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効能・効果、用法・用量の一部変更及び使用上の注意改訂に

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効能・効果、用法・用量の一部変更及び使用上の注意改訂に
日本標準商品分類番号 871129
製 品 情 報 概 要
効能・効果
用法・用量
一部変更
α2作動性鎮静剤 劇薬,習慣性医薬品注1),処方せん医薬品注2)
薬価基準収載
注1)注意‒習慣性あり 注2)注意‒医師等の処方せんにより使用すること
® 登録商標(オリオン・コーポレーション所有)
【警告】
(1)本剤の投与により低血圧、高血圧、徐脈、心室細動等があらわれ、心停止にいたるおそれもあることから、本剤は、
患者の循環動態、呼吸等の全身状態を注意深く継続的に監視できる設備を有し、緊急時に十分な措置が可能な
施設で、本剤の薬理作用を正しく理解し、集中治療における患者管理に熟練した医師のみが使用すること。(「重
大な副作用」の項参照)
(2)迷走神経の緊張が亢進しているか、急速静注、単回急速投与など、通常の用法・用量以外の方法で本剤を投
与した場合に重篤な徐脈、洞停止等があらわれたとの報告があるので、本剤は定められた用法・用量に従い、
緩徐に持続注入することを厳守し、患者の状況を慎重に観察するとともに、このような症状があらわれた場合に
は適切な処置を行うこと。(「重大な副作用」の項参照)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
「効能・効果」
「用法・用量」
「警告・禁忌を含む使用上の注意」
「用法・用量に関連する使用上の注意」等の詳細につきましては4∼9ページをご参照ください。
INDEX
◆開発の経緯 ◆製品特性 ◆組成・性状 ◆有効成分に関する理化学的知見 ◆効能・効果 ◆用法・用量 調製法 参考:患者体重別の時間当たりの注入用量の例 ◆警告・禁忌を含む使用上の注意 ◆重大な副作用、過量投与に対する対処法 ◆相互作用 ◆ 臨床成績に関する事項
1 開発のプロセス 2 第Ⅰ相試験 ― 健康成人における持続注入時の鎮静に関する用量反応性の検討 3 第Ⅱ/Ⅲ相ブリッジング試験、 第Ⅲ相試験(国内、欧米多施設共同試験)
― プロポフォールの追加投与を鎮静作用の指標とした臨床検討 4 第Ⅳ相製造販売後臨床試験(国内多施設共同プロポフォール対照比較試験)
5 第Ⅲ相試験(国内長期投与臨床試験)
副作用 ◆薬物動態
1 血漿中濃度 2 分布 3 代謝及び排泄 ◆非臨床試験に関する事項
1薬効薬理 2一般薬理 3毒性試験 4その他の作用 ◆製剤学的事項
安定性 配合変化 ◆取扱い上の注意 ◆包装 ◆関連情報 ◆主要文献 ◆製造販売元の名称及び住所 1
2
3
3
4
4
5
5
6
10
11
12
13
15
21
28
31
34
36
37
38
44
45
47
48
48
49
49
49
50
51
52
開発の経緯
開発の経緯
プレセデックス静注液の有効成分であるデクスメデトミジン塩酸塩(以下、本剤)
は、
イミダゾール骨格を有するメデ
トミジンの活性右旋体(D 体)で、1986 年ファーモス社により見出されました。本剤は、強力かつ選択性の高い中
枢性α2 アドレナリン受容体作動薬であり、鎮静作用のほかに、痛みや不安の抑制、ストレスによる交感神経系
亢進を緩和することによる循環動態の安定化作用など、広範な薬理作用を示すことが知られています 1)。また、
その後の研究で、本剤の投与により自然に近い睡眠が得られること 2)、本剤の持続投与で十分な鎮静が得ら
れている場合でも、必要に応じて意識レベルを回復させることができ、
しかも不安や苦痛のない状態を維持でき
ること 3, 4)が明らかにされました。
集中治療における鎮静剤において、
「鎮静の質が良いこと」、
「呼吸・循環抑制が軽度であること」、
「鎮静レベ
ルの調節が容易で、投与中止により短時間で覚醒させることができること」、
「鎮痛作用を併せ持つこと」は理想
的な条件であると考えられています 5 ~ 11)。
本剤は、従来の鎮静剤の課題であった呼吸抑制がほとんど認められず 12)、人工呼吸中のみならず、人工呼
吸器離脱時から離脱後にかけても継続的に投与できる鎮静薬として、
「集中治療において、投与開始時に挿
管下で人工呼吸が行われている患者での 24 時間以内の鎮静」の効能・効果で、1999 年 12 月に米国で初め
て承認を取得し、その後 35 カ国以上の国で承認・販売されています。本邦では、2000 年 3 月より「外国の臨
床データの日本人への外挿性」を検討するためにブリッジング試験を実施し、2004 年 1 月に、
「集中治療下で管
理し、早期抜管が可能な患者での人工呼吸中及び抜管後における鎮静」で初回承認を取得し、同年 5 月に
発売されました。
発売後、本剤は、従来の鎮静剤とは異なる多くの有用性が臨床現場から提唱されるようになりました。しかし、
実際の医療現場では集中治療下で、24 時間を超える鎮静を要する患者も多く、集中治療専門医・看護師より、
本邦における集中治療領域で、24 時間を超える本剤の継続投与を認可すべく強い要望・意見が挙がるように
なりました。そこで、初回承認後の製造販売後臨床試験(第Ⅳ相国内多施設共同プロポフォール対照比較試
験)を終了した上で、2007 年より医療現場からの要望に応えるべく、24 時間を超える集中治療における鎮静へ
の適応拡大を目的とした長期投与試験(第Ⅲ相試験)を実施しました。その結果、本剤の長期投与による安全
性と有効性が確認され、2010 年 8 月に「集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静」の承認取得に至り
ました。
1
プレセデックスの製品特性
プレセデックスの製品特性
プレセデックスは、集中治療における鎮静剤
注)
として承認された初めての
中枢性α2 受容体作動薬であり、以下の製品特性を有します。
1
呼吸数及び酸素飽和度(SpO2)への影響が少ないため、人工呼吸中、離脱時
及び離脱後を通じて投与できます。〔15、18、21、25、28 ページ〕
2
持続投与中(鎮静下)でも必要に応じて刺激を与えることにより、患者は容易
に覚醒し、見当識を保持させることが可能です。〔14 ページ〕
3
投与速度に応じて目標とする鎮静深度が得られます。〔13 ページ〕
4
長期投与の際にも、安定した鎮静レベルが得られ、臨床上問題となる耐性も
認められていません。長期投与終了後の退薬症候・リバウンド現象はほとんど
認められていません。〔29、30 ページ〕
5
室温保存可能な水溶性製剤です。〔3、49 ページ〕
国内ブリッジング試験(本剤投与期間:24 時間まで)における副作用発現率は 36.0%
(86 例中 31 例)
。
主な副作用は高血圧 9 例
(10.5%)
、
低血圧 11 例
(12.8%)
、
嘔気 4 例
(4.7%)
でした。
6
集中治療室収容患者を対象とした海外臨床試験(本剤投与期間:24 時間まで)と国内ブ
リッジング試験を合算した副作用発現率は 45.4%(1,022 例中 464 例)
。
主な副作用は低血圧 210 例(20.5%)
、高血圧 94 例(9.2%)
、嘔気 61 例(6.0%)
、
徐脈 60 例
(5.9%)
、口内乾燥 33 例
(3.2%)
でした。
国内長期投与試験(本剤投与期間:24 時間を超えて最長 28 日間)における副作用発現
率は 40.0%(75 例中 30 例)であり、24 時間までの投与において認められた副作用
の発現頻度と大きな差は認められませんでした。
主な副作用は高血圧 12 例
(16.0%)
、低血圧 15 例
(20.0%)
、徐脈 3 例
(4.0%)
でした。
臨床検査値の変動は、いずれも術後一般的に認められる範囲内でした。
、
重大な副作用として、低血圧、高血圧、徐脈、心室細動、心停止、洞停止(頻度不明*)
低酸素症、無呼吸、呼吸困難が報告されています。
*安全性評価対象としていない臨床試験において認められている。
注)
承認効能・効果;集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静
「効能・効果」、
「用法・用量」、
「警告・禁忌を含む使用上の注意」、
「用法・用量に関連する使用上の注意」につ
きましては 4 ~ 9 ページをご参照ください。
副作用の詳細につきましては 20、
27、
30、
31 ~ 33 ページをご参照ください。
2
組成・性状 / 有効成分に関する理化学的知見
組成・性状
■ 製剤の組成・性状
販売名
プレセデックス静注液 200 µg「マルイシ」
有効成分
デクスメデトミジン塩酸塩
含
量
200 µg(デクスメデトミジンとして)
(1バイアル 2 mL 中)
添加物
塩化ナトリウム 18 mg
性
状
無色澄明の液
剤
形
注射剤(バイアル)
pH
4.5 ~ 7.0
浸透圧比
約 1(生理食塩液に対する比)
有効成分に関する理化学的知見
一般名:デクスメデトミジン塩酸塩(JAN)
(dexmedetomidine hydrochloride)
-4[1(2,3-dimethylphenyl)ethyl]-1H -imidazole monohydrochloride
化学名:
(+)
(
- S)
分子式及び分子量:C13H16N2・HCl:236.74
構造式:
H 3C
N
HN
H
CH3
CH3
・HCI
性 状:白色の結晶又は結晶性の粉末である。
水、メタノール又はエタノール
(99.5)
に溶けやすい。
融 点:約 157℃
3
効能・効果 / 用法・用量
効能・効果
集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静
用法・用量
通常、成人には、デクスメデトミジンを 6 µg/kg/時の投与速度で 10 分間静脈内へ持続注入し(初期
負荷投与)
、続いて患者の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として 0.2~0.7 µg/
kg/時の範囲で持続注入する
(維持投与)
。
また、維持投与から開始することもできる。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速すること。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
(1)
本剤は手術室あるいは移送を伴う状況で投与を開始するべきではなく、手術後、集中治療室
等に移送が完了した後、患者の循環動態、呼吸等について継続的な監視体制が整った状況
で投与を開始すること。
(2)
本剤は投与速度を適切に調節することができるシリンジポンプ等を用いて、緩徐に持続的に
投与すること。
(3)
本剤の初期負荷投与中に一過性の血圧上昇があらわれた場合には、初期負荷投与速度の減
速等を考慮すること。[本剤の末梢血管収縮作用により一過性の血圧上昇があらわれること
がある。]
(4)
鎮静の維持開始速度は 0.4 µg/kg/時の速度を目安とし、初期負荷から維持への移行を慎
重に行うこと。また、維持速度は 0.7 µg/kg/時を超えないこと。[海外臨床試験において、
0.7 µg/kg/時を超えて投与した場合に呼吸器系、精神神経系及び心血管系の有害事象の
発現率が増加することが報告されている。]
(5)
本剤は挿管中、抜管中及び抜管後を通じて投与可能であるが、本剤の持続投与期間が 120
時間(5 日間)
を超える使用経験は少ないので、それを超えて鎮静が必要な場合には、患者の
全身状態を引き続き慎重に観察すること。
(6)
本剤を使用するときは本剤 2 mLに生理食塩液 48 mLを加え、
50 mL
(4 µg/mL)
とすること。
(「適用上の注意」の項参照)
** 2010年8月添付文書改訂
(第5版)
4
効能・効果 / 用法・用量
■ 調製法(解説)
本剤 2 mL に生理食塩液 48 mL を加えて 50 mL とし、静かに振盪し十分に混和してください。
調製例:
➡
❶使 用するシリンジに生理
食 塩 液 48 mL を吸 引 す
る
➡
❷❶ のシリンジに本剤 2 mL
(1 バイアル;200 µg含有)
を吸引する
➡
❸静かに振盪し、十分に混和
する
❹薬 液調製後、シリンジポン
プに取り付ける
薬液濃度
=200 µg/50mL(4 µg/mL)
注意(適用上の注意(1)調製時、9 ページより)
:
**
◦ 本剤の取り扱いは、常に厳重な無菌手技で行ってください。
◦ バイアルは使用前にゴム栓をエタノール綿等で清拭してください。
◦ バイアルからの採取は 1 回のみとし残液は廃棄してください。
◦ 希釈後は 48 時間以内にご使用ください。
参考:患者体重別の時間当たりの注入用量の例
持続注入液としてデクスメデトミジンを生理食塩液で最終濃度 4 µg/mL に希釈調製した場合の
初期負荷投与速度、維持投与速度を、患者の体重別注入用量(mL/時)
として示す。
初期負荷投与速度(6 µg/kg/時、10 分間)
患者の体重(30 ~ 100kg)
初期負荷
6 µg/kg/時
(10 分)
★
30kg
40kg
50kg
45mL/時
60mL/時
75mL/時
60kg
70kg
80kg
90kg
100kg
90mL/時 105mL/時 120mL/時 135mL/時 150mL/時
★初期負荷量 1 µg/kg を 10 分かけて持続静注した場合と等価になる。
維持投与速度(0.2~0.7 µg/kg/時)
維持投与
患者の体重(30 ~ 100kg)
30kg
40kg
50kg
60kg
70kg
80kg
90kg
100kg
0.2 µg/kg/時 1.5mL/時 2.0mL/時 2.5mL/時 3.0mL/時 3.5mL/時 4.0mL/時 4.5mL/時 5.0mL/時
0.3 µg/kg/時 2.3mL/時 3.0mL/時 3.8mL/時 4.5mL/時 5.3mL/時 6.0mL/時 6.8mL/時 7.5mL/時
0.4 µg/kg/時 3.0mL/時 4.0mL/時 5.0mL/時 6.0mL/時 7.0mL/時 8.0mL/時 9.0mL/時 10.0mL/時
0.5 µg/kg/時 3.8mL/時 5.0mL/時 6.3mL/時 7.5mL/時 8.8mL/時 10.0mL/時 11.3mL/時 12.5mL/時
0.6 µg/kg/時 4.5mL/時 6.0mL/時 7.5mL/時 9.0mL/時 10.5mL/時 12.0mL/時 13.5mL/時 15.0mL/時
0.7 µg/kg/時 5.3mL/時 7.0mL/時 8.8mL/時 10.5mL/時 12.3mL/時 14.0mL/時 15.8mL/時 17.5mL/時
注意:
◦ その他の用法・用量に関連する使用上の注意は 4 ページをご参照ください。
5
警告・禁忌、使用上の注意
「警告・禁忌を含む使用上の注意」の改訂には十分ご留意ください。
警告・禁忌
【警告】
(1)
本剤の投与により低血圧、高血圧、徐脈、心室細動等があらわれ、心停止にいたるおそれもある
ことから、本剤は、患者の循環動態、呼吸等の全身状態を注意深く継続的に監視できる設備を有
し、緊急時に十分な措置が可能な施設で、本剤の薬理作用を正しく理解し、集中治療における患
者管理に熟練した医師のみが使用すること。(「重大な副作用」の項参照)
(2)
迷走神経の緊張が亢進しているか、急速静注、単回急速投与など、通常の用法・用量以外の方法
で本剤を投与した場合に重篤な徐脈、洞停止等があらわれたとの報告があるので、本剤は定めら
れた用法・用量に従い、緩徐に持続注入することを厳守し、患者の状況を慎重に観察するとともに、
このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。(「重大な副作用」の項参照)
【設定理由】
また心臓手術後の心
(1)本剤のα2 受容体刺激作用により、低血圧、高血圧、徐脈が発現することがあり、
機能低下患者 2 例に心室細動、
5 例に心停止が発現したことから設定した。また、本剤は他の鎮静剤
とは異なる薬理作用をもち、集中治療室入室患者に投与される薬剤であることから、本剤の薬理作用を
正しく理解し、
集中治療における患者管理に熟練した医師が、患者の全身状態を継続的に監視して投
与する必要があるため設定した。
(2)ミダゾラムとの相互作用を検討した試験において、若年健康被験者 2 例に洞停止、
