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若き日のタカクラ・テル-作家への道

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若き日のタカクラ・テル-作家への道
東京都立久留米総合高等学校レジュメ
2014.12.18
教育学-日本の教育格差を考える
山野
晴雄(慶應義塾大学)
1.教育学とは
①教育学(pedagogy, study of education)-教育に関する研究、または教育という事象を対象とする
学問。
教育学には、学習者(子どものみならず成人も含む)、教育施設(学校その他)、教育技
術(教授法)、教育課程、教育評価、教育制度、教育に関する権利・義務、教育行政・教育
法令、教育に関する理念や歴史などについての理論的・実践的研究が含まれる。
*教育学は翻訳語であるが、pedagogy は、元々ギリシア語で「子ども」を意味する paidos と
「導く」を意味する ago から作られた paidagogike に由来する。当時の哲学的な教育に関す
る研究を経て、時代を重ねることによって、教育学の領域は拡大してきた。それに伴って、
教育の研究が科学的な手法にもとづくべきであるという教育科学の概念も生じている。また、
一部では「子どもの教育学 (pedagogy)」(ペダゴジー)と「大人の教育学 (andragogy)」(ア
ンドラゴジー)とを対比させるむきもある。なお、pedagogy は、現在の英語圏では教授学
・教授法の意味で用いられることが多く、教育学一般を意味するには教育そのものと同じ
education や教育の研究を意味する educational research などが用いられることが多い。
②教育学の研究課題-次のようなものが含まれる。
教育という活動及びそれに関連する学び・学習などの行為。
教育の対象たる人間のあり方、またその心理や行動。
教育に関わる価値理念・概念。
教育に関わる社会環境、社会制度(教育制度)、法令(教育法)・政策(教育政策)。
教育に用いられる施設(教育施設)や用具。
教育する側の人間(親・教師など)。
教育の技法(教授法)。
教育に関わる歴史(教育史)。
教育学そのもの目的・方法・歴史(教育学方法論・教育研究法・教育学史)。
③教育学の各分野
基礎・理論
教育心理学(心理学系)、教育哲学(哲学系)、教育史学(歴史学系)、教育人間学(人間学系)、
教育思想(思想論系)、 教育社会学(社会学系)、比較教育学(国際学系)、
国際教育学(国際学系)、教育法学(法学・行政学系)、教育制度論(行政学・社会学系)、
教育行政学(行政学・政治学系)、教育経済学(経済学系)、教育財政論(財政学系)、
教育人類学(人類学系)、生涯学習論(学習学系)
方法・技術
教授学、教材論、教育方法学、教育課程論、教育評価論(心理学系)、教育工学(技術系)、
教育メディア学(メディア学系)、教育情報学(情報学系)
現場・実践
教育実践学、臨床教育学、教育相談論(心理学系)、学校教育論、 教育経営学(経営学系)、
学校経営学(経営学系)、教師教育学、教員養成論、 学校心理学(心理学系)、
教育医学(医学系)
教科教育学
国語科教育学、書写教育学、数学科教育学、算数科教育学、生活科教育学、社会科教育学、
公民科教育学、地理歴史科教育学、地理科教育学、歴史科教育学、理科教育学、物理科教育学、
化学科教育学、生物科教育学、地学科教育学、外国語科教育学、英語科教育学、
ドイツ語科教育学、フランス語科教育学、中国語科教育学、韓国語科教育学、
-1-
保健体育科教育学、保健科教育学、体育科教育学、芸術科教育学、音楽科教育学、
器楽合奏教育学、図画工作科教育学、美術科教育学、工芸科教育学、書道科教育学、
技術科教育学、家庭科教育学、情報科教育学、農業科教育学、工業科教育学、商業科教育学、
