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第7章
第7章 基地関連公害の防止
基地関連公害の防止
第1節
基地排水対策の推進
基地排水等による公共用水域の水質汚濁については、下水道への接続やし尿処理施設の整備がな
されてきたことから年々改善されていますが、降雨時などに油流出事故が発生していることから、
県では基地排水等の監視、事故時の調査を実施し、水質汚濁の状況把握に努めています。
※平成16年度に発生した油流出事故(1件)
平成16年5月21日
1
キャンプ瑞慶覧でボイラー室のパイプが故障し普天間川に油が流出
米軍基地排水監視調査の実施
平成16年度の米軍基地排水監視調査は、8施設(北部訓練場、キャンプ・シュワブ、キャンプ
・ハンセン、キャンプ・コートニー、嘉手納飛行場、奥間レストセンター、ホワイト・ビーチ、
キャンプ・マクトリアス)の9地点において、延べ18検体を採取し、生活環境項目6項目、健康
項目27項目について分析を行いました。
その結果、生活環境項目及び健康項目について、全て排水基準を満足していました。
2
基地周辺公共用水域監視調査の実施
(1)基地周辺公共用水域及び地下水監視調査(水質、底質、魚類)
基地周辺公共用水域及び地下水において、8施設21地点で延べ35検体について水質分析を行
っています。
また、4施設5地点において底質調査を行い、牧港海域及び嘉手納海域においては魚類調査
を行っています。
(2)基地周辺公共用水域監視調査(ダイオキシン類)
平成15年度から、基地周辺公共用水域のダイオキシン類測定調査を行っており、ダイオキシ
ン類29異性体について分析を実施し、ダイオキシン類全体の毒性の強さを毒性等量(TEQ)で表
して、環境基準と照らし合わせました。
平成16年度は米軍基地7施設の周辺公共用水域の水質7地点、底質1地点で実施したところ、
調査結果はすべての地点で環境基準値以下でした。
- 59 -
第2節
航空機騒音対策の推進
県は、嘉手納及び普天間飛行場周辺地域の生活環境の保全を図るため、昭和63年2月に環境基本
法第16条に基づき、航空機騒音に係る環境基準の地域類型指定を行い、航空機騒音の常時監視を実
施しております。
平成16年度のWECPNL(うるささ指数)は、24測定地点中12地点で環境基準値を超えており、依然
として周辺住民の生活環境や健康に大きな影響を及ぼしています。
1
県及び周辺市町連携による常時監視の実施
測定は自動演算騒音計を使用し、嘉手納及び普天間飛行場周辺24地点で測定を行いました。内
訳は、県の設置する測定局が15か所、市及び町の設置する測定局が9か所で、24測定局中23局で
常時測定を行っています。
平成16年度における米軍基地周辺の航空機騒音の測定結果は以下のとおりです。
ア
WECPNL(うるささ指数)は、嘉手納飛行場周辺で62.0∼89.9、普天間飛行場周辺では61.4
∼78.7の範囲内でした。各飛行場周辺での最高値は、嘉手納飛行場周辺においては北谷町砂
辺局(89.9)で、普天間飛行場周辺においては宜野湾市上大謝名局(78.7)でそれぞれ計測され
ています。
なお、嘉手納飛行場周辺においては16測定局中10測定局(62.5%)で、普天間飛行場周辺に
おいては8測定局中2地点(25.0%)で、環境基準値を上回っています。
イ
1日あたりの騒音発生回数は、嘉手納飛行場周辺で嘉手納町屋良B局の113.2回が最も多
く、普天間飛行場周辺では宜野湾市上大謝名局の59.6回が最も多くなっています。
ウ
1日あたりの騒音累積継続時間は、嘉手納飛行場周辺で知花局の58分4秒、普天間飛行場
周辺では宜野湾市上大謝名局の29分29秒がそれぞれ最も長くなっています。
エ
「航空機騒音規制措置」(日米合同委員会合意事項:H8.3.28)で飛行が制限されている
22時から翌朝6時の間の騒音発生回数は、嘉手納飛行場周辺においては、昆布局と栄野比局
で前年度より増加しましたが、その他13局で減少しました(平成16年度途中に設置した知花
局は比較対象外)。
また、普天間飛行場周辺においては、愛知局及び大山局で前年度より増加しましたが、そ
の他の6測定局では前年度と同じか減少しています。
- 60 -
表7−2−1
米軍基地飛行場周辺における航空機騒音測定結果
嘉手納飛行場周辺
測定地点
環境基準値
日平均騒音
発生回数
測定期間内
平均WECPNL
No. 測定局名 類型 WECPNL
最大ピーク
レベルdB(A)
日平均騒音
継続累積時間
1
美 原
Ⅰ
70
80.4
(81.7)
68.0
(73.4) 109.0
(109.8)
37 分 46 秒
2
昆 布
Ⅰ
70
76.3
(76.3)
42.9
(46.7) 113.5
(103.7)
30 分
0
秒
3
上 勢
Ⅰ
70
71.2
(72.2)
79.7
(81.3) 104.5
(105.4)
43 分
8
秒
4
宮 城
Ⅱ
75
72.9
(73.4)
72.9
(72.0) 109.3
(110.3)
41 分
7
秒
5
北 美
Ⅰ
70
73.6
(73.7)
27.3
(29.5) 102.1
(106.7)
19 分 12 秒
6
八重島
Ⅱ
75
69.6
(72.3)
12.5
(13.7) 106.0
(107.0)
4 分 48 秒
7
屋良A
Ⅰ
70
79.3
(80.3)
70.1
(77.5) 113.2
(111.0)
40 分 11 秒
8
砂 辺
Ⅱ
75
89.9
(91.2)
91.1
(93.6) 118.0
(119.2)
41 分 55 秒
9
伊良皆
Ⅰ
70
65.4
(65.8)
20.9
(26.8) 106.1
(102.7)
11 分 48 秒
10
桑 江
Ⅰ
70
67.5
(69.3)
15.3
(16.8) 106.3
(107.6)
10 分
11
山 内
Ⅰ
70
62.0
(64.3)
15.3
(15.7) 101.7
(104.8)
12
知 花
Ⅰ
70
75.5
( - )
88.4
( - )
13
嘉手納
Ⅰ
70
76.9
(77.5)
63.3
(66.3) 101.8
(101.7)
19 分 34 秒
14
兼 久
Ⅱ
75
74.2
(75.1)
53.9
(55.8) 104.6
(101.0)
15 分 15 秒
15
栄野比
Ⅰ
70
73.7
(76.2)
37.4
(27.9) 101.9
(102.0)
29 分 30 秒
16
屋良B
Ⅰ
70
82.7
(83.8) 113.2 (116.2) 106.3
(107.4)
48 分 51 秒
97.8
( - )
2
秒
7 分 27 秒
58 分
4
秒
測定期間
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H17/2/23∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/12/9∼
H17/2/2
H16/4/1∼
H17/3/31
測定
日数
設置
機関
350
県
349
県
359
県
353
県
358
県
359
県
359
県
344
北谷町
359
県
359
北谷町
359
沖縄市
37
沖縄市
342
嘉手納町
341
嘉手納町
56
うるま市
344
嘉手納町
測定
日数
設置
機関
359
県
359
県
359
県
356
県
359
県
358
県
359
宜野湾市
356
県
0
浦添市
普天間飛行場周辺
測定地点
環境基準値
No. 測定局名 類型 WECPNL
測定期間内
平均WECPNL
日平均騒音
発生回数
日平均騒音
継続累積時間
1
野 嵩
Ⅰ
70
72.0
(73.7)
19.5
(29.9) 115.8 (112.6)
2
愛 知
Ⅱ
75
61.8
(63.7)
12.0
(16.6) 94.6
(98.6)
6 分 28 秒
3
我如古
Ⅰ
70
63.7
(65.9)
13.3
(22.0) 99.2
(99.1)
6 分 24 秒
4 上大謝名
Ⅰ
70
78.7
(82.3)
59.6
(90.5) 114.5 (120.4)
29 分 29 秒
5
新 城
Ⅰ
70
69.7
(72.2)
41.4
(73.0) 107.7 (110.6)
20 分 58 秒
6
宜野湾
Ⅰ
70
61.4
(67.0)
4.2
(8.2)
98.7
(100.3)
2 分 41 秒
7
真志喜
Ⅰ
70
66.2
(68.9)
15.1
(28.6) 96.5
(100.2)
7 分
8
大 山
Ⅱ
75
66.4
(68.4)
12.7
(18.0) 98.9
(99.2)
3 分 41 秒
9
安波茶
Ⅱ
75
-
(65.7)
-
(7.5)
(103.6)
0 分
※
WECPNLの下線付きの値は環境基準値超過を示す。
※
WECPNL、日平均騒音発生回数及び最大ピークレベルの(
※
最大ピーク
レベルdB(A)
-
11 分
4
3
0
秒
秒
秒
測定期間
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
H16/4/1∼
H17/3/31
機器故障の
ため欠測
)内は平成15年度の値を示す。
常時測定局のうち測定日数が365日(1年)に満たないものは、測定器停電や機器の故障もしくは台風などによる欠測など
の理由による。
- 63 -
図7−2−2
嘉手納飛行場周辺のWECPNL年度推移
美 原
屋 良
砂 辺
嘉手納
95
WECPNL
90
85
86.8 87.2 87.2 87.1
85.2 85.0 84.5
80
87.8
84.4
84.8 84.8 84.6
83.4 83.2
90.2
89.6
87.5 87.9 88.0 88.0
83.6
86.9
82.6
89.6 89.9
91.2
89.9
89.7 88.8
88.1
87.6
82.1
91.3
87.7
82.8 81.7
80.4
79.6 80.6 79.3 79.0
79.6
78.6
80.1
80.1 80.1
80.3
79.6 79.5
79.4
78.8
79.3
77.4 77.7
77.5
77.6 77.3 78.2
76.9
77.0 76.2 77.5 76.9
76.7
76.3
75.7
75.1
75.4
74.5
83.3
80.7
75
81.7
81.5
81.6
70
57
58
59
60
61
62
63
元
図7−2−3
2
3
4
5
6
年度
7
8
9
10
11
12
真栄原
上大謝名
WECPNL
75
15
16
新 城
90
80 77.9
14
普天間飛行場周辺のWECPNL年度推移
野 嵩
85
13
83.6 83.3 83.9
86.8
81.7 82.3
79.3
78.7
78.0
77.4
76.7 76.2 76.7 76.5 76.7
76.9
76.1
76.3 75.6
73.7
77.0
76.3
77.1
76.7 76.7 76.7 77.5
72
75.9 74.4 75.6
74.8
73.7
72.8 72.1
72.3 72.6 72.2
71.6
70.0
69.7
80.3
77.4
70
79.5 78.9
78.5 78.9 78.7 78.6
83.1
80.5
65
57
58
59
60
61
62
63
元
2
3
4
5
年度
- 64 -
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
第3節
1
放射能対策の推進
原子力軍艦寄港に伴う放射能調査の実施
原子力艦寄港に伴う放射能レベルの監視、環境試料中の放射能レベル調査を行うために、文部
科学省が策定した「原子力艦放射能調査実施要領」に基づき、監視調査を実施しています。
放射線レベルの監視は、うるま市ホワイトビーチ基地内に海水系モニタリングポスト3基、空
間系モニタリングポスト2基、同市勝連の平敷屋公民館及び同市与那城の放射能監視局に空間系
モニタリングポストを各1基ずつ設置し、連続的に放射線量の測定を行っています。その他に非
寄港時の環境放射線、原子力艦寄港による放射線量を計測するために、モニタリングポイントを
基地内に8か所、平敷屋公民館、放射能監視局に各1か所設置し、3か月毎に積算放射線量の測
定を行っています。
平成16年度は18隻が寄港し放射能調査を実施しましたが、すべて平常値と同様の値でした。寄
港隻数は、前年度と比較して4隻増加しています。
表7−3−1
原子力軍艦寄港状況及び調査結果
隻数
寄港年月日
艦船名
停泊期間
種類
調査結果
208
平成16年度 4月6日∼4月6日
ラ・ホヤ
8分
原子力潜水艦
平常値
209
6月10日∼6月10日
ツーソン
4分
〃
〃
210
6月23日∼6月23日
ソルトレイクシティ
5分
〃
〃
211
7月9日∼7月9日
ホノルル
20分
〃
〃
212
7月21日∼7月21日 アレキサンドリア
20分
〃
〃
213
8月13日∼8月13日
シティ・オブ・コーパス・クリスティー
6分
〃
〃
214
8月16日∼8月16日 サンフランシスコ
8分
〃
〃
215
8月19日∼8月19日
シティ・オブ・コーパス・クリスティー
10分
〃
〃
216
8月20日∼8月20日
シティ・オブ・コーパス・クリスティー
8分
〃
〃
217
10月28日∼10月29日
シャイアン
2日
〃
〃
218
10月28日∼10月28日
ツーソン
25分
〃
〃
219
11月9日∼11月9日
シャイアン
15分
〃
〃
220
11月9日∼11月9日 アッシュビル
21分
〃
〃
221
11月10日∼11月10日
25分
〃
〃
222
11月23日∼11月23日 シャルロット
11分
〃
〃
223
1月25日∼1月25日
21分
〃
〃
224
2月5日∼2月8日 ロサンゼルス
4日
〃
〃
225
3月15日∼3月15日
11分
〃
〃
ツーソン
シャイアン
オリンピア
- 65 -
表7−3−2
原子力軍艦に対する放射能調査の概要
調
査
時
期
区
担当機関
調
査
内
容
非
寄
港
時
分
寄
通常調査
沖縄県
(委託調査)
放
射
能
レ
ベ
ル
の
監
視
時
定期調査
①常時測定
②原則とし
て週一回
以上巡回
常時測定
①常時測定
②毎月一回
巡回
常時測定
監視局4ヶ所
ポスト7基
(2)モニタリングポイン
トによる空間の積算
放射能線量の測定
(10か所)
海上保安庁
中城海上
保安署
環
境
試
料
の
放
射
能
レ
ベ
ル
調
査
(1)モニタリングポスト
による空間及び海水
中の放射線レベルの
監視測定
港
モニタリングボートに 原則として
よる空間及び海水中の 毎月一回以
放射線レベルの移動監 上
視測定(一隻)
海上保安庁
(1)水路部
中城海上保
安署の協力
を含む
海水及び海底土の採取、
採取試料のγ線波光分
析等放射能測定並びに
分割試料の(財)日本分
析センターへの送付
(2)中城海上
保安署
海水及び海底土の採取、
並びに採取試料の(財)
日本分析センターへの
送付
水産庁
東海区水産研
究所
(1)沖縄県における海産
生物の採取
沖縄県水
産試験場
に委託
文部科学省
(財)日本分
析センター
に委託
①海水等を採取し
γ線波光分析
②送付を受けた海
水海底土等の試
料の(財)日本分
析センターへの
送付
原則として
①入港前に
一回
②入港後は
毎日一回
以上
①海水を採取し状
況を把握するた
め観測の継続
②海水及び海底土
の採取、並びに
採取試料の県へ
の送付
軍艦出港後
必要に応じて海水
及び海底土の採取
並びに採取試料の
県への送付
四半期毎
に一回
(2)沖縄県水産試験場よ
り送付された海産生
物試料の全β放射能
測定、γ波光分析及
び分割試料の(財)日
本分析センターへの
送付
各担当機関より送付さ
れた海水、海底土及び
海産生物試料のγ線波
光分析及び放射化学分
析
異常値が観測され
他場合の現地にお
ける措置
四半期毎
に一回
送付された資料を直ちに分析
- 66 -
2
環境放射能調査の実施
この調査は、自然界に存在する放射能、原子力施設、ラジオアイソトープ(放射性同位元素)
利用施設等から環境中に放出される放射性物質及び核爆発実験等によって大気圏内に放出された
核分裂生成物等の環境中における挙動並びに分布状況を調べ、その長期的な変化を把握すること
によって、一般公衆の放射線による被曝線量を推定し、評価するとともにその対策を講じること
を目的としたものです。
調査対象試料として、日常生活に関わりのある降水(定時採取雨水)、降下物(1か月毎雨水、
ちり)、上水(水道蛇口水)、農畜産物(野菜、牛乳、米)、日常食、土壌、海産生物、海水及び
海底土等を採取し放射能調査を実施しています。
また、大地および空気等からの放射線の寄与を知るためにサーベイメータによる放射線量率並
びにモニタリングポストによる空間放射線量率の調査も行っています。
平成16年度に調査を実施した結果、環境試料及び空間中の放射能、放射線レベルとも前年度と
同様、平常値の範囲内でした。
- 67 -
- 68 -
第8章
第8章 廃棄物・リサイクル対策の推進
廃棄物・リサイクル対策の推進
1
廃棄物問題の現状
廃棄物は、日常生活に伴って排出される一般廃棄物と、事業活動から生じる産業廃棄物に区分
され、その処理については、一般廃棄物は市町村、産業廃棄物は排出者処理責任の原則に基づき
排出者自らの責任において、適正に処理することとなっています。
廃棄物をとりまく現状は、これまでの社会経済活動や消費生活の拡大に伴い、廃棄物の排出量
の高水準での推移、最終処分場のひっ迫、不法投棄の頻発など、解決すべき多くの課題をかかえ
ております。
これらの課題に対応するためには、持続可能な循環型社会の形成が求められており、このため
県では、廃棄物の排出抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)による
資源循環の促進、循環利用の出口である適正処理の確保に努めています。
(1)一般廃棄物
ア ごみ処理の状況
県内の事業所や家庭から排出される一般廃棄物は、平成10年度に50万トンを超えたものの、資
源ごみの分別収集や有料指定ごみ袋の導入が実施され始めた平成12年度以降減少傾向に転じ、平
成15年度は48万7千トンとなっています。リサイクル率は11.6%となっており、8万5千トン程
度が埋め立てられています。(図8−1)
平成15年度末現在、計画処理区内で排出されるごみの量は、1日当たり1,324トン、そのうち1,
322トン(99.8%)が計画収集され、2.5トン(0.2%)が自家処理されています。(表8−1)
収集されたごみ処理は、1,042トン(78.7%)がごみ処理施設で焼却処分され、90トン(6.8%)
が埋立により処分されています。(表8−2)
集団回収量
4,311
(0.9%)
再生利用量
56,415
(11.6%)
直接資源化量
15,663
<3.2%>
排出量
486,704
(100.0%)
計画処理量
482,393
(99.1%)
<100.0%>
自家処理量
911
中間処理量
433,288
<89.8%>
処理後再生利用量
36,441
<7.6%>
処 理 残 さ量
90,111
<18.7%>
処理後最終処分量
減量化量
343,177
<71.1%>
53,670
<11.1%>
直接最終処分量
32,704
<6.8%>
図8−1
ごみ処理フローシート(平成15年度実績)
- 68 -
最終処分量
86,374
<17.9%>
表8−1
区分
年度
計画処理
区域人口
(人)
総人口
(人)
ごみの排出量及び収集量の動向
総排出量
計画収集量
自家処理量
(ト ン / 日 )
(ト ン / 日 )
(ト ン / 日 )
備 考
平 成 11
1,324,987
1,324,987
1,386
1,385
(99.9%)
1 (0.1%)
12
1,337,443
1,333,766
1,373
1,373 (100.0%)
0 (0.0%)
13
1,345,849
1,342,121
1,337
1,337 (100.0%)
1 (0.0%)
14
1,355,926
1,352,164
1,336
1,331
(99.6%)
5 (0.4%)
15
1,365,359
1,361,416
1,324
1,322
(99.8%)
2 (0.2%)
表8−2
区分
年度
平成
ごみの処理状況の動向
計画収集量
焼却処理
埋 立
その他
(ト ン / 日 )
(ト ン / 日 )
(ト ン / 日 )
(ト ン / 日 )
備 考
11
1,385
967 (69.8%)
281 (20.3%)
137
12
1,373
1,003 (73.1%)
191 (13.9%)
171 (12.5%)
13
1,337
1,054 (78.9%)
115
(8.6%)
178 (13.3%)
14
1,331
1,061 (79.7%)
102
(7.6%)
181 (13.6%)
15
1,322
1,042 (78.8%)
90
(6.8%)
188 (14.2%)
イ
計画収集量に直接搬
入量を含む
(9.9%)
計画収集量に直接搬
入量を含む
し尿処理の状況
平成15年度における県内計画処理区域内のくみ取りし尿及び浄化槽汚泥量は、1日当たり377
キロリットル、そのうち371キロリットルが計画収集され、6キロリットルが自家処理されてい
ます。(表8−3)
計画収集されたし尿及び浄化槽汚泥は、304キロリットル(82.4%)がし尿処理施設等(下水
道投入を含む)で衛生処理され、37キロリットル(9.9%)が海洋に投入されています。(表8
−4)
表8−3
区分
年度
総人口
(人)
し尿及び浄化槽汚泥の排出量及び収集の動向
計画収集
人 口
(人)
総排出量
計画収集量
自家処理量
(kl/ 日 )
(kl/ 日 )
(kl/ 日 )
平 成 11
1,324,987
668,551
359
347
(96.7%)
12 (3.3%)
12
1,337,443
687,988
374
369
(98.7%)
5 (1.3%)
13
1,345,849
687,043
391
386
(98.8%)
5 (1.2%)
14
1,355,926
658,435
378
376
(99.5%)
2 (0.5%)
15
1,365,359
650,712
377
371
(98.3%)
6 (1.7%)
- 69 -
備
考
計画収集量に直接
搬入量を含む
表8−4
収集し尿の処理状況
収集量
処理施設
下水道投入
海洋投入
農村還元
その他
(kl/日)
(kl/日)
(kl/日)
(kl/日)
(kl/日)
(kl/日)
平成 11
349
263 (75.4%)
16 (4.6%)
48 (13.8%)
20 (5.7%)
2 (0.6%)
12
369
285 (77.2%)
19 (5.1%)
47 (12.7%)
16 (4.3%)
2 (0.5%)
13
387
293 (75.6%)
17 (4.4%)
41 (10.7%)
34 (8.9%)
1 (0.3%)
14
375
291 (77.6%)
19 (5.1%)
38 (10.1%)
18 (4.8%)
9 (2.4%)
15
369
285 (77.3%)
19 (5.2%)
37 (9.9%)
19 (5.2%)
9 (2.4%)
区分
年度
ウ
備
考
計画収集量に直接
搬入量を含む
ごみ焼却施設の整備状況
県内52市町村のごみ焼却施設については、平成17年3月末現在で48市町村26施設が整備され
ており、残り4町村の整備促進を図っています。また、最終処分場については、34市町村24施
設ありますが、しゃ水工などが適正に整備されているものは24町村13施設となっており、その
他は不適正な処分場です。とりわけ、南部市町村には那覇市・南風原町以外に最終処分場がな
いこと等から、民間業者に埋立を委託しているところもあり、民間を含む整備済みの一般廃棄
物最終処分場の残余容量がひっ迫しています。
エ
浄化槽の設置状況
県では、浄化槽の適正な維持管理を促進するため、平成12年3月に「沖縄県浄化槽取扱要綱」
を改正し、新たに浄化槽を設置する場合は、し尿と生活雑排水を併せて処理することができる
合併処理浄化槽を設置するものとしました。しかしながら、平成16年度までに県内に設置され
た浄化槽101,649基のうち合併処理浄化槽の占める割合は11.9%にとどまっており、合併処理浄
化槽の普及が十分に進んでいるとは言えない状況です。
また、浄化槽の設置者には、知事が指定した検査機関の検査を受けることが義務づけられて
いますが、要綱改正により法定検査(7条検査)料金を払い込む前納制を導入したところ、設置
時の水質検査等(7条検査)の受検率については、92.8%(全国平均84.0%)と大幅に向上し
ました。しかし、毎年1回の水質検査等(11条検査)の受検率については、3.7%(全国平均17.