うち 1 例には重篤な
徐脈も発現したため設定した。
【禁忌】
(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
【設定理由】
本剤に対する過敏症の報告はないが、
安全性を考慮して設定した。
使用上の注意
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)心血管系障害のある患者
[低血圧、徐脈があらわれやすくなる。患者の全身状態を十分に観察しながら投与速度を調節すること。
特に高度な心ブロックを伴う患者等は重度の徐脈があらわれるおそれがある。徐脈に対してはあらかじ
めアトロピンの投与、
ペースメーカーの使用を考慮すること。]
(2)心機能が低下している患者
[本剤の初期負荷投与時に一過性の血圧上昇があらわれることがあり、予期せぬ重篤な循環動態の変
動を誘発するおそれがあるので、投与速度の急激な変更は避け、常に循環動態及び出血量を監視しな
がら慎重に投与速度を調節すること。また、必要に応じて強心薬及び血管作動薬を併用しながら、慎
重に投与し、適切な循環動態の維持を行うこと。]
(3)循環血流量が低下している患者
[低血圧があらわれやすくなる。本剤投与開始前及び投与中に輸液負荷等を行い、患者の全身状態を
慎重に観察しながら投与速度を調節すること。循環血流量が低下した状態で低血圧が持続した場合
は、肝血流量の低下から本剤の消失が遅延するおそれがある。このような場合は特に注意を払って投
与速度の減速を考慮すること。(「薬物動態」の項参照)]
(4)肝機能障害のある患者
[肝機能障害の程度が重度になるにしたがって本剤の消失が遅延し、鎮静作用の増強や副作用があら
** 2010年8月添付文書改訂
(第5版)
6
警告・禁忌、使用上の注意
「警告・禁忌を含む使用上の注意」の改訂には十分ご留意ください。
われやすくなるおそれがあるので、投与速度の減速を考慮し、特に重度の肝機能障害患者に対しては、
患者の全身状態を慎重に観察しながら投与速度を調節すること。
(「薬物動態」
「臨床成績」
、
の項参照)
]
(5)腎機能障害のある患者
[鎮静作用の増強や副作用があらわれやすくなるおそれがあるので、投与速度の減速を考慮し、患者
の全身状態を観察しながら慎重に投与すること。(「薬物動態」、
「臨床成績」の項参照)]
(6)高齢者
[生理機能の低下により、低血圧や徐脈等の副作用があらわれやすくなる。(「高齢者への投与」、
「臨
床成績」の項参照)]
(7)血液浄化を受けている患者
[頻回に鎮静深度を観察しながら必要に応じて本剤の投与速度を調節すること。持続血液浄化法の導
入時、終了時、
あるいはカラム交換時や血液量、水分除去率の変更時には特に注意を払い、患者の鎮
静深度及び循環動態を観察すること。]
(8)薬物依存又は薬物過敏症の既往歴のある患者
2. 重要な基本的注意
(1)本剤の投与に際しては集中治療に習熟した医師が本剤の薬理作用を正しく理解した上で患者の全身
状態を注意深く継続して監視すること。また、気道確保、酸素吸入、人工呼吸、循環管理を行えるよう
準備をしておくこと。
(2)本剤はα2 受容体刺激作用に基づく鎮痛作用を有するため、他の鎮痛剤と併用する際には鎮痛剤の過
量投与に注意すること。
(3)本剤投与中は至適鎮静レベルが得られるよう患者の全身状態を観察しながら投与速度を調節すること。
本剤を投与されている患者は刺激を与えると容易に覚醒し、速やかに反応するが、
これは本剤の特徴で
あるため、他の臨床徴候及び症状がない場合、効果不十分であると考えないよう注意すること。
(4)本剤の初期負荷投与中にあらわれる一過性の血圧上昇に対しては、投与速度の減速を考慮する必要
があるが、重大な血圧上昇があらわれた場合には、
さらに適切な処置を行うこと。(「用法・用量に関連
する使用上の注意」の項参照)
(5)本剤の投与により低血圧、徐脈等があらわれるおそれがある。特に迷走神経の緊張が亢進している患
者であらわれやすい。患者の観察を十分に行い、
このような症状があらわれた場合には適切な処置を行
うこと。(「重大な副作用」の項参照)
(6)本剤投与中はバイタルサインの変動に注意して循環器系に対する観察及び対応を怠らないこと。
(7)人工呼吸器からの離脱の過程では患者の呼吸状態を十分に観察すること。
(8)全血又は血漿を投与しているカテーテルに本剤を注入しないこと。
(9)本剤を長期投与した後、使用を突然中止した場合、
クロニジンと同様のリバウンド現象があらわれるおそ
れがある。これらの症状として神経過敏、激越及び頭痛があらわれ、同時に又はこれに続いて血圧の
急激な上昇及び血漿中カテコラミン濃度の上昇があらわれるおそれがある。
3. 相互作用
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
ベンゾジアゼピン系薬剤
(ミダゾラム、
ジアゼパム等)
全身麻酔剤
13)
等)
(プロポフォール、
セボフルラン
局所麻酔剤
(リドカイン塩酸塩等)
中枢神経系抑制剤
(モルヒネ塩酸塩水和物、
フェンタニルク
エン酸塩、
バルビツール酸誘導体等)
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
鎮静・麻酔・鎮痛作用が増強し、血圧低下、心 相互に作用(鎮静・麻酔・
拍数低下、呼吸数低下などの症状があらわれ 鎮痛作用、循環動態への
るおそれがあるので、併用する場合には投与 作用)
を増強するため。
速度を減速するなど慎重に投与すること。
抜管後に他の鎮静薬、鎮痛薬などと併用する
場合は、鎮静効果が相加的に増強するおそれ
があるので、本剤あるいは他の鎮静薬、鎮痛
薬の投与量を減量するなどの注意が必要で
ある。
【設定理由】評価資料とした試験成績(外国で行われた臨床試験成績-相互作用を検討した試験)に基づ
いて記載しました。
7
警告・禁忌、使用上の注意
「警告・禁忌を含む使用上の注意」の改訂には十分ご留意ください。
4. 副作用
承認時
国内で実施されたブリッジング試験(本剤投与期間:24 時間まで)において安全性が評価された 86 例中 31
例
(36.0%)
に副作用が認められ、
その主なものは高血圧 9 例(10.5%)
、
低血圧 11 例
(12.8%)
、
嘔気 4 例(4.7%)
であった。集中治療室収容患者を対象とした海外臨床試験における本剤の安全性評価症例数と合算して検
討したところ、1022 例中 464 例(45.4%)
に副作用が認められ、その主なものは低血圧 210 例(20.5%)
、高血
圧 94 例
(9.2%)
、嘔気 61 例(6.0%)
、徐脈 60 例(5.9%)
、口内乾燥 33 例(3.2%)
であった。
国内で実施された長期投与試験(本剤投与期間:24 時間を超えて最長 28 日間)において安全性が評価さ
れた 75 例中 30 例(40.0%)の症例に副作用が認められ、
その主なものは高血圧 12 例(16.0%)
、低血圧 15
例
(20.0%)
、徐脈 3 例(4.0%)
であった。
臨床検査値の変動は、
いずれも術後一般的に認められる範囲内であった。
(1)
重大な副作用
1)
低血圧(5%以上)
:低血圧があらわれることがあるので、
このような場合には、本剤の減速又は中止、
輸液の増量、下肢の挙上、昇圧剤の使用等適切な処置を行うこと。
2)
高血圧(5%以上)
:高血圧があらわれることがあるので、
このような場合には、本剤の減速又は中止、
降圧剤の使用等適切な処置を行うこと。
3)
徐脈(5%以上)
:徐脈があらわれることがあるので、
このような場合には、本剤の減速又は中止、迷走
神経の緊張を軽減する目的で抗コリン剤(アトロピン等)の静脈内投与、
ペースメーカーの使用等、適
切な処置を行うこと。
:心室細動があらわれることがあるので、
このような場合には、抗不整脈薬
4)
心室細動(0.1~1%未満)
の投与、除細動、心肺蘇生等適切な処置を行うこと。
、洞停止(頻度不明注))
:心停止、洞停止があらわれることがあるので、
このよ
5)
心停止(0.1~1%未満)
うな場合には、本剤の中止、ペースメーカーの使用、除細動、心肺蘇生、強心剤の投与等適切な処
置を行うこと。
、無呼吸、呼吸困難(0.1 ~ 1%未満)
:低酸素症、一過性の無呼吸、呼吸困難
6)
低酸素症(1 ~ 5%未満)
があらわれることがあるので、
このような場合には、気道を確保し、換気を行う等適切な処置を行うこと。
注)安全性評価対象としていない臨床試験において認められている。
(2)
その他の副作用
次のような症状があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
1% 以上
0.1 ~ 1% 未満
0.1% 未満
激越、傾眠
不安、錯乱、幻覚、めまい、頭痛、不 うつ病、
錯覚、
神経過敏、
意識低下、
神経痛、
全麻痺、せん妄
神経炎、ニューロパシー、知覚脱失、
ジスト
ニア、言語障害、昏迷、痙攣
嘔吐、嘔気、口内乾燥
腹痛
心房細動、頻脈
循環器
末梢性虚血、血管障害、血圧変動、 脳出血、血管拡張、脳血管障害、血管
心不全、心電図異常、特異的心電 痙攣、循環不全、
チアノーゼ、心疾患、狭
図異常、高血圧悪化、心筋梗塞、不 心症、心筋虚血、心房性不整脈、AVブ
整脈、心室性不整脈、期外収縮、上 ロック、
脚ブロック、
心ブロック、
T波逆転、
室性頻脈、心室性頻脈
上室性不整脈
呼吸器
無気肺、気管支痙攣、高炭酸ガス 徐呼吸、咳、喀血、肺炎、肺うっ血、呼
血症、低換気症、胸水、気胸、肺 吸抑制、呼吸障害
水腫、呼吸不全
感覚器
視覚異常
血 液
出血、血小板減少症、貧血、白血球 凝固障害、播種性血管内凝固症候群、
増加症
好酸球増多症
肝 臓
AG 比異常、
血清 AST(GOT)
上昇、 γ-GTP上昇、黄疸、肝機能異常
血清 ALT(GPT)
上昇
皮 膚
多汗
紅斑性皮疹
泌尿器
乏尿
腎機能異常、尿閉
精神神経系
消化器
下痢、
おくび
複視、
光視症
8
警告・禁忌、使用上の注意
「警告・禁忌を含む使用上の注意」の改訂には十分ご留意ください。
1% 以上
代謝栄養
その他
0.1 ~ 1% 未満
0.1% 未満
口渇
アシドーシス、呼吸性アシドーシス、 アルカリフォスファターゼ上昇、低カリ
高血糖、高カリウム血症、血液量過 ウム血症
多、低蛋白血症、NPN 上昇
発熱、血液量減少、疼痛
背部痛、異常高熱、浮腫、悪寒、失神 胸痛、筋肉痛、感染、敗血症
5. 高齢者への投与
高齢者では生理機能の低下により、鎮静作用の増強や副作用があらわれやすくなるおそれがある。投与速
度の減速を考慮し、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与すること。
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊産婦に対する安全性は確立されていない。本剤投与による有益性が危険性を上回ると判断した場合
を除き、
本剤投与は避けることが望ましい。
[動物試験
(ラット)
において、
生存胎児数の減少、
胎盤移行性、
子宮血流量低下によると考えられる胎児体重の低下及び骨化遅延が認められている。]
(2)ヒト乳汁への本剤の移行は不明である。授乳婦への投与は避けること。投与した場合は授乳を避けさ
せること。
[動物試験(ラット)
において、乳汁移行性が認められている。]
7. 小児等への投与
18 歳未満の患者に対する安全性及び有効性は確立していない
(使用経験がない)。
8. 過量投与
急速静注あるいは単回急速投与により高血圧があらわれるおそれがある。
海外における臨床試験において過量投与(血漿中濃度が臨床推奨治療用量上限の 13 倍)された健康被
験者に、第Ⅰ度 AVブロック及び第Ⅱ度心ブロックがあらわれた。また、海外での集中治療における鎮静・
鎮痛を評価した臨床試験において過量投与された欧米人患者に、低血圧を伴う徐脈、心停止(臨床推奨
治療用量上限の 20 倍量を急速投与)等があらわれた。低血圧に対しては、輸液速度の上昇、下肢の挙
上、昇圧剤の投与を行い、徐脈に対しては、抗コリン剤(アトロピン等)
の静脈内投与、又はドパミン、
アドレナ
リン等の静脈内投与、
心肺蘇生等適切な処置を行う。AVブロック、
心ブロック、
心停止に対しては心肺蘇生、
除細動、強心剤の投与等適切な処置を行うこと。
9. 適用上の注意
(1)調製時
1)本剤の取り扱いは、常に厳重な無菌手技で行うこと。
2)バイアルは使用前にゴム栓をエタノール綿等で清拭して使用すること。
3)本剤 2 mL に生理食塩液 48 mL を加えて 50 mLとし、静かに振盪し十分に混和する。
4)バイアルからの採取は 1 回のみとし残液は廃棄すること。
5)希釈後は 48 時間以内に使用すること。
(2)投与時
1)本剤は静脈内投与のみとすること。
2)本剤を持続注入するにあたっては、投与速度の調節可能な注入器具(シリンジポンプ等)を使用する
こと。
3)配合変化
本剤は以下の薬剤との配合変化
(沈殿を生ずる)
が示されているので混合しないよう注意すること。14)
アムホテリシン B、ジアゼパム
本剤は以下の輸液製剤及び薬剤との配合変化は示されていない。
リンゲル液、5%ブドウ糖液、生理食塩液、20%マンニトール、チオペンタールナトリウム、ベクロニウ
ム臭化物、パンクロニウム臭化物、スキサメトニウム塩化物水和物、フェニレフリン塩酸塩、アトロピ
ン硫酸塩水和物、ミダゾラム、モルヒネ硫酸塩水和物、フェンタニルクエン酸塩、
ドパミン、ノルアドレ
ナリン、
ドブタミン
9
重大な副作用、過量投与に対する対処法 / 相互作用
重大な副作用、過量投与に対する対処法
重大な副作用、過量投与につきましては、8 ~ 9 ページを併せてご参照ください。
◆ 低血圧
①低血圧が発現しやすい患者
◦ 循環血液量が低下している患者、心血管系障害のある患者、特に重度の心機能障害のある患者、
迷走神経が亢進している患者、高齢者では低血圧が発現しやすくなります。
②血圧管理のための注意
◦ 投与中は、バイタルサインの変動に注意して、血圧に対する観察及び対応を怠らず、患者の全身状
態を十分に観察しながら投与速度を調節してください。
◦ 循環血液量が低下している患者では、本剤投与開始前及び投与中に輸液の負荷、カテコラミン投
与などにより積極的な循環動態の維持を図る必要があります。
◦ 迷走神経が緊張状態にある患者では、体位変換時に一過性の反射様の血圧・心拍数の低下をき
たすことがあるので、急激な体位変換を避けるよう注意が必要です。
③低血圧発現時の処置
◦ 投与量の減量又は中止、輸液の増量、下肢の挙上、昇圧剤の使用等適切な処置を行ってください。
◆ 高血圧
①初期負荷投与中の高血圧
◦ 初期負荷投与中に、本剤の血中濃度が比較的高濃度になることから、末梢性α2B 受容体刺激によ
る血管収縮作用により一過性の血圧上昇があらわれることがあります。
②高血圧防止のための注意
◦ 血圧上昇が危惧される患者又は血圧上昇を避ける必要がある場合には、初期負荷投与を行わず、
維持量から開始するなどの考慮が必要です。
③高血圧発現時の処置
◦ 必要に応じて、初期負荷投与速度の減速又は中止、降圧剤の静脈内投与、併用している血管作
を調節する等適切な処置を行ってください。
動剤(ドパミン、PGE1)
◆徐 脈
①徐脈が発現しやすい患者
◦ 心血管系障害のある患者、特に重度の心機能障害のある患者、迷走神経が亢進している患者、
高度な脚ブロックを伴う患者、高齢者では徐脈が発現しやすくなります。
②心拍数管理のための注意
◦ 投与中は、バイタルサインの変動に注意して、心拍数に対する観察及び対応を怠らず、患者の全身
状態を十分に観察しながら投与速度を調節してください。
◦ 徐脈に対しては、アトロピンの投与、ペースメーカーの使用を必要に応じて考慮してください。
◦ 迷走神経が緊張状態にある患者では、体位変換時に一過性の反射様の血圧・心拍数の低下をき
たすことがあるので、急激な体位変換を避けるよう留意が必要です。
③徐脈発現時の処置
◦ 投与量の減量又は中止、抗コリン剤(アトロピン等)の静脈内投与、ペースメーカーの使用等の適切
な処置を行ってください。
「効能・効果」、「用法・用量」、「警告・禁忌を含む使用上の注意」、「用法・用量に関連する使用上の注意」につきましては 4 ~ 9 ペー
ジをご参照ください。また、ご使用にあたっては、新医薬品の「使用上の注意」の解説書も併せてご参照ください。
10
重大な副作用、過量投与に対する対処法 / 相互作用
◆ 心室細動
