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高裁判決全文

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高裁判決全文
平成 25年 4月 24日 判決言渡 同 日原本領収 裁判所書記官
平成
25年
青
前川 千 日
)第 10号 不 当労働 行為 救 済命 令 取 消請 求控 訴事件
(行 コ
地方裁判 所 平成
23年
(行 ウ)第
703号
)
決
判
東京都 新宿 区西 新 宿 2丁 目 8番
訴
知
者
人
東
事
猪
京
都
樹
直
瀬
町
表
代
1号
中
同
誠
智
井
中
同訴 訟 代 理 人 弁護 士
子
周
野
仁
中町誠訴訟復代 理人弁護 士
平
利
村
江
同
明
健
木
村
控 訴 人 指 定 代 理 人
司
同
東京都 千代 田区霞 が 関 1丁 目 1番
1号
人
国
同 代 表 者 法 務 大 臣
谷
庁
中
訴
控
被
処
。東京
25年 3月 18日
口頭 弁論 終結 日 。平 成
控
(原 審
政
行
分
垣
央
労
一
禎
働
委
員
会
同
代
表
者
会
長
諏
訪
康
雄
同
指
定
代
理
人
山
下
友
信
同
池
田
同
児
嶋
同
久
保
同
松
澤
充
彦
同
四
倉
吉
昭
東京都 豊 島 区南 大塚
2丁 目 33番 10号
ツ
稔
司
隆
毅
東 京 労働 会 館 内
東 京 公 務 公 共 一 般 労働 組 合
被控訴 人補 助 参加 人
東
1
京
高 等
裁
判 所
中
山
専
同訴 訟 代 理 人 弁 護 士
周ヽ
吉Б
同
中
り
同
青
青目
同
平
同
後
子
祥
治
正
同代 表 者 中央執 行 委 員 長
之
勝
││
子
美
不日
元
和
寛
文
主
1
2
藤
本件 控 訴 を棄 却 す る。
控 訴費 用 は控 訴 人 の負 担 とす る。
事
実 及
び 理
由
1 控訴 の 趣 旨
1 原判 決 を取 り消す。
2 中央 労働 委員 会 が ,中 労委 平成 22年 (不 再 )第 38号 事件 につ いて ,平 成
23年 10月 5日 付 けで した命 令 を取 り消す。
第 2 事 案 の 概 要 等 (略 語 は ,新 た に定 義 す る も の を除 き,原 判 決 の例 に よる。 以
第
下 ,本 判決 にお い て 同 じ。 )
1
東京都 の 専務 的非 常勤職 員 (専 務 的非 常 勤職 員 )等 で 組織 され た 労働組 合 で
あ る被 控訴人補 助 参加 人 (補 助参 加 人 )は ,控 訴 人 が 平成
19年 12月
6日
,東 京
都 専務 的非 常勤職 員 設 置 要 綱 (要 綱 )を 一 部 改 正 し,専 務 的非 常勤職 員 の雇用期 間
の 更新 回数 を原 則
2月
4回 まで と した こ と
(本 件 要 綱 改 正 )な どにつ い て ,平 成
20年
12日 付 け で 控 訴 人 に 団体 交 渉 を 申 し入れ ,ま た ,補 助 参加 人 の 下部組織 で あ
る東 京都 消費 生活 相 談 員 ユ ニ オ ン (分 会 )と 共 に ,同 年 8月
12日 ,東 京者卜消費生
活 総 合 セ ンタ ー 消費 生活 相 談員 (本 件 相 談員 )の ,次 年度 の 勤務 条件 を含 む勤務 条
件 な どにつ い て 団交 を 申 し入 れ た が ,控 訴 人 が これ らを拒 否 した な ど と主張 し,平
20年 3月
,東 京都 労働 委 員会 (都 労委 )に 対 し,救 済命 令 の 申立 て を した
(者 [労 委 平成 20年 (不 )第 13号 事 件 )。 都 労委 は ,平 成 22年 4月 20日 ,上
成
3日
東
2
京
高
等
裁 判
所
