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京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析

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京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
2014 年 1 月 22 日
経営情報学部ビジネス情報学科
指導教員:草薙信照
学籍番号:105096
氏名:武藤耀央
目次
はじめに ..................................................................... 1
第1章
研究概要 ............................................................. 2
1.1 ドーナッツとは .................................................. 2
1.2 日本のドーナツ業界 .............................................. 2
1.3 ミスタードーナッツ .............................................. 3
1.3.1 ミスタードーナッツの会社概要 ................................ 3
1.3.2 ミスタードーナツの売上高 .................................... 4
第2章
立地分析 .............................................................. 5
2.1 都道府県別店舗数 ................................................. 5
2.1.1 都道府県別の店舗数の分析 ..................................... 5
2.1.2 人口10万人当たりの都道府県別店舗数 ......................... 6
2.2 京阪神における店舗分布 ........................................... 7
2.2.1
市区町村別の店舗数の分析 ..................................... 7
2.2.2 人口10万人当たりの市区町村別の店舗数 ....................... 8
2.2.3 京阪神店舗の駅からの距離 ..................................... 9
2.2.4 京阪神店舗の飲茶の有無 ....................................... 10
2.2.5 京阪神店舗の駐車場の有無 ..................................... 12
2.2.6 京阪神店舗の喫煙に関する制度 ................................. 14
第3章
結果と考察 ............................................................ 16
3.1 立地分析結果 ..................................................... 16
3.2 今後の課題 ....................................................... 16
あとがき ...................................................................... 17
参考サイト .................................................................... 18
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
はじめに
私がこのテーマを研究内容にしたのは、ミスタードーナッツでアルバイトをしていたからであ
る。自分の勤務する以外の店舗がどのような立地なのか、どのような商品を扱っているのか、駐
車場はあるのか、たばこは吸えるのかを調査し、ミスタードーナッツの展開戦略を考えることに
した。
研究方法
研究対象地域を京阪神とし、対象地域のミスタードーナッツ店舗の情報をミスタードーナ
ッツ公式サイト、i タウンページから入手した。それもとに Googlemap を使用して緯度経度
を取得し、CSV ファイルを作成した。ArcGIS を用いて京阪神のマップを作り、そこに店舗の
緯度経度情報よりマップに店舗の位置を表示した。そのマップで店舗の立地条件や店舗属性
を分析するとともに、駅や複合商業施設との関係についても調べる。
1