臨床試験において、心臓手術後の心機能低下患者 2 例に心室細動が発現しています。このような場合
には、本剤の投与中止、抗不整脈薬の投与、除細動、心肺蘇生等適切な処置を行ってください。
◆ 心停止、洞停止
心臓手術後の心機能低下患者 5 例に心停止が発現しています。このような場合には、
本剤の中止、
ペー
スメーカーの使用、
除細動、
心肺蘇生、
強心剤の投与等適切な処置を行ってください。
◆ 低酸素症、無呼吸、呼吸困難
気道を確保し、酸素吸入による換気を行う等適切な処置を行ってください。
◆ 過量投与
◦ 初期負荷投与中に、血中濃度が比較的高濃度になり、末梢性α2B 受容体刺激による血管収縮作用に
より一過性の血圧上昇があらわれることがあります。従って本剤を急速静注あるいは単回急速投与した
場合、同様の症状が発現しやすくなると考えられます。高血圧が発現した場合には、
10 ページの「高血
圧の項」に示した適切な処置を行ってください。
◦ 海外で行われた高用量投与に対する忍容性を評価した第Ⅰ相臨床試験において、血中濃度 14.7 ng/
mL(臨床推奨治療用量上限の 13 倍)までの投与が行われ、
AV ブロック及び心ブロックが発現してい
ます。AV ブロックは 15 分持続して消失、心ブロックは 1 分以内に処置なしで消失し、
いずれの症例も
投与が継続されました。
また、
ICU における鎮静・鎮痛を評価した第Ⅲ相持続注入試験において、誤って希釈せずにデクスメデ
トミジン原液 14 mL が投与され、投与直後に徐脈、心停止、高カリウム血症、代謝性アシドーシスが発
現しています。試験薬の投与は約 15 分後に中止され、心肺蘇生の結果、心停止は回復しましたが、
2 時間後心停止によるバイパスの閉塞がみられ、
インスリン、
アドレナリン等の投薬と手術の結果、回復し
ています。
低血圧に対しては、輸液速度の上昇、下肢の挙上、昇圧剤の投与、徐脈に対しては、抗コリン剤(アト
ロピン等)
の静脈内投与、又はドパミン、
アドレナリン等の静脈内投与、心肺蘇生等、
AV ブロック、心ブロッ
ク、心停止に対しては、心肺蘇生、除細動、強心剤の投与等適切な処置が必要です。
相互作用
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
ベンゾジアゼピン系薬剤
(ミダゾラム、ジアゼパム等)
全身麻酔剤
13)
(プロポフォール、セボフルラン
等)
局所麻酔剤
(リドカイン塩酸塩等)
中枢神経系抑制剤
(モルヒネ塩酸塩水和物、フェンタニルク
エン酸塩、バルビツール酸誘導体等)
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
鎮静・麻酔・鎮痛作用が増強し、血圧低下、 相互に作用(鎮静・麻酔・
心拍数低下、呼吸数低下などの症状があらわ 鎮痛作用、循環動態への
れるおそれがあるので、併用する場合には投 作用)
を増強するため。
与速度を減速するなど慎重に投与すること。
抜管後に他の鎮静薬、 鎮痛薬などと併用す
る場合は、 鎮静効果が相加的に増強するお
それがあるので、本剤あるいは他の鎮静薬、
鎮痛薬の投与量を減量するなどの注意が必
要である。
【設定理由】評価資料とした試験成績(外国で行われた臨床試験成績-相互作用を検討した試験)に基づい
て記載しました。
11
臨床成績に関する事項
臨床成績に関する事項
本剤は承認の際、海外データと国内データを合わせて審査・評価されました。
「効能・効果」、「用法・用量」、「警告・禁忌を含む使用上の注意」、「用法・用量に関連する使用上の注意」
につきましては 4 ~ 9 ページをご参照ください。
1 開発のプロセス
プレセデックスの薬物動態及び安全性を検討するための第Ⅰ相試験は、1997 年に海外において開始されま
した。次いで 1998 年に、冠動脈バイパス(CABG)手術後に集中治療室にて人工呼吸管理を要する症
例を対象とした第Ⅱ相試験、それに続き、胸部、頭部、腹部などの手術後、集中治療室に入室し人工呼
吸管理が必要な症例を対象とした第Ⅲ相試験が行われ、集中治療での鎮静管理(人工呼吸中及び離脱
後)
におけるプレセデックスの有効性と安全性が確認されました。
本邦では、これらの海外の臨床成績をもとに海外臨床データを日本人に外挿するための臨床試験が 1999
年より実施され、ハワイ在住の日本人・健康成人を対象とした第 I 相試験において、薬物動態及び薬力学
的効果、用量反応性、安全性のいずれも欧米人と日本人で類似した結果が得られました。次いで、2000
年より国内で実施された第Ⅱ/Ⅲ相ブリッジング試験で日本人患者に対する本剤の有効性と安全性が示さ
れ、本試験とほぼ同じ試験デザインで実施された欧米の第Ⅲ相試験の成績と詳細に比較したところ、両
民族間に差はみられず、同様の有効性と安全性が認められたことから、海外臨床データを日本人に外挿
する妥当性が示されました。
海外臨床試験データを日本人へ外挿するためのデータパッケージ
欧米人を対象とした試験
日本人を対象とした試験
第Ⅰ相試験
欧米人・健康成人
<PK/PDと用量反応性試験>
第Ⅰ相試験
ハワイ在住の日本人・健康成人
<PK/PDと用量反応性試験>
両民族間で薬物動態、薬力学的効果、
用量反応の類似性を確認
第Ⅱ相試験
欧米人・CABG後 のICU収容患者
<推定至適用量範囲の確認>
第Ⅲ相試験
欧米人・術後ICU収容患者
<有効性・安全性の確認>
第Ⅱ/Ⅲ相ブリッジング試験
日本人・術後ICU収容患者
<有効性・安全性の確認>
日本人患者における至適用法・用量、
両民族間での有効性と安全性の類似性を確認
12
臨床成績に関する事項
2 第Ⅰ相試験 15,16)
- 健康成人における持続注入時の鎮静に関する用量反応性の検討
対 象: ハワイ在住の日本人・健康成人 76 例、欧米人・健康成人 73 例のうち、24 時間持続投与
を行った各 27 例、25 例。
方 法:プラセボ対照二重盲検法により下表の 4 群を比較 注)。
初期負荷量
プラセボ群
プレセデックス
目標血漿中濃度
維持量
−
持続投与時間
−
注)
注)
0.3ng/mL群
3.0 µg/kg/時(10 分)
0.168 µg/kg/時
0.6ng/mL群
6.0 µg/kg/時(10 分)
0.337 µg/kg/時
注)
1.25ng/mL群 3.7 µg/kg/時(35 分)
計 24 時間
0.700 µg/kg/時
◆ 薬力学的効果
1. 鎮静作用(用量反応性)
プレセデックス又はプラセボ投与開始後 24 時間までの平均 Ramsay スコアを比較したところ、本
剤投与量と鎮静作用の用量反応性が認められ、日本人と欧米人の間に意義のある差を認めませ
んでした。
目標血漿中濃度別の Ramsay スコア
5
日本人
平均値±S.E.
欧米人
4.3
Ramsayスコア
4
3.3
3
2
2.3
2.3
n=6
n=6
4.7
4.2
4.0
3.1
1
0
プラセボ群
n=6
n=7
0.3ng/mL群
n=7
n=6
0.6ng/mL群
n=8
n=6
1.25ng/mL群
プレセデックス
Ramsay スコア
スコア
1
2
3
4
5
6
患者の状態
不安そうである、イライラしている、落ち着きがない
協力的、静穏、見当識がある
言葉による指示に反応
眉間への軽い叩打に素早く反応
眉間への軽い叩打に緩慢に反応
眉間への軽い叩打に対しても反応せず
RamsayMA,etal.:BrMedJ2:656-659,1974
13
注)承認用法・用量
通常、成人には、デクスメデトミジンを 6 µg/kg/時の投与速度で 10 分間静脈内へ持続注入し(初期負荷投与)、続いて患者の状
態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として 0.2 ~ 0.7 µg/kg/時の範囲で持続注入する(維持投与)。
また、維持投与から開始することもできる。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速すること。
用法・用量に関連する使用上の注意 -抜粋-
(4)鎮静の維持開始速度は 0.4 µg/kg/時の速度を目安とし、初期負荷から維持への移行を慎重に行うこと。また、維持速度は 0.7 µg/
kg/時を超えないこと。[海外臨床試験において、0.7 µg/kg/時を超えて投与した場合に呼吸器系、精神神経系及び心血管系の
有害事象の発現率が増加することが報告されている。]
臨床成績に関する事項
2. 覚醒が容易であること 注)
本剤は中枢性α2 受容体作動薬であり、従来の鎮静剤とは異なり、十分に鎮静させた状態でも刺
激を与えると患者は容易に覚醒し、意識レベルが確認できるという特徴を有しています。
本剤又はプラセボ投与中の患者に CFF *試験を実施し、覚醒の容易性と見当識を評価したとこ
ろ、被験者は容易に覚醒して試験を完了でき、本剤投与(0.3~1.25 ng/mL)群とプラセボ投与
群の CFF スコアに差はありませんでした(下図)。欧米人の試験でもほぼ同様の結果が得られま
した
(図略)。
目標血漿中濃度別の CFF スコアの推移(日本人)
(Hz)
45
平均値±S.E.
n=6∼7
†#
40
CFF
容 高
易 い 35
30
覚 見
当
醒
識 25
プラセボ群
プレセデックス 0.3ng/mL群
プレセデックス 0.6ng/mL群
プレセデックス 1.25ng/mL群
困 低 20
難 い
15
10
0∼3
3∼6
6∼9
9∼12
12∼15
15∼18
18∼21
21∼24
投与開始後の時間(hr)
†♯:プレセデックス0.3ng/mL群又は0.6ng/mL群に対して有意差あり
(各々p<0.05)
pairwise比較 * CFF(Critical Flicker Fusion Threshold)試験:
被験者に点滅速度が速くなっていく光源を見せ、点滅が認識できなくなる閾値(点滅光源の振動数:Hz)を測定する
が 50Hz に近いほど
「鎮
ことにより、
被験者の覚醒の容易さ及び見当識を評価する検査法。CFF スコア
(0 ~ 50Hz)
静状態から容易に覚醒し、覚醒直後であっても見当識が保たれている」
と考えられる。
第Ⅰ相試験の薬物動態は 34 ページに記載
注)使用上の注意 2. 重要な基本的注意 - 抜粋 -
(3)本剤投与中は至適鎮静レベルが得られるよう患者の全身状態を観察しながら投与速度を調節すること。本剤を投与されている患
者は刺激を与えると容易に覚醒し、速やかに反応するが、これは本剤の特徴であるため、他の臨床徴候及び症状がない場合、効果
不十分であると考えないよう注意すること。
14
臨床成績に関する事項
3 第Ⅱ/Ⅲ相ブリッジング試験、第Ⅲ相試験(国内、欧米多施設共同試験)17,18)
- プロポフォールの追加投与を鎮静作用の指標とした臨床検討
試験方法の概略
本剤と同様の作用機序
(中枢性α2 受容体刺激作用)をもつ薬剤が鎮静剤として承認されていないこと
から、本剤の第Ⅲ相試験では、プラセボを対照とし、既存の鎮静剤の追加投与を鎮静作用の指標とし
た無作為化二重盲検比較試験を実施しました。また、本剤が脊髄後角のα2 受容体を介して痛みの伝
達を抑制することからモルヒネ投与量に及ぼす影響に関しても併せて検討しました。
<試験デザインの考え方>
治験薬
(First-Line;持続注入)
主な評価項目
・鎮 静 作 用:既存の鎮静剤の追加投与状況、
Ramsayスコア
・痛みの抑制:モルヒネの追加投与状況
・安 全 性:有害事象、臨床検査値、血圧、
心拍数、呼吸への影響など
プレセデックス又は
プラセボ(対照群)
※脊髄後角のα2 受容体刺激作用による痛みの抑制
モルヒネ※注)
既存の鎮静剤
プロポフォール
下記投与法で効果不十分な場合に
必要に応じて追加投与を考慮
<基本的な投与スケジュール>
プレセデックス 又は プラセボ 投与
投与時間24時間以内
手
術
(
投与開始
人工呼吸中
離脱後
6時間又は8時間以上
6時間又は6時間以上
)
ICU入室後
1時間以内
離脱
経過観察
投与終了
<プレセデックスの投与法>
◦初期負荷投与: 6 µg/kg/時を 10 分間で静脈内へ持続投与
◦維 持 投 与 : 目標とする鎮静深度に応じて 0.2 ~ 0.7 µg/kg/時の範囲で投与速度を調節
15
注)使用上の注意2. 重要な基本的注意 -抜粋-
(2)本剤はα2 受容体刺激作用に基づく鎮痛作用を有するため、他の鎮痛剤と併用する際には鎮痛剤の過量投与に注意すること。
臨床成績に関する事項
対 象:
◦国内第Ⅱ/Ⅲ相ブリッジング試験(日本人) 胸部又は上腹部手術後、集中治療室に入室し、
人工呼吸管理を少なくとも 6 時間必要とする患者
111 例
〔実施施設数:国内 15 施設〕
◦欧米第Ⅲ相試験
(欧米人)
術後、集中治療室に入室し、人工呼吸管理を少な
くとも 6 時間必要とする患者 401 例〔実施施設
数:ヨーロッパ 31 施設、
カナダ 5 施設〕
方 法: 15 ページに記載の方法を用い、既存の鎮静剤としてプロポフォールを使用。試験薬の投与
は集中治療室入室後 1 時間以内に開始し、試験薬を 12 ~ 24 時間投与。目標 Ramsay
スコアは、人工呼吸中は ≧3、離脱後は ≧2とした。
◆ 有効性
1. 鎮静作用-挿管中の鎮静に要したプロポフォールの追加投与状況
プレセデックス群ではプラセボ(対照群)に比べてプロポフォールの追加投与量が少なく、治療用
量(> 50 mg)のプロポフォールの追加投与を必要としなかった症例の割合は、日本人の試験が
90.9%、欧米人の試験で 81.3%で、ともに対照群と比べて有意差を認めました
(p <0.0005)。
プロポフォール(Prop.)の追加投与状況別の割合(挿管中)
Prop.追加投与なし
治療用量未満(≦50mg)
のProp.を追加
治療用量(>50mg)
のProp.を追加
日本人
(%)
100
80
欧米人
p<0.0005
(%)
100
9.1%
5.5%
55.4%
40
85.5% 90.9%
37.5% 44.6%
20
0
7.1%
プレセデックス群
n=55
対照群
18.7%
80
21.2%
60
60
p<0.0005
40
60.1%
61.1%
81.3%
20
15.2%
23.7%
0
プレセデックス群
n=56
n=203
38.9%
対照群
n=198
施設で調整したCochran-Mantel-Haenszel検定
日本人と欧米人の鎮静作用の類似性の検討
- 有効率及び95%信頼区間 -
上記試験におけるプレセデックス群と対照群の
有効率(治療用量のプロポフォールを追加しな
かった割合)の差とその 95%信頼区間は日本
、欧米人が 42.4%
人が 46.3%(31.2~ 61.3%)
(33.7 ~ 51.0%)で、対照群とプレセデックス群
の有効率を結んだ直線は両民族間で平行性
が認められ、日本人と欧米人の有効性反応
率が類似していると考えられました。
(%)
100
日本人
90.9%
欧米人
80
有 60
効
率 40
81.3%
44.6%
38.9%
20
0
プレセデックス群
対照群
16
臨床成績に関する事項
2. 鎮静作用-平均 Ramsay スコアの推移
試験薬投与期間中の平均 Ramsay スコアの推移を検討したところ、日本人、欧米人の試験とも
対照群に比べてプレセデックス群が高く推移し、平均 Ramsay 鎮静スコア ※ に有意差を認めまし
た(日本人のデータのみ図示)。
Ramsay スコアの推移(日本人)
プレセデックス群 n=55
6
対照群
n=56
平均Ramsay鎮静スコア※
Ramsay スコア
深
い
鎮
静
プレセデックス群
5
3.4±0.12
平均値±S.E.
4
対照群
3.1±0.07
p<0.05
t 検定
3
浅
い
2
人工呼吸中*1
試験薬投与*2
1
0
5
10
15
20
25
投与開始後の時間(hr)
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群9.2 時間、対照群 8.1 時間)
*2: 試験薬の平均投与時間(プレセデックス群 15.0 時間、対照群 14.4 時間)
※試験薬投与中の Ramsay スコアの AUC(曲線下面積)を試験薬投与時間で除した値
3. モルヒネ投与量への影響(副次的作用)注)
試験薬投与中に必要となったモルヒネの追加投与量を検討したところ、日本人、欧米人の試験とも
対照群に比べてプレセデックス群で追加投与量が有意に減少しました(日本人のデータのみ図示)
。
試験薬投与中に必要となったモルヒネの投与量(日本人)
(mg/時)
p=0.001
平均値±S.E.
