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RMFOCUS第21号(2007年4月11日発行)

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RMFOCUS第21号(2007年4月11日発行)
2007.4 第21号
C ONTENTS
1
わが社のリスクマネジメント
鹿島における環境リスクへの取り組み
6
【特集 1】
大学法人におけるリスクマネジメントの理論と実際
10
【特集 2】
中国リコール制度の進展
14
【特集 3】
インド企業におけるリスクマネジメントの特徴
18
災害・事故情報
対象機間:2006 年12 月∼2007年 2 月
20
三井住友海上グループからのお知らせ
わが社のリスクマネジメント
わが社の
リ ス ク マ ネ ジ メ ント
鹿島における環境リスクへの取り組み
■ はじめに
建設業にとっての大きなリスクの
ひとつに、
「環境リスク」がある。そ
鹿島は、いわゆる「大手ゼネコン」
鹿島建設株式会社 安全環境部 施工環境課長
米谷 秀子
こで本稿では、当社が実施している
の一角をなす会社である。「社業の
環境リスクマネジメントの考え方に
発展を通じて社会に貢献する」こと
ついてご紹介させていただく。
を経営理念に掲げており、顧客・従
業員・取引先・株主・地域社会等の
あらゆるステークホルダーから評価
■ 1. 建設業と環境影響
され、信頼される企業を目指してい
る。この経営理念を実践するために
建設業の場合、その製品である建
は、コンプライアンスはもとより、
造物が、一般的な工業製品に比べて
あらゆるリスクに対し適切に管理す
規模が大きく寿命も極端に長いた
ることが不可欠であることは言うま
め、環境影響の規模も必然的に大き
でもない。
くなる。図 1 に、建造物のライフサ
資源枯渇
生態系への影響
廃棄物の排出
大気・水質・土壌の汚染
エネルギー消費
廃棄物の排出
温暖化ガス排出
大気・水質・土壌の汚染
生態系への影響
騒音・振動
温暖化ガス排出
エネルギー消費
廃棄物の排出
有害物の排出
騒音・振動
温暖化ガス排出
廃棄物・有害物の排出
大気・水質・土壌の汚染
騒音・振動
(資源採取・資材製造)
計画・設計
施工
(使用・運営)
リニューアル
解体
( )は、建設業が直接かかわらない段階
【図1】建造物のライフサイクルと環境とのかかわり
1
イクルにおける主要な環境影響を簡
廃棄物処理業者の良否を見分ける際の主なポイント
略的に表わす。当社ではこれらを踏
●経営者のスタンス
・処理内容を誠意ある態度で説明したか
・敷地内の全ての施設・場所の視察を受け入れたか
・廃棄物処理法の理解度は十分か
・リサイクルに積極的に取組んでいるか
まえ、以下の 4 項目を「環境方針の
4 つの柱」に据えている。
・地球温暖化の防止
●処理能力は十分か
●処理内容の説明は明確か
●作業員の態度は好感がもてるか
●近隣との関係は良好か
・資源の循環・有効利用
・有害物質の管理
・生態系の保全
これらをリスクの観点で見た場合、
【図2】
地球温暖化の進行は、人類滅亡と
いう最大のリスクを負っていると
がある。残念なことに、
こうした事例
②建設汚泥、
コンクリート塊、木くず、
見ることもできるが、とりあえず
の大半に、行政から廃棄物処理業許
混合廃棄物等、発生する廃棄物の
本稿においては、筆者が直接かか
可を取得している会社がかかわって
種類が多岐に亘る
わっている施工における主要な環
おり、決して「許可業者に処理委託し
といった特性から、取引する廃棄物
境リスクに焦点を絞り、廃棄物・土
ていれば安心」と言える状況ではな
処理業者も千社を超えるため、不適
壌汚染・アスベストの3項目に関す
い。これらの実行行為者には不法投
正処理に巻き込まれるリスクが他産
るリスクへの対応についてご紹介
棄現場を原状回復するだけの資金
業に比べて高いものとなっている。
させていただく。
力がないため、
これらの業者に処理
サイトが固定している工場であれ
委託していた排出事業者に対し、原
ば、
場内での自己処理も可能であり、
状回復の措置命令や協力依頼が出
あるいは委託処理にしても長年の取
されるケースが殆どである。コスト
引で処理業者との信頼関係が十分
負担に加え、企業イメージの問題も
に醸成されていることもあるが、建
あるため、メーカーはもとより、物
設業では、自己処理は極めて困難で
廃棄物にかかわるリスクと言え
販、運輸・物流など幅広い業種にお
あり、工事が発生する都度、現場所長
ば、不適正処理が真っ先に挙げられ
いて、自社の廃棄物が不法投棄に巻
が処理委託する廃棄物処理業者を
るが、
これには四国の豊島や青森・岩
き込まれないよう管理することは、
選定するのが通例である。
手県境にはじまる一連の大規模不法
重大な関心事となっている。
■ 2. 廃棄物処理に伴う
リスクマネジメント
しかし、廃棄物の委託処理におい
投棄のほか、
フィリピンへの医療廃棄
特に建設業である当社の場合、
て最も重要な管理ポイントは、廃棄
物の不正輸出、
リサイクル製品の土
①常時、全国に千数百もの大小の工
物処理業者の良否を見分け、優良な
壌埋め戻し材と称した有害物の不適
事(サイト)を抱えており、数ヶ月
処理業者に委託することである。こ
正処理など、マスコミで大きく取り
から数年のタームで着工・竣工を
の考えに基づき、当社では、現場所
上げられただけでもさまざまな手法
繰り返す
長の判断のみで処理業者を選定す
2
わが社のリスクマネジメント
る体制を改め、全国に11ある支店の
■ 3.土壌汚染に伴う
管理部門が、支店管下工事において
リスクマネジメント
使用を認める処理業者を選定し、現
て処分したところ、処分地周辺に
汚 染 水が流 出したた め、土を 全
量撤去した。
場所長はその中から選定する体制を
土壌汚染は、この1 0 年ほどの間
上記のうち、①は既に汚染を認識
整えている。対象としているのは、特
に急速に認識が広まった環境リスク
している中での話であり、工事施工
に不法投棄リスクの高い建設混合廃
項目である。実際に起こったリスク
者の立場では関与し得ない事例で
棄物と建設汚泥であり、
これらの中
事例のうち建設工事に多少なりとも
ある。②も、直接的には発注者のリ
間処理施設を安全環境部が視察し、
関連するものとしては、以下が挙げ
スクであるが、状況によっては、工事
会社の方針・処理内容などを十分検
られる。
施工者としても、着工前に汚染の可
証した上で使用の可否を判断するよ
①マンションの開発事業者及び以前
能性を把握できなかった責任の一端
うにしている。判断において特に重
の土地所有者である汚染原因者
を負わざるを得ないこともあり得
視しているポイントを図2に示す。
が、当該地の土壌汚染について、
る。③に至っては、全く汚染に気づか
2006年度には、全社で350施
エンドユーザーに対する説明を
ず掘削土を処分したものであり、撤
設以 上を視 察している。この中に
怠ったとして、関係者が宅建業法
去費用などは、施工者に相応の負担
は、当社の直接委託先ではなく、中
違反(重要事項不告知)で書類送
を求められることになる。
間処理後の廃棄物の2 次処理先で
検された(その後、不起訴処分)。
このように、土壌汚染は、一義的に
ある業者も含まれている。行政で
②9階建てのマンション建設工事途
も、廃棄物処理業者にかかわる優良
中に土壌汚染が判明したため、8
の問題であるが、扱いによっては、施
事業者評価制度を発足させている
階まで建設したマンションを取り
工者にとっても大きなリスク要因と
が、行政の評価は書類上の審査に基
壊した。
なり得る。
づくものであり、それをもって当社
③土壌汚染の存在に気づかず工事
のリスク回避を図ることはできない
に着手し、掘削土を通常の土とし
は土地所有者(多くの場合発注者)
土壌汚染に関する法律としては、
2003年に「土壌汚染対策法」が施
と考えている。
今後は、使用を認める処理業者の
土壌調査が必要と思われるケース
質を一層高めるとともに、工事にお
●土壌汚染対策法、自治体条例の対象地
(対象範囲、対象物質を絞り込み過ぎない)
●上記対象地ではないが、有害物を扱っている土地
●工場跡地等過去に有害物を扱っていた土地
●廃棄物の埋立跡地
(工場・病院等の敷地内で不要物を埋めていたケースも含む)
●ガソリンスタンド跡地
●自然由来の汚染の可能性のある土地
●過去に焼却炉を設置していた土地
けるこれらの業者の活用を一段と徹
底させることが課題である。
【図3】
3
行されているが、
これにより土壌調
査が義務付けられているのは、工場
や研究所等の廃止時などのケース
であり、工場跡地は対象とならない
など、極めて限定されている。しかし
実際には、法的に調査義務の対象と
ならないケースであっても、汚染が
