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勝連城跡周辺文化観光拠点整備基本計画(案)

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勝連城跡周辺文化観光拠点整備基本計画(案)
資料1
勝連城跡周辺文化観光拠点整備基本計画(案)
平成 25 年
うるま市
目次
1. はじめに
1
2. 計画対象区域
1
3. 勝連城跡及び周辺地域の動向
2
4. 自然環境
4
5. 歴史的背景
6
6. 観光資源
12
7. 上位関連計画の整理
20
8. 現況及び課題の整理
26
9. 整備にあたっての視点
32
10. 将来像及び基本方針
34
(1)将来像
(2)基本方針
11. 整備区域の検討
39
12. 基本計画の検討
40
(1)観光振興の考え方
(2)導入施設
(3)アクセス、動線計画
(4)目標利用者数の設定
(5)施設規模の設定
(6)施設管理・運営計画
■参考資料
1.はじめに
勝連城跡は、昭和 47 年(1972 年)に国指定史跡に指定され、平成 12 年(2000 年)に
「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして、首里城跡などとともにユネスコの世
界遺産に登録された。昭和 52 年度より保全修理整備事業により城郭内の整備が行われ、現
在も城壁の石積み等の整備が進められている。
勝連城跡は、歴史文化の象徴としてだけではなく、観光資源としても活かしていくこと
により周辺地域さらには、うるま市の魅力向上につながると考えられる。
本計画は、勝連城跡一帯をうるま市の観光・文化の拠点として位置づけ、観光・文化の
振興及び地域活性化に資する複合的な機能を集約させたエリアの創出を目指した基本計画
の策定を行うことを目的とする。
2.計画対象区域
本基本計画は、勝連城跡及び周辺地域一帯を対象として調査、検討を行うものとする。
うるま市
計画対象区域
計画対象区域
-1-
3.勝連城跡及びその周辺地域の動向
1)地域の人口・世帯数
勝連城跡に隣接する地域は、勝連南風原と与那城西原であり、勝連南風原は 1,396 世
帯、人口 3,620 人、与那城西原は 595 世帯、人口 1,636 人となっている。
【地域内の世帯数】
地域名
単位:世帯、人
人口合計
世帯数
男性人口
女性人口
勝連南風原
1,396
3,620
1,803
1,817
与那城西原
595
1,636
793
843
平成 24 年 12 月 31 日現在
参考;うるま市ホームページ
2)土地利用法規制
勝連城跡史蹟指定区域は、都市計画法の森林地域と第一種中高層住居専用地域が含まれ
ている。勝連城跡より東側の地域は、都市計画用途地域に指定されており、その内県道 10
号線沿道については、第一種住居地域と、近隣商業地域、第二種住居地域に指定されてい
る。城跡より北側については、農用地区域として指定されており、土地改良がされた区域
となっている。西側の地域については、森林区域及び農用地区域、海岸部では漁港区域と
して指定されている。
-2-
3)土地利用現況
土地利用の状況は、勝連城跡は森林区域に含まれていることから、周りは山林となって
いる。城跡周辺については、県道 16 号線を挟んだ城跡入口において、休憩所や駐車場とし
て利用されている一方、近隣には採石場や変電所などがある。北側には南風原集落、西側
に西原集落、南側にはシートピア勝連が位置し、住宅用地として利用されている。県道 10
号線沿道については、商業・業務地域や工業地域が点在している。城跡から東側には与勝
中学校、北側には南原小学校等の公共施設用地もある。
全体的に、用途地域を除いては、山林や農地等の自然的土地利用がなされている。
-3-
4.自然環境
(1)うるま市の自然環境
1)都市の自然環境
石川岳や下原地区※1 の斜面緑地帯、勝連半島南岸の急傾斜地、平安座集落背後や宮城島・
津堅島周囲の斜面緑地といった島しょ地域等の樹林地は、生物の貴重な生息地・生育地で
あり、まちに潤いをもたらすとともに、水源涵養や市土の保全、二酸化炭素の吸収による
地球温暖化の抑制や大気の浄化等の多様な役割を担っている。具志川地区の市街地内にも
まとまりのある自然緑地が点在して残っているが、近年、開発等により減少している。
樹林地に囲まれている山城ダム(旧天願ダム)
、石川ダム、倉敷ダム(旧瑞慶山ダム)等
は、周辺の緑地と水面によって良好な環境が形成されている。また、勝連城跡の北側にあ
る沼地は、水鳥等の貴重な飛来地となっている。
市内を流れる天願川水系や石川川水系等の河川は、治水・利水の役割を担うだけではな
く、潤いのある水辺空間を形成し、多様な生物の生息地・生育地となっているが、雨天時
には赤土が流出し、環境への影響が懸念される。
本市の海岸域は人工的な海岸もあるが貴重な自然海岸も残されており、金武湾一帯の沿
岸はラグーン(広い浅瀬)となっている。また、中城湾港新港地区にはトカゲハゼ※2 の生
息地としてマングローブ帯のある人工干潟が造成されている等、多様な海岸・海浜を形成
している。しかしながら、自然海岸や砂浜は減少し、生活雑排水の混入やゴミの投棄等に
よる水質悪化が見受けられる箇所もあり、環境保全が望まれる。
2)歴史風土を有する自然環境
沖縄ではグスクや御嶽、湧水等は神の宿る神聖な場所として崇められてきた。勝連城跡、
安慶名城跡、伊波城跡等のグスクや、市内に数多くある御嶽や井泉は、それを取り巻くみ
どりと一体となっており、歴史風土を感じさせる貴重な郷土資源であるが、十分な整備が
なされていない箇所もある。特に世界遺産である勝連城跡及びその周辺は環境保全地区※3
として指定しており、適正な保全と整備に努めて積極的な活用を図る必要がある。
また、米軍基地内には天願貝塚等の貴重な史跡と自然環境が残されている。
集落にある闘牛場は、本市の代表的な農村伝統文化の場であるとともに、オープンスペー
スと一体となった緑地空間である。
※1 下原地区:具志川地域の中城湾に面する5字(川田・塩屋・豊原・高江洲・前原)一帯のこと。
※2 トカゲハゼ:スズキ目ハゼ科の魚。沖縄県及び環境省のレッドデータブックにおいて、それぞれ絶滅
危惧種 IA 類に指定されている。日本では沖縄本島の中城湾沿岸及び大浦湾沿岸にのみ生息する。
※3 環境保全地区:勝連城跡の環境保全に関する条例(平成 17 年 4 月 1 日うるま市条例第 84 号)第 5 条
第 1 項にある「勝連城跡及び周辺の環境を保全整備するため、特に必要な区域」
。環境保全地区に指定
されると、次の(1)~(3)の行為に制限がかかる。(1)建築物等の新築、増築、改築、移転又は撤去、(2)
土石類の採取又は土地の区画形質の変更、(3)木竹の伐採。
-4-
3)生活環境の形成に資する自然環境
農地は、生産面だけでなく緑地資源としての役割を有している。本市には、地域の特性
に合わせてビーグ田(い草田)や田芋畑、水田等が残存し、優れた農村環境を形成してい
る。
道路の植栽帯は、通行車両からの排気ガスや騒音を和らげて道路沿いの環境を守ってい
る。
石川公園や野鳥の森公園等の公園・緑地は、都市に潤いを与え、市民の快適な生活環境
の形成に寄与している。
ゴルフ場は管理の行き届いた広大な緑地が形成され、ビオスの丘はヤンバルの植物が繁
茂する優れた自然環境の中に形成された植物園である。
官公庁等の公共施設や大規模商業施設等の民間施設の緑化空間は、施設内の良好な環境
形成ともに、市民の身近な潤い空間としての役割を有しているが、施設によって緑化状況
にばらつきがある。
(2)勝連城跡周辺の景観
世界遺産である勝連城跡は、
「肝高」の風格を持つ悠久の歴史を感じる景観を有している。
城跡頂上からは、周辺の緑や農地、海、街並み等が一望でき、360°パノラマの景観は、訪
れる人々のここを魅了させる。
城跡周辺には、県下でも珍しい区割りの残る南風原の街並みや、漁港に隣接する浜屋等
の集落が形成されており、集落内には多くの文化資源等が残っている。また、勝連城跡は
豊かな緑に囲まれ、城北側にあるユビタには多くの野鳥が訪れるなど、貴重な自然資源が
残っている。
現在、勝連城跡を中心とした勝連南風原地区において、世界遺産である勝連城跡の風格
を守るため、市民・行政の協働による景観まちづくりが進められている。
勝連城跡周辺の景観資源
ユビタから望む勝連城跡
勝連城跡の眺望景観
-5-
5.歴史的背景
本市は、世界遺産の勝連城跡をはじめ貴重な歴史遺産や文化財、各地域で長年培われて
きたエイサーや闘牛、獅子舞など数多くの伝統文化が保存され受け継がれている。
【地区ごとの歴史的な特徴】
●石川地区
先史遺跡が9 箇所確認され、その中で「伊波貝塚」は、沖縄の
縄文式文化の存在を決定的にした貝塚で、国指定の史跡となって
いる。
太平洋戦争までは美里村政下の農村集落であったが、戦中戦後、
米軍により設置された避難民収容所や琉球政府の前身である沖縄
諮詢会、さらには民政府設置など戦中戦後の沖縄政治・経済の中
伊波城跡
心地として発展してきた。
●具志川地区
按司時代からの城跡が多く残っており、中頭地方の古くからの
拠点である。
肥沃な土地に恵まれ1941 年にはサトウキビの生産量が沖縄一
となっている。
戦後は、外国語学校、文教学校、農林学校などが創設され、戦
後沖縄の文教の中心地として発展していた。
●与那城地区
安慶名城跡
先史遺跡が12 カ所、グスクが5カ所確認されている。
12 世紀ごろ、勝連に出現した勝連按司の支配下におかれ、10 代
目の阿麻和利の時代に全盛期を迎えた。17 世紀初頭から国頭の東
海岸に生活必需品を供給し、木材や炭などを南部に運ぶためにサ
