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IFRS in Focus_IASBが、2015アジェンダ・コンサルテーション

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IFRS in Focus_IASBが、2015アジェンダ・コンサルテーション
IFRS
IFRS in Focus
IASBが、2015アジェンダ・コンサルテーションの
プロセスを開始する意見募集を公表
注:本資料はDeloitteのIFRS Global Officeが作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです。
この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、原文については英語版ニュースレターをご参照下さい。
トーマツ IFRSセンター・オブ・エクセレンス
本IFRS in Focusは、一般のコメントを募集するため2015年8月に公表された「意見募集:2015アジ
ェンダ・コンサルテーション」
(
「本意見募集」
)を要約したものである。
要点
⃝IASBは、将来の作業プログラムの戦略的決定及び全体的バランスに係る広範な一般のインプットを
求めるため、本意見募集により第2回アジェンダ・コンサルテーションを開始した。
⃝本協議文書においてIASBは、基準設定及びリサーチ・プログラムの設置に対して、その証拠に基づ
くアプローチを説明している。
⃝IASBは、作業計画表における前回のアジェンダ・コンサルテーションからの進展を説明するととも
に、現在の作業計画表について議論している。さらに2015アジェンダ・コンサルテーションが対
象とする期間において見込まれる作業計画表の変更についても触れている。
⃝またIASBは、各アジェンダ・コンサルテーションの間隔を3年から5年に延ばすことを提案している。
⃝本意見募集に対するコメントは、2015年12月31日が期限である。
なぜ本意見募集が公表されたか?
IFRS財団のデュー・プロセス・ハンドブックは、
IASBに、IASBの作業計画について3年ごとに公開
本意見募集の内容は何か?
IASBの基準設定アプローチ
2011年と2012年に実施された前回のアジェ
協議を実施することを求めている。2015年のプロ
ンダ・コンサルテーションの結果、IASBは、より
セスを開始するにあたって、将来の作業プログラム
明確に証拠に基づく基準設定に対する新アプローチ
の戦略的決定及び全般的なバランスに係る広範な一
を導入した。これを達成するためIASBは、基準設
般のインプット求めるため、IASBは本意見募集を
定活動を開始する前に、変更の必要性に係る証拠を
公表した。回答は、IASBが、本アジェンダ・コン
提示するためのリサーチ・プログラムを導入した。
サルテーションの最終決定(2016年中盤)から、
その結果、作業計画表は現在、リサーチ・プロジェ
次 回 の ア ジ ェ ン ダ・ コ ン サ ル テ ー シ ョ ン の 開 始
クト、基準レベルのプロジェクト、及び維持管理・
(2020年中盤)までの期間の優先順位を設定する
適用プロジェクトに分類されている。
一助となる。IASBのテクニカルなアジェンダ以外
リサーチ・プロジェクトは、ディスカッション・
の活動として、IFRS財団の評議員会は、2015年
ペーパー及びリサーチ・ペーパーの公表につながる
7月に意見募集「組織構造及びその有効性に関する
ものであり、あるプロジェクトがリサーチ・アジェ
IFRS財団評議員会のレビュー:レビューにあたっ
ンダに取り上げられるのには比較的低いハードルが
ての論点」を別途公表した。IASB議長は本意見募
設けられている。 IASBはあるプロジェクトにつ
集の序文において、利害関係者に対して上記2つの
き、基準設定プログラムに直接追加するための十分
公開協議を合わせて検討することを推奨している。
な証拠がある場合、リサーチ・フェーズを省略する
ことができる。その際の証拠は、適用後レビュー又
はIFRS解釈指針委員会の作業により提供されるこ
とがある。
38 テクニカルセンター 会計情報 Vol. 470 / 2015. 10 © 2015. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC.
基準レベルのプロジェクトは、問題が適切に定義
将来、IASBは、リサーチ・プログラムについて
されており、適用可能で高品質の解決策が入手可能
リソースの増加する可能性が高いことを見込んでい
であるという十分な証拠がある場合にのみ開始され
るが、「概念フレームワーク」のプロジェクトは
る。プロジェクトが基準レベルに移動することで、
2017年に見込まれているプロジェクトの完了に
IASBは定義された問題に対して活動を開始するこ
ともない大幅な減少を見込んでいる。また開示イニ
とを提案する。
シアティブは個別のプロジェクトの最終化にともな
維持管理・適用プロジェクトは、現行の基準に軽
い、同様に人員の減少が見込まれる可能性がある。
微な修正を行うプロジェクト(「狭い範囲のプロジ
IASBは、作業計画の異なる領域にIASBのリソー
ェクト」)又は現行の基準の正式な解釈指針を公表
スをどれだけ配分するかを決定する際に考慮すべき
するプロジェクト、及び適用後レビューを含んでい
要因についてフィードバックを求めている。
る。IFRS解 釈 指 針 委 員 会 が、 解 釈 指 針 や 現 行 の
IFRSに対する狭い範囲の修正では対処できないほ
ど広範に及ぶ問題を識別した場合には、IFRS解釈
見解
第2回の協議は、第1回の協議とは根本的に
指針委員会は当該問題をIASBに託すことが多い。
異 な っ て い る。2011年 に IASBは、 米 国 の
適用後レビューは、すべての新基準及びすべての主
IASBと同等の団体である財務会計基準審議会
要な改訂について求められ、新しい要求事項が国際
とのコンバージェンス作業が終わりに近づいて
的に2年間適用された後に実施される。適用後レビ
