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バスケットボールにおける「課題ゲーム」の運動強度の検討

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バスケットボールにおける「課題ゲーム」の運動強度の検討
天理大学学報 2
3
6: 5
7―6
9,2
0
1
4
研究ノート
バスケットボールにおける「課題ゲーム」の運動強度の検討
村 上 佳 司1),山 本 忠 志2),市谷浩一郎3),秋 原
悠4),太 田 直 希5),小 島 迪 子6)
An examination of the exercise intensity of “Task-game” in basketball
Keishi Murakami1, Tadashi Yamamoto2, Koichiro Ichitani3
Yu Akihara4, Naoki Ota5, Michiko Kojima6
Key words
Basketball, Task game, Heart rate, Exercise intensity
Abstract
This study aimed to obtain basic materials in order to develop basketball lessons
using “Task-games” which are also designed to enhance the physical fitness of the
players. The games used were “Pivot basketball”, “Line port ball”, “Transitionalmelee-type Basketball” Basketball with a postman and sidezone”. The participants
were university students, who were asked to play those four games in order to
record their heart rate fluctuations and reach a level of exercise intensity at which
enhancement of endurance could be expected. As a result, since it became about
60% Heart Rate Reserved of exercise intensity to continue three task games except
a ”Pivot basketball” for more than 5 minutes, it suggested that it contributes to the
improvement in endurance.
!.諸
られている。この背景に,子どもたちの体力
言
低下の著しいことが挙げられる。
2
0
0
8年改訂文部科学省学習指要領 では,
これまでの体力測定の結果(走・跳・投)
子どもの体力向上を「体つくり運動」領域だ
を見てみると,1
9
8
5年から2
0
0
0年頃までは小
けに任せるのではなく,すべての領域におい
学生(1
1歳)
,中学生(1
3歳)
,高校生(1
6歳)
て指導法を工夫することにより,学習した結
のいずれの校種においても,男女ともに体力
果として体力の向上を達成させることが求め
低下の傾向がうかがえる。その中でも,小学
7)
1)
2)
3)
4)
5)
6)
天理大学体育学部
兵庫教育大学大学院学校教育研究科
大阪電子通信大学
兵庫県立城西高等学校
奈良女子高等学校
國學院大學
1.Faculty of Budo and Sport studies
2.Hyogo University of Teacher Education
3.Osaka Electro-Communication University
4.Hyogo Prefectural Akashi Josai Senior High School
5.Nara Girls’ High School
6.Kokugakuin University
58
バスケットボールにおける「課題ゲーム」の運動強度の検討
生と高校生の体力低下が顕著に現れている。
の「課題ゲーム」は,攻防相乱型課題ゲーム
その後2
0
1
0年頃では,いずれの校種の結果に
作成するための原理原則を踏まえたものであ
も体力向上の傾向が表れている種目が多いが,
り,「ズレを創りだして突くパスを入れる」
1
9
8
5年の結果には及んでいないのが現状であ
という戦術課題が頻出する仕組みとなってい
る(文 部 科 学 省 http : //www.mext.go.jp/a_
る。このことから,バスケットボールの「課
menu/sports/plan/2013)
。
題ゲーム」は,学習効果の有効性があること
2
0
0
8年改訂学習指導要領 において,『学
を明らかにしている。しかしながら,運動強
習した結果としてより一層の体力の向上を図
度の有効性,すなわち全身持久力との関連性
ることができるよう指導の在り方を改善す
については明らかにされていない。
7)
る。
』という記述1)や,『運動する子どもとそ
そこで,本研究の目的は,これまでに作成
うでない子どもの二極化の傾向や子どもの体
された4つの「課題ゲーム」が子どもたちに
力の低下傾向が依然深刻な問題となっている
体育科の目標である「的確な判断力に基づく
ことから,全ての運動領域で適切な運動の経
行動力」を身につけながら,結果として全身
験を通して,一層の体力の向上を図ることが
持久力の向上にも繋がることを検証するもの
できるよう指導の在り方を改善することとし
である。具体的には,各「課題ゲーム」にお
た。(体育科改訂の要点)
』という記述 があ
ける心拍数の変動を記録することにより,そ
り,どの運動領域でも,学習した結果として
れぞれのゲームの運動強度を明らかにするも
体力向上につながる指導が求められているこ
のである。
7)
とがわかる。
!.方
ところで,ボール運動のゴール型の領域を
見てみると,『体力向上』や『ゴール型では,
法
1.対象
簡易化されたゲームで,ボール操作やボール
日常的に運動習慣のある健康な大学生男子
を受けるための動きによって,攻防をする』
3名,女子5名(平均年齢2
1.