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
第1章
ドーナツ業界
1.1 ドーナッツとは
ドーナッツはもともとオランダが発祥元であり、ドーナツの名前の由来は、
「生地」という意味
の「Dough(ドウ)」と、
「木の実」という意味の「Nut(ナッツ)」がくっついて、生地で作った木の
実「ドウナッツ(Doughnut)」という意味となった。もともとは実際にナッツが練りこまれていた。
17 世紀頃、オランダでクルミを真ん中に載せた揚げ菓子が食べられていて、このお菓子に穴は空
いてなかったが、これがドーナッツの原型であるとする説が多い。当時としては非常に高級なも
のでクリスマス、復活祭または誕生祭に家庭で作られ、お互いプレゼントし合っていたとされる。
ナッツを載せるという説の他にも、ナッツに似せて作った揚げ菓子という説もあり、1620 年弾
圧に苦しんだイギリスの清教徒が理想の国を求めてメイフラワー号にのって新大陸を目指したと
き、彼らはその前に宗教寛容政策をしていたオランダに一旦亡命していた。この時に、オランダ
でドーナツの原型に触れる機会があった。
その中の誰かが製法を学んだのか、あるいはオランダからも移民する人がいたのか、とにか
くドーナツの原型はオランダからアメリカに伝わった。ところが、新大陸にはドーナツに載せる
クルミが手に入らなかったので真ん中に穴を空けて揚げるようになったのが今の穴あきドーナツ
の始まりとされている。
また、インディアンの矢がパン生地に当たって油鍋に落ちたのが穴あきドーナツの始まりとい
う説もある。ただ、新大陸への移民がドーナツを食べていたのは確かで、1809 年のワシントン・
アーヴィングの作品には17世紀のオランダ系移民の暮らしを紹介する文中で、
「食卓で誇らしい
事とされているのは、ラードで揚げた甘いドゥ(パン生地)のボールが山盛りで、いつも出され
ることだった。その名前はドーナッツ、またはオイル・ケーキと呼ばれた」と書かれているそう
である。
1.2 日本のドーナツ業界
日本のドーナツ業界は 1970 年に後の吉野家ホールディングスである西武グループの一部門と
して「ダンキンドーナツ」がまず導入され、翌年の 1971 年にダスキンによって「ミスタードーナ
ツ」が導入された。2大チェーンとして競争していたが、1990 年にダンキンドーナツは業績不振
から日本から撤退した。そこから無競争時代となったが、2004 年に有限会社ビックイーツによっ
て「ドーナッツプラント」が日本に進出し、2006 年にはロッテグループの出資で「クリスピー・
クリーム・ドーナツ」が日本展開を開始し、現在も拡大中である。
ドーナツ以外にもコンビニスイーツやスターバックスのようなコーヒーショップの菓子商品な
どが台頭し、ドーナツも含まれる菓子業界の市場を圧迫し始めた。
2
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
1.3
1.3.1
ミスタードーナッツ
ミスタードーナッツの会社概要
ミスタードーナツ(英称:Mister Donut)は、アメリカ・マサチューセッツ州ボストンで 1955
年に創業されたドーナツチェーンのブランドである。1990 年にアメリカ合衆国の食品大手企業ア
ライド・リヨンズに買収され、北米の店舗はすべて同社が同じく所有するダンキンドーナツに転
換された。今日の主要市場は日本であり、1,300 店以上で運営されている。
1971 年に日本での事業を開始しており、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドなどと同
じく日本で最も早い時期に始められたフード系フランチャイズである。当初(1970 年代∼1980
年代初頭)は現在のスターバックスなどのシアトル系コーヒー・ショップを思わせるアメリカ文
化や高級感を醸した店構え・広告宣伝戦略を採っていたが、好感度タレントで毎年上位に位置す
る事の多いお笑い系タレント所ジョージの TV-CM 起用や低価格メニューの拡充・宣伝での強調、
未成年(特に女子)をターゲットにデザインした景品キャンペーンの打ち出しなど、徐々に大衆
化路線に転じていく。
特にバブル崩壊以降吉野家などと共に、低価格路線を採った外食産業における代表的なものの
一つとなっている。日本での略称は「ミスド」
。 日本の店舗では飲茶メニューも提供している。
2006 年 3 月時点での店舗数は 1303 店(日本国内)であり、このうち直営店は 72 店。日本最大
規模のドーナツチェーン店である。日本国内における現在の運営会社は、大阪府吹田市豊津町に
本社を置くダスキンとなっているが、ミスタードーナツ事業の本部については吹田市芳野町にあ
る。
ドーナツを主力商品としているが、その他の様々な食品も扱い、ファストフード店として知ら
れる。その他、台湾、韓国、フィリピン、エルサルバドル、タイ王国にも店舗展開している。1969
年、ミスタードーナツ調査隊が渡米し、ミスタードーナツ・オブ・アメリカ(MDA)本社を訪
