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はじめに
1
「知ること」
と
「考えること」
の結びつきを
大切にした授業づくり[保健編Ⅱ]
2
1.保健学習の授業について・
・
・
・
・2
2.保健学習のポイント・
・
・
・
・
・
・
・
・2
3.資料の見方・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・4
小学校
3年生
毎日の生活と健康
小学校
4年生
育ちゆく体とわたし
12
小学校
5年生
心の健康
18
小学校
6年生
病気の予防
24
中学校
1年生
心身の機能の発達と心の健康
30
中学校
2年生
傷害の防止
36
中学校
3年生
健康な生活と疾病の予防
42
6
は じ め に
中央教育審議会は子どもたちの教育の充実を図るために,7点の基本的な考え方を示しました。
「①
改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領の改訂」「②生きる力という理念の共有」「③基礎的・基本的
な知識・技能の習得」
「④思考力・判断力・表現力等の育成」「⑤確かな学力を確立するために必要な授
業時数の確保」
「⑥学習意欲の向上や学習習慣の確立」「⑦豊かな心や健やかな体の育成のための指導の
充実」です。これは,これからの学校教育が知・徳・体のバランスがとれ,基礎的・基本的な知識・技
能,思考力・判断力・表現力等及び学習意欲を重視することが求められていることを意味しています。
保健に関するものについては「身近な生活における健康・安全に関する基礎的な内容を重視し,指導
内容を改善すること」「健康な生活を送る資質や能力の基礎を培う観点から,系統性のある指導ができ
るよう健康に関する内容を明確にすること」と示されました。このことを受けて,学習指導要領の体育
科・保健体育科の保健の分野にかかわる改訂が行われました。つまり,改訂のポイントとしては『内容
の改善・充実を図ったこと』
『学校段階の接続を意識した系統性を図ったこと』です。新たに示された
内容としては,小学校では,第3学年で「健康の状態」,第6学年で「様々な保健活動」などがありま
す。指導計画と内容の取扱いには「保健の指導に当たっては,知識を活用する学習活動を取り入れるな
どの指導方法の工夫を行うこと」と示されました。これらのことは,これからの社会が知識基盤社会と
なり,知識の習得とともに習得した知識を活用する学習活動を重視することの具体と抽象の往き来がよ
り一層求められていると考えられます。
さて,これからの保健の授業の在り方を考えた場合,まずは,今の子どもたちの実態と今後の社会の
状況を把握していくことが重要です。これからの社会では,自らの健康管理に必要な情報を収集し,自
らの行動を決めていくことがより一層求められてきます。身の回りの生活は,自分にとって都合のよい
ものばかりではありません。健康を損ねるものもあります。それがゆえ,健康的な生活においてよりよ
いものは何かということを思考したり判断したりすることが問われます。そのためにも,基礎的な正し
い知識を習得しておくことが重要になってきます。
本資料の特徴として一つ目は,学習内容を整理して一覧表にしたことです。つまり,子どもたちに指
導する学習内容を明確化し,それを確実に定着させる学習活動を行うために,
「内容の整理表」を作成
したことです。この整理表により,一単位時間で押さえておかなければならない用語やキーワードを明
確にすることができます。また,内容に関する原理・原則を明らかにすることができます。二つ目の特
徴としては,個人で考える場面,グループで検討する場面等,思考する場面を展開例に必ず取り入れる
ようにしたことです。授業者の解説が中心となった,子どもにとって受け身的な授業では,学習内容の
確実な定着を期待することが難しいからです。そして三つ目の特徴としては,指導と評価の計画を表に
したことです。学習内容と評価とが連動されており,確実に学習内容を身に付けたかどうかを的確に評
価できる可能性の高い評価規準の作成を試みています。
今回,保健編―Ⅱを作成するに当たり多くの方よりご意見を頂戴いたしました。本資料は貴重なご意
見に必ずしもお応えできていないかもしれません。本資料を参考に,より多くの先生方に実践を積んで
いただき,目の前にいる子どもたちのために改良を重ねていってほしいと思います。
1
総
論
「知ること」と「考えること」の
結びつきを大切にした授業づくり
保健編 II
1.保健学習の授業について
保健学習の授業には,確実に学習内容を子どもたちに身に付けさせていくことが求められます。
ここで言う学習内容とは,学習指導要領及び解説の体育科保健領域,保健体育科保健分野に示され
た保健の学習としての原理や原則などです。
しかし,保健学習として確実に学習内容を子どもたちに身に付けさせているかどうかは疑問の余
地があります。保健指導ではないかと思われる授業がいまだに見られるという実態があり,これは
保健学習と保健指導との違いが正しく理解されていないことに起因していると考えられます。保健
学習とは教科の学習であり,知識の習得やそれを活用する学習活動が主たるものとなります。
一方,保健指導には,集団に対して行うものと,個人や小グループに対して行うものがありま
す。集団に対して行うものには,学校行事や学級活動(ホームルーム活動)があり,特別活動とし
て行われます。教育課程上は,保健学習と保健指導との違いは,教科の学習なのかそれとも特別活
動なのかの違いがあります。教科の学習は,原理や原則を見つける学習です。そして,特別活動は,
その目標として「実践的な態度を育てる」ことを掲げていること,その内容として「健全な生活態
度の育成に資する活動を行うこと」,その活動例として「心身ともに健康で安全な生活態度の形成」
が示されていることを踏まえると,日常生活において実践できるようにすることが求められている
と言えます。
したがって,保健学習と保健指導は,目標とするものが異なっており,それぞれの目標に向かっ
て指導と評価を行うことが求められていると言えます。
2.保健学習のポイント
保健学習は,平成20年に告示された新学習指導要領において,小学校体育科保健領域,中学校保
健体育科保健分野のいずれにも「保健の指導に当たっては,知識を活用する学習活動を取り入れる
などの指導方法の工夫を行うこと」が新たに示されました。保健における知識の習得,活用する学
習活動とはどのような学習なのかを明確にしておくことが求められています。ここで言う知識を活
用する学習には,従来から言われてきている思考・判断を重視した学習活動があると考えられます。
自らの健康を適切に管理し改善していくための資質や能力としての思考力や判断力を育成するには,
習得した知識を活用させる学習活動が重要であると思われるのです。その方向性として一つは,保
健学習で学んだ抽象的な原理や原則としての知識を具体の事柄に当てはめるところに知識を活用す
る学習活動が考えられます。もう一つは,逆に自らの経験や今までに身に付けた知識を活用する学
2
習活動によって,その内容の原理・原則を導く学習活動が考えられます。つまり,自らの経験や具
ばならないことは,ここで用いている「活用」とは,習得した知識を実際の生活場面で「実践する
こと」や「行動に移すこと」ではないということです。授業の中味として「これから自分でするこ
保健編Ⅱ
体的な事柄と抽象的な原理や原則の間を往き来することです。ただし,ここで留意しておかなけれ
との条件」などを思考させたり判断させたりすることです。 「知ること」と「考えること」の結びつきを大切にするためのポイントとしては次のようなもの
をあげることができます。
□育てる力を明確にする
小学校の保健領域にかかる学習指導要領の目標には,「健康な生活及び体の発育・発達について
理解できるようにし,身近な生活において健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。(3・4
年)
」
「心の健康,けがの防止及び病気の予防について理解できるようにし,健康で安全な生活を営
む資質や能力を育てる。(5・6年)」とあります。中学校保健分野の目標には「個人生活における
健康・安全に関する理解を通して,生涯を通じて自らの健康を適切に管理し,改善していく資質や
能力を育てる」とあります。つまり,保健の学習内容についての理解を通して,資質や能力を育て
ることです。
平成10年の学習指導要領において「積極的に実習などを取り入れ」る指導方法の工夫が求められ
たことにより,簡単なけがの手当やロールプレイング等の実習が数多く授業で取り入れられたので
はないでしょうか。しかし,実習をすることにとどまってしまい,実習をすればよいという誤解に
もつながったのではないかと思われます。そこには,何を学ばせるのかという学習内容があいまい
な状況も見られるようになりました。
保健領域・保健分野で育てる力とは,目標にあるように「理解を通して資質や能力」を育てるこ
とであり,学習すべき内容の理解を通して健康で安全な生活を営む資質や能力を育てることとなり
ます。
□何を教えなければならないかを整理する
保健領域・保健分野で教えるべき内容は,学習指導要領に示されているものです。また,配当時
間も限られています。何を教えなければならないのかを整理するには,学習指導要領及び解説を熟
読することです。そして,教えるべき原理や原則は何か,例示として示されているものは何か,指
導上の配慮事項は何か,取扱いの程度はどのくらいか(「理解できるようにする」なのか「触れる
ようにする」なのか)といったことを整理することが大切です。
そこで,本書では学習内容を整理し,より明確にするために「本時に用いる内容の整理表」欄を
設けました。この整理表【学習内容(きまり)―学習内容(きまり)にかかわる具体例―具体例や
方法に用いる用語】を作成することにより,何を教えなければならないのかをはっきりさせること
ができます。
3
3.資料の見方
総
論
授業提案は,小学校3年より中学校3年までの各学年一つずつを取り上げました。
小学校3年生…毎日の生活と健康 「健康な生活とわたし」
4年生…育ちゆく体とわたし 「体の発育・発達」
5年生…心の健康 「心と体の相互の影響」
6年生…病気の予防 「地域の保健活動を知ろう」
中学校1年生…心身の機能の発達と心の健康 「欲求やストレスへの対処と心の健康」
2年生…傷害の防止 「自然災害による傷害の防止」
3年生…健康な生活と疾病の予防 「喫煙,飲酒,薬物乱用と健康」
単元名 指導学年
(1)単元の目標
★「関心・意欲・態度」
「思考・判断」
「知
識・理解」の観点にもとづき,目標を設定
しています。
(2)指導と評価の計画
★「学習内容」と「評価」のつながりを明確
にするために表形式で見やすくしました。