0.3
追 0.2
加
投
与
量 0.1
0.0
0.225
0.097
プレセデックス群
n=55
対照群
n=56
施設で調整したCochran-Mantel-Haenszel検定
17
注)使用上の注意2. 重要な基本的注意 - 抜粋 -
(2)本剤はα2 受容体刺激作用に基づく鎮痛作用を有するため、他の鎮痛剤と併用する際には鎮痛剤の過量投与に注意すること。
臨床成績に関する事項
◆ 呼吸機能、血圧、心拍数、心拍出量への影響
1. 呼吸機能への影響
● 呼吸数
呼吸数は 1 時点(日本人の試験の投与開始 9 時間後)を除いて、
日本人、欧米人ともプレセデッ
クス群、対照群間に有意差を認めず、離脱後に本剤を継続的に投与しても呼吸数への影響は
少ないと考えられました。また、離脱後は両群とも自発呼吸の回復に伴う呼吸数の上昇が認めら
れました(日本人のデータのみ図示)。
呼吸数の推移(日本人)
(breaths/min)
プレセデックス群
対照群 n=56
25
n=55
20
呼
吸
数
15
*
* p<0.05(対 対照群)
Wilcoxon 2標本検定
人工呼吸中*1
10
平均値±S.E.
試験薬投与*2
0
3
6
9
12
15
18
21
24
27
30
33
36
投与開始後の時間(hr)
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群 9.2 時間、対照群 8.1 時間)
*2: 試験薬の平均投与時間(プレセデックス群 15.0 時間、対照群 14.4 時間)
● 動脈血酸素飽和度(SpO2)
試験薬投与中の SpO2 は日本人、欧米人ともプレセデックス群、対照群に有意差を認めず、離脱
後に本剤を継続的に投与しても呼吸抑制による低酸素症を示唆するような SpO2 の低下を認めま
せんでした(日本人のデータのみ図示)。
SpO2 の推移(日本人)
(%)
プレセデックス群
対照群 n=56
100
*
99
SpO 2
n=55
98
97
* p<0.05
(対 対照群)
Wilcoxon 2標本検定
人工呼吸中*1
96
試験薬投与*2
95
0
3
6
9
平均値±S.E.
12
15
18
21
24
27
30
33
36
投与開始後の時間(hr)
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群 9.2 時間、対照群 8.1 時間)
*2: 試験薬の平均投与時間(プレセデックス群 15.0 時間、対照群 14.4 時間)
18
臨床成績に関する事項
2. 血圧、心拍数への影響 注)
● 収縮期血圧、拡張期血圧
日本人、
欧米人とも、
プレセデックス群では初期負荷投与開始 10 分以内に一過性の血圧上昇(収
縮期血圧約 8 ~ 10 mmHg、拡張期血圧約 6 ~ 8 mmHg)が認められ、その後、維持投与中
は投与開始前より低い値(収縮期血圧 約-10mmHg、拡張期血圧 約 -8mmHg)で推移し
ました。投与終了後は投与前値より血圧が上昇する傾向を認めました
(日本人のデータのみ図示)
。
血圧の推移(日本人)
(mmHg)
150
140
*
*
130
*
圧 100
*
*
n=55
*
*
**
120
血 110
プレセデックス群
対照群 n=56
収縮期血圧
*
拡張期血圧
70
60
50
人工呼吸中*1
40
*****
*
* p<0.05
(対 対照群)
Wilcoxon 2標本検定
平均値±S.E.
試験薬投与*2
0
3
6
9
12
15
18
21
投与開始後の時間
(hr)
24
27
30
33
36
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群9.2 時間、対照群 8.1 時間)
*2: 試験薬の平均投与時間(プレセデックス群 15.0 時間、対照群 14.4 時間)
● 心拍数
日本人、
欧米人とも、
試験薬投与期間の後半にプレセデックス群で心拍数が有意に低下しましたが、
投与終了後は投与前値まで上昇し、安定しました(日本人のデータのみ図示)。
心拍数の推移(日本人)
(bpm)
プレセデックス群
対照群 n=56
100
90
心
拍 80
数
70
n=55
***** *
*p<0.05(対 対照群)
Wilcoxon 2標本検定
平均値±S.E.
人工呼吸中*1
試験薬投与*2
60
0
3
6
9
12
15
18
21
24
投与開始後の時間(hr)
27
30
33
36
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群9.2 時間、対照群 8.1 時間)
*2: 試験薬の平均投与時間(プレセデックス群 15.0 時間、対照群 14.4 時間)
19
注)用法・用量に関連する使用上の注意 -抜粋-
(3)本剤の初期負荷投与中に一過性の血圧上昇があらわれた場合には、初期負荷投与速度の減速等を考慮すること。[本剤の末梢血
管収縮作用により一過性の血圧上昇があらわれることがある。]
使用上の注意2. 重要な基本的注意 - 抜粋-
(4)本剤の初期負荷投与中にあらわれる一過性の血圧上昇に対しては、投与速度の減速を考慮する必要があるが、重大な血圧上昇が
あらわれた場合には、さらに適切な処置を行うこと。
(5)本剤の投与により低血圧、徐脈等があらわれるおそれがある。特に迷走神経の緊張が亢進している患者であらわれやすい。患者
の観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
(6)本剤投与中はバイタルサインの変動に注意して循環器系に対する観察及び対応を怠らないこと。
臨床成績に関する事項
3. 心拍出量への影響
● 心拍出量
日本人、欧米人とも、心拍出量はプレセデックス群と対照群はほぼ同様の値で推移し、すべての
測定時で有意差は認めませんでした
(日本人のデータのみ図示)。
心拍出量の推移(日本人)
(L/min)
9
プレセデックス群
対照群 n=56
8
7
心
拍
出
量
n=55
6
5
4
3
2
人工呼吸中*1
1
0
試験薬投与*2
0
3
6
9
平均値±S.E.
12
15
18
21
投与開始後の時間 (hr)
24
27
30
33
36
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群 9.2 時間、対照群 8.1 時間)
*2: 試験薬の平均投与時間(プレセデックス群 15.0 時間、対照群 14.4 時間)
◆ 副作用
国内の第Ⅱ/Ⅲ相ブリッジング試験で、
プレセデックスの安全性評価対象 ※となった 86 例中 31 例
(36.0%)
に副作用が認められ、
主なものは高血圧 9 例(10.5%)
、
低血圧 11 例
(12.8%)
、
嘔気 4 例
(4.7%)
でした。
欧米の第Ⅲ相試験で、プレセデックスの安全性評価対象 ※となった 295 例中 153 例(51.9%)に副作
用が認められ、主なものは低血圧 79 例(26.8%)
、高血圧 31 例(10.5%)
、徐脈 25 例(8.5%)
、嘔気
21 例(7.1%)
、口内乾燥 15 例(5.1%)
でした。
※プラセボ対照二重盲検比較試験実施前に行った非盲検試験で本剤を投与した症例を含む
第Ⅱ相、第Ⅲ相試験の副作用の詳細は 31 ~ 32 ページをご参照ください。
20
臨床成績に関する事項
4 第Ⅳ相製造販売後臨床試験19)
(国内多施設共同プロポフォール対照比較試験)
試験方法の概略
手術
人工呼吸中
プレセデックス群
プレセデックス投与
4時間以上
プロポフォール群
プロポフォール投与
手術終了 割付け 投与開始
ICU入室 封筒開封
(投与群確認)
6時間以上
24時間以内
4時間以上
原則1時間以上
スクリー 手術
ニング 開始
観察期間
観察期間
48時間
プロポフォール 離脱 プレセデックス 投与開始
投与終了
投与終了 48時間後
<プレセデックスの投与法>
◦初期負荷投与:最高で 6 µg/kg/時を10分間の静脈内持続投与
(初期負荷投与の使用は任意とした)
◦維持投与:《初期負荷投与を行う場合》 0.4 µg/kg/時で維持投与を開始
《初期負荷投与を行わない場合》 0.7µg/kg/時で維持投与を開始
《維持投与開始後》臨床上の必要に応じ、0.2 ~ 0.7µg/kg/時の範囲で投与速度を調節
対 象:心臓血管外科術後、ICU に入室し、人工呼吸管理を少なくとも 4 時間必要とし、鎮静が必要と
なる患者 62 例
(国内 13 施設)
方 法:プレセデックスを基本として鎮静管理を行う群(プレセデックス群)とプロポフォールを基本として鎮
静管理を行う群(プロポフォール群)に割り付け、
プレセデックス群では、上記の方法を用い、最長
で 24 時間まで投与した。プロポフォール群では、
プロポフォールを添付文書の記載に従い投与し、
抜管前に投与を終了することとした。なお、鎮痛のためにフェンタニルを投与できることとした。
抜管前後及び抜管後のプレセデックス投与の有用性を検討した。なお、鎮静評価として、Richmond
を用いた。
Agitation-SedationScale:RASS(目標鎮静レベルRASS = 0、-1、-2)
21
臨床成績に関する事項
◆ 有効性
1. 鎮静作用
● 抜管前後に目標鎮静レベルを継続した症例の割合
抜管 1 時間前又はプロポフォール投与終了時のどちらか遅い時点から抜管 1 時間後までに目標鎮
静レベル(Richmond Agitation-Sedation Scale:RASS=0、-1、-2)を継続した症例の割合は、
プレセデックス群で 96.2%、プロポフォール群で 34.6%であり、群間に有意差を認めました
(p<0.001)
。
抜管前後に RASS=0, -1, -2 を継続した症例の割合
p<0.001
(%)
100
3.8%
80
65.4%
60
96.2%
40
20
0
RASS=0, −1, −2
を継続しなかった症例
34.6%
プレセデックス群
プロポフォール群
n=26
Richmond AgitationSedation Scale(RASS)
RASS=0, −1, −2
を継続した症例
スコア
+4
+3
+2
+1
0
-1
-2
-3
-4
-5
n=26
施設で調整したMantel-Haenszel検定
用 語
闘争的な状態
説 明
あからさまに闘争的又は暴力的、 医療スタッフに危険が差し迫る
チューブ又はカテーテルを引っ張る又は取り除く、又は医療スタッフ
高度興奮状態
に対して攻撃的な行動をする
興奮状態
頻繁に意味なく動く、又は人工呼吸器に同調しない
落ち着きがない状態 不安又は心配そうであるが、動きは攻撃的でない又は活発ではない
覚醒し静穏な状態
完全に覚醒していないが、声に反応し、視線を合わせて持続的に
眠くうとうとした状態
(10 秒以上)覚醒する
軽度鎮静状態
声に反応し、視線を合わせて一時的に
(10 秒以内)覚醒する
中等度鎮静状態 声に反応して動くが、視線を合わせない
深い鎮静状態
声に反応しないが、物理的刺激に反応し動く
覚醒不能状態
声又は物理的刺激に反応しない
Sessler CN, et al.: Am J Respir Crit Care Med 166: 1338-1344, 2002
22
臨床成績に関する事項
● 抜管後に鎮静薬の追加投与を必要としなかった症例の割合
抜管後に鎮静薬の追加投与を必要としなかった症例の割合は、プレセデックス群で 100.0%、プロ
ポフォール群で 73.1%であり、群間に有意差を認めました
(p=0.005)。
抜管後に鎮静薬の追加投与を必要としなかった症例の割合
p=0.005
(%)
100
26.9%
80
抜管後に鎮静薬が
必要とならなかった
症例
60
100.0%
40
抜管後に鎮静薬が
必要となった症例
73.1%
20
0
プレセデックス群
プロポフォール群
n=26
施設で調整したMantel-Haenszel検定
n=26
2. 疼痛に及ぼす影響(副次的作用)注)
● 抜管直前に疼痛が認められなかった症例の割合
抜管 10 分前、疼痛が認められなかった症例(Behavioral Pain Scale の総スコアが 3 )の割合は、
プレセデックス群で 96.2%、
プロポフォール群で 36.0%であり、群間に有意差を認めました
(p<0.001)
。
また、抜管 2 分前に Behavioral Pain Scale の総スコアが 3 であった症例の割合は、プレセデック
ス群で 96.2%、プロポフォール群で 32.0%であり、群間に有意差を認めました
(p<0.001)
。
BehavioralPainScale の総スコアが 3 であった症例の割合
抜管10分前
抜管 2 分前
p<0.001
(%)
100
3.8%
80
64.0%
40
n=26
プロポフォール群
0
n=25
<疼痛評価>
BehavioralPainScale(BPS)
3 項目のスコアを合計して BPSとする。
96.2%
20
36.0%
プレセデックス群
68.0%
60
96.2%
20
0
3.8%
80
60
40
p<0.001
(%)
100
BPS=3の症例
BPS>3の症例
32.0%
プレセデックス群
n=26
プロポフォール群
n=25
施設で調整した
Mantel-Haenszel検定
項 目
状 態
スコア
リラックスしている
1
部分的にひきつっている
(例:眉が不機嫌)
2
顔の表情
完全にひきつっている
(例:閉眼)
3
顔をゆがめている
4
動きなし
1
半屈曲位
2
上 肢
指を含め完全に屈曲
3
指を含め完全に屈曲した肢位が持続
4
人工換気に忍容している
1
人工呼吸器 咳をするが、ほとんどの時間は人工換気に忍容している
2
との
3
同調性 ファイティングしている
人工換気のコントロール不可能
4
RobieuxI,etal.:JPediatr118:971-973,1991
23
注)使用上の注意2. 重要な基本的注意 - 抜粋 -
(2)本剤はα2 受容体刺激作用に基づく鎮痛作用を有するため、他の鎮痛剤と併用する際には鎮痛剤の過量投与に注意すること。
臨床成績に関する事項
● 抜管後にフェンタニルの追加投与を必要としなかった症例の割合
抜管後にフェンタニルの追加投与を必要としなかった症例の割合は、プレセデックス群で 80.8%、
プロポフォール群で 50.0%であり、群間に有意差を認めました
(p=0.022)。
抜管後にフェンタニルの追加投与を必要としなかった症例の割合
p=0.022
(%)
100
19.2%
80
抜管後にフェンタニル
が必要とならなかった
症例
50.0%
60
抜管後にフェンタニル
が必要となった症例
80.8%
40
50.0%
20
0
プレセデックス群
プロポフォール群
n=26
n=26
施設で調整したMantel-Haenszel検定
● 抜管後に必要となったフェンタニルの投与量
抜管後に必要となったフェンタニルの追加投与量(µg/kg)は、プレセデックス群(0.733±0.394 µg/
kg)
、プロポフォール群(2.441±0.680 µg/kg)
であり、群間に有意差を認めました
(p=0.041)。
抜管後に必要となったフェンタニルの追加投与量
(µg/kg)
3.5
平均値±S.E.
p=0.041
フェンタニル追加投与量
3.0
2.5
2.0
1.5
2.441
1.0
0.5
0
0.733
プレセデックス群
n=26
プロポフォール群
n=26
施設で調整したCochran-Mantel-Haenszel検定
3. プレセデックス投与時の、プロポフォール又はフェンタニル追加投与
による相互作用の評価
プレセデックス投与時にプロポフォールを追加投与したとき、ならびに、プレセデックス投与時にフェ
ンタニルを追加投与したときのバイタルサイン及び鎮静深度を確認したところ、問題となる変化は
認められませんでした。
24
臨床成績に関する事項
◆ 呼吸機能、血圧、心拍数、心拍出量への影響
1. 呼吸機能への影響
● 呼吸数
プレセデックス群では離脱後も投与を継続し、プロポフォール群では抜管前に投与を中止しました
が、試験薬投与中から投与終了後にかけて、投与群間に有意差は認められませんでした。
呼吸数の推移
(breaths/min)
25
20
呼
吸
数
15
プレセデックス群
プロポフォール群
人工呼吸中*1
10
プレセデックス投与*2
プロポフォール投与*2
0
3
6
9
12
Wilcoxon 2標本検定 平均値±S.E.
15
18
21
24
投与開始後の時間(hr)
症例数 313130
プレセデックス群 31 29 30 30 30 29 29 28 28 28 28 17 6 28
28
28
27
プロポフォール群 28 27 27 27 27 27 26 25 24 23 22 17 3 20
20
19
19
27
11
11
30
6
4
33
5
3
36
4
4
27 27 27
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群 6.2 時間、プロポフォール群 7.7 時間)、
*2:試験薬の平均総投与時間(プレセデックス群 18.7 時間、
プロポフォール群 7.3 時間)
● 動脈血酸素飽和度(SpO2)
プレセデックス群では離脱後も投与を継続し、プロポフォール群では抜管前に投与を中止しました
が、両群ともに、試験薬投与中から投与終了後にかけて、すべて正常範囲内であり投与群間に
有意差は認められませんでした。
SpO2 の推移
(%)
100
99
SpO 2
98
97
プレセデックス群
プロポフォール群
人工呼吸中*1
96
95
プレセデックス投与*2
プロポフォール投与*2
0
3
6
9
12
Wilcoxon 2標本検定 平均値±S.E.
