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Musinによる 3次元 KissingNumber の決定について

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Musinによる 3次元 KissingNumber の決定について
平成24年度学位論文
Musinによる3次元KissingNumberの決定について
兵庫教育大学大学院
学校教育研究科
教育内容・方法開発専攻
認識形成系教育コース
M 1 1 1 4 9 G
井 口 景 視
次
1
○章
序
1章
準備
1.1
余弦定理..
1.2
球面座標..
1.3
Legendre多項式
2章
3次元Kissing Number
10
2.1
k(3)=12の証明一.
11
2.2
S(X)<13nの証明.
12
3章
Gegenbauer多項式の加法公式
34
3.1
斉次多項式と調和多項式.
34
3.2
球面上の多項式.
40
3.3
球面上の調和多項式の内積.1
45
3.4
帯球関数とGegenbauer多項式
50
参考文献
64
○章序
η次元ユークリッド空間R帆において,互いに重ならないように1つの球に接すること
のできる(その球と)同じ半径の球の最大個数をη次元のkissing numberといいた(η)と
表す.このた(η)を求める問題をKissing Number Prob1emという.
ん(3)≧!2であることは,実験すれば容易にわかる.ん(3)=12であるか,ん(3)=13で
あるかは,1694年のIsaac NewtonとDavid Gregoryの論争に遡るといわれているが,事
の真偽は定かでない、た(3)=!2の最初の証明は,1953年にSchutteとvan der WaeIden
によって発表された.次いで,1956年にLeechによる,短く難解な証明が発表されている.
1979年には,A,M,Od1yzkoとN.J.A.S1oaneにより,De1sarteの方法を用いたん(8)=240,
た(24)二196560,およびん(4)≦25の証明が得られる。そして,遂に,2003年,O.Musin121
はDe1sarteの方法を拡張して,た(4)=24の証明に成功するが,証明の詳細は,2008年の
論文[5]を待つことになる一2006年,Musinはた(4)=24の証明方法を3次元に適用し,
ん(3)=!2の新しい証明を与えた一本論文では,このMusinエ4]の新しい証明について考察
する.なお,現在1,2,3,4,8,24次元のkissing numberのみが確定している.
1章では,後章で必要となる用語や定理について説明する1§1.1で球面上の余弦定理,
§1.2でRれの球面座標,§1.3ではLegendre多項式について,説明する.
2章では,3次元KissingNumberん(3)が12であることを,Musin141の方法で導く・
ん(3)≧12はよく矢口られた事実であるが,ん(3)<13を示す部分が難しい.Musinは
Legendre多項式局(4≧O)の非負係数一次結合として表される9次多項式∫(t)を巧妙
に選び,単位球面∫2土の有限集合X={均,_,”、}に対して,叫,〃ゴの球面距離をφ力と
して,
n
8(X)一Σプ(…φ1ゴ)=
{,ゴ=1
と定め,Legendre多項式乃の加法定理を用いて不等式
n
Σ片(…φ1ゴ)≧0
4,ゴ=1
1
O.序
を示し,それより8(X)≧η2を導いた.この論文では,Legendre多項式の加法定理ではな
く,より一般なGegenbauer多項式の加法公式を用いて上の不等式を導く1
§2.2では,互いに交わることなく32に接する単位球面の接点のなす集合Xに対して,
3(X)<13ηが成り立つことを示す.3(X)≧η2に注意すれば,直ちにん(3):12が得ら
れる、8(X)<13ηを示すために
肌
W)一Σ∫(…φ1ゴ)
ゴ:1
とおき,さらに,∫(cosφ{ゴ)>Oの部分の和
η(X)一Σ∫(…φ1j)
j
を取り出す.η(X)<13を導くために,∫(cosφ{ゴ)>Oとなるような点的と,吻の対極
点eoからできる点配置eo,μ1,...,ひmを考察し,m≦4を示す、m=3の場合はμユ,μ2,脆
か球面正三角形の頂点であること,m:4の場合もμ1,μ2,〃3,〃4が等辺な球面四角形の頂
点であることを利用して,刀(X)<13を導く.
3章では,調和多項式の基本事項,Gaussの公式などをを説明した後,Gegenbauer多
項式の加法公式を証明する一また、2章のみ(3)=12の証明で用いだしegendre多項式に関
する不等式(定理3.19)を証明する.
§3.1では,ラプラシアン△,グラディエント▽などを定義し,R上のη変数多項式環
P(R几)の線形変換△の核Harm(R帆)に含まれる多項式として,調和多項式を定義する.ま
た,4次斉次多項式のなす空間Ho叫(Rη)が
・…(・η)一・…1(・n)①・2・・…一・(肥)㊥…①(・2)「ξ]・…老一。[ξ](・η)
と直和分解されることを示す.
§3.2では,Rn上の多項式関数を球面3η■1に制限して得られる,3η■1土の多項式関
数が,調和多項式を制限して得られるものに一致することを示す.さらに,多項式関数の間
の環準同型
ρ:P(醍れ)→P(8η’ユ)
から誘導される線形写像
ρ:Harm(Rn)→P(8η一1)
3
O.序
が線形同型であることを示す.これより,直和分解
P(8n−1)一㊥H・ml(8n−1)
‘≧O
が導かれる.
§3.3では,まず,Harm(3冊L1)の2元ψ,ψに対して,内積(,)を
(州■、÷ユ,ん、1(/)ψ(/)・/
と定義する.ただし,I3冊■1Iは3η■1の面積,dξは積分要素である.次に,Gaussの公式
ム・舳一ん1/∼/・/
を示し,それを用いて,直和分解
H・・m(3帆一’)一㊥H・・叫(8η■1)
4≧O
が直交分解であることを導く.
§3.4では,直交群0(R肌)のHar叫(3帆■1)への作用について考察する.
σ∈0(Rη),
ψ∈Ham4(3η■1)に対して
(σヰψ)(ξ)㍉(ξσ)(ξ∈5ト1)
と定めると,σ㌻∈Har叫(3η■1)となり,σ→σヰは0(Rn)から直交群0(Har叫(8η^!))
への群準同型となる、0(R九一1)によって固定されるHar叫(8η一1)の多項式を帯球関数と
呼び,その全体をZ4(3n−1)と表す.Harm乏(8卜1)の正規直交基物を選び,3η一1x3n−1
土の関数
w
F(ξ。η)一Σψ1(ξ)州(ξ,η∈3η一ユ)
{=1
を定義し,その性質を利用して,肌≧2のとき,Z4(8η■1)が1次元であることを示す.
Z4(3n■ユ)に含まれる多項式からGegenbauer多項式G4,、(f)を定義し,加法公式
Gゼ,η(/ξ,η/)=F(ξ,η)
を証明する.最後に,Legendre多項式についての不等式を導く.
O.序
4
なお,2章での3(X)<13の証明では,グラフの作成,実根や最大値などの数値計算を
多用するが,そのために,GNU Genera1Pub1ic Licenseのもとに配布されているフリーの
数式処理ソフトMaxima[121を利用した.また、唖X用の図やグラフの描画にフリーソフ
トWinTpicを利用した.
最後に,本論文作成にあたり,2年間ご指導頂いた松山廣先生を始め,ご助言いただい
た自然系数学分野の諸先生方,さらにはこのような機会を与えて下さった兵庫県教育委員
会,並びに兵庫県立相生高等学校長を始めとする諸先生方に,心より感謝申し上げます.
1章 準備
1章では,後章で必要となる用語と定理について説明する.ただし,参考文献
エ7]にあるような線形代数学の基本事項,参考文献エ6],[11]にあるような微分積
分学の基本事項,参考文献[8]にあるような群・環・体についての基本事項,参
考文献エ10],5節にあるような球面幾何の基本事項,などは既知とする。なお,こ
の論文を通して次の記号を用いる.
R
[・1
C1亀C2
実数全体
ガウス記号,実数C以下の最大の整数
実数C1,C2が近似的に等しい
→ 一一一→
一一→ 一一一→
Rn
= R×一、。XR (η次元ユークリッド空間)
0λ・0B
空間ベクトル0λと0Bの内積
}
n個
/π,μ)
㏄=(エ1ゾー.,爆η),μ=(帆,_,gn)の内積均腕十。。。十π〃肌
3卜1
(剛
R冊内の原点を中心とする単位球面
砺
球面3n−1土の2点”,リの球面距離,(W)の長さ
Cap(”,θ)
球面8n−1土の2点”,リを結ぶ大円の劣弧
球面8n−1土の点”からの球面距離がθ以下の点全体のなす集合
ψ)
n次元kissing number
P(Rη)
R上のη変数多項式環(Rη上の多項式関数全体)
P(3n一ユ)
球面3冊一1土の多項式関数全体
Hom(Rn)
P(Rn)の斉次多項式全体
Homゼ(R几)
P(Rη)の乏次斉次多項式全体
Harm(Rn)
」P(Rn)の調和多項式全体
Ha.rm4(R几)
4次斉次調和多項式全体
lx」
有限集合Xの元の個数
プ19
多項式!が多項式gを書1」り切る
∀α∈λ
集合λの任意の元αに対して
■4⇒3
λ⇔B
0(R帆)
λならば3である
λとBは同値である
η次直交群(η次直交行列全体のなす群)
6
1、準備
1.1 余弦定理
3次元ユークリッド空間R3内の球面をその中心0を通る平面で切断してできる円を
大円という.球面上の2点λ,Bを通る大円の劣弧(2つの円弧の短い方)の長さをλ,Bの
(球面)距離といい,λ8で表すことにする.球の半径がr,∠λ0B;θ≦πのとき,λB:rθ
である.半径1の球面を単位球面という.以下,特に断らない限り球面は単位球面を意味す
るものとする.球面上の3点λ,3,0でできる球面三角形λB0(以下△λB0と記す)に
つレ、て
,
λB=θ1, λσ;θ2, Bσ=・φ
であるとする.また,点λにおける2つの大円の接線のなす角をψ一とする.
λ
θ2
.。・・.
@ θ1
0
q
B
定理1・1(余弦定理)θ1,θ2,φを上に定めたものとする.
このとき次の等式が成り立つ.
COSφ三COSθ1COSθ2+SinθユSinθ2COSψ
一一一→ 一一.÷ 一一一→ 一一一→
【証明】 ベクトル0Bとベクトル00の内積0B.00を2通りに計算す
一一一→ 一一一→
る.0Bと00のなす角がφであることと,0B:00=1であることに注
意すれば,次式が成り立つ.
一一一
ィ →
08・00=cosφ
→ 一一一÷ → →
次に,0B,00を,0λに平行な成分と,0λに垂直な成分とに分解して内積
を計算する.
7
1、準備
λ
σ
B
点B,0から直線0λに下した垂線の足をそれぞれ∬,H’とすると
一一一→ 一一一一→ 一一一一→ 一一一十 → 一一一一一≒ 一一一一→ 一一一一≒≒ 一一一→ 一一一■}
0β=0〃十〃B, 0σ=0〃’十π’0, 0〃一〃’0=0〃’・〃B=O
一一一→ →
が成り立つ.ここでH3と〃0のなす角がψに一致することと
0H=cosθ1,0H’=cosθ2,HB=sinθ1,H’σ=sinθ2
であることに注意すれば
一一→ → 一一→ 一一一→ 一一→ 一一一→
cosφ;0B・00:0∬.0∬’十∬B.∬’0
:COSθ1COSθ2+SinθユSinθ2COSψ
一
が得られる.
1.2 球面座標
補題1.2Rn(肌≧2)の点”:(”1,”2,..,”、)に対して,O≦θ1<2π,O≦θ{≦π(2≦
づ≦η_1)が定まり,次が成り立つ.ただし,rは”の原点からの距離である.
π1=r Sinθn_ユSinθn_2・
・・
rinθ3Sinθ2Sinθユ
”2=r Sinθ帆_ユSinθη_2・
・・
rinθ3Sinθ2COSθ1
”3=r Sinθ帆_1Sinθη_2・
・・
rinθ3COSθ2
π4=τSinθn_1Sinθη_2・ −COSθ3
工η_1=r Sinθn_1COSθη_2
”η=r COSθ帆_1
1.準備
【証明】 ηについての帰納法で示す、η=2のときは明らかである、次に,
η〉3としてτ卜1のときは成立していると仮定する.
