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2016年8月

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2016年8月
コタック
/ インド・レポート
(2015年4月)
コタック
/ インド・レポート
(2016年8月)
情報提供資料
2016年8月5日
(*) この資料は、コタック・マヒンドラ(UK)から提供を受けた英文レポートを基に三井住友アセットマネジメントが作成したものです。
内容に見通しや投資判断などが含まれている場合は、コタック・マヒンドラ(UK)の見解によります。
今月のハイライト:
• 今月のインド株式市場は、資金流入と改革への期待から上昇;企業業績が株式市場を牽引すると思われる;GDPの
成長は、国内消費により牽引されると考える。
• 全ての目が物品・サービス税(GST)法案が開催中の国会の上院で可決されるかどうかに注がれている;可決されれば、
長期的かつ構造的な成長と徴税の原動力になり得る。 * 8月5日現在、上院で可決されました。
• 金融政策:RBI(インド中銀)は政策金利を維持へ;2017年3月期に0.25~0.50%の利下げ可能性は残る。
• モンスーンは予想通り順調;農村部の需要回復期待が高まる;向こう数カ月に食料品インフレは緩和の可能性。
• 2016年4~6月期の財政赤字は、2017年3月期政府予算の61%に上った;政府支出の手綱を引き締める必要が
ある;2017年3月期の財政赤字目標達成には、政府保有株式の積極的な売却が必要。
7月の株式市場は、資金流入の増加により上昇しました。ニフティ50指数(大型株指数)とニフティ中型株100指数は、そ
れぞれ+5.4%と+8.1%上昇しました(何れも米ドルベース)。株式市場の地合いは、①インドのモンスーンの降雨が順調
であること、②決算発表がしっかりしていること、③モンスーン国会(2016年8月12日終了予定)の上院での物品・サービ
ス税(GST)法案可決期待による改革推進予想と、④世界的なリスク・オンの継続により、極めて良好でした。更に、世界
的な低金利政策とQEプログラム(量的緩和)が殆ど機能しなかったことから、世界の中銀と政府は「非金融」手段による需
要回復を模索しているとの見方が浮上しています。7月に外国機関投資家はインド株式を18億米ドル買い越し、年初からの
累積でも48億米ドルの買い越しでした。国内機関投資家も、7月は300万米ドルの買い越しでした。
株価指数パフォーマンス(米ドル建て)
1ヵ月
5.37%
5.03%
8.09%
2.80%
1.42%
3.07%
3ヵ月
9.43%
8.94%
11.33%
3.71%
1.27%
-2.57%
1年
-3.04%
-4.44%
3.06%
4.20%
-8.58%
-14.98%
2016年6末
8,639
28,052
14,773
426
873
1,722
52週最高値
8,703
28,418
14,908
440
903
1,771
52週最安値
6,826
22,495
11,190
352
687
1,460
セクター別パフォーマンス (米ドル建て)
上位3
1ヵ月
ニフティ メタル・インデックス
12.24%
BSE 石油ガス・インデックス
10.18%
ニフティ 商品インデックス
9.60%
3ヵ月
17.76%
12.61%
15.75%
1年
9.01%
2.48%
7.54%
下位3
BSE ITインデックス
BSE TECkインデックス
BSE FMCGインデックス
3ヵ月
-5.09%
-3.33%
12.72%
1年
-6.47%
-8.35%
2.75%
ニフティ 50
センセックス
ニフティ中型株100
MSCI新興国株式(アジア)
MSCI新興国株式
MSCI世界株式
株価水準 (現地通貨建て)
ニフティ 50
センセックス
ニフティ中型株100
MSCI新興国株式(アジア)
MSCI新興国株式
MSCI世界株式
1ヵ月
-2.40%
-0.87%
4.35%
(注) 1. データは、2016年7月末現在。
2. 上記は過去の実績であり、今後の市場環境等を示唆あるいは保証するものではありません。
(出所)Bloomberg L. P.
