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ディスプレイ人間工学的評価 - 映像情報インダストリアル

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ディスプレイ人間工学的評価 - 映像情報インダストリアル
特集 フラットパネルの最新動向
ディスプレイ人間工学的評価
の解説(ISO 13406の概要)
日本アイ・ビー・エム株式会社
大和事業所 人間工学
吉武 良治
ディスプレイの人間工学設計・評価を行う上で重要なことは、ユーザの人間特性に注目
するだけでなく、ユーザが行うタスクや利用環境を十分に考慮することと、人間工学上
の評価基準を明確にすることである。本稿ではこの基本的な考え方、アプローチの仕方
を紹介する。また、ディスプレイに対する人間工学国際規格の概要を解説し、昨年12月
1日に発行されたフラットパネルディスプレイに対する人間工学規格ISO13406-2の概
要について解説する。
こととする。ディスプレイの人間工学を、ひと
はじめに
ことで言えば、ユーザ(人間)に注目して、ユー
ザを中心とした設計(User-Centered Design)を行
ものを設計・開発する場合には、利用者にと
うことといってよい。ユーザに注目してどのよ
って役に立つ機能があるか、そしてその使い勝
うにアプローチするかがポイントであり、その
手はよいかということを考慮するが、その考慮
基本的な考え方を紹介する。人間工学設計・評
が十分でないことが多い。近年では、人間工学
価を行う場合に考慮すべき大切なことは大きく
設計や人間工学評価がクローズアップされてい
わけてふたつある。まずひとつめは、ユーザだ
るが、その実態については曖昧に捉えられてい
けではなく、ユーザを取り巻くすべてに注目す
ることが多い。人間工学的な評価や実験は、対
るということである。、人間工学設計では、ユー
象とするユーザや想定するタスク、作業環境が
ザに注目するということは人間の基本特性や好
異なると、結果が大きく変わってくる場合があ
みなどに注目すると同時に、ユーザのタスク(何
るため、そのことが理解を妨げているように思
を目的としてどのように実施するのか)、そして
える。ここでは理解しにくいと思われる点を中
使用環境(どのような場所で、どのような条件下
心に解説し、人間工学設計・評価の本質的な考
で使用するのか)ということを十分に考慮するこ
え方および評価例を紹介する。さらに液晶ディ
とが基本的な考え方である。
スプレイを主対象とした人間工学国際規格
実際に人間工学的な設計・評価を行う場合に
ISO13406-2 の概要および関連動向について解説
は、このタスクと環境が決まらないと正しい判
する。
断ができない。すなわちタスクや環境が変わる
1)
と最適な設計基準が変わってしまうのである。
ディスプレイの人間工学設計・
評価とは
ものを設計・開発する場合には、ひとつの機種
でできるだけいろいろな用途に使えるほうが費
用対効果がよいため、機能を増やし、さまざま
人間工学は学際的な領域のため多くの分野で
な対象ユーザ、多くのアプリケーションで利用
応用されているが,ここではディスプレイを設
できることをアピールしたくなるのは当然であ
計・開発する立場での人間工学に絞って考える
る。しかしそうすることによって対象ユーザや
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特集 フラットパネルの最新動向
タスク、環境が広範囲にわたり、不明瞭になっ
条件下における特定ユーザに対する要求からス
てくる。結果として誰が使っても満足できない
タートするが、このときにディスプレイが具備
ものに陥りやすい。人間工学のアプローチでは、
すべき条件がわかっても製品開発にはほとんど
まずある特定のユーザが、特定のタスクを、特
役には立たない。実際には、ディスプレイへの
定の環境下で、ディスプレイを利用するときの
要求条件がほぼ同一であるユーザのカテゴリー
条件を考慮することが基本となる。
を明確にし、また要求条件が有効である環境条
図1にその概念図を示す。図1の破線の枠内に
件の範囲やタスクの種類を明確化することによ
対象となるユーザ、環境、タスクにおけるそれ
って、ディスプレイの設計指針として有効に活
ぞれの具体例を示した。求める設計指針の内容
用できることになる。
によってはもっと詳しい利用の状況に関する情
たとえば、タスクに関しては、文字を読み取
報が必要となることもある。このように特定の
る作業であれば、少しくらい仕事内容が変わっ
図1 ディスプレイ人間工学の考え方の概念図
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ても、大体ディスプレイの最適な表示条件は、
