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Keysight Technologies 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける

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Keysight Technologies 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける
Keysight Technologies
5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける
課題の検証
Application Note
HARDWARE + SOFTWARE + PEOPLE = 5G INSIGHTS
はじめに
ユーザー、業界、開発者が、5Gの無線テクノロジーに非常に大きな期待を寄せています。頻繁に使用される言
葉の1つに「大規模な(膨大な)」があり、例えば、モバイルデータに対する要求の膨大な増加、接続される機
器数の膨大な増加、モバイルアプリケーションの膨大な増加、というように使用されています。
このような期待に応えられるかどうかは、既存のテクノロジーの進化と新しいテクノロジーの革新にかかって
います。1つの革新的な変化は、大規模マルチ入力マルチ出力(MIMO)アンテナの採用です。これに関するすべ
てが、5Gエコシステム内の大規模MIMOテクノロジーの開発/実装に影響を及ぼします。さらに、これは、数
十本または数百本のアンテナと通信経路で構成される非常に複雑なシステムをシミュレート/デザイン/テス
トするのに必要なハードウェア/ソフトウェアツールにも影響を及ぼします。
このアプリケーションノートは、入門向けに、さまざまな視点を1冊にまとめたものです。最初に、MIMOの
処理について簡単に解説します。次に、MIMOの実装について注目に値する課題の概要を説明します。最後に、
大規模MIMOシステムのシミュレーション、デザイン、テストに関する課題と現在のソリューションのサマリー
を整理します。
03 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
基本的な処理について
無線通信には、4種類のアンテナシステムがあります。シングル入力シン
大規模MIMOの予備知識として、最初にシングルユーザー MIMOシナリ
グル出力(SISO)、シングル入力マルチ出力(SIMO)、マルチ入力シングル
オを説明します。この手法によって特定のユーザーに対するデータレー
出力(MISO)、
マルチ入力マルチ出力(MIMO)です。これらを図1に示します。 トが向上します。現在は、LTEの他に802.11nや802.11acで使用されて
います。
SISOは送信側と受信側にアンテナを1つずつ備えたもので、フェージン
グに対するダイバーシティーは得られません。送信側、受信側、または
シングルユーザー MIMOでは、2つ以上の独立した無線機/アンテナに
送信側と受信側の両方で複数のアンテナを使用すれば、SISO構成よりも
渡って、トランスミッターが1人のユーザーに対してデータを切り替えま
信頼性、容量、またはその両方が向上する場合もあります。
す。各受信アンテナは、すべての送信アンテナからの信号の組み合わせ
を参照します(図2)。送信データの一部は、既知の連続パイロット信号ま
– SIMO:レシーバーダイバーシティーを構築し、高度なアンテナを
たはプリアンブルです。レシーバーはこの既知データを使用してチャネ
使用してビームフォーミングを実装し、信号対干渉ノイズ比(SINR)
ル行列(H)を計算し、行列が得られるとそれを使用して、未知のデータ伝
の向上を実現します。
送をデコードします。トランスミッターには、チャネルに関する情報は
– MISO:トランスミッターダイバーシティーを構築し、高度なアン
テナを使用してビームフォーミングを実装し、信号対干渉ノイズ比
(SINR)の向上を実現します。
必要ありません。必要なその他の計算はすべてレシーバーで行われます。
しかし、バッテリー駆動のユーザー機器(UE)にこのような重い計算負荷
がかかるのは理想的ではありません。
– MIMO:トランスミッターおよびレシーバーダイバーシティーを構
築し、高度なアンテナを使用して送信側と受信側の両方にビーム
フォーミングを実装し、信号対干渉ノイズ比(SINR)とスペクトラム
効率の向上(例:データレートの高速化、セル容量の拡大)を実現し
s0
ます。
TX
Tx
Rx
s1
Tx
:
SISO
Rx
h00
h01
h10
h11
s^0
r0 ...
TX
r1 ...
