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PDF - 日本学術振興会
様式2
【公表用】
21世紀COEプログラム
機 関 名
平成14年度採択拠点事業結果報告書
東京大学
A<生命科学>
1.申請分野
2.拠点プログラム名称
(英訳名)
B<化学・材料科学>
C<情報・電気・電子>
計
24
Yasuo
Chikara
佐々木 力
Junichi
Kadowaki
Shunsuke
村田 純一
門脇 俊介
Fukushima
Masato
福 島 真人
Matsuura
Hisaki
松浦 寿輝
Takahashi
Tetsuya
高 橋 哲哉
Nakajima
Takahiro
I t o
Abito
Miyamoto
Hisao
Hirono
Yoshiyuki
Okamoto
Takuji
Sakahara
Shigeru
Nobuhara
Yukihiro
Matsuoka
Shinpei
中島 隆博
伊藤 亜人
宮本 久雄
廣野 喜 幸
岡本 拓司
坂原
茂
信原 幸弘
松岡 心平
M i u r a Atsushi
三浦 篤
Imahashi
E i k o
Kitagawa
Sakiko
N o y a
Shigeki
Takada
Yasunari
Okabe
Y u z o
Oonuki
Takashi
今橋 映子
北川 東子
野矢 茂樹
高田 康成
岡部 雄三
大貫 隆
R o b e r t
C a m p b e l l
ロバート・キャンベル
SuekiFumihiko
末木文美士
現在専門
学
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・広域科学・
教授
大学院総合文化研究科・広域科学・
教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・准教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・准教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・広域科学・
准教授
大学院総合文化研究科・広域科学・
准教授
大学院総合文化研究科・言語情報
科学・教授
大学院総合文化研究科・広域科学・
准教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・准教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・広域科学・
准教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・教授
大学院総合文化研究科・地域文化
研究・教授
大学院総合文化研究科・超域文化
科学・准教授
大学院人文社会系研究科・アジア文
化研究・教授
5.交付経費(単位:千円)千円未満切捨 (
年
※副題添場合、記入下(和文)
名
所属部局(専攻等)・職名
名
小 林 康夫
Murata
E<学際・複合・新領域>
大学院総合文化研究科超域文化科学専攻、大学院総合文化研究科広域科学専攻
(拠点リーダー)
S a s a k i
D<人文科学>
D03
<研究分野: 哲学 > (哲学原論・各論) (西洋哲学) (比較哲学) (宗教哲学) (芸術諸学)
<ローマ字>
Kobayashi
拠点番号
(The University of Tokyo Center for Philosophy (UTCP))
4.事業推進担当者
氏
小宮山 宏
共生のための国際哲学交流センター
研究分野及キーワード
3.専攻等名
学長名
度(平成)
交付金額(千円)
役割分担
(事業実施期間中拠点形成計画分担事項)
位
フランス哲学
Ph.D.
科学史
Ph.D.
科学哲学
理修
哲学
文博
文化人類学
学術博
映像論
Ph.D.
哲学
文修
中国哲学
文修
文化人類学
社会修
哲学
学術博
生命論
理博
技術史
理修
認知言語学
Ph.D.
科学哲学
学術博
中世芸能論
文修
美術史
Ph.D.
比較芸術論
学術博
ドイツ哲学
Ph.D.
哲学
理修
批評理論
文修
比較宗教思想
文修
聖書学
Ph.D.
テクスト論
Ph.D.
日本仏教史
文博
拠点リーダー、部門リーダー、「共通感覚」部門
「自然との和解」部門、平成16年12月25日辞退
事業統括、部門リーダー、「自然との和解」部門
事業統括、部門リーダー、「新しい認知」部門
「新しい認知」部門
「共通感覚」部門
事業統括、部門リーダー、「対話の論理」部門
事業統括、「対話の論理」部門
「文化と宗教」部門、平成18年3月31日辞退
部門リーダー、「文化と宗教」部門
「自然との和解」部門
事業統括、「自然との和解」部門
「新しい認知」部門
事業統括、「新しい認知」部門
「共通感覚」部門
「共通感覚」部門
「共通感覚」部門
「対話の論理」部門
「対話の論理」部門
「文化と宗教」部門
「文化と宗教」部門
「文化と宗教」部門、平成17年4月1日追加
「共通感覚」部門、平成17年4月1日追加
「共通感覚」部門、平成17年4月1日追加
):間接経費
1 4
1 5
1 6
42,000
89,000
90,000
1 7
1 8
89,000
81,800
391,800
(8,900)
(8,180)
(17,080)
東京大学(D03)―1頁
合
計
様式2
【公表用】
6.拠点形成の目的
最重要な使命の1つである。
1 拠点形成の目的
3 国際哲学交流拠点を東京大学大学院総合文化研究
東京大学大学院総合文化研究科に、超域文化科学専
攻を主幹として、21世紀に求められる新たな哲学研究・
科に設ける意味
東京大学大学院総合文化研究科における哲学研究は、
教育のための、国際的な拠点「共生のための国際哲学
以下のように、現在求められている国際的な総合的哲学
交流センター」を組織する。その目的は、
研究拠点を形成するのに極めてふさわしい能力と実績を
1) 西欧と北米の二極構造に留まる世界の哲学研究体
示している。
制に対して、西洋中心主義の限界を突破する第三極を形
1)この研究科で活動する哲学・倫理学研究者たちは、科
成し、日本を中心とした東アジアの哲学研究・教育のレベ
学史、技術論、社会思想史、認知科学、身体論、言語学、
ルと認知度を、国際的な水準にまで高めること、
表象文化論、歴史学、文化人類学等、すでに多様な分野
2) 21世紀の人類社会が抱える本質的な諸問題を、既存
にわたる既存の諸学を横断して、科学や社会の現実と立
の学問分野にこだわらず、かつ既存の諸科学とのインタ
ち向かう、高度に学際的な研究を実践してきている。この
ーフェイスを通じて、知の全体を横断して解決するため
ような学際的な研究体制を持つ研究機関は、わが国に
の、新たな総合的な「哲学・倫理学」を形成すること、であ
は他にない。
る。
①主幹となる超域文化科学専攻には、狭義の哲学・倫理
学のみならず、西洋・非西洋(中国哲学、インド・仏教思
2 拠点形成の必要性
想、日本思想史などを含む)思想史、文化人類学、表象
1) 第三極を形成する必要性について
文化論、比較文化論など、各分野を横断した多数の関連
1. 従来のわが国の哲学研究は、西欧と北米の研究成果
研究者が集まり、日常的に対話・交流しつつ研究・教育を
を正確に受容し解釈する点では高度の水準に達してい
行なっている。
たが、研究教育両面において国際交流に消極的であっ
②広域科学専攻の科学史・科学哲学、情報科学研究者、
たために、世界の最先端研究現場での存在感に欠けて
国際社会科学専攻の公共哲学、社会思想史研究者、言
いた。わが国の哲学・倫理学研究を世界最高水準に高め、