9%)とかなり低い状況にあります。
表8−5
年度(平成)
種別
単独処理浄化槽
(割 合)
合併処理浄化槽
(割 合)
合
計
累積浄化槽設置基数の推移
12年度
13年度
14年度
15年度
16年度
98,568
(95.4%)
4,706
(4.6%)
103,274
98,568
(93.7%)
6,677
(6.3%)
105,245
98,568
(92.2%)
8,370
(7.8%)
106,938
97,167
(91.0%)
9,574
(9.0%)
106,741
89,527
(88.1%)
12,122
(11.9%)
101,649
- 70 -
(2)産業廃棄物
ア
産業廃棄物の発生・排出状況
県内の産業廃棄物発生量2,148千トン(動物のふん尿を除く)を業種別、種類別の状況をみる
と、電機・水道業が918千トン(42.7%)で最も多く、次いで建設業が781千トン(36.4%)、製
造業が401千トン(18.7%)となっており、これら3業種で発生量の97.8%を占めています。
また、排出量を業種別にみると、電機・水道業が835千トン(43.1%)で最も多く、次いで建
設業が780千トン(40.2%)、製造業が276千トン(14.2%)になっており、これら3業種で排出
量の97.5%を占めています。
図8−2
平成15年度産業廃棄物の業種別発生量、排出量(動物のふん尿を除く)
(単位:千t/年)
1,000
発生量
排出量
800
600
400
200
0
項 目
合計
2,148
発生量
100.0%
1,938
排出量
100.0%
イ
農業
4
0.2%
4
0.2%
漁業
林業
鉱業
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
建設業 製造業
781
36.4%
780
40.2%
電気・水道業
運輸業
918
42.7%
835
43.1%
8
0.4%
8
0.4%
401
18.7%
276
14.2%
卸・小売業 金融・不動産業 不動産業 サービス業
24
1.1%
24
1.2%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
11
0.5%
11
0.6%
公務
0
0.0%
0
0.0%
産業廃棄物の処理・処分状況
本県における産業廃棄物の排出量(動物ふん尿を除く)は平成15年度で193万8千トンとなっ
ており、そのうち脱水や焼却等の処理によって38.4%減量化され、89万7千トン(46.3%)が再
生利用、23万7千トン(12.2%)が最終処分されています。
前回調査した平成11年度と比較すると、発生量は1.0%、排出量は0.5%とわずかながらも減少
しています。
- 71 -
図8−3
産業廃棄物処理・処分フロー
(単位:千t/年)
発
生
2,148
量
有 償 物 量
資 源 化 量
<9.8%>
<51.5%>
210
〈100%〉
1,107
再生利用量
直接再生利用量
897
12
(0.6%)
(46.3%)
中間 処 理量
残
1,730
(89.3%)
排
出
さ
985
量
(50.8%)
中 間 処 理 後
最 終 処 分 量
量
1,938
<90.2%>
(100%)
減 量 化 量
82
745
(4.2%)
<34.7%>
(38.4%)
直接最終処分量
最終処分量
(8.0%)
<11.0%>
(12.2%)
155
237
そ の 他 量
59
<2.7%>
(3.0%)
(平成15年度実績)
注1)〈 〉は発生量に対する割合、( )は排出量に対する割合を示す。
注2)図中の%表示については四捨五入しているため、総数と個々の数値の合計が一致しないものがある。
図8−4
全国
全国
沖縄県
10
0
0
43.7
44.8
41.9
25.7
36.5
38.4
沖縄県
50
48.9
40
再
生 30
利
用 20
率 10
減
量 30
化 20
率
全国
沖縄県
50
50
40
減量化率、再生利用率、最終処分量の推移
42.8
38.4
33.9
41.2
46.3
最
終
処
分
率
40
40.0
30
20
19.7
10
12.5
17.7
7.4
平成6年度
平成11年度
平成15年度
平成6年度
平成11年度
- 72 -
平成15年度
0
平成6年度
平成11年度
12.2
平成15年度
ウ
不法投棄の現状
(ア)不法投棄件数の推移
平成16年度における不法投棄件数は69件でした。不法投棄件数は、平成10年度まで増加傾向
にありましたが、平成11年度以降は減少傾向となっています。
図8−5 不法投棄件数の推移
件数
160
140
120
100
80
60
40
20
0
139
112
111
95
97
69
51
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H16
年度
(イ)不法投棄物の内訳
平成16年度における不法投棄の重量別総量は8,235トンとなっており、うち産業廃棄物は
444.9トン(54%)、一般廃棄物は3,790.1トン(46%)となっています。
内訳としては一般廃棄物が3,790.1トン (46%)と最も多く、以下、がれき類1,524トン(19%)、
金属くず1036.8トン(13%)、その他の建設系廃棄物887.2トン(11%)、廃タイヤ575.6トン(7%)の順
となっています。
表8−6 不法投棄物の総量及び重量別内訳
(平成16年度)
廃棄物の種類
重量(トン)
割合(%)
一般廃棄物
3,790.1
46.9
がれき類
1,524.0
19.0
金属くず
1,036.8
13.0
その他の建設系廃棄物
887.2
11.0
廃タイヤ
575.6
7.0
廃プラスチック
179.0
2.0
建設系木くず
41.5
0.5
200.8
1.0
8,235.0
100.0
その他の産業廃棄物
合計
- 73 -
2
廃棄物・リサイクル対策
(1)沖縄県廃棄物処理計画の推進
廃棄物処理計画は、環境負荷の少ない持続的な発展が可能な循環型社会を形成し、県民の生活
環境の保全と県内産業の健全な発展を確保するため、本県における廃棄物の排出抑制、減量化、
適正処理に関する基本的な方向を定め、県民、事業者及び行政が一体となって取組みを進めるた
めの指針であり、廃棄物処理法第5条の5に基づき策定するものであります。
現計画においては、平成17年度における減量化目標を設定するとともに、県民、事業者及び行政
の役割分担を明らかにした上で、目標を達成するための減量化と適正化に関する諸施策等を定めて
おります。
また、同計画の推進及び進行管理を図るため、「沖縄県ごみ減量リサイクル推進会議」や庁内関
係課で構成する「沖縄県廃棄物適正処理推進連絡会議」において、各分野における取組み状況の
点検・評価に努めているところあります。
ア
一般廃棄物(ごみ)の減量化目標
一 般 廃 棄 物 減 量 化 目 標
平成17年度
○ 排出量を現状(平成9年度)に対し3%削減する。
○ 再生利用量を排出量の17%とする。
○ 最終処分量を排出量の22%とする。
平成9年度
(基準年度)
排出量
499
(1,048)
再生利用量
29(5.8%)
中間処理による減量 290(58.1%)
最終処分量
180(36.1%)
イ
(単位:千t/年、下段()内はg/人・日)
平成15年度 平成17年度
平成22年度
(現 状) (目標年度)
(参考)
487
484
474
(970)
(975)
(940)
56(11.6%)
82(17%)
114(24%)
343(71.1%)
296(61%)
298(63%)
86(17.7%)
106(22%)
62(13%)
産業廃棄物の減量化目標
産 業 廃 棄 物 減 量 化 目 標
平成17年度
○ 排出量の増加を現状(平成9年度)に対し6%以下に抑制する。
○ 再生利用量を排出量の45%とする。
○ 最終処分量を排出量の13%とする。
(単位:千t/年)
平成9年度
(基準年度)
排出量
2,071
再生利用量
791(38.2%)
中間処理による減量 743(35.9%)
最終処分量
423(20.4%)
平成15年度 平成17年度
(現 状) (目標年度)
1,938
2,188
897(46.3%)
979(45%)
745(38.4%)
797(36%)
237(12.2%)
295(13%)
平成22年度
(参考)
2,183
1,021(47%)
845(39%)
214(10%)
注1)平成9年度値(推計値)は、平成6年度、平成11年度の実態調査を基に補完した。
注2)「その他量」を記載していないので、排出量と個々の計とが一致していない。
- 74 -
ウ
廃棄物の減量化及び適正処理に関する施策
○廃棄物の減量化に関する施策
1 普 及 啓 発 活 動 の 推 進
2 効 果 的 な ネ ッ トワ ー クの 形 成
3 リサ イ ク ル の 促 進
4 環 境 産 業 の 育 成
5 経 済 的 手 法 導 入 の 検 討
○廃棄物の適正処理に関する施策
1 ごみ の 適 正 処 理 対 策
2 生 活 排 水 処 理 対 策
3 特 別 管 理 廃 棄 物 対 策
4 PCB 廃 棄 物 処 理 対 策
5 公 共 関 与 事 業 の あり 方
6 ダ イ オ キ シ ン 類 対 策
7 不 適 正 処 理 対 策
8 米 軍 基 地 の 廃 棄 物 対 策
9 散 乱 ごみ 対 策
- 75 -
(2)一般廃棄物に関する対策
ア
一般廃棄物処理施設の整備促進
平成17年3月末現在、一般廃棄物処理施設は、稼働中のごみ焼却施設が26施設 (1,582t/日)、
粗大ごみ処理施設が8施設(163t/日)、最終処分場(国庫補助施設のみ)が13施設、再生利用施
設(国庫補助施設のみ)が14施設整備されています。
また、平成17年3月末現在、し尿処理施設は、12施設(508kl/日)整備されています。
イ
放置自動車対策事業
本県は日本で唯一鉄軌道がないため自動車に対する依存度が高く、また県民の自動車保有台
数の約7割が中古車という状況であり、放置自動車の発生率が高くなっております。
空き地や道路沿い等に放置されている使用済自動車については、市町村条例の制定など放置
自動車の再発防止策を前提として、廃棄物処理法に基づき市町村長が行政代執行として撤去・
処分する事業について補助することにより、離島の生活環境や自然景観を保全することを目的
に放置自動車対策事業を平成13年度、平成14年度に実施しました。
平成13年度は、平良市、石垣市など23市町村において、10,882台の放置自動車を撤去し、平
成14年度は、国頭村等38市町村において5,801台を撤去しております。
県としては、今後の放置自動車の発生防止を図るため、市町村、保健所、警察等の関係機関
が連携した合同パトロールを実施するとともに、市町村に対し、放置自動車の所有者に対する
撤去指導の実施など、発生防止に関する条例の効果的な運用を図るよう指導していきたいと考
えております。
ウ
合併処理浄化槽の普及促進
合併処理浄化槽設置者へ補助を行う市町村に対する財政支援措置として、国において、昭和
62年に国庫補助事業である浄化槽設置整備事業が創設されたのを受けて、県では平成3年度から
国庫補助に加えて県費補助による財政支援を実施し、下水道等による集合処理に適さない住宅
散在地域への合併処理浄化槽の整備促進に努めています。
この補助事業により、平成16年度までに那覇市等21市町村1事務組合において、平成16年度末
現在合計668基の合併処理浄化槽が整備されています。
エ
ごみ減量化・リサイクルの促進
平成16年度には、
「沖縄県ごみ減量リサイクル推進会議」および「レジ袋減量部会」を開催し、
効果的なネットワークの形成、リサイクルの促進等について協議しました。
また、ごみ減量・リサイクルを広域的に推進するための各種啓発事業(「ごみ減量・リサイク
ル推進週間」、「環境衛生週間」、「マイ・バッグ・キャンペーン」)を実施して、県民意識の高
揚につとめるとともに、「ごみ減量・リサイクル講座」(通称「買い物ゲーム」)を開講して、
小学生等の環境教育の充実を図っています。
- 76 -
表8−7 ごみ減量化推進事業
平成16年度
事
業
内
容
沖縄県ごみ減量リサイクル推進会議 ①沖縄県ごみ減量リサイクル推進会議開催
②レジ袋減量部会開催
ごみ減量・リサイクル推進週間
①ラジオ等広報 ②パネル展
③文化環境部長によるリサイクル事業所視察
(昭和製紙㈱、
沖縄電力㈱具志川火力発電所)
環境衛生週間
①知事メッセージ新聞掲載 ④ラジオ等広報
③パネル展及び浄化槽相談コーナー設置
④不法投棄撤去作業
(社団法人沖縄県産業廃棄物協会協力)
マイ・バッグ・キャンペーン
①ポスター、リーフレット、スイングPOP作成
※九州各県ごみ減量化・リサイクル ②流通事業者による店内放送及びポスター掲示等の協力
推進協議会統一テーマ
③ラジオCM ④オープニングセレモニー ⑤オリジナル
・マイ・バッグ制作・配付 ⑥消費者アンケート、⑦県広
報テレビにおける啓発
ごみ減量・リサイクル講座
講座開催(11小学校25クラス)
オ
廃棄物資源化対策事業
県では、離島における資源廃棄物を本島に搬送する経費のうち、船舶に係る経費を補助する
ことにより、離島の廃棄物の減量化・リサイクルを促進し、最終処分場の有効利用及び環境保
全に資することを目的に平成7年度から廃棄物資源化対策事業を実施しています。
市 町 村 名
1
2
3
4
5
6
7
伊 江 村
知 念 村
渡 嘉 敷 村
久 米 島 町
南 大 東 村
石 垣 市
竹 富 町
合
計
表8−8
資源化対策事業平成16年度実績
古紙(t)
空き缶(t) 合計(t) 事業費(円) 県補助金交付
額(円)
0.0
72.0
473,040
150,000
4.8
11.8
2,938,000
180,000
18.4
18.4
60,000
28,000
157.0
157.0 14,922,000
638,000
16.5
16.5
100,000
32,000
418.0
3,294.0
5,250,000
1,324,000
89.0
89.0
1,600,000
348,000
703.7
3,658.7 25,343,040
2,700,000
72.0
7.0
0.0
0.0
0.0
2,876.0
0.0
2,955.0
カ
容器包装リサイクル法への対応
容器包装リサイクル法は、家庭から排出されるごみの約6割(容積比)を占めるガラスビン、
ペットボトルなどの容器包装廃棄物の減量、リサイクルを促進することを目的としています。
容器包装リサイクル法がスタートした平成9年度以降、ガラスビン、ペットボトルを中心に
収集量が増加し、平成13年度には収集量全体で平成9年度の約2倍にあたる2万2千トンがリ
サイクルされています。
- 77 -
区分
特定分別
基準適合物
小
法第2条第
6項指定物
小
合
(単位:t)
表8−9 容器包装廃棄物分別収集実績
平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度
種類
無色ガラス
447
572
772
952
1,309
1,637
2,783
2,614
茶色ガラス
360
478
645
788
1,052
1,277
2,094
2,340
その他ガラス
150
325
696
1,073
1,766
2,288
2,690
2,988
ペットボトル
161
96
309
630
1,673
1,987
3,548
7,117
その他紙
−
−
−
−
32
−
−
20
その他プラ
−
−
−
−
−
−
3
20
計
1,118
1,471
2,422
3,443
5,832
7,189
11,118
15,099
スチール缶
9,693
10,104
8,814
9,728
9,863
9,807
11,089
10,099
アルミ缶
568
506
514
507
566
606
1,059
744
紙パック
52
81
87
232
247
169
249
176
段ボール
−
−
−
2,749
5,697
6,094
7,092
6,023
計
10,313
10,691
9,415
13,216
16,373
16,676
19,489
17,042
計
11,431
12,162
11,837
16,659
22,205
23,865
30,607
32,141
※特定分別基準適合物:容器包装の製造事業者、利用事業者が再商品化の義務を負う容器包装(製造事業者等は、容器包装リサイクル協会へ再商品化に係
る費用を負担金として支払う)
※法第2条6項指定物:全国的にみて、分別収集した段階で、有価又は無償となるため、製造事業者等が再商品化の義務を負わない容器包装
※その他紙、その他プラ、段ボールは平成12年度より容器包装リサイクル法の対象となったものである。
キ
家電リサイクル法への対応
平成13年4月1日より施行された家電リサイクル法は、小売業者による収集運搬、メーカー
によるリサイクル及び消費者による費用負担といったそれぞれの役割分担をとおして、循環型
社会の構築をめざすものです。
平成13年度から16年度に県内の指定引取場所へ搬入された廃家電品の数は、4品目合計で平
成13年度に7万8千台、14年度に9万5千台、15年度に11万6千台、16年度に11万7千台であり、全
国の引取台数(8,549千台[H13]、10,150千台[H14]、10,460千台[H15]、11,214千台[H16])の
約1%に近い回収実績となっています。
ク
ちゅら島環境美化促進事業
空き缶や吸い殻等のごみの散乱防止、環境美化の促進を図るため、県では「ちゅら島環境美
化条例」を制定し、県民、事業者、市町村及び県それぞれの役割分担の下、県全域で環境美化
運動の気運を盛り上げております。
(ア)推進母体による活動
条例施行時に発足した、県、市町村及び民間団体で構成する条例の推進母体「ちゅら島環
境美化推進県民連絡会議」を主体として、「ちゅら島環境美化促進月間」である7月を中心に
した新聞広告やラジオCMなどの各種広報啓発や年2回のちゅら島環境美化全県一斉清掃を
実施しております。
(イ)環境美化促進モデル地区(条例第10条)
地域住民が市町村と協働して行う、他地域の模範となるような環境美化活動を支援するた
- 78 -
め、平成15年度から環境美化促進モデル事業を実施しています。平成16年度は「環境美化促
進モデル地区」として3地区を指定し、15年度指定の2地区とあわせ計5地区においてモデ
ル事業を支援しています。
(ウ)環境教育・環境学習に対する支援(第11条)
条例の趣旨を周知し、ポイ捨て防止や美化活動への関心を高めるため、小学校4,5年生を
対象とした環境美化教材を作成し、要望に応じて配布しています。
(エ)自発的な活動の促進(条例第12条)
第十一管区海上保安本部海上環境課の提唱の下、主に海岸線の清掃活動に自主的に取り組
む団体等で結成された、沖縄クリーンコーストネットワーク(OCCN)に「まるごと沖縄
クリーンビーチ」等の実施の際に必要な支援を行うなど、自発的な活動を促進しています。
ケ
沖縄県産リサイクル製品利用促進事業
島しょ県である本県において、廃棄物の排出抑制・循環的利用の促進を図る循環型社会を実
現するためには、域内の資源循環システムを構築することが求められており、リサイクルの出
口部分である製品の利用拡大を図ることがますます重要となっています。
このため、土木建築部において平成16年度に「沖縄県リサイクル資材評価認定制度」を定め、
公共工事等におけるリサイクル建設資材の利用促進を図っているところです。
一方、文化環境部においては、建設資材以外の主に日常生活等において用いるリサイクル製
品についても、県が認定することによって、県民等による利用促進を図っていくため、平成16
