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第2章.現況調査

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第2章.現況調査
第1編.現
況
第2章.現況調査
赤土等流出を把握するためには、流出形態の調査が必要となる。赤土等を含んだ濁水は、降
雨時にそのほとんどが排水路又は河川を媒介として海へ運搬されるものであり、対策を講ずる
上で流域内の排水系統の把握が必要となる。同時に、発生源となる農地の発生要因把握が必要
となる。したがって、次図に示すように、排水系統調査と赤土等流出要因別調査を行うことと
なる。
現況調査
(流域調査)
排水系統調査
赤土等流出要因別調査
河川・排水路・道路側溝
①畑地の物理条件
調査及び排水系統調査
②外部雨水流入による流出状況
③作付け・保全対策実施状況等
図1-13
現地調査項目図
本マスタープランでは、土壌流亡量の予測モデルであるUSLEを基に農地の赤土等流出に対す
る危険度を表現し、現況流出量の算出並びに削減目標値の設定等を行う。そのため、農地一筆
毎に赤土等要因別調査を行い、USLE式の諸係数を設定する必要がある 。(参照:参考資料2)
赤土等要因別調査は、赤土等流出の要因別に大別すると以下の3つの項目となる。これらは
赤土等流出を軽減する要因となり、予測評価を行う上で重要な要因となる。
このうち物理要因は、 土壌・斜面長・勾配等の 畑地の物理的な条件を調査した。
外的要因は、水路・道路・背後地等からの雨水流入による流出状況を現地で把握するために
調査した。USLE式では表現できない要因となるが、緊急の対策を要するものであり、赤土等流
出の重要な要因である。
作物・保全要因は、作物・保全対策等の状況を調査した。
以上、物理要因と作物・保全要因はUSLE式で反映することが可能であるが、外的要因につい
ては、調査により施設又は流域の排水方向等による問題点が顕在化する。
表1-5
赤土等流出要因別項目
要因
項
目
要
物理要因
(一次要因)
・土壌・斜面長・勾配
物理的な条件
外的要因
(二次要因)
・水路・道路・上流域(畑その他)からの流入
外部からの雨水流入による条件
作物・保全要因 ・作物・保全・その他対策
(三次要因)
(
摘
)「
: 轟川流域農地対策マスタープラン」における表現方法
1-11
対策状況
第1編.現
況
1.排水系統
石垣島には9の水系と23の主な中小河川がある。このうち最大の水系は宮良川水系でバン
お も と だ け
ふ か い お も と だ け
排 水 系 統 図 ナ岳、於茂登岳、桴海於茂登岳を分水嶺として、宮良湾に注いでいる。その他に大きな水
系としては名蔵川水系、石垣新川川水系がある。
図1-14
排水系統図
1-12
第1編.現
況
2.赤土等流出要因別調査
ほ場の斜面長は長いほど、降雨時の地表面流水の持つエネルギーは大きくなり、赤土等
の流出も激しくなる。水質保全対策事業(耕土流出防止型)計画設計の手引き(平成17年1
0月)沖縄県農林水産部 」(以下「水質保全対策事業の手引き」という 。)では、許容斜面長
基準を30~40mとしている。全域の斜面長について見てみると、50mを超える斜面長の長い
ほ場が全体の85%を占めており、斜面長を短くして赤土等流出を抑制するよう対策を講じる
必要がある。
斜面長図
区分
斜面長(m)
筆数
面積(ha)
面積占有率(%)
3%
8%
畑地
0<斜面長(m)≦50
6,833
823
15
50<斜面長(m)≦100
6,560
2,270
41
100<斜面長(m)≦150
2,601
1,825
33
150<斜面長(m)≦200
392
450
8
200<斜面長(m)
96
176
3
16,482
5,544
100
合計
15%
0<斜面長(m)≦50
50<斜面長(m)≦100
100<斜面長(m)≦150
150<斜面長(m)≦200
200<斜面長(m)
33%
41%
※ハウス106ha除く
図1-15
斜面長図
1-13
第1編.現
勾配区分図
区分
況
ほ場の勾配は急なほど、降雨時の地表面流水の持つエネルギーは大きくなり、赤土等の
流出も激しくなる 。「水質保全対策事業の手引き」では、ほ場の最急勾配を3%(排水不良地
域「 ジャーガル土壌等 」においては5%)としている 。全域のほ場勾配について見てみると 、
3%を超える勾配の急なほ場が全体の53%を占めており、勾配を緩くして赤土等流出を抑制す
るよう対策を講じる必要がある。
勾配(%)
筆数
面積占有率(%)
面積(ha)
9%
畑地
0.0<勾配(%)≦3.0
8,135
2,570
47
3.0<勾配(%)≦6.0
6,530
2,292
41
6.0<勾配(%)≦9.0
1,313
488
9
9.0<勾配(%)≦12.0
275
113
2
2%1%
0.0<勾配(%)≦3.0
47%
12.0<勾配(%)
229
81
1
16,482
5,544
100
6.0<勾配(%)≦9.0
9.0<勾配(%)≦12.0
12.0<勾配(%)
41%
合計
3.0<勾配(%)≦6.0
※ハウス106ha除く
図1-16
勾配区分図
1-14
第1編.現
石垣島の植生状況について見てみると、面積占有率でサトウキビが43%と最も高く、次い
で採草放牧地28%、野菜類5%、パインアップル4%の順となっている 。このうち 、サトウキビ 、
パインアップル、野菜類については、特に赤土等の流出が懸念される作物である。
植生図
区分
況
植生ゾーン
被覆変化
植生ゾーン
畑地
常緑
植生ゾーン
植生分類
筆数
面積(ha)
面積占有率(%)
サトウキビ
7,460
2,638
43
パインアップル
267
4
野菜
732
1,259
5
花き
裸地
81
274
27
42
15
0
0
小計
9,574
3,220
52
果樹
草地
381
4,772
104
2
1,723
28
その他
ハウス
1,755
496
106
8
367
小計
非畑地
2
7,275
2,429
40
計
16,849
5,650
92
水田・水田跡
計
3,359
3,359
496
496
8
8
20,208
6,146
100
合計
2%
8%
8%
43%
28%
2%
0%
0%
5%
4%
※裸地について、轟川流域では年2回の調査から年間を通して裸地であることが確認されている。
図1-17
植生図
1-15
サトウキビ
パインアップル
野菜
花き
裸地
果樹
草地
その他
ハウス
水田・水田跡
第1編.現
況
その他の区分図
図1-18
図1-20
土地利用現況図
図1-19
縦畝・横畝ほ場位置図
図1-21
1-16
土壌図
全面マルチ・部分マルチ位置図
第1編.現
況
その他の区分図
図1-22
植生帯位置図
図1-23
畑面傾斜先が
道路より低いほ場位置図
図1-24
沈砂池・浸透池位置図
図1-25
1-17
関連事業図
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