◇3観点で用いる実現状況の例
(3)本時に用いる内容の整理表
学習内容
学習内容(きま 具体例や方法
(きまり)
り)にかかわる に用いる用語
具体例
・理解できる ・学習内容に ・学習内容を
ようにする本 かかわる要因 理解させる際
時の学習内容 や方法
に必要な押さ
・この具体例 えておきたい
を記述するこ 用語
「関心・意欲・態度」
・取り組もうとしている
・考えようとしている
「思考・判断」
・∼をもとに予想している
・見つけている
・整理している
「知識・理解」
・言っている
・書き出している
★確実に内容が身に付いているかどうかが分
かる評価内容が必要であり,毎時間すべて
の観点について載せています。
★1時間の中ですべての観点を評価すること
は難しいので,特に重点的に扱いたいこと
だけを取り出します。
4
とが指導内容 ・名称,事実
を明確にさせ など
ることにつな
がります
★学習内容に関連する用語やきまりにかかわ
る具体例を明確にしました。
★本時の展開を考える際には,整理表を作成
することが大切です。指導すべき内容を表
に整理することにより,教える内容が焦点
化され「何を」教えるのかが明確になった
学習活動が展開されるようになります。
(4)資料・指導方法
★学習活動を効果的に進めるために,本時で
取扱う資料や指導方法を載せました。
★資料に関しては一般的なデータですので,
自校のデータに置き換えると,より実感が
わき子どもたちの思考活動を助けます。
(5)1時間の流れ
○教師の支援 ※評価
つまずきへの対応例
★子どもたちの思考を重視した活動を必ず取り ★支援する内容としては, ★指導と評価の一
入れました。
各資料の一部(例)
整理表の「具体例や方法 体化を図るために,
に用いる用語」に載って つまずきへの対応
小3:
〈健康な生活とわたし〉
いる内容を中心としまし 例を示しました。
3 健康の状態には,主体の要因と身の回
た。
(例)
りの環境の要因がかかわっていることを
予想する。
★グラフの違いを,具体的 「グラフを読み取
「次のイラストを見て,自分のことと自
な数字を当てはめて説明 れない」
分のまわりのことに分けましょう。」
することで,予想しやす
小4:
〈体の発育・発達〉
くしています。
↓
『補足の説明をす
☆ グループで話し合い,共通点や違う点
を見つける。
る』
★整理表を作ることで教師
「友達と発育・発達パターンや,成長し
の支援の内容につなげる ★児童の実態によ
た分を表す数字をもとに,同じところや
ことができます。
違うところを見つけてみましょう。」
小5:
〈心と体の相互の影響〉
2 心と体がどのようにかかわり合ってい
るのかを考える。
保健編Ⅱ
学習内容
りつまずきの例は
異なってきます。
★評価は「指導と評価の計
画」と関連づけ,具体的
な場面を取り上げました。
「どうして,こんな表情をしているので
しょう?」
中1:〈欲求やストレスへの対処と心の健康〉
4 将来の心理的,社会的な欲求について
考える(自分の考えを整理する)。
「将来のあなたの欲求を実現させるため
にはどうしたらよいでしょうか?」
中2:
〈自然災害による傷害の防止〉
4 本時の学習を確認する。
「地震から命と暮らしを守るキャッチフ
レーズを作って,呼びかけましょう。」
◇ワークシート例や板書計画について
ワークシートを活用することは,学習活動を活発にしたり促進したりするだけでなく,教師にと
って一人一人の児童生徒が何を理解し,何を考えているのかを知る上でとても大切です。学習のね
らいが達成されているかどうかを把握するためにも欠かせないものです。また,板書計画を作成す
ることは,展開例を見ただけでは分かりにくいことでも授業の内容や流れがとらえやすくなるだけ
でなく,その時間のねらいや活動について一目瞭然となります。
5
単元:
「毎日の生活と健康」
(小学校3年生)
(1)単元の目標
小学校3年生
○1日の生活の仕方,身の回りの生活や生活環境について意欲をもつことができるようにする。
【関心・意欲・態度】
○1日の生活の仕方,身の回りの清潔や生活環境について,課題を設定したり,適切な解決方法
を考えたり,判断したりすることができるようにする。
【思考・判断】
○毎日を過ごすためには,1日の生活の仕方が深くかかわっていること,体を清潔に保ち,生活
環境を整える必要があることについて理解できるようにする。
【知識・理解】
(2)指導と評価の計画
時
学習内容
1︵本時︶
〈健康な生活とわたし〉
関心・意欲・態度
思考・判断
知識・理解
健康とは何かについ 主体の要因や周囲 主体の要因や周囲の環
心や体の調子がよいなど て,話し合いをする の環境の要因につ 境の要因が健康と関係
の状態は,主体の要因や など,進んで取り組 いて,資料を見るな していることについて,
周囲の環境の要因がかか もうとしている。
ど,健康とのかかわ 発表したり書いたりし
わっていること。
りを予想している。ている。
〈1日の生活の仕方〉
1日の生活のリズム 食事,運動,休養 健康に過ごすために,
毎日を健康に過ごすには,に合わせた生活をし 及び睡眠について,食事,運動,休養及び
2
食事,運動,休養及び睡 ようと話し合いをす 資料を見るなど, 睡眠の調和のとれた生
眠の調和のとれた生活を るなど,進んで取り 健康とのかかわり 活を続けることが大切
続ける必要があること。 組もうとしている。
を予想している。
であることをワークシ
ートなどに書いている。
〈体の清潔〉
3
体の清潔のために自 体の清潔を保つこ 体の清潔を保つことの
毎日を健康に過ごすには,分ができることにつ との必要性につい 大切さを発表したり書
体の清潔を保つことが必 いて,実験を通して て,実験を通して いたりしている。
要であること。
〈環境を整える〉
考えようとしている。 予想している。
これまでの学習を生 生活環境を整える 生活環境を整えること
毎日を健康に過ごすには,かして,これから自 ことの必要性につ の大切さについて,資
4
明るさや換気等の環境を 分ができることを話 いて,話し合いを 料や話し合いをもとに
整えることが必要である し合いをもとに進ん もとに見つけてい 説明している。
こと。
で取り組もうとして る。
いる。
6
(3)本時に用いる内容の整理表
学習内容(きまり)
学習内容(きまり)にかかわる具体例
具体例や方法に用いる用語
健康の状態には,主 ・健康の状態には,心や体の調子がよい状
態がある。
体の要因や周囲の環
・体
・健康の状態には,1日の生活の仕方など
○主体の要因
の主体の要因や身の回りの環境がかかわ
・朝ごはんを食べる。
っている。
・外で遊ぶ。
毎日の生活と健康
・調子のよい状態
境が深くかかわって
いること。
・心
・早寝早起きをする。
・手洗い,うがいをする。
○身の回りの環境の要因
・空気の汚れ
・部屋の明るさ
(4)資料・指導方法
新学習指導要領では,(ア)「心や体の調子がよい状態は,主体の要因や周囲の環境の要因がかか
わっていること」が新しく示された。第1時では,「主体の要因や周囲の環境の要因について」は
紹介する程度にとどめ,第2時以降の「1日の生活の仕方」,「体の清潔」,「環境を整える」におい
て詳しく学習するようにする。
○授業で使用するイラスト
①外で遊ぶ
②朝ごはんを食べる
①おふろに入る
②テレビを見るへやがくらい
③ぼうっとしている
④元気にあいさつする
③うがいをしない
④空気を入れかえないへや
⑤早ね早起きをする
⑥元気よく学校へ行く
⑤そうじをしているへや
⑥運動をする
健 康
体の調子
心の調子
身の回りの環境の要因
主体の要因
7
(5)1時
時間
(分)
10
学習内容 ☆活動 ・予想される児童の反応
発問
学習内容にかかわること
1 自分にとってよいこと,よくないことを予想する。
小学校3年生
イラストを見て,自分にとってよいことだと思う番号と,そうではないと思う番号を書きま
しょう。
5
☆ワークシートに書いたものを発表する。
みなさんがワークシートに書いたことを発表してください。
・ぼくは,自分にとってよいことは,①,②,④,⑤,⑥です。自分にとってよくないこ
とは,③にしました。
・わたしは,自分にとってよいことは,①,②,⑤にしました。
元気なこと,具合の悪いところがないことなどの心や体の調子のよい状態を健康と言う。
5
2 健康には,心もかかわっていることを知る。
健康に関係している心は,イラストの中のどれでしょうか?
①外で遊ぶ
②朝ごはんを食べる
③ぼうっとしている
④元気にあいさつする
⑤早ね早起きをする
⑥元気よく学校へ行く
・わたしは,④と⑥だと思います。
・ぼくは,②と④と⑥だと思います。
10
3 健康の状態には,主体の要因と身の回りの環境の要因がかかわっていることを予想する。
次のイラストを見て,自分のことと自分のまわりのことに分けましょう。
①おふろに入る
②テレビを見るへやがくらい
③うがいをしない
④空気を入れかえないへや
⑤そうじをしているへや
⑥運動をする
・ぼくは,自分のことは①,③,⑥で,自分のまわりのことは,②,④,⑤だと思います。
・わたしは,自分のことは①,⑥で,自分のまわりのことは,②,③,④,⑤だと思いま
す。
8
間の流れ
○教師の支援 ※評価
つまずきへの対応例
○健康に生活するために必要な食事,運動,休養及び睡眠,体の清
潔について考えやすいようにイラストを活用する。
毎日の生活と健康
○自分にとってよいこと,よくないことに分ける際には,グループ
で意見を出し合いながら,ワークシートに記入させるようにする。
○複数の児童に発表させ,黒板に板書する。
○児童が黒板を見て分かりやすいように,「自分にとってよいこと」,
「自分にとってよくないこと」に分けて書くようにする。
○心や体が健康であることは,人とかかわりながら明るく充実した
毎日の生活を送ることにつながり,健康がかけがえのないもので
あることにも触れる。
○心が調子がよいとどのような行動ができるかを考えるように助言
する。
・健康に関係している心を
選べない児童には,心が
調子がよいとどのような
行動ができるかを考える
ように助言する。
※健康とは何かについて,話し合いをするなど進んで取り組もうと
している。
【関心・意欲・態度】
○「テレビを見る部屋が暗い」,「そうじをしている部屋」,「空気を
入れかえない部屋」などは,身の回りの環境が関係しているもの
であることを押さえる。
・2つに分けることができ
○自分のことは,自分に直接かかわる1日の生活の仕方や体の清潔
などであることを押さえる。
とと自分以外のことに分
※主体の要因や周囲の環境の要因について,資料を見るなど,健康
とのかかわりを予想している。
ない児童には,自分のこ
【思考・判断】
けて考えるように助言す
る。
9
5
4 健康の状態には,主体の要因と身の回りの環境の要因がかかわっていることを知る。 健康には,何が関係しているでしょうか?