5歳)を対象に,
「簡易化さ
ことが明記されている7)。また,『
設定した「課題ゲーム」
(4種類)を行わせ
れたゲーム」とは,ルールや形式が一般化さ
た。
れたゲームを児童の発達の段階を踏まえ,ゲ
ームのルールや様式を修正し,学習課題を追
2.
「課題ゲーム」の選択
求しやすいように工夫されたゲームのことで
バスケットボールの運動課題の解決は,
「縦
ある』という記述3)や,『ゴール型では,攻
パスからの(反転)シュート」が最小単位に
撃側プレイヤー数が守備側プレイヤー数を上
なる。換言すれば,パッサーとシューターの
回る状態をつくり出したり守備側のプレイを
コンビネーションによって,シュートエリア
制限したりすることにより,攻撃しやすく,
内でマークマンを外しただれも位置しないス
また得点が入りやすくなるような簡易化され
ペース,すなわち「最重要空間」に「突くパ
たゲームをする』という記述4)があることか
ス」を入れ,素早くシュートをすることであ
ら,小学校の授業において,児童が学習課題
る。しかし,ディフェンダーは,パッサーと
を追求しやすいように工夫された「課題ゲー
シューター,ならびにシューターとゴールを
ム」を用いた学習を通して,体力の向上に繋
結ぶコースを抑えようとする。したがって,
げることの重要性がうかがえる。
オフェンスは,ピボットや横パスによって,
ゴール型種目の代表的な種目の1つに,攻
「ズレ」をつくる必要がある。
防相乱型シュートゲームであるバスケットボ
井上ら6)は,ピボット技術の未熟が,バス
ールがある。後藤ら2)は,バスケットボール
ケットボールにおける「つまずき」の誘因に
村上・山本・市谷・秋原・太田・小島
なることを明らかにしている。すなわち,ピ
59
である。
ボットに習熟すれば,相手の逆方向に反転し,
ルールは,4対4で,シュートゾーンにい
パスを展開したり,シュートすることもでき,
る人のシュートが決まれば得点となる。ドリ
攻撃の幅を広げることができる。しかし,ピ
ブルは禁止となっており,いずれのプレイヤ
ボット動作は,児童にとって難しい技能とさ
ーも,それぞれのゾーンから出られない。
れ,パス,ドリブル,シュートの影に隠れ,
充分に指導されていないように思われる。
また,得点の総量を競うバスケットボール
教育内容は,ピボットによって敵をかわし,
バスケットボールの最小単位である「縦パス
からのシュート」を習得させることである。
は,シュートを多く打てることに加え,その
ピボットによってズレをつくり,前方の味
成功率を上げる必要がある。そのためには,
方にパスし,これを受けたシューターがピ
シュート成功率が高いとされる最重要空間で
ボットシュートするゲームである。ドリブル
シュートすることが望ましい。
を禁止することによって,ピボットでズレを
ところで,バスケットボールのパス,ドリ
つくり,前方の味方に突くパスを入れ,シュ
ブル,シュートなどの基本技術も,状況判断
ーターはシュートゾーンを左右に動き,パッ
能力に基づいて的確に発揮されてこそ,ゲー
サーのマークマン(ディフェンダー)の死角
ムで生きて働くものとなる。したがって,バ
から外してパスを受ける動きが生まれるよう
スケットボールのようなゲーム状況が絶えず
に仕組まれている。
流動的に変化する攻防相乱型ゲームでは,基
技術が未熟な段階では,一般的にオフェン
礎・基本技術をゲームから取り出し学習させ
スよりもディフェンスが有利になる。した
るよりも,ゲームを通して行う方が有効であ
がって,ゲームはバックコートのパッサーが
ると考えられる。さらに,個々の技術を系統
ボールを保持した状態から開始させると共に,
的に学習する意味の理解が充分でない児童期
2人のゴールマンを配置することによってパ
においては,これらの技術や運動課題を,ゲ
スコースの創出とシューターのタイミングを
ームを通して学習させる方が,楽しさ感覚能
合わせやすいようになっている。また,いず
力との結合を図る上からも意味あると考えら
れのプレイヤーも定められたゾーンを越えて
れる。
そこで本研究では,「課題ゲーム」は,バ
スケットボールにおける攻撃戦術課題である
「ズレを創りだして突くパスを入れる」とい
う課題が頻出する仕組みを有し,「課題ゲー
ム」の原理原則の条件を満たしている!「ピ