バニを数隻組んだテーサン舟が活躍するようになり、平安座島を
中継地とし、南部の与那原港に往来した。
ジャネーガマ遺跡
●勝連地区
先史遺跡が51 カ所確認され、半島側では南側に多く、津堅島で
は海岸部に点在、浜比嘉島には洞穴内遺跡が多く見られる。
勝連按司 10 代目の阿麻和利の時代になると勝連は最盛期を迎
え、徳之島や奄美大島、さらに中国や朝鮮との交流も盛んに行な
われていた。平成 12 年、勝連城跡が世界遺産に登録されている。
勝連城跡
-6-
(1)勝連城跡の概要
1)地理的環境
勝連城跡が所在する勝連南風原は、市の半島部(勝連半島)の根元部分に位置する。北
西から南方にかけて長さ2.75km、幅1.2kmと旧勝連町内では比較的広い集落で、肥沃な土地
柄である。地質は、丘陵部の一部に島尻マージがあるが、ジャーガル土壌が大半を占め、
海岸低地に若干のカニク土壌がある。
本城跡は、その南風原の北西側に位置し、琉球石灰岩丘陵上(標高60m~100m)に築か
れたグスクである。崖地形が巧みに利用され、北西の最高部から一の曲輪、二の曲輪、三
の曲輪、四の曲輪と各平場が階段状に低くなり、再び南東側の東の曲輪で高くなっている。
明治時代まで城郭をめぐる石積が良く残っていたようで、海岸側から見る姿は進貢船に似
ていたと伝えられている。最も高い一の曲輪に上ると、北は遙か金武湾を囲む北部の山々
や太平洋の島々が望まれ、南は知念半島や中城湾、それを隔てて護佐丸の居城であった中
城城が一望できる景勝地となっている。
城の南側傾斜地はかつて南風原集落が展開して、海岸には海外貿易の拠点となった港が
あり、繁栄していたと伝えられている。それを物語るように御嶽やカー(井泉)が多数所
在し、南風原集落があったとみられる南風原古島遺跡からは石塁遺構などの屋敷跡や、城
から分配された陶磁器類が多数発見されている。また城の北側は、現在はほとんど埋め立
てられているが、かつて湿地帯であり、城の財政を支える田圃などの農地が広がっていた
と考えられる。
2)歴史的環境
あ
ま
わ
り
勝連城は、『阿麻和利』の居城として有名であるが、古墳~平安並行時代末より古代人
の生活の場として利用され、13世紀頃から城塞として整備されたと考えられている。伝承
たいせい おう
かつれんあんじ
によると、初代城主は英祖王系二代目の大成王(1300~1308年)の五男(勝連按司)であ
い は あ ん じ
ったと伝えられている。その後、5代目のときに跡継ぎが出来なかったため、伊波按司(伊
波グスク)の六男を養子に迎え、6代目とする。続く7・8代は交代の理由は判らないが、
も ち づ き あ ん じ
浜川按司となっている。そして9代目は茂知付按司となるが、圧政を敷き酒に溺れたこと
あ
ま
わ
り
あ
ま
わ
り
から、人々の信頼の厚い加那(のちの阿麻和利)によって倒される。阿麻和利によって勝
しょうたいきゅう
ももとふみあがり
連はますます栄え、当時の琉球国王( 尚 泰 久 )の娘(百度踏揚)を妻にするほどの力を持
つ。
ご
さ まる
阿麻和利は、1458年ライバルの中城城の護佐丸を倒し、首里城に攻めたといわれている。
おにうふぐすく
首里城で敗れた勝連軍は、逆に大城賢雄(鬼 大 城 )を総大将とする首里王府軍に攻められ、
あ
ま
わ
り
阿麻和利は敗れ、勝連城は廃城になったといわれている。
その後、17世紀頃まで祭祀の場など何らかのかたちで利用されていたことも判明してい
-7-
る。廃城後、明治の頃までは、城を取り囲む石積が良く残っていたようであるが、大正時
代から昭和にかけての採石により、石積のない城に変貌した。
勝連城跡の考古学的な発掘調査は古く、1960年に大川清氏により古瓦研究に中心をおい
た調査が行われた。次に1965~1968年の4ヶ年に亘って琉球政府文化財保護委員会により
調査が行われ、城の成り立ちが明らかにされ、同時に夥しい量の遺物が出土した。また1970
年にも遺構調査が実施された。出土遺物は豊富で、元様式青花を含む中国産の陶磁器が多
量に出土している。その他に東南アジア産の陶磁器類、朝鮮の磁器、大和系の瓦が出土し
ており、勝連城が一時期、海外貿易の拠点として壮大な力をもっていたことが判明してい
る。
【勝連の按司の系譜(伝承)】
資料:
「うるま市文化財シリーズ⑥ 勝連城跡」市教育委員会 文化課
-8-
<勝連城跡の5つの時代>
前述した発掘調査によって城の成り立ちが明らかになりつつある。大きく分けると5つ
の時期があったと考えられる。
第1期は、フェンサ下層式土器(くびれ平底土器)を中心とする遺物が出土する時期で、
古墳~平安並行時代末(沖縄貝塚時代後期末)。
第2期は、フェンサ上層式土器(グスク土器)を中心としてカムィヤキ(類須恵器)や
白磁玉縁口縁碗などが出土する12~13世紀中頃の時期。勝連城跡の築城時期は、この時期
だとされている。
第3期は、中国産陶磁器の量が増え始める頃で、13世紀後~14世紀中頃の時期。
第4期は、大規模な土木工事を行い、城を整備していく時期で、中国産の陶磁器が大量
に出土する(14世紀後~15世紀中)。その陶磁器などからみて、栄えた時期であったと考
えられる。阿麻和利が城主となった際には、海外貿易によって勝連がもっとも栄えた時期
と推測される。
第5期は、廃城となり祭祀の場などとして一部が使用された時期(15世紀後~17世紀)。
以上のように勝連城跡は、古墳~平安時代末から17世紀頃まで生活の場として連綿と利用
されたことがわかっている。
資料:
「うるま市文化財シリーズ⑥ 勝連城跡」市教育委員会 文化課
-9-
<曲輪の概要>
【一の曲輪】
最高部の一の曲輪からは大量の瓦が出土している。砂岩製(ニービノフニ)の礎石も発
見されていることから、瓦葺きの建物があったことが判明している。また本グスクにおい
ても良質な中国産の陶磁器が最も多く出土していることから、重要な施設があったと推測
される。
【二の曲輪】
正面約17m、奥行き約14.5mの礎石建ちの建物跡が発見されている。近年の調査や研究
によって、二の曲輪やその前面にある三の曲輪からも多くの瓦が出土しており、この建物
も瓦葺きであった可能性がある。
【三の曲輪】
二の曲輪前面の広場であったと考えられており、首里城正殿が前面に広場を有するスタ
イルと似ている。その他、古い時代には掘立柱の建物が建ちならび、表面に粘土を貼った
すり鉢状の遺構も発見されている。
【四の曲輪】
5箇所の井戸(カー)や南風原・西原御門が設置され、城の生活機能や最前線の守備機
能を備えていた。 東の曲輪は、四の曲輪の井戸を防御する上で、軍事的に重要な箇所であ
ったと考えられており、近年の発掘調査によって石垣の外側から堀切とみられる遺構も発
見された。
現在も発掘調査は継続中であり、今後も新たな遺構が発見される可能性がある。
想定復元画:藤井尚夫氏
資料:
「うるま市文化財シリーズ⑥ 勝連城跡」市教育委員会 文化課
- 10 -
<南風原集落の概要>
字南風原は、本市の南西部に位置し、旧具志川市と旧勝連町の境を接した肥沃な地に位
置している。
南風原集落は、勝連城南側傾斜地の元島原に発祥したと伝えられ、1726年(尚敬王
14年)に、※前浜三良(カッチンバーマー)の努力によって、現在の肥沃な地に移動した。
現在でも、村づくりの大恩人として南風原の人々は感謝して、報恩社を建てて祀っている。
【南風原の文化財】
※勝連間切平安名に生まれた前浜三良は浜掟(はまうっち)という役職にあったことから勝連バーマー(カ
ッチンバーマー)と呼ばれていた。
当時の南風原村を、不憫な勝連城南方断崖の中腹から移動させたり、養魚場を設けて養殖の先駆者の役
割を果たしたと伝えられる。伝説的な人物として琉球中に名を轟かせた。
資料:
「きむたかの文化財シリーズ③ 南風原」市教育委員会 文化課
- 11 -
6.観光資源
本市の特徴的な観光資源は、山・川・海岸・海・島に代表される自然、景観、ビーチ、
グスク、史跡・名所、エイサー、闘牛、観光レクリエーション、特産品などがある。
1)グスク
本市の歴史文化を代表する遺産として、勝連城跡をはじめとする伊波城跡、安慶名城跡、
平安座西グスク、江州グシク、兼箇段グシクなどがあげられます。
最も広く知られ、国指定文化財の史跡、世界遺産にも登録されているのが勝連城跡です。
勝連城跡は、15 世紀に活躍した阿麻和利の居城で、勝連半島のほぼ中央の丘陵にあり、自
然の地形を巧みに生かして築かれた城です。石積みの城壁が優雅で美しく、最も高い一の
郭に登ると、中城湾や金武湾に浮かぶ島々、そして太平洋を一望できる景勝地でもありま
す。
伊波城跡は、うるま市石川の標高90mの丘にあり、石川市街を一望することができます。
今帰仁城主の子孫、伊波按司によって築城されたといわれ、城壁は自然石を組み合わせた
野面積みの築城法で、県指定文化財の史跡に指定されています。
安慶名城跡は、14 世紀ごろ安慶名大川按司の築城といわれ、自然の断崖と急傾斜を巧み
に利用した山城です。外側と内側に二重に石垣をめぐらす県内では珍しい輪郭式のグスク
で、国指定史跡です。
■代表的なグスク
・勝連城跡
・伊波城跡
・安慶名城跡
・平安座西グスク
・江州グシク
・兼箇段グシク
伊波城跡
勝連城跡
- 12 -
2)史跡・名所
本市には、グスクの他に数多くの遺跡や史跡、歴史的建造物、有形民俗文化財、歌碑、
名所があります。遺跡では、国指定史跡の縄文時代後期の伊波貝塚や縄文時代晩期の集落
跡の仲原遺跡、県指定史跡の平安名貝塚などがあります。史跡や建造物等の代表的なもの
として、石造建築技術が優れたヤンガーや田場ガー、石畳の大田坂、琉球開闢(かいびゃく)
伝説の神シルミチュー・アマミチューの墓や住んでいたといわれる場所などがあります。
■代表的な史跡・名所
伊波貝塚(国指定史跡)
クボウグスクの植物群落
(市指定天然記念物)
