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Copyright ©2004 JICSAP. All Rights Reserved. 02

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020118
02-04
スイス
1)
の
EasyRide パス
概要
スイスの公共交通機関や国鉄は、一般市民にさらにその利用を促す
ために、様々な方策を長く検討してきた。
1990 年代後半
そして
から、スマートカードや GPS、GSM 携帯電話などの普及がすすんだた
め、1999 年、それらを使った、ユーザーにとって使い勝っ手のよい
新しい仕組みを作ってみることになった。
ユーザーにコンタク
トレス・ID カードを配り、車輌につけたリーダーで読み取って、日
時と乗降地をデータセンターに送り、あとで一ヶ月分まとめてユー
ザーに請求する、つまり「切符」を無くそう、というものである。
2)
*
数
*
下
Easy Ride コンソーシアムの主体
スイス国鉄
Schweizerich Bundesbahn、以下 SBB
1 日の乗客
約 75 万人、
スイス公共交通機関連盟
Verband offentlicher Verkehr、以
VoV、同約 500 万人、209 社が加盟
*
スイス郵便バス
Postauto Service、
*
スイス連邦運輸局(省)
1999 年秋に、Easy Ride
これら4者からなるコンソーシアムは
の実証実験を行うことを決定した。
者がつき、わずか
同約 2 万 5 千人
そしてその後約
70 人の専従
15 ヶ月で、プロトタイプとなるシステムや機器
を開発し、 2001 年 2 月から 6 月にかけて、Geneve
と
Basel で、
実験を行った。
3) 機器のサプライヤー
Swatch - EM Marin - Hayek : コンソーシアムを組み、カードと
データの収集・記憶装置等
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Siemens Transport System :
カードリーダーとアンテナ
Hani Prolectron - Siemens TS
:
共同で車輌用プラットフォー
ム
Ascom Transport Revenue 収集したデータの中央処理装置への伝
送装置
4)
Easy Ride の種類
Easy Ride では、3 種類の
Easy Ride カード
:
ID カードもしくは切符が使われる。
ID カード、
コンタクトレス
EasyRide
のメイン
Easy Ticket :
券売機で買えるコンタクトレス・カード、紙の
チケットと同じで、前払いで乗車区間のみ購入、電子マネー機能も
つけられる模様。
Paper tickets :
システム故障時や団体客、そして EasyRide を
使いたくない客などを想定
またこのほかに、主要駅に、利用客用のターミナルが設置され、使
用状況を自分でチェックできることになる予定。
5)
仕組み
(まだ細部まで決定していないが)
実証実験では、カードを対象者に配ったが、本番では利用者が
Easy Ride カードを申請する。
多分インターネットでも申し込
みはできるようになっているはず。
センターでは、顧客に
番号を割り振り、支払い手段を確認する。
ID
口座引き落としかクレ
ジットカードになる模様。
利用者は、EasyRide 対応路線で適宜乗り降りする。
え付けられたリーダーが、GPS
階で、センターにデータを
ーク)
で位置を確認し、乗客が降りた段
GSM
経由で、定期的に飛ばす。
降地点、日時、ID
各車輌に備
(ヨーロッパの携帯電話ネットワ
具体的なデータとしては、乗
番号が想定されている。
また、今回の実験で
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は、30 分もしくはもしくは 60 分おきに、データが転送された。
車輌とセンター間では、データは暗号化され送信される。
また、
センターのデータは、スイスのデータ保護法やプライバシー法によ
り厳格に管理される予定。
オペレーターがデータをマーケッティ
ングや分析のために利用するときは、個人が特定できない形でし
か、再利用できない。
原則として、オペレーター以外には、デー
タを使わせない。
データは、センターで蓄積され、月一回、顧客ごとに纏められ、明
細を兼ねた請求書が多分電子メールで送られることになる。
そ
して、指定口座から、またはクレジットカード経由で引き落とされ
る。
6)
この清算システムの部分は、まだ開発段階。
予想されるメリットとデメリット
6-1)
顧客
*
前もって切符を買う必要がない
*
自動的に最適な値段が適用される
―
時間の節約
−
タリフをチェックする
必要がない
*
複数の交通機関を乗り継ぐときに便利
*
ID
を伴うデータが集中管理されることによる、プライバシー
漏洩の心配
6-2)