問。1971 年 (昭和 46 年) 第 1 号店の箕面ショップがオープン、その後フランチャイズ加盟店
第 1 号店となる。第 2 号京橋ショップがオープン、ミスタードーナツトレーニングセンターが完
成。その後拡大していき、現在の展開形態となった。
しかし、本家アメリカのミスタードーナツは、創業者どうしが親族関係にあるダンキンドーナ
ツにとっての最大のライバルであったが、1990 年 2 月に同社によって買収された。この買収に伴
い、ミスタードーナツに加盟していたフランチャイズのほぼ全店がダンキンドーナツへ移行する
事となった。しかしながら、ペンシルベニア州とオハイオ州を中心に一部の加盟店にとっては、
既存のダンキンドーナツの店舗と近すぎる等の理由で、鞍替えは事実上困難となった。
数百店に及ぶこれらの加盟店は共同でネットワークを築き、その多くはドーナツ・コネクショ
ンというブランド名で、ミスタードーナツと同様のメニューを提供している。なお、2008 年現在、
米国内で(ダンキンドーナツに FC 加盟せず、前述のドーナツ・コネクション・ブランドも掲げ
ず)ミスタードーナツブランドのままで営業している店舗は、ペンシルベニア州やフロリダ州な
どの東部地方に 8 店舗を残すのみである。
3
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
1.3.2 ミスタードーナツの売上高
表1を見ると国内売り上げは 2010 年をピークにしてその後降下している。ダスキングループ
全体のうちおよそ25%∼30%の売上を誇っていて、(第 51 期 2013 年 3 月期
合計売上
411,494 △0.7%より)海外市場は小さめではあるが、少しずつ成長中である。国内市場は 111,243
百万円にもなるが、ここ5年間で下がり続けている。5年前と比べて 10000 百万円も落ちている。
同じフランチャイズ飲食業の日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の売り上げである表
2 と比較すると、ケンタッキーも低下しているため、国内の飲食業が年々低迷しているためと考
えられる。
複数回に渡ってずさんな品質管理等による衛生問題等を起こしている。これは他のファストフ
ード事業と比較しても多い。しかし、数件ほどの異物混入程度では公表や回収を行わない企業も
ある(異物混入はゼロにはできない)ため、公になった問題数が多いことでのみ問題の多い企業
であると判断することには注意を要する(特に日本国内での使用が認められていない酸化防止剤
に関わる件以降、消費者の信頼重視に方針転換している可能性がある)。2006 年 3 月時点の日本
国外の店舗数は 1,406 店である。 現在の主力事業地域はアジア市場であり、日本とフィリピン、
インドネシア、タイで大規模に事業運営を行っている。台湾にも進出中。韓国ではダンキンドー
ナツが人気を博していることもあり、13 店舗あるのみである。なお、エルサルバドルでも事業を
行っている。タイでは「スシド・デライト」という寿司を模した商品がある。
表1
国内
海外
第 45 期
2007 年
3 月期
124,668
8,638
第 46 期
2008 年
3 月期
125,331
10,642
ミスタードーナツの売り上げ推移
第 47 期
2009 年
3 月期
123,633
10,183
第 48 期
2010 年
3 月期
122,673
10,770
第 48 期
2010 年
3 月期
122,673
10,770
第 49 期
2011 年
3 月期
119,890
11,493
第 50 期
2012 年
3 月期
114,723
10,553
第 51 期
2013 年
3 月期
111,243
12,066
出典:全国チェーン店お客様売上高 | 株主・投資家情報|
株式会社ダスキン(単位:売上高/百万円)
表 2 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社
売上高(百万)
2011 年 3 月
88,823
2012 年 3 月
88,124
2013 年 3 月
85,864
出典:モーニングスター
[ 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 会社情報/業績推移 株式銘柄情報 ]
4
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
第2章 立地分析
2.1
2.1.1
都道府県別店舗数
都道府県別の店舗数の分析
全国の店舗数 1300 店を都道府県別に集計し、店舗数ごとにグループ分けを行った結果、店
舗数が多い地域は東京 121 店、大阪 116 店のほかには愛知の 83 店、福岡の 63 店など工業地
帯の中心地であることがわかる。例外的なのは北海道で 72 店ある。東京近辺は東京を中心に
して 60 店舗以上や 40 店舗以上ある地域が広がっているが、地方は 60 店舗以上の県のほかは
どこも 20 店舗以下である。