年度に「県産リサイクル製品認定制度検討委員会」を設置し、同委員会における検討結果をふ
まえ、認定対象品目や認定基準、申請手続等について定めた「沖縄県産リサイクル製品利用促
進要綱」を制定しました。
同要綱の規定に基づき、平成17年度以降の認定開始に向けて取り組んでいくこととしており
ます。
- 79 -
(3)産業廃棄物に関する対策
ア
産業廃棄物処理業者の状況
平成16年度末現在の産業廃棄物処理業者は、収集運搬業8 0 3業者、処分業(中間処理)1 4 7
業者、最終処分業24業者、再生利用業者数は4業者となっており、業種別では収集運搬業者が
最も多くなっています。また、保健所別でみると、中部保健所、中央保健所及び南部保健所管
内に多く所在しています。
表8−10
業の区分
北 部
中 部
中 央
南 部
宮 古
八重山
収 集
運搬業
56
267
210
194
45
31
計
803
保健所名
産業廃棄物処理業及び再生利用業者数
産業廃棄物処理業
処分業
中間処理
最終処分
10
42
20
53
16
6
147
3
13
0
3
2
3
24
計
69
322
230
250
63
40
産業廃棄物再生利用業
再 生
再 生
計
輸送業
活用業
2
1
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
974
171
(平成16年度末現在)
2
2
4
(注)再生利用業者とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第9条第2号、または第10条の3
第2号の規定に基づき、沖縄県知事の指定を受けたものを言う。
イ
産業廃棄物処理施設設置状況
廃棄物処理法第15条第1項に基づく許可施設は、平成16年度末現在で1 4 0施設あります。そ
の内訳は、脱水や焼却による減量化又は有害物の分解などを行う中間処理施設が110施設、廃棄
物の埋立を行う最終処分場が30施設となっています。
また、設置主体別でみると、排出事業者の設置が21施設、産業廃棄物処理業者の設置が119施
設となっています。
表8−11
産業廃棄物処理施設の設置状況
設置主体別施設数
施設の種類
中 汚泥の脱水施設
間 汚泥の乾燥施設(機械)
処 廃油の油水分離施設
理 焼却施設
施 廃プラスチック類の破砕施設
設 がれき類・木くずの破砕施設
シアン化合物の分解施設
最
終
処
分
場
管
安
小
計
理
型
定
型
小
計
合
計
(平成16年度末現在)
事業者
14
0
0
0
0
0
1
15
設置施設数
処理業者
4
2
2
12
6
69
0
95
計
18
2
2
12
6
69
1
110
6
0
6
21
5
19
24
119
11
19
30
140
(注)1 がれき類・木くずの破砕施設の設置施設数は、みなし許可された施設の設置数を含む。
2 焼却施設については、許可件数と施設数とは異なる場合もあるが、実際に設置している施設
数を休止中も含めて示した。
3 最終処分場については、埋立が終了していても廃止されていない施設も含めている。また、
処理能力は、設置許可時のものを示している。
- 80 -
ウ
不法投棄の防止
産業廃棄物の適正処理を推進し、生活環境の保全を図るため、各保健所においては排出事業
者、処理業者及び処理施設等に対する監視・指導を行っています。
また、不法投棄防止のため、県、警察、第十一管区海上保安本部、市町村等による合同のパ
トロールなどを実施し、未然防止に努めるとともに、県、警察、第十一管区海上保安本部、
(財)
暴力団追放沖縄県民会議、(社)沖縄県建設業協会、(社)沖縄県医師会、及び(社)産業廃棄
物協会で構成する「沖縄県産業廃棄物不法処理防止連絡協議会」を設置して、不法投棄防止策
の強化を図っています。
さらに、平成15年5月には、警察本部と合同で「美ら島環境クリーン作戦対策本部」を設置
し、地域の生活環境に支障を及ぼす悪質な不法投棄事案等に対して、確実な現状回復を見据え、
迅速な行政措置及び積極的な対応を行っているところです。
エ
公共関与事業の推進
県内の処理業者が有する産業廃棄物管理型最終処分場は、ここ10数年来、新たな施設の立地
がないことからひっ迫してきており、産業廃棄物の適正処理体制の確保が重要な課題となって
おります。
産業廃棄物処理施設の整備は、排出事業者の処理責任の下に行うことが基本ですが、その立
地に対する住民の理解と協力を得ることが厳しい状況になっていることから、公共の関与が求
められているところです。
公共関与による処理施設の整備、運営については、排出事業者等の関係団体との合意形成や
事業主体の形態、用地、財源の確保など、多くの課題があることから、県においては、これま
で、公共関与事業に関する調査研究を行うとともに、平成15年度には、排出事業者や廃棄物処
理業者、市町村及び県の関係者から成る「産業廃棄物の適正処理推進に関する研究会」を設置
し、現状や課題を踏まえ最終処分場の確保に関する基本的なあり方に関し、一定の合意形成の
下、報告書をとりまとめました。
平成16年度には、同研究会の成果を踏まえ、学識経験者、経済界等の関係団体、市町村及び
県の関係者で構成する「公共関与による産業廃棄物処理施設の整備促進基本構想検討委員会」
を設置し、事業主体や処理施設の規模等の具体的な方策について検討を進め、平成17年2月に
同委員会から知事への最終報告を受け、同年3月に「沖縄県公共関与産業廃棄物処理施設整備
基本構想」を策定しました。
県においては、同基本構想を踏まえ、公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場を整備す
るため、立地候補地の選定及び事業主体の設立に向けて取り組んでいくこととしております。
オ
産業廃棄物に関する税の導入検討
廃棄物の発生を抑制し、循環的利用及び適正処理を推進していくためには、廃棄物問題が通
常の事業活動や日常生活における社会経済活動に伴って生じる廃棄物に起因する課題であるこ
- 81 -
とを踏まえて、これまでの廃棄物処理法等に基づく規制手法や普及啓発など自主的取り組みだ
けでなく、経済的手法による政策手段と組み合わせて、地域経済社会や県民のライフスタイル
のあり方を変えていくことが不可欠となっております。
こうしたことから、税という手段の活用は、市場メカニズムを通じて経済産業活動を環境負
荷の少ないものへと誘導するとともに、生活環境の保全と経済産業活動の両立を目指す有効な
手法であると考えられます。
県においては、これまで産業廃棄物税に関する調査研究を行うとともに、平成16年4月に、
庁内関係部長で構成する「法定外目的税制度協議会」において、産業廃棄物に関する税の導入
について調査、検討を進め、同年9月には「沖縄県産業廃棄物に関する税構想」を公表したと
ころであります。
同年10月には、この構想を踏まえて、学識者で構成する「産業廃棄物に関する税専門家懇話
会」を設置し、県民や関係団体から幅広く意見を聴取しつつ、専門的見地から本県に望ましい
税制度の構築について調査研究を進め、平成17年3月には、懇話会の検討結果が知事へ報告さ
れました。
県においては、同懇話会の意見報告等を踏まえ、今後、関係者の理解と協力を得ながら、産
業廃棄物に関する税の平成18年4月導入に向けて取り組んでいくこととしております。
図8−5
排
出
事
業
者
(税を負担する者)
中 間 処 理 業 者
(納税義務
者)
課税 対 象 外
処理料金に税相
当額を上乗せ
再 生 利 用
(納税義務者)
産業廃棄物税の概要
課 税
課 税
特別徴収
特別徴収
処理料金と併せて
税を徴収 注1
処理料金と併せて
税を徴収 注2
最 終 処 分 業 者 (特別徴収義務者)
申告納入
注1 注2
沖 縄 県
- 82 -
注1 産業廃棄物を排出した事業者が、自ら設置した最終処
分場に搬入し、その処分を行う場合は、申告納付
注2 中間処理業者が、自ら設置した最終処分場に中間処理
後の残渣を搬入し、その処分を行う場合は、申告納付
(4)建設リサイクル対策
ア
課題
建設産業は、国内の資源利用量の40%を建設資材として消費する一方で、産業廃棄物全体の最
終処分量の30%程度を建設廃棄物として処分しています。また、今後、住宅・社会資本の更新
に伴い建設副産物の排出量が増大し、資源循環に占める建設産業の比率がより高くなることが
予想されます。そこで、環境への負荷の少ない循環型社会経済システムを構築するため、当面、
建設副産物の再生利用の促進について公共建設工事が先導的な役割を果たすことが望まれてお
り、再生資源の利用及び建設副産物の適正処理の推進に取り組む必要があります。
イ
現状
(ア)建設副産物の搬出量の動向
平成12年に比較して平成14年度は、
①建設廃棄物の搬出量は約15%減少して、76万トンとなっています。
②工事現場内における土砂の有効利用等により、建設発生土量は約8%減少して339万トン
となっています。
(イ)建設リサイクルの状況
平成12年度に比較して平成14年度は廃棄物全体の再資源化率は1%増加しました。コンクリ
ート塊、アスファルトコンクリート塊については依然として高いリサイクル率を維持してい
るものの、アスファルトコンクリート塊については3%の減少となりました。建設発生木材
については7%増加となり,若干ではあるもののリサイクル率の進展がありました。
①建設廃棄物の再資源化率等注1)では、
87%(平成12年度)
⇒
88%(平成14年度)
うち、アスファルトコンクリート塊は、95%(平成12年度)
⇒
92%(平成14年度)
コンクリート塊は、95%(平成12年度)
⇒
96%(平成14年度)
建設発生木材は、56%(平成12年度)
⇒
63%(平成14年度)注2)
⇒
78%(平成14年度)
②建設工事における建設発生土利用率注3)は、
74%(平成12年度)
注1)建設廃棄物として搬出された量に対する再資源化及び縮減された量と工事間利用された量の合計の割合。
なお、再資源化等とは再資源化及び縮減のこと。
注2)建設発生木材は再資源化率の値である。
注3)土砂利用の量のうち土質改良を含む建設発生土利用量と土砂利用量の割合
ウ
リサイクル資材評価認定制度(ゆいくる)の推進
平成16年7月、沖縄県土木建築部では土木建築部発注公共工事で使用する建設資材において、
県内リサイクル資材の使用促進を図るための制度として、沖縄県リサイクル資材評価認定制度
- 83 -
(以下、認定制度とします)を制定しました。当該制度は、県内で排出された廃棄物を再生資
源として製造された建設資材の品質について審査評価し、資材を認定することで、リサイクル
資材の利用促進を図るものです。
平成16年度の評価委員会は2回開催され、同制度の認定資材として26資材(57資材に対し)に
認定証を交付しました(1回目51資材、2回目6資材を受付)。
図8−6
沖縄県リサイクル資材評価認定制度の概要
沖縄県
①リサイクル資材の品質性
能評価基準及びリサイクル
資材評価認定制度実施要領
の公表
評価委員会
④【評価委員会】
評価基準に基づき申請
資材の品質性能を評価
付託
③リサイクル資材の申請
受付及び書面審査及び工
場調査等の実施
⑤リサイクル資材の認定
及び公表
公表
製造メーカー
申請
通知
②評価基準に適合した資材
の製造および申請に係る資
料の作成
⑥認定証の交付
認定マークを表示し販売
審査結果の報告
付議
⑦【利用検討委員会】
認定資材の率先利用方針
を決定する
原則化ルールの
適用の周知徹底
リサイクル
資材の利用
促進
通知
指導
⑧ 【各発注機関】
利用方針の周知徹底
認定資材の利用促進
報告
⑨【工事請負業者】
●分別解体・再資源化
●リサイクル資材の積
極的な調達
従来の流れ
産業廃棄物処理
(中間処理)
最終処分場
本制度による新しい流れ
その他の廃棄物
(搬 出 元)
- 84 -
廃棄物の再
資源化の新
しい流れ
第
9章 自
然環境の
保全
境の
第9章
自然環境
の保全
昭和 47 年に「自然環境保全法」が制定され、これを基として、自然環境保全の確立を図る法令及び行
政機関の整備が進められました。人問生活と調和のとれた自然の保護・創出を図るため、(1)自然環境
の保全、(2)野生生物の保全、(3)自然公園の保護管理及び施設整備に関する事業等を行っています。
第1節
自然環境の保全
本県は亜熱帯海洋性気候のもと数多くの島々から成っています。沿岸海域に発達した広大なサンゴ
礁、
陸域の風衝性の景観に象徴されるように、本県の自然環境の大きな特質はその海洋性にあります。
また、琉球列島の島々がかなり古い時代に隔離したこと、位置的に南方系生物が分布するほぼ北限に
あたることから、数多くの固有種、固有亜種を含む貴重な動植物が生息・生育し、島々や地域の自然条
件に応じた多様な自然がみられることも特徴とされています。県民の文化と生活はこのような自然環
境のもとで築きあげられたものですが、他方、こうした島しょ性の多様な自然は人間活動の影響を受
け易く、特に近年の社会構造の急激な変化により大きな圧迫を受けて、衰退・単調化の途をたどって
います。
県では、無秩序な自然破壊を防止するため、健康で快適な生活環境は地域の特性に応じた多様な自然
環境を基盤として創出、維持されるものであるとの認識のもとに、昭和 48 年に「沖縄県自然環境保全
条例」を制定し、昭和 50 年に「沖縄県自然環境保全基本方針」を定め、自然環境保全の方向づけと制度
の整備を行いました。
1 自然環境保全地域の指定
(1)沖縄県自然環境保全地域
本県のすぐれた自然を有する地域のうち、自然的・社会的条件からみて、特に保全が必要とさ
れる地域を適正に保全していくため、沖縄県自然環境保全条例第 17 条の規定に基づき、
「自然環境
保全地域」等として指定するもので、現在 11 地域約 951ha を指定しています。
(2)国指定の自然環境保全地域
自然環境保全法第 22 条に基づき、環境庁が指定する「自然環境保全地域」として、竹富町西表島
の崎山湾が指定されています。(昭和 58 年 6 月 28 日)。
この海域は、アザミサンゴの巨大な群体をはじめ海域生物相が豊かで自然度が高く、わが国で
は唯一の「海中特別地区」となっています。
2 自然環境保全調査の実施
国は、
昭和 48 年度から「自然環境保全法第 4 条」に基づき自然環境保全基礎調査を実施しています。
一般に「緑の国勢調査」と呼ばれるこの調査は、わが国の自然環境の現況と動向を把握し環境保全の
基礎資料に資するため、概ね 5 年を一区切りとして地形、地質、植生及び野生生物に関する調査等
を実施するものです。平成16 年度は植生調査、浅海域調査、種の多様性調査、生物多様性地域調
査、モニタリングサイト 1000 を実施しています。
- 85 -
図9-1-1 自然環境保全地域位置図
127° 128°
伊平屋島
27°
27°
田名の久葉山自然環境保全地域
後岳自然環境保全地域
腰岳自然環境保全地域
賀陽山自然環境保全地域
阿波岳自然環境保全地域
伊是名山自然環境保全地域
伊是名島
伊江島
嘉津宇岳・安和岳・八重岳
自然環境保全地域
粟国島
沖縄島
渡名喜島
慶良間列島
26°
26°
127° 128°
123° 124°
宇良部岳自然環境保全地域
久部良岳自然環境保全地域
東崎自然環境保全地域
比川地先自然環境保全地域
石垣島
与那国島
竹富島
崎山湾自然環境保全地域(国指定)
西表島
黒島
波照間島
24°
123° 124°
-86-
24°
3 エコツーリズムの推進
本県は、亜熱帯海洋性気候のもと多くの貴重な固有生物が生息、生育し、その知名度は国内外で
も非常に高く、平成 16 年度の県内入域観光者数は約 515 万人に達しました。
そのような中、観光者自らが参加する「体験型」のプログラムが大いに注目を集めていることか
ら、県ではエコツーリズムの推進に向けた取組を進めています。
しかし、新たな産業として注目が高まると同時に、訓練されていないガイド、活動理念の無い事
業者などの問題点が指摘され、自然や文化、伝統資源への配慮の無い自然体験活動、エコツアーが
資源の枯渇へつながるとの懸念が出始めました。
そこで、県では、これらの問題、課題に対応するため、環境保全型自然体験活動の推進と同時に、
その活動を実践する際の事業者間のルールである、保全利用協定のシステムの構築およびその普及
等に取り組んでいます。
(1)保全利用協定の認定の推進
エコツーリズムが、新規産業として注目が高まると同時に、訓練されていないガイド、活動理
念の無い事業者などの問題点が指摘され、自然や文化、伝統資源への配慮の無い自然体験活動、
エコツアーが資源の枯渇へつながるとの懸念が出始めたことから、県では事業者間で締結する保
全利用協定の認定を推進しています。
平成16年2月、西表島の仲間川をフィールドに活動している5事業者(動力船2事業者、カ
ヌー3事業者)によって仲間川地区保全利用協定が締結され、同年6月に知事の認定を受けまし
た。
(2)沖縄県エコツーリズムガイドライン 2004 の作成
沖縄におけるエコツーリズム推進にあたって、訪問客・県民・観光事業者といったエコツーリ
ズムにかかわるあらゆる主体が心がけるべきことをまとめたガイドラインを作成しました。
4 自然保護思想の普及啓発
自然環境の保全思想を普及し、これを広く県民に定着させていくためには、地域社会や学校などに
おける環境教育を積極的に推進する必要があります。
県は、環境省が主唱する「自然に親しむ運動(7 月 21 日∼8 月 30 日)」期問中に海や山の自然観察会
を実施するなど、県民に対する自然保護思想の普及啓発を図っています。
平成 16 年度は、国頭村与那フィールドにおいて山の自然観察会を実施しました。
5 世界自然遺産登録の推進
平成 15 年、環境省・林野庁により設置された「世界自然遺産候補地に関する検討会」において、
「知床」、「小笠原諸島」、「琉球諸島」の3地域が世界遺産条約に定める登録基準と完全性の条
件を満たす可能性が高いと評価されています。
その中で「琉球諸島」は、大陸との関係において独特な地史を有し極めて多様で固有性の高い亜
熱帯生態系やサンゴ礁生態系を有していること、優れた陸上・海中景観や絶滅危惧種の生息地とな
- 87 -
っていることが評価されています。
県では、平成16年度において、パンフレット「琉球諸島を世界自然遺産へ」を作成し、本県の世
界自然遺産登録への取組等の情報発信と普及啓発を図ると共に、国の調査へ協力し、鹿児島県とも
連携しながら「琉球諸島」の世界自然遺産登録の推進に向けて取り組んでいます。
6 マングローブの保全
近年、熱帯林の減少は地球の温暖化の問題とも関連して地球規模の環境問題として取り上げられ、
その保全・再生造成が急務の課題となっています。マングローブ林は熱帯林の一部であり、その面積
に占める割合は小さいとはいえ、陸と海の生態系の保全機能を持っており、重要な役割を果たして
います。
本県は、わが国で唯一広大なマングローブ生態系を有する地域であることから、県内のマングロー
ブ林の保全及びその啓発を目的として、平成元年 8 月に(社)沖縄国際マングローブ協会(0KINAM)が
設立されました。平成 2 年 8 月には世界規模でのマングローブに関する組織である国際マングローブ
生態系協会(ISME)を本県に誘致し、平成 4 年 10 月に県知事認可の財団法人として設立され、平成 15
年 8 月に NPO 法人に移行しています。
県では、両団体への支援を通してマングローブ生態系の保全に努めるとともに、本県の国際・学術
交流の拠点形成を推進しています。
7 温泉の許可
温泉法に基づいて、温泉をゆう出させる目的で土地を掘さく、増掘する場合及び温泉の利用に係
る許可を行っています。
- 88 -
第2節
1
野生生物の保護
鳥獣保護区等の設定
(1)鳥獣保護区
