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UCLA YAP
福祉サービスと利用の狭間で
家族支援
レスパイト・ケアサービス
日常からの解放と代行
家族支援の概要
 直接的支援(家族のために提供される支援)
レスパイト(ショートステイ)、医療
 間接的支援(家族と子を一体的に見る中で
提供される支援)
療育・教育、ペアレントトレーニング、自
助グループ(親の会)、ペアレントメンター
背景
 レスパイト・ケア・サービス(respite care
service)は1970 年代にアメリカで発達し後に
ヨーロッパ等へも広がっていった。
 背景には、1950年代にはじっまった「脱施設
化(deinstitutionalization)」がある。脱施設化
に伴い、家庭支援の要望が高くなり、サー
ビス提供の必要性が出てきたためである。
脱施設化については「煉獄のクリスマス」参照
我が国では・・・
 日本では1976年に「心身障害児(者)短期入
所事業」の名称で、いわゆるショートス
テイとして始まった。当初は、家族の病
気、冠婚葬祭、出張等、「社会的事由」
に利用用件が限定されていた。
 現在においては、いわゆる「介護疲れ」
といった私的事由でも利用が可能である。
解放か、代行か?!
 「障害児(者)を持つ親、家族と、一時的に
一定の期間,障害児の親から解放することに
より日頃の疲れを回復し、ほっと一息つける
ようにする援助」(廣瀬ら,1993)
 「障害をもつ人のケアを家族から一時的に代
行することによって障害をもつ本人と家族に
もうひとつの時間と機会を提供する,家族支
援サービスのひとつ」(名川,1998)
親や第一義的なケア提供者(primary career)
に提供される。
レスパイト・ケア・サービスの効果
サービス利用の主な効果は
次の通りとしている(大井,1993)
①家族のストレスの軽減
②その結果、家族機能の改善
③ケア担当者(主として母親)が、ケア
をうける本人を含め家族に対して余裕
をもって接することができるように
なって関係の改善が図られた
④社会的な孤立状態が軽減された
ただし・・・
 「子どもの養育は親が責任を持つべき
だ」「親の私的な理由のために子どもを
預けるなんてとんでもない」「子どもの
最大の利益に反する」という批判がある
(Dowling & Dolan, 2001)。
 「家族にはケアを休む必要がある」と言
う社会的認識が低いため、利用をためら
うという指摘もある。
→障害児の親としての
「役割期待」参照
さらにこんな矛盾も・・・
 レスパイト・ケアは、日常的なケアを本来
であれば、家族が担うという家族ケアを前
提として成り立つサービス。
 サービスが充実することはすなわち、家族
による負担を肯定化することにもなる。
 これは「ケアの社会化」という理念と矛盾
しているのでは・・。
親の会・Parent Mentor
セルフヘルプ
親の会
 1952年、知的な障害のあるわが子の幸せ
を願い、3人の母親によって「手をつな
ぐ親の会(現:手をつなぐ育成会)設立。
 教育、福祉、就労などの施策の整備、充
実を求めて、仲間の親・関係者・市民へ
の呼びかけをきっかけに発足。
 Self-help(自助)グループ
Self-help(自助)グループ
 Self-help
groupは「生活上の共通課題に取り組むために自
発的に集まり相互援助と目的達成を狙った小グループであ
り、個人ないし社会の変化をひき起こそうとする」ものを
指す(大木・谷本,2010)。
岡(1995)は 我が国の、Self-help group の本質を「わかちあい」
「ひとりだち」「ときはなち」と言う概念で説明した。
 「わかちあい」とは「複数の人が情報や感情や考え方など
を同等な関係の中で自発的に情緒的に抑圧されずに交換す
ること」
 「ひとりだち」とは,「わかちあいを通じて,自分自身の
状況を管理し、問題解決を自己決定し、社会参加・社会貢
献していくこと」
 「ときはなち」とは、「自尊感情を取り戻し、周囲の人々
の差別と偏見を改め、社会制度の不平等性をなくしていく
こと」
Parent Mentor
 Mentorとは、特定の領域の知識や経験が豊富
で、役割モデルを示しながら助言を行う人の
ことを言う。
 ペアレントメンターとは、障害児の子育て経
験のある親の経験や知識を活かし、障害の診
断を受けて間もない親などに対して、相談や
助言、情報提供を行う人のことを言う。
 メンターによる支援活動は“Mentoring”と言
う。 “Mentoring”は、非指示的で命令は行
わず、対話によるMentee(メンタリングを受
ける人)の気づきから、自発的・自律的な成長
を促すプロセスを指す。
Mentorには、大変高度な技量が求められている??
誰でも気軽に出来ると言うものではなさそうですね
療育、教育における家族の役割
子どもの発達を促す家族の
療育と家族
 1950年代から60年代は、器質障害が明ら
かになっていたものを除き、家族は「病理
家族」として「治療」の対象とされていた
( Bettelheimによる“RefrigeratorMothers”に
代表される)
 その後、70年代に入り、器質障害としての位
置づけが明確になる中で、障害児家族の「脱
病理化」が進んだ。
障害児家族は「療育」の担い手となったが・・・
その中心は、母親・・・母子密着関係を強化?!!