H-1
s^1
SIMO
図2. この例では、レシーバーが、チャネルの情報[H]に基づいて2つのデータストリームを分離
します。
Tx
Rx
:
MISO
Tx
:
:
Rx
MIMO
図1. マルチアンテナシステムによって複雑さは増しますが、システム性能が向上するという利
点があります。
04 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
システム内の直接相互作用と交差相互作用を表わすために、行列演算を
行列からわかるように、各アンテナで送信される信号、x0およびx1は、
使用できます。
各ユーザーのシンボルを組み合わせたs0およびs1になります。図3のレ
r0
h 00
r 1 = h 10
[ ] [
シーバー側では、基本的な処理が以下のように進みます。
s0
s1
h 01
h 11
][ ]
– ユーザー 0に対しては、すべてのアンテナから送信されたs0成分が
^=H-1 Rです。シングルユーザー MIMOでは、
この式から、R=HSつまりS
受信信号をデコードするために必要なH行列をレシーバーが正しく生成
できるマルチパス環境が必要です。
同位相で到達するので加算されます。s1成分は逆位相で到達するの
で互いに相殺され、s0だけが1番目のレシーバーに残ります。
– ユーザー 1に対しては、s0信号が相殺されてs1信号が加算され、s1の
みが2番目のユーザー入力に残ります。
次に、マルチユーザー MIMOを検証します。マルチユーザー MIMOとシ
この処理の難しい部分は、W行列を生成するのに必要なチャネルステー
ングルユーザー MIMOにはいくつかの違いがあります。例えば、マルチ
トをトランスミッターが認識する方法です。いくつかの手法があります
ユーザー MIMOでは複数のアンテナを備えた1つのトランスミッターと、 が、これらの詳細な説明はこのアプリケーションノートの目的から外れ
1つのアンテナを備えた複数の独立したレシーバーを使用する場合があり
るのでここでは説明しません。
ます(図3)。
チャネル情報は、シングルユーザー MIMOではレシーバーに存在し、マ
その他の違い:図3のW行列に示されるようにトランスミッターはデータ
ルチユーザー MIMOではトランスミッターに存在します。電力を消費す
をプリコード化します。ここでも、送信側と受信側のシステム内の直接
るすべての計算がトランスミッターで行われる点で、マルチユーザー
相互作用と交差相互作用を表わすために行列演算を使用できます。
x
w
[x10] = [w1000
s^ 0
h 00
s^1 = h 10
[ ] [
w01
w11
h 01
h 11
MIMOは、レシーバーがバッテリー駆動しているシステムに非常に魅力
的な手法と言えます。
s
] [s10]
大規模MIMOは、ユーザー端末の数よりもはるかに多い基地局アンテナ
を使用するマルチユーザー MIMOです。
x
] [x10]
この式から、W=HT (HHT)-1 です。
s0
x0
W
s1
TX
x1
h00
h01
h10
r0 ...
RX
s^0
r1 ...
RX
s^1
h11
図3. この簡単な例では、トランスミッターが、チャネルの情報[H]によってデータをプリコード化(W)する役割を果たしています。
05 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
複数アンテナの協調
の数が増加しています。(e)の例では4つの素子を使用していて、すべて
図4に、一定の間隔で配置したアンテナ素子を使用した場合の影響を示し
ます。(a)から(d)の例では、すべて、同じ信号を同じ位相で各アンテナに
送信しています。アンテナ素子の数が増加すると、位相関係によって信
号エネルギーが加算されたり相殺されたりするので、エネルギーが集中
します。
の素子が90 °の位相シフトで励振されています。これにより、メインロー
ブが−30 °だけシフトしています。一般的に、各素子を励振する信号の
位相をシフトさせると、ビーム方向が変化してアレイに直交する向きか
ら離れていきます。このような位相シフトの制御により、ビームステア
リングが可能になります。
図4の上にある、(a)と(b)の例は最も単純なケースです。下の(c)と(d)の例
では、3つ以上のアンテナ素子を使用したことによりサイドローブとヌル
メインローブ=0 °の方位角
ヌル数=1
メインローブ=無指向
0°
−30 °
0°
+30 °
−30 °
+60 °
−60 °
−90 °
+90 °
−60 °
+60 °
−90 °
1つのアンテナ素子
+90 °
2つのアンテナ素子
0.5波長間隔
アンテナ素子毎に0 °の位相シフト
(a)
(b)
メインローブ=0 °の方位角
ヌル数=2
メインローブ=0 °の方位角
ヌル数=3
0°
−30 °
メインローブ=−30 °の方位角
ヌル数=3
0°
+30 °
−60 °
−30 °
+60 °
−90 °
+90 °
3つのアンテナ素子
0.5波長間隔
アンテナ素子毎に0 °の位相シフト
(c)
+30 °
0°
+30 °
−60 °
−30 °
+60 °
−90 °
+90 °
+30 °
−60 °
+60 °
−90 °
+90 °
4つのアンテナ素子
0.5波長間隔
アンテナ素子毎に0 °の位相シフト
4つのアンテナ素子
0.5波長間隔
アンテナ素子毎に90 °の位相シフト
(d)
(e)
図4. 多くのアンテナ素子を使用して位相関係を制御すれば、送信信号に対してより優れた制御が行えます。
以上から、各アンテナ素子の信号位相を制御すれば、ビーム方向を変更で
きることがわかります。アンテナパターンを制御する基本的な手法は2つ
あります。ビームステアリングとビームフォーミングです。図5は、行列
に基づいた手法によって8種類の位相関係を作成するもので、8種類の離
8ポートの
