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1:指定文化財保存修理 指定文化財保存修理 指定文化財保存
だいつう じ たい こ ろう 1:指定文化財保存修理( 指定文化財保存修理(大通寺太鼓楼保存修理) 保存修理) 平成 19~21 年度の3ケ年度の計画で修理を進めている市指定有形文化財の大通寺太鼓楼保存修理の経過 を報告します。 大通寺太鼓楼は境内の東面、本堂の東前方に位置する入母屋造、本瓦葺の高さ約 12m、上下二層からな る建物で、19 世紀前期の建築と推定されています。今年度の主な修理内容は仮設工事(足場の組立等)、屋 根工事(屋根瓦の取り外し等) 、木工事(屋根下地、小屋組部材の部分取り外し等)で、現在屋根瓦と屋根 下地の取り外しが完了し、屋根を支える小屋組部材が露出している状況です。今回は、屋根の軒先瓦の紋様 調査の結果ならびに軒先瓦の製作過程について報告します。 屋根瓦の形式は平瓦と丸瓦を交互に並べる本瓦葺で、軒平瓦と軒丸瓦には紋様が施されています。軒平瓦 の紋様は6種類あり、このうちの4つは近代以降のもので、残りの2つが江戸時代のものと見られます。一 つは花型を中心とした唐草紋様(軒平瓦写真の上)で、もう一つは菱型を中心とした唐草紋様(軒平瓦写真 の下)です。前者は境内の建物に使用例はなく太鼓楼のみで、後者は宝蔵や茶所前の手水舎等に使用されて います。両者の唐草紋様を比較すると、前者の紋様は伸びやかで後者よりも古いと判断されます。軒丸瓦の 紋様は4種類あり、このうちの2種類が江戸時代のものと見られます。一つは左巻き三ツ巴紋の珠文数 16 (軒丸瓦写真の左)で、先端の上部に反り増しが付けられています。もう一つは左巻き三ツ巴紋の珠文数 11(軒丸瓦写真の右)で、先端の瓦当に増しはありませんでした。形式的には前者が後者に比べて古いと判 断されます。 これらのことを踏まえて今回製作する瓦の検討を行った結果、軒平瓦は三ツ花の唐草紋様、軒丸瓦は左巻 き三ツ巴紋の珠紋数 16 のものに決定しました。 軒先瓦の製作には、まず見本となる瓦の紋様を参考にして下絵を描き、これを元にして石こうで試験的に 型を作成します。これを瓦の原形となる粘土に押し付けて生型を作成し、確認ならびに検査を行います。こ の生型が承認された後に、ジュラルミン製の金型を作成して、軒丸瓦と軒平瓦の製作に着手します。 。 うち ぼ 2:内保遺跡第 36 次発掘調査( 次発掘調査(内保町) 内保町) 内保遺跡は、長浜市内保町に広がる、古墳から奈良時代の大規模な集落跡として知られています。 今回の発掘調査は、個人住宅新築工事に伴う本発掘調査で、対象面積約 499 ㎡のうち、試掘調査 で遺構の確認された 105 ㎡を調査しました。 今回の調査からは、竪穴住居二棟、掘立柱建物一棟が検出されました。 竪穴住居のうち一棟は、周辺地域で最大規模のものであり、出土した遺物から、概ね 6 世紀の中 頃に建てられたものであると推測されます。建物は一辺約6mのほぼ正方形で、床面積は約 36 ㎡ ありました。この時代の一般的な住居の床面積は 25 ㎡以下であるともいわれており、これらと比較 すると 1.5 倍程度の規模を持っていたことが分かります。 建物床面の残りも良く、北壁にカマド、建物内部に四本の主柱をもち、住居の4辺に掘られた溝 の中からは、垂木のために掘られた壁柱穴がたくさん見つかりました。 この建物の用途については分かりませんが、一般の住居と考えるにはかなり大きいため、何か特 別な意味を持つ建物である可能性が高いと考えられます。 また、掘立柱建物についても、柱の穴が最大のもので約1mあり、大変大きなものであることが 分かります。