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頭痛の診断と治療

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頭痛の診断と治療
頭痛の診断と治療
頭痛は怖くない
脳神経外科
2014年7月26日
東邦大学医療センター佐倉病院
市民公開講座
こわい頭痛
しるし
こんな頭痛は危険な兆候
「敵を知り、己を知れば,
百戦危うからず」
孫子の兵法より
頭痛は何のためにあるのか?
警告?
くも膜下出血,髄膜炎
生活改善命令??
緊張型頭痛,睡眠時無呼吸症候群
嫌がらせ???
片頭痛,群発頭痛
注目を集める????
創造力の基?????
片頭痛
頭痛はどこから来るのか?
頭痛大学
ホームページより
CT・MRIは
役に立つのか?(1)
CT・MRIで分かる頭痛がある
くも膜下出血 (CT):
突発,強度,意識↓
脳腫瘍:朝方に多い頭痛
脳卒中:頭痛単独はまれ
慢性硬膜下血腫:頭痛単独もある
副鼻腔炎 (MRI):同時に写る
CT・MRIは
役に立つのか? (2)
CT・MRIで分からない重要な頭痛
もいろいろある
 緊張型頭痛,片頭痛,群発頭痛:臨床症状
 髄膜炎:発熱,腰椎穿刺
 緑内障発作:結膜充血,眼圧
 睡眠時無呼吸症候群:朝方頭重感,イビキ
 側頭動脈炎:全身症状,血沈
 帯状疱疹:水疱,神経髄節,抗体価
 頚椎由来頭痛:腱反射,頚椎X線
 心因性頭痛
頭痛の問診
• 同じような頭痛をこれまでに
経験しているか
• 頭痛の経過はどうか
• 随伴症状の有無
• 痛みの性質
• 痛みの強さ
• 痛みを訴える部位
問診時のポイント
●いつ、どんなふうに始まりましたか。今も同様の痛みがつづいていますか。
発作的か、長期間持続しているか。痛みが徐々に強くなっていないか。
●週に(月に、年に)何回ぐらいの頻度で起こりますか。
●頭痛の起こる時間帯は決まっていますか。
●痛みはどこですか。いつも同じところが痛みますか。
●どのように痛みますか。
脈打つように痛むのか。締めつけられるように痛むのか。突き刺すようにいたむ
のか。ぴりぴりするのか。など
●痛みがひどくなるのはどのようなときですか。
動くとひどくなるか。入浴時や週末などリラックスした時に起 こりやすいか。お酒
を飲むと起こりやすいか。
●頭痛以外に症状がありますか。
●その他 家族歴、既往歴(頭痛薬を飲んでいるか)、など
医療機関を受診した方の頭痛の原因
診断結果
その他
13.3%
片頭痛 14.9%
群発頭痛 0.8%
症候性頭痛
16.0%
心因性頭痛
4.6%
1,137例
緊張型頭痛 50.5%
下村登規夫他 神経内科34 : 621、1991より
危険な頭痛の徴候
• 突然発症した激しい頭痛
• 徐々に増悪する頭痛
• 初めて経験した頭痛
• 随伴症状がある頭痛
• 神経学的または身体所見で異常がある
• 労作・咳・性行為などに伴い発現する頭痛
危険な頭痛の特徴
ひとことで言えば「いつもとちがう頭痛」です。
様子が変な頭痛の場合は、迷うことなく脳神経外科
や神経内科を受診してください。
頭痛が長く続くと、脳の病気ではないかと心配にな
りますが、それは逆です。脳の病気による頭痛の多
くは、直近1ヵ月以内にどんどんひどくなってきます。
何年も続く頭痛で、脳の病気というのはまれです。
脳の病気ではマヒや認知症状、視力の異常など、
神経や精神に異常を伴います。
CTスキャン(コンピューター脳断層写真)やMRI
(磁気を使った脳断層写真)で、脳の病気を比較的
簡単に発見できます。
とつぜん
はげ
突然くる激しい
いよう
異様な頭痛
まく
か
しゅっけつ
く も 膜 下 出 血
突然バットで殴られた
ような激しく異様な頭痛
頭痛を訴えたと思ったら
意識を失なった
頭痛、吐きけ、
嘔吐、意識障害
をあらわしてきた
二つともYesなら頭部CTスキャンへ!
