...

Ⅲ 教師の仕事 - 山形県教育センター

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

Ⅲ 教師の仕事 - 山形県教育センター
Ⅲ 教師の仕事
1 教師に望まれること
(1)こんな教師でありたい
本県教育の目標の根底に流れているものは、主体的に考え判断する知力と責任ある行動
力を持ち、人と協調し思いやる優しい心を持ち、健康でたくましい体力を持った「知徳体
が調和し、いのち輝く人間」をはぐくむことであります。そのことを念頭に置いて、これ
からの教師としての道を歩んでほしいと思います。
ア これからの社会と国民の求める学校・教師像
(平成18年7月 中教審答申より抜粋)
近年、わが国の社会は、いわゆる「知識基盤社会」の到来や、グローバル化、情報化、
少子化、高齢化、社会全体の高学歴化等を背景に、社会構造の大きな変動期を迎えてい
ます。これからの社会は、政治・経済・文化等のあらゆる分野において、人材の質がそ
の有り様を大きく左右する社会であり、教育の質が一層重要になります。
一方、変化の激しいこれからの社会において、一人一人の子どもたちがそれぞれの可
能性を伸ばし、自らの頭で考え、行動していくことのできる自立した個人として、心豊
かに、たくましく生き抜いていく基礎を培うことが重要です。
社会の大きな変動に伴い、保護者や国民の間に、学校に対して、必要な学力や体力、
道徳性等を確実に育成する質の高い教育を求める声が高まっています。そうした期待に
応えるためには教員の資質能力を一層高いものにして、教員に対するゆるぎない信頼を
確立することが極めて重要です。
イ 教員に求められる資質能力
平成17年10月の中教審答申「新しい時代の義務教育を創造する」において、優れた教
師の条件について、大きく集約すると以下の3つの要素が重要であるとしています。
① 教職に対する情熱
教師の仕事に対する使命感や誇り、子どもに対する愛情や責任感などです。また教師
は、変化の著しい社会や学校、子どもたちに適切に対応するため、常に学び続ける向上
心をもつことも大切です。
② 教育の専門家としての確かな力量
「教師は授業で勝負する」と言われるように、この力量が「教育のプロ」のプロたる
所以です。この力量は、具体的には、子ども理解力、児童・生徒指導力、集団指導の力、
学級づくりの力、学習指導・授業づくりの力、教材解釈の力などからなるものと言えます。
③ 総合的な人間力
教師には、子どもたちの人格形成に関わるものとして、豊かな人間性や社会性、常識
と教養、礼儀作法をはじめ対人間関係力、コミュニケーション能力などの人格的資源を
−12−
備えていることが求められます。また、教師は、他の教師や事務職員、栄養職員など、
教職員全体と同僚として協力していくことが大切です。
ウ 初任者に求められる資質能力
平成21年12月に改訂した「山形県教員研修体系」
(10〜11頁の図を参照)では、教員
のキャリアステージに応じた研修でつける力として、
① 総合的な人間力
② 使命感と教育理念
③ 教科・領域等の指導力
④ 教育課題解決力
⑤ マネジメント能力
の5つに集約しています。
初任研では特に「総合的な人間力」
「使命感と教育理念」
「教科・領域等の指導力」を
高めたい力と考えています。意味するものを繰り返し咀嚼し、身に付けることを目指し
て、日々の教育活動や初任者研修に取り組んでほしいと思います。
言うまでもなく「研修」とは「研究」と「修養」から成り立ちます。ともすると教員
は「研究」にばかり目が向いて、
「修養」の部分が不足しがちだと批判されることもあ
ります。
「研究」と「修養」にバランスよく取り組み、常に「学び続ける教師」であり、
新しい知識や指導方法を学ぶことにより、高い教養と深い専門性を身に付け、同時に教
育への使命感と教育理念を深め、総合的な人間力、即ち人間としての魅力を身に付けて
ほしいと思います。
(2)学び続ける教師
教師の資質向上は教師集団によって大きく左右されること、また、資質や能力は固定的
なものではなく変容、深化させるものです。
「教師としての使命感」を持ち続け、教師と
して伸び続けたいものです。
「今日の新たな一滴が要るのです」
教師の仕事は、生きている子どもたちに生きた知恵を育てることです。そのために
は、初々しい感動、新しい命のようなものが教師の側にないと、子どもを惹きつけら
れません。…今日の太陽が昇って、昨日の自分とは違う新しい自分がいる、そういう
激しい成長力のようなものが子どもを動かします。…子どもに伝わっていきます。人