記 申立 て に対 し,控 訴 人 の 不 当労働 行為 を認 め ,補 助 参加 人 が求 めて い る本件要 綱
改 正 及 び 本件相 談員 の 次年 度 の 勤務 条件 につ い て ,誠 実 に団交 に応 ず
べ き ことを命
じた (本 件初審命 令 )。 控 訴 人 は ,本 件 初審命 令 につ いて ,中 央 労働 委員 会 (中 労
委 )に 再審 査 申立 て を した (平 成
成
23年 10月
5日
22年
(不 再 )第
38号 事件 )が ,中 労委 は ,平
,上 記 再審 査 申立 て を棄却 す る命 令
(本 件命 令 )を 出 した。
本 件 は ,控 訴 人 が ,本 件命 令 を不服 と してそ の 取 消 しを求 めた事 案 で あ る。
2
原審 は ,控 訴 人 の 請 求 を棄 却 した 。
当裁 判所 も,控 訴 人 の 請 求 は棄 却 す べ き もの と判 断 した。
3
前提 事 実 ,争 点及 び争 点 に対 す る当事者 の 主 張 の要 旨は ,次 の とお り改 め
,
当審 にお け る当事者 の 主 張 の 要 旨 を後記 4の とお り加 えるほか は ,原 判決 の 「事 実
及 び理 由」 の 「第
2
事 案 の概 要 」 1∼
3(原 判 決 3頁 6行 目∼ 23頁 22行 日
)
に記 載 の とお りで あ るか ら,こ れ を引用 す る。
(1)原 判 決 3頁 22行 日に 「非 常勤職 員 」 とあ る の を 「専務 的非 常勤職 員 」 に 改
め る。
(2)原 半J決 9頁 5行 日に 「乙 202・ 5, 6頁 」 とあ る の を 「乙 202・ 5∼
7
頁」 と改 め る。
4当 審 にお け る 当事者 の 主 張 の 要 旨
〔控訴 人 〕
(1)争 点 1に つ い て
専務 的非 常勤職 員 の 採 用 には ,任 命 権者 に よ る任 用 行為 が必 要 で あ る。 したが つ
て ,専 務 的非 常勤職 員 の 任 期 に つ い て 期 間 を 1年 間 とす る任 用 が 何度繰 り返 され た
と して も,控 訴 人 の 任 用 行 為 な く して ,次 期 の 専務 的 非 常勤職 員 と して の 地位 が保
証 され る もので は な い 。 この 点 は ,労 働 契約 法
19条 の適 用 の あ る民 間法制 と全 く
異 な る点 で あ る。 公 法 上 の 任 用 関係 は私 法 上 の 労働 契 約 関係 と同様 に とらえ る こ と
はで きな い の で あ り,非 常 勤職 員 が 次年 度 の採 用 につ い て法 的期 待権 を有 して い な
い こ とは明 らか で あ る。
東
3
京
高
等
裁
判
所
」R採 用事件 に関す る最 高裁判 決 (最 高裁 判所 平成
廷判 決 ・ 判例 時報
15年 12月 22日 第 一 小 法
1847号 8頁 )は ,不 当労働 行 為 は使 用者 と労働 者 の 労働 契約
関係 が成 立 した 後 の 使 用者 の 行 為 を規 制 す る もの で あ り,使 用者 の 採 用 の 自由にま
で 介入 してい る もの で は な い とす る見 解 を採 用 した と解 され て い る。 上 記 最 高裁 判
決 は ,労 組 法 7条
1号 , 3号 に 関す る も の で あ るが ,同 一 の 条 文 中 にあ る不 当労働
行 為 の一 類 型 で あ る 2号 (団 体交 渉 の 拒 否 )に 関 して も,同 様 に解 す べ きで ある。
民 間労働 法制 にお い て は ,労 働 者 との 間 に ,近 い 将来 にお いて 労働 契約 関係 が成 立
す る現 実 的 か つ 具体 的 な可能性 が 存す る者 が ,労 組 法 7条 の 「使 用者 」 に 当た る と