・ユ2+”。2+…十・帆2=・2⇒一・≦・。≦・
となるので”η=rcosθη一1をみたすO≦θη_1≦πが一意に定まる.このとき
・、2+・。2+…十・九一。2=(・・i・θ、一)2
であるから,点(π1ゾ..,πn.1)∈Rれ一1の原点からの距離はrSinθ肌_1である1従っ
て,帰納法の仮定から
”ユ=(γSinθη_1)Sinθη_2… Sihθ3Sinθ2Sinθ1
π2=(r Sinθη_1)Sinθn_2… Sinθ3Sinθ2COSθ1
πη一1=(γ・i・θト1)CO・θ。一。
をみたすO≦θ1<2π,O≦θ{≦π(2≦{≦η_2)が定まり,Tムのときも成り
立つことがわかる. ■
○sinθκ:0のときはθ1=...=θた一1:0となるようにθ1,..,θη一1を選べば,(z1ゾ..,エ、)
に対して(r,θユ,.。,θ、一1)が一意に定まる.
・(γ,θ1,..,θト1)を(均,....π刊)の球面座標(極座標)という.
特に,原点を中心とする単位球面3ト1土の点の球面座標は
(θ1,。一,θれ一。),O≦θ1〈2π,0≦θ{≦π(2≦{≦上1)
となる.82土の点戸=(”,V,Z)の場合は,慣習的に
工=sinθcOs g, μ=sinθsinψ, z二。osθ (1.1)
→
と表して,(θ,ψ)を球面座標ということが多い.θは0Pとz軸のなす角である(0
→
は原点).Pからπμ平面に下した足をP’とすると,0P’と”軸のなす角がψで
ある.
9
1.準備
1.3 1Legendre多項式
定義1.3非負整数んに対して,次式で定まる多項式片(亡)をLegendre多項式という.
2ん_1 ん一1
片(1):1,P1(1):亡,れ(1)= 出一。(t)一 片一。(1)(ん≧2)
ん ん
Legendre多項式をいくつか計算すると次のようになる.
31 53 35ユ53
2 2 2 2 8 4 8
帥)=一12一一,帥)=一13一一t,則)=一t4一一2+一
実係数ん次多項式八(’)≠Oからなる多項式の族{八(‘)}た≧oが区間[α,わ]における直交多
項式系であるとは
…の1き∫b肌(t)・f一・
が成り立つときにいう。Legendre多項式{片(‘)}κ〉oが区間卜1,1jにおける直交多項式系
をなすという次の定理を3章,§3,4で用いる.
定理1.4([6,第6章,§711,[11,p.76,側201)Legendre多項式片(t)について次の
等式が成り立つ.
1 2
∠
凡(亡)み(む)批:δ㎜
1 2η十1
ただし,δnmはKroneckerのデルタである.
.文献[11]のp.76に,Rodrigues’fomu1a片(之)=六券(t2_1)kと部分積分を用い
た定理1.4の証明がある.
その他,本論文では必要としないが,次の事実が知られている(証明暗).
・Legendre多項式片(エ)は区間(一1,1)にん個の解を持つ.
・ん次モニック実係数多項式∫(”)の中でプ1∫(”)2桁を最小にするのがLegendre多
項式片(”)をモニック化したものである.ただ㌧最高次係数が1の多項式をモニッ
ク多項式という.
・Legendre多項式汽はLegendreの微分方程式(1_π2)μ”_2〃十々(ん_1)〃:Oの
解である.
2章 3次元Kissing Number
kissing mmberん(η)は,π次元ユークリッド空間Rηにおいて,1つの球に接
することのできる同じ半径の球の最大個数である.この章では,3次元Kissing
Numberん(3)が12であることを,Musinエ4]の方法で導く.ん(3)≧12はよく
知られた事実であるが,ん(3)<13を示す部分が難しい.MusinはLegendre多
項式の非負係数一次結合として表される9次多項式∫(t)を巧妙に選び,単位球
面82土の有限集合X:・{エ1,...,”、}に対して,
η
8(X)一Σ∫(…φ1ゴ),φザ刷
∼=1
と定め,Legendre多項式の加法定理を用いて次の不等式(定理3.!9,3章で証明)
を示し,それより3(X)≧η2を導いた.この論文では,Legendre多項式の加法
定理ではなく,より一般なGegenbauer多項式の加法公式を用いて次の不等式
を導く.
定理3.19 X={均,”2,_一,”。}を原点を中心とする単位球面82土の有限集合と
し,φ{ゴ=砺を球面距離とする.このとき次の不等式が成り立つ、ただし,片は
Legendre多項式である1
n
Σ片(…φ1ゴ)≧O
{,ゴ=1
§2.1では,3(X)く13nを認めて,ん(3)=12を導く、§2,2では,Xが,互いに
交わることなく52に接する単位球面の接点であるとき,3(X)<13ηが成り
立つことを示す.
10
11
2.3次元Kissing Number
2.1 k(3)=12の証明
多項式∫(亡)を次のように選ぶ.
∫(1)一些1・一里1・。型1・。些t・一壁t・一型1・。⊥1一⊥(・.!)
80 20 400 40 10 100 10 200
このとき
8 87 33 49 1 8
∫=片十一P1+一P2+一片十一乃十一片十一局 (2.2)
5 25 20 25 10 25
と表される(計算略).すなわち
9
∫一Σ・lpl
た=O
と,Legendre多項式の非負係数一次結合として表される.co=1であることを注意してお
く.次に,82土の有限集合X={”1,。、.,”、}に対して
冊
3(X)一Σ∫(…φ1ゴ)
壱,ゴ=1
と定義する、ここで,φむ:砺である.
定理2,132土の任意の有限集合Xに対して,8(X)≧η2が成り立つ、
【証明】
定理3.19を適用することにより,次のように導かれる.
・(・)一
∼1)一夫(さ帆㎏φ1))
一シ(宍伽伽1))・シ∼一が
原点0を中心とする単位球面32に,重なり
0{
がないように接する単位球がη個あったとし
て,その接点からできる有限集合を
吻
X={”。,z。,…,”η}
0
巧
とおく.叫,巧で接している球の中心を,そ
れぞれ0台,0ゴとする。
0ゴ
■
12
2.3次元Kissing Number
このとき0ρゴ≧2に注意すると
π
砺;φ11≧百
(1≦ゼ≠ゴ≦γL)
が成り立つ.
定理2・2X={”1,z2,.・,”、}を32土の有限集合で,任意の乞≠ゴに対してφ幻≧π/3
をみたすものとする.このとき,次の不等式が成り立つ.
η
3(X)一Σ∫(…φ1ゴ)・13η
金,ゴ=1
定理2,2の証明は次節で行うことにする.さて,X={”1,z2,… ,π帆}が,単位球面32に接
する単位球の接点からなる有限集合の場合,定理2,1,定理2.2が適用できるので
η2≦8(X)<13η⇒η<13
が成り立つ1これよりk(3)<13が導かれ,々(3)≧12であることから,次の定理を得る.
定理2.3た(3)=12
2.2 S(X)<13nの証明
この節ではX={”1,”2,...,”η}・を32土の有限集合で,任意の{≠ゴに対して
φ{ゴ≧π/3をみたすものとする.このとき_1≦cosφ{ゴ≦1/2であることに注意されたい、
以下,定理2.2の主張である不等式
皿
3(X)一Σ∫(…φlj)・13η
{,j=1
をいくつかのステップに分けて導くことにする.
まず,多項式∫(亡)の区間卜1,1/2]における値の変化について考察する。
∫(t)の区間卜1,1/21におけるグラフは次のようになる、ただし∫(一to)=Oとする。
13
2.3次元Kissing Number
O.5
一1−f。
O
また,区間卜0.65,0,121におけるグラフは次のようになる(グラフではπ:t)一
これらのグラフから,∫(‘)は区間[一1,1/21において,ただ一つの実根一‘oを持つことがわ
かる.Maximaで計算すると次のようになる.
37
−f。馬一05907,∫(0):一0005,ブ(05)= 報一00001807
204800
以上から次の結果を得る.
(1) ∫(t)はト1,一folで単調減少であり,区間卜1,1/21においてただ一つの実根一士。
を持ち,(_‘o,1/2]において∫(‘)<0となる.
さて
れ
W)一Σ∫(…φ1ゴ)
ゴ=1
14
2.3次元Kissing Number
とおく.このとき
n
5(xトΣ31(x)
{=1
となる.従って,3{(X)<13(づ=1,..,η)を示せば3(X)<13ηが得られる.
次に
J(ゼ)={ゴl cosφ幻∈正一1,一士。)}
とおく.
{
∫(cosφむ)>O, ゴ∈J(乞)
∫(cosφむ)≦O, ゴφJ(乞)
であるカ・ら
叩)一∫(1)・Σ∫(…φ1ゴ)
ゴ∈J(4〕
とおくと
5{(X)≦乃(X)
(2.3)
が成り立つ. これより次を得る.
(2) 刀(X)<13(乞。。1ゾ..,η)を示せば8(X)<13ηが得られる1
ゴ∈ノ(乞)となる点巧について考察する.θo=arccos士。とおくと,θo島0.9388_であり,
度数法で,ほぼ53.7940である.特に
7r
θO=a.rCCOS t0<一
3
が成り立つ.さて,ノ(乞)の定め方から
ゴ∈ノ(乞) ÷=⇒ COSφ勿<一tO く=⇒ φむ>π一θO
が成り立つ.すなわち,θゴ=π_φ{jとすると,θj<θOが成り立つ。
2.3次元KissingNumber
15
軌 0 εo
ここでeO=_軌を吻の対極点(中心に関して点対称な点)とすると
(3) ゴ∈J(乞)であるすべての点巧はeoからの球面距離がθoより小さい範囲内に
ある1
(2)より
刀(X)一∫(1)・Σプ(…φ1ゴ)く13(1−1,…,η)
ゴ∈J({)
を示せばよいのであるが,
…φザ…(π一θj):一…θj
に注意すれば
η(X)一∫(1)・Σ∫(一…θj)・13(1−!一・・,η)
ゴ∈J(4〕
を示せばよいことになる.そのためには,32土の点eO,V1,、..,μmで,
〈 π 〈
φ幻:挑吻≧一({≠ゴ), θ{=eo挑くθo(1≦{≦m)
(2.4)
3
をみたしているものについて,常に
∫(1)十∫(一・o・θ、)十∫(一…θ・)十…十∫(一…θ帆)<13
(2.5)
が成り立つことを示せばよい.
(4) 以下,式(2.4)をみたす点eo,μ1、・..,ひm(m≧1)について考察する・
m;Oならば∫(1)=10.11<13より,式(2.5)が成り立つので,m≧1であるような点
εO,μ1,...,ひmについて示せばよい.
2.3次元Kissing Number
(5) 式(2.4)をみたす点εo,μ1,_,ツm(m≧1)についてm≦4が成り立つ.
’.’
j m≧5であると仮定して矛盾を導くことにする.∫2の中心0を原点と
し,eo=(0,0,1)となるようにπμ軸を定め,p.8の式(1.1)のように82に球
面座標を導入する.跳の球面座標が(θ4,ψ乞)であるとする.θ{=0と仮定する
と,εO=挑となるので,吻≠軌を選び,θo<葦に注意すれば
7「 7「
百≦蛎=砺くθ、
となり,矛盾が生じる.ゆえにθ壱>0({:1,..,m)が成り立っ1{≠ゴとして,
三角形eo舳jに余弦定理(p.6)を適用すると,
…φザ…θ1…θゴ十・i・θ1・i・θゴ…(物一9ゴ)
となるが,O<θ{,θゴ<θoであるから,sinθ{,sinθゴ≠Oとなる。cosφむ≦まに注
意すると
ト…θ1…θゴ
…(ψ、一ψ。)≦ (26)
Sinθ壱Sinθj
が得られる.ここでO<α,β≦θoに対して
芸一…α…β
ρ(α,β)=
SinαSinβ
とおく.cosα,cosβは共に1/2より大きいから
∂Q(α,β) 2cosβ一。osα ∂Q(α,β) 2cosα一。osβ
= 。 〉O, = 〉O
∂α 2sinαsinβ ∂β 2sinαsin2β
が成り立つ.これより
ρ(α,β)≦ρ(θO,β)≦ρ(θO,θO)
となるので,θO:arCCoS元Oに注意すると
・・い・)・; 盾P1;毒θコ・烹θo−1+・・・…
i1≡;1)一・・・…,・・・…(ll11)÷・…
・・・…
を得る.