を育てるということはそういうことです。…今日の新たな一滴が要るのです。
(大村はま著『灯し続ける言葉』小学館)
法の上でも研修の権利や義務、研修制度の確立について、様々な規定があります。
教育基本法第9条では「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、
絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」とされ、教員の使命
と職責の重要性を踏まえ、教員にとって研究と修養は職務そのものであると規定されてい
ます。
−13−
ア 研修の形態
私たちは、日々の仕事を行う中で様々な問題や課題に直面します。時には悩み、不安
を覚えることもしばしばです。問題や課題の解決に向けて、書物に解決法を求めたり、
同僚に知恵を借りたり、あるいはまた、積極的に研修会や研究会に参加したり、本格的
に研究に取り組んだりすることもあります。問題や課題の解決過程を通して、仕事に密
着した実践的な研修が進められますが、そのような研修を進める上で、おおよそ次の4
つの研修の形態があります。
① 自発的な研修(自己研修、グループ研修など)
② 学校における研修(学校研究など)
③ 職務専念義務を免除されて行う研修
④ 職務命令を受けて行う研修
イ 研修制度
自発的な研修を教員の研修の基本にしながらも、それを補完し、方向性を与えるため
に、各種の研修制度が設けられています。教育公務員特例法第21条2項には任命権者に
対して、教育公務員の研修に必要な施設や研修を奨励するための方途、研修計画の樹立
及びその実施、第23条では初任者に対して1年間の研修(以下「初任者研修」という)
の実施、第24条では「教職10年経験者研修」をそれぞれ義務付けています。さらに、第
25条では「初任研及び教職10年研の研修計画の体系的な樹立」を求めています。
これらのことを受けて、本県でも各種の研修の機会と場が設定されていますが、主な
ものは次のとおりです。
① 山形県教育委員会が行う研修 … 県教育センター等
② 市町村教育委員会が行う研修
③ 長期研修(内地留学及び社会体験)
… 県教育センター、大学、企業等
④ 独立行政法人教員研修センターが行う研修
⑤ 大学院における研修
⑥ 海外派遣研修
これらの研修で学んだことを自発的な研修や学校での研修に結合させて、より一層の
広がりと深まりのあるものに発展させていくことが望まれます。このようないろいろな
研修を通して、研鑽を積み自己成長を遂げていく過程こそ「学び続ける教師」の姿では
ないでしょうか。
(3)教師の身分と職務
公立学校の教職員は、勤務する学校を設置している地方公共団体の公務員です。した
がって、その身分は県立学校に勤務する教職員は県職員、市町村立学校に勤務する教職員
(その給与が県によって負担され、その任命権が県教育委員会に属しているもの、以下「県
費負担教職員」という)は勤務する学校を設置している市町村の職員になります。
−14−
職員の服務監督をするのは、県立学校職員については県教育委員会、県費負担教職員に
ついては当該教職員の身分に属する市町村の教育委員会ですが、委任されて直接には当該
教職員の属する学校の校長が行います。
教師の職務(仕事)
① 法令に規定されている職務(学校教育法 37 条第 11 項)
「教諭は、児童の教育をつかさどる」と規定(中学校、高等学校への準用規定は
第 49 条、第 62 条、第 82 条)
、これにより教師の主たる職務は、児童生徒の教育に
責任をもってあたることといえる。
② 具体的な職務
○諸教育活動
教科指導、教科以外の道徳、総合的な学習の時間、特別活動、生徒指導、進路
指導等
○教育活動に必要な準備及び整理の仕事
指導前後の教材研究や指導法の研究等諸準備や指導についての評価等
○教育活動に付随する仕事
家庭との連絡、対外的な渉外・連携、教室の整備、学級事務等
(4)服 務
服務とは、公務員としての地位に基づいて、職務上または職務外において公務員に課せ
られた規律に服する義務のことをいいます。この服務の根本の基準になっているのは、
「す
べて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当って
は、全力を挙げてこれに専念しなければならない」
(地方公務員法第30条より)という規
定です。
また、教育公務員という職務の特殊性から、教育公務員特例法において、公立学校の教
育公務員の政治的行為の制限や兼職及び他の事業等の従事などについての特例が定められ