ボットバスケットボール」
(以下 PB と略す)
,
"「ラインポートボール」
(以下 LPB と略
す)
,#「過渡的相乱バスケットボール」
(以
下 TMTB と略す)
,$「ポストマン&サイド
ゾーン付きバスケットボール」
(以下 PSB と
略す)の4種類のゲームを設定した。
ゲーム!「ピボットバスケットボール」
(PB)
図1に示すゲームの課題は,「ピボットで
敵をかわし,前方にパス(シュート)
しよう」
図1 「ピボットバスケットボール」の概要図
シュートゾーン内の人を黒,コート内の
人を白で示す。○,△同士が味方を示す。
60
バスケットボールにおける「課題ゲーム」の運動強度の検討
プレイできないようにすることにより,パッ
サーには複数のディフェンスによる過剰なプ
レッシャーがかからないようにすることや
シューターには直接プレッシャーを受けるこ
となく容易にボールが操作できるようになっ
ている。
ゲーム!「ラインポートボール」
(LPB)
図2に示すゲームの課題は,「ズレを創っ
て,ゴールマンに突くパス(シュート)を入
れよう」である。
ルールは,4対4で,ゴールゾーンにいる
味方にパスを通すと得点となる。ゴールマン
はゴールゾーンから出ることはできない。
フィールドプレイヤーはゴールゾーンに入る
図2 「ラインポートボール」の概要図
シュートゾーン内の人を黒,コート内の
人を白で示す。○,△同士が味方を示す。
ことはできない。フィールドプレイヤーはド
リブルが認められている。
これは,林・後藤 によって開発された過
5)
ゲーム"「過渡的相乱バスケットボール」
(MTMB)
渡的攻防相乱型ゲームで,コートの一部に地
図3に示すゲームの課題は,「シュート確
理的に分離されたゴールゾーンを設け,ゴー
率の高い最重要空間にズレを創って,突くパ
ルマンにパスができたら得点となるゲームで
スを入れシュートしよう」である。
ある。地理的に分離されたゾーンに位置する
ルールは,4対4で,ゴールマンがシュー
ゴールマンは,ゾーンから出ることができな
トゾーンでパスをキャッチした時点でまず得
いため,攻撃側に数的優位が保障されている。
点を与え,その地点がゴールに近い最重要空
そのため,オフェンスプレイヤーは,
ディフェ
間であれば2点,ゴールから遠い場合は1点
ンスからのプレッシャーが軽減され,ズレが
とすることで,最重要空間の認識を高めよう
生まれ易くなっている。
としている。更に通常のゴールにシュートが
また,ゴールゾーンの縦を1mにすること
決まれば2点が与えられる。その際,ドリブ
で,ディフェンスの頭上を越すパスよりもコ
ルシュートは可としている。すなわち,最重
ンビネーションでズレをつくり,ゴールマン
要空間でパスを受けシュートが決まれば4点
に突くパスを入れる動きが頻出するように仕
となる。
組まれている。更にゴールマンには,左右に
また,フィールドプレイヤーのパスに合わ
タイミング良く動くことが要求されるが,相
せたゴールマンの動きが多様になるよう,
手の妨害を受けないように地理的に分離され
シュート(ゴール)ゾーンの幅は3mに広げ
ているので,ボールキャッチ操作が容易にな
られている。
るようにも配慮されている。
教育内容は,フィールドプレイヤーならび
教育内容は,フィールドプレイヤーならび
にシューターのコンビネーションで,ズレを
にゴールマンとのコンビネーションによって,
創り,突くパスをシュート成功確立の高い最
バスケットボールの中核的戦術行動である
重要空間に入れることを学習させることであ
「ズレを創って,突くパスを入れる」ことを
る。
学習させることである。
村上・山本・市谷・秋原・太田・小島
61
図3 「過渡的相乱型バスケットボール」の概
要図
シュートゾーン内の人を黒,コート内の
人を白で示す。○,△同士が味方を示す。
図4 「ポ ス ト マ ン&サ イ ド ゾ ー ン 付 き バ ス
ケットボール」の概要図
ポストマンを黒,コート内の人を白で示
す。○,△同士が味方を示す。
ゲーム!「ポストマン&サイドゾーン付きバ
3.測定方法
スケットボール」
(PSB)
図4に示すゲームの課題は,「ズレを創っ
て突くパスを入れる」ことである。
ルールは,4対4で,バスケットボールの
課題ゲームの実践はゲームが成立すること
