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梶井基数郎についての 一 考察

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梶井基数郎についての 一 考察
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晶
梶井基次郎についての一考察
はじめに
撹井基次郎は'光と影とを鋭く感受した作家である。ことに夜の
川 ¥ir いては、蝣::.:.i-,i'': ':i''2¥i:-'Ai '-!'tせている.
良
-I・・Ii二'*I、i・・∴∴
、蝣;蝣'i-こなfc^﹂-):㌧へていこ。﹂三三は''-ir:m吾
芯味で正続の関係にあると'中谷孝雄氏に評されてもいる。竺編I
考えたからである。なお'三編の発表は次の通りになされた。l
をとりあげたのは'問にたいする訂議が主題の琵要部分を占曽宣2
﹁冬の日﹂昭二﹁青空﹂二月号'四月号
iet:一蝣・'¥v-したけ.'蝣/r*'蝣-rnいと︰∵人生 にViる el;:杏:..止:.rした
rKの昇天﹂﹁交尾﹂﹁脱山の詔﹂などで夜の舞台が放つ効果は独
ときへ その闇の中で、不眠にさいなまれる頭脳が清餌を始めるo
﹁闇の絵巻﹂昭四﹁詩.現実﹂二号(九月刊)
﹁冬の岨﹂昭三﹁創作月刊﹂五月号
された闇の世界での生命既視を取材し、生命不安の声を斑材Lt光
㌍で蝣v-;∴/'::'r汁=ニりふや,い.りァ1'蝣^- '・-C- 'Li- '-∵蝣.蝣--J.p.-J付し、V'^;氾
㍗. めてOvlS'vrL 付し¥Jいる。
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﹁俺の生きる道は、その冷静で自分の肉体や自分の生活が滅び行-
てゐ﹂﹁一日一日が彼を引き摺ってゐ﹂るよ-な人物である。自ら
ここに﹁冬の日﹂ ﹁冬の呪﹂ ﹁関の絵巻﹂の一二編を速び、作中人
・r. '-f:^. -'j∵ 目したLL蝣<:・;?蝣黒∴ - ∴﹂へCF-.圭ニ∴わしている
山をヘル丁托V--t.なはごし4ir:--:-ォ;j-,jいるOや・
のを見てゐることだ﹂と語るo群を離れ'孤独のうちに'自己の内
あれることを予感Lへ'Vいた-ないと闘いへ愛惜の和みに耐えかね
&蝣-.﹂ir¥-y;へ この作・]㌍Lt-蝣蝣J-.J∵こたいす∴ が︰︰\い・11﹂-s;&'蝣-!﹂蝣蝣
られ'心情出現の共とせられ、感党描与の域を越えているからであ
ている'J作岩自﹁小;:'j-lい小.豊Ji.-Jニロー.一-
1が'どうい-推移をみせているかを考えてみた.前二編をとり
る。作者自身、誓箇中に﹁冬の日﹂を指して﹁私の云ってゐました
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負徴,rH表なるもの甚だ道々ながら文中に苑艮していることを認めて
夜になるiJ﹁古い生活は死のや-な空気の中で停止する﹂からであ
こうい.ユ与トとって、 の 注_蝣"p',㍗.1^蝣・・・・,・/∴¥-'-x-,f,^
る。菜は顎骨が訪れると﹁絶望に似た感情で窓を鋪じるO﹂そして
﹁冬の日﹂において光と男の関与する部分を考えると'光による
幸福感の肯定バその光が失われてゆくことへの愛惜とかなしみへ薄
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に﹁不忠試ないらだち﹂を応じる。﹁今
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日はもう日は見られない﹂と思うとき、﹁tunの心は明るくはならな
暮の訪れによる絶望感の三項目に大別される。
iiォV>!∵㌻三善!-)﹂.'採ると
の道端で'明るい陽射しをあび﹁痴呆のやうな幸福だ﹂と思いつつ
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ろに宰紙を信じる力は起らないので
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は'自分の住んでいる親しい町すらへ自分を拒む
呈レかすめるGそり夕へけtf-y^tj^i-.p.s-tiい∴=V
m!.1"";'-);/.;;y ;蝣'ル 心へと
辛-な、一校討かしい甘莞な気持﹂のひらめきも応じとるo この気
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一方、﹁昭愁﹂の-ちに'_﹁こ-いう記はがaての自分にあった
命に間足してゐる人間を部屋の中にへこの通行人の心は恕牧するか
もしれない。その幸福を信じるカが起って来るかもしれない﹂とつ
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と太
日陽
光浴をしている男﹂であるO作者は 襟揚ケ島で大正十五年と
ものは実しく燃える浮雲であるtii',r¥は﹁遠い地平へ落ちて行く
