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ローカル・マニフェストと計画行政

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ローカル・マニフェストと計画行政
大塚 敬 ◎ Takashi Otsuka
特集 ̶ 徹底検証 ローカル・マニフェスト ● [ 地域はこう変わる ②計画行政 ]ローカル・マニフェストと計画行政
◎ 主任研究員
大塚 敬 Takashi Otsuka
Local
Manifesto
特 集 徹底検証 ローカル・マニフェスト
地域はこう変わる ②計画行政
ローカル・マニフェストと計画行政
地方公共団体は、総合計画等の長期的ビジョンを策定し、これに基づいて計画的に行政運営を行っているが、具体性に欠ける、
職員や住民の認知度が低いといった課題が指摘されてきた。
ローカル・マニュフェストは、長期的ビジョンに代替しうるものである。
期限、目標、手段が明記されるなど具体性があり、選挙を通じて内外に深く認知されるローカル・マニュフェストは、地方公
共団体の計画行政に大きな変革をもたらす可能性がある。
1
はじめに
市区町村は、地方自治法の規定にしたがって基本構想を策定し、
2
計画行政とはなにか
(1)地方自治における計画行政の位置づけと意義
この長期的ビジョンに基づいて計画的に行政運営を行っている。ま
① 計画行政は法に規定された市町村の責務
た、都道府県の場合は、法律上、基本構想の策定を義務づけられて
基本構想は市区町村のまちづくり全般の長期的なビジョンを示
はいないが、ほとんどの団体で基本構想に類する計画を策定してい
す構想である。通常は基本構想に基づいた具体的な施策の内容を
る。首長が任期中に推進する政策を掲げるローカル・マニフェスト
示す基本計画、さらに基本計画に基づいた各施策の実現のための
は、こうした基本構想や、これにもとづく基本計画と重複するもの
事業を示す実施計画を策定する場合が多い。一般にこれらを総称し
であり、その普及は計画行政に何らかの変化をもたらすことは確実
て総合計画といい、こうした計画に基づいて政策を執行することを
である。
計画行政という。
そこで、本稿は、ローカル・マニフェストが地方公共団体の計画
地方自治法第 2 条 5 項において、市区町村は基本構想を定めて
行政にどのような変革をもたらすかを論ずる。
計画的に行政を運営することと明記されており、計画行政は法に規
定された市町村の責務である。また都道府県の場合は地方自治法
の規定はないものの、一般的に市町村同様に総合計画を策定し、こ
れにそった計画行政を行っている場合がほとんどである。
② 計画行政によって長期的な視野にたった安定的な行財政
運営が担保されている
基本構想は、一般的に15 年から25 年程度の長期的な計画とし
て定められる。各年度のすべての事業は、この基本構想や基本計画、
実施計画の体系の中に位置づけられている。すなわち、総合計画が
存在することにより、地方公共団体の行財政運営はいきあたりばっ
たりではなく、長期的な視野にたった安定的なものとなっている。
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する場合は、前首長のカラーで作成された総合計画を継承すること
ローカル・マニフェストは計画行政の
中でどのように位置づけられるか
を嫌い、基本構想の期限を待たずに、新たな首長のイニシアティブ
のもとに基本構想が改訂される場合も少なくない。ローカル・マニ
①ローカル・マニフェストは、基本構想における中期的目標
フェストの導入はこうした対応を増加させると予想される。そして
地方自治体の最高責任者たる首長の任期は 4 年であり、任期中
その際には、選挙時に掲げたローカル・マニフェストが新たな基本
の政策を示すローカル・マニフェストもこの期間中に実施する政策
構想のベースとなる。
を示すことが前提となる。これに対し、基本構想の対象期間ははる
かに長期にわたっている。したがって、首長のローカル・マニフェ
③ローカル・マニフェストは総合計画の戦略的目標の位置
づけ
ストは、基本構想を踏まえてその計画中の中期的計画を示すべきも
のといえる。現職の首長が選挙に際してローカル・マニフェストを
基本計画は、自治体の行政活動をもれなくすべて網羅する計画で
掲げる場合は、まさにこうした位置づけでローカル・マニフェスト
ある。これに対し、ローカル・マニフェストは首長が「あれもこれも、
が作成されると考えられる。
できればやりたいもの」
ではなく、
「これだけは確実に実行すること」
②首長交代時には、ローカル・マニフェストが基本構想の
いて詳細に策定しない限り、体系性、網羅性において、総合計画を
を有権者に約束するものである。このため、よほど幅広い分野につ
ベースに
代替しうるものとはなりえない。仮に、理想的なローカル・マニフェ
一方、首長が交代する場合には状況が異なる。選挙に際しては、
