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The Rope News The Rope News

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The Rope News The Rope News
The
The Rope
Rope News
News
M o d e l S h i p B u i l d e r's Cl u b
発行日:2,5,8,11月の各末日(年4回)
ザ ・ ロープ
№ 71
2011年 2月 28日
企画・発行:ザ・ロープ役員会
編集:安藤雅浩
展示会
第36回 帆船模型展
JR有楽町駅と地下鉄の連絡通路に面した会場のショーウインドウ
新年恒例のザ・ロープ帆船模型展が1月16日(日)から22日(土)まで7日間開催された。今回の第36回展は会
場を中央区銀座2丁目の伊東屋ギャラリーから千代田区有楽町2丁目の東京交通会館ゴールデン・サロンに
移しての開催になった。35年前の第1回展から昨年までは伊東屋さんから会場提供など様々な支援を頂い
ての開催であったが、今回は会場探し、設営準備などの課題を自前で一つ一つ解決しながらの展示会になっ
た。新会場はJR有楽町駅東側の駅前にあり、地下鉄も5路線の駅に囲
まれて徒歩数分の立地で、交通至便である。さらに、会場前通路はJR有
楽町駅から地下鉄駅につながる連絡通路になっており、会期中の来場
者は立地の良さが功を奏して昨年までの固定客の外に、初めての客も
多数来場した。来場者は平日と休日に差がなく、時間的にも途切れる
ことなく入場していて、1日平均640名、7日間の合計は約4,500名に達
した。展示作品数はほぼ昨年並
みの55点で、作品の種類も16世紀か
ら近代までの帆船が揃い、帆を張った船に楽しい情景模型(ジオラマ)
会場入口の透明ガラス壁
および構造模型と、バランスのとれた展示になった。その内、帆船教室
参加者の出品(チャールズ・ヨット)が8隻あり、同じ船でも個性が出てい
て初めての来場者は関心を持って見ていた。帆船教室募集の案内も好
評で今後の帆船模型ファンの裾野拡大に期待がもてそう。
会場にはキットメーカーのウッディジョーさんと
通信販売のマイクロクラフトさんから生花の贈呈を
受けて華やかな雰囲気を醸していた。また、全国の
来場者で賑わう会場
同好会から多数の来場があった。はるばる沖縄から
「船舶模型の会アンカー」、「神戸帆船模型の会」、「ザ・
ロープオーサカ」、「浜松帆船友の会ザ・セイル」、「ザ・
ロープ伊豆」、「横浜帆船模型同好会」および「マイシ
贈呈された生花
ップクラブ」の方々が、さらに船の科学館、小田急百貨店、伊東屋から
も来られて、帆船模型ワールドの話で賑わった。
広報ではマスコミの報道が多かった。12月には海事プレス社のホー
ムページ「Web CRUISE」にクルーズニュースとして写真付の展示会紹
休憩コーナーで作品写真を見るお客様
介記事が掲載、雑誌では模型専門月刊誌「モデルアート」の11月26日
発売1月号および12月26日発売2月号のイベント欄に計2回、写真付き
- 1 -
紹介記事が掲載、12月発売の「世界の艦船」2月号にも写真付きで紹介記事が掲載された。
新聞関係の紹介記事は12月17日「日本海事新聞」インフォメーションに「技と夢とロマンを乗せた展示
会」として、1月8日「東京新聞」のあらかると欄に、1月12日「朝日新聞」都内版のマリオン欄に、1月14日「読
売新聞」TOKYOホームページ欄に、それぞれ写真付きで掲載された。会の36年間の展示会歴史の中で初めて
の会場変更であったが、出品者の意気込み、マスコミの多くの広報、予想を超えた入場者数、同好会からの
来場などにより、会期は前回までに較べて短くなったものの、充実した展示会が開催出来たように思われる。
会場の東京交通会館からも幾つかのギャラリーの中で「こんなに来場者が多くて盛況なのは初めてだ」
との言葉を頂いた。有楽町風物詩の一つになるように努めたい。
楽しかりし第36回展覧会にちょっと参加して