の姿﹂に駆られ﹁大きな落日が見たい﹂と翻い町をさまよう0切な
汁㌣﹂もがいt I;持田∴臼.-r-:.'.蝣-1"JJj1†∴'蝣蝣蝣:j*---9A-rs臼 の ⊥
へ いまはその形も形もな-なっCゐる。﹂ ﹁冬の日﹂の
い心に円-;;,'T;.-7':;.'-'y∴j-れiJ'tい'蝣-r-Q,い去
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上へのぼり'空へ手を伸ばしてゐる男を想像﹂する。心に映じた己
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かげってい-ときも﹁ETj汁のやうな悔恨やいらだたしさ﹂が心に拡 自由﹂を望んで﹁いつになったらか-したことに良がつ-のか﹂と
吐息をつく。気まぐれな外出の校へ自分の部屋の絹がいなくなった
し ∵ふ気ま!、な︰㌍:=﹂';蝣-'',-'LL 蝣';蝣- ''蝣. '-<-Tエ うとしている.
ことに気付き﹁私にもなにか私を生かしへ そしていつか私を殺して
がってい-のを覚える。減びゆ-落日は'崩れゆ-章毎の象徴であ
は〓らC∴.;.了:,U.
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ず'消極的ながらも羊福への意志へ光への愛
惜といった﹁冬の日﹂の心情が否定される。次いで新しく'苗幕を
たしさを覚える。﹁冬の蟻﹂の﹁私﹂も﹁冬の日﹂時代を回顧し
て'﹁﹁.lJけ︰∴二りV-^U,s"-蝣÷'':-\EE∵1'
を持ってゐた﹂と語る。
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かな錠を1待つように﹂なっている。そこには﹁章毎f・はないに
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おうとするとき、﹁あたりにまだ光があったとき113は'介く只った
い﹂もの﹁生の幻覚で私を描さうとする﹂ものだからであるOさら
に'太E=を憎むとはへそれの鉄机する率柚を
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出来る。歩け。歩け.へたばるまで歩け.﹂この情熱は﹁終りまで
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またへ太陽の与える肉体的不快mも憎悪の一因である。﹁日光浴
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そのなかでこそ私の疾労は快く崇弘Lmらしい戦賢で症じることが
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幸なとき'仙人の牢福にも侶つ-O自らの不事を新たに訂説するか
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I''蝣'・I∵'
理性の偽情がある﹂と茄椴する。それゆえ幸柘に侮つき憎むのであ
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ず、間の釘一渉のための必喋条件としての情rj.¥j拐念的に相苫γ)て
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J熱に措似した心情描-tは'役に好ましい情のLEj火の車
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明るみを背にして'闇の中にはいっていくのを見、自分も﹁あんな
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一川
に蝣
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見入り'気疎い睦気のようなものに訪われる。陶然とした心の安ら
・ある校へ闇の遺を輝いていた盤は'自分の前A,1行-一人の男が'
ではへこの闇への現しみ'愛が大きく扱われ誤えられるo
ぴの婆への感鋤である.この惑山は﹁冬のm﹂と違いへ行鋤への関
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に闇の中へ消えてゆく。﹂被を待ちうけるHmで非Hな世界の象徴
-J立-蝣'¥'
で蝣>蝣'.蝣・"'-昌﹁⋮1、は﹁'Ii'If;汁∴れ9ォ
る∵日工トビjr﹂蝣
いてゐる。絶望に棋られた情真へ闇への情熱を封か-としてゐる﹂
ti昇といふものがか
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とも=、浩∵1上・1﹁-;r.'蝣:とc*'-I-;'"r.こ∵る
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i蝣/-^.'¥'i:﹁'-n∵'."-蝣蝣・''/'.)'-∴.'
