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12騒音・振動特論

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12騒音・振動特論
12
騒音・振動特論
平成22年度
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 75
11/01/07 16:27
H22-76
Question
騒音・振動関係 平成
12
え方に関する記述として,誤っているものはどれか。
⑴
騒音防止技術対策には,まず騒音源の確認が必要である。
⑵
規制基準値を守ることによって,騒音公害は解決できる。
⑶
騒音苦情防止対策として,物理的手段,感覚的手段と心理的手段などがある。
⑷
騒音問題が発生している地点での耳障りな音は,騒音レベルと関係なくでき
る限り小さくする。
⑸
確認項目として,騒音状況,騒音源,騒音放射源などがある。
年度
22
問 1 騒音対策の
問2
膨張部の長さが 0.
85m の膨張形消音器がある。次のうち伝達損失が最も大き
騒音対策の考え方に関する出題である。
(テキスト 4.1.1−1)
くなる周波数(
Hz)はどれか。なお,音速は 3
40m/sとし,消音器の断面寸法は,
(1)騒音防止技術対策には,騒音源対策,伝搬経路対策及び受音点対策が
波長に比べて十分小さいとする。
あるが,基本的な考え方は,騒音源対策であることから,騒音源の確認
は重要である。正しい。
⑴
50
⑵
100
⑶
15
0
⑷
2
00
⑸
25
0
(2)騒音発生源ごとに法的な規制基準値が存在するが,規制基準値を遵守
しても騒音問題や騒音公害は必ずしも解決しない。規制基準値は騒音公
害を減少する手段にはなるが,解決するための値ではない。誤り。
(3)騒音苦情防止対策として,物理的手段(音の発生原因の除去,音の伝
搬を低減)
,感覚的手段(マスキング)及び心理的手段(あいさつ,補
償など)がある。正しい。
(4)騒音問題が発生している地点での耳障りな音は,騒音レベルと関係な
くできる限り小さくする。正しい。
(5)騒音源や騒音発生原因等を明らかにするための確認項目として,騒音
状況,各種騒音源,騒音放射源などがある。正しい。
問 1:正解(2)
騒音防止技術対策関係は,これまで隔年ごとの出題であったが,騒音・振動特論:H21
問 1,H22 問 1 と連続出題となっている。騒音防止技術対策やその進め方の基本は理
解しておくことが必要である。
-4H22_12騒音・振動特論75-136.indd 76
11/01/07 16:27
⑵
規制基準値を守ることによって,騒音公害は解決できる。
⑶
騒音苦情防止対策として,物理的手段,感覚的手段と心理的手段などがある。
⑷
騒音問題が発生している地点での耳障りな音は,騒音レベルと関係なくでき
る限り小さくする。
⑸
確認項目として,騒音状況,騒音源,騒音放射源などがある。
H22-77
Question
問 2 膨張部の長さが 0.
85m の膨張形消音器がある。次のうち伝達損失が最も大き
波長に比べて十分小さいとする。
⑴
50
⑵
100
15
0
⑶
⑷
2
00
⑸
25
0
12
騒音・振動特論 くなる周波数(
Hz)はどれか。なお,音速は 3
40m/sとし,消音器の断面寸法は,
膨張形消音器の伝達損失 R は,次式で求められる。
2
1
 1 
 R = 10 log 1 +  m −  sin 2 ( kl )  (dB)


4
m


2
(D2/D1)
:膨張比 S1,S2:断面積(m2)
ここに,m = S1/S2 =
D2,D1:直径(m)
k = 2 p f/c:波長定数 f:周波数(Hz)
c:音速(m/s)
l:膨張部の長さ(m)
そのとき,周波数 f,3f,5f ,…(Hz)で,伝達損失は最大となる。周波
数 f = c/4l(Hz)なので,与条件から,l = 0.85 m,c = 340 m/s であるから,
f = 340/
(4×0.85)= 100(Hz)となる。
したがって,正解は
(2)
となる。
(テキスト 4.1.2−3
(2)
②)
-4-
問 2:正解(2)
消音器に関する問題は,毎年,形を変えて出題されている。
膨張形消音器は,平成 21 年に出題され,2 年連続となっている。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 77
11/01/07 16:27
H22-78
Question
3 地表面から鉛直に設置されている遮音塀の,減音量が等しい点をつないだ線を
問 3 問地表面から鉛直に設置されている遮音塀の,減音量が等しい点をつないだ線を
示す図として,正しいものはどれか。ただし,地表面の反射はないものとする。
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
示す図として,正しいものはどれか。ただし,地表面の反射はないものとする。
遮音塀
遮音塀
音源
地表面
音源
地表面
⑴
⑵
⑴
⑵
⑶
⑷
⑶
⑷
⑸
⑸
塀の減衰量に関する出題である。
(テキスト 4.1.3−6
(1)
)
塀による減衰量は,フレネル数
(N )
を計算することにより次図の計算図表
-5-
-5H22_12騒音・振動特論75-136.indd 78
11/01/07 16:27
H22-79
より求めることができる。フレネル数(N=2d /l )は,周波数が一定のと
き,つまりある波長(l )のとき,塀の有無による音源から受音点までの経
路差(d )で定まる。
が一定であることになる。選択肢の各図の中から経路差が一定となる線群を
見出すことになる。
経路差(d )は,次図からわかるように,音源を S 点,塀の頂点を O 点,
受音点を P 点とすると,次式のようになる。
δ=線分 SO+線分 OP-線分 SP(一定)
12
騒音・振動特論 題意より減衰量が等しいということは,フレネル数(N )及び経路差(δ)
ここで,
(1)
~
(5)
の各図にいくつか記されているそれぞれの等減衰量線の
一つに注目して,受音点を塀の近くに置いた場合と塀からかなり離れた位置
に置いた場合を仮定して,同一線上で d が同じ値となるかどうかをチェッ
クする。また,SO は一定数であるため,SP と OP の差が一定となる点を結
んだ線,つまり S と O を焦点とした双曲線を探すことになる。
(1)図の一番下又は上のやや右上がりの曲線に注目すると,塀の直近での
経路差はある大きさを持つが,塀から遠ざかった受音点の場合は,遠く
なるに従い経路差は小さくなる。他の等減衰線でもほぼ同様であり,経
路差が変化する。誤り。
(2)図の一番下の右下がりの線に注目すると,塀の直近の受音点での経路
差とやや離れたときの受音点での経路差は,その離れたことによって音
源から遠ざかり,また,塀の頂点からの距離も遠ざかるが,その遠くなっ
た分が両者ほぼ同じと判断され,経路差は一定と判断される。他の等減
衰線でも同様であり,正しい図となる。
(3)図の一番外側の上に弧となって伸びる曲線に注目すると,地上近くで
の経路差はある大きさを持つが,上空に行くほど経路差は小さくなり経
路差が変化する。他の等減衰線でも同様であり,
経路差が変化する。誤り。
(4)
(3)
と同様に考えられ,経路差が変化する。誤り。
(5)塀の頂点から水平に右に伸びている線に注目すると,この線上の受音
点の経路差は,塀の直近ではごく小さく,塀からかなり遠方を考えると
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 79
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H22-80
そのときの経路差は,ほぼ音源と塀との距離になり,ある大きさを持つ
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
ことになるため経路差は一定でない。誤り。
また,経路差(d )0 のときの等減衰量線(5 dB 減衰)を想定すると,音
源 S 点,塀の頂点 O 点を通る直線を想定することができる。この 5 dB 減衰
の等減衰量線と各図の等減衰量線の延長とが交わることとなりそうな(1)
,
(3)
,
(4)は誤りであることが分かる。
(5)は 5 dB 減衰の等減衰量線と交わ
ることはないが,塀の頂点から水平に右に伸びている線に注目すると,この
線上の受音点の経路差は,塀の直近ではごく小さく,塀からかなり遠方を考
えるとそのときの経路差は,ほぼ音源と塀との距離になり,ある大きさを持
4.1_騒音防止技術
2008.2.7 3:18 PM ページ 244
つことになるため,経路差は一定でないことから誤りとなる。このことから
も残りの
(2)
が正解であることが分かる。
244
4 騒音特論
30
(a)
25
減音量 R(dB)
(b)
20
15
O
B
A
10
S
5
P
d
δ= A + B −d
0
2 5
0
5
2 4 68
−0.3−0.1−0.01 0.01 0.1
1
2
4
6 8
2
4
10
2
δf
6 8
100
N = δ=
λ
170
(注)λ:波長(m),δ:経路差,f:周波数(Hz),N の正負:S と P が見通
せないとき正,塀が低く S と P が見通せる場合は負の値をとる。N<
−0.3の場合は減音量0とする。
[出典:前川,山下,子安]
図 自由空間の半無限障壁による減音量
図 4.1.3-4
自由空間の半無限障壁による減音量
P
O
P
O
S
P
S
問 3:正解(2)
O
S
塀の減衰量に関してはほぼ毎年出題される。本設問のような等減衰量線を求める出題は
塀
N =0 ・ 振動特論:H19N問
<05 がある。
N >0
過去には少なかった。しかし,騒音
(a)
(b)
図 4.1.3-5
(c)
音源,受音点と塀の高さの関係
の
(a)
は無指向性点音源,(b)
は無限長線音源の減音量を求めるものである。
障壁による回折の計算の N は図 4.1.3-5 を使用する。また,点音源の場合の減衰量 R は,近似
式がよく使われる。近似式は各種の提案があるが,ここで代表的な一つの提案式を次に示す。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd
のとき: R=10 log N+13
1≦N80
(dB)
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H22-81
Question
問 4 図において,音源を S,受音点を R,遮音塀の頂点を Oとするとき,受音点
ドの音が卓越した点音源で,1m 地点での同バンド音圧レベルは 9
4dBである。た
= 10l
o
g +1
3で推定するものとし,地
だし,遮音塀による音の減衰量は,
面の反射はないものとする。
12
騒音・振動特論 Rにおける騒音レベルは約何 dBか。音源は中心周波数 5
00Hzのオクターブバン
O
4.4m
7
.0m
S
R
8.0m
遮
音
塀
⑴
4
2
⑵
46
⑶
50
⑷
5
4
⑸
5
8
いま,遮音塀の有無における音の経路差(δ)は,次式のように示すこと
問5
扉の総合音響透過損失を 2
0dB以上にするためには,扉の四周隙間平 幅を
ができる。
約何 mm 以下にすればよいか。ただし,扉の寸法は 1m× 1
.
5m であり,隙間の
d = OS+OR-SR = 4.4+7.0-8.0 = 3.4
音響透過率は1とし,隙間以外の遮音性能は十分に大きいものとする。
また,フルネル数は N = d f/170 として表され,与条件 f = 500(Hz)を代
⑴
3
入すると
⑵
3.5
⑶
4
⑷
4.
5
⑸
5
N = 3.4×500/170 = 10
-6H22_12騒音・振動特論75-136.indd 81
11/01/07 16:27
H22-82
となる。そのときの減衰量は D L = 10 log N + 13 で与えられていることから
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
D L = 10 log 10 + 13 = 23
となる。
受音点 R における騒音レベルは
R8
=
1
 
− 20 log  2  − α − D
 1
(dB)
ここに,L1:1 m 地点における 500(Hz)の音圧レベル=94(dB)
r1:音源からの距離=1(m)
r2:音源からの受音点までの距離=8(m)
a :500(Hz)のA特性補正値=3(dB)
D L:遮音塀による減衰量= 23(dB)
R8
 8
= 94 − 20 log   − 3 − 23 = 50 (dB)
 1
となる。よって,正解は
(3)
となる。
(テキスト 4.1.3−6)
問 4:正解(3)
遮音塀に関する設問は,毎年,形を変えて出題されている。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 82
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遮
音
塀
⑴
4
2
⑵
46
⑶
50
⑷
5
4
⑸
5
8
H22-83
Question
問 5 扉の総合音響透過損失を 2
0dB以上にするためには,扉の四周隙間平
幅を
音響透過率は1とし,隙間以外の遮音性能は十分に大きいものとする。
⑴
3
⑵
3.5
⑶
4
⑷
4.
5
⑸
5
12
騒音・振動特論 約何 mm 以下にすればよいか。ただし,扉の寸法は 1m× 1
.