・自分のことが関係している。
・自分のことだけでなく,部屋の中のことも関係していると思います。
・自分のことと自分のまわりのことが関係していると思います。
小学校3年生
健康の状態には,1日の生活の仕方などの主体の要因や身の回りの環境がかかわっている。
10
5 学習の振り返りをする。
今日は,健康について学習しました。学習して分かったことを書きましょう。
〈ワークシート例〉
毎日の生活と健康 3年 組 1 イラストを見て,自分にとってよいことだと思う番号とそうではないと思う番号を書き
ましょう。
①外で遊ぶ
②朝ごはんを食べる
③ぼうっとしている
④元気にあいさつする
⑤早ね早起きをする
⑥元気よく学校へ行く
自分にとってよいこと
自分にとってよくないこと
心にかんけいしていること
2 「自分のこと」と「自分のまわりのこと」に分け,番号を書きましょう。
①おふろに入る
②テレビを見るへやがくらい
③うがいをしない
自分のこと
3 学習して分かったことを書きましょう。
10
④空気を入れかえないへや
⑤そうじをしているへや
自分のまわりのこと
⑥運動をする
○健康は,自分だけでなく,気持ちよく生活するために,自分の回
りの環境を整えることも関係していることを押さえる。
・健康には,何がかかわっ
ているか考えることがで
きない児童には,ワーク
シートで分類させたとこ
に,第2時以降の「1日の生活の仕方」,「体の清潔」,「環境を整
ろを注目させ,
「自分の
える」において詳しく学習するようにする。
こと」と「自分のまわり
のこと」の他の具体例を
毎日の生活と健康
○主体の要因や周囲の環境の要因については,あまり深く行わず
示す。
※主体の要因や周囲の環境の要因が健康と関係していることについ
て,発表したり書いたりしている。
【知識・理解】
〈板書計画〉
けんこうな生活とわたし
自分にとって
よいこと
①外で遊ぶ
②朝ごはんを食べる
④元気にあいさつする
⑤早ね早起きをする
自分にとってよくないこと ⑥元気よく学校へ行く
健康とは心と体の調子
のよい状態。
③ぼうっとしている
心にかんけいしていること
③ぼうっとしている
④元気にあいさつする ⑥元気よく学校へ行く
自分のこと 自分のまわりのこと
①おふろに入る
③うがいをしない
⑥運動をする
②テレビを見るへやがくらい ④空気を入れかえないへや ⑤そうじをしているへや
けんこうは,自分だけでなく,身の回りのかんきょうをととのえることもかんけいし
ている。
11
単元:
「育ちゆく体とわたし」
(小学校4年生)
(1)単元の目標
○体の発育・発達について,資料などを用いた話し合いに,進んで取り組もうとすることができ
るようにする。
【関心・意欲・態度】
○体の発育・発達について,自分の経験やグラフ等の資料をもとにして,考え判断することがで
きるようにする。
【思考・判断】
小学校4年生
○体の発育・発達には,個人差があること,思春期になると心と体の変化が起きること,調和の
とれた食事,運動,休養及び睡眠が必要であることについて,理解することができるようにす
る。
【知識・理解】
(2)指導と評価の計画
時
関心・意欲・態度
思考・判断
〈体の発育・発達〉
体は年齢にともなって変
化すること。体の発育・
発達には個人差があるこ
と。
自分の体の発育の
仕方や体の個人差
について,自分の
意見を言ったり,
友達の意見を聞い
たりするなど,話
し合いに参加しよ
うとしている。
自分の体の発育の仕
方や体の個人差につ
いて,自分の成長の
様子を調べるなど,
身長の伸び方には個
人差があることを見
つけている。
体は年齢にともなって
変化するとともに,体
の変化には個人差があ
ることについて,言っ
たり書いたりしている。
〈思春期の体つきの変化〉
体は,思春期になると次
第に大人の体に近づき,
2
体つきが変わること。
思春期の体つきの
変化について,人
に聞くなど,進ん
で取り組もうとし
ている。
思春期の体つきの変
化について,資料や
人から聞いた話をも
とに,その特徴を予
想したり見つけたり
している。
思春期には,人によっ
て違いはあるが,男女
の特徴が現れることに
ついて,言ったり書い
たりしている。
〈思春期の体の中で起こ
る変化〉
体は,思春期になると次
3 第に大人の体に近づき,
初経や精通などが起きる
こと。また,異性への関
心が芽生えること。
男女の体の中での
変化について,人
に聞くなど,進ん
で取り組もうとし
ている。
思春期の体の中で起
こる変化について,
資料や人から聞いた
ことをもとに,その
特徴を予想したり見
つけたりしている。
思春期には初経,精通,
変声,発毛などが起こ
り,また異性への関心
も芽生えることについ
て,言ったり書いたり
している。
〈食事,運動,休養及び
睡眠の大切さ〉
体をよりよく発育・発達
4 させるためには調和のと
れた食事,適切な運動,
休養及び睡眠が必要であ
ること。
体 の よ り よ い 発 体のよりよい発育・
育・発達について,発達について,資料
資料や今までの生 から分かることを予
活をもとに自分の 想したり,自分の生
生活を見直す学習 活を見直し,よい点
に,進んで取り組 や問題点について見
もうとしている。 つけたりしている。
1︵本時︶
学習内容
12
知識・理解
調和のとれた食事,適
切な運動,休養及び睡
眠の大切さについて,
言ったり書いたりして
いる。
(3)本時に用いる内容の整理表
学習内容(きまり)
学習内容(きまり)にかかわる具体例
具体例や方法に用いる用語
体は,年齢にともな ・身長や体重は,年齢にともなって変化す
・体の発育・発達
って変化すること。
・身長
ること。
・体の変化の仕方は一定ではなく,違いが
・体重
・年齢にともなう変化
あること。
体の発育・発達には,・体の発育・発達による変化の仕方には, ・体の発育・発達による変化
個人差があること。
個人差があること。
・個人差
○授業で使用する資料
・厚生労働省から出ている乳幼児身体発育調査
(H12)の結果を参考資料として使用してい
〈乳児〉
体重(kg)
14
13
12
身長(cm)
80
男子身長平均値
60
10
9
55
男子体重平均値
50
8
7
70
女子身長平均値 65
11
る。
75
育ちゆく体とわたし
(4)資料・指導方法
女子体重平均値
45
6
40
5
35
30
4
3
平成2年
25
2
平成12年
20
15
1
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
(ヵ月)
○指導方法
・健康の記録を用意し,自分の体の発育・発達の仕方を表にまとめる。
児童一人一人が自分の体の発育・発達の仕方を調べるためには,健康の記録を利用するとよい。
全員の健康の記録があり,共通した資料で自分の体の変化の仕方や人との相違点を比較すること
ができる。
・グループで話し合う場面を設けることで,発育・発達の仕方には個人差があることに気付かせる。
グループでの話し合い活動を行うことで,児童一人一人が意見を言ったり,友達の意見を聞い
たりしやすい環境を作り出すことができる。これにより考える時間が確保され,友達の結果と比
較しやすくなり,発育・発達の仕方がそれぞれ違うことを容易にすることができる。
13
(5)1時
時間
(分)
5
学習内容 ☆活動 ・予想される児童の反応
発問
学習内容にかかわること
1 赤ちゃんのころの発育・発達について考える。
この数字は,何を表しているでしょう?
50 3000
この数字は,生まれたときの赤ちゃんの平均身長と体重である。
(正確には49cm,3000g:厚生労働省 H12統計より)
2 生まれたときの赤ちゃんの平均身長と体重であることを知る。
小学校4年生
赤ちゃんは,生まれてから1年で身長が約25cm,体重が約6kg 増えています。このまま
発育・発達していったら,10才では,身長,体重がいくつになるでしょう?
・身長が3m,体重が63kg になる。
・でも,そんなに大きく成長しない。
15
3 自分の体の発育・発達について考える。
自分の体はどのように発育・発達してきたのでしょうか? 小学校へ入学してから4年
生までの発育・発達の仕方を,次の5つのパターンから予想し,その理由も考えよう。
☆身長の伸び方や体重の増え方の発育・発達パターンはどれか,次の5通りの中から予想
する。
①
②
③
④
⑤
1∼2年 2∼3年 3∼4年
1∼2年 2∼3年 3∼4年
1∼2年 2∼3年 3∼4年
1∼2年 2∼3年 3∼4年
1∼2年 2∼3年 3∼4年
①…毎年同じ
②…学年が上がるごとに大きくなる。
③…1∼2年のときより2∼3年の方が小さく,3∼4年になるとまた大きくなる。
④…1∼2年のときより2∼3年の方が大きく,3∼4年になるとまた小さくなる。
⑤…学年が上がるごとに小さくなる。
☆ワークシートに自分の身長や体重の変化を記入し,5つの発育・発達パターンに当ては
める。
どのように変化しているか,健康の記録を見ながら,自分の身長や体重の変化をグラフ
に書いてみましょう。自分のグラフを5つの発育・発達パターンに当てはめましょう。
☆自分の発育・発達の仕方について,見つけたことをワークシートに記入する。
・毎年,身長が伸びて,体重が増えている。
・身長の伸び方や体重の増え方は同じではない。
・身長は発育・発達パターンの○番だけど,体重は○番で,身長と体重では発育・発達
の仕方が違う。
14
間の流れ
○教師の支援 ※評価
つまずきへの対応例
○身長と体重を例に考えていく。
○ある程度意見が出たところで,この数字は,赤ちゃんが生まれた
ときのだいたいの身長と体重を表していることを伝える。
育ちゆく体とわたし
○赤ちゃんの身長と体重の変化のグラフを提示し,1歳の赤ちゃん
の身長が75cm で体重9kg になることを伝える。
○4年生=10歳ということで計算させる。
○今の身長や体重と違うことに気付かせ,発育・発達の仕方に興味
をもたせる。
○グラフの違いを,具体的な数字を入れて説明することで,児童に
予想しやすくさせる。
○予想の結果を板書しておき,実際に調べた後の結果と見比べられ
るようにしておく。
○健康の記録とワークシートを用意する。
○電卓を用意することで,身長や体重の変化を計算するのが苦手な
児童に配慮する。
・小数点は切り捨てるなど,
児童の実態に配慮する。
・ワークシートに書けない
児童に対して,発育・発
○同じように変化していることと,同じように変化していないこと
に着目させ,年齢にともなう変化に気付かせる。
達パターンを利用し,自
分の変化の仕方は何番の
パターンであり,自分の
予想と当たったか,違っ
たかを書かせる。
15
20
☆グループになって話し合い,身長の伸び方や体重の増え方について,共通点や違う点を
見つけ,見つけたことを全体で発表する。
友達と発育・発達パターンや,成長した分を表す数字をもとに,同じところや違うとこ
ろを見つけてみましょう。
・毎年,身長が伸びて,体重が増えている。
・発育・発達パターンで見ると○番が多い。
・身長の伸び方や体重の増え方は同じではない。
・一人一人変化の仕方が違う。
発表を聞いてみると,みんな身長が伸び,体重が増えて,発育・発達していることが分
かります。
小学校4年生
体は年齢にともなって変化するとともに,体の変化には個人差があること。
5
4 今日の学習を振り返る。
体の発育・発達について,今まで思っていたことや今日の学習で分かったこと,分かっ
た理由をワークシートに書きましょう。
〈ワークシート例〉
育ちゆく体とわたし
4年 組 ○自分の身長や体重の変化
(㎝)
身長
1∼2年 2∼3年 3∼4年
○変化のしかたを見て,気がついたこと
○友だちと話し合って,気がついたこと
○ふりかえり
今まで思っていたこと
今日の学習でわかったこととその理由
16
(㎏)
体重
1∼2年 2∼3年 3∼4年
○数字の違いや変化の仕方に着目させ,年齢にともなう変化や個人 ・なかなか意見の出ないグ
差について見つけさせる。
ループについては,
「ど
のくらい伸びている(増
○成長パターンを使って,一人一人がどのような発育・発達をして
えている)かな」「どの
いるか発表し,共通点や違う点を見つけさせる。
ように変化しているか
※自分の体の発育の仕方や体の個人差について,自分の意見を言っ
な」と具体的な言葉で投
たり,友達の意見を聞いたりするなど,話し合いに参加しようと
している。
げかける。
【関心・意欲・態度】
※自分の体の発育の仕方や体の個人差について,自分の成長の様子
を調べるなど,身長の伸び方には個人差があることを見付けてい
る。
【思考・判断】
育ちゆく体とわたし
○一人一人の体の発育・発達の仕方は同じではないことに配慮する。
※体は年齢にともなって変化するとともに,体の変化には個人差が
あることをワークシートに書き出している。
【知識・理解】
〈板書計画〉
育ちゆく体とわたし
自分たちの体はどのように変化したのだろう?