凡例
都道府県2011
店舗数
5 - 20
21 - 40
41 - 60
61 - 80
81 - 121
図 1 都道府県別店舗数分布
5
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
2.1.2
人口10万人当たりの都道府県別店舗数
人口 10 万人当たりの店舗数では順位が大きく入れ替わり、奈良県、石川県、福井県など小
人口の地域で店舗数が多いことがわかる。北海道は人口比率でも店舗数が多く、東京、大阪
はそれぞれ 121 店、116 店もある店舗数だけならトップグループだったが、人口 10 万人当た
りでは店舗数が少ない。順位は大きく変わったが、多くの県が 1.0∼1.2 ポイントとなった。
これは各都道府県の人口に見合った店舗数が均一に存在していると考えられる。
凡例
都道府県2011
割合
0.66 - 0.8
0.8 - 1.0
1.0 - 1.2
1.2 - 1.4
1.4 - 1.62
図 2 都道府県別人口10万人当たりの店舗分布
6
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
2.2
2.2.1
京阪神における店舗分布
市区町村別の店舗数の分析
市区町村別に店舗数を分析した結果、ほとんどの地区町村が3∼4件のグループとなった。
大阪は店舗数が非常に多いが各市区町村別に見ると 2 店舗しかない地域が多い。大阪湾沿岸
の神戸市から姫路市への地域も店舗が集中しているが、ほとんどの市区町村が2∼3店舗し
かないことがわかる。中には 5 店舗以上存在している地域もあるが人口の多い姫路市に限ら
れる。これに対し兵庫県、京都府北部は各地域に 1 店舗しかない。
凡例
京阪神ミスド座標
店舗数
0
1
2
3-4
5-6
図 3 市区町村別の店舗数と分布
7
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
2.2.2 人口10万人当たりの市区町村別の店舗数
人口 10 万人当たりの店舗数を市区町村別に調査した結果と各市町村の人口を比較したところ、
ほとんどの地域が2.0ポイントになった。店舗数だけでは各地域バラバラだったが、人口10
万人あたりだと店舗数が均一化しため、各市町村の人口に見合った店舗数が存在していると考え
られる。
凡例
京阪神ミスド座標
割合
0.000000
~2.0
~4.0
~6.0
6.0以上
図 4 人口10万人当たりの店舗数と分布
8
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
2.2.3 京阪神店舗の駅からの距離
表 3 を見ると、駅から300メートル圏内にある店舗が全体の 6 割以上あることがわかる。駅
舎など交通の要所からの来客を想定していると考えられる。特に大阪府は駅付近店舗の割合が高
い。大阪市は集中しているが、京都市、神戸市に集中しているわけではない。むしろ鉄道に沿っ
て展開していることがわかる。
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凡例
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駅付近店舗300
京阪神路線
京阪神ミスド座標
大阪市マップ
神戸市マップ
京都市マップ
京阪神
大阪兵庫京都
図 5 京阪神の店舗と駅から300メート以内の店舗の図
表3
店舗数
駅付近店舗
京阪神の店舗分布と駅から300メートル以内の店舗
大阪府
京都府
兵庫県
合計
116
27
62
205
86
(74.1%)
14
(51.8%)
34
(54.8%) 134 (65.3%)
9
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
2.2.4 京阪神店舗の飲茶の有無
図 6 を見ると、まず京都府北部はどの店舗も飲茶を提供していないことがわかる。京都市の店
舗も提供していない店舗の方が多い。京都府では飲茶を提供するには人口、他の飲食店との競争
から提供を避けていると考えられる。
大阪府を見ていくと過半数の店舗で提供しているが、大阪市以外の店舗では提供している店舗
としていない店舗が混ざって存在していて、まとまっていない。兵庫県は提供している店舗は神
戸市に集中している。兵庫県の北部の店舗は京都府と同じく提供していないが、コープデイズ豊
岡店は温泉地にあるため集客率から提供可能なので、提供していると考えられる。
大阪府は人口的にどの店舗も提供可能、京都府は競争から提供を避けて、兵庫県は人口集中の
地域を中心に提供していると考えられる。
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凡例
<その他の値すべて>
飲茶
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なし(84)