水産科教育学、看護科教育学、福祉科教育学、宗教科教育学、道徳教育学、特別活動教育学、
自立教科教育学、自立活動教育学
教育段階別等
幼児教育学、初等教育論、中等教育論、高等教育論、特別支援教育学
個別領域
技術教育学、産業教育学、科学教育論(自然科学系)、医学教育論(医学系)、
言語教育学(言語学系)、音楽教育学(音楽学系)、環境教育論(環境学系)、
情報教育論(情報学系)、 道徳教育論(倫理学系)、人権教育論(法社会学系)
国際理解教育論(開発学系)
社会教育
社会教育学、公民館学、博物館学、博物館情報学、図書館学、図書館情報学、キャリア教育学、
職業教育論
家庭教育
家庭教育学、保育学
2.はじめに-新聞記事から
①「揺らぐ「学べば脱・貧困」」『朝日新聞』 2014 年 11 月 25 日付朝刊
②「奨学生バイトに追われ」『東京新聞』 2014 年 12 月 13 日付朝刊
3.「学校から仕事への移行」プロセスの変容
①戦後日本型循環モデル
・高度経済成長期の日本社会…教育・仕事・家族という3つの社会領域が、それぞれのアウトプ
ットを次の領域へと注ぎ込む太い矢印によって緊密につながれるという形の「循環モデル」
が形成されていた。
*戦後日本型循環モデル(本田由紀『もじれる社会』 2014 年)
・教育(学校)→仕事…「新規学卒一括採用」 学校卒業と同時に企業への就職を果たす。
若者の実質的な職業能力形成は、OJT(on the Job Training)を中心とする「企業内教育」を
通じて行われ、経済的にも生活的にも、親から自立するきっかけを獲得することも意味して
-2-
いた。
・仕事→家族…「日本的雇用慣行」のもとでの終身雇用(安定雇用)と年功型賃金。
・家族→教育…教育費と教育意欲。
・若者の「標準」的なライフコース
「学校から雇用への移行」ルートに乗ることができれば、若者は、社会のメイン・ストリ
ームヘと参入し、いずれは一人前の大人になっていくことを見通せた(期待できた)。
「いい高校→いい大学→いい会社→幸せな人生」という大衆規模での学歴(学校歴)信仰が
生まれた。
②日本的雇用慣行の再編
・日経連(日本経営者団体連盟)『新時代の日本的経営』(1995 年)…終身雇用(安定雇用)と
年功型賃金を支柱とする、いわゆる「日本型雇用慣行」の転換をはかり、雇用の流動化と
柔軟化を進めることを目指した。
Aグループ(長期蓄積能力活用型グループ)
…長期雇用の正社員。管理職・総合職・
技能部門の基幹職。
Bグループ(高度専門能力活用型グループ)
…有期雇用の低年俸契約社員。専門部門
(企画、営業、研究開発など)。
Cグループ(雇用柔軟型グループ)…パート・
アルバイト・派遣社員。一般職、技能部
門、販売部門。
*正規労働者の減少と非正規労働者の増加
・若年者の失業率、非正規雇用率の推移
若年者の失業率は、2003(平成 15)年まで増加傾向。その後、減少傾向に転じたが、再
び増加。全年齢の平均と比べて若年者は高いことが特徴。非正規雇用率は、40 歳前後と比
べて、20 歳前後の上昇の幅が大きく、近年は、全体して上昇したまま横ばいの傾向。
-3-
・若年無業者・フリーターの数の推移
若年無業者(ニート)は、2002(平成 14)年以降、約 60 万人超で推移。
フリーターは、2003(平成 15)年をピークに減少傾向に転じたが、2009(平成 21)年は
増加し、約 178 万人。
③「新規学卒就職」の縮小
・大卒… 2014 年 3 月卒
・高卒… 2014 年 3 月卒
卒業生総数 56 万 5571 人
就職者総数 39 万 4937 人(卒業者の 69.8 %)
うち、「正規の就職者」28 万 9662 人(同 51.2 %)
「正規の職員等でない者」2 万 2275 人(同 3.9 %)
「一時的な仕事に就いた者」1 万 4519 人(同 2.6 %)
「進学も就職もしていない者」6 万 8481 人(同 12.1 %)