50 3000
①
生まれたときの赤ちゃんの 発育・発達
パターン
身長と体重
1才で 75cm 9kg
身長が25cm 伸びた
体重が6kg 増えた
②
③
④
⑤
1∼2年 2∼3年 3∼4年 1∼2年 2∼3年 3∼4年 1∼2年 2∼3年 3∼4年 1∼2年 2∼3年 3∼4年 1∼2年 2∼3年 3∼4年
身
予想
人
人
人
人
人
長
結果
人
人
人
人
人
体
予想
人
人
人
人
人
重
結果
人
人
人
人
人
・毎年,身長が伸びて,体重が増えている。
・発育・発達パターンで見ると○番が多い。
・身長の伸び方や体重の増え方は同じではない。
・一人一人変化のしかたが違う。
みんな,年齢にともなって変化している。
変化のしかたは一人一人違う。これを「個
人差」という。
17
単元:
「心の健康」
(小学校5年生)
(1)単元の目標
○不安や悩みをかかえたときは,対処の方法を見つけようとする意欲をもつことができるように
する。
【関心・意欲・態度】
○不安や悩みをもったときの対処の方法を考えることができるようにする。
【思考・判断】
○心の発達及び不安,悩みの対処について,さまざまな方法があることを理解できるようにす
る。
【知識・理解】
(2)指導と評価の計画
時
学習内容
小学校5年生
〈心の発達〉
心は,いろいろな生活経
1
験を通して,年齢にとも
なって発達すること。
関心・意欲・態度
思考・判断
知識・理解
心がどのようなもの 感情,社会性,思考 心は感情,社会性,
であるか,話し合い 力はどのようなもの 思考力の総体である
に進んで取り組もう かを予想している。 ことを,言ったり書
としている。
き出したりしている。
2︵本時︶
〈心と体の相互の影響〉 心と体の相互の影響 心は体が相互に影響 心と体は相互に影響
心と体は相互に影響し合 について,自分の経 していることについ し合っているので,
うこと。
験をもとに,進んで て,予想している。 体の調子がよいとき
発表しようとしてい
には心の状態もよい
る。
ことを書いている。
〈不安や悩みへの対処①〉
不安や悩みの対処には,
①大人や友達に相談する
3 ②仲間と遊ぶ
③運動をする
などのいろいろな方法が
あること。
不安や悩みの対処の
方法について,話し
合いに進んで取り組
もうとしている。
不安や悩みの対処の
方法を,自分の経験
や資料をもとに選ん
でいる。
不安や悩みの対処の
方法は,いろいろな
方法があることの具
体例を挙げている。
〈不安や悩みへの対処②〉 不安や悩みの対処の 不安や悩みの対処の 不安や悩みの対処の
不安や悩みの対処には, 方法について,実習 方法を,実際に体験 方法には,いろいろ
①大人や友達に相談する を通して考え,話し してみたことからよ な方法があり,前時
4 ②仲間と遊ぶ
合いに進んで取り組 りよい対処の方法を とは違う具体例を挙
③運動をする
もうとしている。
などのいろいろな方法が
あること。
18
予想している。
げている。
(3)本時に用いる内容の整理表
学習内容(きまり)
学習内容(きまり)にかかわる具体例
具体例や方法に用いる用語
心と体は相互に影 ①心の状態が悪い ・不安や緊張時には,動悸が
響し合うこと。
・相互に影響し合う。
ときは,体の調
激しくなったり,腹痛を起
・心の状態 ・体の調子
子も悪くなる。
こしたりする。
・不安 ・緊張
・動悸が激しくなる。
・腹痛を起こす。
②体の調子が悪い ・体調が悪いときには,集中
ときは,心の状
できなかったり,落ち込ん
態も悪くなる。
だ気持ちになったりする。
③体の調子がよい ・体調がよいときには,気持
ときは,心の状
ちが明るくなったり,集中
態もよくなる。
できるようになったりする。
・集中できない。
・落ち込んだ気持ち。
・気持ちが明るくなる。
・集中できる。
心の健康
(4)資料・指導方法
○授業で使用する資料
【資料1】黒板掲示用イラスト(学習活動1で使用)
1枚のイラストから,体の調子のことと心の状態のことの両方が出てくるようにする。
心の状態
・困っている
・不安がある
・緊張している
・怒られた
体のこと
・どこかが痛い
・体の調子が悪い
・お腹が空いている
不安や緊張の顔に見えるイラスト 【資料2】たろうさんのお話(学習活動4で使用)
お話を通して,体の調子が心の状態に影響していることを考えさせる。
たろうさんは,小学5年生です。ふだんから家で毎日勉強をしています。そして,勉強をした
後,夜9時には寝るように努力していました。
しかし,この3日間は,新しく買ってもらったゲームがあまりにも楽しかったので遊び過ぎて,
寝たのが11時過ぎです。そして,土日には旅行に行きました。土曜日の朝早く出て,帰って来た
のは日曜日の夜でした。
月曜日の朝はなんだか体がだるく,疲れてへとへとで体を動かすのも嫌でした。少しかぜもひ
いてしまったようです。
体がだるいと…
19
(5)1時
時間
(分)
3
学習内容 ☆活動 ・予想される児童の反応
発問
学習内容にかかわること
1 前時の学習の復習をする。
心は,生活経験を通して,年齢にともなって発達することを確認する。
5
2 心と体がどのようにかかわり合っているのかを考える。
どうして,こんな表情をしているのでしょう?
☆ワークシートの
に記入する。
・怒っている。 ・どこかが痛い。
・嫌なことがあった。 ・けがをした。
・落ち込んでいる。
⇩ ⇩
心のこと 体のこと
理由を黒板に分けて書きました。それぞれ何のことを言っているのでしょう?
・左側が気持ち,心のこと。 ・右側は体のことかな。
小学校5年生
なぜ,1枚のイラストから「心のこと」と「体のこと」が,両方出てくるのだろう? その理由を考えていきましょう。
10
3 緊張(心が変化)をすると,体も変化することが分かる(心の状態が悪いときは,体の
調子も悪くなる)。
運動会のかけっこのスタートのときや,学芸会や委員会の仕事で全校児童の前で話した
ときのことを思い出してみましょう。どんな気持ちでしたか?
・緊張した。 ・ドキドキした。
「緊張」というのは,どこが緊張しているのですか?
・心
では,体にはどのような変化がありましたか? ワークシート
☆ワークシートの
に書いてみましょう。
に記入し,発表する。
・心臓の動きが速くなって,ドキドキした。
・手に少し汗をかいた。 ・ちょっとお腹が痛くなった。
・足が震えた。 ・トイレに行きたくなった。
このことから,心と体の関係で,分かることは何ですか?
・心が緊張していると,それが体に伝わってドキドキする。
・心が緊張していると,お腹が痛くなった。
10
4 お話を通して,体の調子が心の状態にかかわっていることが分かる(体の調子が悪いと
きは,心の状態も悪くなる)。
これからあるお話をします。よく聞いてください(資料2のたろうさんの話を読む)
。た
ろうさんは,体の調子が悪いことによって,心がどのように変化したのでしょう?
20
間の流れ
○教師の支援 ※評価
つまずきへの対応例
○イラストを黒板に掲示する。
○多様な考えを出させるためワークシートに書かせる。机間指導を
し,
「心のこと」と「体のこと」を書いている児童を把握する。
・イラストを見ても,どう
してこんな表情をしてい
るのか理由が分からない
児童には,よくないこと
を表しているイラストで
あることを助言する。
【資料1】イラスト
○ワークシートの に体の変化を書かせる。 には,
「緊張」と
書き入れ,心の状態が体の調子に影響していることを理解させる。
心の健康
○どうしてこんな表情をしているか理由を発表させたときに,「心
のこと」と「体のこと」を分けて黒板に書くようにする。
※心と体の相互の影響について,自分の経験をもとに進んで発表し
ようとしている。
【関心・意欲・態度】
・緊張したときのことを思
い出せない児童には,個
別に声をかけ,運動会の
かけっこのスタートのと
きを思い出させる。思い
出せない児童は,一つの
事例だけでも出せればよ
いこととする。
○「心の状態」が「体の調子」に影響していることを,黒板に簡単
な図で示す。
【資料2】たろうさんのお話
○たろうさんのお話を読む。
○お話から分からないときには,自分が体の調子が悪いときの,気
持ちがどうなるかを考えさせる。
・お話から分からない児
童には,自分の経験から
疲れているときの気持ち
(心)はどうなるかを考
えさせる。
21
☆ワークシートの
に記入し,発表する。
・集中できなくなる。
・落ち込んだ気持ちになる。
・体が心に影響している。
7
5 心と体が相互に影響し合うことを予想する。
「緊張したときの経験から,心の状態が体の調子に影響している」ことが分かりました。
たろうさんのお話から,体の調子が心の状態に影響している」ことが分かりました。こ
れらの2つの例から,どのようなことが言えますか?
☆ワークシートの
に記入し,発表する。
・心と体は互いに影響し合っている。
・心と体は似ている。心と体はつながっている。
10
6 学習した内容を違う事例で挙げる。
それでは,体の調子がよいときには,心の状態がどうなるか考えてみましょう。
小学校5年生
☆ワークシートの に記入し,発表する。
・たくさん寝た次の日は,勉強に集中できる。
・たくさん食べて,たくさん寝て,たくさん遊んだ後は気持ちが明るくなる。
⇩
・体の調子がよいと心の状態もよいと思うから,やっぱり心と体は互いに影響し合って
いる。
〈ワークシート例〉
心の健康
5年 組 どうして,こんな表情をしているのでしょう?
次のときには,体にはどのような変化がありましたか?
心 体
・かけっこのスタート ・みんなの前で話す お話の中で,たろうさんの体の調子と心はどのように変化しましたか?
心 体
緊張したときの経験と,たろうさんのお話から,心と体の関係はどうなっていますか?
体の調子がよいときには,心の状態はどうなりますか? 具体的に例を挙げて書きましょう。
22
○「体の調子」が「心の状態」に影響していることを,黒板に簡単
な図で示す。
○心が体に影響していること,体が心に影響していることが書かれ ・「心が体に影響している」
ている黒板より,両方が互いに影響していることをとらえさせる。 もしくは「体が心に影響
※心と体が相互に影響していることについて予想している。
している」のどちらか一
【思考・判断】
方の影響にしか触れられ
ていない児童には,黒板
の矢印が「心→体」「体
→心」の両方に向かって
いることに着目させる。
心の健康
※心と体は相互に影響し合っていることから,体の調子がよいとき ・心と体が相互に影響し合
には心の状態もよいことを書いている。
【知識・理解】
っていることを書き出せ
○具体例は,自分の経験から体の調子がよいときは心の状態はどう
ない児童には,体の調子
か考えさせる。
がよいときの場面(よく
寝た次の日の朝など)を
思 い 出 さ せ, 心 の 状 態
(気持ち)がどうなって
いるかを考えさせる。
〈板書計画〉
【資料1】イラスト
黒板に掲示する。
心の健康
○この人はどうしたのでしょう?
心と体が相互に影響し合っていることから,
体調のよいときの心の状態を予想して書く。
○心と体の関係
○体の調子がよいときには,
緊張したときの経験から
心▽ → 体▽
関係している
嫌なことがあった
落ち込んでいる
どこか痛い
けがをした
たろうさんのお話から
心のこと
体のこと
関係している
どうして,心のことと体のことが
出てくるのだろう?
