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絵本作家 長谷川義史さんインタビュー

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絵本作家 長谷川義史さんインタビュー
絵本作家
長谷川義史さん
― 大阪市内にお住まいですが
もともとは大阪というものに何もこ
って。大阪に長年住まわせてもうたか
たので、とりあえずはイラストのお
ら自分の今の作品ができたんやなと
仕事をしたかったですし、絵本とい
いうのがあって、大阪に根をおろして
うのはやりたかったですけど、もう
やろうとここ数年考えていまして、そ
ちょっとまだ遠い世界で。
れで偶然ここが見つかったんです。
だわりないと思ってたんですけども、
― 絵本作家の前はイラストレータ
長年作品をつくってきましたら、やっ
ーのお仕事だったそうですが
好きなことですから、金銭的には
全然恵まれてなかったですけれども、
お金がないからという苦しさという
ぱり自分の中には大阪の血が流れて
最初やり始めたころは、ただ単に
のは全然大したことなくて、やりた
るなというのがこの年になって分か
絵が描けたら何でもいいやと思って
いけども仕事が来ない、絵を描きた
お金 がない
という苦 しさは
大 したことではない⋮
月刊 大阪弁護士会 ― OBA Monthly Journal 2014.9 3
がものすごい苦痛、苦労でしたね。
▶長谷川さんの作品
いけれども依頼が来ないというほう
― 絵本の世界は商業的には厳しい
のではという印象ですが
絵本のほうが格好いいなと思った
んです。というのは、広告の仕事と
いうのは、自分が思ったものを表現
するんじゃなくて、この商品はいい
んだよというのを一般の人に分から
(佼成出版社 発行)
(理論社 発行)
せるために表現するでしょう。別に
ろうとしてたんです。それは自分の
ういうふうに理解してやるのかは弁
僕がこの商品を嫌いでも関係ないわ
中から自然に出てきているものでは
護士の器量じゃないですか。そこに
けじゃないですか。よっぽど嫌なも
ないので、無理矢理つくっているの
人間的な気持ち、思いやりというも
のはしませんけど、そこには自分の
で破綻していくんですね。僕、子ど
のがないと、ただ裁判に勝つために
ポリシーというかそういうものが入
ものころはもともと画面からはみ出
法律というものを自分なりに解釈し
ってない。それをうまく表現してあ
るように絵を描けてたんですね。そ
てやってたら、僕、結局そういうの
げるのがプロのイラストレーション
れをだんだん自分で無理矢理型には
はあかんようになると思うんです、
の仕事ですけれども、それよりは自
めていってたからそれができなくな
そんな人は。目先の計算を優先させ
分の中のものを表現するというジャ
ってたんですね。それが劇団南河内
てやっていくと、どんな世界でもあ
ンルの絵本のほうが僕は格好よく感
万歳一座のチラシの仕事をやらせて
かんと思うんです。そやから、ほん
じたんです。クライアントの思いを
もらうのがきっかけで、もともと自
まに自分の正しい信念というのを持
伝えるのではなくて、自分の思いを
分が描いていた絵にまた帰ることが
って、相手を思いやって相手が喜ぶ
伝えるから、そういう意味で絵本に
できたんです。
ようなことをしてあげて、そうして
憧れがありました。だから、金銭的
― そんな絵本の世界で最近特に
いくことが相手のためにもなるし、
にそのほうがもうかるとかもうから
ご活躍ですが、飛躍のきっかけは
世の中のためにもなるし、自分自身
ないというのは何にも考えてなくて、
ただ自分の絵本というのをつくって
徐々にいろんな絵本を描くように
なって、絵本の仕事が主体になって、
のためにもなると思うんです。
もう一つ、ありがたいことにそう
みたいと思ってやり始めました。
ただ絵本を描いて発表しているだけ
いう機会がないんですけど、弁護士
― イラストのときも、画風は今と同
じゃなくて、
「絵本ライブ」と僕は言
の人に仕事を頼むというのは、どの
ってますけど、読者の人の前で自分
ように探してどのように仕事を頼む
いや、違いましたね。クライアン
の絵本を読む活動とかをやって、そう
んやろうというのがすごい興味があ
トの要望もありますし、自分のスタ
いう自分のやってきた活動が徐々に
ります。
「この人」
というのはどない
イル自体が何や分かれへんかったで
認めれていったんじゃないですかね。
して選ぶことができるんですか。顔
すから、自分がこんな絵を描くんや
― 弁護士へ一言
写真と経歴と今までやってきた事件
じで
私なんか偉そうなことは何も分か
とか、そんなんが出てるファイルみ
なんで、自分で試行錯誤してました。 れへんし、難しいことは全然分かれ
たいなものはないんですか。そんな
というのがまだつかめていないとき
イラストレーターとしてやってい
へんねんけど、法律って誰かが決め
無茶なことはされないやろうという
こうと思っていたときに、イラスト
た──誰が決めてるのか知らないん
のは分かるんですけど、金銭的なこ
レーターというのは山ほどいるわけ
ですけど、難しいことが書いてあっ
とよりもどなたが信頼できるかとい
です。その中で自分のカラー、長谷
て、それも解釈のしようというのが
うのが分からないじゃないですか。
川はこれを描くんだというのをあえ
あるじゃないですか。その解釈のし
それが不安でもあるし。どないすん
てぐっと絞っていって出していかな
ようがあるから、裁判とかやって最
のやろうというのがありますよね。
いといけないから、自分のスタイル、 後に裁判長が決めはるんやろうけど、
キャラクターというのを無理につく
4 月刊 大阪弁護士会 ― OBA Monthly Journal 2014.9
法律というのがあるけど、それをど
(Interviewer : 桂 充弘/Photo : 武田真実)
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