*
オペレーター
顧客データの収集によるマーケッティングの強化
-
乗客数の増加による増収
-
効率的な配車や時間別料金の設定
*
切符作成の手間隙削減
*
システム故障時の損失
-
−
コスト削減と偽造被害が零になる
システムが複雑なので故障する可能性が高い
*
現金・前払い商売から、売掛金の回収という未経験の世界
*
システムの資金負担
*
ビジネス・モデルとして確立していない
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7)
実証実験
2001 年 2 月から 6 月にかけて、
(人口 169 千人)
4
路線、
(人口 173 千人)
と
Basel
で併せて 1800 人のモニターを募集し、実証実験が
Geneve
行われた。
Geneve
では、国鉄、バス、近距離鉄道
Basel では
近距離鉄道
1路線に
合わせて
EasyRide の
システムが搭載された。
料金の精算システムは、未完成のため、顧客データの収集と、それ
を対象車輌からセンターに送るまでの実験が行われた。
1800 万SFR
費用は約
かかった模様。
実験の目的としては、
*
技術的な課題の検証
-
ハードとソフトウエァの完成度のチェック(毎日の使用に
耐えるかどうか)
*
実用化にむけての知識の習得
*
顧客の反応
*
EasyRide の宣伝
-
受け入れてくれるかどうか
などである。
8)
実験結果
*
顧客の反応
3/4
対象者の
:
が本格導入後も使いたいと明言した。
お年寄りにも受け入れられた。
心配なのはシステムの故障と請求書に間違いがあったときの対策な
どが挙げられた。
切符を先に買うことの時間のロスと面倒からの解放感も大きかった
模様。
*
技術 :
細かなソフトウエァの訂正などはかなりあったが、全体としては大
きな障害はなかった。
また、データの送信、収集においても特に
問題はなく、日常的に使えることが証明された。
機能不全のとき
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も、データには異常はなかった。
カードの誤読率は、約
0.8%
であった。
9)
今後
2001 年 11 月、今回の実験結果が VoV 総会で披露され、また今後の
方針についても検討がなされた。
そして
EasyRide
に
より、何よりもまずスイス全体における公共交通機関のシェアを高
めることが重要であるということが確認された。
具体的には:
*
車輌に取り付けた装置の多目的利用をすすめる
-
*
乗客情報、車輌の追跡
など
センターの運営者を誰にするか、案として
-
SBB
-
アウトソーシング
-
関係者による第三者機関の設立
スイス国鉄(参加企業の中で最大)
いずれにせよ、プライバシーを守れ、顧客の信用を得られる者
になる。
*
ベンダーやパートナーの選定
*
誰がどれだけ資金を負担するかの研究
-
全国展開する段階で、約 6 億SFR
のコストと見積もられ
ている
*
EasyRide
が本当にビジネスになるかどうかの詳細な
研究
*
VoV
の中で、EasyRide
プロジェクトに参加しな
い企業の説得
-
最終的にはメンバーの 8 割を確保したい意向
*
既存の各社別のタリフや多様な切符の単純化の促進
*
一貫性のあるチケット:
長距離と近距離だけではなくツーリ
ストや外国交通機関とも協力
*
当面の間、EasyDrive
して
*
を進める企業体の統一名称と
Swiss Public Transport を使う
2006 年までに全国的な導入を開始することを目標とする
などが了承された。
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10)
*
その他
検札係は携帯型のリーダーを持ち、検査するのは切符の有効区
間ではなく、カードの有効性とその車輌(バス)への登録がなされ
ているかどうかになる。
*
犬も首輪にチップをつけるか、買主が割増金を支払うシステム
を検討中。
*
グループ旅行のケースも検討中。
11) 個人的な見解
*
紙切符や別売りのカードと並行だと、コスト削減効果が薄いも
のと思われる。
*
集金のリスク
-
国民性とも関連するが、交通機関にとっては
未経験の分野。
*
システムが非常に複雑
-
故障した際に損するのは、オペレー
ターだけでは。
*
スイス全土をカバーしていない。
黒字機関は、EasyRide に
参加してもあまりメリットを感じられないかもしれない。
*
一般的に大陸の鉄道や公共交通機関には、改札口がないのが普
通。
国鉄などでは社内でも切符を買える。
毎日乗る人は大概定
期券を持っている。
*
スイスの人口は、約 720 万人。
地方分権が進んでいる。
ドイツと同じく連邦制であり、
つまり一般の市民生活は、町や村を基盤
としており、複数の公共交通機関を一回券で毎日乗り継いでいる人
は、多くないものと思われる。
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