語情報科学専攻の言語科学研究者、地域文化研究専攻
その成果を世界に発信して存在感を高めるためには、国
の思想系研究者など、異なる専攻の関連研究者との間
内に国際的な哲学研究教育センターを設立することが不
で、既に「駒場哲学協会」として共同の研究体制を立ち上
可欠である。
げ、定期的に公開研究会を開くなど実績を積み重ねてき
2. 従来の西欧・北米中心の世界の哲学研究体制下では、
ている。
日本や東アジアで顕著な哲学的諸問題が注目されず、
2)「ミシェル・フーコーの世紀」、「日米現象学会」、「伝統
排除すらされる傾向にあった。東アジア諸国の哲学研究
と近代―歴史的・学際的コンテクスト」、「知の総合」等、
者とのネットワークを形成・強化し、恒常的な共同研究体
国際的な哲学研究会議の中心となった実績を積んできて
制を可能にするセンターの設立が不可欠である。
いる。
1) 総合的な「哲学・倫理学」研究拠点を形成する必要性
なお、総合文化研究科・超域文化科学専攻を中心とした
研究者たちは、本COEプログラム終了後も、それによっ
について
今日、諸科学の現場、現実社会等、あらゆる領域で新
たな哲学的諸問題が浮上し、哲学への強い期待が生じ
て構築された国際的哲学ネットワークを、自らの研究計
画へと統合し更に発展させる意図を持っている。
ている。近代技術がもたらした、自然と人間の危機的断
絶を受けての、人間と自然との関係の再編成に貢献しう
る技術の哲学が求められている。新たな期待を背負う認
知科学も、人間についての哲学的考察なしにはそのアポ
リアを克服できない状況にある。国際社会に目を転ずる
と、世界を覆う「グローバル化」のひずみが、対立と暴力
を越えた新たな対話の論理の必要性を痛感させている。
多様な文化・宗教・民族がいかにして和解と共生に至れ
るのかを明らかにする倫理の構想も、哲学に課せられた
東京大学(D03)―2頁
様式2
【公表用】
研究代表責任者の他に、部門に少なくとも1名ずつ、海外
7.研究実施計画
の有力な哲学者を「客員フェロー」として招聘。これらの
招聘研究者による、内外の若手哲学研究者を対象にした
7−1.研究拠点形成実施計画
定期的なセミナーを運営するが、拠点の研究体制を補佐
するため、若手フェローを選任。そして、国内外を問わず
1 研究計画
5つの研究部門を設定し、事業推進担当者の各々が、
有望な若手研究者たちを部門に2、3名ずつ採用し、彼ら
どれか1つの部門に属して、部門ごとに設定された研究
がセミナーを通じて研究を進展させられるよう援助し、競
課題の遂行に責任を持つ。但し、すべての事業推進担当
争の機会を与える。国内の若手研究者は、全国の大学
者は、部門の枠を超えて交流し、センター全体の包括的
から公募。
な研究課題にも責任を持つ。
2) 包括的なテーマを設定し、これらの哲学研究者たちと
1. 自然との和解
共同で国際的研究を推進する。
自然科学の進展の生命と環境への影響を哲学的・倫
3) 上記の5部門ごとに、研究チームを結成し国際共同研
理学的に評価するための理論を整備し、科学と自然とを
究を推進する。
和解させる新たな「技術の哲学」を提示。生命論、技術史、
4) 国際的な研究会議を1年に1-2回、センター主催で開
科学史等の成果をふまえた哲学的枠組みを構築し、社
催する。
会に提言することをめざす。
5) 以上の課題を遂行するため、海外の諸機関との提携
2. 新しい認知パラダイム
を重視する。パリの国際哲学コレージュ、パリ第8大学、
認知言語学・心理学、ロボット工学、複雑系研究等の科
米国のデューイ・センター、韓国のソウル大学、中国の
学者たちと連携し、認知主義、脳科学モデル以降の、新
北京大学等との提携が可能であり、想定されている。
たな認知パラダイムを発展させ哲学的認知研究と認知科
6) 研究成果を英語(あるいは仏語、独語、中国語など)と
学的研究の本格的な共同作業を行う。
日本語により出版する。
3. 共通感覚の構築:想像力と身体の理論
7) 社会人や学校教員、一般研究者などを対象とした啓蒙
芸術全般についての包括的な想像力理論の探究によ
り、合理性と共生の倫理の基礎としての、身体を持つ感
的なセミナーを公開で組織し、研究の成果を社会に還元
する。
性的人間主体のあり方を明確にする。日本文化に蓄えら
7−2.年度別の具体的な研究拠点形成実施計画
れてきた身体性の理論にも注目する。
4. 対話の論理:公共性と合理性の探究
近代啓蒙主義の単純化された合理性の理論に代え、
平成14年度: 「研究代表責任者」選任、組織運営体制を
個と文化の尊厳・多様性を損なわない、理性的な対話の
確立。開設記念シンポジウムを開催。
論理を構築する。従来の政治・法・経済・歴史哲学の枠に
平成15年度: プラグマティズムと技術について国際研究
とらわれず、他者との関係における人間の全体性を踏ま
会議等を開催。
えた公共性の創出をめざす。
平成16年度: 第3の認知パラダイムについて認知科学
5. 文化と宗教における共生:アジアの視点から
者たちとの共同研究等を開始。東アジアの研究者とのネ
文化的多様性と宗教的多様性が国際社会にもたらす
ットワークに基づき「一神教文明との共生」等をテーマに
諸問題を、人類学、宗教学、比較文化研究、ジェンダー研
した共同研究を開始。
究と連携しつつ解明し、共生のための倫理の提言をめざ
平成17年度: 「認知言語学の哲学的基礎づけをめぐっ
す。特に、アジア諸文化・諸宗教の共生の可能性に向け
て」をテーマとした国際研究会議や「法・暴力・歴史」をテ
ての日本の役割を明らかにする。
ーマとした東アジアネットワークによる国際研究会議等を
2 研究計画の実施方法
開催。
1) センターの活動の中心は、国際的な哲学研究・教育拠
平成18年度: 5年間の活動を総括するとともに本プログ
点にふさわしいセミナーの運営に置かれる。セミナー全
ラム終了後の国際的哲学交流拠点の活動計画を策定す
体の「研究代表責任者」として、日本人・非日本人を問わ
る。包括的な研究テーマにかかわる成果報告書の出版。
ず国際的に有力な哲学者1名をセミナーの組織者として5
年通期で招聘し、国際社会への哲学の発信の体制を整
備する。
東京大学(D03)―3頁
様式2
【公表用】
で集中的な哲学教育を実施する。とくに客員フェローが
8.教育実施計画
学期中に滞在できない場合には、夏休み期間中に来日
し、集中的なサマー・セミナーを主催してもらう。
基本理念
センターの運営の中心は、「研究拠点形成実施計画」で
3)総合文化研究科における研究者間で推進されてきた
述べたように、5部門ごとに招聘される海外有力研究者
学際的研究(「拠点形成の目的・必要性」の3を参照)に、
(客員フェロー)と事業推進担当者によって行なわれるセ
若手研究者を積極的に参加させることで、わが国の大学
ミナーにあるから、教育活動は研究とともにセンターの
院教育レベルでは進展の遅れていた、高度の学際的な
活動の中心部分を占める。
哲学教育を実現させる。
哲学を含むわが国の人文系大学院教育は、従来、高い
水準にありながら、世界的な最先端研究現場から切り離
4)選任された若手研究者(ポスドク)が、国際学会に出席
され、専門性に集中して、ともすれば国内で自足する傾
・発表するための支援を行う。
向があった。本センターはこのような限界を打破するた
め、研究のみならず教育活動にも大胆な「国際性」と「学
5)若手研究者は、客員フェローと事業推進担当者の指
際性」と「競争」を導入する。
導のもとに研究計画書を作成し、その計画の成果報告書
を定期的に提出する。成果報告書に基づいて、選任年限
の延長等を決定する。
実施計画
1)中心は客員フェローと事業推進担当者によって本セン
6)若手研究者の優れた研究成果は、センターが主催す