福田 正彦
チリン・・・と最初は優しげな音だが、やがて手の付けられない赤ん坊の泣き声もかくやと目覚ましが鳴り
響く。定期的な朝起きの習慣から解放されてしばらく経つから、8時半に会場に着くには文明の利器を利用し
なければならない。それにしても眠いよ。その昔、古参の軍曹は生き残りたければ絶対に「志願」をするな
といったそうだが、だれか手伝って…と赤道さんに言われて、ついその気になって手を挙げたからこの始末
だ。 もっとも長いこと出品していない引け目もあった。それでも電車が順調で会場に8時ちょっと過ぎに
到着したら、なんとまあもう数人のお手伝いが来ている。それも悔しいことにみんな楽しそうだ。こういう
集まりのいいところは年寄りでも容赦なく使うところで、大部分が年寄りだからそれは当然だが頭の白いの
やハゲたのがなんと活気のあることか。会場設営担当の肥田さんと木村さんの指図で壁面に帆船の写真を吊
るすやら、机を予定通り並べるやら、入口に銘板を張るやら、白い布で机を覆うやら。これが意外に難しい。
木村さんが机を覆う布を60㎝垂らしてと図面や測定棒まで周到に用意してくれたが、なんせ素人の集団だか
ら布を張るのも上手くいかない。折りたたんだ端を安全ピンで外から留めるがどうもみっともない。船を見
せるんで、布を見せるんじゃないからと言い訳してみんな適当にあしらう。それでも船を載せたらどうして
立派なものだ。やがて船の搬入が始まった。午後1時にはオープンだから絶対遅れるなと念を押されていた
のが利いたらしい。模型陳列の位置決めと番号札など事前の準備が行き届いていて、これは会場設定全般に
いえるのだが、掲示物の準備まで含めてその仕事はさぞ大変だったろう。今日はその集大成という感じでこ
ういった準備作業に比べればお手伝いぐらいで文句を言っては罰が当たるというものだ。会期中の話だけれ
ども、場所が少し狭いこともあって作品の撮影を担当した東さんが
だいぶ難儀をされたらしい。昼間の撮影ができなくて夕方から夜間
にかけて黙々と仕事に精を出したのだろう。ご一緒したタイの帆船
クルーズの経験からしても、たとえ足が痛かろうとも仕事の質が揺
るがないのはよくわかっている。こういう陰の力があるからいい記
録が残る。それはそれとして、時間に多少の例外はあったにしてもず
らりと出展の船が並ぶと中々の壮観。会場入口は透明ガラスだから
作業は通路から丸見えで、何事が始まったかと何人かが様子を伺っ
設営が終わってオープン前のスタッフ一同
ている。そのうちに持ち込まれる船につられてふらりと入ってくる
人もいて、それだけに関心を引いていることも確かだ。とはいえ、こりゃまずいよと準備中の札を張ったり
したが、だんだんに人が増えてきてこっちの方が動物園の猿みたいな状態になった。順調に準備もできたし、
1時間繰り上げて12時に始めようと田中会長が決断して、幸先のいい開会となった。
長い間の会場だった伊東屋ビルの9階は場所がら文具などを買いたいというお客さんでついでに寄ってみ
ようという人が多くいたに違いない。その意味で客層の意識はかなり収束していたといえる。もちろん船が
好きという人も断然多いが、今度の会場東京交通会館は交通
の便がいいとはいってもごく普通の人たちの流れの中での開
会だ。まして地下でもある。一般の道路と同じだから常連さ
んだけで人数がもつだろうかと心配だったのも無理はない。
終わってみると、これまでの展覧会に引けを取らない人たち
が会場を訪れたのはまことに幸いだったが、それなりに工夫
もされていたからだろう。展示会場の通路側面のショーウイ
- 2 -
スクリュウ船と外輪船の綱引き
ンドウはキットの箱絵オンパレードと、宮島さんと志村さんが共同製作した外輪船とスクリュウ船の綱引き。
5分休んでは15分間また動く(モーターが過熱しないように休憩する)という動態模型だから特におばさま
方に評判が良かった。止まっているときに、片側の船長さんが頭を下げて参りましたという風情が女性の心
に響いたと“そこん所がいいわねぇ”といった人がいる。動く模型でいえば満原さんのバウンティが入口で