解 す る こ とに も相応 の根 拠 が あ るが ,本 件 にお け る任 用 は ,行 政行 為 で あ り,専 務
的非 常勤職 員 で あ る本件 相 談員 と控 訴 人 との 関係 は公 法 上 の任 用 関係 にあ るか ら
,
そ の よ うな解 釈 を採 る余 地 は な い 。
(2)争 点 2に つ い て
地方公 務 員 につ い て は ,職 員 団体 との 交 渉 にお い て 管 理運 営事項 は交 渉 の姑象 と
は な りえな い (地 方 公 務 員 法
55条 3項 )が ,地 方公 営 企 業等 の 労働 関係 に 関す る
法律 が 適 用 され る職 員 ,す なわ ち企 業 職 員 ,単 純 労務 職員 等 の 労働 組 合 との 団体交
渉 にお いて も,管 理 運営事 項 に つ い て は 団体 交渉 の 対 象 とす る こ とが で きな い (地
方公 営企 業等 の 労働 関係 に 関す る法律
7条 ただ し書 )と され てい る。 これ は ,行 政
上 の 管 理 運 営事 項 は ,地 方 公 共 団体 の 当局 が 国民 ,住 民 の負 託 を受 けて ,も つ ぱ ら
そ の 責任 にお い て執 行 す べ き もので ,職 員 団体 と交 渉 を して これ を遂行す る こ とに
な る と,行 政 責任 の 原則 や 法 治 主 義 に基 づ く行 政 権 限 の分配 の原則 を乱す こ ととな
り,ま た ,職 員 団体 が行 政 に介 入 す る とい う本 来 の使 命 を逸脱 した 行 動 とな るか ら
で あ る。 この よ うな 公 務 員 法制 の趣 旨 は ,非 常勤職員 が加 入す る労働 組合 につ い て
労組 法 が 適 用 され る場 面 で も当然 に適 用 され る も ので あ る。 そ して ,補 助 参加 人 が
申 し入 れ た 団体交渉 の 内容 は ,専 務 的非 常勤職 員 の 更 新 を 4回 まで とす る改 正 要綱
を撤廃 し,組 合員 に つ い て これ を超 えて更 新 を求 め る もので あ り,こ の 内容 は管理
運 営事 項 そ の もの ,す なわ ち任 用 行 為 へ の介入 そ の も ので あ る。
東
4
京
高
等
裁
判
所
労組 法 は ,団 体交 渉 拒 否 (労 組 法 7条
2号 )に 関 し,労 働 委員 会 に よる救済命 令
が 確 定判 決 に よ り支 持 され た 場 合 に はそ の違 反 行 為 に姑 して 一 定 の刑 事 罰 を定 め
(労 組 法
28条 ),救 済命 令 に姑 して 極 めて強力 な拘 束力 を与 えて い る。 この よ う
な救 済命 令 の 強力 な拘 束 力 に鑑 みれ ば ,労 組 法 に よ り保護 され る上記 の 団体交渉 の
概 念 をい たず らに拡 張解 釈 し,合 意 自体 が 不能 な事 項 につ い て まで 団交応 諾 義務 を
認 め るべ き で は な い 。
〔被 控訴 人 〕
(1)争 点 1に つ い て
控 訴 人 は ,本 件 にお け る任 用 は ,行 政 行為 で あ り,専 務 的非 常勤職 員 で あ る本件
相 談 員 と控 訴 人 と の 関係 は公 法 上 の 任 用 関係 に あ るか ら,控 訴 人 が 労組 法 7条 の
「使 用者 」 に 当た る と解 す る余 地 は な い と主 張す るが ,こ れ は ,地 方 自治 体 の職 員
の
3分 の 1を 超 え るま で に増加 した地方 自治体 の非 正 規 労働 者 の 労働 基本権 を全 く
顧 み な い 主 張 で あ る と ともに ,公 務 員 の 労働 基 本権 を拡 大 し,労 使 交渉 を 中心 とし
た労働 法制 に 変 更 して い こ うとす る歴 史 的流れ に完 全 に逆行 す る も の とい わなけれ