愛着理論(Attachment theory)
John Bowlby
1907 - 1990
 1950年代から60年代にかけて確立された理論
 母子の間には、生物学的な絆というシステムが
存在しており、子どもの情緒発達に大きく影響
していると主張した。
 母親による養育が不十分、不安定な場合に、さ
まざまな子どもの発達に影響を及ぼすことを
「母性的養育の剥奪」(deprivation of maternal
care)という言葉で説明した。
 なお、愛着理論によって母子間の抑制的要因だ
けでなく、促進的要因についても関心が向けら
れるようになった。
再掲
Refrigerator Mothers
 ブルーノ・ベッテルハイム(Bruno
Bettelheim)が、1950年代から60年代に
かけて唱えた説。
「この本を通じて小児自閉症の重要なる
要因は子供が存在すべきではないという親
の願望によるものだ、という私の信念を再
三述べてきた。」
「自閉症・うつろな砦」より
TEACCH(Treatment and Education of
Autistic and related Communication
handicapped CHildren)
Eric Schopler
(1927 – 2006)
 1960年代後半からノースカロライナ大学で行われた自
閉症研究をもとに構成された包括的プログラム。
 PEP(現在PEP-3; Psychoeducational Profile-3rd edition)、
AAPEP(現在TTAP ;TEACCH Transition Assessment Profile)
により、子どもの実態を個別に評価。
 「自閉症診断」には CARS(The Childhood Autism Rating
Scale)を使用する。
 認知障害を前提とした、構造化(物理的構造化、スケ
ジュール、ワークシステム、視覚的構造化)。
TEACCHの7原則
原則1
原則2
原則3
原則4
原則5
原則6
原則7
子ども自身の適応能力を向上させる(子ども自
身の適応能力を向上させる・子どもをとりまく
環境を整えて、子どもの欠陥を補っていく)
両親が共同治療者として協力する。親のニード
に耳を傾け、プログラムに生かす。
診断・評価に基づいた個別教育プログラム
構造化された教育
子どもの障害を正確に認識する。
認知理論と行動理論の組み合わせの応用
療育に係わる専門家はジェネラリストでなけれ
ばならない。
UCLA早期自閉症プロジェクト
(UCLA Young Autism Project)
Ole Ivar Løvaas
(1927 – 2010)
Lovaas(1987) は、4歳未満(平均3歳/発達
年齢の平均18ヶ月)の自閉症児に対して週
40時間の早期高密度行動介入を2年から3
年にわたり行ったところ、実験群19人の
うちの9人(47%)が、6歳から7歳の時点で標
準範囲のIQ(平均107,range=94-120)に達し、
就学後の1年間、通常学級に在籍していた
ことから自閉症から「回復(recovery)」し
たことを報告した。
20
UCLA YAPまたは通称ローバスプログラム
 Lovaas, Ackerman, Alexander, Firestone, Perkins, &
Young(1981)による体系化された。プロトコル(“The me
book”)に従い、十分に訓練されたUCLAのスタッフと親
がチームになり行われる。
 2003年には、その改訂版が出されてい“Teachingindividuals
withdevelopmentaldelays”
 早期高密度行動介入
高密度行動介入とは
高密度(intensive)とは、明確な定義はないが
Anderson & Romanczyk(1999)によれば
 おおよそ3歳未満については週あたり25
時間から30時間、3歳以上については35
時間から40時間程度の治療時間を、2年
から3年の期間実施する
 十分に訓練されたスタッフのもと、子ど
もと1対1の指導環境の中で行う
 不連続試行 (discrete trial) 手続きを用いて、
1時間あたり50から100程度の学習機会を
提供する
22
プログラムの主な内容
 着席行動、注目行動
 マッチング、動作模倣(事物・粗大・微細)・言語(指
示理解)、遊びスキル(パズル・ミニカー・人形・
ボール・手遊び歌など)、図画工作(積み木・模写・
色塗り・ハサミ・貼るなど)、読み・書き
 身辺自立スキル(食事・衣服着脱・身だしなみ・歯
磨き・手洗い・トイレ)
 表出言語(発生・音声模倣・ラベリング・抽象語・
マンド・タクト・位置関係・感情/視覚処理が優位
な場合はR & W・PECS)
10試行中9試行または20試行中、19試行の正反応が
達成基準。
23
プログラムタイムライン
24
その後の追跡研究
(McEachin,Smith,& Lovaas,1993)
 平均年齢13歳時に実施した予後調査でも、良
好な治療成果を示した9名のうち8名のIQは、
依然として標準範囲(FIQは平均119)にあった。
 またヴァインランド適応行動尺度(The
vineland adaptive behavior scales)や小児人格
検査(The personality inventory for children)の結
果も、統制群と比較し適応的な状態にあるこ
とが確認された。
 しかし9名のうちの1名については、言語や適
応行動の結果は思わしくなく、特殊学級在籍
となっていた。
25
TEACCHとUCLA YAPの対立!?