ています。
ア 服務上の義務
① 全体の奉仕者であること ③ 2つの禁止
② 4つの義務 ○ 信用失墜行為の禁止
○ 宣誓の義務 ○ 争議行為の禁止
○ 法令及び上司の職務上の命令に従う義務 ④ 2つの制限
○ 秘密を守る義務 ○ 政治的行為の制限
○ 職務に専念する義務 ○ 営利企業の従事制限
特に、本県では「信頼され、尊敬される教員」を育てることを重要課題にしています。
一旦失われた信頼・尊敬の代償は大きく、子どもに与える心の傷は深く残るものです。子
どもの価値形成や心の成長のために、手本となる教師でありたいものです。
−15−
イ 職務上の心得(勤務時間・勤務日)
① 勤務時間と職務専念の義務
学校では、通常7時間45分の勤務時間が割り当てられていますが休憩時間を除き、
授業の合間の時間も放課後の時間も正規の勤務時間であり、職務に専念すべき時間と
なります。
② 夏期休業などの長期の「休業日」は、児童生徒から見たときの「授業を行わない日」
のことですが、教師にとっては「勤務しなければならない日」です。
2 学校というところ
(1)教育計画の編成
ア 学校の教育目標
教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資
質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならないという教育基
本法の目的を実現するため、教育を受けるものの心身の発達に応じて体系的な教育が組
織的に行われなければなりません。
学校の教育目標は毎日の教育活動のよりどころであり、すべての活動は学校の教育目
標を具体的に児童生徒に実現させるための活動です。ですから、教職員はもちろん、保
護者、児童生徒も全員が学校の教育目標を知っていなければなりませんし、常に意識し
て活動するように指導することも必要になります。
学校の教育目標の設定までの手順はおおよそ次のとおりです。
県や市町村の教育目標
校長の経営理念
教師の願い
児童生徒の実態
保護者の願い
学 校 の 教 育 目 標
学習指導要領
前 年 度 の 反 省 評 価
関係法規・法令
地域の教育課題
学校の教育目標は、校長の責任において年度当初設定するものですが、児童生徒の実
態や教師と保護者の願いが反映されるべきものですから、校内で十分検討する必要があ
り、安易に前年度と同じにすることは避けなければなりません。全教職員がそれぞれの
立場に応じて目標設定に積極的に参加すべきです。
学校によっては、全教職員の考えを反映させるために教育目標や教育課程を決定する
ための特別な組織を作っているところもあります。
−16−
イ 教育課程編成
教育課程とは、学校の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童生徒の心身の
発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画です。各教科
等の種類やそれぞれの目標、指導内容、標準授業時数などの教育課程編成の基準は、学
校教育法施行規則及び学習指導要領に示されています。この基準をもとに、各学校で校
長の責任において、全教職員の協力で教育課程が編成されることになります。
教育課程編成の手順はおおよそ次のとおりです。
各教科
指導目標と指導計画
各教科等
指導目標と指導計画
道 徳
外国語活動
総合的な学習の時間
特別活動
指導目標と指導計画
学校評議員の意見・外部評価
学校教育法施行規則
学習指導要領
評 価 と 反 省
学級経営
指導目標と指導計画
日常の教育活動
指 導 の 重 点
学校経営の方針
学校の教育目標
学年経営
指導目標と指導計画
学校の教育目標と校長の経営方針を受けて今年度の指導の重点を具体的に決定します。
そして、それに基づいて学年経営や学級経営、各教科の指導目標と指導計画が作られ
ます。
以上のような手順を経て教育課程が編成され、日常の教育活動に生かされていきま
す。一人一人の教師が常に学校の教育目標を意識し、独善に走らず、調和と統一のとれ
た教育活動に努めなければなりません。
次に、活動に対する評価と反省を行います。評価・反省の時期は、週末、月末、学期
末、年度末などが考えられますが、最も大事にしたいのは日常の評価です。的確に児童
生徒の変容や日常の教育活動を評価・反省することが教育活動を行う上での基本になり
ます。
各学校では、学校評議員や外部評価も取り入れた、学校評価システムを構築し、各学
期や年度末に学校経営評価として評価・反省を行います。これらの評価結果を分析・考