目立った。どうやら子供たちの関心を引いたらしく飽かずに眺めていた女の子がいた。ぽこんと泡が立って
船が揺れるとひょいと背伸びする様子が可愛らしい。ぼくの知る限り水に浮かべられるスケールモデルを作
ったのはこれ以外に横浜の会の角田さんしかいない。会場の実面積は伊東屋9階の会場よりも少し狭いそう
だが、前より広く感じた人が多いという。これはおそらく壁面が白く明るいことと、展示台が壁に直接くっ
ついていて広く感じられたせいだろう。そのために壁に展示した近代帆船の写真が良く目立った。この写真
がいいですねぇといった人が多かったのはそのせいかもしれない。展示間隔がバラバラじゃあみっともない
と上野さんが曲尺を振り回して修正したことも預かっている。会期中のお客に休憩を兼ねてという趣もない
ではないが、会場の奥に設えられた展覧会の作品集に見入る人も多かった。熱心な人がいて長時間見入って
いたから気に入っていたんだろう、暇があるんだなぁなんていいたくはない。その奥に展示されたザ・ロー
プの活動を示すパネルは塩谷さんが手掛けたが、禿げた頭をクローズアップされたわが身にはちょっとねぇ。
展示した作品に言及する資格はぼくにはないが、坪井悦郎さんとそのガレ
ー船「ラ ・フロール・デ・リズ」だけにはちょっと触れておきたい。あの人は良く
言えば怪物、悪く言えばバケモノだとぼくはひそかに思っている。身体を生
後81年間もこき使った挙句、船尾に付くローマ字船名を10ミリ幅に5文字を彫
るという目はそうでなければ維持できないからだ。腕相撲で負けたからとい
ってこれは悪口ではない。坪井さんのクラフトマンシップに対する賛歌でな
くてなんだろう。単に細かいというばかりでなく、彼には“スケールモデル”
を作るという確たる信念がある。舷側のスイベル・ガンといわれなければわから
ないほどの砲に、ハンドリング用の真鍮線をつけるとか、3本の内の2番目の突起
がどことかやらに嵌め込まれるのだがそれが面倒でというから、どこの話かと
ガレー船「ラ・フロール・デ・リズ」
思えばオールの付け根の全部で5ミリの間隔での話だったりする。それも失
敗談のように言うのだからまともな人でないことがわかるだろう。こういう
人がいるからこの会はすごいしまた楽しい。会期中の1月19日に新年会があっ
はた
た。当番だった僕らは銀座の“凧ずし”に遅れて参加したが、もうすでに大勢集
まっていて熱気にあふれている。手の足りない従業員に、待ってたら埒が開き
舷側のスイベルガン
ませんぜと隣の栗田さんが気軽に立ち上がってビールを持ってきてくれる。
会社では大物なんだろうにまことに親切で腰が軽い。ぼくは営業の経験も素質もないからこういう時には
大変ぶしつけなことになって気が引ける。わざわざ遠くの沖縄から見えた橋口さんは坊主頭の偉丈夫で元気
いっぱい。明日も来るからと熱心だ。新年会には沖縄の橋口さんと大阪の大森会長も参加して頂いたが、多
くの会の仲間と交流できるのも展覧会のいいところだ。大分にアルコールが入ってみんないい気分だ。隣に
やってきた宮島さんなんぞは手を振って書くんならこんなことを書けばいいと無責任なことをいう。そのう
ちに気が付くと向かい側に大きな図体をした岩倉さんがいる。「TBSテレビの世界不思議発見で、エジプトの
船を出すんで取材に来てさ…」という。彼と津久居さんのエジプト古代船2隻がテレビに出るんだそうだ。
その取材の話が面白かったがお互いアルコールが入っているし、それでなくとも彼は時に舌がもつれてアン
ニャモンニャになる上にこっちの耳もいい加減古くなっているから全貌は明らかでない。でも後日テレビを
見たらどうしてなかなかよく映っている。しかし番組の性質上、船首だけクローズアップされてその点ばか
りは気の毒だった。今回の展示会を機にぼくは知らない会員と話をする機会が多かった。近頃は覚えたつも
りの名前すらすぐ忘れる。どうか諸兄、寛容の精神を持ってぼくと接していただきたいと常日頃思っている
ことをわかってほしい。ひょんなことから会場準備の募集に手を挙げたばっかりにちょっぴり展覧会に参加
して多くの収穫を得たことは間違いない。あるいはぼくと同じように内気な?人もいるかもしれない。長老