 「社会モデル」と「個人モデル」の対立でもあった。
 TEACCHでは、自閉症は治癒することはなく、生涯にわ
たり支援を必要とし環境側の整備に重きを置いているの
に対し、UCLA YAPは、週40時間の程度の訓練を3年程度
続ければ「回復」するとしている点にある。
さらにLovaasらの研究に対する批判
 機能的に低い子どもを研究対象から外すための
カットオフ基準が設定されていたことから、そ
もそも機能的に高かった可能性があった
(Schopler,Short,and Mesibov,1989)
 嫌悪的手続きの使用 (Jordan,Jones,& Murray,1998)
 費用対効果に見る実用性の問題(Howlin,1997)
 対象児童の無作為割付(random assignment)がな
されていない、あるいは測定尺度の妥当性など
データの信頼性に関わる問題(Gresham &
MacMillan,1998;Mesibov,1993;Mundy,1993など)
27
コスト対効果について
 週あたり40時間、訓練された有能なセラピス
トを確保するための費用は、年に33,000ドル
から50,000ドル以上と言われている
(Jacobson,Mulick,& Green,1998)。
 プログラム実施のための阻害要因は、適切な
治療チームの維持や補充に問題がある場合で
ある (Johnson and Hastings,2002)。
 これだけのコストに対して、実際に「良好な
結果(best outcome) 」が示されたのは、実験参
加者の半分程度に対してである。
28
全米学術会議(2001)
 自閉症児のための教育的介入に関する委員会(Committee
on Educational Interventions for Children with Autism)は、幼
少時の自閉症児に有効とされる代表的な包括的介入プロ
グラムの中から10種類をあげている。
 これらのプログラムのほとんどが応用行動分析学の記述
に基づいて体系化されている(dunlap & Fox,1999; Koegel,
Camarata, Valdez-Menchaca,& Koegel, 1998)。
29
幼少時の自閉症児に有効とされる包括的介入
プログラム
 Children's Unit at the State University of New York at Binghamton
 Denver Model at the University of Colorado Health Sciences Center
 Developmental Intervention Model at The George Washington







University School of Medicine
Douglass Developmental Center at Rutgers University
Individualized Support Program at the University of South Florida at
Tampa
Learning Experiences, an Alternative Program for Preschoolers and
their Parents (LEAP) Preschool at the University of Colorado School
of Education
Pivotal Response Model at the University of California at Santa
Barbara
Treatment and Education of Autistic and Related Communication
Handicapped Children (TEACCH) at the University of North Carolina
School of Medicine at Chapel Hill
The University of California at Los Angeles (UCLA Young Autism
Project
Walden Early Childhood Programs at the Emory University School of
Medicine
(National Research Council,2001)
30
親による介入
 親訓練群は専門的訓練を積んだセラピスト群
と比較して、十分な効果が認められなかった
(Smithら,2000)。
 大学による専門的支援を得ずに、親が地域に
おける資源を得て行う早期高密度行動介入は、
IQに一定の改善は見られたものの、自閉症症
状自体の改善は見られなかった(Sheinkopf &
Siegel,1998)。
 親による早期高密度行動介入では、介入開始
の遅れ、短い介入時間、低頻度のスーパー
ヴィジョンであり、成果は不十分(Mudford
ら,2001;Bibbyら,2001)。
共同と協働
 学校や療育施設が、時に“共同”保育
者・教育者・セラピストとして子への
関わりを求めることがある。
 学校や療育施設などから家でのアドバ
イスを貰い、がんばってはみるものの、
だんだんとうまくいかなくなる。する
と「がんばって・・・」と言われ、だ
んだんと苦痛になる・・・。
随伴性が異なることをよく認識
する必要がある
子ども
子ども
対 応・支 援
対応・支援
対応・支援
支援環境
支援環境
支援環境
課 題・目 標
支援者
保護者
共同を前提とした支援モデル
課 題・目 標
支援者
保護者
協働を前提とした支援モデル
保護者と支援者による子どもへの支援モデル(有川,未発表)
その後の追試・再現研究と有効性
(Sallows and Graupner,2005)
 対象者を無作為割付し、さらに認知、言語、適
応行動、自閉症状、学力など多様な測度を用い、
Lovaasらの研究成果を再現し、一連の批判の反
証データを示した。
 48%(23名中、11名)が平均IQ55.27であったもの
が、治療後は103.73と大幅な上昇を示していた
(これを「急速学習群(rapid learners)」とした)が、
残りの12名については、言語と適応行動の一部
において変化は認められたものの、IQの変化は
ほとんど見られなかった(これを「緩やか学習群
(moderate learner)」とした)。
 介入前の「模倣」「言語」「刺激への反応」の
状態が良好であると、介入後の変化が大きかっ
た。
34
Sallows and Graupner(2005)
35
子どもの介入プログラム
 介入・支援プログラムは多数ある。
 提供される支援プログラムやサービスは
地域によっても様々である。
 それぞれに有効性等に関する情報がある。
近年、「証拠(evidence)」に基づくプログ
ラムが推奨されている。
 子どもへの早期支援を展開する上で重要
なことは、十分な情報提供と支援サービ
スが選択できること。
Parent training
子育ての手立てを学ぶ
Parent trainingの有効性とは(CDC,2009)
 CDC(2009)は、Parent trainingのevidenceに基
づく有効性を検討する際に、 Parent training