従って,物一物は度数法に換算すると,ほぼ76.附で,72。より大
16
2.3次元Kissing Number
17
きくなる.一方,点μ1,...,蝪から,eoを通り,0eoに垂直な平面に下した足を
z1ゾ1.,zmとすると,半直線eozゼ({=1ゾ..,m)は36びをm個の角に分割する.
上述のことから,それらの角の大きさが72。より大きくなるが,これはm≧5
であることに矛盾する. 一
ここで,いくつか記号を導入する、
・”∈32に対して,Cap(”,θ)={ひ∈821⑳≦θ}と定める.
.式(2.4)をみたすような点εo,μ1,...,ツmのあらゆる選び方の中でのmの最大値をμ
とする.(5)の結果から,μ≦4である.
・式(2・4)をみたす点eo,リ1,..・,蝪(m≧1)に対してγ={ひ1,…,μm}とおき,∬(γ)
を次式で定義する.
H(γ)=∫(1)十∫(一…θ1)十∫(一・o・θ。)十…十∫(一・・sθm)
.点μ1,...,帆が式(2.4)をみたすように動くときのH(γ)の上限をん㎜とおく.㌦は
点ツ1,...,ひmが
7「
φザ秘≧百(4≠ゴ),θF砺≦θ・(1≦乞≦m)
をみたすように動くときのH(γ)の最大値である.
・んm、、をん1,..一,んμの中の最大のものとする、
・刀(X)≦んm、、であるから,んm、、〈13を示せば,(2)の主張より,8(X)<13ηが導
かれる.
・以下,ん1,ん2,ん3,ん4を評価して,んm弧<13であることを示すことにする.
.んmを与える点μ1,...,ツ肌が式(2.4)をみたさないとすると,θゴ=θoとなる吻が存在
する一∫(一。osθj)=Oであるから,砂1,_,ひmから的を除いたm−1個の点γ’が
〃(γ’);ん仰をみたす.従って,んm≦んm−1が成り立つので,ん伽一1<13を示せば,
んm<13はそれより導かれることになる.これより,ん帆を与える点μ1ゾ、.,μmが式
(2.4)をみたす場合についてのみんm<13を示せばよいことがわかる。
(6)ん1<13
18
2.3次元Kissi㎎Number
.・
j eo,μ1が式(2.4)をみたすとする.γ二{μ1}より
〃(γ)=∫(1)十∫(一…θ。)
となるが,0≦θ1〈θoより,_1≦_cosθ1<_亡。となる.(1)の主張から,区間
エ_!,to)で∫(t)は単調減少であるから
H(γ)=∫(1)十∫(一…θ、)≦∫(1)十∫(’1)=12.88<13
が成り立つ、よってんユ<13が示された.
1
・∫(一1)=2.77の数値計算にはMaxima[!21を用いた.
・以下のm=2,3,4の場合も,数値計算にはMaximaを用いている1
(7) 式(2,4)をみたす点eo,μ1、_,Vm(m≧2)について,eo≠挑({=1ゾ。。,m)である、
.・
j eO:挑と仮定すると,ゴ≠壱に対して
π 〈 ^ 7r
百≦舳=舳<θ・<言
となり,矛盾が生じる.
一
(8) 式(2,4)をみたす点配置eo,ひ1,...,μm(m≧2)が∬(γ)=んmをみたすとき,どの
挑も,挑とεoを結ぶ大円に沿って,式(2.4)を保ったまま,eoに近づけることはでき
ない。すなわち,眺をeoに近づけると,式(2.4)が成立しなくなる.
.・
j ある眺を,挑とeOを結ぶ大円に沿って,eOに近づける。ただし,他の
点吻≠晩は固定しておく。このとき,θ{は減少するので,_CoSθ{は減少し,
∫(一。osθ{)は増加する.新しい点配置が式(2.4)をみたせば,∬(γ);ん㎜であ
ることに矛盾が生じる.ゆえに,式(2.4)を保ったまま,眺をeoに近づけるこ
とはできない. ■
(9) 式(2.4)をみたす点配置εo,ツ1ゾ・・,伽(m≧2)がH(γ)=んmをみたすとする・こ
のとき,任意の挑に対して,砺:書をみたす的≠炊が存在する、
19
2,3次元Kissing Number
.’
j ある挑が,すべての的≠挑に対して,⑭>音をみたすと仮定するとヨ
仏を,眺と。oを結ぶ大円に沿って,式(2.4)を保ったまま,eoに近づけること
ができることになり,(8)の主張に矛盾が生じる. ■
(10) 式(2.4)をみたす点配置eo,吻,吻が∬(γ)=ん2をみたすとする.
このとき,
〈
疵=春であり,eOはμ1,吻を結ぶ大円の劣弧(舳2)の上にある・
〈
j 疵:青であることは(9)の主張からわかる、次に,εO¢(V1地)と仮定す
..
る1このとき,式(2.4)から,eoはV1,吻を結ぶ大円の上にもないことがわかる。
〈
簡単のため,eoがz軸上にあるとして,eo=(0,0,1)とする.(ひ1μ2)を含む平
面をnとして,32の直径dで,n上にあり,Z軸と直交するものを軸として,
nをz軸との角度が小さくなるように回転する(下図はdに直交する平面によ
る切断面).
て・一..
eO
n
物
リ1
0
このとき,Vユ,V2のZ座標が増加するので,θユ,θ2は小さくなる.従って,∬(γ)
は増加し,式(2.4)は保たれるので,H(γ);ん2であったことに矛盾が生じる.
ゆえにeOはμエ,吻を結ぶ大円の劣弧上にある. ■
(11)ん。<13
’.I
j 式(2.4)をみたす点配置eo,μ1,物がH(γ):ん2をみたすとする。(10)よ
く
り,⑰=葦であり,eo∈(舳2)である。これより
π
θ、十θ。=一 (θ、=砺,θ。=砺)
3
が成り立っ1従って
ん2:〃(γ)=∫(1)十∫(一。osθ1)十∫(一。osθ2)=∫(1)十∫(_cosθ1)十∫(一。os(π/3一θ1))
20
213次元Kissing Number
を得る.ここで
F(θ)=∫(一…θ)十∫(一…(π/3一θ))
とおく.
π
O≦θユ<θo,0≦π/3一θ1<θo=李一一θ。<θ。<θo
3
よりF(θ)を妾一θo≦θ≦θOでグラフ表示すると次のようになる(グラフでは
π=θ)。
2,765
!\\
/ ・.
… / \
2,755 !
2.75
\
\
/
。.。4。 !
\ ノ
\ !
\、∵
。二二1
∵ノ
O.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0」7 0.8 0.9
比
F(θ)〈2,765より
ん。:∫(1)十F(θ。)<12,875<13
が得られる. ■
残るはん3,ん4の評価である.
ここで,球面幾何に関わる必要事項を整理しておく.
.球面32土の2点刎,ωを結ぶ最短経路は大円の劣弧(剛である(cf.[10,p.70,系]).
・82の部分集合γは「u,U∈γならば(剛⊆γ」をみたすとき,凸であるという。
・82の凸部分集合の共通部分は凸であるが,点ツ1,吻ゾ..,μm∈32を含む32の凸部分集
合すべての共通部分を△(ツ1,…,ツm)と表すことにする・△(ツ1,。。・,ツm)は〃1,μ2,…,〃m
〈
を含む最小の凸部分集合である。また△(眈,μ2):(舳2)となる。
21
2.3次元Kissing Number
.32の大円の片側と,その大円との和集合を半球面という.半球面は凸である.
〈
.球面上の3点吻,吻,u3が同一大円上にないとき,(u1吻)を含む大円によってできる
く
半球面でu3を含むもの,(仙1u3)を含む大円によってできる半球面で吻を含むもの,
(吻u3)を含む大円によってできる半球面でu1を含むもの,これら3つの共通部分は,
〈 〈 〈
(仙1α2),(伽1仙3),(吻u3)で囲まれる球面三角形△(〃1,吻,㏄3)となる。
.球面三角形△(吻,吻,吻)について,三角不等式「2辺の長さの和は他の1辺の長さよ
り大きい」が成り立つ.証明は,3頂点を弦で結んでできる平面三角形における三角
不等式と,sinθ/θが区間(O,π/2)で単調減少であることから導かれる(詳細略).
(12) 式(2.4)をみたす点配置eo,μ1,...,μmについて,次が成り立つ。
(i)弼<2θoが成り立つ、
(ii)相異なる3点挑,的,挑は同一大円上にない。従って,△(軌,的,挑)は球面三角形で
ある.
〈 〈
j (i)(〃O)と(eOひゴ)をつなぐと,挑と吻を結ぶ一つの経路となる.その
.・
長さは2θoより小さく,最短経路の長さ感以上であるから,砺<2θoが得
られる.
(ii)簡単のために,リ1,μ2,V3が同一大円上にないことを示す.μ1,V2,リ3がこの
く
順で同一大円上にあったと仮定する。2θo<誓であることと,(i)から,(舳1)
は〃2を含まないので,下図のような点配置になる.
脆
く
。μ。)
〈
(螂。)
μ2
眈 (舳。)
これより
^ 〈 ^ クr
2π:V1μ2+μ2μ3+V3μ1<6θo<6x一=2π
3
となり,矛盾が生じる.ゆえに,μ1,吻,V3は同一大円上にない.
一
(13) 式(2.4)をみたす点配置εo,μ1,μ2,μ3がH(γ)=ん3をみたすとすると,eoは球
面三角形△(挑,〃2,ツ3)に含まれる.
22
2.3次元Kissing Number
..
j εOが球面三角形△(リュ,μ2,リ3)の外部にあると仮定する.適当に番号を付け
く
かえて,(μIμ2)を含む大円に関して,eoと〃3は反対側にあるとしてよい.(10)
〈
の証明と同様に,eoがz軸上にあるとして,εo:(O,O,1)とする.(舳2)を含
む平面をnとして,32の直径dで,n上にあり,Z軸と直交するものを選び,d
を軸として,nとμ3をZ軸との角度が小さくなるように回転する.ツ1,μ2,μ3
がすべてCap(eo,θo)に含まれる(上半球にある)ことと,脆がnに関して,eo
と反対側にあることに注意すれば,それらのZ座標は増加し,〃(γ)=ん3であ
ることに矛盾が生じる.ゆえにeOは球面三角形μ1脚3に含まれる、 ■
(14) 式(2.4)をみたす点配置eo,μ1,吻,脆がH(γ)=ん3をみたすとすると,挑≠吻
に対して,砺:妾が成り立つすなわち,△(ツ1,μ2,ツ3)は球面正=角形となる
.・
j (9)の主張より,△(μ1,ツ2,μ3)の少なくとも2辺の長さは妾である・今,
△(リ1,リ2,リ3)が正三角形でないと仮定し,
^ ^ π ^ π
μ1μ2=μ1ツ3=一, μ2μ3〉一
3 3
であるとする.V2,ツ3はCap(μ1,π/3)の周上にある.Cap(μ1,π/3)の周を含む
平面に,ツ1,eOから下した垂線の足をそれぞれ〃,∬とする.
π/3
μ2
P
P
ッはCap(ツ1,π/3)の周↓の点,∠μ〃P二2θ,〃P=rとする.△〃〃Pに余弦
定理を適用すると
(物)2=(HP)2+(μp)2−2(∬P)(ひp)…(π/2一θ)
=(HP)2+(2・・inθ)2−4・・in2θ・〃
=(HP)2+4…i・2θ・(・一〃)
となる.従って吻一は0≦θ≦π/2の範囲で単調増加である.これより,V
をPに近づけると,吻が減少し,弦μeOの長さも減少する.ゆえにμ2,また
23
2.3次元Kissing Number
はリ3をCap(μ1,π/3)の周に沿ってeoに近づけるとθ2,またはθ3が減少し,
π(γ)=ん3が増加することになり,矛盾が生じる、以上で,△(μ1,μ2,ツ3)が球面
正三角形であることが示された. ■
(15) 式(2.4)をみたす点配置εo,μ1,ツ2,μ3,μ4について,△(吻,μ2,ツ3,μ4)はμ1,μ2,脆,地
を頂点とする球面四角形となる.