Butlerマトリクス
散的なビーム位置を選択できます。これがビームステアリングの例です。
8つから1を
選択された
固定ビームと
その他の組み合わせ
図5. ビームステアリングにより、送信信号の方向を離散的に制御できます。
UE1
06 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
使用するのに最適なビームを決定する方法は2つあります。1つは、トラ
各セルからの信号の方向を指定できれば、複数のセルを同じ場所に配置
ンスミッターが各ビームパターンの直交コードを送信して、UEが最も強
す る こ と が( コ ロ ケ ー シ ョ ン )で き ま す( 図8の 左 図 )。 例 え ば、IEEE
い受信信号を通知する方法、もう1つは、トランスミッターがUEのアッ
802.11adでは複数の個別のリンクを基本的に同じ領域で使用しています
プリンク信号の到来角(AoA)を測定し、その角度に最も近いビームを選択
が、これらは互いに干渉しません。
する方法です。
これらの方法とは異なり、ビームフォーミングはオンザフライでチャネ
ルステート情報を予測して、各アンテナ素子向けに特定の重み付けを計
算します(図6)。これにより、離散的ではない、特定の角度のビームを指
定できるようになり、サイドローブとヌルの方向も制御することができ
るようになります。それ以外に、考慮しなければならないことは、ビー
ムフォーミング法が、前述のマルチユーザー MIMOに関する説明で示し
たW行列の計算に直接リンクしていることです。
図8. 方向の制御によってコロケーションが可能になります(左図)。大規模MIMOを追加すれば、
さらにすべてのサイドローブとヌルを制御できます(右図)。
アダプティブ
ビームフォーマー
UE1
図8の右側は大規模MIMOのケースで、同じ3つのセルが協調的な方法で
動作している状態を示しています。すべての信号を協調制御することで、
各ユーザーの性能が向上します。左図と右図を比較すると、右方向を指
す信号に差があることがわかります。信号を協調制御して大規模MIMO
を使用した場合は、左図の右方向を指す信号上にあった、別の信号から
補償
計算
受信信号とチャネル予測に基づいて
アンテナの重み付けと
ビームパターンを制御
のサイドローブが消失しています。また、右図では、他のアンテナから
生じたパターンのヌル位置に各信号が発生しています。これにより、各
ユーザーの性能がさらに向上します。
マルチユーザー MIMOでは、アンテナアレイを協調的な方法で使用する
図6. アダプティブビームフォーミングにより、送信信号をあらゆる方向に連続的に指定できる
ようになります。
最後の基本的な要素は、コロケーションと大規模MIMOの比較です。最
初に、従来の無指向性アンテナによるセルのクラスターから考えます。
図7の左図で、SINRはアンテナの近く(緑色の領域)では良好ですがセル
境界近く(オレンジ色の領域)になると悪化する傾向があります。図7の右
側のように、ビームステアリングを使用して特定のユーザーの方向に多
くのエネルギーを集中させれば、セル境界の低いSINRの対策が可能です。
この手法は、セル境界での性能に関する問題を解決するために、LTEに
実装されています。
図7. セル境界での性能が悪い場合(左図)は、ビームステアリングを使用すればSINRが向上しま
す(右図)。
ことが不可欠です。考え方のキーポイントは、送信信号が目的のユーザー
に対して最も強くなり、かつ、信号のヌルがそれ以外のユーザー位置の
中央になるように、電気的にアレイを制御することです。
07 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
大規模MIMOの実装に関する課題
全体を理解するために、このセクションでは最初に、TDDシステムの大
規模MIMO処理の概要を簡単に説明します。この知識は、後で説明する、
間隔と数の異なるアンテナを使用した大規模MIMOの2通りの2次元シ
ミュレーションの基礎となります。この知識を元に、「適切なアンテナの
個数は?」という問いに対する答えを検討できます。以下の3つの要素を
組み合わせると、大規模MIMOの実装に成功するために解決しなければ
TDDとFDD
今日、確認されている多くの情報から、FDDシステムでは実用的
に 大 規 模MIMOを 使 用 で き そ う に な い こ と が わ か っ て い ま す。
TDDでは、システムが十分なアップリンクパイロットを送信する
だけで、多くの端末に対して直交シーケンスを実現できます。
ならない課題の概要がわかります。
FDDでは、アップリンクチャネルのトレーニング処理が必要にな
TDDにおける大規模MIMOの使用
テムは、基地局のアンテナ素子数に比例した数のシンボルを送信
ります。ダウンリンクチャネルをトレーニングするために、シス
大規模MIMOのアプリケーションを理解するには、TDDの動作に関する
いくつかの詳細を理解する必要があります。図9を参照すると、チャネル・
コヒーレンス・タイム中に3つの事象が発生していることがわかります。
最初に、すべてのUEが、多数の直交アップリンク・パイロット・シンボ
ル(シンボルスケールの数とUEの台数)を同時に送信します。
する必要があります。さらに、各UEは、ダウンリンクのチャネル
ステート情報を計算しなければならず、その後、その情報を基地
局に返信した後でないと使用可能になりません。
このようなオーバーヘッドが追加されるため、FDDシステムでは
実用的に可能なアンテナ素子数が制限されます。例えば、移動し
ながら快適に使用できる状況でのアンテナと端末の総数は約60と
コヒーレンスインターバル(Τ OFDMシンボル)
τrp
アップリンクパイロット
Τ – Ι - τrp
Ι
計算
ダウンリンクQAMシンボル