15
18
21
投与開始後の時間(hr)
症例数 313130
プレセデックス群 31 29 30 30 30 29 29 28 28 28 28 17 6 28
28
28
27
プロポフォール群 28 27 27 27 27 27 26 25 24 23 22 17 3 20
20
19
19
24
27
11
11
30
6
4
33
5
3
36
4
4
27 27 27
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群 6.2 時間、プロポフォール群 7.7 時間)、
*2:試験薬の平均総投与時間(プレセデックス群 18.7 時間、
プロポフォール群 7.3 時間)
25
臨床成績に関する事項
2. 血圧、心拍数への影響 注)
● 収縮期血圧、拡張期血圧
収縮期血圧では、プレセデックス群及びプロポフォール群ともに、投与期間中は投与前値を下回っ
た値で推移し、投与終了後以降は投与前値と同様の値まで上昇する傾向がみられました。投与
開始後 24~27 時間を除き、投与群間に有意差は認められませんでした。
拡張期血圧では、プレセデックス群及びプロポフォール群ともに、投与期間中から投与終了後にか
けて投与前値と同様の値で推移しました。そして、投与群間に有意差は認められませんでした。
また、本試験では、プレセデックス群で初期負荷投与が行われた症例がほとんどなかったため、初
期負荷投与時に認められる一過性の血圧上昇はみられませんでした。
血圧の推移
(mmHg)
140
プレセデックス群
プロポフォール群
収縮期血圧
130
120
110
血
80
圧
70
*
拡張期血圧
60
50
人工呼吸中*1
40
プレセデックス投与*2
プロポフォール投与*2
30
*p<0.05
(対プロポフォール群)
Wilcoxon 2標本検定
30
0
3
6
9
12
15
18
21
24
27
症例数 313130
投与開始後の時間
間
(hr)
プレセデックス群 31 29 30 30 30 29 29 28 28 28 28 17 6 28
28
28
27
11
6
プロポフォール群 28 27 27 27 27 27 26 25 24 23 22 17 3 20
20
19
19
11
4
平均値±S.E.
33
5
3
36
4
4
27 27 27
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群 6.2 時間、プロポフォール群 7.7 時間)、
*2:試験薬の平均総投与時間(プレセデックス群 18.7 時間、
プロポフォール群 7.3 時間)
● 心拍数
プレセデックス群では投与期間中、投与前値よりやや低めの値で推移しましたが、投与群間に有
意差は認められませんでした。
心拍数の推移
(bpm)
100
90
心
拍 80
数
70
人工呼吸中*1
プレセデックス投与*2
プロポフォール投与*2
60
0
3
6
9
プレセデックス群
プロポフォール群
Wilcoxon 2標本検定 平均値±S.E.
12
15
18
21
24
27
30
33
36
投与開始後の時間(hr)
症例数 313130
プレセデックス群 31 29 30 30 30 29 29 28 28 28 28 17 6 28
28
28
27
11
6
5
4
プロポフォール群 28 27 27 27 27 27 26 25 24 23 22 17 3 20
20
19
19
11
4
3
4
27 27 27
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群 6.2 時間、プロポフォール群 7.7 時間)、
*2:試験薬の平均総投与時間(プレセデックス群 18.7 時間、
プロポフォール群 7.3 時間)
注)用法・用量に関連する使用上の注意 -抜粋-
(3)本剤の初期負荷投与中に一過性の血圧上昇があらわれた場合には、初期負荷投与速度の減速等を考慮すること。[本剤の末梢血
管収縮作用により一過性の血圧上昇があらわれることがある。]
使用上の注意 2. 重要な基本的注意 - 抜粋-
(4)本剤の初期負荷投与中にあらわれる一過性の血圧上昇に対しては、投与速度の減速を考慮する必要があるが、重大な血圧上昇が
あらわれた場合には、さらに適切な処置を行うこと。
(5)本剤の投与により低血圧、徐脈等があらわれるおそれがある。特に迷走神経の緊張が亢進している患者であらわれやすい。患者
の観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
(6)本剤投与中はバイタルサインの変動に注意して循環器系に対する観察及び対応を怠らないこと。
26
臨床成績に関する事項
3. 心拍出量への影響
● 心拍出量
心拍出量はプレセデックス群及びプロポフォール群ともに、臨床上問題となる影響は認められませ
んでした。
心拍出量の推移
プレセデックス群
プロポフォール群
8
(L/min)
7
6
心
拍
出
量
5
*
*
4
*
* *
* *
* * *
人工呼吸中*1
3
*
*p<0.05
(対プロポフォール群)
Wilcoxon 2標本検定
平均値±S.E.
プレセデックス投与*2
プロポフォール投与*2
2
1
0
3
6
9
12
15
18
症例数 131314
投与開始後の時間 (hr)
プレセデックス群 10 14 15 14 15 13 14 13 13 13 12 11 4 12
12
11
プロポフォール群 10 13 14 14 15 15 14 14 14 14 13 11 2 12
12
10
21
24
9
10
27
3
5
30
2
3
33
2
1
36
1
2
10 11 12
*1:人工呼吸中の平均投与時間(プレセデックス群 6.2 時間、プロポフォール群 7.7 時間)、
*2:試験薬の平均総投与時間(プレセデックス群 18.7 時間、
プロポフォール群 7.3 時間)
◆ 副作用
第Ⅳ相製造販売後臨床試験において、プレセデックスの安全性評価対象となった 42 例中 6 例
、悪心 2 例(4.8%)
でした。
(14.3%)
に副作用が認められ、その主なものは血圧低下 ※2 例(4.8%)
※添付文書では、
「低血圧」
として記載されています。
第Ⅳ相製造販売後臨床試験の副作用の詳細は 33 ページをご参照ください。
27
臨床成績に関する事項
5 第Ⅲ相試験 20)(国内長期投与臨床試験)
試験方法の概略
予定手術症例
手術
人工呼吸中
プレセデックス投与
観察期間
24時間超 28日間以下
投与前 手術
検査 開始
手術終了
ICU入室
内科ICU症例
投与開始
離脱
24時間
投与終了
投与終了
24時間後
人工呼吸中
プレセデックス投与
ICU入室
投与前
検査
観察期間
24時間超 28日間以下
投与開始
離脱
24時間
投与終了
投与終了
24時間後
<プレセデックスの投与法>
◦初期負荷投与:最高で6 µg/kg/時を10 分間の静脈内持続投与
(初期負荷投与の使用は任意とした)
◦維持投与:目標とする鎮静深度に応じて、0.2 ~ 0.7 µg/kg/時の範囲で投与速度を調節
対 象: ICU にて 24 時間を超える長期間の鎮静を要する患者 75 例
(実施施設数 10 施設)
方 法:プレセデックスの投与は、上記の方法を用い、維持投与は目標鎮静レベル
(Richmond AgitationSedation Scale ≦ 0)を維持するように調節投与することとし、人工呼吸中から離脱後にか
けて最長 28 日間まで投与できることとした。
◦患者 75 例に対するプレセデックス投与時間の平均は下表の通りでした。
プレセデックス投与時間
予定手術症例
内科 ICU 症例
全 体
n = 52(69.3%) n = 23(30.7%) n = 75(100%)
投与時間(日)
2.1 ± 1.2
7.4 ± 5.7
3.7 ± 4.1
平均値 ± S.D.
28
◆ 有効性
1. 鎮静作用-目標鎮静レベル(RASS ≦ 0)を継続した時間の割合
プレセデックス投与中に目標鎮静レベル(RASS ≦ 0)を継続した時間の割合は、投与開始後 24
時間までは 95.5%と高く、 投与 9 日目から 10 日目において約 70 ~ 75%を示したことを除いて、
投与開始後 24 時間以降も20 日目まで 85%以上で安定して推移しました。
RASS≦0を継続した時間の割合
目標鎮静レベル
(RASS ≦ 0)
を継続した時間の割合
(%)
100
平均値±S.E.
80
60
40
20
0
症例数
75 73 37 26 18 13 11
1
2
3
4
5
6
7
9
8
8
8
8
5
4
4
2
2
2
1
1
8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
投与開始後の時間
(日)
◆ 安全性
1. 投与開始後 24 時間までと 24 時間以降の主な副作用発現率
以下の基準に該当する低血圧、
高血圧、
徐脈の 1 症例当たり1 日当たりの主な副作用発現率*を、
プレセデックス投与開始後 24 時間までと24 時間以降を比較したところ、低血圧、高血圧、徐脈
及び 3 事象の合計のいずれも投与開始後 24 時間以降で発現率は低下し、24 時間を超えて投
与しても副作用の増加は認められませんでした。
投与開始後 24 時間までと 24 時間以降の主な副作用発現率
副作用
低血圧
高血圧
徐 脈
合 計
24 時間までに発現
発現件数 発現例数 発現率*
3
3
0.0400
3
3
0.0400
1
1
0.0133
7
7
0.0933
24 時間以降に発現
発現件数 発現例数
発現率*
6
6
0.0217
6
5
0.0217
0
0
0
12
10
0.0435
スコア検定
Z値
p値
− 0.603
0.546
− 0.654
0.513
− 0.696
0.486
- 1.039
0.299
*発現件数をのべ投与日数(各症例の投与日数の合計値:24 時間まで75.00、24 時間以降276.08)で除
した値(単位:件 / 人日)
(n=75)
低血圧:収縮期血圧<60mmHg 又は拡張期血圧<40mmHg、 又は収縮期血圧が投与前値より≧50%低下し、これに
より発現 1 時間以内に血管収縮薬投与を開始 又は増量、 又は輸液≧ 500mL を使用
高血圧:収縮期血圧>180mmHg 又は拡張期血圧>100mmHg、 又は収縮期血圧が投与前値より≧50%上昇し、これ
により降圧薬静脈内投与を開始又は増量
徐 脈:心拍数<40bpm 又は投与前値より≧50%低下し、これにより陽性変時作用薬投与を開始 又は増量、 又はペー
スメーカーを使用
29
臨床成績に関する事項
2. 耐薬性、退薬症候・リバウンド現象
プレセデックスを投与した人工呼吸中及び離脱後にかけて、概ね安定した鎮静深度が認められ、
臨床上問題となる耐性は認められませんでした。
プレセデックス投与開始後 24 時間までと24 時間以降で、
24 時間毎の追加鎮静薬・鎮痛薬を必
要とした症例について、投与頻度と投与量を解析したところ、投与期間の増加とともに投与頻度と
投与量が増加する傾向は認められませんでした。
プレセデックスに特徴的に認められる心血管系の副作用(低血圧、高血圧、徐脈)の発現頻度を
投与開始後 24 時間までと24 時間以降で比較したところ、低血圧、高血圧、徐脈及び 3 事象の
合計のいずれも24 時間以降で発現率は低下し、
24 時間を超えて投与しても副作用の増加は認
められませんでした。
また、長期投与終了後の退薬症候・リバウンド現象に関連する副作用は 2 例に 2 件(高血圧、頭
痛各 1 例 1 件)認められましたが、
いずれも軽度でした。その他、収縮期血圧、拡張期血圧、心
拍数の推移をみたところ、投与終了時の値に比べて有意に上昇が認められましたが、覚醒・回
復に伴う生理的な上昇の範囲内と考えられました。
3. 副作用
国内の第Ⅲ相長期投与臨床試験で、プレセデックスの安全性評価対象となった 75 例中 30 例
(40.0%)に副作用が認められ、
その主なものは血圧上昇 ※12 例(16.0%)
、血圧低下 ※ 又は低血圧
15 例
(20.0%)
、徐脈 3 例(4.0%)
でした。
※添付文書では、それぞれ「高血圧」、「低血圧」
として記載されています。
第Ⅲ相試験(国内長期投与臨床試験)の副作用の詳細は 33 ページをご参照ください。
30
臨床成績に関する事項 / 副作用
臨床成績に関する事項 / 副作用
■ 副作用集計(初回承認時)
国内におけるブリッジング試験において安全性が評価された 86 例中 31 例(36.0%)に副作用が認められ、
その主なものは高血圧 9 例(10.5%)
、低血圧 11 例(12.8%)
、嘔気 4 例(4.7%)でした。集中治療室収
容患者を対象とした海外臨床試験における本剤の安全性評価症例数と合算して検討したところ、1,022 例
中 464 例(45.4%)に副作用が認められ、その主なものは低血圧 210 例(20.5%)
、高血圧 94 例(9.2%)
、
嘔気 61 例(6.0%)
、徐脈 60 例(5.9%)
、口内乾燥 33 例(3.2%)でした。また、臨床検査値の変動は、い
ずれも術後一般的に認められる範囲内でした。
国内ブリッジング試験
(第Ⅱ/Ⅲ相)
における副作用
副作用
副作用発現例数
副作用発現率(%)
全身障害
発熱
心 ・ 血管障害(一般)
高血圧
低血圧
中枢 ・ 末梢神経系障害
痙攣
意識低下
消化管障害
嘔気
嘔吐
プレセデックス投与例
プレセデックス投与例
副作用
(n=86)
(n=86)
31
心拍数 ・ 心リズム障害
4(4.7)
36.0
不整脈
1(1.2)
4(4.7)
徐脈
1(1.2)
4(4.7)
心室細動
1(1.2)
20(23.3)
頻脈
1(1.2)
9(10.5)
上室性不整脈
1(1.2)
11(12.8)
血小板・出血凝血障害
1(1.2)
2(2.3)
血小板減少症
1(1.2)
1(1.2)
呼吸器系障害
2(2.3)
1(1.2)
無気肺
1(1.2)
4(4.7)
気胸
1(1.2)
4(4.7)
2(2.3)
( )内:発現率% (社内集計)
海外臨床試験と国内ブリッジング試験を合わせた副作用
副作用
副作用発現例数
副作用発現率(%)
全身障害
背部痛
胸痛
発熱
超高熱
血液量減少
浮腫
その他
疼痛
悪寒
失神
意識低下
心 ・ 血管障害(一般)