を「ホームワーク、モデリングあるいは練
習等により子育てスキルを活動的に習得す
ること」と定義づけている。
 したがってレクチャーやビデオ等、情報を
提供するのみの親教育的プログラムは分析
の対象とはしなかった。
 1990年から2002年の間に公表された論文(77
本)のうち、0歳から7歳の子どもを持つ親の
ためのプログラムについて検討(メタ分析)を
行った。
Parent trainingの内容(CDC,2009)
 発達に応じた身体的ケアと環境の提供
 非指示的で肯定的なやりとりの習得
 子どもの感情や心理的ニーズへの感性感覚
 情動的コミュニケーション
 指示的コミュニケーション
 規律と行動の管理
 子どもの社会的スキル、向社会的行動の促進
 子どもの認知、アカデミックスキルの促進
Parent trainingの提供(CDC,2009)
 カリキュラムあるいはマニュアルに沿った提供
 モデリング
 ホームワーク
 子どもと一緒に、リハーサル、ロールプレイによるスキ
ルの練習
 親から離れて、子どもはトレーニングへ参加
 補助的サービス
子どもの不適切な行動(攻撃的、反抗的あるいは多
動)の低減に有効であるもの(CDC,2009)
 タイムアウトの正しい使い方を親に教えること
 子どもに対する一貫性のある対応を親に教えること
 子どもとの肯定的なやりとりを親に教えること
 プログラムセッションの中で、子どもと練習することを
親に求めること
有効性が認められないもの?? (CDC,2009)
 子どもの行動について、どのように問題解決を図るかを
親に教えること
 子どもの勉強、認知のスキルをどのように促すかを教え
ること
 子育てプログラムの一環としての補助的サービスを含ん
でいること
Parent trainingの事例
子どもへの関わり方を支援する
対象児・父母
 5ヶ月時、重度の腸捻転がもとで多臓器に機能





低下がみられ余命2年を宣告。
11ヶ月時、6臓器の移植をJ記念病院で受ける。
2歳時、A小児医療センターにおいて広汎性発
達障害と診断。
2歳10ヶ月にインテークセッション。発声
(-)、おもちゃへの関心(-)、共同注
意・アイコンタクト(-)、発声無し、おも
ちゃへの関心無し。発達検査不可。重度の自
閉症。
3歳0ヶ月より週一回のセッション開始。
家庭において父親・母親がA児に対する指導
に苦慮しているとの訴えがあったことから、4
歳1カ月時、Parent training実施。
Parent trainingの内容
 スタッフによる指導風景のビデオ視聴
 講義
1)講義内容:「行動分析の基本」「強化と罰の関
係」「記録の重要性」「強化の性質」「正の
強化と負の強化」
2)講義内容:「強化スケジュール」「強化と行動
レパートリー」「消去手続き」「タイムアウ
ト」「レスポンスコスト」
 演習
1)演習内容:事例をもとに「三項随伴性を基本に行
動を分析する」「行動を説明する」
2)演習内容:「問題解決への道筋」「機能的アセス
メント」「シェイピング」
標的行動
 評価は、家庭指導の様子が記録されたVTRをもとに、
大学院生1名、学部学生1名、筆者それぞれが個別に査
定し、3名に共通し改善を要すると判断したものを項目
として作成した。これを標的行動とした。
 項目は、全7項目で構成されており、定義に従い正誤を
評価した。
Parent trainingにおける講義による
知識量の変化
50
45
45
42
40
35
35
30
30
父親
母親
25
20
15
10
5
0
Pre
Post
Figure 1. KBPAC得点の変化
有川(2009)
Parent training
(didactic instruction andpractice)
ABAに基づくParent trainingによる親の支援行動の変容・父親
Baseline
7
Number of positive
support
6
5
4
3
2
1
post-didactic
instruction and
practice
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18
Parent training
(didactic instruction andpractice)
Figure 2.父親の適切な支援行動の変化
Number of correct responses
Baseline
3
2
1
post-didactic
instruction and
practice
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18
Figure3.父親指導時のA児の御用(Followinginstruction)課題遂行の変化
有川(2009)
ABAに基づくParent trainingによる親の支援行動の変容・母親
7
Baseline
post-didactic
instruction and
practice
VTR monitoring
and feedback
10 11 12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24
maintain
Number of positive
support
6
5
4
3
2
1
0
Number of correct responses
Baseline
3
2
1
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9
25 26 27 28 29 30
Figure 4 .母親の適切な支援行動の変化
Parent training
(didactic instruction and practice)
1 2 3 4 5 6 7 8 9
post-didactic
instruction and
practice
10 11 12 13 14 15 16 17 18
VTR
monitoring
and feedback
19 20 21 22 23 24
maintain
25 26 27 28 29 30
Figure5.母親指導時のA児の御用(Following-instruction)
課題遂行の変化
有川(2009)
新版K式発達検査2001の結果
60
50
50
54.8
52.1
50.7
49.2
45.8
43.8
40
35.4
姿勢・運動
認知・適応
30
言語・社会
全領域
20
10
0
4歳0ヶ月
7歳1ヶ月
Parent trainingの課題
 「言いっぱなし」や「やりっぱなし」で
は、指導や支援の維持が難しい。
 定期的に家庭での実践の様子等を把握し、
維持させるためにも上手くいっている場
面の評価と、修正の必要なところを具体
的に指示する事が必要。
アフター・フォローをする体制の維持が課題
となる
早期発見,早期療育保育
乳幼児健康診査から、療育へ
乳幼児健診
1974大津方式
糸賀 一雄
(1914-1968)
 背景として近江学園、びわこ学園により療
育が展開されていたことにある(「この子
らを世の光に」)
 大津方式の理念は、「 障害児の健診もれ、
発見もれ、対応もれをなくす」
 障害児の早期発見・早期対応にはじまり、
早期療育・保育の実施をシステムとして実
施する
情報の出発点はどこから?
