象
■融資メニューの充実
地方自治体と地方の金融機関の協力により、太陽光発電システム導入を検討する企業に
対する融資メニューを拡大することが必要である。具体的には以下のようなメニューが想
定される
・環境関連の制度融資の導入
・行政の「お墨付き」による優遇融資の導入
3) 小規模地区レベルでのシステム設置に対する補助制度
日本の太陽光発電システムに対する補助制度は、各家庭や事業所、公共施設など、「個別
の建物に対する設置補助」が中心である。集合住宅や住宅団地など、太陽光発電集中地域
に対する、地区レベルでの中型蓄電池の開発、電力(電圧)制御システムの開発・導入な
どに対する補助制度や融資制度のメニューは、NEDO プロジェクト等一部を除くと尐ない
のが現状である。
第5章で紹介した芝浦特機のように、電力の地産地消を図りながら、太陽光発電の普及
拡大に取り組んでいる企業もある。しかし、これらの事業において、発電システムそのも
のに対しての助成制度は充実しているものの、地産地消システム(逆潮流防止策)の構築
146
に対する助成制度は作られていない。
国が主導する次世代エネルギー・社会システムの構築に向け、地域レベルでも個別の動
きを活発にし、面的な動きへとつなげていく必要がある。そのため、個別の建物のオーナ
ー(各家庭、事業所、公共施設等)に対する設置補助制度に加えて、小規模地区レベルで
独自に地産地消システムを進める企業、導入に携わるデベロッパーに対する補助制度や融
資制度の強化が求められる。
4)規制緩和による導入支援
「平成 20 年度 太陽光発電関連機械工業に関する調査等補助事業」
(九州地域産業活性
化センター)では、導入支援策として、
「地方発の税優遇制度等の設立」や「工場や住宅建
設に対する規制緩和」が提案されている。
このうち、規制緩和について、国は工場立地法の見直しによる規制緩和を進めることで、
工場における太陽光発電システムの導入を支援することを予定している。一方で、「法人税
の税額控除」
「不動産取得税・固定資産税」「減価償却期間の短縮」など、税の優遇に関す
る項目については、全体でも 20~40%程度の企業が関心を持っている。太陽光発電システ
ムの導入・拡大の意向を持つ企業に限定すると、関心の度合いは更に高くなる。
図表6-3-3
(%)
規制緩和に対する企業の考え
2008年
2009年
2009年のうち太陽光発電システム「導入・拡大意向あり」と回答
60
48.6
50
39.6
40.3
40
34.3
30.1
30
26.3
27.1
25.1
18.7
20
10
0
法人税の税額控除
不動産取得税・固定資産税等
の軽減
原価償却期間の短縮
資料)負団法人九州地域産業活性化センター「平成 20 年度 太陽光発電関連機械工業に関する調
査等補助事業」
、太陽光発電システム普及促進に関するアンケート
147
■地方発の税優遇制度等の設立
太陽光発電システムの導入を進めるために、導入を検討している企業でのニーズが高い
不動産取得税の軽減、建材一体型に対する非課税ないし減免制度の創設を含めた固定資産
税の軽減、減価償却期間の圧縮による法人税の軽減等を含めた、地方発の税優遇制度の導
入は、太陽光発電システムの導入に対して効果を発揮する可能性が高い。
■工場への導入に対する規制緩和
太陽光発電システムを「環境施設」と認めることや、建物の建坪率や容積率の緩和、緑
地面積率や環境施設面積率の規制緩和、緑地代替制度など、更なる規制緩和を進めること
で、企業に対して太陽光発電システムの導入インセンティブを与えることに対する検討が
求められる。
■事例■経済産業省による工場立地法の規制見直し方針
経済産業省は工場での太陽光発電設備の導入を後押しするため、「工場立地法検討小委員会」
において、敷地内の緑地や環境関連施設の割合を定めている工場立地法の規制を見直すことを検
討してきた。鳩山政権が 2009 年 12 月にとりまとめた「明日の安心と成長のための緊急経済
対策」で、「緑地等面積の一部への太陽光発電施設の充当」が盛り込まれたのを受けたものであ
る。敷地面積の 25%以上の確保を義務づけている「緑地を含む環境施設」に太陽光発電設備を
加え、温暖化ガスの排出削減に役立てることを目指している。
工場立地法では敷地面積 9,000 ㎡以上か建築面積 3,000 ㎡以上の工場について、敷地面積
に一定の割合で緑地を確保することを求めている。
「緑地を含む環境施設」の面積が 25%以上
必要で、そのうち緑地(植栽(樹木、芝生、草花などの植えられた土地)その他の施設)の割合
が 20%以上、残り5%は緑地か、または噴水、水流、屋外運動場、広場、一般開放体育館、企
業博物館などといった「緑地以外の環境施設」の確保が必要である。これらに違反した事業者に
対しては、罰則を科している。今回の見直しでは太陽光発電設備を緑地に代替することは困難で
あるが、環境施設として位置づけることについては適当であるとの見解が得られた。
■交付金の使途自由化へ向けた提案
自治体の負源の問題については、国からの交付金において、環境関連の使途については