鳥獣保護区は野生鳥獣の積極的な保護増殖を図ることを目的とした地域で、環境大臣が指定
する国指定鳥獣保護区と県知事が指定する県指定鳥獣保護区があり、これまでに指定した箇所
は国指定鳥獣保護区が 7 カ所、県指定鳥獣保護区が 18 カ所の計 25 カ所となっています。
表9−2−1
鳥獣保護区の指定状況
(平成 17 年3月 31 日現在)
鳥獣保護区
面積(ヘクタール)
国有地民有地 水面
計
国指定鳥獣保護区
3,909 5,891 3,172 12,972
県指定鳥獣保護区
314 8,053 1,937 10,304
特別保護地区
箇所数
7カ所
18カ所
面積(ヘクタール)
国有地民有地 水面
2,327
312
328 1,119
383
箇所数
計
3,774
6カ所
707
9カ所
12
(2)休猟区
狩猟鳥獣の増加を図るため県知事が 3 年以内の期間を定め、可猟地域の 1/3 程度を 1 カ所当
り 1,500ha 以上の規模をもって指定するもので、現在は 8 カ所、37,057ha を指定しています。
表9−2−2
休猟区の指定状況
(平成 17 年3月 31 日現在)
名
称
面積(ha)
期
伊平屋
伊江
2,172
与那城
2,273
与那国
8,101
南部東
2,701
6,450
石垣南
本部北
4,480
6,200
大宜味 合
計
4,68037,057
限 H17.11.14 H17.11.14H17.11.14H17.11.14H18.11.14H18.11.14H19.11.14 H19.11.14
(3)銃猟禁止区域
銃猟による危険等を未然に防止するため、又は静穏の保持のため必要と認めた場合に、県知事
が期間を定めて指定するもので、現在は大野山林を指定しています。
表9−2−3
銃猟禁止区域の指定状況
(平成 17 年3月 31 日現在)
名
称
大野山林
面積(ha)
1,115
89
期
限
H17.11.14
2
鳥獣生息等調査の実施
(1)特殊鳥類等生息環境調査
本県には、ノグチゲラ、ヤンバルクイナ、ホントウアカヒゲなどの国内希少野生動植物種を
はじめとする貴重な野生生物が生息・生育していますが、諸々の開発や移入種の侵入等により
生息環境が悪化しており、なかには絶滅の危機に瀕している種もあります。
これら貴重な野生鳥獣等の保護対策のための基礎資料を得るため、昭和62年度から特殊鳥
類等生息環境調査(生息分布、営巣木分布、生息密度及び植生調査)を実施しており、平成16年
度はヤンバルクイナの生息実態調査を実施しました。
(2)ガンカモ科鳥類の生息調査
ガンカモ科鳥類(ハクチョウ、ガン、カモ)の冬季の生息状況を把握するため、毎年1月中旬に
全国一斉調査として実施しています。
平成 16 年度の県内の調査結果は次のとおりでした。
3
・調査年月日
平成 17 年 1 月 10 日∼20 日
・観察総数
カモ類 12 種 1003 羽
・踏査力所数
89 ヶ所
・調査員数
延 27 名
ガン類 0 種 0 羽
鳥獣保護対策の推進
(1)傷病野生鳥獣救護事業
野生鳥獣保護思想の普及啓発を図るとともに、野生鳥獣の保護を目的に、県獣医師会の協力
により県内 20 名の野生動物救護獣医師(野生動物ドクター)と県内 6 箇所の救護施設(名護自
然動植物公園株式会社、日本野鳥の会やんばる支部、沖縄こどもの国、宮古野鳥の会、日本野鳥
の会八重山支部、沖縄県動物愛護センター)で傷病野生鳥獣救護事業を実施しております。平成
16 年度は 759 頭の傷病野生鳥獣を受け入れました。
(2)鳥獣保護員の配置
県では、鳥獣保護事業の実施に関する補助業務(鳥獣保護区の巡回や管理等)を行うため、各
市町村長や野鳥の会等の推薦を受けて鳥獣保護員として委嘱し、現在 40 名を配置しています。
(3)鳥獣の捕獲及び飼養等の規制
国内で生息する野生鳥獣の捕獲は原則として禁止されています。鳥獣を捕獲するときは許可
を受けて捕獲し、飼養するときは知事の発行する飼養登録証の交付を受ける必要があります。
愛がん飼養を目的とする鳥の捕獲許可は、メジロ又はホオジロに限り、数は種の如何にかかわ
らず一世帯一羽とされています。平成 16 年度はメジロが 34 羽、ウグイスが 1 羽登録されてい
ます。
(4)鳥獣保護思想の普及啓発
県では、自然環境の豊かさの象徴である野鳥について県民の関心を高めるため、愛鳥週間(毎
年 5 月 10 日から 16 日)において、パネル展等各種行事を催し、野鳥保護思想の普及啓発に努め
90
ています。
また、ワシタカ科に属するサシバは、毎年寒露の頃になると大群を形成し一斉に南下し、越
冬地である東南アジア方面への渡りの途中、休息のため宮古諸島、特に伊良部島・下地島を中心
に飛来することから、秋の訪れを告げる風物詩として私たちの生活・文化と深く関わってきま
した。そのため、県では、飛来数調査を実施し、サシバ等渡り鳥の保護思想の普及啓発に努めて
います。
表9−2−4
月
日
平成 16 年度愛鳥週間の行事
行
事
5月 10 日∼16 日 野鳥パネル展(県民ホール)
鳥獣保護区等パトロール(26 箇所)
5月 11 日
野鳥講演会(沖縄県立大平養護学校)
5月 16 日
第 58 回愛鳥週間「全国野鳥保護の集い」(山口県阿知須町きらら浜)
表9−2−5
月
平成 16 年度サシバ保護月間の行事等
日
10 月8日∼21 日
行
事
飛来数調査(平良市久貝夕陽丘)
10 月 16 日∼21 日 飛来数調査(伊良部町役場屋上)
4
国内希少野生動植物種の保護
県内に生息する貴重な野生生物の現状を把握するとともに、保護対策を講じる基礎資料として、
平成7年度に「沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)」を作成しました。
また、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づき、ヤンバルクイナ、
イリオモテヤマネコ等の希少な野生動植物種について、原則としてその捕獲、譲渡等を禁止してい
ます。
国内希少野生動物種を保護するための制度として、生息地等保護区の指定があり、本県では久米
島の「宇江城岳キクサトサワヘビ生息地保護区」・石垣市の「米原イシガキニイニイ生息地保護区」
が指定されています。
5
移入種対策(マングース対策)
やんばるの豊かな生態系を保全し、希少な野生生物を保護するために、平成12年度から北部3
村(国頭村、東村、大宜味村)において外来生物(マングース)の駆除を実施しており、平成16
年度までに5,952頭を捕獲しています。
また、平成16年度にはマングースの生息密度の高い中南部地域からマングースの侵入を防止す
るため、柵(フェンス)の設置について検討を行い、その結果、平成17年度から平成18年度の2
年間で、大宜味村塩屋湾から東村福地ダムに至るラインに北上防止柵を設置することになってい
ます。
91
表9−2−6
年
度
捕獲頭数
6
12
13
303
捕獲頭数(マングース)
14
333
15
2,107
2,025
16
合
1,184
計
5,952
狩猟の適正化
狩猟を行うには、狩猟免許を所持するなど、一定の資格が必要です。この制度の目的は、狩猟を適
正化することによって、鳥獣の保護と人身等の危険等を防止することにあり、狩猟のできる鳥獣の
種類、期間、場所及び狩猟方法等いろいろな規制があります。
(1)狩猟免許等
狩猟者の資質向上を図る必要から、毎年狩猟免許試験と講習会を実施しています。狩猟に関
する適性、技能及び知識を有することが、狩猟免許の要件です。
(2)狩猟免許と狩猟者登録
狩猟免許の種別は、網・わな猟、第1種銃猟、第2種銃猟の 3 種類があり、県が実施する狩猟免
許試験に合格した者でなければ、狩猟免許を取得することができません。また、実際に狩猟する
ためには、狩猟免許取得後、毎年、狩猟しようとする場所を管轄する都道府県知事の狩猟者登録
を受けて行うことになります。
平成 16 年度時点での狩猟免状取得件数は 577 件、狩猟者登録件数は 365 件で、また、当該年
度に交付した狩猟免状交付件数は新規が 33 件、更新が 150 件となっています。
(3)有害鳥獣捕獲
野生鳥獣が農林水産物などに被害を与えた場合や生活環境を悪化させた場合又はそれらのお
それがあり、被害防除対策を実施しても被害が防止できないと認められる場合においては、知
事の許可を得て野生鳥獣の捕獲を行うことができることになっています。
県は、有害鳥獣の駆除を効果的に実施するため、昭和 55 年度から平成 15 年度まで委託による
駆除事業を行ってきました。
現在は、市町村又は農業協同組合等が主体となり、有害鳥獣捕獲許可を受けて、猟友会等の
協力を得て実施しています。本県における有害鳥獣捕獲の主な対象鳥獣は、イノシシ、カラス、
タイワンシロガシラ、ドバトです。平成 16 年度の捕獲実績は獣類 76 頭、鳥類 4,481 羽となって
います。
7
海域生態系の保全
(1)ジュゴンの保護
ジュゴンは鳥獣保護法で捕獲禁止の鳥獣となっており、国の天然記念物として文化財保護法
で指定されているほか、水産資源保護法による採捕禁止、ワシントン条約において取引規制が
あり、ジュゴンの保護は重要な課題となっています。
県は、平成 14 年度から環境省の施行委任を受け、ジュゴンのレスキュー実地研修会及びビデ
オ、リーフレットなどにより、ジュゴン保護について普及啓発を図っています。また、国にお
92
いては、平成 13 年度からジュゴンの全般的な保護方策の検討に資するため、ジュゴンの広域的
な調査を実施しており、調査結果を踏まえ具体的な保護対策についても検討されています。
(2)サンゴ礁の保全
ア
海中公園地区におけるサンゴ礁保全対策
県内の国立、国定公園では、海域 69,304 ヘクタールが公園区域に含まれ、その海域のう
ち7地区 707 ヘクタールが海中公園地区に指定されています。海中公園地区は、西表国立公
園内において竹富タキドゥングチ、竹富シモビシ、黒島キャングチ、新城島マイビシの4箇
所、また、沖縄海岸国定公園内においては沖縄海岸、渡嘉敷、座間味の3箇所が指定されて
おり、これらの地区では美しいサンゴ等の海中景観が広がっています。
当該海域において、海中景観の構成要因である造礁サンゴを食害するオニヒトデが昭和 45
年頃から異常に発生し、サンゴの生息は危機的状況にありました。こうした状況に対処する
ため、昭和 49 年度から平成 11 年度までの 25 年間環境庁の補助を得て、事業総額 3 億 6326
万 2 千円を投じ、215 万 7815 匹のオニヒトデを駆除しました。
平成 12 年度からは環境省の補助金が廃止となり、従前の規模での駆除事業実施が困難な状
況となったことから、国定公園の海中公園地区における海中景観の保護を目的とした沖縄海
岸国定公園におけるサンゴ礁モニタリング調査を実施しました。
また、平成 15 年度からは沖縄海岸海中公園地区の良好な海中景観の保全・復元及び創造の
方法を検討するため「沖縄海岸海中公園地区景観保全調査」を実施しています。
イ
総合的なサンゴ礁保全対策
平成 13 年末から沖縄島周辺及び慶良間諸島周辺海域において、オニヒトデが大量に発生し、
サンゴ礁が危機的な状況になっていることから、沖縄特別振興対策調整費を活用し、オニヒ
トデの発生状況やサンゴの生息状況などの状況把握を行うとともに、国、県及び市町村関係
行政機関、学識経験者、漁業者及びダイビング業者等の関係団体で構成する「オニヒトデ対
策会議」を設置し、総合的なサンゴ保全対策に取り組んでいます。
平成 14 年度は、座間味村、渡嘉敷村、南部(前島、チービシ、読谷)、恩納村、国頭村(国
頭、東村)の5地区においてオニヒトデ駆除を実施し、約7万匹を駆除しました。平成 15
年度は、同5地区で約4万匹の駆除を行うとともに、慶良間諸島海域において、優先的に保
全を図る「最重要保全区域」を5カ所定めて集中的な保全対策を実施しました。平成 16 年度
は、慶良間、宮古、八重山の3地区において、約1万5千匹を駆除しました。オニヒトデの
大量発生は広域化してきていることから、引き続き保全対策を実施していく必要があります。
表9−2−7
平成 16 年度オニヒトデの駆除実績
(単位:匹、千円)
年度
地区名
慶良間
16
宮 古
八重山
駆除箇所
座間味
渡嘉敷
宮古群島
八重山群島
駆除数
事業費
5,954
1,208
4,545
2,868
93
29,984
左の財源内訳
国庫支出金
県
市町村
23,987
5,997
0
第3節
1
自然公園
本県の自然公園の概要
自然公園には、国立公園、国定公園及び都道府県立自然公園があります。国立公園とは、我が
国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地で、環境大臣が指定するものであり、国定公
園は国立公園に準ずる優れた自然の風景地で、都道府県の申し出を受けて環境大臣が指定するも
のです。
また、都道府県立自然公園は、都道府県の優れた自然の風景地で、知事が指定するものです。
現在、本県では、西表国立公園、沖縄海岸国定公園、沖縄戦跡国定公園、久米島県立自然公園、
伊良部県立自然公園、渡名喜県立自然公園の6つの自然公園が指定を受けています。
図9−3−1
自然公園区域
94
表9−3−1
本県の自然公園面積
(単位:ヘクタール)
海 域 面 積
陸 地 面 積
自然公園名 特別保護 第 1 種 第 2 種 第 3 種
地
西
表
国立公園
沖縄海岸
国定公園
沖縄戦跡
国定公園
久米島県
立自然公
伊良部県
立自然公
渡名喜県
立自然公
6公園計
2
区 特別地域 特別地域 特別地域
1,786
9,092
普通地域
海中公園
計
地
区
普通地域
計
合 計
2,669
13,547
214
31,099
31,313
44,860
493
25,559
26,052
36,372
769
267
3,532
2,931
2,821
10,320
29
84
144
293
2,577
3,127
1,932
1,932
5,059
422
1,257
1,906
2,356
5,941
5,636
5,636
11,577
81
90
391
2,853
3,415
2,324
2,324
5,739
77
6
168
91
342
1,260
1,260
1,602
931
14,121
5,689
13,367
36,692
67,810
68,517
105,209
2,584
707
自然公園の保護管理
自然公園の適正な管理運営を行うため、各公園に公園計画を定めています。公園計画は、公園
の保護のための規制及び利用のための規制に関する計画(規制計画)と利用のための施設及び保
護のための施設に関する計画(施設計画)に区分され、それぞれの公園の特性に応じて決定され
ています。
(1)規制計画
ア
保護のための規制に関する計画
自然公園はいわゆる地域制公園であり、土地所有者の如何に関係なく一定の地域を画して
指定しています。保護のための規制に強弱の差をつけ、私有財産の保護や各種開発行為との
調整を図ることを目的としています。そのため区域を普通地域と特別地域に区分し、特別地
域を更に特別保護地区、第 1 種、第 2 種、第 3 種特別地域に細分化して規制基準を明確にし
ています。
また、自然公園に含まれる海域は普通地域に位置づけられますが、海中景観が特にすぐれ
学術的にも貴重な海域については海中公園地区に指定し、その保護を図るため各種の開発行
為等を規制しています。海中公園地区は、海域における特別保護地区というべきものです。
イ
利用するための規制に関する計画
利用のための規制計画とは、対象地区の利用現状と当該地区の適正な利用のあり方を踏ま
え、利用の時期、方法等につき特別に調整し、制限または、禁止する必要のある事項につい
て定めるものです。
(2)施設計画
ア
利用のための施設に関する計画
利用のための施設計画とは、自然公園の積極的な利用の増進を図る目的から適正な施設の
95
配置と整備方針を定めたものです。また、公園利用の中心的施設として一定の広がりを持つ
区域を設定し、これらの利用施設を総合的に整備する集団施設地区の指定があります。
イ
保護のための施設に関する計画
保護のための施設計画とは、景観または景観要素の保護及び利用上の安全を確保するため
に必要な個々の施設配置と整備方針を定めるものです。具体的には植生復元施設、動物繁殖
施設、砂防、防火施設、自然再生施設が位置づけられています。
ウ
施設の整備経過
自然公園等の施設整備として昭和 48 年度より自然公園利用施設と野生生物保護管理施設
の整備を進めています。
自然公園利用施設は自然公園を広く国民の利用に供し、国民の保健・休養及び教化に資す
るために公園計画に基づき、ビジターセンター、園地、休憩所、公衆トイレ、探勝歩道、車
道、駐車場、標識等を整備するものです。
野生生物保護管理施設は希少生物や固有の生態系の調査研究、保護増殖、普及啓発等の事
業を総合的に推進するための拠点として野生生物保護センターを整備するものです。
(3)許認可業務
自然公園内の特別地域における開発行為については、開発予定地の市町村長の意見の副申を
受けて現地調査を行い、開発との調整を図っています。また、普通地域での大規模な行為は、
特別地域同様当該市町村を経由して事前に届出ることになっています。なお、通常の管理行為
や普通地域における小規模な行為は、自然公園法の規制を受けません。
(4)美化清掃活動
自然公園利用者の快適な利用を促進するため、毎年 8 月の第一日曜日に自然公園における全
国一斉美化運動が設定され、本県でも関係市町村が中心となって特に海浜の清掃を実施してい
ます。
(5)自然公園監視員の設置
自然公園の風景地を保護し、その利用の適正化を図るため、沖縄県自然公園監視員設置要網
を定め、同要網に基づき自然公園監視員を委嘱しています。監視員は、動植物の保護、自然環
境の美化清掃及び事故の予防について監視指導を行い、あわせて適正な情報を収集するととも
に利用秩序の維持に寄与しています。
現在は5カ所の自然公園に合計 36 名の監視員を配置しています。
96
第10章
第10章 緑・水辺・景観の保全と創造
緑・水辺・景観の保全と創造
第1節
緑化の推進
緑は、日常の生活において、人々にゆとりやうるおいをもたらすとともに、地球温暖化の原因と
なる二酸化炭素の重要な吸収源でもあり、我々の快適な環境を創造していくうえで重要な役割を担
っています。
1
都市公園の整備
(1)目的
都市公園は、高齢者の増加、余暇時間の増大等を背景とした社会の中で、「ゆとり」と「う
るおい」のある良好な都市環境を形成していくための重要な社会資本であり、これまで県営公
園と市町村営公園を整備しているところであります。
(2)進捗状況
都市公園の整備目標を達成するために、都市公園の整備を推進するとともに管理の徹底を図
ります。
平成16年度は68箇所の県営公園と市町村営公園を整備し、平成16年度末現在の1人当たり公
園整備面積は8.2㎡となっております。また、平成17年度においては66県営公園と市町村営公
園を整備しているところであり、今後も平成23年度までの一人当たり公園整備面積の目標14㎡、
平成27年度までの目標20㎡を達成するため都市公園の整備を推進していく考えであります。
2.道路緑化等の推進
(1)現状
昭和47年の本土復帰以来、本土との格差是正を図る観点や地域振興及びモータリゼーション
の急激な進展等による交通渋滞緩和等を目的にこれまで道路整備を図ってきたところでありま
す。そして、これまでの取り組み等により、その目的はある程度実現することができました。
しかしながら、道路の修景美化については、まだ十分といえない状況であり、引き続き県の
リーディング産業である観光振興支援の観点から、緑豊かな景観形成を図るため、沖縄独特の
風土と文化に調和した道路緑化を推進しているところであります。