ストとは総合計画足りうる体系性、網羅性を持たせるべきであると
各候補者がそれぞれの考えでローカル・マニフェストを作成する。
しても、実際にそのようなローカル・マニフェストを作成できるの
当然、現行の総合計画とは異なる理念に基づいたローカル・マニ
は一部の候補者に限定される。
フェストを掲げた候補が当選することもあり得る。この場合、当選
このため、ローカル・マニフェストは基本計画における重点的、
後速やかに、ローカル・マニフェストと整合しない現行の総合計画
優先的目標を規定するものと位置づけることが妥当である。
を改訂する必要が生じる。もともと、総合計画自体も、首長が交代
図1 ● 総合計画とマニフェストの計画期間
総合計画
15∼25年
基本構想
5∼10年
基本計画
2∼5年
実施計画
4年(一期)
首長任期
ローカル・
マニフェスト
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ローカル・マニフェスト導入によって
もたらされる計画行政の改革
①アウトプット志向からアウトカム志向へ
かったということもあろうが、やはり基本構想それ自体が具体性の
低い、抽象的な理念だけを謳っているケースが多かったからである
と思われる。基本構想は、期間20 年前後として時代を超えた普遍
的な価値を持ちうる理念のみを掲げ、その実現のための具体的な
これまでの総合計画は、
「何をどれだけやるか」を住民に約束する
政策は10 年前後の計画期間で設定される基本計画に位置づける。
という趣が強かった。これからは、
「どのような成果をどれくらいあ
10 年後、社会環境の変化に対応して、基本構想の理念を逸脱しな
げるか」がローカル・マニフェストによって示されることになり、こ
い範囲内で、施策体系の方向性を軌道修正し、新たな基本計画を策
れに対応して総合計画にも同様の説明が求められるようになる。
定する。概ねこうした方法でこれまでの計画行政は進められてきた
といえる。しかし、20 年前後の時を経て社会環境が大きく変わっ
② 総花的に夢だけを語る計画から重点化と実現性重視の計
画へのシフト
ても修正の必要のない理念とは、たとえば「みどりにあふれた」と
か「活力ある」といった当たり障りのないものでしかない。こうした
これまでの総合計画は、
「どのような都市を目指すか」という「理
基本構想にそもそも計画行政を実質的に規定する機能があるのか
想」を語ることに力点が置かれ、その実現可能性を吟味することは
といった疑問は拭いきれない。
おろそかにされがちであった。
こうした状況に対し、原則 4 年間を期限として政策目標を掲げる
ローカル・マニフェストによってあらかじめ総合計画の重点が明
ローカル・マニフェストが導入されることで、冗長な計画行政サイ
示され、これらについては実現までの工程や財源が明示されること
クルを見直し、実効性と具体性をもった計画をより短い計画期間で
になるため、総合計画全般にこうした重点化と実現性重視の姿勢が
策定し、こまめに見直していくようになっていくと予想される。
求められるようになる。
これにより、財源の制約が浮き彫りになるため、総花的に夢だけ
を語る総合計画は策定できなくなる。
③ 財源確保への意欲と工夫の向上
5
ローカル・マニフェストと一体となっ
た計画行政の改革のポイント
① 進行管理・評価システムの充実
どれだけ政策を打ち出せるかは、投資的財源確保の見通しに左右
ローカル・マニフェストと一体となった総合計画を適切に運用す
される。このため、総合計画をローカル・マニフェスト足りうるも
るためには、ローカル・マニフェストで明らかにされた工程に沿っ
のにシフトさせることは、財源確保へのインセンティブとなり、そ
て政策が順調に進められているか(進行管理)
、最終的に期限までに
の意欲と工夫を向上させる。
約束された成果があがっているか否かをチェックする(事後評価)
のシステムが確立されることが必要である。
④ 計画行政サイクルの見直し
行政評価システムが確立されている自治体においては、これを活
首長が掲げるローカル・マニフェストの期限は 4 年である。この
用することが想定されるが、自治体における行政評価システムは必
ため、ローカル・マニフェストが総合計画に実質的に取って代わる
ずしもアウトカム評価が徹底されていないため、
ローカル・マニフェ
ようになると、長期的な視野にたった計画行政がなされなくなり、
ストの進行管理・評価システムとして活用可能な仕組みに改善する
短期間で実施可能な政策ばかりに重点が置かれてしまうという批
ことが必要である。具体的には、ローカル・マニフェストに掲げた
判がある。こうした批判には妥当な面もあるが、一方で、これまで
アウトカム目標とそれに対応した施策、事業を体系的に、かつ数値
の総合計画が長期的な視野にたった計画行政を本当に担保してい
指標を用いて評価できる仕組みを構築することが求められる。
るかというと疑問もある。
すでに延べた通り、一般的に基本構想の計画期間は15 年から