図9. TDDの場合、コヒーレンスタイムは、アップリンク・パイロット・シンボルとダウンリンク・
データ・シンボルの送信でほとんどが占められます。
次に、基地局は、受信信号からただちにプリコード化行列を計算します。
各端末のパイロットシーケンスは独自なので、基地局は各ユーザーから
のパイロット信号を識別できます。受信パイロット信号によって、各UE
から各アンテナまでのチャネルステート情報が提供されます。基地局は
この情報を使用して、マルチユーザー MIMOで説明したプリコード化行
列(W)を計算します。
最後に、基地局は多くのダウンリンクシンボルを各UEに送信します。す
べての端末に対するダウンリンクシンボルはプリコード化行列によって
重み付けされ同時に送出されます。このような状況では、チャネル・コヒー
レンス・タイムを、測定されたチャネルステート情報が有効な時間の長
さとして定義することができます。さまざまな要素がコヒーレンスイン
ターバルの長さに影響を及ぼします。このような要素には、例えば、シ
ステムのキャリア周波数、サポートされる移動体の数などがあります。
一般的に、キャリア周波数が高くなったり移動体の動きが高速になると、
チャネル・コヒーレンス・タイムは減少します(これは、「その他の課題」
に後述します)。
これにより、再び、マルチユーザー MIMOの利点が浮き彫りになります。
マルチユーザー MIMOでは、負荷のかかる計算は、すべて、UEではなく
基地局で行われます。UEは、単に、アップリンク・パイロット・シンボ
ルを基地局に送信するだけです。
チャネル・コヒーレンス・タイムの多くは2つの目的に費やされています。
1つはUEがアップリンクパイロット信号を送信すること、もう1つは、基地
局がダウンリンク・データ・シンボルを送信することです。アップリンクデー
タを送信しなければならない場合、この時間は、アップリンクデータ、アッ
プリンクパイロット、ダウンリンクデータを送信する時間に等分されます。
計算されます。つまり、システムが対応できるのは最大50本のア
ンテナと10台のUEです。しかし、これは、数百本のアンテナを使
用するときに大規模MIMOで実現できるさまざまな性能向上と比
較すると、ほとんど効果がありません。
UEの数とセル容量
必要なチャネルステート情報を作成するために、すべてのUEから
直交パイロットシンボルが同時に送信されます。セルにある端末
が多いほど、ユーザーを区別するためにより多くのシンボルが必
要です。このように、アップリンク・パイロット・シンボルを送信
するのに必要なトレーニングタイムの長さは、ユーザー端末の数に
よって変化しますが、基地局アンテナの本数には依存しません。
このトピックに関する早期の研究によると、平均セル容量の最適
化を考慮した場合、チャネル・コヒーレンス・タイムの約半分はアッ
プリンク・パイロットのトレーニングに費やす必要があるという
のが初期の結論でした 1。その後の研究によって、アップリンク容
量とダウンリンク容量の両方を最適化するには、コヒーレンスタ
イムの3分の1をアップリンクデータに、3分の1をアップリンクパ
イロットに、3分の1をダウンリンクデータに費やす必要があると
報告されました 2。最適な端末の数はコヒーレンスタイムによって
変化しますが、平均スループットはコヒーレンスタイムには依存
しません。
さらに、セル容量はセルサイズに依存しません。つまり、端末の
数を増やすには、セルサイズを縮小してセルの数を増やすのが最
適な方法です。
1.
2.
How Much Training is Required for Multi-User MIMO?, Thomas L.
Marzetta
Noncooperative Cellular Wireless with Unlimited Numbers of Base
Station Antennas, Thomas L. Marzetta
08 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
複数のUEを使用したシミュレーション
図11は、λ間隔で配置された200本のアンテナ素子のシミュレーション
大規模MIMOを、1つの基地局周辺の空間に存在する複数ユーザーの「空
間多重化」と考えるとわかりやすい場合があります。前のセクションで説
明した仕組みにより、各UEは基地局のすべてのリソースを利用できます。
結果です。こちらも、自由空間への放射で、シミュレーションは経路損
失のみを考慮しています。アンテナ開口が広ければ、システムはより細
いビームを出力できるので、ビームを各UEの中央に合わせることができ
ます。
4人 の ユ ー ザ ー と1つ の 基 地 局 の 関 係 を 示 す た め に、MathWorks社 の
MATLABを使用して2つのケースを2次元でシミュレートしました。両方
のケースで、各UEは1本のアンテナを、基地局はマルチ・アンテナ・アレ
イを備えています。基地局#1は、半波長(½ λ)の間隔で配置された50本
UE2
UE1
の無指向性アンテナ素子から構成されるリニアアレイを備えています。
基地局#2は、全波長(λ)の間隔で配置された200本の無指向性アンテナ素
子から構成されるリニアアレイを備えています。
図10は、½ λの間隔で配置された50本のアンテナ素子のシミュレーショ
ン結果です。これらは自由空間(例:散乱要素のない空間)への放射で、
UE3
シミュレーションは経路損失のみを考慮しています。明確にするために、
UE4
各UEに向かう信号エネルギーを別のパネルに示しています。各UEの幅
は15,000 λ、高さは2,000 λです。各ユーザーに対する信号は別々に示
されていますが、それぞれの信号は、時間/周波数リソースを共有して、
すべてのユーザーに同時に送信されています。
ターゲット UE
(ソリッド)
UE2
ビクティム UE
(ホロー)