(2)基本的な方針
本県の道路緑化率は高い水準となっていますが、さらに、観光産業を支える観点から、観光
地等にアクセスする道路を中心に、トロピカルイメージの花木植栽を行い、緑陰と花に満ちた
「美ら島沖縄」を演出していきます。
- 97 -
(3)道路緑化の目標
県では、沖縄県道路緑化基本計画(昭和58年制定、平成8年改訂)に基づき、道路緑化の推
進に取り組んでおり、今後も引き続き同計画に基づき緑化の推進に取り組んでいくこととして
おります。
・道路緑化延長実績
3
平成4年度
:312.0km(32.0%)
平成9年度
:372.0km(38.0%)
平成11年度
:521.3km(45.5%)
学校における緑化の推進
(1)学校緑化事業
学校緑化事業は、昭和51年度から県立学校における勤労体験学習の一環として、生徒と教職
員の共同作業で学校緑化活動に取り組むことで、うるおいのある明るい学習環境をつくり、精
神的、肉体的、社会的にたくましく豊かな人間形成を図ることを目的として実施しています。
県立特殊諸学校においては、平成2年度から「花と緑と野鳥の住む学園」構想計画に基づき
当該事業を推進しています。
(2)緑化実施校数及び予定数
ア
平成16年度実施数
高等学校
49校、特殊教育諸学校
16校
イ
平成17年実施予定数
高等学校
51校、特殊教育諸学校
16校
(3)全国緑化コンクール実績
賞
の
種
類
受賞年度
学
校
緑化推進運動功労者
平成8年度
浦添工業高等学校
内閣総理大臣賞
平成13年度
与勝高等学校
平成15年度
八重山養護学校
全日本学校関係緑化コンクール
平成5年度
浦添工業高等学校
特選(文部大臣賞)
平成10年度
与勝高等学校
平成11年度
八重山養護学校
平成13年度
宮古高等学校
平成15年度
八重山農林高等学校
準特選
平成12年度
宮古工業高等学校
入選
昭和52年度
北部農林高等学校
- 98 -
名
4
森林・みどりの整備の推進
森林・緑は、木材の生産をはじめ、県土の保全、水資源のかん養など、多くの機能を有し、県
民が潤いと安らぎのある生活を営むうえで、重要な役割を担っています。
しかし、近年、大規模な開発や都市化の進展により森林・緑が急速に減少しつつあることから、
森林・緑の持つ機能が持続的に発揮できるよう、適切な森林の整備・保全とともに、県民の緑化
意識の高揚を図り、県民参加の緑化推進運動を展開することが求められています。
このような中、潤いと安らぎのある緑豊かな県土づくりをめざして、森林・緑を守り育てるた
めの様々な緑化事業を実施しています。
表10−1
実施事業の概要
主な事業
内容
県植樹祭
緑 化 の 重 要 性 を 普 及 啓 発 す る た め 昭 和 26年 か ら 実 施 し て お り 、 平 成
17年 度 に は 第 56回 県 植 樹 祭 を 南 風 原 町 で 開 催 し ま す 。
県緑化コンクール
緑 化 技 術 の 向 上 と 普 及 啓 発 の た め 昭 和 34年 か ら 実 施 し て お り 、 学 校
緑化、一般緑化の部門別に審査・表彰しています。
緑の少年団の育成・支援 県 内 47団 体 (平 成 16年 度 )に 対 し て 体 験 会 交 流 会 を 実 施 し 、 少 年 時 か
ら の 緑 化 意 識 の 啓 発 を 行 っ て い ま す 。 ま た 、 平 成 17年 度 に は 苗 木 の
配布等を実施します。
緑のふるさとづくり事業 緑に包まれたふるさと造成のため市町村等への補助を行います。平
成 17年 度 は 3 市 町 村 に 対 し て 支 援 を 行 い ま す 。
おきなわの名木100選 地域の巨樹・古木を名木として認定し、普及啓発や保護保全対策を
推 進 し ま す 。 平 成 16年 度 ま で に 52件 を 認 定 。 平 成 17年 度 に は 17件 の
認定を実施します。
- 99 -
第2節
1
河川及び海岸の整備
河川の整備
(1)河川の概要
平成17年3月末現在、県管理の2級河川は74河川、市町村管理の準用河川は22河川あり、そ
の指定総延長は2級河川は、354,316メートル、準用河川が35,453メートルとなっています。
表10−2
管轄土木事務所等
所管別河川概況
二級河川
河川数
指定河川(m)
準用河川
河川数
指定河川(m)
北 部 土 木 事 務 所
40
174,126
6
9,600
中 部 土 木 事 務 所
11
65,800
5
11,340
南 部 土 木 事 務 所
14
56,190
4
4,453
−
−
−
−
八重山支庁土木建築課
9
58,200
7
10,060
計
74
354,316
22
35,453
宮古支庁土木建築課
(2)河川の改修事業等
河川法に基づき、知事が指定した2級河川について、洪水等による背後地の浸水被害を防ぐ
ため、河川改修事業等を実施しています。河川改修事業には、その規模と流域の資産の状況等
に応じて、国庫補助事業である基幹河川改修事業及び総合流域防災事業、県単事業の県単河川
改修事業等がありますが、近年浸水被害が多発している国場川、比謝川等の都市河川について
は、国庫補助事業で重点的に整備を進めています。
なお、平成9年度に河川法の改正があり、それ以前の河川管理の目的である治水、利水に加
え、河川環境の整備と保全に配慮した総合的な河川整備を推進しています。また、河川整備の
計画について、地域の意向を反映した河川整備計画制度も導入されています。
(3)河川の環境整備
きれいな河川は、私たちが自然にふれ合う憩いと安らぎの場所としてかけがえのないもので
すが、近年、特に都市河川にあっては、河川の自然の自浄能力を超える家庭排水や畜舎排水が
流入するため、水質の悪化や河床の汚泥堆積が進行し、好ましくない状況にあります。
県では、特に環境の悪化している河川について、これまで堆積土壌の除去や雑草、雑木等の
- 100 -
伐採を行い、河川環境の向上に努めています。
また、毎年7月1日から7月31日まで全国一斉に催される河川愛護月間には、ポスターや広
報車の街頭宣伝、さらに土木事務所などが市町村とタイアップして地元住民や商工会の協力、
参加を得てモデル河川の清掃を行うなど、河川愛護思想が広く県民の間に普及、定着するよう
に運動を展開しています。
2
海岸の整備
(1)海岸保全
本県の沿岸は、サンゴ礁と白浜の海岸線によって特徴づけられ、県民をはじめ県外観光客か
ら親しまれています。
海岸線の総延長は1,748キロメートルで全国第4位の長さを有しており、これらの海岸線は
天然の防波堤の役目を果たすリーフに囲まれているものの、台風、冬期波浪等の異常気象時に
は、高潮、波浪による被害が依然として生じている状況です。そのため、高潮対策事業、海岸
環境整備事業等を実施し海岸保全施設の整備を鋭意進めており、これまで北前海岸(北谷町ア
ラハビーチ)、宇地泊海岸(宜野湾トロピカルビーチ)等において気軽に海と親しめるよう海
岸整備を進めてきました。
平成11年に海岸法が改正され、国の作成した海岸保全基本方針に基づき沖縄県は平成15年4
月30日に「琉球諸島沿岸海岸保全基本計画」を定めました。本計画では、海岸を県民の共通の
財産として位置づけ「いちまでぃん
美ら海、美ら島、清ら心」をキャッチフレーズに海岸を
維持・復元・創造し、次世代へ継承していくことを基本理念としており、今後は同計画に基づ
き海岸の整備と保全を図っていきます。
基本計画における海岸保全方策の内容については概ね次の通りです。
ア
整備の基本的事項
・貴重な動植物に配慮するとともに、美しい海岸風景となる施設整備を行います。
・利用者に配慮し、誰でも親しめる施設整備を行います。
イ「海岸環境を積極的に保全する区域」の設定
良好な海岸自然環境を残していくため、原則的に護岸等構造物を設置しない区域として
1,062km(全海岸延長の約61%)を設定しています。
(2)海岸の浄化事業
本県の貴重な観光資源である青い海と白い砂浜は、公衆の魅力あるレクリエーションの場と
して清潔に保つ必要があります。このため本県では市町村やボランティアと協働して、海岸の
浄化に努めており、海岸巡視を行い海浜地の不法占用、土砂等の不法採取及び海岸保全施設等
を損傷し、汚損する行為の取締りを行い、海岸の適正利用の推進に務めています。
また、毎年7月1日から7月31日まで全国一斉に催される海岸愛護月間には、ポスターや広報
車の街頭宣伝及び土木事務所などが市町村とタイアップして地元住民や観光組合の協力・参加
を得てモデル海岸の清掃を行うなど海岸愛護思想の高揚に努めています。
- 101 -
(3)市町村が主体となった海岸管理の推進
海岸の清掃や占用許可等の日常的な管理については、海岸と関わりの深い市町村により行わ
れるのが望ましく、現在、恩納村と渡嘉敷村が村海岸管理条例を制定して海岸管理を行ってい
ます。県では今後とも、市町村への日常的海岸管理の移管を推進していきます。
- 102 -
第3節
1
下水道の整備
下水道の概要
下水道は、(1)生活環境の改善(2)浸水の防除(3)公共用水域の水質保全(4)資源の
有効利用(5)水循環の創出という5つの大きな役割を担っており、都市の健全な発達及び公衆
衛生の向上に寄与し、河川、海域等の公共用水域の水質保全に資することを目的としています。
事業の執行形態と果たすべき機能等によって、公共下水道(特定環境保全公共下水道を含む)、
流域下水道、都市下水路の三種類に分類されます。平成16年度末現在、沖縄県の下水道処理人口
普及率は61%に達し、県民の約84万人が下水道利用可能で、そのうち約73万人が利用しています。
下水道は、処理区域内の全ての汚水を下水道で処理することによりその効果が発揮されること
から、県民の理解と協力が必要です。
2
下水道の整備状況
(1)公共下水道
公共下水道は下水を排除し処理するために市町村が設置・管理する下水道です。市街地では、
流域下水道に接続する流域関連公共下水道と終末処理場を有する単独公共下水道に区分されま
す。市街化区域等以外の区域では、概ね1,000∼10,000人程度を対象に自然公園区域内の水質
の保全または生活環境の改善を図ることを目的とする特定環境保全公共下水道に区分されま
す。平成16年度末現在、11市11町5村で事業を進めています。
ア
流域関連公共下水道
中部流域関連公共下水道として、那覇市、浦添市、宜野湾市、沖縄市、豊見城市、嘉手
納町、北谷町、南風原町、読谷村、北中城村、中城湾流域関連公共下水道として、具志川
市、沖縄市、勝連町、与那城町、北中城村、中城湾南部流域関連公共下水道として、西原
町、与那原町、佐敷町、中城村で整備を行っています。
イ
単独公共下水道
石川市、名護市、糸満市、平良市、石垣市、本部町、読谷村で整備を行っています。
ウ
特定環境保全公共下水道
名護市、石垣市、渡嘉敷村、久米島町、座間味村、竹富町で整備を行っています。
(2)流域下水道
流域下水道は、河川や海域等の水質環境基準の達成、並びにそれらの流域における生活環境
の改善を図るため、二以上の市町村が施行する流域関連公共下水道により排除される下水を集
め、終末処理場で処理する施設です。本県では、中部流域下水道、中城湾流域下水道及び中城
湾南部流域下水道の3流域で事業を進めています。
ア
中部流域下水道
中部流域下水道は、那覇処理区と伊佐浜処理区に分けられ、それぞれ那覇浄化センター、
- 103 -
宜野湾浄化センターにおいて処理を行っています。平成16年度末現在、那覇浄化センター
が179,000 m3 / 日、宜野湾浄化センターが118,000 m3 / 日、計297,000 m3 / 日の処理能
力を有しています。また、関連10 市町村が事業を実施しています。
イ
中城湾流域下水道
中城湾流域下水道の具志川処理区は、昭和62年7月より具志川浄化センターで処理を開
始しており、平成16年度末現在、17,600 m3/ 日の処理能力を有しています。また、関連5
市町村が事業を実施しています。
ウ
中城湾南部流域下水道
中城湾南部流域下水道の西原処理区は、平成14年4月に西原浄化センターで処理を開始
しており、平成16年度末現在、5,900 m3 / 日の処理能力を有しています。また、関連4町
村が事業を実施しています。
(3)都市下水路
都市下水路は、主に市街地における浸水を防除することを目的として昭和47年度から事業を
実施しています。平成16年度までに7市4町2村の34ヶ所で事業に着手し、33ヶ所で事業を完了
しており、現在東風平町で事業を進めています。
3
下水道資源の有効利用
(1)高度処理による下水処理水の有効利用
終末処理場から放流されている下水処理水を高度処理して雑用水等に利用することは、節水
型リサイクル社会の形成につながる施策です。
那覇浄化センターの高度処理水は、那覇新都心地区を中心とする公共施設や大型建築物等を
対象にトイレ洗浄用水等の雑用水として利用されています。平成14年4月に供給を開始してお
り、平成16年度末現在、2,130m3/日の処理能力を有し、33の施設で利用されています。
また、糸満市浄化センターの高度処理水は西崎親水公園で、名護下水処理場の高度処理水は
名護中央公園で修景利用しています。
(2)下水汚泥の有効利用
平成16年度末現在、沖縄県内で発生する下水汚泥は約150t/日で、ほぼ全量を緑農地利用し
ています。汚泥の有効利用を通じて、循環型社会の形成を推進しています。
(3)消化ガスの有効利用
消化ガス発電システムは、下水処理過程で発生する汚泥の嫌気性消化により得られる消化ガ
スを電気エネルギーに変換するもので、那覇浄化センターと名護下水処理場に設置されていま
す。変換した電気は終末処理場内で利用しており、省エネルギーの実現及び温室効果ガスの抑
制に貢献しています。
- 104 -
第4節
1
景観の保全
良好な都市環境の形成
(1)沖縄県の景観
本県は、我が国唯一の亜熱帯海洋性気候の下に形成された特有の自然環境や東アジア、東南
アジア諸国との交流によって育まれてきた歴史・文化がもたらす独特の県土景観を有していま
す。これらの景観は、先人たちが自然と共生する営みの中で、中国から伝わった風水思想の影
響も受けながらつくりあげてきたものであり、今日でも伝統的な集落や沿道景観にその姿を残
しています。
この先人たちがつくり、守り、育ててきた景観は、私たちの生活に潤いと安らぎを与え、郷
土に対する誇りと愛着を育てる県民共有の財産です。
この優れた景観を新しい時代に生かしながら次代に引き継いでいくとともに、その時代にふ
さわしい新たな景観を創造することは、現代に生きる県民一人一人の責務です。
(2)景観施策の沿革
本県における景観に関する施策は、昭和60年に那覇市で「那覇市都市景観条例」が公布され
たことに始まり、平成3年に石垣市で「石垣市景観形成条例」、平成6年に県で「沖縄県景観
形成条例」が公布されました。これらの条例は、景観形成に必要な施策を推進することにより、
地域の特性を生かした優れた景観を保全し、又は創造し、快適で魅力ある郷土の創生に寄与す
ることを目的としています。
また、全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存が図られるよう昭和50年の文化財保護法
の改正によって伝統的建造物群保存地区の制度が発足し、県内では2地区が選定されています。
都市計画法においては、建築物を規制するための様々な制度があり、多くは用途規制によっ
て街づくりを推進していくものでありますが、自然風致を保全するための風致地区やきめ細か
な街づくりを推進するための地区計画が良好な景観を形成するための制度として活用されてい
ます。
近年においては、国において平成15年7月に「美しい国づくり大綱」が策定され、平成16年
6月に「景観法」が公布されました。これにより、国、地方公共団体、事業者及び住民が、各
々の立場おいて良好な景観の形成に向けた施策に取り組む事が責務として定められました。
(3)景観施策の概要
ア
沖縄県景観形成条例
■景観形成モデル地区
景観形成を重点的に推進すべき地域を景観形成モデル地区として指定します。
- 105 -
■建築物等の大規模行為の届出
良好な景観形成を推進するため、大規模な建築物等の建築行為については届出を行う必要が
あります。
表10−4−1
届出件数
平成12年度
505
大規模行為の届出件数
平成13年度
453
平成14年度
453
平成15年度
481
平成16年度
473
■公共事業等に関する景観形成
公共施設の建設その他の公共事業等に係る景観形成のための指針を定めました。
■景観形成住民協定
土地の所有者等は、当該土地について一定の区域を定め、その区域における景観形成に関す
る住民協定を締結することができます。
イ
沖縄県屋外広告物条例
屋外広告物法に基づき、屋外広告物及び屋外広告物業について必要な規制を行い、もって良
好な景観を形成し、若しくは美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止することを目的
としています。
■禁止地域
都市計画法による第一種低層住居地域等、文化財保護法による重要文化財の敷地等、道路、
公園、河川等で禁止地域に指定された地域においては、屋外広告物を表示、又は設置すること
はできません。
■禁止物件
橋梁、街路樹、信号機及び道路標識等に屋外広告物を表示、又は設置することはできません。
■許可地域
市及び市街的町村のほか、道路で許可地域に指定された地域において、屋外広告物を表示し、
又は設置する場合は、許可を受けなければなりません。
ウ
重要伝統的建造物群保存地区
重要伝統的建造物群保存地区は、市町村が、条例で保存地区の現状を変更する行為の規制な
どの措置を定め保護を図っており、文化庁長官または都道府県教育委員会は、市町村に対し保
存に関し指導助言を行うほか、管理、修理、修景(伝統的建造物以外の建造物を周囲の歴史的
風致に調和させること)などに対して補助を行っています。
表10−4−2
地区名称
重要伝統建造物群保存地区
選定年月日
所在地
面積
竹富町竹富島重要伝統的建造物群保存地区
昭62年4月28日 竹富町 約38.3ha
渡名喜村渡名喜島重要伝統的建造物群保存地区 平12年5月25日 渡名喜村 約21.4ha
エ
風致地区
風致地区は、都市の風致を保全するため重要な地域について定め、建築物及び大規模な宅地
造成等を規制するものです。
- 106 -
表10−4−3
都市名
那覇市
名護市
石川市
合計
オ
風致地区指定状況
名称(面積ha)
漫湖風致地区(43.9)、末吉風致地区(67.6)
大宮風致地区(3.4)、陣ヶ森風致地区(8.9)
九年又風致地区(29.8)、東江風致地区(3.3)
前原風致地区(2.1)
7地区(159.0)
地区計画
地区計画は、都市における無秩序な市街化を防ぎ、良好な市街地環境を形成し保全するため、
比較的小規模の地区を対象として、地区の特性にふさわしい街区を整備するために定めます。
地区計画の内容は、地区計画の目標、当該地区の整備、開発及び保全に関する方針、及び地区
整備計画の二つの部分から構成されています。計画の策定にあたっては、地区住民の意向を十
分に取り入れるよう、条例に定められた手続きに従って関係者の意見を求めることを義務づけ
ています。
表10−4−4
地区計画決定状況
市町村名
地区名(面積ha)
小禄・金城地区(110.5)、具志・宮城地区(27.8)、泊地区(0.9)
壺川地区(13.6)、久茂地地区(3.9)、松山地区(1.9)、空港南地区(10.2)
那 覇 市
小禄南地区(31.1)、石嶺北翔・福祉地区(123.9)、真嘉比・古島地区(106.9)
那覇新都心地区(207.7)、那覇新都心地区(再開発地区)(10.1)
浦 添 市 国道58号線沿道牧港地区(36.0)、北経塚地区(9.1)、浦西地区(34.1)