各地方自治体が自由に利用できるという仕組みを政府に提案する事が考えられる。国から
の交付金については、そのほとんどが使途を限定されたものであり、自治体としては利用
しにくいケースもみられる。地方分権の議論とも絡めて、環境対策として各自治体がそれ
ぞれ独自の対策を打てるような交付金の枠を要求するという事も今後求められる。
148
参考資料:アンケート調査票
平成 21 年 10 月 23 日
「太陽光発電システム普及促進に関するアンケ-ト調査」
ご協力のお願い
財団法人 九州経済調査協会
拝啓 時下ますますご清祥の段、お喜び申し上げます。
当会は、昭和 21 年に設立された文部科学省認可の学術研究機関であり、地域シンクタン
クの役割を担わせていただいております。
さて、この度、当会では、負団法人九州地域産業活性化センターからの委託を受けまし
て、
「低炭素社会構築に向けた地域新エネルギー導入政策支援調査」を行っております。
現在、地球温暖化の防止に向けて温室効果ガス削減の取組に向けた再生利用可能エネル
ギー(太陽光・風力・バイオマス等)の利用が行われています。国や地方自治体、企業等
では太陽光発電設備などの普及により再生利用可能エネルギーを利用した様々な方法での
CO2 削減の取組が進められています。
本アンケート調査は、九州に立地する企業や工場の方などを対象に、再生可能利用エネ
ルギー利用のお取組や今後の導入可能性、太陽光発電システムの導入インセンティブに対
するお考え、温室効果ガス削減へのお取組の現状、太陽電池関連分野への参入意向や太陽
電池を利用した応用製品の利用意向などについて調査することを目的として実施するもの
です。
つきましては、ご多忙のなか大変お手数をおかけ致しますが、お答えいただける範囲で
結構ですので、別紙のアンケートにご協力いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。
敬具
■ ご回答にあたって ■
1. お答えいただいた内容につきましては、秘密を厳守し、本調査以外の目的には使用
しません。
2. 甚だ勝手なお願いで恐縮でございますが、11 月 6 日(金)までに同封の返信用封筒
(切手不要)かFAXにてご返送下さいますようお願い致します。
3. アンケートのお問い合わせについては、下記担当者までお願いします。
【お問い合わせ】
(財)九州経済調査協会 調査研究部 担当:大庭(オオバ)
、藤井(フジイ)
TEL:092-721-4907
FAX:092-716-4710
149
Email:[email protected]
太陽光発電システム普及促進に関するアンケ-ト調査票
【ご記入にあたって】
1.事業企画ご担当の方にご回答いただければ幸いです。
2.ご回答は 11 月 6 日(金)までに同封の返信用封筒(切手不要)または FAX でご送付をお願いします。
3.貴社(貴事業所)単体での状況についてご回答ください。
4.アンケート結果は本調査の目的のみに使用し、他の目的で活用することはございません。
5.本調査票は財団法人九州経済調査協会が実施しております。本調査内容につきましてご不明な点やご
質問等ございましたら下記にご連絡ください。
【お問い合わせ先】
(財)九州経済調査協会 調査研究部 担当:大庭(オオバ)
、藤井(フジイ)
TEL:092-721-4907
FAX:092-716-4710
Email:[email protected]
貴社(貴事業所)の概要についてお答えください。
貴
社
名
(貴事業所名)
所
在
都・道
地
府・県
市・町
番地
氏名:
ご 担 当 者 様
部署:
ご
TEL:
連
絡
先
FAX:
Email:
年 間 売 上 高
業
(
種
注
1
)
1.1 億円未満
2.1 億~5 億円未満
3.5 億~10 億円未満
4.10 億~50 億円未満
5.50 億~100 億円未満
6.100 億円以上
1. 製造業
2. 卸売業・小売業
3. 土木・建設・設備工事業
4. 住宅・不動産業
5. 運輸・倉庫業
6. 医療・福祉
7. その他サービス業(上記に分類されないもの)
従
業
員
数
(
注
2
)
1.20 人以下
2.21~100 人
3.101~300 人
注1)業種が複数にまたがる場合は、最も割合が高い業種を1つ選択して下さい。
注2)正社員と契約社員の合計です。パート・アルバイトや派遣社員は含めないで下さい。
150
8.その他(
4.301 人以上
)
1.新エネルギー利用に対する取組み
問1 新エネルギー、省エネルギーに対する関心がありますか(ひとつ)。
1. はい
2. いいえ→問3へ
問2 どのような新エネ・省エネ対策に関心がありますか(いくつでも)。
1. 太陽光発電システムの導入
2. 太陽光発電以外の新エネルギー(風力等)
3. コージェネレーション(ガスタービン等)の導入
4. エネルギー管理の改善、徹底
5. 高効率機器への設備更改(空調等)
6.
蓄電池を利用した利用電力の平準化
7. 使用エネルギーの見える化
8.