「その他(研修医、不詳・死亡の者を含む)」1 万 6324 人(同 2.9 %)
進学者 7 万 1387 人(同 12.6 %)
(文部科学省『2014 年度学校基本調査』)
就職留年7万 9000 人(『読売新聞』2010 年7月6日付朝刊)
就職者総数 18 万 3608 人(卒業者の 17.5 %)
「一時的な仕事に就いた者」1 万 1964 人(同 1.1 %)
「進学も就職もしていない者」4 万 7803 人(同 4.5 %)
「その他(不詳・死亡の者を含む)」6 万 3753 人(同 6.1 %)
(文部科学省『2014 年度学校基本調査』)
*学校から仕事への接続の問題
-4-
④戦後日本型循環モデルの破綻(本田由紀)
⑤仕事の現状
・正社員比率の減少、非正社員比率の増加。
・正社員;「ジョブなきメンバーシップ」…強固な参入制限、職務範囲の不明確さ、それにとも
なう過重労働・長時間労働。
・非正社員;「メンバーシップなきジョブ」…雇用の不安定さと低賃金、教育訓練の手薄さ、正
社員の世界への参入の困難さ。
(「「同じ仕事」年収は半分」『東京新聞』 2014 年 12 月 12 日付朝刊)
・正社員/非正社員;国際的な経済競争と産業構造の変化(高付加価値化・サービス化)により
利潤獲得が困難になる中で、労働条件の劣悪化、法律や人権を蹂躙する働かせ方が増大。
正社員の長時間労働… 25 歳から 44 歳の男性の 2 割以上は週 60 時間働く。
→過労死・心身の疾患を引き起こす。
⑥賃金の停滞・減少と働く貧困層の増大
・労働者の平均賃金は停滞から低下へ
1990 年 425 万円→ 2000 年 461 万円→ 2012 年 408 万円
2012 年 正 規;男子 520.5 万円 女子 349.6 万円 平均 467.6 万円
非正規;男子 225.5 万円 女子 143.6 万円 平均 168 万円
・年収 200 万円以下のワーキングプア(働く貧困層)の増加
1990 年 769 万人→ 2000 年 825 万人→ 2012 年 1090 万人(給与所得者に占める比率 23.9 %)
(国税庁「民間給与実態統計調査結果」)
*相対的貧困率の推移
最新(2012 年調査)の相対的貧困率は、全体で 16.1 %、子どもで 16.3 %。
一方、大人が 1 人の「子どもがいる現役世帯」で 54.6 %。
注;2012 年の貧困線(等価可処分所得の中央値(244 万円、名目値)の半分)は 122 万円で、
貧困線に満たない世帯員の割合を相対的貧困率という。
-5-
⑨「周辺的正社員」「名ばかり正社員」/「名ばかり管理職」
・周辺的正社員…定期昇給とボーナスのどちらかを備えていない正社員。低賃金で長時間労働の
使い捨て型の正社員。
→ブラック企業…新興産業において、若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使
い潰し、次々と離職に追い込む成長大企業(ブラック企業対策プロジェクトの定義)
・事例1;森美菜さん(ワタミフードサービス)… 2008 年、入社して 2 か月で自殺。月 140 時
間の時間外労働。2012 年 2 月、労災認定。三六協定は店長が推薦したアルバイトが協定
届に署名させていた。13 年 12 月、森さんの両親がワタミフードサービス・親会社のワタ
ミ・ワタミの社長だった渡辺美樹を相手取り損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
・事例2;吹上元康さん(日本海庄や石山駅店)… 2007 年 4 月に入社、4 か月後に心機能不全
のため死亡。労基署の労災認定はおりたが、両親は会社を相手取り裁判に持ち込む。大阪
高裁は吹上さんの残業時間を月 78 ~ 129 時間と認定した。
4.学歴社会の実相
①卒業学校段階の格差
卒業学校段階の差が企業などで得る賃金の差にどのような影響を与えているか。