残念ながら建物の全容を明らかにすることはできませんでしたが、この建物も、一般 的な用途とは異なるものであった可能性も考えられます。 うち ぼ うちぼちょう 2:内保遺跡第 33 次調査( 次調査(内保町) 排水管移設工事に伴う立会調査で、現地表面から 100 ㎝ま で掘削しましたが、明確な遺構・遺物はみられませんでした。 そんしょうじ 3:尊勝寺遺跡5 遺跡5次調査( 次調査(尊勝寺町) 尊勝寺町) 尊勝寺遺跡は中世の城館・寺院跡として周知されている遺跡です。今回の調査は個人住宅新築工 事に伴うもので、現況は田圃となっています。対象面積 419.06 ㎡について試掘調査を行い、その結果 から遺構の破壊が免れない区域、およそ 54 ㎡について本掘調査を実施しました。 調査の結果、ベースは褐色砂質土からなり、現況からの深さは約 45 ㎝を測ることがわかりました。 検出された遺構は南北に走る中世の溝状遺構が1条です。幅約 20 ㎝、深さ約 25 ㎝の規模を持ちま す。出土遺物は少なく、土師皿の細片がわずかに出土しました。 4:内保遺跡第 34 次調査( 次調査(内保町) 内保町) 集合住宅新築工事に伴う試掘調査で、対象面積 496 ㎡に対して 6 ヶ所のトレンチを設定し、23 ㎡ を調査しました。基本的な堆積状況は 2 層からなっており、第 1 層が耕作土、第 2 層が暗褐色極細砂 で、現況面から遺構面までの深さはおよそ 30cm でした。設定した 6 ヶ所のトレンチのうち 4 箇所から 溝状の遺構が見つかり、須恵器や土師器などの土器も出土しましたが、協議の結果、遺跡の地下 保存が可能となりました。 くにとも 5:国友遺跡第3 遺跡第3次調査( 次調査(国友町) 国友町) 工場建設に伴う工事立会で、現況より 70 ㎝を掘削しましたが、ベース層を検出することはできま せんでした。また、遺構・遺物の出土はありませんでした。 ながはまちょう おおみやちょう 6: 長 浜 町 遺跡第 88 次調査( 次調査( 大 宮 町 ) 大通寺西門移設工事に伴う調査で、現地表面から 30 ㎝の ところまで掘削しました。遺構では礎石がみられましたが、 遺物は出土しませんでした。 かわさき やわたなかやまちょう 7:川崎遺跡第 50 次調査( 次調査(八幡中山町) 遊歩道建設に伴う工事立会で、現況より 110 ㎝掘削しました が、ベース層を検出することはできませんでした。また、遺構・ 遺物の出土もありませんでした。 8:川崎遺跡第 53 次調査( 次調査(八幡中山町) 八幡中山町) マンション建設に伴う試掘調査で、対象面積 578 ㎡のうち 19.2 ㎡を調査しました。 調査は、8 ヵ所にトレンチを設定し現況水田面より 80 ㎝のと ころで、ベース層を検出しました。遺構は、ピットを 1 基検出 しましたが遺物の出土はありませんでした。この調査では遺構 を検出したのですが、協議の結果、遺跡の地下保存が可能とな りました。 いっちょうでん すえひろちょう 9: 一 丁 田 遺跡第9 遺跡第9次調査( 次調査( 末 広 町 ) ガス低圧管埋設工事に伴う工事立会で、現況より 170 ㎝を掘 削しましたが、ベース層を検出することはできませんでした。ま た、遺構・遺物の出土もありませんでした。 編集後記 だんだんと気候も暖かくなり、ついこの前まで(?)雪かきをしていた日々がなつかしく感じられます。年末の「来 年もがんばろう」という意気込みと同様、 「来年度もがんばろう」と意気込んでいる方も多いのではないでしょうか?という わけで『来年度も』この「層」をよろしくお願いします。 平成 20 年3月 26 日 発行