心▽ ← 体▽
心と体は相互に
影響し合っている。
緊張したときの経験から,心▽
(よくない)
→体▽(よくない)
たろうさんのお話から,心▽
(よくない)
←体▽(よくない)
「心」と「体」は変えずに矢印の向きを変えて,2つのことから,
心と体は相互に影響し合っていることが分かる。
体の調子がよいときも,
心の状態はよい。
やっぱり心と体は相互に
影響し合っている。
まとめとして,心と体は
相互に影響し合っている
ことを確認する。
23
単元:
「病気の予防」
(小学校6年生)
(1)単元の目標
○病気の予防について関心をもち,意欲的に学習に取り組もうとすることができるようにする。
【関心・意欲・態度】
○病気の予防について,話し合いをもとに考えることができるようにする。
【思考・判断】
○病気の起こり方とその予防について,理解することができるようにする。
【知識・理解】
(2)指導と評価の計画
時
学習内容
小学校6年生
関心・意欲・態度
思考・判断
知識・理解
1 〈病気の起こり方を知ろう〉
(略)
(略)
(略)
〈病原体がもとになって起
2
こる病気を予防しよう〉
(略)
(略)
(略)
3 〈体の抵抗力をつけよう〉
(略)
(略)
(略)
〈生活の仕方によって起こる病気1〉
むし歯や歯ぐきの病気の
予防は,歯垢が原因であ
4
り,歯磨きなどで口の中
を清潔にする必要がある
こと。
むし歯や歯ぐきの
病気の予防につい
て,友達と意見を
出し合う話し合い
に,進んで取り組
もうとしている。
むし歯や歯ぐきの
病気の予防につい
て,資料や話し合
いをもとに予想し
ている。
むし歯や歯ぐきの病気の
予防は,歯垢が原因であ
り,歯磨きなどで口の中
を清潔にする必要がある
ことについて,言ったり
書き出したりしている。
〈生活の仕方によって起こる病気2〉
健康によくない生活は,
生活習慣病の原因になり
5
やすいこと。
健康によくない生
活について,友達
と意見を出し合う
話し合いに,進ん
で取り組もうとし
ている。
健康によくない生
活について,資料
や話し合いをもと
に予想している。
健康によくない生活は生
活習慣病の原因になりや
すいことについて,言っ
たり書いたりしている。
〈たばこ・酒の害から身を守ろう〉 喫煙・飲酒につい
①喫煙は,肺ガンや心臓 て,友達と意見を
病などの原因になること。出し合う話し合い
6
②飲酒は,脳や肝臓の病 に,進んで取り組
気などの原因になること。もうとしている。
喫煙・飲酒につい
て,勧められた場
合の効果的な断り
方を資料や話し合
いをもとに予想し
ている。
喫煙は肺ガンや心臓病な
どの原因になること,飲
酒は脳や肝臓の病気など
の原因になることについ
て,言ったり書いたりし
ている。
〈薬物乱用の害から身を守ろう〉
薬物乱用は,体や心に大
7 きな影響を及ぼし,とて
も危険であること。
8︵本時︶
24
薬物乱用について,薬物乱用について,薬物乱用は,体や心に大
友達と意見を出し きっかけに対する きな影響を及ぼし,とて
合う話し合いに, 対処の仕方を資料 も危険であることについ
進んで取り組もう や話し合いをもと て言ったり書いたりして
に予想している。 いる。
としている。
〈地域の保健活動を知ろう〉 保健所や保健セン
保健所や保健センターは,ターについて,友
健康によい生活習慣にか 達と意見を出し合
かわる情報提供や,予防 う話し合いに,進
接種などの活動をしてい んで取り組もうと
している。
ること。
保健所や保健セン 保健所や保健センターは,
ターについて,資 健康によい生活習慣にか
料や話し合いをも かわる情報提供や予防接
とに予想している。種などの活動をしている
ことについて,言ったり
書いたりしている。
(3)本時に用いる内容の整理表
学習内容(きまり)
学習内容(きまり)にかかわる具体例
保健所や保健センタ ・地域には,保健に関する活動を行ってい
る保健所や保健センターがあること。
ーは,健康によい生
具体例や方法に用いる用語
・保健所
・保健センター
活習慣にかかわる情 ・保健所や保健センターでは,健康によい
報提供や予防接種な
生活習慣に関する情報提供をしているこ
・生活習慣病予防
どの活動をしている
・健診
こと。
と。
・保健所や保健センターでは,予防接種が
・健康
・予防接種
・検診
行われていること。
・運動
(4)資料・指導方法
○授業で使用する資料
・
【資料1】保健所が作成した健康について
呼びかけているポスターやパン
フレット
病気の予防
・
【資料2】保健所以外が作成した健康につ
いて呼びかけているポスターや
パンフレット
[資料1]
[資料2]
・
【資料3】予防接種を受けている写真
(イラスト)
・
【資料4】地域の保健所の写真
(イラスト)
[資料3]
[資料4]
○指導方法
児童にとって具体的に考えることができるような資料を集め,示された資料の多くの発信元が保
健所であり,保健所の活動は身近なものであることを知らせたい。また,これらの資料から病気の
予防のためには,保健所のように学校以外の地域においても活動が行われていることに気付かせた
い。
25
(5)1時
時間
(分)
8
学習内容 ・予想される児童の反応 発問
1 情報の発信元を予想する。
健康や生活について呼びかけているこれらの資料は,どこから出されているのでしょう?
・健康増進課 ・区役所 ・保健所 ・保健センター ・区民センター ・消防署
・警察署 ・厚生労働省
15
2 保健所の情報が,何を呼びかけているのかを読み取る。
いろいろなところから,健康や生活についての情報が出されているんですね。その中で
もこれらの情報は,保健所から出されています。何について呼びかけているのでしょう?
・病気のこと ・病気の予防のこと ・予防接種 ・基本的な生活習慣 ・歯みがきのこと ・早寝早起きのこと ・たばこの害のこと ・薬物のこと
このように,保健所からは健康に関する情報が出されているんですね。この保健所は,
小学校6年生
それぞれの地域に必ずあるんですよ。
12
3 保健所と学校とのつながりを考える。
実は,この学校も保健所とつながっています。保健所の人が学校に来ているんですよ。
さて,どんなときに来ているのでしょうか? 予想してみましょう。
・何かの検査 ・学校の先生に病気の予防のことを教えに来てくれる
・プールの水質検査 ・給食室の点検
10
4 学習のまとめをする。
今日学んだことをまとめましょう。
・保健所や保健センターは,健康な生活習慣にかかわる情報提供や予防接種などの活動を
している。
26
間の流れ
○教師の支援 ※評価
つまずきへの対応例
○【資料1】
,
【資料2】を提示する。
(問い合わせ先「区役所」,「保健所」等は隠しておく。)
・問い合わせ先について予
○グループ(4人程度)で考えさせてもよい。
○隠していた部分を開けながら,いろいろなところから同じような
想できない場合は,例を
挙げて説明する。
情報が出されていることに気付かせる。
○【資料3】を提示する。
○保健所は,予防接種,健康的な生活習慣についての呼びかけをし
ていることを押さえる。
○グループ(4人程度)で考えさせる。
※保健所や保健センターについて,友達と意見を出し合う話し合い
に,進んで取り組もうとしている。
【関心・意欲・態度】
○【資料4】を提示する。
病気の予防
○自分の地域の保健所の写真を見せられるようにする。
○【資料1】で提示しなかった地域の保健所に置いてある「飲酒・
たばこの害」
,
「薬物乱用」など,学習した内容のパンフレット等
を見せるのも効果的である。
○保健所が身近な活動を行っていることに気付かせる。
※保健所や保健センターについて,資料や話し合いをもとに予想し
ている。
【思考・判断】
・学校内で保健所と関係あ
りそうな場所など,例を
挙げて考えさせる。
○ワークシートに記入させる。
※保健所や保健センターは健康な生活習慣にかかわる情報提供や,
予防接種などの活動をしていることについて,言ったり書いたり
している。
【知識・理解】
27
〈ワークシート例〉
第8時 保健所・保健センターって?
6年 組 名前 1.保健所から出された資料は何を呼びかけていますか?
まとめると
のこと
2.学校も保健所とつながっています。どんなことでつながっているのでしょう?
予想してみましょう。
小学校6年生
3.今日の学習でわかったことをまとめましょう。
28
〈板書計画〉
保健所・保健センター
【資料1】
【資料1】
<保健所からの情報>
<保健所と学校との関係>
【資料4】
【資料1】
【資料4】
健康的な生活習慣
・給食室の点検
・新型インフルエンザが出たとき
【資料2】
【資料3】
の対応の仕方
予防接種
【資料1】
・プールの水質検査
【資料2】
保健所や保健センターは
保健所や保健センターは
身近な活動を行っている。
・健康的な生活習慣
・予防接種
の情報提供を行っている。
病気の予防
29
単元:
「心身の機能の発達と心の健康」
(エ 欲求やストレスへの対処と心の健康)(中学校1年生)
(1)単元の目標
○欲求やストレスへの対処と心の健康について,自分の経験や資料,仲間との意見交換などをも
とに話し合う活動に,意欲的に取り組もうとすることができるようにする。
【関心・意欲・態度】
○欲求やストレスへの対処と心の健康について,自分の経験や資料,仲間との意見交換などをも
とに,考えることができるようにする。
【思考・判断】
○欲求やストレスへの対処と心の健康について,欲求やストレスは,心身に影響を与えることが
あること,心の健康を保つには,欲求やストレスに適切に対処する必要があることについて理
解できるようにする。
【知識・理解】
(2)指導と評価の計画
時
学習内容
〈心と体のかかわり〉
関心・意欲・態度
思考・判断
知識・理解
心と体のかかわりにつ 心と体のかかわ 精神と身体は,相互に
精神と身体には,密接な いて,資料や仲間との りについて,予 影響を与え,かかわっ
1 関係があり,互いに様々 意見交換をもとに話し 想したり,自分 ていることについて,
な影響を与え合っている 合う活動に,進んで取 の考えを整理し 言ったり書き出したり
こと。
〈欲求と心の健康〉
り組もうとしている。
たりしている。
している。
欲求と心の健康につい 欲求と心の健康 精神的な安定を図るに
2︵本時︶
中学校1年生
心の健康を保つには,欲 て,自分の経験や資料,について,予想 は,欲求の実現に向け
求に適切に対処する必要 仲間との意見交換をも したり自分の考 て取り組んだり,自分
があること。
とに話し合う活動に, えを整理したり や周囲の状況からより
進んで取り組もうとし している。
よい方法を見つけたり
ている。
することがあることに
ついて,言ったり書き
出したりしている。
〈ストレスへの適切な対 ストレスへの適切な対 ストレスへの適 心の健康を保つには,
処と心の健康〉
3
処と心の健康について,切な対処と心の 欲求やストレスに適切
心の健康を保つには,欲 自分の経験や仲間との 健康について, に対処する必要がある
求やストレスに適切に対 意見交換をもとに話し 予想したり自分 ことについて,言った
処する必要があること。 合う活動に,進んで取 の考えを整理し り書き出したりしてい
り組もうとしている。
30
たりしている。
る。
(3)本時に用いる内容の整理表
学習内容(きまり)
学習内容(きまり)にかかわる具体例
心の健康を保つには,・欲求には,生理的な欲求と心理的,社会
的な欲求がある。
欲求に適切に対処す
具体例や方法に用いる用語
欲求
・生理的な欲求,睡眠,食事,
排せつなど。
る必要があること。
・心理的な欲求,社会的な
欲 求, 愛, 集 団 へ の 所 属,
独立など。
・精神的な安定を図るには,欲求の実現に
・欲求の実現に向けた取り
組み
向けて取り組んだり,自分や周囲の状況
からよりよい方法を見つけたりすること
・自分や周囲の状況
などがある。
(4)資料・指導方法
○指導方法(授業づくり)について
・発達段階に応じた欲求の種類を実生活に当てはめて,考えるように展開させた。
・自分なりの考えを記入した付せんを使うことにより,次に行う仲間との意見交換からの考えを
深めるようにした。
・各自の考えやグループでの話し合いが深まるように,生徒の身近な例を挙げ具体的なイメージ
がもてるようにした。
・学習の流れに沿って活用できるような学習カードを作成した。
欲求と心の健康
『赤ちゃんが泣いている理由にはどのようなことが考えられますか?』→何かを訴えている!