確認されることは珍しくない。
この た め当 社では、掘 削 工 事を
行う場合には、必ずその土地の使用
履歴を調査し、土壌汚 染の恐れ の
ある履歴が判明した場合には、土壌
調査の実施を発注者に提言するこ
【図4】解体・リニューアル工事における事前調査マニュアル
ととしている。具体的には、図3に
示すケースに該当する土地を対象
策が可能となる」
「将来的に高濃度
は記憶に新しい。アスベストを使用
としている。
の地下水汚染が判明して大問題に
する製品の製造・輸入・使用は、
ごく
ここで難しいのは、当社はあくま
なるよりも、
この機会に自主的に調
一部の例外を除いて2006年9月
で工事施工者の立場に過ぎず、調査
査し情報公開することにより、
近隣と
以降禁止されている。このため、現
対象である土壌(土地)は発注者の
の信頼関係を維持できる」といった
時点において留意しなければならな
ものであるため、当社の意向で勝手
説明に理解を示していただけるケー
いのは、現存する建物を解体又はリ
に調査を実施するわけにはいかない
スもある。しかし、現時点ではなかな
ニューアルする際、その建物に使用
点である。法や条例で義務付けられ
かご理解いただけないケースも多
されているアスベスト含有建材を適
ていない調査は、
発注者にとって余計
く、施工者の立場でとり得る最低限
切に取り扱うことである。
な費用が発生する上に、万一汚染が
のリスク管理方法を、都度模索して
確認された場合には、予定外の対策
いるのが実情である。
リスク事例としてマスコミに報道
されているのは、佐渡の小学校や新
費用が発生し、近隣や行政への説明
宿区の福祉施設で、吹付け除去工事
に多大な労力を要するなど、できる
中に養生シートが外れ、作業区画外
限り回避したいものである。
意識の高い発注者であれば、
「掘
■ 4.アスベストに伴う
リスクマネジメント
削前に所定の調査を行えば、万一汚
の一般環境中にアスベスト粉塵が飛
散した事例である。これらは、施工管
理そのものの問題であり、個別プロ
染されていた場合にも、汚染の分布
一昨年に、アスベストによる健康
ジェクトごとに建物の構造を精査し
状況を正確に把握でき、効率的な対
被害が大きな社会問題となったこと
た上で、作業区画の設け方・工法選
4
わが社のリスクマネジメント
定等を十二分に検討する以外、対策
メージと異なる形状で使用されて
直結するわけでもなく、何をもって
はない。当社では、
こうした他社のリ
いるケース(ひる石吹付けなど)で
「環境影響」と呼ぶのかすら定かで
スク事例について、支店のアスベス
は、見逃すこともあり得る。このた
ない。大規模不法投棄に対してさ
ト担当者に対し、事故の状況及び予
め当社では、今回のアスベスト騒ぎ
え、
「環境影響が生じていないので、
防措置となる対応方法について説
以前から、事前調査の際にチェック
撤去ではなく覆土措置を講ずる」と
明している。
すべきポイントを写真入りで解説し
説明する行政もあるくらいである。
たマニュアル図4を作成し、調査に
ご紹介した事例においても、環境
当社が考える最も大きなアスベス
トリスクは、解体等の工事着工時に
役立てている。
上の問題以上に、顧客・社会からの
アスベストの存在に気付かないこと
なお余談であるが、建物所有者や
である。上記2 つの事例は、いずれ
事業主の立場では、吹付けアスベス
も吹付けアスベスト対策として施工
トやアスベスト含有の屋根用断熱材
環境以外の分野においても共通
されていた工事であるが、アスベス
などの劣化に伴い、従業員に健康影
することかと思うが、環境と法律に
トと関係なく解体工事・リニューアル
響を及ぼすリスクには十分留意して
関する正しい知識と共に、社会の見
工事のニーズがある場合には、建物
いただきたい。
る目、
コストを含めたリスクに対する
信頼低下やコスト負担の方が大きい
ケースが多いのではないだろうか。
のどこにアスベスト含有建材が使用
感性を併せ持つことが、何よりリスク
されているか、綿密な調査を行うこ
マネジメントに求められるものでは
とが不可欠であり、調査の実施は法
■ おわりに
ないかと感じている。
的にも義務付けられている。
万一、アスベスト含有建材の存在
以上、工事施工における主要な環
に気付かないまま施工してしまえ
境リスク3項目について、実際のリス
ば、作業員や近隣住民への健康影響
ク事例と当社での対応を紹介させて
が現実のものとなりかねない。また、
いただいた。
着工後に気付いた場合でも、それか
取り上げた事例は項目毎に異質の
ら計画を練り直し、行政対応をした
もので あり、筆 者自 身、
「 環 境リス
のでは、工期・コストに大きな影響を
ク」あるいは「環境影響」の概念の
及ぼすことになりかねない。
難しさに頭を抱えている。環境分野
建物全体の梁や機械室の壁・天井
には、実に多くの法規制が存在して
など、大面積で吹付けアスベストが
いるが、法規制遵守だけではリスク
使用されている状況であれば、調査
マネジメントとして不十分であるこ
において見逃すことは考えにくい
とは明らかである。一方で、法が定
が、部分的に使用されているケース
める基準値などを逸脱していること
や、一般的な吹付けアスベストのイ
が、健康被害など目に見える問題に
5
特集
1
大学法人における
リスクマネジメントの理論と実際
株式会社インターリスク総研
総合リスクマネジメント部長
主席研究員 小林
1.
リスクマネジメントの基本 シューティングと同義であり、一番初歩的な
ものである。
誠
リスクマネジメントとは「リスクに関して組
織を指導し経営するための活動で、部門間
大学、企業問わず、様々な経営上の環
次の段階がアクティブ管理である。リス
の調整を図って全体をまとめるもの」
と、
I
SO
境変化が起きており、志願者数の減少や
クを予見して前向きに、積極的に対応して
では定義している。すなわち、何か事が起き
定員割れ、収入の減少や経営危機などが
いくものであり、風評リスクまで考えていくも
たときの事前対応、事後対応を、
うまく処理
目立つようになってきた。
リスクマネジメント
のである。
することを意味している。
リスク特定(リスク
更にその上の概念としてプロアクティブ
の洗い出し)、
リスク分析、
リスクの評価、
リ
更には財務状況を安定化させるため、
いわ
管理がある。自主的に、前向きに、積極的
スクの処理(実際にどのようにリスクを小さ
ゆるリスクという変動要素をなるべく小さく
に管理していくものである。これはリスクを
くしていくか)、
リスクの監視・レビュー、対
し、大学事業の継続を保障していく機能を
予想して全体のコーポレート・ガバナンス
話・協議・情報公開といった要素を一つひ
強化するため、
リスクマネジメントの重要性
などの監視や内部統制を適切に実施する
とつ実施していくことが、
リスクマネジメント
が年々、高まっているのが現状である。
ことである。
なのである。
を行なうため、社会的責任を全うするため、
図1に掲げる米国ハーバード大学の文
日本の大学にはプロアクティブ管理の
リスクマネジメントを一言で言うと、図2
献に掲載されていたリスクマネジメントの発
一部であるコンプライアンスを実施している
のように、
リスクを極限まで小さくすること
展形態を見ると、一番プリミティブなものが
ところがある。以上を踏まえると、日本の大
である。
危機管理である。何かが起きたときにそれ
学の現状は図1に示すようにリアクティブと
に対応していくというものである。
トラブル
アクティブの中間にあるものと考える。
リスクマネジメントの発展
将来
左側が現状のリスクの大きさであり、
リス
クの処理を行なうことで、円の面積をなるべ
リスクマネジメントの目的
リスクをマネージしインパクトを小さくする
プロアクティブ管理
リスクの予想
・全体監視/保証
アクティブ管理
タイムリーな対応
財務
・ガバナンス・コンプライアンス基準
・大学リスクの理解と評価
事業
現
状
・評判・イメージの保護
リアクティブ
危機管理
・危機対応の減退
ク
ス 人命安全
リ
評
風
6
ク
ス
リ 人命安全
評
風
コンプライアンス
ゼロにはならない
=Residual Risk
・職場としての改善
(出典:Harvard University,2000 を参考に著者作成)
事業
コンプライアンス
・大学のサービス改善
【図1】
リスクマネジメントの発展
財務
(出典:Harvard University,2000 を参考に著者作成)
【図2】
リスクマネジメントの目的
特集 1
大学法人におけるリスクマネジメントの理論と実践
く小さくすることがリスクマネジメントを行な
となるものである。試験問題の漏洩など、
う一つの目的なのである。
事業そのものに対するリスクのみならず、風
評にも関係することが特徴である。
ネジメントの一環として考えるべきである。
3.