を狙って,PB は3分間,LPB,MTMB,PSB
は5分間とした。
運動強度については,それぞれの「課題ゲ
ルールに以下の点を追加している。
ーム」中の心拍数と休息時の心拍数をハート
(1)ポストマンは,フロントコートの2点
レイトモニター(ポラール社製 POLAR 300
エリアから出られない。味方がシュート
を打つと,その役割を次のプレイヤーと
交代する。
(2)サイドゾーンには,ディフェンスは入
X)を使用し,1
5秒間ごとに測定した。
ゲ ー ム の 実 践 は PB か ら 順 番 に LPB,
MTMB,PSB と行い,ゲーム間の休息を充
分にとり,被験者全員が安静時の心拍数にも
れない。オフェンスはその使用に一切の
どったのを確認してから次のゲームを行った。
制限はない。また,エリアの制限は設け
安静時の心拍数については実験の日の各被験
ているが,攻撃戦術の遂行には一切の支
者の早朝時の3
0秒間の脈拍数から算出したも
障はない。
のを使用した。
教育内容は,ポストマンをうまく使い,速
攻やポストプレイを学習させる。サイドゾー
相対的運動強度については心拍数予備能法
9)
を用いて次の式から求めた。
(HRR)
ンをうまく利用し,ディフェンスを広げるこ
相対的運動強度(%)=
とにより,中央付近が攻めやすくなることを
(運動中の平均値心拍数−安静時心拍数)
学習させる。
/(最大心拍数−安静時心拍数)×1
0
0
最大心拍数:2
2
0−年齢
バスケットボールにおける「課題ゲーム」の運動強度の検討
62
!.結
2.
「ラインポートボール」
(LPB)
について
果
表2は,5分間の LPB 実施時の各被験者
本研究では,各被験者のゲーム中の最大値
の心拍数を示したものである。平均値をみる
と平均値の心拍数,さらに全被験者の最大値
と,全被験者の平均値の心拍数の平均値が1
3
6
と平均値の平均値並びに標準偏差を算出した。
拍/分となった。このことについては,この
課題ゲームにはゴールマンの設置があり,ゴ
1.
「ピボットバスケットボール」
(PB)に
ールマンは動かない時間もあり,動く範囲も
狭いため,ゲーム中の心拍数の平均値は低く
ついて
表1は,3分間の PB 実施時の各被験者の
なると考えられる。しかし,最大値をみてみ
心拍数を示したものである。平均値をみると,
ると,1
6
0拍/分を超えた被験者が5名いた。
1
1
0拍/分以下の被験者が5名みられ,その
従ってこの課題ゲームは最大値の心拍数がこ
被験者の最大値は1
3
0拍/分程度であった。
こまで上がる可能性が認められた。被験者A,
被験者Aは,最大値の心拍数が1
1
4拍/分ま
E,Hについてみると,最大値は15
0拍/分
でしか上がらず,平均値の心拍数も8
7拍/分
程度,平均値は1
3
0拍/分程度にとどまって
と低い値を示していた。一方,被験者Cは,
いた。一方,被験者C,Fは最大値が1
8
0拍
最大値の心拍数が1
6
8拍/分にまで上がり,
/分程度にまで上がっている。被験者Cの平
平均値心拍数は1
3
6拍/分であった。この被
均値は1
7
0拍/分程度まで達していた。これ
験者Cは,ボールを保持しピボットをしてい
は,この課題ゲームが,バスケットコートの
るプレイヤーから,パスを受けるために動き
ほぼ全体を主に3対3で往復するため,ここ
まわり,運動量が増えたため,心拍数がここ
まで心拍数が上がったと考えられる。被験者
まで上昇したのではないかと考えられる。
Fの平均値は,1
5
0拍/分であり,最大値と
平均値の差が大きいものとなっている。これ
は,途中でゴールマンを交代していたことが
影響していると考えられる。
表1 ピボットバスケットゲーム時の最大値及び平均値心拍数(拍/分)
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村上・山本・市谷・秋原・太田・小島
63
表2 ラインポートボールゲーム時の最大値及び平均値心拍数(拍/分)
⿕㦂⪅
᭱኱್
ᖹᆒ್
㻭
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㻝㻟㻢㻚㻝
㻿㻰
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㻝㻤㻚㻜
3.