5m であり,隙間の
扉の総合音響透過損失を 20 dB 以上にするためには,隙間面積率(全面積
S に対する隙間面積 Sd の割合= Sd/S )
を 1/100 以下にすることが必要である。
いま,総合音響透過損失 TL とすると

= 10 log 

-6
 = 20 (dB)
と表されるから,S/Sd=100,したがって,Sd=S/100 となる。
いま,扉の周長 1=5 m,扉の面積 S=1.5 m2 であるから,扉の四周隙間
平均幅を d とすれば,5d ≦ 1.5/100 となり,よって,d ≦ 1.5/500 から,d
≦ 0.003 m=3 mm となる。したがって,正解は
(1)
となる。
(テキスト 4.1.5−2)
問 5:正解(1)
総合音響透過損失に影響を与える隙間の出題は,この 10 年間に 2 回程度であるが,忘
れたころに問題が主題される。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 83
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H22-84
Question
騒音・振動関係 平成
12
問 6 図は,多孔質材料グラスウールと剛壁の間に異なる厚さの空気層を設けた場合
の吸音率特性を例示したものである。図中の
∼
の特性に対応する空気層厚の組
合せとして,正しいものはどれか。
吸音率
年度
22
1.0
グラスウール密度 30kg/m
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
100 2
00 4
00 8
00 1600 3200 6400
周波数(Hz)
⑴
なし
100mm
4
0mm
⑵
40mm
なし
10
0mm
⑶
100mm
4
0mm
なし
⑷
40mm
100mm
なし
⑸
なし
40mm
1
0
0mm
吸音材料の吸音機構として,本設問のように,
「多孔質材料+空気層+剛壁」
がある。この吸音特性は,次のとおりである。
多孔質材料と剛壁との間に空気層を用いると,剛壁面上では粒子が動くこ
とができないので,粒子速度は 0 となり,剛壁からの距離が l /4,3l /4,…,
l /4 の位置で粒子速度が最大となることから,多孔質材料+剛壁の
(2n + 1 )
-7H22_12騒音・振動特論75-136.indd 84
11/01/07 16:27
H22-85
場合よりも低音域の吸音が増加することになる。これは,多孔質材料のよう
な摩擦抵抗層では,粒子速度が大きいほど音のエネルギを熱のエネルギに変
換するからである。多孔質材料の背後に空気層を設けると,上記の理由から,
加を示す。
このことを踏まえると,ア空気層が一番広い,イ 2 番目に空気層が広い,
ウ空気層がないとなり,
(3)
が相当するので正解となる。
(テキスト 4.1.5−1
(2)
②)
12
騒音・振動特論 多孔質材料+剛壁の多孔質材料の厚さを増した場合と似たような吸音率の増
問 6:正解(3)
吸音材料に関しては,毎年,いろいろな角度から出題されている。平成 21 年度も多孔
質材料の吸音について出題されている。騒音・振動特論:H21 問 8
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11/01/07 16:27
H22-86
Question
騒音・振動関係 平成
12
問 7 抵抗材サンドイッチ形の遮音機構の音響透過損失(
)
の周波数特性として,
正しいものはどれか。
周波数特性の破線で示した
は質量則であり,
は低音域共鳴周波数,
は
コインシデンスの限界周波数である。
年度
22
⑴
⑵
⑷
⑶
⑸
遮音材料における透過損失の周波数特性は,遮音層を構成する材料の組合
せ方(遮音機構の種類)によって変化する。遮音機構には,表に示すものが
ある。
(テキスト 4.1.5−2)
(1)密実な一重構造の音響透過損失の周波数特性を示している。誤り。
(2)中空構造(密実材料 + 空気層 + 密実材料)の音響透過損失の周波数
特性を示している。誤り。
(3)サンドイッチ形の音響透過損失の周波数特性を示しているが,芯材は
剛性材(例えば,硬質ビニルサンドイッチ)である。誤り。
(4)
(3)と同様に,サンドイッチ形の音響透過損失の周波数特性を示して
いるが,芯材は弾性材(例えば,発砲スチロールサンドイッチ)である。
-8H22_12騒音・振動特論75-136.indd 86
11/01/07 16:27
4.1 騒音防止技術
261
貎
エ 騒音を低減するための塀の材料:防音塀は,回折減衰により騒音低減を図るものであるが,
すき ま
塀が十分な長さを持ち,隙間などがないことと十分な透過損失を有することが条件となる。
貎
オ 大きい気流騒音のあるときのダクト外板材料,騒音を発生するパイプを包み込むパイプシ
ャフトの壁材料など:これらは前掲の防音カバーの一種と考えられるが,ダクト内部の音場
H22-87
が拡散音場となりにくいので,設計誤差が生じやすい。さらに,ダクト外板が気流の圧力振
動で振動させられて特別な騒音を発生したり,パイプの内部の流体による振動が直接パイプ
誤り。
シャフト壁に伝わり,振動による騒音を発生させるようなことがある。遮音材料は,一般に
空気音の遮断に用いられるものであり,遮音材料に直接加えられる機械的な衝撃や振動に対
(5)
(3)と同様に,サンドイッチ形の音響透過損失の周波数特性を示して
12
しては,有効ではないことに注意する必要がある。
おり,芯材は抵抗材(例えば,グラスウールサンドイッチ)である。正
以上のように,騒音防止設計に際しては,遮音材料の使用が非常に有効な方法であることが理
騒音・振動特論 しい。この音響透過損失が,質量則を上回るのは,下記の理由からであ
解される。しかし,遮音材料の一部に隙間などの欠点がないように留意する必要がある。
る。芯材がヤング率の十分小さい多孔質吸音材料(例えば,グラスウー
(2) 遮音機構と透過損失の周波数特性
ル)であるときは,芯材部分を伝搬する音波が距離によって減衰する効
透過損失の周波数特性は,遮音層を構成する材料の組み合わせ方(遮音機構の種類)によって
変化する。代表的な遮音機構を表
4.1.5-3 に示す。表 4.1.5-3 には,各遮音機構の透過損失の代表
果と,共鳴透過時の共鳴振動に多孔質材料が抵抗として働く効果が加え
的な形と,その遮音機構を機械系に置き換えた模型を併記している。以下に代表的な遮音機構の
られて,中空構造の透過損失の周波数特性が全域にわたって改良される。
周波数特性などについて述べる。
表 遮音構造と透過損失の周波数特性
表 4.1.5-3 遮音機構と透過損失の周波数特性
断面模型
代表的な透 過 損 失 の
(矢印は音波を示す。
)
周波数特性
密実な一重構造
(単 層 平 板 の ほ か 波 板 類 及 び 弾
性的性質の似た材料の積層材を
含む。)
密実材料 + 空気層 + 密実材料
TL
m
f
空
気
層
mkm
fr
ML
fc
f
m
ML
f
b 弾性材サンドイッチ
c
抵抗材サンドイッチ
TL
fr
TL
サ
ン
ド
イ
ッ
チ
形
剛性材サンドイッチ
TL
fc
a
機械系による近似
fc
ML
TL
代表的な遮音機構
ML
m k m
f
m kr k m
fr
ML
fc
f
① 密実な一重構造の遮音機構
密実な一重構造の透過損失の周波数特性は,質量則とコインシデンスによって説明される。
問 7:正解(5)
透過損失に関する問題は,毎年,いろいろな角度から出題されている。騒音・振動特論:
H20 問 9
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 87
11/01/07 16:27
H22-88
Question
騒音・振動関係 平成
12
問 8 次の単板一重壁のうち,音響透過損失が最も大きいものはどれか。なお,音響
透過損失は質量則に従い,各材料の諸量は下表とする。
密度(kg/m )
ヤング率(
N/
m)
石膏
木
1
.0× 1
0
0.
6× 10
5.
0× 1
0
5.
0× 1
0
スレート
ガラス
1.8× 1
0
2.5× 1
0
1.
8× 1
0
6.
5× 1
0
鉄
7.
9× 10
2.
1× 10
材料
年度
22
⑴
厚さ 12mm の石膏板
⑵
厚さ 12mm の木板
⑶
厚さ 6mm のスレート板
⑷
厚さ 4mm のガラス板
⑸
厚さ 1mm の鉄板
問9
単板 質平板の音響透過損失に関する記述として,誤っているものはどれか。
1 重壁のランダム入射による透過損失 TL(dB)は,次式のように表
⑴ 音響透過損失の周波数特性は,基本的に質量則とコインシデンスによって説
される。
明できる。 log
TL=18
(mf )
- 44
⑵ 質量則によると平板の面密度が6倍になると,ランダム入射に対する音響透
ここに,m:面密度(=r
t)
(kg/m2)
3
過損失は約
14dB増加する。 )
r :材料の密度(kg/m
⑶ コインシデンスは,平板上を伝わる曲げ波と入射音波による共振現象である。
t :材料の厚さ(m)
⑷ コインシデンスが生じると,一般にコインシデンスの限界周波数を中心に,
f :周波数(Hz)
その高周波数域で音響透過損失が質量則より低下する。
上式から,m
が大きくなると,TL が大きくなる関係があることから,こ
⑸ 平板の板厚を薄くすると,コインシデンスの限界周波数は低周波側にシフト
れを質量則と定義している。
(1)〜
(5)の条件 m(面密度)を計算すると表
する。
のようになる。
-9H22_12騒音・振動特論75-136.indd 88
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H22-89
表 各材料の面密度と透過損失
材料
t:材料の厚さ
m:面密度
質量則に従う透過損失
(m)
(kg/m2)
TL(dB)の順番
1.0 × 103
1.2 × 10−2
12
1
3
−2
(2) 木
0.6 × 10
1.2 × 10
7.2
5
(3) スレート
1.8 × 103
0.6 × 10−2
10.8
2
3
−2
10.0
3
7.9
4
(4) ガラス
2.5 × 10
0.4 × 10
(5) 鉄
7.9 × 103
0.1 × 10−2
12
騒音・振動特論 (1) 石膏
r :密度
(kg/m3)
したがって,m が一番大きい
(1)
が正解となる。
(テキスト 4.1.5−2
(2)
)
問 8:正解(1)
音響透過損失に関しては,毎回必ず 1 題以上出題されている。平成 19 年度とほぼ同様
な設問である。騒音・振動特論:H19 問 10
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 89
11/01/07 16:27
H22-90
⑴
厚さ 12mm の石膏板
⑵
厚さ 12mm の木板
⑶
厚さ 6mm のスレート板
⑷
厚さ 4mm のガラス板
⑸
厚さ 1mm の鉄板
Question
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
問9
質平板の音響透過損失に関する記述として,誤っているものはどれか。
⑴
音響透過損失の周波数特性は,基本的に質量則とコインシデンスによって説
明できる。
⑵
質量則によると平板の面密度が6倍になると,ランダム入射に対する音響透
過損失は約 14dB増加する。
⑶
コインシデンスは,平板上を伝わる曲げ波と入射音波による共振現象である。
⑷
コインシデンスが生じると,一般にコインシデンスの限界周波数を中心に,
その高周波数域で音響透過損失が質量則より低下する。
⑸
平板の板厚を薄くすると,コインシデンスの限界周波数は低周波側にシフト
する。
均質平板の音響透過損失に関する出題である。
(テキスト 4.1.5−2)
(1)均質平板の音響透過損失の周波数特性は,基本的に質量則に従い,fc
-9(コインシデンスの限界周波数)を中心に特にその高音域にわたってコ
インシデンスによる低下を生じる。正しい。
(2)平板のランダム入射による透過損失 TL(dB)は,次式のように表さ
れる。
TL=18 log
(mf )
- 44
ここに,m :面密度(= r t)
(kg/m2)
r :材料の密度(kg/m3)
t :材料の厚さ(m)
f :周波数(Hz)
いま,m が 6m になることから,18 log 6m=18 log m+18 log 6 となり,
18 log m+14.0067 となる。よって,約 14 dB 増加する。正しい。
(3)コインシデンスは,材料面上を伝わる曲げ波と入射音波の一種の共振
現象である。正しい。
(4)コインシデンスが生じると,一般にコインシデンスの限界周波数を中
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H22-91
心に,その高周波数域で音響透過損失が質量則より低下する。正しい。
(5)平板の板厚を薄くすると,コインシデンスの限界周波数は高周波側に
シフトする。誤り。
 2  12 ρ
(Hz)
fc ≒ c
 2π t  E
ここに,t:平板の板厚 E:板のヤング率
上式から,分母の板厚 t が薄くなると c2/2p t が大きくなり,fc が大きく
なるので,コインシデンスの限界周波数は高周波側にシフトする。
12
騒音・振動特論 平板のコインシデンスの限界周波数 fc は,次式のように表される。 問 9:正解(5)
音響透過損失に関する設問は,毎回必ず 1 題以上出題されている。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 91
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H22-92
Question
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
問10 騒音計に関する記述として,正しいものはどれか。
⑴
特定の騒音源による騒音レベルを測定できるように,単一指向性マイクロホ
ンが用いられている。
⑵
時間重み特性 Fの応答速度は,騒音レベルの時間変動に追従できるように,
可能な限り速く設定されている。
⑶
時間重み特性 Sの応答速度は,人間の聴覚の時間応答特性を模擬している。
⑷
騒音計の内蔵校正信号によって,マイクロホンを含めた騒音レベルの校正が
可能である。
⑸
A 特性で周波数重み付けした音圧レベルが騒音レベルである。
騒音計及び騒音レベルに関しての出題である。
問11
計量法の検査規則による普通騒音計の規定で,使用周波数範囲と検定公差の組
(1)騒音計のマイクロホンは,圧力形の無指向性マイクロホンであること
合せとして,正しいものはどれか。
が規定されている。しかし無指向性形であっても,何千 Hz 以上の高い
使用周波数範囲(Hz)
検定公差(dB)
⑴
20∼ 8
00
0
± 0.