だと大事にされるのも悪くはないが、ちょっと手を挙げると容赦なく老人を使ってくれる、つまり老人が必
要とされる機会を得ることも大いに結構なことなのだ。ザ・ロープの行事の大事な役目の一つがそれかもし
れない。
- 3 -
会の活動
第4回発表会
浅川 英明
平成22年度最後の第4回発表会を12月19日(日)12時から14時まで、サリュ・
コパンのサロンで開催した。発表は36回展への出品を目指して最終仕上げに
入った福島 一さんと福本 英三さん、イギリスの外輪船を精密模型に仕上げ
るため凝りに凝っている佐藤 憲史さんおよびバイキング船余話の関口 正巳
さんの4名が行った。
サン・マーチン(SAN MARTIN)の製作
福島
一
アークレー(OcCre)社のキット「サン・マ-チン」を製作している。この模型は
は3本マストのガレオン船で、縮尺1/90、長さ66cm、高さ55cmと手頃な大き
さである。キットの材料はキールとフレームが厚さ5mmのベニヤ、外板の下張
りは厚さ2mmのバスウッドで上張りが0.5mmのサペリマホガニー。デッキ
は下張りが厚さ3mmのベニヤに上張りが0.5mmのラミン。滑車はツゲ材。
艤装の大砲、ボート、鋳物の窓枠、ビレーピンは真鍮製。それにカラー写
真入りの組立説明書と図面で良心的なキットである。製作で苦労したのは
プロジェクターで説明の福島さん
船体のウェールと縦の補強材の貼り付け、船首部分の工作でやり直しを重
ねた。この船の面白さは実船の歴史にある。1580年、ポルトガル海軍船
として建造されたが、同年にスペインがポルトガルを併合し、ポルトガル
艦隊はスペインの無敵艦隊(アルマダ)に編入さ
れる。サン・マ-チンは長さ55m、排水量1000トン、
武装は2層デッキの砲48門、乗員650人の軍艦で、
イングランドのゴールデンハインドの300 トンに砲22
船体が完成・残りはリギング
門と較べると大型船である。当時、フェリペⅡ世のス
ペインとエリザベスのイングランドはカソリックとプロテスタントの宗教紛争から
海戦を繰り返していた。サン・マ-チンは5回に及ぶアルマダの海戦で旗艦となり240
隻の大艦隊で197隻のイングラ ンドに挑んだが大敗した。サン・マ-チンは傷ついたが
帰国した一隻で、艦隊は67隻に減少していた。乗組員は3万人が1万人になっていた。
完成したサン・マ-チン
バウンティ(BOUNTY)の製作過程における失敗と苦労
福本 英三
現在マモリ社のキット「バウンティ」を製作中で、帆船模型は5隻目になる。
昨年、帆船教室の「チャールズ・ヨット」製作でいろいろなテクニックを伺い、
取りかかったものの失敗と苦労を続けている。主な箇所は次の通り。
(1) 船首ヘッドレールの金属部品が折れそうで、ニッパーで曲げたが、左右不均
衡になった。使えたのは8本中6本であった。
(2) 船底の白色塗装で下地にサーフェイサーを塗るのを忘れ、白色塗装後に上
塗りしたら不充分な仕上がりになった。順序を間違
えると駄目。 (3) フォアマストのトリー部品が金属製
苦心談の福本さん
で馴染まないため木材で組立てたが、リギング中に
強度不足で分解し、瞬間接着剤で繕った。キットの金属部品を使うべきだった。
(4) 船尾窓のガラス取付過程で、透明アクリルの接着に瞬間接着剤を使ったら、ガラ
ス面が汚れた。接着剤をアクリル対応に変えたが、汚れが残った。
(5) ロープ留めのビレーピン取付は図面で口径1mmの穴に60個差し込むとなっていて、
シュラウド終了後になって取り付けようとしたら、部品口径が1.3mmありドリルで拡
大したが、作業が困難だった。
ヘッドレールの取付
- 4 -
(7) 真鍮製部品のカルバリン砲をリアルにするため黒染液に長く浸けてい
たら砲身が溶解して断面が平らになった。マイクロクラフトから代替品を
4個取り寄せた。(8) ヤードでの展帆・縮帆作業で足がかりにするフートロ
ープ取付がうまく出来ずあきらめた。
(9) キットには黒色ロープが入っていないため、シュ
ラウド張りに手持ちの黒ロープを使った。その他
はキット部品を使用。マストのスティロープは