血圧変動
心不全
循環不全
チアノーゼ
心電図異常
特異的心電図異常
心疾患
プレセデックス投与例
副作用
(n=1,022)
464
高血圧
45.4
高血圧悪化
56(5.5)
低血圧
2(0.2)
中枢 ・ 末梢神経系障害
1(0.1)
めまい
14(1.4)
頭痛
4(0.4)
神経痛
14(1.4)
神経炎
3(0.3)
ニューロパシー
2(0.2)
知覚脱失
14(1.4)
不全麻痺
8(0.8)
ジストニア
7(0.7)
言語障害
1(0.1)
昏迷
306(29.9)
痙攣
3(0.3)
消化管障害
7(0.7)
腹痛
1(0.1)
下痢
1(0.1)
おくび
2(0.2)
口内乾燥
2(0.2)
嘔気
1(0.1)
嘔吐
プレセデックス投与例
(n=1,022)
94(9.2)
2(0.2)
210(20.5)
17(1.7)
2(0.2)
6(0.6)
1(0.1)
1(0.1)
1(0.1)
1(0.1)
2(0.2)
1(0.1)
1(0.1)
1(0.1)
1(0.1)
98(9.6)
2(0.2)
1(0.1)
1(0.1)
33(3.2)
61(6.0)
19(1.9)
次ページに続く
31
臨床成績に関する事項 / 副作用
副作用
心拍数・心リズム障害
不整脈
心房性不整脈
心室性不整脈
AV ブロック
徐脈
脚ブロック
心停止
期外収縮
心房細動
心室細動
心ブロック
T波逆転
頻脈
上室性頻脈
上室性不整脈
心室性頻脈
肝臓 ・ 胆管系障害
AG 比異常
γ-GTP 上昇
黄疸
血清 AST(GOT)上昇
血清 ALT(GPT)上昇
代謝 ・ 栄養障害
アシドーシス
呼吸性アシドーシス
高血糖
高カリウム血症
血液量過多
低蛋白血症
NPN 上昇
アルカリフォスファターゼ上昇
輸液過多
低カリウム血症
口渇
筋 ・ 骨格系障害
筋肉痛
心筋 ・ 心内膜 ・ 心膜・弁膜障害
狭心症
心筋梗塞
心筋虚血
血小板・出血凝血障害
凝固障害
播種性血管内凝固症候群
出血 NOS
血小板減少症
精神障害
激越
不安
錯乱
せん妄
プレセデックス投与例
(n=1,022)
115(11.3)
8(0.8)
1(0.1)
6(0.6)
1(0.1)
60(5.9)
1(0.1)
5(0.5)
8(0.8)
20(2.0)
2(0.2)
1(0.1)
1(0.1)
16(1.6)
4(0.4)
1(0.1)
2(0.2)
7(0.7)
3(0.3)
1(0.1)
1(0.1)
3(0.3)
2(0.2)
31(3.0)
7(0.7)
2(0.2)
4(0.4)
3(0.3)
3(0.3)
3(0.3)
2(0.2)
1(0.1)
1(0.1)
1(0.1)
13(1.3)
1(0.1)
1(0.1)
8(0.8)
1(0.1)
7(0.7)
1(0.1)
7(0.7)
1(0.1)
1(0.1)
4(0.4)
2(0.2)
36(3.5)
17(1.7)
2(0.2)
10(1.0)
1(0.1)
プレセデックス投与例
(n=1,022)
うつ病
1(0.1)
幻覚
3(0.3)
錯覚
1(0.1)
神経過敏
1(0.1)
傾眠
11(1.1)
赤血球障害
6(0.6)
貧血
6(0.6)
抵抗機構障害
2(0.2)
感染
1(0.1)
敗血症
1(0.1)
呼吸器系障害
47(4.6)
無呼吸
5(0.5)
無気肺
3(0.3)
徐呼吸
1(0.1)
気管支痙攣
7(0.7)
咳
1(0.1)
呼吸困難
3(0.3)
喀血
1(0.1)
高炭酸ガス血症
2(0.2)
低換気症
2(0.2)
低酸素症
12(1.2)
胸水
3(0.3)
肺炎
1(0.1)
気胸
2(0.2)
肺うっ血
1(0.1)
肺水腫
4(0.4)
呼吸抑制
1(0.1)
呼吸障害
1(0.1)
呼吸不全
2(0.2)
投薬過誤
2(0.2)
皮膚・皮膚付属器障害
6(0.6)
紅斑性発疹
1(0.1)
多汗
5(0.5)
泌尿器系障害
9(0.9)
乏尿
8(0.8)
腎機能異常
1(0.1)
尿閉
1(0.1)
血管
(心臓外)
障害
8(0.8)
脳出血
1(0.1)
末梢性虚血
2(0.2)
血管障害
3(0.3)
血管拡張
1(0.1)
脳血管障害
1(0.1)
血管痙攣
1(0.1)
視覚障害
6(0.6)
複視
1(0.1)
光視症
1(0.1)
視覚異常
4(0.4)
白血球・網内系障害
2(0.2)
白血球増多症
2(0.2)
( )内:発現率% (社内集計)
副作用
32
臨床成績に関する事項 / 副作用
■ 副作用集計(製造販売後臨床試験、長期投与臨床試験)
第Ⅳ相製造販売後臨床試験において、プレセデックスの安全性評価対象となった 42 例中 6 例(14.3%)に
、悪心 2 例(4.8%)
でした。
副作用が認められ、その主なものは血圧低下※ 2 例(4.8%)
国内の第Ⅲ相長期投与臨床試験において、プレセデックスの安全性評価対象となった 75 例中 30 例
(40.0%)に副作用が認められ、その主なものは血圧上昇 ※12 例(16.0%)
、血圧低下 ※ 又は低血圧 15 例
(20.0%)
、徐脈 3 例(4.0%)
でした。
第Ⅳ相製造販売後臨床試験における副作用
副作用
副作用発現例数
副作用発現率(%)
神経系障害
頭痛
心臓障害
徐脈
心室性頻脈
プレセデックス投与例
副作用
(n=42)
6
胃腸障害
14.3
悪心
嘔吐
1(2.4)
肝胆道系障害
高ビリルビン血症
1(2.4)
臨床検査
1(2.4)
血圧低下※
プレセデックス投与例
(n=42)
2(4.8)
1(2.4)
1(2.4)
2(4.8)
( )内:発現率% (社内集計)
第Ⅲ相長期投与臨床試験における副作用
副作用
副作用発現件数
副作用発現例数
副作用発現率(%)
血液及びリンパ系障害
好酸球増加症
精神障害
せん妄
神経系障害
頭痛
心臓障害
徐脈
プレセデックス投与例
副作用
(n=75)
45
血管障害
30
低血圧
40.0
肝胆道系障害
肝機能異常
1(1.3)
臨床検査
血圧低下※
1(1.3)
血圧上昇※
血小板数減少
1(1.3)
3(4.0)
プレセデックス投与例
(n=75)
1(1.3)
1(1.3)
14(18.7)
12(16.0)
1(1.3)
( )内:発現率% (社内集計)
※添付文書では、それぞれ「低血圧」、「高血圧」
として記載されています。
33
薬物動態
薬物動態
1 血漿中濃度
15)
◆ 持続注入時の血漿中濃度の推移(第Ⅰ相試験;健康成人)
ハワイ在住の日本人・健康成人男女に、目標血漿中濃度が 0.3、0.6、1.25ng/mL になるように本剤
を 24 時間持続注入(初期負荷量として 3.0 ~ 6.0 µg/kg/時で 10 ~ 35 分間投与後、維持量として
注)
した場合の血漿中濃度及び薬物動態学的パラメータは以下の通りで
0.168 ~ 0.7 µg/kg/時を投与)
した。本剤は投与終了後、約 2 ~ 3 時間の半減期で血漿中より消失しました。
24 時間持続静脈内注入時の血漿中濃度
薬物動態学的パラメータ
(ng/mL)
血漿中プレセデックス濃度
10
n
Cmax
(ng/mL)
AUC ∞
(ng・hr/mL)
(hr)
T1/2
1.25ng/mL 群
6
2.57±0.66
40.88±10.68
2.91±0.46
0.6ng/mL 群
6
1.93±1.01
17.41±2.44
2.12±0.60
0.3ng/mL 群
6
0.92±0.33
7.96±1.14
2.10±0.41
§
平均値±S.D. §:調和平均
1
0.1
1.25ng/mL群(n=6)
0.6ng/mL群(n=6)
0.3ng/mL群(n=6)
0.01
プレセデックス投与
0
12
24
投与後の時間(hr)
36
48
投与方法は 13 ページに記載
◆ 特殊集団における血漿中濃度(参考:海外データ)
1. 高齢者 21)
欧米人・健康被験者を対象に、本剤 0.6 µg/kg を 10 分間で単回静脈内投与注)した場合の血漿
中濃度の推移を年齢別に検討したところ、65 歳を上回る高齢者群の血漿中濃度推移は、18~40
歳、41~65 歳の非高齢者群とほぼ同様であり、薬物動態パラメータに年齢による影響は認められ
ませんでした。
◆高齢者:慎重投与
高齢者では生理機能の低下により、鎮静作用の増強や副作用があらわれやすくなるおそれがある。投与速度の
減速を考慮し、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与すること。
注)承認用法・用量
通常、成人には、デクスメデトミジンを 6 µg/kg/時の投与速度で 10 分間静脈内へ持続注入し(初期負荷投与)、続いて患者の状態
(維持投与)。
に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として 0.2 ~ 0.7 µg/kg/時の範囲で持続注入する
また、維持投与から開始することもできる。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速すること。
34
薬物動態
2.肝機能障害患者 22)
本剤は主に肝代謝を受けるため、肝機能障害患者では排泄の遅延、体内残留等を招くことが予
想されます。欧米人の健康被験者 18 例及び軽度、
中等度、
重度の肝機能障害患者(各 6~7 例)
に本剤 0.6 µg/kg を 10 分間で単回静脈内投与注)した場合の血漿中濃度は下図の通りで、消
失半減期は健康被験者の 2.45 時間に対して、軽度、中等度、重度の肝機能障害患者ではそれ
ぞれ 3.87 時間、5.39 時間、7.45 時間となり、肝障害の重症度に相関して有意に延長しました。
健康人と肝機能障害患者における単回静脈内投与時の血漿中濃度
(ng/mL)
血漿中プレセデックス濃度
健康被験者
肝機能
障害
患者
軽 度
n
18
6
平均値±S.D.
0.1
0.01
対 象
健康被験者(n=18)
軽度肝機能障害患者(n=6)
中等度肝機能障害患者(n=7)
重度肝機能障害患者(n=6)
1
0
4
8
投与量
Cmax(ng/mL)
(µg/kg)
0.6
0.6
12
16
投与後の時間(hr)
t1/2(hr)
0.901 ± 0.487 2.45 ± 0.47
20
Tmax(min)
a,b,c
a,b,c
0.930 ± 0.319 3.87 ± 1.70
24
CL(L/hr)
Vss(L)
a
a
a
a
a
a
11.7 ± 3.1 41.9 ± 12.7 119.6 ± 41.1
10.3 ± 5.1 31.0 ± 11.4 102.0 ± 17.5
a,b,c
10.9 ± 2.3 27.0 ± 12.8 103.4 ± 35.3
a,b,c
10.3 ± 0.8
中等度
7
0.6
0.877 ± 0.498 5.39 ± 2.19
重 度
6
0.6
0.760 ± 0.244 7.45 ± 1.44
22.4 ± 2.4
a
a
209.2 ± 40.0
平均値± S.D. 分散分析 CL:消失速度に基づく全身クリアランス Vss:定常状態の(見かけの)分布容積
a:p < 0.05肝機能障害患者の重症度の違いにより統計学的有意差あり(軽度vs中等度vs重度肝機能障害患者)
b:p < 0.05健康被験者と肝機能障害患者の間で統計学的有意差あり(全健康被験者vs全肝機能障害患者)
c:p < 0.05健康被験者と肝機能障害患者の間で統計学的有意差あり(各重症度の肝機能障害患者vs対応する健康被験者)
肝機能障害の重症度:Child-Pugh 分類による〔Pugh,RN,etal.:BrJSurg60:646-649,1973〕
◆肝機能障害患者:慎重投与
肝機能障害の程度が重度になるにしたがって本剤の消失が遅延し、鎮静作用の増強や副作用があらわれやすく
なるおそれがあるので、投与速度の減速を考慮し、特に重度の肝機能障害患者に対しては、患者の全身状態を
慎重に観察しながら投与速度を調節すること。
3.腎機能障害患者 23)
欧米人の健康被験者(クレアチニンクリアランス;CLcr > 80 mL/分)6 例と重度腎機能障害患者
(CLcr < 30mL/分)6 例に本剤 0.6 µg/kg を 10 分間で単回静脈内投与注)した際の薬物動
態(Cmax、Tmax、AUC、t1/2、CL、Vss)を検討した結果では、両者に顕著な差は認められませ
んでした。しかし、本剤の代謝物は主に尿中排泄されることから、腎機能障害患者への長時間
投与により代謝物が蓄積される可能性があります。
対 象
n
健康被験者
6
重度腎機能
障害患者
6
投与量
Cmax(ng/mL)
(µg/kg)
0.6
0.6
0.960 ± 0.432
0.833 ± 0.258
t1/2(hr)
Tmax(min)
CL(L/hr)
Vss(L)
41.2 ± 6.2
117.1 ± 26.9
2.28 ± 0.39
§
11.7 ± 4.1
2.05 ± 0.30
§
12.0 ± 4.0
50.0 ± 18.8 127.2 ± 44.9
平均値± S.D. §:調和平均 CL:消失速度に基づく全身クリアランス Vss:定常状態の(見かけの)分布容積
◆腎機能障害患者:慎重投与
鎮静作用の増強や副作用があらわれやすくなるおそれがあるので、投与速度の減速を考慮し、患者の全身状態
を観察しながら慎重に投与すること。
35
注)承認用法・用量
通常、成人には、デクスメデトミジンを 6 µg/kg/時の投与速度で 10 分間静脈内へ持続注入し(初期負荷投与)、続いて患者の状態に
(維持投与)。
合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として 0.2 ~ 0.7 µg/kg/時の範囲で持続注入する
また、維持投与から開始することもできる。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速すること。
薬物動態
2 分 布
24)
◆ 血液-脳関門通過性(ラット)
ラットに[3H]デクスメデトミジン塩酸塩を静脈内投与し脳への移行性を検討したところ、脳内放射能
濃度は速やかに上昇し、15 分後に最高値に達しました。このときの脳内放射能濃度は血漿中放射
能濃度の 6 倍以上であり、その後、速やかに減少しました。
ラットに単回投与したときの脳内への移行性
(ng Eq/g )
30
方法:雄雌SD系ラットに
[3H]
デクスメデトミジン塩酸塩20μg/kg を
単回静脈内投与
平均値±S.D.