評価指標を選択する際には、用いる評価指標
同じと考えてよい。一方、写真や動画も表示す
によって検出力や結果が異なることがあるので
る必要がある作業では、要求されるコントラス
注意を要する。作業パフォーマンスでは差が認
トのダイナミックレンジや応答速度に対する要
められにくい場合でも、主観評価によって明確
求などが、文字表示の場合とは大きく異なって
な結果が得られることも少なくない 3)4)。また同
くる。ここで重要なのは作業が異なると、要求
じ作業パフォーマンスでも検索作業と文章の読み
される表示条件が、相反する条件となることも
取り作業で結果が逆転したという報告もある5)。
多いということである。動画表示を考慮して
評価基準で重要なことは、定量的に表現する
300cd/m 以上の輝度を提供した場合、そのまま
ことである。主観評価による評定値でも尺度を
文字表示の作業を行うと多くのユーザにとって
工夫することによって明確な数値化が可能であ
は、明るすぎたり、コントラストが高すぎるこ
る。5段階劣化尺度 6)など標準化された尺度も多
とになる。普通は輝度やコントラストを調節す
く、広く利用されている。評定値の絶対値を設
る機能が提供されているが、使いづらかったり、
定し難い場合には、基準となるディスプレイと
その調節範囲が十分でないことも多い。またた
の比較結果によって善し悪しを判断することも
とえば上記ディスプレイで50cd/m2まで輝度を下
よく行われる7)。
2
げることができたとしても、50lx以下の暗い部屋
で利用する場合には、50cd/m2でも文字表示には
コントラストが高すぎることもある。照度とい
人間工学国際規格
う環境要因を考慮する必要がある一例である。
人間工学設計・評価を行う場合の重要なこと
ISO(国際標準化機構)において、1975年に
としてふたつめは、人間工学的な評価基準
TC159 Ergonomics(人間工学)が設置され、それ以
(criteria)の明確化である。対象となるユーザ、
降人間工学に関する国際規格が作成、発行されて
タスク、環境を明確にすると同時に、何をもっ
いる。日本では日本人間工学会にISO/TC159国内
て善し悪しを判断するか、ということが重要な
対策委員会が設置されており、TC159関連の規格
ポイントとなる。具体的には想定したユーザが
を審議している8)。ディスプレイに関する規格は、
何をどの程度できればよいか、どの程度満足で
TC159/SC4/WG2という作業部会で、Visual
きればよいかということを明確な数値をもって
display requirements関連の規格を審議している。
基準を設定することが重要である。
審議してきた具体的な規格としては、視覚表示
図1の右下に人間工学上の評価基準の例を示し
装 置( V D T )を 用 い る オ フ ィ ス 作 業 に 関 す る
た。ディスプレイ評価の場合には、一般にA)視
ISO9241シリーズが主であり、全17パートから構
認性・可読性、B)心地よさ・快適さ・楽しさ、
成されている。うちPart 3,7,89)10)11)がディスプレ
C)疲れにくさなどを定量化することが試みられ、
イに関連するパートであり、すべて翻訳されJIS
その具体的なパラメータとしては、作業パフォ
としても制定されている12)13)14)。
ーマンス、主観評価による評定値、あるいは生
これらはオフィス作業に用いられるディスプ
理的・客観的指標などを用いることとなる。評
レイに対する要求であり、タスクとしては、文
価基準はその目的によって最適に選択されるべ
字やシンボルを読み取るタスクを想定している。
きであるが、設計・開発指針に反映するための
したがって写真や映像などの見やすさについて
評価の場合には、主観評価による評定値が用い
は触れていない。対象となるディスプレイは、
られることが多い。ディスプレイの設計指針を
コンピュータ用の電子ディスプレイすべてとい
探るための主観評価法については、窪田によっ
うことになっていたが、主にCRTディスプレイを
て非常によくまとめられており、詳細はそちら
想定した要求および測定方法になっていたため、
を参照されたい 。
現在では液晶ディスプレイ(以下LCD)などのフ
2)
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特集 フラットパネルの最新動向
ラットパネルディスプレイ(以下FPD)に対して
・オフィス作業に用いられるFPDが対象
は、独立した規格ISO13406シリーズが作られて
・均等間隔で規則的な配列の画素をもつFPDが対
いる。
象(したがってFlat CRTは対象外)
ISO 13406シリーズは、Part1:Introduction15)と