ターで行なわれるセミナーである。
る国際研究会議で発表させ、センターが出版する報告書
①客員フェローは、約1学期間、本センターに滞在し、
に掲載する。
少なくとも1つのセミナーを担当する。使用言語は英語そ
の他の外国語。セミナーの主たる参加者は、総合文化研
7)事業推進担当者と公募された若手研究者は、本センタ
究科を中心とする東京大学の大学院博士課程在籍者で
ーでの国際共同研究の成果を受けて、最終年度から、社
あるが、これに東京大学を含む国内・国外から公募され
会人、学校教員、一般研究者などを対象とした啓蒙的な
た若手研究者(各部門2-3名のポスドク)が参加し、事業
セミナーを開始する。これのモデルはフランスの国際哲
推進担当者も参加するので、博士課程在籍者は世界レ
学コレージュ(CIPH)が運営している公開セミナーであ
ベルの先端的な哲学教育を受け、高度の競争的環境で
り、社会人や学校教員などが仕事に差し支えなく参加で
研究することが可能となる。
きるよう、夕刻から開始する。哲学への関心が一般社会
②客員フェローは1学期にわたり滞在する代わりに、2
で再び高まっている今、世界最高水準の研究成果を社会
週間程度の滞在期間で集中的にセミナーを行なうことも
に公開し還元することは、本センターの重要な使命の1
できる。
つである。
③客員フェローが滞在できない学期には、事業推進
担当者が、英語その他の外国語による代わりのセミナー
を実施する。
④客員フェローによるセミナーに参加した総合文化研
究科博士課程在籍者は、そのセミナーにおいて成績評
価を受け、博士課程の必要単位認定を得ることができ
る。
⑤本センターの「研究代表責任者」は、セミナーの研
究・教育を統括するだけでなく、年に1度「特別セミナー」
を主催するとともに、若手フェロー、若手研究者に適宜国
際的な研究遂行についての、アドヴァイスを与える役目
を担う。
2)部門ごとにサマー・セミナーを適宜開催し、合宿形式
東京大学(D03)―4頁
様式2
【公表用】
ム」の国際会議等により、現代技術の多元性・予測不可
9.研究教育拠点形成活動実績
能性が哲学的に解明され、国際ワークショップ「共生のた
めの技術哲学」を通して、ユニヴァーサル・デザインの技
①目的の達成状況
術思想的意義についての、多くの知見が得られた。又、
1)世界最高水準の研究教育拠点形成計画全体の目的達
その他のセミナーやワークショップ等により、中国語・日
本語における東アジア数学史文献の編纂問題における、
成度
技術的および思想史的課題の解明や、東アジア数学史
哲学に関する世界の第三極を形成するという当初の計
の一環としての日中数学交流の歴史の精密化、医学思
画は、まずアジアにおいて東アジア現象学会や東アジア
想の比較思想的考察がなされた。
女性哲学ネットワークの構築、域内研究者のネットワー
第2部門では、主として、知覚の哲学や認知科学・神経科
クの構築が想定以上の成果をあげ、かつその場を北米・
学の哲学についての新知見が得られた。2004年度から
欧州という2つの極に開いていくという構造もうまく機能し
2003年度にかけてのドレイファス教授との共同研究を通
ている。この5年間に世界から延べ293名もの研究者を
して、非概念的知覚・認知の位置づけについて、従来の
招聘し、かつ事業推進担当者を中心に、しかし他のメン
分析哲学の手法を超える考察の可能性が展開され、重
バーも加えて、海外への派遣も積極的に行った。すでに
要な知見が得られた。又、「プラグマティズム」会議を通じ
本COEによって、欧米の研究者とアジアの研究者との共
て、ハイデガーの技術論の持つ意味が、プラグマティズ
同討議の場は一時的なイベントとしてではなく、継続的な
ムとの対比によって明らかにされた。2004年度には、テ
流れとしてもはや消えることのない展開となっている。ま
イラー教授、ドレイファス教授との共同研究を通して、非
た、学問間のインターフェイスを通じて、「世界的な共生」
表象的な認知に基盤として、直接実在論にどのような基
のために新しい研究領域を開拓するという目的は、神経
礎を与え得るかについて、従来にない考察の視点を得る
倫理の連続ゼミ、技術の哲学の展開など、自然科学と人
ことができた。2005年度では、「認知言語学の哲学的基
文科学の境界領域において大きな成果をあげている。日
礎」国際会議等で、認知意味論を通した、論理、思考、数
本からの発信という課題も佛教についての公開ゼミなど
学などの発生について、従来の哲学では得られなかっ
順当な成果をあげた。以上を総合的に判断して、想定以
た重要なメカニズムが解明された。そして、2006年度に
上の成果を挙げたと総括できる。
は、メッツィンガー教授のセミナー等を通して、神経科学
が認識論や心の哲学の諸問題に関して与える含意が解
明され、ノエ教授のセミナーを通して、知覚についての斬
2)人材育成面での成果と拠点形成への寄与
新な哲学的見方が検討された。さらに、第1、第2両部門
各年度ごとに、博士課程修了者(PD)と博士課程在籍者
が関わる東アジア現象学会議では、現代の現象学の非
(RA)をあわせておおよそ20名前後、採用し、若手研究者
常に多様な展開からの知覚の哲学や技術の哲学に関わ
として育成した。セミナーやシンポジウムなどに彼らを参
る多くの知見が得られた。
加させて、第一線の著名な研究者の息吹にじかに触れさ
第3部門では、テキストとイメージ、身体性、仏教思想に
せ、質疑応答や研究発表を通じて国際的なレベルでの
ついての知見が得られた。2003年度のクリスタン教授と
研究活動の重要性を認識させた。その結果として、彼ら
の共同研究や2005年度のパリ第七大の「イマージュとテ
は自ら研究班を組織し、内外の研究者と交流して活発に
クスト」センターとの共同研究により、文字テクストと絵画
研究活動を展開するとともに、その成果を論文として学
イメージとの相互作用を解明する方法論が精密化され、
会誌やUTCP研究論集に公表するという多大な成果をあ
多様なジャンルを横断する、テクストとイメージの関係に
げた。このような若手研究者の活動は、UTCPの研究活
ついての斬新な知見が得られた。又、2003年度のバル
動全体のなかでも重要な位置を占めるようになり、研究
ト・シンポでは、従来にないバルトの多面性が、特に日本
教育拠点の形成に多大な寄与をなした。
文化とのかかわりから明らかにされた。2004年度では、
日本思想における身体性の意義を思想史的に解明する
3)研究活動面での新たな分野の創成と、学術的知見等
ことができた。2006年度には、フォール教授との共同研
究で、現代の仏教学についての斬新な知見が得られ、ベ
第1部門では、主として、技術の哲学や科学技術史につ
ルリンでのシンポジウムを通して「こころ」の概念につい
いての新知見が得られた。2003年度の「プラグマティズ
ての日本独自の哲学的見地についての究明がなされ
東京大学(D03)―5頁
様式2
【公表用】
た。
日本の思想の発信を趣旨として日独センターとの共催に
第4部門では、国家、法、歴史、暴力についての探求がな
よる「こころ」(ベルリン)、「東アジアにおける近代と道徳」
された。2004-2003年度では、新たな共同体モデルの可
(ニューヨーク)などさまざまな主題に及んでいる。なか
能性に関する対話を深化させ、東アジアの伝統に対する
には、「哲学と教育」(パリ)、「BESETO哲学会議」(ソウ
哲学の意味を解明する共同研究が推進された。2004年
ル)など若手研究者中心の発表・対話の会も設定されて
度には、延世大学でのワークショップ等を通じて、歴史に
いる。このように、部門の活動とプロジェクト型の活動は
おける記憶・暴力・植民地主義の関係を理解するための、
有機的にリンクしていた。