ば な らな い。
(2)争 点 2に つ い て
補 助 参加 人 が ,組 合 員 に つ い て 4回 を超 えて更 新 を行 うこ とを求 めた こ とは否認
す る。 補 助 参加 人 は ,本 件 相 談員 が ,こ れ まで本件 相 談員 が 5年 経過 した 後 も継続
して 勤務 して きた こ とを踏 ま え ,そ れ にふ さわ しい 更新 基 準や選 考基 準 を設置 し
,
組 合 員 を排 除 しな い システ ム を構 築す る こ とを求 めて い た の で あ る。 専務 的非常勤
職 員 の採 用 に も成 績 主 義 の原 則 が適 用 され る こ とは争 わ な いが ,問 題 は,更 新や 5
年 後 の 再採 用 に 当た り, どの よ うな基 準 で個 々 の職員 を評価 す るか で あ り,こ の 点
で 労働 組 合 が 提 言 し,交 渉 を求 め る こ とは 当然 で あ る。 また ,こ の 基 準 は ,明 示 ・
周 知 され る必 要 が あ る。 補助 参加 人 は ,個 々 の組 合員 を任 用 す る こ とにつ いての 関
与 な い し要求 を して い る の で な く,再 任 用基 準 の 不利 益変 更 を是正 す る こ と等 につ
い て 団体 交渉 を求 めて い る もの で あ る。
東
5
京
高
等 裁
判
所
管 理 運 営事項 で あ つて も,そ れ が 職 員 や 非 常勤職 員 の勤 務 条件 ・ 労働 条件 や それ
べ
と密 接 不 可分 の 問題 で あ る場合 には ,当 然義務 的 団体 交渉事項 にな る と解 す きで
あ る。 現 に,補 助参 加 人 は ,東 京 の 23区 の 区長会 と 23区 の職員 団体 で 結成 され
て い る特別 区職員 団 体連 合 会 との 間 で は ,特 別 区 の 人 事制 度 に 関す る協 定 を締 結 し
て い る (乙
123)。
再任 用 に関す る条件 の変 更 は 専 務 的非常勤職 員 に とつて 重 要
な労 働 条件 に当た る もの で あ り,本 件 要 綱改 正 に関す る事項 が義務 的 団体交渉事項
に 当 た る こ とは 当然 で あ る。 また ,更 新 を 4回 まで に 限 る とい う要 綱 の規 定 は ,雇
用期 間 の 更新 に関 わ る規 定 で あ り,労 働 条件 の 不利 益 変更 そ の もので あ る。
べ
控 訴 人 は ,合 意 自体 が不 能 な事項 に つ い て ま で 団交応諾 義務 を認 め る きで はな
い と主 張す るが ,団 体 交 渉 には ,労 使 間 の意 思疎 通 の 手段 た る側 面 が あ り,団 体交
渉 は ,労 使 が 相 手方 に 自分 の 考 えや 不 満 を伝 達 し,相 互理 解 を深 めた り,何 らか の
対応 を促 した りす る手段 と して も用 い られ る。 そ して ,団 体 交渉 の み で は終局 的 に
決 定 で きな い として も,団 体 交渉 の 結 果 を労働 条件 の 決定 に反 映 させ 得 る可能性 が
あ る場合 には ,そ の よ うな対応 を講 ず る こ とを 目指 した 団体 交渉 は十 分 あ り得 るか
ら,団 体 交渉 で 終 局 的決 定 をな し得 な い こ とが ,当 然 に団体 交渉 を拒 否 す る正 当な
理 由 とな るもので は な い 。
第3
1
当裁 判所 の 判 断
当裁判所 の 判 断 は ,次 の とお り改 め,後 記
原 判 決 の 「事 実及 び理 由」 の 「第
行 日∼ 27頁
(1)原 判 決
3
2以 下 の とお り補 足 す るほか は
当裁判 所 の判 断 」 1∼