 日本の乳幼児健康診査の受診率は、高野ら
(2007)によれば概ね90%と言われていること
から数字の上では就学前に90%程度の子ども
の健康状態および、支援の必要性が把握され
ていることになる。
身体発育状況 ・栄養状態 ・脊柱及び胸郭の疾
病及び異常の有無 ・皮膚の疾病の有無 ・歯及び
口腔の疾病及び異常の有無 ・四肢運動障害の有
無 ・精神発達の状況 言語障害の有無 ・予防接種
の実施状況 ・育児上問題となる事項 ・その他の
疾病及び異常の有無 、発達障害の有無など
母子保健法施行規則
 第二条
1 母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号。以下
「法」という。)第十二条 の規定による満一歳六か月を
超え満二歳に達しない幼児に対する健康診査は、次の各
号に掲げる項目について行うものとする。
身体発育状況 ・栄養状態 ・脊柱及び胸郭の疾病及び異
常の有無 ・皮膚の疾病の有無 ・歯及び口腔の疾病及び異
常の有無 ・四肢運動障害の有無 ・精神発達の状況 言語障
害の有無 ・予防接種の実施状況 ・育児上問題となる事
項 ・その他の疾病及び異常の有無
母子保健法施行規則
 第二条
2 法第十二条の規定による満三歳を超え満四歳に達しな
い幼児に対する健康診査は、次の各号に掲げる項目につ
いて行うものとする。
身体発育状況 ・栄養状態 ・脊柱及び胸郭の疾病及び異
常の有無 ・皮膚の疾病の有無 ・眼の疾病及び異常の有
無 ・耳、鼻及び咽頭の疾病及び異常の有無 ・歯及び口腔
の疾病及び異常の有無 ・四肢運動障害の有無 ・精神発達
の状況 ・言語障害の有無 ・予防接種の実施状況 育児上問
題となる事項 ・その他の疾病及び異常の有無
障害のある我が子を育てる
 ほとんどの保護者が、かならず初めての子育
てを体験する。障害を持つ子どもをはじめて
養育する場合も多いのである。
 育児書の中に、障害を持つ子どもの育児ペー
ジが載せられていることは稀である。
 身近にも、そうした情報を多く持っている人
はいない。
早期発見の意義は、こうした状態にある保
護者に、二次的な問題に移行する前に適切な
養育を、実行させることにある。
発見から継続的な支援へ・・・
 把握された子ども・保護者の情報は、必要に
応じて療育や、保育所、幼稚園等での支援に
活かされるはず(児童福祉法や学校教育法等
による)・・・。
 そこで、療育、保育、教育等での支援状況等
の情報が追加され、小学校、中学校、高校、
大学へと伝わるはず・・・。
子どもの支援ニーズに関しては、発見から
一貫して、さらには内容が充実していく事に
なっているはず・・・実態は?
障害の気づきと保護者の心理
 気づきそうで気づけない。気になるけれど、
気にしない。
保護者の心理
極めて不安定な心理状態
(ambivalent)
いかにして安定した心理状態に近づけ
ていくかが当面の支援目標となるが、こ
の支援の過程でトラブルが起こることも
多い。
子育てにおける心理的不安定
子どもの障害と保護者の葛藤
「受け入れがたい」はどこから来るのか
 発達障害は、障害としてはとてもわかりにくい。
言葉も出ていて、運動発達にも遅れがないと、
一見すると問題がないように見える。つまり、
保護者からすれば発達上は問題ないとみるのが
自然である。
 社会的啓蒙活動により随分と変わっては来たも
のの、保護者は発達障害について詳しいことは
知らない。知っていても、彼らがどのような発
達的特徴を持っており、それが我が子の状態と
どのように関係があるかまでは、幼少期であれ
ばあるほどわかりにくい。
それではどうやって、理解してもらう?
「障害」という言葉について
保護者が抱くイメージ
 ダウン症のような人
 身体が不自由な人





(脳性麻痺・肢体不自由)
自閉症
精神に病気がある人
知恵遅れの人(多数)
一級や二級の手帳を持っ
ている人
将来自立して生活すること
が難しい人
「障害」の捉え方についての共通理解をはかること
演習
 体験の中で知る障害
63
障害児って言われて!!
 支援の必要性を知らないと
「ひどい事言われた。あんなこと言われるなん
て・・・・・」
 支援の必要性が理解されていると
「ショックだったけど、でもよくわかった。今日の話を父
親にも話してみる」
障害の説明にも技術がいる。障害理解は、
障害を知ることよりも実感すること!!