スマートグリッドへの参加
9. 新エネルギー(太陽光発電等)により発電された電力の蓄電池への充電
10. 新エネルギー(太陽光発電等)とヒートポンプ式給湯器等の併用
11. 新エネルギー(太陽光発電等)により発電された電力の電気自動車等への活用
12. その他(
)
問3 現在、自社(社屋、工場、店舗等)に太陽光発電(太陽電池)を導入していますか(ひとつ)。
1.はい
2.いいえ
3.わからない
問4 今後、太陽光発電(太陽電池)の導入ないし導入拡大を検討していますか(ひとつ)。
1.はい→問5へ
2.いいえ→問6へ
3.わからない→問6へ
問5 問4でそのようにお答えになった理由はなぜですか(いくつでも)。
1. 費用対効果が期待できる
2. 環境対策(CO2 削減)への財献
3. CSR(企業の社会的責任)の向上
4. ブランド・企業イメージへの財献
5. 商品・サービスの付加価値向上
6. 消費電力のピークカット
7. 節電(省エネ)意識の向上
8. 発電による環境価値の販売
9. 行政の支援策の存在
10. 余剰電力の売却による収益への財献
10.その他(
)
問6 問4でそのようにお答えになった理由はなぜですか(いくつでも)。
1. 費用対効果がない
2. 今後の設置費用の価格低下への期待
3. 設置価格が不明確
4. 減価償却の長さ
5. 夜間発電をしない
6. 環境対策や CSR への財献が不透明
7. 設置場所・スペースがない
8. 住宅用に比べ行政の支援策が不十分
9. 故障時の保証や対応に不安
10.導入の具体的なメリットがわからない
11.導入方法が分からない
12.太陽電池の設置業者を知らない
13.どこに相談したらいいのか分からない
14.その他(
)
問7 電気自動車の活用や蓄電池の開発などにより、太陽光発電により生み出された電力を極力自社
ないしは自宅で消費する為の実証実験が行われていますが、貴社はその実証実験に関心がありま
すか(ひとつ)。
1.はい
2.いいえ
3.わからない
151
2.太陽光発電システムの導入インセンティブ
問8
太陽光発電システムの導入インセンティブは様々ありますが、ご存知のものはありますか(い
くつでも)。
1. 余剰電力買取制度(日本版フィードインタリフ・2009 年 11 月より導入予定)
2. 住宅向け設置費用への補助制度
3. 非住宅(事業所)向け設置費用への補助制度
4. 個人住宅用太陽光発電設備設置に対する所得税の税額控除
5. 非住宅用(事業所用)太陽光発電設備設置に対する所得税または法人税の税額控除
6. 設置費用への利子(一部)補給制度(法人向け)
7. スクールニューディール制度(小中学校への太陽光発電設備導入支援)
8. 太陽光発電設備設置に対する実証実験や研究に対する支援
9. 太陽光発電設備設置に対する低利融資制度
10. 太陽光発電設備を導入した施設に対する不動産取得税・固定資産税の減免
11.グリーン電力基金(基金申込者と九州電力の寄付(拠出金)による設備設置に対する助成制度)
12.グリーン電力証書(自家消費分の環境価値の買取り制度)
13.GE マークの認証制度(グリーンエネルギー活用商品のエコブランド認定制度)
14. 国内クレジット制度(国内排出削減量認証制度)
15.その他(
問9
)
太陽光発電システムの導入インセンティブで、既に活用されているものはありますか。問 8 の
選択肢から選び、下記に記入して下さい(いくつでも)。
(例)1,2,5,6
問 10 今後、太陽光発電システムの導入(拡大)を検討すると仮定した場合、以下の導入インセンテ
ィブでご関心をもたれるものはありますか(いくつでも)。
1. 発電した電気の高値買取制度
2. 初期投資への補助制度
3. 無利子・超低利融資、利子補給制度
4. 電力証書による環境付加価値買取制度
5. CO2 削減実績に換算される制度
6. 緑地面積との代替制度
7. 容積率や建ぺい率の規制緩和
8. 他者への屋根貸し制度
9. 債務保証制度
10.不動産取得税・固定資産税等の軽減
11.法人税の税額控除
12.減価償却期間の短縮
13.認定事業者制度設立と業者のサポート
14.その他(
)
3.温室効果ガス削減への取組み
問 11 温室効果ガス(CO2など)削減に対する取組みを行っていますか。もしくは行う予定ですか
(ひとつ)。
1. はい→問 12 へ
2. 行う予定である→問 12 へ
3. いいえ→問 14 へ
問 12 どの様な取組みを行っていますか。もしくは行う予定ですか(いくつでも)。
1. 新エネルギーの導入・設置(太陽光発電等) 2. 省エネの推進
3. 国内排出量取引制度への参加
4. グリーン電力証書の購入
5. 海外からの排出量購入
6.
7. その他(
)
152
植林活動
問 13 温室効果ガス削減への取組における課題は何だと思われますか(いくつでも)。
1. 多くの方法があり、どの方法を選んだら良いのか分からない
2.
どこに相談したらいいのか分からない
3. どの程度費用がかかるのか分からない
4.
どの方法が効果的なのか分からない
5. その他(
)
問 14 問 11 でそのようにお答えになった理由はなぜですか。(いくつでも)。
1. 温室効果ガスをそれほど排出していない
2. 費用がかかるため
3. 削減方法がわからない
4. 既に削減しており、削減余地がない
5. 業界内での自主規制がない
6.
その他(
)
問 15 温室効果ガスの削減のために、どの様な取組みが有効だと思いますか(いくつでも)。
1. 新エネルギーの導入・設置(太陽光発電等) 2. 省エネの推進
3. 国内排出量取引制度への参加
4. グリーン電力証書の購入
5. 海外からの排出権購入
6.
7. その他(
植林活動
)
問 16 温室効果ガスの削減のための取組みで、貴社(貴事業所)における優先順位をお教え下さい。
(カッコ内に順番をご記入下さい)。(※1・2の説明については別紙をご参照下さい)
1. 新エネルギー(太陽光、風力、バイオマス)の導入・設置・・・・・・・・(
)
2. 省エネルギーの推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(
)
3. 国内排出量取引制度(※1)への参加・・・・・・・・・・・・・・・・・(
)
4. 地元のグリーン電力証書(※2)の購入・・・・・・・・・・・・・・・・(
)
5. 海外からの排出量購入・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(
)
6.