,
3(原 判 決 23頁 24
9行 日)に 記 載 の とお りで あ るか ら,こ れ を引用す る。
24頁 4行 日に 「こ と とな り,結 局 ,労 組 法 が適 用 され る こ と とな
る。 」 とある の を ,以 下 の よ うに改 め る。
「こ ととな る。
前 記 第 2の 1(2)記 載 の とお り,控 訴 人 にお け る専務 的非常勤職員制 度 は ,非 常勤
職 員 の報 酬及 び 費 用 弁償 に 関す る条例 ,要 綱及 び要 綱 運用 に基 づ い て 実施 され ,専
務 的 非 常 勤職 員 の 勤務 日数 は月
11日
以上
16日
以 内 ,勤 務 時 間 は原 則 1日
東
6
京
高
等
裁
8時 間
判
所
とされ ,職 員 カ ー ドの操 作 又 は 出勤簿 へ の 押 印 に よ り出勤 時亥Jを 記 録 す る ことに な
ってい る。 専務 的 非 常勤職 員 には ,報 酬 ,通 勤費及 び 出張旅 費 な どが支給 され ,勤
lllが 増 額 あ る い は減 額 され る。 そ して ,前 記 第 2の
務 日数 や 時 間数 に応 じて 報 酉
(7)記 載 の とお り,本 件 相 談員 の 勤務 日数 は ,月
望 も聞 い た上 で ,課 長 が 毎 月 の 勤務 日
本件 相 談員 は ,午 前
(月
16日
1
で あ り,年 度 当初 に本人 の 希
曜 日か ら金 曜 日まで )を 決 定 して い る。
9時 ま で にセ ン ター に出勤 して 出勤簿 に押 印 し,各 人 ご との時
間害1に 従 つて ,電 話 相 談 ,来 所 対応 等 に従 事 してい る。 終業 時亥Jは 年後 5時
45分
で あ るが ,超 過 勤務 をす る こ ともあ る。
これ らの事 実 に よれ ば ,本 件相 談員 の よ うな専務 的 非常勤職 員 は ,控 訴 人 の指 揮
監督 の 下 に労務 を提 供 し,そ の 対価 と して 賃金 を得 て い る とみ る こ とがで きるか ら
,
動者 に 当 た る と解 され る。 」
労組 法 上 の 労イ
(2)原 判決 24頁
10行 目の 「ここにい う 「使 用者 」 とは ,」
か ら同頁
15行 日
まで を ,「 ここにい う 「使 用者 」 とは ,労 働 契約 関係 ない しはそれ に隣接 又 は近 似
す る関係 を基盤 と して 成 立 す る団体 労使 関係 上 の一 方 当事者 で 賃 金 を支払 う者 を意
味 し,そ の一 方 当事者 と特 定 の 労働 者 との 間 の 労働 契 約 が法律 上 終 了す る こ とが予
定 され て い る と して も,直 ち に再 び 当該 労働者 との 間 に従前 と同様 な労働 契約 関係
が 成 立 す る現実 的 か つ 具 体 的 な可能性 が 存 す る場合 に は ,上 記 一 方 当事者 は ,当 該
重
力者 との 関係 で 労 組 法
労イ
7条 に い う 「使 用 者 」 に該 当す る も の と解 す べ き で あ
る。 」 と改 め る。
偲)原 判決
24頁 19行 日に 「組合 員 」 とあ る の を ,「 本 件相 談員 と して控訴人
に任 用 され て い る組 合員 」 に改 め る。
2
争 点 1に つ い て
(1)不 当労働 行 為 救 済制 度 の 目的 が ,労 働者 が 団体 交渉 そ の他 の 団体行 動 のた め
に労働 組 合 を組 織 し運 営 す る こ とを擁護 す る こ と及 び 労働 協約 の締 結 を主 目的 と し
た 団体 交渉 を助成 す る こ とに あ る こ とや ,団 体 労使 関係 が ,労 働 契約 関係 な い しは
それ に 隣接 又 は近 似 した 関係 をそ の 基盤 と して 労働 者 の 労働 関係 上 の諸利 益 につ い