シヌグ堂バンタ
仲原遺跡(国指定史跡)
嘉手苅観音像(市指定建造物)
浜千鳥節の碑
平安名貝塚(県指定史跡)
ヤンガー(市指定建造物)
高離節の歌碑
平敷屋タキノー(市指定史跡)
ガーラ矼(市指定建造物)
伊計離節の歌碑
アマミチューの墓(市指定史跡)
吉本家(市指定建造物)
石川多目的ドーム
ヤマトゥンチュウ墓(市指定史跡)
南風原の村獅子(市指定有形民俗)
伊波闘牛場
ワイトゥイ(市指定史跡)
伊波ヌール墓(市指定有形民
俗)
安慶名闘牛場
新川・クボウグスク周辺の陣地壕群
シルミチュー(市指定有形民
(市指定史跡)
俗)
兼箇段ジョーミーチャー墓
(市指定史跡)
宮城御殿(市指定有形民俗)
浜比嘉大橋
田場ガー(市指定史跡)
与佐次川(市指定有形民俗)
伊計大橋
大田坂(市指定史跡)
中の御嶽(市指定有形民俗)
クーガー橋
沖縄諮詢会堂跡(市指定史跡)
ヒッチャマー
海中道路
東恩納博物館跡(市指定史跡)
伊波按司の墓
石川高原展望台
石川部落事務所(市指定史跡)
ジャネーガマ遺跡
屋慶名展望台
犬名河(市指定名勝)
ヌチシヌジガマ
チャーン(県指定天然記念物)
ホートゥガー
ガーラ矼(市指定建造物)
屋慶名闘牛場
仲原遺跡(国指定史跡)
- 13 -
3)観光レクリエーション施設
主な観光レクリエーション施設として、ビオスの丘、海の駅あやはし館、沖縄サーキッ
ト伊計島、県立石川少年自然の家などがあります。また、ゴルフ場も4カ所あり、多くの
利用者があります。宿泊施設として、リゾートホテルやペンション、民宿などもあります。
■代表的な観光レクリエーション施設
主要観光施設
宿泊施設
海の駅あやはし館
宿泊施設
ホテルへんざ
海の文化資料館
ホテル潮騒
石川歴史民俗資料館
春日観光ホテル
市民芸術劇場
観光ビジネスホテル平安
石川会館
ペンション赤野
きむたかホール
コテージ伊計海の唄
沖縄ロイヤルゴルフクラブ
民宿かいほう
具志川ゴルフクラブ
民宿秀和
高原ゴルフクラブ
民宿やすま
東山カントリークラブ
民宿つけん
石川少年自然の家
神谷荘
沖縄サーキット伊計島
南原旅館
キャロット愛ランド
はなりびら
ホテル浜比嘉島リゾート
ゆがふの郷
ココガーデンリゾート沖縄
浜比嘉ハウス
きむたかホール
海の駅あやはし館
- 14 -
- 15 -
4)闘牛
古くから大衆娯楽として親しまれてきた闘牛(ウシ
オーラセー)があります。ウシ同士を戦わせ、勝負を
競うのが沖縄の闘牛です。うるま市は県内でも特に盛
んで「闘牛のまち」として知られています。市内には
5カ所の闘牛場があり、全島闘牛大会や準全島大会な
どが行われ、大勢の闘牛ファンが訪れます。
石川多目的ドーム
■代表的な闘牛場
・安慶名闘牛場
・石川多目的ドーム
5)エイサー
旧盆の日に先祖の霊を慰めるために行われるエイ
サーは、各地域の青年達の手によって守り、受け継が
れてきました。各地域によって、衣装や演舞が異なり
特色があります。代表的なものとして、屋慶名エイサ
ー、平敷屋エイサー、平安名エイサー、赤野エイサー
などがあげられます。
平敷屋エイサー
■代表的なエイサー
・屋慶名エイサー
・平敷屋エイサー
・平安名エイサー
・赤野エイサー
6)イベント
本市では、全島闘牛大会、全島獅子舞フェスティバ
ル、ハーリー大会、春の芸術祭、うるま市エイサーま
つり、あやはし海中ロードレース大会、うるま祭り、
うるま市産業まつりなど1年を通じて様々なイベント
が開催されています。
また、各地域で受け継がれてきた伝統芸能や年中行
事も数多く催されています。
あやはし海中ロードレース大会
■代表的なイベント
・全島闘牛大会
・全島獅子舞フェスティバル
・ハーリー大会
・春の芸術祭
・うるま祭り
・うるま市産業まつり
- 16 -
・うるま市エイサーまつり
・あやはし海中ロードレース大会
■主要観光資源一覧
資源
種別
自
然
景
観
資源名
ー
チ
浜の人工ビーチ
トンナハビーチ
伊計ビーチ
大泊ビーチ
トゥマイ浜
史
跡
・
名
所
伊覇城跡
安慶名城跡
兼箇段グスク
江洲グスク
勝連城跡
石川高原展望台
石川高原展望台
クーガー橋
ヌテシヌジガマ
嘉手苅観音堂
伊波按司の墓
浜千鳥節の碑
平安名貝塚
ワイトゥイ
ヒッチャマー
平敷屋タキノー
屋慶名展望台
ジャネーガマ遺跡
海中道路
シルミチュー
アマミチューの墓
浜比嘉大橋
与佐次河
シヌグ堂バンタ
高離節の歌碑
ヤンガー
伊計大橋
仲原遺跡
伊計離節の歌碑
犬名河
ホートゥガー
赤野エイサー
主な 平安名エイサー
エイ
サー 平敷屋エイサー
屋慶名エイサー
- 17 -
資源
種別
闘
牛
観
光
レ
ク
リ
エ
シ
ョ
兼久ビーチ
ビ
グ
ス
ク
資源名
ー
石川岳
石川川のマングローブ
クール岳
天願川
屋慶名海峡
浜比嘉島
ムルク浜海岸
平安座島
宮城島
伊計島
津県島
石川高原展望台からの風景
ホタルや野鳥が棲む天願川の風景
野鳥の森林公園の風景
世界遺産勝連城跡の風景
屋慶名展望台からの屋慶名海峡の風景
海中道路からの風景
ムルク浜海岸の風景
浜比嘉大橋からの風景
平安座島高台からの風景
シヌグ堂バンタの風景
宮城島から伊計島に続く高離橋からの風景
津堅島から見た風景
石川ビーチ
昆布ビーチ
宇堅ビーチ
具志川ビーチ
照間ビーチ
資源
種別
ン
施
設
資源名
石川多目的ドーム(全島闘牛大会)
伊波闘牛場
東恩納闘牛場
安慶名闘牛場
屋慶名闘牛場
石川少年自然の家
石川市民の森
東山カントリークラブ
ホテル潮騒
石川会館
石川公園
中央荘
民宿やすま
石川歴史民俗資料館
ビオスの丘
沖縄ロイヤルゴルフクラブ
ココガーデンリゾートオキナワ
高原ゴルフクラブ
民宿かいほう
具志川ゴルフクラブ
安慶名中央公園
民宿秀和
ペンション赤野
市民芸術劇場
春日観光ホテル
きむたかホール
海の駅あやはし館
ホテルへんざ
観光ビジネスホテル平安
浜比嘉ハウス
ホテル浜比嘉島リゾート
ゆがふの郷
はなりびら
沖縄サーキット伊計島
コテージ伊計海の唄
キャロット愛ランドキャンプ場
民宿津堅
神谷荘
南原旅館
7)観光施設(世界遺産)の利用状況
平成 23 年の県内の観光施設(世界遺産)の利用者数は、首里城公園が 202 万人で最
も多く、次いで斎場御嶽 35 万 1 千人、今帰仁城跡 24 万 8 千人となっている。勝連城跡
については、9 万 1 千人となっている。
【施設利用者数の推移】
年度
首里城
公園
単位:千人
玉陵
斎場
御嶽
識名園
今帰仁
城跡
勝連
城跡
中城
城跡
H12
2,059
44
53
-
125
-
48
H13
2,018
87
84
-
217
-
75
H14
2,330
99
86
-
226
-
68
H15
2,466
90
79
-
173
-
60
H16
2,531
99
75
-
197
-
62
H17
2,474
98
77
-
215
-
65
H18
2,659
91
81
-
218
-
65
H19
2,680
85
79
89
233
85
66
H20
2,576
84
78
211
291
94
75
H21
2,212
78
78
241
273
101
89
H22
2,083
72
76
330
240
103
88
H23
2,020
74
69
351
248
91
81
参考:沖縄県 観光要覧 平成 23 年度版
400
350
300
250
200
150
100
50
0
玉陵
H12
H13
識名園
H14
H15
斎場
御嶽
H16
H17
今帰仁
城跡
H18
- 18 -
H19
勝連
城跡
H20
H21
中城
城跡
H22
H23
8)勝連城跡の入場者数
平成 24 年度の入場者数を見ると、年間約 11 万人(平成 25 年 1 月現在)の入場者の内、
県内客が約 2 万 1 千人(18.7%)、県外客が約 9 万 2 千人(81.3%)となっている。
月別入場者数は、年度初めの 4 月から 5 月にかけ入場者総数 1 万人を超えており、6 月か
ら 9 月にかけては減少傾向にある。10 月から年明け 1 月にかけて増加傾向にあり、それぞ
れ一万人を超えている。
【勝連城跡入場者数(平成 24 年度)】
H24.4月
県内
入
場 県外
者
合計
※平成 25 年 1 月現在
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月 H25.1月
2月
3月
合計
2,220
3,132
1,374
1,822
1,448
1,210
2,562
2,954
1,752
2,801
-
-
21,275
13,278
9,582
5,884
6,441
6,442
6,657
7,826
8,817 11,899
15,812
-
-
92,638
15,498 12,714
7,258
8,263
7,890
7,867 10,388 11,771 13,651
18,613
-
- 113,913
参考:うるま市商工観光課資料
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
県外
- 19 -
県内
7.上位関連計画の整理
(1)勝連城跡周辺文化観光拠点整備基本計画の位置づけ
沖縄21世紀ビジョン基本計画(平成 24 年 5 月)
【沖縄振興特別措置法】
中部広域都市計画
「都市計画区
域の整備、開発及び保全の方針」
沖縄県広域緑地計画
(平成 22 年 8 月)
(平成 14 年 3 月)
【都市計画法第 6 条の 2】
新市建設計画(平成 16 年 8 月)
※平成 23 年 5 月公布の地方自治
うるま市総合計画(平成 17 年 4 月)
【地方自治法第 2 条第 4 項】※
法の一部改正により、基本構想の
策定義務はなくなりました。
うるま市都市計画マスター
うるま市景観計画