7
⑵
20∼ 80
00
± 1.
0
⑶
20∼ 1
25
00
± 1.
0
⑷
20∼ 80
00
± 1.
5
⑸
20∼ 1
25
00
± 1.
5
周波数になると指向性を持つので,その許容範囲が規定されている。誤
り。
(テキスト 4.2.2−2
(1)
)
(2)時間重み特性 F の応答速度は時定数 0.125 s であり,可能な限り早く
設定されているわけではない。誤り。なお,特性 F は短い継続時間の
音に対する感覚特性から定められている。
(テキスト 4.2.2−2
(3)
)
(3)時間重み特性 S の応答速度は,変動する騒音の場合にメータの指針
の読みを容易にするために考えられたもので時定数 1 s である。人間の
聴覚の時間応答特性を模擬しているわけではない。誤り。
(テキスト 4.2.2
−2
(3)
)
(4)騒音計の内蔵校正信号は,前置増幅器の後に入力されて,その入力さ
れた位置から後ろの出力までの範囲に有効であり,マイクロホンの校正
はできない。マイクロホンを含めた校正を行うには,ピストンホンなど
-10H22_12騒音・振動特論75-136.indd 92
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H22-93
の音響校正器で一定の音を出し,
校正する。誤り。
(テキスト 4.2.2−2
(4)
)
(5)騒音レベルは,音圧レベルに A 特性の補正(周波数重み付け)を
加えたものである。正しい。なお,騒音レベルは,A 特性音圧レベル
ドネス曲線 40 phon に準拠して作られた周波数重み特性である。騒音計
の中に,聴感補正回路(周波数補正特性)として組み込まれている。正
しい。
(テキスト 2.4.4)
12
騒音・振動特論 (A-weighted sound pressure level)ともいう。また,A 特性は等ラウ
問 10:正解(5)
騒音計に関しての出題は,騒音 ・ 振動特論:H20 問 13 がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 93
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可能な限り速く設定されている。
⑶
時間重み特性 Sの応答速度は,人間の聴覚の時間応答特性を模擬している。
⑷
騒音計の内蔵校正信号によって,マイクロホンを含めた騒音レベルの校正が
可能である。
H22-94
⑸
A 特性で周波数重み付けした音圧レベルが騒音レベルである。
Question
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
問11 計量法の検査規則による普通騒音計の規定で,使用周波数範囲と検定公差の組
合せとして,正しいものはどれか。
使用周波数範囲(Hz)
検定公差(dB)
⑴
20∼ 8
00
0
± 0.
7
⑵
20∼ 80
00
± 1.
0
⑶
20∼ 1
25
00
± 1.
0
⑷
20∼ 80
00
± 1.
5
⑸
20∼ 1
25
00
± 1.
5
特定計量器検定検査規則に関する出題である。
(テキスト 4.2.2−1)
特定計量器検定検査規則(以下,
「規則」という。
)第 814 条(表記)では,
騒音計に使用周波数範囲を表記することが明記されているが,その範囲が何
Hz から何 Hz までとの明記はなく,本設問での使用周波数範囲及びテキス
ト 4.2.2−1 での使用周波数範囲とは,規則で規定されている周波数範囲との
意味合いが強い。したがって規則をみる。
規則第 820 条(周波数特性)では,
「騒音計は,基準入射角のレスポンス
から,精密騒音計にあっては次の表の一,普通騒音計及び自動車用普通騒音
-10計にあっては次の表の二の上欄に掲げる周波数(自動車用普通騒音計にあっ
ては 100 ヘルツから 400 ヘルツまでに限る。
)に応じ,それぞれの表の中欄
に掲げる周波数特性の基準値を減じた値が,それぞれの表の下欄に掲げる範
囲内のものでなければならない。
表の一(略)
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H22-95
表の二
周波数特性の基準値(デシベル)
範囲(デシベル)
20
マイナス 50.5
3.0 からマイナス 3.0 まで
25
マイナス 44.7
3.0 からマイナス 3.0 まで
略
略
略
6300
マイナス 0.1
4.5 からマイナス 4.5 まで
8000
マイナス 1.1
5.0 からマイナス 5.0 まで
とあり,普通騒音計の使用周波数範囲は 20 ~ 8000 Hz となる。
12
」
規則第 833 条(検定公差)では,
「精密騒音計の検定公差は 0.7 デシベル,
普通騒音計及び自動車用普通騒音計については,
1.5 デシベルとする。
」となっ
騒音・振動特論 周波数(ヘルツ)
ている。以上のことから,
(4)
の組合せが正解となる。
問 11:正解(4)
過去 3 年間において類似の出題はない。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 95
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H22-96
Question
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
問12 オクターブバンド分析器と 1/3オクターブバンド分析器に関する記述として,
誤っているものはどれか。
⑴
分析器のフィルタは,定比帯域幅形である。
⑵
分析器のフィルタの特性や中心周波数は,JI
Sで規定されている。
⑶
低周波音の分析には,常にオクターブバンド分析器が適している。
⑷
音源対策が目的の分析には,1/3オクターブバンド分析器が適している。
⑸
現在使用されている周波数分析器の多くは,実時間分析器である。
問13
ある白色雑音をオクターブバンド,1/3オクターブバンドで周波数分析した。
周波数分析と分析器に関する出題である。
中心周波数
1kHzのオクターブバンドレベルは 6
0dBであった。次のうち,誤っ
(1)分析器のフィルタに定比帯域幅形と定帯域幅形とあるが,オクターブ
ているものはどれか。
バンド分析器,1/3 オクターブバンド分析器は,その中心周波数が変わっ
⑴たとき,一定の比で通過帯域幅が変わる。定比帯域幅形の代表的な分析
中心周波数 1kHzの 1/
3オクターブバンドレベルは 55dBである。
⑵器である。正しい。なお,中心周波数が変わっても,通過帯域幅が変化
中心周波数 1
.2
5kHzの 1/3オクターブバンドレベルは 5
6dBである。
⑶しないフィルタを定帯域幅形という。
中心周波数 2kHzの 1
/3オクターブバンドレベルは
58dBである。
(テキスト 4.2.2−4)
⑷ 中心周波数 2.
5kHzの 1
/3オクターブバンドレベルは
60dBである。
(2)オクターブバンド分析器,1/3
オクターブバンド分析器は,JIS
C
⑸1513
中心周波数
2kHzのオクターブバンドレベルは
6
3dBである。
とその性能については同
1514 に定められている。性能によってク
ラス 1 とクラス 2 に分類される。正しい。なお,中心周波数は,10 の
べきによるものと 2 のべきによる厳密な中心周波数があるが,一般に用
いられているものは,その数値を丸めた公称中心周波数である。
(テキ
問14 スト
表は定常的な騒音のオクターブ分析結果である。この騒音の騒音レベルは約
4.2.2−4
(1)
)
何
dBか。
(3)可聴範囲の周波数分析において,オクターブ分析,1/3
オクターブ分
しゃへい
析かは,その結果の使われ方により分かれる。遮音,吸音及び遮蔽によ
中心周波数(Hz)
125
250
5
00
100
0
2
00
0 4
00
0
る対策のように建築的手法により騒音対策を考えるようなときには,オ
バンド音圧レベル(dB)
30
64
74
71
5
4
4
2
クターブ分析がよく行われている。しかし,消音器の設計や固体音伝搬
⑴防止の防振設計等の音源に対する対策設計等の詳細データの必要なとき
70
⑵ 7
2
⑶ 74
⑷ 76
⑸ 7
8
-11H22_12騒音・振動特論75-136.indd 96
11/01/07 16:27
H22-97
には,1/3 オクターブ分析又は FFT 分析が多く行われている。
(テキス
ト 4.2.4)
12
また,超低周波音及び低周波音の分析には,一般的には 1/3 オクター
騒音・振動特論 ブバンド分析器が用いられる。低周波音の評価において,建具等の振動
が生じるかどうかの物的苦情に関する参照値や心身に係る苦情に関する
参照値は,1/3 オクターブバンド音圧レベルで表されている。低周波音
の最近の測定はこれらと比較することが多く,多くの周波数分析は 1/3
オクターブバンド分析器により行われている。常にオクターブバンド分
析器が適していることにはならない。誤り。
(テキスト 2.7.2−1)
(4)音源対策には,オクターブ分析よりも周波数特性の詳細がより必要に
なることが多く,1/3 オクターブ分析が多く行われている。正しい。
(5)現在使用されている周波数分析器は,技術の進歩により実時間分析器
の製造が容易になったこともあり実時間分析器が多く用いられ,フィル
タ切り替え方式の分析器の使用頻度は少なくなった。正しい。
(テキス
ト 4.2.4−2)
問 12:正解(3)
周波数分析及び分析器に関する出題は,騒音 ・ 振動特論:H19 問 14・問 16 がある。
関連する設問は,騒音 ・ 振動特論:H19 問 29,H20 問 30,H21 問 11・問 28・問
30 がある。
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H22-98
⑴
分析器のフィルタは,定比帯域幅形である。
⑵
分析器のフィルタの特性や中心周波数は,JI
Sで規定されている。
⑶
低周波音の分析には,常にオクターブバンド分析器が適している。
⑷
音源対策が目的の分析には,1/3オクターブバンド分析器が適している。
⑸
現在使用されている周波数分析器の多くは,実時間分析器である。
Question
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
問13 ある白色雑音をオクターブバンド,1/3オクターブバンドで周波数分析した。
中心周波数 1kHzのオクターブバンドレベルは 6
0dBであった。次のうち,誤っ
ているものはどれか。
⑴
中心周波数 1kHzの 1/
3オクターブバンドレベルは 55dBである。
⑵
中心周波数 1
.2
5kHzの 1/3オクターブバンドレベルは 5
6dBである。
⑶
中心周波数 2kHzの 1
/3オクターブバンドレベルは 58dBである。
⑷
中心周波数 2.
5kHzの 1
/3オクターブバンドレベルは 60dBである。
⑸
中心周波数 2kHzのオクターブバンドレベルは 6
3dBである。
白色雑音の特性とオクターブと
1/3 オクターブの通過帯域から考えられる
問14
表は定常的な騒音のオクターブ分析結果である。この騒音の騒音レベルは約
バンド音圧レベルに関する出題である。
(テキスト 4.2.2−4)
何 dBか。
白色雑音は,どの周波数も同じエネルギを持つ雑音である。オクターブバ
中心周波数(Hz)
バンド音圧レベル(dB)
125
3
0
2
50
64
5
00
74
1
00
0
71
2
000
5
4
40
00
4
2
ンドの中心周波数 1 kHz の下限帯域端周波数は 710 Hz,上限帯域端周波数
は 1.4 kHz,その帯域に含まれる周波数は約 700 Hz,同じく中心周波数 2 k
Hz ⑴
の下限帯域端周波数は
2.8
70
⑵ 72 1.4 kHz,上限帯域端周波数は
⑶ 74
⑷ 7
6
⑸ kHz,その帯域
78
に含まれる周波数は 1.4 kHz,帯域に含まれる周波数は 1 kHz の 2 倍である。
レベルで考えると 1 kHz のバンドレベルより,2 kHz のバンドレベルは 2 倍
の周波数を含むため,3 dB 大きくなる。
また,オクターブバンド音圧レベルと 1/3 オクターブバンド音圧レベルは,
-1
1オクターブが 1/3 オクターブでの三つのバンドの合計値であることから,平
均で 5 dB の差がある。
以上のことから,題意の白色雑音で,中心周波数 1 kHz のバンド音圧レ
ベル 60 dB より,関連する周波数範囲のオクターブバンド音圧レベルと 1/3
オクターブバンド音圧レベルは,通過帯域と合わせて表すと表のようになる。
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H22-99
表 オクターブバンド及び 1/3 オクターブバンドの音圧レベル
オクターブ
中心周波数
通過帯域
(Hz)
(Hz)
2k
710 ~ 1.4k
1.4k ~ 2.8k
中心周波数
通過帯域
(Hz)
(Hz)
800
710 ~ 900
54
60
63
バンドレベル
1k
900 ~ 1.12k
55
1.25k
1.12k ~ 1.4k
56
1.6k
1.4k ~ 1.8k
57
2k
1.8k ~ 2.24k
58
2.5k
2.24k ~ 2.8k
59
12
騒音・振動特論 1k
1/3 オクターブ
バンドレベル
(1)
~(3)正しい。
(4)中心周波数 2.5 kHz の 1/3 オクターブバンド音圧レベルは 60 dB では
なく 59 dB である。誤り。
(5)正しい。
問 13:正解(4)
過去 3 年間において類似の出題はない。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 99
11/01/07 16:27
⑴
中心周波数 1kHzの 1
/3オクターブバンドレベルは 55dBである。
⑵
中心周波数 1.