歴史学的、哲学的方法論が精緻化された。2005年度では、
国際会議「東アジアにおける法・歴史・暴力」や関連セミ
5)国際競争力ある大学づくりへの貢献度
ナーを通して、近現代の東アジア地域の暴力の歴史に
ついての認識の方法論が構築され、そうした歴史の乗り
上記のような海外への発信的な展開は、海外の大学・研
越えへの道筋が検討された。2006年度では、一方、近現
究者からきわめて強い関心を引き起こし、多くの研究者
代の東アジア地域の文学・思想の展開が解明された。
が参加をしてくれた。双方向的なこうした研究交流の実
第5部門では、宗教の哲学についての探求が主としてな
践こそ、真に意味のある国際競争力である。
された。2003年度では、ジフレ教授との共同研究を通じ
て、宗教の共存の問題が、哲学的に明瞭化されたが、こ
6)国内外に向けた情報発信
の研究は2006年度のウィーンでのシンポジウムを通して
の宗教間の対話と共生との可能性の探求で総括された。
原則として外国語の論文を掲載するUTCP Bulletinを2003
他には、2004年度には、招聘研究者との共同研究を通し
年度より刊行し、UTCPの研究成果を国内外へ発信した。
て、ヘレニズム思潮やヨーロッパ中世教会史についての
日本語の論文から成る『UTCP研究論集』も同年度より刊
新たな方法論が検討され、2005年度には、近代の超克
行した。又、国内向けには、UTCP叢書として、『いま哲学
のオルタナティブとしての「石牟礼文学」の考察を通して、
とは何か』及び『共生のための技術哲学:「ユニバーサル
新しい思考法が検討された。2006年度では「恨」の概念
デザイン」という思想』をも刊行した。さらに、国内外へ向
についての哲学的検討も行われた。
けて、事業推進担当者の一部の外国語論文の個人毎の
全ての部門にまたがる、UTCPの事業の重要な柱の1つ
選集、Collection UTCPを最終年度に刊行した。これは、
として、歴史的な事情から従来その試みがほとんどなさ
真に国際的な交流のためには、集合的な論文集では、
れてこなかった東アジア地域における哲学研究者ネット
効果が薄く、人文科学においてはまさに研究者のひとり
ワークの形成があったが、これは、開設記念シンポジウ
ひとりの個人的な研究のバックグラウンドの理解がぜひ
ムや東アジア現象学会議、東アジア女性哲学ネットワー
とも必要であるという認識に基づいて、今後の交流を一
ク会議、数多くのセミナー、ワークショップにより、大きな
段階レベルアップするためには、不可欠なものと考えて
進展を遂げた。
あえて制作に踏み切ったものである。海外での欧文講演
やそれに類するテクストを十数本以上集積していること
4)事業推進担当者相互の有機的連携
を基準にして、村田純一、高田康成、中島隆博、小林康
夫の4名分を作成し、海外の研究者を中心にして配布し
2004年以降、拠点リーダーの強いリーダーシップのもと
ている。
に、それぞれの部門の枠を超えた事業推進担当者の連
7)拠点形成費等補助金の使途について(拠点形成のた
携様態をその度ごとに作り出し、そのチームをもって海
め効果的に使用されたか)
外において数度の研究発表・研究交流のシンポジウムを
組織した。この海外発表は、第一部門主導で、技術哲学
「設備備品費」は、各部門の研究図書の購入に一部当て
者のアンドリュー・フィンバーグと協同した「技術・文化・
られたほか、主に、UTCP事務局のコンピュータ、その他
認知」(ヴァンクーヴァー)、第三部門主導でパリのアンヌ
の機器・什器、コピー機に当てられた(最終年度には支
ーマリ・クリスタンとの協同による「文字とイメージ:新しい
出なし)。
アプローチ」(パリ)、ヴェネチア市長でもあるマッシモ・カ
「旅費」は、海外研究者の招聘旅費、招聘外国人滞在費、
ッチャーリとの協同で民間の文化財団であるプラダ財団
および海外研究機関との提携旅費・海外調査旅費に当て
と共催した「二十世紀の思想を巡る日欧対話」(ミラノ)、
られた。
東京大学(D03)―6頁
様式2
【公表用】
「人件費」は、特任教授・若手フェロー給与、若手研究者
(PD、RA)経費、国際会議・講演会における講演謝金、通
訳・翻訳・校閲等謝金、事務局の事務員の派遣経費に当
てられた。
「事業推進費」は、事務局における消耗品費、ポスター・
パンフレット等の印刷費、学会予稿集・センター論集等の
印刷費、事務機器借料、国際会議における同時通訳費用、
国際会議におけるレセプション等の会議費、事業委託費、
雑役務費等に当てられた。
②今後の展望
次期のグローバルCOEには、今回の三極構造をさらに
発展させてイスラーム文化の問題を理解し取り組むプロ
グラムを設け、さらに部門を拡充して、より現代の課題強
く応える方向での発展構造、加えてこれまで培った海外
研究者との継続的な研究を「国際哲学教育コンソーシア
ム」を形成して、若手研究者の国際的な教育プログラム
を軸とする発展案をもって応募すると同時に、東京大学
内において現在、構想されている文系のための「高等研
究所」(仮称)に、その活動の中核を担う広い意味での
「哲学」の国際センターとして組み込まれることが計画さ
れている。
③その他(世界的な研究教育拠点の形成が学内外に与
えた影響度)
本COEは他のCOEとも連携しつつ、教養学部の1、2年生
へのシンポジウムや講演会などを積極的に組織してき
た。また、仏教連続ゼミなどは一般へも公開したが、毎回
多くの参加者があり、新聞等にも大きく報道された。本
COEの活動は学内外の広い意味での「哲学」の問いが現
代的に共有される場を創り出した。また、本COEの成果
は、COE発行の論文集だけではなく、各種シンポジウム
の成果は東京大学出版会などから一般向けの専門書と
してその成果が公刊されている。
また、世界的にも、当哲学センターの存在は明確に認
知されつつあり、パリの国際哲学コレージュをはじめとし
て、海外の研究者からは連携ないし共同研究への希望
が数多く寄せられている。アジアの哲学研究のハブ機能
は国際的にも認められており、また、国内の他大学の研
究者と共同研究の活動も盛んである。
東京大学(D03)―7頁
様式3
21世紀COEプログラム
機
関
名
拠点のプログラム名称
平成14年度採択拠点事業結果報告書
東京大学
拠点番号
D03
共生のための国際哲学交流センター
1.研究活動実績
①この拠点形成計画に関連した主な発表論文名・著書名【公表】
小林康夫(分担執筆)、高橋康也編、岩波書店、『声と身体の場所』、275-310ページ、2002年
小林康夫、「死と欲望̶̶ディコンストラクションの原・光景̶̶」、『思想』、No.969、49-62頁、2005
小林康夫「雪舟の方へ̶メルロ=ポンティの「両義性」の哲学から」(河合隼雄他編『あいまいの知』(岩波書店)pp.245-263、2003
小林康夫『表象の光学』(未来社)317p、2003
小林康夫編著、未来社『いま、哲学とはなにか』、総250頁、2006
伊藤亜人、「山と海にみる韓国の世界観」、『地理』、vol 48.3月号(通巻511号)、8−13、2003年3月
伊藤亜人、「朝鮮半島における王権の正当性」、網野善彦他編、岩波書店、『天皇と王権を考える。10:王を巡る視線』、279−311、
2002年11月
今橋映子(共著、パンテオン会雑誌研究会編)、ブリュッケ、『パンテオン会雑誌―資料と研究』、総583頁、2004
今橋映子、『ブラッサイ パリの越境者』、白水社、約500p、2007年3月
今橋映子「まなざしの倫理̶報道写真の境界と出版」『文学』岩波書店、pp.97-102、2004
今橋映子『〈パリ写真〉の世紀』、白水社、630p.,2003
今橋映子『展覧会カタログの愉しみ』(編著)、東京大学出版会、264p.,2003