植林活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(
)
7. その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(
)
(参考)それぞれの取り組みにおいて CO21 トンを削減する為に必要な費用(目安)
国内排出量取引制度:800~1,200 円/t-CO2
グリーン電力証書の購入:15,000 円~20,000 円/t-CO2
海外からの排出量購入:1,000~1,500 円/t-CO2
植林活動:5,000 円~6,000 円/t-CO2
4.グリーン電力証書について
問 17 近年、様々な機関や自治体により、「グリーン電力証書」という再生可能エネルギーにより発
電された電力に対して環境付加価値を認めて、その取引を行うという制度が広がりを見せてい
ます。「グリーン電力証書」についてご存じですか。(ひとつ)
1.知っている
2. 知らない
問 18 「グリーン電力証書」を購入されていますか。(ひとつ)
1. 既に購入している
→問 19 へ
2. 現在、購入検討中である→問 19 へ
3. 購入を検討していない→問 20 へ
4. 今後も購入を検討しない→問 20 へ
5. 未定
6. その他(
153
)
問 19 「グリーン電力証書」を購入する理由は何ですか(いくつでも)。
1.グリーン電力の普及促進が地球環境保全のために有効であるため
2. 会社・団体の PR のためにグリーン電力の導入が有効であるため
3. CSR(企業の社会的責任)の向上に有効なため
4. 商品・サービスに対する付加価値の向上が可能なため
5. グリーン電力を用いたビジネスに将来性を感じているため
6. 国内での再生可能エネルギーの普及に財献できるため
7. 電力が発電された場所を選ぶことが出来るため
8. 太陽光や風力など電力の種類を選ぶことが出来るため
9. 尐量でも導入が可能であるため
10. その他(
)
問 20 「グリーン電力証書」を購入しない理由は何ですか(いくつでも)。
1. グリーン電力証書についてよく知らないため
2. グリーン電力証書の購入方法がよくわからないため
3. グリーン電力証書の購入費用が高価なため
4. グリーン電力証書を購入しても良い利用方法を思いつかないため
5. グリーン電力証書の購入手続きが煩雑なため
6. 環境対策や CSR(企業の社会的責任)への財献が不透明なため
7. 導入に対する具体的なメリットが分からないため
8. 国内排出量取引制度に参加しているため
9. 海外から排出権を購入した方がコストが低いため
10. その他(
)
問 21 地元(九州)の太陽光発電設備で発電された電力に基づく「グリーン電力証書」が発行された
場合、活用を検討されますか。(ひとつ)。
1.はい
2.いいえ
3.わからない
問 22 グリーン電力証書を購入する際にどのようなインセンティブがあれば、積極的に購入をされま
すか。(いくつでも)。
1. 行政機関の地域内で認証されたグリーン電力証書購入実績(地産)に対する入札の際の
審査点への上乗せなどの優遇措置
2. 購入費用の損金算入などの税制面での優遇
3. 温室効果ガス削減量への算入
4. 行政機関による表彰などグリーン電力証書を購入した企業の環境財献に関する PR
5. 金融機関や信用保証協会からの融資の際の金利優遇
6. 省エネ・温室効果ガス削減などの環境関連の無料の情報提供
7. 各種媒体(テレビ・ラジオ・インターネット)上での PR
8. 購入費用の一部が地域・環境・国際財献に繋がる制度の新設・拡充
9. 購入価格のコスト低下
10. その他(
)
154
問 23 太陽光発電システムの導入支援策の1つとして、「グリーン電力証書」の活用について以下の
2点をお尋ねします。
■太陽光発電設備設置の際に、補助金や低利融資の見返りとして、自社で使用した電力(電力会社
に売却した電力は除く)の環境価値を無償譲渡することは可能ですか(ひとつ)。
尚、環境価値は1kWh あたり 5~10 円程度となっています。(例:10 万 kWh の場合、50~100 万円)
1. 可能
2. 不可能
3. わからない
■グリーン電力証書の活用は太陽光発電システムの普及に関して有効だと思いますか(ひとつ)。
1. 有用
2. 無意味
3. わからない
5.太陽電池関連製品の利用意向と参入意向
問 24 貴社では太陽電池関連事業に取り組んでいますか (ひとつ)。
1. 取り組んでいる
2. 取り組む予定である
3. 取り組んでいない→問 27 へ
問 25 貴社が取り組んでいる(取り組む予定である)太陽電池関連事業は何ですか(いくつでも)。
1. セル/モジュール関連
2. 製造装置関連
3. 部品・材料関連
4. 検査・測定関連
5. システム・施工関連
6.
7. その他(
)
アプリケーション関連(応用製品生産/開発)
問 26 貴社が太陽電池を利用した応用製品を生産/開発される中で、もしくは生産/開発への参入を予
定される中で、お困りの点はありますか(いくつでも)。
1. 情報(関連企業、大学、製品等について) 2. 製品の機能評価・分析
3. 人材
4. ビジネス化する上での相談窓口
5. 適切な取引相手の情報
6.
企業とのマッチングコーディネーター
7. 大学とのマッチングコーディネーター
8.