図11. 200本のアンテナを使用した大規模MIMOにより、信号とヌルの配置の精度が大幅に向上
します。
UE2/UE3の信号で、ビームを狭くした効果を非常にはっきりと確認でき
ます。200本のアンテナにより、目的のユーザーにエネルギーを直接向
けることができ、同時に、近くにいるユーザーにヌルを配置することが
できます。
50本の無指向性素子
リニアアレイ
½ λ間隔
シミュレーションによって、もう1つ、興味深い結果がわかりました。ア
ン テ ナ の 数 が 増 え る と、 ア ン テ ナ が50本 の 場 合 よ り も 全 パ ワ ー が
12.6 dBだけ減少します。これは興味深い現象ですが、より大きな疑問
が生じます。エネルギーは保存されているのでしょうか?全送信パワー
UE3
UE4
図10. 50本のアンテナを使用すると、信号とヌルの方向制御がある程度、向上します。
は低下しましたが、信号変換(ADCまたはDAC)と処理に必要なパワーの
総量には大幅な増加があると思われます。このシミュレーションではそ
のような種類の消費電力を考慮できませんが、Dr. Thomas Marzettaが
実証した最近の研究調査では、64素子の大規模MIMOアンテナでは、
1/500に消費電力が低下することが示されています 1。
UEごとに、ステアリング係数によって各「ビクティムユーザー」の位置
(例:ターゲット以外の3つのUE)にヌルが生成されます。ヌルが広い範
囲をカバーする場合もあれば、非常に狭い場合もあります。この観点から、
「ヌルステアリング」とビームステアリングの両方に注意を払って大規模
MIMOを再構成することに多くの関心が寄せられると思われます。この
結果、各ユーザーは、「空間多重化」の実装により、使用可能な周波数/
時間リソースを共有できるようになり、自分向けの信号のみを受信でき
るようになります。
最も遠方のユーザー 2人(UE2とUE3)が角度の広がりの観点で似ている
ことに注目してください。アンテナ素子が50本の場合、ここで使用され
ているアルゴリズムでは、各ユーザーに直接エネルギーをビーム出力し
ながら同じ方向にヌルをステアリングできません。UE2とUE3の場合、
各ユーザーはビームの境界からしかエネルギーを収集することができま
せん。つまり、送信エネルギーのほとんどが浪費されることになります。
1.
Dr. Thomas Marzettaはキーサイトと直接関係はありませんが、この分野における同
氏の研究の成果に敬意を払っています。大規模MIMOの発明者であると同時に、彼は、
ベル研究所のLarge Scale Antenna Systemsプロジェクトのグループリーダーであ
り、FutureX大規模MIMOプロジェクトの共同代表でもあります。このアプリケーショ
ンノートは同氏の研究を参照しており、可能な限り、元の資料のリンクを提供して
います。
09 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
適切なアンテナ本数の予測
前述のシミュレーションは、早期の研究を論理的に拡張して最適な基地
局 ア ン テ ナ の 数 を 求 め る た め の も の で す。 こ の ト ピ ッ ク に 関 す る
Marzetta氏の元の論文では、1/2/4/8/16本のアンテナを使用して解析し
ています。結論は、SINR値の広い範囲で、アンテナの数を増設するとス
ループットも常に向上します 1。
最近の論文で、Marzetta氏は、解析を無限個のアンテナにまで拡張して
います。しかも、「多いほど良い」という事実は変わりません。無限個の
アンテナを備えたシステムは明らかに実用的ではありませんが、解析に
よれば、アンテナを増やせば増やすほど、性能が向上します 2。
分離した研究者グループが、実際のアレイで実現可能な数の範囲でどの
程度の向上があるのかを定量化するために、第3の研究を指導しています。
彼らの結果は、数百本のアンテナで十分なこと、それ以上の数になると
利益が減少することを示唆しています 3。
1.
2.
3.
How Much Training is Required for Multi-User MIMO?, Thomas L. Marzetta
Noncooperative Cellular Wireless with Unlimited Numbers of Base Station
Antennas, Thomas L. Marzetta
Massive MIMO in the UL/DL of Cellular Networks:How Many Antennas Do We
Need?, Jakob Hoydis, Stephan ten Brink, M´erouane Debbah
10 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
その他の課題
SIRの管理
大規模MIMOの実装を成功させるまでの道筋には、少なくとも、3つの大
高いSIRが望ましいのは、高いスループットが保証されるからです。しか
きな障害があります。相反性誤差、信号対干渉比(SIR)、チャネル・コヒー
し、直観に反して、SIRは、UEが基地局に近くなるほど低下します。そ
レンス・タイムです。
のようになる主な理由は、最も遠方にあるUEからの信号のエラーが最も
強くなって、基地局に近いUEに対して最も悪い影響を与えるからです。
相反性誤差の扱い
TDDシステムでは、アップリングパイロット信号受信とダウンリンクデー
タ送信の間の期間は、チャネルが変化しないことを前提にしています。
これは、コヒーレンスタイムとコヒーレンス帯域幅の定義に基づいてい
ます。コヒーレンスタイムはチャネルの安定が維持される期間で、この
安定期間内に計算されたチャネル予測を使用する必要があります。これ
は、すべての動作がチャネル・コヒーレンス・タイム内に収まっている