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あり(121)
大阪市マップ
神戸市マップ
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京都市マップ
京阪神
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大阪兵庫京都
図 6 京阪神の飲茶を提供している店舗の図
10
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
大阪と兵庫は過半数の店舗で飲茶を提供しているが、京都府では21店舗中6店舗しか提供し
ていない。大阪は 67.2%、兵庫は 59.6%の提供率に対し京都は 22.2%となる。駅付近の店舗数
も京都府は少ないので(27店舗中14店舗)食べるためのスペースを設けず、ドーナツの販売
のみに特化した店舗が多いからであると考えられる。
駅から300メートル圏内にある店舗を見ると、まず京都府は提供率が 30%にまでなる(表 5)。
駅付近の店舗では全体の提供率の 22.2%を大きく超えた。大阪は 68.6%と全体と同じ比率となり、
兵庫県は 73.5%で全体の提供率 59%を大きく上回った。原価も高く、提供スペースほかに調理ス
ペースと機材が必要になる飲茶は集客率が高くなる駅付近の店舗しか提供できないからであると
考えられる。
表 4 京阪神店舗の飲茶の有無
大阪府
店舗数
なし
あり
116
38
78
(67.2%)
京都府
27
21
6
(22.2%)
兵庫県
62
25
37
(59.6%)
合計
205
84
121
(59.0%)
表 5 駅から300メートル圏内にある店舗の飲茶の有無
大阪府
駅付近店舗
なし
あり
86
27
59
(68.6%)
京都府
14
10
4
(28.5%)
11
兵庫県
34
9
25
(73.5%)
合計
134
46
88
(65.6%)
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
2.2.5 京阪神店舗の駐車場の有無
図 7 を見ると、大阪府は大阪市を中心として駐車場を設置していない店舗が多いことがわかる。
地下鉄が整備されていて駅付近の店舗が非常に多いため駐車場を必要とする店舗が少ないためと
考えれる。大阪市以外の地域では共用駐車場を設置している店舗が大阪市より多くなっていて、
専用駐車場がある店舗も存在する。
兵庫県も大阪と同じく神戸市には駐車場を設置していない店舗のほうが多くなり、そのほかの
地域で共用駐車場を設置している店舗が大阪よりも非常に多くなる。兵庫県北部の店舗は基本的
に駐車場があるが、氷上ショップは例外的に設置していない。これは付近に大規模な商業施設が
あるため、その駐車場を利用していると考えられる。
京都府は都市部とそれ以外の地域関係なく、駐車場を設置している店舗としていない店舗がま
とまらずに混在している。京都市から離れた京都府北部の店舗は駅付近にあるため駐車場を必要
としていないと考えられる。
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凡例
<その他の値すべて>
駐車場
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なし(128)
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専用(5)
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共用(72)
大阪市マップ
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神戸市マップ
京都市マップ
京阪神
大阪兵庫京都
図 7 京阪神の駐車場のある店舗の図
12
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京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
駐車場を設置している店舗を見ると、大阪と京都は 30%台だが兵庫だけ 46.8%になる。駅付近
に店舗が集中してる地域とは離れた場所にも店舗が分布しているため、駐車場を設置して自動車
での来客をターゲットにしていると考えれらる。大阪が一番割合が低くなるのは駅付近の店舗が
多いため駐車場が必要ないからであると考えられる。
駅から300メートル以内の店舗を見ると、駅の多い大阪府の店舗はそのほとんどが駐車場の
ない店舗である(表 7)。あっても共用駐車場が多いが1店舗だけ専用駐車場を設けている店が久
米田ショップである。駐車場設置店舗が多い兵庫県でも神鉄岡場ショップと加古川別府ショップ
の2店舗が専用駐車場を設置している。共用駐車場が駅付近店舗でもこれだけあるのは駅付近の
商業施設に展開しているからであると考えられる。
表 6 京阪神店舗の駐車場の有無
大阪府
店舗数
なし
専用
共用
116
78