黒色に染めるべきだった。また、ロープ太さもバラン
アクリル窓の汚れに腐心
スをとった方が良かった。
福本さんの発表後、窓ガラス取付時の汚れ防止につ
いて岩本さんと関口さんからアドバイスがあった。
* アクリル板の接着は透明用「エポキシ接着剤の
フートロープなしのヤード
二液タイプ」を使えば汚れがでない。
* 瞬間接着剤に汚れの白化現象を抑えているものがある。粘度は高、中、
低とあるのでテストすると良い。東急ハンズでも販売している。
旋盤を使わない舵輪の作り方
完成したバウンティ
佐藤 憲史
平成22年1月からイギリスの外輪船「ビーバ
ー(BEAVER)」を縮尺1/64にしてスクラッチで
製作中である。この船は1835年ロンドンで
建造された。建造はチャールズⅡ世が設立し
たHUDSON'S BAY MPANY社で、北アメリカを航海
して、毛皮貿易を独占した。
艤装品の進捗は舵輪、キャプスタン、ウインドラ
凝りに凝る佐藤さん
ス、羅針盤およびクリンカー張りのボートを3隻仕
上げた状態でただダラダラと作っているとか。
図面と完成した舵輪
完成した艤装品
ビーバーの資料本
舵輪を船体に取り付けた状態
舵輪の外輪(リム)製作
外輪の木材は強度確保のため厚さ0.6mmの板を2枚クロスさせてエポキシで接着する。スポークを10
本貫通させるため位置を記入した10角形図面を画き木材に貼り付ける。舵輪の仕上り径は20mmの
ため、寸法図は21mmにする。
木目を90°にして2枚貼り合わす
外輪の寸法図
- 5 -
寸法図を板に貼り切り出す。中心に穴を開ける
ボール盤でスポーク貫通10カ所の穴開け
ルーターに取付けて回転させる
外輪の内径に刃物を当てて外輪を切り出す
▲ 切り落とした外輪。
▲ 内径に近い丸棒
(右の輪っか)
にペーパーを貼
左のドリルに残っ
り外輪の内側を
た木材は不要品。
仕上げる。
外輪の補強真鍮板を製作
外輪の補強真鍮板は表裏2枚製作する。材料は厚さ0.15mmの真鍮板にコンパスカッターで外径と内
径をけがいて切り出す。中心はドリルで穴開けしておく。外径を真円にするため切り出した円盤をボ
ール盤に取付けて回転させ、ルーターにつけた回転砥石をあてがって削る。内径の仕上げはボール盤
に回転砥石を取付け、先端は作業板の少し下に来るようにして、内径を削り、仕上げる。
外輪の切り出し
外径の仕上げ
内径の仕上げ
スポーク10本の製作
スポークは手摺りの柱の様にくびれた装飾加工を施しているので、製作は旋盤加工向きの作業である
が、今回はヤスリとルーターで製作した。また、同じ形のものを作るため治具を作った。
▲ 材料は口径0.6mmの真鍮棒と外径1.0mm、
1.8mm
内径0.7mmの真鍮パイプで、左図の様にパ
イプに棒を通して両端を半田付けする。
5mm
8.6mm
径0.6mm真鍮棒の長さ1.8mm部分が操舵
手の手持ち位置になる。
くびれは2カ所で間隔は5mmにした。
半田付けしたスポーク材
スポークをくびれた形に削る治具は角材に内径0.7mmのパイプと5mm間隔でベローナのヤスリを2本接
着し、右端に回転するスポークを上下させる際のスリット付ガイド板を接着する。
8.6mm
スリット
0.6mm
内径0.7mmのパイプはルーターに取り付け回転す
るスポークにヤスリで溝を掘る際、スポークの先端
を受けてスポークの支点にするためのもの。
5mm
なお、テーパー加工はヤスリで行う。
- 6 -
▲
治具の出来上がり
スポークをルーターで回転させ溝を削っているところ。左写真はスポー
クを治具に対して斜めに差し込み先端をパイプの穴に差し込んだ状態。
右写真は右手を下げて治具とスポークを平行にすると溝が削れる。
この時、スポークのルーター側をスリットに差し込むと溝が芯に対して直
角に削られる。後は外輪に10本のスポークを貫通して、中心に径3.8mmの取り付けてハブに半田付けして完成。
ノルトランドのボートについて
関口 正巳
昨年の34回展にビリングボートのキット「ノルトランドのボート」縮尺1/20で出
品し、7月の横浜展には帆を付けて出品した。ビリングのキットはクリン