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いのであるo﹁冬のm﹂で語られた㌫びへの情狩に〓じい。ただ作
で一はいになった﹂門の中の一班空r'-i'*^と踏み出すためにに﹁t
惣:r
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3-vl--蝣--蝣二.Jくれ∵∵﹂ユ∴∵j'∴・︺二LL
へ?㌦∵﹁︼"﹂Vf-Sこ-蝣}・'蝣∴﹁-r-;
・V'.V﹁-ら'y-./c∴','J蝣
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"﹁;﹂は﹁川
﹂つ∴・・'蝣;-十﹁﹂':'J-・"∴\∴∴・山
27
は何を意味するのかoそれは﹁今は誰の限からも隠れてしまった1
それである。
た場合の心情を'新たに提起するO闇への愛'闇の中での安息成思が
この上 トmro中tfJは'光(::-:^)よ-Lj(蝣黒蝣:-) へ
-今は巨大な闇と一如になってしまった﹂とい-感情であるO今は
基次郎は'闇への情熱から徐々に招放されつつあったよ-だと中谷
光より闇への傾斜を一気に下り'上京を決意した前校からの梶井
みることができる。
﹁1:﹂にはHC占'-蝣蝣A-i-Vi・*'・蝣で叶ましくへ草';;o[^:c;;jれている夜
る。波びそのもの'闇そのものと一如となった感情だからである。
クでない'土性骨の太さのような葉税のきざしがある。
孝雄氏は語る。描かに﹁のん気な患者﹂などには'こ-ヒステリッ
÷JLまf蝣.':-しい・ふ,-J-=でもろ。∴びへr.;蝣->-心 も ∴し*サK
すでにへ匝討、非常の惟界'やがて自分を看弟尽すであろ-惟界に
﹁死のやうなN.気﹂を湛えた忌わしい夜は'逆に、それゆえにこそ
は薄汚なく思われてならないo ﹁冬の日﹂において'苦痔であり
このhT.は.・s-.--.r>陣.・してい・,r.r∴写ハ 十<o:; -tcc:笹と,ぺ
ても'非凡J告 い凡 二J仕l?Ci3i '-- 'つい入 り か-Jrf
﹁減山の話﹂のことばを借ると'心の一方に存する﹁州的りたい気
て・fu、一i&Of-rt-iS-- '!.!けさI∵ ∴.・tて・・芦/.川十∵;蝣!)よう'¥}*>-'.心。
この好ましい問の風景には'安息以外の心情も、点描される。夜
好ましいものとして首足されているO
道のあるところでは不安を感じ、電燈の灯が遠くなるのを見ると安
い気持﹂がありへ他方には﹁関りたい気持﹂があるO小悪比はいつ
持﹂への傾きの一時期聖試すのだろ-か。醸山の一方には﹁澄みた
猪が消える。逆に、関頭の一つの印枇燈が恐怖を呼ぶこともある。瞬
間的には'このような不安・恐怖をいだ-こともあるが'現念とし
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探りたいと厭っているO
(高水一=間校数論)
このEHのl'"'l芯蝣)蝣.-蝣'甲 早こして、さ キ黙rll^-Jい-作-icJ
うが、その内面に梶井は己れの姿を見出したに違いない。
印純には前者についていけないとい-。銅山にはモ≠ルがあるとい
も後者に味方する。あらゆる祈臓をこ妙へ前者に味方してもtも-
て問の山道を想起するとき'〓山して'親しみへ安らぎの気特を吹
f
以上三編の'光と影とが関与した心情の推移は次のよ-に要約で
おありに
起する闇という設定がなされている。
・
﹁冬の日﹂における心情は、それぞれ﹁冬の岨﹂で否足されるO
すなはち'光による章毎感へ光への愛惜の情は'太陽および幸福へ
って?,w&やni㌃﹂∵エ'蝣--'"・'・* Viだt Hの山∴.)いたく引出な㌫び
0'- '蝣'-- 'liよ﹁土、:W.さ﹂'蝣・・'''V,l芯O.S- -によ,',c:-h;:c- '蝣<廿を指
﹁^"-o'-'ニ・蝣JJ は、こC喜びへ ﹂草 間に-Jめ'またへ そ
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昌
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る
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れに近い心術を具体的な場において捕出しているが、これを超脱し
-28-
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