うるま市みどりの基本
プラン(平成 22 年 3 月)
(平成 23 年 3 月)
計画
【都市計画法第 18 条の 2】
【景観法第 8 条】
(平成 22 年 3 月)
【都市緑地法第 4 条】
うるま市観光ビジョン
(平成 19 年 3 月)
「琉球王国のグスク及び関連遺産群」
包括的保存管理計画 (平成 25 年 3 月)
勝連城跡周辺文化観光拠点整備基本計画
勝連城跡及び宇江城公園基本計画書
(平成 2 年 3 月)
勝連城跡周辺特産品マーケティング
事業(平成 24 年 3 月)
- 20 -
(2)4つの視点による整理
本計画は、勝連城跡一帯をうるま市の観光・文化の拠点として位置づけ、観光・文化の
振興及び地域活性化等に資する複合的な機能を集約させたエリアの創出を目指すことを目
的としている。
したがって、計画を作成するにあたり、「史跡」「観光」
「環境」「整備」の 4 つの視点か
ら現況把握及び課題の整理等を行う必要がある。
視
点
整理事項
1.史跡
歴史的環境に関する事
2.観光
観光振興及び地域活性化に関する事
3.環境
自然環境及び土地利用、景観形成に関する事
4.整備
総合的な施設整備に関する事。
- 21 -
- 22 -
上位関連計画の整理(分野別)
※△は複数の部会において共通する事項
整
備
史
跡
観
沖縄21世紀ビジョン
基本計画
(平成 24 年 5 月)
△歴史的遺産群等を結ぶ観光ルートの整備を促
進し、琉球歴史回廊の形成を図る
△歴史的遺産群等を結ぶ観光ルートの整備を促
進し、琉球歴史回廊の形成を図る
中部広域都市計画
■勝連城跡の公園化
■眺望地点として確保し、公園整備に努める
■概ね 10 年以内の公園整備を図る
△与勝半島の豊かな自然海岸と世界遺産勝連城
跡につながる琉球歴史回廊の整備による快適な
空間を創出する
△歴史的景観と調和した周辺整備及び観光ルー
ト化等を促進
■貴重な歴史文化資源であるグスク群や伝統的
な集落をつなぐ「琉球歴史回廊」の形成を図る
「都市計画区域の整備、
開発及び保全の方針」
(平成 21 年 8 月)
沖縄県広域緑地計画
(平成 14 年 3 月)
△ゆかりの郷土資源等の保全と整備
さんけい みち
△街道・古道・参詣道の緑地的環境の保全整備
(平成 16 年 8 月)
(平成 24 年 3 月)
■自然及び文化を生かした体験・滞在型観光の
創出
△歴史的遺産群等を結ぶ観光ルートの整備を
促進し、琉球歴史回廊の形成を図る
■歴史的景観の保全
■地域の快適空間や観光拠点として活用する
■歴史的景観の保全
境
△与勝半島の豊かな自然海岸と世界遺産勝連城
跡につながる琉球歴史回廊の整備による快適な
空間を創出する
△歴史的景観と調和した周辺整備及び観光ル
ート化等を促進
■登録遺産と周辺環境の保全と活用・普及
■グスクや御嶽や聖域等の保全と活用
△ゆかりの郷土資源等の保全と整備
さんけい みち
△街道・古道・参詣道の緑地的環境の保全整備
△世界遺産周辺整備事業を継承し、勝連城跡周
辺の環境整備を推進することにより、遺産群等
との一体化による琉球歴史回廊の一端を担う
△世界遺産周辺整備事業を継承し、勝連城跡周
辺の環境整備を推進することにより、遺産群等
との一体化による琉球歴史回廊の一端を担う
△歴史的、文化的価値の高い建造物等を新市の
遺産として未来に残す方法の研究や体制づくり
に努める
△歴史的、文化的価値の高い建造物等を新市の
遺産として未来に残す方法の研究や体制づくり
に努める
△歴史資源との連帯を図ることによって新たな
観光空間の創出を図る
後期基本計画
環
■グスク等の史跡と一帯の環境の維持・修復
■沖縄の風土を表す緑の姿の保全・再生
■世界遺産登録のグスクと海岸線や自然河川を
活かす
■地域の歴史を刻む各種文化財についてはその
保護と有効な活用を図る
新市建設計画
うるま市総合計画
光
■勝連城跡周辺の歴史公園の整備
■文化財として指定された土地の買収や城郭内
の保存修理
■憩い・交流の場、観光・レクリエーションの
拠点として歴史公園の整備に努める
△歴史資源との連帯を図ることによって新た
な観光空間の創出を図る
■文化観光拠点として整備を推進するととも
に、休憩所を含めた周辺施設等も有効に活用
し、観光誘客及び物産振興を推進する。
■観光及び景観のシンボルの拠点
うるま市都市計画
マスタープラン
(平成 22 年 3 月)
- 23 -
■勝連城跡の整備・活用を進めるとともに、周
辺地域の保護を図ります。
■歴史的・文化的な景観づくり
■うるまらしい伝統・文化や景観に優れた景観
づくり
■勝連城跡からの眺望及び勝連城跡への眺望景
観の保全
■市内に豊富に存在する歴史・文化的資源を大
切に守る
■城跡周辺の観光スポットや施設、道路につい
ては地域景観と調和した計画的な景観づくりを
推進する
うるま市みどりの基本計画
(平成 22 年 3 月)
■周辺環境と調和した整備と適切な維持管理に
より、地域資源として保全・活用を図る
■文化財として指定された範囲の土地の買収や
城郭内の保存復元
■周辺一帯を含めて誘客性の高い歴史公園とし
ての整備
■歴史的な物語性等を考慮し、自生種を中心に
植栽する。
△城跡北側にある沼地は、水鳥等の調査を行い、 △城跡北側にある沼地は、水鳥等の調査を行い、
勝連城跡と一体的に整備・活用を図る。
勝連城跡と一体的に整備・活用を図る。
△周辺を含めた環境保全・整備を図り、景観資
源や交流拠点としての有効活用を図る。
うるま市景観計画
平成 23 年 3 月
△勝連城跡周辺の沿道景観づくり
△周辺の環境保全及び景勝地周辺に相応しい街
並みづくり
△シンボル景観拠点として施設及び史跡等の適
切な保全・管理
■希少性の高い世界遺産の知名度を生かした
ブランドイメージの確立
■自然、歴史や風土に恵まれた文化、産業等の
豊富な資源を生かした体験プログラムの創出
うるま市観光振興ビジョン
(平成 19 年 3 月)
勝連城跡及び宇江城公園
基本計画書
(平成 2 年 3 月)
△城跡北側にある沼地は、水鳥等の調査を行い、
勝連城跡と一体的に整備・活用を図る。
△周辺を含めた環境保全・整備を図り、景観資
源や交流拠点としての有効活用を図る。
■勝連城跡からの眺望景観の保全
△勝連城跡周辺の沿道景観づくり
△周辺の環境保全及び景勝地周辺に相応しい街
並みづくり
△シンボル景観拠点として施設及び史跡等の適
切な保全・管理
△歴史的環境の保全を図りながら、公園として
質の高い復元整備と活用を図る
△沖縄のグスクを中心とした研究・学習の場所
として施設計画を行う
△グスクや勝連文化の研究と勝連城跡の利用の
活性化を高める施設として、資料館を設置する
△中城湾側の将来開発計画を考慮し、将来の公
園利用及び施設配置に留意する
△園路と広場、駐車場、休憩所、案内板の設置
△歴史的環境の保全を図りながら、公園として
質の高い復元整備と活用を図る
△沖縄のグスクを中心とした研究・学習の場所
として施設計画を行う
△グスクや勝連文化の研究と勝連城跡の利用の
活性化を高める施設として、資料館を設置する
△中城湾側の将来開発計画を考慮し、将来の公
園利用及び施設配置に留意する
△園路と広場、駐車場、休憩所、案内板の設置
■勝連城を舞台にした歴史物語のドラマ化の
働きかけ
■個々の物産やサービスの充実を図るととも
に、経済活動を支援する常設物販所の準備
■勝連グスクまつりの実施
△本格的な資料館の整備
△物販と常設サービスの主舞台になる常設物
販所の整備
△県道 16 号を付け替えし、城跡と駐車場を一
体的に整備
△南風原御門側への入口、駐車場の整備
△景観を阻害する施設の移転の働きかけ
△無電柱化による景観形成
勝連城跡周辺特産品
マーケティング事業
(平成 24 年 3 月)
△本格的な資料館の整備
△物販と常設サービスの主舞台になる常設物販
所の整備
△県道 16 号を付け替えし、城跡と駐車場を一体
的に整備
△南風原御門側への入口、駐車場の整備
△景観を阻害する施設の移転の働きかけ
△無電柱化による景観形成
整
備
史
跡
観
- 24 -
光
△無電柱化による景観形成
環
境
(3)上位関連計画における整備の方向性
勝連城跡の整備にあたり、上位関連計画の方向性は以下のとおりである。
(1)観光資源としての整備・活用
① 観光ルートの整備
② 体験・滞在型観光の創出
③ 地域の快適空間及び観光拠点としての活用
④ 観光及び景観のシンボルの拠点
⑤ 豊富な資源を活かした体験プログラム
⑥ 勝連グスク祭り等イベントの実施
⑦ ブランドイメージの確立
⑧ 観光者を対象とした特産物の販売拠点等の整備
⑨ 歴史物語のドラマ化
(2)歴史公園としての施設整備のあり方
① グスクや御嶽、聖域等の保全と整備
② 文化財として指定された土地の買収や城郭内保全修理
③ 歴史的遺産群等を結ぶ琉球歴史回廊の形成
④ 勝連城跡周辺の歴史公園の整備
⑤ 地域景観と調和した観光スポット、施設、道路整備
⑥ 歴史的背景を考慮し、自生種を植栽
⑦ 勝連城跡北側の沼地と一体的に整備・活用
⑧ 沖縄のグスクを中心とした研究・学習施設計画
⑨ 資料館の整備
⑩ 園路と広場、駐車場、休憩所、案内板等の設置
⑪ 常設物販所の整備
⑫ 県道 16 号付け替えによる城跡と駐車場の一体的な整備
⑬ 南風原御門側への入口及び駐車場の整備
(3)良好な環境及び景観の形成
① 勝連城跡及びその周辺を含めた歴史的景観の保全
② 勝連城跡及びその周辺環境の保全・活用
③ 勝連城跡及びその周辺に存在する歴史・文化的資源の保全
④ 緑の保全・再生
⑤ グスクと海岸線や自然河川を活かす
⑥ ゆかりの郷土資源等の保全と整備
⑦ 街道・古道・参詣道の緑地的環境の保全整備
⑧ うるまらしい伝統・文化や景観に優れた景観づくり
⑨ 勝連城跡からの眺望景観の保全