3
35
(2.5%)
(30.1%)
京都府
27
17
0
10
(37.0%)
兵庫県
62
33
2
27
(3.2%)
(43.5%)
合計
205
128
5
72
(2.4%)
(35.1%)
表 7 駅から300メートル圏内にある店舗の駐車場の有無
大阪府
駅付近店舗
なし
専用
共用
86
65
1
20
(1.1%)
(23.2%)
京都府
14
10
0
4
(28.5%)
13
兵庫県
34
22
2
10
(5.8%)
(29.4%)
合計
134
97
3
34
(2.2%)
(25.3%)
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
2.2.6 京阪神店舗の喫煙に関する制度
図 8 を見ると、全館禁煙にしている店舗の方が非常に多いことがわかる。都市部を見ていくと
京都市と神戸市は全館禁煙にしている店舗が過半数だが、大阪市だけは分煙を行っている店舗も
点在している。県単位で比較しても大阪府だけ分煙の店舗が明らかに多い。京都府も兵庫県も禁
煙の店舗の方が明らかに多い。
大阪市以外の地域では急に禁煙の店舗が多くなっている。ビジネス街の店舗は喫煙者に配慮し、
分煙席を設けているためと考えられる。
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凡例
<その他の値すべて>
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タバコ
^
規制なし
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全館禁煙
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分煙
大阪市マップ
神戸市マップ
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京都市マップ
京阪神
大阪兵庫京都
図 8 京阪神の禁煙、分煙採用店舗の図
14
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京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
表 8 を見ると、禁煙化している店舗が多いことがわかる。京都と兵庫の店舗では全体の 80%が
全館禁煙となっている。兵庫では駅から離れた店舗はすべて全館禁煙である。逆に大阪は他の2
県と比べて禁煙の割合が低い。分煙もせず喫煙できる店舗が存在するのは大阪の店舗のみである。
代わりに分煙の店舗の割合は大阪が一番多い。
駅から300メートル圏内の店舗だけを見ていくと、全館禁煙の店舗の割合は全体より下がる
(表 9)。全体では 80%の店舗が禁煙だった京都と兵庫の店舗も 65%前後まで下がってしまう。
代わりに各県の分煙の店舗の割合が 10%上がる。駅付近では飲茶を提供している店舗も多いので、
喫煙する客にも配慮しないといけないからであると考えられる。
表 8 京阪神店舗の喫煙に関する制度
大阪府
店舗数
規制なし
全館禁煙
分煙
116
5
76
35
(4.3%)
(65.5%)
(30.1%)
京都府
27
0
21
6
(77.7%)
(22.2%)
兵庫県
62
0
50
12
(80.6%)
(19.3%)
合計
205
5
147
53
(2.4%)
(71.7%)
(25.8%)
表 9 駅から300メートル圏内にある店舗の喫煙に関する制度
大阪府
駅付近店舗
規制なし
全館禁煙
分煙
86
5
48
33
(5.8%)
(55.8%)
(38.3%)
京都府
14
0
9
5
(64.2%)
(35.7%)
15
兵庫県
34
0
23
11
(67.6%)
(32.3%)
合計
134
5
80
49
(3.7%)
(59.7%)
(36.5%)
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
第3章 結果と考察
3.1
立地分析結果
今回の研究で、京阪神のミスタードーナッツの展開状況と現状が分かった。各地域の店舗数は
その地域の人口に見合った数を配置して多すぎる地域がないようにしている。京阪神のすべての
市区町村の人口と店舗数を比較して得た結果、10万人当たりの店舗数が均一化したからである。
さらに細かい立地を見ると、大阪府は駅付近に展開することを第一とし、電車からの来客を想
定している。原価の高い商品である飲茶を提供できる店舗が多いが、大阪市内の店舗は圧倒的に
提供しているものの、大阪市以外の地域では提供している店舗の地域も店舗数もバラバラになっ
てしまい、単に駅に近いだけでは提供できず、人口の集中度も関係していると考えられる。京都
府は店舗数は少ないものの観光地にふさわしい店舗出店をめざし、なるべく全館禁煙にしている。
兵庫県は大阪と同じ展開戦略をとりつつ、大阪から離れた西部一帯は観光地を中心に京都府の店
舗に近いサービス形態で展開を行っていることが分かった。