25kHzの 1/3オクターブバンドレベルは 56dBである。
⑶
中心周波数 2kHzの 1/
3オクターブバンドレベルは 58dBである。
⑷
中心周波数 2
.5kHzの 1/
3オクターブバンドレベルは 6
0dBである。
⑸
中心周波数 2kHzのオクターブバンドレベルは 63dBである。
H22-100
Question
騒音・振動関係 平成
12
問14 表は定常的な騒音のオクターブ分析結果である。この騒音の騒音レベルは約
何 dBか。
中心周波数(Hz)
125
25
0
50
0
10
00
20
00
400
0
バンド音圧レベル(dB)
30
64
74
7
1
5
4
4
2
⑴
70
⑵
72
74
⑶
7
6
⑷
78
⑸
年度
22
バンドレベルから,レベル和により騒音レベルを求める計算についての出
-11題である。
(テキスト 2.8.3,4.2.2−2,4.2.4−3)
このような合成の計算では,A 特性周波数補正値と和の補正値(略値で
よい)が必ず必要になるため,それを覚えておく必要がある。合成の手順を
次に示す。
中心周波数(Hz)
125
250
500
1k
2k
4k
騒音レベル
30
64
74
71
54
42
―
A 特性周波数補正値(dB)
- 16
-9
-3
0
+1
+1
―
A 補正後音圧レベル(dB)
14
55
71
71
55
43
74
バンド音圧レベル(dB)
和の補正値(騒音・振動概論:問 25 の表,和の補正値)を用い,周波数
補正値後にレベルの大きい 500 Hz の 71 dB と 1 kHz の 71 dB を合成して
74 dB を得る。その値(74 dB)と他のバンドレベルの値を比較すると,そ
れぞれ合成を略すことのできるレベル差の 10 dB を優に超したレベル差と
なっている。このため,この合成以下の合成計算は略すことができ,騒音レ
ベルは 74 dB となり,
(3)
が正解となる。
なお,合成する数値の数がこのように少ない場合は簡単であるが,数の多
い場合は 10 dB 以上の差となるものの合成も行い,続けて合成する必要が
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 100
11/01/07 16:27
H22-101
あるかないかを確認することも重要である。
騒音・振動特論 12
問 14:正解(3)
レベルの合成計算を含む設問は毎回必ずといってよいほど出題される。本設問のように
合成により騒音レベル又は振動レベルを求める出題は,騒音 ・ 振動概論:H22 問 25,
騒音・振動特論:H19 問 29,H20 問 30,H21 問 30,H22 問 30 がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 101
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H22-102
Question
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
問15 音源の音響パワーレベルの屋外現場測定に関する記述中,下線を付した箇所の
うち,誤っているものはどれか。
機械などの音源の音響パワーレベル
(dB)
は,音源からの放射音響出力を基
⑴
準音響出力(10 W)で除した値の常用対数の 1
0倍で定義される。ここで,屋外
⑵
現場でよく用いられる実用的測定法として半無響室法に準じた簡便法がある。こ
⑶
の測定法は,距離 (m)の逆自乗則の成立を確認し,
=
+2
0l
o
g +8
⑷
の式により,音源の音響パワーレベルを求める方法である。この式は距離が2倍
になると音圧レベル
が 4dB減衰することを意味している。
⑸
問16 工場騒音の測定に関する記述中,下線を付した箇所のうち,誤っているものは
現場で行われる半無響室法に基づいたパワーレベルの測定に関する出題で
どれか。
ある。
(テキスト 4.2.5−1)
(1)
,
(2)音響出力 P
(W)
の音源に対し,
基準の音響出力 P(W)
を 10−12 W
工場騒音の測定の目的には,
騒音源のある工場屋内の騒音レベルと規制基準と
0
⑴
として次式で定義する。音源出力の対数尺度を音響パワーレベルと呼ぶ。
の対比,周辺地域の騒音分布の把握,騒音源の音響的特性の把握,工場内の騒音
⑵
⑶
量記号は
LW,単位はデシベル,単位記号は
dB である。⑷
分布の把握,騒音源の特定と探索などがある。
⑸
=10 log
(dB)
0
したがって,
(1)
(
,2)
は正しい。
(テキスト 2.6.1−7)
(3)半無響室は音響実験室の一種で,床が反射性(一般にはコンクリート
問17 工場振動の防止計画に関する記述として,誤っているものはどれか。
床)で壁や天井は反響のない吸音性に優れた室であり,半自由空間と仮
⑴
振動実態の把握には,体感,聴覚や視覚も活用する。
⑵
対策方法の検討では,あらゆる振動防止技術を検討する。
⑶
機械そのものでの対策として,加振力の指向性も
⑷
機械の加振力の基礎への伝達を小さくする方法としては,弾性支持の方法し
定できる音響実験室である。正しい。
(4)半自由空間にある点音源と考えられるパワーレベル LW の音源から
慮する。
r m 離れた位置でのレベル LP の計算式(LP=LW-20 log r−8)をパワー
レベルを求める式に変換しただけの式である。正しい。
かない。
⑸
作業時間や作業方法の変更も一つの対策である。
-12H22_12騒音・振動特論75-136.indd 102
11/01/07 16:27
H22-103
(5)前記の式は,倍距離 6 dB 減衰の式であり,音圧レベル LP は倍距離 6
dB 減衰する。4 dB ではないので,誤り。なお,倍距離 6 dB 減衰のこ
12
とを逆自乗則ともいう。
騒音・振動特論 問 15:正解(5)
パワーレベルを求める計算に関する出題は,騒音・振動特論:H20 問 11・問 15,
H21 問 15 がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 103
11/01/07 16:27
現場でよく用いられる実用的測定法として半無響室法に準じた簡便法がある。こ
⑶
の測定法は,距離 (m)の逆自乗則の成立を確認し,
=
+2
0l
o
g +8
⑷
の式により,音源の音響パワーレベルを求める方法である。この式は距離が2倍
になると音圧レベル
H22-104
が 4dB減衰することを意味している。
⑸
Question
騒音・振動関係 平成
12
問16 工場騒音の測定に関する記述中,下線を付した箇所のうち,誤っているものは
どれか。
工場騒音の測定の目的には,騒音源のある工場屋内の騒音レベルと規制基準と
⑴
の対比,周辺地域の騒音分布の把握,騒音源の音響的特性の把握,工場内の騒音
⑵
⑶
⑷
分布の把握,騒音源の特定と探索などがある。
⑸
年度
22
問17 工場振動の防止計画に関する記述として,誤っているものはどれか。
工場騒音測定の目的に関する出題である。
(テキスト 4.2.6)
⑴
振動実態の把握には,体感,聴覚や視覚も活用する。
⑵
対策方法の検討では,あらゆる振動防止技術を検討する。
⑶
機械そのものでの対策として,加振力の指向性も
⑷
機械の加振力の基礎への伝達を小さくする方法としては,弾性支持の方法し
規制基準との比較のための測定は,規制基準が敷地境界線での値であるた
め,敷地境界線上で測定する。工場屋内の騒音レベルと規制基準を比較して
慮する。
も,
規制基準遵守において直接の意味はないものとなる。このため
(1)
が誤り。
しかし,工場屋内の騒音レベルと規制基準を比較して,その差を騒音対策等
かない。
に関連づけるのであれば,測定の意味はあるものとなるが,題意からはそこ
⑸
作業時間や作業方法の変更も一つの対策である。
までは読み取れない。
なお,騒音測定の目的は大きく二つに分けることができる。その一つは,
規制基準との比較のため,現状と実態の把握を目的とした測定であり,もう
-1
2-
一つは,騒音対策の資料を得るための測定である。実態把握の測定には,工
場内の騒音レベルの把握,同騒音レベル分布の把握,周辺地域の騒音の把握
等のそれぞれの測定がある。騒音対策の測定には,騒音源の音響特性の把握,
工場内外の騒音分布の把握,騒音源の特定と探索などの測定がある。このよ
うにみると(2)~
(5)のそれぞれの測定は,実態に合ったものとなり,結果
として誤りは
(1)
しかないことになる。
問 16:正解(1)
過去 3 年間において類似の出題はない。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 104
11/01/07 16:27
どれか。
工場騒音の測定の目的には,騒音源のある工場屋内の騒音レベルと規制基準と
⑴
の対比,周辺地域の騒音分布の把握,騒音源の音響的特性の把握,工場内の騒音
⑵
⑶
⑷
分布の把握,騒音源の特定と探索などがある。
H22-105
⑸
Question
問17 工場振動の防止計画に関する記述として,誤っているものはどれか。
振動実態の把握には,体感,聴覚や視覚も活用する。
⑵
対策方法の検討では,あらゆる振動防止技術を検討する。
⑶
機械そのものでの対策として,加振力の指向性も
⑷
機械の加振力の基礎への伝達を小さくする方法としては,弾性支持の方法し
慮する。
かない。
⑸
12
騒音・振動特論 ⑴
作業時間や作業方法の変更も一つの対策である。
-12-
振動防止計画の進め方に関する出題である。
(1)振動防止計画を進めるに当っては,まず振動の実体を把握することが
必要である。いつ・どこで・どんな人が・どのような状況で振動を感じ
ているのかなどの把握が必要である。その把握には騒音の場合の聴感調
査と同様に,まずはじめに体感を利用して,ときには聴覚や視覚も活用
する。正しい。
(テキスト 5.1.1−3)
(2)対策方法は,
表の対策方法すべてを検討する。正しい。
(テキスト 5.1.1
−3,表 5.1.1−1)
(3)加振力を機械の保守や改善又は操作方法で小さくすることや,機械に
よっては加振力の指向性も考慮する。正しい。
(テキスト 5.1.1−3 ア)
(4)弾性支持以外の方法としては,機械重量を増したり,基礎下の支持力
を増して基礎の振動を抑えたり,機械と機械基礎の間に簡単な緩衝材を
挟み,加振力の基礎への伝達を少なくする方法もある。また,技術的に
やや難しいものとなるが,反共振となる要素を付加し,能動的に振動を
吸振する方法の動吸振もある。誤り。
(テキスト 5.1.1−3 ウ)
(5)作業時間や作業方法の検討及び変更も一つの対策である。また,大き
な振動が発生する作業の場合には,事前に付近住民に説明することも重
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 105
11/01/07 16:27
5.1_振動防止技術 2008.2.7 3:20 PM ページ 310
H22-106
要である。正しい。
(テキスト 5.1.1−3 カ)
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
310
5 振動特論
表 振動防止技術の概要
表 5.1.1-1
大分類
主対策方法
機械そのもので
の対策
振動源対策 振動絶縁
振動防止技術の概要
対策方法
手 段
加振力小機械 機械選定
加振力の低減
弾性支持
釣り合いを
効 果 等
機械・機種により異なる。
調整量による。
とる。
緩衝材
数∼5 dB 程度
ゴムばね
高めの周波数・設計による量
金属ばね
1∼10 Hz 程度・設計による量
空気ばね
低い周波数・設計による量
組み合わせ
設計による量
ほか
重
(軽)
量化
程度による
対策(付加質量 架台
等)
動吸振
共通化等
設計による量
制振
設計による量
距離減衰
伝搬対策
距離を離す。 配置の変更
地中塀(溝)
受振部対策
その他
その他の振動源 基礎対策
−3∼−5 dB/倍距離
空・緩衝材
深さλ/4 で最大約 6 dB(実際は効果小)
構造改良・絶縁 共振を外す
構造の補強
補強等の程度による。
等
等
質量付加等
作業時間・作業方法等の変更
稼動の変更
変更の度合いの違いによる。
挨拶
話し合い
苦情者の納得の度合いによる。
説明
(注)λ:伝搬する振動の波長(m)
る構造物を振動させる。家屋構造は,特に木造住宅では構造部材の組み合わせで作られており,
各部所によっていろいろな動きをする。居住者は伝わってきた振動を感知するのみでなく,建具
や家具等の物体が振動し,時にはそれらの衝突によって音が発生し感知することもある。