いたため、基準の開発方法について大幅な変更
ューによる発見事項は、通常フィードバック文書に
を検討していた。IASBはさらに、最初のリサ
要 約 さ れ る。IASBは 関 係 者 に 対 し て、IASBや
ーチ・プログラム形成するべきプロジェクトを
IFRS解釈指針委員会が適用支援の適切な組合せを
識別しようとしていた。2015アジェンダ・コ
提供しているか、その支援が十分であるかについて
ンサルテーション・プロセスは、作業プログラ
質問している。
ムを修正すべきかどうか、又はどのように修正
すべきかについてより重点をおいている。
IASBの作業計画
意見募集において、IASBは過去、現在及び将来
のテクニカル・アジェンダについて述べている。
リサーチ・プロジェクトは、評価段階のプロジェ
クト、開発段階のプロジェクト、休止中プロジェク
トの3つのフェーズに分類される。評価段階のリサ
前回のアジェンダ・コンサルテーションに係るフ
ーチ・プロジェクトは、財務報告上の問題があるか
ィードバック文書は、IASBの作業計画は主要なプ
理解し、どのような追加の対応が必要かを検討する
ロジェクト(収益認識、金融商品、
リース及び保険)
、
ため、実務上の適用論点を識別し評価する。開発段
「概念フレームワーク」及び基準の維持管理・適用
階のプロジェクトは予備的な評価が完了しIASBが
に焦点を当てることが述べられた。さらに、当フィ
追加の調査が必要と決定したプロジェクトである。
ードバック文書では、リサーチ・プログラムの設定
3つ目の分類は休止されたプロジェクトにより構成
が発表された。
される。プロジェクトは、IASBが、基準レベルの
IASBは作業計画の重点分野について、予想以上
の時間がかかったリースと保険のプロジェクトを除
き十分進展があったと結論付けている。しかし、
プロジェクトの必要がないと決定した場合に、休止
プロジェクトの区分に分類される。
以下の表は本意見募集から抜粋したものであり、
IASBはこれらの2つのプロジェクトについても完
2015年7月31日時点のリサーチ・プログラムの
成間近であると確信している。
概要を表している。
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プロジェクトの段階
プロジェクト名
評価段階
事業の定義
割引率
のれん及び減損
法人所得税
汚染物価格設定メカニズム(以前の排出量取引スキーム)
退職後給付(年金も含む)
基本財務諸表(以前の業績報告)
引当金、偶発負債及び偶発資産
株式に基づく報酬
開発段階
共通支配下の企業結合
開示イニシアティブ―開示原則
動的リスク管理
持分法
資本の特徴を有する金融商品
休止中
採掘活動/無形資産/研究開発(R&D)
外貨換算
高インフレ
本意見募集では、IFRS第5号「売却目的で保有
する非流動資産及び非継続事業」の適用に係るプロ
プロジェクトを重要性及び緊急性の観点からランク
付けすることも求めている。
ジェクトは、IFRS解釈指針委員会が多数の論点を
基準レベルのプロジェクトでは、リース、保険及
託した後、リサーチ・プログラムに追加される可能
び「 概 念 フ レ ー ム ワ ー ク 」 の プ ロ ジ ェ ク ト が、
性がある旨が述べられている。
2015アジェンダ・コンサルテーションの対象期間
IASBは、リサーチ・プログラムにプロジェクト
中に完了することが見込まれている。
を新たに追加すべきか、又は既存のプロジェクト
(活
以下の表は本意見募集から抜粋したものであり、
動中又は休止中を問わず)を削除すべきかについて
2015年7月31日時点の主要なプロジェクトにつ
質問している。さらに関係者に対して、リサーチ・
いて示している。
デュー・プロセスの段階
プロジェクト名
基準を公表予定
保険契約
リース
公開草案を公表済み
公開草案を公表予定
「概念フレームワーク」
開示イニシアティブ―会計方針及び見積りの変更
開示イニシアティブ―重要性に関する実務記述書
ディスカッション・ペーパーを公表済み
動的リスク管理
料金規制活動
ディスカッション・ペーパーを公表予定
開示イニシアティブ―開示原則
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IASBは、関係者に対して主要なプロジェクトに
ついてのコメントを募集している。
アジェンダ・コンサルテーションの頻度
現行の要求事項では、アジェンダ・コンサルテー
IASBは、本アジェンダにある維持管理・適用プ
ションは3年毎の実施を求めている。主要なプロジ
ロジェクトの大半も次回のアジェンダ・コンサルテ
ェクトは通常3年より長い期間を要するため、当該
ーションの開始前までには完了する予定であると述
期間は短すぎるとの見解を示すものもいる。したが
べている。
ってアジェンダ・コンサルテーションで識別された
IASBは、現在の作業計画は財務報告の適時な改
主要なプロジェクトは、次回のアジェンダ・コンサ
善を可能にするもので、現在及び計画されているリ
ルテーションが開始された時点でも作業計画に依然
ソースで実行可能であり、また活動のレベルを増加
として残っていることとなる。したがってIASBは5
させることは、利害関係者がフィードバックを提供
年間の間隔を導入することを提案し、関係者に対し
し、決定された事項を実行する処理能力を超えてし
て当該間隔案に同意できるかどうかを質問している。
まうであろうと結論づけている。IASBは、作業計
画が、適切なペースかつ原則主義の基準設定に適切
な詳細さのレベルでの変更をもたらしているかにつ
いてフィードバックを求めている。また作業計画に
係る追加コメントも推奨している。
コメント期間
IASBは協議文書に対して2015年12月31日ま
でにコメントを求めている。
以 上
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(国際会計基準)
http://www.deloitte.com/jp/ifrs/
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