「過渡的相乱バスケットボール」
(TMTB)
てみてみると,最大値は1
8
0拍/分を超え,
平均値は1
6
5拍/分程度まで上昇している。
について
表3は,5分間の TMTB 実施時の各被験
被験者A,Eと被験者C,Fを比べると大き
者の心拍数を示したものである。平均値をみ
な差がみられる。これは,この課題ゲームも
てみると,全被験者の平均値心拍数の平均値
ゴールマンは,ゴールゾーンから出られない
は1
4
0拍/分を超えていた。さらに最大値を
ことによって心拍数を下げる影響を及ぼして
みてみると,1
6
0拍/分を超えた被験者が5
いるのではないかと考えられる。フィールド
名いた。これらのことから,この課題ゲーム
プレイヤーは,コートを縦横無尽に動くこと
は最大値の心拍数が十分に上がる可能性が認
ができ,十分に心拍数が上がったのではない
められた。
かと考えられる。
被験者A,Eについてみてみると,最大値
は1
5
0拍/分程度,平均値は1
2
0拍/分程度に
とどまっている。一方,被験者C,Fについ
表3 過渡的相乱型バスケットゲーム時の最大値及び平均値心拍数(拍/分)
⿕㦂⪅
᭱኱್
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㻭
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バスケットボールにおける「課題ゲーム」の運動強度の検討
64
4.
「ポス ト マ ン&サ イ ド ゾ ー ン 付 き バ ス
ケットボール」
(PSB)について
5.全被験者の最大値ならびに平均値心拍数
の平均値について
表4は,5分間の PSB 実施時の各被験者
表5は,各被験者の,それぞれの「課題ゲ
の心拍数を示したものである。平均値が1
6
5
ーム」における最大値と平均値の心拍数を示
拍/分程度の数値を示す被験者が3名いた。
したものである。PB ではほぼ全員が低い心
また,最大値をみてみると,1
8
0拍/分を超
拍数を示した。その他の3種の「課題ゲーム」
える被験者が5名いたことから,他の3種の
では,LPB で最も高い心拍数を示した者や,
ゲームと比べると,運動強度は高くなるゲー
TMTB で最も高い心拍数を示した者,PSB
ムであることが示された。被験者B,C,D,
で最も高い心拍数を示した者もいた。この結
E,Fについてみてみると,最大値は1
8
0拍
果,PB を 除 く LPB,TMTB,PSB の3種
/分を超えており,平均値も1
6
0拍/分程度
の「課題ゲーム」は,心拍数が高くなること
まで上がっている。被験者Aについてみてみ
から,全身持久力の体力への影響も期待でき
ると,最大値は1
7
0拍/分程度,被験者G,
ることが示唆された。一方,被験者によって
Hにおいても最大値は1
6
0拍/分を超えてお
は最も心拍数が高まった「課題ゲーム」が異
り,被験者A,G,Hの平均値はいずれも14
0
なることも認められたことから,一概にどの
拍/分を超えていた。全被験者の心拍数がこ
ゲームによって心拍数が高くなるとは言えな
こまで上がる結果となったのは,ポストマン
いことがわかった。
がオフェンスのゴール付近にいるため,速攻
が起こりやすく,それを阻止するためにディ
図5は,全被験者における最大値と平均値
フェンスが早く戻る必要があることが考えら
の心拍数の平均値ならびに標準偏差を示した
れる。また,シュート場面にまでディフェン
ものである。課題ゲームを通して全被験者の
スがプレッシャーをかけることができるため,
平均値をみてみると,PB,LPB,TMTB,
オフェンス・ディフェンス共に様々なプレイ
PSB の順に心拍数が高くなっている傾向が
が出現するため,運動量が増え,心拍数が上
伺える。この理由としては,次のことが考え
昇したと考えられる。
られる。
PB はピボットの練習であり,コートも狭
いため,心拍数があまり上がらなかったと考
表4 ポスト&サイドゾーン付きバスケットゲーム時の最大値及び平均値心拍数(拍/分)
⿕㦂⪅
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村上・山本・市谷・秋原・太田・小島
65
表5 各被験者の各ゲーム実施時の最大値および平均値心拍数(拍/分)
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䚷䝷䜲䞁䝫䞊䝖䝪䞊䝹
㐣Ώⓗ┦஘ᆺ䝞䝇䜿
䚷䚷䚷㻼㻒㻿䝞䝇䜿
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㻭
㻝㻝㻠
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㻝㻠㻤