すべての割合をマップとは別に数字ではっきりと表示することで全体の時の割合と特殊な条件
下での割合を比較できた。駅付近の店舗では禁煙率が大きく下がり駐車場の設置も減っていると
いったことは数字にしてみて初めて分かった。
売り上げに関しては今のところ落ち込み傾向で急激ではないが下がり続けている。自分の勤務
する店舗でも5年前から確実に売り上げが低下していた。
自分が勤める店舗以外の状況と、その商品、サービスを提供するための準備と苦労はどうなっ
ているのか気になり調べてみたが、本当のおもしろい結果が出てきた。京阪神ですらそれぞれの
特色がはっきり浮かび上がった。
3.2
今後の課題
今回の調査では特に気になっていた項目の一つである冷蔵商品の提供状況ができなかった。ま
だ実験段階で1300店のうちわずか24店舗しか提供しておらず、とても調査の対象にできな
かった。調べれば冷蔵ドーナッツの方が明らかに原価が高く、売上の貢献度的に面白い結果が出
たはずだが、提供店舗が少なくては分析のしようがない。
駅舎だけでなく、大型商業施設、人口密度との関係も調査してみると面白い結果が出てくると
考える。市場傾向からどういった立地で、どのようなサービスの種類の店舗が成長するか試して
みたい。それらをより多角的に、複合的に調査したいと考える。
16
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
あとがき
私が今回研究したミスタードーナッツは私の学生生活とってとても重要なものである。大学入
学以来ずっとミスタードーナッツでアルバイトしてきて、普段何気なしに準備、販売している商
品や制度は他の店舗ではどのように扱っているのか気になるようになり、今回の研究へとつなが
った。立地やサービスの種類にはミスタードーナッツの出店戦略があり、実際に地図に表示する
ことでわかりやすくなった。
他のドーナッツチェーンで有力なものはなく、ミスタードーナッツの一強となっていたため、
今回は各店舗の属性と立地を研究して比較したが、それでもミスタードーナッツの全体像を知る
ことができた。すべての割合をマップとは別に数字ではっきりと表示することで全体の時の割合
と特殊な条件下での割合を比較できた。これは今後仕事をしていく上で絶対に役に立つと思う。
このゼミに出会わなければ決して知ることはなかっただろう。
この卒業論文を通して ArcMap の使い方が少し理解できた。二回生のとき講義で初めて使い、戸
惑いばかりあったが、今では様々なマップや、座標データを作れるようになった。草薙先生のゼ
ミに入って ArcMap を卒業論文に活用するようになってからは先生のご指導のおかげで検索など
の機能も使いこなせるようになった。この大学で様々な新しいスキルを身につけることができて
本当によかった。
17
京阪神におけるミスタードーナッツの立地分析
参考文献および参考サイト
人気スイーツランキング(閲覧日:2013 年 11 月)
http://sweets.cake100.net/61.html
ミスタードーナツ公式サイト
ミスドミュージアム(閲覧日:2013 年 11 月)
http://www.misterdonut.jp/museum/history/
由来メモ(閲覧日:2013 年 11 月)
http://www.yuraimemo.com/322/
全国チェーン店お客様売上高 │ 株主・投資家情報 │ 株式会社ダスキン(閲覧日:2013 年 10 月)
http://www.duskin.co.jp/ir/library/segment/segment_02.html
ショップ情報|ミスタードーナツ(閲覧日:2013 年 9 月)
http://www.misterdonut.jp/shop_data/
i タウンページ(閲覧日:2013 年 9 月)
http://itp.ne.jp/?rf=1
ドーナツチェーン店の市場規模、メーカーシェア 2013 年 │ Mpac-マーケティング情報パック
(閲覧日:2014 年 1 月)
http://www2.fgn.jp/mpac/_data/1/?d=025101
DOUGHNUTPLANT │ ドーナッツプラント(閲覧日:2014 年 1 月)
http://www.doughnutplant.jp/
Krispy Kreme Doughnuts(閲覧日:2014 年 1 月)
http://krispykreme.jp/index.html
モーニングスター [ 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 会社情報/業績推移 株式銘
柄情報 ] (閲覧日:2014 年 1 月)
https://www.morningstar.co.jp/StockInfo/info/company/9873;jsessionid=76C603B0DE340E780
03D3634CBCE617F
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