25
20
放
射
能 15
濃
度
10
脳内濃度(n=4)
血漿中濃度(n=4)
5
0
0
2
4
6
8
10
12
24
投与後の時間(hr)
24)
◆ 組織移行性(ラット)
ラットを用いた全身組織への分布試験で、
[3H]デクスメデトミジン塩酸塩の静脈内投与後、全身に
放射能分布を認め、特に肝臓、副腎、肺、腎臓、小腸、大腸、胃、膵臓に高濃度に分布しました。
放射能はほとんどの臓器で速やかに低下しましたが、副腎からの消失は緩徐でした。また、Long
Evans 系有色ラットの眼球における分布試験より、本剤はメラニンと結合する可能性が示唆されました。
25)
◆ 胎盤への移行性、乳汁中への移行性(ラット)
本剤を妊娠ラットに単回皮下投与した試験で、
胎盤を通過し、
胎児に移行することが認められています。
また、授乳中のラットに単回皮下投与した試験で、乳汁への移行性が認められています。
◆妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)
妊産婦に対する安全性は確立されていない。本剤投与による有益性が危険性を上回ると判断した場合を除
き、本剤投与は避けることが望ましい。
[動物試験(ラット)において、生存胎児数の減少、胎盤移行性、子宮
血流量低下によると考えられる胎児体重の低下及び骨化遅延が認められている。]
(2)
ヒト乳汁への本剤の移行は不明である。
授乳婦への投与は避けること。
投与した場合は授乳を避けさせること。
[動物試験(ラット)
において、乳汁移行性が認められている。]
◆ 血漿蛋白結合率
26)
ヒト血漿における蛋白結合率は 94%以上で、主な結合蛋白は血清アルブミンでした。本剤の蛋白結
性差はなく、
他剤の存在下でも一定でした。また、
合性は 0.85 ~ 85 ng/mL の濃度範囲で一定であり、
肝機能障害例では蛋白結合率の低下を認めました。
36
薬物動態
3 代謝及び排泄
27)
◆ 代謝(参考:海外データ:健康成人)
本剤は肝で広範な代謝を受けます。ヒトにおける主要代謝物は 2 種の N-グルクロン酸抱合体であり、
デクスメデトミジン塩酸塩 2.0µg/kg を単回静脈内投与注)した試験で、
欧米人・健康成人男子に
[3H]
血漿中放射能の約 41%を占めました。その他の代謝産物には N-メチル O-グルクロン酸抱合体、
7 位のブリッジメチル水酸化体があり、それぞれ血漿放射能の 20.6%、10.5%を占めていました。
なお、主要代謝物である 2 種の N-グルクロン酸抱合体はラット(in vivo )において本剤の作用用量
の 100 倍を投与しても中枢性α2 受容体刺激作用を示さず、他に活性代謝物は見出されていません。
◆ 代謝に関与する酵素
28)
本剤の酸化に関与する主な CYP450 分子種は CYP2A6と推定されましたが、CYP2E1、CYP2D6、
CYP3A4、CYP2C9 等の他の CYP アイソザイムも本剤の代謝に関与する可能性が示唆されました。
29)
◆ 排泄(参考:海外データ:健康成人)
本剤はヒトでは主に尿中に排泄されます。上記の欧米人・健康成人男子に単回静脈内投与した試験
では、投与開始 24 時間後までに投与放射能の約 85%が尿中に排泄され、72 時間後までに 93.8%
が尿中に、2.2%が糞中に排泄されました。尿中に未変化体は検出されませんでした。
ヒトにおける主な代謝、排泄経路
Glucuronide
抱合化
H3 C H
CH3
N
CH3
N
H3C H
CH3
N
CH3
CH3
HN
デクスメデトミジン
(未変化体)
肝で代謝
N
H3C H
抱合化
Glucuronide
CH3
N
H3C H
N
N-メチル化
水酸化、抱合化
H 3C
N グルクロン酸抱合体
(M I)
N グルクロン酸抱合体
(M II)
CH3
O
N
Glucuronide
N メチル O グルクロン酸抱合体
(M X)
HOH2C H
水酸化
N
CH3
CH3
HN
主に尿中から排泄
37
ブリッジメチル水酸化体
(M XII)
∼24時間 約85%
∼72時間 93.8%
注)承認用法・用量
通常、成人には、デクスメデトミジンを 6 µg/kg/時の投与速度で 10 分間静脈内へ持続注入し(初期負荷投与)、続いて患者の状態に
(維持投与)。
合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として 0.2 ~ 0.7 µg/kg/時の範囲で持続注入する
また、維持投与から開始することもできる。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速すること。
非臨床試験に関する事項
非臨床試験に関する事項
1 薬効薬理
◆ 作用機序
プレセデックスは、
集中治療における鎮静剤として承認された初めての中枢性α2 受容体作動薬です。
に
本剤はα2 受容体への選択性が高く、脳橋の背外側部にある青斑内の青斑核(Locus Ceruleus)
存在する中枢性α2A 受容体を介して鎮静作用を発現します。
プレセデックス(デクスメデトミジン)の
鎮静作用のメカニズム
α2 受容体は末梢のみならず、中
枢神経系のシナプス前、シナプス
後に広く分布し、睡眠・覚醒、循環、
ホルモン分泌、種々のストレス応
答、痛覚などの多様な生理機能の
調節に関わっています。
このうち青斑核に高密度に存在す
るノルアドレナリンニューロンの
α2A 受容体は、睡眠・覚醒の機能
調節に大きく関与していることが
明らかにされています。
大脳
α2A受容体
脳橋
小脳
シナプス小胞
負の
フィードバック
(NA放出抑制)
α2A受容体
ノルアドレナリン
(NA)
β受容体
α1受容体
プレセデックス
α2A受容体
青斑核ノルアドレナリンニューロン
( LCニューロン)
延髄
青斑核 第4脳室
◦通常、青斑核ノルアドレナリンニューロン
(LC ニューロン)は大脳皮質などの上
位中枢の興奮・覚醒レベルを上げる方向
に機能していますが、α2A 受容体が賦活
化されると、負のフィードバック機構によ
り神経末端からのノルアドレナリンの遊
離が抑制され、また LC ニューロンの活
動が抑制されて、
鎮静状態が発現します。
◦プレセデックスは、この青斑核のα2A 受
容体を刺激することにより、鎮静作用を
もたらします。
38
非臨床試験に関する事項
参考:α2 受容体を介したプレセデックスの生体への影響
鎮静作用
α2A
α2A
心臓
心拍数低下
青斑核
❷
延髄
脊髄
α2B
血管収縮
❸
血圧低下
α2A
❷
α2A
❶ 痛みの抑制
脊髄
❶ 痛みの抑制:脊髄に分布するα2A 受容体を刺激して痛みの伝達を抑制する 注)
❷ 血圧・心拍数低下:孤束核等に分布する中枢性 α2A 受容体を刺激して交感神経系の
反応を抑制する 注)
❸ 末梢血管収縮:末梢血管に存在するα2B 受容体を刺激することにより血管を収縮させ
る
(投与開始直後にみられる一過性の反応)注)
中枢性α2 受容体作動薬であるプレセデックスは、鎮静作用のほかに、生体に上記のような
影響を与え、ストレスや侵害刺激による交感神経系の亢進(血圧や心拍数の上昇)を緩和す
ることが認められています
(イヌ、術後患者 30,31))。
39
注)用法・用量に関連する使用上の注意 -抜粋-
(3)本剤の初期負荷投与中に一過性の血圧上昇があらわれた場合には、初期負荷投与速度の減速等を考慮すること。
[本剤の末梢血
管収縮作用により一過性の血圧上昇があらわれることがある。]
使用上の注意2. 重要な基本的注意 - 抜粋-
(2)本剤はα2 受容体刺激作用に基づく鎮痛作用を有するため、他の鎮痛剤と併用する際には鎮痛剤の過量投与に注意すること。
(4)本剤の初期負荷投与中にあらわれる一過性の血圧上昇に対しては、投与速度の減速を考慮する必要があるが、重大な血圧上昇が
あらわれた場合には、さらに適切な処置を行うこと。
(5)本剤の投与により低血圧、徐脈等があらわれるおそれがある。特に迷走神経の緊張が亢進している患者であらわれやすい。患者の
観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
(6)本剤投与中はバイタルサインの変動に注意して循環器系に対する観察及び対応を怠らないこと。
非臨床試験に関する事項
◆ 作用部位(α2 受容体)に関する検討
1. α2 受容体親和性(in vitro )32)
ラット大脳皮質ミクロソームを用いてα2 及びα 1 受容体に対する親和性を比較したところ、本剤は
α2 受容体に対して約 1,300 倍高い親和性を示しました。
ラット大脳皮質α2、α1 受容体への親和性
n=4 ~ 5 平均値
pKi 値
化合物
デクスメデトミジン
※
レボメデトミジン
α1 受容体
α2 受容体
α2 選択性
Ki 値比較(α1:α2)
6.16
9.27
1:1,300
5.65
7.01
1:23
※デクスメデトミジンの光学異性体
2. ヒトα2 受容体サブタイプへの親和性(in vitro )33)
ヒトα2A、
α2B、
α2C 受容体を発現させた培養細胞株から調製した膜標本を用いて受容体結合試験
を行ったところ、本剤はいずれのα2 受容体サブタイプに対しても高い親和性を示しました。
ヒトα2 受容体サブタイプへの親和性
(Ki 値;nM)
化合物
デクスメデトミジン
n=3 ~ 4 平均値± S.E.
α2A 受容体
α2B 受容体
α2C 受容体
6.2 ± 2.4
4.0 ± 0.3
6.0 ± 0.6
3. α2 受容体刺激による交感神経刺激伝達抑制
● 細胞内シグナル伝達、膜電位に対する作用(in vitro )
α2 受容体は Gi 蛋白と共役していて、
アゴニストが結合するとアデニル酸シクラーゼ活性が低下し、
細胞内 cAMP の減少がシグナルとなって生理機能を発揮します34)。この Gi 蛋白を介した応答に
より細胞膜の K+ チャネルの開口と電位依存性 Ca2+ チャネルの閉口が引き起こされて細胞膜が
過分極し、刺激インパルスの伝達が遮断され、交感神経系が抑制されます35)。
本剤はヒトα2 受容体を発現させた培養細胞及びラット摘出青斑核標本を用いた検討で、同様の
作用により細胞膜を過分極させることが示唆されています36)。
デクスメデトミジンによる細胞応答
プレセデックス
Ca2+チャネル
K+
(デクスメデトミジン)
K+チャネル
α2受容体
細胞外
細胞膜
アデニル酸シクラーゼ
Ca2+
細胞内
Gi蛋白
開口
閉口
cAMP生成抑制
40
非臨床試験に関する事項
● ラット青斑核からのノルアドレナリン遊離抑制
37)
ラット青斑核に電気刺激を与えたときに遊離されるノルアドレナリンに対する本剤の抑制作用を検討
したところ、デクスメデトミジンは濃度依存的に抑制し、その作用はα2 受容体拮抗薬(アチパメゾー
ル)により完全に阻害されました。この結果から、本剤は脳内のα2 受容体を介してノルアドレナリン
の遊離を抑制することにより交感神経の刺激伝達を抑制することが示唆されました。
ラット青斑核におけるノルアドレナリン遊離抑制作用
デクスメデトミジンの用量反応性
(デクスメデトミジン:1×10−5∼10−1µM)
添加
(%)
110
平均値±S.E.
n=7
●
90
投与前値からの
ノルアドレナリン遊離の変化率
●
100
投与前値からの
ノルアドレナリン遊離の変化率
(%)
120
100
●
80
70
60
●
50
●
40
-6
10
-5
10
-4
10
-3
10
-2
80
平均値±S.E.
各群n=7 ∼8
*p<0.01
(対 他群)
分散分析
60
*
40
20
0
-1
10
アチパメゾール添加の影響
10
デクスメデトミジン濃度
(µM/L)
デクスメデト デクスメデト コントロール
ミジン
ミジン+
アチパメゾール
方法: 青斑核を含むラット脳切片に 20 パルス(10mA、0.2ms、200Hz)の電気刺激を与え、刺激により青斑核組織から遊離した
ノルアドレナリンを急速サイクリックボルタムメトリー法により測定、デクスメデトミジンは電気刺激の 20 分前に添加した。右
-1
記試験ではアチパメゾール 1µM、デクスメデトミジン 1×10 µM を使用。
4. 鎮静作用の作用部位(ラット、マウス)
38,39)
本剤をラットの青斑核内に投与すると、用量依存的に正向反射の消失(鎮静作用)がみられ、こ
により阻害されました。この結果から、本剤の鎮静作
の作用はα2 受容体拮抗薬(アチパメゾール)
(下図)。
用に青斑核のα2 受容体が関与していることが示唆されました
また、本剤による鎮静作用はα2A 受容体変異マウスでは観察されず、α2B 受容体及びα2C 受容
体ノックアウトマウスで観察されることから、本剤の鎮静作用にはα2A 受容体サブタイプが関係し
ていると考えられました
(図略)。
ラットにおけるデクスメデトミジン青斑核内投与による正向反射消失
(鎮静作用)
(min)
デクスメデトミジンの用量反応性
(デクスメデトミジン;0.3∼333µg)
300
正
向 200
反
射
消
失
時 100
間
0
0.1
(%)
100
*
正
向
反
射
消
失
動
物
の
割
合
*
*
平均値±S.E.
各群n=6 ∼15
*p<0.05 a)
1
10
100
デクスメデトミジン投与量(µg)
1000
デクスメデトミジン6.6µgで誘発した
正向反射消失に対するアチパメゾールの影響
80
60
40
20
0
平均値±S.E.
各群n=5 ∼12
*p<0.05 a)
*
*
0
0.07
0.7
7.0
30.0
アチパメゾール投与量(µ g)
χ2検定によるpost hoc検定)
a)
対溶媒対照群(分散分析及びScheffeの検定、
方法: SD 系雄性ラットの青斑核内にデクスメデトミジン塩酸塩(上記用量)
を投与し、正向反射の消失を指標として鎮静作用を検討し
た。アチパメゾールは本剤投与 1 分前に青斑核内に投与した。
41
非臨床試験に関する事項
◆ 薬効を裏付ける試験成績
1. 自発運動に及ぼす影響(ラット)
40)
ラットに本剤 1 ~ 30 µg/kg を静脈内投与したところ、自発運動量が用量依存的に低下し、
30 µg/kg 投与では自発運動がほとんど観察されませんでした。
デクスメデトミジン静脈内投与によるラットの自発運動に及ぼす影響
投与群
自発運動スコア(平均±S.E.)
20
40
60
溶媒対照群に
対する減少率
80
溶媒対照群
−
1 µg/kg
デクスメデトミジン群
-4%
3 µg/kg
30 µg/kg
-43%
*
10 µg/kg
-86%
***
-94%
***
クロルプロマジン(0.5 mg/kg)
群
-57%
**
+14%
カフェイン(2 mg/kg)群
n=10 *p < 0.05、**p < 0.01、***p < 0.001 対 溶媒対照群(Student-t 検定)
方法: Wistar 系雄性ラットにデクスメデトミジン塩酸塩(上記用量)及び対照としてメジャートランキライザーのクロルプロマジン、中枢興
奮薬のカフェインを静脈内投与し、投与 15 分後から 30 分間の自発運動量を測定。測定には赤外線 photo cell を装備した自動
運動量測定装置を使用し、
ラットが移動することにより赤外線 beam を遮断した回数を自発運動スコアとしてカウントした。
2. 鎮静スコアの経時的変化(イヌ)
41)
ビーグル犬に本剤 1 〜 10 µg/kg(約 15 〜 150 µg/body)を静脈内投与したところ、3 µg/kg 以
上で、用量依存的な鎮静作用が認められました。また、本試験の最高用量(10 µg/kg)を投与
★
が発現し、スコア 2 以上の鎮静
した場合には、投与直後より著明な鎮静作用(鎮静スコア =5)
作用が約 2 時間持続しました。髄腔内、硬膜外及び大槽内への局所投与では静脈内投与時の
ような強い鎮静作用は認めませんでした。
イヌにおけるデクスメデトミジンの鎮静作用
投与法別の用量反応性
最高用量投与時の鎮静スコアの経時的変化
5
*
4
4
*
鎮 3
静
ス
コ 2
ア
1
平均値±S.E.
各群n=5
鎮 3
静
ス
コ 2
ア
平均値±S.E.
