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2014 年 6 月 17 日 学生募集の停止について 獨協大学法科大学院 法務

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2014 年 6 月 17 日 学生募集の停止について 獨協大学法科大学院 法務
2014 年 6 月 17 日
学生募集の停止について
獨協大学法科大学院
法務研究科長
野村武司
獨協大学法科大学院は,2015年度以降の学生募集を停止することとなりました。と
ても残念なことであり,無念でもあります。
本学法科大学院は,他の多くの法科大学院と同じ2004年に開設しました。埼玉県東
部の草加市の獨協大学キャンパス内に,「地域密着型法曹養成」を理念に掲げた50名規模
の少人数型の法科大学院としてのスタートでした。2007年には,文部科学省の専門職
大学院形成支援プログラムにも採択され準備を進めてきた「獨協大学地域と子どもリーガ
ルサービスセンター」を法科大学院の附置機関として開設しました。米国カリフォルニア
州立大学バークレー・ロースクールが展開する East Bay Community Law Center,サンフ
ランシスコにある法律事務所 Legal Service for Children にヒントを得て作ったもので,法
律事務所(獨協地域と子ども法律事務所)を併設し,これと連携しつつ,地域における子
どもの問題に対して,法律問題にとどまらず,広く相談救済活動を行っているところに特
徴があります。「地域の問題に関わる中で,地域のリソースとしての地位を築き,地域の司
法ニーズをみきわめ,それに応える法律家のあり方を,実践を通じて法曹をめざす人に示
したい。」(法曹教育と司法ニーズの架橋)そうした思いから作られたもので,地域のみな
さんをはじめとしてたくさんの人に利用いただいており,平成25年度「子ども若者育成・
子育て支援功労者」として,内閣府特命担当大臣より表彰されています。
教育面では,理論と実務の架橋を強く意識した法曹養成のための教育プログラムを展開
してきました。実務実践的な形での法曹倫理を重視し,実務へ架橋された理論教育ととも
に,実践的な実務科目を豊かに繰り広げてきました。とりわけ,草加市が実施している市
民法律相談の提供を受け,埼玉弁護士会とも協定を結んで実施している相談型の「リーガ
ルクリニックⅠ」は,2年次の必修科目として学生が初めて生の事件に接することのでき
る機会として,法律家の仕事と発想を体感的に知る機会となっています。市民のみなさん
からも好評で,リーガルクリニックとして行われる法律相談をむしろ選ぶ方も多かったと
聞いています。さらに,上級の「リーガルクリニックⅡ」においては,基本的に事件受任
型のクリニックが実施され,獨協地域と子ども法律事務所,実務家教員の法律事務所,さ
らに東京弁護士会の渋谷パブリック法律事務所,北千住パブリック法律事務所を受入れ先
として,他に類をみない多様で豊富なクリニックを実施しているところです。また,高校
生も参加する裁判員模擬裁判を取り入れた刑事法入門,文教大学大学院臨床心理専攻の大
学院実習生と一緒に取り組むリーガルクリニックも新時代を見据えたカリキュラムとして
高い評価を得ています。
本学では,これまで42名の司法試験合格者を輩出し(2014年3月時点の修了者は
264名),それぞれが各地で活躍しています。他方で,全国統計的に見ても法学未修者の
司法試験合格率は既修者に比べ高くはないことが明らかになっていますが,司法制度改革
の理念どおりに法学未修者,社会人を基本とする本学法科大学院としては,おしなべて示
されたそしてそれのみの司法試験合格率の報道には苦しめられてきました。(もっとも,法
曹をめざして法科大学院へ進学してきた学生の志を遂げさせてあげられなかった者がいる
ことについては,学生一人一人の顔を思い浮かべながら,いろいろな思いと,もっとやれ
ることがあったのではないだろうかとの思いを強くします。)こうした中,法曹人口拡大へ
の懐疑,法曹志望者の減少,法科大学院制度の揺らぎが生じ,法科大学院志望者が全国的
にも大幅に減少しました。本学規模の法科大学院への影響は大きく,本学法科大学院も,
定員削減に努めたにもかかわらず,定員充足率の恒常的な悪化は避けがたいものとなりま
した。もちろん,これに対抗し,これまでの実績を踏まえて,近年, 埼玉県唯一の法曹養成
機関として法曹養成の一翼を担うべく改革努力を重ねてきましたが,力及ばず,回復への
道筋を見出すことができませんでした。そして,今後,有意味な形で法曹養成を継続する
ことは困難であると判断し,今回の決定に至った次第です。
こうした決定に至ったことについて,在学生のみなさん,母校を大事に思い尽力に奔走
してくれた獨立会(獨協大学法科大学院を修了した弁護士の会)をはじめとした修了生の
みなさん,そして,地域で本学法科大学院を大切にしていただいた関係機関,市民の皆様
方に対して,感謝とともにお詫びを申し上げたく存じます。今後は,現在の在学生の法曹
教育になおいっそうの努力をするとともに,一人でも多くの法曹,そして社会人を輩出し
ていきたいと考えており,在学生への教育体制のみならず,修了生のサポート体制につい
てもこれまで通り実施していく所存です。また,地域と子どもリーガルサービスセンター
については,今後とも継続し,その発展に努めますので,どうぞよろしくお願いいたしま
す。
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