新しい工場等を設置する場合には,振動に関するいろいろな項目,例えば機械そのもの,地盤,
周辺の立地条件等に関する特性,性質等をよく把握して検討しなければならない。
振動防止技術の概要を表 5.1.1-1 に示す。振動防止技術の主体は弾性支持によるものであるが,
加振力対策から受振部対策まで各種のものがある。しかし,機械の種類や特性によってその適用
方法が異なるものもある。例えば印刷機械や織機の場合には,弾性支持そのものを嫌う傾向から
基礎や距離減衰を利用した対策が多い。また,合成樹脂用射出成形機や空気圧縮機の場合には,
共通架台を作りその上に施設を設置し対策を行うことが多い。このように機械の種類によっては
対策方法の考え方の違いも併せて検討する必要がある。
5.1.1-2
振動防止計画の目標
問 17:正解(4)
振動公害は振動を感知することによって発生する。このため振動防止計画の目標は,理想的に
は,振動を感じない状況のレベル(例えば 50 dB)以下とするのが望ましい。これは,物的被害
振動防止計画に関する基本事項であり,振動防止計画に関しては過去 10 年間で
4問
を伴う大きな振動よりも苦情の多くは感覚的影響・被害を訴えるものが多いためである。
しかし,
出題,出題率は約 4%である。
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H22-107
Question
問18 鍛造機の衝撃力による振動伝達力を小さくする対策として,誤っているものは
12
騒音・振動特論 どれか。
⑴
衝撃の作用時間を短くする。
⑵
機械本体を含む機械基礎の質量を大きくする。
⑶
機械本体に質量を付加して弾性支持をする。
⑷
機械本体を直接弾性支持するときには,ばね定数を小さくする。
⑸
板ばねを併用することにより,板ばねの板間摩擦の減衰を利用する。
問1
9 図において,自由落下する落下物(
A)
の質量を ,ばね定数 のばねで弾性
振動源対策中における衝撃力による振動伝達力の低減に関する出題であ
支持されている剛体(B)の質量を
る。
とする。衝突前後の A の速度を
,
とし,
衝突前後のvBの速度を
, とするとき,以下の記述のうち,誤っているものは
(1)速度
m の物体に D t 時間作用した後,速度 v 2
1 で運動している質量
どれか。ただし,
は重力加速度である。
に変化したとすると,物体の運動方程式は
=
α=
v2 − v2
D
FD t=mv 2−mv 1
A
と表される。ここで,a を加速度,衝撃力 F と時間 D t の積 FD t を力積
といい,質量 m と速度 v の積 P = mv を運動量と呼ぶ。すなわち,運
B
動量の変化が力積に等しい。質量 m の物体が速度 v 1 で剛体に衝突し静
止すると,衝突後の物体の速度は v 2 = 0 となる。衝撃力 F は物体の運動
基礎
の方向を正とすれば,衝突時物体に働く力の方向は負となるから
=
v1
Dt
1
⑴ 衝突直前の
A の運動エネルギーは,
である。
2
D
となり,
作用時間
t
が短くなると振動伝達力
(テ
⑵ 衝突直前の A の速度は, = 2 である。 F は大きくなる。誤り。
キスト
5.1.2 − 2)
⑶
衝突前後で運動量が保存されるとすれば,
+
=
+
と表せる。
(2)ハンマの質量を
m 及びアンビルの質量を
⑷ 系の固有振動数は,
に比例する。 M,ハンマの速度を衝突前
+
⑸
地盤に加わる力を小さくするためには,ばね定数を小さくする。
-1
3H22_12騒音・振動特論75-136.indd 107
11/01/07 16:27
H22-108
v 1 及び衝突後 v 2,アンビルの速度を衝突前 V1 及び衝突後 V2,衝突前
騒音・振動関係 平成
12
後で両物体が保有する運動量の和が保存されるとすると次式になる。
v1 + MV1 = mv2 + MV2
アンビルの衝突前の速度は V1 = 0 であり,両物体が反発なしに一体と
なって動くものとすると,アンビルの衝突後の速度は V2 = v 2 であるか
ら上の式は
V =
2
v1
+
となる。また,アンビルの最大変位振幅を xm とすると,ハンマ衝突後
の運動エネルギは最大変位時の弾性エネルギに等しいから,機械基礎下
年度
22
の地盤をばねとみなしたときのばね定数を k とすると
1
2
(
+
)
2
2
=
1
2
2
で表され,固有振動数を
達力 F は次式になる。
=
=
+
0
v1 =
= ( 1 / 2π )
/( +
(2π 0 ) v1≒
)
とすると,地盤への伝
v1
上式から振動伝達力 F は機械本体(アンビル)を含む機械基礎の質
量 M の平方根
に逆比例する。正しい。
(テキスト 5.1.4−3)
(3)
(2)の式において k を弾性支持系のばねとすると,機械本体に質量を
付加することは M を大きくすることに等しいから,振動伝達力 F は小
さくなる。正しい。
(テキスト 5.1.4−3 ①)
(4)
(2)
の式において k を弾性支持系のばねとすると
=
=
+
v1≒
v1
から地盤への振動伝達力はばね定数の平方根
に比例し,ばね定数 k
を小さくすると,振動伝達力 F は小さくなる。正しい。
(テキスト 5.1.4
−3 ②)
(5)鍛造機械の防振材料は直接支持方式又はつり基礎方式とも変わらず,
減衰付きコイルばね,コイルばねと板ばね,空気ばねと板ばね等それぞ
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 108
11/01/07 16:27
H22-109
れ併用が多い。板ばねを併用するのは,板ばねの板間摩擦の減衰を利用
するためである。正しい。
(テキスト 5.1.7−2)
騒音・振動特論 12
問 18:正解(1)
本設問は定性特性を問う形式で,衝撃力とその低減に関しては過去 10 年間で 5 問出題,
出題率は約 5%である。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 109
11/01/07 16:27
⑴
衝撃の作用時間を短くする。
⑵
機械本体を含む機械基礎の質量を大きくする。
⑶
機械本体に質量を付加して弾性支持をする。
⑷
機械本体を直接弾性支持するときには,ばね定数を小さくする。
⑸
板ばねを併用することにより,板ばねの板間摩擦の減衰を利用する。
H22-110
Question
騒音・振動関係 平成
12
問19 図において,自由落下する落下物(
A)
の質量を
支持されている剛体(B)の質量を
衝突前後の Bの速度を
,
,ばね定数
のばねで弾性
とする。衝突前後の A の速度を
,
とし,
とするとき,以下の記述のうち,誤っているものは
どれか。ただし, は重力加速度である。
A
年度
22
B
基礎
1
である。
2
である。
⑴
衝突直前の A の運動エネルギーは,
⑵
衝突直前の A の速度は,
⑶
衝突前後で運動量が保存されるとすれば,
⑷
系の固有振動数は,
⑸
地盤に加わる力を小さくするためには,ばね定数を小さくする。
+
= 2
+
=
+
と表せる。
に比例する。
-13-
問 18 と同様に,振動源対策中における衝撃力とその低減に関する出題で
ある。
(1)図において,質量 m が速度 v 1 で運動しているときの運動エネルギ E
は E =( 1/2)
mv 12 である。正しい。
(テキスト 5.1.2−2)
(2)ハンマを高さ h から自由落下させると,アンビルに衝突する直前の
速度 v 1 は,ハンマ質量 m が高さ h にあるときの位置エネルギ mgh と
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11/01/07 16:27
H22-111
運動エネルギが等しいことから,重力加速度を g とすると mgh =( 1/2)
mv 12 の関係にあり,その変形した式 v1 =
スト 5.1.2−2,式(5.1.2−8)
)
2 gh となる。正しい。(テキ
それぞれの運動量の和に等しい。すなわち mv 1+MV1 = mv 2+MV2 となる。
正しい。
(テキスト 5.1.2−2,式(5.1.2−9)
)
(4)系の固有振動数 f0 は
0
= ( 1/2π)
/(
+
)
であり,固有振動数は
M + m に逆比例する。誤り。
(テキスト 5.1.2−2,式(5.1.2−12)
)
(5)問 18
(4)
のヒント中の式
≒
12
騒音・振動特論 (3)運動量保存の法則により,衝突前のそれぞれの運動量の和は衝突後の
v1
から,地盤に加わる力 F はばね定数の平方根
に 比例するため,ばね
定数を小さくすると,振動伝達力は小さくなる。正しい。
(テキスト 5.1.4
−3)
問 19:正解(4)
問 18 と同様に衝撃力とその低減に関する設問であるが,回答するには衝突に関する式
を覚えておく必要がある。衝撃力とその低減に関しては前設問と同じく,過去 10 年間
で 5 問出題,出題率は約 5%である。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 111
11/01/07 16:27
H22-112
Question
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
が 50
0kgの機械をばね定数
問20 質量
が 40
0kN/m のばねで弾性支持したと
ころ,運転時に共振状態となった。そこで,図のように,機械の上部に 1
00kgの
付加質量
を取り付けて共振に対する対策を行うこととする。付加質量
するばねのばね定数
⑴
20
⑵
40
⑶
80
⑷
100
⑸
120
を支持
は何 kN/m にすればよいか。
問21 質量 1800kgで毎分 60
0回転している回転機械があり,1回転に1回の割合で
鉛直方向の正弦加振力を発生している。これを4個の支持点で弾性支持し,振動伝
動吸振器に関する出題である。
(テキスト 5.1.3−2)
達率を 1/3となるようにするには,1個当たりのばね定数を約何 MN/m としたら
動吸振器における主振動系の固有角振動数を w 1,副振動系の固有角振動
よいか。ただし,支持系の減衰は無視できるものとする。
数を w 2 とすると ⑵ 0.22
⑶ 0.33
⑷ 0.4
4
⑸ 0
.
55
ω2 =
主質量の振動を小さくする条件は共振している状態であるから,外力の角
⑴ 0.11
ω =
1
振動数を w とすると,w ≒w 1≒w 2 から
質で一様な地盤上に機械が設置されており,その機械から 7.5m 離れた点
問22
≒
での振動レベルが 8
0dBであるとき,この地盤の内部減衰を表す係数の値を 0
.
02
にすればいい。したがって
とすると,機械から 50m 離れた点での振動レベルは約何 dBか。ただし,波動は
400000
表面波とする。
100
⑴
60
=
500
⑵
62
⑶
64
から,k=80×103(N/m)
=80(kN/m)
⑷
6
6
⑸ 68
-14H22_12騒音・振動特論75-136.indd 112
11/01/07 16:27
H22-113
以上のことから,
(3)
が正解となる。
騒音・振動特論 12
問 20:正解(3)
動吸振器に関しては,過去 10 年間で 5 問出題,出題率は約 5%である。本設問は動吸
振器の質量が決められていてばね定数を算出する形式であるが,ほかに動吸振器のばね
定数が決められていて質量を算出する出題形式がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 113
11/01/07 16:27
⑴
20
⑵
40
⑶
80
⑷
100
⑸
120
H22-114
Question
騒音・振動関係 平成
12
問21 質量 1800kgで毎分 60
0回転している回転機械があり,1回転に1回の割合で
鉛直方向の正弦加振力を発生している。これを4個の支持点で弾性支持し,振動伝
達率を 1/3となるようにするには,1個当たりのばね定数を約何 MN/m としたら
よいか。ただし,支持系の減衰は無視できるものとする。
⑴
0.11
⑵
0.22
0.33
⑶
⑷
0.4
4
⑸
0
.
55
年度
22
振動伝達率に関する出題である。
(テキスト 5.1.4−1
(3)
,
3.6.3−1
(離れた点
1)
)
問22
質で一様な地盤上に機械が設置されており,その機械から
7.5m
質量 m=1800 kg,加振振動数
f = 600/60=10 Hz,振動伝達率 t =1/3,固有
での振動レベルが
80dBであるとき,この地盤の内部減衰を表す係数の値を
0.