資金
9. 事業所(ハード)
10. その他(
)
問 27 貴社(貴事業所)では太陽電池を利用した応用製品について、現在生産/開発を行っているもの、
今後生産/開発への参入を予定している(関心がある)もの、また、今後利用したいものはあ
りますか。以下の選択肢からお選び下さい。(いくつでも)。
現在、生産/開発しているもの
参入を予定、参入への関心があるもの
今後、利用したいもの
1. 農業関連(植物工場の電源等)
2. 福祉関連(電動車いす、福祉車両等)
3. 医療関連(医療用電源等)
4. モバイル機器電源(携帯電話等)
5. 自動車用電源等
6. レジャー用電源等
7. 玩具等
8. 防災用電源(各種計測器用電源等)
9. 照明用電源
10.建設関連(工事現場電源等)
11.ウェアラブル電源(衣服等)
12. 情報機器関連(パソコン電源等)
13.道路標識用電源等
14. その他(
)
ご協力いただきましてありがとうございました。
155
【※1 国内排出量取引制度】
企業等が CO2 の削減目標を設定し、その目標の超過達成分(排出枠)や国内クレジット、
京都クレジット(海外からの排出量購入)の取引を活用しつつ、目標達成を行う仕組み。
国内および海外の排出削減実績を活用するもの。
【※2 グリーン電力証書】
再生可能エネルギー(太陽光等)によって得られた電力をグリーン電力として、グリーン
電力を電気そのものの価値との環境付加価値に分けて、環境付加価値を取引可能な証書の
形にしたもの。証書を購入して一般の電気と組み合わせることで、再生可能エネルギーに
よって発電されたグリーン電力とみなす事が可能になる。国内での再生可能エネルギーの
導入促進を目的としたもの。
156
用語解説
環境価値
再生可能エネルギーによって生み出される「電力や熱そのものの価値」以外の二酸化炭素の排出を抑え
ることが出来るという価値のこと。
GEマーク
グリーンエネルギーマーク。製品の製造時に使用する電力をグリーンな電力で賄った事を示すもの。製
品を製造する企業がマークの使用料を貟担して自然エネルギーによる発電を支援する仕組み。
グリーン電力基金
自然エネルギーの普及・促進への財献を希望する参加者から拠出金を募集し、自然エネルギー発電設備
の設置に助成を行う基金。各電力会社もこの拠出金と同額の資金を拠出。助成対象は主に公共性の高い施
設向けである。
コージェネレーション
排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出し、総合エネルギー効率を高めるエネルギー供給システム。
家庭用燃料電池システムであるエネファームや家庭用小型ガスエンジン発電であるエコウィルなどがある。
国内クレジット制度
大企業の資金・技術により中小企業が CO2 を削減した場合、当該大企業がその削減量を自らの削減分と
して自主行動計画等に反映させる仕組み。
CSR(企業の社会的責任)
企業が利益を追求するだけでなく、社会へ与える影響に対して責任を持ち、あらゆる利害関係者に対し
て適切な意思決定をする事。
スクールニューディール制度
学校への太陽光発電設備の導入、学校耐震化の早期推進、ICT(情報通信技術)環境の整備等を行う国
の政策。
スマートグリッド
通信・IT 技術を活用して一定地域内の住宅・工場・公共施設等の電力の需要と供給を調整し、地域内で
の電力利用の最適化を行う仕組み。
認定事業者制度
政府等の行政機関から認定を受けた事業者が手続き等において優遇を受ける仕組み。
ピークカット
電力需要のピーク(頂点)を低く抑える事。複数の電源を組み合わせる、夜間の低需要時に蓄電する等
の様々な方法がある。
余剰電力買取制度(日本版フィードインタリフ)
太陽光発電によって生み出された電力について自宅や自社で消費しきれなかった余った電力を電力会社
が買い取る制度。2009 年 11 月から買い取り金額が現状の 24 円/kWh から 48 円/kWh へ増額される。
リプレイス
「交換する、置き換える」の意。
157
平成 21 年 10 月 30 日
「太陽光発電システム設置における、地場企業参入支
援に関するアンケ-ト調査」へのご協力のお願い
財団法人 九州経済調査協会
拝啓 時下ますますご清祥の段、お喜び申し上げます。
当会は、昭和 21 年に設立された文部科学省認可の学術研究機関であり、地域シンクタン
クの役割を担わせていただいております。
現在、当会では、負団法人九州地域産業活性化センターからの委託を受けまして、「低炭
素社会構築に向けた地域新エネルギー導入政策支援調査」を行っております。
世界的な最重要課題となっている低炭素社会の構築において、太陽光発電は有効な手段
の一つとして位置づけられています。一方、低炭素社会を目指した社会基盤・産業基盤を
構築していくことで経済を活性化しようとする流れ、いわゆる「グリーン・ニューディール
政策」が世界中に広がりつつあります。
九州地域においても、九州経済産業局や九州地方知事会、九州経済同友会等から、様々
な行動計画や方針の提示がなされており、低炭素社会の構築及び産業振興の両方の観点か
ら、官民挙げて太陽光発電システムの導入促進を目指しています。
さらに、国や地方自治体による助成制度の充実や余剰電力買取制度の開始等により、今
後ますます太陽光発電システムの設置ニーズが高まることが予想されます。
本アンケート調査では、九州に立地するハウスメーカー及び設計士、太陽電池販売施工
会社、木造建築業・電気工事業・管工事業の企業を対象に、太陽光発電システム設置にお
ける九州地場企業の参入支援に関する支援策等に対するお考えについて調査することを目
的として実施するものです。
つきましては、ご多忙のなか大変お手数ですが、お答えいただける範囲で結構ですので、