リスクマネジメント活動の手順
2.
リスクとは何か−将来のこと
(3)財務リスク
大学には資産として、人・モノ・カネ・情
自分の大学におけるリスクのインパクト
「リスクとは将来のこと」ということが、非
報等、様々なものがある。そのような大学
を考えた場合、
その大きさは大きなものか
常に重要なポイントである。現在起きてい
の資産が無くなることに対するリスクであ
ら小さいものまで様々である。しかし対処
る危害や事象ではなく、将来起きるかもしれ
る。不正取引の発生に伴う損害、詐欺・横
(リスクの処理)については、
インパクトが
ない危害や事象がリスクなのである。これ
領などが挙げられる。
小さいものは後回しにするなど、何らかの
を大学のリスクに置き換えると、
「大学の制
優先順位を付ける必要がある。また起こり
度・組織の目的を達成する大学機能に影
響を与える可能性のある諸問題」と定義す
ることができる。 (4)コンプライアンスリスク
教職員の不祥事やセクハラ、差別、利
やすさ、すなわち発生確率も考慮する必
要がある。
益相反行為、財務諸表の不備、研究費
優先順位を付けるとき、発生確率を重視
米国ハーバード大学では、
リスクを「人
の不正操作、化学物質や放射性物質の
するのか、
インパクトの大きさを重視するの
命・安全」
「事業」
「財務」
「コンプライアン
不適切な取扱などが代表的なものであ
かは、大学それぞれの文化に依存する。風
ス」、
そして全体に共通する「風評」に分類
る。何れも内部統制の仕組み作りが対策
評リスクが大きいという組織にはインパクト
して管理している。
の基本となる。
を重視すべきである。発生確率が小さくて
(1)人命・安全リスク
大学で考えるべき問題として最優先の
ものが人命・安全リスクである。教職員の
また大学固有のリスクではないが、
セク
もマスコミに2回、
3回、
4回、
5回と報道され
ハラやパワハラなどもある。大学の教職員
ると、
1回ごとに事件が起きたのと同じぐら
はマスコミの格好の材料になるだけに、素
いのインパクトを及ぼすためのである。
行には注意が必要である。
みならず、学生もその対象として含まれる。
このリスクは危機管理の延長線であり、
発生確率については、必ずしも数量で置
き換える必要はない。
5段階、
あるいは3段
(5)風評リスク
階で行なうのが一般的である。但し、
3段階
これまでは安全対策という位置づけで取り
風評リスクの影響は一番大きく、大学と
で行なうと、多くが真ん中を付ける傾向が
組みが行なわれてきたものである。従って、
しては重要な問題である。適切に管理でき
強い。従ってABCDEの5段階でランク付
その延長線上で、対応策、すなわちリスク
ない場合には優秀な教職員が辞めたり、
けを行なった方が良い結果を得やすい。
処理がうまくマネジメントされるかがポイント
学生が敬遠したり、寄付金の減少等に繋
となり、初期段階としては一番取り組みや
がる。
すいものである。
インパクトの小さいものについては、後
回しにし、監視のみ行なえば良い。もっとも
基本的な対応策はマスコミへの対応で
後回しにするからといって放置しても良い
ある。最近のマスコミは繰り返し報道する
訳ではない。常に監視を行ない、
リスクが
傾向があり、本当であろうが嘘であろうが、
大きくなってから自分たちが処理する範囲
事業リスクはオペレーショナルリスク
社会に悪いイメージが認知されてしまう傾
に入れていくことで十分である。経験的に
(operational risk)
ともいい、入学試験が
向が強まっている。マスコミの報道というの
は自らが処理できるリスクの数は100から
中断する、補助金が交付されないなど、事
は非常にクリアであり、
イエスかノーしかな
多くて200である。監視するリスクと対応す
業の中断あるいは中止が重要なインパクト
いだけに、
マスコミへの対応方法もリスクマ
るリスクを見定めることが必要である。
(2)事業リスク
7
リスクマネジメントを行なううえで、
「リスク
3番目は内部統制の強化である。その
マネジメントシステム」の仕組みを正確に理
例として内部通報制度や内部通報保護
ステップ2はリスクの洗い出し(リスク特
解すると、理解は早い。その要諦は以下の
制度、内部監査や外部監査を、
リスクマネ
定)である。大学を取り巻くリスクにはどの
3点である。
ジメントとは別に導入することである。リス
ようなものがあるのかを洗い出していくこと
クマネジメントと内部統制は本来違うもの
である。これには標準形(一般的な大学が
スタートすることである。日本ではボトムアッ
である。しかし重複する部分も多いため、
抱えるリスクのリスト)があり、
これをもとに
プによるリスクマネジメントはうまくいかない
両方とも推進する必要があるのである。リ
進化させると、効率的で進めやすい。
と考える。理事長や学長自ら、
または事務
スクマネジメントだけ実施したからと言って
局がトップダウンを行なうよう仕向けること
も、
コンプライアンス全体がうまくは回らな
が重要である。そうしないと、各部門でばら
いのである。
まずはトップダウンでリスクマネジメントを
Step2 リスクの洗い出し
Step3 リスク分析・評価
ステップ3はその分析・評価である。先ず
ばらに実施してしまうのである。全学一斉
リスクマネジメントシステムの手順につい
に同じ方針、手順、方向性を周知したうえ
ては、以下の5つのステップがあり、図3に
分からないものは大きいとしておく。その中
で開始しないと、部門間のリスクマネジメン
示した通りである。
からもう少し精査してリスク自体の見積もり
トの実施に濃淡が出るなど、様々な点で齟
齬が出てしまう。
は影響が大きいものと小さいものに分け、
(estimation)
を行ない、要らない、余り影
Step1 リスクマネジメント体制の確立
響のないものを落としていく。
2番目はリスクマネジメントに関する訓
リスクマネジメント体制の確立、
すなわち
なお落としたリスクについては完全に
練、
トレーニングの強化である。殆どの方は
責任者や担当を決めることが、最初のス
除外するのではなく監視対象とし、復活
リスクマネジメントの意味が分からないこと
テップである。責任者が個人でも、実際に
する可能性もあることを念頭におく必要
が多い。従ってリスクマネジメントの啓発や
作業を行なうのは委員会でも構わない。ま
がある。
リスク感性の向上などから始めないとうまく
た専門の部局を作っても良い。始めから
いかない。学内の底上げを図ると供に仕
独立した部局ができる大学は殆どない。
組み作りを行なうという、両輪で回していく
従って最初は委員会形式で行なったほう
ことが必要なのである。
が良い。
Step4 リスク対策の選択・実施
ステップ4はリスク対策の選択、実施であ
る。これは事前対策と事後対策、更には事
後対策として緊急時対策と復旧対策に分
かれる。
リスクマネジメントの仕組みづくりの手順
事前対策の例としては、事故防止策が
ある。まだ事故が起きていないときに検討
リスクマネジメント
体制の確立
STEP1
リスクの洗い出し
STEP2
STEP3
事前対策
点検・改善
STEP4
リスク分析・評価
事後対策
(緊急時対策・復旧対策)
リスク対策の選択・実施
STEP5
事故予防策
事故軽減策
財務的な手当(保険等)
危機発生時マニュアルの作成等
クレーム・苦情処理対応
訴訟対策
マスコミ対策等
するため不毛な思いもあるかもしれないが、
起きたらどうなるか等を検討することにな
る。事故自体の軽減策も併せて実施する
ことが必要である。また起きた時の財務的
な手当て、
すなわち損失が出たときに穴埋
めする方法、危機の発生に備えたマニュア
ルの整備も有効である。
現実に起きたときの事後対策としては、
【図3】
リスクマネジメントの仕組みづくりの手順
8
例えばクレーム、苦情処理対応がある。そ
大学法人におけるリスクマネジメントの理論と実践
特集 1
の場しのぎのクレーム処理対応をするので
誰がリスクマネジメントをやるのか
はなく、
クレーム処理対応を決めておくこと
委員会形式でもよい
が必要である。訴訟対策、
マスコミ対策、風
改善点抽出
評リスク対策が主なものである。
A
P
リスク抽出・分析
大学が直面する主要リスクの特定
討議、解決に関する場
大学事務局
実行状況の
セルフチェック・
第三者チェック
Step5 点検・改善
(各リスク所管部門)
ク所管部門
所管部門)
C
D
指示・伝達
定期報告
定期報告
定期報告
実際にリスク対策を行ない、
うまくいくか
A
どうか、
それを点検して改善するステップが
P
S t e p 5である。改善後、S t e p 1に戻り、
C
指示・伝達
P
A
Bキャンパス
D
大学事務局
指示・伝達
A
Aキャンパス
分析結果による
課題の改善策実行
C
P
C施設
D
C
各キャンパス
拠点
D
Step5までを繰り返して、
より良い仕組みに
していくのがこの手順であり、
マネジメントシ
【図4】誰がリスクマネジメントをやるのか
ステムの基本的な考え方である。
時の管理規則の策定
4.