1.すごく突然,痛みだしたの?
2.こんなにひどい頭痛は初めて
ですか?
くも膜下出血が疑われたらまずCT
直後であれば、ほぼ100%以上CTで所見が得られる。
その所見は脳底槽のヒトデ形の高吸収領域
出血が少ない場合には時間の単位で高吸収が薄れ、経験
のあるものでも所見を見逃してしまう。
CTで疑わしき場合は腰椎穿刺を行う。発作後2~3時間す
るとキサントクロミーが証明される。
キサントクロミーの証明率:
1~2週間は100%、3週間目91% 、4週間目71%
くも膜下出血の多く
は、脳動脈瘤の破裂
による。 (30歳以前は
脳動静脈奇形による
ほうが多い)。
脳動脈瘤は、「時限
爆弾」。クリッピング手
術もしくは塞栓術(血
管内手術)で根治すべ
きである。
脳MRA検査でくも膜下出血を未然に防ぐ
未破裂脳動脈瘤
気まぐれであまり
あてにならない頭痛
のう ない しゅっけつ
のう こう そく
脳内出血、 脳梗塞
(頭痛を訴えたと思っ
たら)意識を失なった
ふだんから血圧が高
い人が(頭痛)、麻痺、
言葉の障害、めまい、
吐きけ、意識障害
をあらわしてきた
脳内出血による頭痛
意外と頭痛が起こらない。
•被殼出血で13%である。
•小脳出血はもっとも頻度が高く50%程度である。
•痛覚に乏しい脳内 に発生するために頭痛が起こりにくい
ことと、ある程度の大きさになると意識が障害されてしま
うからであろう。
脳梗塞による頭痛
頭痛が初発症状であることはほとんどない。
•頭痛よりも麻痺などの神経症状が重要である。
ゆだん
油断ならない
頭痛
のう
しゅ よう
脳 腫 瘍
朝方に強い頭痛
とともに、嘔吐、
徐々に進行する
麻痺、視力障害、
視野障害、
けいれん発作
などがみられる。
けいれんとともに
頭痛が起こった。
1~2ヶ月前に
頭を打ったことがある
まん せい こう まく か
けっ しゅ
慢性硬膜下血腫
1~2ヶ月前かに頭を
打撲したことがあり、
最近、持続する頭痛と
認知症状が出てきた。
足元もおぼつかなく
なってきた。
頭痛とともに最近認知症状が
出現してきた。
立っていると
ひどくなる頭痛
脳脊髄液減少症
頭痛、頚部痛、めまい、
耳鳴り、視機能障害、
倦怠・易疲労感。
座位、起立位で悪化。
画像診断:脳の下方偏位の有無。
髄液漏出部位の同定。
#脳MRI
#脊髄MRIミエログラフィー
#RI脳槽脊髄腔シンチグラフィー
正常造影脳MRI
放っておくと
危険です
脳脊髄液減少の
MRI像
硬膜の造影増強所見
硬膜下出血
脳脊髄液減少症の治療
• 安静臥床+点滴による水分付加
(2週間前後)
•脊髄硬膜外自家血注入
ブラッドパッチ
(Blood patch)
こわい頭痛のまとめ
脳や全身の病気による頭痛は「危険の兆候」で、
「危険を知らせる警報機」
危険な頭痛の種は、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜
炎、慢性硬膜下血腫、脳脊髄液減少症など
突然の激しい頭痛の代表は「くも膜下出血」
脳脊髄液減少症は起立時の激しい頭痛が特徴
脳腫瘍は頭痛を起こす病気として有名ですが、
頭痛は必発ではありません。
脳の病気以外では緑内障や副鼻腔炎(蓄膿症)な
どでも頭痛が起こります。
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