察して、次学期、次年度の教育課程を検討することになります。この際、自分の所属す
る学年や分掌での評価・反省を行うことが多いので、積極的に意見を出すことが大切で
す。
−17−
(2)小学校・中学校の教育課程
学習指導要領では、小学校・中学校における教科等を次のような構成、年間標準授業時
数を定めています。
年間の総授業時数
小学校 第1学年 850 時間 中学校 全学年 1,015 時間
第2学年 910 時間 第3学年 945 時間
第4・5・6学年 980 時間
これらは年間35週(小学校第1学年は34週)以上にわたって計画しなければなりません。
この基準をもとに週当たりの授業時数が決定され、具体的には時間割というかたちで表現
されます。そして、学校行事等の計画と総合的に検討して年間の計画が完成します。
ア 小学校における各教科等の構成〔25年度〕
1 単 位 時 間 は 45
分とし、児童の実
態や教育活動のね
らいに応じて弾力
的に運用する。
各
教
科
国
語
社
会
算
数
理
科
生
活
音
楽
図画工作
家
庭
体
育
1学年
2学年
3学年
4学年
5学年
6学年
306
315
136
175
245
70
175
90
245
90
175
105
175
100
175
105
175
105
175
105
102
68
68
105
70
70
60
60
60
60
102
105
105
70
105
70
50
50
60
90
70
35
50
50
55
90
70
35
総合的な学習の時間
外国語活動
道徳(1学年は 34 時間、他は 35 時間)
学級や学校の生活づくり
日常の生活や学習への適応及び健康安全
学級活動
特別活動
児童会活動
クラブ活動
儀式的活動
文化的行事
健康安全・体育的行事
遠足・集団宿泊的行事
勤労生産・奉仕的行事
学校行事
なお、小学校では学級担任が自分の学級の時間割を編成することが多いのですが、その
際は次のことに留意する必要があります。
① 児童の過重負担にならないよう、また、最も教育効果が上がるよう教科を配当する。
(合科的・関連的な指導も可能)
② 日々の時数管理をていねいに行い、授業時数の確保と計画的な指導に努める。
−18−
イ 中学校における各教科等の構成〔25年度〕
1 単 位 時 間 は 50
分とし、生徒の実
態や教育活動のね
らいに応じて弾力
的に運用する。
各
教
科
2学年
3学年
140
105
140
105
45
45
105
70
140
50
140
105
105
140
35
35
105
70
140
70
105
140
140
140
35
35
105
35
140
70
必修教科
国 語
社 会
数 学
理 科
音 楽
美 術
保健体育
技術・家庭
外 国 語
学級活動
学級や学校の生活づくり
適応と成長及び健康安全
学業と進路
総合的な学習の時間
道徳 35
特別活動
1学年
生徒会活動
学校行事
儀式的活動
文化的行事
健康安全・体育的行事
旅行・集団宿泊的行事
勤労生産・奉仕的行事
また、小学校、中学校とも1単位時間の弾力化がはかられたことで、25分授業や、75
分授業等のような新しいスタイルの授業が可能になりました。完全週5日制の下で、こ
れらの授業時数、授業スタイルを有効に活用し、
「特色ある教育」を展開し、児童生徒
に自ら学び自ら考える「生きる力」を育成していくことが大切です。
(3)高等学校の課程や学科の設置
ア 課程・学科とその編制
課程や学科の設置は、公教育の立場から法令の定めがあり、教育に関する諸法令及び学
習指導要領の基準に従って行われます。学校の課程及び学科の編制は以下のとおりです。
① 課程
高等学校には、次の課程が設置されています。
全日制の課程
通常の課程
定時制の課程
夜間その他の特別の時間又は時期において授業を行う課程
通信制の課程
通信による教育を行う課程
学 年 制
教育課程を学年ごとに編成する
単 位 制
教育課程を学年による区分を設けないで編成する
〔関係法令〕
・学校教育法第4条及び53〜54条
・学校教育法施行規則第101、103条
・単位制高等学校教育規程、高等学校通信教育規程
−19−
② 学科の種類
高等学校は、普通教育及び専門教育を施すことを目的としていますが、高等学校段階
の生徒は、能力・適性・進路等が多様化してくるので、生徒の実態に応じた学校の設置
と教育課程の編成が必要となります。この場合、教育課程を編成する単位となるのが学
科で、次のように分類されます。
普
通
科
普通教育を主とする学科