おわりに
大学としてリスクマネジメントシステムを
回すためには、委員会形式が適しているも
のと考えている。図4のように、上半分は事
務局、下半分が各キャンパス、研究機関
等の各施設とし、事務局では全体の方針
等をまとめる役割を担い、各キャンパス、各
課題3
点、以下に掲げたい。
1つ目は啓発とアウェアネス。大学のリ
リスクマネジメント統括機能の強化(委員
スク、将来起きる可能性のあることを理解
会運営、専管部門等)
することである。大学人一人ひとりの行動
課題4
リスク所管部門の責任・権限の明確化
課題5
各部門に対する内部統制制度の確立
課題6
が重要で、各人がコンプライアンスやリス
クマネジメントの一部を担っているという自
覚を持つことである。
2つ目は体制の整備という意味で、
リス
クマネジメントの仕組みを支える、標準、
マ
施設ではそれぞれの対応策を実行する役
リスクコミュニケーション(リスク情報の伝
ニュアル・ガイドライン・基本方針の作成で
割を担うシステムとする。この時の関係者
達・開示など)の確立
ある。
間の調整、対話をするために、委員会、
あ
課題7
3つ目は実行、
PDCAで言うDOのところ
るいは事務局による独自組織を設立する
全教職員のリスクマインドの醸成、理念・
であり、
リスク分析、活動計画を通じて、全
のである。
遵法精神の浸透(行動規範の策定・浸
学で効果的なリスク処理ができるようにし
透、部門別/階層別の教育プログラム導
ていくことである。リスクによるインパクトを
入等)
減少させていく活動を行なっていれば、
「き
事務局や委員会におけるToDoリストは
以下の通りであり、
リスクマネジメントの仕
組み作りに必要な課題でもある。
ちんとやっている大学だ」と、社会から評価
モグラたたきのような対処療法の管理で
課題1
緊急事態対応組織の組成とコマンド・コン
トロールの確立
課題2
リスクの重要度に応じた、平常時/緊急
されるものと考えている。
はないリスクマネジメントシステムの理想形
を目指すためには、
リスクマネジメントを大
(社団法人国立大学協会、平成17年度
学の事業戦略として行なうとともに、事業
大学マネージメントセミナー「リスクマネジ
価値の向上という視点を外さないことが必
メントの理論と実際」講演録より)
要である。そのための重要なポイントを3
9
特集
2
中国リコール制度の進展
光和総合法律事務所
弁護士 池内
1.
はじめに
稚利
は、児童の要保護性からの要求であり、
の品質保障体系を補完するものとして、
中国では児童玩具の安全性欠如又は
③欠陥製品を市場から排除するリコー
一昨年、
インターリスク総研では、中
不適当な使用による児童の傷害事故
ル制度がある。②が、事後的で救済的な
国製造物責任法のセミナーを、上海及
が、毎年数万件に達しているという状況
制度であるのに対し、③は事前的で予防
び日本各地で行なった
(本誌2005年10
が背景となっている。
的な制度である。今後、
このリコール制
月第15号参照)。そこでは、当時既に施
本ドラフトをベースに、今後、中国で
行されていた自動車のリコール制度に
は、児童玩具及び児童用品のリコール
ついて解説し、
その際、今後も一定の製
制度が整備されるものと考えられ、本稿
品に関しリコール制度導入が検討され
ではその内容について紹介する。
度がますます充実していくことが予想さ
れる。
ていることを報告した。
3.
本ドラフトの内容
市場経済の発展に伴い、中国では、
消費者の権利保護がますます重要な政
策課題となっている。また、民主化の発
展に伴い、消費者側からも、消費者の権
2.
中国の製品品質法におけ
(1)対象
る品質保障
利保護に関する関心が高まってきてい
リコール制度の対象主体は、
「経営
る。消費者保護分野の法制度は、今後
製品品質法では、概ね、次のような品
者」であり、
これは、中国国内で生産、輸
目覚しく発展していくであろうことが予想
質保障体系を有している。即ち、①品質
入、販売・リース等に従事しているもので
され、日本企業もリコール制度の進展に
を保障するための基準(国家基準、業界
ある
(4条3項)。
注意が必要となっている。
基準及び地方基準)
を定め、
それを遵守
リコールの対象製品は、
「欠陥児童
そんな折、昨年5月、中国国家品質監
させるとともに、②当該基準又は不合理
玩具及び児童用品」である。本ドラフト
督検査検疫総局は、
「欠陥児童玩具及
な危険を内包する製品を欠陥と定め、
そ
では、
「児童玩具及び児童用品」とは、
び児童用品のリコール管理規定」のド
の欠陥製品による無過失損害賠償責
「14歳以下の児童が遊ぶ又は使用する
ラフト
(以下「本ドラフト」)
を公表し、広く
任(いわゆるPL責任)
を定める。また、製
ことを想定しているあらゆる製品」とされ
社会の意見を集める作業に入った。これ
品品質法には直接の規定はないが、
こ
ており
(4条1項)、非常に広範な製品が
10
特集 2
その対象となる。また、
「欠陥」とは、①
るものという3種の要因を同時に満たす
「設計、製造の原因、又は提供過程の
かどうかである
(12条)。
原因により、
ある製造ロット、型番又は類
また、本ドラフトでは、欠陥の危険性を
型の児童玩具及び児童用品に存在す
①重大危険(製品の欠陥が、児童に死
る、同一性を有する、児童の人身の安全
亡或いは身体に対する重傷又は重大疾
に危害を及ぼす不合理な危険」、
あるい
患をもたらす可能性が非常に大きいも
は②「児童の健康及び人身の安全等
の)、②中等危険(製品の欠陥が、児童
〔4条2項には財産は明記されていない
に死亡或いは身体に対する重傷又は重
が、欠陥の判断原則を規定する12条3
大疾患をもたらす可能性は大きくない
号では、財産損害を明記している。〕
を保
が、比較的重い傷害又は疾患をもたらす
障する国家基準、業界基準又は地方基
可能性が比較的大きいもの)、③軽度
準に適合しない状況」
(4条2項)
と定義
危険(製品の欠陥が、児童に比較的重
され、製品品質法で規定する欠陥とほぼ
い傷害又は疾患をもたらす可能性が大
同一の内容である。児童玩具及び児童
きくないが、比較的軽い傷害又は疾患を
用品に関する基準は約30項目あり、
そ
もたらす可能性が比較的大きいもの)に
のうち、強制力のある基準が10項目あ
分けている
(13条)。製品の危険を分類
り、残りは該当項目を満たすことが推薦
管理するということは、自動車リコール制
されるといった位置づけの基準である。
度にはない考え方であるが、
それらがどの
中国リコール制度の進展
ような法律上の効果の違いをもたらすか
(2)欠陥の種類及び認定
は、本ドラフトでは明らかでない。ただ、
「製品の欠陥の危険性及び招来する可
本ドラフトでは、欠陥の判断基準を規
能性のある危害」に基づき、経営者に異
定している。その内容は、①製品の設計
なる措置をとらせる
(14条)、
「欠陥の重
又は製造が原因で、或いは提供過程で
大程度及び危害の緊急状況」に基づ
発生したものであり、②当該製品に普遍
き、関係政府機関が公衆に対し有効な
的に存在し、同一性を有しており、③製
通知方法をとることができる
(37条2項)
品の安全性能が関係法律、法規および
という規定があるのみである。危険性の
安全基準に合致しないか、或いは人身
分類がどのような実務において発展を
又は財産に損害を与えるか、特定の条
遂げていくのかは、今後注目すべき点で
件下で人身又は財産に損害を発生させ
ある。
11
(3)欠陥の調査及び確認
合は、法定の内容を記載したリコール計
画を策定し、
これを主管政府部門に報
欠陥の調査及び確認は、欠陥の存在
告して審査を受けなければならない(33
の可能性を知った経営者が行ない、欠
条)。経営者は、
リコール計画を報告し
陥の存在が確認できた場合は主管政府
てから3日以内に関係経営者に通知し
部門に通知する
(26条)。主管政府部
て欠陥製品の販売を停止させ、公衆及
門は、必要と認める場合は、自ら調査を
び製品所有者に通知し、ホットラインを
行うこともできる