今橋映子編著、NTT出版、『リーディングズ 都市と郊外̶比較文化論への通路』、総471頁、2004
大貫 隆、『イエスの時』、 岩波書店、p326、2006
大貫 隆、『イスカリオテのユダ』、日本キリスト教団出版局、p.270、2007
大貫隆、「終止符と全時的『今』̶ ヨハネ福音書一章3-4節の翻訳に寄せて」、『聖書を読む 新約篇』、新約聖書翻訳委員会編、岩
波書店、23-51+157-165頁、2006年
大貫隆、宮本久雄、山本巍、山脇直司、岡部雄三、「苦難を「用いる」 ̶ パウロにおける十字架と苦難の神学」、『受難の意味 ア
ブラハム・イエス・パウロ』、東京大学出版会、 pp1-68、2006
Onuki, T. Jesus. Geschichte und Gegenwart. (Biblisch-Theologische Studien 82). Neukirchner-Verlag. p288. 2006
岡部雄三、「マイスター・エックハルトの歴史的境位」、『創文』、2007年3月号
岡部雄三「西谷啓治における西洋神秘思想研究の特徴について」、『UTCP研究論集』、第四号、93-101頁、2006
Yuzo Okabe: "Der dreifach durchbohrte Mensch bei Paracelsus", Manuskripte, Thesen, Informationen, 22(2005) pp39-46
岡部雄三「立志と神 ― 富太郎・敬宇・鑑三 ―」、仙葉豊・高岡幸一・細谷行輝編『言語と文化の饗宴』、英宝社、115-131頁、2006。
岡部雄三・香田芳樹編『ドイツにおける神秘思想の展開』(日本独文学会研究叢書)総81頁、2005年
OKAMOTO Takuji, "The Reconstruction of the Electric Power Industry", A Social History of Science and Technology in Contemporary
Japan vol.2, Trans Pacific Press, pp. 414-453, 2005
OKAMOTO Takuji, Percy Williams Bridgman and the Establishment of Theoretical Physics at Harvard, , Historia Scientiarum,
14:1, pp. 1-48, 2004
OKAMOTO Takuji, Uncertainty and Controllability: Bridgman, Dingler, and Dewey, Historia Scientiarum, 12:3 (March 2003).
岡本拓司、「アインシュタインが来る:大正11年、土井不曇理学士の恍惚と不安」、『科学技術史』第9号、67−85ページ、2006年
岡本拓司「アインシュタインが来た:相対論ブームと日本の科学者たち」、太田浩一・米谷民明・松井哲男編『アインシュタインレ
クチャーズ@駒場』(東京大学出版会)、137−161ページ、2007年
門脇俊介、「ニーチェの「囲い」に抗して」、『思想』第948号、93-110ページ、2003年
門脇俊介、「存在論・プラグマティズム・テクノロジー」、『思想』、No. 974、4-24,2005
門脇俊介、「知覚経験の規範性」、『哲学雑誌』、Vol. 120、No. 792、29-50頁、2005
門脇俊介、NHK出版、『フッサール』、120p、2003
Shunsuke KADOWAKI,
Ontology, Pragamatism, and Technology,
A Companion to Phenomenology and Existentialism (Oxford:
Blackwell Publishing), pp.464-477,2006
北川東子、「『哲学−女性−東アジア』という流れのなかで」 『今哲学とはなにか』、未来社、138-149頁、2005
北川東子、NHK出版、『ハイデガー』、総110ページ、2002年10月
KITAGAWA Sakiko,
Asiastische Werte und die Ethik des Zwischen , Medienanthropologie und Medienavantgarde.
Ortsbestimmungen und Grenzuberschreitungen, Transcript-Verlag, pp. 14-26, 2005
Sakiko Kitagawa, Europa als geographischer Ort, in Papilloud Chr. (ed.) Simmel Studies 13, pp.100-105, 2003
Sakiko Kitagawa、 Asiatische Werte und die Ethik des Zwischen, in: Medienanthropologie und Medienavantgarde. Ortsbestimmungen
und Grenzueberschreitungen. Bielefeld: transcript-Verlag, pp.14-26.2005
ロバート・キャンベル他、『新日本古典文学大系 明治編』巻三『明治漢文小説集』、岩波書店、担当部分128頁、2005年8月
ロバート キャンベル/佐藤知乃責任編集『電子版黒木文庫』(画像・書誌データベース、3,429タイトル所収、2006年3月27日
ロバート キャンベル編.『江戸の声―黒木文庫でみる音楽と演劇の世界』(黒木文庫特別展実行委員会著、東京大学大学院総合文化
研究科教養学部 美術博物館発行、総294頁)、2006年3月発行
ロバート・キャンベル、成田山書道美術館監修、「『書画』の近代」ほか、『近代文人のいとなみ』、成田山書道美術館、207頁、2006
ロバート・キャンベル、東京大学教養学部国文・漢文学教室編、「幕末・読み書き空間の風景」、『古典日本語の世界―漢字がつく
った日本』、東京大学出版会、23頁、2007
坂原茂、「ヴォイス現象の概観」、『言語』vol.32, No.4, pp.26-33、2003
坂原茂、「ヴォイス現象の概観」、『言語』vol.32. No.4. pp.26-33.2003年
坂原茂、「名詞句の探索領域:日本語裸名詞と英語定冠詞句の類似性」、『日本語文法学会第7回大会発表予稿集』、33-42、2006年
坂原茂. 「フランス語と日本語の名詞限定表現」. 木下教授喜寿記念論文集編集委員会(編).『フランス語学研究の現在 -- 木下教
授喜寿記念論文集 --』. 木下教授喜寿記念論文集編集委員会(発売元.白水社). 15-34頁.2005
坂原茂.、「変化述語について」. 『言語・情報・テクスト』. 12. pp1-31. 2005.
佐々木力、東京大学出版会、『デカルトの数学思想』、総600ページ、2003年2月
Chikara Sasaki, Descartes's Mathematical Thought. Dordrecht: Kluwer Academic Publishers, 500p, 2003
東京大学(D03)―1頁
様式3
末木文美士、「死者の発見」、『日本の哲学』6、93‐109頁、2005
末木文美士、『思想としての仏教入門』、トランスビュー、206頁、2006
末木文美士、『日本宗教史』、岩波書店、242頁、2006
末木文美士、『日本仏教の可能性』、春秋社、227頁、2006
末木文美士、筑摩書房、『仏教vs.倫理』、総252頁、2006
高田康成、「西洋の楽園」、『楽園―東と西―』(勉誠社)、平成17年12月、pp. 65-78.