Part2:Ergonomic Requirements for flat panel
displays1)のふたつのパートから成る。Part 1はこ
・ラテン語等を語源とする英数文字及びアジア
文字の表示が対象
・英数文字が40文字以上表示できるディスプレ
の規格がISO 9241シリーズから独立して存在する
イが対象
理由とフラットパネルの定義を述べた数ページ
また対象外として記載されているFPDは、プロ
の規格であり、FPDに対する実質的な人間工学上
ジェクタのように光学的な手段を用いて拡大表示
の要求事項は、150ページを越えるボリュームの
するFPD、および固定メッセージ表示やセグメン
Part2にまとめられている。
ト表示のFPDである。さらに測定方法の一部は、
この規格はLCD特有の光学的異方性(見る角度
反射型FPDには適用できない旨、記されている。
によって見え方が変化する)を考慮した規格とな
この規格の要求事項に入る前に、強調しておかね
っており、かなり複雑である。ただし考え方は
ばならないことがある。先に述べたように人間工
人間工学の原則に基づいたもので、それがわか
学上の要求なので、ディスプレイのデバイスやモ
ると理解しやすくなると思われる。本稿ではこ
ジュール単位では、この規格での評価はできない。
の規格の考え方を中心に概要を紹介する。
ディスプレイに表示される文字や表示の仕方など
ソフトウェアや使用環境も含んだシステムとして
FPDの人間工学規格ISO
13406-2の概要
評価することになる。このことがこの規格を理解
この規格は人間工学上の要求事項をまとめた
の核となる部分、要求事項と測定方法を紹介する。
規格であるため、先に述べた人間工学設計・評
7章「7.Design Requirements and Recommendations」
価の基本的な考え方にしたがっており、タスク
と8章「8.Measurements」が、この規格の核で、
や環境の要因を明確に規定、あるいは宣言する
7章では29項目におよぶ要求事項がまとめられて
ことになっている。タスクについては、オフィ
いる。表1に要求項目とその要求値をまとめた。
しにくくしているのであるが、人間工学規格の特
徴であるのでよく理解して欲しい。次にこの規格
ス作業に限定しており、オフィス作業の中でも
この規格の特徴のひとつとして、「クラス(品
主に文字やシンボルなどの情報をディスプレイ
質の程度)を宣言する」というのがある。観視方
から読み取る作業のために必要な要求事項を規
向範囲クラス(viewing direction range class)や鏡
定している。したがって写真や映像表示につい
面性反射の程度のクラス、画素欠点のクラス、
ては触れていない。アイコンや図形などのグラ
フィックス表示については、文字や記号に準ず
る表示であれば、この規格の要求事項は有効で
あると思われる。
環境については、ディスプレイの性能に最も
影響を与える光環境を十分に考慮した規格とな
っている。照度としては、ディスプレイの表示
面上が250∼750lxの範囲内で、設計者が宣言する
ことになっており、その宣言した照度(ディスプ
レイが使用されると想定される照度)において、
各要求事項を満たす必要がある。この規格の適
用範囲は次の通りである。
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図2 観視方向範囲のクラス
(ISO 13406-2(2001)より)
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表1 ISO13406-2の要求事項一覧
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特集 フラットパネルの最新動向
画像生成時間(応答速度)の範囲などがある。人
次に測定方法について解説する。7章は人間工
間工学の要求値は、前述したようにタスクの種
学上の要求が規定されているだけで、それらの
類や環境条件によって異なることから、設けら
要求をどのように評価するか、どのように測定
れた考え方である。たとえば観視方向範囲クラ
するかについては、8章で規定している。同じ要
スは、ClassⅠからClassⅣまであり、その違いを
求でもどのように測定するかで結果が異なる場
図2に示す。
合も多い。視野角についてもあらゆる方向から測
ClassⅠは、もっとも広い視野角を要求するタ
定することは現実的でないため、代表的な方向か
スクを示しており、複数のユーザが利用でき、
ら測定することになっている。前述したように光
各ユーザが頭部を動かしても性能を確保できる
学的な測定が必要な項目はそれほど多くない。し
クラスである。具体的には、法線からあらゆる