別紙のアンケートにご協力いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。
敬具
■ ご回答にあたって ■
4. お答えいただいた内容につきましては、秘密を厳守し、本調査以外の目的には使用
しません。
5. 甚だ勝手なお願いで恐縮でございますが、11 月 13 日(金)までに同封の返信用封筒
(切手不要)またはFAXにてご返送下さいますようお願い致します。
6. アンケートのお問い合わせについては、下記担当者までお願いします。
【問い合わせ先】
(財)九州経済調査協会 調査研究部 担当:瀬戸口(セトグチ)
、藤井(フジイ)
TEL:092-721-4907
FAX:092-716-4710
158
Email:[email protected]
太陽光発電システム設置における、地場企業
参入支援に関するアンケ-ト調査票
【ご記入にあたって】
1.事業企画ご担当の方にご回答いただければ幸いです。
2.ご回答は 11 月 13 日(金)までに同封の返信用封筒(切手不要)または FAX で送付をお願いします。
3.貴社(貴事業所)単体での状況についてご回答ください。
4.アンケート結果は本調査の目的のみに使用し、他の目的で活用することはございません。
5.本調査票は財団法人九州経済調査協会が実施しております。本調査内容につきましてご不明な点やご
質問等ございましたら下記にご連絡ください。
【お問い合わせ先】
(財)九州経済調査協会 調査研究部 担当:瀬戸口(セトグチ)
、藤井(フジイ)
TEL:092-721-4907
FAX:092-716-4710
Email:[email protected]
貴社(貴事業所)の概要についてお答えください。
貴
社
名
(貴事業所名)
所
在
都・道
地
府・県
市・町
番地
氏名:
ご 担 当 者 様
部署:
ご
TEL:
連
絡
先
FAX:
Email:
年 間 売 上 高
業
(
注
1
1.1 億円未満
2.1 億~5 億円未満
3.5 億~10 億円未満
4.10 億~50 億円未満
5.50 億~100 億円未満
6.100 億円以上
1. 建設業(木造建築工事業)
2. 建設業(電気工事業)
3. 建設業(管工事業)
種
4. 建設業(4、5、6、以外)
5. 卸売・小売業
6.不動産業
)
7.運輸・通信業
8.電気・ガス・水道・熱供給業
9. その他サービス業
10.その他(
従
業
員
数
(
注
2
)
1.20 人以下
2.21~100 人
3.101~300 人
)
4.301 人以上
注1)業種が複数にまたがる場合は、最も割合が高い業種を1つ選択して下さい。
注2)正社員と契約社員の合計です。パート・アルバイトや派遣社員は含めないで下さい。
1.太陽光発電システム設置事業等に対する取り組み状況
問1 現在、貴社において、太陽光発電システム設置(以下、システム設置)に関する事業を展開し
ていますか(ひとつ)。
1.はい→問2へ
2.いいえ→問5へ
159
問2 現在、貴社で展開しているシステム設置に関する事業はどのような分野ですか(いくつでも)。
1.営業のみ(部材の調達から施工までを外注)
2.営業から販売まで(施工は外注)
3.営業から販売・施工まで一貫
4.施工(家屋工事+電気工事)のみ
5.施工のうち、家屋工事のみ
6. 施工のうち、電気工事のみ
7.システム設計・構造設計
8.メンテナンス・アフターサービス
9.その他(
)
問3 現在、貴社において、事業の対象分野(ターゲット)はどのような分野ですか(いくつでも)。
1.新築住宅向け
2.既築住宅向け
3.工場・事業所向け
4.小中学校向け
5.その他公共施設(空港等)向け 6.その他(
)
問4 現在、貴社において、売上げが一番高い事業分野(ターゲット)はどのような分野ですか(い
くつでも)。→※回答後は問8へ
1.新築住宅向け
2.既築住宅向け
3.工場・事業所向け
4.小中学校向け
5.その他公共施設(空港等)向け 6.その他(
)
2.太陽光発電システム設置事業への新規参入について
問5 今後、貴社においてシステム設置事業への新規参入予定、もしくは新規参入への意欲はありま
すか(ひとつ)。
1.はい→問6-1へ
2.いいえ→問6-2へ
3.わからない→問6-2へ
問6-1 問5において、「1.はい」と回答した貴社にお尋ねします。新規参入に向けて具体的に取
り組まれていますか(いくつでも)。→※回答後は問7へ
1.パネルメーカー主催の研修会に参加した
2.太陽光発電協会(JPEA)主催の施工工事に関する無料講習会に参加した
3.地方自治体主催の勉強会等に参加した
4.既に太陽光発電事業に進出している他企業から情報提供を受けている
5.既に太陽光発電事業に進出している他企業へ社員を派遣し研修等をさせている
6.業界誌やインターネット等で情報収集を行っている
7.現在のところ具体的には取り組んでいない
8.その他(
)
問6-2 問5において「2.いいえ」及び「3.わからない」と回答した貴社にお尋ねします。理由
は何ですか(ひとつ)。
1.会社の方針(本業専念や既存事業の不振等)として今後も参入予定なし→設問は終了
2.資金不足→問7へ
3.商品知識や業界情報等の事業の展開に必要な初期段階の知識や情報不足→問7へ
4.販売や施工ノウハウ等の事業の展開に必要な実施段階の知識や情報不足→問7へ
5.今後の業界動向を注視している段階→問7へ
6.その他(
)→問7へ
※問6-2において、「1.会社の方針として今後も参入予定なし」と回答した貴社は、設問はこれで終了
です。ご協力頂きましてありがとうございました。
160
問7 今後、貴社が参入したいと考えている事業分野はどの分野ですか(いくつでも)。
1.営業のみ(部材の調達から施工までを外注)