東
7
京
高
等
裁 判 所
「
て の 交渉 を中心 と して展 開 され る こ とか らすれ ば ,労 組 法 7条 に い う 使 用者 」 は
,
労働 契約 関係 な い しはそれ に隣接 又 は近似 す る関係 を基盤 と して 成 立 す る団体 労使
関係 上 の一 方 当事者 で 賃 金 を支払 う者 を意 味 し,そ の 一 方 当事者 と特 定 の 労働者 と
の 間 の 労働 契約 が法 律 上終 了す る こ とが予 定 され て い る と して も,直 ちに再び 当該
労働 者 との 間 に従 前 と同様 な労働 契約 関係 が成 立 す る現実 的 か つ 具体 的 な可能性 が
「
存 す る場 合 には ,上 記 一 方 当事者 は ,当 該 労働 者 との 関係 で 労組 法 7条 に い う 使
用者 」 に該 当す る も の と解 す る のが 相 当で あ る。 なぜ な ら,こ の よ うに解 さな い と
,
上 記 の よ うな 労働 者 は ,事 実 上 継 続 的 な雇 用 が 行 われ て い るに もかか わ らず ,そ の
よ うな雇 用 実態 にふ さわ しい処 遇 を求 めて労働 組 合 が 団体 交渉 を行 う余 地 が な くな
る こ とに な り,憲 法
28条 が 労働 者 に 団体交渉 そ の他 の 団体行 動 をす る権 利 を保 障
した趣 旨 が損 なわれ るか らで あ る。
(2)証 拠
(乙
57, 58, 170, 171, 195)に
務 的非 常 勤職 員 に な った の は平成
6年 4月
よれ ば ,本 件本目談員 が 専
か らで ,同 年 3月 まで は委 嘱又 は 日々雇
用 され る とい う身 分 で あ つ た こ と,本 件 相 談員 は ,平 成
20年 度 現在 , 34名 お り
,
不 動 産 や 高齢者 支援 な ど 9つ の 専 門 グル ー プの い ず れ か に所 属 し,消 費 生活相談 に
携 わ って い る こ と,本 件 相 談員 の 勤務 期 間 の 更新 につ いて は ,毎 年
12月
頃 ,更 新
希 望 の 有 無 を書 面 で提 出 した上 ,翌 年 1月 頃 ,課 長 と面談 し,更 新 希 望 の 有無 ,専
門 グル ー プの希 望 そ の他 職 務 に係 る意 見 交換等 を行 う こ と,更 新 され る場 合 は , 3
月 半 ば に ,翌 年度 の 勤務 す る曜 日の 申出や グル ー プ 編 成等 が行 われ , 4月 1日 に辞
令 が 交付 され る こ と,辞 令 には ,
1年 間 の 勤務 期 間 が 明記 され ,勤 務 期 間 の 更新 を
保 障す る もので は な い 旨 の 記載 が あ るが ,こ れ ま で ,本 件相 談員 が更新 を希 望 しな
が ら更新 され なか つ た例 は な い こ と,平 成
職 した
21名
16年 度 か ら平成 20年 度 まで の 間 に退
の本 件 相 談員 の 平 均 勤続年 数 は平成
6年 3月 まで の委 嘱 又 は 日々雇 用
7.5年 で あ る こ とが認 め られ る。
よれ ば ,本 件 相談員 は継続 勤務 を重
(乙 34,57, 58, 199)に
の 期 間 を含 めて
また ,証 拠
ね る こ とに よ つて 専 門性 や ス キル を高 めて きてお り,本 件 要 綱改 正 の 後 にお いて行
東
8
京
高
等
裁
判
所
われ た勤務 期 間 の 更 新 の た め の 面接 の 際 に ,担 当課 長 は 「局 か ら雇 用 不安 を与 えな
い よ うに言 われ て い る。 5年 後 に 一 斉 に相 談 員 を辞 め させ る こ とは事 実 上 で きな