㻝㻝㻤
㻝㻣㻝
㻝㻠㻜
㻝㻢㻣
㻮
㻝㻟㻟
㻝㻜㻝
㻝㻣㻞
㻝㻠㻥
㻝㻣㻟
㻝㻟㻣
㻝㻤㻡
㻯
㻝㻢㻤
㻝㻟㻢
㻝㻤㻤
㻝㻢㻤
㻝㻤㻝
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㻝㻤㻜
㻝㻢㻤
㻰
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㻝㻢㻞
㻱
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㻝㻜㻚㻤
㻝㻞㻚㻜
えられる。LPB は十分に心拍数が上がる可
オフェンス,ディフェンスともに運動量が多
能性を持っているが,ゴールマンになった人
くなり,心拍数が増加したと考えられる。ま
は,運動時間が限られ,動ける範囲も狭く,
た,PSB が最も高い心拍数を示したことに
心拍数は上がらないと考えられる。TMTB
ついては,攻防の中で,シュート場面にまで
は,LPB よりもゴールマンの動ける幅が広
ディフェンスがプレッシャーを与えられるた
がり,シュートを行うので,ゴールマンの心
め,様々なプレイが出現し,オフェンス・デ
拍数も上がり,LPB より全被験者の平均値
ィフェンスともに運動量が増えたと考えられ
心拍数の平均が上がると考えられる。PSB
る。
は,シュート場面までディフェンスがいて,
図5 4つの課題ゲーム時の最大値及び平均値の平均心拍数(拍/分)
バスケットボールにおける「課題ゲーム」の運動強度の検討
66
被験者BとHでは2
5%程度であるが,被験者
6.全被験者の相対的負荷強度について
表6は各被験者の各「課題ゲーム」におけ
CとGでは5
0%程度と高い数値であった。
る相対的負荷強度を示し,図6は各「課題ゲ
LPB では被験者EとGでは4
1%であるが,
ーム」における相対的負荷強度の全被験者の
被験者B,CとFでは6
0%以上となり高い数
平均値ならびに標準偏差を示している。
値であった。TMTB では被験者A,EとH
相対的負荷強度は,安静時の心拍数などの
では4
5%程度であるが,被験者C,D,Fと
個人差をなくし,個人に対してどの程度の負
Gでは7
0%程度となり高い数値であった。
荷がかかっているのかを求めている。全被験
PSB では被験者GとHでは5
5%程度である
者の相対的負荷強度をみてみると,PB では
が,その他の被験者では7
0%程度となり高い
図6 各ゲーム時の平均値における相対的負荷強度(%)
表6 各被験者の各ゲーム実施時の平均値における相対的負荷強度(%)
⿕㦂⪅
䚷䝢䝪䝑䝖䝞䝇䜿䝑䝖
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㻡㻞
㻠㻝
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㻴
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㻠㻡
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㻝㻞㻚㻜
㻝㻟㻚㻡
㻤㻚㻡
村上・山本・市谷・秋原・太田・小島
67
数値であった。また,図6をみてみると,図
体力への影響も期待できることが示唆された。
5と同様に PB,LPB,TMTB,PSB の順で
山地11)は年齢によってその関係式は異なるが,
運動強度が高まっていることが伺える。
心拍数と運動強度との間に高い相関関係のあ
PB では,相対的負荷強度の平均値が3
6%
る事を報告し,大学生では持久力向上が期待
と低い値にとどまったが,LPB,TMTB,PSB
4
5
できる7
0%VO2max に相当する心拍数は1
は6
0%に近い値を示し,相対的負荷強度は緩
拍/分であると述べている。また,相対的負
やかに上昇していることがわかる。
荷強度では6
0∼7
0%であると述べている10)。
!.考
このことから,5分間の LPB では心拍数及
察
び相対的運動強度は低い傾向にあることが考
えられるが,これはゴールマンの運動量が影
1.全身持久力向上に関しての考察
4種の課題ゲームとして,ピボットバスケ
響しての結果を考慮すれば,コートプレーヤ
ットボール(PB)
,ラインポートボール(LPB)
,
ーは充分な運動量となっているものと考えら
過渡的相乱型バスケットボール(TMTB)
,
れる。このことは TMTB にも当てはまるこ
ポスト&サイドマン付きバスケットボール
とである。これらのことから,実際のゲーム
(PSB)を8名の大学生を対象に実践した
展開ではゴールマンを交代しながら行えるこ
ところ,3分間の PB では心拍数の平均値の
とで,すべてのプレーヤーが充分な運動量を
平均が1
1
1.