02
t =1/
振動数を
f0 とすると,減衰のない振動数と振動伝達率の関係式
{
(w /
とすると,機械から
50m 離れた点での振動レベルは約何 dBか。ただし,波動は
2
w表面波とする。
において,w /w 0=f/f0 から
0)−1}
1
τ =
⑴ 60
2
⑵
 f
 f  − 1
0
6
2
6
4
⑶
⑷
66
を変形した式 f02 = f 2{
/(1/t )
+1}と固有振動数の式
ら,総ばね定数 K は
=
( 2 π f 0 )2 = m ( 2 π )2 1
τ
2
+1
= 1800 ( 2π )
2
-14-
⑸
0
6
8
= ( 1 / 2π )
/ m とか
10 2
6
≒1.777 × 10
1
+1
(N/m)
1
3
ばね個数は 4 個であるから,1 個当たりのばね定数 k は
k = K/4 ≒ 0.44×106(N/m)≒ 0.44(MN/m)
となる。以上のことから,正解は
(4)
となる。
問 21:正解(4)
振動伝達率に関する設問であり,設定振動伝達率から弾性支持系のばね定数を計算する
出題形式である。振動伝達率に関しては毎年 2 ~ 5 問,過去 10 年間で 31 問出題,出
題率は約 29%である。減衰のあるときの振動伝達率の式(テキスト 5.1.4−1,式 5.1.4
−2)について,意味内容を覚え,使いこなせるようになっておく必要がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 114
11/01/07 16:27
鉛直方向の正弦加振力を発生している。これを4個の支持点で弾性支持し,振動伝
達率を 1/3となるようにするには,1個当たりのばね定数を約何 MN/
m としたら
よいか。ただし,支持系の減衰は無視できるものとする。
⑴
0.1
1
⑵
0.22
⑶
0.
33
⑷
0.
44
⑸
0
.5
5
H22-115
Question
問22
質で一様な地盤上に機械が設置されており,その機械から 7.5m 離れた点
とすると,機械から 50m 離れた点での振動レベルは約何 dBか。ただし,波動は
表面波とする。
⑴
60
⑵
6
2
⑶
6
4
⑷
66
⑸
6
8
12
騒音・振動特論 での振動レベルが 80dBであるとき,この地盤の内部減衰を表す係数の値を 0.
02
距離減衰に関する出題である。
(テキスト 5.1.5−2)
次の距離減衰の経験式により説明する。
=
0

− 20 log 

0
-14
 − 8. 7λ ( − 0 )
ここに,L :ある点での振動加速度レベル L0:基準点での振動加速度レベル
r :加振点からある点までの距離
r0 :加振点から基準点までの距離
l :地盤の内部減衰係数(l =2p f h/V,f:振動数,h:土の内部
減衰定数,V:伝搬速度)
n :幾何減衰係数(n = 0.5:表面波の場合,n = 0.75:表面波と実
体波の混在する場合,n = 1.0:実体波の場合,n = 2.0:地表
面を伝搬する実体波)
(注:土の内部減衰定数 h と地盤の内部減衰係数 l とは異なる。
)
機械から 50 m 離れた地点の振動レベルを L として,上の式に L0 = 80 dB,
r 0 = 7.5 m,r = 50 m,表面波であることから n = 0.5 及び地盤の内部減衰係数
l = 0.02 を代入して
 50 
8. 7×0. 02 ( 50 −7. 5 )
= 80 −20×0 .5 log 
 7. 5  −
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 115
11/01/07 16:27
H22-116
=80−10 log 6.7−7.4=80−8.2−7.4=64.4 (dB)
騒音・振動関係 平成
12
したがって,正解は
(3)
となる。
年度
22
問 22:正解(3)
距離減衰に関しては毎年1~3問,過去 10 年間で 18 問出題,出題率は約 17%であ
る。距離減衰の経験式(テキスト 5.1.5ー2,式
(5.1.5ー1)
)の意味内容を覚え,使い
こなせるようになっておく必要がある。また,
振動の距離減衰の図(テキスト 5.1.5ー2,
図 5.1.5ー1)についても,十分理解しておく必要がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 116
11/01/07 16:27
H22-117
Question
問23 機械類の防振装置に使用される金属ばねの特徴に関する記述として,適切なも
固有振動数が 1
0∼ 100Hz程度の範囲で弾性支持系のばねを設計すること
⑴
ができる。
⑵
一般に主軸方向以外にも2軸,又は3軸方向のばね定数を任意にとることが
容易である。
⑶
12
騒音・振動特論 のはどれか。
金属自体の内部減衰は小さいので,構造上金属間摩擦のあるばね以外は減衰
を別に付加する必要がある。
⑷
ばね1個の支持荷重は 10∼ 1000N の範囲である。
⑸
サージングのために高周波数の絶縁性に優れている。
金属ばねの特徴に関する出題である。
問2
4 振動測定に関する記述として,誤っているものはどれか。
(1)固有振動数が
1 ~ 10 Hz 程度の広い範囲で弾性支持系のばねを設計す
⑴ 振動源の加振力や周波数情報は,一般に基礎や周辺地盤の振動測定から推定
ることが可能で,防振装置用としての実用振動数範囲を十分にカバーで
する。
きる。誤り。
(テキスト 5.1.6−4
(1)
イ)
⑵
伝搬経路における振動測定では,振動発生機械の振動特性と伝搬する地盤の
(2)一般に主負荷方向以外の
2 軸,または 3 軸方向のばね定数を任意にと
振動特性とが混入する。
ることは困難であり,種別によっては主負荷方向以外はばね作用をしな
⑶
振動測定により,振動発生源周辺の振動レベル分布を作成する。
いか,又は著しく剛である。誤り。
(テキスト 5.1.6−4
(1)
ウ)
⑷
家屋内での測定では,比 的かたい場所で測定を行う。
(3)金属自体の内部摩擦は,ゴムに比べて著しく小さいので,構造上金属
⑸ 暗振動とのレベル差が 10dB未満の場合,暗振動の影響の補正はできない。
間摩擦のあるばね以外は,減衰を別に付加しなければならない。正しい。
(テキスト 5.1.6−4
(1)
エ)
(4)ばね1個の支持荷重は 10−2 N から 105 N までの広範囲の選択が可能で
ある。誤り。
(テキスト 5.1.6−4
(1)
カ)
(5)コイルばねがサージングを起こすと,図に示すように弾性支持系の振
動絶縁性は著しく低下する。誤り。
(テキスト 5.1.6−4
(2)
②)
-1
5H22_12騒音・振動特論75-136.indd 117
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5.1_振動防止技術 2008.2.7 3:20 PM ページ 336
H22-118
以上のことから,正解は
(3)
となる。
336
10
H/t=
1.0
1
0.8
A
0.1
0.7
0
P/Ps
μ=
年度
22
0.01
0.01
1.0
0.9
μ=m s / m=0.1
1
1.2 .4
1. 8
1.6
1.1
伝達率 τ
騒音・振動関係 平成
12
5 振動特論
1
10
振動数比 ω/ω0
100
ms:ばねの質量,m:ばね上質量
図図 サージング現象
5.1.6-12 サージング現象
0.6
P:荷重
Ps:全圧
δ:たわ
t :板厚
H:高さ
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0 1
δ/H
図 5.1.6-13
H
皿ばね
荷重 P
3k
3P −1S
荷重
2k
t
2P −1S
k
1P −2S
1P −1S
k
―
3
問 23:正解(3)
弾性支持に使用される材料(テキスト 5.1.6 )に関してはほぼ毎年1~3問,過去 10
年間で 18 問出題され,出題率は約 17%である。
図 5.1.6-14
皿ばね組み合わせ
たわみ δ
k:ばね1枚のばね定
図 5.1.6-15 皿ばねの組み
ばね特性
の皿ばねについては JIS B 2706“皿ばね”があり,大形の皿ばね及び皿ばね内径と
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 118
ついては DIN(ドイツ工業規格)がある。
11/01/07 16:27
容易である。
⑶
金属自体の内部減衰は小さいので,構造上金属間摩擦のあるばね以外は減衰
を別に付加する必要がある。
⑷
ばね1個の支持荷重は 10∼ 1000N の範囲である。
⑸
サージングのために高周波数の絶縁性に優れている。
H22-119
Question
問24 振動測定に関する記述として,誤っているものはどれか。
振動源の加振力や周波数情報は,一般に基礎や周辺地盤の振動測定から推定
する。
⑵
伝搬経路における振動測定では,振動発生機械の振動特性と伝搬する地盤の
振動特性とが混入する。
⑶
振動測定により,振動発生源周辺の振動レベル分布を作成する。
⑷
家屋内での測定では,比
⑸
暗振動とのレベル差が 10dB未満の場合,暗振動の影響の補正はできない。
12
騒音・振動特論 ⑴
的かたい場所で測定を行う。
振動測定の注意事項等についての出題である。
(1)加振力の測定は簡単には測定できないため,周波数情報と合わせて,
基礎や周辺地盤の振動測定や振動源の振動情報から推定することが多
い。正しい。
(テキスト 5.2.3−4
(2)
)
(2)伝搬してきた振動は,振動発生源の特性はもちろんであるが伝わる地
盤の影響も受けるため,両者の振動特性の影響を受けている。正しい。
(3)振動発生源周辺の振動レベル分布まで毎回必ず測定するということは
-15ないが,振動対策等のとき必要に応じて振動レベル分布を作成すること
もある。正しい。
(テキスト 5.2.3−2
(3)
イ)
(4)家屋内における振動の測定位置は,床の中央及び周辺位置の硬質材料
で仕上げられている場所にピックアップを設置する。例えば板の間の中
央,根太の上や敷居の上で測定する。畳や絨毯の上等では設置共振が生
じる可能性があるため,これらを除去して根太のスパン中央位置で測定
するのが一般的である。なお,その振動の測定方向は,可能であれば鉛
直及び 2 水平方向の 3 方向の同時測定を行う。正しい。
(テキスト 5.2.3
−4
(3)
)
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 119
11/01/07 16:27
H22-120
(5)暗振動の影響の補正は,暗振動とのレベル差が 3 ~ 10 dB 未満のと
騒音・振動関係 平成
12
きに行うものであって,暗振動の影響の補正ができないというものでは
ない。誤り。なお,暗振動とのレベル差が 10 dB 以上のときには補正
を行っても行わなくても結果のレベルは整数値であることから,同一値
となり省略することができる。
(テキスト 5.2.3
(3)
②)
年度
22
問 24:正解(5)
暗振動の補正に関しては,騒音・振動特論:H20 問 24,暗振動の補正が関連した設問は,
騒音・振動特論:H19 問 28,H21 問 29 がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 120
11/01/07 16:27
H22-121
Question
問25 圧電形振動ピックアップに関する記述として,誤っているものはどれか。
おもりがばねによって支えられる構成のものをサイズモ系という。
⑵
圧電物質としては,一般にジルコンチタン酸鉛の焼結体が使用される。
⑶
小型軽量であり,構造的にも強固で,広い測定振動数範囲を有している。
⑷
感度は,同じ圧電物質では,おもりの質量に反比例する。
⑸
測定上限振動数は,固有振動数の 1/
3程度である。
12
騒音・振動特論 ⑴
振動の測定センサーとして,ピックアップについての出題である。
問2
6 振動レベル計に関する記述として,誤っているものはどれか。
(1)サイズモ系の説明であり,正しい。一般に使用されている接触型の振
⑴ JI
Sでは,水平方向の振動の計測や評価のための特性は規定していない。
動ピックアップの多くは,おもりがばねにより支えられている系で構成
⑵
計測される物理量は,振動加速度である。
されており,サイズモ系と呼ばれている。正しい。
(テキスト
⑶
使用周波数範囲は,1/
3オクターブバンド中心周波数で
1∼ 8
0Hz5.2.2−2)
である。
(2)圧電形振動ピックアップには,圧電物質としてジルコンチタン酸鉛の
⑷ 指示機構の時定数は,0.63秒である。
焼結体が使用されている。
セラミックタイプと呼ばれているものである。
⑸
振動規制法における計測は,計量法の条件に合格した振動レベル計を用いる。
正しい。
(テキスト 5.2.2−2)
(3)圧電形振動ピックアップは,小形軽量であり,また構造的にも強固で
広い測定範囲と振動数範囲を持つ利点がある。正しい。
(テキスト 5.2.2
−3)
(4)圧電ピックアップの感度は,次式より同じ圧電物質ではばね定数 k が
同じであるから,おもりの物質 m に比例する。
0

=

0


2
= ( 2π )
2
2
f:振動体の振動数 f0:固有振動数 a:変動幅 m:質量
k:ばね定数
「反比例する」は誤り。
(テキスト 5.2.2−3)
(5)ピックアップの設計時の周波数特性については,おおむね測定上限周
-16H22_12騒音・振動特論75-136.indd 121
11/01/07 16:27
H22-122
波数を,固有振動数の 1/3 程度としている。これは,固有振動数は通常
よる。正しい。
(テキスト 5.2.2−3)
騒音・振動関係 平成
12
数 kHz 以上であり,減衰比が小さいため,鋭い共振特性を示すことに
年度
22
問 25:正解(4)
振動ピックアップに関しての出題は,騒音・振動特論:H19 問 25,H21 問 26 がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 122
11/01/07 16:27
⑴
おもりがばねによって支えられる構成のものをサイズモ系という。
⑵
圧電物質としては,一般にジルコンチタン酸鉛の焼結体が使用される。
⑶
小型軽量であり,構造的にも強固で,広い測定振動数範囲を有している。
⑷
感度は,同じ圧電物質では,おもりの質量に反比例する。
⑸
測定上限振動数は,固有振動数の 1/
3程度である。
H22-123
Question
12
問26 振動レベル計に関する記述として,誤っているものはどれか。
JI
Sでは,水平方向の振動の計測や評価のための特性は規定していない。
⑵
計測される物理量は,振動加速度である。
⑶
使用周波数範囲は,1/
3オクターブバンド中心周波数で 1∼ 8
0Hzである。
⑷
指示機構の時定数は,0.63秒である。
⑸
振動規制法における計測は,計量法の条件に合格した振動レベル計を用いる。
騒音・振動特論 ⑴
振動レベル計に関しての出題である。
(テキスト 5.2.2−4)
(1)JIS C 1510“振動レベル計”では,鉛直方向のほか,水平特性として,
水平方向の振動に対する全身の振動感覚に基づく周波数補正特性を定め
ている。誤り。
(2)多くの場合,加速度計のピックアップを用い,振動レベルの元となる
振動加速度を計測している。正しい。
(3)使用周波数範囲は 1/3 オクターブバンド中心周波数を用いて表し,1