⑩ 周辺の沿道景観づくり
⑪ 景勝地周辺に相応しい街並みづくり
⑫ 無電柱化による景観形成
⑬ 景観を阻害する施設等の移転の働きかけ
- 25 -
8.現況及び課題の整理
1)市民及び職員ワークショップからの現状及び課題
市民及び職員ワークショップの意見を「史跡」
「観光」
「環境」
「整備」の 4 つの視点で
整理する。
-
史跡
-
ハード面の現状と課題
●勝連城跡内の道路
・県道側の入り口からグスクにかけ登り坂となっている。
・道路は凹凸があり歩きにくく、摩耗により雨天時は滑る危険性がある等、状態が悪い
・体の不自由な方や高齢者の方へ配慮した整備が必要である。(手摺り、スロープ設置)
・城跡南側の出入り口は通路があるものの、整備されておらず危険性がある。また南側
からのアプローチを強化するために、道路整備が必要である。
・城周辺を周遊できる通路がない。周遊できる歩道整備の要望がある。
・休憩所・駐車場から城へアクセスする際、県道 16 号線を横断しなければいけない。
・休憩所 2 階から城へアクセスできる歩道橋の整備について要望がある。
・勝連城跡の歴史的価値を保存しつつ、安全で快適な道路づくりが望まれる。
●勝連城
・現在、城壁が整備中である。
・本丸、正殿、城壁、門等の復元の要望がある。
・城壁の崩落など安全性の問題が懸念される。
●案内板・サイン
・城跡内は案内板が設置されているが、まだ十分でない(足りない)
・城跡周辺においても同じく、案内板やサイン表示が十分でない。
・勝連城跡及び城跡内の案内板・サイン表示の充実が求められる。
●資料館・博物館
・歴史資料館をさらに充実させながら、館内において学習施設やお土産品店等の販売所
の設置が求められる。
●その他、城跡内の施設
・トイレは休憩所のみ設置されている。城跡側での設置の要望がある。
・城跡内に休憩できる場(東屋等)の要望がある。
・夜の城跡を演出するために、城のライトアップの要望がある
●県道 16 号線
・城跡と休憩所の間に県道 16 号線が通っている。
・県道 16 号線の法線変更や付け替え等が求められる。
●その他、城跡周辺について
・周辺に点在する井戸やウタキ、歴史道などの文化資源の保全・整備が必要である。
・城跡南側出入り口付近について、駐車場、公園整備の要望がある。
・勝連城跡を体験できる遊戯施設等の要望もある。
- 26 -
ソフト面の現状と課題
○勝連城
・石垣や城壁が美しく、世界遺産として風格があり、また肝高の阿麻和利など歴史的背
景を持つ勝連城を保存・継承する必要がある。
・整備と保全のバランスが課題である。
○イベント・観光
・勝連城跡を活用したイベント等が少ない。
・肝高の阿麻和利などのステージや、首里城や中城城などの歴史遺産群と連携したイベ
ント等を企画してほしいとの要望がある。
・周辺地域も含めた歴史ガイドや観光ルート等の検討。
○その他、城跡周辺について
・勝連城跡のみならず、周辺地域の歴史・文化を保全・継承する必要がある。
- 27 -
-
観光
-
ハード面の現状と課題
●お土産品店、飲食店
・城跡内及び周辺地域には、飲食店やお土産品店等が少ない。
・休憩所においてはお土産品店や飲食店、周辺地域においてはカフェやレストラン等の
施設が望まれている。
●案内板・サイン
・城跡内は案内板が設置されているが、まだ十分でない(足りない)
・城跡周辺においても同じく、案内板やサイン表示が十分でない。
・勝連城跡及び城跡内の案内板・サイン表示の充実が求められる。
●ユビタ
・ユビタを活用し、勝連城跡と一体となった観光地としての整備(公園、遊歩道等)
●その他、城跡周辺
・人を呼び込める施設等が必要である。
・公園や遊戯施設、地域の特産物やお土産品などを販売する道の駅など。
ソフト面の現状と課題
○イベント・観光
・勝連城跡を活用したイベント等が少ない。
・肝高の阿麻和利などのステージや、首里城や中城城などの歴史遺産群と連携したイベ
ント等を企画してほしいとの要望がある。
・歴史ガイドや観光ルート等の検討。
・周辺地域の方と共同で開催する朝市や、漁港と連携した物産販売等の展開などの要望
がある。
・シートピア勝連をカフェ通りとして展開(勝連城を眺めながらくつろげる空間)
○PR 活動
・県外の観光客を意識した広報・PR 活動を強化する必要がある。
・勝連城と関連した商品開発(飲食、キャラクター等)
・県内、市内、地域住民の勝連城跡に対する意識醸成を図ることが求められる。
○景観
・勝連城からの眺望、また勝連城を望む景観を活かした観光施策が求められる。
○ユビタ
・ユビタを活用し、勝連城跡と一体となった観光施策が求められる。
○観光ルート、ガイド等
・勝連城跡周辺には、海中道路や伊計島等の離島など、観光拠点がある。
・これら観光拠点と連動した観光ルートづくりが求められる。
・勝連城跡や周辺地域も含めた歴史ガイドや観光ガイド等の検討。
- 28 -
-
環境
-
ハード面の現状と課題
●景観形成
・県道 16 号線沿道の電柱や電線、勝連城跡に隣接した採石場や変電所等が景観を阻害し
ている。
・勝連城跡の良好な景観形成を図るため、電線地中化や、採石場、変電所等の移設など
が求められる。
・周辺集落の建築物を赤瓦屋根や石積みの外壁にするなど、勝連城跡周辺に相応しい景
観形成を図ることが求められる。
●ユビタ
・ユビタを活用し、勝連城跡と一体となった整備(公園、遊歩道等)
ソフト面の現状と課題
○自然環境
・緑豊かな自然が勝連城跡を囲んでいる。
・勝連城跡内の草木の管理が十分でない。
・整備と自然環境の保全のバランスが課題である。
○ユビタ
・ユビタの良好な自然環境を保全しつつ、勝連城跡と一体となった活用が求められる(公
園整備、遊歩道等)
○景観
・勝連城から眺める 360°パノラマの良好な景観を有している。
・周辺から望む勝連城は、歴史的で風格のある景観である。
・周辺の集落や農地についても良好な景観を形成している。
・勝連城跡及び周辺地域が一体となった景観形成への取組みが求められる。
- 29 -
-
整備
-
ハード面の現状と課題
●勝連城跡内の道路
・県道側の入り口からグスクにかけ登り坂となっている。
・通路は凹凸があり歩きにくく、摩耗により雨天時は滑る危険性がある等、状態が悪い
・体の不自由な方や高齢者の方へ配慮した整備が必要である。(手摺り、スロープ設置)
・城跡南側の出入り口は、通路があるものの、整備されておらず危険性がある。また南
側からのアプローチを強化するために、道路整備が必要である。
・城周辺を周遊できる通路がない。周遊できる歩道整備の要望がある。
・休憩所・駐車場から城へアクセスする際、県道 16 号線を横断しなければいけない。
・休憩所 2 階から城へアクセスできる歩道橋の整備について要望があった。
・勝連城跡の歴史的価値を保存しつつ、安全で快適な道路づくりが望まれる。
●勝連城
・現在、城壁が整備中である。
・本丸、正殿、城壁、門等の復元の要望がある。
・城壁の崩落など安全性の問題が懸念される。
●案内板・サイン
・城跡内は案内板が設置されているが、まだ十分でない(足りない)
・城跡周辺においても同じく、案内板やサイン表示が十分でない。
・勝連城跡及び城跡内の案内板・サイン表示の充実が求められる。
●資料館・博物館
・歴史資料館をさらに充実させながら、館内において学習施設やお土産品店等の販売所
の設置が求められる。
●お土産品店、飲食店
・城跡内及び周辺地域には、飲食店やお土産品店等が少ない。
・休憩所においてはお土産品店や飲食店、周辺地域においてはカフェやレストラン等の
施設が望まれている。
●その他、城跡内の施設
・トイレは休憩所のみ設置されている。城跡側での設置の要望がある。
・城跡内に休憩できる場(東屋等)の要望がある。
・夜の城跡を演出するために、城のライトアップの要望がある
・駐車場の拡大整備が求められる。
●県道 16 号線
・城跡と休憩所の間に県道 16 号線が通っている。
・県道 16 号線の法線変更や付け替え等が求められる。
●景観形成
・県道 16 号線沿道の電柱や電線、勝連城跡に隣接した採石場や変電所等が景観を阻害し
ている。
- 30 -
・勝連城跡の良好な景観形成を図るため、電線地中化や、採石場、変電所等の移設など
が求められる。
・周辺集落の建築物を赤瓦屋根や石積みの外壁にするなど、勝連城跡周辺に相応しい景
観形成を図ることが求められる。
●ユビタ
・ユビタを活用し、勝連城跡と一体となった整備(公園、遊歩道等)
●その他、城跡周辺について
・周辺に点在する井戸やウタキ、歴史道などの文化資源の保全・整備が必要である。
・城跡南側出入り口付近について、駐車場、公園整備の要望がある。
・人を呼び込める施設等が必要である。
・公園や遊戯施設、地域の特産物やお土産品などを販売する道の駅など。
ソフト面の現状と課題
○管理
・現在、入場料・駐車料は無料である。
・城跡の整備等を行うため、有料化も検討する必要がある。
・有料化・無料化のゾーン検討も考えられる。
○勝連城
・整備と保全のバランスが課題である。
○交通・アクセス
・バス等の公共交通が不便である。
・県道 16 号線及び県道 10 号線で交通渋滞が起きる。
・勝連一周道路の早期実現化
- 31 -
9.整備にあたっての視点
市民及び職員ワークショップの意見や上位関連計画の整備の方向性を踏まえ、整備に
あたっての視点として以下の項目が重要と考える。
a.
勝連城跡内の園路整備
城跡内の園路は、城へアクセスする際に急勾配が続き、また歩きにくく、滑る危険
性があるなどの課題がある。今後、整備する際は勝連城跡の歴史的価値を保全しつつ、
安全性・快適性を重視し、さらに体の不自由な方や高齢者の方へ配慮した園路の整備
が求められる。
また、城へのアプローチを強化するため、南風原御門の整備も検討する必要がある。
b.