高田康成『イギリス文学(03)』(共編)、放送教材社、pp.315、2003
TAKADA Yasunari,
Postmodern Girl , Cultural Studeis in Asia, Seoul National University Press, pp. 157-183, 2004
TAKADA Yasunari, Shakespeare as Shake-Scene , Studies in World Literature and Translation (Peking University) , pp. 9-13, 2004
Takada, Yasunari.
A Shakespearean Distance . Shakespeare Studies. XLIII 1-32. 2005.
高橋哲哉(北川東子、中島隆博と共編)、『法の暴力の記憶―東アジアの歴史経験』、東京大学出版会、337ページ、2007年3月
高橋哲哉、「「絶対」の思考」、『現代思想』、第32巻第15号、 127-129頁、2004
高橋哲哉、『「心」と戦争』、晶文社、220p、2003
高橋哲哉、『証言のポリティクス』、未来社、215p、2004
Tetsuya Takahashi,
Japanese Neo-Nationalism:A Critique of Kato Norihiro s
After the Defeat Discourse, From the
Hinomaru and Kimigayo to the Symbolic Emperor System,
Contemporary Japanese Thought, Columbia University Press,
pp.193-22,2005
Tetsuya Takahashi, The national politics of the Yasukuni Shrine, in : Nationalisms in Japan, Routledge, pp.155―180, 2006
中島隆博、「鬼を打つ-白話、古文そして歴史-」、村田雄二郎他編、『漢字圏の近代 ことばと国家』、東大出版会、107―28頁、2005年9月
中島隆博、「胡適と西田幾多郎̶哲学の中国、哲学の日本」、『中国 社会と文化』、第十九号、185-199頁、2004
中島隆博、「国家と戦争̶放にして祀らず̶」、『東洋大学哲学論集第二巻 哲学を使いこなす』、知泉書館、159-179頁、2004
中島隆博、「死者を遇する<倫理>―仏教と生命倫理―」、小松美彦他編『宗教と生命倫理』、ナカニシヤ出版、24―54頁、2005年5月
中島隆博、「小人がもし閒居しなければ̶中国思想における公共空間の論じ方̶」、『公共哲学の古典と将来』、東京大学出版会、101-144頁、2005
信原幸弘、「生命のひろがり」、日本哲学会編『哲学』No.54、131-141ページ、2003年4月
信原幸弘、「知覚とモリヌークス問題」、『思想』、No.970、24-41頁、2005
信原幸弘、「直観と理論」、『現代思想』、第33巻第2号、136-146頁、2005
信原幸弘「コネクショニズムと日常的推論」、『心の科学と哲学̶コネクショニズムの可能性』戸田山和久・服部裕幸・柴田正良・美
濃正編、昭和堂、pp.226-245、2003
信原幸弘「知覚の透明性」『思想』第986号4頁 26頁、2006年
野矢茂樹、「アキレスと亀のパラドクスにけりをつける」、『思想』、No.966、63-77頁、2004
野矢茂樹、「宿命論について」、『科学哲学』、第37巻第2号、47-58頁、2004
野矢茂樹、『新版 論理トレーニング』、産業図書、224ページ 、2006年
野矢茂樹、『入門! 論理学』、中公新書、247ページ 、2006年
野矢茂樹、産業図書、『他者の声 実在の声』、329頁、2005
廣野喜幸(分担執筆)、渡邊格(編)、東京教育情報センター、『生命科学バイオテクノロジー最前線』、303̶339頁、2003年1月
廣野喜幸、「薬害エイズ問題の科学技術社会論的分析にむけて」、『科学技術社会論の技法』、東京大学出版会、75-99頁、2005
廣野喜幸「バイオの50年・科学批判の50年」『蛋白質核酸酵素』、48(5)、pp.611-613、2003
廣野喜幸「ヒトゲノム計画が私たちの社会にとってもつ意味は何だろうか」(東京大学綜合研究会編)、『ゲノム』東京大学出版会、
pp.29-56、2003
廣野喜幸「環境「問題」の現在」、東京大学環境三四郎「環境の世紀」編集プロジェクト編著『エコブームを問う−東大生と学ぶ環
境学』学芸出版、1-28頁、2005
廣野喜幸「生命科学・バイオテクノロジー100年間の推移と未来展望」(渡邊挌ほか編)、『21世紀生命科学バイオテクノロジー最前
線』、東京教育情報センタ、pp303-339、2003
福島真人「宗教3へのプログラム」『岩波講座宗教1 宗教とは何か』岩波書店、pp.215-240、2003
松浦寿輝(分担執筆)、岩波書店、叢書『21世紀 文学の創造』第9巻(ことばのたくらみ)、 261-284ページ、2003年1月
松浦寿輝、『青の奇蹟』、みすず書房、総347頁、2006
松浦寿輝、『方法叙説』、講談社、総163頁、2006
松浦寿輝、「ロラン・バルトの現在」UP、33巻1号(375号)、pp.30-35、2004
松岡 心平 「力動の領域 」 『文学』隔月刊第4巻3号、pp.58-60、2003
松岡心平、『ZEAMI』3号、責任編集、総205頁、2005年
松岡心平「稚児と芸能と天皇 」 『環』12号、pp.258-260、2003
松岡心平「能と富士山--天女の舞の流れ」『国文学 解釈と教材の研究』49巻2号、 pp.84-87、2004
松岡心平『世阿弥を語れば』岩波書店、306p、2003
三浦篤(編)、東京大学出版会、『自画像の美術史』、総204ページ、2003年
三浦篤、『近代芸術家の表象̶マネ、ファンタン=ラトゥールと1860年代のフランス絵画』、東京大学出版会、総500頁、2006
三浦篤「絵画の脱構築−マネの《草上の昼食》とパレルゴン−」、『西洋美術研究』、No.9、pp. 101-125,2003
三浦篤『印象派とその時代̶モネからセザンヌへ』(監修)、美術出版社、363頁、2003
三浦篤『自画像の美術史』(編著書)、東京大学出版会、173p、2003
宮本久雄、『「ヨブ記」物語の今日的問いかけ』、新世社、総76頁、2005
宮本久雄、『恨(ハン)と十字架』、新世社、総64頁、2005
宮本久雄、金泰昌編、東京大学出版会、『文化と芸能から考える公共性 公共哲学叢書15』、総366頁、2004
宮本久雄、新世社、『愛の言語の誕生̶ニュッサのグレゴリオスの《雅歌講話》を手がかりに̶』、総328頁、2004
Hisao Miyamoto, Hayatologie: Histoire de sa naissance, UTCP/Shinseisha,
pp. 48,2003
村田純一、「はじめに」、序論、「ユニバーサルデザイン」の射程、「『共生のための技術哲学:「ユニバーサルデザイン」という
思想』」、7−14、15−28、207−216、2006年
村田純一、『技術の倫理学』、丸善、178頁、2006年
村田純一、岩波書店、『色彩の哲学』、総273ページ、2002年11月
Junichi Murata, Creativity of Technology and the Modernization Process of Japan , in Science and Other Cultures, Issues
in Philosophies of Science and Technology, ed. by Robert Figueros and Sandra Harding, Routledge, pp.252-265, 2003
MURATA Junichi, Thomas Misa, Philip Brey, and Andrew Feenberg eds., The MIT Press, Modernity and Technology, January
pp.227-253, 2003
東京大学(D03)―2頁
様式3
②国際会議等の開催状況【公表】
・ 2002年12月14−15日、東京大学駒場キャンパス、「東アジアにおける「公共知」の創出」(東京大学との共催)、約150人(約20
人)、Prasenjit Duara、李仁浩、白永瑞
・ 2003年3月6日−8日、群馬県草津ハイランドホテル、「東アジア数学史のヒストリオグラフィー刷新のための思想的・文献学的基
礎」、20人(3人)ロシュディ・ラシェド(CNRS)、馮立昇(清華大学)、徐澤林(中国天津師範大学)。
・
2003年3月10日−12日、東京大学駒場キャンパス、2 1世紀COE「共生のための国際哲学交流センター」開設記念シンポジウム「哲
学を変えるのか、哲学が変えるのか」、約200人(約20人)、ヒューバート・ドレイファス、ラシェド、フランソワ・ヌーデルマン。
・
2003年11月7−8日、東京大学駒場キャンパス、
「四大学シンポジウム−もう一つの目で見た東アジア」(東アジア4大学フォー
ラムと共催)、約150人(約20人)、Xu Zhihong(北京大学学長)、Chung Un-Chan(ソウル大学総長)、Dao Trong Thi(ベトナム国
家大学校ハノイ校学長)
・ 2003年11月28−30日、東京大学駒場キャンパス・東京日仏会館、「バルト・共感覚の地平」、約100人(約15人)、蓮実重彦(前東
京大学総長)、 Deepak Ananth(美術評論家)Jean-Marie Schaeffer(E.H.E.S.S.)
