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明治大学和泉図書館

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明治大学和泉図書館
CASE
06
自然光と照明を一体として計画し、利用者に合わせた多様な光環境をつくる
Create various light environment for users by combining lighting fixtures and daylight.
明治大学和泉図書館
Meiji University Izumi Library
■物件概要
竣工:2012 年 3 月
所在地:東京都杉並区
施主:学校法人明治大学
設計:株式会社松田平田設計
施工:清水建設株式会社
電気工事:日本電設工業株式会社
夜間は内部の光がライトリフレクター越しに滲み出し、新たなキャンパスの風景を創出している。
家具工事:株式会社清和ビジネス
様々な機能を持つ滞在型図書館
「人と人・人と情報を結ぶ架け橋としての図書館」を基本コン
セプトに設計され、従来の図書館機能に加え、様々な発表の場
となるホールやギャラリー、交流の場となるサロンやコミュニ
ケーションラウンジ、協同の場となるグループ閲覧室、情報
リテラシー室などをラーニングコモンズの機能として取り入れ
ている。学生の目線に立った「滞在型の図書館」を目指し、1階
から4階へ、入口から奥へ進むにつれ、賑わいのあるエリアから
静寂に満ちた空間へと音の空間ゾーニングを図り、様々な目的
の利用者が目的に応じて心地よく滞在できるゾーニングがなされ
ている。照明もそうした多様なシーンに合わせ、自然光と一体
ホール。LED のユニバーサルダウンライトにより各席を照射し、壁面と
天井面の間接照明が、やわらかな明るさ感のあるホールをつくっている。
に考えながら、計画が進められた。
1
ライトリフレクターによる間接光と
家具によるタスク & アンビエント照明
日中は、外観デザインの最大の特徴である「ライトリフレクター」により、
直接光を天井面に反射させ、やわらかい間接光を室内に取り入れている。
照明は、天井面に設置する器具を極力減らし、閲覧デスクや書架から天井
面を照射するアンビエント照明と、手元や足元の明るさを確保するタスク
照明によるタスク&アンビエント照明としている。自然光を有効活用する
ことで、照明の点灯時間を必要最小限に抑え、光源の LED 化と併せ、大幅
な省エネを実現した光環境計画になっている。
屋根3
軒天:アルミスパンドレル FUB
屋根:ウッドデッキ
ガラス手摺SUS HL
笠木:アルミパネルFUB
天井:アルミルーバー FUB
GW t25ガラスクロス 押えピン止め
タスク照明
アルミルーバー
防汚塗装
アンビエント照明
閲覧席
メンテナンスパイプ SUS H.L
笠木:アルミパネル FUB
水切:アルミパネル FUB
軒天:アルミスパンドレル FUB
680
アルミルーバー FUB
テラス
研究者・個人閲覧室
屋上緑化
床:ウッドデッキ
床:タイルカーペット t8.5
樹脂製床下地
天井:木製ルーバー
GW t25ガラスクロス 押えピン止め
開架書架
閲覧席
3800
タスク照明
5000
開架書架
カウンター:メラミン化粧板貼り
屋上緑化
4FL
メンテナンスパイプ SUS H.L
笠木:アルミパネル FUB
幕板:アルミパネル FUB
梁カバー:アルミパネル FUB
1935
閲覧席
デッキ
2800
外装ライトリフレクター
屋上緑化
水切:アルミパネルFUB
屋根2-1
軒天:アルミスパンドレル
FUB
カウンター:メラミン化粧板貼り
5000
8310
軒天:アルミスパンドレルFUB
3800
RSL RFL
天井:アルミルーバー FUB
GW t25ガラスクロス 押えピン止め
メンテナンスパイプ SUS H.L
笠木:アルミパネル FUB
水切:アルミパネルFUB
150
アルミルーバー FUB
天井:アルミパネル FUB
屋上緑化
3800
屋根:アルミパネルFUB
屋根4
メンテナンスパイプ SUS H.L
幕板:アルミパネル t.2.0FUB
梁カバー:アルミパネルFUB
1400
ルーフライトリフレクター
床:タイルカーペット t8.5
3FL
700 1020 680
2400
閲覧席
3800
雑誌書架
3800