資料館やその他城跡内の施設整備
資料館については、歴史・文化・自然の資料の充実を図りつつ、学校教育と生涯学
習の振興に寄与し、憩いの場やミュージアムショップなど附帯施設の整備を検討する
必要がある。
その他、東屋等の休憩所の設置、城跡のライトアップ整備、南風原御門側への駐車
場等の検討が必要である。
c.
県道 16 号線の整備
現在、城跡内へアプローチする際に、休憩所・駐車場から交通量の多い県道 16 号線
を横断しなければならず、安全性に問題がある。よって、県道 16 号線の法線変更・付
け替え等の可能性について検討し、休憩所・駐車場と一体となった整備を検討する必
要がある。また、道路植栽の変更や電線地中化についても検討が望まれる。
d.
勝連城跡や周辺の御嶽、聖域等歴史・文化資源の保全と整備
勝連城については、舎殿、城壁、門等の復元の可能性を検討する必要がある。周辺
地域については、点在する歴史・文化資源の保全を図りつつ、その周辺の園路の整備
や植生等の保全を検討する必要がある。
e.
ユビタを保全・活用した一体的な整備
勝連城跡の北側にあるユビタは、良好な景観を有し、貴重な環境資源であることか
ら、その保全・活用を図り、さらに勝連城跡と一体的な整備や、資料館と連携した体
制づくりを検討する必要がある。
- 32 -
f.
勝連城跡及びその周辺を含めた歴史的景観の保全と整備
沿道の電柱・電線等の工作物や建築物が、勝連城の歴史的な景観を阻害していると
考えられることから、沿道の無電柱化や工作物・建築物等の移設等の可能性について
検討が必要である。
g.
城跡内及びその周辺における案内板・サインの設置
城跡内及び周辺地域において、案内板やサイン表示がまだ十分でない現状を踏まえ、
今後、観光拠点として活用するためにも、案内板・サイン表示の充実が求められる。
h.
観光ルート及び観光者を対象とした特産物の販売拠点等の整備
世界遺産である勝連城跡は、本市の観光拠点として重要な役割を担っている。しか
し、周辺地域において、県内外の観光者向けの飲食店や特産物の販売所が不足してい
ることから、既存の商業施設の活用を含めた、観光者向けの商業施設等の充実が求め
られる。さらに、勝連城跡及び周辺の観光拠点(海中道路、伊計島等)と連動した観
光ルートづくりの検討が必要である。
i.
勝連城跡を活用したイベントや広報・PR 活動
勝連城跡は、世界遺産としての認知度はあるものの、その歴史的な背景については
まだ十分に認知されていない状況である。
今後、本市の観光拠点として、県内外に向けての情報発信を強化するとともに、き
むたかの阿麻和など勝連城跡を舞台としたイベントや祭り等について検討する必要が
ある。
j.
人材育成やガイド養成等の組織づくりの強化
勝連城跡のガイドは現在でも活動しているが、今後は観光ガイドに加えて、イベン
トや地域の活性化に資する人材の育成や組織づくりを強化して、勝連城跡一帯をうる
ま市の観光文化の拠点として形成を図ることが望まれる。
- 33 -
10.将来像及び基本方針
(1)将来像
勝連城跡は、昭和 47 年(1972 年)に国指定史跡に指定、平成 12 年(2000 年)に「琉
球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして世界遺産に登録されるなど、本市を代表す
る歴史遺産である。また、歴史文化の象徴としてだけではなく、城跡周辺の豊かな緑や、
良好な景観など自然環境も魅力の一つである。さらに近年は、勝連城跡への来訪者が増加
傾向にあることから、観光資源としても活かしていくことにより周辺地域さらには、うる
ま市の魅力向上につながると考えられる。
よって、本計画における将来像を次のように設定する。
肝高の歴史浪漫を感じる交流空間の創出
<将来像の考え方>
世界遺産である勝連城跡及び周辺地域を、うるま市の歴史文化の拠点として、
また市民や来訪者など人々が交流し、観光振興に資する空間として整備を図る。
(2)基本方針
将来像を実現するために、基本方針として、以下の3つを設定する。
歴史を感じる空間づくり
歴史・文化的資源を保全・活用します
国指定文化財の史跡及び世界遺産である勝連城跡は、沖縄県を代表するグスクの一つで
あり、本市においても最も広く知られた遺産であることから、その歴史・文化的資源を保
全しながら、城壁や門等の復元を目指す。また、観光拠点及び学校教育・生涯学習の場と
して活用を図るために、博物館やグスクへのアプローチ道及び園路の整備等、質の高い観
光拠点として施設整備を図る。
自然を楽しむ空間づくり
自然環境を保全・活用します
勝連城跡及びその周辺には、ユビタを始めとした良好な自然環境や多様な植生が残って
いることから、その保全を図り、勝連城跡と一体となった整備・活用を図る。
また、勝連城跡は本市のシンボルとなる優れた景観を有しており、城跡頂上からは 360°
パノラマの絶景や、南風原や浜屋等の集落景観、ユビタ等の自然景観が見られることから、
勝連城跡及びその周辺地域を含めた歴史及び自然景観の保全・活用を図る。
さらに県道 16 号線沿道の無電柱化等による勝連城跡に向かうメインストリートにふさ
わしい雰囲気づくりを進める。
交流を生み出す空間づくり
観光拠点としての整備・活用を図ります
世界遺産である勝連城跡は、本市を代表する観光拠点の一つであることから、観光地と
しての活用及び機能の強化を図る。そのため、周辺地域と連動した観光ルート及び交通拠
点づくり、勝連城跡への案内板・サイン表示の充実、飲食店やお土産品店等の商業施設の
充実を図る。
さらに、県内外に向けての情報発信の強化や、観光ガイド及び地域活性化に資する人
材育成等の組織づくり、肝高の阿麻和利など勝連城跡を舞台としたイベントや祭りの開催
など、ソフト面の充実を図る。
- 34 -
- 35 -
- 36 -
- 37 -
- 38 -
11.整備区域の検討
将来像『肝高の歴史浪漫を感じる交流空間の創出』及び基本方針を踏まえ、本計画に
おける整備区域を以下に示めします。
Ⅰ.勝連城跡ゾーン・・・・・・・①グスクエリア
Ⅱ.拠点ゾーン・・・・・・・・・②文化観光エリア
③駐車場エリア
④ユビタエリア
⑤多目的エリア
Ⅲ.観光誘導ゾーン・・・・・・・⑥南側休憩場エリア
④ユビタエリア
③駐車場エリア
⑤多目的エリア
②文化観光エリア
⑤多目的エリア
①グスクエリア
⑥南側休憩場エリア
- 39 -
12.基本計画の検討
(1)観光振興の考え方
1)基本理念
沖縄県は、観光の目指す将来像「世界水準の観光リゾート地」と設定しており、洗練
された観光地としての品質を確保するとともに、独自の観光価値を発揮することにより、
アジア・太平洋地域における競合地との比較の中で「沖縄」のポジションが確立され、
国内外において高いブランド力を保持する観光リゾートとして認知された状態となるこ
とを想定しています。
本市の歴史は古く、縄文時代に集落が形成されています。また、琉球開闘伝説の神と
言い伝えられるシルミチューやアマミチューゆかりの史跡があり、15 世紀ごろには勝連
城を居城とする当時の有力者、阿麻和利が出現し、一体の政治・経済・交易の中心地で
もありました。さらに、17 世紀頃からは国頭と与那原方面へ物資を運ぶ海路の要所でも
ありました。戦中戦後は、琉球政府の前身となる沖縄諮詢会の設置や文教学校・農林学
校などが創設され、政治・文教の中心をなしていました。
自然は、山岳、河川、海峡、変化に富んだ海岸やビーチ、金武湾や中城湾に連なる美
しい島々を有し、風光明媚な風土景観を見ることができます。特に、海中道路からの眺
望はすばらしいものがあります。
また、市民の生活や伝統産業等に育まれてきた闘牛、エイサー、獅子舞、伊波メンサ
ー織など沖縄県下でも知名度の高い独特の民俗資源を有しています。
数々の資源の中でも、特に世界遺産である勝連城跡及び周辺一帯は、沖縄の文化観光
展開する貴重な空間と言えます。地元の南風原集落は、景観地区の指定に取り組むなど
住民の地域づくりへの意識が高いところでもあり、肝高の阿麻利という舞台活動は勝連
ならではのものと言えます。
勝連城跡及び周辺地域は、これらの貴重な資源を活かし、周辺観光地と連携を図りな
がら、民泊等人々が交流する観光振興を図ります。
- 40 -
2)基本方針
基本理念に向けた基本方針を次の通り設定します。
方針1
z
うるまならではの感動が得られる観光づくり
うるまならではの観光資源を活かし、うるましでしか体験できないような魅
力ある観光プログラムを提供します。
z
既存資源を活かした健康保養のまちづくりを推進します。
方針2
観光特産品や食の開発と関連産業の活性化
z
特産品活用によるブランド商品や食の開発を推進します。
z
観光関連産業との連携による活性化を推進します。
方針3
z
感動と自慢の観光情報づくり
魅力を感じ訪れたくなり、市民が知り自慢できるような観光情報をつくり、
発信します。
方針4
z
雰囲気のある空間と機能を備えた観光都市づくり
風土景観との調和を図り、観光客を受け入れる雰囲気作りと美しい豊かな生
活空間が一体となった観光都市を創出します。
z
アクセスや観光案内機能の充実を図ります。
方針5
z
ホスピタリティの向上と観光推進体制の確立
市民が観光客を暖かく迎え入れる、また訪れたいと思うような心のこもった
ホスピタリティのある観光のまちを目指します。
z
観光振興策を推進する体制を確立します。
- 41 -
3)基本施策
5つの基本方針に基づき、基本施策を次の通り設定します。
方針1
うるまならではの感動が得られる観光づくり
1.うるまブランドの確立
2.滞在・体験型の観光地づくり
3.観光プログラム・イベントの開発と再構築
方針2
観光特産品や食の開発と関連産業の活性化
4.うるまブランド商品の開発
5.観光関連産業の活性化
方針3
感動と自慢の観光情報づくり
6.観光のうるまイメージの形成
7.PR・情報発信機能の強化
方針4
雰囲気のある空間と機能を備えた観光都市づくり
8.観光都市としての雰囲気づくり
9.アクセスと案内機能の充実
方針5
ホスピタリティの向上と観光推進体制の確立
10.ホスピタリティとサービスの向上
11.観光推進体制の確立
- 42 -
(2)導入施設
Ⅰ.勝連城跡ゾーン
①グスクエリア
城跡内の園路整備
ライトアップ
城壁内の園路は、城頂上へアクセスする際に
勝連城跡は、本市のシンボルであり、世界
急勾配が続き、また歩きにくく、滑る危険性が
遺産として風格のある優れた景観を有してい
あるなどの問題があることから、園路の整備が
ます。普段、私達が見る勝連城跡は、日が昇
求められます。しかし、世界遺産である勝連城
る明るい時間帯がほとんどであり、今後は夜
跡は、遺産としての真実性が維持・保存される