糸 満 市 南浜地区(4.8)、南浜埋立地区(49.7)
豊 見 城 市 儀保地区(28.4)、豊崎地区(63.0)
北 中 城 村 渡口地区(12.1)
中 城 村 南上原地区(90.4)
西 原 町 東崎地区(3.2)
東 風 平 町 屋宜原地区(28.3)、豊盛地区(集落地区)(11.3)
与 那 原 町 東浜地区(16.7)
南 風 原 町 津嘉山北地区(71.4)
沖 縄 市 比屋根地区(87.3)
北 谷 町 桑江地区(25.5)、美浜地区(22.7)
石 川 市 石川西地区(28.3)
名 護 市 宇茂佐第二地区(80.1)
(4)良好な景観の形成に向けて
景観は、そこに築かれてきた歴史や文化の諸相を写すものであり、地域に育まれてきた人々
の暮らしによって形づくられるものです。景観形成の意義は、地域の持つ資質を高め、地域づ
くりの目標となり、人々の地域への関心と誇りや愛着を育て、連帯感を醸成するところにあり
ます。
快適で美しい景観は、県民や事業者の不断の努力に負うところが大きく、また、優れた景観
を保全し、修復し、創造するに当たっては、行政は自ら範を示すとともに県民の景観形成活動
を誘導し、援助する責務を負っています。
- 107 -
したがって、行政と県民、事業者は、一致協力して良好な景観の形成を進めていく努めてい
く必要があります。
2
良好な自然・農村景観の保全と創造
農村地域の良好な自然や農業生産が織りなす美しい景観は、地域住民や訪れる人々に潤いや安
らぎを提供するとともに、地域の生態系を保全するなどの多面的機能を有しています。
その良好な自然・農村景観を維持・形成していくためには、農村環境の保全と環境との調和に
配慮した計画を樹立すると同時に、農村地域の持つ多面的機能の重要性を地域住民に理解しても
らうことが重要です。そのため県においては、下記の施策を推進しています。
(1)田園環境整備マスタープラン又は農村環境計画の策定
田園環境整備マスタープラン又は農村環境計画は、農業振興地域を抱える市町村が主体とな
って各地域毎の環境特性の現状と課題を整理し、地域の環境保全目標と環境特性に配慮した農
業農村整備の基本方針を市町村単位で取りまとめるものです。
県としては、これらを策定する関係市町村への指導を行っています。
田園環境整備マスタープラン又は農村環境計画は、平成16年度までに36市町村において
策定されています。
(2)農山漁村の多面的機能を生かした村づくりの推進
本県の農業農村整備においては、環境との調和に配慮した農業生産基盤整備のほか、農村環
境整備や環境保全整備についても推進しています。
また農山漁村のもつ多面的機能の重要性を紹介すると共に、多面的機能を生かした農村振興
を図る観点から、グリーンツーリズムを活用したまちと村の交流を推進しています。
そのほか農山漁村の持つ魅力を「沖縄、ふるさと百選」として認定し、農山漁村に対する理
解を進め、農山漁村の活性化を図る取組み等を行っています。
- 108 -
第11章
第11章 各主体の協働による環境保全活動の促進
各主体の協働による環境保全活動の促進
第1節
環境教育の推進
本県の豊かな自然環境を保全し、次世代に継承するためには、県民一人一人が環境問題に理解と
関心を示し、環境に配慮したライフスタイルを実践することが必要であることから、環境教育の果
たす役割が重要となっています。
そこで、本県では、環境教育を進める上での基本的な方向、環境教育に関わる各主体の役割やそ
の連携のあり方、環境教育の推進方策等を整理し、本県の環境教育を総合的・体系的に推進するこ
とを目的として、現在、「沖縄県環境教育推進方針」の策定を進めています。
1
学校における環境教育の推進
(1)沖縄県環境教育プログラムの作成
本県の豊かな自然環境を保全し、次世代に継承していくうえで、環境教育を学校教育で取り
入れ、実践することが重要とされています。
そこで、県では学校現場等における環境教育・環境学習の実践に役立つ教材の提供を目的と
して、平成15年度から平成17年度の3年計画で環境教育プログラム「小学校編」、
「中学校編」、
「高等学校・環境団体編」の作成に取り組んでおり、平成16年度は「環境教育プログラム(中
学校編)」を作成し、県内の中学校等へ配布しました。
(2)環境教育モデル校の指定
県では、学校における環境教育を推進することを目的として、平成2年度から環境教育に積
極的に取り組んでいる学校を環境教育モデル校として指定しています。指定期間は3年となっ
ており、これまで67校(小中学校10校、小学校19校、中学校9校、高等学校19校、特殊学校10
校)を指定しています。
(3)環境教育研究推進校の指定
生徒に環境問題について関心を持たせ、環境に対する責任感や使命感の育成を図ることを目
的として、県教育委員会において、平成4年度から環境教育研究推進校としてこれまで14校(小
学校3校、中学校4校、高等学校7校)を指定しています。
(4)学校現場における指導者の育成
県立総合教育センターにおいて、小・中・高・特殊教育諸学校教員を対象にした環境学習指
導講座を実施し、環境教育に関する指導内容、指導方法等の研修を行い、その資質を高めると
ともに、各学校における環境教育の一層の充実を図っています。
- 109 -
また、文部科学省主催の環境教育指導者研修会に教員等を派遣し、環境学習指導講座等にお
いて他県の取組などの報告を行い、各学校での環境教育の取組についてさらなる充実を図って
います。
表11−1−1
学
校
環境教育モデル校の指定状況
名
活
動
内
(H14∼16年度指定)
容
具志川市立
具志川小学校
野鳥等野生生物の森づくりに関すること
竹富町立
西表小中学校
沖縄県立
辺土名高等学校
「環境学習」の実践に関すること
沖縄県立
大平養護学校
野鳥等野生生物の森づくりに関すること
沖縄県立
八重山養護学校
野鳥等野生生物の森づくりに関すること
海洋生物調査に関すること、環境保全に関すること、
2
自然観察に関すること
こどもエコクラブ活動の支援
こどもエコクラブは、次代を担う子供たちが、地域において自主的に環境学習や実践活動を行
うことを目的に、小・中学生により結成された環境クラブのことです。
平成16年度は、全国のこどもエコクラブ会員との交流を目的として、下記のイベントに本県の
こどもエコクラブのメンバーを派遣しました。
○子ども地球環境会議2004
(平成16年7月
福岡市)
参加クラブ:「久場川児童館ネイチャークラブ」、「OMRCこどもエコクラブ」
○「こどもエコクラブ全国フェスティバル in みはま・はんだ」(平成17年3月
愛知県)
参加クラブ:「若三EC4クラブ」
表11−1−2
区
年
3
分
度
沖
こどもエコクラブの登録状況
縄
県
全
国
クラブ数
会員数
クラブ数
会員数
平成14年度
16
310
3,993
77,417
平成15年度
45
864
4,323
82,299
平成16年度
33
501
4,183
83,156
地域における体験学習の推進
(1)水生生物による水質調査の実施
河川に生息する水質指標生物を参加者全員で調査することにより、身近にある河川の水質及
び自然を理解することを目的として、毎年、実施しています。この調査に基づき河川の水質環
- 110 -
境を判定しており、平成16年度は、13河川18地点で23回の調査を実施しました。
表11−1−3
水生生物調査の結果
河川名
調査地点名
汀 間 川
満 名 川
福 地 橋 付 近
笹 原 浄 水 場 横
尚敬橋
高平橋
上流側
下流側
森川ゴルフガーデン近く
与那嶺原橋付近
与座橋
駐
車
場
横
駐
車
場
横
屋 良 城 址 公 園
与
座
ガ
ー
キ ャ ン プ 場 上
滝
見
橋
滝
見
橋
滝
見
橋
末 吉 町 住 宅 地
末 吉 町 住 宅 地
末
吉
橋
我
謝
橋
安
谷
屋
橋
安
谷
屋
橋
饒波川
白水川
宇地泊川
報得川
源 河 川
比 謝 川
与座ガー
比 地 川
安謝川
普天間川
調査年月日 地点番号
H16.6.3
H16.6.30
H16.7.24
H16.7.25
H16.11.5
H16.11.5
H16.8.15
H16.6.25
H16.7.25
H16.8.7
H16.8.2
H16.7.18
H16.7.25
H16.8.18
H16.8.25
H17.1.15
H17.3.19
H16.8.25
H17.1.15
H17.3.19
H16.9.21
H16.9.21
H16.9.22
水質階級の判定
H16
H15
2-1
Ⅰ
Ⅰ
3-1
Ⅰ
Ⅰ
10-2
Ⅳ
Ⅳ
10-3
Ⅳ
−
8-1
Ⅰ
Ⅰ
8-2
Ⅰ
Ⅰ
13-1
Ⅲ
Ⅲ
14-2
Ⅲ
−
17
Ⅳ
−
1−3
Ⅰ
Ⅰ
1−3
Ⅰ
Ⅰ
6-4
Ⅱ
−
17
Ⅱ
−
18
Ⅰ
−
16-1
Ⅱ
−
16-1
Ⅳ
−
16-1
Ⅳ
−
16-2
Ⅱ
−
16-2
Ⅱ
−
16-3
Ⅱ
−
19-1
Ⅲ
−
19-2
Ⅳ
−
19-2
Ⅳ
−
Ⅳ
−
カンジン地
20
ホ タ ル 水 路
H16.11.11
下ダム
※水質階級の判定
Ⅰ.きれいな水、Ⅱ.少し汚い水、Ⅲ.汚い水、Ⅳ.大変汚い水
(2)全国星空継続観察会(スターウォッチング)の開催
大気や地球環境の保全についての関心を深めることを目的として、全国一斉に指定された期
間内に、夏の代表的な星空について星の数と位置を確認することで、大気環境の状況を把握し
ています。平成16年度は、8月6日∼8月19日(夏期)、平成17年1月1日∼1月14日(冬期)
にわたって開催し、約20人の参加がありました。
(3)教育施設における体験学習の実施
地域における自然との触れ合いを通じて、環境についての関心を高めることを目的として、
各地域の少年自然の家等において「自然とふれあう親と子の集い」、「スターウォッチング」
などの体験学習を実施しています。
- 111 -
4
エコツーリズムの推進
本県では、エコツーリズムの推進を図るため、環境保全型自然体経験活動の推進と同時に、そ
の活動を実践する際の事業者間ルールである保全利用協定のシステムの構築及びその普及に取り
組んでいます。
平成16年2月に、西表島の仲間川をフィールドに活動している5事業者間で仲間川地区保全利
用協定が締結され、同年6月に知事の認定を受けています。
◆コラム
∼宇栄原小学校の学校版ISO14001の取組∼
那覇市宇栄原小学校では、環境マネジメントシステムの国際標準規格ISO14001を小中学校の
環境教育に応用した「こどもエコアクション」を学校全体で取り組み、平成17年3月、那覇市
環境教育推進校の表彰の一環として学校版ISOの認証を受けました。
宇栄原小学校ではまず、「なぜ、環境問題が重要なのか」という動機付けから児童の関心を集
約し、学校の特色を明確に打ち出したエコチャレンジ宣言(「紙の再利用をしてごみの減量をし
ます」等)を作成しました。また、講演やワークショップを通して環境について考え、PDC
Aサイクルによって児童や教師が協力して省エネやごみを減らすための4Rなどに取り組みま
した。現在もその取り組みを学校全体で続けています。
◆コラム
∼宮古農林高校の取り組み−地下水の研究で水のノーベル賞受賞∼
宮古農林高等学校環境工学科環境班は、平成16年8月、地下水汚染と有機肥料開発について
の研究「宮古の水を守れ∼土壌蓄積リンで環境に優しい有機肥料作り∼」で水のノーベル賞の
ジュニア版「ストックホルム青少年水大賞」の第8回大賞を獲得しました。
この受賞は、8年間にわたって宮古島の地下水汚染状況を研究し、その原因がサトウキビ栽
培に使用される化学肥料にあることを発見。その対応策として有機肥料「バイオ・リン」を開
発、さらには農家への普及活動を行ってきた実績が評価されたことによるものでした。
- 112 -
第2節
1
普及啓発活動の推進
環境月間関連行事の実施
1972年にストックホルムで開催された国連人間環境会議において、日本代表は、会議の開催を
記念して、毎年6月5日からの1週間を「世界環境週間」とすることを提唱しました。国連では
これを受けて、毎年6月5日を「世界環境デー」と定め、世界各国では、この日に環境保全の重
要性を認識し、行動の契機とするための諸行事を行ってきています。
我が国では、環境庁の主唱により、平成3年度から6月の一ヶ月間を「環境月間」(昭和48年
度∼平成2年度までは、6月5日を初日とする「環境週間」)とし、全国で様々な行事が行われ
ています。
そのような趣旨を踏まえ、本県においても、県民、企業、民間団体、行政の参加と協力の下に、
持続可能な社会の構築に向けた県民一人ひとりの意識高揚と実践を促進するとともに、環境保全
活動のすそ野を拡げていくため、環境保全活動の普及、啓発に関する各種行事等を実施していま
す。
表11−2−1
県主催の主な行事
行 事 名
1 街頭キャンペーン
内 容
街頭でのリーフレットや苗木を配布 、低公害車の
展示
2 環境月間記念講演会
県民の環境保全意識の高揚を図るための環境問題に
関する講演会の開催
3 ちゅら島環境クリー 県及び警察本部が連携した不法投棄事犯の積極的な
ン作戦
捜査
4 水生生物調査
水質浄化への関心を高めるための小学生を対象にし
た河川の水生生物調査
5 赤土等流出防止対策 赤土等流出防止対策の技術及び意識の向上を図るた
講習会
めの施工業者対象の講習会
6 環境パネル展
環境問題に関するパネルや環境配慮型製品等の展示
実施日及び場所
6/3
パレットくもじ前広場
6/3
パレット市民劇場
6/1∼30
島内一円
6 / 3 、 6/18汀 間 川 、
雄樋川、満名川
6/15
北部合同庁舎(名護市)
6/21∼25
県庁1階県民ホール
7 施設見学
児童生徒による公害防止関連施設の施設見学
6/1∼30
下水処理場、し尿処理場等
8 公害防止自主点検運動 企業自ら環境保全対策について総点検を実施するよ 6/1∼30
う文書で依頼
県内事業場
2
おきなわアジェンダ21県民環境フェアーの開催
県民一人一人が、自らのライフスタイルを見直し、環境保全に向けて主体的に取り組む契機と
するため、子どもから大人まで、県民が楽しく参加・体験できるイベントとして、平成16年10月
2日(土)、3日(日)の両日、沖縄県立武道館アリーナ棟において「おきなわアジェンダ21県民
環境フェアー」を開催し、2日間で2,500名の来場者がありました。
- 113 -
表11−2−2
実施内容
実施イベント
ア
環境展示会
概要
企業によるリサイクル製品等の展示、県内小中高生による環境
学習成果の展示、環境NPOの活動紹介
イ
アトラクション
ウ
体験型の環境保全に関す リサイクル体験教室、ガーデニング菜園教室、自然体験教室、
る催し
エ
オ
「泉&やよい・さんさんず」による環境トーク及びコント
エコクッキング、おもちゃの病院等
第11回おきなわ環境交流 県内の小・中・高等学校6校の児童・生徒、PTAによる環境
集会
学習に関する活動発表
ミニ環境フェアー
モノレール県庁前駅構内への温暖化防止啓発パネルの展示、エ
コロジー漫画家「つやまあきひこ」さんの原画展の開催
カ
3
フリーマーケット
フリーマーケットの開催
おきなわ環境交流集会の開催
県民、事業者、行政等の様々な人が参加し、環境についての意見交換や講演会等を通して交流
を図ることを目的とし、平成6年度から毎年開催しています。
平成16年度は、10月2日(土)に沖縄県立武道館において、「県内の学校による環境学習プレ
ゼンテーション」と題して、実際に環境教育・環境学習に取り組んでいる県内の小・中・高等学
校6校の児童・生徒、PTAによる環境学習に関する活動発表を行いました。
4
沖縄県環境保全基金事業
沖縄県環境保全基金は、地域住民等に対し、地域の環境保全に関する知識の普及や地域環境保
全活動の支援等を継続的かつ着実に推進することを目的として、平成2年に4億円の資金により
設置されました。
現在は、同基金の運用益を活用して地域環境センターの運営及び環境教育モデル校の指定事業
を行っております。
5
地域環境センターの運営
地域環境センターは、沖縄県における環境保全活動の拠点として、環境情報や教材の収集、整
理及び提供を行うとともに、住民、企業の相談に応じ、また、地域団体等へ働きかけ環境保全活
動を促進することを目的として、平成2年3月に設立されました。
同センターでは、①環境に関する図書、資料、ビデオ等の閲覧、貸出、②本県の環境状況に関
する各種問い合わせ、相談等への対応、③勉強会や総合学習に対するサポートなど環境に関する
様々な業務を行っております。
平成16年度の利用者数は約700名となっております。
- 114 -
6
省資源・省エネルギー講座の開催
本県では、資源・エネルギーの節約に配慮した生活の定着を図るため、民生部門における省資
源・省エネルギーを促進しており、国、市町村等と協力して、夏・冬の省資源・省エネ講座の開
催や、ポスターやパンフレットを通した広報啓発活動等を実施しました。
表11−2−3
開催月日
実施状況
夏
冬
平成16年8月14日
平成17年2月6日
平成16年8月15日
開催場所
県立糸満青年の家 (14日)
平良市中央公民館
豊見城市中央公民館(15日)
テ ー マ
内
容
「夏休み親子エコクッキング」
NPO団体アースの会から講師
「家庭で出来る生ゴミ処理」
NPO団体アースの会から講師を
を招き、小学校4年生以上の親子 招き、生ゴミ減量講座を平良市で開
を対象に、エコクッキング教室を 催。宮古島での開催は初めて。
糸満・豊見城の2カ所で開催。
成
果
夏休み期間中の児童・生徒とそ
前半はゴミの現状について説明
の保護者を対象に、料理実習を交 し、余計なものを買ったり、食べ残
えた講演会を実施し、旬の素材を しをしない「生ゴミを出さない生活」
使い、生ゴミをできるだけ出さず の重要性を呼びかけた。後半は生ゴ
に、少ないエネルギーで料理が出 ミを肥料に変える「段ボールで出来
来ることを学んでもらった。
参加者数
14日
糸満
(大人9名
15日
子ども23名)
豊見城
(大人9名
31人
19名
子ども10名)
- 115 -
る生ゴミ処理法」について説明した。
一般
23人
第12章
第12章 地球環境の保全
地球環境の保全
第1節
1
地球温暖化対策の推進
地球温暖化問題の概要
図12-1-1
地球温暖化のイメージ
地球の表面は、太陽からの日射エネルギ
ーによって暖められています。暖められた
地表から放出される熱(赤外線)の一部は、
宇宙へと出ていき、残りは、大気中にある
二酸化炭素やメタンガスなどの「温室効果
ガス」に吸収され、その熱が再び地表を暖
めます。この「温室効果ガス」の働きで地
球の温度は、ここ数千年は平均15℃に保た
れていました。
ところが、18世紀後半の産業革命以降、大量の石油や石炭などの化石燃料が使われるようにな
り、大気中の温室効果ガスの濃度は急激に増加すると、地球上における熱の放射バランスが崩れ、
地球全体の気温が少しずつ上昇していきます。この気温上昇が気候変動を引き起こし、海面上昇
や生態系の変化、農作物への影響など、様々な影響が及ぶものと懸念されています。これが「地
球温暖化問題」です。
地球規模では、20世紀の間に平均
図12-1-2
沖縄地方における年平均気温の推移
表面温度は、0.6±0.2℃上昇し、我
が国では、気象庁の資料によると、
過去100年間で気温が約0.9℃上昇し
たといわれています。
一方、本県においても、図12−1−
2で示すように、1928(昭和3)年以降
の年平均気温が、短期的な変動はあ
るものの右肩上がりの上昇傾向を示
しており、70年間で約1℃上昇して
おります。
2
本県の現状と課題
本県における2000年度の温室効果ガス総排出量は、12,840 千t-CO2 で、1990年度の排出量9,768
千t-CO2 に比べると約31.4%増加しています(この間の全国の伸びは約8%程度)。
- 116 -