光環境計画の断面イメージ図 縮尺 1/250
3800
1375
樹脂製床下地
閲覧席。
ライトリフレクターによる間接光と LED タスクライト。
床:タイルカーペット t8.5
樹脂製床下地
2FL
1FL
床:タイルカーペット t8.5
樹脂製下地
9450
レファレンスエリア
光幕天井:St FUB
床:フローリング t15
樹脂製床下地
9450
貸出カウンター
天井:DR
事務室
2800
情報リテラシー室
3800
天井:木製ルーバー
GW t25ガラスクロス 押えピン止め
2700
2800
外壁・軒天:コンクリート
杉型枠化粧打放
撥水塗装
3300
5000
水切り:アルミt2.0 FUB
床:タイルカーペット t6.5
フリーアクセスフロア下地
9450
閲覧室は家具化照明によるタスク & アンビエント照明となっている。照明と一体となった書架と閲覧デスクは、本の背表紙や通路、机上面の照度を確保する光
に加え、天井を照らすアンビエント光が空間の明るさ感・広がり感を高めている。
Lighting Style Vol.8
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23
2
的確な「光の質」を「場」にフィットさせる
「活気・交流」のエリアから「落着き・静寂」のエリアまで、
「場」ごとに相応しい照度や色温度を設定。光の質を敢えて
均一ではなく、変化させることで無駄な照明を排し、省エネにつなげている。利用者が自分好みの明るさの空間を選択
できるという、新しい図書館の光環境のあり方を実現した。
3階閲覧スペース。外部環境への視線の抜けにより、キャンパスの緑が感じられ、集中とリラックスが両立できる。 上:1 階の開放的な閲覧スペース。
デスクに組み込まれた行燈は、タスク照明であると共に、空間に個性をもたらし印象的な光の風景を創出している。 下:積層集密書庫前ラウンジ。
光を操る方法
「光の質」を変えて、様々なシチュエーションに対応する閲覧ブース照明
4F
落着き・静寂
3F
間仕切りでプライベート性の高いカウンターと、
個別で ON/OFF 可能な LED タスクライト。
2F
賑わい・活気
1F
閲覧席は開放的なオープンシートからブースタイプの集中型シートまで階ごと
カジュアルで開放的なビッグカウンタータイプと、
に多様なバリエーションで計画。ブースの素材、形、間仕切りの高さを変え、
カウンターを広く照らす LED タスクライト。
それぞれに最適な照明の質や位置を設定することで、利用者の集中度合いを
コントロールしている。
3
照明シミュレーションとモックアップ検証
天井に設置する照明を極力排した間接照明主体の手法であることから早期段階からシミュレーション検証を行い、床面や机上
面照度だけでなく、空間全体の明るさのバランスを確認しながら計画した。また、閲覧デスクの行燈照明は、モックアップ実
験により、目線に近いタスク照明でありながら、拡散性の高い素材や、光源位置を適正に設定することで、グレアを感じない
やさしい光になっている。
書架照明のシミュレーション検証と
アンビエント照明効果実験。
斜行グリッドにより、本が見やすく配置された書架は、30W シームレス蛍光管 (3500K)による本と通路を照らす下方向
の光に加え、天井面を照らす照明も組み込まれ、天井照明がなくても明るさ感と広がりを感じられる空間になっている。
家具化照明詳細図 縮尺 1/60
900
360
900
アッパーライト
(アンビエント照明)
2212
412
45
855
45
1600
1240
60
600
タスク照明
45
行燈用照明
古澤 美登里氏
株式会社松田平田設計
総合設計室 インテリア設計部
照明器具の柔軟なカスタマイズ
数値だけでは説明できない光の特性について、
パナソニックの研究資料やラボでの体感実験を通
してクライアントに理解いただけました。柔軟な
カスタマイズ対応にも助けられました。
佐藤 剛
閲覧デスクのシミュレーションと、
モックアップ実験。
さまざまなバリエーションの閲覧デスクに組み込まれた LED の
光は、タスク照明としての機能と、天井面を照らすアンビエント
照明の機能を両立している。
ソリューションライティング
デザイングループ(東京)
Lighting Style Vol.8
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