かしながら、8章の測定方法のほとんどは光学測
方位方向に40°まで視線が傾斜したとしてもこの
定のための準備とその手順に割かれている。
規格の要求値を満たす場合が、ClassⅠとなる。
非常に几帳面に再現性よく測定できることを
ClassⅣは特定の方向(実際には設計観視方向)か
考慮しているために、測定の方法、手順が非常
ら画面の中央のみ規格の要求値を満たすクラス
に複雑になっている。ここでは紙面の都合から
であり、視点から画面全体の一様性は保証され
光学測定の基本的な考え方とその流れ、および
ない。ClassⅡ、Ⅲはそれぞれその間の性能とな
重要な条件について紹介する。まず全体の手順
る。視認性を確保するためには、輝度とコント
を次に示す。
ラストは最も重要であるので、この規格におい
(1)測定に必要なパラメータを決定・宣言する
て輝度・コントラストはClassⅣは許されておら
(2)ディスプレイ上のどの位置を測定するか決
ず、ClassⅢ以上を要求している。輝度の均一性、
定するための測定(最終的には3ヵ所を測定)
色の均一性については、タスクによってはそれほ
(3)暗室での補助測定
ど重視されない場合もあるため、ClassⅣ以上で
(4)照明光源下で6方向(方位)から測定
あればよいことになっている。もちろんClassⅠ
(5)測定結果から各方位・条件での拡散反射率
と宣言できれば、視野角が広いことが保証され、
を算出
より多くの用途に使えるディスプレイであるこ
(6)設計画面照度への換算
とが保証されることになる。
(7)結果を要求値と比較する
鏡面性反射のクラスに関しては、ClassⅠから
次に測定の特徴および考え方をまとめて示す。
Ⅲまでが、照明環境条件への耐性の違いでクラ
測定や計算はかなり複雑であるが、どのような
ス分けされている。ClassⅠは輝度が200cd/m2の
前提で、何をやろうとしているかを知ることで、
大面積の映り込み(窓など)があっても、かつ輝
理解しやすくなるため、規格には書かれていな
度が2,000cd/m の小面積の映り込み(天井の蛍光
2
いが、その考え方の重要点をまとめてみた。
灯など)があっても、視認性が確保できるクラス
(a)暗室下で得られる輝度・コントラスト・色度
である。ClassⅡは大面積、または小面積のどち
ではなく、実際にユーザが観察する条件の
らかの映り込みに対する耐性があればよいクラ
明るさ(明所下)でのそれぞれの測光値を求
スであり、ClassⅢは映り込む光源の輝度がさら
めて、規格の要求値と合致しているかを判
に低い場合を想定したクラスである。たとえば
定する。
ClassⅢにしか適合しないディスプレイを使用す
(b)(a)を実施するために明所下での測定が必要
る場合には、照明環境を注意深くコントロール
となるため、標準の照明の与え方を定めて
しなくてはならないということである。逆にい
いる。
うと照明の映り込みが最適にコントロールされ
(c)照度はメーカが宣言することになっている
たオフィスであれば、ClassⅠでもClassⅢでもほ
(設計画面照度)ので、ディスプレイの拡散
ぼ同等の性能で使用できるということである。
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反射計値を求めて、設計画面照度下での輝
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度・コントラストを計算で算出する。
の仕方で、測定方向がかなり変わるのがわかる。
(d)拡散反射計値に関する前提となる考え方は
正確な方位の算出方法は、ここでは触れないが、
次のとおり。
システマティックに決まるように規定してある。
・測定する方位角および傾角によって値
次に測定の構成を紹介する。明所下での測定が
が異なる。すなわち測定すべき全方位、
必要であるため、図5、図6に示すように、光源
全傾角でにおいて値を算出する必要が
の配置を規定している。ディスプレイからみて
ある。
開口角が15度以上の光源を左右に規定の角度で
・ディスプレイ上の表示状態(onかoffか或い
配置する。輝度計は図6に示すように移動し、設
はどの階調か)によって値が異なる。した
計観視方向と12時方向、6時方向からの測定を行
がって各状態によってそれぞれ値を算出
う。その他の方位の測定は、ディスプレイを回
する必要がある。
転させることによって規定の方位から測定する。
・ディスプレイの測定位置が異なったとし
以上が測定の概要である。鏡面反射の測定も
ても、測定方位角と傾角が同じで、か
この方法に準ずるが、かなり細かい規定もある
つ表示状態が同じであれば、値は変わら
ない。すなわち1ヶ所で測定した値を他の
位置でも流用することができる。
以上は特に液晶ディスプレイを意識して作ら