2.営業から販売まで(施工は外注)
3.営業から販売・施工まで一貫
4.施工のみ(家屋工事+電気工事)
5.施工のうち、家屋工事のみ
6.施工のうち、電気工事のみ
7.システム設計・構造設計
8.メンテナンス・アフターサービス
9. その他(
)
3.太陽光発電システム設置に関しての現在の問題点
問8 システム設置に関して、貴社において現在何か問題点はありますか(いくつでも)。
1.太陽電池パネルの調達
2.部材(架台やパワーコンディショナー等)の調達
3.営業や販売ノウハウの不足
4.施工技術・ノウハウの不足
5.自社の施工人員の不足
6.外注可能な施工業者の不足
7.社員の教育・研修体制
8. 国や地方自治体との補助金等の手続き
9.電力会社との系統連系等の手続き
10.システム設置後のメンテナンスやアフターサービス体制
11.一般への自社の知名度不足と PR ノウハウの不足
12.その他(
)
問9 システム設置事業に関して、業界全体として現在何か問題点はありますか(いくつでも)。
1.太陽電池パネルの調達や取引における太陽電池パネルメーカーとの関係
2.営業時の説明不足や情報不足等によるお客様とのトラブル
3.施工業者による施工品質のバラツキ
4.外注する施工業者の不足
5.販売・施工に関する悪質業者の増加
6. 補助金申請の頻雑さ
7.系統連系の手続き等の電力会社との関係
8.企業同士の意見交換や情報共有等の尐なさ
9.システム設置後のアフターサービスやメンテナンス体制の構築
10.その他(
)
161
4.地元業者等の参入支援策について
※今後、太陽光発電システムの設置ニーズが高まることが予測される中で、パネルを調達出来る
設置事業者等は、設置技術者・従業者等の不足が、地元施工業者や工務店は、パネル調達力や販
売・施工ノウハウの不足が課題となっている。今後、地元工務店の新規参入を促すことで、設置
ニーズに迅速に答えるとともに、地域経済の活性化を目指し、地元工務店の新規参入を支援する
仕組みについて検討しています。
問10 今後の新しい参入支援の制度として、以下の五つの仕組みについて検討しています。
①様々な情報交換や勉強会・研修等のための「場」の設定
パネルメーカーや設置事業者と、新規参入を検討する地元施工業者や工務店が交流出来る「場」や、
業界の動向や同業他社との情報交換を行う「場」、販売・施工技術や施工時の安全対策等の勉強・
研修を行う「場」の設置を想定。
■このような「場」に関心はありますか(ひとつ)。
1. はい
2. いいえ
3. わからない
■想定している「場」で扱う内容について、関心のあるテーマはありますか(いくつでも)。
1.設置事業者と新規参入意欲のある地元工務店との情報や意見交換
2.業界の最新動向の発表
3.太陽電池パネル・電気機器等の各種設置機器の最新情報
4.消費者保護等の販売時に適用される法律の研修
5.施工技術(施工の模範例・推奨例・失敗例等)の研修(施工技術のレベルアップ)
6.施工時に適用される労働安全規則等の法律の研修
7.その他(
)
■貴社(貴事業所)が情報交換したい相手はありますか(いくつでも)。
1. パネルメーカー
2. 製造装置メーカー
3. 材料メーカー
4. アプリケーションメーカー
5. システム・設備メーカー
6. 導入支援コンサル
7. デベロッパー
8. ハウスメーカー
9. 行政
10.電力会社
11.金融機関
12.マスメディア
13.その他(
)
■実施機関(第三者機関)として、どのような機関・団体が良いと思いますか(ひとつ)。
1.設置業者各社で費用を貟担し、業界団体・法人等を新設して運営
2.基準等は業界・有識者で決め、民間企業等が運営
3.国・地方自治体が関係する公社・負団等が運営
4.その他(
)
162
②太陽光発電システム施工時における施工アドバイザー派遣制度
太陽光発電システムの施工に関して、新規参入や取引拡大を目指す地元の施工業者や工務店を対象
として、太陽光発電システム施工技術に関して経験・実績等の豊富なアドバイザーを派遣する制度。
派遣されたアドバイザーの支援により、施工技術のレベルアップを図るもの。
■関心はありますか(ひとつ)。
1. はい
2. いいえ
3. わからない
■実施機関(第三者機関)として、どのような機関・団体が良いと思いますか(ひとつ)。
1.設置業者各社で費用を貟担し、業界団体・法人等を新設して運営
2.基準等は業界・有識者で決め、民間企業等が運営
3.国・地方自治体が関係する公社・負団等が運営
4.その他(
)
③優良施工業者認定制度
品質保証やメンテナンス、導入時の発電シミュレーション等について、一定の基準を満たす太陽光
発電システムの優良施工業者を認定する制度。安心して施工やメンテナンスを依頼できるようにす
るためのもの。
■関心はありますか(ひとつ)。
1. はい
2. いいえ
3. わからない
■実施機関(第三者機関)として、どのような機関・団体が良いと思いますか(ひとつ)。
1.設置業者各社で費用を貟担し、業界団体・法人等を新設して運営
2.基準等は業界・有識者で決め、民間企業等が運営
3.国・地方自治体が関係する公社・負団等が運営
4.その他(
)
④施工に関するチェック機関の設立
施工品質等について、第三者機関の品質チェック体制を構築することで、悪質な施工業者を排除し、
消費者(エンドユーザー)が安心して設置が出来るとともに、チェック機関からの情報のフィード
バックによって、施工技術のレベルアップを目指すもの。
■関心はありますか(ひとつ)。
1. はい
2. いいえ
3. わからない
■実施機関(第三者機関)として、どのような機関・団体が良いと思いますか(ひとつ)。
1.設置業者各社で費用を貟担し、業界団体・法人を新設して運営