のグスクの景観としての活用が期待されま
必要があり、地形や歴史的な建造物、園路等の
す。
したがって、勝連城跡の誘客及び PR を前
現状変更が厳しく制限されています。
したがって、今後は、勝連城跡の歴史的価値
提とした、ライトアップ整備を行います。そ
の保全を前提とし、園路整備の可能性について
の際には、周辺から勝連城跡を望むポイント
検討します。整備の際は、安全性・快適性を重
や、ライトアップによるグスクの見え方等を
視し、さらに体の不自由な方や高齢者の方へ配
考慮した整備を行います。
慮した整備を基本とします。
散策路
勝連城跡のメインとなる郭内には、城壁を始めとする御獄や井戸(カー)など、多くの歴
史・文化財がありますが、郭周辺については、未だ確認されていない歴史・文化財が点在
しています。その周辺においては、来訪者が歴史・文化資源や自然環境を観察できるよう
散策路の整備を行います。整備の際には、お年寄りや体の不自由な方に配慮した整備を行
います。さらに、東の郭においても、来訪者が散策できる歩道の整備を行います。
- 43 -
Ⅱ.拠点ゾーン
②文化観光エリア
文化観光施設
勝連城跡入口側にある既存の休憩所は、来訪者が休める休憩スペースの他、勝連城跡及
び市内から出土した遺物等の展示コーナー、図書コーナー、映像コーナーがあります。
当該施設は、市内に設置されている歴史資料館の統合を検討し、勝連城跡に特化した本
市の総合的な文化観光施設として、歴史・文化及び自然環境に関する資料の充実を図り、
また、学校教育と生涯学習の振興に寄与した憩いの場や、飲食店、お土産品店等のミュー
ジアムショップの附帯施設の整備を行います。施設内では、本市の古代から現代に至るま
での歴史的なストーリーがわかるような機能の配置・展開について工夫します。
③駐車場エリア
メイン駐車場
北側駐車場
既存の駐車場については、現在、休憩
拠点ゾーン北側においては、ユビタエ
所に隣接した形で設けられており、大型
リアへのアクセスや、県道 10 号線から
車両 6 台、普通車 39 台、障がい者用 2 台
のアクセスを踏まえ、北側駐車場の整備
の駐車スペースが確保されています。
を行います。
今後は、文化観光施設整備と併せ、必
要規模を把握した上で、お年寄りや体の
不自由な方に配慮した、緑化等による緑
豊かな駐車場整備を行います。
- 44 -
④ユビタエリア
散策路、休憩所(東屋等)
沖縄風伝統的家屋
休憩所北側にあるユビタは、野生生物
ユビタの有効利用を図るため、エリア
や植生等、貴重な自然環境を有してお
北側において、地域に残る風情ある古民
り、また、勝連城跡と一体となった良好
家の保存方法として古民家を移築し、加
な景観を形成しています。
えて新たな沖縄風伝統的家屋の整備を
今後は、ユビタの自然環境を保全しな
がら、来訪者がユビタ周辺を散策できる
図ります。当該施設では、体験プログラ
ムや飲食等の活用を図ります。
歩道や東屋等の整備を行い、ユビタの自
然環境や景観を感じることができる空
間を創出します。
⑤多目的エリア
イベント・交流広場
勝連城跡とユビタが一体となった空間を感じることができる広場を配置し、来訪
者が自由に利用でき、またイベントが行える空間を確保します。広場は、臨時駐車
場として利用ができる整備を行います。
- 45 -
Ⅲ.観光誘導ゾーン
⑥南側休憩所エリア
休憩所
今後、広域からの利用を踏まえると、勝連城跡南側からのアプローチが重要と
なります。また、城跡南側では、文化財が点在しており、歴史ガイドが行なわれ
ている場所でもあります。
したがって、城跡南側のアプローチの強化を図り、さらに歴史ガイド活動の中
継所となるエリアとして、休憩所の整備を行います。
- 46 -
(3)アクセス、動線計画
アクセス、動線計画は、勝連城跡へのアクセスや、城跡及び文化観光施設、駐車場間
の移動が効率的に行われ、移動中に歴史や自然、景観等を感じることができるルートを
設定します。
1)公共交通路線
勝連城跡周辺における公共交通路線状況は、県道 16 号線においては「52 番与勝線」
「61 番前原線」の 2 路線、県道 10 号線においては「27 番屋慶名線」「80 番与那城線」
「227 番屋慶名おもろまち線」「127 番屋慶名高速線」の 4 路線であります。
県道 10 号線
県道 16 号線
2)アクセス、動線計画
①勝連城跡周辺からのアクセス動線
勝連城跡への広域的なアクセス動線は、県
メイン駐車場
道 16 号線からの車両が最も多いと想定され
ます。拠点ゾーンへのアクセスについては、
北側駐車場
今後の整備により、県道 10 号線からのアク
セスも想定されます。また、勝連城跡南側休
憩所の設置により、城跡南側周辺の道路から
のアクセスも考えられます。
さらに、今後予定される県道 16 号線の無
(仮)シンボルロード
南側休憩場
電柱化の整備と併せ、勝連城跡の入口に相応しいシンボルロードとしての沿道整備を
推進します。
- 47 -
■(仮)シンボルロード沿道整備
県道 16 号線沿道整備と併せて、本計画の整備区域の一部を空地(歩道)として空間
を確保します。その空間においては、植栽や、石積み等の素材を使用した擁壁・ベン
チの整備などを行い、人々が歩いて楽しめる空間を創出します。
①勝連城跡周辺からのアクセス動線の機能
・周辺の主要道路における案内板やサイン設置による勝連城跡への誘導
・勝連城跡までの道中、遠景から見たグスクの景観を楽しむ
・県道 16 号線沿道整備及び(仮)シンボルロード沿道整備による、勝連城跡に相
応しい道路空間の創出
②勝連城跡内及び文化観光施設周辺の主動線
ユビタ
勝連城跡へのアクセスとして、歩行者の
主動線は、勝連城跡ゾーンでは県道 16 号
メイン駐車場
線側入り口からの園路や、南風原御門側か
らの園路が想定されます。拠点ゾーンにお
北側駐車場
いては、駐車場と勝連城跡を結ぶ動線とし
て、文化観光施設内を通るよう歩行者道を
配置し、その他ユビタを結ぶ歩行者道を想
文化観光施設
定します。
これにより、歴史や自然、景観などの資
源を効果的に結び、来場者の滞在時間を延
ばすことが期待されます。
②勝連城跡内及び文化観光施設周辺の主動線の機能
・勝連城跡ゾーン及び拠点ゾーンにおいて、主要となる施設や資源を効果的に結ぶ
- 48 -
③散策路
勝連城郭周辺及びユビタ周辺において、
歴史・文化資源や自然環境を観察できる散
策路が想定されます。また、東の郭におい
ても、来訪者の散策路等を想定します。
③散策路の機能
・歴史的な空間や良好な自然環境を、より身近に感じる
④まち歩き動線
城跡南側では、文化財が点在しており、
現在歴史ガイドの案内として活用されて
いることから、その案内ルートをまち歩き
動線とします。また、景観まちづくりが進
められている南風原集落とユビタを結ぶ
まち歩き動線も想定されます。
④まち歩き動線の機能
・アクセス動線及び主動線から延長して、勝連城跡周辺に点在する文化資源や集落
などを活用し、城跡周辺を含めた誘導を図る。
- 49 -
- 50 -
(4)目標利用者数の設定
1)うるま市観光振興ビジョンによる考え
平成 19 年 3 月「うるま市観光振興ビジョン」では、うるま市の年間観光入込数の目
標として、以下を設定しています。
<現況(H19 年時点)観光入込数>
<目標(H28 年度)観光入込数>
約 114 万人
約 200 万人
内、勝連城跡の入込数
内、勝連城跡の入込数
12%を
按 分
約 12 万人(全体の約 12%)
約 23 万人(按分算出)
平成 19 年時点の総入込数 114 万人に対する勝連城跡の入込数は 12 万人で、割合は
12%となっています。この考えを基に、目標入込数 200 万人に対する 12%が勝連城跡の
入込数と考えた場合、約 23 万人が想定されます。
2)各歴史資料館及び勝連城跡休憩所における年間利用者数
【年間利用者数】
過去5年間の各歴史資料館の利用状況は、石川歴史民俗資料館が約 3,700 人、与那城
歴史民俗資料館が約 200~500 人、海の文化資料館が約 31,000~43,000 人となっていま
す。
勝連城跡休憩所については、100,000 人前後で推移しているが、昨年度は大幅に増加
し、約 14,5000 人となっています。また、今後、市内の既存資料館を勝連城跡文化観光
施設として施設統合した場合、年間約 180,000 人の利用者が見込めます。
年 利用者数
H20
H21
石川歴史民俗資料館
-
-
与那城歴史民俗資料館
-
-
H22
-
H23
H24
年 平均
3,699
3,699
3,699
557
195
248
333
海の文化資料館
31,458
33,358
43,068
38,784
38,228
36,979
勝連城跡 休憩所
96,089
101,090
99,484
104,091
144,988
109,148
127,547
134,448
142,552
142,875
183,216
合計
- 51 -
【1 日当たり利用者数】
各月における 1 日の平均利用者数の状況を見ると、勝連城跡休憩所においては、200
~600 人となっており、平均すると 1 日約 400 人となっています。市内の既存資料館を
勝連城跡文化観光施設として施設統合した場合、1 日約 540 人の利用者が想定されます。
H24
一日平均 利用者数
4月
石川歴史民俗資料館
5月
6
与那城歴史民俗資料館 -
6月
10
-
7月
14
-
14
-
H25
8月
9月
14
-
10月 11月 12月
6
-
10
-
27
-
1月
8
-
2月
7
-
19
-
計 平均
3月
9
-
12
-
海の文化資料館
125
119
94
143
158
118
113
118
117
157
140
128
127.5
勝連城跡 休憩所
517
410
242
267
272
281
335
392
440
600
555
501
401
合計
648
539
350
424
444
405
458
537
565
764
714
638
540
3)目標利用者数の設定
上記で示したうるま市観光振興ビジョンにおける目標観光入込数や、現状の各歴史資
料館及び勝連城跡の利用者数を踏まえ、本計画における勝連城跡目標利用者数を年間で
約 20 万人、1 日あたり約 500 人と設定します。
勝連城跡目標利用者数
=
約 20 万人/年
約 500 人/日
- 52 -
(5)施設規模の設定
■博物館
1)事例視察地の博物館における利用者数と施設規模
①今帰仁村歴史文化センター
建築面積:2,100 ㎡(歴史文化センター)
:753 ㎡(交流センター建築面積)
駐車台数:約 250 台
利用者数
H21
H22
H23
273,000
240,000