カー張りの外板をレーザーカット
してあるが、切り口が焼けている
ため自作の材料で製作した。木場
の材木店「もくもく」でマホガニー材
を購入し切り抜いて外板を作った。
昨年夏は北欧にボートの資料探
北欧旅行を話す関口さん
しの旅をした。ノルウエー、オランダ、
ノルトランドのボート
フィンランドのバイキング博物館巡りなどについて内容、見所などを話した。
第3回例会
第4回発表会につづいて14時から17時まで、サリュ・コパンのサロンで第3回例会を開催した。
例会の連絡事項の前に、日本で帆船クルーズを主催している(株)メリディアン・ジャパンの王子 朝夫専務を
お招きして「帆船クルーズの楽しさ」を話して頂いた。
メリディアン・ジャパンは1998年に設立した帆船クルーズの企画・販売会社で、初め
はギリシャ、トルコのクルーズが中心であった。2001年に「スター・クリッパーズ
社」と知り合いになり日本のクルーズ販売を始めた。日本ではクルーズと言え
ば豪華と思われ、それも帆船だと小さくて船酔いを心配されるが、ヨーロッパで
は以前から帆船クルーズが普及している。今回、話の切っ掛けになったのは肥
田さんから「スタークリッパーの模型を作りたいので、モナコの本社から図面と写
真を貰えないかと依頼され、その後、本社に完成写真を送ったら、販売促進に使
いたいので譲ってくれと頼まれた」ことです。この模型は今もドイツのハノー
メリディアン社 王子専務
バー支店に飾られている。
スター・クリッパーズ社の帆船を3隻所有している。内2隻が姉妹船の「スター・フライヤー」と「スター・クリッパ
ー」で、もう1隻は「ロイヤル・クリッパー」である。船の概要は下表の通り、いずれも大型豪華帆船である。
船名
就航年
全長m
総㌧数 マスト数
スター・フライヤー
1991
115.5
3092
4本
170
70
85
ベルギー
スター・クリッパー
1992
115.5
3092
4本
170
70
85
ベルギー
ロイヤル・クリッパー
2000
134
5000
5本
227
106
114
オランダ
- 7 -
乗客定員 乗組員 キャビン数
建造国
4隻目のクルーズ船が2010年就航の予定で計画されていたがリーマンショックの煽りで、ペンディングに
なっている。計画は総トン数7,500トン、5本マスト、乗客数300人の世界最大の帆船である。社長は1946年
生まれのスエーデン人マイケル・グラフト氏。
帆 船 クル ー ズの 魅力 を要 約 す る と次 の 3点 になる 。
1.帆で風を受けて進むこととそれに適応した形体の美しさを楽しめること。
2 .す べ てが オ ープ ン デ ッキ で 風 と 海が いつ も 近く に感 じ られる こと 。
3.乗組員、乗客ともに少人数であることから親密な雰囲気が楽しめること。
一 般 的 に客 船 クル ー ズと 言 え ば トン 数 2万 トン か ら5万 トン の豪 華 客 船 を
指 す が、海 の 感 覚が 薄 くマ ンショ ン の中 にい る 様なも ので 、昨 年 竣 工 した
「ロ イヤル ・カ ビリ アン 」はトン数 22 万 5千 トン 、全 長 360 m、乗 客6 ,300 人 、
スタ ー・クリッパ ー
1 6階 の客 船 で 、巨 大ホ テル の感 じが す る。
ク ル ー ズ の 年 間 ス ケ ジュ ー ル は 船 毎 に 組 まれ てい て 、地 域 は世 界 に広 が って いる が 、帆 船 の 性 格 上 、 ハ
リ ケー ン や 台風 シー ズン を避 けた プ ラン になってい る 。
船 内の 紹 介
マス ト上 か ら 見 下ろ し た デ ッ キ
レストランメニュー
キャ ビ ン
トロピカルバー
レクレーション
食堂
カクテルシェイク
ゾディアックで帆船を一周して島に上陸
お客様から良く伺う質問に次のようなものがある。
帆 船 は 風 が な い 時 は ど う す る の ----港 の 入 出 港 時 の た め に は 補 助 エ ン ジ ン を 搭 載 し て い る の で 動
かなくなる事はない。しかし、走行の帆船は帆走になっている。