.・
j (12),(ii)より,任意の相異なる3点挑,吻,肌に対して,△(挑,吻,肌)は球
面三角形である、残る点を物とすると,眺φ△(挑,吻,ωが成り立つことを
示そう.記号を簡単にするため,μ4¢△(μ1,吻,ツ3)を示すことにする.そのた
めに,V4∈△(V1,μ2,V3)と仮定して矛盾を導くことにする1(12),(ii)より,ツ4は
△(眈,ひ2,ひ3)の内部にある.(εoひ4)に直交し,μ4を通る大円からできる2つの
半球をH1,π2とする.eo∈H1とする.ひ4は△(仇,吻,μ3)の内部にあるから,
少なくとも1つの挑がH2に存在する.μ1∈H1,V3∈H2とする.
〃3
H2
∬ユ μ4
eo
眈 μ2
このときeO,ひ4,晩は同一大円上にないので,球面三角形△(εO,μ4,リ3)ができる.
これに余弦定理を適用すると
COS(砺):COS(廊)COS(ε砿)十Sin(感)Sin(ε続)COS(∠eOμ4μ3)
となるが,∠eoV4μ3はπ/2より大きいから,
7r
…(砿)<…(感)=>θ。>砺〉蔽≧一
3
となり,矛層が生じる.ゆえに△(軌,μ2,μ3,μ4)は三角形でない.θ{=砺を
最大にする点をリ1とすると,μ1,晩,μ3,μ4はCap(eo,θ1)に含まれる.適当に
吻,晩,μ4の番号をつけ変えて,μ1,μ2で定まる大円とCap(eo,θ1)の共通部分,
的,μ3で定まる大円とCap(eo,θ1)の共通部分,Gap(eo,θ1)の周,とに囲まれた
部分にV4が存在するようにできる.これより,△(ひ1,μ2,V3,μ4)がV1,μ2,ひ3,ひ4
を頂点とする球面四角形(4つの劣弧で囲まれた図形)であることがわかる.1
24
2.3次元Kissing Number
(16) 式(2.4)をみたす点配置eo,吻,吻,V3,μ4がH(γ)=ん4をみたすとする.このと
く
き挑と他の的を結んだ3つの(舳j)の中の,少なくとも2つは長さがπ/3である.
〈
j 背理法で示す。一般性を失うことなく,仇と他の坊を結んだ3つの(舳3)
.‘
の中の,疵,疵がπ/3より大きいとする.疵>π/3ならば,式(2.4)を保
ちながら,μ1をeOに近づけることができるので,〃(γ)=ん4であることに矛
盾が生じる.従って,感=π/3である.
eo,ひ1,μ2が同一大円上にないときは,μ1をCap(μ2,π/3)の周に沿って,εoに
近づけることができる。従って,H(γ):ん4に矛盾が生じる、
εO,ひユ,μ2が同一大円上にあるときは,△(μ1,μ2,ひ3,ひ4)が球面四角形であること
に注意すると,(14)の証明と同様に,脆,リ4の適当な方吻を,Cap(吻,砺)の
周に沿って,ひ1に近づくように移動させることができる.従って,H(γ)が増
加し,H(γ)=ん4に矛盾が生じる. ■
以下,ん4<13を示すために,点配置εo,μ1,吻,μ3,μ4は次の条件をみたすとする、
{
式(24)をみたし,H(γ);ん4である
球面四角形△(リ1,リ2,リ3,リ4)の頂点が,順に,ツ1、腕,ひ3,ひ4であり,
〈 〈
その対角線が(舳3),(舳4)である
(17) 条件(2.7)をみたす点配置eo,μ1,μ2,μ3,μ4について,次が成り立つ.
(i)⑰,疵のいずれかはπ/3より大きい.
(ii)△(μ1,吻,μ3,μ4)の4辺の長さはすべてπ/3である.
〈 〈
(iii)(川ノ3)と(!舳4)は互いに他を2等分し,直交する.
.・
j (i) 疵:疵=π/3であると仮定する、対角線の交点をωとする.
⑭:π/3より,⑰か⑩のいずれかはπ/6以下である.仮に,⑰がπ/6
以下であるとする1同様に,⑫か⑳のいずれかはπ/6以下であるので,
⑰がπ/6以下であるとする.
(2.7)
25
2.3次元KissingNumber
μ3
V1
このとき,球面三角形△(μ1,ω,μ4)において
7r ^ ^ ^ π
一≦ひ1μ4<μ1ω十μ4ω≦一
3 3
となり矛盾が生じる・ゆえに,感,感のいずれかはπ/3より大きい.
(ii) 上の(i)より,対角線の少なくとも1本はπ/3より長い.今,感>π/3
であるとする.このとき,(16)の主張から,
疵=疵二π/3
が成り立つ.ツ3についても同様に考えて,
感=感=π/3
が得られる、ゆえに△(μ1,晩,μ3,μ4)の4辺の長さはすべてπ/3である.
(iii) R3において,2点V2,ツ4は〃1,〃3から等距離にあるから,中心0と共
に,線分舳3の垂直2等分面上にある.従って,線分舳3と平面0㈱4は直交
する.対角線の交点ωは平面0脚4土にあるので,弦の長さの等式μユω:岬3
が成り立ち,⑫=⑫が得られる.同様に,⑰=⑳も得られるので,対角
線は互いに他を2等分する.また,ωにおける(舳3)の接線は,線分舳3と平
く く
竹となり,1〃における(舳4)の接線が線分卿4と平行となるので,(舳3)と
く
(ひ2V4)は交点ωで直交する. ■
(18) 条件(2.7)をみたす点配置eo,μ1,μ2,μ3,μ4において,d1:疵,d2二愈とする
と,cos(d1/2)cos(d2/2)=1/2が成り立つ.
.・
j 球面三角形舳2ωに余弦定理を適用すると
。osπ/3=cos(∂1/2)cos(d2/2)十sin(d1/2)sin(d2/2)cosπ/2=cos(∂1/2)cos(d2/2)
26
2.3次元KissingNumber
となることから導かれる.
9
次の(19)を示すために,関数ρを導入する.
/(・)一…一・・(、c。、1、/2))(・…芸)
(218)
式(2.8)は次式と同値である.
1
…(ρ(・)/2)…(・/2)=一
(2.9)
2
ρ(5)の定義と(18)の結果に注意すれば,ρ(8)は次のような値をとる(計算略).
ρ(d1)=d2, ρ(d2)=d1, ρ(7r/2):7r/2, ρ(ρ(8))=5
(19) 条件(2.7)をみたす点配置eo,〃1,〃2,〃3,〃4において,d1:1疵,∂2=1励,d!≦∂2
とすると,不等式ρ(2θo)≦d1≦π/2≦d2≦2θoが成り立つ.
.’
j 式(2,9)より,
1
…(ρ(2θ。)/2)…θ。=…(d1/2)…(d。/2)=一
2
が成り立っl d1=‘i2ならば,d2/2<θo<π/3に注意すれば
1 7r
…2(∂1/2)=…2(d。/2)二一⇒d1:d。:一
2 2
となる.d1<∂2のときは
1 π
…(d1/2)>一>・・s(d。/2)・⇒∂。<一<d。
凶 2
となる.同様にして
ρ(2θ。)≦{≦π/2≦d。≦2θ。
が得られる.
(20)ん。<13
・.
j条件(2・7)をみたす点配置e・,ひ1=ひ・舳において,∂・=感・,d・:疵・,
d1≦d2とする.このとき
ん4:〃(γ):∫(1)十∫(一。osθ1)十∫(一。osθ2)十∫(一。osθ3)十∫(一。osθ4)
■
27
2.3次元KissingNumber
であるが,ψ1=θ1+θ3,ψ2=θ2+θ4とおくと
∫(一COSθ1)十∫(一COSθ3)==∫(一COSθ1)十∫(一COS(ψ1一θ1))
∫(一COSθ2)十∫(一COSθ4)=∫(一COSθ2)十∫(一COS(ψ2一θ2))
と表される.ここで
F1(θ,ψ)=∫(一COSθ)十∫(一COS(ψ一θ))
とおくと
ん4=H(γ)=∫(1)十Fユ(θ1,ψ1)十F1(θ2,ψ2)
と表される.F1(θ1,ψ1),F1(θ2,ψ2)を評価したいのであるが,F1(θ1,ψ1)は
ψ1/2≦θ1≦θo
の範囲で評価すればよい。同様に,F1(θ2,ψ2)は
ψ。/2≦θ。≦θ。
の範囲で評価すればよい.またψ1,ψ2については(19)より
ρ(2θo)≦d1≦ψユ:θ1+θ3<2θo, ρ(2θo)≦d1≦d2≦ψ2=θ2+θ4<2θo
をみたす1ここで
ハ(ψ)一
揩モ/可(1,ψ)/
とおく。F1(θ,ψ)はθを固定すると,ψについて単調減少であるから,F1(ψ)
もψについて単調減少である.従って
∫(一。・sθ。)十∫(一…θ。)≦F。(ψ。)≦F。(d1)≦F。(ρ(2θ。))
∫(一COSθ2)十∫(一COSθ4)≦F1(ψ2)≦F1(d2)=F1(ρ(d1))
が得られる、
(イ)ρ(2θo)≦d1<77π/180のときは,ρ(d1)>ρ(77π/180)に注意すれば
ん。≦∫(1)十F1(ρ(2θ。))十F1(ρ(77π/180))
28
2.3次元Kissing Number
F1(θ,ρ(2θo))のグラフは次のようになる(グラフでは”二θ)。
O.6 0.6ヨ O」ア O.〒5 0.日 O.85 0」O
これより,
F1(ρ(2θo))島2.692544826938538
を得る.また,F1(θ,ρ(77π/180))のグラフは次のようになる(グラフでは”=θ).
O.115
0.11
0.105
0.1
0.095
0,09
0.o肪
。.oヨ
∵
○嚇 `㌻「」■一」続;一■ o.目
_.、」
口.日1 0.ヨ2
これより,
F1(ρ(77π/180))剛ユ1454166218519
を得る.以上から
ん。<∫(1)十F。(ρ(2θ。))十F1(ρ(77π/180))
<10.11+2.692544826938538+O.11454166218519
島12.9ユ7086489ユ2373〈ユ3
が得られる.
(口)77π/180≦d1≦π/2のときは,(イ)と同様にして
H(γ)≦∫(1)十F1(77π/180)十Fユ(π/2)
2.3次元Kissing Number
となる.また,F1(θ,77π/180)のグラフは次のようになる(グラフでは”=θ).
呈.1 −r一一 一一一r一一 一τ一一
2
1.9
1.8
1.7
1」6
1」5
1.4
1.3
1.2
1.1
0−7 0,75 0.8 0.ヨ5 0.日
これより,
F。(77π/180)馬2.037407815616842
を得る.また,F1(θ,π/2)のグラフは次のようになる(グラフでは”=θ).
0.日
o」プヨ
o.7
0.閲
o.6
0.彗5
0.5
0.価
o.4
0,35
0.8 0.目2 0.凹 o.朋 o.日日 o.9 0.盟
これより,
F。(π/2)霜O.77078226620763
を得る.以上から,
ん。<∫(1)十F、(77π/180)十F。(π/2)
<10.11+2.037407815616842+O.77078226620763
馬12.91819008182447<13
が得られる・以上でん4〈13が干された・ ■
注意ρ(2θo)≦dユ≦π/2≦d2から単純に
ん。:〃(γ)<∫(1)十F、(ρ(2θ。))十F1(π/2ト13.5733
29
30
2.3次元Kissing Number
と評価しても望む結果は得られない、
最後にん3を評価する.