→大学・大学院卒グループと高・短大・専門学校卒グループとの間で賃金格差が目立つ。
国際比較では、アメリカ・イギリス・韓国などと比べると、日本の学歴間の賃金格差は小さい。
*学歴間賃金格差の国際比較
-6-
②昇進と学歴
学歴が高くなるにつれて、企業や官公庁における職位の昇進確率が高くなるか。
→男性の課長・部長職への昇進は大学・大学院卒は高卒より有利。
・社長・役員と学歴
東京大学・京都大学など旧帝国大学、一橋大学・慶應義
塾大学・早稲田大学など名門・ブランド大学出身者が多
い。
*男女別学歴別課長・部長級労働
者比率
③学歴格差の三極化
(1) 名門ないしブランド大学を卒業した男性
(2) 普通の大学を卒業した男性
(3) 高校を卒業した男性
*社長・役員輩出率
大学ベスト 15
5.家庭環境の影響力
①家計所得と進学
・大学の授業料…国立 約 54 万円 私立 文系で約 74 万円、理系で約 104 万円
+施設設備費その他、書籍・文具費・交際費、自宅外通学だと住居費・食費など
・大学進学に関しては、家庭の年収差が4年制大学への進学率に大きく影響を与えている。
*両親年収別の高校卒業後の進路
-7-
②親の学歴と職業
・戦前の日本-息子(特に長男)は父親の職業を継承するのが一般的で、社会移動は閉鎖的であ
った。
・高度成長期-息子の教育水準が父親より高いときは、息子の職業は父親の職業より高くなるこ
ともあった。父親と息子の職業の間に教育が介在することにより、社会移動が開放的になる
道がひらけた。
・1990 年年代後半以降-社会移動が閉鎖的になり、息子が父親と同じ職業に就く程度が再び高
まっている。(佐藤俊樹『不平等社会日本』 2000 年)
③親の所得と学力(学業成績)
親の所得水準が子どもの学業成績にどのような影響があるか。
→年収が 1200 万円を超える家庭の子どもの国語・算数の正答率は平均よりも 8 ポイント以上高く、
その一方で 200 万円未満では平均よりも 10 ポイント以上も低い。(小 6 、中 3 全員を対象とした
全国学力調査による)
*世帯収入と子どもの学力(小 6)
学歴下降回避説
…子どもの教育水準の決定において、親の教育水準より
下になることだけは避けたいという動機が、親子共々
につよく作用するという考え方(吉川徹『学歴と格差・
不平等』 2006 年)
インセンティブ・ディバンド(誘因・意欲の格差拡大)
…親の教育や職業で代表される階層差が、子どもの学習
意欲に差をもたらすという考え方(苅谷剛彦『階層化
日本と教育危機』 2001 年)
④文化資本と学力資本
・文化資本とは
親の教育・職業・所得などで説明される階層が高ければ、
子どもはさまざまな具体的に目に見える形、見えない形の
双方で、親から好ましい影響を受ける。これが文化資本の
考え方である。
・学力資本とは
親の階層や家庭での文化資本とは無関係に、本人がどれだけ学力に関心があり、勉強をどれ
ほどするから注目した考え方である。
・家庭の文化資本と子どもの学習意欲
苅谷剛彦の調査(『学力と階層』 2008 年)
…上位階層、中位階層、下位階層の順に学習
意欲が明確に低下する。文化資本の高い家
庭に育った子どもは、宿題はやるし、進ん
で勉強するし、勉強に関心があり、確実に
学習意欲の差がある。
-8-
*家庭の文化的背景と学習意欲(中学校)
6.不平等化する日本の教育
①学費負担の増大と教育の不平等化
・本人の意欲と努力で進学できた時代
高度成長期から 1980 年代までは、国立大学の授業料は安く、たとえ家計が貧しくても、能
力と意欲のある生徒は勉強に励んで努力すれば、少なくとも国立大学に進学できた。
*大学の初年度納付金
2014 年
*高校卒業後の予定進路(両親年齢別)
国立大学-
入学金 282,000 授業料 535,800 総額 817,800
私立大学文系-入学金 246,749 授業料 742,478 総額 1,149,246