場合に限って、基地局とUEの間のチャネルに関する適切な前提条件にな
ります。
以上のことから、チャネルステート情報の確度が非常に重要な要素にな
ります。ノイズ、パイロット混入、差動位相ノイズのすべてがチャネル
ステート情報に影響を与えます。
すべてのアンテナに対する位相雑音が共通であれば問題が生じることは
ありませんが、素子間の位相雑音が異なると、相互作用の前提条件が成
立しなくなる可能性があります。位相雑音が異なると、トランスミッター
素子とレシーバー素子が共通の基準のみを共有して、共通の局部発振器
(LO)を共有しなかった場合にノイズが上昇します。この問題は、LOの分
別の種類の問題は、送信回路と受信回路の相反性です(図12)。これらは
明らかに異なる回路で、各々の遅延と利得が異なります。厳密な位相合
わせが重要になります。シミュレーションでは、トランシーバーからレ
シーバーへの位相誤差が1 °
(RMS値)程度でも、SIRに大きな影響を及ぼ
配経路が長すぎるために、物理的に大きなアレイの離れた素子間で位相
誤差の相関がなくなる場合にも生じます。
チャネル・コヒーレンス・タイム内の維持
すことが確認されています。したがって、システムはこれらの誤差を校
チャネル相反性の前提条件は、すべての動作がチャネル・コヒーレンス・
正して、アンテナアレイのすべての素子間で一貫性のあるオフセットを
タイム内に生じる場合に限って有効です。チャネルステート情報は、ど
保証する必要があります 1。
の程度の期間、有効なのでしょうか?移動中のUEでは、1/4波長を移動
するのにかかる時間内は有効であり続けると仮定するのが適切です。
TX経路
パワー制御
表1は、4種類の速度の歩行者/自動車チャネルモデルに対する、3つの候
補キャリア周波数の1/4波長の移動時間を示したものです。2 GHzは今日
のセルラーシステムで使用されているもので、遅い方から3つの速度では
PA
DAC
アンテナ
問題ないように見えます(すべて、現在の3GPPチャネルモデルから引
用)。28/60 GHzは5Gで検討されているものですが、数値は歩行者ケー
ス(3 km/h)では良好に見えますが、より高速な自動車の速度では、大規
模MIMOを使用できない可能性があります。
利得制御
LNA
表1. 1/4波長を移動するのにかかる時間は、移動速度とキャリア周波数の関数になります。
ADC
搬送周波数
RX経路
図12. トランスミッター回路とレシーバー回路の違いにより、大規模MIMOシステムで相反性誤
差が生じる可能性があります。
速度
2 GHz
28 GHz
60 GHz
3 km/h
45 ms
3.2 ms
1.5 ms
30 km/h
4.5 ms
320 μs
150 μs
120 km/h
1.125 ms
80 μs
37 μs
500 km/h
27 μs
19 μs
9 μs
パワーアンプ(PA)も重要な役割を果たします。特に、利得圧縮(利得リニ
アリティー)とAM/PM変換の両方によって誤差が生じる可能性がありま
す。例えば、トランスミッター経路のパワーアンプに、出力可能なすべ
てのパワーレベル範囲で数度の位相シフトが生じるAM/PM成分がある
と、レシーバー経路の低雑音増幅器(LNA)に生じる位相シフトが同じで
はなくなり、これが問題になる可能性があります。同様に、パワー制御
増幅器(トランスミッター)と利得制御増幅器(レシーバー)でも、異なる
位相シフトが生じる可能性があります。
1.
テストでは、システムのデザイン許容範囲内で正確な校正を確保できる程度に、ア
ンテナの安定状態が十分に維持される必要があります。
11 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
大規模MIMOのテストにおける問題/ソリューションの
検証
ミリ波周波数
大規模MIMOとミリ波周波数への移行は、5Gへの期待に応えるために必
5Gでミリ波周波数を適切に使用するには、ビームフォーミングと
ビームステアリングが必要になると思われます。ミリ波バンドの
要な進化と革新な変化の例です。これらを含むさまざまな変化は、同時に、
下側の60 GHzを含む特定の帯域では、小さいアンテナ口径と大気
シミュレーション・デザイン・テスト、測定、解析の進化と革新に対す
吸収に起因して、経路損失が高くなります。これによって、有効
るニーズになります。
な伝搬距離が大幅に短縮されます。
課題のまとめ
ミリ波を使用するには、高利得の指向性アンテナも必要です。こ
利用可能なテストポイントの数は、私たちが今日までに慣れ親しんだも
のアプリケーションノートの別のセクションで説明したように、
のとは大幅に異なります。例えば、パッケージレベルにアンテナとアン
基地局は数百本のアンテナを使用し、ユーザー端末は16本未満の
プが集積されている場合は、ほとんどすべてのテストがウエハープロー
アンテナを使用することになりそうです。幸い、このような周波
ブでは不可能なので無線で行う必要があります。ベースバンド側では、
数ではアンテナアレイが非常に小さいので、多数の素子を使用す
現在使用されているアナログ波形ではなくデジタルの入力テスト信号(多
ることができます。ビームフォーミングまたはビームステアリン
くの場合、ファイバー経由)が必要になる場合があります。
グはアップリンクにも必要になりそうです。
周波数が高くなり、帯域幅はますます拡大しています。今日、通信シス
テム向けの多くの測定器は、6 GHzの搬送周波数、160 MHzの変調帯域
幅に制限されています。このような両方の制限により、5Gのテストは非
常に難しくなります。
ソリューション例の紹介
大規模MIMOシステムの研究開発を支援するために、キーサイトは、現
必要な測定チャネル数は未解決ですが重要な問題です。一般的な大規模
MIMOのデザインは、数十∼数百本のアンテナによる構成が想定されま