(21)ん。<13
.・
j 点配置eo,V1,吻,μ3は式(2.4)をみたし,∬(γ)=ん3であるとする・(14),
(13)より,△(眈,吻,リ3)は球面正三角形であり,eoは△(μ1,吻、μ3)に含まれる。
μ1,吻,脆から等距離にある点は,垂直2等分面として得られる3つの平面が交
わる直線で,中心0を通る.この直線と球面82との交点で△(眈,吻,μ3)に含
まれる方を,球面正三角形△(μ1,μ2,μ3)の中心といい,以下,ツ、と表す.μ、は
3つの内角の2等分線上にある.月。=感とおく.eoが△(V1,μ2,μ3)に含ま
れるので,月OくθOとなることに留意されたい.
ひ3
刎
o π/3
π/3
θ3
挑
θレ・。
θ;’一・
μ1
μ2
〈 〈
(ひ1ひ、)と(卿、)のなす角が2π/3であることに注意して,球面三角形舳、ひ3に
余弦定理を適用すると,cos月。〉Oより,
…π/・一・…η…i・・η・・…π/・⇒・・…片・一・一⇒・・一・・一・・点
が得られる.さて,
H(γ)=∫(1)十∫(一。osθ1)十∫(一。osθ2)十∫(一。osθ3)
はCoSθ1,CoSθ2,CoSθ3の対称式であり,△(μ1,V2,V3)が球面正三角形であるこ
とから,
θ1≦θ2≦θ3<θO
31
2.3次元Kissing Number
と仮定しても一般性を失わない.吻,吻,晩からの球面距離がすべてRO以下の
点はμ。のみであるから,月O≦θ3となるので
月O≦θ3<θO
(2.10)
が成り立つ.ここで
(感と感のなす角)
7:∠μ1㈱。
とおく、球面三角形舳3〃、に余弦定理を適用すると,
…月。一…π/・・・・・…i・π/・・i・月・…一…イ
となるので,
7:Ro
が成り立つ.これより,球面三角形削3eOと球面三角形μ2μ3eOとに余弦定理を
適用すると,
COSθ1
1:::ll::1:1:1::続::ll::1:㍑/
(2.11)
COSθ2
が得られる.
θ2≦θ3に注意すると,式(2.11)から,
篶 1 1
−Sinθ3COS(RO+u)=COSθ2一一COSθ3≧一COSθ3
2 2 2
となるので,
COtθ3
・0・(R。十u)≧
凶
が成り立ち,
伽…一・・
ic㍗3)一・・
が得られる.以下
ic等3)一・・
・・一・・一・・
とおく.このとき,次が成り立つ.
0≦u≦吻
u:uOのときはθ2=θ3が成り立つ.
u=0のときはθ1=θ2が成り立つ.従っ
32
2.3次元Kissing Number
て,O<u<吻のときはθ1<θ2〈θ3が成り立つ.さて
H(眈,μ。):∫(1)十∫(一…θユ)十∫(一…θ。)
とおくと
∬(γ)=H(μ1,μ2)十∫(一COSθ3)
と表される、γとしてH(γ)=ん3となる点配置eO,μ1,吻,μ3を選んだのであ
るが,以下,θ1,θ2,θ3を変数と考えて,どこで〃(γ)が最大となるか,そのとき
の値は13を超えないのか,を考察することにする.
θ3をθ3=ψで固定する.このとき,式(2.11)より,H(μ1,μ2)は5=co舳の
連続関数であるから,区間[co舳。,1]で最大値乃(ψ)をとる.式(2.10)より,θ3
は区間風,θOlに含まれるが,〃(γ)を評価するために区間固,θO1を
/l1,/・,ψ・,1・一ψ・コ1・/−
Pη・苓嵜等等1・/
で公害一」する.uを固定してθ3を増加させると,前述の球面正三角形△(仇,μ2,μ3)
の図からわかるように,θ1,θ2は減少し,
∬(ひ1,ひ・)=∫(1)十∫(一…θ。)十∫(一…θ。)
は∫(t)の性質から,増加する.これより,
∬(吻、ひ2)≦凡(ψ4+ユ) (ψ∈[ψ{,ψ毎十11)
が成り立つ。」方,∫(_CoSθ3)はθ3の単調減少関数である.ゆえに
〃(γ)=H(Vユ,μ2)十∫(一COSθ3)≦易(ψ{十1)十∫(一COSψ{)
が得られる.これを5つの区間で計算する.
区間風,38π/180]の場合は,H(μ1,μ2)のグラフを,θ3=38π/!80として,変
数uの範囲[O,uolで描画すると次のようになる(グラフでは”=u).
2.3次元Kissing Number
12.072
0 0」02 0.凹 O.鵬 O03 0.1 口.1!
グラフより,∬(眈,μ2)はu=uoで最大値(島12.0852818301)をとるので,
H(γ)≦易(38πノ180)十∫(一。os Ro)馬12−94252829397461
が得られる.その他の区間も,H(ψ1,吻)の最大値を与えるuが異なることを除
けば,同様に計算することができて,それぞれ
12.942528, 12.964798, 12.950834, 12.960647, 12.951894
の値が得られるので,ん3〈13が示された. ■
注意区間を分割せずに
∬(γ)〈易(θ。)十∫(一…月。)馬13.72936625009385
と評価しても望む結果は得られない.
以上で8(X)<13ηが証明された、
33
3章 Gegenbauer多項式の加法公式
3章では,調和多項式の基本事項,Gaussの公式などをを説明した後,Gegen−
bauer多項式の加法公式を証明する.また,2章において,た(3)=12の証明で
用いだしegendre多項式に関する不等式(定理3.19)を証明する、
この章では,多項式はR係数であるとし,R上のη変数多項式環をP(R帆)と表
す。特に断らない限り,P(Rη)の変数は”1,...,”、である。通常はR[”1ゾ.一,”、1
などと表されるが,この論文では多項式をRn上の多項式関数と見なす場合も
あり,記号ρ(Rη)を用いる.なお,2章で”1ゾ..,”。は82土の点を表していた
が,3章では変数を表すことに注意されたい.
3.1 斉次多項式と調和多項式
まず用言吾と基本事項について説明する.
.P(Rn)の4(≧0)次斉次多項式全体のなす部分ベクトル空間をHo叫(R帆)と表すご
とにする.
㎞ψ)一
^11眼)
伽,…刈
諛e乏軌パ…刈
このとき次の直和分解が成り立つ、
P(Rη)一㊥H・m・(Rn)
4≧O
これより,∫∈P(R几)は
∫一Σ力(カ∈H・m・(Rn))
ゼ≧O
と分解できるが,ルを∫の斉次成分という.
34
35
3.Gegenbauer多項式の力口法公式
.4次単項式”宇’_坤は(n†1)個あることから,次式が成り立っ1ただしdimはR
上のベクトル空間の次元を表す1
・i・…側一
i∵1)
(3.1)
.微分作用素,ラプラシアン△を
・一
i∂ξ)2・十(÷)2
と定める.△はP(R冊)からP(Rn)への線形写像である.
.△∫=Oをみたす多項式∫を調和多項式という.調和多項式全体をHarm(Rη)と表
す・Harm(Rn)は線形写像△の核であるからP(Rη)の部分空間をなす、
・4次の斉次調和多項式全体をHar叫(Rη)と表す.
Har叫(R帆)=Harm(Rη)∩Hom乏(R几)
●Harmo(Rn)=Homo(腿n),Harm1(Rη):Hom1(R几)である.
.△は4次斉次多項式を4_2次斉次多項式に写すので,調和多項式の斉次成分も調和
多項式である.従って,次の直和分解が成り立つ.
H・・m(R几)一㊥H・・m・(Rη)
4≧O
・u・・(u1,。。、,u、),り:(〃1ゾ。、,り几)に対して内積/u,ω/を
n
/u,・/=Σ舳
{=1
と定める.ψ,Uゴは多項式でもよい。
・r2=ぺ十…十靖でr2を定義する、r2は変数”1,、.、,”、の多項式であるが,η≧2
のとき,rは多項式でない.変数を成分とするベクトルを”=(”1、...,”几)とすると,
〈π,Z〉=r2となる.
・ω=(”1,_,”几)とおき,∫(エ1,_,”帆)∈P(R几)を,簡単のために∫(κ)と表す、u=
(u1,_,uη)∈R几のときは,∫(u):∫(u1,..。,uη)である.
36
3.Gegenbauer多項式の加法公式
.∫∈P(Rη)に対して,∫のグラディエント▽∫を,多項式を成分とするη項ヘクト
ルとして,次のように定める、
・∫一
i若r…去)
命題3・1次が成り立っ・ただし,∬:(エ1,…,”仰),”1ツー,”。は変数である・
(1)△(∫9)=9・△∫十∫・△9+2/▽∫,▽9/ (∫,9∈P(Rn))
(2) 〈▽∫,π〉=〃 (.戸∈Homゼ(R帆))
(3)▽(・2道)=24・2(乏■1㌦ (セ≧1)
(4)△(・2石)=(4ψ一1)十2石η)・2(H〕 (4≧1)
【証明】 (1) 次の式変形から導かれる.
・(1・)一
瘁j一斗(1島・・島)一喜(l1幕1・箒・・出
=9・△∫十∫・△9+2/▽∫,▽9/
(2) ∫は4次単項式の一次結合であるから,∫が4次単項式の場合に成り立
つことを示せばよい.
∫(”1、.1.,工n)=沖…”会几,
人1+… 十λn=石
とすると,
∂∫_λ、”全・一・”会・
∂z1
、”会九二λ1工,
”1
且一人、、1・”1・一1一 プ
∂Z2
・ψ=λr,
”2
島一町πタ…ぺ一ぺ
となるので
/巾/一Ση島一(λ1・…
{=1
十λη)∫=乏∫
37
3.Gegenbauer多項式の加法公式
が成り立つ.
(3) ▽(r2乏)のゼ成分が
∂
一(〆十…十・貫)㌧伽千十…十朴■1(2π4)一24・2(4−1)軌
∂軌
であることから,求める等式を得る.
(4) 4に関する帰納法で証明する.4=1のときは
・げ2)一‡∂;隻:)一ξ・一・η
となり,成立する。次に,4:た_1のときに成り立つと仮定する(ん≧2).4=た
のとき,(1),(2),(3)より,
△(・2た)一△(・2(お一1)・2)
一・2・△(・2(為一’))十・2(お一1) ・△(・2)十2/▽(・2(た一’〕),▽(・2)/
=・2・△(・2(た一’))十・2(島一1〕 ・△(・2)十2/2(た一1)・2(k−2)・,2・/
一・2・△(・2(た■1))十・2(トユ)
・△(ヅ2)十8(ん一1)・2(ト’〕
帰納法の仮定を適用すると
一(・(パ1)(/一・)・・ψ一1)・・η・・(/−1))・・(一1)
一(・/(/−!)・・小・(k−1〕
となり,4=んのときも成り立つので,(4)が示された.
定理3.24次斉次多項式のなす空間Hom4(Rη)は次のように直和分解される.
Homぜ(Rη)=Harm老(Rη)①r2Homゼ_2(Rη)
ただし,Hom−1(Rn)=Hom.2(R帆)={0}と定める.