●欲求 ・母親に何かしてもらいたい。・ほしいものがある。・○○したい。
●欲求の種類 ・生理的な欲求(眠たい,おなか空いた・トイレに行きたいなど)
・心理的,社会的な欲求(独り立ちしたい,新しいことを経験したい,
心身の機能の発達と心の健康
〈板書計画〉
愛されたい,仲間になりたい)
●精神の安定 ・欲求の実現に取り組む。
・周囲の状況からよりよい方法を見つける。
・欲求を妨げるものがある。 ・欲求がうまくいかない。思った通りにいかない。 ⇒解決方法は?
適切に対処 サポート・リフレッシュ
31
(5)1時
時間
(分)
5
学習内容 ☆活動 ・予想される児童の反応
発問
学習内容にかかわること
1 欲求について確認する。
人間が何かをしたいということが,欲求であり,何かをしようとする行動のもとになっ
ていること。
20
2 生理的な欲求について知る。
☆人間の赤ちゃんのいろいろな泣き声を聞かせる。
赤ちゃんが泣いている理由にはどのようなことが考えられますか?
☆【学習カード】に自分の考えを記入する。
・おなかが空いた ・眠たい ・オムツを交換してもらいたい ・遊んでもらいたい
この理由の中で,すぐに対応する必要があると考えられることは,どれですか?
☆【学習カード】に対応するものを挙げ,その理由を記入してからグループで話し合う。
・おなかが空いてたら,生きていけない。
・人は眠らないと,生きていけない。
・おむつを交換しなくても大丈夫? よごれて気持ち悪いのかも。
3 欲求の種類について知る。
●欲求には,生理的な欲求と心理的,社会的な欲求があること。
欲求の種類 ・生理的な欲求(眠たい,おなか空いた,トイレに行きたいなど)
・心理的,社会的な欲求(独り立ちしたい,新しいことをやってみたい,
愛されたい・仲間になりたい)
20
4 将来の心理的,社会的な欲求について考える。
将来のあなたの欲求を実現させるためにはどうしたらよいでしょうか?
中学校1年生
☆【学習カード】ネバー・ギブアップの資料を読んで,
『欲求の実現に向けて取り組むこ
と』や『自分や周囲の状況からよりよい方法を見つけること』について,自分が考える
課題解決の仕方をグループで話し合い,考えをまとめる。
『欲求の実現に向けて取り組むこと』について
・あきらめてはいけない ・夢をもち続けること ・先のことを意識して取り組む
『自分や周囲の状況からよりよい方法を見つけること』について
・自分らしさを知る(見つける) ・周囲から認めら(評価さ,尊敬さ,注目さ)れる。
・周囲に適応していく。環境をかえてみる。
精神的な安定を図るには,欲求の実現に向けて取り組んだり,自分や周囲の状況からよ
りよい方法を見つけたりすることなどがある。
5
5 1時間の学習を確認する。
心の健康を保つには,欲求に適切に対処する必要があること。
☆本時のまとめを聞き,次時の学習のストレスへの適切な対処と健康についての見通しを
もつ。
32
間の流れ
○教師の支援 ※評価
つまずきへの対応例
○小学校での不安や悩みへの対処の学習を確認する。
○人間は何かをやろうとする気持ち(意欲)が大切であることを強
調し,欲求があることは,自然であることを確認する。
○赤ちゃんの欲求は種類によって泣き声の違いがあり,母親が認識
することがあることを紹介する。
(2歳前後の同じ赤ちゃんの泣き声(2∼3種類)を想定している。) ・赤ちゃんが泣くのはなぜ
○個人で予想させてから,グループ(6人程度)で話し合わせる。
かを予測できるよう助言
する。
※欲求と心の健康について,自分の経験や資料,仲間との意見交換
をもとに話し合う活動に,進んで取り組もうとしている。
【関心・意欲・態度】
(教師がグループで話し合った内容を発表させながら黒板やカード
に記入し,掲示しながら分類してもよい。)
○おむつ交換は排せつ(欲求)よりも,不快(情動)であることを,・話し合いに積極的でない
生徒に声をかける。
教師側が認識しておく。
○「よごれて気持ちが悪いかも」は,心理的欲求であることを説明
する。
○欲求の種類について,教科書を使って説明する。
※欲求には,生理的な欲求と心理的,社会的な欲求があることを書
き出している。
【知識・理解】
○生理的な欲求と心理的な欲求について,「赤ちゃんの欲求」を用
いて説明し,社会的な欲求についても説明する。
○精神的な安定は,生理的な欲求と心理的,社会的な欲求に対し, ・イメージできない生徒に
適切に対処することによってもたらされることを説明し,「4 は,個別に補足説明する。
将来の心理的,社会的な欲求について考える」につなぐ。
・教科書を参考に考えさせ
る。
※精神的な安定を図るには,欲求の実現に向けて取り組んだり自分 ・考えをまとめられない場
や周囲の状況からよりよい方法を見つけたりすることなどがある
合は,他人の意見を参考
ことについて,言ったり書き出したりしている。 【知識・理解】
に理由を考えられるよう
○授業で「分かったこと」や「予想したり考えたりしたこと」を記
に助言する。
入させる。
○本時のまとめを行い,次時の学習の見通しについて話す。
○欲求とストレスとの関係を確認する。
心身の機能の発達と心の健康
※欲求と心の健康について,予想したり自分の考えを整理したりし
ている。
【思考・判断】
・理解が不十分の場合は事
後指導を行う。
(心の健康を保つときの欲求への「プラス面」と「マイナス面」を取
り上げ,適切に対処することのプラスの方向を強調してまとめる。
)
33
「心身の機能の発達と心の健康(欲求と心の健康)」学習カード [ 月 日]
1年 組 No. 氏名 [質問1]
赤ちゃんが泣いている理由にはどのようなことが考えられますか?
[質問2]
この理由の中で,すぐに対応する必要があると考えられることは,どれですか?
私の考え
グループの考え
中学校1年生
※ 欲求の種類を整理してみよう!
( )な欲求……
( )な欲求……
34
教科書の『考える心・感動する心の発達』ネバー・ギブ・アップを読んで,『欲求の実現に向け
て努力した』と思う部分にアンダーラインを引いてみよう。
高校時代に,バスケットボールでは高校史上初となる3年連続三冠(インターハイ優勝,国
体優勝,ウインターカップ優勝)を達成した田臥勇太選手は,バスケットボール発祥の地で
あるアメリカの大学を卒業後,日本バスケットボールリーグで活躍しました。173cm という,
バスケットボールの選手のなかでは低い身長にもかかわらず,だれにも予想のつかないような
プレイで,リーグの新人王に輝きました。
その後,田臥選手は,世界最高のバスケットボールリーグといわれるNBAでプレイすると
いう自分の夢をかなえるために,一人でアメリカに渡り,身長が2メートル前後の選手たちの
なかで挑戦を続けています。
また,世界最高のプロ野球といわれるアメリカのメジャーリーグで活躍する日本人の野球選
手が増えてきています。2001年には,投手以外の選手でははじめて,イチロー選手がメジャー
リーグの選手となりました。イチロー選手は,日本のプロ野球選手であったころ,7年連続で
首位打者というすばらしい成績をおさめました。しかし,イチロー選手はそのような記録を達
成しながらさらに,将来メジャーリーグでプレイすることを意識した筋力トレーニングやバッ
ティング練習などをしていたともいわれています。
あなたのまわりにも,自分の夢を実現するために,強い意志をもって努力を続けている人が
いるのではないでしょうか。
[質問3]
将来のあなたの欲求を実現させるためにはどうしたらよいでしょうか?
『欲求の実現に向けて取り組むこと』
心身の機能の発達と心の健康
『自分の周囲の状況からよりよい方法を見つけること』
◇1時間を振り返って◇
今日の授業で「分かったこと」や「考えたこと」
35
単元:
「傷害の防止」
(ウ 自然災害による傷害の防止)(中学校2年生)
(1)単元の目標
○傷害の防止について,自分の経験や資料,仲間との意見交換などをもとに話し合う活動に,意
欲的に取り組もうとすることができるようにする。
【関心・意欲・態度】
○傷害の防止について,自分の経験や資料,仲間との意見交換などをもとに,考えることができ
るようにする。
【思考・判断】
○傷害の発生には様々な要因があり,それらに対する適切な対策によって傷害の多くは防止でき
ることや,応急手当は傷害の悪化を防止することができることについて理解できるようにする。
【知識・理解】
(2)指導と評価の計画
時
学習内容
思考・判断
知識・理解
〈交通事故や自然災害などによ
る傷害の発生要因〉
交通事故や自然災害などによる
1 傷害は,人的要因や環境要因の
相互のかかわりによって発生す
ること。
交通事故や自然災害な
どによる傷害の発生要
因について,自分の経
験や資料,仲間との意
見交換をもとに話し合
う活動に,進んで取り
組もうとしている。
交通事故や自然
災害などによる
傷害の発生要因
について,予想
したり自分の考
えを整理したり
している。
交通事故や自然
災害などによる
傷害の発生要因
について,言っ
たり書き出した
りしている。
〈交通事故などによる傷害の防
止〉
交通事故などの傷害の多くは,
要因に対する適切な対策を行う
ことにより防止できること。
交通事故などによる傷
害の防止について,自
分の経験や仲間との意
見交換をもとに話し合
う活動に,進んで取り
組もうとしている。
交通事故などに
よる傷害の防止
について,予想
したり自分の考
えを整理したり
している。
交通事故などに
よる傷害の防止
について,言っ
たり書き出した
りしている。
〈自然災害による傷害の防止〉
①自然災害による傷害は,二次
災害によっても生じること。
②自然災害による傷害は,災害
に備えておくこと,周囲の状
況に応じて安全に行動するこ
とで防止できること。
自然災害による傷害の
防止について,資料や
仲間との意見交換をも
とに話し合う活動に,
進んで取り組もうとし
ている。
自然災害による
傷害の防止につ
いて,予想した
り,自分の考え
を整理したりし
ている。
自然災害による
傷害の防止につ
いて,言ったり
書き出したりし
ている。
〈応急手当〉
①応急手当を適切に行うことに
より,傷害の悪化を防止する
ことができること。
②応急手当には,心肺蘇生法が
あること。
応急手当について,資
料や仲間との意見交換
をもとに話し合う活動
や実習に,進んで取り
組もうとしている。
適切な応急手当
について,予想
したり自分の考
えを整理したり
している。
応急手当の意義
や方法について,
言ったり書き出
したりしている。
2∼3
関心・意欲・態度
4︵本時︶
中学校2年生
5∼8
36
(3)本時に用いる内容の整理表
学習内容(きまり)
学習内容(きまり)にかかわる具体例
具体例や方法に用いる用語
①自然災害による傷 ・地震が発生した場合には,家屋の崩壊や ・ 自 然 災 害( 地 震・ 台 風・
害は,二次災害に
家具の落下,転倒による危険が原因とな
洪水・火山爆発など)
よっても生じるこ
って傷害が生じる。
・家屋の崩壊
と。
・地震にともなう,津波,土砂崩れ,火災 ・家具の落下,転倒
などの二次災害によっても傷害が生じる。・二次災害 ・津波
・土砂崩れ ・火災
②自然災害による傷 ・日頃から災害時の安全の確保に備えてお
害は,災害に備え
くことで,傷害は防止できる。
ておくこと,周囲 ・防止のためには,発生時や発生後は周囲
の状況に応じて安
の状況を的確に判断し,冷静・迅速・安
全に行動すること
全に行動することが必要である。
で防止できること。・事前の情報や災害情報を把握することが
必要である。
・日頃からの準備
・状況の的確な判断
・ 落 ち 着 い て, す ば や く,
安全に行動
・災害情報(緊急地震速報)
の把握
(4)資料・指導方法
○指導方法(授業づくり)について
・読み物資料(
【説明1】【説明2】【説明3】)は阪神・淡路大震災にあった家族の様子を紹介し,
各自の考えやグループでの話し合いが深まるように,必要事項を盛り込みつつ,生徒が関心を
もち,具体的にイメージがもてるように作成した。
・学習の流れに沿って活用できるようなワークシートを作成した。
○授業で使用する資料
・緊急地震速報(気象庁ホームページ,一般向けリーフレット)
,チャイム(気象庁ホームページ)
・阪神・淡路大震災による死亡者の死因(阪神・淡路大震災の被害状況をまとめたホームページ
より作成)
・お話1・2・3(阪神・淡路大震災体験談より作成)
〈板書計画〉
自然災害による傷害の防止
各班の発表
1位
2位
3位
4位
各班の発表
…津波,土砂崩れ,火災など
各班の発表
傷害の防止
○緊急地震速報
○自然災害
…地震,台風,洪水,火山爆発など
○地震のとき,どんなことが起こるか
地震に備えて行ったこと,
話し合ったこと
○地震による傷害の防止には
・日頃から備えておくこと
・冷静に判断して,冷静・迅速・安
全に行動すること
・事前の情報や災害情報を把握する
こと
37
(5)1時
時間
(分)
7
学習内容 ☆活動 ・予想される児童の反応
発問
学習内容にかかわること
1 自然災害による傷害の防止のための対策が必要であることを知る。
この音は,何を知らせるチャイム音でしょうか?