 最終ページの「重要な注意事項」を必ずお読み下さい。
1
(億米ドル)
300
インド証券への外国機関投資家ネット投資額
250
200
150
債券
株式
100
50
0
-50
-100
(暦年/月)
(出所) Bloomberg L. P.
売買代金 (億米ドル)
ボンベイ証券取引所 + インド国立証券取引所
2016年7月 1ヵ月変化(%)
39.92
0.18
現物株受渡比率 (%)
(全取引金額に対する割合)
2016年7月
43.66
2016年6月
43.66
2016年5月
51.43
債券市場 (%)
10年国債利回り
銀行間コール・レート
インフレ (消費者物価指数)
2016年7月
7.17
6.90
5.80
2016年6月
7.45
6.40
5.76
2016年5月
7.47
6.25
5.47
証券純流出入金額(億米ドル)
外国機関投資家 (株式)
外国機関投資家 (債券)
インド国内機関投資家 (株式)
2016年7月
18.77
10.20
0.03
2016年6月
5.55
-9.22
0.15
2016年5月
3.80
-6.55
9.38
為替レート
ルピー/米ドル
日本円/米ドル
ユーロ/米ドル
2016年7月
67.03
102.06
0.89
2016年6月 1ヵ月変化(%)
67.62
0.87%
103.20
1.12%
0.90
0.61%
商品市況
金 (米ドル/1オンス)
ブレント原油 (米ドル/1バレル)
2016年7月
1,351
44
2016年6月
1,322
50
2016年5月
1,215
51
(注) 上記は過去の実績であり、今後の市場環境等を示唆あるいは保証するものではありません。
(出所) インド証券取引委員会、Bloomberg L. P.
ニフティ50指数(大型株)の2017年3月期と2018年3月期の予想PERは、同指数採用企業の利益成長率見通しに
基づく予想EPS(浮動株ベース)で計算すると、それぞれ19倍と16倍になり、過去の適正バリュエーションの範囲では
上限に近い水準です。そこで、現在の株式市場の上昇はどの程度続くのかと言う疑問が生まれます。私共が 考える
株式市場上昇の牽引役は、①企業業績の改善傾向、②インドの高い経済成長率見通し(特に中期的に)、③プラス
実質金利による国内貯蓄の実物投資から金融部門へのシフトです。
 最終ページの「重要な注意事項」を必ずお読み下さい。
2
この関連で、向こう数カ月の間、いくつもの重要なマクロ経済に関連するイベントが控えており、それらの結果は、株式市場の
方向性に影響を与えます。これらイベントの中には、①金融政策(次回のRBIの政策決定会合は、2016年8月9日)に
関連する決定事項、②新しいRBI総裁の任命、③金融決定委員会(MPC)の委員選定、④5年間のインフレ・ターゲット
の設定、⑤GST法案の可決、⑥非居住者外貨定期預金(FCNR(B))の満期による預金引き出しと⑦米国連邦準備制
度理事会の動向などが含まれます。
企業業績:株式市場の牽引役;国内消費が鍵
全ての目がマクロ動向に注がれていますが、ここからのインド株式市場の主な牽引役は、企業業績の動向になります。ここまで、
企業業績の上方修正と下方修正は同程度で、2016年4~6月期決算発表結果はまずまずです。個人向け民間銀行は、
業界平均を上回る健全な資産内容と力強い貸出増加により引き続き好調な業績を発表しています。 しかしながら、法人
向け銀行は、不良債権比率が引き続き上昇しており、その処理圧力にさらされています。多くの大手公営銀行の決算発表
はこれからですが、発表済の銀行の収益性と資産健全性は芳しくありません。
自動車、セメント(販売単価上昇とコスト低下により)、メディア(広告収入の増加)などの内需関連業界は好調な業績
を上げています。農村部の需要回復が遅れており、殆どの消費関連企業の販売数量は伸びていません。しかしながら、私共
は、例年並みのモンスーンの降雨量が農村部の需要回復を促すことから2017年3月期のGDP成長は消費に牽引されると
考えます。IT業界は、可処分所得の伸び鈍化による世界的な景気低迷の影響を一身に受けました。価格低下圧力による
利幅縮小懸念、給与高騰とビザ費用上昇もマイナスに影響しました。
IndAS(国際財務報告基準にほぼ準ずるインドの新しい会計基準)が、2016年4~6月期より適用され(銀行と金融
機関を除く)、いくつかの企業にはすでに影響が出始めています。
GSTの導入:非常に大きな前進
中央政府が上院に提出するGST憲法修正法案の大幅な修正を受け入れたことから同法案の今モンスーン国会での可決へ