64
自身で障害を体験する
 体験の中で知る障害。
 ICFの考え方にもとづく障害理解は比較的
説明しやすい。
 ただし、ある程度の発達上の課題等につ
いては、既に知っていることが前提とな
ります。
「僕も、実は障害があります・・・。眼鏡
と言う支援がなければ、おそらく買い物にも
行けないでしょう」
65
障害告知時期とその後の子育て(木村,未発表)
3.16
告知後、子育てが大きく変
化した
*
就学後
告知群
3.51
就学前
告知群
3.17
うれしい楽しいと感じるこ
とがある
*
3.59
3.49
将来に不安を感じていない
*
3.84
0
1
2
3
4
5
P<0.05水準で有意差が認められた質問項目
期を逸すると・・・
 障害の説明(告知)する側のためらい
障害の説明(告知)をして、保護者との関係悪
化を招くことは必至・・・。今後のことも考
えれば、できれば告知をしないで穏便に済ま
せたい。
就学後、長い熟成期間?!をおいて・・・・
「今まで一度もそんなこと言われたことなかっ
た・・・なんで今更そんなこといわれなければな
らないの!!。特別支援学級なんて絶対に行きません
から!!!」
コンコルド効果(Concorde fallacy)
 ある対象への金銭的・精神的・時間的投
資をしつづけることが損失につながると
わかっているにもかかわらず、それまで
の投資を惜しみ、投資をやめられない状
態を指す。
コンコルドの商業的失敗にもとづいている。
変えるに変えられない、止めるに止められない
心理があるのです
事例 家族の葛藤を支援する
関係を作る関わり、壊すかかわり
発見から支援、就学へ
 障害の発見から、実際の支援、就学へ向けた実践。
 家族の心理的サポート、福祉資源に関する情報、子ども
への療育の提供、進路相談等を、施設中心型支援サービ
ス、一部訪問型支援サービスを組織的に展開。
 就学への円滑な接続を目指す。
リソースの把握
有川(2001)
知的障害を伴わない広汎性発達障害・A児の場合
1:6頃〜2:6頃まで
年齢
相談者の印象
1:6頃
やや、一方的なか
かわりある。
2:6頃
注意の転導が気
になるものの重篤
な問題は感じず。
保護者の訴え
特に問題は感じない。
落ち着きが無いので
扱いにくさを感じる。
発語も遅れている。制
止が効かず、止めら
れると大泣き。
2歳6ヶ月の時点で、健診後フォロー教室へ。子ど
もと保護者の両方への支援を開始する。
知的障害を伴わない広汎性発達障害・A児の場合
3:0頃
年齢
3:0頃
相談者の印象
保護者の訴え
衝動性が高く、
じっくりと課題がで
きない姿が見られ
る。発達検査でも
すべての課題の
試行が困難
落ち着きが無く、扱
いにくい。他児とのト
ラブルも多く、周囲と
のかかわりに気を使
う。しつけの問題とい
われ、落ち込むことが
多い。
度重なる公園等でのトラブルに、他の保護者
からも「ちゃんと躾ているの」と言われ近所の
公園へ行けなくなる。
展開1 エピソード記録の把握
 母は、「発達相談」ではにこやかに話を
聞いており、受け入れも素直な保護者。
しかし、一方で発達相談に対する拒否的
態度を他の支援者に述べている・・・
 母は、発達相談の中での確認事項とは異
なる内容の話を、他機関の支援者に報告
している・・・
情報共有システム構築の重要性
実践の改善へ
 各ケースで「何を話し」「どのような反
応があったのか」を支援者(相談員・保育
士・保健師)間で必ず共有するルールを作
る。
飛躍的にエラーが減少。またトラブル
回避も可能となり、そこに費やしてい
た仕事量の配分が変化。
知的障害を伴わない広汎性発達障害・A児の場合
3:6頃
年齢
3:6頃
行動の様子
保護者の訴え
検査課題にひき
つけることに労力
を要するが、課題
への正反応は多
い。知的レベルは
標準。
幼稚園などの集団
生活がちゃんと送れ
るか不安。保護者と
子どもとの関係も不
安定で時に厳しく叱
り付ける。後でひど
いことをしたと自己
嫌悪に・・・
その後、私立の幼稚園入園。一ヶ月後、「うち
ではみられないから退園してくれ」と・・・
知的障害を伴わない広汎性発達障害・A児の場合
4:0頃
年齢
4:0頃
相談者の印象
保護者の様子
PDDの疑いあり。
集団生活への不安。
保護者に説明する。 公立幼稚園の面接で、
しつけ上の問題では 最低限の生活力をつ
けておいてくださいと
ないことを説明。
言われるが・・・結局
叩いてでもやらせよう
家では、具体的な指 とすることが多くなる。
示と視覚的情報をと
助言。
幼稚園にも支援が必要であることを伝え、継
続して支援していくことを約束する。
知的障害を伴わない広汎性発達障害・A児の場合
4:6頃
年齢
相談の印象
保護者の訴え
4:6頃
行動特性の把握と、 障害の正確な理解
対応について助言。 と、子どものよき支援
しかりすぎていること 者でありたいと願って
は否定しない。
いる。