(28条)。また、必要と認
設置し、主管部門指定のメディア及び
める場合は、経営者に対し、指定した期
ネット上で欠陥の状況を伝えなければな
間内に調査・報告するよう請求すること
らない(34条)。経営者は、
リコール計
もできる
(29条)。
画完遂後30日以内に、主管政府部門
に対し、総括報告をしなければならない
(4)製品欠陥排除
(35条2項)。主管政府部門は、経営者
の措置が予定の効果を挙げていないと
欠陥のある製品の排除には、
「警
告」、
「撤収」、
「リコール」等の方法が
用いられる
(4条10項)。
「撤収」とは、
ま
判断した場合、処理意見を提出するか、
法に従った他の措置をとることができる
(36条)。
だ販売されていない製品の販売防止の
ためにとる措置のことをいう
(4条8項)。
(6)政府指令措置
「リコール」とは、本ドラフトでは、既に販
売された製品に対し、交換、回収、修理
経営者が、適時に主体的措置をとら
等により製品の欠陥を排除する措置で
ない場合、主管政府部門は経営者に欠
ある。
陥を排除するよう指令する
(37条1項)。
また、製品の欠陥を認定した場合、経営
(5)主体的措置
者に書面で通知し、欠陥を排除する適
当な措置をとるよう要求する
(30条)。経
12
経営者が主体的にリコールをする場
営者は指令通知を受け取ってから5日以
合は、消費者へ警告を発し、欠陥製品を
内に、関係経営者に生産、輸入、販売の
市場から撤収し、消費者の手にある欠
停止を通知しなければならず(38条)、
ま
陥製品をリコールする
(32条)。この場
た、
リコール計画を主管政府部門に提
特集 2
出しなければならない(40条)。従って、
のリコール要求を拒絶した場合(48条)
主管政府部門から指令を受けた場合、
の罰則規定もある。
中国リコール制度の進展
経営者は緊急の対応を極めて短時間に
行わなければならなくなる。主管政府部
門は、
リコール計画を受け取ってから3日
以内に審査結果を経営者に通知する
4.
中国におけるリコール制
度の今後の展開
(41条1項)。計画認可の通知の場合、
経営者は10日以内にリコール計画を実
施する
(41条2項)。計画を認可しない
児童玩具及び児童製品のリコール
通知の場合、経営者は3日以内に修正
制度は、自動車のリコール制度に続くも
したリコール計画を提出しなければなら
のであるが、今後も中国ではリコール制
ない(41条3項)。経営者は、
リコール計
度が採用される製品が増えることが予
画の実施状況を段階的に報告し(4 2
想される。例えば、既に食品に関するリ
条)、記録を保管しておかなければならな
コール制度が北京市や上海市で実施
い(43条)。経営者は、
リコール計画完
されており、
これが全国的な制度となる
遂後10日以内に、主管政府部門に対
可能性がある。また、前述のセミナーで
し、総括報告をしなければならない(44
ご紹介したように家電製品のリコール
条)。主管政府部門は、報告を受け取っ
制度も検討されている。市場経済の発
てから10日以内に、審査結果を経営者
展に従い、消費者の権利意識も高まり、
に通知し、社会に告知する
(45条1項)。
経営者としても安全な製品を提供する
経営者の措置が予定の効果を挙げてい
ようさらに高度な義務が課せられる傾向
ないと判断した場合、再び経営者に欠
にあるといえる。
陥排除措置をとるよう要求するか、法に
従った他の措置をとることができる
(45
条2項)。
(7)罰則
経営者が故意に製品の欠陥を隠蔽し
た場合(46条、47条)
や、主管政府部門
13
特集
3
インド企業における
リスクマネジメントの特徴
早 稲 田 大 学
インド経済研究所
主席研究員 高見澤
潔
言語の多様性、教育レベルな
最近BRICs(ブラジル・ロシア・インド・
敢えてインドの特徴を一言で言い表
中国の経済新興国)の一角として注目
すとすれば「多様性」ではないかと思い
されているインドですが、心理的距離と
ます。ほぼヨーロッパに匹敵する広大な
文化の違いから日本では一般的にその
国土を28の州と, 6つの連邦直轄地域
リスクマネジメントにおいては、事故や
実像は知られていないようです。特に、
イ
に分け、10億人を超える人口を抱え、
そ
障害の発生を未然に防ぎ、発生した場
ンド関係の実務に携わる人の数は中
の社会は多様な民族と社会階層、数百
合の損害の拡大を防ぐために、予防策
国、東南アジアに比べ一桁以上違うた
とも言われる言語で構成されており、
ひと
の習慣化や標準化を図る必要がありま
め、実際の現地情報が伝わる頻度が低
つの国としては非常に複雑多様である
す。日本のような国においては言語は共
い感があります。また、
インドという国が
といえるでしょう。この多様性がインドの
通であり、教育水準や生活習慣などに
巨大で複雑な国情であるということも原
企業におけるリスクマネジメントを難しく
ついても均質であるため、標準化は比較
因かと思います。
していると考えます。
的容易であると言えるかと思います。と
どのばらつきとその問題点
ころがインドにおいては、言語に始まり、
教育レベル、風俗習慣とそれからくる思
考パターンの違いが極めて多様です。
(写真1:
「高圧危険」の表示)従って、
それに合わせた対策を講じる必要があり
ます。また、言語の違いによるコミュニ
ケーションギャップにも注意する必要が
あります。特に緊急時に現場の担当が
わかる言語でのマニュアル作成や機器
などの表示が必要であると考えます。筆
者がインドに滞在中に実施したある運
輸会社での交通安全運動では、講義は
5つの言語(英語・ヒンディ語・タミル語・
テルグー語・カンナダ語)で行われまし
14
特集 3
インド企業におけるリスクマネジメントの特徴
た、一般的に会社経営層と労働者層の
距離があり、民主主義国として労働者
の権利が確立していることから、一般的
なストライキもしばしば発生します。インド
ではストライキはそれほど珍しいことでは
ありませんが、
インドの労働慣習に不慣
【写真1】
「高圧危険」の表示
れな日本企業において対策を誤った場
た。また、日本では考えられないことです
り、社会生活ではそれが表出する場面は
合、政治家の介入などに発展するなど
が、飲酒や麻薬についての講義、HIVに
少ないと言えますが、何千年と続く宗教
困難な状況になる場合があり、現地人
ついての解説なども含めたプログラムが
にも関係した制度であっただけにいまだ
事担当者と日頃から対策を検討してお
組まれました。免許の取得時にかなり徹
に影響が残っています。また、宗教につ
く必要があると思います。
底した安全教育がされている日本では
いては、
ヒンズー教が多数派であり、
さら
常識とも言える交通安全知識も残念な
にキリスト教、
ジャイナ教、
シーク教、回
がら高いとはいえないレベルにあり、
そこ
教など多くの宗教宗派が存在し、
さなが
インフラの立ち後れによる企業
から始める必要がありました。
しかし、講
ら宗教の博物館といったところです。な
経営への影響
師との対話を含めた講義では熱心に聞
かでも回教徒は十数パーセントのマイノ
き、質問するドライバーや運転助手の姿
リティーでありながら、
1億人を超える人
勢が印象的でした。知識レベルが低い
口であり、数の観点から見ればインドは
から対策が出来ないわけではなく、目線
世界有数の回教国であると言えます。こ
徐々に整備されつつあるとはいえ、
イ
を合わせたプログラムを組めば効果が上
のような多様な宗教、社会階層が社会
ンフラの立ち後れが企業経営に影響す
がることは日本やその他の国々と同様
をクラスター化しているため、
それぞれが
ることもあります。日本人が当たり前と
であると感じました。
なかなか混じり合わず、時にはグループ
考えている交通網、電気・ガス・水道な
間の対立が表面化することによって大
どのライフラインも必ずしも十分とは言
きな社会問題となり、
ストライキから暴動
えません。地域にもよりますが、停電が
社会構造を原因とするストライ
にまで発展することがあります。そのよう