☆音を聞いて,何を知らせるチャイム音かを予想する。
☆緊急地震速報について理解する。
☆教科書等の写真を見て,自然災害により生命や生活が脅かされることを実感する。
20
2 地震による傷害が発生する原因について知る。
【説明1】のような状況のとき,あなたならどう行動しますか?
☆【説明1】を読み,自分ならどう行動するかを考え,ワークシートに記入し,発表する。
・出口を確保する ・部屋の外へ出る ・布団で頭を守る
「阪神・淡路大震災」での死因の多い順に,順番を記入しよう。
☆【説明2】を参考にしながら,地震が発生したときはどんな状況になるかを考え,死因
の順番を各自で予想した後,グループで話し合う。
地震が発生した場合には,家屋の崩壊や家具の落下,転倒による危険が原因となって傷
害が生じる。
「奥尻島」で138人が亡くなった原因は何だろう?
☆「奥尻島」で138人の人が亡くなった原因を考える。
地震にともなう,津波,土砂崩れ,火災などの二次災害によっても傷害が生じる。
15
3 地震に備え,どんな対策をとったらよいかを知る。
「地震による被害を最小限に止め,傷害を防止するために」家族が行ったことや,話し合
ったことはどんなことでしょうか?
中学校2年生
☆家族が話し合ったことをグループで予想する。
☆グループの考えをまとめて記入した発表カードを黒板に貼り,発表する。
・家具などを固定した ・ラジオを用意した ・家族との連絡方法を決めた
・防止のためには,日頃から災害発生時の安全の確保に備えておき,発生時や発生後は
周囲の状況を的確に判断し,冷静・迅速・安全に行動することが必要であること。
・事前の情報や災害情報を把握する必要があること。
8
4 本時の学習を確認する。
「地震から命と暮らしを守るキャッチフレーズ」を作って,呼びかけましょう。
☆学習をもとに,地震から「命と暮らしを守るキャッチフレーズ」を作り,発表する。
☆今日の授業で「分かったこと・考えたこと」をワークシートに記入する。
38
間の流れ
○教師の支援 ※評価
つまずきへの対応例
○緊急地震速報のチャイム音であることを伝えてから,ワークシー
ト№1を配布し,緊急地震速報の目的について知らせる。
○教科書の写真等で,自然災害による被害を視覚で理解させる。
○日頃から災害時の安全の確保に備えておく必要があることを理解
させ,本時の学習に意欲的に取り組めるようにする。
○発生時の状況をイメージさせながら,自由に発表させる。
○あわてて外へ飛び出したりせずに,まず身の安全を確保すること
が大切であることを確認する。
○大地震発生時の家の中や町の様子を想像させながら傷害の原因と
なることを予想させ,理由の欄に記入させてから,順位を決めさ
せる。
○グループの中で,発言を1人1項目にするなど,お互いの考えを
発表し合えるように支援する。
○家具の転倒や落下,建物の倒壊による窒息や圧死が死因の77%,
焼死・全身やけどが9%であること等を知らせる。
※自然災害による傷害の防止について,資料や仲間との意見交換を
もとに話し合う活動に,進んで取り組もうとしている。
【関心・意欲・態度】
○地震が発生した場所等について,補足説明をする。
○発言が終了してから,ワークシート№2を配布する。
○地震による傷害は,発生時だけでなく津波などの二次災害によっ
ても発生することを知らせ,教科書で二次災害について確認する。
・「説明1」でイメージで
きない生徒には,自分が
地震にあったときを思い
出させる。
・理由が記入できない生徒
には,「説明2」にアン
ダーラインを引かせ,気
付かせる。
1位 窒息・圧死
2位 焼死・全身やけど
3位 頭部・けい部損傷
4位 内臓損傷
傷害の防止
○傷害の発生の原因の学習をもとに,各自で考えさせてから,グル ・記入できない生徒には,
ープで話し合わせる。
「説明1・2・3」の内
○「普段から準備しておくこと」や「発生時の行動の仕方」などが
容から家族が困ったこと
まとめられるように助言する。
や傷害の発生の原因にな
○各グループの発表内容を整理し,「周囲の状況を的確に判断する
ったことを見つけさせる。
こと」
「冷静・迅速・安全に行動すること」「災害情報を把握する
必要があること」を理解させる。
※自然災害による傷害の防止について,予想したり自分の考えを整
理したりしている。
【思考・判断】
※自然災害による傷害の防止について,言ったり書き出したりして
いる。
【知識・理解】
○授業で分かったことをもとに,「地震から命と暮らしを守るため ・ポスター作成等をイメー
に大切なこと」をキャッチフレーズにまとめさせ,再確認させる。 ジさせ,傷害を防止する
ために大切なことを考え
○授業で分かったことや,考えたことをまとめる。
させる。
39
「傷害の防止(自然災害による傷害の防止)」 ワークシート №1[ 月 日]
2年 組 № 氏名 緊急地震速報 地震による強い揺れを事前に知らせ,人的・物的被害を軽減させることを目指した予報・警報。
平成19年10月1日スタートした。
( )
自然災害 ・・・
その時 あなたは!! 【説明1】
朝,6時少し前。
「ドドッ」と床が鳴り,家がつぶれるかと思うくらいの大きな揺れ
がきて目が覚め,布団から飛び起きた。
「地震だ!」と思った。揺れはまだ続いている。
[質問1]
【説明】のような状況のとき,あなたならどう行動しますか?
大震災から学ぼう !! 【説明2】
私は,はうようにして隣の祖母の部屋に行った。寝ていた祖母の上にタンスが倒れ,
祖母は動けなくなっていた。朝食の準備をしていた母も,出勤の準備をしていた父も祖
母の部屋に来た。父が,
「ガスは消したか? 様子をみて外に逃げよう。また,地震がき
たら家がつぶれる。
」と言った。やっとの思いで3人でタンスを動かし,
祖母を助け出した。
4人で家の外に出ると避難場所になっている近くの小学校に向かった。一番近い道
はがけやブロック塀が崩れるかもしれないという父の判断で,道幅の広い道路を通った。
町はあちこちで家が倒れ,はげしく煙を吹き上げ炎上している家もあった。ガスのに
おいが立ち込める中,けがをした祖母を父が背負い,やっとの思いで避難場所に着いた。
避難所にはたくさんの人が集まっていた。
[質問2]
「阪神・淡路大震災」での,死亡者は 6,434人でした。下の表は死因の1位から4位で
す。
「お話2」を参考に地震のときにはどんな状況になるかを考え,死因の多い順に表に
順番を記入しましょう。
中学校2年生
理由(地震のときどんな状況になるか)
・
・
・
・
・
順位
死 因
頭部・けい部損傷
窒息・圧死
焼死・全身やけど
内臓損傷
[質問3]
「北海道南西沖地震」で被害の大きかった「奥尻島」では230人が亡くなりました。その
うち,138名が[ ]が原因で亡くなっています。
[ ]にはいる原因は何でしょうか?
40
「傷害の防止(自然災害による傷害の防止)」 ワークシート №2[ 月 日]
2年 組 № 氏名 ( )
二次災害 ・・・
【説明3】
避難所で,昨日から友達の家に行っている兄に連絡を取ろうとしたが,電話はつ
ながらず,兄の安否は確認できなかった。
他の地区の被害の状況はどうなっているのか? 水や食べ物はどこに行けばもら
えるのか? など,情報が得られないのが一番の不安だった。また,情報が正しい
のかどうかも,すぐには分からなかったが,ラジオがあったので,だいぶ心が落ち
着いた。
翌日,兄の安否が確認できた私たちは,家に戻り,片付けを始めた。
[質問4]
この地震を教訓に,
『地震による被害を最小限に止め,傷害を防止するために』この家
族が行ったことや,話し合ったことはどんなことでしょうか。
地震の発生に備えて! (普段から・・ 発生時は・・行動は・・)
◇「キャッチフレーズ」を作ろう ◇
地震から命と暮らしを守るために心がけて欲しいことを呼びかけましょう!