【証明】
4=0,1のときは明らかである.以下4≧2と仮定する.まず
Ha工m正(R帆)∩r2Homゼ_2(Rn):{O}
■
38
3.Gegenbauer多項式の加法公式
であることを示そう。そのために,Harm乏(Rη)∩r2Hom仁2(R几)の中に多項式
∫≠oが存在したと仮定して矛盾を導く.さて,r2=”12+.、.十π。2が2次で
あり,∫が4次であるから,
・2ひ1∫,・2(ひ十1)十∫
をみたす整数レは!以上,ξ以下である.これより
∫=・2レg,・2+9
となる多項式gが存在する.次数を考えると,g∈Hom4−2”(R仰)である.∫∈
Harm乏(R几)であることと,命題3.1より,
O=△∫=△(・2レg)=・2レ・△9+9・△(・2レ)十2/▽(・2リ),▽9/
i・リ(レー1)・・一)・・1−1〕・…一ψ一・)/・,・・/
一・”・…
一・ル…十
i・リ(レー!)・・一)・ψ一1)…リ(・一・リ)・ψ一’)・
一・ル・・…レ
i・(リー1)・η十・(・一・レ))・・1・・)・
が得られるが,リ≧!であるから,r2−gとなり仮定に反する.以上で,
Har叫(R帆)∩r2Hom乏_2(Rη)={O}
が示された、次に,Hom4(Rn)⊇Harm乏(Rn)①r2Ho叫_2(R几)であることから,
dimHom4(Rn)≧dimHarm乏(Rn)十dimHom4_2(Rη)
が得られる.ここで,線形写像△をHo叫(Rn)に制限して考えると,その核は
Har叫(Rη)であり,像はHom乏一2(Rη)の部分空間となる1ゆえに
・i・…側一・i…一1(㎜)・・i・・(・…一・(膿))
≦d1mHarm乏(Rn)十d1mHom4_2(R几)
一・i・
i・・一側㊥・・叫一・(肥))
となるので,
Homセ(Rn)=Harmセ(Rn)θr2Hom4_2(Rπ)
39
3.Gegenbauer多項式の加法公式
■
が示された.
定理3.3次が成り立つ.ただし,[1はガウス記号である.
(1)・i・邸)一
^1111111㈲∵1:き
(・)・…(・几)一・…1(・帆)冊2…叫一・(・帆)①…㊦(・2)I姜]・…。.。【姜](・n)
【証明】 (1) 式(3.1)より,
・i・…炸(∵1)
であり,
・i−2…1川・(膿)一・i・…ゼー・(・・)一(㌃1;3)
である.一方,定理3.2より,
Hom乏(Rm)=Ha.rm乏(Rn)①r2Homゼ_2(Rn)
であるカ・ら,
dim Harm乏(Rη):dimHom乏(Rη)_dimr2Homゼ_2(Rn)
一/:llll∴∵1:き
が得られる.
(2) Hom−1(Rn)=Hom−2(Rn)={O}に注意して,定理3−2を順次適用すれぱ
よし・.
Hom4(R几):Harm6(R刊)㊤r2Hom乏.2(Rれ)
:Harm4(R刊)①r2Harm虐_2(Rη)(D(γ2)2Homゼ_2.2(Rn)
=Harm乏(R帆)①r2Ham{_2(Rn)①(r2)2Harmゼ_2.2(Rn)①(r2)3Homセ_2.3(Rη)
一…叫(・η)θ・2…m仁・(・n)①……θ(・2)【姜]…m追.。一ξ](・れ) ■
3.Gegenbauer多項式の加法公式
40
3.2 球面上の多項式
η次元ユークリッド空間R肌の単位球面
3卜1:{u∈Rn l〈u,u〉=1}
の上の実数値関数gは,ある∫∈P(Rn)が存在して,
ρ(ξ)=∫(ξ) (∀ξ∈3n■1)
をみたすとき,5n−1土の多項式(関数)であるという、3η一1土の多項式全体の作るベクト
ル空間をP(8n−1)と表す.∫∈P(Rn)はRn上の多項式(関数)と見なすことができるが,
その定義域を8n−1に制限することにより8九一1土の多項式が得られる.この対応をρと
おく.
ρ:P(R刊)∋∫Hρ(∫)=∫1。・一・∈P(3η一1)
明らかに,ρは環準同型,かつ全射である.
ρ(P(R帆))=P(8n一工)
補題3.4ρ(Ham(R冊))=P(3η一1)
【証明】 任意にψ∈P(8冊一1)を選び,ψ:ρ(∫),∫∈P(Rη)であるとする。
∫を
∫一Σル∫1∈H・叫(Rれ)
4
と斉次成分の和に分解する.定理3.3,(2)より,
∫Fい・2∼.・十…十・2{ん1.・1+…(∼凹・1∈H・・叫・1(Rn))
と表される.3η一1土ではρ(r2)=1となることに注意すると,
ρ(∫乏)=ρ(んゼ)十ρ(ん仁・)十…十ρ(ん・一・1)十…
=ρ(∼十伽_2+… 十わ仁2{十… )
が成り立つ.ここで
切;伽十伽_2+…十伽_2{十…
41
3.Gegenbauer多項式の加法公式
とおくと
ρ(〃;ρ(ん董),
ん麦∈Harm(R几)
であり,
!−!(/)一
閨^(カ)一手/(ll)一!(手11)1/(・…(・))
が得られるので,
ρ(Harm(R帆)):P(3n■1)
■
が示された.
ここで改めて,
q(Z)=r2=〆十… 十垢
とおき,g−1で生成されるP(Rn)のイデアルを∫とする.
∫:〈q−1〉:(q−1)P(Rη)
命題3.5∫は環準同型ρ:P(Rn)→P(3卜1)の核である.
【証明】
ρ(q_1)は3η■1土で恒等的にOであるから
∫⊆Kerρ
が成り立つ.逆にKerρ⊆∫であることを示そう、そのために,任意の∫∈
Kerρ,∫≠0について(q_1),∫が成り立つことを示す、∫≠Oであるが,
ρ(∫)=Oであるから,∫は定数でない.これより,∫の⑦。に関する次数がOで
ないと仮定して一般性を失わない.ザ1は”ηについて2次多項式で,べの
係数が1であるから,∫をグユで割った商gと余りんユzη十ん2が定まる.す
なわち,
∫=(ザ1)9+h。π。十ん。,
と表される.
g∈町1,。。一,”。1、ん1,ん。∈帥1,。。.,・。一11
∫,g−1∈Kerρであるから,球面8肌■1土の任意の点(ξエ,...,ξ。)
に対し七,
んユ(ξユ,.。.,ξ。一ユ)ξ、十ん。(ξユ,_,ξ。一。):O
42
3.Gegenbauer多項式の加法公式
が成り立つ.これより,η一1次元単位球体
Bη一1:{(・ユ,...,・利一)14+…十・貫一1≦1}
内の任意の点(ξ1,… ,ξ。一ユ)に対して,
ん1(ξユ,..、,ξ帆一。)1一(ξ子十…十ξ貴一。)十ん。(ξ1,_,ξ。一。):O
となることから,
ん1(ξユ,_,ξ、.1)2(1山(ξ1+…十ξ貫.1))一ん。(ξ・,_,ξれ一1)2;O
の成り立つことがわかる.従って,多項式としての等式
ん・(・・、_,・帆一・)2(1一(朴…十ぺ.。))一ん・(・・ゾー一、1・、一・)2
が成り立つ、仮にん2≠Oとすると,R[均,。。一,”冊一1]は素元分解整域であるから
(cf.[8,定理26,131),1一(4+…十端一1)は,ある一次式の平方となり、べの
係数が_ユであることに矛盾する.よって,ん2=。0,従って,ん1=0となるので,
∫;(q−!)9
となり,g_1.∫が示された、
一
補題3.6ρをHarm(Rn)に制限して得られる写像ρ:Ham(Rη)→P(3冊.1)は線形
同型である、
【証明】 ρ:P(R几)→P(S帆■1)は環準同型であるから,線形写像でもある.
従って,部分空間Harm(Rn)への制限
ρ:Harm(Rη)→P(8n■1)
も線形写像であり,その核は命題3.5より,
Harm(Rη)∩∫=Harm(Rれ)∩〈q−1〉
である.Harm(R帆)∩∫=0を示したいのであるが,g∈Harm(R几)∩∫となる
g≠0が存在すると仮定して矛盾を導くことにする.g∈∫より,g:(σ_1)∫
となる多項式∫が存在する.∫の次数をんとする.明らかに仁1≠Ham(Rη)
3,Gegenbauer多項式の加法公式 43
であるから,9∈Ham(Rn)であるためには,ん≧1でなければならない.一方
0=△9:△(∫ザ∫)=△(∫q)一△∫
より
△∫=△(∫q)
が成り立つ.命題3・1,(1)より,
△(∫q)=∫・△q+q・△∫十2<▽∫,▽q〉;2η∫十q・△∫十2<▽∫,2・/
であるカ・ら
△∫=2τ1∫十q・△∫十4<▽∫,・/ (3・2)
を得る.ここで
た
∫一Σル∫1∈H・叫(R帆)
乏=0
と分解し,式(3.2)の両辺に代入し,命題311,(2)を適用すると,
κ た 此 た
Σ△ルー2ηΣノ{Σ△∫・十4Σ舳 (3・3)
乏=0 ゼ:0 4=O 七三〇
が得られる.先次の項を比較すると,左辺はOであるから,
2(η十2た)∫た十q・△ム=O (3.4)
が得られる.さて,定理3.3,(2)より,
W21
1一喜∼ト1・・一一(肥))
44
3,Gegenbauer多項式の加法公式
と分解できるので,命題3.1を用いて,q・△∫おを計算する.
[此/21
・・△∫FΣ・・△({一・。)
続
一喜・(…/此洲一・・…/・/・…〃/)
1た/21
一喜・((・(ひ一1)刈け1・・レ・■1/・1}/)
一誉(ψ一・)・㎞・・(1一ル))㎞・
[た/21
一Σ2中・1た一2リー2)ん1一・ひ・リ
(3,5)
レ=0
式(3.4)と式(3.5)より
[んノ21
喜・(一・・/・ひ(η・・/一・レー・)))一・
(3.6)
を得る.定理3.3,(2)によるHo叫(Rη)の直和分解を考慮すれば,式(3.6)の各
項は0となるが,g≠0であり,
γ1+2ん十リ(η十2ト2卜2)>O,
リ;O,1,..。,[ん/21
であることから,
ん由一・レ=O, ・:0,1,_,1ん/21
でなければならない.これより,∫此:oが導かれ,∫の次数がんであったこと
に矛盾が生じる、以上で,Harm(R帆)∩∫=Oが示された. 一
補題3.4,補題3.6より,次の定理が導かれる.
定理3・7Har叫(8η一1)=ρ(Haエ岬(Rn))とおくと,P(8η■ユ)は,ベクトル空間として,
次のように直和分解される.
P(3n■1)一㊥H・・叫(3九一1)
乏≧O
・以下,P(8几’1)をHarm(3帆一ユ)と表し,球面8n−1土の多項式(関数)を,球面8η■ユ上
の調和多項式と呼ぶことにする.
3.Gegenbauer多項式の加法公式 45
3.3 球面上の調和多項式の内積
ここでは,Ham(8n−1)に内積を定義し,Gaussの公式を用いて,直和分解
H…(3n一’)一㊥H・ml(8n■1)
4≧O
が直交分解であることを示す.Harm(3n.1)上の内積(,)は次のように定義される.
(州一I、÷1一ズエ州/)・い,ψ1・…(・■1) (…)
ただし,I8η一ユ’は3几■1の面積,dξは積分要素(各点における微小面積)である、いくつか
の注意点を述べる.
.(,)は,次の内積の条件をみたす。ただし,ψ,ψ,ψユ,ψ2∈Harm(3η上1),c1,c2∈Rと
する.
o(g,g)≧0であり,等号成立はψ=0のときのみである.
。(9,・・ψ1+・。ψ。)=・1(ψ、ψ。)十・。(9,ψ。)
o(9,ψ)=(ψ,ψ)
.I8冊■は次式で与えられるが,この論文ではその数値を必要としない.
ηπ2
−rn−1 (ηが偶数)
(著)!
13η■=
(午)!2帆π宇帆.、
r (ηが奇数)
(η一1)!
.積分要素∂ξは,球面座標(cf.§1.2)を用いると,次のように与えられる.
・/一(ジ)仙…札 単位球面の場合(/・)
//一一(卜)いゲ半径・の球面の場合(/・)
次の手順で上式が導かれる(詳細略).
(1)κ∈Sn■/を球面座標で表示する.
46
3.Gegenbauer多項式の加法公式
(2)接ベクトル読(4=1,.。.一η一1)を求めると,互いに直交することがわかる。
(3)接平面において,接ベクトルのつくるト1次元直方体の体積が次式で与えられ
る(計算略).
n−1 n−1
∂π
n研一■・i・壱一θ1
壱=1 乞=2
(4)以上から,8n−1土の積分要素dξは次のようになる.