4±1
7.
3拍/分となり,相対的運
確保し,全身持久力の向上につながると考え
動強度では3
5.
9±9.
0%であった。5分間の
られる。
LPB では1
3
6.
1±1
8.
0拍/分となり,54.
1±
1
2.
0%,同様に TMTB では1
4
3.
8±2
1.
0拍/
2.課題ゲームの配列の順序性についての考
5
3.
3±1
2.
0拍
分 で5
9.
9±1
3.
5%,PSB で は1
察
/分で6
6.
5±8.
5%であった。以上の結果か
表7は,後藤ら2)が作成した学習過程の概
ら PB を 除 く LPB,TMTB,PSB の3種 の
略を示している。すなわち,「パスからのシ
「課題ゲーム」は,心拍数が高くなることか
ュートができ,全員がバスケットボールの特
ら,相対的運動強度も高くなり全身持久力の
性に触れ,ゲームを楽しむことができる」を
表7 学習過程の概要(後藤ら(2
0
0
6)から引用)
学習過程
1時
2
3
4
知
る
↓
5
6
深
め
る
7
↓
8
9
1
0
1
1
1
2
確
か
め
る
主な学習内容
ピ
ボ
ッ
ト
シ
ュ
ー
ト
!
オリエンテーション
試しのゲーム!
「ピボットバスケットボール」
課題:ピボットで敵をかわし前方にパス(シュート)しよう
「ラインポートボール」
課題:ズレを作って,ゴールマンに突くパス(シュート)を入れよう
試しのゲーム"
「過渡的相乱バスケットボール」
同
上
"
課題:シュート確率の高い最重要空間に突くパスを入れシュートしよう
バスケットボール大会
リーグ戦(作戦を生かそう)
68
バスケットボールにおける「課題ゲーム」の運動強度の検討
目標とし,グループ学習による課題解決型の
「P&Sバスケットボール」は「過渡的相乱
授業形態を採用している。また,毎時の前半
バスケットボール」の後に行うのが妥当だと
には,準備運動を兼ねて,ピボットシュート
考えられる。
を位置づけている。
次に,運動強度の面からみてみると,「ピ
この研究で行った実験の,「技術の伸び」
ボットバスケットボール」
,「ラインポートボ
の自由記述の内容は,単元を通して「ピボッ
ール」
,「過渡的相乱バスケットボール」
,「P
トで相手をかわす」
,「ピボットがうまくなっ
&Sバスケットボール」の順で運動強度が高
た」などのピボットに関するものから,「横
まっていた。したがって,運動強度は低く,
パスでズレを作る」
,「ゴールマンの動きが大
ピボット練習がしっかりとできる「ピボット
切」などのパスワークプレーに関するものに
バスケットボール」を準備運動として取扱い,
移行することが認められた。
主運動として,バスケットボールのボール運
上記の変化は,ピボットで相手をかわすボ
びの練習ができ,体力向上も見込める運動強
ール保持者個々の動きから,ボール非保持者
度を示した「ラインポートボール」
,バスケッ
を必要とするパスワークプレーの集団の動き
トのボール運びと最重要空間への意識が高め
に子どもの意識が移行したと言い換えること
られ,体力向上も見込める運動強度を示した
ができる。これは,ボールを持って走れない
「過渡的相乱バスケットボール」や「P&S
というバスケットボールの特性から出現した
バスケットボール」を行うことが妥当だと考
ピボットがパス,ドリブル,シュートなどの
えられる。
基本技術を支える基礎技術であるとする考え
!.まとめ
方に基づいて作成した学習過程は,児童の「分
かる」と「できる」の学習の道筋を保障して
本研究では,4つの「課題ゲーム」を選択
いることを示唆していると考えられた。した
し,大学生を対象に「課題ゲーム」を行わせ,
がって,攻防の分離の要素の多いゲームから
その際の平均値心拍数,最大値心拍数を記録
相乱型に配列するという考え方に基づいた3
し,運動強度を測定した。
つの課題ゲームの順序性は妥当であると考え
られた。
(1)
「ピボットバスケットボール」におけ
本研究では,後藤ら2)が作成した「ピボッ
る心拍数および相対的運動強度からみて,
トバスケットボール」
,
「ラインポートボール」
,
3分間の実践では全身持久力向上が期待