248,000
H21
H22
H23
305,616
250,554
282,107
H20
H21
H22
58,904
62,524
80,920
②京都文化博物館
敷地面積:4,790.2 ㎡
建築面積:3,646.5 ㎡
利用者数
延べ床面積:15,827.4 ㎡
駐車台数:30 台
③堺市博物館
敷地面積:10,000 ㎡
建築面積:3,682.5 ㎡
利用者数
延べ床面積:6,292.3 ㎡
駐車台数:-
利用者数が 20 万人を超える博物館でも、施設規模は概ね 3,000 ㎡~4,000 ㎡の建築
面積となっている。
- 53 -
2)文部科学省調査による博物館の設置に関する基準【参考数値】
下記の表1は、昭和 48 年に制定された「公立博物館の設置及び運営に関する基準」
に盛り込まれた項目をベースに、平成 20 年度社会教育調査を基にそれぞれの項目の上
位 30%以上の登録博物館、博物館相当施設及び類似施設の数値を平均して算出した数
値です。これを見ると、入館者数 20 万人前後の博物館の規模は、概ね 10,000~15,000
㎡の建物面積となっています。
右記の表2は、都道府県指定都市と指定都市を除
く市における公立博物館の設置規模の基準を示して
います。ここでは、本市が該当する「指定都市を除
く市」の基準として、施設の延べ床面積を 2,000 ㎡
と設定している。
- 54 -
表 2 公立博物館の設置及び
運営上望ましい基準
3)施設規模の設定
勝連城跡においては、良好な自然環境及び景観を有しており、今後、文化観光施設
設置の際は、周辺の土地利用の状況を勘案し、これらに配慮した施設規模の設定が求
められます。文部科学省社会教育調査の事例では、利用客数 20 万人前後の博物館の規
模(延べ床面積)は、概ね 10,000~15,000 ㎡となっています。
文化観光施設整備にあたっては、事例の数値を参考にしながら、施設の内容や、展
示内容等を考慮した規模とします。また、今後、当該地区において景観地区指定が予
定されていることから、景観的にも配慮した規模の検討が必要となります。
施設内には、既存休憩所の機能の他、体験交流機能、飲食店、お土産品店等の商業
機能や、ミニシアターやイベントスペース、レンタサイクルの受付、歴史ガイドの会
の拠点となる機能の導入を検討します。
■メイン駐車場
1)現況の駐車場規模
現況の駐車場規模は、大型車 6 台、普通車 39 台、身障者用 2 台の計 47 台、約 2,700
㎡の規模となっています。
【駐車場の規模】
大型車
普通車
身障者
合計
6台
39 台
2台
47 台
12.8%
83.0%
4.3%
100%
2)勝連城跡における交通手段の割合(アンケート調査より)
平成 24 年に行われた勝連城跡来訪者アンケートによると、勝連城跡までの交通手段と
して、レンタカー(55.6%)、観光バス(22.4%)、自家用車(19.4%)となっており、
バス等の公共交通の利用状況は少ない結果となっています。
【勝連城跡までの交通手段】
参考:戦略的観光資源創出事業報告書
- 55 -
3)1台あたりの同乗者人数(アンケート調査より)
同行者人数については、1人(49.7%)、2人(14.9%)、3人(10.9%)となってい
ます。
【同乗者人数】
参考:戦略的観光資源創出事業報告書
4)自動車1台当たりの同乗者人数の設定
上記アンケート結果から、勝連城跡までほとんどの人が公共交通以外の自動車で来訪
しており、同行者の人数は概ね 2~3 人であると考えられることから、自動車1台当たり
の人数を3人と想定します。
5)計画日利用者数
利用者は、週末や大型連休を利用して訪れる方が多く、また、イベント時には通常よ
りも利用者が増えることから、これらに対応できる駐車場が必要となります。
よって、最大日集中率(最も多くの人が来る日の利用者数)を年間目標利用者数 200
万人の 1.0%と想定すると、計画日利用者数は概ね 2,000 人となります。
最大日集中率の考え方については、以下に示します。
【最大日集中率の算出方法】
約 145,000 人
H24 年度勝連城跡来訪者数
【平成 24 年度
約 1,350 人
÷
=
約 1.0%
H 24 年度年間1日最多入場者数
集中率
月別一日当たりの最多入場者数】
平成 24 年
平成 25 年
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
県内
59
442
46
39
192
67
132
488
99
95
73
53
県外
912
523
437
717
288
398
376
449
1191
1253
1043
677
合計
971
965
483
756
480
465
508
937
1290
1348
1116
730
月
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6)同時滞在者数
下記の参考資料をもとに、勝連城跡の平均在園時間を約 2 時間、同時滞在率は 40%と
想定すると、同時滞在者数は約 800 人となります。
【同時滞在者数の算出方法】
約 2,000 人/日
計画日利用者数
【参考1:都市公園の利用状況
×
40%
同時滞在率
=
約 800 人
同時滞在者数
平均在園時間(公園緑地マニュアルより)】
【参考2:日入込量における滞在時間と回転率(軽量計画の概要と実例より)
】
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7)必要駐車台数の設定
勝連城跡における交通手段の割合(p13)によると、普通乗用車(レンタカー(55.6%)、
自家用車(19.4%))は全体の約 75%、観光バスは約 23%となっていることから、同
時滞在者人数約 800 人に対しその割合を按分し、さらに普通乗用車1台当たり同乗者
数を 3 人、大型観光バスを1台当たり 40 人とすると、以下の台数が想定される。
【必要駐車台数】
約 800 人/日
約 600 人/日(75%)
普通自動車による交通手段
同時滞在者数
約 184 人/日(23%)
大型観光バスによる交通手段
普通乗用車
600
必要駐車台数
÷3 人/1 台 = 200 台
大型観光バス
184
必要駐車台数
÷40 人/1 台 = 4.6 台
8)観光団体者数による大型バス駐車必要数の設定
勝連城跡には、県内外からの観光団体客が来訪し、大型観光バスの駐車場の確保など、
現在の駐車スペースでは許容できない課題があります。
右記の表は、勝連城跡案内ガイドを利
用した観光団体客の利用者数(各年で最
も多い団体数)を表したものです。
これによると、高等学校の団体で 400
人を超える人数となっており、小中学校
の団体で 100~200 人、その他各種団体
の人数も 100~250 人となっている。
これを踏まえ、1 団体における利用者
数の人数を最高 400 人と想定すると、約
10 台の大型観光バスが必要となります。
【各年度 勝連城跡案内利用団体数】
年度
団体名
平成13年度 中城中学校3年社会見学
14年度 普天間高等学校総合学習2年生
15年度 健康福祉まつりウォーキング
16年度 勝連小図書館おはなし会
17年度 コザ高等学校
18年度 ウチナーンチュ大会うるま市出身者
19年度 沖縄県立コザ高等学校
20年度 伊波小
21年度 中原小学校
22年度 石川中学校
23年度 世界のうるまんちゅ
24年度 久米島郷友会連合会
25年度 一般
人数
203
440
100
162
240
120
440
147
118
160
140
270
200
大型観光バス
400 人/1団体最大人数
÷40 人/1台大型観光バス乗車人数
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=
必要駐車台数 10 台
9)身障者用駐車台数の設定
国土交通省による身障者用駐車設置に関する基準では、設置台数について以下の基準
を示しています。先で示した必要駐車台数 210 台(普通乗用車 200 台、大型観光バス 10
台)を想定した場合、身障者用の必要駐車台数は 5 台と考えられます。
駐車場の規模
身障者用
~50 台
1台
51~100 台
2台
101~150 台
3台
151~200 台
4台
201~300 台
5台
必要駐車台数
10)駐車場規模の設定
本計画の年間目標利用者数 20 万人を基本とし、計画日利用者数を概ね 2,000 人、同時
滞在者数を概ね 800 人と想定した結果、これらに対応できる駐車場規模として、駐車台
数 215 台、面積約 5,000~8,000 ㎡と想定します。
駐車台数
※
1台あたり面積
大型車
普通車
身障者
合計
10 台
200 台
5台
215 台
119.7~
20~33.5 ㎡
141.9 ㎡
メイン駐車規模面積
-
1,197~
4,000~
100~
約 5,000~
1,419 ㎡
6,700 ㎡
167.5 ㎡
8,000 ㎡
※旧日本道路公団休憩施設設置要綱 駐車場の諸元より
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(6)施設管理・運営計画
①勝連城跡の魅力向上
資産所有者であるうるま市と、管理者である市教育委員会との連携を強化するとと
もに、今後、整備される施設等と地域住民や関係団体の取組みが一体となり、より歴
史浪漫あふれる勝連城跡を演出し、来訪者を快くもてなすことでサービスの向上に努
め、城跡全体の魅力を高めます。
②歴史・文化の継承及び展開
現代版組踊「肝高の阿麻和利」等の勝連城跡の歴史に特化したイベントや、その他、
地域の伝統芸能や文化を体験できるイベント等を、地域と連携を図り開催します。
③地域との連携の強化
地域のボランティア活動や、地元の高校生との交流、観光案内・ガイド活動等、地
域住民や団体による活動と連携を図り、県内外及び国外に向けた情報発信や連携事業
を推進します。
④ユニバーサルデザインの推進
お年寄りや体の不自由な方、外国人など多様な利用者が安全に快適な時間を過ごせ
るよう、園路等の管理、多国語対応の案内板の設置及び管理を推進します。
⑤環境の保全・活用
勝連城跡周辺の緑豊かな自然環境や、ユビタの水質及び生態系、良好な景観等の保
全を図りながら、散策コースや環境教育としての活用を推進します。
⑥有料化の実施
効率かつ効果的な施設管理・運営を図るため、勝連城跡の有料化を実施します。有
料化の際には、入場料収入の一部を、勝連城跡周辺一帯の文化振興や景観形成、観光
振興に活用します。
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