・/一
i鶯州)・い…蜥
(・・1…π,・・14・π(1一・,…,η一1))
Gaussの公式
ここでは,R九の単位球体
ξ…/
〃十一・・小㎜
の場合についてのGaussの公式を証明する.σをBηを含むRnの開集合とする.σ上
で定義された滑らかなベクトル値関数(偏微分可能で偏導関数が連続な関数)
F:σ一→R帆
と,3η■1土の外向きの単位法線ベクトル湯
レ:(レ1,...,レn)
に関して,次の公式が成り立つ.ただし,3n−1土の点”;(”1,、..,”。)は,それ自身が,点Z
における,外向きの単位法線ベクトルであることに注意されたい.
定理3.8(Gaussの公式)
ん・i・舳一ん1/∼/1/
ただし,
∂Fユ ∂凡
div F=一十… 十一,
∂πユ ∂”。
である、
伽=伽ユ此2…伽れ
31Gegenbauer多項式の加法公式
【証明】 Gaussの公式の左辺は
ξ㍑伽…伽 (・・1・)
となる、乞=ηの項は,
∂^
五
一dπη… d”1
几∂”。
一ズ、凡(い一ユ,1+・・1一・))・叫一1伽
一ん.1寸1,,叫一・,一1一(・1・・硝一・))・∼一1・伽
凡が連続だから累次積分可能であり,
一∫、帥、∫小…,伽一・=肩)(/・/ (・・ll)
一ムJ1小…仙一肩)グ・伽/(・・1・)
となる.式(3.11)は,変数変換
π
ρ=sinθ冊_1, O≦θ帆_1≦一
2
を行うと,
/1∈卯一・∫小…,伽一・,η)(!・/ (・・1・)
一∠、帥.,川・・…,叫一1,…み一・)…み一1・iバー2舳一1・/
となる.同様に,式(3,12)は変数変換
π
ρ=Sinθn_1, 一≦θ几_1≦π
2
を行うと,次のようになる.
∠∈附、∫’小,…{一1,一戸)・一2・/・1 (/l・)
一一∠、炉μ・,…^…に1)…み一・・i{一・舳/
47
48
3.Gegenbauer多項式の加法公式
一方,単位球面8η一1土の点(π1,...,π。)では,法線ベクトルレの第η成分は
リη:”η:COSθn_1
であるから,式(3.11),式(3.13),式(3.14)より,
∂凡
∠
一d”パ・dT1
。∂”η
一人炉、ブ恥一・・∼小・・ポ・・iポ2い一1・/
一/、帥.、}/
を得る、乞≠nの項についても,適当な球面座標を用いると,
んか…伽一ん工}/
が得られる.これらの和をとると,Gaussの公式が導かれる.
調和多項式の直交性
定理3.94,んが相異なる非負整数のとき,
(ψ,ψ)=O
(l!l・…ぺ・一’)rl/l…叫(ザ1))
が成り立つ.従って,定理3.7の直和分解は直交分解である.
Harm(3n−1)=Harmo(8η一1)⊥Harmユ(5η一1)⊥_⊥Harm乏(3n■1)⊥、、
【証明】 2節で示したことから,
ρ(∫):ψ, ρ(9)=ψ
をみたす,∫∈Harmぜ(R几),g∈Har叫(Rれ)が存在する.5九一1土の外向きの単
位法線ベクトルをμ=(〃1、...,レ。)とする.レは3η一上の点と見なすことがで
きるので,命題3.1,(2)より,
〈▽∫,レ〉=4∫,
/▽9,・/=んg
一
49
3,Gegenbauer多項式の加法公式
が成り立つ.ここで,
・一…∫一
i・老コ…,・島)
とおくと,
ム・肘舳一は去(・若)伽
一ん‡(総・・箒)扮
一ん(/・川/…1)伽
一ん/・人・・/血
となる.一方,Gaussの公式より,
ん・i・舳一ん工/}/+1/・・〃/
一人I、・/・〃/一㌦.1・μ/
となるので,
ム/・ム・・/・…ム.ユ・μ/
が得られる、同様にして
ん/・・,・//・…ズ11・・/
を得るが,4≠んであるから
∫
∫〃ξ:0
η」一1
が成り立つ.これより,
(州■、÷1Iズ1以■、÷ユIズ1川/一・
が導かれる1
■
50
3.Gegenbauer多項式の加法公式
3.4 帯球関数とGegenbauer多項式
まず,基本事項を整理しておく1
.η次元ユークリッド空間R刊の線形変換で内積を保存するものをη次直交変換という.
.η次直交変換は正則変換であり,8n■1を不変にする.
.η次直交変換全体のなす群をη次直交群といい,0(Rη)と表す。0(Rη)はη次直
交行列全体のなす群と同一視できる.
.式(3.7)で定義した内積により,Harm乏(3ト1)はユークリッド空間と見なすことがで
きる、
○Ham老(5n−1)の直交群を0(Ham乏(8η一1))と表す.
●定理3,3,(1)より,
・一…一(ポ)一一
^:1∵だプ), ゼ〉2のとき
4=0,1のとき
である.以下
・一㌦一/:ll;1∴)∵lrl:き
とおく.
.η;1のとき,dimHarmo(3n−1)=dimHarmユ(3帆一1)=1であり,4≧2のときは
dimHarm4(3n−1)=Oであることを注意しておく.
.0(Hamゼ(8れ■1))は0(RM)と同一視できる、
直交群
σ∈0(Rれ),ψ∈Har叫(8帆■1)に対して
(σヰψ)(ξ)=ψ(ξσ)
と定めると,次の命題が成り立つ.
(ξ∈3れ一’)
(3.15)
51
3.Gegenbauer多項式の加法公式
命題3.10σ∈0(Rn),ψ∈Har叫(3η一ユ)のとき,次の(1),(2),(3)が成り立つ一
(1) σ}∈Harm4(3作1)
(2) σ‡∈0(Harm乏(3肌11))
(3)σ→σ‡は0(Rη)から0(Harm乏(3η一1))への群準同型である.
【証明】 (1) ∫∈Har叫(Rn),ρ(∫)=ψとする1ここで
σ‡∫(”):∫(”σ) (”∈R几)
と定義すると,
ρ(σ‡∫)=σヰψ
となるので,σ‡∫∈Ham(R刊)を示せばよい.”:(:r1,...,”η)に対して
zσ=μ=(眈,...,vη)
とおく.σに対応する直交行列を
λ一
とすると
い一
i1∵)
。∵1)
と表せる.従って
∂吻
ひ1=α11”1+榊十.’.十α几^⇒π=α11
が成り立つ.λが直交行列であるから
η
Σαψ幻=δ幻 (δ幻はKroneckerのデルタ)
た=1
52
3.Gegenbauer多項式の加法公式
であることに注意すると,
・(・1)(π)一之∂架)
{=1 旭
一‡去(∂6岩)裟)
一#シ蝪訟
一喜幕榊蝪
一‡(‡榊)1;鍔
一幕ら1搬
一声∂静)一・
となるので,σヰ∫∈Har叫(R机)が示された.
(2) 上の(1)より,σ*はHar叫(∫れ■1)からHar叫(∫卜1)への写像となるが,
線形変換であることは容易にわかる.また,
(・州一
C、÷・,んユ(∼(/)(・ψ)(/)・/
■、÷ユIん、州㌘)・/
■、÷。Iん1!(/)ψ(/)・(ピ)
となるが,8η11の積分要素は直交変換σの作用で不変であるから,
一I、÷1Iん、!(/)ψ(/)1/一(州
が得られる.σ}がHam乏(3作1)の内積を不変にすることから,σ‡∈0(Harm老(8η■1))
が成り立つ.
3.Gegenbauer多項式の加法公式
(3) σ,τ∈0(Rn)とする一このとき
((σ‡〆)9)(ξ) = (σ}(〆ψ))(ξ)=(τ串ψ)(ξσ)
=ψ((ξσ)T):9(ξστ)
= ((στ)‡ψ)(ξ)
より,(στ)申=σ‡ゲが成り立つ、ゆえに,σHσヰは0(Rれ)から0(Ham乏(3n−1))
への群準同型である. ■
帯球関数
・e1,e2,...,e几をRηの標準的正規直交基,すなわち,
◇
・F(0,_,1,0,_,0) (乞=1,2,..。,η)
とおく、
・0(Rn)の部分群0(R几■1)を次式で定義する.
o(Rη一1)={σ∈o(Rれ)l eニニe、}
.0(Rn−1)により不変なHarm4(3n■ユ)の元全体の集合をZ4(3n■1)と表す.
Zぜ(8n一ユ)={ψ∈Harmゼ(8n−1)1σ}:ψ,∀σ∈0(Rn−1)}
である.Z4(8れ■1)に含まれる関数を4次の帯球関数という、
命題3.11ψ1,...,榊を内積(,)に関するHarm4(3n−!)の正規直交基として,3n■1×
3仰■1土の関数F(ξ,η)を次式で定義する.
M
F(ξ,η)一Σψ1(ξ)州(ξ,η∈8n−1)
{土1
このとき,次の(1),(2)が成り立つ、
(1)任意のσ∈0(Rη)とξ,η∈3η一1に対して,F(ξσ,ησ)=F(ξ,η)が成り立つ.
(2)F(ξ,η)は正規直交基のとり方によらずに定まる、
53
3.Gegenbauer多項式の加法公式
【証明】 (1) 命題3.ユ0,(2)よりσヰ∈0(Harm4(8n■1))である.から,σ‡の作
用はN次の直交行列丁によって
(σま(9。),…,σヰ(卯))=(ψ。,…,州)T
と表すことができる.Tの転置行列を印とすると,叩丁が単位行列である
から,
N
F(ξσ,ησ)一Σψ1(ξσ)・州σ)
マ
一Σ(σwξ)・(∼)(η)
{=1
一(州(/),…{)(/))て∼)(1)一・・一・(!・)(1))
斗1(/)一…榊(/))グ((l1(1),…〃(1))・)
一(ll(/)r…洲(/))(・・ゲジ(州,…榊(1))
十(/)一・・〃(/))て!1(1),…州(1))
w
一Σ・1(ξ)刈η)
{!1
=F(ξ,η)
(2) 正規直交基の間の変換行列は直行行列であるから,(1)と同様にして証明
できる. ■
補題3.12η≧2のとき,任意の老≧0に対して,Z4(3n−1)≠Oである.
【証明】 ∫皿11土の関数入,九を
柵(/)一・(叶シ(/)州一(ξ{小)(/∈ポ)
で定義する.さて,σ∈0(Rη一1)を任意に選ぶと,命題3.11,(1)より
∼,几(ξσ);F(ξσ,・。)=F(ξσ,・ζ)=F(ξ,・。);∼,れ(ξ)
54
3.Gegenbauer多項式の加法公式
が得られる.従って
∼,、∈Z乏(3作1)
が成り立つ.一方,次に命題3,11,(1),および0(Rn)が8n.1上司移に作用する
ことから,
/{)■、÷ユーん1/〃/■、÷。人1伽)・/
一,、÷・,L、榊/+、ムー(シ(/)小
一‡(一)一・一/:二∵プ∵1:き
(η十i−1)≠Oであり,η≧2のときは(n+i11)一(ηだ;3)≠Oであるから,入,、≠O
となり,補題3.12が証明された. ■
・∼,。∈z4(∫卜1)であることに注意されたい.
補題3.13∫∈Hom乏(Rη)が,任意のσ∈0(”)に対して,σヰ∫=∫をみたすならぱ
4は偶数で,∫:Cφと表される(Cは定数)1
【証明】 ∫≠0としてよい.0(Rπ)が3nI1上司移であるら,仮定より,∫は
3η■1土で定数である.3冊■1土で∫(ξ)=Cであるとする.