専 門 学 科
専門教育を主とする学科
※このうち職業教育を主とする学科を職業学科といいます。
※本県では、農業・工業・商業・水産・家庭・看護・情報の職業
学科と、理数・体育・音楽の各学科等が設置されています。
総 合 学 科
普通教育及び専門教育を総合的に施す学科
※この学科は単位制による課程が原則となっています。
※本県では、天童、左沢、北村山、高畠、荒砥、鶴岡中央、庄内
総合の7つの高校に、全日制の課程として設置されています。
〔関係法令〕
・学校教育法施行規則第80条 ・高等学校設置基準第5〜6条
・高等学校学習指導要領
・山形県立高等学校管理運営規則
③ 編制
高等学校の編制においては、1学級の生徒数や、校長・副校長・教頭・教諭・事務職
員・実習教諭・養護教諭などの職員数についての算出方法が定められています。
〔関係法令〕
・学校教育法第60条
・高等学校設置基準第7〜11条 ・公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律及び同施
行令
イ 定時制・通信制の課程の教育
定時制・通信制の課程の教育は、勤労青少年や様々な教育ニーズに対応して教育の機
会を提供する制度として、修業年限が3年以上(全日制は3年)と規定されています。
本県では次の高等学校に設置されており、単位制により教育課程が編成されています。
定時制の課程(5校)
霞城学園、新庄北、米沢工業、鶴岡工業、酒田西
通信制の課程(2校)
霞城学園、鶴岡南
〔関係法令〕
・学校教育法第53〜56条
・学校教育法施行規則第101、102条
・山形県立高等学校管理運営規則
−20−
ウ 高等学校における専門教育
高等学校における専門教育は、次の三つの場合があります。
① 専門学科を置いて行われる場合
専門学科における履修教科・科目には次のような特徴があります。
・専門教科・科目の必履修単位数が何単位以上という規定があること。
・職業学科では「課題研究」を原則としてすべての生徒が履修すること(看護科を除く)。
また、学科に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当す
ること(商業科を除く)
。
② 普通科の中で行われる場合
普通科においても、地域や学校の実態、生徒の特性、進路等を考慮し、必要に応じて、
適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮されています。
③ 総合学科の中で行われる場合
総合学科では、普通教育及び専門教育に関する多様な各教科・科目が設けられること
になっており、生徒の適性、進路等に応じて、主体的に選択履修できます。
総合学科における履修教科・科目には次のような特徴があります。
・「産業社会と人間」をすべての生徒が原則として入学年次に履修すること。
・開設される専門教科・科目の単位数の合計が、
「産業社会と人間」を合わせて25単位
以上という規定があること。
<専攻科>
高等学校では、高等学校卒業者を対象とした専攻科を置くことができるようになっ
ており、本県では山辺高等学校看護科・米沢工業高等学校生産情報科の二つが設置さ
れています。
〔関係法令〕
・学校教育法第58条 ・山形県立高等学校管理運営規則
エ 連携型高等学校
金山高等学校、小国高等学校では、それぞれ同じ町内の中学校における教育との一貫
性に配慮した教育活動を進めています。
〔関係法令〕
・学校教育法施行規則第87、88条
・山形県立高等学校管理運営規則
−21−
高等学校教育課程の基準の概要
学 年 制
全 日 制
普通科
○共通教科10教科
31単位以上
各
教
科
・
科
目
等
の
履
修
等
各
教
科
・
科
目
等
の
授
業
時
間
数
必
教
科
履 修
科 ・
目 等
○3~6単位
総合的な
学 習 の
時
間
専門学科
総合学科
定時制
通信制
○共通教科10教科
○共通教科10教科
○全日制に同じ
31単位以上
31単位以上(ただ
し,専門教科・科目 ○「産業社会と人間」
及び専門教科・科
による代替可能)
目を25単位以上
○専門教科・科目25
開設
単位以上(ただし5
単位まで専門教
科・科目以外の教
科・科目による代
替可能)
○3~6単位
○3~6単位
○全日制に ○全日制に
(職業学科について
同じ
同じ
は「課題研究」等と
の代替可能)
年 間 授 業 ○年間35週を標準
時
数
週 当 た り ○30単位時間(*)を標準
授業時数
1 単 位 の ○35単位時間(*)を標準
時 間 数