② 財源見通しの精緻化
25 年ぐらいが一般的である。これに対し、社会情勢の変化の速い
ローカル・マニフェストに盛り込む政策には、すべて財源の裏付
今日において、20 年も先を見越した適切な基本構想、基本計画づ
けを明確に示すことが求められる。このため、少しでも多くの政策
くりが果たして本当に可能なのかという批判がある。例えば、政策
を盛り込もうとするあまり、財源の見通しが甘くなる懸念がある。
の実行を担保する財源について、国全体の産業動向や制度改革な
このため、ローカル・マニフェストの作成にあたっては財源の見通
ど外在的な要因に強い影響を受ける自治体の財政において、20 年
しを厳格に行う姿勢が求められるとともに、この見通しの信頼度を
後にどの程度の歳入が確保され、そのうちどの程度の投資的財源
中立な立場で評価する機能の整備が必要である。
を捻出可能かを的確に予測することは、ほぼ不可能といってよい。
不可能でありながら、20 年を超える将来を期限とした基本構想
③ 政策効果の事前予測と事業プランニングの精緻化
が実際に策定されて来たのは、高度経済成長期は財政が常に右肩
実現性が高く、信頼できるローカル・マニフェストを策定するた
上がりの伸びを示して居たため、さほど財源の心配をする必要がな
めには、政策の効果に関する事前予測を十分に行うことが必要であ
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る。
実施状況をチェックする責任を負っている。
また、予測した成果を確実に生み出すためには、立案した施策を
しかし、実際には、首長も議員も任期は 4 年である。20 年前後
確実かつ効果的に実行する事業プランニングの精緻化が求められ
の計画期間を持つ総合計画の実行に最後まで責任を負うことが可
る。
能なケースは稀である。
(また、可能なほど多選されることはむしろ
望ましくないといえる。
)
④ 総合計画の遂行責任の明確化と計画の枠組みの見直し
このため、これまでは、首長が交代した場合も、現行基本構想の
地方自治法第 2条第 5 項は、
「市町村は、その事務を処理するに
改定期が到来するまでは、前首長のイニシアティブのもとに策定さ
あたっては、議会の議決を経て、その地域における総合的かつ計画
れた総合計画に沿って行政運営が行われ、実態としては、新首長の
的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行うよ
政策が現行計画と整合しない部分について基本構想が棚上げされ
うにしなければならない」と定め、別途 281条 3 項において、この
る形になっているケースや、そもそもこうした不整合が生じないほ
規定は特別区にも準用するとされている。
ど、基本構想が抽象的で具体性に欠けるものであったというケース
すなわち、基本構想を策定し、これに即した事務処理を行うこと
も少なくなかったと思われる。
に責任を負うのは、
「法人としての市町村」である。そして、自治法
こうした問題に対し、ローカル・マニフェスト導入を契機に、首
第147 条において「普通地方公共団体の長は当該普通地方公共団
長が総合計画の策定、遂行に責任を負うことを明確にし、議会はそ
体を統轄し、これを代表する」と規定されているので、首長は、法人
の進行をチェックするというように責任の所在を明確にすること
の代表として基本構想の内容とこれに即した事務処理を行うこと
が望ましいと考える。その上で、
「総合計画は、地方公共団体を統轄
に責任を負っている。
し、
代表する首長とともにある」という立場にたち、
独自のローカル・
ただし、これを策定する際には、
「議会の議決」が必要であるとさ
マニフェストを掲げて新しい首長が選出された場合は、有権者はそ
れており、また議会は予算を定め(地方自治法第 96 条 2 項)
、決算
のローカル・マニフェストを行政の指針として選択したのであるか
の認定(同3項)について議決しなければならないとされている。
ら、総合計画もローカル・マニフェストにそって、速やかに改訂す
このため、議会は基本構想の内容とそれにもとづく各年度の事業の
ることが望ましいと考える。
図2 ● 長期的視野にたったローカル・マニフェスト
ローカル・マニフェスト
8年
基本構想に
相当
長期目標
4年
4年
第一期目標
第二期目標
基本計画に
相当
当選後速やかにマニフェストを
ベースとした総合計画を策定
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こうすると必然的に、総合計画の計画期間は実質的には首長の任
マニフェストをベースとして速やかに新たな総合計画を策定する
期と一致することになる。この際、既に延べた通り、首長の任期で
ことが必要である。
ある四年で実現可能な政策ばかりがあげられ、長期的な計画行政が
⑥ローカル・マニフェストに掲げた政策を実現するための
阻害されるとの懸念がある。そこで、選挙に臨む候補者は、まず長