船 酔 い に な ら な い か ----帆 船 ク ル ー ズ の 日 程 は 地 域 と 時 季 を 選 ん で 組 ん で い る 。 夏 は 地 中 海 が 中
心、冬はカリブ海、プーケットなど。
海に接するスケジュールは ----テンダーボートやゾディアックで海岸に行き、スネまで漬かって降りる。
医者は乗船しているか ----沿岸クルーズが中心なので医者は乗船していない。タイのプーケットクルー
ズではタイが集合場所になる。ただし、救急用医薬品を積んでいて、看護士(女性)が乗船している。
- 8 -
乗船中の作業などは ---- 帆走中に帆の操作をお客にお願いすることはないが、帆船クルーズにしかな
いものとして、出港時の展帆やマスト登りなどが出来る。
帆船クルーズは楽しいものなので、是非体験して頂きたい。クルーズスケジュール、料金なとの詳細はホー
ムページを参照して下さい。紹介先:(株)メリディアン・ジャパン
☎ 0476-48-3070、FAX 0476-48-3080
ホームページ:http://www.meridian-jp.com
例会
講演後、36回展の細部について各担当幹事より連絡があった。今回は新会
場での展示会になり、しかも会場設営と搬入作業の時間が限られているため、
スムーズに進めるための手順などを説明した。
(1) 展示会関係では案内はがきを全員10枚ずつ渡した。欠席者には郵送した。
(2) 会期中の1月19日(水)18時から銀座で新年会を開催する。
(3) 帆船模型キットやパーツの入手方法などを纏めた「知恵袋」を配布した。
終了後はパーティに移行し、志村(嘉)さんの締めでお開きになった。
志村さんの音頭で締め
お知らせ
船の科学館羊蹄丸 ザ・ロープ帆船模型常設展示場の展示作品入替
船の科学館羊蹄丸3階のザ・ロープ常設展示場の作品入替を3月19日(日)10時から午前中に行います。この展
示場は会員に帆船模型の展示場所を提供するもので、第36回展の出品作品を優先して展示します。
ヒシカ工業製ガンポート鋸の案内
「nokoya」ブランドで切れ味と引き心地の良さが売りの鋸製造専門のヒシカ
工業からガンポート用鋸が発売になった。刃渡り:30mm、刃厚み:0.4mm、
刃ピッチ:0.3mm、鋸幅:2.5mm。使い方はガンポートの四隅に鋸の幅より
少し大きめ穴をあけて、鋸を穴に入れて切っていき、ヤスリまたはカッターで
仕上げる。価格は送料別で2,000円。
問合せはヒシカ工業(株)〒673-0435兵庫県三木市別所町高木592-2、
☎ 0794-82-6820、FAX 0794-83-4127、メール:[email protected]
鋸刃の形状
新刊案内
ホームページ: http://www.nokoya.com
英国帆装軍艦のマスティングとリギング(1625-1860)
海文堂出版より「英国帆装軍艦のマスティングとリギング」の完全和訳本が
2月発売になった。原本はイギリスConway社刊のJames Lees著「Masting and Riggi
ng 1625-1860」で、イギリス海事博物館が所蔵する帆船の膨大な資料
と詳細データを収録している。図版(イラスト)は約350、写真は模型と絵画な
ど約100枚。製本はA4判、布クロス装、カバー付の上製。和訳は横浜帆船
模型同好会会長 山本信樹氏、帆船模型愛好家のバイブルがようやく邦訳
されたもので待望の一冊である。価格は税込み定価12,600円
を会員特別価格10,000円(税込み・送料を含む)。問合せ・注文には会の名
前を連絡して下さい。問合先は海文堂出版(株) (〒112-0005文京区水
道2-5-4 ☎03-3815-3292、FAX03-3815-3953、
メール:[email protected]、URL: http://www.kaibundo.jp/
世田谷帆船模型愛好会の第3回作品展示会案内
世田谷区に在住するザ・ロープと横浜帆船模型同好会の会員および帆船模型ショップ「エンデバー」の店主とそ
の顧客約20名が集まって開催している帆船模型作品展のお知らせです。入場料は無料。
