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アベノミクスの第二ステージに向けて

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アベノミクスの第二ステージに向けて
資料4
アベノミクスの第二ステージに向けて
~足下の経済情勢について~
平成27年11月4日
内閣府
1 .企業利益・設備投資の動向
○ 大企業の利益は過去最高水準にあるが、それに比べて、設備投資や研究開発費、人件費といったキャッシュアウトの動きは、総
じて低調であり、現預金等が積み増されている。業種別にみると、自動車、電気機器、商社といった業種において、保有する現預
金等の増加幅が大きい。成長志向の法人税改革の早期完了や、企業収益が確実に投資等へのキャッシュアウトに結び付く取組
が重要である。
○ 現預金等に対するキャッシュアウトの比率を業種別にみても、総じて、リーマンショック前の水準に比べて低い。最近の動きをみ
ると、自動車や医薬品、電気機器等の業種で、同比率が上昇傾向にある一方、化学、機械、通信、小売等では低下傾向にある。
25
20
企業利益、設備投資
(兆円)
40
2015年Ⅱ期(2012年Ⅳ期対比)
19.2兆円 (+6.8兆円)
9.5兆円 (+0.9兆円)
経常利益
設備投資
40
30
30
20
20
設備投資
2008年度
10
13
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
14
15
Ⅱ (期)
(年)
0
0
(備考)1.財務省「法人企業統計季報」により作成。
2.全規模全産業。季節調整値。
200
(兆円)
業種別にみるキャッシュアウト/現預金等比率
キャッシュアウト/現預金等比率の推移
キャッシュアウト/現預金等比率
(目盛右)
(倍)
キャッシュアウト
(設備投資・人件費等)
現預金等
150
100
1.6
0.75
1.4
0.70
1.2
0.65
1.0
0.60
0.8
0.8
0.6
0.6
0.4
0.4
0.2
0.2
0.50
50
0.45
0
0.40
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
製造業
(倍)
0.80
0.55
2003 04
小売
Ⅱ
通信
Ⅰ
建設
Ⅳ
サービス
2012
Ⅲ
商社
Ⅱ
医薬品
Ⅰ
化学
Ⅳ
機械
Ⅲ
10
自動車
Ⅱ
2014年度
2008年度
2014年度
10
電気機器
5
Ⅰ
非製造業
(兆円)
経常利益
15
250
業種別にみる現預金等の保有
製造業
(兆円)
15 (年度)
1.6
非製造業
(倍)
1.4
1.2
自動車
機械
医薬品
電気機器
0.0
2003
05
07
09
11
通信
1.0
化学
13
15
小売
サービス
建設
商社
0.0
2003
05
07
09
(備考)1.日経NEEDSより作成。金融、保険業を除く。対象企業は、東証1部・2部等の金融取引所の上場会社。
(年度)
2.キャッシュアウトとは、設備投資額、人件費、研究開発投資額、配当額、関係会社株式・出資金の増減の合計。現預金等とは、貸借対照表上の資産に計上される現金及び預金、流動資産に属する有価証券、短期貸付金、投資有価証券の残高の合計。
ただし、金融・保険業の連結子会社を持つ企業の一部については、当該連結子会社の現金及び預金・有価証券を除いた。
3.2015年度は、2015年4-6月期の前年同期比を用いて年間補正した値。なお、キャッシュアウトのうち、関係会社株式・出資金の増減要因は四半期決算では入手できないため、当該計数を除いたベースを使用。
4.2003年~2012年度のキャッシュアウト/現預金等比率の平均は0.60。
11
13
15
(年度)
2
2.賃金・雇用の動向
○ 1人当たりの平均的な名目賃金は、賃金上昇が進み、パート比率が高まる中にあっても増加。 一方、実質賃金は、消費税率引
上げ等の影響を受けて物価が上昇する中、結果的に賃金上昇がそれに追い付かない中で減少。ただし、最近では、フルタイム、
パートタイムともに、実質賃金が前年を上回って改善(2か月連続)。
○ 総雇用者所得は、雇用者の増加及び賃金引上げを背景に、名目では上昇、実質でも消費税率引上げ前の水準を取り戻しつつ
ある。その一方で労働分配率は低下を続けており、経済のパイの拡大(内閣府年央試算では27年度、28年度の名目成長率2.9%)
に見合った適正な労働分配の実現が重要となっている。
3年間の名目賃金動向の寄与度分解
(2012年12月対比累積寄与度、%)
5
4
交絡項
名目賃金(一般・パート計)
名目賃金(パートタイム労働者)
4
3
3年間の実質賃金動向の寄与度分解
(2012年12月対比累積寄与度、%)
2
名目賃金(一般(フルタイム)労働者)
0
名目賃金(一般・パート計)
2
-2
1
-4
0
-6
-1
パート比率
-2
121
4
7
12
10
交絡項
1
4
13
7
10
1
14
4
15
実質賃金
(一般・パート計)
消費者物価指数
(持家の帰属家賃を除く総合)
-8
7 (月)
8
121
(年) 12
4
7
13
10
1
4
7
10
14
1
4
(前年比、%)
5
4
3
2
1
0
-1
-2
-3
-4
-5
1
4
名目賃金
実質賃金
7
2013
10
1
4
7
2014
10
1
103.0
名目総雇用者所得
消費税率引上げ
104.5
実質総雇用者所得
102.1