行政基盤の整備
期的な視野にたった政策のビジョンを提示することが不可欠であ
る。その上で、当面 4 年間の目標としてどのような政策を実現する
ローカル・マニフェストと一体となった総合計画のスピーディー
かをローカル・マニフェストを掲げる必要がある。この際、2 期目
な遂行を担保するためには、トップマネジメントの強化が不可欠で
も政権を担うことを目指して、2 期合計 8 年分の政策をローカル・
ある。具体的には、各部門の執行責任者が各々首長に対して、ロー
マニフェストに掲げることも想定される。
カル・マニフェストに掲げた目標の達成を「約束」し、さらに細分化
された部門の責任者が上位組織の責任者と目標の達成を「約束」す
⑤ローカル・マニフェストはあくまで重点のみを示し、当
るといった形で、首長を頂点として、階層的な「契約」による「緊張」
選後速やかに総合計画を策定
と「責任」の関係を構築することが想定される。長野県では、部局長
既に延べた通り、よほど幅広い分野について詳細なものを作成し
の一人ひとりが年度ごとの目標を掲げ、その達成に向けて具体的に
ない限り、ローカル・マニフェストをそのまま総合計画とすること
何をするのかについて知事と「協約」を交わしている。部局長は、さ
はできない。また、そのまま総合計画足りうるようなローカル・マ
らにその下で執務する各所属長一人ひとりと同様の「協約」を交わ
ニフェストの作成を首長候補者に求めると、それが可能な資金力、
し、これらによって知事が目指す県政の具現化を担保する体制を構
組織力をもつ候補者や、情報を豊富に有している現職が圧倒的に有
築している。
利になってしまい、首長の選択をゆがめてしまう。このため、ロー
また、こうした執行責任者の要所を占める人材を政治的任用とす
カル・マニフェストはあくまで主要な政策について、
「どれに取り組
ることで、首長の政策実現をより強固に支える体制を確保できると
み、どれに取り組まないか」
、あるいは「どれを優先し、どれを優先
ともに、首長の責任もより明確になる。
しないか」を明確にするものとして位置づけ、当選後に、ローカル・
ローカル・マニフェストに掲げた政策を実現するためには、こう
図3 ● マニフェストの実現を担保する体制のイメージ
住民
マニフェスト
契約
首長
目標
契約
目標
部局長
契約
所属長
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目標
部局長
目標
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契約
目標
部局長
契約
所属長
契約
目標
契約
所属長
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した、実現に向けて具体的に取り組んでいく内容とともに、推進体
制と責任の所在を明確にすることが重要である。
⑦ 情報公開の充実
ローカル・マニフェストは、実現する政策を住民に約束するもの
である。このため、約束の履行状況を住民が常にチェックできる環
境を整備することが不可欠である。具体的には、ローカル・マニフェ
ストに掲げた政策の進捗状況や目標の達成状況に関する情報を詳
細に、かつ分かりやすく公開することが必要である。また、単に情
報をオープンにするだけでなく、一般の住民には評価が難しいこれ
らの情報に対して、中立的な立場でこれを解説、評価する機能が必
要であり、こうした機能の整備も行政の責務として求められよう。
また、情報公開のもう一つの重要な意義として、首長を目指す候
補者のローカル・マニフェスト作成を支援する側面がある。既に延
べた通り、充実したローカル・マニフェストを作成する上で、行政
に蓄積された情報を最大限に活用することのできる現職首長は最
も有利な立場にある。このため、情報公開の徹底がなされないと、
ローカル・マニフェストの導入が多選を促進するといった結果にな
りかねない。首長選出の公平性を担保するため、質・量ともに充実
した情報の提供は不可欠な要素である。
6
おわりに
ローカル・マニフェストが注目されたのは、政策本意の選挙への
転換を促すと期待されたからだが、その事と同時に、ローカル・マ
ニフェストが単に政策を示すだけでなく、目標と、その実現までの
工程、実現に要する財源をセットで示し、具体性、実現性のある地
域の将来像を示すものであることと、
「何をどれだけやるか」という
アウトプット志向ではなく、
「何を実現するか」というアウトカム志
向であったことも大きな理由である。これは、裏を返せば、これま
での地方自治体の計画行政がこうした具体性、実現性を十分に備
えておらず、アウトカム志向での計画づくりがあまりなされていな
かったからであるといえる。ローカル・マニフェストの普及により、
地方自治体の計画行政の改革が加速されることを期待したい。
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