授 業 の 1 ○学校が適切に定める
単位時間
○学校が適 ○添削指導
切に定め
及び面接
る
指導によ
る
○ホームルーム活動:年間35単位時間(*)以上
○生徒会活動・学校行事:適切な時間
特別活動
○全日制に ○卒業まで
同じ(ただ し, に30単位
ホームルー
時間(*)以
ム活動の減
上
可能)
修
得 ○74単位以上
総単位数
単
○修得総単位数に含 ○制限なし
めることができるの
位
学
校
設
定
は20単位まで
の
(中高一貫教育を
修 教 科 ・ 実施する高等学校
科
目
得
は30単位まで)
等
○全日制に同じ
高卒認定試験 ○学校長の判断でその高等学校の卒業単位として認めることができる
合 格 科 目
就 業 体 験 ○職業教科・科目の実習に代替可能
そ
の
他
代
替
等
○代替不可
ホ ー ム プ ロ ○専門教科の農業、及び家庭の指導に当たり、水産の授業時数の10分の2 ○不可
ジ ェ ク ト 以内を充てることが可能
○実務代替可能
実 務 代 替 ○実務代替不可
○面接指導,
特別活動の
時間数の免
除可能
ラ ジ オ ・
テレビ放送
(*)1単位時間を50分として計算する
−22−
−23−
(4)学校にある組織
学校では、教育目標を達成するために、全教職員が互いに協力しながら教育活動を進め
ています。そのため、授業だけでなく多くの仕事があります。これを校務といい、具体的
には、次のようなものがあります。
・学校教育の運営に関すること。
・教育課程の編成、実施、改善に関すること。
・児童生徒の指導に関すること。
・児童生徒の進路に関すること。
・児童生徒及び教職員の保健安全に関すること。
・学校の施設・設備(教材教具などを含む)に関すること。
・地域社会、関係諸機関・団体などとの連絡調整に関すること。
多岐にわたる校務を適切に処理できるよう分担して進めます。これを校務分掌といいま
す。校務分掌を円滑に行うには、次の点に注意が必要です。
・分掌内容を十分理解する。
・共通理解を図り、独断専行を避ける。
(5)教科担任、学級(ホームルーム)担任の役割
ア 教科担任の役割
中学校や高等学校では、教科内容がより深く専門的になります。そのため教科担任が
生徒の学習を指導します。小学校でも、学級を担任しないで教科を担当したり、担任の
得意分野を生かして交換授業をしたりする場合があります。
教科担任の役割は、専門性を生かして有効・適切な学習指導を行うことです。多くの
研鑽を積み重ね、すべての児童生徒一人一人の思いなどを洞察しながら、それらに対応
して柔軟な授業改善などを行うことが必要になります。
配慮すべき点は、教科担任相互、学年・学級との連絡を密にすることなどです。
イ 学級(ホームルーム)担任の役割
児童生徒の学校での学習や生活の中心は学級です。学級担任の役割は、児童生徒の健
全な成長・発達を促すのにふさわしい教育の環境づくりです。
学びの場にふさわしい学級をつくるには、児童生徒との好ましい人間関係が欠かせま
せん。児童生徒の個性や健康状態、学習の達成度など、心的・身体的な状態に対する共
感と洞察力をもち、それらを踏まえた的確で柔軟な対応を行うことが大切です。
配慮すべき点は、児童生徒との触れあいを大切に一人一人をよく把握しておくこと、
他の教師との連携を深めること、保護者や地域との連絡を密にすることなどです。
−24−
(6)教員の一日
一日の勤務のおおよその流れは次のようになります。
その他、夜間や休日を利用して行われるPTA活動などに関する仕事もあります。
出
勤
余裕を持って出勤
出勤簿に押印
教 室 の 点 検
児童生徒との明るいあいさつ
窓の開閉、汚れ・危険個所の有無などの点検(冬季は暖房も)
朝の学級事務
職員室の黒板(掲示板)で、日程や連絡事項の確認
指導案の確認、授業の準備など
職員打合せ
(朝会)
今日の日程、連絡、報告、指示などの打合せ
朝の会(SHR)
児童生徒の動静把握や健康状態の観察
日程や指示事項の伝達、問題によっては協議
授
児童生徒への深い共感と洞察力をもち、力をつける指導
業
終 わ り の 会
学校生活の反省、明日に向けての連絡や諸注意
前後して清掃指導
諸会議への出席
会議の目的や議事の内容の理解
配付資料は事前に目を通して
自分の意見や感想は率直に
部
中学校、高等学校では大切な課外教育活動
活
動
日直としての活動
日直の仕事は学校の安全管理にとって重要
校舎内外の点検、日誌の記入、異常時の対応
(管理職へ報告)
など
退出に際して
児童生徒の完全下校
教室や廊下の戸締まりや火気の点検
担当箇所の整理整頓
−25−
Fly UP