傷害の防止
◇1時間の学習を振り返って◇
○今日の授業で「分かったこと」や「考えたこと」
41
単元:
「健康な生活と疾病の予防」
(ウ 喫煙,飲酒,薬物乱用と健康)(中学校3年生)
(1)単元の目標
○喫煙,飲酒,薬物乱用の健康に与える影響について,教師,仲間の意見や資料をもとに,与え
られた課題に取り組もうとすることができるようにする。
【関心・意欲・態度】
○喫煙,飲酒,薬物乱用の防止について,自分の知識や経験,資料,仲間の意見などをもとに,
日常生活に当てはめたり,考えたりすることができるようにする。
【思考・判断】
○喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,心身に様々な影響を与え,健康を損なう原因となること,
また,これらの行為には,個人の心理状態や人間関係,社会環境が影響することから,それぞ
れの要因に適切に対処する必要があることについて理解できるようにする。
【知識・理解】
(2)指導と評価の計画
時
3︵本時︶
学習内容
関心・意欲・態度
〈喫煙と健康〉
喫煙について,教
①たばこの煙の中には有害物質が含まれて 科書,資料を活用
いること。
し,その影響につ
②喫煙により,急性影響が現れること。 い て 調 べ る 活 動
1
③常習的な喫煙により,様々な病気を起こ に,進んで取り組
しやすくなること。
もうとしている。
④未成年の喫煙については,身体に大きな
影響を及ぼし,依存症になりやすいこと。
〈飲酒と健康〉
飲酒について,教
①エチルアルコールが中枢神経の働きを低 科書,資料やビデ
下させること。
オ等をもとに,そ
②大量の飲酒をすると急性中毒を起こし意 の影響について調
2
識障害や死に至ることもあること。
べる活動に,進ん
③常習的な飲酒により,病気を起こしやす で取り組もうとし
くなること。
ている。
④未成年の飲酒については,身体に大きな
影響を及ぼし,依存症になりやすいこと。
〈薬物乱用と健康〉
薬物乱用につい
①乱用薬物の摂取は,激しい急性の錯乱状 て,教科書,資料
態や急死などを引き起こすこと。
等をもとに,その
②薬物の連用は,依存症状が現れたり,中 影響について調べ
断すると様々な障害が起きたりすること。 る活動に,進んで
③薬物乱用は,家庭・学校・地域社会に深 取り組もうとして
刻な影響を及ぼすこともあること。
いる。
〈喫煙,飲酒,薬物乱用を助長する要因と 喫煙,飲酒,薬物
適切な対処〉
乱用と健康につい
①喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,心 て,教師や仲間の
理状態,周囲の人々の影響や社会環境な 意見,資料をもと
4
どによって助長されること。
に自分の考えや意
②それらに適切に対処する必要があるこ 見をまとめる活動
と。
に,進んで取り組
もうとしている。
中学校3年生
42
思考・判断
喫煙と健康に
ついて,教科
書,資料をも
とに予想した
り整理したり
している。
知識・理解
喫煙の行為が健
康を損なう原因
になっているこ
とを言ったり書
いたりしてい
る。
飲酒と健康に
ついて,教科
書,資料やビ
デオを見て,
その影響につ
いて自分の考
えを整理して
いる。
飲酒の行為が健
康を損なう原因
になっているこ
とを言ったり書
いたりしてい
る。
薬物乱用につ
い て, 教 科
書,資料等を
用いて,自分
の考えを整理
している。
薬物乱用の影響
について,摂取
や連用の影響,
家庭・学校・地
域社会への影響
をワークシートに
書き出している。
喫煙,飲酒,薬
物乱用のきっか
けには,様々な
要因が関係して
いることを言っ
たり書いたりし
ている。
喫煙,飲酒,
薬物乱用の防
止について適
切な行動を見
つけ,自分の
考えを整理し
ている。
(3)本時に用いる内容の整理表
学習内容(きまり)
学習内容(きまり)にかかわる具体例
①乱用薬物の摂取は, ・乱用される薬物には,覚せい剤や大麻
激しい急性の錯乱状態
などがある。
や急死などを引き起こ ・薬物乱用は,幻覚や妄想,激しい急性
すこと。
の錯乱状態を引き起こす。
・薬物乱用は,急性中毒で死んでしまう
こともある。
具体例や方法に用いる用語
・覚せい剤
・大麻
・幻覚
・妄想
・錯乱状態
・急性中毒
②薬物の連用は,依存 ・薬物の連用は,身体的,精神的に依存 ・身体的依存
症状が現れたり,中断
を引き起こす。
・精神的依存
すると様々な障害が起 ・中断による障害には,幻覚や妄想が突 ・中断による障害
きたりすること。
然現れるフラッシュバックなどがある。・フラッシュバック
③薬物乱用は,家庭・ ・薬物乱用の家庭・学校・地域社会に及 ・ 家 庭・ 学 校・ 地 域 社 会 に
学校・地域社会に深刻
ぼす深刻な影響には,暴力,性的非行, 及ぼす影響
な影響を及ぼすことも
犯罪などがある。
・暴力
あること。
・性的非行
・犯罪
(4)資料・指導方法
○指導方法(授業づくり)について
・薬物乱用と健康については小学校でも学習しているが,個人の心身への影響や家庭・学校・地
域社会への影響について教科書,パンフレット,視聴覚教材,インターネットなどから資料を
収集し,それらを利用して,さらに「知ること」「考えること」の結びつきを大切にしながら
知識・理解を深められるようにした。
○資料
・教科書
・薬物乱用の資料(新聞やインターネットの記事)
〈板書計画〉
薬物乱用と健康
1 薬物乱用の現状
中学生・高校生による
薬物乱用事件
大麻草を栽培し逮捕された事件
○身体や精神への影響
乱用 → 依存 → 中毒
↓ フラッシュバック
急性中毒
健康な生活と疾病の予防
2 薬物乱用の悪影響
○薬物の種類
○家庭・学校・地域社会への影響
覚せい剤 シンナー等有機溶剤
・暴力 ・性的非行 ・犯罪
大麻 麻薬(コカイン,アヘン,ヘロイン)
3 学習のまとめ
合成麻薬(LSD,MDMA)
マジックマッシュルーム
43
(5)1時
時間
(分)
10
学習内容 ☆活動 ・予想される児童の反応
発問
学習内容にかかわること
1 薬物乱用の現状を知る。
乱用される薬物にはどのような種類があるのでしょうか?
☆薬物にはどのような種類があるか調べ,ワークシートに記入する。
・覚せい剤 ・シンナー ・コカイン ・大麻 ・LSD ・アヘン ・ヘロイン
・MDMA ・マジックマッシュルーム
薬物乱用とはどういうことでしょうか?
☆薬物乱用や所持に関する事件,事例を知り,身近な問題であることを確認する。
○中・高生による覚せい剤乱用事件
○大麻草を栽培し逮捕された事件
・乱用される薬物には,覚せい剤や大麻などがある。
・乱用される薬物を所持するだけでも違法である。
20
2 薬物乱用の身体と精神の影響について予想する。
薬物を乱用すると,身体や精神にどんな影響があるのでしょうか?
☆身体と精神への影響について調べ,ワークシートに記入する。
・正常な脳を変えてしまう。 ・身体的,精神的に依存を引き起こす。
・慢性中毒,薬物精神病になる。 ・急性中毒で死んでしまう。
・薬物乱用は,幻覚や妄想,激しい急性の錯乱状態を引き起こす。
・薬物の連用は,身体的,精神的に依存を引き起こす。
・薬物乱用は,急激に身体に影響を及ぼすものがあり,急性中毒で死んでしまうこともある。
・中断による障害には,幻覚や妄想が突然現れるフラッシュバックなどがある。
10
3 薬物乱用の家庭・学校・地域社会の影響について予想する。
薬物を乱用すると,家庭・学校・地域社会にどんな影響があるのでしょうか?
☆家庭・学校・地域社会への影響について調べ,ワークシートに記入する。
・生活が乱れる ・家庭が壊れる ・勉強が手につかなくなる
・暴力をする ・犯罪を引き起こす
・薬物乱用の家庭・学校・地域社会に及ぼす深刻な影響には,暴力,性的非行,犯罪な
どがある。
10
4 本時の学習を確認する。
薬物乱用について,正しいものに「○」
,間違っているものに「×」をつけ,その理由を
ワークシートに書きましょう。
☆薬物乱用の害について考え,ワークシートに記入する。
中学校3年生
44
薬物乱用の影響について,自分の意見や感想を書きましょう。
☆薬物乱用と健康について,自分の意見,感想をワークシートに記入する。
☆本時のまとめを聞き,次時の学習についての見通しをもつ。
間の流れ
○教師の支援 ※評価
つまずきへの対応例
○喫煙,飲酒の心身への影響についての学習を振り返り,本時の学
習課題につなげる。
・薬物の種類をまとめきれ
ない生徒には,覚せい剤
と大麻を取り上げる。
○自分の身の回りで事件がなくても,新聞等で薬物乱用に関する事
件があることを提示し,身近なところでも起こりうる可能性があ
ることを知らせ,関心をもたせる。
○薬物乱用とは何か,教師の説明で確認をする。
○薬物は所持しているだけでも,法律で禁止されていること,重い
罰則があることについて触れる。
○4∼5名のグループになり,教科書をもとに話し合いながら学習
を進めるよう指示する。
・薬物乱用の影響について,
うまくまとめられない生
徒には,教師が助言する。
○多くの薬物の中から,覚せい剤,大麻を取り上げ,調べるように
指示する。
○グループ内で話し合いの時間を設け,他の生徒の発表から理解が
深まるようにする。
※薬物乱用について,教科書,資料等をもとに,その影響について
調べる活動に,進んで取り組もうとしている。
【関心・意欲・態度】
○教師が教科書を使って説明をしながら,大事な言葉等に下線を引 ・どこに下線を引いてよい
かせ,薬物乱用についての知識が深まるようにする。
のか分からない生徒には,
○身体・精神への影響では,乱用,依存,中毒について,教師が教
大切な言葉を教え,下線
科書を使って説明をし,薬物の摂取による激しい急性の錯乱状態
を引くよう指示する。
や急死などを引き起こすこと,薬物の連用により依存症状が現れ,
中断すると精神や身体に苦痛を感じるようになることを強調する。
○個人の心身の健全な発育や人格の形成を阻害するだけでなく,暴
力,性的非行,犯罪など家庭・学校・地域社会へ深刻な影響を及
ぼすことを教師が教科書等を使って説明する。
※薬物乱用の影響について,摂取や連用の影響,家庭・学校・地域
社会への影響をワークシートに書き出している。 【知識・理解】
・問題が解けない生徒には
教師が一緒に考え,答え
を導くようにする。
○自分の考えが整理できるように,薬物乱用の害について,自分の
意見や感想をワークシートに書かせる。
・うまく意見や感想が書け
ない生徒には,教師が助
言をする。
※薬物乱用について,教科書,資料等を用いて,自分の考えを整理
している。
【思考・判断】
○次時は,薬物乱用を助長する要因と適切な対処について考えるこ
とを伝える。
健康な生活と疾病の予防
○薬物乱用の影響について理解が深まるように,薬物乱用による害
について,ワークシートに「○」「×」を記入させ,その理由を
考えさせる。
45
「健康な生活と疾病の予防(薬物乱用と健康)」 ワークシート [ 月 日]
3年 組 № 氏名 課 題 :薬物乱用の影響について知ろう
[質問1]
薬物にはどのような種類があるでしょうか?
[質問2]
薬物乱用とはどういうことでしょうか?
薬物乱用や所持に関する事件
○ 女子中学生2人による覚せい剤乱用事件
中学2年生女子2名は,男から声をかけられ,ホテルに連れ込まれた際,覚せい剤の使用を
勧められ,吸飲するなどして使用した。
○ 女子高生の覚せい剤乱用事件
高校1年生女子は,交際相手の男のアパートなどで数回にわたって覚せい剤を注射された。
○ 大麻草を栽培し逮捕された事件
関東信越厚生局麻薬取締部は,大麻取締法違反(栽培)の疑いで,元男子学生を書類送検し
た。送検容疑は昨年6月上旬から7月下旬にかけて,市内合宿所のベランダで大麻草2株を
栽培した疑い。
[質問3]
薬物を乱用すると,身体や精神にどんな影響があるのでしょうか?
身体・精神への影響
中学校3年生
46
教師の説明
[質問4]
薬物を乱用すると,家庭・学校・地域社会にどんな影響があるのでしょうか?
家庭・学校・地域社会への影響
教師の説明
[質問5] 薬物乱用の害について,正しいものに「○」
,間違っているものに「×」をつけましょ
う。また,その理由を書きましょう。
Q1 薬物乱用は1回だけならば,いつでもやめることはできる。
( )
(理由)
Q2 薬物の効果が切れると身体に震えがきたり,イライラしたりする症状が出る。 ( )
(理由)
Q3 使用を繰り返すうちに使用量や回数が増えていく。
( )
(理由)
Q4 過去に薬物乱用をしてもやめれば,その後,幻想や妄想に襲われることはない。( )
(理由)
Q5 薬物乱用者は,暴力行為や性的非行,犯罪を起こしやすい。
( )
(理由)
[質問6]
薬物乱用の影響について,自分の意見や感想を書きましょう。
健康な生活と疾病の予防
47
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