また、2002年度(平成14年度実績)の温室効果ガス排出量について、事業者へのアンケート調
査を交えて推計を行った結果、その値は13,423 千t-CO2 で、沖縄県地球温暖化対策地域推進計画
の基準年である2000年度と比較して4.5%増加しています。
この要因としては自動車保有台数や電気使用量等のエネルギー消費の増加が挙げられ、自動車
及び家庭や事務所での省エネ対策の推進が必要となっています。
3
沖縄県の温室効果ガス削減対策
(1)沖縄県地球温暖化対策地域推進計画の策定
地球規模の環境問題であっても、その原因や解決策は私たち一人ひとりの生活に直結したも
のであり、それぞれの立場に応じて、あらゆる活動を環境の視点から見直すことが重要であり、
国における施策の推進はもとより、地方における取り組みの拡充・推進が求められています。
このようなことから、地球温暖化防止に関し、地域全体として取り組むことの重要性に鑑み、
地球温暖化対策の推進に関する法律第4条に定められた地方公共団体の責務に基づき、地域に
おける地球温暖化防止施策を総合的・計画的に進めるために平成15年8月に「沖縄県地球温暖
化対策地域推進計画」を策定しました。
沖縄県の温室効果ガス削減目標
温室効果ガス総排出量を2010年度までに2000年度レベルから8%削減します。
(2)普及啓発体制の整備
ア
おきなわアジェンダ21県民会議(平成14年8月設置:128団体加盟)
事業者団体、市民団体、学識経験者、行政等のあらゆる主体の参加・協力のもとに、平成
14年8月、「おきなわアジェンダ21県民会議」が設立され、県民環境フェアーや研修会な
ど様々な普及啓発事業等を実施しています。
イ
沖縄県地球温暖化防止活動推進センターの設置・指定(平成15年11月)
地球温暖化防止活動推進センターは、地球温暖化対策推進法第24条に基づき、各都道府県
に1か所、知事により指定される機関で、主な業務は、地球温暖化防止に関する「啓発・広
報」、「人材育成・活動支援」、「相談」、「調査・研究」、「情報提供」などであり、本県では、平
成15年11月に(財)沖縄県公衆衛生協会を「沖縄県地球温暖化防止活動推進センター」として
指定(全国19番目)しました。
同センターでは、環境月間や地球温暖化防止月間における普及啓発活動、地球温暖化防止
活動推進員養成研修の実施などを県等と連携して行っています。
ウ
沖縄県地球温暖化防止活動推進員の設置(35名、平成17年3月末現在)
地域の学習会や講演会などを通して、県民が身近なところから温暖化防止活動に取り組め
るよう、アドバイスや支援を行うボランティアとして、
「沖縄県地球温暖化防止活動推進員」
35名を、京都議定書が発効した平成17年2月16日に設置しました。
- 117 -
エ
普及啓発資材の作成
県民等に温暖化の現状と防止対策の周知を図るため、温暖化防止に関する小冊子(環境家
計簿等3種)、啓発パネル等を作成し、地球温暖化防止活動推進員や関係機関への配布、貸
し出し等を行い、温暖化防止活動の普及促進を図っています。
(3)普及啓発事業の実施
ア
「地球温暖化防止普及啓発事業」の実施(平成15∼16年度:計17,060千円)
・マスコミを活用した広報(テレビ・ラジオCM、新聞広告等)
・街頭キャンペーン及びパネル展
・特別講演会の開催【平成15年度:北野大氏(淑徳大学教授)、平成16年度:幸田シャーミン氏(ジャーナリスト)】
イ
各種月間行事等における普及啓発
・環境月間(毎年6月)【平成16年度:街頭キャンペーン、特別講演、パネル展等】
・県民環境フェアの開催(平成14、16年度)【温暖化啓発コーナー設置等】
・地球温暖化防止月間(毎年12月)【街頭キャンペーン、特別講演、パネル展等】
(4)「バイオマスエタノール導入普及検討業務」の実施(平成15∼16年度、計18,106千円)
本県の二酸化炭素排出量は、交通体系の特性を反映し、運輸部門が最も高く、中でも自動車
からの排出量が運輸部門の6割以上を占めることから、自動車利用に伴う二酸化炭素排出削減
の取り組みが求められています。
そこで、自動車の温室効果ガス削減対策として、県内の製糖工場から排出される廃糖密(サ
トウキビを搾り、砂糖の結晶を分離した残液(糖蜜)を原料とする「バイオエタノール3%混
イースリー
合ガソリン(E3)」の先行導入と普及に向けた取り組みを行うため、平成15∼16年度事業とし
て、「バイオマスエタノール利用及び普及検討委員会」を設置し、本県でのE3導入における
課題の抽出・検討を行いました。その結果、E3の導入により県全体で0.4%の温室効果ガス
(CO2)削減を見込むことができ、地球温暖化防止対策として十分有効と考えられています。
さらに環境省では、地球温暖化対策技術開発事業の一環として、宮古島をモデル地区として、
平成16年度から「沖縄産糖蜜からの燃料用エタノール生産プロセス開発及びE3等実証試験」
を実施しています。
◆キーワード
∼バイオエタノール∼
サトウキビやトウモロコシなどの植物(バイオ素材)から製造したエタノールのことです。
燃焼して発生する二酸化炭素は、原料であるサトウキビ等が成長する過程で大気から吸収した
ものであるため、石油等の化石燃料とは異なり、総体として大気中の二酸化炭素を増加させな
いため、二酸化炭素の削減効果があるとされています。
- 118 -
第2節
1
みんなでつくる清ら島−おきなわアジェンダ21−の推進
計画策定の背景
地球温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨などの地球環境問題が、21世紀の人類に課せられた極め
て重要な課題の一つとなっているなか、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで「環境と開
発に関する国連環境会議(地球サミット)」が開催され、将来に向けて地球の環境保全に関する
具体的な行動計画として「アジェンダ21」が合意されました。
それを受けて国においては1993年に「アジェンダ21行動計画」を策定しており、本県におい
ても地球環境問題に対し、県民・事業者・行政等がともに協力しつつ、それぞれの役割と責任に
おいて主体的に足元から取り組みを進めていくための具体的な行動計画として、「みんなでつく
る清ら島― おきなわアジェンダ21 ―」を平成13年5月に策定しました。
2
計画の目標
9つの地球環境保全のための全体目標と温室効果ガス排出の削減目標を定めており、目標達成
に向け、地球環境保全のための基本方向や各主体(県民・事業者・行政)の行動と役割を定める
とともに、①環境と共生し発展する地域の創造、②環境保全に配慮した地域社会システムの創造、
③環境保全に配慮した生活様式への変革、④地球環境保全に関する国際貢献の実践の4つのテー
マを掲げ、テーマ毎の具体的行動メニューを示しています。
3
推進体制
本行動計画を全県的に推進するための母体として、事業者団体、市民団体、学識経験者、行政
等のあらゆる主体の参加・協力のもとに、平成14年8月、「おきなわアジェンダ21県民会議」
が設立されました。
「おきなわアジェンダ21県民会議」では、県民、事業者、行政のパートナーシップに基づき、
地球温暖化問題をはじめとする地球環境問題に対し、足元から取り組みを促進するため、6月の
環境月間、12月の地球温暖化防止月間における講演会や各種キャンペーンの実施、県民環境フェ
アーの開催などの普及啓発活動に取り組んでいます。
- 119 -
第3節
オゾン層保護対策の推進
オゾン層の保護と地球温暖化の防止のため、その原因物質であるフロン類の大気中への排出の抑
制を目的として、「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン
回収破壊法)」が平成13年6月に制定されています。
フロン回収破壊法では、フロン類(CFC、HCFC、HFC)が冷媒として充填されている第一種特定製
品(業務用の冷凍・冷蔵・空調機器)、第二種特定製品(カーエアコン付き使用済自動車)につい
て、当該製品が廃棄される際のフロン類の回収等を義務づけており、平成13年12月以降段階的に施
行され、平成14年10月1日から全面施行されています。
なお、第二種特定製品については、平成17年1月1日から本格施行された「使用済自動車の再資
源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」に移行され、自動車リサイクル法により回収が義務
付けられています。
特定製品からフロン類の回収等を行う事業者は、都道府県知事等の登録が必要となり、沖縄県に
おいては、第一種フロン類回収業者登録数が248(平成17年3月31日現在)、第二種フロン類回収
業者登録数が347(平成16年12月31日現在)となっています。
フロン回収破壊法に基づく登録業者からの報告を基に取りまとめたフロン類の回収状況は次のと
おりです。
表12−3−1
第一種特定製品に係るフロン類の回収量(平成16年度)
CFC
HCFC
HFC
合計
(R-12ほか) (R-22ほか) (R-134aほか)
特定製品台数(台)
2,810
6,838
510
10,158
2,175.7
19,250.6
1,396.2
22,822.5
201.8
702.6
21.3
925.7
1,318.6
18,188.8
1,172.7
20,680.1
再利用量(kg)
907.0
1,213.1
186.3
2,306.4
16年度末の保管量(kg)
151.9
551.3
58.4
761.6
回収量(kg)
16年度当初保管量(kg)
破壊業者に引き渡した量(kg)
表12−3−2
第二種特定製品に係るフロン類の回収量(平成16年度)
CFC
HFC
(R-12ほか) (R-134aほか)
合計
特定製品台数(台)
回収量(kg)
16年度当初保管量(kg)
破壊業者に引き渡した量(kg)
11,304
3,350.5
1,419.4
2,357.8
5,816
1,958.7
881.8
1,420.3
17,120
5,309
2,301
3,778
再利用量(kg)
16年度末の保管量(kg)
1,471.3
940.8
674.5
745.7
2,146
1,687
※平成17年1月1日以降に業者に引き渡した使用済自動車のフロン類については、
別途自動車リサイクル法により集計されています。
- 120 -
表12−3−3
自動車リサイクル法に基づくフロン類の回収量(平成16年度※)
5,475
フロン類回収業者へ引き渡された使用済自動車台数(台)
CFC
フロン類の種類
HFC
合計
回収量
(kg)
1,037.8
825.9
1,863.7
再生利用量
(kg)
33.0
11.8
44.8
引渡量
(kg)
329.7
249.8
579.5
保管量
(kg)
675.1
564.3
1,239.4
※自動車リサイクル法の施行が平成17年1月からのため、平成17年1月から3月までの実績
となっています。
- 121 -
第4節
1
新エネルギーの導入推進
新エネルギー導入のメリット
新エネルギーはいずれも環境負荷が少ないクリーンなエネルギーであることから、地球温暖化
の原因となるCO2の排出を抑え、またエネルギー自給率の低い我が国のエネルギー供給構造の
多様化に貢献します。
特に、太陽光発電等については電力需要の最も多い昼間に多く発電することで、電力の負荷平
準化に寄与し、廃棄物発電等についてはリサイクルエネルギーとして、これまで廃棄していたエ
ネルギーをリサイクルして活用する等のメリットがあります。
2
沖縄県新エネルギービジョンの策定
本県では、平成12年度に「沖縄県新エネルギービジョン」を策定し、環境保全と産業振興との
バランスの上に、美しい自然と豊かな暮らしを両立させていくため、地域における新エネルギー
の導入を促進しています。
同ビジョンでは、平成23年度までに太陽光発電5万3千kW、風力発電8万KWの導入目標を設定
しており、その達成率は、平成16年度末現在、前者が約7.69%(4,077KW)、後者が15.35%
(3,835KW)となっています。
3
具体的な取り組み
(1)市町村の地域新エネルギービジョン策定
市町村においても、新エネルギーの導入や地域住民への普及啓発を図るために必要となる「地
域新エネルギービジョン」の策定に取り組んでおり、県はビジョン策定委員として参画してい
ます。平成16年度末時点では、県内28市町村が同ビジョンを策定しています。
(2)県有施設等への新エネルギーの導入
平成9年度に、県立那覇国際高校へ太陽光発電(50KW)を1件導入済みであり、平成18年度
には、県立博物館・美術館へ太陽光発電(10KW)を導入予定です。
(3)新エネルギー導入に係る実証試験等
これまでに全国で国等による実証試験が実施されていますが、今年度から県内においても、
太陽光発電及びバイオマスエネルギー導入に係る技術的課題等について、実証試験事業等が取
り組まれており、その内訳は太陽光発電3件、バイオマスエネルギー3件となっています。
ア
太陽光発電関係
(ア)平成17年度から、県企画部においては、小規模電力系統の中に自然エネルギーを導入する
際に起こる特有の課題を解決するため、太陽光を用いた発電システムの調査に取り組むこと
としています。
(イ)平成15年度より、那覇市において(財)新エネルギー財団(NEF)の補助金を受けて住宅用太陽
- 122 -
光発電設備を導入する那覇市民に対し、1KW当たり2万円を助成しています。
(平成15年度実績;12件、平成16年度実績;10件、平成17年度見込み;10件)
(ウ)平成12年度から、(財)南西地域産業活性化センター内に設置された「沖縄グリーン電力
基金運営委員会」において、公共施設等への太陽光発電等設備開発に対する助成金決定・交
付を行っています。
※基金規模;平成16年度300万円、平成17年度400万円
※基金への加入件数;136件、基金への加入口数;170口(一口500円)
イ
バイオマス関係
(ア)伊江村
平成17年度から、国の1府3省(内閣府、環境省、農林水産省、経済産業省)の共同事業
の実施委託を受けた伊江村、アサヒビール、九州沖縄農業研究センター等が主体となり、島
内サトウキビを使ったバイオエタノール製造、公用車による実証試験を行う計画が公表され
ています。
(イ)宮古島全域
平成16年度から、環境省の委託を受け、(株)りゅうせきが「沖縄産糖蜜からの燃料用エ
タノール生産プロセス開発及びE3等実証試験」を宮古島で行っています。
平成17年度に、公用車を対象に外部調達のエタノールを使用したE3燃料の実車走行試験、
並行して島内にエタノールプラントを建設し、平成18年度には島内で製造されたエタノール
での実証に移り、普及に向けた取り組みを行う予定としています。
(ウ)沖縄県全域
平成17年度より、県企画部において、島嶼県におけるバイオマス資源の高付加価値利用の
推進に向けて、バイオマスエネルギー利用可能性調査、及びバイオマスエネルギー利用モデ
ル技術調査を行うこととしています。
◆キーワード
∼新エネルギー∼
技術的に実用段階に達しつつあるが、経済性の面での制約から普及が十分でないもので、石
油代替エネルギーの導入を図るために特に必要なものと定義されています。
そのため、実用化段階に達した水力発電や地熱発電、研究開発段階にある波力発電や海洋温
度差発電は、自然エネルギーでありながらも新エネルギーには指定されていません。
具体的には、エネルギー源の性質により以下3つに分類されます。
(ア)自然エネルギー(太陽光発電、風力発電等)
(イ)リサイクルエネルギー(廃棄物発電、バイオマスエネルギー、温度差発電等)
(ウ)従来型エネルギーの新利用形態(燃料電池、コージェネレーション、クリーンエネルギー自動車等)
- 123 -
第13章
第13章 共通的・基盤的施策の推進
共通的・基盤的施策の推進
第1節
沖縄県環境保全率先実行計画の推進
今日、私たちを取り巻く環境は、都市化の進展や生活様式の変化に伴う都市・生活型公害の顕
在化とともに、地球温暖化やオゾン層破壊など、地球規模での環境問題も深刻なものとなってい
ます。
これらの複雑多様化した問題解決のため、県も一事業者、一消費者として県の全機関があらゆ
る事務事業において環境へ配慮した行動を率先して実行するため、平成11年6月に「沖縄県環境
保全率先実行計画」を策定し、エコオフィス活動の推進に取り組んでいます。
1
平成16年度取り組み状況調査結果
(1)エネルギー等使用量調査結果について
①庁舎管理等に伴うエネルギーの使用量については、上水及び電気を除いてすべて前年度より
増加しており、現時点で目標値を下回っているのは上水及び灯油のみとなっています。
②公用車等に関する燃料使用量については、前年度と比較して軽油では若干減少しているもの
の、ガソリン、軽油いずれも削減目標値を大幅に上回っています。
②公用車等に関する燃料使用量については、前年度と比較して軽油では若干減少しているもの
の、ガソリン、軽油いずれも削減目標値を大幅に上回っています。
③コピー用紙使用量は、前年度と比べると減少していますが、目標値を達成するには至ってい
ません。
表13−1−1
年度等
H13
H14
エネルギー等使用量実績
H15
H16
増減率
増減率
目標値※
(前年度比)
(基準年度比)
(基準年度比)
項目
(基準年度)
上水(m3)
1,919,899 1,818,907 1,893,495 1,792,164
-5.4%
-6.7%
-3%
電気(kWh)
164,974,914 160,882,969 166,833,144 164,984,373
-1.1%
0.0%
-3%
料庁
使舎
用管
理
等
の
燃
6,639,109 7,615,610 7,712,669 7,969,316
3.3%
20.0%
-13.4%
公
用
車
等
重油(L)
灯油(L)
124,559
118,497
106,707
107,834
1.1%
都市ガス(m3)
895,932
926,278
955,684
959,344
0.4%
LPガス(m3)
117,948
100,654
110,532
115,453
4.5%
-2.1%
ガソリン(L) 1,935,486 2,118,129 2,170,050 2,199,642
1.4%
13.6%
-5%
軽油(L)
コピー用紙使用量(A4
換算、単位:千枚)
-5%
7.1% (CO2換算)
823,153
813,481
969,859
954,622
-1.6%
16.0%
-5%
162,048
156,663
162,701
160,631
-1.3%
-0.9%
-5%
※目標値は、平成18年度における基準年度値(H13)からの削減率
- 124 -
(2)温室効果ガスの排出量について
ア
平成16年度の温室効果ガス排出量は、前年度に比べ0.2%減少しています(基準年度であ
る平成13年度からは4.1%の増加)。
イ
前年度と比較して温室効果ガス排出量が減少した主な原因は、昼休み時間の消灯、クーラ
ーの稼働期間の徹底など節電対策の成果によるものです。しかしながら、基準年度と比較し
ては、依然として増加していることから、ソフト面の対策に加え、ESCO事業の導入等ハード
面での対策の強化が必要です。
表13−1−2
年度
項目
CO 2 ( 二 酸 化 炭 素 )
温室効果ガス排出量(CO2 換算)
増減率
H13
H14
H15
H16
90,811
92,220
95,391
95,443
0.1%
CH 4 ( メ タ ン )
2,225
2,144
1,975
2,066
4.6%
N 2 O( 一 酸 化 二 窒 素 )
2,239
2,065
2,076
1,715
-17.4%
HFC( ハイドロフルオロカーボン)
90
59
53
44
-17.6%
95,365
96,488