・
2003年12月12−15日、東京大学駒場キャンパス、「21世紀におけるプラグマティズムと技術の哲学」、Hilary Putnam(ハーヴァ
ード大学名誉教授)、Richard Rorty(スタンフォード大学教授)、Larry Hickman(サザン・イリノイ大学教授)
・
2004年2月3−4日、東京大学駒場キャンパス「アジアの思想の伝統と近代 ̶hetero-genealogies of
philosophy 」、鄭家棟 (中国
社会科学院教授)、胡軍(北京大学教授)、Joel Thoraval (EHESS教授)
・
11月8日、東京大学駒場キャンパス、「東西医学思想の対話」 、約50人(3人)、Heinrich von Staden (Institute for Advanced
Study, Princeton) 、 Ki Che Angela Leung(梁其姿)(Academica Sinica & National Tsing-hua University, Taiwan)
・
9月27・28日、Simon Fraser University at Harbour Centre, Canada、The Vancouver Workshop, 2004: Technology, Culture and
Cognition、22人(16人)、Andrew Feenberg (Simon Fraser University), Larry Hickman (Southern Illinois University), Alan
Richardson (The University of British Columbia)
・
12月9・10日、韓国ソウル延世大学人文科学研究所、日韓・歴史/哲学ワークショップ「国家暴力・記憶・植民地主義再考」、約
40人(約35人)、白永瑞(延世大学)、金鐘曄(韓国神学大学)、李京塤(延世大学)
・
7月13日・14日、東京大学駒場キャンパスI数理科学研究棟大講義室、Philosophical Foundations of Cognitive Linguistics「認
知言語学の哲学的基礎」、約80人(約10人)、Eve Sweetser (University of California at Berkeley)、Gilles Fauconnier (University
of California at San Diego)、 Rafael Núñez (University of California at San Diego)
・
12月16日、東京大学駒場キャンパス、「時間
物体
空間
-20世紀イタリア芸術をめぐる対話」、約60人(約5人)、岡田温司
(京都大学)、ロベルト・テッロージ(ローマ第二大学トル・ベルガータ)、ファブリアーノ・ファッブリ(ボローニャ大学
・
2006年1月6―8日、東京大学駒場キャンパス、「 東アジアにおける法・歴史・暴力」、約200人(約20人)、徐勇(北京大学)、
Alain Brossat(Université de Paris 8)、金恵淑(梨花女子大学)
・
3月10-12日、東京大学駒場キャンパス、国際ワークショップ「共生のための技術哲学」、約100人(約10人)、Wiebe Bijker
(Universiteit Maastricht)、Langdon Winner(Rensselaer Polytechnic Institute)、Andrew Feenberg (Simon Fraser University)
・
10月10日、北京大学、北京ワークショップ
「科学と文化」(東京大学UTCP、哲学科・科学と社会センター共催)、約60人(約
57人)、孙 小纯 (北京大学)、苏 贤 贵 (北京大学)、韩 林合(北京大学)
・
11月18̶19日、パリ第七大学、Journées franco-japonaises LA LETTRE ET L
IMAGE : NOUVELLES APPROCHES、約50人(約40人)、
Michel Melot、Béatrice Fraenkel、Anne-Marie Christin
・
2006年9月1日―3日、東京大学駒場キャンパス、The Fourth International Conference on Construction Grammar (ICCG4)、約
100人(約10人)、Charles J.Fillmore (University of California, Berkeley)、Adele Goldberg (Princeton University)、Knud Lambrecht
(University of Texas at Austin)
・
9月22-25日、国立オリンピック記念青少年総合センター、2nd International Conference of Phenomenology for East Asian Circle
第二回東アジア現象学会議、約60名(25人)、Cho Kah Kyung(State University of New York at Buffalo)、Lester Embree(Florida
Atlantic University)、李南麟(ソウル大学)
・ 11月 2-3日、ドイツ、ベルリン日独センター、International Symposium on
Kokoro
、約40人(約30人)、John Maraldo (University
of North Florida)、Heinz Wismann (EHESS)、Marion Heinz (University of Siegen)
・ 2007年1月5、6日、東京大学駒場キャンパス、東アジア女性哲学ネットワーク第二回会議:「東アジア的ジェンダー概念」の可能
性と必然性、 約30人(5人)、金恵淑(梨花女子大)、文潔華(香港バプティスト大学)、陳昭如(国立台湾大学)
・
2006年6月27日、ウィーン大学、Forschungsgespräch in Wien: Coexistence of Cultures and Religions̶Asiatishce & europäische
Perspektiven zum Dialog der Kulturen und Religionen、約60人(約55人)、Rudolf Prokschi (ウィーン大学)、Wolfgang Rappert(ウ
ィーン大学)、Mesrob K. Krikorian(アルメニア教会大司教)
・
2006年6月29−30日、プラハ大学、国際シンポジウム「宗教的対話と共生」、約50人(約45人)、L.アルンブルスター
・ 11月8日、パリ国際哲学コレージュ、Forum: Philosophie et Éducation 、約20人(約15人)、Gert Biesta (University of Exeter)
・
2007年1月10日、ニューヨーク大学、Conference on
Morality and Modernity in East Asia
、約30人(約25人)、Zang Xudong
(New York University), Mikhail Iampolski (New York University), Kevin M. Doak (Georgetown Unviersity)
・
2月3̶4日、国立ソウル大学、The 1st BESETO Conference of Philosophy、約70人(約64人)、李南麟(ソウル大学)
東京大学(D03)―3頁
様式3
2.教育活動実績【公表】
博士課程等若手研究者の人材育成プログラムなど特色ある教育取組等についての、各取組の対象(選抜するものであればその方法を
含む)、実施時期、具体的内容