~ 80 Hz である。正しい。しかし,この表示になる以前は 1 ~ 90 Hz
と表示されていた。
(4)指示機構の時定数は,継続時間の短い振動の人体感覚を考慮して 0.63
秒としている。正しい。なお,振動の継続時間と振動の大きさの感じ方
との関係については,騒音・振動概論問 20 の図 2 参照。
(5)振動規制法第 2 条(定義)第 2 項(規制基準)
,特定工場等において
-16発生する振動の規制に関する基準の第
1 条(基準)備考 4 に,
「振動の
測定は計量法第 71 条の条件に合格した振動レベル計を用い,鉛直方向
について行うものとする。
」とある。正しい。なお,計量法第 71 条の条
件に合格したということは,簡単にいうと検定に合格したということで
ある。また,特定建設作業振動及び道路交通振動の測定においても同様
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 123
11/01/07 16:27
H22-124
な記述がある。
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
問 26:正解(1)
振動レベル計に関しての出題は,騒音・振動特論:H19 問 26,H20 問 28,H21 問
27 がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 124
11/01/07 16:27
H22-125
Question
問27 ある工場の敷地内に図のように,敷地境界より 4m 離れた同じ場所に定常的
敷地境界での振動レベルは 62dBであった。なお,機械 A を単独で稼動させたと
きの振動レベルは機械から 2m 離れた地点で 60dBであった。機械 A と Bを同時
に稼動させたときの敷地境界での振動レベルが 6
0dB以下になるようにするため
に,機械 Bだけを敷地境界よりさらに離れた場所に移設することにする。機械 B
と敷地境界の距離
12
騒音・振動特論 な振動を発生する2台の機械 A と Bを並べて設置して同時に稼動させたところ,
(
m)は,少なくとも約何 m 以上にする必要があるか。ただし,
A と Bの2台の機械から発生する波動は表面波で内部減衰はないものとして,か
つ,干渉はないものとする。また,暗振動の振動レベルは 40dB以下とする。
機械 B(移設後)
機械 A
機械 B
4m
敷地境界
⑴
1
⑵
測定点
3
⑶
5
⑷
7
⑸
9
地盤振動の距離減衰に関する出題である。
(テキスト 5.1.5−2)
-17H22_12騒音・振動特論75-136.indd 125
11/01/07 16:27
H22-126
① 略算で答えを求める場合
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
初めに機械 A の敷地境界でのレベルを求める。機械 A から 2 m の位置で
60 dB であることから,敷地境界までの距離は 4 m と与条件の表面波,内部
減衰はないことから倍距離で 3 dB 減衰であることから,機械 A の敷地境界
でのレベルは 57 dB であることが分かる。敷地境界での測定点で,機械 A
及び機械 B の同時稼動時 62 dB であることから,機械 B のみの敷地境界で
のレベルは暗振動の補正(表)より 60 dB であることが分かる。
機械 A の敷地境界でのレベル 57 dB と機械 B を移設したことによるレベ
ル LB を合成したレベルを 60 dB 以下とするためには,LB を 57 dB 以下と
しなければならない。現在の機械 B のレベル(60 dB)を3dB 以上小さく
しなければならない。距離減衰量3dB は,倍距離による減衰量であるから,
現在の距離 4 m の倍の 8 m 以上遠くに移設しなければならないこととなる。
ここで選択肢をみると,この条件に合うものは
(5)の 9 mがあり,これが正
解となる。
表 暗振動に対する指示値の補正
対象の振動があるときの指示(L1)
と
ないときの指示(L2)
の差 D L = L1 - L2
L1 に加える補正値 C
3
小数第 1 位まで
-3
略 値
-3
4
5
6
7
8
9
10
- 2.2 - 1.7 - 1.3 - 1.0 - 0.8 - 0.6 - 0.5
-2
-1
0
注 1)対象の振動のみの振動レベル L= L1+C (dB)
注 2)D L:対象振動及び暗振動を含んだレベル(L1)と暗振動(L2)の差[
(対
象振動 + 暗振動)
-暗振動=D L=L1-L2]
,
対象振動のレベル L=L1
(対象振動 + 暗振動)+補正値,騒音関係の JIS では D L が 4 dB 以上
となるような測定を推奨している。なお,D L が 10 dB 以上のときは,
測定結果は整数値であるため暗振動の補正をしてもしなくても同じ値
となるためしなくてもよい。なお,暗振動は変動していることが多い
ため,その差 D L も変動していることが多いことから,差のある程度
はっきりしているレベル差以上(例えば 4 dB)のときに,又はその
ような差が生じるようなときに,測定を行い暗振動の補正を行う。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 126
11/01/07 16:27
H22-127
② 詳細に計算をして正解を求める場合
敷地境界のレベル 62 dB のエネルギは,106.2 であり 106×100.2 である。対
数表より約 1.585×106 となる
(このときの 0.005 は補間法に準じて求めている。
機械 A の敷地境界でのレベルを求め,そのエネルギを求める。機械 A か
ら 2 m の位置で 60 dB であることから,敷地境界までの距離は 4 m と与条
件の表面波,内部減衰はないことから倍距離で 3 dB 減衰であることから,
機械 A の敷地境界でのレベルは 57 dB となる。この 57 dB のエネルギは
105.7 であり 105×100.7 である。対数表より 5.01×105=0.501×106 となる。
12
騒音・振動特論 以下同)
。
機械 B のエネルギは,1.585×106-0.501×106=1.084×106 となる(なお,
6
0.2
この 1.084×106 は,指数計算と対数表より 106.2-105.7=10(10
-10−0.3)
=106
(1.585-0.501)
=1.084×106 でも求められる。
)
。このときのレベルは,対数表
を用い約 60.35 dB が求められる。
機械 A の敷地境界でのレベル 57 dB と移設後の機械 B のレベル(LB)を
合成したものを 60 dB 以下とするためには,移設後の機械 B のレベル(LB)
を 57 dB 以下としなければならない。そのための減衰量は,60.35-57=3.35
より,3.35 dB である。
距離減衰量(D L)は,与条件より,D L=10 log
(r2/r1)
で計算できる。
3. 35 = 10 l og
0. 335 = log
10 0. 335 =
2
1
2
1
= log
2
4
2
4
対数表より 100.335=2.165 が求められ
r2=2.165×4=8.66≒9(m)
となり,正解は
(5)
となる。
問 27:正解(5)
距離減衰に関係した出題は,騒音 ・ 振動特論:H19 問 22・問 29,H20 問 20,H21
問 23・問 24 がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 127
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H22-128
Question
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
問28 各種振動源に対する振動レベルの測定・評価に関する記述として,誤っている
ものはどれか。
⑴
送風機,コンプレッサーなどの定常運転時のようにレベル変動の小さい場合
の振動レベルは,振動レベル計の指示値の平
⑵
値で評価する。
くい打ち機や自由鍛造などのように,ほぼ等間隔の周期的な変動をする場合
の振動レベルは,最大値を少なくとも 1
0個以上読み取り,その平
値で評価
する。
⑶
工場振動及び建設作業振動のように,多数の振動源が不規則に稼動する場合
の振動レベルは,80%レンジの上端値で評価する。
道路交通振動のように不規則に大幅に変動する場合の振動レベルは,80%
⑷
レンジの上端値で評価する。
⑸
新幹線鉄道振動の場合の振動レベルは,上り下り合わせて連続して通過する
10本の列車の列車ごとの振動のピークレベルのうち,レベルの大きさが上位
半数のものをパワー平
した値で評価する。
振動規制法での各種振動源ごとの評価方法と新幹線鉄道振動に関する測
問29
振動レベルの測定方法(JI
SZ87
35
)に記述されている測定条件,測定器の使い
定・評価についての出題である。
方に関する記述として,正しいものはどれか。
(1)振動レベルの評価については,工場関連の機械の場合は,特定工場等
⑴ 振動ピックアップは,原則として畑などのやわらかい場所にそっと設置する。
⑵において発生する振動の規制に関する基準に基づき評価する。同基準に
暗振動の補正は,暗振動が非定常の場合には行うことができない。
3 種類に分け,そのどれかに分類するこ
⑶よるとレベル変動のパターンを
水平2方向の取り方は必ず東西と南北にとる。
送風機やコンプレッサの振動は,
「測定器の指示値が変動せず,
⑷ととなる。
振動レベルの測定では,すべての方向の周波数補正特性を鉛直特性とする。
」に該当し,多くの場合,
⑸又は変動が少ない場合は,その指示値とする。
振動測定の目的に係わらず,必ず鉛直方向と水平2方向の振動を測定する。
その変動の平均値で評価している。正しい。
(テキスト 5.2.3−1)
(2)くい打機や自由鍛造機の振動のように,測定器の指示値が,周期的又
は間欠的に変動する場合は,
「その変動ごとの指示値の最大値の平均値
-18H22_12騒音・振動特論75-136.indd 128
11/01/07 16:27
H22-129
とする。
」に該当し,平均値で評価する。正しい。なお,最大値の個数
については,昭和 51 年に各都道府県知事宛てに出された「振動規制法
12
の施行について」
(環境事務次官通達)によれば,
「10 個の平均値とす
騒音・振動特論 ること」となっている。
(テキスト 5.2.3−1)
(3)工場振動及び建設作業振動のように,多数の振動源が不規則に稼動す
る場合等で,測定器の指示値が不規則かつ大幅に変動する場合は,
「5
秒間隔,100 個又はこれに準ずる間隔,個数の測定値の 80%レンジの上
端の数値とする。
」に該当し,上端値で評価する。正しい。
(4)道路交通振動のように不規則かつ大幅に変動する場合は,
(3)同様に
上端値で評価する。正しい。
(テキスト 5.2.3−1)
(5)環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について(勧告)
(昭和
51 年)によると,
「測定は,上り及び下りの列車を合わせて,原則とし
て連続して通過する 20 本の列車について,当該通過列車ごとの振動の
ピークレベルを読み取って行うものとすること。
」
「振動の評価は,…
ピークレベルのうちレベルの大きさが上位半数のものを算術平均して行
うものとすること。
」となっており,10 本ではなく 20 本で,かつ算術
平均である。誤り。
(テキスト 5.2.3−2)
問 28:正解(5)
新幹線鉄道振動に関する測定・評価の問題は,過去 3 年間において類似の出題はない。
しかし,特定工場等において発生する振動の規制に関する基準に基づく評価関連の出題
は,騒音 ・ 振動特論:H19 問 28,H20 問 25 がある。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 129
11/01/07 16:27
道路交通振動のように不規則に大幅に変動する場合の振動レベルは,80%
⑷
レンジの上端値で評価する。
⑸
新幹線鉄道振動の場合の振動レベルは,上り下り合わせて連続して通過する
10本の列車の列車ごとの振動のピークレベルのうち,レベルの大きさが上位
半数のものをパワー平
H22-130
した値で評価する。
Question
騒音・振動関係 平成
12
方に関する記述として,正しいものはどれか。
⑴
振動ピックアップは,原則として畑などのやわらかい場所にそっと設置する。
⑵
暗振動の補正は,暗振動が非定常の場合には行うことができない。
⑶
水平2方向の取り方は必ず東西と南北にとる。
⑷
振動レベルの測定では,すべての方向の周波数補正特性を鉛直特性とする。
⑸
振動測定の目的に係わらず,必ず鉛直方向と水平2方向の振動を測定する。
年度
22
問29 振動レベルの測定方法(JI
SZ87
35
)に記述されている測定条件,測定器の使い
JIS Z 8735 振動レベル測定方法に関する出題である。
(1)振動ピックアップの設置は,原則として平坦な固い地面など(例えば,
踏み固められた土,コンクリート,アスファルトなど)に設置する。や
わらかい場所ではない。誤り。
(テキスト 5.2.3−2
(4)
①)
-18(2)暗振動が変動する場合は,暗振動の振動レベルが特定することができ
ない場合がほとんどであり,補正値を出すレベル差が特定できないため,
暗振動の補正ができない。正しい。
(テキスト 5.2.3−2
(2)
)
(3)水平 2 方向の取り方は,東西南北にとる場合もあれば,振動源の振動
方向に注目してとる場合もあれば,振動源方向にX又はY方向を合わせ
ることもあり,その測定目的に合った方向の取り方をする。誤り。
(テ
キスト 5.2.3−2
(4)
②)
(4)周波数補正特性は,鉛直方向の振動を測定するときには鉛直特性を利
用する。水平方向の振動を測定するときには水平特性を利用する。誤り。
(テキスト 5.2.3−2
(4)
③)
(5)振動測定の目的に合わせて,3 方向のうち必要な方向について測定す
る。例えば,振動規制法の基準値との比較のみのための測定では,鉛直
方向のみの測定となる。水平 2 方向は測定する必要がない。必ずしも 3
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11/01/07 16:27
H22-131
方向を測定する必要はないことが多い。誤り。
(テキスト 5.2.3−2
(4)
②)
騒音・振動特論 12
問 29:正解(2)
JIS Z 8735 振動レベル測定方法に関しては,過去 3 年間において類似の出題はない。
しかし,その測定の注意事項は振動規制法での測定にも関連するため注意が必要である。
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 131
11/01/07 16:27
H22-132
Question
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
問30 ある工場の機械が発生する対策前後の鉛直方向の振動加速度を,敷地境界で測
定し,表に示すオクターブバンド周波数分析結果を得た。対策による敷地境界での
振動レベルの低減量は約何 dBか。
オクターブバンド中心周波数(Hz)
4
8
1
6
3
1.