2.基準等は業界・有識者で決め、民間企業等が運営
3.国・地方自治体が関係する公社等が運営
4.その他(
)
163
⑤太陽光発電システムの設置を保証する保険制度
システム設置業者と消費者、パネルメーカー等が互いに費用負担し、保険会社がシステム設置につ
いて保証する保険制度を想定。例えば、設置工事に伴う雨漏り等の係るトラブルが発生した場合、
保険を適用することで再工事が可能となり、消費者が安心してシステム設置を行うことを目指した
もの。設置業者がこの保険に参加することで、パネル等部材の優先受給や施工時の安全対策におけ
る国・地方自治体の補助金の受給等何らかのインセンティブを受けることを想定。
■この保険制度があれば、参加することで貴社のビジネスに活用したいと思いますか(ひとつ)。
1. はい
2. いいえ
3. わからない
■この保険制度があれば、消費者は安心してシステム設置が出来るようになると思いますか(ひとつ)。
1. はい
2. いいえ
3. わからない
■貴社において、この保険にどのようなインセンティブがあれば参加しますか(ひとつ)。
1. 優良設置業者としての認証
2. パネル等部材の優先受給
3. 施工時の安全対策等への補助金の受給
4.その他(
)
■このような保険制度があれば、貴社では年間いくらまでなら、保険料として支払うことが可能だと
考えますか(ひとつ)。
1.工事代金の1%未満
2.工事代金の1%~5%未満
3.工事代金の5%~8%未満
4.工事代金の8%~10%未満
5.工事代金の 10%以上
6.その他(
)
問11 上記の参入を支援する取組(①~⑤)のうち、どの取組に一番関心がありますか(ひとつ)。
1.様々な情報交換や勉強会・研修等のための「場」の設定
2.太陽光発電システム施工時における施工アドバイザー派遣制度
3.優良施工業者認定制度
4.施行に関するチェック機関の設立
5.太陽光発電システムの設置を保証する保険制度
6.その他(
)
問12 もしも実施機関(第三者機関)として業界団体を設立するとしたら、貴社では会費として年
間いくらまでなら負担しても良いとお考えですか(ひとつ)。
1.1万円未満
2.1万円~5万円未満
3.5万円~10 万円未満
4.10 万円~20 万円未満
5.20 万円~30 万円未満
6.30 万円~40 万円未満
7.40 万~50 万円未満
8.50 万円以上
9.その他(
)
問13 その他、何かご意見がございましたら自由にご記入下さい。
ご協力いただきましてありがとうございました。
なお、11 月 13 日(金)までに、同封の返信用封筒(切手不要)または FAX で送付をお願いします。
164
低炭素社会構築に向けた
新エネルギー導入政策支援調査委員会
委 員 名 簿
区
分
氏 名
境 一郎
○
委
員
所属・役職
株式会社NTTファシリティーズ
企画部担当課長
新地 哲己
芝浦特機株式会社
代表取締役
杉本 完蔵
太陽光発電協会
幹事会 幹事
熊本大学
学長
富田 剛史
株式会社 CROSS FM
取締役副本部長
西村 正幸
九州電力株式会社
執行役員環境部長
西部電気工業株式会社
営業本部 環境事業部 太陽光発電部 部長
株式会社日本エコシステム
九州支店長
負団法人九州地域産業活性化センター
常務理事
三菱重工株式会社
原動機事業本部 再生エネルギー事業部
太陽電池事業ユニット
技師長(工学博士)
谷口 功
橋本 正
山川 敦司
田中 耕太郎
ゲ
ス
ト
会社・団体
高塚 汎
○印:委員長、50音順
※会社・団体及び所属・役職は、委員就任当時のものを記載しております。
165
低炭素社会構築に向けた新エネルギー導入政策支援調査
委 員 会 審 議 経 過
第1回委員会
平成 21 年7月 31 日(月)13:30~16:00
[九州経済調査協会会議室]
・委員会の発足
・調査企画案の検討
・太陽光発電システムの普及支援策の比較
・主要論点の検討
第2回委員会
平成 21 年9月 30 日(水)13:30~16:00
[九州経済調査協会会議室]
・中間報告
・普及促進策(案)の提案
・アンケート調査(普及促進、地場企業参入)の検討
第3回委員会
平成 21 年 11 月 25 日(水)13:30~16:00
[九州経済調査協会会議室]
・普及促進アンケート調査結果の検討
・地場企業参入アンケート調査結果の検討
・普及促進策(案)の協議
第4回委員会
平成 22 年 1 月 27 日(水)13:30~16:00
[九州経済調査協会会議室]
・報告書(案)について
・太陽電池イベント企画の検討
【事務局】
林
良輔 (負)九州地域産業活性化センター 調査部長
河野 光彦 (負)九州地域産業活性化センター 企画部課長
岡野 秀之 (負)九州経済調査協会 次長
加峯 義隆 (負)九州経済調査協会 次長
藤井
学
(負)九州経済調査協会 研究主査(全体監修、概要、はじめに、第1章、
第2章、第6章担当)
能本 美穂 (負)九州経済調査協会 研究員(第5章、第6章担当)
大庭 義尚 (負)九州経済調査協会 研究員(第2章、第3章、第6章担当)
瀬戸口千尋 (負)九州経済調査協会 調査役(第4章、第6章担当)
166
低炭素社会構築に向けた新エネルギー導入政策支援調査
~太陽光発電システムの普及加速に向けて~
平成 22 年3月発行
発
行: 負団法人 九州地域産業活性化センター
〒810-0004
福岡市中央区渡辺通 5-14-12
TEL:092-713-6735
製
FAX:092-713-4292
作: 負団法人 九州経済調査協会
〒810-0041 福岡市中央区大名 1-9-48
TEL:092-721-4900
FAX:092-722-6205
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