の期待が膨らんでいます。変更内容は、①GST導入による州政府の税収減少分を100%補填することと、②州間の取引に
対する税金1%の廃止です。
GST法案は、憲法の修正を必要とすることから、上下院でそれぞれ3分の2の賛成による可決と州の半分以上による批准が
必要です。政府が、州政府との間で幅広いコンセンサスを構築することが出来たことと、ここにきて州政府の主な要求を殆ど受
け入れたことは州政府の支持を得るに当たって大きな意味を持つと思われます。現在の政府は、下院では議席の過半数を
占めていますが、上院では少数派であることから他の政党からの支持を取り付けることが必要となります。現在、上院の総議
席数は243議席で、GST法案を廃案にするには82議席が必要です。国民会議派、左派(インド共産党+インド共産党マ
ルクス主義派)と全インド・アンナー・ドラーヴィダ進歩党(AIADMK)の議席を合計すると82議席になります。しかしながら、
仮に左派かAIADMKがGST法案に賛成するか棄権をした場合、政府は上院で法案を可決できます。
GST導入の恩恵は、①全国規模の単一市場の実現、②税制の簡素化と③フォーマルセクター(営業登録企業)の対イン
フォーマル(無許可営業企業)に対する優位性などです。GSTの恩恵は、短期的には行き渡らないかもしれませんが時間と
共にGDPの成長にプラスに影響すると考えます。経済成長とインフレの両方へどの程度の影響があるのかは、今後決定される
実際のGSTの税率と製品分類別の税率によって決まります。現段階では、自動車、日用品、耐久消費財やメディア・娯楽
業界にプラスの影響があると予想します。
 最終ページの「重要な注意事項」を必ずお読み下さい。
3
金融政策: RBIは政策金利を維持へ;2017年3月期に0.25~0.50%の利下げ可能性は残る
私共は、2016年8月9日の金融政策委員会では、現在の政策金利を維持すると予想します。現在、レポ金利は6.5%で
、リバース・レポ金利は6.0%です。名目CPIインフレ(消費者物価指数)は、過去3カ月間高止まりしています。野菜と豆
類の価格上昇により、向こう数カ月はその状態が続くと思われます。目先、インフレが高止まっていることから、私共はRBIが直
ぐに利下げは行わないと考えます。
ここまでモンスーンの降雨量が例年並みであることから、下期に向けて、食料品インフレの上昇圧力は緩和されると思います。
今年の豆類は豊作が予想され(現在までの収穫データに基づく)、商品市況に急激なデフレを引き起こすと予想します。ま
た、今年3月以来上昇していた国際食料品価格は、下落に転じています。原油価格も2016年7月に下落し始めました。こ
の様な背景から、私共は、政策金利は2017年3月期に0.25~0.50%引き下げられると引き続き予想します。金利引下
げのタイミングを決定づける鍵は、①新しいRBI総裁任命、②金融政策委員会(MPC)の委員選定と③米国連邦準備制度
理事会の動向になると考えます。
モンスーンの状況:農村部の需要回復期待が高まる
インドでは降雨が少なかった2016年6月以降、モンスーンの降雨は順調に増加しています。2016年7月までのデータによると
降雨量は累積で長期平均を1%上回ったとのことです。地域別では、西インドと北東インドの一部で雨不足となっている以外
は、ほぼインド全土で例年並みかそれ以上の雨が降りました。これまでの降雨量は、インドの36地域のうち、11の地域が例年
以上、17の地域が例年並みで残りの8の地域が例年以下でした。
順調な降雨により、2016年7月29日現在のカリフ(秋冬収穫農作物)の作付面積は、前年同期比を+6.3%上回って
います。作付状況が順調に推移しており、食料品インフレの急上昇はなくなると考えられることから、インフレには概ねプラスに
働くと思われます。
2016年4~6月期の財政赤字は、2017年3月期政府予算の61%に上った;政府支出の手綱を引き締める必要が
ある;政府保有株式の売却が鍵になるかもしれない
2016年4~6月期の財政赤字は、2017年3月期政府予算の61%でした。税収は引き続き順調に増加しており、2017
年3月期予算で想定した前期比+11.9%増加を上回る+30.6%増加でした。間接税と直接税はそれぞれ+34.5%と
+26%増加しました。総支出額は+18.8%増加し、資本支出の増加は、経常支出の増加を下回りました。良い材料は、
農村部と農業支出の増加により計画支出が+28.2%増えたことです。
数カ月前から農村部の消費回復のための新たな支出増加が見られました。政府の2017年3月期の財政赤字目標は