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日時:5月10日(火)~5月15日(日)
10時~18時
(会期6日間)
ただし、初日の10日(火)は13時オープン、最終日15日(日)は16時まで
場所:世田谷美術館 区民ギャラリーA3 (世田谷区砧公園1-2、☎03-3415-6011)
交通:東急田園都市線「用賀駅」下車徒歩17分、バスは駅から「美術館行」下車徒歩3分
問合先:帆船模型工房「エンデバー」(世田谷区桜新町2-17-3、☎03-5477-7673)
会員の異動
【退会:2名】 ◆ 平成23年2月17日
ID65
古屋 白夫さん
ご逝去(享年87才)
◆ 平成23年2月22日
ID48
倉谷 恭平さん
自己都合により退会
さようなら古屋白夫さん
安藤 雅浩
あきお
現代の帆船模型が得意分野で「現代船の古屋さん」と呼ばれた古屋 白夫さんが、2月
17日逝去されました。享年87才。古屋さんは戦前、東京商船学校(現東京海洋大学)
に入ったことから船乗りになり海上生活は40年間に及んだ。戦時中は機関士とし
て乗り組んだ船が機雷に触れて沈没する中、生還し、戦後は海上保安庁の保安官とし
て活躍されるなど定年までは船が人生の生活を送った。ザ・ロープとのなれそめは
平成5年の第18回展の出品からで、以来平成20年の第33回展までの15年間、休む
ことなく毎年、近代・現代の帆船模型を出品した。本人も「何時まで続く事やら?、
1人で楽しむだけならとっくに飽きている。例会・発表会などの集まりによる交流
と展示会が楽しく心の張りになって続いている」と言っていた。主な作品は「サー・ウィンストン・チャーチル」
および「あこがれ」などで、現代帆船を精密に、素晴らしい作品に仕上げていた。気さくな人柄で、実船のメ
カニズムに詳しく、尋ねられたことは丁寧に、楽しそうに話されるなど、みんなから親しまれていた。また、
ここ数年、眼の不調から模型製作が捗らない事を嘆いていたが、会に入って幸せな余生が送れると言って
いました。ご冥福をお祈りします。
会の行事予定
平成23年3月から12月までの日程
*3月19日(日) 10:00~11:30 船の科学館 羊蹄丸の常設展示場展示品の入替
*4月末~11月初めまで船の科学館 羊蹄丸の「夢工房」開店
*3月26日~4月8日、アメリカ西海岸の姉妹クラブSMAの展示会 WSMC&E 2011に参加(出品5隻)
*3月~12月、毎月1回、日曜日の10:30~12:30 ルノアールにて「帆船模型教室」開催
年月
23/3
4
役員会
発表会【会場:サリュ・コパン】 総会・例会【会場:サリュ・コパン】
19日(土) 13:00~16:00
24日(日) 14:00~17:00
5
7
10
12
総会
15日(日) 12:00~17:00
10日(日) 14:00~17:00 第1回 24日(日) 12:00~14:00 例会第1回 24日(日) 14:00~17:00
9日(日) 14:00~17:00 第2回 16日(日) 12:00~14:00 例会第2回 16日(日) 14:00~17:00
4日(日) 14:00~17:00 第3回 11日(日) 12:00~14:00 例会第3回 11日(日) 14:00~17:00
ザ・ロープ事務局
赤道 達也
〒143-0025 大田区南馬込6-15-12-403
メール [email protected]
ザ・ロープ ホームページ
JSMCC ホームページ
会費の入金口座
http://www.geocities.jp/therope1204/index.htm
http://www.geocities.jp/jsmcc1204/index.html
【郵便振替】 口座番号:00120-1-187264
加入者名:ザ・ロープ
【銀行振込】 みずほ銀行銀座中央支店 普通預金:2142080 口座名義:「ザ・ロープ 会計 岩本和明」
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