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シリア介入

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シリア介入
シリア介入
2010 年のチュニジア民衆蜂起に始まる「アラブの春」の余波を受け、シリアではアサド
大統領が率いる政府軍と反政府系武装組織との間で内戦が続いている。戦況は一進一退で
あり、政府軍はアメリカの支援を受けた反政府系組織の攻勢を受けてシリア各都市の実効
支配を失う一方、反政府系の組織もアルカイダ系のイスラム過激組織の介入を招いたこと
もあって内部分裂を繰り返している。国連とアラブ連盟はアナン前国連事務総長を特使と
して仲介に努める一方、反体制派組織もアメリカの支援の下で「シリア国民連合」を結成
しシリア政府との交渉の準備を進めたが、すべて不調に終わっており、シリア情勢は自国
勢力によって収拾がつかない状況になっている。
その間、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告書によると、2014 年 4 月までの
死亡者数は 19 万人以上、8 月までの周辺国への難民数は 300 万人以上にまで膨れ上がって
いる。状況は日増しに悪化しており、国内に残った一般人は戦乱に巻き込まれる一方、周
辺の国境付近の難民キャンプでも多くの避難民が食料や医療などを慢性的に事欠いている
状況である。
こうしたシリア状況に対して、国際社会は過去にコソボやルワンダで行ったように、人
道的な観点から事態を収拾するべきとの声が上がったが、いずれもうまく対処できていな
い。国連では 2012 年に総会にて非難決議案が採択されたものの、安全保障理事会では一部
の常任理事国の拒否権行使によって否決された。2013 年にイギリスでは議会の反対により
軍事的介入が否決され、フランスでは単独での軍事的介入が否定された。アメリカはシリ
ア国内の戦闘での化学兵器の使用に際していったん介入の意向を示したが、どちらの勢力
が使用したかの判断がつかず結局は断念した。
そうこうしているうちにイラク北部の過激派組織イスラム国(IS)がシリア国境を越え
て勢力を伸ばしてくるようになり、そのシリア領内の拠点がアメリカによって空爆される
など、事態収拾の目途はいっこうに立っていない。
質問事項
問 1 国際社会はシリア内戦を解決するためにシリアに軍事的介入を行うべきだと思い
ますか。その理由と合わせて述べてください。
問 2 シリア内戦に関して、国連はあまり効果的な働きかけができていません。これか
らシリアについて、国連が果たすべき役割はあると思いますか。
問 3 日本は、これまでシリアとそれほど強い利害関係を有していませんでした。では、
日本はシリアに関して何もしないでよいと思いますか。
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