”
”=(・。,,・帆)∈R肌,・≠0⇒ ∈8几■1
月
となるので,∫が4次斉次多項式であることより,
1(六)一・一ル)一・(朴…イ
が成り立つ.これより,多項式としての等式
∫(・)2一・2(・1・・;・…・・三プ
が得られる1η≧2のとき,π言十ω;十…十端は既約多項式であるから,左辺
が平方式であることより,4は偶数となる.η=1のときは,”1が既約多項式で
あるから,
∫(π)=cパ
55
56
3.Gegenbauer多項式の加法公式
となるが,右辺が3o={土1}で一定値をとるためには,4は偶数でなければな
らない.以上で,∫:Cqξが示された. ■
補題3.14∫∈HomぺRn)とする.”:(”1,...,”帆):(π’,π。)∈Rηとおき,
セ
ル)一Σ∫H(小ズルゴ∈H・m・一ゴ(Rn■1)
ゴ=O
と表す.また
・一・・
i÷)㌧一(去)2・・(、÷1)2
とする.このとき,次の(!),(2)は同値である.
(1)△∫=0
(2)△’∫H+(ゴ十1)(ゴ十2)∫・十・=O (ゴ=0,1、_、グ2)
【証明】
次の計算より導かれる.
・1一・
iξ})づ
一年ル州)・(÷)2(妄^ぽ以)
望一2 垣
一Σψ’∫・一ル’)十Σゴ(ゴー1)∫り(似一2
卜0 ゴ=2
4−2 4−2
一Σψ∫・一ル’)・Σ(ゴ・2)(ゴ・1)机一1一・(・’)
トO 戸0
4−2
一ξ小}1・1)!l・・レ)(・)
■
定理3.15dimZゼ(8卜1)≦1であり,η≧2のときはdi㎞Z乏(8何一1)=1である.
【証明】
ψ∈Z乏(8η皿1),ρ(∫)=ψ,∫∈Har叫(Rn)とする、∫を補題3.14の
ように
4
ル)一Σ∫1一〃)払 ∫・一ゴ∈H・叫一1(Rn一’) (3・16)
ゴ=O
57
3.Gegenbauer多項式の加法公式
と表す、ψ∈Zぜ(3n−1)より,任意のσ∈0(Rn■1)と,任意のξ∈3九一1に対
して
∫(ξσ)=9(ξσ)=ψ(ξ)=∫(ξ)
が成り立つ.σが線形写像であることに注意すると,”:(”1,...,zη)≠0に対
して
1(・)一1(・1・・端(万≒)σ)
一(ザ端プ1((”子十”十”貴)σ)
一(・1・・小(六)
:∫(”)
が成り立つ、一方,エ。。(z’,z几)とおくと,式(3116)より,
ぜ
1(・)一1(((・)σ斗ξル1((・)σ)・
であるから,
九一ゴ((・’)σ)→1一〃)(ゴ=O,_,4)
が得られ,補題3.13を適用すると,
4_ゴが偶数のとき,ル.ル’)=c4.ゴ小’)宇 (3.17)
4_ゴが奇数のとき,∫‘一ル’)=O
となる.ただし,c4一ゴは定数である、また,△∫:Oに注意すれば,補題3.14より,
小一〃)宇)・(1・1)(1・・)・1+・州宇一・(1一・一・・,/一・)
となることから,命題3.1,(4)より,O≦ゴ≦4_2に対して
i(・一1)(・十・)・(・一1)(肌一1))・(ノ)宇・(1・1)(1+・)・1−1一・州宇一・
・1−1
が成り立つ.これより
・・一〃一.ク)(4一ゴ十η一3)十(ゴ十1)(ゴ十2)・・一j一・=O
(3.18)
3.Gegenbauer多項式の加法公式
58
が得られる.以上から,COが与えられると,上述の式より,∫(”)が一意に定ま
る.ゆえに,dimZ4(8n一ユ)≦1が成り立つ.η≧2のときは,補題3−12より,
dimZゼ(8帆^1);1が得られる. ■
Gegenbauer多項式
定理3.15の証明の中の式(3.16),式(3.!7)より,0’:(0,...,0)∈Rn■1とすると,
老
ゾ(・、)一Σルゴ(・’)一Σ・1一〃(・’)宇一・・
j=O 乏一ゴ≡0(mod2)
となる.これより,帯球関数はeηでの値によって一意に定まる.特に,補題3.12の証明の
中で定義した∼,ηはe。で値Mをとる唯一の帯球関数である一
さて,8卜1土から任意に点ξ=(ξ1,ξ2,...,ξ、一1,亡)を選ぶ1ξ’=(ξ1ジ..,ξ、.1)はR卜1
の原点を中心とする半径口の球面∫’上の点である.0(Rη一1)は3’上司移に作用
するから
ξσ一(0,..1,O,口,f)
となるσ∈0(Rト1)が存在する.このとき,式(3.!6),式(3,17)より,
人1”(ξ)一入,η(ξσ)一Σ・1一パゴ(1−12)宇 (・・!・)
4一ゴ≡O(mod2〕
が成り立つ.
定義3.16次式で定まるGぜ,、(亡)をGegenbauer多項式という。
0。η(1)一Σ・・一パj(1−12)宇
{一5≡O{mod2)
O≦j≦埋
ただし,CHは次式で定める.
・・=N=ル,几,・ゼー〃一ゴ)(4一ゴ十η一3)十(ゴ十1)(ゴ十2)・ぜ一ゴー・=O
・定義より,G乏,、(1)=co=N=(肌†1)一(n㌫3)である。
3.Gegenbauer多項式の加法公式
59
定理3.17(Gegenbauer多項式の加法公式)任意のξ,η∈3卜1に対して,次式が成
り立つ.
G伽(/ξ,η/)=F(ξ,η)
【証明】 〈ξ,η/=亡であるとする・ 0(Rη)の可移性から,ησ:e冊とな
るσ∈0(Rn)が存在する.このとき,
t=〈ξ,η/:/ξσ,ησ/=〈ξσ,e./
であることから,
n−1
ξσ一(π1ヨ…,・η一1,t),Σ・l l−12
壱=1
と表される.命題3.11,式(3.19),および,∼,。,0乏,帆の定義より,
F(ξ,η)二ρ(ξσ,ησ)=F(ξσ,・帆);∼,η(ξσ)一q,、(トG・,。(/ξ,η/)
が導かれる. ■
定理3.19の証明
ここではLegendre多項式とGegenbauer多項式の関係式
0ゼ,。(t)=(24+1)昂(t) (3,20)
を導き,2章,§2.1で用いた,Legendre多項式についての不等式(定理3.19)を証明する.
以下,式(3.20)をいくつかのステップに分けて示すことにする.
・定理1−4より,Legendre多項式{片(土)}κ≧oは区間[一1,11における直交多項式系で
ある.
.上のことから,{P島(t)}ゐ≦、はη次以下の実係数多項式からなるベクトル空間即]、
の基底をなす.従って,O≦m<ηのとき
1
∫
^(f)尤m批;O (3・21)
1
60
3.Gegenbauer多項式の加法公式
が成り立つ.
・ベクトル空間R[f1几は2元g(t),ん(f)の内積(g,ん)を
(・,1)一
?E(1)w
で定めると,η十1次元ユークリッド空間と見なすことができる.
●式(3.21)より
<1,t,...,士伸一1>⊥ = <片(亡)>
が成り立つ.ただし<1,‘,_,fη■1〉は1,tゾ.1,ザ1で生成された即]、の部分空間
であり,〈1,亡,...,亡η’1>⊥はその直交補空間である.
・多項式の族{軌(亡)}k≧oが区間卜1,1]における直交多項式系であるならば,上と同様
にして
く1,t,...,ln−1>⊥=<Q、(f)〉
が得られるので
<ρ帆(亡)> = <片(t)〉
が成り立ち
ρη(亡)=β冊片(亡) (η=O,1,2,一一1) (3.22)
をみたす実数β、の存在が導かれる、すなわち,区間卜1,1]における直交多項式系は
実数倍を除いて一意に定まる.
ここで次の補題を示す、
補題3・18Gegenbauer多項式G4,3(t)について次が成り立つ.
1
∫
G乏,・(1)0m,・(1)批=δ・帆4ル=δゼ仰2(24+1)
1
【証明】 ます
/
∼,・(ξ)λm,・(ξ)∂ξ
2
を求めることにする.
4≠mのとき,Ham垣(32)⊥Harmm(S2)であるから
ノ1
∼,。(ξ)λm,。(ξ)dξ=0
2
3.Gegenbauer多項式の加法公式
が成り立つ.また,N=ルとして,ψ1,_,卯をHarmゼ(82)の正規直交基とす
ると
N
∼,・(ξ)一Σ・1(ξ){)
{=1
であるから,
ム柄(/)柵(/)・/一ん(‡紬(/))(ξ柵(/))・/
jV
一着柵〃レ(/)州/
w
一ξ紬(・・)レ(/)仰(/)・/
」V jV
−1821Σψ1(小(・・)一4πΣψ1(ε・){)
{=1 {=1
:4πF(・。,・。)
となるが,Gegenbauer多項式の加法公式から
4πF(・・,ε・)=4πG乏,。(/ε。,・。/)=4πGl,。(1)=4πN=4π(24+1)
となるので
ノニ
∼,3(ξ)∼,3(ξ)dξ:4π(24+1)
2
が得られる.以上で
ノ;
∼,。(ξ)λm,。(ξ)dξ=δぜm4π(24+1)
(3.23)
2
が示された.次に,上式の左辺を別の方法で計算する.82土の点ξ=(ξ1,ξ2,ξ3)
は
ξ1;sinθ2sinθ1, ξ2=sinθ2cosθ1, ξ3:cosθ2 (O≦θ!<27r,0≦θ2≦π)
と極座標表示される、このとき,p.46で述べたように積分要素dξは
∂ξ=Sinθ2dθ2dθ1
61
3.Gegenbauer多項式の加法公式
62
となるので,
ム/・・(/)/一・(/)・/イ(ズ/・・(/)1一・(/)・i・1・・1・)・1・
と表される.ここで
COSθ2=‘, 一Sinθ2dθ2:dt
と変数変換し,
ξ=(ξ1,ξ。,1)
とおくと,式(3.19)とGegenbauer多項式の定め方(定義3.16)より
λ1,・(ξ)一Σ・}ゴ(H2)宇一・1,・(1)
ぜ一j≡O(mod2〕
o≦j≦‘
である力・ら
レ(/)/一・(/)・/一八ズ/・・(/)/一・(/)・i・1・・1ユ)・1・
一!一’(∫㌦・(/)/一・(/)・1・)(一批)
一川㌦・(1)}l1)批
一・十・・(t)M批
が得られる.これと式(3.23)とから
1
∫
Q,・(士)Gm,・(士)批:δ4m2(2七十1)
ユ
が導かれる. 一
・補題3.18より,Gegenbauer多項式{Gゼ,3(f)}4≧oは区間[一1,11における直交多項式系
である.従って,
0ゼ,3(ご)=βゼ片(‘) (4=O,1,2,…)
をみたす実数β乏が存在する.
63
3.Gegenbauer多項式の加法公式
・補題3.18,式(3.22),定理1.4より
・(・/・・)十ル・(t)批一画・人舳(1)批一/ゼ・2、÷1
となるので
βゼ2=(2老十1)2
が成り立つ.ここで,定義!.3より,片(f)の4次の係数は正であるから,
1im R(t)=十〇c
f→oo
が成り立つ.また,定義3.16より,co>o,c2<O,...と正負が交互に表れるので,t〉1
のとき,Gゼ,3(t)は正となる、ゆえにβゼは正であるので
β・:2老十1⇒G。,。(1)=(24+1)帥)
が得られ,式(3.20)が示された。
定理3.19X:{”1ヨz2,_,π、}を単位球面82土の有限集合とし,φむ:砺とおく。
このとき次の不等式が成り立つ.ただし,局(f)はLegendre多項式である.
n
Σ片(…φ11)≧O
壱,ゴ=1
【証明】 ψ1,,州をHar叫(32)の正規直交基として,32×32土の関数F
を
N
F(ξ,η)一Σψ1(ξ)州
{=1
と定めると,・o・φ幻=/均,㏄ゴ〉であるから,式3−20,定理3,17を用いて,
n n η
(・/・1)Σ局(…φ1ゴ)一ΣGl,・(/吻,πゴ/)一Σ・(州)
{,ゴ=1 {,ゴ=1 {,ゴ=1
一六(き州州)一き(宍州州)
一き(書州)2・・
となり,求める不等式が得られる、
■
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