5
63
対策前のオクターブバンド加速度レベル(
dB)
対策後のオクターブバンド加速度レベル(dB)
37
3
9
5
1
51
5
1
4
5
79
62
7
0
47
⑴
12
⑵
14
⑶
1
6
⑷
1
8
⑸
2
0
対策前後のレベル差を求める計算であるが,実質には加速度レベルから振
動レベルを求める計算についての出題である。
鉛直方向の振動加速度であることから,題意のオクターブバンド振動加速
度レベルに,鉛直方向の振動感覚補正値を対策前後の各バンドレベルに加え,
そのバンドレベルのすべてを合成して振動レベルを求める。
(テキスト 2.8.3,3.6.2−4,5.2.3−3)
表 オクターブバンド振動加速度レベル(dB)
オクターブバンド中心周波数(Hz)
振動レベル
4
8
16
31.5
63
(dB)
バンド加速度レベル
対策前
37
51
51
79
70
―
(dB)
対策後
39
51
45
62
47
―
感覚補正値(dB)
0
−1
−6
−12
−18
―
バンド加速度レベル
対策前
37
50
45
67
52
67
(補正後)(dB)
対策後
39
50
39
50
29
53
―
―
―
―
―
14
対策前後の振動レベル差
-19H22_12騒音・振動特論75-136.indd 132
11/01/07 16:27
H22-133
最初に対策前の振動レベルを求める。和の補正は略値(騒音・振動概論:
問 25 の表参照)を用いる。補正して求められたオクターブバンドの 31.5 Hz
の 67 dB と他の各バンドレベルを比較すると,それぞれのバンドレベルは
分かるため省略する。対策前の振動レベルは 67 dB となる。
次いで,対策後の振動レベルを求める。8 Hz と 31.5 Hz の 50 dB を合成
すると 53 dB となる。その値(53 dB)と他の周波数のバンドレベルを比較
すると,それぞれのバンドレベルは 10 dB 以上の差があり,それぞれの合
成をする必要のないことが分かる。ちなみに 4 Hz と 16 Hz の 39 dB を合成
12
騒音・振動特論 10 dB 以上の差が優にあり,続きのそれぞれの合成をする必要のないことが
しても 42 dB と,53 dB より 10 dB 以上の差のあることが分かり,63 Hz の
29 dB はいうに及ばず,これらを合成する必要がないことが分かり,続きの
これらの合成は省略する。したがって対策後の振動レベルは 53 dB となる。
なお,このような計算の場合で,10 dB 近くの差のレベルがたくさんある場
合は,それらの合成値を比較検討することが必要になることもある。
以上のことから,対策前の振動レベル 67 dB から対策後の振動レベル 53
dB を引くと 14 dB であり,正解は
(2)
となる。
問 30:正解(2)
このようなオクターブバンドの加速度レベルから振動レベルを計算する設問が,騒音 ・
振動特論:H19 問 29,H20 問 30,H21 問 28・問 30 と近年毎年出題されている。
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11/01/07 16:27
H22-134
対数表の見方
騒音・振動関係 平成
12
常用対数表の網掛けの数値は次のことを表しています。すなわち 真数
の場合,l
o
g =l
o
g2
.
03= 0.
307
,又は 10
=2
.0
3
=2
.0
3である。
常用対数表
↓
の小数第1位
までの数値
年度
22
→
の小数第2位の数値
0
1
2
3
4
1.
0
000
00
4
0
0
9
0
13
0
1
7
1.
1
041
04
5
0
4
9
0
53
0
5
7
2.
0
301
322
30
3
3
0
5
3
07
3
10
32
4
3
2
6
3
28
3
30
2.
1
指数と対数の関係
=
の指数表現は,対数表現をすると l
og
ほとんどの場合,常用対数であるから底
=
となる。(
騒音・振動分野では
の1
0は,多くの場合省略される。
)
代表的公式
①
l
og ×
=l
og + l
o
g
③
l
o
g
l
og
=
②
l
o
g / =l
o
g −l
og
公式の使用例
⑴
真数 = 2
00の場合(①と③使用)
l
og200= l
og 2×100 = l
og2+l
og100= l
og2+l
og10= l
og2+2l
og10= 0.
301+2= 2.
301
⑵
真数 = 0
.
0
2の場合(
②と③使用)
l
og0.
02= l
og
2
=l
og2−l
og100= l
og2−l
og10= l
og2−2l
og10= 0.
301−2= −1.
699
100
-22-
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 134
11/01/07 16:27
H22-135
常用対数表(表中の値は小数を表す)
0
1
00
0 004
04
1 045
07
9 0
83
17
11
4 1
49
14
6 1
79
17
6 1
07
20
4 2
33
23
0 2
58
25
5 2
81
27
9 2
03
30
1 3
24
32
2 3
44
34
2 3
64
36
2 3
82
38
0 3
00
39
8 4
17
41
5 4
33
43
1 4
49
44
7 4
64
46
2 4
79
47
7 4
93
49
1 4
07
50
5 5
20
51
9 5
33
531 5
45
544 5
58
556 5
69
568 5
81
580 5
92
591 5
03
602 6
14
613 6
24
623 6
34
633 6
44
643 6
54
653 6
64
663 6
73
672 6
82
681 6
91
690 6
00
699 7
08
708 7
17
716 7
25
724 7
33
732 7
2
0
09
0
49
0
86
1
21
1
52
1
82
2
10
2
36
2
60
2
83
3
05
3
26
3
46
3
65
3
84
4
01
4
18
4
35
4
50
4
65
4
80
4
94
5
08
5
21
5
34
5
47
5
59
5
71
5
82
5
93
6
04
6
15
6
25
6
35
6
45
6
55
6
65
6
74
6
83
6
92
7
01
7
09
7
18
7
26
7
34
3
01
3
05
3
09
0
12
4
15
5
18
5
21
2
23
8
26
2
28
6
30
7
32
8
34
8
36
7
38
6
40
3
42
0
43
6
45
2
46
7
48
1
49
6
50
9
52
2
53
5
54
8
56
0
57
2
58
3
59
4
60
5
61
6
62
6
63
6
64
6
65
6
66
6
67
5
68
4
69
3
70
2
71
0
71
9
72
7
73
5
4
0
17
0
57
0
93
1
27
1
58
188
21
5
24
1
26
5
28
8
31
0
33
0
35
0
36
9
38
7
40
5
42
2
43
8
45
3
46
8
48
3
49
7
51
1
52
4
53
7
54
9
56
1
57
3
58
4
59
5
60
6
61
7
62
7
63
7
64
7
65
7
66
7
67
6
68
5
69
4
70
2
71
1
71
9
72
8
73
6
5
02
1
06
1
09
7
13
0
16
1
19
0
21
7
24
3
26
7
29
0
31
2
33
2
35
2
37
1
38
9
40
7
42
3
43
9
45
5
47
0
48
4
49
8
51
2
52
5
53
8
55
0
56
2
57
4
58
5
59
7
60
7
61
8
62
8
63
8
64
8
65
8
66
7
67
7
68
6
69
5
70
3
71
2
72
0
72
8
73
6
6
0
2
5
0
6
4
1
0
0
1
3
4
1
6
4
1
9
3
2
2
0
2
4
6
2
7
0
2
9
2
3
1
4
3
3
4
3
5
4
3
7
3
3
9
1
4
0
8
4
2
5
4
4
1
4
5
6
4
7
1
4
8
6
5
0
0
5
1
3
5
2
6
5
3
9
5
5
1
5
6
3
5
7
5
5
8
7
5
9
8
6
0
9
6
1
9
6
2
9
6
3
9
6
4
9
6
5
9
6
6
8
6
7
8
6
8
7
6
9
5
7
0
4
7
1
3
7
2
1
7
2
9
7
3
7
7
0
29
0
68
1
04
1
37
1
67
1
96
2
23
2
48
2
72
2
94
3
16
3
36
3
56
3
75
3
93
4
10
4
27
4
42
4
58
4
73
4
87
5
01
5
15
5
28
5
40
5
53
5
65
5
76
5
88
5
99
6
10
6
20
6
30
6
40
6
50
6
60
6
69
6
79
6
88
6
96
7
05
7
13
7
22
7
30
7
38
8
03
3
07
2
10
7
14
0
17
0
19
9
22
5
25
0
27
4
29
7
31
8
33
8
35
8
37
7
39
4
41
2
42
8
44
4
45
9
47
4
48
9
50
2
51
6
52
9
54
2
55
4
56
6
57
7
58
9
60
0
61
1
62
1
63
1
64
1
65
1
66
1
67
0
67
9
68
8
69
7
70
6
71
4
72
3
73
1
73
9
9
03
7
07
6
11
1
14
3
17
3
20
1
22
8
25
3
27
6
29
9
32
0
34
0
36
0
37
8
39
6
41
3
43
0
44
6
46
1
47
6
49
0
50
4
51
7
53
0
54
3
55
5
56
7
57
9
59
0
60
1
61
2
62
2
63
2
64
2
65
2
66
2
67
1
68
0
68
9
69
8
70
7
71
5
72
3
73
2
74
0
12
騒音・振動特論 1
.0
1
.1
1
.2
1
.3
1
.4
1
.5
1
.6
1
.7
1
.8
1
.9
2
.0
2
.1
2.2
2.3
2.4
2.5
2.6
2.7
2.8
2.9
3.0
3.1
3.2
3.3
3.4
3.5
3.6
3.7
3.8
3.9
4.0
4.1
4.2
4.3
4.4
4.5
4.6
4.7
4.8
4.9
5.0
5.1
5.2
5.3
5.4
-23-
H22_12騒音・振動特論75-136.indd 135
11/01/07 16:27
H22-136
騒音・振動関係 平成
12
年度
22
5
.5
5
.6
5
.7
5
.8
5
.9
6
.0
6
.1
6
.2
6
.3
6
.4
6
.5
6
.6
6
.7
6
.8
6
.9
7
.0
7
.1
7
.2
7
.3
7
.4
7
.5
7
.6
7
.7
7
.8
7
.9
8
.0
8
.1
8
.2
8
.3
8
.4
8
.5
8
.6
8
.7
8
.8
8
.9
9
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