す。キーサイトは、現在、コスト、カバレージ、測定時間を調査しながら、
このようなシステム用のテスト手法を探求しています。
在使用可能なハードウェア/ソフトウェア製品をベースにしたリアルタ
イムビームフォーミング測定システムを構築しました。図13は、8チャ
ネルシステムの上位レベルのブロック図です。システムは3つの主要な機
器で構成されています。
システム性能の検証は、非常に複雑になり、時間がかかり、高価になる
可能性があります。例えば、大型のエミュレーションシステムの構築、
特にミリ波周波数を使用する場合は非常に費用がかかります。信頼性の
高いシミュレーションデータがプロセスの重要な一部になると思われる
ので、容易にシミュレーション結果と測定データを結合できるソリュー
ションの利点を活用して、新しい解析を実現し、市場投入までの期間を
短縮する能力が必要になります。
– W1462 SystemVue FPGA Architect
(図の左上と右上)。
– M8195A 65 GSa/s、4チャネル任意波形発生器(AWG)
(図の左下)。
– 1スロットのAXIeモジュール当たり65 GSa/sのチャネルを4つ提
供。5スロットシャーシに4モジュールを収容してM8197A同期
モジュールを使用すれば、16個のコヒーレントなチャネルとし
て構成可能。
– M9703A AXIe 12ビット高速デジタイザ/広帯域デジタルレシー
バー(図の右下)。
– 1つのAXIeモジュールで8チャネルを提供。5スロットのAXIeシャー
シを使用して32個のコヒーレントチャネルとして構成可能。
SystemVue
SystemVue
デジタイザ制御と
ダイナミックプロット
波形発生
I/Qデータファイル
ビームの
重み付け
8チャネル
(1800 MHz)
図13. このように測定器とソフトウェアを組み合わせることで、リアルタイムビームフォーミング測定が可能になります。
復調
シンボル
12 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
M8195A AWGを使用すれば、AWGモジュールの1つのチャネルから、 測定アルゴリズムは、SystemVueで開発されたもので、内蔵のSystemVue
IPブロック、SystemVueの外部で作成されたVHDLコード、FPGAメー
直接、変調RF/IF信号を出力できます。この手法により、最高20 GHzの
RF信号を作成できます。ソフトウェアで、元のI/Q波形はAWGのサンプ カーから提供されたIPブロックを使用しています。SystemVueプラット
リングレートにアップサンプリングされ、搬送周波数に変調されます。 フォームにより、シミュレート済みまたは測定済みI/Qデータを使用して
この処理の出力はAWGメモリにロードされます。M8195Aを使用すれば、 プロセスのシミュレーションを実行できます。アルゴリズム開発を検証
3つの領域(既存の2 GHz以下の帯域、6 GHzまでの新しい帯域、15 GHz した後、SystemVueによってFPGAイメージが作成され、デジタイザハー
の調査帯域)のすべてのRF信号を直接出力できます。この周波数より高 ドウェアでリアルタイムに手順を実行できます。
い信号については、M8195Aで変調IF信号を作成して、AWGとハードウェ
アアップコンバーターを組み合わせて実現できます。信号がAWGにロー
システムが適切に動作するかどうかは、正確なタイミング、調整、校正
ドされる前にソフトウェアでI/Q変調が行われるので、M8195Aを使用す
に依存します。タイミング/調整は、M8195A/M9703Aの性能によって
る場合はI/Q帯域幅に対する従来の制限が適用されなくなります。
決まります。AWGのタイミング仕様は1つのモジュールで±6 ps、モ
ジュール間で±100 psで、さまざまな遅延コマンドを使用して0 psに調
図14のブロック図は、機能とデータフローをより詳細に示したものです。 整できます。デジタイザでは、内部校正とマルチモジュールの同期を行っ
左から右に移動するに従って、プロセスは以下のように進みます。
た 後、 す べ て の チ ャ ネ ル で タ イ ミ ン グ 精 度 は ±50 psで す( 同 期 は
M9703Aモジュールを複数使用する場合に必要です)。
– 波形を作成し、SystemVueでAWGのサンプリングレートにアップ
サンプリングします。
簡単な校正プロセスにより、±1 psというタイミングの再現性を実現で
– I/QデータファイルをRF搬送周波数に変調してから、M8195Aに転
きます。
送します。
– 両方のAWGモジュールを同期させて、正確な出力を確保します。
– IF中心周波数で連続波(CW)信号を入力します。
– 出力は1つの波形または連続波形である可能性があります。
– チャネル1に対する各チャネルの位相を測定します。
– M8195Aの各チャネルの出力でハードウェアFIRフィルターを使
– 位相差を時間差に変換します。
用してタイミングオフセットを加算できます。
– 各チャネルのFIRフィルタリングを使用して、AWGチャネルに時間
– M8195A AWGは、RFまたはIF搬送周波数で最大8チャネルを同時に
差を加算します。
出力できます。
– SystemVueによってM9703Aデジタイザの制御が可能になり、収集
信号のダイナミックプロットも実行できます。
– M9703Aデジタイザは、最大8チャネルを同時に測定できます。
– 内蔵FPGAが、復調やビームトラッキングなどの信号処理機能を
実行します。
– ビームの重み付けや復調シンボルなどのデータがSystemVueに
転送されて表示されます。
M9703A
M8195A
M8195Aの制御
• 波形のロード/変調
DAC
FIR
ADC
• 複数のAWGモジュール
DAC
FIR
ADC
DAC
FIR
ADC