い 。 」 と発 言 した こ と,生 文局 の 人事担 当 で あ る堀越 副参 事 も平成
20年 9月
2日
の 意 見交換 の機 会 に ,更 新 5回 目の ときに本件相 談員 を全 員入 れ替 え る こ とは考 え
て い な い と発 言 した こ とが認 め られ る。
これ らの事 実 に よれ ば ,補 助 参加 人 が 平成
20年 2月 12日 付 け で 控訴 人 に団体
交 渉 を申 し入 れ た 当時 ,控 訴 人 と本件相 談員 との 間 で は ,
1年 の任 期 が経過 した 後
,
動契約 関係 が成 立 す る現 実 的 か つ 具体 的 な可能性 が存在
契約 が更 新 され て 新 た な労イ
動契 約 関係 な い しはそれ に 隣接 又
して い た とい うこ とが で き るか ら,控 訴人 は ,労 イ
は近 似 す る関係 を基盤 と して成 立 す る団体労使 関係 上 の一 方 当事者 と して ,本 件相
談 員 に よ つて 組織 され る労働組 合 か らの 団体交渉 申入 れ に応 ず べ き労組 法 7条 の使
用者 に該 当 して い た も の とい うべ き で あ る。
(3)控 訴 人 は ,本 件 にお け る任 用 は行政行為 で あ り,専 務 的非 常勤職員 であ る本
件 相 談員 と控 訴 人 との 関係 は公 法 上 の任 用 関係 に あ るか ら,控 訴 人 が 労組 法 7条 の
「使 用者 」 に 当た る と解 す る余 地 は な い と主張す るが ,本 件 相 談員 の よ うな専務 的
非 常勤職 員 も,控 訴 人 の 指揮 監督 の 下 に労務 を提 供 し,そ の 対価 と して賃 金 を得 て
生 活 の 資 を得 て い る も の で あ る点 にお い て 一 般 の 勤 労者 と異 な る と こ ろは な く,控
訴 人 は ,労 働 契約 関係 が 成 立 す る現 実 的 か つ 具 体 的 な可能性 が 存 す る状態 にあ つた
専務 的非 常 勤職員 の 労働 条件 につ い て ,専 務 的非 常勤職員 を組織 す る労働 組合 との
団 体 交渉 に応 ず べ き 立 場 に あ つた と解 され るか ら,控 訴人 の上 記 主 張 を採 用す る こ
とはで きな い 。
3
争 点 2に つ い て
(1)地 方 公 共 団体 の 事 務 の 管 理 及 び運 営 に関す る事 項 は ,交 渉 の 対象 とす る こ と
が で きな い との 地公 法
55条 3項 の 規制 は ,専 務 的非 常勤職 員 に よつて組 織 され る
労働 組 合 に も及 ぶ と解 され るが ,地 方公 共 団体 の 事務 の 管 理 及 び運 営 に関す る事項
で あ つて も職 員 の 勤 務 条件 に関す る事項 で あれ ば交渉 の対象 とす る こ とがで き る と
東
9
京
高
等
裁 判
所
解 され る。 そ して ,専 務 的非 常勤職 員 は ,雇 用期 間 は 1年 で あ るが ,更 新 が 可能 で
あ り,こ れ まで ,本 件相 談 員 が 更新 を希 望 しなが ら更新 され なか つ た例 はなか っ た
こ とか らすれ ば ,本 件 要 綱 改 正 が され た 当時現 に任 用 され てい る相 談員 が 次年度 も
引 き続 き任 用 され る可能性 は高 く,ま た ,上 記 の とお り,分 会 には ,少 な くとも 4
名 以 上 の 本件 相 談員 が加 入 して い るか ら,次 年度 に都 の任 用 す る相 談員 の 中に補助
参加 人 の組合 員 が 存 在 す る可能性 は極 めて 高 か っ た とい うこ とがで き る。 この よ う