「過渡的相乱バスケットボール」の3つの課
できる数値にまでは上がらなかった。
題ゲームと,中島 が作成した「P&Sバス
(2)
「ラインポートボール」における5分
ケットボール」の運動強度を測定した。した
間の実践での心拍数および相対的運動強
がって,3つの課題ゲームは,上に述べてあ
度は,フィールドプレイヤーにおいては,
るように,学習内容の面から見ると,
「ピボッ
充分に高くなることが認められたが,ゴ
トバスケットボール」
,
「ラインポートボール」
,
ールマンは高くならない可能性が示唆さ
「過渡的相乱バスケットボール」の順序で行
れた。
8)
うのが妥当だと考えられる。
「P&Sバスケッ
(3)
「過渡的相乱バスケットボール」にお
トボール」は,学習内容で見ると,シュート
ける5分間の実践での心拍数および相対
場面にまでディフェンスがプレッシャーを与
的運動強度は,フィールドプレイヤーは
えることができ,様々なプレイが生まれやす
充分に高くなることが認められ,ゴール
いことなどから,最もバスケットボールに近
マンはそれに比べて低い可能性が示唆さ
い課題ゲームであると考えられる。そのため,
れた。しかし「ラインポートボール」よ
村上・山本・市谷・秋原・太田・小島
69
りも,ゴールマンの運動強度は高い可能
希人,田中譲(20
0
9)
,技能が高まり体
性が認められた。
力の向上も期待できるバスケットボール
(4)
「P&Sバスケットボール」における
の授業づくり―リング複数型とリング攻
5分間の実践での心拍数および相対的運
撃継続型課題ゲームの比較を通して―,
動強度は,他の3種のゲームと比較して
5
0
兵庫教育大学研究紀要3
4,
1
3
7―1
高い値を示した。
5.林修,後藤幸弘(19
9
5)
,ゲーム領域に
おける教材配列に関する事例的検討―攻
以上の実験結果をもとに,学習内容と全身
防分離型から攻防相乱型への移行・発展
持久力向上の両方の側面からみて,ラインポ
の有効性―,Proceedings of the 2nd
ートボール,過渡的相乱バスケットボール,
Tsukuba International Workshop on
P&Sバスケットボール3種のゲームでは,
ボール運動の本来の目標を達成するとともに,
Sport Education, 55−65
6.井上直耶・松下健二・後藤幸弘(20
0
0)
,
これら3つの課題ゲームを5分間以上続ける
ピボットの未習熟はバスケットボールに
ことで HRR の約6
0%の運動強度となり,全
おける技術的つまずきの基底的要因か,
身持久力向上も期待できる「課題ゲーム」で
5
兵庫教育大学実技教育研究1
4,5
7―6
7.文部科学省(2
0
0
8)
,小学校学習指導要
あった。
【引用・参考文献】
領解説―体育編―,東洋館出版社
8.中島友樹(2
0
1
2)
,攻防相乱型シュート
1.中央教育審議会答申(2
0
0
3)
,子どもの
ゲームにおける状況判断行能力の評価法
体力向上のための総合的な方策について
開発とその育成について,兵庫教育大学
2.後藤幸弘・古賀秀和・松本靖(20
0
6)
,
院修士論文
課題ゲームを中心とするバスケットボー
9.日 本 体 力 医 学 会 体 力 科 学 編 集 委 員 会
ルの特性に触れる学習過程―高学年児童
(2
0
1
1)
,運動処方の指針―運動負荷試
を対象として―,兵庫教育大学研究紀要
験と運動プログラム―,南江堂,pp.
1
5
8
3
2
3
1,
1
2
0―1
―1
6
8
3.後藤幸弘・田中譲・福田修一・山本忠志
1
0.若山章信・長澤純一編著(2
0
0
7)
,持久
(2
0
1
0)
,サッカー課題ゲームの運動強
力をつけるトレーニング「体力とは何か
度の検討―体力の向上にも配慮した学習
―運 動 処 方 の そ の 前 に―」
,ナ ッ プ,
過程の作成に向けて―,日本教科教育学
1
4
pp.
2
0
7―2
0
会誌第3
3巻,3
1―4
4.後藤幸弘,山本孔子,本多弘子,窪田真
1
1.山地啓司(1
9
8
5)
,運動処方のための心
8
拍数の科学,大修館書店,pp.
3
7―6
Fly UP