各年度ごとに若手研究者の育成に関する取り組みを記していくことにする。まず、平成14年度は、若手研究者とし
て、研究拠点形成員(PD)7名、研究拠点形成アシスタント(RA)7名、合計14名を採用した。採用の仕方としては、
事業推進担当者による推薦のあと、運営委員会において書類選考および面接を行って決定した。書類選考は、履歴書、
研究業績表、現在までの研究報告、研究計画、主要研究論文の概要と実物を参照して行った。採用された若手研究者は、
15年3月のUTCP開設シンポジウム「哲学を変えるのか、哲学が変えるのか」やH・ドレイファス連続講演会など、
海外研究者を招いた多くのシンポジウムやセミナーなどに参加して、最先端の研究状況を直に学んだ。また、月間報告
書として、毎月、研究活動報告書を提出させた(次年度以降も同様)。
続いて平成15年度には、PD13名、RA5名、合計18名の若手研究者を採用した。PDは、総合文化研究科博士課程
修了者・他研究科修了者・海外大学院修了者のなかから、事業推進担当者により各部門3名を上限とする推薦を行い、
その結果、13名が推薦され、書類選考および面接によって13名全員を採用した。またRAは、総合文化研究科博士課
程在籍者に対して3名∼6名募集の公募を行い、8名の応募者の中から、書類選考および面接により、5名の採用者を
決定した。採用された若手研究者は、15年11月の「バルト:共感覚の地平」や12月の「21世紀におけるプラグ
マティズムと技術の哲学」などの国際シンポジウム、15年5月のA.フィーンバーグ、11月のA.クリスタン、1
6年1月のA.D.デュットマンによる連続講演会など、海外研究者を招いて行われた多くのシンポジウムやセミナー、
講演会に参加して、活発に質疑応答を交わしながら、幅広い知識を吸収した。また若手研究者は、自らの専門研究を発
表して相互に検討し合う月例会を設け、一人につき3時間程度の濃密な意見交換を行い、自身の問題意識を深化させた。
これには研究代表責任者と数人の事業推進担当者も出席して、議論に参加した。
平成16年度には、PD15名、RA9名、合計24名の若手研究者を採用した。PDは、総合文化研究科博士課程修了者・
他研究科修了者・海外大学院修了者の中から、事業推進担当者により各部門3名を上限とする推薦を行うとともに、東
京大学大学院博士課程修了者の中から3名募集の公募を行い、その結果、11名の推薦、10名の応募があり、書類選
考および面接により15名を採用した。またRAは、総合文化研究科博士課程在籍者に対して10名募集の公募を行い、
12名の応募者の中から、書類選考および面接により、9名の採用者を決定した。若手研究者は、16年5月のJ.ト
ラヴァールや6月の李泰鎮による連続講演会などに参加して、活発な議論を交わしながら、自身の問題意識を先鋭化さ
せた。また一部の若手研究者は、16年9月のThe Vancouver Workshop 2004: Technology, Culture and Cognition
(バンクーバー)や、12月の日韓・歴史/哲学ワークショップ「国家暴力・記憶・植民地主義再考」(ソウル)に参
加して、研究発表を行った。本年度の若手研究者は「方法論」「感覚の論理・身体の思考」「政治哲学研究セミナー」
「科学における言葉の運用」の4つの研究班を事業推進担当者の指導のもとに組織し、16年12月の「身体の思考・
感覚の論理」などのワークショップの開催や、彼らの研究成果をまとめたUTCP研究論集の刊行を行った。
平成17年度には、PD14名、RA11名、合計25名の若手研究者を採用した。PDは、総合文化研究科博士課程修了
者・他研究科修了者・海外大学院修了者の中から、事業推進担当者により各部門3名を上限とする推薦を行うとともに、
東京大学大学院博士課程修了者の中から3名募集の公募を行い、その結果、9名の推薦、11名の応募があり、書類選
考および面接により14名を採用した。またRAは、総合文化研究科博士課程在籍者に対して10名募集の公募を行い、
17名の応募者の中から、書類選考および面接により、11名の採用者を決定した。なお、10月に推薦による2名の
RAの追加選考を行い、採用した。採用された若手研究者は、17年7月の「認知言語学の哲学的基礎」や18年1月の
「東アジアにおける法・歴史・暴力」などの国際シンポジウム、17年10月の白永瑞、11月のJ.マクダウエル、
11月から12月のA.ブロサらによる連続講演会などに参加して、鋭い質問や的確なコメントを行った。また「実践
と環境」「政治と美学」「近代政治システムと東アジア」「科学における言葉の運用」「表象の諸相」の5つの研究班
を組織し、ワークショップの開催や、彼らの研究成果をまとめたUTCP研究論集の刊行を行った。
最終の平成18年度には、PD17名、RA13名、合計30名の若手研究者を採用した。PDは、総合文化研究科博士課
程修了者・他研究科修了者・海外大学院修了者の中から、事業推進担当者により各部門3名を上限とする推薦を行うと
ともに、東京大学大学院博士課程修了者の中から若干名を募集する公募を行い、その結果、12名の推薦、10名の応
募があり、書類選考および面接により17名を採用した。またRAは、総合文化研究科博士課程在籍者に対して5名∼1
0名募集の公募を行い、17名の応募者の中から、書類選考および面接により、13名の採用者を決定した。若手研究
者は、19年1月のT.メッティンガーの連続講演会などに参加するとともに、本年度はとくに、18年9月の第二回
東アジア現象学会議(東京)、11月の「哲学と教育」フォーラム(パリ)、19年2月のソウル大学、北京大学、東
京大学の若手研究者の哲学交流会「BSETO」(ソウル)などで研究発表を行い、国際的な発信力に磨きをかけた。
また「神経倫理」「政治哲学」「東アジアにおける複数の近代」「科学における言葉の運用」「表象の諸相」の5つの
研究班を組織し、まだ誕生して間もない神経倫理についてその教科書作りを目指して研究を行うなど、活発な研究活動
を展開し、その成果をまとめたUTCP論集を3巻、刊行した。
東京大学(D03)―4頁
機関名: 東京大学 拠点番号: D03
21世紀COEプログラム委員会における事後評価結果
(総括評価)
設定された目的は概ね達成され、期待どおりの成果があった
(コメント)
研究教育拠点形成計画全体については、設定された目的は概ね達成し、期待どおりの成果があっ
たと評価できる。今回のプログラムは総合文化研究科が中心となっていたが、今後の展開において
は、人文社会系研究科等の関連研究者の協力も得て、一層の研究の高度化と学際化を図ることが望
まれる。
人材育成に関しては、国内外の学会発表や海外への研修派遣など概ね評価できるが、学位取得者
の数が専攻によって偏りが見られるので、一層の指導を期待したい。若手研究者育成のための事業
について、経費面も含めてもっと工夫があってもよかったのではないか。
研究活動面では、各事業推進担当者の個別業績や国際集会の組織などの点では、概ね評価できる。
しかし、本プログラムの目的に沿った成果がまだ見えてきておらず、特に、世界における第三の哲
学研究拠点としての独自性を発揮すべき、東アジア・日本に顕著な哲学・思想的諸問題への取り組
みが、やや不十分であった。
本プログラムは、「アジア諸文化・諸宗教の共生の可能性に向けての役割を明らかにする」とい
う試みとして注目すべきプログラムであり、さまざまな困難が伴おうとも、挑戦し続けなければな
らない課題である。その持続展開を進めるため、今後、研究の更なる高度化とその成果の国際的発
信の強化が計画されており、上記の問題点も改善されるものと期待できる。
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