12 1
12
4
7
10
1
13
101.3
4
7
14
10
1
4
15
7 8 (月)
(年)
(備考)総務省「労働力調査」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、内閣府「国民経済計算」により作成。季節調整値。
パートタイム労働者(賃金の前年比)
(前年比、%)
5
4
3
名目賃金
0.5
2
1
0
-1
-2
-3
0.2
-4
実質賃金
-5
4
7 8(月) 1
4
7 10 1
4
7 10
(年)
2015
2013
2014
106
105
104
103
102
101
100
99
98
97
96
7 8(月)
(年)
15
(備考)1.厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。内閣府による季節調整値を元に算出。
2.実質賃金は、名目賃金を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で除したものとして内閣府において算出。
一般(フルタイム)労働者(賃金の前年比)
総雇用者所得(名目、実質)の水準の推移
(2012年12月=100)
1
労働分配率
(円)
(%)
40 80
798
最低賃金
800
780
75
764
非製造業
749
30
1.0
737
70
730
713
703
前年度からの引上げ額
20 65
700 687
(目盛右)
60
10
18
17
全産業
15 16
14 16
55
0.7
12
製造業
10
7
0 50
600
2007 08 09 10 11 12 13 14 15
2004
06
08
10
12
14(年)
(年度) (備考)1.財務省「法人企業統計季報」により作成。
4
7 8 (月)
(備考)1.厚生労働省公表資料より作成。
2.労働分配率は、人件費/
(年)
2015
(備考)1.厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。
2.一般、パート別の実質賃金は、名目賃金を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で除したものとして内閣府において算出。
(円)
最低賃金の推移
2.最低賃金は、適用労働者数による全国加重平均額。
(営業利益+人件費+減価償却費+受取利息等)にて算出。
3.全規模。後方4四半期移動平均。
3
3.家計消費の動向
○ 消費の改善テンポには遅れがみられる中、年齢階層別、所得階層別の消費動向をみると、以下の点を指摘できる。
1.若年層の多くの所得階層において、他の年齢階層よりも、消費性向が低くなっている。特に、若年の低所得者については、物価
上昇の中で、消費全体を抑制している動きがみられる。
この背景として、子育ての備えなど予備的な貯蓄確保の観点から、貯蓄している姿が明らか。低所得者層をはじめとする消費の
活性化に向けては、将来を見通せる安定的雇用の確保、継続的な賃金引上げ、正規化、子育て支援等社会保障の若年世代へ
の重点配分、の4つが重要。
2.高齢者については、他の年齢階層に比べて、消費性向が高い。従って、労働参加を促進することが、消費喚起にも大きく影響す
ると考えられる。27年6月時点で、希望者全員が65歳以上まで働ける企業割合72.5%、同70歳以上20.1%と、生涯現役社会の形成
に向け大きく加速してきており、高齢者雇用の更なる促進や高齢者の活躍に向けたマッチング等を推進していくことが重要(2014
年時点で、55歳以上で働きたい、より多くの時間働きたいと希望している男女、計220万人) 。
消費性向
110
(消費支出 / 可処分所得、%)
30
若年層(25~34歳)
(万円) 第Ⅰ分位の所得階層
(万円)
14
40
高齢者層(60~69歳)
勤労・無職
(万円)
勤労・可処分所得
100
25
Ⅰ(434万円未満)
可処分所得
12
35
10
90
20
消費支出
80
8
30
勤労・消費支出
15
Ⅱ
Ⅲ
可処分所得-消費支出
(目盛右)
7.2
5.6
Ⅳ
6
無職・消費支出
25
10
70
4
60
Ⅴ(922万円以上)
5
0
50
25~34歳 35~44歳 45~54歳 55~64歳 65歳以上
無職・可処分所得
20
2
15
0
Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ 7-8 (期/月) 121
2012
(年)
2012
2013
2014
2015
4
7
2013
10
1
4
7
2014
10
1
4
2015
7 8(月)
(年)
(備考)1.総務省「家計調査」により作成。
2.左図と中央の図は、総務省統計局「家計調査」の調査票情報を独自集計したものである。二人以上の世帯のうち勤労者世帯。所得階層は、2006年1月から2015年8月までの「年間収入五分位境界値(集計世帯を年間収入によって五分割した境界値)」の平均値で区分。
第Ⅰ分位は434万円未満、第Ⅱ分位は434万円以上569万円未満、第Ⅲ分位は569万円以上714万円未満、第Ⅳ分位は714万円以上922万円未満、第Ⅴ分位は922万円以上。左図は2014年9月から2015年8月までの平均値。中央の図は後方12か月移動平均の四半期平均。
3. 右図は二人以上の世帯。後方12か月移動平均。
4
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