れた前提であるため、プラズマディスプレイの
ように光学的にほぼ等方性であることがわかっ
ているディスプレイの場合には、測定条件を減
らしてもよいことになっている。次に測定する
位置と方位、および測定方法を簡単に紹介する。
測定の位置は図3に示す11ヵ所のうち最も輝度が
高い場所と低い場所および中央を選ぶことにな
っている。ただし11ヵ所以外にあきらかに輝度
図3 測定場所
(ISO 13406-2(2001)より)
が高い、または低い場所がある場合にはそこを
測定ポイントとする。
この規格ではユーザが標準的に観察する方向
(設計観視方向)を宣言することになっている。
もちろん法線方向でもよいが、12時方向(方位角
90°)または6時方向(方位角270°)であれば、あ
る範囲内でメーカが宣言できる。実際にコンピ
ュータディスプレイの場合には、12時方向から
観察することが多く、著者らの実態調査16)では、
デスクトップパソコンのディスプレイで10°程
度、ノートブックパソコンでは15°程度12時方向
から観察していた。測定方向は、この設計観視
方向をどのように宣言するかによって異なって
くる。
図4に示すように、設計観視方向と6方位の合
計7方位から測定する。図4は設計観視方向が、
法線の場合と、12時方向に5°、10°傾斜している
図4 測定方向
(2000年日本液晶学会講演会講演要旨集より)
場合の測定方向を示した。設計観視方向の宣言
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特集 フラットパネルの最新動向
ので、詳細は原文を参照されたい。
まとめ
現在,人間工学ISO国際規格のJIS化を推進して
いる。ISO 13406-1は2000年度に,ISO 13406-2は
2001年度にそれぞれJIS原案作成委員会が組織さ
液晶ディスプレイを設計・開発する上での、
れ,すでに翻訳JISの原案を提出した。近いうち
人間工学評価・設計の考え方として、ユーザに
にJISとして制定される見通しである。
注目すると同時にユーザのタスクや環境にも十
分注目することを強調してきた。このようにユ
ーザの利用の状況を意識することによって人間
工学的な設計が可能となる。また人間工学の規
格は、この利用の状況によって評価が異なるこ
とがあるため、理解し難いことを述べた。ただ
し、これが人間工学規格の本質であるため、こ
の考え方を理解していただいて、設計・開発に
うまく人間工学規格を利用していただけると幸
いである。
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Visual display requirements,1992.
14)JIS Z8518:1997、人間工学-視覚表示装置を
用いるオフィス作業-表示色の要求事項.
10)ISO 9241-7,Ergonomic requirements for
15)ISO 13406-1,Ergonomic requirements for
office work with visual display terminals
work with visual displays based on flat
(VDTs)- Part7: Display requirements with
reflections,1998.
panels - Part1:Introduction,1999.
16)吉武、土屋、外山、城内、斉藤、コンピュ
11)ISO 9241-8,Ergonomic requirements for
ータ利用の実態調査-ノートパソコンとデス
office work with visual display terminals
クトップパソコンの比較-、人間工学35(特
( VDTs) - Part8: Requirements for
displayed colours,1997.
12)JIS Z8513:1994、人間工学-視覚表示装置を用
別号2)、538-539、1999.
17)2000年日本液晶学会講演会講演要旨集、
p33-40、2000
いるオフィス作業-視覚表示装置の要求事項.
13)JIS Z8517:1998、人間工学-視覚表示装置を
☆日本アイ・ビー・エム株式会社
用いるオフィス作業-画面反射に関する表示
大和事業所 人間工学
装置の要求事項.
E-mail:[email protected]
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FAX.03-5687-7744(G4)
E-mail:[email protected]
[ 発 行:産業開発機構株式会社 ]
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