対GDP比3.5%です。この目標の達成は、容易では有りませんが、格付け会社が厳しく財政状況を見ている中で政府が
財政赤字の目標の未達成を避けたいことは明白です。政府は、税収と政府保有株売却益により財政の健全化を保つと考
えます。
* 本レポートは、2016年8月2日付英文レポートの翻訳です。
 最終ページの「重要な注意事項」を必ずお読み下さい。
4
<重要な注意事項>
【投資信託商品についてのご注意(リスク、費用)】
●投資信託に係るリスクについて
投資信託の基準価額は、投資信託に組み入れられる有価証券の値動き等(外貨建資産には為替変動もあります。)の影響により
上下します。基準価額の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。運用の結果として投資信託に生じた利益および
損失は、すべて受益者に帰属します。したがって、投資信託は預貯金とは異なり、投資元本が保証されているものではなく、一定の投資
成果を保証するものでもありません。
●投資信託に係る費用について
ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。
◆直接ご負担いただく費用・・・申込手数料 上限3.78%(税込)
・・・換金(解約)手数料 上限1.08%(税込)
・・・信託財産留保額 上限3.50%
◆投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用・・・信託報酬 上限 年 3.834%(税込)
◆その他費用・・・監査費用、有価証券の売買時の手数料、デリバティブ取引等に要する費用(それらにかかる消費税等相当額を含み
ます。)、および外国における資産の保管等に要する費用等が信託財産から支払われます。また、投資信託によっては成功報酬が定め
られており当該成功報酬が信託財産から支払われます。投資信託証券を組み入れる場合には、お客さまが間接的に支払う費用として、
当該投資信託の資産から支払われる運用報酬、投資資産の取引費用等が発生します。これらの費用等に関しましては、その時々の
取引内容等により金額が決定し、運用の状況により変化するため、予めその上限額、計算方法等を具体的には記載できません。
※なお、お客さまにご負担いただく上記費用等の合計額、その上限額および計算方法等は、お客さまの保有期間に応じて異なる等の
理由により予め具体的に記載することはできません。
上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、三井住友
アセットマネジメントが運用するすべての投資信託(基準日現在において有価証券届出書を提出済みの未設定の投資信託を含みま
す。)における、それぞれの費用の最高の料率を記載しております。投資信託に係るリスクや費用は、それぞれの投資信託により異なりま
すので、ご投資をされる際には、事前に投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面等を必ずご覧ください。
●投資信託は、預貯金や保険契約と異なり、預金保険・貯金保険・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。また登録
金融機関でご購入の場合、投資者保護基金の支払対象とはなりません。
●投資信託は、クローズド期間、国内外の休祭日の取扱い等により、換金等ができないことがありますのでご注意ください。
[2016年4月1日現在]
三井住友アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘
するものではありません。■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。■当資料の内容は作成基準日現在のもので
あり、将来予告なく変更されることがあります。■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であ
り、今後の市場環境等を保証するものではありません。■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全
性を保証するものではありません。■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および
許諾者に帰属します。■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
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