DAC
FIR
ADC
の同期
• 1つの波形または
連続波形の再生
メモリ
SystemVue
• FIRフィルターによる
タイミングオフセットの
加算
DDC
フレーム
同期
DDC
フレーム
同期
DDC
フレーム
同期
DDC
フレーム
同期
FPGA
‐
FPGA
ビーム
トラッ
キング
メモリ
M8197A
復調
FPGA1
FPGA2
ADC
DAC
FIR
DAC
FIR
DAC
FIR
ADC
DAC
FIR
ADC
M8195A
FPGA0
ADC
図14. SystemVueは、波形作成、AWG制御、デジタイザ制御、データプロットが可能な統合環境です。
FPGA
‐
FPGA
FPGA
‐
FPGA
FPGA3
SystemVue
13 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
まとめ
5Gでは、議論の対象が期待性能であろうと、候補になるMIMO方式の実装であろうと、
「大規模」がキーワー
ドになります。あらゆる側面に適合するためには、既存のテクノロジーの進化と新しいテクノロジーの革
新が必要です。このような進化と革新は、同様に、5Gおよび次世代無線エコシステムを開発するのに必
要なツール̶ハードウェア/ソフトウェア̶にも適用できます。
キーサイトの5Gソリューションを使用すれば、詳細な解析が可能になり、規格に伴ってテストもソリュー
ションも進化させることができます。デザイン/テストでキーサイトのソリューションを使用すれば、提
案を現実にするために、既存のテクノロジーの進化と新しいテクノロジーの革新を実現できます。競争は
既に始まりました。キーサイトは、進化から革新へ、革新から現実へと、お客様がリードできる製品を提
供します。
関連情報
– Technical Overview:
『Keysight EEsof EDA SystemVue』、カタログ番号5990-4731JAJP
– Application Note:『Keysight SystemVueによるFPGAプロトタイプの作成』、
カタログ番号5991-1113JAJP
– Data Sheet:『M8195A 65 GSa/s任意波形発生器/M8197Aマルチチャネル同期モジュール』、
カタログ番号5992-0014JAJP
– Data Sheet:『Keysight M8190A任意波形発生器 12 GSa/s 任意波形発生器』、
カタログ番号5990-7516JAJP
– Data Sheet:『M9703A AXIe高速デジタイザ/広帯域デジタルレシーバー』、
カタログ番号5990-8507JAJP
– Data Sheet:『M9393A PXIe高性能ベクトル・シグナル・アナライザ』、
カタログ番号5991-4538JAJP
– Brochure:『Xシリーズ シグナル・アナライザ』、カタログ番号5992-1316JAJP
– Data Sheet:『UXA Xシリーズ シグナル・アナライザ、マルチタッチ N9040B』、
カタログ番号5992-0090JAJP
– Data Sheet:『PXA Xシリーズ シグナル・アナライザ、マルチタッチ N9030B』、
カタログ番号5992-1317JAJP
– Data Sheet:『Keysight マイクロ波標準信号発生器』、カタログ番号5991-4876JAJP
– Data Sheet:『Keysight E8267D PSGベクトル信号発生器』、カタログ番号5989-0697JA
– Selection Guide:『標準信号発生器セレクションガイド』、カタログ番号5990-9956JAJP
– Data Sheet:『Keysight Infiniium Sシリーズ高分解能オシロスコープ』、
カタログ番号5991-3904JAJP
– Brochure:『Keysight Technologies 5G Solutions』、カタログ番号5992-1215EN
14 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
www.axiestandard.org
AXIe(AdvancedTCA® Extensions for Instrumentation and Test)は、
AdvancedTCA®を汎用テストおよび半導体テスト向けに拡張したオープン規格
です。Keysightは、AXIeコンソーシアムの設立メンバーです。
www.lxistandard.org
LXIは、ウェブへのアクセスを可能にするイーサネットベースのテストシステム
用インタフェースです。Keysightは、LXIコンソーシアムの設立メンバーです。
www.pxisa.org
PXI(PCI eXtensions for Instrumentation)モジュラー測定システムは、PCベー
スの堅牢な高性能測定/自動化システムを実現します。
15 | Keysight | 5G向け大規模MIMOの実装/テストにおける課題の検証 – Application Note
ヒューレット・パッカードからアジレント、そしてキーサイトへ
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本社〒192-8550 東京都八王子市高倉町9-1
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Email [email protected]
www.keysight.co.jp
© Keysight Technologies, 2016
Published in Japan, May 24, 2016
5992-1448JAJP
0000-00DEP
www.keysight.co.jp
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