とはいうものの、や
はりきつくしかってし
まう。
幼稚園では発達障害の知識も乏しく、少々強引な
方法がとられていた。保護者にも時々、「家でがん
ばって貰いたいこと」をいくつか助言される。が、
うまくはいかない。
知的障害を伴わない広汎性発達障害・A児の場合
6:6頃
年齢
6:6頃
相談の印象
保護者の訴え
検査には素直に応
じるが、課題がうまく
いかないと投げ出す。
就学に際し、学校で
出来る支援について
確認しながら、引き継
ぎの約束。
学校でうまくやって
いけるか不安。
親も知らないような
ことをよく知っていて、
時々、質問されるが
答えられないと大騒
ぎ。
就学にあたって、就学指導を受ける。親が心配し
ていることをすべて校長に話すが「大丈夫ですよ」
と言われた。母としては、子どもを見てもいないの
に大丈夫なのかと不安に思う・・・
家族の判断・・・
 子どもが支援ニーズに沿った就学先に進
めるかどうかは、親が子どもの障害を十
分に認識し、さまざまな知識を得ている
ところが大きい。
 親に求められることは適正な支援を受け
させられる力を身につけていなければな
らない。
 そのためには、「情報を伝える」技術と、
親に理解を促す「交渉力」が支援者には
求められる・・・。
保護者はこんな経験をしています
 上手に子どもと関わりたい・・・でもうまく関
われない。
 子どもが、周囲とトラブルを起こしたりするの
は「しつけ」が出来ていないからとの指摘に、
さらに自信をなくす。
 学校や療育施設などから家でのアドバイスを貰
い、がんばってはみるものの、うまくできない。
家で改善しないことを指摘され、だんだんと苦
痛になる。
 集団参加が近くなると、さらに焦ってくる。み
んなとうまくやっていけるように、なんとかし
て言うことを聞かせようと子どもにきつい対応
を強いて、なおさら関係が悪化する。
その後・・・
 就学前に、子どもの様子について書面による
情報の引き継ぎを学校に行うが、その時から
校長の態度が一変・・・「こんな大変である
のなら・・・」と、入学式前に保護者を再三
わたり呼び出す。
「行動」に関わる情報は、「保護者との
連携」において活用される傾向が強い(有
川・立田・衛藤,2007)
ある別の保護者の話(ヒアリング調査より)
 (子どもの支援に関する情報を)受け取る
ほうの力量によって、それをレッテル貼り
に使われてしまう可能性がある。若い先生
なので仕方がないところもあるが、引継書
の内容をしっかり読まずに文字を拡大解釈
して、ADHDの本を読んで対応されているよ
うな気がする。もっと本人の様子を見て対
応してほしい。
 1学期末の懇談で「お母さん、ADHDの本を
読んだほうが良いですよ」という指摘があ
りショックだった。
親たちは・・・
 発達障害の本質的な理解をしていないで、上
辺だけの知識で接しているとバレてます・・
 さらに子どもの実態の把握が「困った子」と
いう認識でいると、これも伝わります(「あ
の先生、困ったときだけ電話してくる。もう
うんざり」)。
皆さんがどういう思いで子どもと接しているか、
保護者とどういう姿勢でつきあおうとしているの
かは大抵の場合、「伝わって」しまっています。
保護者が期待する教師の姿勢とは?
 保護者は、就学時の情報引継時に、1)「学
校と、子どもの事で情報の共有が出来る」、
2)「継続的に学校との協力関係を築くこと
が出来る」と考えている(有川,2012;立
田・森光・有川,2010)。
 すなわち「一緒に子どもの支援について考
えていきましょう」という姿勢を求めてい
ます。
この姿勢を教師も示せないままでいると、
後々、厄介になる事があります・・・
なお、先ほどのケースのその後・・・
 母親は度重なる学校からの呼び出しに、心の病を発症。
養育環境も壊れつつある。その後の学校との窓口はすべ
て父親となるが・・・
 相談員、教育委員会も仲裁に入るも、担任、校長との関
係は完全に崩壊。唯一教頭だけが、窓口になれた
が・・・もはや交渉の余地無し。
問題だけ口にすれば、関係は破綻します
合理的配慮と教育
これからの家族支援は
医療モデルから社会モデル
社会参加と合理的配慮
国際生活機能分類とは
 “International Classification ofFunctioning,
Disability and Health”
 頭文字から略称“ICF”と呼ばれる。
 世界保健機構(WHO)により、2001年に採択された障害に
関する分類である。
 ICFでは人間を分類の単位としてはおらず、それぞれの人
の状況を整理して記述するものである。
ICFの“哲学”
“International Classification of Functioning,
Disability and Health”の日本語訳について
 直訳すると・・・・
でも訳語は「国際生活機能分類」となっています。
ここから「なに」が読み取れますか?