私立大学理系-入学金 265,595 授業料 1,043,212 総額 1,496,044
・貧困家庭への影響
1990 年代後半以降、年収が 200 ~ 300 万円前後の貧困家庭では、大学進学をあきらめざる
を得ない状況になっている。
②低い公費負担、増える家計負担
・OECD諸国の中で最低の公教育支出
*教育機関への公財政支出の対GNP比
*政府総支出に占める公財政教育費の割合
(2009 年)
・貧弱な学費援助制度
ヨーロッパ諸国-多くの国で大学の授業料は無償。(イギリスは 1998 年から授業料を徴収、年
額約 22 万円)
アメリカ-私立大学で年額 200 ~ 300 万、州立大学で平均 55 万円。2003 年度で総額 13 兆円
の学生援助金が支出され、2004 年に何らかの奨学金を受けている学生の比率は 63 %、そ
-9-
のうち給付が約半数で、貸与が約 3 分の 1、平均受給額は約 78 万円、給付が約 43 万円、
貸与が約 62 万円。
日本-高校は 2010 年度より公立高校の授業料無償化(私立高校は就学支援金の支給)を実施
しているが、大学の無償化は実現していない。
③奨学金問題
・日本の奨学金制度の変化
1984 年 日本育英会法の全面改正によって、奨学金に有利子枠がつくられる。(無利子貸与
奨学金は一般会計、有利子貸与奨学金は財政投融資を中心的な財源として運営される)
1998 年 学校教員の返還免除制度を廃止。
1999 年 「きぼう 21 プラン」 有利子貸与奨学金の採用基準が緩和され、貸与人数の大幅
な拡大が図られる。
2004 年 日本学生支援機構への組織改編。奨学金制度を「金融事業」と位置づけ、2007 年
度以降は民間資金の導入が始まる。
・有利子の貸与人数の増加
1998 年から 2013 年度の 15 年間に有利子の貸与人員は約 9.3 倍、事業費は約 14 倍にふくれ
あがった。
・「ローン」としての貸与型奨学金の返還
無利子の第一種奨学金の返還額
自宅外から国立大学に通学した場合…月 5 万 1000 円貸与、4年間の貸与総額 244 万 8000 円。
大学卒業後に15年かけて返済、返済月額は 1 万 3600 円。
有利子の第二種奨学金の返済額
月 10 万円を借りた場合… 4 年間の貸与総額は 480 万円。利率を 3 %とすると返還総額は 645 万
9510 円。毎月の返還額は 2 万 6914 円、返還年数は 20 年。
→結婚、結婚後の出産・子育てにも大きな影響を与えている。
・奨学金滞納者の急増と回収問題
2012 年度に返還すべき奨学金を滞納した人は約 33 万 4000 人、期限を過ぎた未返還は過
去最高の約 925 億円に上っている。
→日本学生支援機構 2010 年に「債権管理部」を設置、回収を強化している。
延滞が 3 か月に達すると、延滞者の情報を個人信用情報機関(全国銀行個人信用
情報センター)に登録、4 か月に達すると延滞債権の回収を債権回収専門会社(サ
ビサー、日立キャピタル債権回収など)に委託、延滞が 9 か月になると自動的に法
的措置となり、簡易裁判所などに支払督促の申し立てをする。
訴訟への移行件数… 2004 年 58 件、 2012 年 6193 件と、 16 年度の約 106 倍に達している。
奨学金が、銀行や債権回収会社に利益をもたらす「金融事業」となっている。
一度、奨学金を延滞してしまうと、そこからの支払は延滞金→利息→元本の順となり、延
滞金が10%なので、元本の10%以上のお金を支払わなければならなくなり、このため元本がなか
なか減らず、奨学金返還が長期化する人が増えている。
→奨学金は、銀行や債権回収会社に利益をもたらす「金融事業」であると同時に、返還する
本人及び家族の人生を追い込む「貧困ビジネス」になってしまっている。
④「貧困の連鎖」をくい止めるために
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