各群n=5
*p<0.05 a)
1
0
5
1
10
0
100
0
デクスメデトミジン投与量
(µg)
静脈内投与
髄腔内投与
30
60
90
120
150
180
観察時間(min)
大槽内投与
硬膜外投与
a)
対溶媒対照群
(Kruskal-Walliceの順位検定)
方法: ビーグル犬にデクスメデトミジン塩酸塩を静脈内(上記用量)又は髄腔内(1 〜 10 µg)
、
硬膜外(3 〜 50 µg)
、
大槽内(5,15 µg)
を投与し、下記スコアをもとに鎮静作用を評価。鎮静スコアの経時的変化は各投与法で最高用量を投与した際のスコアを図示。
★:鎮静スコア
スコア
0
1
2
3
4
5
イヌの状態
正常な注意力と反応性
眼瞼下垂・鎮静状態にあるが簡単に反応し、head tone は正常
鎮静及び催眠状態、neck tone の維持、覚醒し得る状態
閉眼・neck tone の消失、覚醒困難
閉眼・neck tone の消失の持続、高度の刺激により覚醒
覚醒不能・neck tone の完全消失、刺激を与えても明確な反応なし
42
非臨床試験に関する事項
3.脳波に及ぼす影響(ラット)
42)
ラットに本剤を段階的に増量しながら持続静脈内投与して、脳波に及ぼす影響を観察したところ、
の上昇に伴い、投与前の低振幅速波
(覚醒波)
から高振幅徐波
(睡
血漿中濃度(0.2 ~ 6.1ng/mL)
眠波)への移行を認め、本剤の鎮静作用には睡眠波の増加を伴うことが示唆されました。
デクスメデトミジン静脈内投与時の脳波の変化
(F1― O1 誘導)
n=8
投与前
0.2 ng/mL
(0.1 µg/kg/分)
デクスメデトミジン段階的増量時
1.0 ng/mL
(0.25 µg/kg/分)
2.0 ng/mL
(0.5 µg/kg/分)
6.1 ng/mL
(1.0 µg/kg/分)
上段:血漿中濃度 ( )内:投与速度
方法: Wistar 系雄性ラットの脳に脳波測定のための電極を移植し、回復後、無麻酔下で脳波を記録。デクスメデトミジン塩酸塩
(0.1~ 2.0 µg/kg/分)を段階的に増量しながら各 10 分間静脈内投与して血漿中濃度を測定し、各血漿中濃度における脳
波の変化(4 秒間)
を検討した。
43
非臨床試験に関する事項
2 一般薬理 43)
本剤の一般薬理作用をマウス、
ラット、サル、
イヌ、
ウサギを用いて検討した結果は以下の通りでした。
試験項目
一般症状・行動
動物種
(例数)
投与経路
マウス
(♂ 6 例 / 群)
静脈内
投与量
(mg/kg)
0.006
0.06
0.6
試験成績
一過性の軽度な自発運動の減少、眼瞼下垂
自発運動減少、腹臥位、よろめき歩行、眼裂の狭窄、尿によ
る下腹部の汚れ、呼吸緩徐、疼痛反応の低下
自発運動減少、疼痛反応の低下、腹臥位、よろめき歩行、立毛、
尿による下腹部の汚れ、呼吸緩徐、眼球突出、握力の低下
影響を及ぼさなかった
0.006
0.06
自発運動量低下
0.6
0.006
睡眠時間延長
睡眠増強作用
マウス
チオペンタール
静脈内
0.06
(♂ 6 例 / 群)
睡眠潜時の短縮、睡眠時間延長
ナトリウム
0.6
0.006
Writhing 回数の軽度な減少
鎮痛作用
マウス
静脈内
0.06
(酢酸 writhing) (♂ 6 例 / 群)
Writhing の消失
0.6
0.006
マウス
最大電撃痙攣
静脈内
0.06
作用は認められなかった
(♂ 6 例 / 群)
0.6
0.006
マウス
ペンテトラゾール
静脈内
0.06
作用は認められなかった
痙攣
(♂ 6 例 / 群)
0.6
0.006
マウス
痙攣誘発作用
静脈内
0.06
作用は認められなかった
(♂ 6 例 / 群)
0.6
0.006
影響を及ぼさなかった
ラット
体 温
静脈内
0.06
(♂ 6 例 / 群)
体温低下が認められた
0.6
0.0003
サル
呼吸(麻酔下)
静脈内
0.003
呼吸数に影響せず
(♀ 3 例)
0.03
0.0003
血圧低下
サル
循環動態(麻酔下)
静脈内
0.003
血圧、心拍数、血流量低下
(♀ 3 例)
0.03
血圧、心拍数、血流量低下(投与直後に血圧一過性上昇)
2×10-8g/mL
モルモット回腸
平滑筋自動運動
-
2×10-7g/mL 筋緊張の低下、自動運動抑制
(♂ 4 例 / 群)
(in vitro )
2×10-6g/mL
2×10-8g/mL
モルモット回腸
抗コリン作用
-
2×10-7g/mL アセチルコリンによる収縮を軽度に抑制
(♂ 4 例 / 群)
(in vitro )
2×10-6g/mL
2×10-8g/mL
モルモット回腸
抗ヒスタミン作用
-
2×10-7g/mL 作用は認められなかった
(♂ 4 例 / 群)
(in vitro )
2×10-6g/mL
2×10-8g/mL
モルモット回腸
抗バリウム作用
-
2×10-7g/mL 作用は認められなかった
(♂ 4 例 / 群)
(in vitro )
2×10-6g/mL
0.006
炭末輸送率の軽度な低下
マウス
消化管輸送能
静脈内
0.06
(♂ 6 例 / 群)
炭末輸送率の低下
0.6
0.006
尿量増加、Na+ 総排泄量増加
ラット
尿量及び尿電解質
0.06
尿量増加、Na+、Cl -総排泄量増加
静脈内
(♂ 6 例 / 群)
0.6
尿量増加、Na+、K+、Cl -総排泄量増加
3、
10
µg/kg/hr
皮下
コルチゾール産生
イヌ
浸透圧ミニ
7 日間
ACTH 誘発コルチゾール産生の抑制
(♂♀ 4.5 例 / 群)
抑制作用
ポンプ埋設
持続投与
ウサギ
0.5 mg/mL
眼圧低下作用
点眼
片眼に点眼した際、両眼ともに眼圧低下
(♂♀ 8 例 / 群)
25 µL
用量依存的な散瞳作用がみられた
ラット
静脈内
1 ~ 30 µg/kg
レボメデトミジンに散瞳作用は認められなかった
(♀ 4.6 例 / 群)
散瞳作用
ラット
G-DEX-1、2 ヒトにおける主要代謝物 G-DEX-1(M-I)及び G-DEX-2
静脈内
10~300 µg/kg(M-II)
に、散瞳作用は認められなかった
(♂ 6 例 / 群)
マウス
(♂ 6 例 / 群)
自発運動量
)
抗痙攣作用
一般症状・行動・中枢神経系
(
静脈内
呼吸・循環系
自律神経系・平滑筋
消化器系
水・電解
質代謝
その他
(
)
44
非臨床試験に関する事項
3 毒性試験 44)
◆ 単回投与毒性試験(マウス、ラット、イヌ)
本剤の単回静脈内投与試験における概略の致死量は下表の通りで、無致死量はいずれの動物種に
おいても1mg/kg でした。本剤投与後にみられる主な症状は、鎮静、眼瞼下垂、立毛等でした。
試験項目
単回投与毒性
動物種等
投与経路
マウス
静脈内
ラット
静脈内
イヌ
静脈内
投与量又は処置濃度
概略の
0.1、1、5、10、20 mg/kg
致死量
概略の
0.1、1、5、10、20 mg/kg
致死量
概略の
0.5、1、2mg/kg
致死量
試験結果
♂(n=5)
: 5mg/kg
♀(n=5)
:10mg/kg
♂(n=5)
: 5mg/kg
♀(n=5)
: 5mg/kg
♂(n=1)
: 2mg/kg
♀(n=1)
:>2mg/kg
( )内:各投与量又は処置濃度群における動物数
◆ 反復投与毒性試験(ラット、イヌ)
ラットにおける 28 日間静脈内投与試験(10 ~ 160 µg/kg/日 1 回)
では、体重増加抑制、鎮静、立毛、
眼球突出、角膜混濁、角膜炎、尿糖、胸腺重量低下、肺へのヘモジデリン貪食マクロファージ集積、
副腎球状帯の肥大が認められ、本試験における無毒性量は 10 µg/kg/日未満と考えられました。
イヌにおける 28 日間静脈内投与試験(10 ~ 250 µg/kg/日 1 回)
では、
鎮静、
後彎姿勢、
筋痙攣、
縮瞳、
斜視、立毛、呼吸数低下、角膜炎がみられ、組織検査では肝細胞好酸性変化とアポトーシスがみら
れました。本試験における無毒性量は 10 µg/kg/日と考えられました。
試験項目
反復投与毒性
動物種等
ラット
イヌ
投与経路
期間
静脈内
28 日間
静脈内
28 日間
投与量又は処置濃度
試験結果
♂
(n=10)
:10µg/kg/日
♀
(n=10)
:10µg/kg/日
♂
(n=3)
: 10µg/kg/日
10、50、250 µg/kg/日 無毒性量
♀
(n=3)
: 10µg/kg/日
10、40、160 µg/kg/日 無毒性量
( )内:各投与量又は処置濃度群における動物数
◆ 生殖発生毒性試験(ラット、ウサギ)
1. ラット妊娠前及び妊娠初期皮下投与試験(SegⅠ)
雌雄親動物においては、生殖能に異常所見は認められませんでした。一方、18 µg/kg/日以上
では胎児、出生児の体重低下がみられ、親動物生殖能における無毒性量は 54 µg/kg/日、発
生毒性学的無毒性量は 6 µg/kg/日と考えられました。
2. ラットにおける胎児器官形成期皮下投与試験(SegⅡ)
帝王切開の結果、200 µg/kg/日で早期吸収胚数の増加、生存胎児数の減少、胎児体重、胎盤
重量、胎児骨化遅延が認められたことより、胎児の発生毒性学的無毒性量は 20 µg/kg/日と考え
られました。また、親動物の生殖発生学的無毒性量は 20 µg/kg/日と考えられました。
3. ウサギにおける胎児器官形成期静脈内投与試験(SegⅡ)
最高用量の 96 µg/kg/日まで、薬理作用による鎮静や縮瞳等の一般状態の変化以外に、本剤
投与と関連すると考えられる生殖発生毒性学的変化は認められず、母体の一般毒性、生殖能に
対する無毒性量は 96 µg/kg/日、胎児に対しても96 µg/kg/日と考えられました。
4. ラットにおける周産期及び授乳期皮下投与試験(SegⅢ)
8 µg/kg/日以上で新生児の体重低下、授乳期及び離乳後の体重増加抑制が認められました。
本試験における母体の一般毒性学的無毒性量は 8 µg/kg/日で、母体の生殖能及び次世代の
発生毒性学的無毒性量は 2 µg/kg/日と考えられました。
45
非臨床試験に関する事項
◆ その他の特殊毒性
1. 依存性試験(ラット、サル)
身体依存性試験:ラットにおける身体依存性形成試験及びアカゲザルにおけるモルヒネ退薬症
候抑制試験(交差依存性試験)より、本剤は軽度の身体依存誘発性を有することが示唆されま
した。
精神依存性試験:アカゲザルにおける静脈内連続自己投与試験より、本剤には明らかな強化効
果がみられ、精神依存性を有する可能性が示唆されました。
2. 抗原性試験(モルモット)
モルモットにおける同種受身皮膚アナフィラキシー試験及び接触アレルギー試験で、抗原性は陰性
でした。
3. 遺伝毒性試験(in vitro 、マウス)
ネズミチフス菌及び大腸菌を用いた Ames 試験、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異
試験、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で変異原性は陰性でした。マウス小核試験で
は、概略の致死量である 5 mg/kg の静脈内投与により、NMRI 系マウスでは体温低下が原因と
推定された赤血球形成能低下と小核出現率増加が認められましたが(非 GLP 試験)
、CD-1 系
マウスを用いた試験では本剤 5mg/kg 静脈内投与による変異原性は、動物を保温するしないに
かかわらず陰性でした。
4. 局所刺激性試験(ラット)
ラットを用いた投与部位の刺激性試験及び血球適合性試験より、本剤は臨床で使用する製剤濃
度の 10 倍以上で軽度の局所刺激性を有することが示唆されました。一方、本剤には問題になる
と考えられる溶血性は認められませんでした。
5. 異性体の反復投与毒性試験(イヌ)
イヌにレボメデトミジン(L体)を 28 日間反復静脈内投与した結果、2,000 µg/kg 投与された雌
1 匹で心電図所見上 PR 間隔のわずかな延長、脈拍数の一過性の低下がみられた以外、特記
すべき変化は認められませんでした。無影響量は 400 µg/kg/日でした。
46
非臨床試験に関する事項
4 その他の作用
本剤は中枢性α2 受容体刺激作用により脊髄に分布するα2A 受容体を刺激して痛みの伝達を抑制し、鎮
痛作用を示すことが報告されています。マウス、
イヌを用いた実験で以下のような作用が認められています。
◆ 痛みの抑制
1. 熱板法(マウス)
45)
マウスに本剤 1~30 µg/kg 及び対照としてモルヒネを静脈内投与し、熱板上に置いたときの逃避
行動(足舐め、跳躍)が起こるまでの時間を指標に痛みの抑制を評価したところ、本剤 3 µg/kg
以上で用量依存的に足舐めするまでの時間が延長しました。また跳躍するまでの時間には明らか
な用量反応性は認めませんでしたが、本剤 1 µg/kg、30 µg/kg 投与で有意に延長しました。
マウス熱板法による痛みの抑制
足舐めが起こるまでの時間(秒)
投与群
10
20
30
跳躍が起こるまでの時間(秒)
20 40 60 80 100 120
溶媒対照群
1 µg/kg
デクスメデトミジン群
3 µg/kg
*
*
10 µg/kg
**
30 µg/kg
***
モルヒネ
(4mg/kg)群
平均値±S.E.
*
***
*
n=10 *p < 0.05、**p < 0.01、***p < 0.001対溶媒対照群(Student-t検定)
方法: NMRI 系雄性マウスにデクスメデトミジン塩酸塩(上記用量)及び対照としてモルヒネを静脈内投与し、被験薬投与 15 分後よ
りマウスを 54℃の熱板上に置き、熱刺激からの逃避行動である「足舐め」又は「跳躍」が認められるまでの時間(潜時)を指標
に痛みの抑制を評価。熱刺激は最長 120 秒とした。
2. 痛みの抑制の経時的変化(イヌ)
46)
ビーグル犬に本剤 10 µg/kg を静脈内投与し、熱刺激による皮膚攣縮が起こるまでの時間(反応
潜時)を測定して痛みの抑制を検討したところ、反応潜時が延長し、この作用は投与後 90 分持
により阻害されました。
続しました。また、この作用はα2 受容体拮抗薬(アチパメゾール)
熱刺激による皮膚攣縮反応を指標とした痛みの抑制
(%)
100
デクスメデトミジン
(10µg/kg)
による
最大効果率
(MPE)
の推移
平均値±S.E.
n=5
80
MPE
デクスメデトミジン
(10µg/kg)
投与時の
痛みの抑制に対するアチパメゾールの影響
60
40
20
0
MPE
(%)=
60
120
投与後の時間(min )
180
投与後の反応潜時
(秒)− 投与前の反応潜時
(秒)
10
(秒)
− 投与前の反応潜時
(秒)
(%)
100
最
大 80
反
応 60
潜
時
の 40
抑
制 20
率
0
平均値±S.E.
各群n=5
*
*
*
30
100
300
アチパメゾール投与量
(µg/kg)
× 100
*p<0.05 対 溶媒対照群
(Dunnett検定)
方法:ビーグル犬にデクスメデトミジン塩酸塩 10 µg/kg を静脈内投与し、60±1℃のプローブで熱刺激を与え、侵害受容性刺激
反射である皮膚攣縮が認められるまでの時間(反応潜時)
を測定し、潜時より求めた最大効果率(MPE)
を指標に痛みの抑制を
評価。本剤の痛みの抑制に対するアチパメゾール静脈内投与の影響も併せて評価した。
47
製剤学的事項
製剤学的事項
■ 安定性
1. 製剤の安定性
本剤は、25℃、60% RH の保存条件で 3 年間安定です。
保存条件
保存形態
25℃、60%RH、
長期保存試験
暗所
無色ガラスバイアル
40℃、75%RH、 (直立及び倒立)
加速試験
暗所
苛酷試験
光
25℃、白色蛍光灯 無色ガラスアンプル
(
保存期間
結果
36 ヵ月
36 ヵ月間安定であった
6 ヵ月
6 ヵ月間安定であった
18 日間
)
積算照度 140~
190 万 Ix・hr
18 日間安定であった
2.希釈後の安定性
本剤を生理食塩液で 4 µg/mL に希釈した液は、室温(非遮光)
で 48 時間安定でした。
■ 配合変化
本剤と輸液製剤及び薬剤との配合変化試験を、下記の条件で実施しました。
観察期間: 配合直後、配合 24 時間後
評価項目: a)
外観、デクスメデトミジン塩酸塩分解物のピークの有無
(HPLC)
b)
外観、pH、含量、不溶性微粒子
(但し、プロポフォールについては粒子径)
c)
外観
分 類
輸液製剤・薬剤
輸 液
リンゲル液 、20%マンニトール 、5%ブドウ糖液(大塚糖液 5%) 、
a)
b)
0.9%塩化ナトリウム
(生理食塩液) 、
乳酸リンゲル液
(ラクテック注) 、
b)
ブドウ糖加乳酸リンゲル液(ラクテックD 注) 、ソルビトール加乳酸リ
b)
ンゲル液(ハルトマン S 注) 、マルトース加乳酸リンゲル液(ポタコー
b)
b)
ルR) 、ブドウ糖加アセテートリンゲル液(ヴィーン D 注) 、アセテー
b)
b)
トリンゲル液(ヴィーン F 注) 、開始液(ソリタ -T1号) 、脱水補給
b)
b)
液(ソリタ -T2号) 、維持液(ソリタ -T3号) 、糖・電解質・アミノ
b)
酸液(アミノフリード)
a)
全身麻酔剤
筋弛緩剤
血管作用剤
鎮静剤
結 果
a)
b)
チオペンタールナトリウムa)、プロポフォール(1%プロポフォール注
b)
「マルイシ」)
べクロニウム臭化物 a)、パンクロニウム臭化物 a)、
スキサメトニウム塩化物水和物 c)
フェニレフリン塩酸塩 a)、アトロピン硫酸塩水和物 c)、ドパミン c)、
ノルアドレナリン c)、ドブタミン c)
ミダゾラム c)
a)
麻薬鎮痛剤
モルヒネ硫酸塩水和物 、フェンタニルクエン酸塩
利尿降圧剤
フロセミド
(ラシックス注100mg)
Ca 拮抗剤
ニカルジピン塩酸塩(ペルジピン注射液10mg)
a)
b)
b)
α型心房性ナト
b)
リウム利尿ポリ カルペリチド
(ハンプ注射用100)
ペプチド製剤
抗真菌剤
アムホテリシン B
抗不安剤
変化が認められ
なかった
ジアゼパム
14)
変化が認められた
(沈殿が生じた)
** 2010年8月添付文書改訂
(第5版)
48
取扱上の注意、包装、関連情報
取扱い上の注意
劇薬・習慣性医薬品注1)・処方せん医薬品注 2)
注 1)注意-習慣性あり
注 2)注意-医師等の処方せんにより使用すること
貯
法:室温保存
使用期限:3 年(ラベル等に表示の使用期限を参照すること)
包 装
5 バイアル(2 mL × 5 バイアル)
関連情報
承
認
番
号 : 21600AMY00010
承
認
年
月 : 2004 年 1 月
薬 価 基 準 収 載 年 月 : 2004 年 4 月
販 売 開 始 年 月 : 2004 年 5 月
国 際 誕 生 年 月 : 1999 年 12 月
再
49
審
査
期
間 : 8 年間(2012 年 1 月まで)
主要文献
主要文献
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17)社内資料
18)社内資料
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20)社内資料
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24)社内資料
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41)社内資料
42)社内資料
43)社内資料
44)社内資料
45)社内資料
46)社内資料
50
製造販売元の名称及び住所
製造販売元の名称及び住所
■ 製造販売元
丸石製薬株式会社
大阪市鶴見区今津中2-4-2
文献請求先
丸石製薬株式会社 学術情報グループ
〒 538-0042 大阪市鶴見区今津中 2-4-2
電話0120-014-561
■ 作成又は改訂年月
作成(印刷)年月
2004 年 2 月作成
2004 年 5 月作成
2004 年10 月改訂
2005 年 7 月改訂
2006 年 6 月改訂
2008 年 6 月改訂
2009 年 9 月改訂
2010 年 9 月改訂
51
(第 1 版)
(第 2 版)
(第 3 版)
(第 4 版)
(第 5 版)
(第 6 版)
(第 7 版)
(第 8 版)
製造販売元
〔資料請求先〕
丸石製薬株式会社学術情報グループ
TEL0120-014-561
2010 年 9 月作成
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