な更新 の 実態等 か らすれ ば ,原 判 決 の 説 示 す る とお り,次 年度 の 勤務 条件 は ,現 に
控 訴 人 に任 用 され て い る本 件 相 談員 の 勤務 条件 で あ る とい うこ とが で き る し,ま た
,
専務 的非 常勤職 員 の 雇 用 期 間 の 更新 回数 を原則 4回 ま でに制 限す る木件 要綱 の改 正
も,控 訴 人 との任 用 関係 にお け る本 件 木目談 員 の待遇 の一 部 に 関 わ る もので あ るか ら
,
本件 相 談 員 の 勤務 条 件 に重 要 な変 更 を もた らす もの とい うこ とが で き る。
した が って ,専 務 的非 常 勤職 員 の 次年 度 の勤務 条件 及 び 本 件 要 綱 改 正 は ,専 務 的
非 常勤職 員 の 勤務 条件 に 関す る もの と して ,義 務 的団 交事 項 に該 当す る と解 す
べき
で あ る。
(2)控 訴 人 は ,補 助 参加 人 が 申 し入 れ た 団体 交渉 の 内容 は ,専 務 的非常勤職員 の
更新 を 4回 まで とす る本 件 要綱 改 正 を撤 回 し,組 合員 につ いて これ を超 えて更新 を
へ
求 め る もので あ り,こ の 内容 は管 理 運 営事 項 そ の もの ,す なわ ち任 用行為 の介入
そ の もの で あ る,合 意 自体 が不 能 な事 項 に つ いて まで 団交応 諾 義 務 を認 め るべ きで
はな い ,な ど と主 張す る。
しか しなが ら,証 拠 (乙
10, 34, 144, 197)に
本件 要 綱 改 正 に よ つて 導 入 され た
よれ ば ,補 助参加 人 は
,
5年 有 期雇 用制 度 の 撤 回 を要 求項 目の一つ として
掲 げて は い た も の の ,補 助 参加 人 にお い て も,職 員 の 任用 に 直接 介 入す る ことが 管
理 運 営 事 項 と して 団体 交 渉 の 封象 事 項 に は な らな い こ とを認 識 した上 で ,控 訴 人 に
べ
対 し,継 続 的 な雇 用 が 行 われ て い る者 に対 して 実態 にふ さわ しい処遇 を与 える き
こ とを求 めて 団体 交 渉 の 開催 を要 求 し,組 合員 の 勤務 条件 の 改 善 の た めの成果 を上
げ る こ とを 目指 して い た こ とが認 め られ る。 そ うす る と,補 助 参加 人 が 専 ら合意達
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等 裁 判 所
成 の不可能な管理運営事項 を団体交渉 の対象 としよ うとしていた とは認め難 いか ら
,
本件要綱改正によつて導入 された 5年 有期雇用制度 の撤回が補助参加人の要求項 目
として掲げ られてい たか らといつて,直 ちに控訴人は ,補 助参加人 と誠実に交渉す
る義務 を免れるものではない と解 され る。 したが つて ,控 訴人 の上記主張 を採用す
る ことはできない。
第4
結論
「した原判 決は相当であるか ら,本 件控訴 を棄却す る
よって,控 訴人 の請求 を棄去
こととし,主 文 の とお り判決す る。
東京高等裁判所第 1民 事部
裁判 長裁 判 官
福
田
裁判官
孝
橋
裁判官
中
野
東
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久
剛
宏
琢
京
高
郎
等
裁
判
所
bEEウ 雪o‐o卜 (1里 )堅 監単
れ は 正 本 で あ
平 成 2
る
4月 24日
等 裁 判 所 第
裁 判 所 書記 官
1民
事
前
東京 (高 ) 10‐
054331
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