日常化している場合や、給水が制限さ
キ・暴動などのリスク
な現象はハルタールあるいはバンドと呼
れる場合があり、
それに対応した電源の
ばれています。それほど頻繁に発生する
確保や防火水槽などの消火水源の確
インド独特のリスクとして複雑に構成
わけではありませんが、現地に派遣され
保は日本と同様の感覚ではできませ
された社会階層・階級が発端となるもの
た日本人にはこのあたりの構造は極め
ん。電気で作動する警報装置が停電で
があります。公式には
(あるいは法律上
て理解しにくく、情報はインド人パート
作動しないなどの状況を避けるために
は)
カーストによる差別は禁止されてお
ナーなどから入手するしかありません。ま
無停止電源や非常用電源の確保が必
(1)ライフライン
15
【写真2】防災設備
要です。
(写真2:防災設備)
(2)公共機関
【写真3】カンドラ港
などのリスクがあります。コンテナ貨物の
ているため、熱帯固有の伝染病(マラリ
扱いもまだ少なく、
コンテナ専用の埠頭
ア・デング熱など)が存在します。また、殺
やクレーン設備がないところもあります。
生を嫌う宗教が大勢を占めるため野犬
(写真3:カンドラ港)
また、警察・消防・病院などの緊急時
に必要な機関へのアクセス
(通報・道路
が多く、狂犬病などのリスクがあります。
また、全般的に降雨量が少ないことか
(4)鉄道など
事情など)
も事前に検討する必要があり
ら、水道水の質が悪く、飲むことが出来ま
せん。そのため、飲料水はフィルターを通
ます。道路網の整備が進んでいない場
インドは世界でも有数の鉄道ネット
した水を煮沸するか、ボトル入りの飲料
合、事業所からの距離がそれほどでもな
ワークを有していますが、
その設備は老
水を飲むことになります。また、
そのような
いにもかかわらず対応に時間がかかる
朽化しており、必ずしも良好な状態とは
リスクへの対応として、出張・駐在する場
ケースがあるほか、公共の病院などにつ
言えません。貨物の扱いも相当量ありま
合には肝炎および腸チフス、狂犬病など
いては人員・設備が不十分である場合
すが、日本の製造業で要求されるジャス
のワクチンの接種をすることが必要で
があります。民間の病院については先
トインタイムへの対応は困難であり、貨
す。予防接種は現地の病院でも可能で
進設備を導入しているところもあり、実
物の扱いにも不安があります。今後貨
す。野生の猿やコブラなども時には住宅
際に確認して病院を選定すべきです。
物専用高速鉄道などの整備が進み改
地に進入して来ることがあり、
ゴルフ場な
善されると見られています。
どのブッシュなども要注意です。
天候などのリスク
交通事情などによるリスク
(3)港湾施設
その多くが公営である港湾施設も設
備が十分とは言えず、製品・原材料の輸
出入には細心の注意が必要です。貨物
インドは東西南北それぞれ3千キロに
先にも触れましたが、
インフラ整備が
の扱いも公営港では公営企業がハンド
広がる国であり、亜寒帯から熱帯までの
遅れているため、道路事情は良くありま
ルすることが一般的で、
ラフハンドリング
気候があります。一般的には熱帯に属し
せん。鉄道を除くバスなどの公共交通
16
特集 3
インド企業におけるリスクマネジメントの特徴
機関は日本人が利用することは難しく、
慮に入れ対応を検討しておく必要があり
めています。また、
インドは世界最大の民
交通手段は自動車・飛行機が中心とな
ます。
(写真4:家畜の横断)
主主義国であるといわれています。この
ります。高速道路は全体のわずか0.01
ような環境下で外国から進出した企業
%にしかすぎず、主要国道(NH;N a -
にとっては、
トップダウンによる経営方式
tional Highway)
や州政府管轄の地方
安全な企業活動のために
は難しく、
コンセンサスをとりつけつつ運
営を進める方が得策です。
したがって、
道の拡充が進んでいますが、一般的に
道路は長距離移動に向きません。安全
以上インド固有のリスクについて述べ
安全教育やリスクマネジメントの確立に
設備(ガードレール・照明など)
が普及し
てきましたが、
インドが全般的に中国や
おいても押しつけることは避け、現場の
ておらず、安全教育の欠如から交通マ
東南アジア諸国に比べて特に危険であ
意見を採り入れつつモチベーションを高
ナーも悪く、交通事故の頻度が高いと
るとは言えず、
これらの固有なリスクに留
めるやり方をとったほうがプライドの高い
言えます。また、道路上にはバッファロー
意して安全対策を立案すれば十分に安
インド人を動かしやすいものと考えます。
や牛などの家畜や、自転車・
トラクター
全を確保できるものと考えます。インドに
まだまだリスクマネジメントの普及が進ん
などの車両が入り交じって通行してお
進出する企業の多くは東南アジアや中
でいないインドですが、実際には高度な
り、
スムーズな通行を妨げています。三
国での経験を積んでいるものと思われま
リスクマネジメントを導入して成功してい
井住友海上の調べではインドの自動車
すが、
インドにおいてそのまま経験則を
る企業も欧米のグローバル企業をはじ
1台当たりの死者数は日本の約52倍、
当てはめることは危険だと考えます。イン
めとして存在し、
やり方次第ではないかと
自動車1台当たりの事故件数としては
ドは日本よりも早く製鉄業を始め、乗用
考えます。
(写真5、6:リライアンスエナ
日本の約1 8 倍に相当するとのことで
車の国産化を達成した工業国でもあり
ジーの精油所)
す。従って、人員の移動および製品の
ます。技術教育においては多くの人材を
搬出搬入についてはこれらのリスクも考
有し、
I
T産業におけるインドの地位を高
【写真4】家畜の横断
【写真5、6】
リライアンスエナジーの精油所
17
株式会社インターリスク総研
RMFOCUS編集部
○
マグニチュード6.7の地震が発生、その後、同県
り、
また内装材、
非常階段の不備などが建築基準
○
北西部を震源とするマグニチュード6.4の地震も
法にあたる疑いがあるとして、宝塚市が緊急調
○
起きた。この地震による家屋の倒壊などで、数
査を行った。同法に罰則規定はないが、市は調
○
人が死亡している。
査結果を、同法に基づく市の規則見直しや他の
○
またこの地震により、台湾沖の複数の海底
カラオケ店への行政指導に活かす予定。
○
○
ケーブルが損傷を受けたため、
電話やインター
また国土交通省は事態を重視、
類似火災の発
○
ネットなどの国際回線に通信障害が発生した。
生を防止するために、各都道府県等に対しカラ
○
通信各社は、迂回ルートによりサービスを継
オケボックスの状況について緊急点検を行い、
○
続しているが、携帯電話のローミングサービス
その結果を報告するように要請した。
○
が利用できない、
国際電話がつながりにくい、
イ
○
ンターネット接続速度が低下するなどの障害が
○
でている。またその影響は台湾はもちろん、日
製品安全・製造物責任
○
本、
中国、
韓国からシンガポールなど東南アジア
○
に至るまで広い範囲に及んだ。
● 国土交通省が、高級乗用車のドア閉め補助装
置の事故状況を公表
○
国土交通省は、
12月1日、高級乗用車に装備
○
○
火災
されたドア閉め補助装置に関する事故の状況に
つき発表するとともに、
日本自動車工業会や日
○
● 2006年版「消防白書」が発表され、住宅火災
本自動車輸入組合など業界団体に対し、ユー
○
の死者数が過去最高
ザーに注意喚起するように指示した。
○
12月19日、
2006年版「消防白書」が発表され
この補助装置は、
「ドアクローザーシステム」
18
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
経済産業省は1月18日、中国製電気ストーブ
○
○
○
○
○
産業省が使用中止を呼びかけ
について、
ガラス管が破裂し、
火傷を負うなどの
危険性があるとして使用を中止するよう呼びか
○
○
○
○
けた。
ストーブは、「ハロゲンヒーター」と呼ばれ、
2006