99,495
99,268
-0.2%
CO 2 換 算 合 計
(対前年度比)
(3)廃棄物発生量(本庁舎)について
平成16年度は、廃棄物発生量が前年度に比べ約18%増加しました。
その理由としては、本庁舎内各課(室)において事務整理が増加したこと等が考えられます。
表13−1−3
年度
合計(t)
H13
H14
H15
H16
595
-41.3%
721
-28.8%
850
-16.1%
1,013
-
増減率(基準年度比)
廃棄物発生量の推移
H18目標値
962
-5.0%
(4)リサイクル率について
リサイクル率は、前年度に比べ1ポイント減少しました。
表13−1−4
年度
リサイクル率
H13
リサイクル率の推移
H14
23%
H15
34%
H16
35%
H18目標値
34%
25%
※リサイクル率=(カン+ビン+古紙+ペットボトル)/全発生量(粗大ごみ等を除く)
- 125 -
(5)グリーン購入について
平成13年度のグリーン購入法の全面施行を受けて、県でもグリーン購入に取り組んでいる
ところであり、平成14年3月に「沖縄県グリーン購入調達方針」を策 定 し 、平 成14年度か
ら実績把握を行っています。
平成16年度の環境配慮型製品の購入率は、作業用手袋及びその他繊維製品で前年度と比べ
て比率の大幅な低下が見られましたが、それ以外の品目ではおおむね上昇しており、県庁内
においてグリーン購入が進展していることがうかがえます。
表13−1−5
分 野
県庁におけるグリーン購入状況
品 目 名
情報用紙(コピー用紙等)
1 紙類
印刷用紙
衛生用紙(トイレットペーパー、ティッシュペーパー等)
2 納入印刷物 納入印刷物の仕様
環境配慮型
単 購入数量 内・エコ商 環境配慮型
調達
製品購入率 製品購入率
位
等
品
目標
(H16)
(H15)
〆
〆
267,993 246,042
66,690
56,871
個
426,462 358,395
件
3,696
3,294
個、 2,432,257 2,213,211
91.8%
85.3%
84.0%
89.1%
91.0%
96.8% 100%
74.1% 〃
91.6% 〃
84.0% 100%
74.3% 100%
3 文具類
シャープペンシル、ボールペ
ン、粘着テープ、事務用封筒、
本等
ファイル等
4 機器類
いす、机、棚、掲示板、黒板等
脚等
7,990
5,541
69.3%
58.2% 100%
5 OA機器
コピー機、パソコン、ファクシ 台等
ミリ等
6,180
5,635
91.2%
92.7% 100%
6 家電製品
冷蔵庫、冷凍庫、エアコン、テ
レビ等
台
340
201
59.1%
56.6% 100%
蛍光灯照明器具
台
38,291
23,184
60.5%
28.5% 100%
蛍光管
本
自動車
台
66
54
81.8%
48.0% 100%
9 制服・作業 制服
服
作業服
着
枚
1,987
3,127
775
1,736
2,264
508
87.4%
72.4%
65.5%
1.9% 100%
59.0% 〃
73.8% 100%
双
172,052
3,548
2.1%
61.6% 100%
枚
67
25
37.3%
71.3% 100%
7 照明
8 自動車
10 インテリア・寝
装
カーテン、カーペット(織じゅ
うたん、ニードルパンチカー
ペット)、毛布
11 作業用手袋 作業手袋
12 その他繊維 集会用テント、ブルーシート、
防球ネット
製品
着
- 126 -
第2節
1
沖縄県環境マネジメントシステムの推進
認証取得の背景
県が率先して、組織が環境に与える影響を管理する環境マネジメントシステムの国際規格ISO1
4001を認証取得することは、県の事務事業に伴う環境負荷の低減や、県内各事業所への普及啓発
に大きく貢献することが期待されることから、平成17年2月25日にISO14001を認証取得しました。
2
認証取得の意義
自治体がISO14001を認証取得することについては、以下のような意義があると考えられます。
(1)職員の環境保全に対する意識の向上
(2)エネルギーの使用量削減等による環境負荷の低減とコストの削減
(3)第三者機関の審査による行政の透明性の確保
(4)他自治体、企業、県民への啓発
3
沖縄県環境マネジメントシステムの概要
(1)対象範囲:本庁行政棟
(2)対象人数:約2,700人
(3)特
色
以下のア∼エの分類に基づき、環境に負荷を与える事業及び環境に良い影響を与える事業を
選定し、それを重点管理事業(44事業)として、それぞれ目的、目標及び目的達成手段を設定
し実施するとともに継続的な改善を図り、県の環境関連の事務事業を効率的に進行管理してい
ます。
ア
オフィス活動(2事業)
イ
公共事業(3事業)
ウ
一般事務事業(2事業)
エ
有益な事業(37事業)
- 127 -
第3節
1
環境影響評価制度の推進
環境影響評価制度の概要
各種の開発事業等の実施が環境に及ぼす様々な影響について事前に十分に検討し、その結果を
事業等の内容に反映させることは、自然環境の保全や公害の未然防止を図るうえで重要です。
環境影響評価とは、このような検討のために、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある一定規
模以上の事業の実施に当たり、あらかじめ事業者自らが環境に及ぼす影響について、調査、予測
及び評価を行うとともに、これらを行う過程において環境保全措置を検討し、環境影響を総合的
に評価することをいいます。
環境影響評価法及び沖縄県環境影響評価条例では、環境影響評価を進めていく手続きが定めら
れており、主な手続きとしては、まず、どのように環境影響評価を行うかの項目や手法を決める
「方法書」の手続き、環境影響評価の結果について住民や自治体などから意見を聴くための準備
としての「準備書」の手続き、そして環境影響評価の結果をとりまとめた「評価書」の手続きが
あります。方法書と準備書の内容については、環境の保全の見地から意見を有する人は誰でも意
見を提出することができます。
また、条例では、事業者が実施した工事中・供用後の環境調査の結果に応じて、知事が事業者
に必要な措置を求める「事後調査」の手続きを定めています。
図13−3−1
第2種事業の判定※1
方
法
※1
書
環境影響評価の手続きの概要
法に規定する第2種事業について、環境影響評価を実施す
るかどうかの判定を行う手続きで、条例にはこの手続きを
定めていません。
住民意見
知事意見
市町村長意見
(調査等の実施)
準
備
書
住民意見
知事意見
評
価
市町村長意見
書
許認可権者等の意見※2
評価書の補正
事 後 調 査
※2
※3
環境大臣の意見※3
条例の手続きにおいては、知事が事業者に意見を述べます。
法の手続きにおいて、許認可権者等が国の機関であるとき、
環境大臣が許認可権者等に意見を述べます。
措置の求め(知事)
- 128 -
2
環境影響評価制度の経緯
環境影響評価の制度については、昭和59年に「環境影響評価の実施について」が閣議決定され、
この決定等に基づいて、国等が関与する大規模な事業について環境影響評価の手続きが行われて
いましたが、平成9年6月に「環境影響評価法」が公布され(平成11年6月全面施行)、法律に
よる制度として確立されました。
本県においては平成4年9月に「沖縄県環境影響評価規程」を告示し、同規程に基づいて環境
影響評価の手続きが行われていましたが、さらに充実・強化を図るため、平成12年12月に「沖縄
県環境影響評価条例」を公布し、平成13年11月1日に全面施行しています。条例においては、本
県が、亜熱帯海洋性気候のもと、他の都道府県とは異なる固有の自然環境を有していることや島
しょ県であるため環境容量が小さいことなどを考慮して、対象となる事業の種類や規模を見直し、
規程よりもその範囲を拡大しています。また、自然公園地域等を特別配慮地域として定め、より
小さい事業規模から環境影響評価の対象としています。
なお、環境影響評価法や条例以外にも、公有水面埋立法や港湾法等に基づいて環境影響の評価
が行われています。
3
環境影響評価手続きの実施状況
本県において、これまで環境影響評価の手続きが行われた事業件数は、平成17年3月末現在で、
閣議決定に基づく環境影響評価が7件、環境影響評価法に基づくものが6件(うち4件は手続き
中)、沖縄県環境影響評価規程に基づくものが21件、沖縄県環境影響評価条例に基づくものが12
件(うち7件は手続き中)、自主的に実施したものが4件(うち1件は手続き中)、合計50件と
なっています。また、発電所については、環境影響評価法施行以前は電源の立地に関する通産省
通達に基づいて、3件の環境影響評価が行われています。
平成16年度は、新石垣空港整備事業(準備書)、普天間飛行場代替施設建設事業(方法書)、
伊良部大橋橋梁整備事業(評価書)、米軍泡瀬ゴルフ場移設事業(評価書)、八重山リゾート開
発計画(準備書)及びホワイトビーチ地区艦船し尿処理施設建設事業(準備書)の6事業につい
て環境影響評価図書の審査を行い、知事意見を提出しました。
また、中部北環境施設組合ごみ処理施設建設事業、那覇市・南風原町ごみ処理施設整備事業、
大宜味村地先(塩屋湾外界)公有水面埋立事業及び与那国空港拡張整備事業の4事業の事後調査
報告書について審査を行いました。
- 129 -
第4節
1
公害防止体制の整備
公害苦情の状況
平成16年度に県及び市町村で取り扱った公害苦情件数は1,125件と昨年度に比べて104件増加し
ており、近年の都市化の進展や住民の環境問題への意識の高まりに伴い、苦情件数は増加傾向に
あります。
これを種類別にみると、典型7公害が629件(全苦情の55.9%)、典型7公害の苦情が496件(同
44.1%)となっています。典型7公害の中では、悪臭、大気汚染、騒音、水質汚濁の4公害が大
部分を占めており、典型7公害以外では、廃棄物投棄、害虫等の発生、動物の死骸放置等に関す
る苦情が主となっております。
次いで、発生源別にみると、個人が404件(全苦情の35.9%)と最も多く、以下、建設業127件
(同11.3%)、 サービス業56件(同5.0%)、製造業42件(同3.7%)の順となっています。
またこれを発生原因別にみると、野焼き297件(全苦情の26.4%)、廃棄物投棄199件(同17.7
%)、自然系104件(同9.2%)、工事・建設作業66件(同5.9%)の順となっています。
表13−4−1
平 成 12年 度
公害苦情件数の推移
平 成 13年 度
平 成 14年 度
平 成 15年 度
平 成 16年 度
典 型 7 公 害
369 (62.3)
489 (65.0)
538 (60.9)
580
(56.8)
629 (55.9)
大
気
汚
染
112 (18.9)
143 (19.0)
190 (21.5)
193
(18.9)
231 (20.5)
水
質
汚
濁
32 ( 5.4)
51 ( 6.8)
37 ( 4.2)
58
( 5.7)
62 ( 5.5)
騒
音
64 (10.8)
62 ( 8.2)
89 (10.1)
73
( 7.1)
75 ( 6.7)
振
動
2 ( 0.3)
4 ( 0.5)
3 ( 0.3)
2
( 0.2)
4 ( 0.4)
悪
臭
158 (26.7)
227 (30.2)
214 (24.2)
252
(24.7)
256 (22.8)
地
盤
沈
下
0 (
土
壌
汚
染
1 ( 0.2)
典型7公害以外
廃 棄 物 投 棄
そ
合
の
0)
0 (
0)
0)
0
(
2 ( 0.3)
5 ( 0.6)
2
( 0.2)
1 ( 0.1)
223 (37.7)
263 (35.0)
346 (39.1)
441
(43.2)
496 (44.1)
79 (13.3)
95 (12.6)
160 (18.1)
163
(16.0)
200 (17.8)
他
144 (24.3)
168 (22.3)
186 (21.0)
278
(27.2)
296 (26.3)
計
592 (100.0)
752 (100.0)
884(100.0) 1,021 (100.0) 1,125 (100.0)
- 130 -
0 (
0)
0 (
0)
2
公害苦情相談員の設置
公害苦情は、地域住民の生活に密着した問題であり、また公害紛争の芽であることから、その
迅速、適正な処理は生活環境の保全や公害紛争の未然防止に極めて重要です。
公害に係る苦情の処理については、公害紛争処理法により地方公共団体が行うことになってい
ることから、都道府県及び市町村(特別区を含む)は、公害苦情に係る住民の相談、苦情の処理
に必要な調査、指導及び助言を行わせる公害苦情相談員を置くことができるようになっています。
このことから県では、公害苦情相談員を設置し、市町村及び関係機関と連携協力をしながら公
害苦情の処理に努めています。
3
公害紛争の処理
公害紛争の迅速かつ適切な解決を図るため、昭和45年6月に公害紛争処理法が制定されました。
この法律に基づき、国では公害等調整委員会において、公害紛争に係るあっせん、調停、仲裁及
び裁定を行っています。また、各都道府県においては、公害審査会を設置し、あっせん、調停及
び仲裁の方法により、公害紛争の処理にあたることになっています。
本県では、昭和48年12月に沖縄県公害審査会を設置し、公害紛争事件の解決を図っており、こ
れまで6件の調停申請を受理しております。
図13−4−1
公害紛争処理制度等の仕組み
- 131 -
4
公害防止協定及び環境保全協定の締結
公害防止協定や環境保全協定は、法律や条例による一律の規制を補完し、事業の特性と地域の
実情に即したきめの細かい規則等を盛り込むことが可能な点で、地方公共団体及び地域住民にと
って、公害防止や環境保全対策の有効な一手段となっています。
沖縄県公害防止条例(昭和51年3月15日沖縄県条例第2号)においても、第7条で「事業者は、
公害防止に関する協定を締結するように努めなければならない」と規定されており、県ではこれ
まで6件の協定を締結しています。
表13−4−2
締結年月日
5
県、市町村及び企業が締結した環境保全協定の内容
企業名
業種
備考
昭和50年12月24日
南西石油株式会社
石油精製
平成14年4月1日改定
昭和52年3月10日
沖縄石油基地株式会社
石油基地
昭和52年6月4日
沖縄ターミナル株式会社
石油基地
昭和59年3月12日
電源開発株式会社
発電所
石川石炭火力発電所
平成4年11月30日
沖縄電力株式会社
発電所
具志川火力発電所
平成12年10月30日
沖縄電力株式会社
発電所
金武火力発電所
公害防止管理者等の設置
産業公害の未然防止に万全を期するためには、大気汚染防止法や水質汚濁防止法等による排出
規制とともに、工場等における公害防止体制を確立することが重要です。
このため、昭和46年に「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」が制定され、特
定工場における公害防止管理者等の選任が義務づけられました。
公害防止管理者及び公害防止主任管理者並びにこれらの代理者については、公害防止に係る業
務が専門的な知識や技術を要するため、国家試験及び資格認定講習による資格制度が設けられ、
その選任は有資格者の中から選任することになっています。
- 132 -
表13−4−3
公害防止管理者等選任届出状況
(平成17年12月末現在)
公害防止管理者等の数
届
出
工
場
の
業 種
数
建 設 業
食 料 品 製 造 業
飲料・たばこ・飼料製
造
業
木材・木製品製造業
( 家 具 を 除 く )
パルプ・紙・紙加工品
製
造
業
化
学
工
業
石油製品・石炭製品製
造
業
窯業・土石製品製造業
鉄
鋼
業
他に分類されないその
他 の 製 造 業
電気・ガス・熱供給・水道業
計
公
害
防
止
統
括
者
公
害
防
止
主
任
管
理
者
3
(3)
18 18 14
(18) (14)
1 1
(1)
3 3
1
(3) (1)
2 2
(2)
4 3
1
(3) (1)
4 2
2
(2) (2)
2 2
(2)
2 2
(2)
1 1
(1)
13 13 3
(13) (3)
53 50 21
(50) (21)
公 害 防 止 管 理 者
水質関係
大気関係
騒 粉 振 ダ
じ
第
第
第
第
第
第
第
第 音
1
2
3
4
1
2
3
4
種
種
種
種
種
種
種
種 係 係 係
1
(1)
11
(11)
4
(3)
7
(6)
1
(1)
3
関
関
11 6
(10) (5)
1
(1)
1
(1)
2
(2)
2
1
(2) (1)
1
2
2
(0) (2) (2)
2
(2)
2
(2)
1
1
(1) (1)
2
8
2
(2)
(8) (2)
2
3
29 17
(2) (2) (29) (15)
1
(1)
2
(2)
1
(0)
1
(1)
2
(2)
3
(3)
注:(
- 133 -
関
動
ん
イ
オ
キ
シ
ン
類
関
係
13 11
(12) (9)
1
(1)
1
(1)
1
(1)
)内の数字は、代理者の数である。
6
公害防止関連融資制度
産業公害の防止は重要な社会問題となっており、中小企業においても公害防止のために努力し
ているところですが、実際に公害防止対策を実施するにあたっては、資金調達力や適切な対応策
についての知識が乏しいため、国、県では中小企業の公害防止を金融面から推進するために次の
とおり各種の長期低利の資金融資を行っています。
(1)小規模企業者等設備貸与制度
この制度は、中小企業者の中でも特に零細な、小規模企業者(従業員数20人以下、商業、サ
ービス業にあっては5人以下)の経営基盤強化を促進するものであり、財団法人沖縄県産業振
興公社が小規模企業者に代わって機械類の購入を行い、これを小規模企業者に現物貸与する制
度であり、特に公害防止施設の設置については、優先的に貸与する制度です。
(2)中小企業高度化融資制度(共同公害防止等事業・公害防止設備リース事業)
この資金は、工場地域内において中小企業が事業協同組合等を通じて共同で公害防止施設を
設置する場合は必要な資金に対する融資を行い産業公害の防止を促進しようとするものです。
本県においては平成9年3月に沖縄県産業廃棄物処理協同組合の建設する共同焼却施設を対象
に、94,900千円(融資期間15年、うち据置期間2年、利率2.7 % )の融資実績があります。
表13−4−4
制度名
貸付対象施設等
1.小規模企業 創業または経営基盤強化に
者等設備貸 必要な新鋭設備
与制度
中小企業関係公害防止融資制度一覧
(平成17年4月1日現在)
共同・個 融資(貸 融資(貸与)融資(貸
融資期間
融資機関
別の別
与)比率 限度額
与)利率
個別
100%
50万円以上 割賦損料 原則7年以内。
財団法人沖縄県
6,000万円
年2.75% ただし、小規模企業者 産業振興公社
以内
等設備導入資金助成
(電話859-6236)
法で定めた設備につい
ては12年以内
(うち据置1年以内)
共同
80%以内
制限なし
無利子 20年以内
県観光商工部
(うち据置3年以内) 経営金融課
(電話866−2343)
2.中小企業 (1)共同施設事業(共同公害
高度化資金 防止等施設)
事業協同組合等の組合員
の事業活動に伴って副次的
に生ずる汚水、ばい煙、産業
廃棄物、騒音等の公害を事
業協同組合等が共同で防止
または処理する施設
(2)設備リース事業
共同購入 80%以内
事業協同組合等がその個
個別設置 別の組合員にリースするため
に取得する公害防止施設
資産計上
される額
- 134 -
年0.8%
設備の耐用年数を勘
案して県が定める期限
(据置1年以内)
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