健康状態
(変調または病気)
心身機能・
身体構造
活 動
環境因子
参 加
個人因子
ICFの構成要素間の相互作用(WHO,2001)
機能障害
能力障害
社会的不利障害
国際障害分類/ICIDH:International Classification of Impairments,
Disabilities and Handicaps(WHO,1980)
障害観の変化・・・
 負の側面から、「前向き」「中立」的な表現へ
 「環境」との相互作用から障害を持つ人たちの生活を検
討する
国連障害者の権利条約
 「国連障害者の権利条約(Convention on
the Rights of Persons with Disabilities)2006
年採択」
 障害(身体障害、精神障害及び知的障
害)のある人の尊厳と権利を保障するた
めの国際的な人権条約
 日本は2007年に署名、2014年1月20日、
批准書を国連に提出し、140番目の締約
国となった。
障害者基本法の一部改正(平成23年8月5日)
(差別の禁止)
 第四条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別
することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
 2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現
に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、そ
れを怠ることによって前項の規定に違反することとならない
よう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなけれ
ばならない。
 3 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発
及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必
要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。
障害者虐待防止法
「障害者虐待防止法」とは、
 「養護者による障害者虐待」「障害者福祉施
設従事者等による障害者虐待」「使用者によ
る障害者虐待」をいう。
 障害者虐待の類型は、「身体的虐待」「ネグ
レクト」「心理的虐待」「性的虐待」「経済
的虐待」の5つ。
 平成24年10月1日から、国や地方公共団体、
障害者福祉施設従事者等、使用者などに障害
者虐待の防止等のための責務を課すとともに、
障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見
した者に対する通報義務を課すなどしている。
あなたは何と答えますか?
Question !
 新潟県の最低賃金時間額715(神奈川は887円だそうです)円で
す。ちなみに「最低賃金の減額の特例」と言うものもあり
ます。
先 生「この生徒は、清掃の仕事については、十分な能力を
兼ね備えています」
雇用主「確かに十分に能力あるよ。でも、うちも今、余裕が
ないんだよね。どんどん、よそとの競争が厳しくなっ
てるしね・・・先生の熱意はわかるんだけど」
先 生「そこをなんとか」
雇用主「う~ん、じゃ試しにということでいい
かな。給料も、悪いけど最低賃金は出せないよ。
それでもよければうちで面倒見るよ」
先 生
「(Q 試用期間はどのくらいになりますか?ちなみに )」
賃金はどのくらいになりますか
平成26年度「使用者による障害者虐待の状況等」の
結果(H27,8,27 Press Release)
 通報・届出の対象となった障害者は、前年度
の998人に対して278人増加し、全体で1,276人
(前年度比27.9%増)。
 虐待の内容別に見ると、身体的虐待、心理的
虐待、経済的虐待に関する通報・届出の対象
となった障害者については前年度よりも増加
した。
 最も多かったのは前年度同様、経済的虐待に
関する通報・届出の対象となった障害者で、
前年度の619人に対して192人増加して、811
人(同31.0%増)であり、全体の52.7%を占
める。
厚生労働省(2015)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10401000-DaijinkanbouchihoukaChihouka/270827siyousya.pdf
平成26年度に実際にあった経済的
虐待の例
通報・届出の概要
 障害種別:知的障害
・就労形態:期間契約社員
・事業所の規模:100~299 人
・業種:医療、福祉業
 労働基準監督署による発見。
 ある障害者の約定賃金(時間額)が、地
域最低賃金を約600 円下回っていた。
労働局の対応
 労働基準監督署に最低賃金の減額特例の許可の
申請があった際に、申請対象の障害者について
確認したところ、半年以上にわたり、最低賃金
の減額特例の許可を受けずに最低賃金未満の賃
金を支払っていたことがわかり、指導を行った。
 虐待理由は、法の不知から、障害者であれば最
低賃金を支払う必要はないと考えていたこと。
 労働局は経済的虐待を認めた。
 処理終了後、労働局は都道府県へ情報提供した。
障害を理由とする差別の解消の推
進に関する法律
 平成25年6月19日に可決、成立。平成28年4月1
日から施行。
 障害者基本法第四条「差別の禁止」の規定を
具体化する目的。
 合理的配慮をしないことは差別にあたる。
 公共機関や民間企業に対し、障害を理由
とした不当な差別的取り扱いを禁じ、過
重負担にならない限り、施設のバリアフ
リー化を進めるなどの合理的配慮を求め
る内容。
合理的配慮(reasonable
accommodation)とは
 「障害者の権利に関する条約」では
「合理的配慮」とは、障害者が他の者と平
等に全ての人権及び基本的自由を享有し、
又は行使することを確保するための必要か
つ適当な変更及び調整であって、特定の場
合において必要とされるものであり、かつ、
均衡を失した又は過度の負担を課さないも
のをいう。
教育における「合理的配慮」は?
 『障害のある子どもが、他の子どもと平
等に「教育を受ける権利」を享有・行使
することを確保するために、学校の設置
者及び学校が必要かつ適当な変更・調整
を行うことであり、障害のある子どもに
対し、その状況に応じて、学校教育を受
ける場合に個別に必要とされるもの』
 「学校の設置者及び学校に対して、体制
面、財政面において、均衡を失した又は
過度の負担を課さないもの」
文部科学省(2012)共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育
システム構築のための特別支援教育の推進(報告)より
基礎的環境整備について
 「合理的配慮」の充実を図るため、必要な財
源を確保し、国、都道府県、市町村は、「基
礎的環境整備」の充実を図っていくことが必
要である。
国や地方自治体が教育環境の整備として行
うもの。合理的配慮は、この基礎的環境整備
を基礎として設置者・学校が行う。
結局は、市場規範が合理的配慮を制御
するしくみを生むのではないか??
鉄棒で遊ぶ・・・・
鉄棒で遊ぶ・・・
届かな
い・・・
鉄棒で遊ぶ・・・
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