年11月から2007年1月にかけて、発熱コイルを
○
覆うガラス管が破裂する事故が3件、
ヒーターか
ら火花が発生して使用できなくなる事故が2件
報告されている。
経済産業省では、輸入・販売を行っていた業
者を調査したが、現在のところ連絡がつかず回
者3名、
負傷者5名を出した。1階厨房で女性従
収などの対応が行えない状況である。同商品を
扱った一部の量販店では、
自主回収を始めたと
○
○
業員が揚げ物調理中、目を離したすきに出火し
たのが原因。
○
○
○
○
26分頃(現地時間)、台湾南部の屏東県沖合で
● ハロゲンヒーターでガラス管破裂事故、経済
○
日に火災が発生、
2階にいた8人が逃げ遅れ、
死
○
台湾中央気象庁によると、
12月26日午後8時
○
●台湾南部地震で国際通信に障害
は9件であった。
○
○
兵庫県宝塚市のカラオケボックスで、1月20
○
であり、
このうち骨折や骨にひびがはいるけが
○
○
土交通省より緊急点検要請
○
施工上の問題も含めて原因究明を進めている。
○
た可能性も低いことから、
根元部分等の設計や
万2,000台が販売されている。事故件数は16件
○
○
○
●カラオケ店火災、建築基準法違反の疑い、国
○
ル程度であり、想定を超える強風が原因となっ
○
○
すとしている。
○
倒壊直前に送られてきたデータは風速25メート
○
メートルの風に耐えるように設計されているが、
装備した乗用車は、過去5年間に46車種、約12
○
器の普及などに力をいれ、
死者数の減少を目指
○
けが折れていたことが判明。また通常は秒速60
○
○
から新築住宅に設置が義務づけられた火災報知
○
があると考えられる土台と支柱をつなぐ部分だ
○
傷がないにもかかわらず、
根元のうち、
最も強度
○
○
「消防白書」では、
消防法改正で、
2006年6月
○
支柱など他の部分には突風が原因とみられる損
的にドアを完全に閉める機能で、同様の装置を
○
の10年間で61%の増加となった。
○
○
は、
前年比4.9%増の528万428件で過去最高、
こ
○
その後の経済産業省の調査によると、羽根や
○
なく、
またけが人もなかった。
○
○
また救急車と救急ヘリコプターの出動件数
○
ある1基が倒れており、その他の24基に異常は
○
○
ている。また出火原因では、
放火が12.6%で9年
連続トップ。
○
○
25基ある風車は100∼200メートル間隔で
「つ」の字型に並んでいるが、
そのほぼ真ん中に
○
○
避難が遅れることが多いためと、消防庁ではみ
同カラオケ店では2階の窓が板張りされてお
○
○
のうち、
65歳以上の高齢者が56.6%を占めてお
り、
高齢者は身体機能の衰えにより、
火災発見や
○
68メートル、出力は1,300キロワット。
○
加を示し、
過去最高の1,200人を記録した。死者
○
○
日夜、風車1基が根元から倒壊する事故が発生
した。風車はデンマーク製で、支柱の高さが約
と呼ばれ、
ドアが半ドア位置まで閉まると、自動
○
(放火自殺者などを除く)は、
前年比17.5%の増
○
○
○
57,460件であったが、住宅火災による死者数
○
青森県東通村岩屋の風力発電施設で、
1月8
○
○
●風力発電用の風車倒壊、原因調査中
○
た。
2005年度の出火件数は、
前年より4.8%減の
○
間がかかる見込み。
○
○
田や用水路なども破壊されており、復旧には時
○
○
援に乗り出しているが、水道、電気が止まり、水
○
○
○
本をはじめ、アメリカ、オーストラリア各国が支
○
○
○
軍や住民が行方不明者の捜索を続ける中、
日
○
○
ある。
○
○
に10億ペソ(約23億円)が投入される見込みで
○
○
○
の捜索、
救援に注力することを決定し、
復興支援
○
○
ヨ大統領は、国家災害事態宣言を出し、被災者
○
○
○
人を超える可能性があると語り、
また同日アロ
○
○
同国の赤十字当局者は12月3日、死者が1,000
○
○
棟に上るとみられる。
○
○
○
けでも被災者は80万人以上、家屋倒壊は12万
○
○
は場所によって屋根の高さまで達し、同州内だ
○
○
灰などが泥流となり、
ふもとに流れ込んだ。泥流
○
○
噴火活動があったばかりのマヨン山では、火山
○
○
州を、
11月30日に通過、
大雨をもたらした。夏に
○
○
台風21号は、
フィリピン・ルソン島のアルバイ
○
○
能性
○
○
●フィリピンの泥流被害、死者1,000人を超す可
○
○
○
○
○
○
自然災害
○
対象期間:2006年12月∼2007年2月
ころもでている。
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
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○
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○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
認めた判決が確定したのは初めてとなる。
食品安全
●大手洋菓子メーカー事件をきっかけに食品安
全問題が話題に
1月、
大手菓子メーカーが、
消費期限を過ぎた
牛乳を使ったシュークリームを出荷し、
他の洋菓
子では細菌検査で食品衛生法の規定を約10倍
も上回る細菌数が検出されたにもかかわらず、
そのまま出荷していたことが明るみに出、全国
で販売を中止した。こうした問題について、
同社
は昨秋の社内調査で把握していたが、
公表して
いなかった。
るが、国公立大では初めて。
学生の安全管理担当者が「全員を保険に加入
その後、
この事件に影響を受けたためか、各
○
○
地で食品の期限切れ表示や異物混入の事件報
させるべきだ」と主張し、実現した。
道やお詫び広告が相次いだ。 ○
○
○
イルスの送付といった二次被害が発生した。
悪性中皮腫発症をめぐる訴訟で、企業の責任を
○
○
生の加入は、
私立大では六十数校が実施してい
○
後には、
いたずら電話やダイレクトメール、ウ
○
○
教育支援協会によると、大学の負担による全学
○
いったセンシティブ情報が含まれており、
流出
労災認定され、提訴。アスベストによる肺がんや
○
○
生教育研究災害傷害保険」を運営する日本国際
○
ほか、アンケートへの回答など身体的特徴と
体調が悪化し、
翌年悪性中皮腫で死亡し、
99年に
○
○
と発表、
毎年約2,800万円を負担する。この「学
○
た。データには住所や氏名、
メールアドレスの
た2審判決が確定した。男性は退職後の95年に
○
○
○
約2万9,000人を4月から傷害保険に加入させる
○
なったため、
約5万人分のアンケートが流出し
○
たアンケートを第三者が閲覧できる状況と
務違反を認めて計約4,600万円の支払いを命じ
○
○
東京大は1月31日、
大学側が保険料を全額負
担して、
留学生や大学院生を含むすべての学生
○
サーバの設定を誤り、
サーバ上に保存されてい
告を受理しない決定をし、
これにより安全配慮義
○
が負担
○
2002年同社が委託していた業者がウェブ
怠ったとして、
勤務先(大阪市)に計8,800万円の
損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は会社側の上
○
○
○
●東大全学生に傷害保険 保険料全額を大学
○
高い」
と指摘し、
同種訴訟の賠償額(5,000∼1
万円)
より高額の賠償を認めた。
た千葉県の男性の遺族が、アスベスト対策を
○
いる。
○
など基本情報のみの場合より秘匿の必要性が
○
るエステのコースの情報も流出しており、
名前
事などの現場監督を務め、悪性中皮腫で死亡し
○
○
染者97人を出し、
11月には、大西洋横断クルー
ズ中の米客船でも、
700人以上が集団感染して
○
は、プライバシー侵害を認めた上で
「関心のあ
高裁が認定
12月14日、石油コンビナートの加熱炉補修工
○
営する客船(定員1,950人)がノロウイルスの感
○
円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決で
○
し3万5,000円、残りひとりに対して2万2,000
●従業員アスベスト被害で企業側の責任を最
○
○
にもカリブ海を就航するクルーズで別会社が運
○
告らの主張を認め、
原告団14名のうち13人に対
労災
○
○
け、
船内を消毒したが、
感染が再発した。この他
○
害賠償を求めた裁判で、
東京地裁は2月8日、
原
○
し、
被害者14名が精神的苦痛を受けたとして損
○
乗せていた。また、今月初旬の感染発生時をう
○
○
○
リブ海のクルーズから帰港。乗客3,900人以上を
○
エステティックサロンから個人情報が漏洩
慮する信義則上の義務に違反する」とした。
○
○
感染は2週間で2度目となる。同船は11日に、
カ
○
●個人情報漏洩訴訟で損害賠償額は3万5千円
建設に着手した業者は「観望を妨げないよう配
○
上が手当てを受けており、
ノロウイルスの集団
○
手段を講じるよう警告している。
たと認定。引き渡した翌年から別のマンション
○
○
も、
ノロウイルスの集団感染を起こして380人以
○
実を通知し、
個人情報悪用の被害から身を守る
○
80万人全員に封書とメールでハッキングの事
○
○
船は11月26日から12月3日までのクルーズ中に
○
情報は含まれていない。
UCLAは12月12日に、
判決で、夫婦が花火を重視し、取引先の接待
にも使うために購入したことを業者は知ってい
○
客108人が、
激しい下痢などの症状を訴えた。同
○
○
11日、
ノロウイルスの集団感染が発生し、
乗員乗
○
やクレジットカード番号、
銀行口座などの金融
○
所、電話番号が含まれていた。運転免許証番号
○
○
また、
海外でも世界最大の米豪華客船で12月
○
が保管され、
氏名、
社会保障番号、
生年月日、住
者に約65万円の支払いを命じた。
○
が集団感染した。
○
○
例も出ている。東京・池袋のホテルでは、
347人
○
生、
教師とスタッフ等の計約80万人の個人情報
○
データベースには同大学の在校生および卒業
○
○
では、高齢者施設の入所者が感染し、死亡する
○
ベースに不正侵入した事実を明らかにした。
○
○
感染が相次いだ。 患者は10月下旬から西日本
を中心に増え、中部や関東へ拡大。大阪や奈良
○
○
12月10日、米カリフォルニア大学ロサンゼ
ルス校(UCLA)は、何者かが同大学のデータ
○
○
因とみられ、抵抗力が低い乳幼児や高齢者での
○
管されていた約80万人の個人情報が流出
損害賠償を求めた訴訟の判決で、
東京地裁は業
○
痛の症状が蔓延した。大半はノロウイルスが原
○
○
全国で猛威をふるい、下痢や嘔吐(おうと)、腹
○
UCLAのデータベースにハッカーが侵入、
保
○
約80万人のデータ流出の危険性
○
○
「おなかのかぜ」と呼ばれる感染性胃腸炎が
○
●UCLAのデータベースにハッキング し、花火が見えなくなった」として約350万円の
○
●ノロウイルス猛威、過去25年で最大の流行
○
○
○
○
が23.9%がスパイウェアを発見している。
○
○
いう。
○
を受けた事業者が7.5%。被害には遭わなかった
婦が「同じ業者が近くに別のマンションを建設
○
置せずに発症するとほぼ100%助からないと
○
○
ぐにワクチンを打てばほぼ100%助かるが、
処
○
を発見している。スパイウェアについては、
侵入
○
は、
15.3%がウイルスに感染、
53.7%がウイルス
譲マンション6階の部屋を2003年に購入した夫
○
○
れは通常ない」
と説明している。
かまれても、
す
○
実施している調査結果を発表。被害状況として
業者に賠償命令
12月8日、隅田川花火大会が見える浅草の分
○
染した人が国内で発症しても、
感染が広がる恐
○
○
○
入って死亡した。 厚生労働省では「海外で感
○
者や1,061の自治体を対象に調査を1989年より
○
して、
ウイルスの被害調査で、
5,500の事業事業
●「隅田川花火が見えなくなる」マンション販売
○
フィリピンで犬にかまれた京都市と横浜市
の男性が、相次いで狂犬病を発症し、
11月に
○
○
○
○
●36年ぶりに狂犬病発症者
○
11月29日、情報処理推進機構(IPA)が「国内
におけるコンピュータウイルス被害状況調査」と
○
●ウイルス感染被害の企業・自治体は15.3%
損害賠償
○
○
○
伝染病・傷害
○
IT・情報関連
19
■ 『 金融CSR総覧 』を出版
本書は、
“金融”をひとつのキーワードに、現段階
における多様なCSRの形、業界の取組み状況、そ
して座談会を通じてひも解く金融とCSRの関係、
金融機関のCSR評価基準など、様々な切り口で
CSRについて解説しています。金融機関や一般企
業のCSR関連部署はもちろんのこと、経営企画・
総務・人事・財務・カスタマーセンター・営業所など
のセクションでも、
ご活用いただけます。
本書の第4編「金融機関のCSR評価基準」およ
び200語を超えるCSR関連用語を取り上げた第5
編「CSRの用語解説」は、株式会社インターリスク
総研のコンサルタントが執筆しております。
経済法令研究会 編・出版
B5判・656頁
定価:9,450円(税込)
※詳しい内容や資料につきましては、三井住友海上営業担当者までご照会下さい。
20
本号で寄稿して頂いた方(敬称略)
R M F O C U S
Risk
リスク Management マネジメント
米谷 秀子(よねたに ひでこ)
1986年
東京工業大学経営工学専攻修了
Find
Observe
日本銀行入行
1991年
鹿島建設(株)入社
東京支店でISO14001、副産物・汚染土壌対策等を担当
(現在に至る)
Control
Undertake
現職:安全環境部施工環境課長
Solve
2003年
本社・安全環境部にて施工環境の支店指導等を担当
リスクの発見
リスクの認識
リスクの制御
リスクの引受
リスクの解決
池内 稚利(いけうち まさとし) 1985年 中央大学法学部法律学科卒業
1991年 弁護士登録
1996年 中国人民大学法律系留学終了
1999年 中国人民大学法学院東亜法律センター客員研究員
光和総合法律事務所パートナー
高見澤 潔(たかみざわ きよし)
1960年 長野県生まれ
1983年 大手損害保険会社入社
アブダビ駐在員、国内企業営業、
インド駐在員等を経て
2006年 早稲田大学インド経済研究所主席研究員
編 集 後 記
新年度になり、
組織や仕事が変わり、
慌しい時期です。フレッシュマンも期待と夢
を抱きながら、社会の荒野に出たばかりです。ところで、
昨年度を振り返ると、
内部
統制、
BCM、情報セキュリティ、SR(社会的責任)など各々の領域で大いに議論が
なされるとともに、各領域の融合・統合化についても言及される年でした。また、
一方で鳥インフルエンザの大流行にも世界的な関心が高まり、
リスクは国境を越
えて襲来することが改めて確認されました。従来ではあまり考えられなかった事
故や事件が多発し、
新聞紙上を騒がせていますが、
この傾向は今後も続くものと考
えられます。企業として、
想定外についても一定対応できるようにしておく必要が
あるでしょうし、
リスクマネジメントについて、企業として対応にブレが生じないよ
うに、
さらに効率的に取り組んでいく必要性があります。
リスクに関する領域については、
様々なことを思考・想像・創造する必要があり、
これからの時代を担うフレッシュマンにもぜひ関心を持っていただき、
新しい風を
吹き込んでいただければと祈念しています。
本RMFOCUSが些かでも皆様のリスク管理にお役に立てれば幸いです。
(M.S.)
RMFOCUS(第21号)
発行日:2007年4 月1日
発 行:三井住友海上火災保険株式会社 火災新種保険部
株式会社インターリスク総研
(無断転載はお断り致します。)
21
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